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第15号 平成16年3月16日(火曜日)

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平成十六年三月十六日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第八号

  平成十六年三月十六日

    午後一時開議

 第一 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

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本日の会議に付した案件

 日程第一 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長赤羽一嘉君。

    ―――――――――――――

 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔赤羽一嘉君登壇〕

赤羽一嘉君 ただいま議題となりました奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、奄美群島及び小笠原諸島の特殊事情並びに両地域における最近の社会経済情勢にかんがみ、これらの地域の自立・主体的な振興開発を促進するため、所要の措置を講じようとするものであります。

 その主な内容は、

 第一に、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の有効期限をそれぞれ五年間延長すること、

 第二に、奄美群島振興開発計画及び小笠原諸島振興開発計画を国の定める基本方針に基づき都県が策定すること、

 第三に、奄美群島振興開発基金を解散して独立行政法人奄美群島振興開発基金を設立すること

などであります。

 本案は、去る二月二十五日本委員会に付託され、同月二十七日石原国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、三月十二日に質疑を行いました。質疑終了後、採決いたしました結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第でございます。

 なお、本案に対し、両地域の自立的発展を支援する等の観点から、地場産業及び観光産業の育成並びに本土との交通利便性の確保のための施策を推進すること等七項目の附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣野沢太三君。

    〔国務大臣野沢太三君登壇〕

国務大臣(野沢太三君) 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 国民の中から選任された裁判員が裁判官とともに刑事訴訟手続に関与することは、司法に対する国民の理解を増進させ、また、その信頼の向上に資するものと考えられます。そこで、この法律案は、刑事裁判に裁判員が参加する制度を導入するため、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法及び刑事訴訟法の特則その他必要な事項を定めるものであります。

 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、裁判員の参加する合議体で取り扱う事件を定めるとともに、当該合議体の構成は、原則として、裁判官の員数を三人、裁判員の員数を六人とすること、裁判所の行う事実の認定、法令の適用及び刑の量定は、当該合議体の構成員である裁判官及び裁判員の合議によることなど、合議体の構成並びに裁判官及び裁判員の権限等について所要の規定を置いております。

 第二に、裁判員は衆議院議員の選挙権を有する者の中から選任するものとするとともに、裁判員となることのできない事由、裁判員候補者名簿の調製、裁判員候補者に対する質問等の裁判員の選任の手続及び裁判員の解任の手続等について所要の規定を置いております。

 第三に、裁判員の参加する合議体で取り扱う事件については第一回の公判期日前に公判前整理手続に付さなければならないことなど、裁判員の参加する裁判の手続に関し所要の規定を置いております。

 第四に、裁判官と裁判員の合議による判断は、裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見によることなど、裁判員の参加する刑事裁判における評議及び評決について所要の規定を置いております。

 第五に、労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したこと等を理由として解雇その他不利益な取り扱いをしてはならないことを定めるほか、裁判員等を特定するに足りる情報の取り扱い及び裁判員等に対する接触の規制に関して裁判員等の保護のための所要の規定を置いております。

 このほか所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。桜井郁三君。

    〔桜井郁三君登壇〕

桜井郁三君 自由民主党の桜井郁三でございます。

 ただいま議題となりました裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案に対し、自由民主党、公明党を代表して、法務大臣に質問をいたします。(拍手)

 我が国の司法制度は、戦後半世紀以上にわたって、おおむね良好にその機能を果たし、国民からも高い信頼を得ておりますが、同時に、時代とともに、国民の意識や価値観も多様化し、社会が急速に変化する中にあって、司法にもまた、より一層国民の感覚が反映され、迅速でわかりやすいものになることが望まれております。

 また、小泉内閣のもとでの構造改革の進展に伴い、我が国の社会は、いわゆる事前規制・調整型の社会から事後チェック・救済型社会へと変わりつつあります。

 このような社会においては、ルールに基づいて公正な判断を下すべき司法の役割が、これまで以上に大きくなるものと思われます。これからの司法は、その意義や役割がより広く国民に理解され、その信頼を得て、国民の生活に結びついた形で機能するものでなければなりません。

 私は、このような観点から、現在進められている司法制度改革を強く支持するものですが、特に、一般の国民が裁判官とともに刑事の裁判に関与する裁判員制度の導入は、国民に支えられた、開かれた裁判所のあり方として、大きな意義があるものと考えております。

 そこで、まず、本法案による裁判員制度の導入の意義をどのように考えているのか、お伺いいたします。

 裁判員制度は、国民に広く参加をお願いする制度ですが、この制度が導入されると、国民の皆さんには相当な負担をかけることになると思われます。国民の皆さんは、職場や家庭など、社会の中でそれぞれが重要な役割を持ち、毎日を一生懸命暮らしております。その上、さらに司法の一端を担う役割を負うことになるのですから、多くの国民は、裁判員制度の意義は理解しながらも、自分たちがどのような負担を受け持つことになるのか、また、人が人を裁くことに対しての不安を抱いているようにも思われます。

 一部の事件かもしれませんが、例えばオウム事件の裁判のように、判決までに非常に長い時間を要する裁判があるのも事実です。そのような長い裁判に国民が参加することは、負担という点から見ても、とても不可能でしょう。

 裁判員制度の導入のためには、裁判が迅速に行われることが不可欠であります。そのことを含め、私は、裁判員制度の導入に当たっては、国民の負担が過重なものとならないようにすべきであると思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

 裁判員制度の導入は、我が国の今後の裁判のあり方に大変大きな影響を及ぼすものと思われます。裁判は公正でなければなりませんから、裁判が世間の雰囲気に左右されるようなことがあってはならないことは当然であります。また、この制度は、国民に義務として参加しようという気持ちが生まれてこなければ、制度がうまく動かないことは明らかであります。

 しかしながら、現状では、裁判員制度を実際に支える国民の理解と支持が十分にあるとは言いがたいように思われます。その点、私は、若干の危惧を覚えるのであります。

 しかしながら、一国の司法制度のこのように大きな変革を失敗に終わらせることは許されません。政府は、裁判員制度の導入が円滑に行われるようにする大きな責任を負っており、十分な準備のための活動が必要であると考えますが、いかがでしょうか。

 以上の私の質問に対し、国民にわかりやすく、御理解いただけるような御答弁をいただくようお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣野沢太三君登壇〕

国務大臣(野沢太三君) 桜井議員にお答えを申し上げます。

 まず、裁判員制度の意義についてお尋ねがありました。

 裁判員制度は、広く国民が裁判の過程に参加し、その感覚が裁判の内容に反映されることによりまして、司法に対する国民の理解や支持が深まり、司法がより強固な国民的基盤を得ることができるようになるという重要な意義があるものと考えております。加えて、裁判が迅速に行われるようになり、また、裁判の手続や判決が国民にとってわかりやすいものになることも期待されるところであります。

 次に、裁判員となる国民の負担についてお尋ねがありました。

 国民の負担が過重なものとならないようにしなければならないことは当然のことでございます。そのため、本法案においては、一定のやむを得ない事由がある場合には辞退を認めることとし、また、迅速な裁判を実現するため、事前に争点整理を必要的に行い、公判を連日的に開廷することとするほか、出頭した裁判員に対して旅費、日当を支給することなど、種々の手当てをしております。

 次に、裁判員制度導入のための準備についてお尋ねがありました。

 裁判員制度がその役割を十分に果たすためには、国民の協力が不可欠であります。したがいまして、政府といたしましては、裁判員制度が実施されるまでの間においても、裁判員制度の意義やその具体的内容についての理解と関心を深め、進んで刑事裁判に参加していただけるようにするため、積極的かつ十分な広報活動を行う所存であります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 小林千代美君。

    〔小林千代美君登壇〕

小林千代美君 民主党の小林千代美です。

 民主党・無所属クラブを代表しまして、ただいま議題となりました裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案について質問をいたします。(拍手)

 今、司法は法律の専門家が担い、立法、司法、行政の三権の中で一番国民から遠い存在になっています。この司法を国民の参加により身近でわかりやすいものにすることが、今般の司法制度改革です。立法、行政だけでなく、司法にも国民が参加して初めて真の民主主義が完成されるのです。

 司法制度改革審議会が二〇〇一年の六月に内閣に提出した司法制度改革審議会意見書には、裁判の充実・迅速化など制度的基盤の整備、人的基盤の拡充、そして国民の司法参加を三本の柱に据えております。

 国民の役割は、「統治主体・権利主体である国民は、司法の運営に主体的・有意的に参加し、プロフェッションたる法曹との豊かなコミュニケーションの場を形成・維持するように努め、国民のための司法を国民自らが実現し支えなければならない。」と言及をしております。同時に、「法曹は、プロフェッションとして国民の主体的・自律的営みに貢献しなければならない。」として、国民が担う司法への転換をうたっています。

 しかし、政府法案がこうした理念を真摯に受けとめて策定されているか、甚だ疑問です。特に、主権者たる国民に守秘義務違反に対しては懲役刑まで盛り込むなどの厳罰主義に走り過ぎ、義務と負担を課すことばかりが前面に出されているこの政府法案は、この制度へ国民が入ることの不信感のあらわれであり、国民を信頼していないことが根底にあるのです。

 法案の第一条には、「裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資すること」だけが書かれておりますが、裁判員制度の真の目的が国民の主体的な司法への参加であるならば、その趣旨に国民の主体的な参加を高らかにうたい上げるべきではないでしょうか。(拍手)

 民主党は、今回の司法制度改革を、市民が主役の司法を目指す極めて重大な大改革だと位置づけ、その大きな柱となる裁判員制度についてはよりよい形での実現を目指し、多くの国民が参加し、国民の社会常識と多種多様な価値観が最大限反映され、かつ、裁判の公正さが保たれる制度設計を提案してまいりました。国民が裁判員として司法に参加することに誇りと責任感を抱き、主権者として気概を持って任務を担えるような制度整備が必要です。

 政府は、法曹の専門家が主役の現行制度をただ国民が補完するだけの制度にしたいのか、それとも、審議会意見書が述べるように、現行制度にこだわらずに国民を主体とする新たな制度を構築するのか、法務大臣に伺います。

 第一に、国民の主体的参加と多様な価値観が反映されるという観点から、裁判官三名、裁判員六名という人数構成について伺います。

 この構成は、あくまでも現行制度の踏襲に国民の良識を加味するだけのものでしかありません。民主党は、法律については素人であっても社会生活者としてはプロである裁判員が、憶することなく、法律のプロである裁判官と対等に評議をし、裁判員の多様な価値観を裁判に反映させていくためには、裁判官一人、裁判員十人前後の構成にすべきであると主張してまいりました。政府案では、裁判員の意見が十分に反映されるのか、甚だ疑問です。ぜひ民主党案を取り入れるべきだと考えますが、法務大臣に伺います。(拍手)

 法案では、有罪無罪の決定及び量刑の判断は、裁判官と裁判員の合議体の過半数であり、裁判官及び裁判員それぞれ一人以上が賛成する意見によることとなっておりますが、評決に当たっては、全会一致を目指す努力が重要であると考え、全会一致を目指した裁判官の公平で適正な評議進行が重要であると考えますが、法務大臣に伺います。

 また、全会一致に至らなかった場合についても、とりわけ死刑判決については、過半数で結論を出すのは国民感情からいって納得がいかないと考えますが、あわせて伺います。

 裁判員制度が有効に機能するためには、国民の理解を得ることが重要です。しかし、今、裁判員制度に関する国民の理解が必ずしも十分ではないのは、政府の及び腰が原因ではないでしょうか。また、法案では、国民に裁判員制度の意義や手続、職務についてわかりやすく説明する等の措置を講ずることとなっておりますが、どのような方法で啓発、教育を行うのか、その具体的計画について伺います。

 戦前の陪審員制度導入の際には、政府は、年間予算の〇・四%を約五年間の準備期間に充てました。十分な予算措置をとり、しっかりとした担当部局が必要だと考えますが、あわせて伺います。

 また、国民が司法をより身近なものにし、司法制度への理解を深めるためには義務教育や社会教育での法教育が重要だと考えておりますが、政府としてどのように取り組むのか、文部科学大臣に伺います。

 第二に、国民が参加しやすい制度である観点から、国民の多様な価値観を反映させるために、できるだけ多くの国民が裁判員として参加できるようにすべきですが、政府案では、参加できる人を限定する方向性が強いように感じられます。

 辞退理由に育児、介護なども挙げられており、代替措置として育児・介護サービスを提供して参加できるという選択肢は用意されておりません。国民側から見れば、辞退理由に該当する人は門前払いをされていると受けとめかねません。

 また、政令により、思想、信条を辞退理由に加えるということですが、裁判所がどのような具体的な基準を持って思想、信条による辞退を許可するのか、法務大臣に明確な答弁を求めます。

 民主党は、裁判員の任務をやむなく辞退した方の義務を一定期間延期できる延期制度も設けるべきであると提案してまいりました。この点についてもあわせて伺います。

 勤労者が裁判員として呼び出しを受けた際、一番不安に思うことは、仕事を休めるかどうかということです。法案では、労働者は裁判員であることを理由として解雇その他不利益な取り扱いを受けないこととなっており、裁判員として参加する際の休暇は労働基準法の公民権行使の保障と同等の扱いであるというふうな説明ですが、むしろ裁判員休暇を創設し、安心して休暇をとれるようにすべきではないかと思いますが、どのようにお考えか、法務大臣に伺います。(拍手)

 また、自営業者の方にとっては、たとえ一日でも仕事を離れることは経済的な負担を伴います。経済的な負担を軽減する措置が必要であると考えますが、どのようにお考えなのかを法務大臣に伺います。

 次に、政府案では、裁判員に対して裁判中及び裁判終了後も一生涯にわたって裁判全般につき守秘義務が課されます。しかし、裁判員制度の改善や運用の検証、さらに国民の参加意識を醸成するためには、他人の意見や証拠の内容などプライバシーを保護する一定の制度を設けた上で、裁判員がみずからの経験や感想を裁判後に述べて、経験を共有していくことが重要です。

 守秘義務違反に対して懲役刑まで盛り込まれているのでは、刑罰を恐れ、裁判員への心理的負担が重過ぎます。裁判員を裁判官と同格に扱ってこそ意義があるこの制度に、裁判官を別格として、退官後も含めて罰則は一切設けていないという反面、裁判員にだけは懲役刑まで用意をして、箝口令をしいて、厳しい守秘義務を課するのは、明らかに行き過ぎです。

 これでは、開かれた司法の理念とは逆行して、従来の密室型の司法に国民を引き込むだけのものとなってしまいます。守秘義務の対象範囲、罰則規定につき、裁判員が参加しやすく、開かれた司法となるように変えるべきだと思いますが、法務大臣のお考えを伺います。(拍手)

 また、裁判員に対する接触禁止につき、メディア規制のおそれがあるとの指摘もあります。この点についてもあわせて伺います。

 第三に、国民にわかりやすい司法とする観点から伺います。

 とりわけ、裁判員が参加する裁判では、当事者が準備手続において争点を明らかにして、迅速で充実した集中審理方式を実現するためには、検察官の手持ち証拠を全面的に開示することが必要であると考えますが、今回の刑事訴訟法改正案では不十分ではないでしょうか。この点につき、法務大臣にお伺いします。

 民主党は、従来、取り調べ段階における弁護人の立会権の確立と取り調べの可視化を積極的に導入するべきであると主張してまいりました。欧米のみならず、台湾ではいずれも既に実施がされており、韓国でも弁護人立会権を認める大法院の決定が出されております。

 今回の裁判員制度の導入に当たり、裁判員が取り調べの状況を正確に理解し、評議を迅速に行うためにも、取り調べの可視化を導入すべきであると考えますが、法務大臣の御所見を伺います。

 また、裁判員にわかりやすい審理とするため、直接主義、口頭主義を徹底できるように、供述調書については、取り調べ状況をビデオ録画することを条件に利用できるものとすべきと考えますが、この点についても伺います。(拍手)

 こうして法案の中身を精査していきますと、さまざまな疑問点、問題点が浮かんでまいります。司法制度改革の中で重要な位置を占めるこの裁判員制度が、お任せ民主主義からの脱却を図り、国民が夢と希望を持って参加できる制度として成立をさせなければいけません。

 裁判員制度の早期導入を目指し、実際の運用状況から見直し規定も考えるのか、最後に法務大臣にお伺いをし、政府には、国民からの疑問や不安を謙虚に受けとめて、国民を信頼できる制度とし、主体となる国民の立場からの制度設計の変更にも柔軟に対応するよう強く求めて、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣野沢太三君登壇〕

国務大臣(野沢太三君) 小林議員にお答えを申し上げます。

 まず、裁判員制度の理念についてお尋ねがありました。

 裁判員制度の導入は、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資するものであり、大変重要な意義があると考えております。他方、現在の裁判制度は、基本的には国民から高い評価を得ているのではないかと考えております。

 そこで、現行の裁判制度の長所を維持しつつ、国民の方々と裁判官が協働する制度を構築することにより、よりよい裁判制度を目指してまいりたいと考えております。

 次に、合議体の構成についてお尋ねがありました。

 まず、評議の実効性の確保や、個々の裁判員が責任感と集中力を持って裁判に主体的、実質的に関与することを確保するという観点から、合議体全体の規模は十人に至らない程度が適当であると考えられます。次に、裁判員制度は、特に重大な事件を対象としますので、原則として裁判官三人の関与が必要であると思われます。そして、合議体全体の規模の限度内で、国民の感覚がより反映されるようにするため、相当程度裁判員の数を多くするという観点から、その人数を六人とすることとしたものであります。

 次に、評決についてお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、一般的には全員の意見が一致する方が望ましく、評議の整理に当たる裁判長においても、評議を尽くすよう努めることなどに留意すべきであると考えております。

 評決の要件については、現行法では、裁判は過半数の意見によることとされており、これは死刑にかかわる判決についても同様であります。裁判員が加わる場合に限り要件を加重する合理的な理由はないことから、本法案におきましても、過半数の意見によることとしたものであります。

 次に、国民への広報についてお尋ねがありました。

 裁判員制度を円滑に導入するためには、裁判員制度の意義や手続、職務内容について、国民の十分な理解を得ることが大変重要であると認識しております。したがって、政府といたしましては、積極的かつ十分な広報活動を行う所存であります。

 具体的な活動としては、例えばパンフレットやビデオの作成、頒布、講演会の開催等も考えられるところですが、その効果的なあり方については、予算措置や担当部局の問題も含め、今後、さらに検討を進めてまいりたいと思います。

 次に、思想、信条による辞退の具体的基準についてお尋ねがありました。

 政令の具体的内容については今後検討していくこととしておりますが、思想、良心の自由等の憲法上の権利を侵すこととなるような義務づけを行うことは許されないので、そのような場合には辞退することができることを政令において何らかの形で明らかにすることとしたいと考えております。

 次に、延期制度についてお尋ねがありました。

 御指摘の延期制度については、裁判員を広く国民から公平に選ぶという制度の趣旨からして、慎重に検討すべきであると考えております。また、都合のつく時期は候補者によって異なるため、仕組みがかなり複雑になるおそれがあります。その意味で、辞退を認められた者を裁判員候補者名簿から除外せず、再度、裁判員に選任されることを可能とするにとどめるのが適当であると考えております。

 次に、裁判員休暇についてお尋ねがありました。

 議員御指摘のとおり、労働基準法第七条により、労働者が裁判員の職務を行う場合には、労働時間中であっても、そのために必要な時間は職場を離れることができることになると考えております。また、労働者が裁判員の職務を行うために仕事を休んだこと等を理由として、解雇その他不利益な取り扱いをすることを禁ずる規定を法案に設けております。これらの規定により、労働者は安心して休暇をとることができると考えております。

 特別の休暇制度を設けることについては、検察審査員などとの均衡、事業主側の負担等を考慮する必要があり、慎重に検討すべきと考えます。

 次に、自営業者の経済的な負担を軽減する措置についてお尋ねがありました。

 法案におきましては、裁判員に日当を支給することとしているほか、辞退制度を定めており、その適切な運用により、自営業者が過度の経済的負担を負うことは避けられるものと考えております。

 次に、守秘義務についてお尋ねがありました。

 まず、守秘義務の対象は、評議の秘密や他人のプライバシーなどの職務上知り得た秘密であり、裁判の公正さや裁判への信頼を確保し、評議における自由な意見表明を保障するために必要なものと考えておりますが、秘密にわたらない範囲で、経験や感想を述べていただくことは許されます。

 罰則については、多額の報酬を得た上で評議内容を明らかにしたり、重大なプライバシー侵害を生じさせるような非常に悪質な事案も想定されるところです。このような事案も含め、犯情に応じて適切な処罰が可能となるよう、罰金刑だけでなく懲役刑も選択できるようにするのが適当と考えております。

 次に、接触の規制についてお尋ねがありました。

 裁判員への接触の規制は、裁判の公正及びこれに対する信頼を確保するために必要なものと考えておりますが、その対象はメディアに限定されていません。裁判の終了後は、裁判員等が職務上知り得た秘密を知る目的での接触に限定して規制していることなどからしても、これがメディア規制に当たるとは考えておりません。

 次に、証拠開示についてお尋ねがありました。

 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案では、検察官は、取り調べを請求した証拠を開示するほか、それ以外の一定の証拠についても、開示の必要性と弊害とを勘案して開示しなければならないものとしております。これにより、争点の整理や被告人の防御の準備のために十分な証拠が開示されるものと考えております。

 これに対し、全面的証拠開示をするものとした場合、プライバシーの侵害など証拠開示に伴う弊害が生じるおそれがある一方、事件の争点とも関連しない証拠であっても開示をすることとなり、相当ではないと考えております。

 次に、取り調べの可視化を導入すべきではないかとのお尋ねがありました。

 取り調べ状況の録音、録画については、司法制度改革審議会意見においても、刑事手続全体における被疑者の取り調べの機能、役割との関係で慎重な配慮が必要であること等の理由から、将来的な検討課題とされているところであり、慎重な検討が必要であると考えております。

 次に、取り調べ状況のビデオ録画を条件に供述調書を利用できるものとすべきではないかとのお尋ねがありました。

 先ほど申し上げたとおり、取り調べ状況の録音、録画については、慎重な検討が必要であると考えております。

 次に、裁判員制度の早期導入と見直し規定についてお尋ねがありました。

 裁判員制度は非常に重要な意義を有するものでありますから、可能な限り早期に実現させるべく、全力を尽くしたいと考えております。

 ただ、制度の実施までには、国民の理解と協力を得るための広報活動などの準備を行う必要がありますことから、法律の公布から施行までに五年程度の期間が必要であると考えております。

 制度実施後におきましても、不断に実施状況を検証し、必要な見直しを行っていくべきであることは言うまでもないことであり、あえて特別な見直し規定を置かなかったものであります。(拍手)

    〔国務大臣河村建夫君登壇〕

国務大臣(河村建夫君) 小林千代美議員にお答えいたします。

 義務教育や社会教育での法教育についてのお尋ねでございました。

 法律や司法制度は、法律専門家のみならず、国民全体が支えるべきものでありますから、国民各層がさまざまな学習機会を通じて法に関する基礎的素養を身につけることは極めて大切なことであると思います。

 義務教育を初め学校教育においては、法や決まりの意義、司法の仕組みなどを理解して、よりよい社会の形成にかかわる態度を育成するために、社会科を初めとして学校の教育全体を通じて、法や司法に関して幅広く指導することにいたしております。

 また、社会教育におきましては、生涯の各時期を通じて、各人の自発的学習意思に基づいて学習ができるよう、大学の公開講座、あるいは地域の公民館等社会教育施設における各種の講座等を通じて、法に関する学習機会の提供が図られておる、こういう状況でございます。

 現在、法務省の法教育研究会におきまして、法教育の充実方策について検討をいただいております。文部科学省といたしましては、この研究会における検討に協力をしながら、学校を初め、さまざまな学習の場において法に関する教育の機会の充実が図られるよう努めてまいりたい、このように考えております。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十二分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

        法務大臣    野沢 太三君

        文部科学大臣  河村 建夫君

        国土交通大臣  石原 伸晃君

 出席副大臣

        法務副大臣   実川 幸夫君


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