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第13号 平成15年3月7日(金曜日)

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平成十五年三月七日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第九号
  平成十五年三月七日
    午後一時開議
 第一 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生労働委員長辞任の件
 厚生労働委員長の選挙
 議員坂井隆憲君の逮捕について許諾を求めるの件
 日程第一 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時四分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 厚生労働委員長辞任の件
議長(綿貫民輔君) お諮りいたします。
 厚生労働委員長坂井隆憲君から、委員長を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 厚生労働委員長の選挙
議長(綿貫民輔君) つきましては、これより厚生労働委員長の選挙を行います。
下村博文君 厚生労働委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 下村博文君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 議長は、厚生労働委員長に中山成彬君を指名いたします。
    〔拍手〕
     ――――◇―――――
下村博文君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 議員坂井隆憲君の逮捕について許諾を求めるの件を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 下村博文君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。
    ―――――――――――――
 議員坂井隆憲君の逮捕について許諾を求めるの件
議長(綿貫民輔君) 議員坂井隆憲君の逮捕について許諾を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。議院運営委員長大野功統君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔大野功統君登壇〕
大野功統君 ただいま議題となりました議員坂井隆憲君の逮捕について許諾を求める件について、議院運営委員会の審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本件は、議員坂井隆憲君の政治資金規正法違反被疑事件につき、東京地方検察庁からの逮捕状請求により、東京地方裁判所裁判官からの要求に従って、昨六日、内閣から、同君の逮捕につき本院の許諾を求めてまいったものであります。
 議院運営委員会は、同日本件の付託を受け、即日理事会を開き、その取り扱いについて協議を行いました。
 本件につきましては、憲法五十条の規定により議員に保障された不逮捕特権に関する重要な問題でありますので、院として慎重に対応すべく、同日、委員会を秘密会とし、森山法務大臣並びに樋渡刑事局長から説明を聴取した後、各党から質疑を行いました。
 その主な論点を申し上げますと、議員の不逮捕特権と逮捕許諾について、逮捕の必要性と緊急性について、罪証隠滅のおそれについて、捜査の発端と時期について、政治献金の目的について、政治資金規正法違反による逮捕と再逮捕の可能性について等であります。
 かくして、本日の委員会において、各党より意見の表明を行いましたところ、本件は、議員の身分に関する重要な問題であり、憲法第五十条の不逮捕特権はあくまでも尊重されるべきものであるが、裁判官も逮捕を相当と認めていること、逮捕権の乱用とは認められないこと、国会も真相の究明に協力することは必要であり、政治に対する国民の不信を払拭するためにも、この際、許諾を与えることはやむを得ない旨の意見が述べられ、採決の結果、本件は全会一致をもって許諾を与えるべきものであると決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり許諾を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり許諾を与えることに決まりました。
     ――――◇―――――
 日程第一 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第一、地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長遠藤武彦君。
    ―――――――――――――
 地方税法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔遠藤武彦君登壇〕
遠藤武彦君 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、法人事業税について、資本金が一億円を超える法人を対象として、外形基準の割合を四分の一とする外形標準課税制度を導入し、平成十六年度から適用するとともに、不動産取得税等の土地関連流通課税の軽減、土地に係る固定資産税の現行負担調整措置の継続、道府県民税配当割及び株式等譲渡所得割の創設等を行うものであります。
 本案は、去る二月十八日に本委員会に付託され、三月三日に片山総務大臣から提案理由の説明を聴取し、三月四日及び昨六日に質疑を行い、これを終局いたしました。次いで、討論の後、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。文部科学大臣遠山敦子君。
    〔国務大臣遠山敦子君登壇〕
国務大臣(遠山敦子君) 義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 義務教育は、憲法の要請により、すべての国民に対し、必要な基礎的資質を培うものであり、国と地方が適切に役割分担しつつ、円滑に実施することが重要であります。
 一方、現在、政府においては、地方行財政改革を推進するため、地方分権改革推進会議の意見や経済財政諮問会議における議論などを踏まえ、国と地方の役割分担に応じた事務事業のあり方の見直し、国庫補助負担金の縮減に向けた検討を進めているところであります。
 この法律案は、かかる政府の方針を受け、義務教育費国庫負担金について、義務教育に関する国の責任を適切に果たしつつ、義務教育に関する国と地方の役割分担及び費用負担のあり方の見直しを図る観点から、その負担対象経費を限定することとするものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明いたします。
 この法律案は、共済費長期給付及び公務災害補償に要する経費の性質にかんがみ、平成十五年度から、公立の義務教育諸学校の教職員等に係る共済費長期給付及び公務災害補償に要する経費を国庫負担の対象外とするものであります。
 なお、このことに伴う地方財源の手当てについては、所要の財源措置が講じられることとされております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。鎌田さゆり君。
    〔鎌田さゆり君登壇〕
鎌田さゆり君 民主党の鎌田さゆりでございます。
 ただいま議題となりました義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して、質問をいたします。(拍手)
 本題に入る前に、またしても政治家とお金の問題で不祥事が露見しました。自民党は、一体いつまでこんなことを放置し続けるのでしょうか。しかも、今度は、小泉総理が派閥の長を務めていたときの身内の議員によるものです。自民党と小泉総理に猛省を促します。(拍手)
 さて、本題に入ります。
 まず、今回の法改正の意義についてであります。
 地方分権改革推進会議報告を受けて、地方分権改革推進や国と地方の構造改革を目指すものと言われています。
 例えば、小泉総理は、「国庫補助金、交付税交付金、税源移譲を三位一体で、地方の自主性、創造性、個性をいかに確保するか考えてほしい。予算編成に向かって、来年度から少しでも芽を出すよう、三位一体で考えていきたい。」と、この報告を審議した昨年十月三十一日、経済財政諮問会議の議長として、このようにまとめています。
 三方一両損の次は三位一体ですか。小泉総理、もはや、あなたにとって、言葉とは、何の意味もないひとり言となってしまったのでしょう。この自民党で最初に言ったのは私だ、結果が出るには時間がかかるというような弁解はいいかげんにしていただきたい。聞き飽きました。言うだけなら、こんなにたやすいことはありません。問題は、やるかやらないかであり、そして、結果が問われているのです。
 今回も、税源移譲への道筋は示されておりません。地方分権改革推進会議の報告を受けておきながら、地方分権など、どこにもありません。国庫補助金を交付税につけかえただけで、どうして地方分権推進となるのか、全く理解できません。
 大体にして、塩川財務大臣が経済財政諮問会議の席上、提出をした「国庫補助負担金の廃止・縮減及びこれに伴う税源移譲の考え方」を見れば、微妙なうまい言い回しで表現されていますが、結論は、税源移譲できないと言ってるのと同じじゃないですか。(拍手)
 例えば、「国債の信認維持のために国債償還財源としての国税の税収を確保していくことが必要。」と説いていらっしゃる。責任転嫁そのものだと思います。さらに、「財源を移そうとしても、国債発行により賄ってきた部分については、移譲する財源がない。」と開き直っています。
 財務大臣のこの方針が了承され、しかし一方で、議長である小泉総理は、平気で三位一体という四文字熟語をつぶやく。小泉総理は、この矛盾をどれほどわかっているのでしょうか。小泉内閣が三位一体を、総理のひとり言としてではなく、本気で具体化するのは一体いつのことなのでしょうか。
 さらに注目すべきは、この会議で、三位一体の柱の一つである税源移譲が明確でないことを強く指摘された大臣がこちらにおられます。片山総務大臣です。「税源移譲は「やるべし」と明記していただくべきだ。三位一体の柱の一つは税源移譲で、それを言及しないのはいかがなものか。」と発言されていますね。
 これに対して、地方分権改革推進会議議長は、「我々は、明記しないのが、現在の当会議の立場として当然であるとした。書くと、今後の三位一体議論の差しさわりになる。」「地方財政計画の中で、しっかりと審議してほしいと書き込んである。」と答え、加えて、塩川財務大臣は、「予算全体の中で消化していく。」と述べておられます。
 何なんですか、これは。全くもって意味不明。単なる先送りじゃないでしょうか。地方分権改革推進会議すら、税源移譲を明記できていない。やるのは補助金削減から地方交付税へのツケ回しという程度なら、地方分権改革推進会議などという大げさな名称は使わないでいただきたい。
 しかし、推進会議はあくまでも総理の諮問機関、税源移譲を明記していなくても、小泉内閣は指示、実行できる立場にあるはずです。それがなされないということは、仕事と負担は地方へ、税源は中央でというのが小泉内閣の地方分権政策なのでしょうか。
 税源移譲の見通しについて、塩川大臣の答弁を求めます。
 「きっちりとした財源措置がなければ、完全なツケ回しだ。知事会を初め地方は全部要らないと言っている。どこに自主性の拡大、効率化があるのか、御説明いただきたい。」とまで片山大臣が詰め寄ったにもかかわらず、奮闘むなしく、税源移譲はかち取れていません。先細りが確実視される交付税で十五年度は処理ということになりました。
 片山大臣、なぜ、最後まで踏ん張れなかったのでしょうか。塩川財務大臣の年の功に押されてしまったとでもいうのでしょうか。この法案のどこに自主性の拡大、効率化があるのか、その問いをそのまま片山大臣にお返しいたします。御答弁ください。
 次に、内閣として教育をどうお考えか、お伺いいたします。
 まず、遠山大臣、いいんですか、本当にこれで。「教育は大切だからこそ、多くの人は、国の関与を小さくした方がよい教育ができると考えている」、これも経済財政諮問会議でのある委員の発言です。しかし、税源移譲もしない交付税のツケ回しで、どうして国の関与が小さくなるのでしょうか。摩訶不思議な発言です。
 そして、これに対峙する形で、遠山大臣も発言されています。「創意工夫のために負担金を止めろという論理は、私は理解できない。」と。全くそのとおりです。教育が大切であり、重視するという言葉に偽りがなければ、そこにふさわしい予算が措置されるべきであります。
 さらに、遠山大臣は、「二十兆円もある国庫補助負担金の中で、三兆円の義務教育費国庫負担金のみがターゲットとなるのに違和感がある」とも述べておられます。まさに大臣、あなたが発言されたとおり、憲法第二十六条第二項、私たちすべての国民が子供たちに教育を受けさせる義務を負い、そして義務教育は無償とする、この理念が心に刻まれていれば、違和感を覚えるのはごく自然なことであります。
 遠山大臣、あなたは、我が国の教育行政の長として、その職をかけてでも最後まで貫き通すべきではなかったのか。あなたが違和感を覚えた、そのものずばりで教育がターゲットになったこの改正案を国民にいかに御説明なさるのか、今のあなたの率直な思いを含めて御答弁を求めます。(拍手)
 資源なきに等しい我が国にとって、教育こそ日本の未来です。五十年先、百年先に夢やロマンを熱く語りつないでいくものです。しかし、残念なことに、遠山大臣、今回の法案は、それとは全くかけ離れた次元にあります。補助金削減のプランを懇切丁寧にも四年で五千億円という数字入りで提案し、財務省に御協力なさいましたね。情けない。
 さらに、予算面では、将来の発展につながる分野への重点配分と明記されているにもかかわらず、対前年比三・五%の削減。私が大臣なら、絶対にそんなことはさせません。
 私は、今回ほど、遠山大臣に政治家になっていただきたいと感じたことがありません。大蔵に弱い文部というイメージを返上するどころか、さらに印象づけてしまった責任は重いということを付しておきます。
 ここで、法案の中身についてお伺いいたします。
 国として真に負担すべきものに限定するという理由づけのもと、共済費長期給付と公務員災害補償基金を一般財源化するとの提案ですが、その論理的根拠はいかなるものか。また、どうも、来年度も同じ手法で児童手当、退職手当も交付税化し、今回と同様のスキーム化を図り、全体で五千億円という文部科学省ノルマを達成しなければならないとか。遠山大臣、この場で、国民に対し、はっきりとお答えいただきたいと思います。
 これらの点から言えることは、小泉総理のやったこととして後世に伝えられるのは、財政事情でまず削減を図った対象を教育にしたということであります。米百俵の精神も軽んじられたものです。来年度から少しでも芽を出すようにという言葉は、今まさに、教育の軽視、地方へのツケ回しという形で芽を出そうとしているのです。こんなまやかしの芽出しを、到底受け入れられるものではありません。
 次に指摘しておかなければならないのは、結局、地方への負担をツケ回しているということです。
 負担対象経費の見直しに伴う財源措置について、約二千三百億の二分の一は地方特例交付金、二分の一は地方交付税で全額措置するとは、いかにも聞こえはいい。あたかも、地方自治体は無傷かのように見えます。しかし、実態は、地方交付税措置の一千二百億円分は交付税特別会計借入金から支出され、その四分の一、つまり約三百億円は、地方財政計画全体の中で措置される地方負担分となっています。
 要するに、わかりやすく言えば、地方にしてみれば、有無をも言わせず三百億円、交付税から天引きされるということになりはしないでしょうか。これを地方へのツケ回しと言わずして何と言うのでしょうか。
 しかも、これは、これから毎年です。文部科学省ノルマと政府の思惑によれば、今後、もう一つ同様のスキームができ、地方への毎年のツケ回しは三百億から六百億へと膨れ上がるのではないでしょうか。
 そこで、お伺いするのは、これら義務教育にかかわる議論の過程で、文部科学省はどれだけのイニシアチブを発揮されたのか。地方負担分の八分の一、約三百億という数字は、だれが、どんな論理的根拠をもって決めたのか。見るからに、お金の論理で事が決着しているじゃないですか。
 もっとも、どんなに遠山大臣が教育の重要性を力説しようとも、竹中大臣が座長役を務める経済財政諮問会議では、教育よりETFでの財テクに関心が向いていたかもしれませんから、遠山大臣に同情すら覚えますが、結局、今回は、五千億ノルマの半分で財務省と総務省に勘弁してもらったのではないのか。遠山大臣、違うなら違うと、はっきりわかるように御説明いただきたい。
 さらに、八分の一の償還費に係る地方負担についての償還期到来後というのがいつのことなのか、説明不足も甚だしいではありませんか。片山大臣の答弁を求めます。
 この法案は、税源移譲、三位一体、地方分権、すべてにおいてまやかしです。さらに、小泉内閣は、補助金削減を教育から始める教育軽視内閣だと断ぜざるを得ません。福田官房長官、どうなんですか。答弁を求めます。
 以上のように、教育軽視を教育重視と偽り、地方へのツケ回しを地方自主性促進と言いくるめる本改正案に、私たち民主党は、到底賛成できるものではありません。
 最後に、法案の実態を知る全国の多くの自治体、四百を超える地方議会、さらに、教育現場の先生たち、PTAの皆さん、多くの国民とともに、民主党は、反対の意思を表明します。国庫補助金、交付金、税源移譲の三位一体の国と地方の構造改革、教育科学立国の実現は、民主党を中心とする政権への政権交代なくしてはあり得ないことを確認して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣福田康夫君登壇〕
国務大臣(福田康夫君) 鎌田議員にお答えします。
 内閣として教育を軽視しているのではないかとの御指摘がございました。
 我が国の発展にとって教育の役割は極めて重要であり、確かな学力と豊かな心の育成を目指し、あすを担う人材がみずからの意志と責任で多様な教育機会を得られるよう、教育改革を強力に推進することとしております。
 このため、平成十五年度予算案においては、活力ある経済社会の実現に向けた将来ある発展につなげるため、重点四分野の一つ、「人間力の向上・発揮」の中に教育を位置づけ、その充実を図ることとしております。
 今後とも、地方財政の自主性向上のため、三位一体改革を推進し、補助負担金の整理合理化等の改革を強力に行う中で、教育については、国と地方が適切な役割分担を果たしつつ、その活性化を図っていくため必要な予算の充実、確保について、適切に対処してまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
国務大臣(塩川正十郎君) 私に対しましては、地方財源の移譲、税源の移譲と三位一体はまやかしや、こうおっしゃっていますけれども、決してそんなものじゃなくして、これは一番重大な政策でございますので、十分に勉強していただきたいと思っております。
 まず、国と地方のあり方についてでございますけれども、この両者の役割分担を明確にする必要がございます。現在、シビルミニマムも、またナショナルミニマムも、これで実際に住民の要請に合うておるかどうかということ等を検討する必要があるのではないか、そしてまた、この負担の問題をどうするかということは重大な検討項目であります。
 それともう一つは、地方自治体を健全化するためには、その受け皿である市町村の合併によるところのいわば行政能力の強化ということをぜひ進めていただく必要がございまして、その上に立っての財政と、そして分権と、両方あわせた改革を考えていかなければならぬと思っております。
 そこで、お尋ねの財源の問題についてであります。
 地方における受益と負担の関係を明確にいたしまして、地方が自助努力、自己責任によって効率的な財政運営が行われていくという観点から検討を行う必要がございまして、ただ単に税源移譲すれば自治体は独立するというものではございません。あわせて、財源調整の必要は私も認めますけれども、地方交付税によるところの財源保障機能を温存しておいて自治体の自主性を確保するということは、非常に難しいと思っております。
 なお、基本方針二〇〇二におきましては、三位一体の改革案を本年六月を一つのめどにまとめることにいたしておりまして、引き続き、この基本方針に沿って、国庫負担及び国庫補助、地方交付税のあり方、税源移譲の移し方、そして額等につきまして、三位一体として十分検討していく予定でございますので、御支援のほどお願いいたします。(拍手)
    〔国務大臣遠山敦子君登壇〕
国務大臣(遠山敦子君) 鎌田議員にお答えいたします。
 おしかりとともにお励ましをいただきまして、大変ありがたく、また、深くお言葉を心にとどめているところでございます。
 御指摘の点につきまして、さまざまにわたっておりましたが、四点に分けて御説明させていただきたいと思います。
 まず、今回の改正案を国民にどう説明するのかというお尋ねでございます。
 義務教育は、国民の基礎的資質を培うものでありまして、その水準確保については、国としてもその責任を十分果たしていく必要があると考えております。
 現行の義務教育費国庫負担制度は、昭和二十八年に制定されまして、義務教育水準の維持向上のために、これまで極めて大きな役割を果たしてきたものと考えております。
 一方、政府におきましては、地方分権改革推進会議などの意見も踏まえまして、国の関与を縮小し、地方の自主性を拡大するとの観点から、国庫補助負担金の整理合理化について検討を進めているところでございます。
 今回の法改正は、こうした考え方に立って、義務教育費国庫負担金について、義務教育に関する国の責任を果たしつつ、国と地方の費用負担のあり方を見直す中で、その負担対象経費を限定することとするものでございます。
 我が省といたしましては、学級編制の弾力化あるいは教職員定数の柔軟な活用を推進いたしますとともに、平成十六年度からは、公立学校教員の給与水準について各県が主体的に決定できるよう制度改正を行うこととしておりますなど、地方がより自主的な取り組みを行えますように、教育改革を一層推進しているところでございます。
 他方、義務教育費国庫負担制度につきましては、必要な見直しを行いつつも、義務教育の水準を確保するために、国として必要な責任を今後ともしっかりと果たしてまいりたいと考えております。
 次に、共済費長期給付及び地方公務員災害補償基金負担金の一般財源化の趣旨についてのお尋ねでございます。
 共済費長期給付は民間の厚生年金に相当するものでございますし、また、公務災害補償は民間の労災保険に相当するものでございまして、それぞれの積立金等への都道府県負担分の二分の一を国庫負担しているものであります。
 これらの経費は、教職員に対して直接支払われる給与費そのものではなく、その性質にかんがみまして、一般財源化しても、義務教育の水準を確保するという国庫負担制度の目的に照らして、支障がないという判断をしたものでございます。したがいまして、勘弁してもらったということではないというふうに考えているわけでございます。
 また、退職手当、児童手当等の一般財源化についてでございます。
 これらの手当の取り扱いにつきましては、平成十四年十二月十八日の総務大臣、財務大臣、文部科学大臣の三大臣合意におきまして、「関係省庁間における継続検討課題とし、平成十六年度予算編成までに結論を得る。」ことといたしております。
 最後に、今回の義務教育費国庫負担金の見直しに当たっては、財源論のみで決着しているのではないかとの御指摘でございます。
 国民の基礎的資質を培う義務教育の重要性にかんがみ、財源論のみで論ずべきでないというのは、御指摘のとおりでございます。
 このような観点から、今回の見直しの検討に当たりましては、この義務教育費国庫負担金の問題を集中審議した昨年八月の経済財政諮問会議におきまして、私から、国民的課題である教育改革を推進していくことの重要性を強調し、それをさらに加速していくための人間力戦略ビジョンを提唱いたしました。
 この人間力戦略ビジョンにおきましては、初等中等教育から高等教育までの各学校段階及び生涯学習を通じて、我が国の将来を担う人材の育成をするための目標と、これを実現するための具体的施策を明確にしたところでございます。目下、その推進のために、教育改革に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 そうした人材育成の重要な基礎となるのが義務教育でございまして、まさに、義務教育は国の礎であるというふうに考えております。したがいまして、義務教育につきましては、地方のより自主的な取り組みを生かすような必要な見直しを不断に行いつつも、義務教育の水準を確保するため、国として必要な責任は今後ともしっかりと果たしていきたいと考えているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 鎌田議員から二点の質問がございましたので、お答えいたします。
 義務教育の国庫負担金を削減したけれども、地方の自主性の拡大、効率化はどうなったかと。
 今、遠山文部科学大臣からもお話がありましたが、一つは、学級編制を、都道府県の自主性を拡大する、裁量の余地を広げる。今、四十人学級ですけれども、今後は、都道府県が三十八人でいきたい、それはやってもよろしい、あるいは、四十人ですから、四十一人になると二人先生が配分されるわけですが、その二人の先生の使い方も都道府県で考えてよろしい、こういうことになったわけでありますが、これは通知で、運用の改善でございますから、法律でなくて通知でやる。
 それから、もう一つ、特別の必要がある場合に、教職員の加配ができるわけです、プラスアルファが。これについては、今までは、文部科学省が細かいところまで全部チェックしておったのですが、これからは、大ぐくりにして都道府県にある程度自由にやらせる。これは政令の改正になるわけであります。
 それから、今、遠山大臣が言われましたように、来年度から、今は法律の中に、都道府県といいますか、義務教育の職員の給与は国立学校に準じる、こう書いているのですが、これを直す。これも都道府県の自主性を拡大する。
 こういうことでございますから、私は、そういう意味では、今回のことで、都道府県の教育における自主性が増強された、こういうふうに思っておりますし、今後どうするかについては、三大臣の覚書もありますので、十分、義務教育のあり方、位置づけをしながら、仮に一般財源化するにしましても、しっかりと検討してまいりたいと思っております。
 それから、二点目は、今回で二千三百億弱なんです。それを、半分は地方の特例交付金で、半分は交付税の特会借り入れでやる、そのうちの四分の三は国が責任を持つ、四分の一は地方、こうなったわけですね。
 それで、二千三百億ぐらいで税源移譲だとか税源配分のあり方を見直すというのはなかなか難しい。やはり兆円単位にならないと、ウン兆円単位に。我々は、それまでのつなぎとして地方特例交付金と地方交付税という考え方をとったわけでありまして、八分の七、国が責任を持つということは、今までの例ではないのですよ。四分の一だけは地方財政計画の中にのみ込んで、毎年度の償還をする場合に、それをきっちり手当てしていく。
 これは、借入金は十五年ですから、五年据え置きの十年償還ですから、この問題は、二十一年度から償還が始まる。その場合に、償還財源がどうなるかというのは、地方財政計画全体の中でしっかりと手当てしていくということでございますから、まあ、丸々国の責任で補てんしている、こう言ってもいいわけでございまして、ぜひこれを将来の税源移譲につなげていきたい、こう思っておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
 以上であります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十二分散会


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