衆議院

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第22号 平成15年4月15日(火曜日)

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平成十五年四月十五日(火曜日)
    ―――――――――――――
  平成十五年四月十五日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案(城島正光君外四名提出)
 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 裁判の迅速化に関する法律案(内閣提出)、民事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び人事訴訟法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) 御報告することがあります。
 元本院副議長鯨岡兵輔君は、去る一日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 鯨岡兵輔君に対する弔詞は、議長において去る十三日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに本院副議長外務委員長の要職につき また国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等鯨岡兵輔君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
     ――――◇―――――
下村博文君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、保険業法の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 下村博文君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 保険業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。財務金融委員長小坂憲次君。
    ―――――――――――――
 保険業法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔小坂憲次君登壇〕
小坂憲次君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、保険業に対する信頼性を維持する観点から、生命保険契約者保護のための資金援助制度の整備を行うとともに、保険会社の経営手段の多様化等を図るための措置を講じようとするものであり、以下、その概要を申し上げます。
 第一に、生命保険会社が破綻した場合に生命保険契約者保護機構が行う資金援助等に関し、本年四月以降三年間の破綻に対応するため、改めて、政府補助の特例措置を整備することにしております。
 第二に、相互会社組織の保険会社につき、株式会社組織と同様、委員会等設置会社制度等を導入するとともに、保険会社の相互会社から株式会社への組織変更の際の増資に当たり、基金の現物出資を可能とする等の措置を講ずることにしております。
 その他、保険会社の業務範囲の拡大等を行うことにしております。
 本案は、去る四月一日当委員会に付託され、本日竹中国務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
下村博文君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 城島正光君外四名提出、雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案、内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 下村博文君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案(城島正光君外四名提出)
 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 城島正光君外四名提出、雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案、内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長中山成彬君。
    ―――――――――――――
 雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案及び同報告書
 雇用保険法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔中山成彬君登壇〕
中山成彬君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、城島正光君外四名提出の雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案について申し上げます。
 本案は、現下の厳しい雇用失業情勢にかんがみ、三年間の時限的措置として、現行の雇用保険法による給付水準を確保するため、労働保険特別会計の雇用勘定に失業等給付資金を設ける等の財政措置を講ずるとともに、求職者給付が終了した失業者や事業を廃止した小規模企業者等が能力開発訓練を受ける場合に、求職者等能力開発給付を支給する緊急の措置を講じようとするものであります。
 次に、内閣提出の雇用保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、雇用就業形態の多様化の進展等に的確に対応し、失業した労働者の生活の安定及び再就職の促進を図るとともに、雇用保険制度の安定的運営を確保するため、
 第一に、求職者給付の基本手当日額について、給付率を基本手当日額の高い層を中心に引き下げるとともに、その上限額を引き下げること、
 第二に、基本手当の所定給付日数について、倒産、解雇等による離職者とそれ以外の離職者について、通常労働者と短時間労働者の扱いを一本化すること、
 第三に、就業促進手当を創設し、常用雇用以外への就業にも基本手当の一定割合を支給すること、
 第四に、雇用保険の保険料率を千分の十六に引き上げることとし、平成十六年度末までの間は暫定的に千分の十四に据え置くこと
等の措置を講じようとするものであります。
 両法律案は、去る三月二十五日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日本委員会に付託されました。
 四月一日坂口厚生労働大臣及び提出者大島敦君からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、二日に質疑に入り、九日には参考人から意見を聴取するなど慎重な審査を行い、本日質疑を終了いたしました。質疑終了後、城島正光君外四名提出の法律案について内閣の意見を聴取し、両案について討論を行った後、まず、城島正光君外四名提出の法律案について採決の結果、本案は賛成少数をもって否決すべきものと議決いたしました。次いで、内閣提出の法律案について採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。
 まず、城島正光君外四名提出、雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
 次に、内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 裁判の迅速化に関する法律案(内閣提出)、民事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び人事訴訟法案(内閣提出)の趣旨説明
議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、裁判の迅速化に関する法律案、民事訴訟法等の一部を改正する法律案及び人事訴訟法案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣森山眞弓君。
    〔国務大臣森山眞弓君登壇〕
国務大臣(森山眞弓君) まず、裁判の迅速化に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 我が国においては、司法を通じて権利利益が適切に実現されることその他の求められる役割を司法が十全に果たすために公正かつ適正な手続のもとで裁判が迅速に行われることが不可欠であることに加え、内外の社会経済情勢等の変化に伴い、裁判がより迅速に行われることについての国民の要請にこたえることが緊要となっております。この法律案は、このような状況にかんがみ、裁判の迅速化に関し、その趣旨、国の責務その他の基本となる事項を定めることにより、裁判所における手続全体の一層の迅速化を図り、もって国民の期待にこたえる司法制度の実現に資することを目的とするものであります。
 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、裁判の迅速化は、第一審の訴訟手続を二年以内のできるだけ短い期間内に終局させること等を目標として、充実した手続を実施すること並びにこれを支える制度及び体制の整備を図ることにより行われるものとしております。そして、この制度及び体制の整備は、訴訟手続その他の裁判所における手続の整備、法曹人口の大幅な増加、裁判所及び検察庁の人的体制の充実、弁護士の体制の整備等により行われるものとするとともに、裁判の迅速化に当たっては、当事者の正当な権利利益が害されないよう、手続が公正かつ適正に実施されることが確保されなければならないものとしております。
 第二に、裁判の迅速化に関する国の責務について所要の規定を置くとともに、政府においても所要の措置を講じなければならないものとし、日本弁護士連合会の責務についても所要の規定を置いております。
 第三に、裁判所における手続を実施する者は、充実した手続を実施することにより、可能な限り裁判の迅速化に係る目標を実現するよう努めるものとし、当事者等は、可能な限り裁判の迅速化に係る目標が実現できるよう、手続上の権利は誠実にこれを行使しなければならないものとしております。
 第四に、最高裁判所は、裁判の迅速化を推進するため必要な事項を明らかにするため、裁判の迅速化に係る総合的かつ多角的な検証を行い、その結果を、二年ごとに、国民に明らかにするため公表するものとするとともに、検証の結果については、国の施策の策定及び実施に当たって、適切な活用が図られなければならないものとしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 次に、民事訴訟法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 現行の民事訴訟法は、民事訴訟を国民に利用しやすく、わかりやすいものとする等のために、平成八年に制定されたものでありますが、近年の社会経済情勢の変化等に伴う民事紛争の複雑・多様化を踏まえ、民事裁判の一層の充実及び迅速化が求められております。例えば、争点が多数であるような複雑な事件やその解決のために専門的な知見を要する事件が増加しており、これらの事件への対応を強化する必要があるとの指摘がされております。
 そこで、この法律案は、民事裁判を国民がより利用しやすいものとする等の観点から、司法制度改革の一環として、民事裁判の充実及び迅速化を図るため、民事訴訟手続を改善しようとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げますと、第一は、計画審理の推進を図ることであります。具体的には、裁判所及び当事者には訴訟手続の計画的な進行を図る責務があることを明らかにするとともに、裁判所は、複雑な事件等について、当事者双方との協議の結果を踏まえて、審理の計画を定めなければならないこととしております。
 第二は、訴えの提起前における証拠収集手続を拡充することであります。当事者が訴えの提起前に必要な証拠や情報を入手することができるようにするため、訴えの提起前においても、相手方に対して照会をすることができる手続及び文書の所持者に対して文書の送付を嘱託することができる手続を設けるなど、訴えの提起前における証拠収集手続を拡充しております。
 第三は、専門委員制度を設けることであります。医事関係事件や建築関係事件等の審理において医療、建築等についての専門的な知見が問題となる場合において、専門家に専門委員として訴訟手続への関与を求め、必要な説明を聞くことができることとしております。
 第四は、特許権及び実用新案権等に関する訴えについて、その管轄を専門的な処理体制が整備されている裁判所に専属化することであります。これらの訴えについて、第一審の管轄を東京地方裁判所または大阪地方裁判所に、控訴審の管轄を東京高等裁判所に専属化することなどにより、裁判所の専門的処理体制の一層の強化を図ることとしております。
 第五は、少額訴訟に関する特則を適用することができる事件の範囲を拡大することであります。少額訴訟に関する特則を適用することができる事件の範囲を定める訴額の上限額を三十万円から六十万円に引き上げることとしております。
 なお、この法律の制定に伴い、最高裁判所規則の改正等所要の手続が必要となりますので、その期間を考慮いたしまして、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 最後に、人事訴訟法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 複雑・多様化する我が国の社会において、司法機能の充実の重要性はますます高まっており、民事裁判の一層の充実及び迅速化が求められております。民事訴訟の一類型である人事訴訟については、現在、家庭裁判所で調停が行われ、これが不成立となると地方裁判所に訴えを提起することとされており、手続を国民が利用しにくいと指摘されております。また、人事訴訟の手続についても、明治三十一年に制定された現行の人事訴訟手続法の規律を改めて、より適正かつ迅速な審理を可能にする必要があると指摘されております。
 そこで、この法律案は、民事裁判を国民がより利用しやすいものとする等の観点から、司法制度改革の一環として、家庭裁判所の機能の拡充による人事訴訟の充実及び迅速化を図るため、人事訴訟に関する手続について、現行の人事訴訟手続法を廃止して、新たな法律を制定しようとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げますと、第一は、人事訴訟の家庭裁判所への移管を行うことであります。具体的には、離婚、認知等の人事訴訟の第一審の管轄を地方裁判所から家庭裁判所に移管するとともに、これと密接に関連する損害賠償訴訟を家庭裁判所であわせて審理することができるようにすることとしております。
 第二は、家庭裁判所調査官制度の拡充であります。離婚訴訟における親権者の指定や養育費、財産分与等の申し立てについて、家庭裁判所調査官の調査を活用することができることとしております。
 第三は、参与員制度の拡充であります。人事訴訟の審理及び裁判に国民の良識を反映させるため、国民の中から選任された参与員の関与を求め、その意見を聞くことができるようにすることとしております。
 第四は、人事訴訟手続の見直しであります。具体的には、当事者尋問等について憲法が定める範囲内において公開停止の要件及び手続を明確に規定することや、裁判上の和解により離婚または離縁をすることができるようにすることなど、人事訴訟手続を全面的に見直すこととしております。
 なお、この法律の制定に伴い、最高裁判所規則の改正等所要の手続が必要となりますので、その期間を考慮いたしまして、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 裁判の迅速化に関する法律案(内閣提出)、民事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び人事訴訟法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山花郁夫君。
    〔山花郁夫君登壇〕
山花郁夫君 山花郁夫でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました裁判の迅速化に関する法律案について質問をいたします。(拍手)
 アメリカによるイラク攻撃の終結が近いと言われております。しかし、バグダッドでは略奪などが頻発し、無秩序状態に陥っているなどといった報道がなされています。
 民主党は、国連安保理決議によらない今回の米国のイラク攻撃を、国連憲章など国際法に違反する行為ではないかと考え、武力行使の中止を求めてまいりました。これ以上、人々の命が奪われることがないように、早急に米国等を国連の場へ引き戻す働きかけを行うべきであると考えます。
 ところで、三月二十日、アメリカによるイラク攻撃が始まって数時間後に、小泉総理は、米国の方針を支持することを表明されました。ところが、アメリカのイラク攻撃について、小泉総理から閣僚の皆さんに対して、この米国の攻撃を支持するのかしないのか、このことについて諮られたことはなかったと、当日の閣議後の記者会見で森山法務大臣は述べておられますが、これは事実でしょうか。明確に御答弁をいただきたいと思います。
 ところで、本法律案は、法務省ではなく、司法制度改革本部の作成に係るものであります。司法制度改革は三権のあり方にかかわる問題であり、いわば我が国の統治システムの根幹にもかかわる事柄であるからこそ、法務省ではなくて、司法制度改革本部というものを立ち上げて、その本部長に内閣総理大臣を据えたはずであります。
 ただいま議題となっております裁判の迅速化に関する法律案は、司法制度改革推進本部提出の法案でありますから、本来、本部長が提案理由説明を行うべきものであります。法務省提出の法案であれば、その責任者は法務大臣でありますから、この本会議の場で、法務副大臣が趣旨説明をされたり答弁をされることはまずありません。森山大臣は司法制度改革推進本部の副本部長として趣旨説明をされ、これから御答弁をされるのではないかと推察いたしますが、そのとおりでしょうか。仮にそうだとすると、責任の所在はどこにあるのか、不明確な印象を受けます。つまりは、形だけの本部制度であり、本部長ではないかということであります。この点について御答弁をいただきたいと思います。(拍手)
 もとより、迅速な裁判を受けるのは国民の権利であります。これは、裁判の迅速化と裁判の適正・充実と一体のものとして行われたとき、初めて、憲法で定められた迅速な裁判を受ける権利が実質的に保障されるものであると言うことができます。国民に資する裁判の迅速化とは何かが十分に問われるべきであります。
 ところで、本法律案において、「裁判の迅速化は、第一審の訴訟手続については二年以内のできるだけ短い期間内にこれを終局させ、その他の裁判所における手続についてもそれぞれの手続に応じてできるだけ短い期間内にこれを終局させることを目標」としています。
 最近終結いたしましたリクルート事件の裁判についても、余りにも長い裁判ではなかったか、こういった批判めいた声も聞こえてきます。そして、確かに、日本の裁判は大変長いものであるという印象を国民の一般の方々がお持ちになっているのも事実だと思われます。ところが、実際、近年は、裁判にかかる平均的な期間は短くなってきております。
 例えば、平成十三年度の統計によりますと、民事訴訟事件のうち、地方裁判所第一審通常訴訟の全既決事件は十五万七千四百五十一件です。そのうち、審理期間が二年を超えた事件は一万一千三百八十三件、全体の七・二%であります。また、刑事訴訟事件においては、全既決人員は七万一千三百七十九人ですが、審理期間が二年を超えたのは二百六十四人、わずか〇・四%にすぎません。つまり、日本の裁判は長いという印象は、極めてまれなケースについて、鮮烈なイメージとして植えつけられているものであるということが言えると思います。
 もとより、裁判を迅速に行ってはならないということを申し上げているわけではありませんけれども、なぜこのような法案を提出されたのか、統計的な数字からはその立法事実さえ疑わしく感じられます。したがって、いかなる背景で本法律案の提出に至ったのかについて十分な説明が必要であると考えます。森山大臣に答弁を求めたいと思います。(拍手)
 一方、薬害、公害、環境や行政訴訟など、当事者が多数存在する訴訟や専門的知見を必要とする事件などは、二年を超えるケースが間々あるのは事実であります。裁判が長引くことで当事者の権利救済がおくれることは、望ましくありません。
 しかし、他方、民事裁判において、当事者本人の証人調べもせずに終わった事件が増加したり、検証や鑑定が以前に比べて大幅に減っているなど、証拠調べをせずに審理期間が短縮されているという現実が問題視されているのもまた事実であります。
 そもそも、裁判に対して、二年以内という数値目標を掲げることが本来妥当なのでしょうか。充実した裁判が制度的、体制的に担保されたときに裁判の迅速化が実現するのであって、初めに二年という数字を目標に挙げるのは本末転倒ではないかと思います。
 もし、「裁判の迅速化」という言葉に裁判の充実も含まれているということであれば、法案の名称も、正面から、「裁判の充実・迅速化法案」とすべきであると考えます。森山大臣に答弁を求めます。(拍手)
 本法案では、当事者にも二年以内に裁判を終結させる義務を負わせています。憲法第三十七条では、刑事被告人に、「公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利」を保障しています。この「迅速な裁判」と言ったときの迅速性は、期間の問題としては一義的に決することはできないし、被告人への十分な防御の機会の提供を含む公平性、適正性の方が優先するというのが学説の上では通説であります。
 当事者に二年以内に裁判を終局させる責務を課すことは、憲法上問題はないのでしょうか。この点、どのように考えられるのかについて、法務大臣に答弁を求めます。
 裁判の充実・迅速化のためには、刑事訴訟法の改正こそ取り組まなければならない課題ではないでしょうか。
 刑事訴訟において、確かに審理に時間がかかるケースはありますけれども、そうしたケースの多くは、それなりに理由がある場合がほとんどであります。その原因の一つは、現在の刑事訴訟法において証拠開示が限定的にしか認められていないことが挙げられます。このことから、いかなる証拠を検察側が持っているのか、あるいはどのような立証がなされるのか、弁護側においてはわかりませんから、したがって、見込みで無罪の立証活動を強いられているというのが現実であります。
 裁判の迅速化を促すのであれば、証拠開示のルールについての見直しが必要になると思われますけれども、この点、いかがでしょうか。答弁を求めたいと思います。
 また、公判手続においても、現在の刑事訴訟のシステムでは、犯罪事実を立証する手続と情状について立証する手続が分かれておりません。したがって、被告人は、公訴事実について、例えば無罪であるということを争いながら、犯罪が成立していることを前提とした情状の立証をするケースがあるわけです。
 迅速かつ充実した審理のためには手続も二分すべき方向で検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 裁判の充実を図り、迅速化を実現するには、裁判所、検察庁といった物的施設の拡充、あるいは、裁判官、検察官など人的条件整備が不可欠であります。訴訟事件は急増しているにもかかわらず、裁判官の人数や書記官などの裁判所職員や裁判所といった施設も、十年前と基本的には大きくは変わっておりません。その上、二年以内という条件がつくとすると、裁判の質が落ちる危険性が十分にあると言えると思います。
 裁判を充実させ迅速化するために、物的・人的環境をどのように整備するのか、また、具体的にどのようなプランがあるのか、そして、財源は確保されているのか、この点につきまして、森山大臣、そして財務大臣に質問いたします。
 最後に、名古屋刑務所での一連の受刑者死傷事件によって、矯正行政は国民の信頼を失っております。
 五月事件、九月事件、そして、ついに十二月のホース事件で、それぞれ大臣給与三カ月分の返上で森山法務大臣は責任をとられたとされております。この責任のとり方について、過去の例を参考にされたということであります。その旨、コメントされていますが、一体、過去のどのような例を参考にされたのでしょうか。
 今まで役所の不祥事は何件かございましたけれども、過失犯のようなケースはあったかもしれませんが、今回の行為というのは、いわば公権力が、公権力の力をかりて、人をあやめたり傷つけたりというケースであります。戦後、こうした役所の不祥事はなかったものと承知いたしておりますので、私は過去に参考になるようなケースはなかったと考えますが、この点について答弁を求めます。
 昨年八月、日本ハムグループの牛肉偽装事件が起きたことは、記憶に古くはございません。当初、日本ハムは、役員報酬のカットなどの処分にとどめようといたしましたけれども、当時の農林水産大臣は、日本ハムの社内処分に対して、国民にわかりにくいと批判をして、代表取締役の辞任に追い込みました。法務大臣も、当時、その内閣のメンバーの一員だったはずであります。
 この件を振り返ってみてもなお、今回の給与三カ月分の返納というのは、一般の国民の感覚からも理解を得られる身の処し方ではないと考えますが、大臣は一般の国民の感覚からも理解を得られる身の処し方であると考えておられるのか、その点の認識を伺って、質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣森山眞弓君登壇〕
国務大臣(森山眞弓君) 山花議員にお答えいたします。
 まず、アメリカのイラク攻撃についてお尋ねがございました。
 閣議等において、総理から全閣僚に対し、イラク攻撃について、支持、不支持の意見を聞かれたということはございませんでした。
 閣僚一人一人の意見を聞かれたことがあるかについては、他の閣僚の方については承知しておりませんが、私に対してはございませんでした。
 次に、本法案の国会対応等についてお尋ねがございました。
 本法案については、閣議決定の際、内閣総理大臣から、司法制度改革の実現に向け司法制度改革推進本部が取りまとめたものであり、その国会対応については副本部長である法務大臣においてお願いする旨の御指示がございました。
 したがいまして、本法案の審議に当たっては、私が、副本部長である法務大臣として、本部長である内閣総理大臣にかわり、責任を持って、答弁に当たるなどの国会対応を行うものであります。
 次に、本法案の提出の背景についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、我が国の裁判は、全体としては相当の迅速化が図られてきているところでございます。しかしながら、複雑・専門的な事件や国民が注目する重大事件等におきまして、依然として長期間を要するものが少なくない状況にございます。
 そこで、このような事件も含め、第一審の訴訟事件を二年以内のできるだけ短い期間内に終局させること等ができるようにすることによって司法制度を国民の期待にこたえるものとするため、本法案を提出したものでございます。
 次に、裁判の充実と迅速化の関係についてお尋ねがございました。
 本法案は、二年という審理期間の目標を掲げた上で、運用面において、充実した手続の実施によりできる限りこの目標の実現を目指しつつ、目標の実現に必要な制度、体制の整備を図るという総合的な方策を実施することにより、裁判の迅速化を実現しようとするものでございます。
 他方、本法案は、第一審の訴訟手続を初めとする裁判所における手続全体の一層の迅速化を図ることを目的とするものでございますので、その名称においても、この点を端的に表現するため、「裁判の迅速化に関する法律案」とするのが相当であると考えております。
 次に、当事者の責務についてお尋ねがございました。
 裁判の迅速化を図るに当たっては、制度面、体制面の整備だけでなく、個別事件における関係者の努力もなければ、その目標を達成することは困難でございます。
 そこで、本法案においては、当事者等は、可能な限り裁判の迅速化に係る目標が実現できるよう、手続上の権利は誠実にこれを行使しなければならない旨を規定したものでございます。これと同趣旨の規定は現行の刑事訴訟規則第一条第二項などにも置かれているところでありまして、このような内容の責務を当事者に課すことは、憲法上問題ないと考えております。
 さらに、裁判の迅速化に当たり、当事者の正当な権利利益を害することがあってはならないことは当然のことでありますので、本法案では、その旨も明示しているところでございます。
 次に、刑事裁判の迅速化のため証拠開示のルールを見直すべきではないかというお尋ねがございました。
 司法制度改革審議会意見においては、刑事裁判の充実・迅速化を実現するための方策の一つとして、充実した争点整理を行うための証拠開示の拡充、ルールの明確化が提言されております。
 そこで、司法制度改革推進本部においては、現在、そうした意見を踏まえつつ、検討会を開催するなどいたしまして、そのルールの具体的あり方を検討しているところでございます。
 次に、公訴事実を立証する手続と情状を立証する手続との二分についてお尋ねがございました。
 犯行の動機、態様、結果など、公訴事実が証明される過程において立証される事実は、同時に、刑を量定する際の基礎となる基本的事情に当たるものでもございまして、御指摘のような制度の採否については慎重な検討が必要であるものと考えております。
 次に、裁判の充実・迅速化のための物的・人的環境の整備についてお尋ねがございました。
 裁判の充実・迅速化を図るため、現在、司法制度改革推進計画に従いまして、法曹人口の大幅な増加、裁判所、検察庁の人的体制の充実等の必要な体制の整備を進めているところでございます。
 さらに、本法案が成立いたしました場合には、財政当局とも御相談しつつ、本法案の趣旨や最高裁判所による検証の結果も踏まえて、さらに物的体制を含め必要な体制の整備を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、名古屋刑務所事件に関する私の責任についてお尋ねがございました。
 名古屋刑務所の一連の事案は、まことに遺憾でございまして、死傷された方々を初めとして関係者及び国民の皆様に、重ねて深くおわび申し上げます。
 一連の事件について、本年二月二十八日及び三月二十四日、監督的な立場にあった者らの処分を行ったところでございますが、私自身、法務行政の最高責任者としての責任を痛感いたしまして、御指摘のとおりの閣僚給与の自主返納をすることといたしました。この自主返納の額は、これまでの他の省庁の大臣のやり方なども参考にして決めたものでございます。
 私も、もちろん、これで片づいたということではなく、法務行政の最高責任者として、今回のような事態が決して二度と起きないようにすることが大変重要であると考えまして、私自身が先頭に立ち、強い決意を持って、国民の信頼回復に向けて全力を尽くす所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
国務大臣(塩川正十郎君) 私に対するお尋ねは、裁判を充実させ迅速化するための物的・人的環境の整備についてでございます。
 政府といたしましても、訴訟手続の整備とともに、法曹人口の増加、裁判所及び検察庁の施設整備、人的体制の充実を図るなど、必要な物的・人的環境の整備のために財政上の措置を講じてまいりたいと存じますが、今後も一層努力していく覚悟であります。(拍手)
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議長(綿貫民輔君) 中村哲治君。
    〔中村哲治君登壇〕
中村哲治君 民主党・無所属クラブの中村哲治です。
 ただいま議題となりました民事訴訟法等の一部を改正する法律案及び人事訴訟法案について質問をいたします。(拍手)
 質問に入ります前に、名古屋刑務所における一連の事件について触れなければなりません。
 名古屋刑務所での一連の受刑者死亡事件によって、矯正行政は国民の信頼を失い、そのあり方が根本的に問われています。事件発覚後の法務省の対応は隠ぺい体質そのものであり、矯正局長は、事件を知りながら、大臣には報告する必要なしとみずから判断し、報告を上げなかったという経緯があります。
 また、森山法務大臣は、すべての情願について、みずからお読みになって判断なさるとの方針を打ち出されました。しかし、法務省の事務官によって構成されている行刑運営に関する調査検討委員会では、この大臣の意向について、「当委員会においても了承」と報告を出しています。この表現こそ、法務大臣と役所の関係を端的にあらわしています。
 なぜ、法務省の事務官が大臣の方針を了承とするのか。余りにも役所主導であり、森山法務大臣は政治的責任をまるで果たしていないと言えます。森山大臣は法務大臣として一体何をしてきたのか、改めて法務大臣の責任を伺います。(拍手)
 それでは、両法案の質問に入ります。
 まず最初に、民事訴訟法等の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。
 社会の高度化、複雑化に伴い、民事訴訟においても、審判の対象が複雑化、専門化しています。特に知的財産権、医療、建築などのいわゆる専門訴訟の件数が増加し、審理が長期化しています。これらの事情を踏まえ、国民の社会生活に資するよう、より利用しやすい民事裁判を実現することを目指す本法案の改正の趣旨については、基本的に賛成いたします。
 ただ、その内容については、幾つか懸念すべき点もあります。以下、三点の質問をいたします。
 まず、本法案では、裁判所が当事者との協議の上、一定の要件に当てはまるものについては審理の計画を定める計画審理が明記されています。
 この計画審理の対象となるのは、具体的にはどのような訴訟を想定されているのでしょうか。また、計画審理のためには、立証活動を充実させることが必要です。証拠開示のあり方の見直しが必要ではないでしょうか。大臣の見解を伺います。
 次に、本法案では、専門的知見を要する訴訟が増加していることから、裁判所が専門家の説明を聞くことができる専門委員制度を設けております。
 私は、裁判官の知識補充の観点から、本制度の創設は有意義なものと考えますが、もともと民事訴訟とは、対立当事者間において主張・立証を尽くす中から真実を究明して法律関係を確定するものであることを考えると、この制度の導入には一定の制限が必要ではないかとも考えられます。
 例えば、裁判官が専門的知見に乏しい場合、専門委員の意見が裁判官の判断に大きな影響を及ぼす可能性が考えられます。実質的に専門委員によって裁判が行われることがあってはなりません。その観点から、専門委員の関与は限定する必要があります。
 具体的に、裁判所はどのような場面で専門委員の関与を求め、専門的知見を導入するのか、また、専門委員の関与に当たり当事者の意向などをどの程度反映させるつもりなのか、大臣の見解を求めます。
 また、中立性、公平性に欠ける専門委員であれば、かえって訴訟そのものの信頼を失うおそれがあります。そのため、専門委員の中立性、公平性の確保と、専門委員が関与する際の手続の透明性の確保が求められると考えますが、この点はどのように保障なさるお考えなのでしょうか。具体的な答弁をお願いいたします。
 第三に、本法案においては、特許権等を扱う訴訟の専門的な処理体制を整備する観点から、当該訴訟を東京及び大阪地方裁判所のみに専属化することとしております。
 我々も、現在の専門部を充実させ、実質的な特許裁判所の機能を持たせること等を提言しているところです。しかし、専属化によって東京と大阪でしか特許権等を扱う訴訟を起こせないとなると、地方切り捨てになってしまうことを懸念します。
 地域における技術開発の振興を通じて新産業の創出を図ることは、大変重要です。しかし、そこから生まれる知的財産の保護に対しても地域で対応できるようにしておかなければ、地域の振興を阻害しかねません。専属化の弊害をいかに取り除いていくのか、大臣の見解を伺います。
 次に、人事訴訟法案についてお尋ねいたします。
 本法案においては、人事訴訟の管轄を地方裁判所から家庭裁判所へ移管することが大きな柱となっております。
 これまでは、一つの家庭事件が家庭裁判所と地方裁判所に手続的に分断されておりましたので、利用者から見た場合、大変不便であることが指摘されておりました。本法案では、家庭事件については一貫して家庭裁判所で扱うことにより利用者の利便性を高めようとするものであり、その趣旨は理解いたします。
 しかしながら、本法案の趣旨が十分に生かされるためには、移管後、家庭裁判所で行われる人事訴訟の審理の質が確保される必要があります。少なくとも、現在、地方裁判所で行われている人事訴訟手続を後退するものであってはならず、その点を確認する必要があります。
 以下、本法案についても、三つの質問をいたします。
 これまで、専ら審判・調停を扱ってきた家庭裁判所が訴訟を扱うこととなるわけですから、家庭裁判所に対する人的・物的な手当てを十分行わなければ、国民に対し必要な司法サービスは提供できないはずです。今後、どのような手当てをしていくのか、大臣の見解を伺います。
 次に、本法案では、一定の条件のもとで当事者の尋問等の公開を停止することを可能としています。
 確かに、プライバシーの確保等は十分に考慮すべき問題ではありますが、裁判の公開は裁判の公正を確保するために必要とされるもので、近代的裁判制度の基本原則の一つであることを考えると、この公開停止という措置は極めて限定的になされるべきということになります。また、この公開停止が本法案に盛り込まれたことをきっかけに、将来、ほかの訴訟にも同趣旨の規定が広がることも懸念されます。
 憲法にも定められている裁判の公開原則について大臣の見解を確認するとともに、他の訴訟に広げるつもりはないことを確認いたします。大臣の明快な答弁をお願いいたします。
 第三に、本法案では、審理の充実のために、裁判所調査官による事実の調査権が与えられています。また、裁判所は、それらの調査内容について、子供の福祉への考慮等、一定の条件のもとに当事者への閲覧を制限することができることとなっております。
 しかし、人事訴訟もまた、民事訴訟と同様、当事者対立構造により審理されることが基本であります。そのため、当事者が知り得ない資料に基づいて審理されてしまうことは、極力回避されなければなりません。その意味で、この閲覧の制限は極力限定すべきこととなります。これについての大臣の見解を伺うとともに、閲覧を制限する場合としてどういうものを想定しているのか、伺います。具体的にお答えください。
 民事訴訟及び人事訴訟は、国民が当事者として関与する可能性が最も高い訴訟であります。議員各位におかれましても、本法案の重要性をどうか御認識いただき、慎重かつ活発な御審議をお願いしつつ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣森山眞弓君登壇〕
国務大臣(森山眞弓君) 中村議員にお答え申し上げます。
 行刑運営の改革に関する私と事務方との関係についてお尋ねがございました。
 まず、御指摘の矯正局長の報告につきましては、それが不確定なものとはいえ、重要な情報であったのですから、即座に私に報告すべきであったものと思います。
 また、御指摘の調査検討委員会の議事概要の表現ぶりにつきましては、「了承する」という表現ぶりは適切でなかったと思いますが、要するに、私が同委員会に対し、すべての情願について私が目を通すという方針を示しまして、同委員会において、大臣に重い負担をかけることになりますがよろしくお願いしますという趣旨で、このような経緯を表現したものと考えております。
 いずれにいたしましても、私の行刑運営の改革に対する考え方については、事務次官以下の事務方も十分に理解しているところでございまして、これまで、私の指示に基づき、半年以内に革手錠を廃止するなどの数々の再発防止策をとることといたしましたほか、国民的視点に立って行刑改革について議論、提言を行うために行刑改革会議を発足させ、昨日、その第一回会議を開催したところでございます。
 今後とも、私が先頭に立って行刑改革に取り組んでいくことによりまして、法務大臣としての責任を果たしていきたいと考えております。
 次に、民事訴訟法等の一部を改正する法律案に関し、計画審理の対象となる事件についてのお尋ねがございました。
 この法律案におきましては、争点が多岐にわたる複雑な事件などにつきまして、その適正かつ迅速な審理を実現するために、審理の計画を策定しなければならないこととしております。
 具体的には、例えば、大規模な公害事件とか専門的な事項が争点となる医療過誤事件、建築関係事件などが計画審理の対象として想定されるのではないかと思います。
 次に、証拠開示の手続についてのお尋ねがございました。
 御指摘のように、計画審理を実現するためには、当事者が訴えの提起前において必要な証拠や情報の収集を適切に行うことができるようにすることが重要であると考えられます。
 そこで、この法律案におきましては、訴えの提起前における証拠収集等の手続を拡充いたしまして、相手方に対して主張・立証の準備に必要な事項を照会することができる手続や、文書の所持者に対して文書の送付を嘱託することができる手続などを設けることとしております。
 さらに、証拠開示手続、例えばアメリカのディスカバリー制度のような制度の導入につきましては、その手続に多大な費用や時間がかかることなどの弊害も指摘されておりまして、慎重な検討が必要であると考えております。
 次に、専門委員の関与が認められる場面、専門委員の関与に当たっての当事者の意向の反映についてのお尋ねがございました。
 まず、専門委員は、専門的な知見が問題となる事件において、例えば、争点整理の段階で裁判官が当事者の主張を的確に理解するために必要な場面や、証拠調べの段階で証言の趣旨を明らかにする必要がある場面等に関与することが想定されております。
 また、専門委員制度は専門委員により裁判所の知見を補充するための制度でございますが、裁判所がこの制度を利用する必要があるか否かについて適正に判断するためには、当事者の意向も十分に配慮する必要があると考えられます。
 そこで、本法律案におきましては、裁判所が専門委員に関与を求めるか否かの決定をするに当たっては当事者の意見を聞かなければならないものとするなどの手当てをしております。
 次に、専門委員の公平性及び中立性並びにその関与の透明性の確保についてお尋ねがございました。
 専門委員は裁判官の知見を補充する者でありますので、御指摘のように、その公平性及び中立性並びにその関与の透明性を確保することは不可欠でございます。
 そこで、本法律案におきましては、まず、公正な職務執行を妨げるような一定の事由が存するときにその専門委員を職務から排除する、除斥及び忌避の制度を設けております。また、裁判所は、当事者双方の申し立てがあるときは、専門委員を手続に関与させる決定を取り消さなければならないこととしております。さらに、裁判所は、専門委員の指定に当たっては、必ず当事者の意見を聞かなければならないこととしております。
 専門委員の関与については、透明性を確保するため、専門委員の説明は当事者双方が立ち会う期日においてすることとするなど、常に当事者に対して開示されなければならないものとし、これに対する反論の機会を保障することとしております。
 以上のように、専門委員の公平性及び中立性並びにその関与の透明性を確保するために必要な手当てが講じられているものと考えております。
 次に、特許権等に関する訴えの専属管轄化による弊害をどのようにして取り除くのかというお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、地域における技術開発の振興は大変重要なことと考えておりますが、特許権等に関する訴えを東京地方裁判所及び大阪地方裁判所に専属管轄化することは、地方で生じた特許権等に関する紛争が充実・迅速化した審理によって解決されることにつながるものと考えております。
 また、この専属管轄化により、地方に在住する方に過大な手続的負担を課すことは相当ではないと考えられます。
 そこで、この法律案におきましては、専属管轄化させる一方で、特許権等に関する訴訟であっても、著しい損害または遅滞を避ける必要がある場合には当事者が居住する地方裁判所等に移送することができる制度を設けることとしております。
 さらに、現行法におきましても、電話会議システムを利用して争点整理手続の期日を実施したり、テレビ会議システムを利用して証拠調べの期日を実施したりするなど、当事者等の関係者が法廷に出頭することなく審理を行うことができることとされております。
 したがって、特許権等に関する訴えを専属管轄化することといたしましても、地方に在住する方の利益を不当に害することはなく、弊害が生ずることはないものと考えております。
 次に、人事訴訟法案に関し、人事訴訟の家庭裁判所への移管に伴う家庭裁判所の人的・物的体制の手当てについてお尋ねがございました。
 人事訴訟の移管後の家庭裁判所の人的体制につきましては、これに対応した裁判官及び裁判所書記官の配置や家庭裁判所調査官の増員など、最高裁判所において、その整備について適切に対処されるものと承知しております。
 また、物的体制につきましても、最高裁判所において、既存の物的設備等を有効に活用するとともに、必要となる設備等の増設を図るなどして、人事訴訟制度の円滑な運用に必要な手当てを講じられるものと承知しております。
 次に、人事訴訟における当事者尋問等の公開停止についてお尋ねがございました。
 御指摘のように、憲法第八十二条が定める裁判公開の原則は、適正、公正な裁判を実現するための極めて重要な原則であると認識しております。
 もっとも、憲法第八十二条第二項は、「公の秩序又は善良の風俗を害する虞がある」場合には、非公開の審理を認めております。
 したがって、人事訴訟において裁判の公開を困難とする真にやむを得ない事情があり、かつ、裁判を公開することによって、かえって適正な裁判が行われなくなり、誤った身分関係の形成または存否の確認が行われるおそれがあるという例外的な場合には、「公の秩序を害する虞がある」ものとして憲法上も公開停止が許容されるものと考えております。
 次に、人事訴訟法案の定める公開停止の制度と他の訴訟との関係についてお尋ねがございました。
 裁判の公開停止の可否は、訴訟の類型を問わず、憲法第八十二条第二項の規定により判断されるべきものですが、人事訴訟においては、公開をすることにより、かえって人事訴訟における適正な裁判が行われなくなり、現に誤った身分関係の形成または存否の確認が行われるおそれがあるという、人事訴訟に特有の場面があることから、本法律案第二十二条第一項は、この場面に限って憲法の認める範囲内で公開停止を規定するものでございます。
 他の類型の訴訟について、憲法の認める範囲内で公開停止に関する規定を設けることの可否等は、各訴訟類型の特質等に照らして、別途、個別具体的に検討されるべきものでございまして、現時点において一般論として申し上げることはできないものと考えております。
 次に、家庭裁判所調査官による事実調査の内容の閲覧についてお尋ねがございました。
 事実調査部分の閲覧等の制限については、御指摘のとおり、当事者の手続保障や事実認定の適正を確保する観点から、極力限定すべきものと考えております。
 そこで、人事訴訟法案においては、当事者から事実調査部分の閲覧等の申し立てがあった場合には、子の利益を害する場合などの例外的な場合を除き、裁判所はこれを許可しなければならないものとしております。
 最後に、家庭裁判所調査官による事実調査の内容の閲覧等を制限すべき場合についてお尋ねがございました。
 人事訴訟法案において、事実調査部分の閲覧等を不許可とすることができる例外的な場合としては、例えば、親権者の指定に関しまして、家庭裁判所調査官が子供自身の意向を聞いた部分のように、当事者である父母が閲覧することにより子供の心理に悪影響を及ぼすおそれがある場合などを想定しているわけでございます。
 以上でございます。(拍手)
議長(綿貫民輔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時七分散会


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