衆議院

メインへスキップ



第13号 平成16年3月11日(木曜日)

会議録本文へ
平成十六年三月十一日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第六号

  平成十六年三月十一日

    午後一時開議

 第一 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名

 日程第一 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件

 金融機能の強化のための特別措置に関する法律案(内閣提出)及び預金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに金融機能の再生のための緊急措置に関する法律等の一部を改正する等の法律案(五十嵐文彦君外二名提出)及び金融再生委員会設置法案(五十嵐文彦君外二名提出)の趣旨説明及び質疑


このページのトップに戻る

    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名

議長(河野洋平君) 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名を行います。

小渕優子君 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名については、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。

議長(河野洋平君) 小渕優子君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 議長は、中央選挙管理会委員に

      坂田 桂三君    浅野大三郎君

      後藤  茂君    足立 良平君

   及び 猪熊 重二君

を指名いたします。

 また、同予備委員に

      元宿  仁君    今井 正彦君

      西川  洋君    尾崎 智子君

   及び 鳥居 一雄君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

 日程第一 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件

議長(河野洋平君) 日程第一、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長米澤隆君。

    ―――――――――――――

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔米澤隆君登壇〕

米澤隆君 ただいま議題となりました日米租税条約につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 昭和四十七年に締結された現行租税条約が締結以来相当年を経ていることから、これにかわる新たな租税条約を締結するため、平成十三年以降交渉を行い、その結果、平成十五年十一月六日にワシントンにおいて、この条約の署名が行われました。

 本条約は、これまでに我が国が諸外国との間で締結してきた租税条約と同様、OECD条約モデルを基本として、所得に対する国際的な二重課税を回避し及び脱税を防止することを目的としつつ、日米両国の緊密な経済関係を反映して、積極的に投資交流の促進を図るために、投資所得に対する源泉地国における税率の上限を全体的に引き下げるとともに、一定の親子関係にある会社間の配当、一定の金融機関が受け取る利子及び使用料を免税とする措置、また、条約の特典の濫用を防止するための措置等について定めております。

 本件は、去る二月二十七日に外務委員会に付託され、三月二日川口外務大臣から提案理由の説明を聴取し、引き続き質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。次いで、十日に討論を行った後、採決を行いました結果、賛成多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。(拍手)

     ――――◇―――――

 金融機能の強化のための特別措置に関する法律案(内閣提出)及び預金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに金融機能の再生のための緊急措置に関する法律等の一部を改正する等の法律案(五十嵐文彦君外二名提出)及び金融再生委員会設置法案(五十嵐文彦君外二名提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、金融機能の強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案並びに五十嵐文彦君外二名提出、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律等の一部を改正する等の法律案及び金融再生委員会設置法案について、趣旨の説明を順次求めます。国務大臣竹中平蔵君。

    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕

国務大臣(竹中平蔵君) ただいま議題となりました金融機能の強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、金融機能の強化のための特別措置に関する法律案について御説明申し上げます。

 現下の経済情勢のもと、地域経済の活性化等が課題となる中で、我が国の金融機関等においては、企業再生や不良債権問題への対応など、リスク対応のための体力を高めることが重要となっております。

 こうした状況に対応して、金融機能の強化を図るため、金融機関等の資本の増強等に関する特別措置を講ずることにより、金融機関等の業務の健全かつ効率的な運営及び地域における経済の活性化を期し、もって信用秩序の維持と国民経済の健全な発展に資することを目的として、この法律案を提出することとした次第であります。

 以下、その大要を申し上げます。

 第一に、金融機関等は、合併等の組織再編成を行う場合を含め、平成二十年三月末までの間、預金保険機構に対し、自己資本の充実を図るために株式等の引き受け等に係る申し込みをすることができることとしております。また、金融機関等を子会社とする銀行持ち株会社等も、当該子会社である金融機関等の自己資本の充実を図るために株式の引き受けに係る申し込みをすることができることとしております。

 第二に、金融機関等は、株式等の引き受け等に係る申し込みに際して、収益性等の経営の改善の目標、当該目標を達成するための方策、責任ある経営体制の確立に関する事項、信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策等を記載した経営強化計画を主務大臣に提出しなければならないこととしております。その際、合併等特定の組織再編成を行わない金融機関等の場合には、経営の改善の目標が達成されない場合における経営責任の明確化に関する事項も記載することとしております。

 第三に、主務大臣は、経営強化計画の実施により収益性等の経営の改善の目標が達成されると見込まれること、経営強化計画に記載された方策の実施により地域における金融の円滑化が見込まれることその他当該方策が地域経済の活性化のために適切なものであること等の要件に加え、合併等特定の組織再編成を行わない金融機関等の場合には当該金融機関等の経営基盤の安定のために必要な措置が講じられていること等の要件を満たす場合に限り、株式等の引き受け等を行うべき旨の決定をするものとしております。

 第四に、株式等の引き受け等の決定に従い金融機関等が発行する議決権制限株式の発行の特例等商法等の規定の特例、経営強化計画の公表及び変更、経営強化計画の履行を確保するための監督上の措置、経営強化計画の実施期間が終了した後の措置、株式等の引き受け等が行われた金融機関等が行う株式交換及び合併等について所要の規定を整備するとともに、預金保険機構の業務の特例及び金融機能強化審査会等について所要の規定を設けることとしております。

 第五に、協同組織中央金融機関がその会員の協同組織金融機関から引き受けた優先出資等を信託する場合において、平成二十年三月末までに協同組織中央金融機関から信託受益権等の買い取りの申し込みを受けたときには、所要の要件を満たす場合に限り、主務大臣の決定を経て預金保険機構の委託を受けた協定銀行が信託受益権等の買い取りを行うことができることとすること等所要の措置を講ずることとしております。

 次に、預金保険法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 金融危機に対応するための公的資金制度である預金保険法第百二条第一号措置においては、金融機関への直接の資本増強のみが可能とされております。

 こうした中で、金融危機への円滑な対応を確保するため、預金保険法第百二条第一号措置の必要性の認定を受けた金融機関を子会社とする銀行持ち株会社等に対する資本増強を可能とする等所要の措置を講ずることを目的として、この法律案を提出することとした次第であります。

 以下、その大要を申し上げます。

 第一に、預金保険法第百二条第一号措置について、当該措置の必要性の認定を受けた金融機関を子会社とする銀行持ち株会社等に対する資本増強を可能とし、その際、銀行持ち株会社等はみずからが受けた資本増強と同額以上の資本増強を子会社である当該金融機関に対して行わなければならないこととすること等所要の措置を講ずることとしております。

 第二に、預金保険法第百二条第一号措置において金融機関等が発行する株式の総数の増加並びに当該金融機関等が発行する議決権制限株式及び優先出資について、商法等の規定の特例を設けることとしております。

 第三に、経営健全化計画の適切な履行を確保する観点から、預金保険法第百二条第一号措置により株式等の引き受け等が行われた金融機関等が株式交換及び合併等を行う場合について認可を受けなければならないこととすること等所要の措置を講じるとともに、優先株式等の引き受け等に係る資金援助についても同様の趣旨の規定の整備を行うこととしております。

 以上、金融機能の強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。

 何とぞ、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 提出者五十嵐文彦君。

    〔五十嵐文彦君登壇〕

五十嵐文彦君 民主党・無所属クラブの五十嵐文彦でございます。

 ただいま議題となりました金融機能の再生のための緊急措置に関する法律等の一部を改正する等の法律案及び金融再生委員会設置法案、いわゆる民主党金融再生ファイナルプラン関連法案につきまして、提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 九七年、平成九年秋、都市銀行の一角である北海道拓殖銀行が破綻し、翌九八年春には日本長期信用銀行が経営危機に陥りました。債務超過であった長銀を国家的粉飾により健全な銀行に見せかけ、税金を投入して救済しようとした橋本内閣は、夏の参院選で惨敗し、退陣を余儀なくされました。

 かわって政権の座に着いた小渕内閣では、バブル崩壊のA級戦犯である宮沢元総理が大蔵大臣に就任し、いわゆるブリッジバンク法案を提出しましたが、たちまち欠陥法案であることが露呈し、もはや自民党政権には政権担当能力がないことが明らかになりました。歴史にイフはありませんが、あのとき小渕内閣が民主党の金融再生法を丸のみしなければ、日本発の金融恐慌が起きたであろうことは、衆目の一致するところであります。(拍手)

 その後、長銀や日債銀が一時国有化されるとともに、柳澤前金融担当大臣をトップとする金融再生委員会が発足、九九年春には、大手行に対し、総額七・五兆円もの資本注入が実施されました。しかし、昨年、過去二度も資本注入を受けたりそな銀行が経営危機に陥り、足利銀行も破綻するに及んで、柳澤金融行政もまた問題先送りにすぎなかったことが証明されました。

 そして、今、小泉・竹中金融行政もまた同じ道を歩んでいます。金融危機などないと大見えを切りながら、昨年二度も金融危機対応会議を開催、債務超過の疑いが濃厚であったりそな銀行に資本注入を強行いたしました。さらに、経営難にある金融機関はないとしながら、新たな公的資金制度を創設しようとしています。自民党政権の金融行政は、まさに国家的粉飾と欺瞞の金融行政と言うほかありません。(拍手)

 小泉内閣は、景気は着実に回復していると宣言し、これをあたかも小泉構造改革の成果であるかのごとく自画自賛しています。しかし、小泉総理は、地方経済の厳しい現実を本当に見たことがあるのでしょうか。多くの中小企業経営者がみずからの命を絶っているという厳しい現実を本当に見たことがあるのでしょうか。

 経済再生の第一歩は、金融再生であります。そして、真の金融再生とは、銀行が中小企業にお金を貸せるようにすることです。しかし、現実には、銀行はお金を貸すことができず、銀行貸し出しはこの五年間で百兆円以上も激減をいたしました。小泉・竹中金融行政は、主要行の不良債権比率を低下させることを目標にしていますが、根本的に間違っていると言わざるを得ません。

 民主党金融再生ファイナルプランは、お金を貸す銀行をつくることを目的としています。そして、そのためには、銀行に粉飾をやめさせ、本当の意味で自己資本を健全化することが必要であります。このような考えのもと、金融再生法及び早期健全化法の改正である金融再生ファイナルプラン関連法案を提案させていただく次第でございます。

 以下、内容の概要を申し述べます。

 まず、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律、すなわち金融再生法について、次のとおり改正することとします。

 第一に、金融機関の破綻に対する施策についての期限を延長することとします。ことし九月末までに不良債権の引き当てを完了させて、特別公的管理等必要な措置を講じ、二〇〇七年三月末までにそれらの施策を終了することとします。

 第二に、適切な資産査定と引き当ての基準を規定することとします。

 第三に、健全な金融機関からの資産の買い取りについて、買い取り価格の弾力化に関する規定を削除することとします。

 第四に、新生銀行に悪用された瑕疵担保特約の愚を繰り返すことのないよう、譲渡後の債権に生じた損失の補てん行為を禁止することといたします。

 次に、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律、すなわち早期健全化法について、次のとおり改正することとします。

 第一に、金融機関の資本増強に関する緊急措置の期限を、ことし九月末までに延長することとします。

 第二に、金融機関の経営責任及び株主責任の明確化、資産査定及び会計処理基準の遵守及びディスクロージャーの義務づけの三つの原則を加えることといたします。

 第三に、金融再生委員会による株式等の引き受け等の承認の要件として、いわゆるシステミックリスクが生じるおそれがあること、過少資本または著しい過少資本の金融機関であること、経営責任の明確化及び減資を義務づけることなどの要件を加えることといたします。

 次に、金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法について、これを廃止することといたします。

 最後に、金融機関の破綻に対する施策及び資本増強に関する緊急措置を講ずるため、内閣府の外局として、改めて金融再生委員会を設置することとします。金融再生委員会は、国務大臣たる委員長及び委員四人をもって組織し、我が国金融機能の安定を確保し、預金者、保険契約者等の保護を図り、もって金融の円滑を図ることを任務とすることといたします。

 国家的粉飾と欺瞞の金融行政から脱却し、真の金融再生をなし遂げる唯一の道は、民主党金融再生ファイナルプランを断行することであります。議員各位の御審議と御賛同をお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

 金融機能の強化のための特別措置に関する法律案(内閣提出)及び預金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに金融機能の再生のための緊急措置に関する法律等の一部を改正する等の法律案(五十嵐文彦君外二名提出)及び金融再生委員会設置法案(五十嵐文彦君外二名提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。永田寿康君。

    〔永田寿康君登壇〕

永田寿康君 民主党の永田寿康でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました金融機能の強化のための特別措置に関する法律案外一案並びに金融機能の再生のための緊急措置に関する法律等の一部を改正する等の法律案外一案につきまして質問をいたしたいと思います。(拍手)

 まず冒頭、小泉総理の大変ふまじめな政治姿勢について、一言申し上げたいと思います。

 私たちは、昨年の特別国会の会期末に、臨時国会の召集要求を提出いたしました。しかし、その要求は、無残にも小泉総理によって無視されました。戦後何十回と提出をされてきたこの臨時国会の召集要求が無視をされたのは、これが初めてであります。

 そして、この憲政史上に大きな汚点を残す小泉総理の暴挙に対して、総理みずから、このようにコメントしています。一月には通常国会が召集される、一カ月ぐらい待てるでしょう、そうコメントしています。

 冗談ではありません。今でも毎年三万人が自殺をしています。毎日八十人以上の方が自殺をしている。そのことを思えば、一日も早くよい政治を行い、自殺をする人が一人でも少なくなるようによい政治を行っていくこと、これが政治家としての本当の心構えだと思います。(拍手)

 国民が自殺をする、そのことのすべての責任が総理にあるとは私は言いません。しかし、経済的な苦境を原因としてみずから命を絶ってしまう、そういう悲しい選択をせざるを得ないところに追い込まれたその原因が、小泉総理が臨時国会の召集をしなかったという不作為にあると言う方も多数見られるのは、疑いのない事実であります。

 果たして、総理が臨時国会を召集しなかったというこの不作為によって命を絶ってしまったその方々の魂に対して、総理は、なぜ臨時国会を召集しなかったと説明をするのか。どうか、総理みずからの言葉で、天におられる魂に向かって御説明をいただきたいと思います。(拍手)

 次に、金融行政について質問をしたいと思います。

 バブル崩壊後、二十の銀行、百六十一の信金、信組が破綻いたしました。この間、破綻金融機関の損失補てんに十八兆円、そして公的資金の注入に十二兆円、不良債権の買い取りに十一兆円が使われています。総額四十二兆円に及ぶ巨額の公的資金が使われ、一九九九年には金融健全化宣言が出されています。

 総理も金融担当大臣も、たびたび、金融危機はないと強弁してきました。しかし、昨年二度も金融危機対応会議が開かれ、りそな銀行及び足利銀行が破綻処理されました。まさに、国家的欺瞞と粉飾に満ちた金融行政と言わざるを得ません。

 この場当たり的で無原則な金融行政の延長線上にあるのが、きょう議題となりました金融機能の強化のための特別措置法であります。

 既に、公的資金を注入する枠組みとして、預金保険法と金融機関組織再編促進法が用意されているにもかかわらず、改めて新しい枠組みで公的資金を注入するための法律をつくらなければならなくなった、そこまで地域経済が弱体化した理由について、総理はどのようにお考えか、答弁を求めたいと思います。(拍手)

 民主党の提案者には、過去の自民党政権による金融機関の破綻処理についてどのような評価を持っているのか、ぜひ深い見識を与党議員の諸君に御披露いただきたく、お願い申し上げます。(拍手)

 また、今回のスキームでは、セーフティーネットの構築以外の目的に公的資金が使われることも問題であります。

 過去の公的資金の注入では、政府の説明では、必ず、これは金融システムの破綻を防ぐためのものだという答弁がなされていました。しかし、今回のスキームでは、破綻の危機に瀕している金融機関の処理は引き続き預金保険法で行い、破綻の危機とはほど遠い元気な金融機関に対して資本を注入し、収益を改善させようという目的でありますから、これは、今までのセーフティーネットのための公的資金の注入とは全く違うものであります。

 果たして、公的資金の注入とはいかなる意味を持っているのか。つまり、金融機関に注入される公的資金の性格とはいかなるものか。そして、その性格から導き出される公的資金に課されている制約とはいかなるものなのか。そして、その制約の範囲内に今回のスキームがあると考える合理的な理屈はどこにあるのか。ぜひ御答弁をいただきたいと思います。(拍手)

 公的資金が注入される結果として期待される効果についてもお伺いしたいと思います。

 金融庁の説明では、長引くデフレによって自己資本が毀損し、健全な融資先からの資金需要にこたえられないようなケースを想定しているようであります。そして、自力で資本の増強をしようとしてもなかなかそれがうまくいかない、破綻金融機関が相次いでいる中で、不安に駆られた投資家がなかなか増資に応じてくれないというときに、やむなく、政府保証を背景にして預金保険機構が調達した資金を公的資金として注入する、これが政府の説明であります。

 であるならば、公的資金の注入を受けた金融機関からは、信用供与の増加が期待されるわけであります。一体、政府は、このスキームを通した後に、公的資金を注入する銀行に対して数値目標を義務づけるのか否か、ぜひ答弁をいただきたいと思います。

 また、数値目標を設定しても、過去の例を見てみると、メガバンクなどは、数値目標があるにもかかわらず、それを堂々とほごにし、そしてかえって数兆円も融資残高を減らしてしまうという暴挙に出ています。果たして、数値目標の達成に失敗をした経営者にはどのような責任が課せられるのか、政府の答弁をお願いします。

 また、民主党の提案者に対しても、数値目標の設定並びに経営責任の課し方について説明をお願いしたいと思います。

 次に、政府が合併にこだわる理由について質問をしたいと思います。

 現在、金融機関組織再編促進法と今回の特別措置法によって、政府は中小金融機関の合併等の組織再編を目指しているように見えます。しかし、合併による金融機関の体力の強化には限界があります。事実、過去において、合併をせずに体力を回復したケースもあれば、合併をした後に破綻をしてしまったケースももちろんあります。

 合併が体力強化の決定的な要素にならないその理由は、問題の本質が金融機関の規模の大小にあるのではなく、リスクマネー、つまり、中小企業の投資的な性格を有する融資、これに対して、間接金融である銀行融資をもって賄っているというところに本質的な問題があるからであります。

 現在、中小企業の投資的性格を有する融資については、本来ならば直接金融で賄うべきであるのに、そのほとんどが間接金融である銀行融資によって賄われています。銀行融資はそもそも、その原資が銀行預金でありますから、これはリスクをとることはできませんから、このような預金を投資的な性格を有する融資に回してしまえば、リスクは銀行に集中してしまいます。そして、合併をしても、このリスクを嫌う預金でリスクを伴う投資的な融資をしているという事情は変わらないのであります。

 なぜ政府は、このような事情がわかっていながら、合併にこだわり、問題の本質を見誤った、合併によって問題を解決しようとする金融行政を続けているのか、ぜひ、このとんちんかんな考え方を御説明いただきたいと思います。(拍手)

 次に、政府案では、収益性の向上、効率性の向上、地域金融の円滑化、あるいは公的資金回収の可能性など、大変厳しい条件を課して公的資金の注入を決定することにしています。しかし、これほど厳しい条件をクリアできるほど能力があり、また意欲もある金融機関であれば、何も政府が手をかさずとも、自力で増資を募ることができるのではないでしょうか。

 果たして、世にある機関投資家よりも政府の方がはるかに、この資本参加の安全性や収益の向上に関する判断がすぐれていると考える、思い上がった考え方を持っている理由はどこにあるのか、ぜひ御説明をしていただきたいと思います。(拍手)

 そして、過去に政府が行ってきた公的資金の注入の際に行われてきた説明についても言及しなければなりません。

 過去、公的資金を注入する際にたびたび繰り返されてきたのは、この注入は個別の金融機関を救済するものではない、一方で、金融システムの破綻を防ぐためのものである、このような説明がなされています。

 しかし、今回のスキームによって投入される資金、それによって利益を得られる者が一体だれであるかと考えれば、それは対象金融機関という、まさに個別の金融機関であります。過去、政府が行ってきた説明の背景にあるものは、個別金融機関の救済のために公的資金を使ってはならないという、そういう考え方が背景にあったはずであります。ですから、今回のスキームを持ち込もうとする政府の考え方と過去の答弁とは、真っ向から矛盾していると言わざるを得ません。

 果たして、公か私かと言われれば、紛れもなく私、プライベートに分類される個別の金融機関の収益の向上のために公的資金を使うことの合理性はどこにあるのか、ぜひ政府の答弁を求めたいと思います。(拍手)

 最後に、総理に一つお願いがあります。

 私たち民主党は、昨年の十一月の総選挙で、五十人を超える一期生議員を迎え、そして三期生以下で百数十人を超えるような議員を抱える、そういう政党であります。これから数十年間政治家をやっていこうという私たちにとって共通の悩みとなっているのは、果たして、総理の職務というものはどのぐらいとうといものなのかということであります。

 過去三代の内閣を見ても、小渕恵三さん、森喜朗内閣、小泉純一郎内閣、これらを見ていると、本当にこの人たちでも務まるような仕事を私たちはやりたがっているのか、まことに情けなくなってくるのであります。(拍手)

 ですから、総理、今すぐにでも、今すぐにでも心を入れかえ、ああ、なるほど、総理の職務というものは高度で、しかもとうとく重要な意義深い仕事をやっているのだということを私たちが感じられるような、そんな仕事をしていただきたくお願いを申し上げ、私からの質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 永田議員にお答えいたします。

 昨年の臨時国会召集の要求に対する対応でございますが、昨年、内閣に提出された臨時国会召集の要求に対しては、政府としてこれに適切に対応するため、国民生活にかかわる諸課題を整理し、これをもとに予算編成を行った上で、本通常国会の召集を図ったものであり、迅速かつ適切に対応していると考えております。

 新たな公的資金制度の必要性に関するお尋ねでありますが、経済にもようやく明るい兆しも見えてまいりました。これを持続的な経済成長につなげていくことが、政府に課せられた責務であると認識しております。このための政策努力の一環として、金融機関が一層リスク対応能力を高めることにより地域等における金融が安心感を持って円滑に行われるよう、今般、時限的に、地域等における金融の円滑化に向けた金融機関の取り組みに対し国が資本参加し、金融機能の強化を図る制度を新たに設けることとしたところであります。

 公的資金の性格に関するお尋ねですが、公的資金制度は、資金供給の担い手として民間の経済活動を支える金融機関のリスク対応能力を高めるという性格を有する一方、その投入に当たっては、本来みずから経営努力を行うべき金融機関に対するモラルハザードの防止に留意が必要と考えます。

 新たな公的資金制度は、現下の経済状況に対応し、時限的に金融機能の強化を図ることにより、金融システムの安定強化や地域経済の活性化につながるものであり、国民経済的な意義があるものと考えております。

 また、公的資金の投入に当たっては、法令等に定められた要件を厳正に審査するほか、合併を初めとする事業再構築を求めるなど、金融機関に厳しい自助努力を求め、状況に応じ適切に、結果責任等の経営責任の明確化を求めることとしております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕

国務大臣(竹中平蔵君) 永田議員から五問質問をいただきました。

 その前に一点、永田議員は、りそなと足利の破綻処理とおっしゃいましたが、りそなは破綻しておりませんので、その点は御注意を賜りたいと思います。(拍手)

 まず、信用供与の円滑化に係る数値目標の設定についてお尋ねがございました。

 新たな公的資金制度においては、国の資本参加に当たり、信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策を盛り込んだ計画の提出を求めることとしております。

 地域経済の活性化のためには多面的な取り組みが重要と考えられることから、一律の目標ではなくて、活性化の方策の進捗が外部から評価できるような指標も計画に盛り込むことも求めまして、その実績を公表し、パブリックプレッシャーのもとで取り組みを促すこととしております。

 信用供与等の計画の達成についての経営責任をどうするのかというお尋ねがございました。

 新たな制度においては、合併等を伴わない場合には、経営改革の確実な実行を期するため、経営陣は収益性等の数値目標の達成に厳格な結果責任を負って経営に当たる仕組みとしております。

 一方、経営の細部にわたって厳格に結果責任を求めることは、結果として経営の自由度を大きく奪うことになり、かえって経営改革が阻害されかねないことから、信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策等については、その実施状況を公表し、パブリックプレッシャーのもとで取り組みを促すこととしております。

 さらに、計画の履行状況に照らして必要があると認めるときは、監督上必要な措置を命ずることができることとしております。

 投資的な資金需要を満たす直接金融を実現するような仕組みこそを考えるべきではないのかというお尋ねがございました。

 中小企業の資金需要にこたえて起業、創業を活性化させるためには、新たな公的資金制度の創設だけではもちろんこれはだめでございまして、リスクマネーを供給する直接金融市場の活性化も不可欠であると我々も考えております。

 こうした観点から、政府としても、貯蓄から投資への流れを加速するため、証券市場の構造改革に努めるとともに、グリーンシート市場の活性化ですとか投資ファンド法制の整備など、中小企業の資金調達の円滑化に向けた施策にも取り組んでいるところでございます。

 政府としては、引き続き市場機能を中核とする金融システムの改善強化に努めてまいります。

 次に、金融機関の自力増資の可能性や政府の審査能力についてどうかというお尋ねがございました。

 金融機関の破綻等も背景に、金融機関に対する投資態度が慎重となっている場合等には、たとえ収益性の向上等が見込まれる金融機関であっても、民間からの円滑な資本の調達が難しい場合も十分考えられると思います。こうしたことから、地域経済の活性化等に向けた環境整備に万全を尽くすため、新たな公的資金制度を設けるものであります。

 なお、資本参加の審査に当たっては、収益目標の妥当性等について目ききが求められますので、専門的な知見を活用すべく、金融機能強化審査会の意見を聞く仕組みを整備しているところでございます。

 最後に、新たな公的資金制度の合理性いかんというお尋ねがございました。

 政府としては、経済の明るい兆しが日本経済の隅々にまで浸透するよう、一層の政策努力を行っているところでありますが、この動きをより確実なものとするためには、金融面での対応も重要と認識をしているところでございます。

 こうした政策努力の一つとして、時限的に、地域等における金融の円滑化に向けた金融機関の取り組みに対し国が資本参加をして金融機能の強化を図る施策を講じるということは、地域経済の活性化や金融システムの安定強化につながるものであり、まさに国民経済的な意義があるというふうに考える次第でございます。(拍手)

    〔中塚一宏君登壇〕

中塚一宏君 永田議員にお答えをいたします。

 まず、公的資金を注入された金融機関の経営者責任についての考え方であります。

 これまで、破綻金融機関の損失の穴埋めに十八兆円、不良債権の買い取り等に十一兆円、資本注入に十二兆円、総額四十二兆円もの巨額の公的資金が投入をされてまいりました。しかし、責任を問われたのは破綻金融機関の経営者らごく少数にとどまっており、多くがその責任追及を逃れてしまっております。一方で、中小企業や個人は、金融機関からお金を借りるときは、担保と個人保証をしっかりととられ、最後は身ぐるみはがされるところまで追い込まれてしまう、余りにも不公平と言うほかはありません。(拍手)

 しかし、政府案では、自己資本比率が基準値以下の不健全な金融機関を除いて、資本注入を受けるに至ったことについての経営責任は問われない形になっております。加えて、本当は不健全な金融機関なのに、粉飾をさせて健全な金融機関に見せかけ、資本注入で立て直してやろうというねらいも透けて見えております。

 このスキームでないと、どこも資本注入を受けようとしないから、法律をつくる意味がないというのが政府の本音である、そのように考えておりますが、結果として、経営責任も問われなければ不良債権の問題の解決や金融再生にもならないという、まさに役にも立たなければ意味もない、税金だけをむだに使う法律となってしまっている、そのように考えております。(拍手)

 公的資金は、国民のお金であります。公的資金を注入するからには、資本注入を受けるに至ったことについて、銀行経営者の責任を明確にすることは当然であります。

 民主党案では、早期健全化法の大原則に経営責任の明確化を掲げ、資本注入の要件として、代表取締役等の退任その他の経営責任を明確にするための措置をとることを明記いたしております。

 続きまして、中小企業向けの投資的性格を有する融資のリスクに関する考え方がありました。

 銀行がイコール間接金融という図式は、必ずしも実態をあらわしていないというふうに考えております。銀行が直接金融も担っているのが中小企業向け融資の実態であり、すなわち、中小企業向け融資の中には、実質的に資本に相当するものが含まれております。

 金融機関と中小企業との間で、長年にわたって暗黙の合意のもとに継続をしておりましたような融資は、劣後ローンに転換をするということなどなく、実質的に資本とみなすべきである、このように考えております。(拍手)

    〔津村啓介君登壇〕

津村啓介君 民主党の津村啓介です。

 永田寿康議員の格調高い御質問に、二つの点でお答えいたします。

 まず、自民党政権による金融機関の破綻処理をどのように評価しているのかという御質問についてです。

 私たち民主党は、与野党を超えた多くの国会議員の皆さんの努力によって築かれた本来あるべき金融再生スキームが、実際には正しく運用されず、結果として国民に多くの負担を強いたと考えております。

 例えて言えば、せっかく性能のよい、よく走る車をみんなでつくったのに、肝心のドライバーが酔っぱらい運転をして、車を壁にぶつけたり谷に落としたりして、目的地にたどり着けないまま、その車までもぼろぼろにしてしまった。自民党政権下における金融破綻処理は、そんなみじめな姿になっているのではないでしょうか。(拍手)

 具体的に申し上げます。

 旧長銀は、金融再生法に従って一時国有化され、外資の投資ファンドに売却されました。旧長銀処理に要した費用は八兆円にも上ります。

 なぜこのような結果になったのか。

 第一に、政府は、旧長銀の不良債権を厳格に分離せず、多くの不良債権を残しました。その結果、買い手は一向に見つからず、民法の瑕疵担保の法理を悪用した、いわば不平等条約ともいうべき瑕疵担保特約をひねり出さざるを得なかったわけです。瑕疵担保特約は、買い手の側に、貸しはがしをして債務者を追い込み、国かほかの銀行に肩がわりをさせた方が得だというインセンティブを与えます。現実に、新生銀行はこうした論理で大規模な貸しはがしを実践したとも言われております。

 第二に、旧長銀の売却を急ぎ過ぎたことも問題です。

 売り急げば買いたたかれるのは、市場原理、マーケットメカニズムの基本中の基本であり、子供にもわかる理屈です。国際金融マーケットの専門家を相手に、足元を見透かされるような拙速な売却を行った結果、瑕疵担保特約だけでなく、株式含み益二千五百億円をもお土産につけて、政府は旧長銀をわずか十億円でたたき売ってしまったのです。

 日本銀行のマーケットセクションにおける私自身の経験に照らしましても、こうした取り組みは、東京マーケットを世界に冠たる国際金融市場として育成し、日本の金融産業の国際競争力を高めていくという、橋本元総理が主導されました金融ビッグバンの流れに水を差し、JGB、日本国債の発行主体としての日本政府の信用力にも影を落とすものと考えます。(拍手)

 第三には、売却先が外資の投資ファンドであったことです。結果として、我が日本の国の富を失ったとも言え、しかも、売却選定に当たっては、不透明な話も取りざたされました。日本の国益を損ねたのではないでしょうか。民主党政権ならば、このような結果にはならなかったと断言します。(拍手)

 不良債権を厳格に分離すれば、瑕疵担保特約は必要ありません。したがって、新生銀行の貸しはがしを招くこともありませんでした。一時国有化したまま銀行再生を進め、企業評価を高めたところで株式を再上場し、株式をマーケットで売却していけば、大きな売却益を得ることができ、損失を最小限にして国民の負担を軽減することができたはずなのです。

 次に、もう一つの御質問であります公的資金を注入された金融機関の信用供与における数値目標について、私たち民主党の考え方をお答えいたします。

 国民のお金である公的資金を投入することが正当化されたのは、金融システムが国民経済にとって極めて重要であるからです。とりわけ、預金者を保護することと金融仲介機能を維持することが公的資金投入の二つの大きな目的だったはずです。したがって、資本注入と引きかえに中小企業向けの融資拡大を義務づけることは、当然のことであります。

 九九年三月の資本注入の際には、中小企業向け融資の拡大が義務づけられました。しかし、二〇〇二年三月期には、UFJグループが計画比マイナス二・五兆円、りそなグループが計画比マイナス一・七兆円となるなど、大幅の未達事例が相次ぎました。さらには、二〇〇二年九月期において、みずほグループが計画比マイナス五兆円となり、さすがに金融庁も業務改善命令を出さざるを得なかったわけです。

 健全銀行をより健全な銀行にして中小企業にお金を貸させるというのが政府の説明だったはずですが、もともと不健全な銀行を一息つかせただけだったことがこのような結果を招いたのです。(拍手)

 政府案では、信用供与の円滑化に資する方策を経営強化計画で定めることを義務づけてはいても、中小企業向け融資の数値目標は全く義務づけられておりません。つまり、鉛筆をなめて絵をかき、こういう方法でやりますという計画さえ作文をすれば、計画が絵にかいたもちに終わっても直ちに責任が問われないということであります。

 このようなやり方では、一部銀行が公的資金をいわば食い逃げすることを許してしまい、本来の目標、ゴールであったはずの金融仲介機能の円滑化、さらに言えば、中小企業向け融資の拡大を実現することはできません。

 政府案の根本的な矛盾として御指摘をいたしまして、提出者としての私からの答弁といたします。(拍手)

    ―――――――――――――

    〔議長退席、副議長着席〕

副議長(中野寛成君) 上田勇君。

    〔上田勇君登壇〕

上田勇君 私は、自由民主党、公明党を代表いたしまして、内閣提出の金融機能の強化のための特別措置に関する法律案外一案及び民主党提出の金融機能の再生のための緊急措置に関する法律等の一部を改正する等の法律案外一案につきまして、総理及び関係大臣並びに法案提出者にお伺いをいたします。(拍手)

 我が国経済は、設備投資の増加や好調な輸出に支えられ、明るい兆しが見えてきたとも言われております。しかしながら、地域の中小企業の経営はまだまだ厳しさが続いているというのが実情であり、いまだ景気回復の実感がないというのが現実であります。

 小泉総理は、今国会の施政方針演説におきまして、「地域の再生は、元気な日本経済を実現するかぎ」とおっしゃっております。地域の経済や雇用を支える中小企業の経営の改善を通じた経済再生の動きが全国津々浦々まで広がっていくよう、総合的な政策努力が必要と考えます。今回の法律案も、こうした総合的な政策努力の一環と位置づけられるものと考えます。

 そこで、まず、地域の再生を通じた日本経済の活性化、さらには持続的な成長の実現に向けた小泉総理及び竹中経済財政担当大臣の御所見をそれぞれお伺いいたします。

 地域経済の再生を図っていく上では、地域の金融機関が健全な機能を発揮していくことが必要であります。しかし、地域金融機関は、地域経済において極めて大きな役割を担っているほか、中小企業と密接な関係にあることから、地域の中小企業の厳しい経営がそのまま金融機関の財務状況の悪化につながっているのが実情であります。こうした中で、金融機関では、経営の健全化に向けたさまざまな努力が進められているところではありますけれども、十分な結果が出ているとは言えないというのが実情であります。

 現在の地域金融機関の全般的な財務内容などの経営状況をどのように評価されているのか、竹中金融担当大臣にお伺いいたします。

 また、本法案が、こうした地域金融機関の経営の健全化、金融システムの機能改善にどのような役割を果たすものなのか、小泉総理にわかりやすく御説明をお願いいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、日本経済が本格的に再生していくためには、現在大変な苦労をされている地域の中小企業が元気になることが不可欠であります。

 地元の経営者の方々に、最も困っていることは何かということをお伺いすると、返ってくるのは、第一に製品やサービスの価格が下落をしているということ、第二に資金繰りの難しさであります。金融機関の中小企業向け貸し出しの状況を見ると、残高の減少が続いておりまして、二〇〇〇年末には二百三十五兆円だった貸出残高が、二〇〇三年九月には百八十七兆円となっております。九〇年代末以降、中小企業はずっと厳しい金融環境下に置かれております。こうした背景には、借り入れ企業側の要因もありますけれども、地域金融機関が本来の使命を十分に果たしていないと言わざるを得ません。

 本法案は、金融機関の救済だけを目的としたものとはなってはならないわけであります。地域の中小企業の経営改善を通じて地域経済全体の再生に役立つものでなければ、公的資金を投入する意味がないと思います。

 このスキームで金融機関の資本を増強することによりまして、確実に地域における金融の円滑化が具体的に図られるよう、どのような手だてが講じられているのか、竹中大臣にお伺いいたします。

 また、本法案のスキームによりまして、長期的に見ても経営改善が期待できないような、本来は淘汰されるべき金融機関や、また、そこから融資を受けている企業の延命が図られ、かえって経済構造改革の進展が妨げられるのではないかという批判があります。確かにそういう可能性もないわけではありませんけれども、多くの企業が将来の再生、成長の可能性を持っているにもかかわらず、資金繰りが円滑にいかないために経営が成り立たなくなってしまっているというのも事実であります。

 その意味から、このスキームによる資本増強を通じて、金融機関が適切なリスクをとり、将来性のある事業に円滑に十分な資金を提供することが可能になると考えております。総理の御所見をお伺いいたします。

 公的資金を投入するに当たっては、金融機関の健全性や地域経済において担っている役割の重要性などについて厳正に審査されなければならないことは当然のことであります。また、資本増強後も、経営強化に向けて適切な措置がとられていることを確かめるとともに、経営陣のモラルハザードを防止する仕組みが必要であります。竹中大臣の御所見をお伺いいたします。

 さらに、地域金融機関への検査についても配慮が必要であるというふうに考えます。もちろん、預金者等の保護の観点から、検査は厳正に行う必要があります。しかし、地域金融機関が仲介機能を的確に発揮していくためには、中小企業の実態に即したきめ細かい検査を行ったり、中小企業の再生に向けた取り組みを評価するなど、それぞれの地域金融機関の取り組みを検査において十分に反映させていく必要があります。

 二月二十六日に、金融庁は、金融検査マニュアル別冊・中小企業編を改訂いたしました。大企業とは異なる中小企業の特質、特に経営者の資質や意欲に注目していることは、重要な点だと考えます。こうした改訂を実施した目的と、それによりまして期待される効果につきまして、竹中大臣の御所見をお伺いいたします。

 また、改訂された検査マニュアルでは、代表者からの借入金や通常の債務を劣後ローンと交換するデット・デット・スワップなどについて、短期間での返済が求められることのない安定した資本に準じた性質を持っているものとして適切に評価することを明記しているところであります。外部からの資金調達手段が限られている中小企業におきまして、経営の安定性を現実的に評価するという意味ではとても重要な視点だと考えますが、竹中大臣のお考えを伺います。

 次に、預金保険法の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。

 金融危機に対応するための公的資金制度である預金保険法第百二条措置につきましては、昨年は、まず五月に、りそな銀行に対し第一号に基づく資本増強について、また十一月には、足利銀行に対しまして三号に基づく特別危機管理について必要性の認定が行われました。これらの措置は、いずれも金融危機に対応するための例外的な措置であり、その発動の必要性等については十分な説明責任が求められております。これらの措置の発動の意義につきまして、小泉総理のお考えを伺います。

 第百二条第一号の措置の必要性の認定は、あくまでも金融機関に着目して行われるものでありますが、近年、金融機関の組織再編が進んでおり、銀行持ち株会社を通じた経営統合も行われております。金融危機を未然に防止するセーフティーネットとして、こうした金融機関の再編にもしっかりと対応できるようにしておくことが重要であります。

 こうした中で、金融危機への円滑な対応を確保する観点から、今回の預金保険法の改正案では、預金保険法第百二条第一号の措置について、銀行持ち株会社を通じた資本増強も認めることとなっております。ただし、この場合は、持ち株会社への資本増強が、子会社銀行に対し直接資本増強を行った場合と同様の効果が発揮されるよう、しっかり担保することが重要であると考えます。

 今回の枠組みでは、こうした点につきましてどのように手当てがなされているのか、竹中大臣にお伺いをいたします。

 次に、民主党提出法案についてお伺いをいたします。

 一九九七年以降、金融機関の相次ぐ破綻により金融危機が危惧される中で、与野党を超えて英知を結集し、金融再生法さらには早期健全化法が策定され、同法に基づく一時国有化や資本増強等が行われた結果、金融システムの崩壊という事態は回避されたのであります。

 その後、緊急避難措置であった金融再生法における金融機関破綻時の規定は、預金保険法本則に盛り込まれ恒久的な制度となり、また、金融庁が誕生し、特別検査の実施など検査監督体制の強化、政府における金融再生プログラムの策定などによりまして、金融行政は着実に整備、改善されてきたと考えております。

 こうした流れを十分に踏まえた上で、さらに必要な施策があれば、必要に応じて強化拡充していくという努力が求められているのではないかと考えます。

 その点、民主党御提案の金融再生法の復活等を柱とした法律案は、こうしたこれまでの金融行政の流れを踏まえたものとはなっていないのではないでしょうか。すなわち、既に預険法本則の中で恒久法として規定、整備されている同趣旨の規定を、再度、金融再生法で復活させようというものでありますが、こうした同趣旨の規定が二つ存在することになりますと、金融行政の混乱を招くおそれがあるものではないでしょうか。竹中大臣並びに法案提出者のお考えをお伺いいたします。

 最後になりますが、今回の内閣提出の公的資金に関する二法案は、我が国金融システムの安定強化と地域経済の活性化に向けた政府の強い決意のあらわれと理解をいたしております。これら法案が強固な金融システムの構築と日本経済の再生に十分寄与することを期待して、私の質問を終わります。

 以上でございます。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 上田議員にお答えいたします。

 経済の活性化についてでございますが、日本経済は、企業収益が改善し、設備投資も増加するなど、国主導の財政出動に頼らなくても、民需が主導する形で着実に回復してきたと思っております。

 これまでの改革の成果を地域、中小企業にも浸透させるため、構造改革特区のさらなる進展、稚内から石垣までの全国都市再生、一地域一観光を目指した観光立国の推進など、引き続き民間と地方のやる気を引き出す改革を進め、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図ってまいりたいと考えております。

 本法案の果たす役割や資本増強による金融の円滑化の効果についてでございますが、我が国経済の明るい兆しを地域経済や中小企業にも浸透させるためには、資金供給の担い手として民間の経済活動を支える金融機関が一層リスク対応能力を高め、地域等における金融が安心感を持って円滑に行えるよう、その環境整備に万全を尽くしていくことが重要と考えております。

 このため、金融機能強化法案は、平成二十年三月末までの間、経営改革を行い、地域における金融の円滑化等金融機能を強化する金融機関に対して、申請に基づき適切な審査を行った上で、国が資本参加をする枠組みを整備するものであります。

 その際、国が資本参加する金融機関には、経営強化計画に信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策を盛り込むとともに、その着実な実施を求めることとしております。

 このような取り組みは、金融システムの安定強化や地域の中小企業金融の円滑化、中小企業の再生を通じ、地域の活性化につながるものと考えております。

 預金保険法第百二条措置の発動の意義についてでございますが、りそな銀行及び足利銀行に対しては、過少資本、債務超過という各行のそれぞれの状況に応じ、金融危機対応会議の議を経て、信用秩序の維持のため、それぞれ資本増強、一時国有化の措置を講じたところであります。

 これらは、金融危機が生ずることを未然に防止し、預金者や中小企業を中心とする取引先に不安を与えることのないよう、銀行の再生と金融システムの安定を確保するために行ったものであり、この点は総理談話を出すなど、十分な説明に努めてきたところであります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕

国務大臣(竹中平蔵君) 上田議員から八問質問をいただいております。

 持続的な成長の実現についてのお尋ねでございます。

 経済が着実に回復しつつある今こそ、地域再生の絶好の重要なチャンスであると認識をいたしております。地域再生推進のためのプログラム等により、地域が主体となって取り組むことを支援していくということは重要であると考えております。とりわけ、行政サービスの大胆な民間開放、地域の基幹産業の再生などに尽力するつもりでございます。

 地域金融機関の経営状況についてのお尋ねがございました。

 地域金融機関の直近の財務状況を見ますと、昨年十一月に特別危機管理銀行となった足利銀行を除きまして、すべての金融機関が健全性の基準を満たしております。

 金融庁としては、検査や監督上の対応を通じて、各地域金融機関の経営状況を的確に把握し、早目早目の経営改善を促すことにより、地域の金融システムの安定に万全を期してまいります。

 地域金融の円滑化のための方策についてお尋ねがございました。

 新たな公的資金制度につきましては、国の資本参加に当たり、信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策を具体的に記載した計画の提出を求めた上で、地域における金融の円滑化等が見込まれるかどうか、厳正に審査することとしております。

 国の資本参加により金融機関が十分な自己資本を確保することは、リスク対応力の増大を通じた金融の円滑化に資するものと考えられ、このような取り組みによって、地域の中小企業に対する金融の円滑化、中小企業の再生が図られていくものというふうに考えております。

 これとの関連で、金融機関のモラルハザード防止についてのお尋ねがございました。

 国の資本参加に当たっては、収益性、効率性等の向上や地域における金融の円滑化が見込まれること等の要件を厳正に審査するほか、合併を初めとする事業再構築を求めるなど、金融機関に厳しい自助努力を求めます。また、ケースに応じ適切に、結果責任等の経営責任の明確化を求める仕組みとしております。モラルハザードが生じることのないような仕組みにしてまいります。

 金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編についてのお尋ねがございます。

 中小零細企業向けの貸し出し等については、その経営実態を十分勘案した検査の実施が重要であることから、今般、検査マニュアルの別冊、中小企業融資編を改訂しました。実態に即したきめ細かい検査に努めているところでございます。

 改訂後の別冊では、各金融機関が行う中小企業と密度の高いコミュニケーションや企業再生に向けた真摯な取り組みを検査において評価することを盛り込んでおります。この別冊に即したきめ細かい検査によりまして、中小企業向け融資の円滑化に資することを期待しております。

 改訂された検査マニュアルの中身、特にデット・デット・スワップ等についてのお尋ねがございました。

 我が国の中小零細企業の財務状況を見ますと、資本調達手段が限られておりまして、事業の基盤となっている資本的性格の資金をいわゆる根雪的な融資の形で調達しているものが多いものと考えられます。

 今回の改訂においては、金融機関が借り手の経営改善計画の一環として、デット・デット・スワップによって、債権を資本的な劣後ローンに転換している場合には、資産査定上の取り扱いとして、当該資本的な劣後ローンを資本とみなすことができることとしたところでございます。

 今後、このデット・デット・スワップの活用等が金融機関による中小企業の再生支援等に資することを期待しているところでございます。

 銀行持ち株会社を通じた子会社への資本増強についてのお尋ねがございました。

 今般の預金保険法の改正法案では、第百二条第一号措置により銀行持ち株会社を通じた資本増強を行う場合には、銀行持ち株会社は、銀行持ち株会社に対する資本増強と同額以上の資本増強をその子銀行に対して行わなければならないこととし、銀行持ち株会社に対して子銀行が提出する経営健全化計画について、連名で提出することを求める等、子銀行に対して直接資本増強した場合と同等の効果を及ぼすように手当てをしているところでございます。

 最後に、民主党提案の法律案についてのお尋ねがありました。

 民主党提案の法律案では、金融再生法と金融健全化法の復活が提案されておりますけれども、これらの法律に盛り込まれていた時限的な破綻処理等の制度については、既に改正預金保険法、平成十三年四月施行のものにおいて恒久的措置として定められております。これら二法の復活は、したがって、必要がないというふうに判断をいたします。(拍手)

    〔中塚一宏君登壇〕

中塚一宏君 上田議員にお答えをいたします。

 平成十年、金融国会において、当時平和・改革でありました公明党も含めて、与野党を超えて政治家がリーダーシップを発揮し、難局を乗り切った意義は大変に大きかったというふうに考えております。少なくとも当時は、大蔵省主導の問題先送りの護送船団行政に終止符が打たれ、抜本的改革を断行できるかもしれないという期待感がありました。

 しかし、当初は改革の姿勢を示した金融行政も、結局はずるずると護送船団行政に後退していくこととなり、また経済運営の失敗もあって、多額の公的資金を投入しても我が国の金融システムは安定をいたしておりません。

 御指摘のように、金融再生法や早期健全化法の一部の制度は、恒久的措置として預金保険法本則に取り込まれることになっておりますが、私ども民主党の認識といたしましては、金融再生法の趣旨が生かされたというふうには考えておりません。すなわち、現行預金保険法によって、昨年、債務超過であった疑いが濃厚なりそな銀行に粉飾を認めて資本注入を行う一方で、足利銀行は破綻させて一時国有化するという恣意的、裁量的な運用が行われております。一方、システミックリスク等への対応ではなく、個別行の救済ではないかというふうな議論がこの国会においてなされたのも、御存じのとおりであります。

 ペイオフを延期したあげく、金融機能強化法案を提出するなど、びほう策の連続にほかならず、何よりも、金融危機対応会議を開催しておきながら、金融危機ではないと理解不能の発言をしていること自体、政府は建前論で実態を糊塗している証左であるというふうに考えております。(拍手)

 金融行政の混乱、不信を招くのではないかという御懸念でありますけれども、現行の金融行政こそ混乱をしており、不信を招いている、私どもはそのように考えておりまして、今般提出をいたしました民主党金融再生ファイナルプラン、金融再生をこれで断行いたしたいというふうに考えております。その後、金融再生法の趣旨を完全に踏まえ、恒久的措置としての預金保険法の改正を検討いたします。御懸念には当たりませんので、ぜひとも御賛同いただきますようにお願いを申し上げます。(拍手)

副議長(中野寛成君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(中野寛成君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

        内閣総理大臣  小泉純一郎君

        総務大臣    麻生 太郎君

        外務大臣    川口 順子君

        国務大臣    竹中 平蔵君

 出席副大臣

        内閣府副大臣  伊藤 達也君


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © 2014 Shugiin All Rights Reserved.