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第28号 平成15年5月9日(金曜日)

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平成十五年五月九日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十九号
  平成十五年五月九日
    午後一時開議
 第一 電波法の一部を改正する法律案(武正公一君外三名提出)
 第二 通信・放送委員会設置法案(武正公一君外三名提出)
 第三 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日程第一 電波法の一部を改正する法律案(武正公一君外三名提出)
 日程第二 通信・放送委員会設置法案(武正公一君外三名提出)
 日程第三 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 成田国際空港株式会社法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 電波法の一部を改正する法律案(武正公一君外三名提出)
 日程第二 通信・放送委員会設置法案(武正公一君外三名提出)
 日程第三 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第一、武正公一君外三名提出、電波法の一部を改正する法律案、日程第二、武正公一君外三名提出、通信・放送委員会設置法案、日程第三、内閣提出、電波法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長遠藤武彦君。
    ―――――――――――――
 電波法の一部を改正する法律案(武正公一君外三名提出)及び同報告書
 通信・放送委員会設置法案及び同報告書
 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔遠藤武彦君登壇〕
遠藤武彦君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、民主党・無所属クラブ提案に係る武正公一君外三名提出の二法律案について申し上げます。
 電波法の一部を改正する法律案は、無線局の免許手続としてオークション制を導入するとともに、現行の電波利用料制度を見直すほか、無線設備の技術基準適合性を製造事業者等がみずから確認する制度を新設する等の措置を講じようとするものであります。
 また、通信・放送委員会設置法案は、通信及び放送の分野における規律に関する事務を公正かつ中立に行わせるため、内閣府の外局として、通信・放送委員会を設置しようとするものであります。
 次に、内閣提出の電波法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、放送事業者の電波利用料額の改定を行うとともに、無線設備の技術基準への適合性に係る自己確認制度を新設するほか、総務大臣等が行う技術基準適合証明制度等について、総務大臣の登録を受けた者が行う等の措置を講じようとするものであります。
 以上の三法律案は、去る四月三十日に本委員会に付託され、五月六日片山総務大臣及び提出者武正公一君からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、昨八日一括して質疑を行い、これを終局いたしました。
 次いで、武正公一君外三名提出の通信・放送委員会設置法案について内閣の意見を聴取した後、討論を行い、採決に入りました。まず、武正公一君外三名提出の二法律案について順次採決いたしましたところ、両案はいずれも賛成少数をもって否決すべきものと決しました。次いで、内閣提出の法律案について採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一、武正公一君外三名提出、電波法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
 次に、日程第二、武正公一君外三名提出、通信・放送委員会設置法案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
 次に、日程第三、内閣提出、電波法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 成田国際空港株式会社法案(内閣提出)の趣旨説明
議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、成田国際空港株式会社法案について、趣旨の説明を求めます。国土交通大臣扇千景君。
    〔国務大臣扇千景君登壇〕
国務大臣(扇千景君) 成田国際空港株式会社法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 新東京国際空港公団については、特殊法人等改革基本法に基づき平成十三年十二月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画において、民営化に向け平成十四年中に政府において結論を得ることとされており、これを踏まえて検討を進めてきた結果、昨年十二月に閣議決定された「道路関係四公団、国際拠点空港及び政策金融機関の改革について」において、平成十六年度に全額国出資の特殊会社にすることとされました。このため、新たに設立する特殊会社の設置根拠法を制定する必要があります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、新東京国際空港公団を解散するとともに、その業務を引き継ぐ特殊会社として成田国際空港株式会社を設立することとしております。
 第二に、会社の目的は、成田国際空港の設置及び管理を効率的に行うこと等により、航空輸送の利用者の利便の向上を図り、もって航空の総合的な発達に資するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化に寄与することとし、そのために行う事業の範囲等を定めることとしております。
 第三に、会社に対する国の助成及び監督に関する事項を定めることとしております。
 第四に、公団から会社への事業の承継に伴う権利義務の承継について定めております。
 その他、所要の経過措置等に関する事項を定めております。
 なお、公団から会社への移行の期日は、平成十六年四月一日と定めることとしております。
 以上が、成田国際空港株式会社法案の趣旨でございます。ありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
 成田国際空港株式会社法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。大谷信盛君。
    〔大谷信盛君登壇〕
大谷信盛君 民主党の大谷信盛、四十歳でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、国民の皆様の快適な空の旅を守るために、成田国際空港株式会社法案について御質問させていただきます。(拍手)
 今、我が国が抱えている空港・航空行政の問題点は、大規模国際拠点空港の整備が完成していない、にもかかわらず、空港も空港整備特別会計も長期債務の返済に苦しんでいる、したがって、空港使用料は世界一高く、国際競争力は低く、利用者の便益も小さいままにあるということです。
 この原因は、環境変化に合わせて空港政策の重点を戦略的に転換できてこなかったことにあると考えます。
 当初は、空港ネットワークを構築するために空港施設の量的供給が政策の最優先課題でした。財源として、受益者負担の理念のもと、一九七〇年、空港整備特別会計が創設されました。
 しかし、一九九〇年ごろまでにはネットワーク化がほぼ充実し、政策の優先順位を空港の効率的運営による空港サービスの向上に移すべきであったにもかかわらず、地方空港の新設、既存空港の拡張等の土木工事など、そのための財源確保も含めて、いまだに政策の主流となってしまっています。
 空港の本来の役割は、利用者である航空会社、旅客、荷主に便利で質の高い空港サービスをなるべく安く提供すること、利用者と荷物のできる限り快適、スムーズな輸送を行うことにあります。
 日本の空港運営で最も欠けている視点は、この安さの達成です。これは、空港とは設置、管理、維持するものという概念にとらわれ過ぎており、運営、経営という意識が希薄だからではないかと考えています。
 扇大臣は、経済のグローバル化や国内空港整備の一段落など、今の時代の変化に応じて、空港建設重視の政策制度から空港運営の効率化を主流とした政策への転換がなければ、人、お金、物、そして情報を日本に呼び込めなくなってしまうという危機意識をしっかりとお持ちいただいているのでしょうか。空港整備を取り巻く環境変化の現状認識と政策調整の必要性、そして空港政策の方向性について、お聞かせください。
 空港民営化とは、空港運営主体に経営の自由を与えて運営の効率化を図り、利用者の便益増大を図りつつ国際競争力を高めていこうという手法であります。すなわち、空港内での小売業、テナント料などによる商業収入をふやしてコスト削減を図り、その上で着陸料などの空港使用料を安くしていこうという試みです。空港の会計は、下物の基本施設整備と上物のターミナルビル経営を合体した独立採算制となります。
 当初、国土交通省は、三国際空港の下物は一体で公的法人による整備、上物は単独で民営化するという上下分離の民営化策を提案していました。
 この手法は、三空港の滑走路などの基本施設整備に内部補助システムを適用する考え方であり、今回の成田空港単独民営化案とは全く正反対の性格のものになる。これは、我が国の空港整備政策が、これまでの空港整備特別会計や上下分離案に代表される内部補助システムから独立採算制へと大きく転換したと考えてよろしいのでしょうか。
 民営化の先駆けであり、空港運営業をグローバルビジネスにまで発展させている英国空港会社の目安によりますと、小売業を振興させれば、年間利用客が二百万人以上の空港ではそれなりの収益性があると言われています。日本の一種、二種空港二十六カ所の半数以上の空港に収益性があるということになります。
 また、プール制の空整特会は各空港の収支を不透明なものにしていますが、二〇〇二年一月十二日付の新聞報道によりますと、政府の行政改革推進事務局が、国の管理する各空港の収支を昭和五十五年から平成十二年の期間で試算した結果、伊丹、新千歳、名古屋、福岡、那覇、長崎などの十空港は黒字だったと試算しております。これら黒字空港民営化の可能性も探るとのことであります。
 一九八七年にイギリスから始まった空港民営化は、世界じゅうで百以上の民営化プロジェクトが進行しており、二十一世紀の空港政策の主流になると考えられます。今回の法律は、独立採算制でおのおのの空港が自力で魅力を高められる空港民営化策拡大の一里塚にしていくべきだと考えますが、扇大臣はいかがお考えいたしますか。
 また、成田、中部、関西空港という国際拠点空港以外に、将来的にはどの空港までを民営化の対象として考えておられるのでしょうか。お教えください。
 今後、拠点空港の整備は、限られた財源を戦略的に投資しつつ達成していかざるを得ません。戦略性を高めるために、不透明な空港整備特別会計の情報公開を図り、企業的会計に基づいた各空港の収支を公表する必要があると思いますが、扇大臣はどのように考えますか。
 これから、国の管理する空港において民営化が進んでいくならば、空港整備特別会計の財源が小さくなっていきます。また、路線、便数の増加で利便性の向上と既存地方空港の有効活用、そして日本の国際競争力強化のためにも、羽田空港再拡張の一日も早い完成が求められています。
 しかしながら、空港整備の資本投下は戦略的であるとは言えない状況です。二〇〇三年度予算では、純粋一般財源の空港整備特別会計への投入額は六百七十二億円であり、公共事業全体における空港整備の比率はわずか〇・八三%でしかありません。港湾整備の約六分の一です。航空機燃料税を加えますと千五百三十六億円になりますが、それでも公共事業全体の一・九一%でしかなく、この額で空港整備特別会計の約三分の一を賄っているような状況です。
 前年度に比べますと、扇大臣のリーダーシップにより約一割の増加となっており、これからも大臣の努力に期待したいと思いますが、もう空港整備特会だけでは限界だと思っております。
 一般財源からの戦略的な投資が必要だと思います。そのためにも、民主党が今国会に提出した公共事業基本法が提案しているような、特別会計制度を一たん廃止して、公共事業を戦略的に整備していく新しい財政システムが必要なんだというふうに言えると思います。
 今後、空港民営化が広がっていくことを見越して、また、求められている首都圏空港の整備を早期に確実に達成するためにも、これまでの空港整備特別会計にのみ財源を求めるシステムから、一般財源から戦略的に財源を支出できる新たな財政システムを工夫すべきだと考えますが、扇大臣のお考えはいかがでしょうか。
 以下、成田空港民営化の諸課題についてお伺いいたします。
 成田空港の株式公開は、いつ、どんな判断基準に基づいて行われていくのでしょうか。二千五百メートルの平行滑走路の完成後なるべく早い時期にとか、二〇〇七年をめどにしているというふうに言われていますが、あらかじめ完全民営化の目標年度を設定しておくべきではないかと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
 本案によりますと、政府の成田空港公団への出資金約三千億円のうち、公団の解散後に幾らかを政府へ返却することになっておりますが、どのような算定根拠に基づいてその額が決められていくのでしょうか。また、その返却されたお金は「一般会計又は空港整備特別会計に帰属する」とありますが、どのような使途に活用されていくのでしょうか。受益と負担の理念からするならば、空港アクセス整備など成田空港や首都圏空港等の利便性向上に活用されるべきであると考えますが、扇大臣のお考えはいかがですか。
 空港が完全民営化されると、もしくは株式上場を有利にするために、独占的な役割を背景にして着陸料やテナント料を不当に値上げするという懸念があります。実際、シドニー空港が一九九九年十二月に、民営化のために着陸料を急に二倍に値上げしたという前例がございます。また、成田空港は、米国同時多発テロの一カ月後、航空会社が需要低迷に苦しんでいる真っ最中に、国際航空運送協会に対して着陸料の値上げを打診いたしました。
 イギリスのように着陸料の上限を定めるルールや、ニュージーランドのように空港と航空会社との交渉の正当性をチェックするなど、新たな仕組みをあらかじめ準備しておくべきだと考えますが、扇大臣はどのようにお考えでしょうか。また、民営化を成功に導くためにも、着陸料の値下げの目標年度をあらかじめ法案の中に設定するなどしておいた方が効果的ではないかと思うのですが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
 空港民営化を行政改革の一つの手法にとどめてしまうのはいけないと思います。この政策は空港の総合力を高めるための政策でなければならないと思っています。今法案の審議を好機に、空港政策に市場原理が取り入れられ、我が国の空港サービスのさらなる向上と国際競争力がより一層強化されることを祈念し、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣扇千景君登壇〕
国務大臣(扇千景君) 大谷議員にお答え申し上げます。
 空港の現状認識と今後の空港政策についての御質問をいただきました。全部で七つの御質問がございますけれども、まず、そのことからお答え申し上げていきたいと思います。
 我が国の空港整備に関しましては、従来より航空需要の増大に対応して整備を進めてきた結果、供用空港数は全国で九十四を数え、空港の配置的な側面からいえば、整備は全国的に見て概成したものと考えております。
 しかしながら、近年、アジアにおける大規模空港の整備が進む中、我が国では大都市圏を中心に空港容量が不足している状況であるのは、大谷議員も御存じのとおりでございます。
 我が国がその国際競争力を強化し、二十一世紀の国際経済社会においてさらなる発展を遂げていくためには、大都市圏拠点空港の整備が最重要課題でございますし、今、大谷議員がおっしゃいましたように、成田空港、羽田空港、関西国際空港、中部国際空港といった大都市圏拠点空港の整備を早期かつ着実に進めていく必要があると思っております。
 したがって、今後の空港整備は、これらの大都市圏拠点空港の整備を最優先の課題として投資の重点化を図っていくこととしておりますし、また、平成十五年度予算におきましても、空港整備事業費の七割以上を大都市圏拠点空港の整備に投入しているというのは、大谷議員もおわかりのとおりでございます。
 二つ目には、成田空港の民営化に関する経緯についてのお尋ねがございました。
 国際拠点空港の民営化につきましては、国が国際拠点空港の整備について責任を持ち、適切に対応するとの前提のもと、それぞれの空港が創意工夫を生かせるような自立的な経営環境を整えるとともに、経営の一層の効率化、経営の透明性の向上、利用者サービスの向上等を推進することが必要であると考えております。
 成田、関空、中部の各空港を個別に民営化することとしましたのは、立地条件等各空港ごとの固有の事情、課題を踏まえることが適切であり、また、各空港ごとに民営化を推進する方が経営責任のより一層の明確化の観点からも適切であるというふうな点を勘案したものでございます。
 成田空港については、開港後、間もなく二十五年を迎え、経営基盤が成熟してきておりますし、また、早期に国際競争力の向上を図ることが必要である状況を踏まえ、特殊会社化することが適切であると考えた次第でございます。
 三つ目には、今後の空港の民営化の方向性についてのお尋ねをいただきました。
 成田、関空、中部といった国際拠点空港につきましては、国際線を中心とした我が国の玄関口でありますことから、基本的な施設整備については国が責任を持ちつつ、近隣アジア諸国において国際拠点空港の整備が進む中で、国際競争力を確保するため、経営の合理化、効率化、利用者利便の向上等を図るべく、民営化を進めることといたしております。
 一方、それ以外の国内空港につきましては、全国の空港が相互に結んだネットワークを形成していることから、国が全国的な航空ネットワークの維持向上の観点から整備、管理していく必要があると思っております。
 このため、国際拠点空港以外の空港の民営化については、現段階では考えておりません。
 四つ目には、空港整備特別会計についてのお尋ねがございました。
 平成十五年度の空港整備特別会計の歳入は四千五百六十三億円でございますけれども、このうち、一般会計からの受け入れは三三・七%に当たる千五百三十六億円で、対前年度比七十二億円、約五%の増となっており、他の公共事業が対前年度比で減額の傾向にある中で一般財源の拡充に努力してきたというところをお認めいただきたいと思います。
 今後とも、事業効果の大きい大都市圏拠点空港の整備等に対しまして一般財源が重点的に配分されるよう努めていきたいと考えております。
 また、空港整備特別会計の透明性の向上については、国の会計制度全体について透明性向上のための改革が進められていることから、これと歩調を合わせて、国民に対してわかりやすく情報を開示していく方法等について今後も検討を進めていきたいと考えております。
 五つ目には、株式の公開についての御質問です。
 株式を上場する時期、株式をすべて売却し空港会社を完全民営化する時期の今後の具体的な予定につきましては、御存じのとおり、平行滑走路の二千五百メートル化の実現、その目的、あるいは空港会社の経営の実績、株式市場の状況等を総合的に勘案して検討していく必要があり、現段階ではまだ未定であることはおわかりいただけるものと思っております。
 国土交通省といたしましては、早期に空港会社の完全民営化が達成されますよう、平行滑走路の完成等に今後も全力を尽くしていきたいと思っております。
 六つ目には、政府の出資金の返還についてのお尋ねでございます。
 空港会社の資本の額の設定につきましては、国の責任として、空港会社に、今申しました平行滑走路の二千五百メートル化等の空港施設の整備を円滑に実施できる経営体力を確保させることが必要であると考えており、このような観点から、公益事業を営む他の株式会社と比べて遜色のない水準の額を設定すべく検討することといたしております。その上で、これまでの空港公団に対する政府の出資のうち、これを超える額については、政府に償還させることといたしております。
 また、国に償還された資金につきましては、一般会計または空港整備特別会計に帰属することとなりますけれども、例えば空港整備特別会計については、大都市拠点空港の整備のための財源に充てられる等、それぞれの資金需要がある分野で活用されることとなると考えております。
 最後に、七つ目の御質問でしたけれども、成田空港の民営化後の着陸料について御質問をいただきました。
 着陸料の設定につきましては、航空法に基づいて事前届け出制となっており、特定の利用者に不当に差別的な取り扱いとなる料金とか、空港会社が社会的・経済的事情に照らして著しく高額で空港利用を困難とするような料金を設定しようとする場合には、国土交通大臣がその変更を命ずることができることになっております。
 今般の空港公団の民営化は、国際競争力のある自立的な経営主体を確立し、利用者負担の軽減など利用者利便の向上が図られることを目的とするものですので、その具体的時期を明示することは現段階では困難ではございますけれども、少なくとも、なるべく早期に経営の効率化が図られ、着陸料の値下げが実現されることが必要であると、私も大谷議員と同じ考えであることを申し添えて、お答えにさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
議長(綿貫民輔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三十二分散会


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