衆議院

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第38号 平成15年6月5日(木曜日)

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平成十五年六月五日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十七号
  平成十五年六月五日
    午後一時開議
 第一 地方独立行政法人法案(内閣提出)
 第二 地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
 第三 労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(鮫島宗明君外二名提出)
 第五 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 特定都市河川浸水被害対策法案(内閣提出、参議院送付)
 第七 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第八 平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書(承諾を求めるの件)
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 永年在職の議員八代英太君に対し、院議をもって功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任するの件(議長発議)
 日程第一 地方独立行政法人法案(内閣提出)
 日程第二 地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
 日程第三 労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(鮫島宗明君外二名提出)
 日程第五 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 特定都市河川浸水被害対策法案(内閣提出、参議院送付)
 日程第七 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第八 平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書(承諾を求めるの件)
 小泉内閣総理大臣のサンクトペテルブルク訪問及び第二十九回主要国首脳会議出席に関する報告及び質疑


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    午後一時二分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 永年在職議員の表彰の件
議長(綿貫民輔君) お諮りいたします。
 国会議員として在職二十五年に達せられました八代英太君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。
 表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 表彰文を朗読いたします。
 議員八代英太君は国会議員として在職すること二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
 この表彰方は議長において取り計らいます。
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) この際、八代英太君から発言を求められております。これを許します。八代英太君。
    〔八代英太君登壇〕
八代英太君 ただいま、綿貫議長から、院議をもって国会議員として二十五年の永年在職表彰を賜りました。まことに光栄に存じます。(拍手)
 今日まで支えてくださった全国の皆さん、東京北区、足立区、東京第十二選挙区の皆さん、そして、この議場においでのすべての議員の皆様に、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 思い起こしますと、ちょうど三十年前のこの六月、この時期、この時間に、私は、舞台から五メートル、奈落に転落いたしまして、背骨を折り、脊髄損傷となって、私の車いすの第二の人生が始まりました。
 「水はさわってみなければ、その冷たさがわからない」と申しますが、当事者になって初めて、車いすの目線から社会参加してわかりましたことは、私たちの町や社会が健康な人を標準にしてつくられているということでありました。障害を持つということは、日々の生活が大変不便になる、いや、自分一人ではとても生きられないという、そういう実感でございました。
 それ以来、全国の施設や、障害を持った仲間たちを訪ね、一緒に考え、語り合い、行動しながら、障害者問題に取り組み始めました。
 そのころ、ともに汗を流した多くの仲間たちが、死に急ぎではなく、生き急ぎをして、若くして天に召されていったことを思いますと、障害者問題、福祉の問題は、十年、二十年先のことではなく、今年から来年、いや、今日から明日の問題ばかりで、何よりも優先して解決への道を探ることの大切さを痛感させられました。
 今でこそ、バリアフリー、ノーマライゼーションなどと、当たり前の言葉として使われておりますが、当時は、欧米の福祉先進国に何とか早く追いつきたい、追い越したいという羨望の心を持った日々でありました。
 あれから二十五年、先輩の皆々様の御協力で、日本の福祉も、進んだ部分は欧米福祉先進国とほぼ肩を並べ始めていることを思いますと、この間の日本の福祉政策は、厳しい財政状況の中にあっても大きく前進したと感じております。(拍手)
 一九七七年、昭和五十二年に参議院に初当選をさせていただきましてからの三期十八年は、混沌とした国政、波乱に満ちた政治状況でありましたが、私は、一貫して福祉をライフワークとしての日々でありました。
 平成八年、衆議院は小選挙区制度となり、東京第十二選挙区の北区、足立区の皆さんから、力強く衆議院へと送っていただきまして、はや七年が過ぎようとしております。
 この七年も、日本の経済を取り巻く環境は波乱と混沌の中にあって、中小零細企業がひしめく地元の皆さんの悲痛な声を直接伺いながら、暮らしのすべてが政治であることを思い、ますます政治の大切さ、政治の責任を肌で感じております。
 また、衆議院にあっては、まだまだ私は駆け出しの議員ではございますが、引き続き議員各位の御指導と御鞭撻を賜りながら、この節目を新たな始まりとして精進したいと思っております。(拍手)
 私の好きな言葉に、「太陽は誰の上にも照らす」という言葉がございます。
 「太陽は誰の上にも照らす」まさしく、太陽は富める人にも貧しい人にも、歩ける人にも歩けない人にも、目の見える人にも見えない人にも、満遍なく、暖かいぬくもりの光を与えてくれます。
 政治も、太陽のようなぬくもりを誰の上にも照らすようでありたいと願っております。(拍手)
  永年の誉れの朝の清しくて
 本日、永年在職の朝を迎えての、私のつたない一句でございます。
 明日から清々しく、元気いっぱい、初心に返って頑張りたいと思います。
 常在戦場の政治の坂道ではありますが、しっかりと登っていきたいと思っております。
 どうぞ、今後ともよろしくお願い申し上げまして、感謝、御礼の言葉といたします。ありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 地方独立行政法人法案(内閣提出)
 日程第二 地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第一、地方独立行政法人法案、日程第二、地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長遠藤武彦君。
    ―――――――――――――
 地方独立行政法人法案及び同報告書
 地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔遠藤武彦君登壇〕
遠藤武彦君 ただいま議題となりました両案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、両案の要旨について申し上げます。
 地方独立行政法人法案は、住民の生活の安定並びに地域社会及び地域経済の健全な発展に資するため、地方独立行政法人制度を設け、対象業務、設立手続など、その運営の基本となる事項を定めようとするものであります。
 次に、地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、地方独立行政法人法の施行に伴い、関連する諸法律について、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
 以上の両案は、去る五月二十八日本委員会に付託され、翌二十九日に片山総務大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取いたしました。六月三日両案を一括して質疑を行い、討論の後、採決いたしましたところ、両案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、地方独立行政法人法案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第三、労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長中山成彬君。
    ―――――――――――――
 労働基準法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔中山成彬君登壇〕
中山成彬君 ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、我が国の経済社会を取り巻く状況が大きく変化し、産業・雇用構造の変化が進んでいる中で、労働者が主体的に多様な働き方を選択できるようにするとともに、労働契約の終了をめぐる紛争の未然防止等のため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、次のとおりであります。
 第一に、有期労働契約について、契約期間の上限を一年から三年に延長することとし、高度で専門的な知識等を有する者や満六十歳以上の者については、契約期間の上限を三年から五年に延長すること、
 第二に、解雇について、「使用者は、この法律又は他の法律の規定によりその使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合を除き、労働者を解雇することができる。ただし、その解雇が、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」との規定を設けること、
 第三に、裁量労働制について、企画業務型裁量労働制の導入の際の要件、手続を緩和するとともに、専門業務型裁量労働制においても、健康・福祉確保措置等の導入を必要とすること
等であります。
 本案は、去る五月六日の本会議において趣旨説明が行われ、同日本委員会に付託されました。
 本委員会では、五月二十一日坂口厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、二十三日質疑に入り、二十八日鍵田節哉君外二名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出され、その趣旨説明を聴取し、六月三日には参考人から意見を聴取いたしました。
 昨四日鍵田節哉君外二名提出の修正案について撤回を許可し、質疑を終局した後、長勢甚遠君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守新党の共同提案により、解雇に係る規定について、
 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」ものとすること、
 一年を超える一定の有期労働契約について、一年経過後は労働者はいつでも退職することができるものとすること
等を内容とする修正案が提出されました。
 討論の後、採決の結果、長勢甚遠君外五名提出の修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(鮫島宗明君外二名提出)
 日程第五 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第四、鮫島宗明君外二名提出、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案、日程第五、内閣提出、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長小平忠正君。
    ―――――――――――――
 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(鮫島宗明君外二名提出)及び同報告書
 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔小平忠正君登壇〕
小平忠正君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、内閣提出の主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案は、米穀の生産及び流通をめぐる諸情勢の変化にかんがみ、出荷取扱業者及び販売業者の登録制度の廃止、生産調整の円滑な推進に必要な無利子資金の貸し付け、米穀の売買取引に係る債務保証等を行う指定法人の制度等について定めようとするものであります。
 次に、鮫島宗明君外二名提出の主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案は、米穀の生産及び流通をめぐる情勢の変化にかんがみ、国による減反配分の廃止、生産者の所得確保措置、過剰米対策としての短期融資制度等について定めようとするものであります。
 内閣提出の法律案は、去る五月二十日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日委員会に付託されました。
 委員会におきましては、同二十日亀井農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、翌二十一日、二十二日、二十八日及び六月四日の四回にわたり政府に対する質疑を行ったほか、五月二十七日には参考人から意見を聴取するなど、慎重に審査を行いました。
 鮫島宗明君外二名提出の法律案は、五月二十八日提出者から提案理由の説明を聴取し、六月四日に質疑を行いました。
 かくて、同四日両法律案について質疑を終局した後、鮫島宗明君外二名提出の法律案について内閣の意見を聴取し、次いで、両法律案について討論、採決を行ったところ、まず、鮫島宗明君外二名提出の法律案は賛成少数をもって否決すべきものと議決した次第であります。次に、内閣提出の法律案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。
 まず、日程第四、鮫島宗明君外二名提出、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
 次に、日程第五、内閣提出、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第六 特定都市河川浸水被害対策法案(内閣提出、参議院送付)
 日程第七 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
議長(綿貫民輔君) 日程第六、特定都市河川浸水被害対策法案、日程第七、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。国土交通委員長河合正智君。
    ―――――――――――――
 特定都市河川浸水被害対策法案及び同報告書
 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔河合正智君登壇〕
河合正智君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、特定都市河川浸水被害対策法案について申し上げます。
 本案は、都市部を流れる河川の流域において、浸水被害から国民の生命、身体または財産を保護するため、一定の要件に該当する河川及びその流域をそれぞれ特定都市河川及び特定都市河川流域として指定し、浸水被害対策の総合的な推進のための流域水害対策計画の策定、河川管理者による雨水貯留浸透施設の整備等、所要の措置を講じようとするものであります。
 次に、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、密集市街地について計画的な再開発または開発整備による防災街区の整備の一層の促進を図るため、都市計画の地域地区として特定防災街区整備地区を創設するとともに、防災施設建築物、防災公共施設等を整備する防災街区整備事業及び防災都市施設の整備のための施行予定者制度を創設する等、所要の措置を講じようとするものであります。
 両案は、参議院先議に係るもので、去る五月二十六日本委員会に付託され、翌二十七日扇国土交通大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、三十日に質疑に入り、昨日質疑を終了いたしました。
 質疑の中では、特定都市河川浸水被害対策法案につきましては、都市型水害が頻発する原因、雨水貯留浸透施設の整備効果等について議論が行われ、また、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、高齢者等社会的弱者の居住安定の確保策、防災街区整備事業組合の設立要件等について議論が行われました。
 質疑終了後、特定都市河川浸水被害対策法案につきましては、採決の結果、全会一致をもって、また、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、討論を行い、採決の結果、賛成多数をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、両案に対しそれぞれ附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。
 まず、日程第六につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第七につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第八 平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書(承諾を求めるの件)
議長(綿貫民輔君) 日程第八、平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書(承諾を求めるの件)を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。決算行政監視委員長山口俊一君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔山口俊一君登壇〕
山口俊一君 ただいま議題となりました平成十三年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書につきまして、決算行政監視委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本件は、決算調整資金に関する法律の規定に基づき、国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。
 平成十三年度におきましては、予見しがたい租税収入の減少等により、一般会計の歳入歳出の決算上、五億六千万円余の不足を生ずることとなりましたので、これを補てんするため、同資金からこれに相当する金額を平成十三年度の一般会計の歳入に組み入れたものであります。
 委員会におきましては、昨四日塩川財務大臣から説明を聴取した後、質疑を行い、質疑終了後、討論、採決の結果、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(サンクトペテルブルク訪問及び第二十九回主要国首脳会議出席に関する報告)
議長(綿貫民輔君) 内閣総理大臣から、サンクトペテルブルク訪問及び第二十九回主要国首脳会議出席に関する報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣小泉純一郎君。
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、五月二十九日から六月四日まで、サンクトペテルブルク建都三百周年記念行事及び主要国首脳会議に出席するため、ロシアのサンクトペテルブルク及びフランスのエビアンを訪問しました。
 日ロ首脳会談では、平和条約締結問題、エネルギー分野での協力等、幅広い問題について協議を行い、本年一月の私の訪ロの際に合意した日ロ行動計画を今後とも着実に実施していくことが重要であるとの認識で一致しました。
 胡錦濤国家主席との日中首脳会談では、本年が日中平和友好条約締結二十五周年であることも踏まえ、両国間の幅広い交流・協力を一層推進していくことを確認し、北朝鮮問題について互いに協力していくことで一致しました。
 主要国首脳会議では、世界経済や開発、テロ、大量破壊兵器の拡散、中東和平等の困難な問題について、各国が協力して取り組もうという国際協調の重要性の認識を共有することができました。
 世界経済については、成長に向けた強い決意を確認し、私は、構造改革、デフレ対策を含め日本経済の再生に積極的に取り組んでいることを説明しました。また、米国の強いドル政策を歓迎する旨述べました。
 開発については、一日目に、新興国・途上国との間で有意義な対話を行いました。京都フォーラムでも議論された水問題、SARSを含む感染症対策や違法伐採対策の重要性、科学技術を通じた環境と成長の両立に関するさらなる国際協力の必要性や、京都議定書の早期発効の重要性についても訴えました。また、人間の安全保障委員会報告書及び国連小型武器中間会合の重要性についても述べました。
 地域情勢については、中東和平の実現に向けたブッシュ大統領の努力に対し、その成功への強い期待が表明されました。イラク復興支援は、広範な国際協調のもとで進めていく必要があり、我が国の呼びかけを受けて、国連がイラク復興支援に関する国際会議の開催に向けた準備会合を開催する旨発表したことを、G8として歓迎しました。
 北朝鮮について、私は、核問題を初めとする安全保障上の問題や拉致問題等の懸案を包括的に、そして平和的に解決したい旨強調し、各国の理解を得ました。G8として、北朝鮮に対し、いかなる核兵器計画をも廃棄することを強く求めていくことで一致しました。
 また、一日目のアフリカ首脳との対話では、九月に東京で開催する第三回アフリカ開発会議への積極的な参加を要請しました。
 私は、今般改めて確認した各国首脳との個人的信頼関係を踏まえ、今後とも、国際政治経済等の各分野において、我が国として主体的、積極的な役割を果たしていきたいと考えます。(拍手)
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(サンクトペテルブルク訪問及び第二十九回主要国首脳会議出席に関する報告)に対する質疑
議長(綿貫民輔君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。伊藤英成君。
    〔伊藤英成君登壇〕
伊藤英成君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました一連の首脳会談及びエビアン・サミット等について、小泉総理に対し質問をいたします。(拍手)
 今回のサミットでは、イラク攻撃をめぐって亀裂が生じたアメリカとフランス等との関係をどう修復するかが焦点のはずでした。にもかかわらず、アメリカは、中東訪問を理由に、サミットを途中退場してしまいました。イラクへの経済制裁解除を認める国連安保理決議の採択によって関係修復の兆しがあっただけに、その期待に水を差すものと言わざるを得ません。
 国連安保理の常任理事国の対立が続けば、世界の平和と安全の維持に支障を来します。今後のイラク復興や北朝鮮情勢に思いをいたせば、アメリカ単独ではなく国際社会が一致して取り組むという姿勢は、極めて重要な課題であります。
 総理は、サミットの場で、国連の機能回復に関して、何らかの努力をしてこられたのでしょうか。国連改革への着手を提起すべきだったと思いますが、なぜしなかったのですか。サミット自身も形骸化しつつある、また、その存在意義が問われているとは思いませんか。それぞれについてお答えをいただきたい。(拍手)
 イラク復興支援のあり方について伺います。
 民主党は、アメリカの、新たな安保理決議なきイラクへの単独主義的な武力攻撃に対しては、国際法上も疑義があり、徹底的な査察の継続を主張していたところから、イラク攻撃には反対をいたしました。しかし、フセイン政権は既に崩壊し、イラク国民は国際社会の援助を待っていると伝えられ、国連によるイラク制裁解除決議がなされたことから、イラク国民が必要としている援助は重要だと考えております。
 問題は、今まさに述べた、肝心のイラクにとっての必要性に関しての議論がおろそかになっていることです。必要性の前に、自民党の総裁選など与党の政局をめぐる思惑から、まず自衛隊の派遣ありきの議論が先行しているのではないでしょうか。
 我が党は、現在、独自に、イラクに調査団を派遣しており、昨夜も現地から私のところに電話で状況を伝えてきておりますが、日本人や日本製品に対して尊敬や良好な感情を持っていると言われるイラクのためには、イラク政府の要請や国連主導ではない、占領軍の一員とみなされる自衛隊の活動よりは、まずは医療や教育・文化、施設や設備等の修復、雇用の創出、経済や投資活動の促進等の分野に重点を置く方が、中東や世界の中における日本のイメージ、日本という国のあり方として、はるかに国益に沿っているのではないでしょうか。(拍手)
 総理は自衛隊派遣の必要性をどう評価されるのか、政局ではなく、本来どうあるべきかという観点からの御見解を伺います。
 北朝鮮問題については、私は、拉致事件及び大量破壊兵器問題等の全面解決を見るまで国交正常化はすべきではなく、経済援助はあり得ない、また、北朝鮮の核保有・拡散は認められない、こういう姿勢を堅持すべきだと思います。
 私は、議長総括の中に初めて拉致問題が明記され、また、日中首脳会談により北朝鮮問題が協議されたことは非常によかったと評価いたします。北朝鮮問題の平和的解決には中国の役割がどんなに重要かと、私自身も常に主張してきたところであります。
 しかし、一連の首脳会談で、日中間、中ロ間では外交努力が強調されながら、日米間では対話と圧力がそれぞれ合意されたと理解しておりますが、そこにはニュアンスの差があります。一層の措置について解釈の差があるアメリカと韓国、朝鮮半島の非核化で一致した中国、ロシアとの間で温度差が指摘される中、対北朝鮮政策においては、関係各国の政策調整なり連携が一層重要だと考えます。
 総理は、各国間での温度差ある姿勢に対し一体どのように対処されるのか、北朝鮮に対しどのように働きかけるのか、あす六日に来日されます韓国・盧武鉉大統領との会談にはどのような方針で臨まれるのか。さらに、まず急がれる米朝中協議あるいはそれに日韓を含めた協議の再開の展望についても御説明をいただきたい。
 さきに米国議会でも疑惑が指摘された万景峰号の入港が目前であります。ミサイル等の部品だけでなく、麻薬や覚せい剤等の密輸の疑いも指摘されていることから、安全保障上または犯罪防止の観点から、我が国の主体的な判断に基づき適切に対処できるよう、外為法、出入国管理法、港湾法、関税法、海上保安庁法、国連海洋法条約など関係法令の見直しも含め、新たな規制のあり方も検討すべきであると考えますが、万景峰号等の入港問題も含め、総理の考えを伺いたい。(拍手)
 拉致事件をめぐっては、官邸と外務省の間で二元外交とおぼしき行動や、国連人権委員会における消極的な資料提出、我が国ODAの対象国による北朝鮮非難決議の反対など、外務省主導による外交に疑念を持たざるを得ない不手際が続出しております。腰の定まらない稚拙な外交で国益を守る外交が展開できるのか、非常に心配であります。
 外務省の外交をどうされるおつもりか、ODAを戦略外交ツールとして活用するおつもりはあるのか、総理から明確な方針をお示しいただきたい。
 民主党は、日米同盟を日本外交の基軸としており、良好な日米関係の維持発展について、私自身も日ごろから努力をしているつもりであります。
 先般、沖縄の海兵隊の削減方針が報じられましたし、ブッシュ大統領は、ポーランドにおいて、大量破壊兵器やミサイルの拡散防止に向けて、航空機や船舶の臨検を可能とする国際協力体制の構築をうたう演説をしております。北朝鮮が該当すれば、我が国も無関心ではおられません。
 アメリカ側から矢継ぎ早にいろいろな方針が出てきますが、どのような政策調整をされているのか、全く判然といたしません。イラク問題等で強硬路線をとっている、いわゆるネオコン的な主張も、揺り戻しの可能性が十分にあると私は思っております。
 国益に重大な影響を及ぼす在沖縄米軍基地の問題、大量破壊兵器の拡散防止に関するブッシュ大統領の演説について、事前の調整はあったのですか。また、それぞれ日本としてどうするおつもりですか。総理から明確な所信を示していただきたい。(拍手)
 サミットで、ブッシュ大統領が強いドル政策の継続を強調し、日本、欧州も、この発言への支持を表明いたしました。民主党は、実力以上に評価されている現在の円レートは我が国の産業空洞化を進め、深刻なデフレ不況を招いた大きな要因の一つとなっていると主張してきました。
 小泉総理は、強いドルを歓迎するとしつつ、なぜ円が強いのかわからないなどと傍観者的態度を示しておりますが、強いドル、適正な円・ドルレートに向けて日本政府としてどのようなアクションを起こすのか、また、米国に対し具体的なアクションをどう働きかけるのか、総理の答弁を求めます。
 最後に、私は、野党だから単に政府を批判すればいいとは思いませんし、政府の政策であっても評価すべきところは率直に評価したい、こういう政治姿勢でこれまで取り組んでまいりました。
 懸案であった緊急事態法制が、衆議院において、与野党間で修正協議が調いましたが、私自身も、永年、関係者として携わってきたことに思いをいたせば、重要な点を実質的に法案に盛り込ませることができたと自負しております。
 いまだ、国民保護法制の整備や米軍支援法制の中身、ジュネーブ条約関連の法制整備など、残された重要な課題も山積しており、参議院においても、今、活発な議論が行われておりますが、最後に、総理から、今国会の緊急事態法制の整備に関しての御所見と、残された法制整備に関する御決意をお伺いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 伊藤議員にお答えいたします。
 国連の機能回復のための努力及びサミットの存在意義についてでございます。
 国連改革については、私は、まず改革のかぎを握る米国の協力を得ることが必要と考え、日米首脳会談で本件を取り上げ、国連改革の重要性について一致しました。今後とも、関係国と精力的に協議しつつ、改革の早期実現に向けて取り組んでまいります。
 サミットは、主要国の首脳が国際社会の直面する喫緊の課題につき率直な意見交換を行う場として引き続き重要と考えています。
 イラク復興支援における自衛隊派遣の必要性についてでございます。
 イラクの復興に対する協力については、イラクにおける人道支援、復旧復興等のさまざまな支援に対する必要性や国際社会の動向などを十分考慮しながら検討を進めております。
 今後、イラクの復興等を支援するために我が国が何をできるかについては、我が国の国力にふさわしい貢献を行うとの観点から、主体的に検討を行っていく考えであります。
 北朝鮮対策でございます。
 関係国は、北朝鮮をめぐる諸問題の平和的解決について一致しており、我が国としても、米韓を初めとする関係国と協力して、北朝鮮に対し、責任ある行動を粘り強く求めていく考えであります。
 盧武鉉大統領との会談でもその点につき確認し、また、米中朝三者協議への日韓の参加を含め、対話の継続、発展のため、関係国と緊密に連携していく考えであります。
 万景峰号に対する規制についてでございます。
 万景峰号については、政府としても、重大な関心を持って情報収集を行っており、関係機関の連携を確保しつつ、輸出入される貨物や同船舶に乗船して出入国を行う旅客の携帯品について厳正な審査、検査を行うなど、水際における厳重な取り締まりに努めております。
 今後とも、厳重な取り締まりに努め、違法行為があれば、厳正に対処してまいります。
 対北朝鮮外交のあり方についてでございます。
 拉致問題を含む諸問題を包括的に解決し、北東アジアの平和と安定に資する形で日朝国交正常化を実現させることが我が国の国益に合致すると考えており、政府一体として粘り強く取り組んでまいります。
 また、ODAは、我が国が国際社会の平和と繁栄に取り組む上で重要な手段の一つであると考えますが、その供与には、ODA大綱の原則、経済社会状況、二国間関係等を総合的に判断することとしております。
 在沖縄米軍基地の問題及び大量破壊兵器の拡散防止に関するブッシュ大統領の演説についてでございます。
 在沖縄海兵隊の移駐に関する報道については、米国防省がそのような案を検討しているとは承知しておりません。
 ブッシュ米大統領が発表した大量破壊兵器等の拡散防止に関する提案につきましては、先般、米国より、我が国の参加について打診があったところであります。我が国は、その趣旨に賛成し、今後の議論に積極的に参加していく考えであります。
 為替レートについてでございます。
 私は、現在の状況からして、円高になる理由はないと考えており、ブッシュ大統領のドル高政策を歓迎するとともに、こうした見方を日米首脳会談で言及し、今回、サミットの場でも説明いたしました。
 いずれにせよ、為替相場は安定的に推移することが重要と考えており、必要に応じて適切な措置をとってまいります。
 有事法制の整備に関してでございます。
 有事法制は国及び国民の安全を守る基本法制であり、できるだけ多くの会派の協力を得ることが望ましいと考えてまいりました。今回、与党と民主党との間の修正協議を行った結果、共同の修正案に合意することができ、さらに、この修正案に対して、衆議院において、与党三党と民主党に加えて自由党からも賛成が得られたわけであり、いずれも画期的なことと考えております。
 国民保護法制など、残された法制整備の重要性については十分認識しており、政府としては、国会の意思を尊重して、当該法制の早期整備に努めてまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 都築譲君。
    〔都築譲君登壇〕
都築譲君 自由党の都築譲です。
 私は、自由党を代表して、ただいま報告のありましたエビアン・サミット等について、政府の外交姿勢を含め、小泉総理に見解をただしてまいります。(拍手)
 テレビ、新聞などでは、「拉致解決を初めて明記」などと華々しく報道されております。しかし、それはそんなに大きく取り上げられるような外交の成果と呼べるのかと、私は甚だ疑問に思うのです。
 その一つの面は、今日まで政策の裏打ちのない空疎な外交を続けてきたのに、またもう一つの面は、マスコミの報道ぶりについて、国民が関心の強いことを大きく報道するのは当然でありますが、英語もフランス語も十分話せない記者、特派員諸君が百人以上も押しかけて、結局は政府、外務省からの日本語の記者会見を記事にしているのであれば、独自取材の記事はもちろんあるにしても、政府の思うつぼの報道ぶりになっているのではないか、結果として国民の認識が惑わされているのではないかとの思いがするからであります。
 以下、こうした観点を思い起こしながら質問していきます。
 まず、北朝鮮関連の問題です。
 議長総括で初めて拉致に言及されたと赫々たる成果のごとく報道されていますが、それでどうなるのと思うのであります。
 なぜなら、北方領土問題も、一九九〇年のサミット以来三年連続して言及がありましたが、では、何が解決したのかといえば、何ら進展していません。議長総括に書いてもらって、日本はどうするのか、他のサミット国に何を求めるのか。五月連休の日英首脳会談の際に、ブレア首相から、では、ミスター小泉自身は具体的にどういう道筋を考えているのかと問われて沈黙してしまったとの報道がありますが、小泉総理の考えをお聞きします。(拍手)
 また、そのパラグラフの中に、「韓国により追求されている平和繁栄政策」、すなわち太陽政策のことと思いますが、「を支持する」と明記されていますが、これは、どういう趣旨で、また、どの国の提案によって盛り込まれたのか。北朝鮮に対するアメリカの実質的政策と整合するとお考えになるのか、また、日米会談のときの対話と圧力という方針は否定ないし無視されたと考えるべきなのか、総理のお考えをお聞きいたします。
 また、関連で、対話と圧力について質問しますが、フレーズとしてはわかりやすいのですが、対話さえ具体的に進んでいない状況で、総理は圧力の具体的な手段、政策として何を考えておられるのか、お聞きします。
 日本の自衛隊は専守防衛でありますが、もし、アメリカ軍の軍事力の威嚇まで考えると、同盟関係の国でありますから、親分、やっつけてやってくださいなんというのは、国際紛争解決の手段としての武力による威嚇を放棄する憲法九条の精神に抵触するのではないでしょうか。
 また、日米首脳会談ならぬ日米主従会談とも新聞の寸評欄で酷評された、五月二十三日の会談の記者ブリーフ資料に、この圧力の文字を入れる入れないで大騒ぎがあったとの報道がありますが、あきれてしまうのは、一つは、圧力なんというものは黙ってかけるのが当たり前だと思いませんか。また、その方が効果があると思いませんか。そしてまた、その方が大人の外交だと思いませんでしょうか。
 二つには、この政府部内の口論の経緯がぽろぽろとマスコミに報道されて、幼児性うっぷん晴らし症候群とでもやゆされるような状況では、当人たちはいいかもしれませんが、他国から見れば、日本の外交関係者には本音の議論や重要な機密情報は伝えられない、何でもしゃべる全く信用できない国となってしまうのではないでしょうか。
 さらに、小泉総理が提案して行われたサミット二日目の自由討議では、拉致問題を総理が得々として説明した際、各国首脳からは驚愕の声が相次いだと報道されていますが、それは、北朝鮮の国家犯罪の不可解さもさることながら、日本政府が自国民を外国の犯罪から保護することができず、また、それを二十五年間も放置し続け、あげくの果ては、昨年の日朝首脳会談の恫喝的な雰囲気の中、拉致も核開発も援助も皆、相手側の一方的な内容の平壌宣言に諾々と署名してきた日本国総理に対する驚きではなかったでしょうか。(拍手)
 もし、諸外国首脳が小泉総理の要請に本当に心を痛めるのなら、なぜ、議長総括の第四、「地域問題」の最後に言及されたジンバブエ国内の暴力に関する記述のように、北朝鮮による拉致被害者の実態、行方不明者の真相解明、核開発、北朝鮮国民の飢餓、国外逃亡、拷問などの実態について懸念が表明されなかったのでしょうか。
 さらに、総理は、三日午後の記者会見では、北朝鮮問題を国連に持ち込むつもりはないと発言していますが、なぜでしょうか。日韓米中ロの多国間の枠組みからサミット諸国に、さらに大きな国際的な枠組みの中で問題解決を求めていくことが日本の立場としては大切なのではないでしょうか。
 今回のサミットは、ブッシュ米国大統領が中東訪問のため中座することで、米欧間の亀裂が印象づけられましたが、その中で、日本の立場は対米追従と受けとめられています。
 戦後の日本外交は、国連中心主義と日米安保条約を車の両輪としてきましたが、東西冷戦が終結して十三年、世界が多様化、多極化する中で、一国だけで世界の平和を維持し、繁栄をあまねくつくり出すことなど不可能であり、主要国を含め各国の協力のもと、国連が果たす役割がますます重要になってきていると思うのでありますが、強者一国依存を強めることは、日本外交の主体性を損ない、国際社会の中で日本が果たす役割をみずから狭めてしまうのではないかと危惧します。それはまた、アメリカに対して直言できる真の友人、対等の友人としての地位を失うことにもなるのではないかと思うのですが、総理の見解を伺います。(拍手)
 この文脈の中で、先日のウォルフォウィッツ国防副長官の来日の目的を考えると、イラク復興への自衛隊の派遣に強い期待感を表明したのを受けて、与党にはイラク新法提案の動きがあると報道されていますが、たとえ非戦闘地域での後方支援といっても、戦勝国による占領統治が行われている地域に自衛隊を派遣することは、テロ特措法以降、今までも無原則に拡大してきた日本の武力部隊の海外派遣をさらに無原則に展開していくことにつながるもので、法治国家として最も戒しむべきことであると思います。
 憲法を改正するか、さもなくば、国連による明確なイラク復興のスキームと支援参加の要請を待って、あるいはまた、日本がそのスキームづくりにみずから努力すべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、今回のサミットの国内報道は、冒頭申し上げましたように、北朝鮮問題一色の感がありましたが、議長総括の全文百五十八行の中のわずかに四行にすぎません。このことを思うと、小泉外交のもと、世界に無関心な日本、世界から取り残される日本という印象を禁じ得ないのであります。
 全体の中で重きをなすのは、総括第一の「世界的な成長の強化」、第二、「持続可能な開発の増進」でありますが、その中で、サミット国の我々の共通の責任として約束を再確認したのは、市場の構造改革、年金・保健改革、投資の促進、生産性の向上、コーポレートガバナンスの改善、市場の規律、透明性の拡大、腐敗との戦いといった項目であり、まさに、日本の経済の現状に対する各国からの厳しい注文のごとく思うのでありますが、倒産、失業、経営者の自殺の増大の中、大手優遇ともいうべきりそな銀行への公的資金投入、生保の予定利率引き下げ法案など、改革を絶叫すれども事態は日々に一層深刻になっていく今日の経済に対し、小泉総理はこの約束をどのように果たしていく考えかをお聞きして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 都築議員にお答えいたします。
 サミットでの拉致問題に関する各首脳の受けとめ方と今後の対応についてでございます。
 今次サミットの議長総括において拉致問題に言及されたのは、私が拉致問題等についての日本国民の関心の強さを指摘しつつ、北朝鮮に関する懸案を包括的、平和的に解決したい旨強調し、各首脳の理解と支持を得たためであると考えます。
 我が国は、引き続き、米韓を初めとする関係国と協力して、北朝鮮に対し、責任ある行動を粘り強く求めていく考えであり、今後とも、こうした考えのもとにG8各国とも連携してまいります。
 サミット議長総括における韓国の北朝鮮政策に関する記述についてのお尋ねです。
 今次サミットの議長総括は、議長国フランスがみずからの責任で取りまとめたものですが、韓国が分断国家として北朝鮮情勢に直接的な関係を有することにかんがみ、米国を含むG8として韓国の努力を支持している旨明記することが適当と判断されたものと考えます。
 北朝鮮に対する対話と圧力についてのお尋ねでございます。
 先般の日米首脳会談で私が言及した圧力とは、北朝鮮が対話に前向きに応じることを促すためのもので、国際社会による核兵器開発は容認しないとの強いメッセージの発出、違法行為の厳格な取り締まり、事態悪化の場合の一層厳しい対応等を趣旨としております。
 また、本件をめぐり種々報道されていますが、我が国の立場は極めて明確であり、北朝鮮がこのような働きかけに誠実に応じることを強く期待しております。
 国連における拉致問題の扱いについてでございます。
 拉致問題については、国連人権委員会の場でこれまでも取り上げられてきたところですが、拉致問題を含む北朝鮮をめぐる諸問題をさらに国連の場に持ち込むべきかという問題は、このような働きかけを続けていく中で判断する考えであります。
 我が国の外交のあり方についてでございます。
 我が国及び国民の安全と繁栄を確保する上で、国際社会全体の平和と繁栄の実現が不可欠であると考えます。そのため、我が国外交の基軸である米国との同盟関係の維持強化に努めると同時に、韓国、中国、ロシア等の近隣諸国を初めとする友好国、国連を初めとする国際機関等と緊密に協力してきており、御指摘の点は当たらないと考えます。
 イラク復興支援における自衛隊派遣についてでございます。
 イラクの復興に対する協力については、イラクにおける人道支援、復旧復興等のさまざまな支援に対する必要性や国際社会の動向などを十分考慮しながら検討を進めています。
 今後、イラクの復興等を支援するために我が国が何をできるかについては、我が国の国力にふさわしい貢献を行うとの観点から、主体的に検討を行っていく考えであります。
 今回のサミットと今後の経済運営に関するお尋ねでございます。
 今回のサミットにおいては、世界経済の持続的な成長に向けて、市場の構造改革、社会保障制度改革などの経済運営上の課題に各国が共通して取り組むことを確認したところであります。
 デフレ状況の継続など、我が国経済は依然として厳しい状況にあるものと認識しておりますが、より力強い世界経済の成長に我が国としても貢献していくことができるよう、引き続き、金融危機は起こさせないという方針のもと、改革を進めるとともに、日銀と一体となってデフレ克服に取り組み、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図ってまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
副議長(渡部恒三君) 松本善明君。
    〔松本善明君登壇〕
松本善明君 私は、日本共産党を代表して、サミット等一連の総理の外交活動について質問いたします。(拍手)
 今回のエビアン・サミットは、アメリカの一極支配を許すのか、国連中心の国際協調かということが焦点の一つとなりました。
 サミットに先立って、フランスのシラク大統領は、アメリカは単独主義的世界ビジョンを持っているが、私は多極的世界のビジョンを持っていると発言し、中国の胡錦濤主席とロシアのプーチン大統領は、共同声明で、一国主義を新たな不安定な要素とし、多極的で公正かつ民主的な国際秩序を確立すべきだと提言しておりました。新たに中国や発展途上国も参加したサミットを総括し、議長国のシラク大統領は、終了後の会見で、多極化世界の構築という考えは多数の国から支持されていると述べました。
 総理、あなたは、アメリカの単独行動主義ではなく、国連中心の多国間協調という動きをどのように受けとめたのか、お聞きしたいと思います。(拍手)
 次に、イラク問題についてであります。
 アメリカが先制攻撃による政権転覆を国連無視で行ったイラク戦争は、平和のルールの破壊であることは明白であります。
 国連憲章の平和のルールは単純明快です。国際紛争は戦争ではなく平和的に解決する、武力の行使は自衛と国連安全保障理事会の決議に基づく場合だけということであります。これは、二十世紀二回の世界大戦の教訓から生み出された人類の英知の結晶であります。
 イラク戦争の口実となった大量破壊兵器はいまだに発見されず、これがアメリカでもイギリスでも国会の大きな問題になってきております。現に、ウルフォウィッツ・アメリカ国防副長官も、大量破壊兵器の脅威は戦争を正当化するための口実だったと言っているではありませんか。
 フランスのシラク大統領は、サミット閉会後の記者会見で、国際社会、特に国連安全保障理事会の承認なしの軍事行動は正当性を欠き、違法だとの考えは変わっていないと明言いたしました。極めて当然のことであります。総理はシラク大統領の発言をどのように受けとめたのか、質問いたします。(拍手)
 イラク戦争で、アメリカは軍事的には勝利いたしましたが、外交的には深刻な敗北でありました。総理は、国連憲章の平和の秩序はどんな大国でも破ることができないものと考えているのですか、それとも、これを破ってアメリカが強大な軍事力で世界を支配することが当然だと思っているのですか。明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二に、アメリカの先制攻撃戦略を一層拡大することを断じて許してはならないという問題であります。
 ブッシュ政権のジョン・ボルトン国務次官は、シリア、リビア、イラン、北朝鮮などの名前を挙げて、イラクの教訓に学べと脅迫いたしました。
 総理、あなたは、これらの国に対するアメリカの先制攻撃に賛成するのですか。そういうことは許されないと、堂々とブッシュ大統領に主張すべきではなかったのですか。答弁を求めます。(拍手)
 第三に、アメリカは、軍事占領をてこに、イラクに自分の言いなりになる政権を押しつけ、石油などの資源を思うままにしようとしております。これは新しい植民地主義と言っても決して過言ではありません。
 総理、イスラム諸国会議外相会議が、軍事力への依存と単独行動主義を拒否し、イラク主権の速やかな回復と占領の終結を求めているように、米英軍を速やかに撤退させ、国連が中心的役割を果たす復興こそ必要だとは思いませんか。答弁を求めます。
 次に、イラクへの自衛隊派遣問題であります。
 総理は、ブッシュ大統領との日米首脳会談で、イラク復興支援のための自衛隊等の派遣で日本としてふさわしい貢献をしていきたいとの意見を表明いたしました。そして、来日中のウルフォウィッツ国防副長官は、与党三党幹事長との会談で、自衛隊が米英軍の治安維持部隊の後方支援を分担することに期待を表明し、具体的に、施設、輸送、通信の三分野に言及しております。
 総理、あなたは、ブッシュ大統領に対して、自衛隊派遣でどのような約束をしてきたのですか。明らかにしていただきたいと思います。
 そもそも、イラクに展開している米英軍は、無法な戦争の上に軍事占領しているのではありませんか。占領軍による支配に自衛隊を派遣するということは、政府の解釈によっても、憲法違反の武力行使であることは明白であります。国連決議に基づくPKOであっても相手国の同意など五原則がなければ憲法違反の疑義があるというのが、従来からの政府の見解であります。どうしてイラク占領軍に自衛隊が派遣できるのか、明確な答弁を求めます。(拍手)
 しかも、自衛隊は、戦闘冷めやらぬイラクで、治安維持のため、イラク国民に銃口を向けることにもなりかねないのであります。それは、イラク国民の意思に基づく国づくりにとっても有害であり、日本はアラブ地域での貴重な外交的立場を失うことになるのではありませんか。アフガン戦争におけるショー・ザ・フラッグに続いて、今度はブーツ・オン・ザ・グラウンドだとアメリカ側から要求されていたとも報道されておりますが、こうした、まず何よりも自衛隊派兵ということは、断じて許されません。総理の答弁を求めます。(拍手)
 サミットの焦点の一つになった北朝鮮問題で、G8宣言は、同国に核兵器開発計画の廃棄を求め、拉致問題を明記するとともに、議長総括には、包括的で平和的な解決、韓国の平和繁栄政策の支持が強調されました。これは歓迎すべきことであります。
 総理も、記者会見で、平和的解決を述べられました。いわば包括的で平和的な解決が国際的合意になったのでありますが、総理はこれをどのように実現する考えなのか、質問いたします。
 イラク問題にせよ、北朝鮮問題にせよ、日本外交は、国連憲章と、これと同じ精神でできた日本国憲法の国際紛争の平和的解決という精神を守らなければならないことは言うまでもありません。これが、アジア諸国民や世界が日本に期待するところであります。
 ところが、総理は、国会で、実質的に自衛隊は軍隊であると公言いたしました。これは、憲法九十九条でその尊重と擁護が義務づけられている総理大臣としてあるまじき暴言であり、断じて許されません。(拍手)
 今、二十一世紀のあり方が問題になっております。軍事力ですべてを押し切ることは決してできません。これは、地球的規模で広がったイラク戦争に反対する史上空前の反戦・平和運動とその発展を見れば明らかであります。特に日本は、憲法の恒久平和主義を基礎とし、国際紛争の平和的解決のための外交が特別に求められていることを最後に指摘いたしまして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 松本議員にお答えいたします。
 エビアン・サミットをどう受けとめたかについてのお尋ねでございます。
 今次サミットは、世界経済や開発、テロ、大量破壊兵器、北朝鮮や中東和平等の地域情勢といった国際社会が直面する困難な問題について、国際社会が協調して取り組む重要性を確認することができ、極めて有意義であったと思います。
 対イラク武力行使の正当性についてでございます。
 米国、英国等の対イラク武力行使は、国際の平和と安全を回復するという明確な目的のために武力行使を認める国連憲章第七章のもとで採択された安保理決議六七八、六八七及び一四四一を含む関連安保理決議に合致するものであり、国連憲章にのっとったものであると考えます。
 米国のシリア、北朝鮮等に対する政策に関するお尋ねです。
 米国は、シリア、リビアやイランを攻撃するとの立場をとっておりません。
 また、北朝鮮の核兵器開発問題について、日米両国は、平和的に解決すべきことにつき一致しており、さきの日米首脳会談においても確認されたところであります。
 イラク復興における米英と国連の役割についてでございます。
 イラク復興には、国連の関与を得つつ、国際社会が一致団結して取り組むことが重要であります。先月採択された安保理決議一四八三は、占領国としての米英の特定の権限、責務及び義務を認識するとともに、イラク復興等において国連が重大な役割を果たすべきである旨規定しており、我が国としてもこれを歓迎しているところであります。
 イラク復興支援のための自衛隊派遣についてでございます。
 この点に関しては、さきの日米首脳会談において私からブッシュ大統領に対して述べたとおり、日本自身の問題として、日本の国力を踏まえ、日本としてイラクの復興のためにできることを主体的に検討していく考えであります。
 北朝鮮問題に関するお尋ねです。
 我が国として、サミットで聞いた各国首脳の意見も参考にし、各国と協力しながら、北朝鮮に対して、国際社会の責任ある一員として誠実に対応するよう引き続き強く求め、平和的解決のために粘り強く努力していく考えであります。
 自衛隊に関する私の答弁に対してでございます。
 自衛隊が軍隊であるかどうかは、軍隊とは何かという定義いかんに帰する問題でありますが、私の先日の答弁は、自衛隊には常識的に考えれば戦う力があるということを申し上げたものであります。
 憲法が保持を禁じている戦力とは、自衛のための必要最小限度を超える実力であるところ、自衛隊は自衛のための必要最小限度内の実力組織であることから、自衛隊が憲法違反ではないということは明らかだと思います。
 自衛隊が専守防衛に徹し、我が国を防衛するための組織であることが、将来において変わるものではありません。(拍手)
    ―――――――――――――
副議長(渡部恒三君) 東門美津子君。
    〔東門美津子君登壇〕
東門美津子君 社会民主党の東門美津子です。
 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいまの小泉総理大臣のサンクトペテルブルク訪問及びサミット出席に関する報告につきまして、関連する問題も含め、質問いたします。(拍手)
 今回の日米首脳会談は、クロフォードにあるブッシュ大統領の牧場で行われました。これまで、クロフォードの牧場に招かれた外国の要人はわずかで、大変な優遇とされています。イラク攻撃を支持した御褒美とも言われています。
 小泉総理はクロフォードに招かれたことを無邪気に喜んでいるように見受けられますが、ブッシュ氏はこの牧場外交で手ごわい交渉相手を籠絡してきたとも言われており、特別扱いを受けたことを単純に喜んでいる場合ではありません。
 私は、これによって、将来、特に安全保障の問題などで大きな重荷を背負わされることにつながるのではないかと危惧しておりますが、総理、特に、ブッシュ大統領のお気に入りをアピールするのに絶大な効果を発揮したプールサイドでのお二人だけの会談はどのような内容だったのでしょうか。お伺いいたします。
 さて、アメリカはイラクの大量破壊兵器を理由に武力攻撃を行い、日本もこれを理由に米国のイラク攻撃を支持しました。しかし、いまだに肝心の証拠は見つかりません。
 米英両国でも情報機関へ風当たりが強まり、米上院軍事委員会と情報特別委員会は近く共同で米中央情報局の大量破壊兵器関連情報の調査に乗り出すとのことです。ウォルフォウィッツ米国防副長官は、大量破壊兵器の発見が役所の間で唯一合意できる点だったことから理由となったと語るなど、大量破壊兵器がただの口実にすぎなかった可能性が明らかになりつつあります。米国内でも、民主党などから、イラク攻撃の大義名分が不確かであったことを政治問題にする動きがあるようです。
 この問題は、単に米国だけの問題ではなく、同じ理由でイラク戦争を支持した日本の問題でもあります。イラクの大量破壊兵器疑惑がアメリカの自作自演にすぎなかったとすれば、米軍の占領下での復興への協力には何の正当性もないということになります。もちろん、イラクに自衛隊を派遣することなど、許されるはずもありません。(拍手)
 米国によるイラク復興への協力を約束する前に、大量破壊兵器疑惑の真偽を問いただすべきだと考えますが、総理はそう思われませんか。日米会談でこうした議論はあったのか、お尋ねいたします。また、日本としても独自にイラクの大量破壊兵器疑惑の検証を行うべきだと考えますが、そのお考えはないのか、お答えいただきたいと思います。
 次に、沖縄問題について伺います。
 首脳会談では、沖縄の負担軽減の重要性について一致したとされていますが、今後、具体的にどのような負担軽減がなされるかについては、言及されておりません。この言葉の意味は、現在進められているSACO合意の実施だけではなく、さらなる県民の負担軽減が必要だということなのですか、それとも、今までと同じく、SACO合意の着実な実施を進めるというだけのものなのでしょうか。沖縄の負担軽減の意味について、小泉総理の見解をお伺いいたします。
 日米首脳会談の直後に、米国防総省が沖縄駐留海兵隊の大幅撤収を含む米軍の大規模な再配置を検討しているということが報じられました。その中には、約二万人の海兵隊のうち一万五千人の撤退という案があると伝えられています。
 これが実現すれば沖縄県民の負担は大きく軽減されるはずであり、私は、ぜひとも、この機会を逃さず、海兵隊の大幅削減を実現していただきたいと考えております。首脳会談の際に、この在日米軍の兵力構成の見直しについて話し合われたのでしょうか。また、日本政府がこの選択肢に反対することはよもやあり得ないと思いますが、小泉総理の見解をお伺いいたします。
 次に、エビアン・サミットについてお尋ねいたします。
 今回のサミットには、中国が初めて参加しました。中国がこれからもサミットに参加し続けるのか、各国が今後中国にどのように対応していくことになるのか、今の時点では不確かなことが多いのですが、今後、中国の存在が大きくなることはあっても、小さくなることはないことは確かです。
 総理は、胡錦濤国家主席との会談で、両国間の幅広い交流・協力を一層推進していくことを確認されたとのことです。ことしは日中平和友好条約締結二十五周年、昨年は日中国交正常化三十周年でした。華やかな式典が行われましたし、予定もされています。その一方で、日中間には、靖国問題、歴史教科書問題など多くの摩擦要因が横たわっていますが、友好交流推進されようという総理は、これらの問題をどのように解決しようとされているのでしょうか。お尋ねいたします。
 このところ、中国は日本にとって経済的にも軍事的にも脅威だとする声が目立つように思います。私は、北東アジアの平和は日中両国の友好関係が成り立って初めて可能だと考えておりますだけに、最近の中国に対する論調には危惧の念を抱いております。
 総理にお伺いしますが、日本にとっての中国とはどのような存在なのでしょうか。友好的なパートナーなのでしょうか、それとも、日米共同で対決していく相手なのでしょうか。お考えをお聞かせください。
 ブッシュ大統領は、サミットを途中で切り上げて中東に向かいました。エビアン滞在はわずか二十六時間であり、退席後の代役も立てないなど、米国のサミット軽視の姿勢がはっきりと示されました。言いたいことだけを言って去っていったブッシュ氏の姿は、米国の単独行動主義と重なり、サミットの危機が浮き彫りになったとも言われます。
 このサミットでの米仏の関係は、一国中心主義で力を振りかざす米国と国際的な枠組みを重視するフランスのさや当てとも評されております。日本にとってサミットは貴重な外交舞台であることを考えると、米国の独善が突出することで多国間の枠組みの存在意義が否定されることは問題ではないでしょうか。
 日本は米国にただ追随するのではなく、国連やサミットなどの国際協調の構築と対米関係のバランスをとっていく必要があるのではないかと考えます。自国の思いどおりにならない国際的枠組みを軽視するブッシュ政権の行動に無批判に追随しながら、どのようにして国際協調を図るおつもりか、小泉総理の姿勢をお尋ねいたします。
 私は、アウン・サン・スー・チーさんが拘束された問題で、サミットの場で小泉総理がどのような発言をされるのか、期待しておりましたが、とうとう、何も聞くことはできませんでした。ミャンマー軍事政権によるアウン・サン・スー・チー国民民主連盟書記長の身柄拘束問題について、ブッシュ大統領は、エジプトで、即時釈放をすべきだと発言し、ブレア首相も、同様の発言を行いました。各国の首脳が人権問題に毅然とした対応を示す中、なぜ、小泉総理は身柄の即時釈放をミャンマー政府に求めないのでしょうか。
 私がこう申しますのは、川口外務大臣が、ミャンマー政府に対しては他のどの国よりも日本が物を言える立場にあると土井党首に語られたからです。ミャンマーに対して世界で最も発言力のある国のトップの地位にある小泉総理の発言は、世界のどの国よりも大きな影響力を持つと思います。
 今からでも遅くはありません。総理みずからが、ミャンマー政府に対して、直ちにアウン・サン・スー・チー書記長並びに拘束されている人々の身柄を解放し、政治活動の自由を保障するよう働きかけるべきではないでしょうか。お答えください。(拍手)
 エビアン・サミットでは、大量破壊兵器の拡散問題に関して取り組むことが確認されました。
 そのためには、何よりもまず、現在存在している核不拡散条約、生物兵器禁止条約、化学兵器禁止条約、ミサイル関連技術輸出規制など、大量破壊兵器の拡散に立ち向かうための国際的枠組みを強化して、実効性を高めていくことが必要です。国際テロの抑止に効果があると考えられる国際刑事裁判所規定にも早急に加入するべきであります。アメリカが、単なる戦争の口実としてではなく、真に大量破壊兵器の拡散を防ぐ意思があるなら、これらの国際レジームに対する敵対的態度を改めて、国際協調を図ることが必要です。
 日本政府は、今後、どのように大量破壊兵器不拡散の体制を守っていくおつもりでしょうか。CTBTの発効に向けてどのように取り組みをお考えか。ICCに対して加入するつもりがあるのか。軍縮、大量破壊兵器拡散阻止の国際的枠組みを軽視し続けるアメリカに対してどのように対応するつもりなのか、お答えください。
 最後に、経済問題について伺います。
 総理は、構造改革、デフレ対策を含め、日本経済の再生に積極的に取り組んでいることを説明されたということですが、各国首脳の反応はどうだったのでしょうか。日本の経済の状況については、突っ込んだ討論が行われたのでしょうか。また、困難に直面している世界経済についても、各国が協力して取り組もうという国際協調の重要性の認識を共有することができたということですが、具体的な解決の方向についてどのような話し合いが行われたのでしょうか。お尋ねいたします。
 サミットは、経済問題について先進国間の調整を図ることから始まったわけですが、サミットが経済問題に対して有効な対策を打ち出し得なくなってから、随分時がたちました。その歴史的使命が終えんしたと言われることもありますが、どうでしょうか。サミットを開催する積極的な理由はあるのでしょうか。サミットの意義と将来について総理の率直なお考えをお尋ねし、私の質問とさせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 東門議員にお答えいたします。
 私が訪米した際のクロフォード牧場のプールサイドでの話の内容についてでございますが、この会談については、外に出さないことになっておりますので、申し上げられません。
 現地で記者団に申し上げたとおり、私のエジプト、サウジアラビア訪問、アルカイーダの活動、イラク問題に関する各国の対応等につき、率直に話をいたしました。
 イラクの大量破壊兵器問題についてでございます。
 日米首脳会談で、イラクの大量破壊兵器疑惑については議論いたしました。国連の査察団が指摘している数々の疑惑にかんがみれば、イラクに大量破壊兵器が存在しなかったとは想定しがたいと考えます。現在、米英軍等による大量破壊兵器の捜索活動が実施されており、我が国としても、これを注視していく考えであります。
 日米首脳会談での沖縄に関する議論についてでございます。
 首脳会談では、私から、在日米軍施設・区域の七〇%以上が沖縄に集中している状況について説明し、沖縄の負担軽減の重要性につき、ブッシュ大統領と一致いたしました。政府としては、普天間飛行場の移設、返還を含むSACO最終報告の着実な実施等、沖縄県民の方々の負担軽減に最大限努力していく考えであります。
 在沖縄海兵隊の移駐に関する報道についてでございます。
 アメリカの国防省が報道のような案を検討しているとは承知しておりません。日米首脳会談でも、そのような案は協議しておりません。先般来日したウォルフォウィッツ国防副長官も、報道のような案がないことを確認しております。
 なお、在日米軍の兵力構成等の軍事態勢については、国際情勢の変化に応じて、日米両国間で緊密に協議していくべきものと考えます。
 今回の日中首脳会談を踏まえた日中関係についてでございます。
 今回の胡錦濤国家主席との会談では、本年が日中平和友好条約締結二十五周年であることも踏まえ、両国間の幅広い交流・協力を一層推進していくことの重要性を確認することができました。
 日中間では、戦前の一時期、対立の歴史がありましたが、長い歴史の中で見れば、友好の歴史の方がはるかに長く、今回の首脳会談におきましても、こうした点を踏まえつつ、未来志向の協力関係を発展させていくことで一致したところであります。
 日本にとって中国とはどのような存在であるかというお尋ねです。
 中国の発展は、我が国にとって脅威ではなくチャンスであると私は考えております。こうした点については、今回の日中首脳会談を含め、これまで、さまざまな機会に説明してきているところであります。
 我が国としては、こうした考えのもと、中国との間で幅広い分野における協力を一層推進していく考えであり、また、この地域の安定のためにも、日米中三カ国が引き続き良好な関係を発展させていくことが重要と考えております。
 我が国の外交姿勢と国際協調の必要性についてでございます。
 我が国は、国際社会全体の平和と繁栄の実現に向け、国際社会の主要な一員として、積極的かつ主体的な取り組みを行っていく考えであります。引き続き、世界の中の日米同盟の強化に努めるとともに、中国、ロシア、韓国等の近隣諸国等との二国間関係や、G8サミットや国連等の場における協力を強化していく考えであり、無批判な米国追随との御指摘は当たらないと思います。
 ミャンマー政府への対応についてでございます。
 我が国は、ミャンマーにおける事態を懸念を持って注視しており、ミャンマー政府がスー・チー女史ほかに節度ある対応をとり、自由な政治活動の確保を含め、速やかに事態を平常化するよう求める政府の立場を、事件後、直ちに明らかにしました。さらに、他国に先駆け、スー・チー女史を軟禁すべきでない旨、現地の大使からミャンマー政府に直接申し入れました。
 今後も、このような外交努力を継続してまいります。アメリカ、イギリスが言ったから同じようにやれということではないと思います。日本独自の、主体的な考えでやってまいります。
 日本の軍縮・不拡散政策等に関するお尋ねでございます。
 我が国は、米国を含めた国際社会に向けて、NPTの遵守・普遍化や包括的核実験禁止条約の早期発効に向けた働きかけ等、軍縮・不拡散分野で積極的な外交努力を行ってきています。今後とも、こうした現実的かつ着実な努力を継続していく考えです。
 また、国際刑事裁判所規定の締結については、引き続き検討を進めていく考えであります。
 エビアン・サミットにおける世界経済に関する議論についてです。
 御指摘のとおり、構造改革、デフレ対策への決意を私が改めて表明したのに対し、他の首脳より、我が国の改革努力を評価する旨の発言がありました。
 世界経済については、G8として成長についての強いメッセージを発出することの必要性については共通の認識がありました。この認識のもとで、主にマクロ経済運営と構造改革について議論し、経済成長の確保の重要性、そのための国内改革の必要性につき、意見の一致を見ました。
 サミットの意義と将来についてでございます。
 サミットは、主要国の首脳が国際社会の直面する喫緊の課題につき率直な意見交換を行う場として引き続き極めて重要であると考えます。今回のサミットにおいても、世界経済や開発、テロ、大量破壊兵器の拡散、中東和平、北朝鮮等の困難な問題について、各国が協力して取り組もうという国際協調の重要性の認識を共有することができたと考えております。このような意義は今後も変わらないと認識しております。(拍手)
    ―――――――――――――
副議長(渡部恒三君) 金子善次郎君。
    〔金子善次郎君登壇〕
金子善次郎君 保守新党の金子善次郎でございます。
 私は、自由民主党、公明党、保守新党を代表し、小泉総理のただいまの御報告に対し、質問をさせていただきます。(拍手)
 小泉総理におかれましては、先月末からの首脳外交を精力的にこなされ、多くの成果を上げたと伺っております。イラク戦争後の国際社会のあるべき姿を含め、今回の首脳外交の成果について伺います。
 まず、北朝鮮による日本人拉致は、人類普遍の原理である自由と民主主義の原則を踏みにじる、国家組織によるテロ行為であります。我が国政府には、拉致はテロ行為であるという認識があるのかどうか、改めて総理にお伺いします。
 拉致は、我が国国民に対する重大な人権侵害であるとともに、我が国の主権侵害であります。したがいまして、拉致問題の解決は我が国の外交における最優先課題であると言えます。
 今回のサミットにおいて、史上初めて、議長総括で、北朝鮮の拉致問題の解決が明記されました。拉致被害者及びその御家族の方々からすれば遅きに失したとはいえ、小泉総理の訴え、そして説得の成果であると評価いたします。
 日米首脳会談において、ブッシュ大統領からは、拉致されたすべての日本人の行方が解明されるまで米国は日本としっかり連携するとの力強い意思表明があったとのことでございますが、総理は、この問題の解決に向けてG8各国首脳にどのように訴えかけ、各国首脳からどのような手ごたえが得られたのか、お伺いいたします。
 また、北朝鮮の核兵器開発・保有は、世界の平和と安定を求める国際社会への挑戦であります。朝鮮半島の非核化は、我が国を初めとする東アジアの国々の安全保障にとって、放置することのできない極めて重要な課題であります。北朝鮮が核兵器開発と保有を放棄することは、拉致問題の解決とあわせて、北朝鮮が国際社会の一員として受け入れられるための最低限の要件であります。
 四月にチリで開かれました列国議会同盟、IPUサンティアゴ会議に、日本からは、瓦力衆議院議員を団長に、九名の国会議員が参加いたしました。保守新党からは山谷えり子議員が参加し、追加議題起草委員と本会議での報告委員を務めましたが、北朝鮮問題を背景として、大量破壊兵器である核兵器等の不拡散の重要性を、参加した百十五カ国、五百七十九名の国会議員に強力な働きかけと訴えを行い、一つしか選ばれない追加議題として選択され、決議案を採択することができました。
 このような議員外交や、拉致被害者家族、救う会の皆様の粘り強い活動によって、各国の政府や議会関係者に、北朝鮮問題の認識が確実に高まってきております。
 今回のサミットにおいては、朝鮮半島の非核化実現に向けて、どのような議論がなされ、どのような対応がなされることになったのか、そして同時に、総理自身はどのように対応されるのか、お伺いいたします。
 次に、サミットでの経済分野の討議において、ブッシュ米国大統領は、米国の強いドル政策は変わらない旨の発言をされたと承知いたしております。先月末の日米首脳会談においても、ブッシュ大統領は、強いドル政策の維持を表明されましたが、米国経済は財政赤字そして経常収支赤字の拡大による双子の赤字の問題が懸念されており、実際には、弱いドル政策を指向しているのではないかとの意見も聞かれます。
 総理は、円は実態より高く評価されているのではないかと思う旨発言されたとの報道もあります。為替変動は、我が国の企業業績にも大きく影響を及ぼす重要な問題であります。民間の研究機関の調査によれば、五%の円高となった場合、全産業で六千百十九億円の減収になるとの試算もあります。
 この為替問題について、さきの日米首脳会談の場ではどのような議論がなされ、また、ブッシュ大統領の表明した方針に沿って日米がどのように協調していくべきか、総理のお考えをお聞きいたします。
 もともと、この問題は、昨年来の新しい連立政権の枠組みを形成した会議の際にも重要な論点でしたが、本年一月に小泉総理が国民に示した、持てる政策手段を総動員するのだという強い決意、ぜひその方向で経済政策を進めていただくことを切望いたします。
 為替問題に関連いたしまして、お伺いいたします。
 今回のサミットでは、日程の一日を割き、中国そして新興・途上国やアフリカの首脳との拡大対話が行われました。中国は、一昨年にWTOにも加盟しており、国際社会における地位を着実に築いてきております。国際社会における地位には、当然、ルールに基づく責任が伴うものであります。
 今日、中国経済の世界経済に対する影響は小さくありません。現在、中国の通貨、元は、管理変動相場制となっておりますが、これを変更することは議題として上がったのかどうか、また、この問題についての政府の姿勢をお伺いいたします。
 次に、サンクトペテルブルクにおけるプーチン大統領との日ロ首脳会談では、エネルギーを初めとする経済分野での協力について話し合われたと承知いたしておりますが、具体的にどのような成果があったのか、お伺いいたします。
 他方、真の日ロ関係発展のためには、領土問題の解決が不可欠であると考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 最後に、イラク復興問題についてお伺いいたします。
 イラクの復興や周辺地域の安定のために、日本が国力にふさわしい形で支援することは、我が国の外交にとって極めて重要な事柄であります。イラクに対して、必要ならば自衛隊を派遣し、復興に積極的に貢献すべきであると考えます。そして、そのために必要であれば、新たな法制を整備することを含め、政府として対応策を真剣に検討すべきであると思います。この問題に対する総理のお考えをお伺いいたします。
 さて、このたびの日米首脳会談からエビアン・サミットに至る一連の首脳外交において、さきに述べましたように、ブッシュ大統領からは、強いドル政策を維持するとの発言を引き出し、サミットの議長総括には、核と拉致の包括的解決を支持するとの文言を盛り込ませるなど、大きな成果を上げられました。
 国民の生命財産を守ること、そして領土を保全するという政治の最も基本的な事柄を尊重し重視する外交を展開し、誇りある日本の再生のため、引き続き総理の御活躍を御期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 金子議員にお答えいたします。
 激励を込めた御質問に感謝申し上げます。
 拉致問題についてでございます。
 北朝鮮による拉致は、国民の生命と安全に大きな脅威をもたらすことから、普通には、テロと言えると思います。
 今次サミットにおいて、私は、核問題同様、拉致問題も重要である、イラクへの対応と異なり、拉致問題を含む懸案の包括的、平和的解決を追求する旨強調し、各国の強い支持を得ました。この点は議長総括にも反映されております。
 サミットにおける朝鮮半島の非核化に関する議論についてでございます。
 今次サミットにおいては、北朝鮮の核問題等について、北朝鮮に対し、検証可能かつ不可逆的な形で核兵器計画を廃棄することを強く求めていくことで一致いたしました。
 我が国としては、北朝鮮に対し、国際社会の責任ある一員として誠実に対応するよう、引き続き強く求めていく考えであります。
 為替についてでございます。
 さきの日米首脳会談におきまして、私から、円相場について、日本経済が厳しい状況の中で通貨が上昇していることは、過去、世界の例でもなかったということを申しました。これに対し、ブッシュ大統領より、我々は強いドルを望んでいるという発言があり、私は、歓迎するという発言をし、今後とも、日米間の連絡を密にしつつ、為替市場をよく注視し、必要に応じて適切な措置をとってまいりたいと思います。
 また、中国の為替制度については、サミットでは議題に上がりませんでした。
 なお、既に相当の規模となった中国経済のあり方は重要な問題と認識しており、御指摘の人民元の問題を含め、中国経済をめぐる諸問題については、二国間や多国間の場でいろいろと議論していくことが重要であると考えます。
 日ロ首脳会談における経済分野での成果につきお尋ねがありました。
 日ロ首脳会談では、サハリン・プロジェクトを初めとするエネルギー分野における協力の進展を歓迎いたしました。特に、ナホトカ・パイプラインについては、日ロ両国にとっての戦略的重要性を確認し、実現に向け協力を推進していくことで一致いたしました。
 北方領土問題についてでございます。
 我が国としては、日ロ行動計画の着実な実施を図っていく中で、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、もって日ロ関係を完全に正常化させることが必要と考えております。
 先般の首脳会談でも、私は、この点につき発言し、プーチン大統領より、日ロ関係の重要性にかんがみ、この問題を解決したいとの強い気持ちが示されました。
 イラク復興についてでございます。
 我が国は、国際協調のもと、イラクが一日も早く再建され、イラクの人々の生活が正常化するよう、速やかにできる限りの措置を講じていく考えであります。我が国として何ができるかについては、我が国の国力にふさわしい貢献を行うとの観点から、今後、主体的に検討を行ってまいります。(拍手)
副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十九分散会


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