衆議院

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第41号 平成15年6月17日(火曜日)

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平成十五年六月十七日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三十号
  平成十五年六月十七日
    午後一時開議
 第一 公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第二 担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会期延長の件

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    午後六時二分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 会期延長の件
議長(綿貫民輔君) 会期延長の件につきお諮りいたします。
 本国会の会期を七月二十八日まで四十日間延長いたしたいと存じ、これを発議いたします。
 本件につき討論の通告があります。順次これを許します。藤村修君。
    〔藤村修君登壇〕
藤村修君 民主党の藤村修でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議長から発議されました四十日間の会期延長に対し、反対の立場で討論を行います。(拍手)
 反対する第一の理由は、国会運営のルールに関してであります。
 通常国会の会期は、国会法にも定められているとおり、百五十日でございます。特別国会、臨時国会には会期の定めがなく、通常国会についてだけ、会期が定められています。この点を考えるなら、内閣は、法案提出に当たって十分に計画し、法案を会期内で成立させるに十分な審議時間を確保する責務があります。
 もちろん、与野党がともに合意するような緊急かつ重大な法案で、その審議が会期内の時間で足りないといった場合には、会期延長もあり得るでしょう。そのために、通常国会についても、一度だけ、会期延長が認められています。
 しかしながら、今回のような、いわゆるイラク復興支援特別措置法あるいはテロ特措法改正案など、国民的議論を巻き起こし、慎重かつ十分な審議が必要な法案を、政府・与党の都合だけで、会期延長を当然のことと考え、はかったごとくに会期末に提出するようなやり方が常態化するならば、これは会期制の意味を全く失ってしまいます。会期という定められた時間の中で議論するというのが、国会運営上の最低限のルールであります。
 衆参両院では、会期末ということで、多くの議員が本当に精力的に法案審議をしております。それは、定められた会期の中でできる限りの審査をしようという真摯な態度と努力のあらわれであります。もし、ここで会期の延長をするということであれば、一体何のために努力しているのか、大変むなしくなります。政府・与党は、この矛盾をどのように説明されるおつもりでしょうか。
 反対する第二の理由は、今回の会期延長が余りにも与党、とりわけ自民党の御都合主義によるものだからであります。
 政府・与党は、この延長を、いわゆるイラク復興支援特別措置法等を審議するためと位置づけていらっしゃいます。もちろん、イラクの復興支援を進めることは大切であります。しかし、問題は、ここに至る経過であります。
 イラクの復興支援問題は、与党内、特に自民党内の党内政局の道具と化し、イラク復興支援で日本として何が求められているのか、そのために新たな法律の制定が本当に必要なのかどうかなどといった肝心の論議は置き去りにされ、国会終了後をにらんだ党内の駆け引きに終始していたのであります。政府・自民党は、このような政争を繰り広げたあげく、ばたばたと法案提出に踏み切ったのであります。
 提出された法案の審議は、短時日で済むものではありません。各政党においても、イラクにおける支援のあり方等について、場合によっては現地調査を行い、さまざまな情報収集など、地についた活動と党内論議が必要であり、国会審議には十分な準備が必要であります。
 そのためには、今国会を一たん閉じて、改めて臨時国会を召集し、審議すべきであります。その間に、政府におかれても、国際社会における日本の役割を精査し、内容を再考した上で法案を出し直すことも必要ではないでしょうか。(拍手)
 ところで、イラクにおける戦争を正当化する理由として、イラクの大量破壊兵器の存在というものがございました。この大量破壊兵器は、いまだに発見されていません。戦争の大義が揺らいでいる中、小泉総理は、フセイン大統領が見つかっていないからといってフセイン大統領がいなかったと言えるのかなどと、余りに的外れの説明しかしておりません。
 小泉総理は、もっと真摯に説明責任を果たすべきであります。その説明さえないままにイラク復興支援法案の制定を目指すなど、まさに本末転倒であります。自民党内においてさえ、この件についての理解は得られず、結果として、大量破壊兵器処理の支援活動の項目を削らざるを得なかったではありませんか。
 反対する第三の理由は、会期延長の目的であります。
 本来ならば、今通常国会は、最重要課題として、混迷を深める経済問題に取り組むべき大切な国会となるはずでした。国内には、さまざまな問題が山積しています。不良債権処理など金融問題への取り組みは、りそなグループへの公的資金注入という皮肉な形で国民の前にその姿をあらわしました。また、深刻な雇用失業にも、国を挙げてその対策に着手すべきときであります。
 小泉総理は国民に痛みを与えただけで、総理がなし遂げようとした構造改革は既にとんざしています。小泉内閣のもとでは、国民の負担は増すばかりであります。総理の構造改革路線の旗印であったはずの道路公団民営化推進委員会や地方分権改革推進会議においても、いずれも、総理の決断は下されないまま混乱をきわめ、構造改革どころか、内閣の破綻あるいは与党と内閣の不一致が見え隠れしています。
 さらに、政治と金の問題です。与党は、もはや、この問題についての自浄能力さえも失っているかのようであります。
 民主党を初め野党四党は、暴力団関係者とのかかわりが明らかとなった松浪健四郎議員の議員辞職勧告決議案を提出していますが、与党は、政治倫理審査会での弁明だけで決着させようとしています。また、与党は、政治資金規正法見直しで、献金の公開基準を緩和させるという、政治改革に全く逆行する方針を決めました。
 これらのことが国民の政治への不信を一層強め、国会の権威と名誉を大いに失墜させていることを自覚すべきであります。
 もし、会期を延長するなら、徹底した景気・経済・雇用対策の論議を目的とするべきであります。そして、政治と金の問題についても、国民にわかりやすい決着を図るべきであります。それなら検討の余地はありそうです。しかし、残念ながら、政府・与党には、その姿勢のかけらもありません。
 こうした目的意識の面でも、今回の会期延長は全く無意味であると言わざるを得ないのであります。
 民主党は、本通常国会において、すべての国会審議に全力を注いでまいりました。国会論戦を活発にさせ、審議を深めることが野党第一党としての責任と役割だと考えるからです。重要法案には常に対案を示し、十分な委員会審議をするよう要求してきました。その成果の一つは、長年の懸案であった有事法制関連法案で、これは、修正の上、可決成立しました。
 しかしながら、今回の会期延長は、既に申し述べました理由で、必要性や正当性のかけらも感じることができません。
 最後に付言しますが、今回の会期延長については、綿貫議長から、議院運営委員会に対して、異例の御注文がありました。それは、イラク復興支援特別措置法が今なぜ必要なのか、国民に十分にわかってもらう必要がある、政局とか党利党略とかと見られているのでは困る、また、法案を出す以上はスムーズに審議できるように与野党がよく話し合ってほしいなどとのことでございました。(拍手)
 これを受けて、議院運営委員会において、きょう、議論が始まったばかりであり、議長に対する答申を出すまでにはまだまだ協議が必要な中での本会議において会期延長の件を取り扱うのは大変拙速であることも申し添え、民主党は今回の会期延長に断固反対であることを再度表明して、私の反対討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 佐藤静雄君。
    〔佐藤静雄君登壇〕
佐藤静雄君 自由民主党の佐藤静雄です。
 私は、自由民主党、公明党及び保守新党を代表いたしまして、ただいま議長から発議されました今国会の会期を七月二十八日まで四十日間延長する件について、賛成の討論を行います。(拍手)
 去る一月二十日に第百五十六回通常国会が召集されて以来、冒頭には、切れ目なく現下の経済情勢に対応するため、平成十四年度補正予算と平成十五年度予算を審議し、引き続いて、国家の基本をなす個人情報保護関連法や武力攻撃事態対処関連法などの数多くの重要法案や、構造改革関連法案などを審議してまいりました。
 これらにより、国会は二十一世紀にふさわしい日本の仕組みをつくり、あわせて、日本経済の再生と発展にも寄与するものと考えております。議員各位の、国を憂い、国民を思う真摯な議論に、心から敬意を表するものであります。
 しかしながら、今国会中の三月二十日に始まったイラクへの米英軍等による武力行使の結果、フセイン政権が崩壊するという新たな事態に対し、我が国も、主体的かつ積極的に国際貢献を行うこととなりました。国際社会も、イラクの復興に着手を始めました。五月二十二日の国連決議一四八三を受け、我が国も、イラク国家の速やかな再建を図るため、被災民を中心としたイラクの国民生活の安定と向上、民主的な統治組織の設立に向けた支援などの国際社会の取り組みに対し、速やかに対応することが急務であります。
 したがって、次の臨時国会を待つまでもなく、直ちに人道復興支援活動及び安全確保支援活動を行うとしたイラク支援特措法及びテロ対策特措法を審議し、派遣の準備を整えることが肝要であります。
 一方、今国会には、審議すべき法案が、内閣提出法案は継続を含めて百二十六件、議員提出法律案は継続も含めて八十九件、その他を合わせて、何と二百四十六件にも上ります。しかしながら、成立した議案は百二十三件にすぎず、いまだ審議中の議案は百十一件が残されております。残された法案には、国民生活に関連した法案や構造改革関連の法案などが数多く残っております。また、延長になれば与野党が共同提出を予定している、やみ金融業対策法や死刑制度調査会設置法などの議員立法が十件以上あると聞いております。
 かかる観点から、四十日間の会期延長は、必要不可欠、最小限の日数であります。国会法第十二条に、常会にあっては一回の会期の延長を許されていることは言うまでもありません。
 これらの緊急かつ重要な法案を残したまま、会期を閉じるわけにはいきません。報道されているような、一部野党の、一切の審議を拒否すべきという考え方は旧態依然とした考え方であり、政権を担うというのであるならば、進んで審議に参加して、堂々と議論を闘わすべきであります。(拍手)
 以上申し上げましたとおり、国政を担う責任与党として、会期延長に関する議長の提案に賛成の意を表し、私の討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 西村眞悟君。
    〔西村眞悟君登壇〕
西村眞悟君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました本国会の会期延長について、反対の立場から討論いたします。(拍手)
 まず第一に、我々立法府は、法の定めた規則とシステムにのっとって運営されるべきところであります。
 国会法は会期制度を定めており、第十条において、常会の会期を百五十日と定めているのであります。このことは、与野党にあらかじめ会期を指定しておいて、計画的に国会を運営すべきことを促して、立法府の秩序を確保しようとするものであり、この観点から、あらかじめ指定された会期は国会秩序のかなめというものであります。これは、特に与党における、多数を頼んだ場当たり的な国会運営を排除する趣旨に出たものであり、法案審議の前提としての国会の権威と秩序維持の制度であると思料されるのであります。
 つまり、あらかじめ会期を定めた趣旨は、だらだらと国会を惰性で続けずに、めり張りをつけて運用すべし、会期末に、与党内で意見の対立が妥協によって解消したので法案を提出するようになった、だから延長が必要だというような、与党内事情で延長するような国会運営が入る余地をなくしているのが国会法であります。
 もちろん、国会法は常会の会期を一度延長できると規定しておりますけれども、会期制度の以上の趣旨から見れば、この常会の延長は、緊急性の高い事態が突然発生した場合のやむを得ない措置に限るとみなさなければなりません。
 さらに、これは特殊事情でございますが、小泉内閣と現下の内外情勢にかんがみるとき、国会の会期制度は新たに重要な特殊な意義を付与されているというべきであります。
 すなわち、小泉内閣は、デフレ下で不良債権処理を強行しておる内閣であります。しかし、デフレ下で不良債権が処理できるはずがありません。それは、国民の生活実感や株価や地価が既に証明しております。すなわち、小泉内閣の言う不良債権処理なくして景気回復なしは誤りであるという答えであります。
 デフレはますます加速しております。当たり前であります。不良債権を処理するためには、土地を売らねばなりません。しかし、銀行はBIS規制に縛られて、土地を買う人に融資できにくくなっているのであります。一方で土地を売る圧力をかけ、他方で土地購入を困難にしている。地価は下がり続けます。株も同様であります。これでは、デフレはおさまるどころか、深刻度が増すばかりであります。
 そして、処理された不良債権額以上の不良債権が新たに発生しているのであります。これでは、早晩、郵便貯金は民営化されても、全銀行は国営化されるではありませんか。これが、小泉内閣の行く手にある漫画のような逆説であります。
 つまり、小泉内閣の政策は完全に間違っている。逆噴射で日本経済を地面にたたきつけている内閣だと言っても言い過ぎではありません。まさに景気回復を実現しない限り金融問題の解決や財政再建もあり得ないのに、小泉内閣は、驚くべきことに、まさにこの逆をしているのであります。これは、ほとんど、日本に対する敵意を持った内閣であり、企業生活と国民生活の解体内閣と言っても過言ではありません。(拍手)
 ところが、この小泉内閣の精神的特徴は、偏執的に同じスローガンを掲げ続けることと同時に、非を認めない、自画自賛する、ごまかす、であります。この内閣によると、大型の倒産も構造改革なのであります。毎年三万人の働き盛りの方々の自殺も構造改革になりかねません。
 よって、もうおわかりのことと存じますが、このような内閣のもとでの国会の会期制度とは、つまり、頭を冷やす、冷静さを取り戻す、さらに、いま一度立ちどまって日本経済の現実を見詰めるという重要な絶好の機会ではありませんか。
 国会内の党派に分かれた言葉から、会期が終わるのでありますから、一度解放され、現実の国民の言葉の中に入り、次に、志を新たにして、エネルギーを蓄え、拉致被害者救出のためにも、我が国の閉塞状態を打ち破るための臨時国会に臨もうではありませんか。(拍手)
 国会内では、与党議員諸公は、国会内のルーチンワークに追われて、小泉内閣は間違っているのではないかとはなかなかじっくり考えにくく、議院内閣制でありますから、全体として内閣のすることには賛成の声を合わせることしかできないのでありますが、ここから解放され、二十四時間、国民の声が聞ける時間を、今、会期終了により与えられることは、はかり知れない意義があると私は思うのでございます。
 政府が会期延長の主な理由としているイラク新法については、前からその必要性の是非が議論になっておりました。本当に政府がこれらの法案を必要と考えていたのであれば、早くから国会に提出し、堂々と議論を求めるべきでありました。
 さらに言えば、自由党がかねてから主張するように、安全保障の原則をきちんと定めておけば、問題はなかったはずでございます。
 さらに、この会期延長には、与党、自民党内の内閣改造、党役員人事への思惑というお家事情が絡んでいるのでございますが、会期延長の是非をどうするか、会期幅をどうするかという議論が、会期延長を決めたはるか以前から、与党内であちこち語られておりました。この議論に必ずついてきたのが、次期自民党総裁選挙、自民党役員人事、内閣改造といったものでありました。
 このように、会期延長自体が自民党政治の党利党略に利用されておるのでございます。政策論議などはそっちのけでありまして、国民のためであるはずの国会運営を党利党略に使おうとするなど、まさに言語道断であり、国民をばかにした行為と言わざるを得ません。立法府に定められた秩序を無視するものであります。
 よって、以上の観点から、自由党は、国会の会期延長について反対いたします。(拍手)
 また、政府・与党が主張するように、どうしても国会会期を延長し、イラク新法や処理し切れなかった他の法案を審議したいというのであれば、自由党や他の野党などが提出しながらもたなざらしになっている数々の議員立法や、我が国独自の判断で行える北朝鮮に対する経済制裁法、また、北朝鮮の船の我が国入港禁止の法律の成立、さらに、我々野党が主張している大島元農林水産大臣の秘書疑惑、木村厚生労働副大臣の不正献金疑惑などに関する参考人招致も同時に行うべきであるということを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 穀田恵二君。
    〔穀田恵二君登壇〕
穀田恵二君 私は、日本共産党を代表して、第百五十六通常国会の会期を四十日間延長することに断固反対の討論を行います。(拍手)
 会期延長問題に当たって、まず、今通常国会がどういう国会だったのかが問われなければなりません。
 この国会に求められたのは、第一に、深刻な不況と行き詰まる経済のもとで、国民生活を守り、日本経済を再建する道筋をつけることであります。同時に、アメリカのイラク戦争のもとで世界の平和秩序が鋭く問われたのであります。私は、このことを今国会冒頭に問うたのであります。
 ところが、小泉内閣と与党三党は、国民負担増の中止、健康保険本人三割負担の凍結を求める国民の声には一顧だにせず、不良債権早期処理策を最優先し、中小企業の倒産と失業者の増大を招き、日本経済の破綻を一層深刻なものにしたのであります。
 イラク問題では、国連による大量破壊兵器の査察を継続し、平和的・外交的手段による解決を求める圧倒的な国際社会の世論を無視し、国連憲章違反の米英によるイラク戦争に対して、小泉内閣はいち早く戦争支持を表明し、国会では、アメリカがアジアで起こす先制攻撃戦争に自衛隊が武力行使で参加し、国民を総動員する体制をつくる武力攻撃事態法を押し通したのであります。
 しかし、小泉内閣の進めるこの道は、世界の平和の流れに逆行するものでしかありません。世界での未曾有の反戦・平和運動やアジア諸国からの憂慮と批判の声、憲法の平和原則を守れという日本国民の世論こそ多数であることが証明しています。
 これ以上、国民と乖離し、国会内での多数を頼んで国民生活無視の悪法を推進することはやめるべきであり、憲法九条のじゅうりんを許さない、このことが今、国会に求められているのであります。(拍手)
 今国会は、憲法と国会法の原則に従って、会期を閉じるべきです。憲法は、議会制民主主義の基本として会期制の原則を定め、国会法第六十八条は、「会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しない。」と定めています。法案が会期末において審議未了であれば廃案となるのは当然であり、政府・与党は、この定めを厳守すべきであります。
 労基法改悪案、国立大学法人法案、人権擁護法案、そして生命保険の利率引き下げ法案など、今なお成立していない法案は、審議を通じて重大な問題点が明らかになり、それに対して国民的な批判があるからであります。
 政府がどうしてもこれらの法案の成立を図りたいというなら、国会を一度閉じて、国民の声にこたえるものに内容を練り直し、改めて国会に提出する、これが議会制民主主義の最低限のルールであることを強く指摘するものであります。(拍手)
 ましてや、会期末に新たな法案を持ち出して、それを理由に会期を延長するなど、もってのほかであります。
 政府・与党は、会期の四十日間延長によってイラク特別措置法案とテロ対策特別措置法の延長法案を必ず成立させるとしていますが、絶対に容認できません。
 小泉内閣は、イラク特措法はイラク復興のためだと称していますが、その内容は、米英軍による無法なイラク戦争と軍事占領を追認し、米英を中心とする軍事占領に日本の自衛隊を合流させようというものであります。
 イラク国民の軍事占領に対する反感は非常に強く、依然として戦闘行為が続いています。法案は、非戦闘地域の支援に限るとしていますが、現実には、戦闘地域と非戦闘地域を区別することは不可能です。軍事占領軍に参加する自衛隊は、イラクの国民に銃口を向けることになるのであります。武力の行使を禁止し、交戦権を認めない日本国憲法に真っ向から反することは明白であります。
 しかも、こうした自衛隊のイラク派兵を求める声は、イラクの国民からも、国際社会からもありません。ブーツ・オン・ザ・グラウンドと、米ブッシュ政権が求めているだけであります。
 かかる憲法違反の疑いのある重大な法案を、会期末に、国民からの請願受け付けを締め切った二日後に提出し、与党の多数の力で会期を延長して押し通そうというやり方は、議会制民主主義からいって到底許されるものではありません。イラク特措法案は、その内容からいっても、その手続においても、絶対に許されないものであります。(拍手)
 皆さんに訴えたい。
 イラクの復興のために、国際社会に何が求められ、日本は何をなすべきか。今こそ、冷静に考えるべきであります。与党内からは、イラク戦争に賛成した流れからいって自衛隊派遣は当然だという意見も出されていますが、果たして、それでいいのか。
 イラク問題をめぐって、アメリカでもイギリスでも、イラク戦争の最大の口実とされた大量破壊兵器がいまだに見つからないことが問題にされているではありませんか。イラクを軍事占領するアメリカの新植民地主義が世界で大問題となっているのであります。
 イラク国民がみずからの手で国を再建し、復興するためには、米英軍による軍事占領支配ではなく、国連が中心的役割を果たすことが不可欠であります。政府が、イラクの復興支援を言うなら、このことをまずアメリカに要求すべきであります。アメリカの言うままに軍事占領軍へ自衛隊を派兵することは、イラク国民の意思を尊重した真の復興に逆行する極めて有害なものであり、断じて許されません。(拍手)
 また、テロ特措法の二年延長も何をか言わんやであります。
 この一年半の間、自衛隊補給艦から米軍艦船などに給油された燃料は約三十万キロリットル、約百十一億円に上りますが、自衛隊の活動内容の全容は国民には明らかにされず、また、イラク攻撃任務の米軍への補給の疑惑も解明しないまま、ずるずると二年延長を提案する小泉内閣の姿勢そのものが厳しく問われていることを指摘するものであります。
 最後に、この十年余、歴代内閣の中で、二年連続で通常国会の大幅な会期延長を企図し、強行しようとしているのは、小泉内閣だけであります。ましてや、政局に絡めて会期延長を云々するなどとは、まさに常軌を逸した国会運営と言わなければなりません。
 以上、アメリカの軍事占領に自衛隊を合流・参加させる、憲法違反の明白な法案を押し通すための国会会期の大幅延長に断固反対することを再度表明し、討論とします。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 菅野哲雄君。
    〔菅野哲雄君登壇〕
菅野哲雄君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、会期延長に怒りを込めて反対する立場で討論を行います。(拍手)
 初めに、私は、小泉総理や与党がなぜそれほどまでに会期延長に固執するのか、その理由が全くわかりません。総理並びに与党は、何よりも国民に対して、一体、なぜ、何のために会期を延長しなければならないのか、わかりやすく説明すべきでありました。
 与党は、野党に対して、二十九本の審議未了の法案が残っているとか、国際貢献が求められているのでイラク新法を成立させなければならないなどと理屈をこね回していますが、これが会期延長の理由になるなどとは到底思われません。
 立法府の長である綿貫衆議院議長も、イラク復興支援特別措置法案が今なぜ必要なのか、政局とか党利党略とかと見られるのであれば困るとおっしゃっているではありませんか。
 意味するところは明白です。すなわち、イラク新法には会期延長してまで成立させるという緊急性や必要性は全くないこと、会期を延長するというのは総裁選をにらんだ党利党略以外の何物でもないということです。
 国民とは全く関係のないところで、しかも、緊急性も必要性もないにもかかわらず、無理やり理屈をこじつけて会期の延長を図ること、これは国会を私する行為であって、小泉総理や与党の姿勢は絶対に認めることはできません。(拍手)
 二十九本の法案が審議未了だという理由も笑止千万です。過去の通常国会においても、審議未了、廃案となった法律案は数え切れないくらいあるではありませんか。審議未了の法案があるにもかかわらず会期を延長しなかった歴代の総理は、小泉総理からすれば、無能だったということになるのではないでしょうか。決してそうではありません。歴代の総理は、小泉総理よりも、国会運営の手法においてはるかに民主的だったのであります。
 しかも、今回、法案が審議未了に立ち至ったのは、ひとえに、小泉総理や与党の国会運営のまずさに起因しているのであって、延長の理由には当たりません。
 例えば、保険業法案であります。保険契約者が保険会社との信頼の上に結んだ利率契約を保険会社の一方的都合によって引き下げられるという法案を、小泉総理と与党は、どさくさに紛れて提出しました。なぜ、このような法案を成立させなければならないのでしょうか。明らかに、国民に対する、保険契約者に対する背信であります。
 国会も、異常な状況が続きました。
 大島前農林水産大臣をめぐる疑惑では、国民的批判が高まっているにもかかわらず、小泉総理は、何ら手を打とうとしなかったばかりでなく、傍観者的態度に終始したのであります。
 また、森山法務大臣に至っては、委員会でうその上にうそを重ねた答弁を繰り返しても、小泉総理は、これを何ら問題にもしませんでした。このようなことで法案の審議が進むはずがありません。私は、なぜ森山法務大臣が今もって大臣の座にあるのか、全く理解できません。
 責任を持って対応すべき問題には全く対応せず、党利党略のためであれば必要のないことでも強引に進めるという小泉総理の独断的姿勢には、怒りを禁じ得ません。(拍手)
 与党が必要だとしているイラク新法ですが、百歩譲って、いや、千歩譲ってそれが必要だと仮定しても、それを会期末に提出し、審議時間がないからといって会期を延長するなどという勝手きわまりないやり方が、許されていいはずはありません。
 会期は国会法で定められているのであって、延長しないことが国会の通常の姿であります。どうしても延長が必要だというのであれば、与野党で全会一致の合意を図るべきであり、一会派でも反対があれば延長はあきらめるのが普通であります。与党が会期延長を一方的に決めていいのであれば、国会法は必要ありません。
 今回のイラク新法については、明らかに憲法に違反しているのであります。
 総理は、米英軍の占領統治下にあるイラクに自衛隊を送り込んで、何をするつもりなのでしょうか。何をするかも、何をやったらいいのかもわからず、法案だけを提出して対応は後で考える。何をやるかはわからないが、自衛隊が武器の搬送を行うことだけは明確にされている。総理は、このような理不尽なことがまかり通ると思っているのでしょうか。
 私には、総理や与党が会期をごり押ししてまで延長する必要性があるとは思われません。与党の理屈づけには根本的な無理があります。断じて納得することはできません。
 以上、会期延長に対する反対の意見を申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 会期を七月二十八日まで四十日間延長するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、会期は四十日間延長することに決まりました。
     ――――◇―――――
下村博文君 議事日程は延期し、本日はこれにて散会されることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 下村博文君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時四十三分散会


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