衆議院

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第21号 平成16年4月8日(木曜日)

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平成十六年四月八日(木曜日)

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  平成十六年四月八日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに高病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案(菅直人君外六名提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

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 農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに高病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案(菅直人君外六名提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案及び家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案並びに菅直人君外六名提出、高病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案について、趣旨の説明を順次求めます。農林水産大臣亀井善之君。

    〔国務大臣亀井善之君登壇〕

国務大臣(亀井善之君) 農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案の趣旨につきまして御説明申し上げます。

 農協系統は、農業者の協同組織として、組合員に対して営農及び生活に関するサービスを総合的に提供してきたところでありますが、今後とも組合員や消費者のニーズ等に的確に対応し、地域農業の振興等についてより積極的な役割を果たしていくことが期待されているところであります。

 また、農業協同組合が行う共済事業及び農協系統の信用事業等に係る保証を行う農業信用基金協会の事業について、その健全性の確保を図っていくことが重要であります。

 このような状況を踏まえて、農協系統の改革に向けた自主的な努力を支援するため、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、農業協同組合法の改正であります。

 組合員や消費者のニーズの変化、改革が急務となっている経済事業の見直し、信用事業及び共済事業の高度化、複雑化等に対応するため、全国中央会が中央会の行う指導事業に関する基本方針を策定、公表することとするほか、農業協同組合に対する決算監査等の機能を全国中央会に集約することとしております。

 また、農業協同組合が行う販売事業につきましては、農業協同組合間の連携を通じてその充実を図るため、農業協同組合が定款の定めるところにより自己の組合員の農産物と他の農業協同組合の組合員等が生産した農産物をあわせて販売する場合、員外利用規制の対象外とすることとしております。

 さらに、農業協同組合の経営状況についての組合員自身による適正な判断、行政による適正な監督等に資するため、全農、経済連等について一層の経営情報の開示を義務づけることとしております。

 このほか、農業協同組合が行う共済事業につきましては、その経営の健全性の確保を図り、共済事業の利用者の保護及び機動的な事業運営を確保するための措置を講ずるとともに、共済利用者の保護の観点から契約条件の変更を可能とする手続の整備等を行うこととしております。

 第二に、農業信用保証保険法の一部改正であります。

 農協系統の信用事業等に係る保証を行う農業信用基金協会の健全な運営に資するため、主務大臣は基金協会がその経営の健全性を判断するための基準を定めることができることとする等の措置を講ずるとともに、基金協会が合併、事業譲渡を行うことができることとしております。

 以上、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。

 次に、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案の趣旨につきまして御説明申し上げます。

 畜産の振興を図るため、農林水産省といたしましては、従来から、家畜の伝染性疾病の発生の予防及び蔓延の防止に努めてきたところであります。

 しかしながら、高病原性鳥インフルエンザの発生に関し、農家の届け出が行われず、生きた鶏の出荷先で感染が拡大するといった事例が生じました。また、本病に関しては、広範囲かつ長期間の移動制限が必要となることから、移動制限の対象となった農家の経営に大きな影響が生じたところであります。

 このような状況を踏まえ、届け出義務違反に関するペナルティーを強化するとともに、移動制限を受けた農家に対する助成措置を制度化するなど、より的確に蔓延防止が図られるようにするため、この法律案を提出することとした次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、疾病発生時の届け出義務違反に関するペナルティーの強化であります。

 家畜等の所有者に交付される手当金について、家畜伝染病の蔓延防止に必要な措置を講じなかった者に対しては、これを支払わないこととするとともに、家畜の所有者が届け出義務に違反した場合の罰則を引き上げることとしております。

 第二に、家畜等の移動制限を受けた畜産農家に対する助成の制度化であります。

 こうした畜産農家に対し、都道府県が売り上げの減少額や飼料費、保管費、輸送費等を助成する場合には、国がその二分の一を負担することとしております。

 第三に、都道府県の防疫事務の費用に対する国の負担であります。

 都道府県の防疫事務の円滑な実施を図るため、従来から国が負担しているものに加え、防護服等の衛生資材の購入費や賃借料、家畜防疫員がみずから患畜等の死体や汚染物品の焼却、埋却を行った場合の費用について、国がその二分の一を負担することとしております。

 以上、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)

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議長(河野洋平君) 提出者篠原孝君。

    〔篠原孝君登壇〕

篠原孝君 民主党の篠原孝でございます。

 ただいま議題になりました高病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案の提案理由並びに内容の概要を御説明いたします。

 皆さん、鳥インフルエンザはなぜ起きたのでしょうか。根本的な理由がおわかりでしょうか。もちろん、ウイルスはあります。しかし、日本の養鶏場の鶏は非常に不健康だということが、その見逃せない理由の一つではないかと考えます。

 人間に例えるならば、皆さんの議場のスペースでえさを一生食べ続け、ひたすら太るか卵を産む一生でございます。まあ、食い意地の張った怠け者には非常にすばらしい一生かもしれませんけれども、一般的に考えますと、哀れな一生涯ではないかと思います。非常に非人間的、あるいは非鶏道的な飼い方ではないかと思います。

 EUでは、動物愛護あるいは動物の権利の観点から、鶏一羽当たりのスペースの広さを広げる規則ができ上がりつつあります。一部の国では、二〇一〇年を目途にゲージ飼いを禁止するということも聞いております。

 それに対して、我が日本では、ひたすら効率を追い求め、鶏を卵製造機あるいはブロイラー製造機と考えてしまったのではないかと思います。その結果、卵は物価の優等生ともてはやされていますが、七十九年ぶりに不幸な病気が発生し、生産現場は混乱し、消費者に不安が広がっております。

 やはり農業は工業と違うのではないでしょうか。農業は、自然に働きかけて、その恵みを返していただくという敬けんな産業です。その原理を忘れた罰が、BSEであり、コイヘルペスであり、今回の鳥インフルエンザではないでしょうか。(拍手)

 民主党・無所属クラブは、こういった状況に対処するためには、家畜伝染病予防法の改正だけでは不十分と考え、時限の特別立法で提案させていただくこととした次第でございます。

 鳥インフルエンザの発生は緊急事態でございます。天災です。国を越え、県を越え、伝染してまいります。生産者の責めに帰するものではありません。有事は、何も戦争のときだけではないわけでございます。こうした有事のときには、国がリーダーシップをとりまして、全省庁、全都道府県と一丸となって対処をしていくべきではないかと考えます。

 したがいまして、民主党の法案におきましては、まず、有事に対処すべく、内閣総理大臣を本部長といたしまして緊急対策本部を設置し、一致協力して総合的に、一体的に施策を実施していく体制をつくることとしております。

 第二に、生産者に生じました損失を全額補償すべきこととしております。

 京都におきましては、通報がおくれました。その通報がおくれた原因の一つとして、発病が知れた場合には非常に膨大な損失をこうむるということがあったのではないかと思います。こうした事態をなくすためにも、全額、国が全責任を持って補償していくべきではないかと考えております。(拍手)

 このようなために、我々民主党は特別立法の法案を提出しております。

 最後に、我々は、畜産の根本的問題を解決しなければなりません。そのためには、加工畜産から脱却し、人間も自然の一部であるということを認識し、環境保全型農業を推進し、地産地消・旬産旬消をもとにした食生活が復活することを願って、私の提案理由説明といたします。

 議員各位の御審議と御賛同をよろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

 農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに高病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案(菅直人君外六名提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。奥野信亮君。

    〔奥野信亮君登壇〕

奥野信亮君 自由民主党の奥野信亮でございます。

 私は、先般の選挙で初めて当選した新人議員でございます。私のように、長い間、民間企業の経営者として合理性の追求に余念のなかったフレッシュな目で政治を見ると、ここ数日の国会は、政治にもスピードを求める国民の期待にこたえられているようには見えません。(拍手)

 我々国会議員の使命は、国民の負託にこたえ、国会内で堂々と論議し、法案を磨き上げ、玉成することだと思います。国会の会期も残り少ない中、全会派の議員が協力して国民の期待する法案を一つでも多く成立させ、責任を果たすのが我々国会議員の任務と考えている次第でございます。(拍手)

 さて、きょう、私は、自由民主党、公明党を代表し、ただいま議題となっております農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案及び家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして、質問いたします。

 まず、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案でございますが、農業は我が国国民の命を支える基幹産業でありまして、我が国農業・農村を将来にわたり持続的に発展することなくして、我が国経済社会の持続的、安定的な発展はあり得ません。

 しかしながら、最近の食品の偽装表示や無登録農薬問題など、食の信頼を揺るがす事件が相次ぐ中で、農協系統は、事業運営の透明性を高め、消費者の信頼を取り戻すとともに、食の安全、安心のニーズに的確に対応できる産地づくりや、競争の激化に対応できる経済事業を初めとする事業の抜本的な見直しを迫られております。

 私の地元、奈良県においては、平成十一年度の合併を機に、全国に先駆けて経営管理委員会制度を導入し、経営の高度化を図るとともに、営農指導にも力を入れ、奈良県特産のイチゴ、あすかルビーの知名度アップに一役買うといった成果を上げてきております。

 農協改革なくして我が国農業・農村の発展はあり得ないと考えますが、農協改革に対する基本的な考え方について、農林水産大臣の御見解をお伺いいたします。

 次に、農協系統が創意工夫を凝らして経済事業等の改革に一丸となって取り組んでいくためには、農協の指導機関たる中央会の旗振りが必要と思われます。また、中央会は、組合の監査を行う役割を担っておりまして、近年の農業情勢の変化や会計制度の複雑化に対応していくことが課題であります。

 今回の改正では、中央会の機能の明確化がうたわれておりますが、このような課題に対応できるものなのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

 次に、農協の共済事業でありますが、相互扶助の理念のもと、一般の保険会社と肩を並べるほどの事業規模となり、事業が将来とも健全に運営され、組合員が安心して利用できるようにすることが課題であります。

 このような中で、農協の共済事業の現状をどう認識され、今回の改正で講じられた措置について、農林水産大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

 次に、農業信用保証保険法の改正でありますが、農協系統の信用事業については、既に、農林中央金庫が中心となって、問題組合の早期発見、早期是正のための自主ルールを策定し、JAバンクシステムとして機能する仕組みが確立されており、農協の信用事業の健全性は相当程度確保されております。

 一方、あわせて、その貸し付け等に対する保証のシステムが健全かつ的確に機能することも重要であります。このため、農業者のニーズにこたえて、農協系統の信用事業等に係る保証を行う農業信用基金協会の一層の健全な運営を確保する必要があると考えますが、今回の法改正の趣旨及びその概要について、農林水産大臣の御答弁を求めます。

 今回の法案が農協改革の推進力となり、今後とも、農業者はもとより、消費者にも選択される農協であり続けるその一助となることを期待いたしまして、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案についての質問を終わります。

 続きまして、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。

 高病原性鳥インフルエンザの対応につきましては、家畜伝染病の蔓延防止といった家畜衛生上の問題のみならず、食の安全、安心の確保や人への感染防止等、国民の健康確保に向けて、その対策に万全を期する必要があります。

 今般の高病原性鳥インフルエンザについて、山口、大分のケースでは迅速な防疫措置が講じられ、適切な蔓延防止が図られました。しかし、京都のケースでは、生産者からの届け出がなされず感染が拡大し、家畜衛生上の問題だけでなく、食や健康に対する国民の不安を引き起こしたところであります。また、本病による移動制限は長期、広範囲に及び、制限を受けた養鶏農家に大きな影響が生じたところであります。

 このような中、我が与党は政府と一体になり、三月十六日に鳥インフルエンザ緊急総合対策を取りまとめたところでございます。

 家畜伝染病予防法の改正については、これらを踏まえ検討されたものであり、届け出義務違反に関するペナルティーの強化や、移動制限命令に協力した農家に対する助成の制度化等を内容としております。まず、この法改正の趣旨を含め、高病原性鳥インフルエンザへの対応の基本的考え方について、農林水産大臣の御見解をお伺いいたします。

 次に、届け出義務違反に関するペナルティーの強化であります。

 今般の京都のケースで見られたように、早期届け出は、的確な蔓延防止措置を講ずる上で必須であり、その違反に対しては厳しく対応する必要があります。今回の改正における、罰則の引き上げ等ペナルティーの強化についての考え方について、農林水産大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

 最後に、移動制限に協力した農家への助成でありますが、今般の移動制限により、多くの養鶏農家の経営に大きな影響が及んだところであります。移動制限等の防疫措置を確実に実施するとともに、今後の地域の畜産の振興を図っていくためにも、恒久的な助成措置が必要と考えます。今回の助成措置により農家の損失にどのように対応されるのか、大臣の御答弁を求めたいと思います。

 家畜伝染病の対策については、病気の発生予防に万全を期することはもちろんでありますが、万が一発生した場合に常に的確な蔓延防止措置がとれるよう、恒久的な仕組みを整えておくことが極めて重要であります。また、家畜の所有者、地方自治体及び国がそれぞれの役割を十分に果たしながら、国とともに都道府県の主体的役割が期待されるところであります。

 このような観点から、民主党案については、平成十七年三月末までの時限措置でありまして、恒久的な対策となっていないこと、移動制限による農家の損失に対する助成は全額国が負担し、都道府県の役割が重視されていない等の問題があるものと考えます。

 今回の経験を生かし、家畜伝染病の蔓延防止対策の強化策が恒久的措置として講じられることに対し、強く支持を表明して、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣亀井善之君登壇〕

国務大臣(亀井善之君) 奥野議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、農協改革に対する基本的な考え方についてのお尋ねであります。

 農協改革においては、何よりもまず、農協系統自身が各界の意見や要請を真摯に受けとめ、みずから改革を断行することが肝要、このように考えております。その際、農業者、消費者に選択してもらえる農協に脱皮するよう、役職員一丸となって取り組むことが基本であると考えます。今回の農協法改正案は、農協系統による改革を推進するための措置を講じようとするものであります。

 次に、今回の中央会の機能の明確化の趣旨についてのお尋ねでありますが、今回の改正では、都道府県の中央会が連携をとりつつ、地域の実情に即し、より効果的に組合指導を行えるよう、全国中央会が指導事業に関する基本的な指針を策定することとしております。

 一方、監査につきましては、既に平成十四年度から監査を一元化し、全国的に同レベルの監査を行っております。今回の改正では、こうした実態を踏まえ、制度上も、監査機能を全国中央会に集約することとしております。

 次に、農協の共済事業の現状認識及び今回の改正の措置内容についてのお尋ねであります。

 農協の共済事業は、事業開始以来順調に発展し、その規模も相当大きくなっております。運営面でも、当面の健全性に問題はないと考えております。しかしながら、万一、健全性を損なうような事態となれば、組合員や農村社会に大きな影響を与えるおそれがあります。

 このため、今回の農協法改正案におきましては、共済事業の一層の健全性の確保、契約者保護の充実等を図るための措置を講ずることとしております。

 次に、農業信用保証保険法の改正の趣旨及び概要についてのお尋ねでありますが、農協系統の信用事業の健全性確保とあわせて、農協融資に係る保証システムの健全性をより一層高めることが重要となっております。

 このため、農業信用保証保険法を改正し、農業信用基金協会について、健全性を判断する基準の主務大臣による策定、公認会計士監査の導入を行うほか、事業譲渡、合併等に関する規定の整備等を行うものであります。

 次に、高病原性鳥インフルエンザの対応に関する基本的な考え方についてのお尋ねでありますが、高病原性鳥インフルエンザの発生に対しては、関係府省と密接な連携をとり、三月十六日には、鳥インフルエンザ緊急総合対策を申し合わせ、法制度の整備を含めた総合対策を講ずることといたしました。

 これを踏まえ、今回の改正では、届け出義務違反に関するペナルティーの強化と、移動制限を受けた農家に対する助成措置の制度化等を行うものであります。

 今後とも、鳥インフルエンザの早急な封じ込めを図るとともに、食に対する不安の払拭等の対策を確実に推進してまいります。

 次に、今回の改正におけるペナルティーの強化についてのお尋ねでありますが、家畜伝染病の蔓延防止を図る上で、早期の届け出は迅速な対応の決め手となるものであり、確実な届け出を確保していくことが重要であります。

 このため、届け出義務に違反した家畜の所有者等に対し、手当金を交付しないこととするとともに、罰則については、三年以下の懲役または百万円以下の罰金へ引き上げることとしております。

 最後に、移動制限に協力した農家への助成措置についてのお尋ねでありますが、今回の改正では、移動制限命令に協力した農家に対して、鶏肉、卵の価値の低下による売り上げの減少額、飼養期間の延長による飼料費の増加額、卵の保管費等に対して助成することとしており、移動制限による農家の損失に十分対応できるものと考えております。

 また、これら農家の経営安定を図ることは、家畜伝染病の蔓延防止とともに、地域の畜産振興の上からも重要であることから、助成に当たっては、国と都道府県が助成費用を二分の一ずつ負担することとしているところであります。(拍手)

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議長(河野洋平君) 楠田大蔵君。

    〔楠田大蔵君登壇〕

楠田大蔵君 民主党の楠田大蔵でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案について、御質問をさせていただきます。(拍手)

 まず、一言申し上げなければならないことがあります。

 私も、先ほどの奥野先生と同じように、フレッシュな、昭和五十年生まれの現在二十八歳でございます。我々若い世代は、やはり、今の日本の政治に大きな不信を持ち、そして、これからの自分たちの未来に漠然とした不安を抱いております。だからこそ、お金も組織もない私のような若い世代が、今、数多くこの政界に進出をし、こうして質問をさせていただいておるわけでございます。

 こうした世代にとって、今回の年金の問題は大変関心のある問題であることは言うまでもありません。そうした問題に対して、小泉総理が、総理みずから本音と建前を使い分け、あのような不誠実な答弁をし、国会がこのように混乱に至ったこと、断固としてまず抗議をさせていただきます。(拍手)

 さて、本題に戻ります。

 農業は、自来、私たちにとって最も重要な取り組みでございます。その農業が、現在危機に瀕しております。自給率はカロリーベースで四〇%に低迷をし、農業者の意欲は生かされず、高齢化と後継者不足で先細りしていく。その一方で、世界的な競争がさらに加速をし、輸入産品に対して国内産品、いかにコストを下げ、いかに高付加価値なものにしていくか、このような課題も喫緊なものとなっております。

 こうした問題意識を長い間持ちながらも、農業者の不安を解消するような抜本的な改革ビジョンというものを示せていない政府・与党の責任は大変重いと言わざるを得ません。(拍手)

 まず、農林水産大臣に、この現状を招いた責任をどのように考えておられるのか、そして、それを打破する明確なビジョンをお持ちなのか、お尋ねいたします。

 我々民主党は、菅直人代表を先頭に、農林漁業の再生を考える運動本部を立ち上げ、農林水産政策を最重要課題と位置づけております。代表みずから全国を行脚し、我々を従え、現場の声をつぶさに聞いておる。参院選前には、農業者の元気をいま一度呼び起こすような再生プランを我々は打ち出してまいります。(拍手)

 こうした農業の現実において、農協という組織をいかにとらえ、その事業内容をいかに改善していくかということは、大きな論点です。

 経済事業の七〇%もが赤字であり、元来、個々の農業者の生活、営農を守るために存在する農協が、今や、農業者のニーズから離れ、逆に農業者を縛る組織となっております。このため、意欲がある農業者ほど農協を離脱して消費者のニーズにこたえているという皮肉な結果ともなっております。その一方で、組織防衛のためか、懲りもせず、いまだに特定の政党の応援ばかりをしている、これが実態でございます。(拍手)

 まず問題は、やはりそうした農協の体質を改善していくことではないでしょうか。

 全農チキンフーズの虚偽表示事件に絡みます問題に見られますように、再三にわたる業務改善命令にもかかわらず、事件がその後も相次いで発覚をし、農業者や国民の信頼を裏切り続けてまいりました。また、無登録農薬問題が発覚したときも、行政と農協の対応のまずさにより農業者の混乱を招きました。

 国民と農業者の信頼回復のために、どのような抜本的改革、是正措置がとられてきたのか、農林水産大臣、お答えください。

 こうした現状も受けてか、かつて小泉内閣の農相であった武部勤氏が、解体的改革がなければ農協の存在意義はゼロという発言をされ、さらに小泉首相みずから、経済財政諮問会議において、改革なければ解体という意欲で実施を進めてほしいと要請をし、解体か改革かという大胆な方向性が打ち出されました。

 このような議論の中で、既に先進的なJAが存在し、これからの流れとして、自己責任を明確にした上で地域の単協の自主性を尊重していくべきだという意見も出されておりました。

 例えば、私の地元であります福岡県甘木・朝倉地域では、肥料、農薬などを生産段階から実需者と話し合うオーダーメードの米づくりを率先して拡大しております。

 現在の地方分権の流れにおいても、できるだけ中央のコントロールを排除し、組合員の意見を反映して、地域の実情に沿った自主的な農協、あるいは従来の農協の発想にはない新しい農業共同体をつくっていくことこそが求められる形と言えます。

 それにもかかわらず、今回の法改正案では、中央会による基本方針の策定や監査機能の集中化が図られております。この案では、自主性の流れに逆行するばかりか、全中の権限を利用して政府が画一的な農業の推進を進め、過去の過ちの代表であるあの減反政策の二の舞も起こりかねないのではないでしょうか。(拍手)

 そこで、農林水産大臣に率直にお聞きします。

 小泉内閣で最も重点的に取り組んでおられる地方分権や規制改革の流れに、この法案は逆行するのではないでしょうか。あわせて、これまでの議論の経緯と、なぜこのような権限強化を今図らなければならないのかの必然性をお答えいただきたいと思います。

 また、この中央集権化の懸念として、行政と農協の癒着構造がさらに進むことも考えられます。

 農協の力の源として、行政代行的業務があります。農林水産省の指導は農協を通じて農業者に行き渡りますし、農業に関する融資や貸し付けの窓口が農協です。また、補助金も農協を経由して農業者に渡り、農協が主体であれば補助金が出やすいというのが実情です。つまりは、農業者にとって農協はほぼ唯一の窓口なのです。だからこそ、農業者は仕方なく割高な資材を買い、農協は経営能力がますます落ち込むという悪循環に陥っております。

 まだ間に合います。今こそ、当初の改革理念に沿って、競争を促す新しい農協、地域における従来とは違った多様な農協が参入しやすくなる規制緩和の法改正が必要だと考えますが、農林水産大臣、いかがでしょうか。

 次に、監査機能の強化について質問をいたします。

 平成八年の農協法の改正では、信用事業を行う農協及び信連については外部監査が義務づけられました。しかしながら、その実態は、中央会の内部に公認会計士を含めることによって、これを外部監査とみなしてきたにすぎません。こうした世間の常識から外れた監査機能をさらに強化しても、監査の健全性がどのように担保されるのか疑問です。むしろ、完全な外部監査を導入し、より透明性、信頼性を確保すべきと考えますが、いかがでしょうか。(拍手)

 信用事業についてもお尋ねをいたします。

 平成十三年の農協改革二法の成立によりJAバンクシステムが形成されましたが、その前段階で莫大な額の税金が不良債権処理に費やされたのは記憶に新しいところです。そうした過去を持つJAバンクは、それだけ健全な経営の責任を国民に負わされていると考えるべきだと考えます。

 この二年間、どのような経営が行われ、どのような役割を果たしてきたのか、また、ペイオフ解禁に向けてどのような安心システムをとっていくのか、農林水産大臣、御説明願います。

 次に、共済事業についてですが、昨年六月、多くの問題を抱えながら成立した保険業法の規定の趣旨が多く盛り込まれました。この中で、予定利率の引き下げを可能とする制度も導入されております。通常の民間保険会社であれば、競業他社が存在し、その決断には相当の覚悟が必要です。

 しかし、前述のように、農協が農業者にとってほぼ唯一の窓口である現状では、ほかに選択肢が余りないまま、農業者は共済に加入をしております。その上部団体とも言える全共連は比較的安易に利下げの判断ができ、農業者にしわ寄せが来るおそれもあるのではないでしょうか。

 また、そもそも、これだけ保険業法の規定の趣旨を導入するのであれば、三百八十兆円の規模を誇る共済事業の監督自体を金融庁にゆだねるべきと考えますが、あわせて農林水産大臣そして金融担当大臣、お答えください。

 さらには、共済事業を行う組合が保険契約の締結の代理をできるとの改正があります。条文上は、いかなる民間の保険会社もこの販売に参入できると読めますが、実質は、昨年三月子会社化された共栄火災の保険商品のみが販売されるとも聞き及んでおります。この点、いかがでしょうか。また、それが事実とすれば、一民間企業である共栄火災の独占性が問題と考えますが、あわせて農林水産大臣、お答えください。(拍手)

 最後に、生活関連事業に関してお聞きをします。

 確かに、介護など地域の役割として必要かつ重要な業務はありますが、ガソリンスタンドやAコープなど、七〇%近くが赤字である事業を存続させていくことに本当に意義があるのか、そして、今後どのように対策を講じていくのか、農林水産大臣、簡潔にお示しいただきたいと思います。

 以上述べましたとおり、今回の改正案は、当初のかけ声のような抜本改革とは遠くかけ離れており、地域の実情に沿った、真に農業者や組合員、そして消費者のニーズに沿った農協づくりを目指す意欲を見出すことはできません。

 私の祖母は、都合二十五年、農業講習所そして農業試験場に勤務をし、大おじは農政連の県会議員を八期務めました。農業を愛すればこそ、私は、このような指摘をさせていただいたところでございます。(拍手)

 私、楠田大蔵は、そして民主党は、あくまでも農業者そして消費者の視点に立って今回の議論を尽くし、検討するとお誓い申し上げまして、私の代表質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣亀井善之君登壇〕

国務大臣(亀井善之君) 楠田議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、我が国農業の現状及びビジョンについてのお尋ねでありますが、食料・農業・農村基本法に掲げる食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮などの基本理念の実現を図るため、基本計画に即し、農政を推進しているところであります。

 一方、我が国農業は、食料自給率の問題はもとより、農業の構造改革の立ちおくれ、WTO等の国際規律の強化等厳しい状況のもとにあります。競争力の強化などの農政全般にわたる改革を推進し、将来にわたって安全な食料を安定的に国民に供給できるしっかりとした農業を確立していくことが重要、このように考えております。

 こうした観点から、平成十七年三月を目途とする基本計画の見直しの中で、やる気と能力のある経営を後押しする政策の構築や、農業の有する多面的機能の持続的発揮に向け、改革に取り組んでいるところであります。

 次に、農協系統の信頼回復に関するお尋ねでありますが、信頼の回復に向けて、御指摘の全農等に対する業務改善命令については、定期的に報告を求め、指導してきております。また、農協を含めた無登録農薬の使用については、昨年、法規制を強化したところでもあります。

 また、農協系統においては、昨年の全国農協大会で、安全、安心な農産物の提供を最重点課題の一つとして取り組むことが決議されているところであります。

 農林水産省といたしましては、今後とも、農協系統に対し適切に指導してまいります。

 次に、全国中央会の指導機能及び監査機能についてのお尋ねでありますが、今回の改正では、農協のあり方についての研究会の報告及び昨年の全国農協大会の決議を踏まえ、都道府県の中央会が連携をとりつつ、地域の実情に即し、より効果的に組合指導が行えるよう、全国中央会が基本的な方針を策定することとしております。

 また、監査につきましては、既に平成十四年度から一元化し、全国的に同レベルの監査を行っていることを踏まえ、今回の改正では、制度上も、監査機能を全国中央会に集約することとしております。

 いずれにしても、農協改革は、農協自身が地域の実情に応じ創意工夫を凝らして実践するものであり、今回の法改正が地方分権や規制改革の流れに逆行することはない、このように考えております。

 次に、多様な農協の参入に関するお尋ねでありますが、平成十三年の農協法改正において、地区が重複する組合の設立認可に当たっての不認可要件を法律上明確化するなどの規制の緩和を行い、農協間の競争原理を働かせた多様な組合の参入が可能とされているところであります。

 次に、完全な外部監査の導入についてのお尋ねでありますが、中央会には農協に対する監査ノウハウが蓄積されており、また公認会計士が積極的に活用されていることから、中央会監査は外部監査と遜色ないものである、このように考えております。

 次に、平成十三年の農協改革二法施行後の成果及びペイオフ解禁に向けた取り組みについてのお尋ねでありますが、信用事業につきましては、農林中金が中心となって、農協金融自主ルールに基づき農協等を指導するJAバンクシステムが確立し、問題農協の早期発見、早期是正を強力に進め、その結果、農協貯金は安定した伸びを示すなど、全体として安定した経営が確保されているところであります。

 今後、十七年四月のペイオフ全面解禁後に向けて、不良債権の処理の強力な推進や組織再編及び事業強化を図り、信用事業がさらに安定的かつ健全に運営されるよう適切に努めてまいる所存であります。

 次に、予定利率の引き下げを可能とする制度の導入についてのお尋ねでありますが、契約条件の変更手続につきましては、契約者保護の観点から、共済事業の継続が困難となる蓋然性がある場合に限り、組合と契約者との間の自治的な手続を基本に、行政庁による審査を経て行われるものであることから、農業者に安易なしわ寄せが行くようなことはないと考えております。

 次に、共済事業の監督を金融庁にゆだねるべきとのお尋ねでありますが、農協の共済事業は保険とは異なり、相互扶助の理念のもとで組合員を対象として行われるものであり、今回の改正においても、その性格は何ら変わることがないことから、従前どおりとしているところであります。

 次に、共済事業を行う組合が実施する保険契約の締結の代理についてのお尋ねでありますが、今回の改正は保険会社を限定するものではなく、いかなる保険会社の商品を扱うかについては、組合員の利便の増進等の観点から、各農協がみずから決定すべきものと考えております。

 最後に、生活関連事業についてのお尋ねでありますが、農協の生活関連事業は、近年、生活店舗やガソリンスタンド等、多くの部門で赤字となっております。

 農協の意義は、農産物販売と生産資材購買で組合員にメリットを出すことが基本であり、生活関連事業は、競争力があるか、組合員の便宜上不可欠の場合のみ行うべきものと考えております。農協系統においても、昨年の全国大会において同趣旨の決議を行ったところであります。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕

国務大臣(竹中平蔵君) 楠田議員から一問、農協の共済事業の監督についてお尋ねがございました。

 農業協同組合の行う共済事業につきましては、農業協同組合法の規定に基づき、相互扶助の理念のもとで、農家組合員を対象として、主務官庁の適切な監督を受けて行われております。したがいまして、農水大臣の答弁にもありましたように、現行制度の趣旨を踏まえれば、今回の改正によって、直ちにこうした共済事業を金融庁が監督するといった必要が生ずるわけではないと考えている次第でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

    〔議長退席、副議長着席〕

副議長(中野寛成君) 梶原康弘君。

    〔梶原康弘君登壇〕

梶原康弘君 民主党の梶原康弘です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました民主党提出の高病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案及び政府提出の家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案に対し、質問いたします。(拍手)

 私は、兵庫県の丹波篠山の出身でございます。このたびの鳥インフルエンザが発生した京都府丹波町とは隣接する地域でありまして、家畜伝染病予防法に基づく移動制限区域三十キロ圏内に、篠山市はもちろん、いわゆる丹波地方がほぼすっぽりとおさまってしまいました。この地域には三十九軒の養鶏業者があり、鶏の飼育数は約三十二万羽、一部大規模業者はありますけれども、その大半は小規模の農家であります。

 そして、この移動制限の一カ月余りの間、この区域では、約三十二万羽の鶏がえさを食べ続け、毎日二十三万個の卵を産み続け、移動することも出荷することもできず、保管場所もないまま、毎日毎日積み上がっていった。

 もちろん、売り上げはありません。養鶏業者は、毎日のえさ代の捻出に苦しみ、また、毎朝鶏舎へ行くたびに、もしや、うちの鶏が鳥インフルエンザに感染して死んでしまうのではないか、生きた心地がしなかった、そう言って、嘆いております。彼らがどれほど不安な毎日を送ってきたのか、政府・与党の皆さんは認識をいただいているのでありましょうか。(拍手)

 これは、国がリーダーシップをとることなく、第一義的な責任を県に任せ、後手後手の対策しか打ち出してこなかった政府・与党の責任であることは間違いがありません。政府・与党の猛省を促すものであります。(拍手)

 まず、民主党提案の高病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案の基本的な考え方についてお伺いをいたします。

 現在、日本の農業は、農家がみずからの農地を生かし、自然の恵みとして豊かな農産物を生産し、それが自分たちの生命や健康を維持しているという最も基本的な理念さえ見失わざるを得ないような状況になっているのではないか。休耕田はふえ続け、食料自給率は、先進国で最低の四〇%余りなのであります。一方で、農薬漬けの輸入農産物が食卓に満ち満ちている。

 これまでの政府・自民党の農政がいかに農業をないがしろにしてきたのか、如実に物語っているではありませんか。(拍手)

 鳥インフルエンザという伝染病がヨーロッパで猛威を振るい、何と五千万羽の鶏が処分されました。また、昨年来、東南アジアなどで発生し、人の感染と死亡例まで報じられておりましたけれども、だれよりも情報を得る立場にありながら、そして行政責任のある立場でありながら、政府、農林水産省、厚生労働省は、十分な対策を全くとらなかったと言っても過言ではありません。(拍手)

 子供が風邪を引いて、慌てて薬局へ薬を買いに行く、そんな話ではないわけであります。鳥インフルエンザが蔓延すればどういうことになったのか、わからなかったというのでしょうか。日本だけは大丈夫だと思っていたんでしょうか。まさしく、政府・与党の無策としか言いようがありません。(拍手)

 過日、家畜伝染病予防法の届け出義務違反で、浅田農産社長らが逮捕されました。その責任は極めて重く、罪は罰せられるべきでありますけれども、すべて浅田農産に責任を押しつけられるものか、決してそれでは済まされません。政府の補償が十分でなく、鳥インフルエンザに感染していることが判明すれば経営が破綻しかねない、だから隠してしまったと言えるのではないか。

 これら問題を解決するべく、民主党は、高病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案を提出いたしました。また、遅まきながら、政府も家畜伝染病予防法の改正案を提出しましたが、政府案では、これまでの政府・与党の失政に対する反省が一切ありません。

 詳しくは後で述べますけれども、政府案は、今回、食鳥検査制度が全く機能せず、感染鶏肉が流出してしまったこと、その対策がありません。また、制限区域内の鶏卵、鶏肉に対する価格補償も、全く実態を反映しておりません。さらに、感染家禽等の早期発見のための措置が不十分である。全く問題のある内容でございます。

 これに対し、民主党提出の緊急措置法案は、政府提出の改正案で不十分な点についても十分対策がとられていると思っております。

 そこで、民主党提案者に、立法の基本的な考え方についてお伺いをいたします。

 次に、危機管理対策についてお伺いをいたします。

 山口県に端を発した鳥インフルエンザの発生の後、大分県に引き続き、京都府で二カ所の農場と大阪府のカラスが感染をいたしました。ヨーロッパでの蔓延に例を見るまでもなく、広域的に感染が拡大しています。京都府で発生した鳥インフルエンザは、兵庫県にも大きな影響を与え、発生農場から出荷された鶏肉や鶏卵は、東は新潟県から西は島根県にも販売されたわけであります。

 確かに、地方分権が進められようとしておりますが、鳥インフルエンザのような伝染病は、都道府県の域を越えるものであります。こうした案件には、国がしっかりとしたリーダーシップを発揮し、万全の対策をとるべきであります。(拍手)

 ところが、京都府での発生に際しても、原則は京都府に任せていたため、周辺の県との連絡が後手後手になり、結果として、兵庫県にまで大きな被害が及んだわけであります。しかし、政府は、これらの状況を見ても、一元的な指揮をとることもなく、お茶を濁す程度に省庁間の連絡会議で対応し、ようやく関係閣僚会議を設置するにすぎませんでした。

 なぜ、政府は、対策本部を設置せず、統一的な対策をとらなかったのか、農林水産大臣にお伺いをいたします。

 また、民主党案では、内閣府に対策本部を設置することとしていますが、この必要性について、民主党提案者にお伺いをいたします。(拍手)

 次に、感染家禽等の早期発見のための措置について伺います。

 鳥インフルエンザの発生を完全に阻止することは、確かに困難であります。そのため、鳥インフルエンザが疑われる事例が発生した場合には、早期に届け出をすることが必要であります。しかし、政府案では、周知徹底を図るとか、届け出義務に違反した所有者に対する罰則を強化するなど、小手先の措置に終始しております。

 これに対し、民主党案では、感染した場合もしくは感染のおそれがある場合についても届け出を義務づける内容となっております。この必要性について、提案者に伺います。

 次に、損失補てんのあり方について伺います。

 政府は、今回の改正案並びに緊急対策により、発生農家や移動制限命令により損失を受けた農家等に対し補てんすることとしていますが、これは全額補てんされるわけではありません。しかも、移動制限を受けた農家に対する助成については、都道府県が助成する場合には国はその二分の一を助成するという内容になっております。

 そもそも、国の定めにより、国の法律により、感染家禽等の焼却処分や移動制限を命じているわけでありますから、それに伴う損失については、当然、国が全額補償すべきであります。

 また、風評被害を受けた加工流通業者、外食事業者に対しては、政府は低利融資をするとしているだけでありますが、事の重大性にかんがみ、損失額については無担保無利子の融資を実施するべきであります。

 このように、政府案には根本的な問題があると思われますが、これらの点について民主党案はどのような対策をとっておられるのか、提案者に伺います。(拍手)

 日本の農産物は、安い輸入品に押されて大変厳しい状況にありますが、鶏卵の価格は安く、自給率はほぼ一〇〇%であって、農産物の優等生だと言われております。通常の卵はキロ当たり百五十円でありますが、付加価値のついた鶏卵は、キロ当たり四百五十円とも五百円とも言われております。そうした鶏卵は、えさを選び、平飼いといって鶏舎内で運動をさせ、強い鶏を育てて消費者に提供し、強い支持を得ているわけであります。

 私は、一般的な価格の農産物を生産することはもちろんでありますけれども、価格が高くとも、消費者から支持される付加価値の高い農産物を生産することも、今の日本の農業にとっては大変必要なことではないか。

 ところが、今回の政府案、緊急対策によれば、感染家禽や鶏卵等の補償については、一般的な価格でしか補償しない、一般的な価格の鶏卵も鶏肉も、付加価値のついた鶏卵も鶏肉も、同額になると言われております。これは農家の意欲を阻害するものであり、よい鶏卵、鶏肉を生産しようとする農家を見殺しにするものであります。この点について、農林水産大臣の見解をお伺いいたします。

 また、この補償問題について、民主党案ではどのような対策をとっているのか、提案者にお伺いをいたします。

 今回、丹波町の養鶏農場から兵庫県八千代町の食鳥処理場へ約一万羽の生鳥が出荷され、解体処理された後に、約六百羽が京都の小売店で販売されたり、大阪でラーメン店のスープになったわけであります。しかし、この問題は業者の責任ではありません。

 この規模の食鳥処理場では、食鳥の解体作業を民間会社が単独で行うことはできません。そのために、食鳥処理会社は一羽三円の検査料を、厚生労働大臣から指定を受けた食肉検査センターの検査員に支払い、今回のケースでも、該当する鳥の解体現場に立ち会っていたわけであります。しかも、今回、該当の入荷の鶏肉に対して、死鳥が多いとして、食鳥処理会社の社員が疑問を呈しているにもかかわらず、検査員は問題がないと言って流出をさせたわけであります。

 まさに、食鳥検査制度が全く機能していなかったわけで、国民の食に対する信頼を大きく損なうものであります。この点について、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。(拍手)

 最後に、一言申し上げます。

 今日、残留農薬やさまざまな添加物、遺伝子組み換え食品、さらに流通段階での不当表示など、国民の不安は募るばかりであります。今回の事例は、政府・与党に危機管理能力、責任担当能力がないことが明らかになりました。民主党は、食の安全に対する国民の期待にこたえられるよう全力を尽くすことを表明して、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣亀井善之君登壇〕

国務大臣(亀井善之君) 梶原議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、政府に高病原性鳥インフルエンザの対策本部を設置せず、統一的な対策をとらなかったのではないか、こういうお尋ねでありますが、京都府の鳥インフルエンザの事案につきましては、山口県、大分県のケースと異なりまして、養鶏業者の通報が行われず、その影響が広範囲に及ぶと予想されたことから、三月二日の日に関係省庁対策会議を設置しまして、政府一体となって対策を推進してきたところでもありますし、私も三月三日に現場に参りまして、あの実態を視察し、いろいろ関係の皆さんからもお話を伺ってきたところでもございます。

 そして、三月十六日には、関係閣僚による鳥インフルエンザ緊急総合対策を取りまとめたところであり、その内容は、蔓延防止対策の徹底、早期通報促進と被害拡大防止のための法制度の整備、養鶏事業者・関連事業者対策等を柱とした政府全体としての総合的なものであります。

 今後も、関係省庁及び関係自治体との緊密な連携のもと、適切な措置を実施してまいりたい、このように考えております。

 次に、付加価値のついた鶏卵等の補償についてのお尋ねでありますが、今回の法律案では、移動制限により出荷が困難となった鶏卵等の売り上げの減少分等について助成を行うこととしております。

 具体的には、鶏卵価値の減少分は、市場価格と販売価格との差額を助成することとしておりますが、付加価値のついた鶏卵等については、評価が多様であり、市場を通らない取引がほとんどであることから、個別の適正価格の判定が難しく、補助金の適正執行の面から、その価値を参酌することは困難、このように考えております。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣坂口力君登壇〕

国務大臣(坂口力君) 梶原議員にお答えを申し上げたいと存じます。

 食鳥検査制度についてのお尋ねでございましたが、兵庫県からの報告によりますと、浅田農産から兵庫県内の食鳥処理場に出荷されました鶏の食鳥検査員によります検査におきましては、伝染性疾患を疑うような外観、内臓等の異常は認められなかったとのことであります。

 しかし、食鳥処理の検査は肉眼的な検査でございましたので、搬入されます鶏に、鳥インフルエンザの感染が疑われる高率の死亡でありますとか呼吸器症状などが確認されました場合、あるいはまた危険な時期でありますときには、簡易検査キットを用いましたスクリーニング検査を試行することとしたところでございまして、国立感染症研究所におきます確認検査体制を整備したところでございます。

 今後とも、厚生労働省といたしましては、都道府県等との連絡体制を密にしますとともに、また関係府省とも連携をしながら、安全のために万全を期していきたいと考えております。(拍手)

    〔山田正彦君登壇〕

山田正彦君 ただいま梶原康弘議員から、丹波篠山、鳥インフルエンザが発生した現地の選出議員として、切々たる現場からの訴えがございました。

 まさに政府の対応が生ぬるかったために、私ども民主党は、早急に対策本部、本部長に菅直人代表になっていただき、立ち上げて、その対策を、政府が対策を発表するより先に我々はまとめ上げ、そして官房長官にその旨をお伝えしたところであります。

 さらに、私どもは、これだけではだめだと、早急に鳥インフルエンザ対策緊急措置法案をまとめ、提案し、政府が出した家伝法の改正より我々が先に、その対応策、この対策措置法案を提出したところであります。(拍手)

 さらに、民主党案の基本的な考え方について、今、梶原康弘議員からるる質問がございました。

 まず、政府の家伝法の改正案では、単に、届け出義務違反者に対してペナルティーを強化し、さらに、移動制限に協力した農家に対しての助成、都道府県が助成する、都道府県が助成しない場合も考えられるわけですが、その助成額を国は二分の一しか助成しない、そういう法案にすぎません。

 私どもは、まず、今回の鳥インフルエンザの発生は、人に感染するおそれがあるかもしれない、まさに有事の緊急事態である。そのためには、国が危機管理としての緊急対策本部を内閣に設ける、そして、内閣を中心として、それこそ行政の縦割りの弊害を除去するために、各省庁及び各都道府県が総合的、一体的、弾力的な対応をとる、これが私どもの法案であります。(拍手)

 さらに、鳥インフルエンザの蔓延防止のためには、早期発見、これが一番大事であります。そのためには、政府案のように、単に届け出義務違反者にペナルティーを重くするだけでは不十分であって、いわゆる農家が、鳥インフルエンザが発生したと思えるような場合には安心して届け出ができるように、生じた場合、その損失額の全額を国が責任を持って行う、これが一番大切であります。我々は、このことを、国が全額補てんすることを明記しております。(拍手)

 さらに、奥野議員から指摘がありました。民主党のこの法案は、いわゆる平成十六年度限りではないかと。

 確かに時限立法ではありますが、この経過規定をよく読んでもらえば、奥野先生、よく読んでもらえばわかりますように、経過規定の中において、平成十七年度以降鳥インフルエンザが発生しても今年度末までに抜本的な対策を講ずる、これから先も講ずることになっておりますので、何の心配も要りません。(拍手)

 さらに、政府に対策本部を設置する必要性について質問がありました。

 今回、浅田農産から出荷された鶏について、兵庫県の食肉衛生検査センターにおいて、鳥インフルエンザが検査官において見逃されてしまいました。これはまさに、農水省から厚生労働省に対して十分な情報の提供がなされていなかった、そしてまた、発生県、都道府県、いわゆる京都府においては、周囲の都道府県に対して十分な周知、連絡がなされていなかった、いわゆる幾らかのミスが指摘されております。

 このようなこともいわゆる行政の縦割り等々に対する弊害でありますので、これらを除去して、総合的かつ一体的、弾力的に、内閣にこの対策本部を設ける必要があるわけであります。(拍手)

 三番目に、鳥インフルエンザの早期発見のための措置について問われておりますが、私どもの法案におきましては、まず、鳥インフルエンザの症状がどのようなものであるかということを獣医師とかあるいは養鶏農家、あるいは趣味で鳥を飼っている、ペットなどを飼っている人にも周知徹底させる、いわゆる知識の普及啓発をまずは行うことにしております。

 そして、政府提案の家伝法の改正では、この早期発見について、発見した場合届ける、発見した場合となっておりますが、これでは、発生を確認した場合でなければ届け出しなくても済むことになり、おくれるおそれがあります。(拍手)私ども民主党案では、おそれのある場合にも直ちに届け出をしなければならないというふうにしております。

 なお、届け出義務違反の罰則につきましても、いわゆる養鶏農家、業として鶏を飼っている農家もしくは獣医師、その人たちと、一般に趣味で飼っている、ペットなど、これを我々は罰則においても区分けして、差を設けております。

 また、日常的に、早期に発見する必要がありますので、いわゆる養鶏農家に対し、死亡した家禽の羽数等を定期的に都道府県知事に報告することを義務づけております。

 このほか、不安なくこれらの届け出ができるように、国において鳥インフルエンザが発生した場合に生ずる損失の全額を補てんすることになっておりまして、我々民主党案は、まさに政府提出の家伝法の改正よりもはるかにこの鳥インフルエンザに対しての弾力的、効果的な措置を法律で明文化したものであります。

 以上、答弁を終わります。(拍手)

    〔平岡秀夫君登壇〕

平岡秀夫君 梶原議員の御質問にお答えいたします。

 まず、高病原性鳥インフルエンザの発生に伴う損失補てんのあり方についてのお尋ねがございました。

 七十九年ぶりに我が国で発生しました高病原性鳥インフルエンザにつきましては、第一に、国民生活に多大な影響を与え得る高病原性鳥インフルエンザの発生に伴う事態に対し、国が危機管理として責任を持って対処すべきと考えられること、第二に、高病原性鳥インフルエンザの発生に伴う損失については、国民の健康を保護し、高病原性鳥インフルエンザの蔓延を防止するために国が必要とした措置の結果生じた損失であり、公共性が高いこと、第三に、届け出の結果生ずる損失、風評被害などさまざまな養鶏農家の不安を払拭し、早期の届け出を可能とするべきことなどの理由によりまして、本法案におきましては、高病原性鳥インフルエンザの発生に伴い養鶏を行う農家等に生じた損失は、国がその全額を補てんするとの考え方に立っております。

 先ほど、奥野議員が質問の中で、損失補てんのあり方について、損失の全額を補てんすることは都道府県の役割が重視されていないことになるといったような趣旨の発言がありました。答弁を求めることもしない、質問にすることも恥ずかしい、そういう趣旨だったのかもしれませんけれども、奥野議員の理屈は、国が本来負担すべきものを都道府県にツケ回すための口実にしかすぎないと言わざるを得ません。(拍手)

 損失補てんの具体的な内容としましては、高病原性鳥インフルエンザの蔓延防止のために処分された鶏や肉、卵の損失額、移動制限期間中に出荷することができなくなった肉及び卵の損失額、移動制限により肉や卵の価格が下がってしまったための損失額などにつきまして、実際の損失額の全額を特別手当金として交付することといたしております。

 また、高病原性鳥インフルエンザの発生に伴い、いろいろ追加的な費用がかかることになりますが、例えば、高病原性鳥インフルエンザの蔓延防止のための鶏の死体などの焼却・埋却に要した費用、移動制限期間中の食鳥のえさ代等の飼養費や卵等の移動・保管に要した費用、移動制限によって売れなくなった卵等の焼却処分に要した費用などにつきましても、国がその全額を負担することとしております。

 さらに、高病原性鳥インフルエンザの発生による風評被害対策といたしまして、経営が不安定となっている生産者や関係事業者の方々には、無利子無担保の貸し付けなど特別の貸し付けの措置を講ずるほか、生産者と消費者の信頼に基づき、鶏肉や卵等の消費の減退を防止するため、地産地消の促進など、消費の促進を図るために必要な措置を講じることとしております。(拍手)

 次に、付加価値のついた食肉、鶏卵の補償のあり方についてのお尋ねがありました。

 一口に肉、卵と申しましても、実勢価格においては、一般的なものから、ブランド名がつき高値で取引されるものまで、さまざまな種類があることは皆様も御承知のとおりだと思います。本法案におきましては、先ほど私が御説明申し上げました理由により、高病原性鳥インフルエンザの発生により生じた損失の全額を国が補てんするとの考え方に立っておりますが、その考え方を徹底するため、生産者の方々の努力の成果であるこれらの価値を十分に考慮して補てんすべきものと考えたところであります。(拍手)

 そこで、この補てんする損失額につきましては、その鶏の肉や卵などの市場における過去三年間の価格の実績を基礎として算定することを、この法案上も明記したところでございます。

 よろしくお願い申し上げます。(拍手)

副議長(中野寛成君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(中野寛成君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十一分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

        厚生労働大臣  坂口  力君

        農林水産大臣  亀井 善之君

        国務大臣    竹中 平蔵君

 出席副大臣

        農林水産副大臣 金田 英行君

     ――――◇―――――

 去る六日は、会議を開くに至らなかったので、ここに議事日程を掲載する。

 議事日程 第十三号

  平成十六年四月六日(火曜日)

    午後一時開議

  一 農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明


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