衆議院

メインへスキップ



第23号 平成16年4月13日(火曜日)

会議録本文へ
平成十六年四月十三日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十四号

  平成十六年四月十三日

    午後一時開議

 第一 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案(内閣提出)、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案(内閣提出)、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案(内閣提出)、国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案(内閣提出)、武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案(内閣提出)、武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案(内閣提出)、自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件及び千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件の趣旨説明及び質疑


このページのトップに戻る

    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長小沢鋭仁君。

    ―――――――――――――

 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔小沢鋭仁君登壇〕

小沢鋭仁君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、海洋における廃棄物の処理に関する規制の一層の充実が求められている国際的動向等にかんがみ、我が国においても廃棄物の海洋投入処分等の規制を強化しようとするものであり、その主な内容は、

 船舶または海洋施設から廃棄物の海洋投入処分をしようとする者は、環境大臣の許可を受けなければならないこと、

 廃棄物を排出しようとする者は、当該廃棄物の船舶または海洋施設への積み込み前に、海上保安庁長官の確認を受けなければならないこと、

 何人も、船舶または海洋施設において発生する油等以外の油等の焼却をしてはならないこと、

 環境大臣の許可を受けてする海洋施設の廃棄等を除き、船舶等を海洋に捨ててはならないこと

等であります。

 本案は、三月二十九日本委員会に付託され、翌三十日小池環境大臣から提案理由の説明を聴取した後、去る四月九日質疑を行い、採決いたしました結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長山本公一君。

    ―――――――――――――

 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山本公一君登壇〕

山本公一君 ただいま議題となりました暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、最近における暴力団をめぐる情勢にかんがみ、指定暴力団の代表者等は、凶器を使用した対立抗争または内部抗争によりその指定暴力団員が他人の生命、身体または財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずることとするほか、暴力的不法行為等の範囲を拡大しようとするものであります。

 本案は、去る四月二日本委員会に付託され、同月七日小野国家公安委員会委員長から提案理由の説明を聴取いたしました。同月九日質疑を行い、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案(内閣提出)、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案(内閣提出)、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案(内閣提出)、国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案(内閣提出)、武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案(内閣提出)、武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案(内閣提出)、自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件及び千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案、国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案、武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案、武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案、自衛隊法の一部を改正する法律案、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件及び千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件につき、趣旨の説明を順次求めます。国務大臣井上喜一君。

    〔国務大臣井上喜一君登壇〕

国務大臣(井上喜一君) ただいま議題となりました武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案及び国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 初めに、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、武力攻撃事態等において武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護し、並びに武力攻撃の国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることの重要性にかんがみ、これらの事項に関し、国、地方公共団体等の責務、住民の避難に関する措置、避難住民の救援に関する措置、武力攻撃災害への対処に関する措置その他必要な事項を定めることにより、事態対処法と相まって、国全体として万全の態勢を整備し、もって国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施することを目的とするものであります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 総則的事項としては、国、地方公共団体及び指定公共機関等は、国民の保護のための措置の実施に当たり、相互に連携協力し、的確かつ迅速な措置の実施に万全を期さなければならないこと、日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならないこと、政府は国民の保護に関する基本指針を策定し、地方公共団体及び指定公共機関等は基本指針等に基づいて国民の保護に関する計画または国民の保護に関する業務計画を作成すること等を定めております。

 住民の避難に関する措置については、対策本部長は警報を発令するとともに避難措置を指示すること、都道府県知事は住民に対し避難を指示すること、市町村長は避難住民を誘導すること等を、避難住民等の救援に関する措置については、都道府県知事は避難住民等に対し、食品の給与、医療の提供その他の救援を行わねばならないこと、都道府県知事は救援のため必要があるときは、医薬品、食品その他の救援の実施に必要な物資の売り渡しを要請することができること等を、武力攻撃災害への対処に関する措置については、国は武力攻撃災害への対処に関しみずから必要な措置を講ずるとともに、地方公共団体と協力して的確かつ迅速に措置を実施しなければならないこと、内閣総理大臣は放射性物質等による汚染への対処のため関係大臣を指揮し必要な措置を実施しなければならないこと等を、国民生活の安定に関する措置等については、指定行政機関の長等は生活関連物資等の価格の安定のために必要な措置を講じなければならないこと等を、復旧、備蓄その他の措置については、指定行政機関の長等は武力攻撃災害の復旧を行わなければならないこと等を、財政上の措置等については、収用その他の処分が行われたときは損失を補償すること、地方公共団体の措置に要する費用は原則として国が負担すること等を定めております。

 また、緊急対処事態に対処するための措置については、内閣総理大臣は緊急対処事態の認定について閣議の決定を求めること、国民の保護のための措置に準ずる措置を講ずること等を定めております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。

 引き続きまして、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、武力攻撃事態等において、日米安保条約に従って我が国に対する外部からの武力攻撃を排除するために必要なアメリカ合衆国の軍隊の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置等について定めることにより、我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に資することを目的とするものであります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 合衆国軍隊の行動による国民等への影響を考慮した措置として、政府は、合衆国軍隊の行動に関する状況等について情報の提供を適切に行うこと、合衆国軍隊の行動等について関係地方公共団体との連絡調整を行うこと、合衆国軍隊の緊急通行等による損失を補償すること等を定めるとともに、合衆国軍隊に対する支援に係る措置として、自衛隊が物品及び役務の提供を実施すること、内閣総理大臣は、合衆国軍隊の用に供するため緊急やむを得ない場合に土地等を使用することができること等を定めております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。

 引き続きまして、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、武力攻撃事態等における特定公共施設等、すなわち、港湾施設、飛行場施設、道路、海域、空域及び電波の利用に関し、指針の策定その他必要な事項を定めることにより、その総合的な調整を図り、もって対処措置等の的確かつ迅速な実施を図ることを目的とするものであります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 対策本部長は、対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るため、特定公共施設等ごとに、その利用に関する指針を定めることができること、港湾施設及び飛行場施設の利用に関し、対策本部長は、港湾管理者や飛行場施設の管理者に対し、利用の確保に関する要請を行うことができること、内閣総理大臣は、対策本部長の求めに応じ、港湾管理者や飛行場施設の管理者に対する指示等を行うことができること等を定めております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。

 最後に、国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案について御説明いたします。

 この法律案では、国際人道法に規定する重大な違反行為を処罰することにより、刑法等による処罰と相まって、国際人道法の的確な実施の確保に資することを目的とするものであります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 この法律案は、重要な文化財を破壊する罪、捕虜の送還を遅延させる罪、占領地域に移送する罪、文民の出国等を妨げる罪を新設するほか、これらの行為その他のジュネーブ諸条約等が規定しております重大な違反行為について、国外犯の処罰を可能とするため、所要の法整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 国務大臣石破茂君。

    〔国務大臣石破茂君登壇〕

国務大臣(石破茂君) 武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案、武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 まず、武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案について申し上げます。

 本法律案は、武力攻撃事態に際して、我が国領海または排他的経済水域を含む我が国周辺の公海における外国軍用品等の海上輸送を規制するため、海上自衛隊の部隊が実施する停船検査及び回航措置の手続並びに外国軍用品審判所における審判の手続等を定め、我が国の平和と安全の確保に資することを目的とするものであります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、外国軍用品等の海上輸送を規制する必要があると認めるときは、防衛庁長官は、内閣総理大臣の承認を得て、停船検査等の措置の実施を命ずることができることとし、そのために必要な規定を整備するものであります。

 第二に、外国軍用品等及びそれを輸送する船舶に係る規制措置について、必要な規定を整備するものであります。

 第三に、外国軍用品等を輸送している疑いのある船舶に対する停船検査及び回航措置の手続、武器の使用について、必要な規定を整備するものであります。

 第四に、防衛庁に臨時に外国軍用品審判所を置くこととし、審判の手続等所要の規定を設けるものであります。

 第五に、補償、罰則に係る規定等を整備するものであります。

 次に、武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案について申し上げます。

 本法律案は、捕虜等の拘束、抑留その他の取り扱いに関し必要な事項を定め、自衛隊の円滑かつ効果的な行動の実施に資するとともに、武力攻撃事態におけるジュネーブ第三条約その他の捕虜等の取り扱いに係る国際人道法の的確な実施を確保することを目的とするものであります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、捕虜等の人道的な待遇を確保すること、その他捕虜等の取り扱いに関する責務等を定めるものであります。

 第二に、捕虜等の範囲を定め、自衛官による捕虜等の拘束権限及び資格認定手続を規定するものであります。

 第三に、臨時に捕虜収容所を設置できることとし、ジュネーブ第三条約その他の国際人道法の規定に従って、食糧、衣服、衛生、医療の提供等の規定を整備するとともに、捕虜等に対する懲戒制度を整備するものであります。

 第四に、防衛庁に捕虜資格認定等審査会を臨時に設けるとともに、その審理手続等所要の規定を設けるものであります。

 第五に、捕虜等の抑留の終了に必要な規定を設けるものであります。

 第六に、自衛官による武器の使用権限、捕虜等が逃走した場合の再拘束の権限等を整備するものであります。

 第七に、罰則に係る規定を整備するものであります。

 最後に、自衛隊法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本法律案は、今般日米間で合意に達し、署名が行われた、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定に定める物品及び役務の提供の実施に関し、天災地変その他の災害に際して災害応急対策のための活動を行う合衆国軍隊、外国における緊急事態に際して邦人の輸送と同種の活動を行う合衆国軍隊、及び訓練、連絡調整その他の日常的な活動のため本邦内にある自衛隊の施設に到着して一時的に滞在する合衆国軍隊に対する物品、役務の提供権限を整備し、あわせて所要の規定の整備を行うものであります。

 以上が、武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案、武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 外務大臣川口順子君。

    〔国務大臣川口順子君登壇〕

国務大臣(川口順子君) 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 日米両政府は、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律に言う武力攻撃事態または武力攻撃予測事態に際しての活動、並びに国際の平和及び安全に寄与するための国際社会の努力の促進、大規模災害への対処その他の目的のための活動を行う日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間の後方支援、物品または役務の相互の提供を、平成八年に締結され、平成十一年に改正された日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定によって確立された枠組みに従って行い得るようにするため、現行協定を改正することにつき協議を行ってまいりました。その結果、平成十六年二月二十七日に東京において、先方ベーカー駐日大使との間でこの協定に署名を行った次第であります。

 この協定の主な内容としましては、日米共同訓練、国際連合平和維持活動、人道的な国際救援活動または周辺事態に際しての活動に必要な後方支援、物品または役務の提供について現行協定が定める自衛隊と米軍との間の相互主義の原則に基づく枠組みを、武力攻撃事態または武力攻撃予測事態に際して日本国に対する武力攻撃を排除するために必要な活動並びに国際の平和及び安全に寄与するための国際社会の努力の促進、大規模災害への対処その他の目的のための活動に必要な後方支援、物品または役務の提供についても適用し得るようにするため、現行協定を改正するものであります。

 この協定による現行協定の改正により、日本国の平和及び安全に寄与することとなるとともに、国際連合を中心とした国際平和のための努力等に積極的に寄与することとなると考えられます。

 以上を御勘案の上、この協定の締結について御承認くださいますよう、お願い申し上げる次第でございます。

 以上が、この協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。

 次に、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 武力攻撃事態等に対処するに当たっては、傷病者、捕虜、文民等の武力紛争の犠牲者を保護することによって、武力紛争による被害をできる限り軽減するため、国際人道法の的確な実施を確保することが重要であります。また、我が国として、国際人道法を遵守する体制を整備することは、我が国国民の生命、身体及び財産の保護に資するのみならず、憲法の理念である国際協調主義にも合致し、国際社会における我が国に対する信頼を一層向上させるものであります。

 この追加議定書は、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約を補完し及び拡充することによって、国際的な武力紛争の犠牲者を一層保護することを目的とするものであり、傷病者、捕虜、文民等の保護並びに戦闘の方法及び手段の規制等について規定するものであります。我が国がこの追加議定書を締結することは、国際人道法の的確な実施を図るとの見地から有意義であると認められます。

 以上を御勘案の上、この追加議定書の締結について御承認くださいますよう、お願い申し上げる次第でございます。

 以上が、この追加議定書の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。

 次に、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 いわゆる内乱等の非国際的な武力紛争に対処するに当たっては、傷病者、文民等の武力紛争の犠牲者を保護することによって、武力紛争による被害をできる限り軽減するため、国際人道法の的確な実施を確保することが重要であります。また、我が国として、国際人道法を遵守する体制を整備することは、我が国国民の生命、身体及び財産の保護に資するのみならず、憲法の理念である国際協調主義にも合致し、国際社会における我が国に対する信頼を一層向上させるものであります。

 この追加議定書は、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約を補完し及び拡充することによって、非国際的な武力紛争の犠牲者を一層保護することを目的とするものであり、傷病者、文民等の保護及び戦闘の方法の規制等について規定するものであります。我が国がこの追加議定書を締結することは、国際人道法の的確な実施を図るとの見地から有意義であると認められます。

 以上を御勘案の上、この追加議定書の締結について御承認くださいますよう、お願い申し上げる次第でございます。

 以上が、この追加議定書の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。

 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案(内閣提出)、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案(内閣提出)、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案(内閣提出)、国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案(内閣提出)、武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案(内閣提出)、武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案(内閣提出)、自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件及び千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。首藤信彦君。

    〔首藤信彦君登壇〕

首藤信彦君 民主党の首藤信彦です。

 民主党・無所属クラブを代表して、政府提出法案及び条約について質問申し上げます。(拍手)

 現在まだ、イラクで武装集団に拉致され人質となっている三人の日本人がおられます。また、南部のサマワでは、まるでベトナム戦争時のテト攻勢のような四月五日のシーア派一斉蜂起によって、ナシリヤ、バスラなど南部の諸都市が不安定化し、状況によっては自衛隊員が退路を断たれて孤立する可能性も出てきました。

 このような事態は、イラクへ自衛隊を派遣する根拠となったイラク特措法の論議で最初から何度も論議となった問題です。事件と事態が発生して初めて、政府がイラク社会に何らの情報チャンネルも影響力も、また、このような緊急事態への対処能力も本質的に欠いているということがわかりました。

 危機管理の要諦はプリペアードネス、すなわち、どれだけ事前に準備できているかということにあります。事前準備なき泥縄の対応は、危機管理ではなく管理危機であると言われます。まさに今回の日本政府の対応は、またまた管理危機を具現化したものと言えます。(拍手)

 三人の人質を拉致した犯行グループが、アメリカ占領軍のファルージャ撤収ではなく直接日本政府の対応を求めている以上、政府は、事件の解決をアメリカに全面的に依存するのではなく、独自チャンネルによる一刻も早い事件の解決と人質の解放を実現することを強く強く要請いたします。(拍手)

 そのイラクのファルージャでは、イラクの怒れる民衆のリンチに遭ったアメリカの民間軍事会社ブラックウオーターの社員への報復として、アメリカ軍が同市を包囲し、その結果、六百人から七百人と言われるイラク人の死者を出しました。その中には多数の、一説によると半数と言われる非戦闘員、特に女性と子供たちの犠牲者も含まれております。また、最近の映像を見ますと、ヘリコプターの三十ミリ機関砲から直接人間に向かって撃っているという映像がございます。これは、明らかにジュネーブ条約の武器使用基準に反する蛮行と言えます。

 また、宗教及び地域社会のシンボルであるモスクに対して攻撃がなされました。文民への攻撃、宗教・文化施設の破壊は、とりもなおさずジュネーブ条約違反であり、戦争犯罪として定義づけられるものであります。日本政府は、直ちにアメリカに対し、このような国際犯罪行為を控えるように忠告すべきです。それこそが同盟国としての責務であると思います。

 さて、このような背景の中で、今回、武力攻撃事態への対処のために、国民保護法制を含む七法案、ジュネーブ条約追加議定書承認を含む三件の条約が国会に提出されました。

 しかしながら、日本に対しては、外部からの外国軍の侵入などの武力攻撃事態はこの五十九年間発生したことなく、このたび初めて、武力攻撃事態に国民がどう対応し、政府がどう国民を守るかという法律が国会で論議されることになります。

 また、我が国憲法において、そのような事態は想定されているものではありません。現行憲法は、第二次世界大戦という、我が国の未曾有の人命と国民資産が失われ人権が侵害された戦争が終結し、恒久平和を希求する中で起草されたものであり、緊急事態や武力攻撃事態を想定したものではないことは明らかです。憲法に込められた人権、文化的生活の概念及びそれを実行する行政システムは、あくまでも平時におけるそれであり、緊急時におけるそれは想定されていません。

 そもそも、緊急時における人権とは何か、緊急時における諸価値の優先度などはどこに定義されているんでしょうか。したがい、何らかの基本法的な枠組みにおいて、緊急時における国家及び国民の行動及び責任を明確にする必要があります。

 したがい、憲法に緊急事態の想定がない以上、国民保護法制の策定には緊急事態基本法の先行成立が前提条件と理解されますが、それが今回法案の前に国会に提出されていない理由を提案者にお聞きいたします。国民保護法制を先行させ、後で基本法をつくるというのでは、まるで、犬がしっぽを振るのではなく、しっぽが犬を振るような非論理的な話であります。(拍手)

 次に、旧憲法では、戒厳令や非常大権が明記され、その上に、日中戦争に際し、人的及び物的資源を統制、運用する大権を政府に与えた一九三八年の国家総動員法、あるいはまた本土決戦に向けての戦時緊急措置法が成立し、国家レベルでの緊急事態対応がなされました。国家総動員法と今回の国民保護法制との相違点はどこにあるか、明確に提案者にお答え願います。

 憲法に想定されている人権と武力攻撃事態において守らなければならない人権とは、全く同じものか、異なったものか、お答え願います。これは提案者及び法務大臣にお願いいたします。

 生存権ですら、緊急事態においては平時と違うと考えられます。例えば、阪神大震災においては、限られた医療機関に殺到する患者の生存率を高めるために、ある種の患者選別が行われたと言われております。紛争に巻き込まれれば、戦場では負傷度によって、重傷度によって患者選択が当然のように行われ、重傷者は切り捨てられる可能性もあります。このことが全体数では生存者数を高めるということから、そういう行為も行われることがあるからであります。

 緊急時、武力攻撃事態に対し、政府、行政側の要請、強制に対し、住民側の不服従行為があると想定されますが、そうした不服従権はどう扱われるのか、それを担保する法的根拠は何か、提案者及び法務大臣にお聞きいたします。

 また、憲法に外国軍駐留の規定がない以上、また、本件法案がテロ、緊急対処事態まで対象範囲としている以上、緊急時における駐留外国軍との協力関係の策定には、これまでの米軍行動関連措置法などの改定だけではなく、日米安保条約そのものの改定、あるいは憲法の修正が必要となると考えられますが、それらが同時に提出されるどころか、具体的な検討過程にも入っていない理由をお聞きいたします。

 例えば、フィリピン憲法において、外国軍の駐留の期限が明記されておりますが、憲法に明記のないまま同盟関係を増幅していくには、もはや限界に来ていると判断されております。

 朝鮮半島有事など北東アジアでの武力紛争を想定した場合は、国連安保理決議と国家としての意思決定の優先度や、あるいはまた国連軍、多国籍軍との位置づけを明記する必要がありますが、それらが今回の法案、条約に含まれていない理由を外務大臣にお聞きいたします。

 次に、国民保護法制における問題点についてお聞きいたします。

 武力攻撃事態の対象は、脅威は、現実には日本全体ではなく、北東アジアに直面する自治体や東南アジアと直結する位置にある自治体、そうした自治体にこそ影響は集中的に出ると思いますが、国民保護法制の中で、そうした地域に集中した特別対応を明記する必要がないのはなぜか、提案者に質問いたします。

 同様に、日本が体験した最後の戦争である第二次世界大戦と異なり、都市化の集積が甚だしく、都市が周辺並びに世界に対して極めて高度な依存状態にある以上、都市を防衛するには特別の措置が必要となりますが、それが認識も明記もされていない根拠を提案者にお聞きいたします。

 また、現実に都市ではどのような緊急事態対応が可能なのか、総務大臣にお聞きいたします。

 武力攻撃事態等における米軍の行動に伴い我が国が実施する措置についてお聞きいたします。

 そもそも、武力攻撃事態における一元的な指揮権はだれにあるのでしょうか。韓国の場合は、それは米軍にあると明記されております。果たして、日本においてはだれが一元的な指揮権を握ることになるのか、提案者、外務大臣あるいは防衛長官にお聞きいたします。

 また、武力攻撃事態における対処方法において、政府、自治体、自衛隊、アメリカ軍の主張が異なるとき、どこの意思が貫徹されるか、提案者にお聞きいたします。

 次に、ジュネーブ条約関係についてお聞きいたします。

 ジュネーブ四条約及び二つのプロトコールと、国民保護法制、日米安保との矛盾についてお聞きします。

 そもそも、一九五三年に加盟したジュネーブ四条約において、これはサンフランシスコ条約で日本に課せられた義務でしたが、それにもかかわらず国内の法的措置がとられなかった真の理由は何ですか。

 例えば、ジュネーブ条約には、教育・広報義務、周知義務などがあるはずですが、公式説明としては、既に個別違反などは刑法で担保されているなどと言われておりますが、実際は、ソ連に抑留され強制労働に従事させられた日本兵への給与の補償の問題や、強制移住させられた半島出身者の帰還の問題などがその背景にあると言われておりますが、本当の理由は一体何でしょうか、外務大臣にお聞きいたします。

 自衛隊、アメリカ軍、民間防衛組織、個人などがジュネーブ条約に違反する行動の責任を問われる場合、日本国内あるいは海外でそれぞれどのように裁かれるのか、明確にお答えください。法務大臣及び外務大臣にお聞きいたします。

 第二次世界大戦では、多くの日本兵が、ジュネーブ条約の存在すら知らず、戦争犯罪に加担し、BC級戦犯として処刑されました。これは私も昔読んだ本にありますが、「かんな萌ゆ、いとし妻子にもう会えぬ」、これは、私の記憶では、モンテンルパ刑務所で、処刑を直前にしたBC級戦犯が、窓からかすかに見えるカンナを見て詠んだ句と言われておりますが、こうした思いを二度と繰り返してはならない。その意味で、外務大臣及び法務大臣に、この問題について御説明を要求いたします。

 今回、日本がジュネーブ四条約対応国内法を制定し、追加議定書を批准し、国内法を整備しても、追加議定書に一切加盟していないアメリカとどう協力していくのでしょうか。アメリカ軍は日本の法規を遵守しなくても、国際法上はそれが認められていますが、ジュネーブ条約で厳格に禁止されている行為をアメリカ軍が実行した場合、日本はそれをどのように阻止し、また、その結果の責任をどのように回避できるでしょうか、外務大臣にお聞きします。

 また、アメリカ軍の一元的指揮権のもとで、自衛隊や民間防衛組織、あるいは個人がジュネーブ条約に規定される犯罪行為を行った場合、国際人道法上はどう日本国民を守ってくれるでしょうか。北朝鮮はジュネーブ条約の第一追加議定書に署名しておりますが、北朝鮮は自国で裁判を受け、アメリカは、アメリカ兵は母国で英雄として扱われ、日本人だけがハーグに連れていかれて裁かれるのでしょうか。外務大臣に、この点をお聞きいたします。

 前にも申しましたが、都市が脆弱で、外部依存度が極めて高く、自己防衛ができない以上、ジュネーブ条約に基づいて多くの都市が、安全地帯、中立地帯、非防守地帯、非武装地帯を自主宣言する可能性がありますが、その場合、自衛隊、アメリカ軍、日本政府はどのように対応するか、総務大臣にお聞きいたします。

 ここまで質問してきたように、今回政府が提案いたしました七つの法案、そして三つの条約、そのいずれもが、その一つ一つに関して、その審議で国会会期全体を使ってもおかしくないような非常に重要な案件であります。これを一括して国会に提出した政府の行為は、まさに神を恐れぬ行為と言わざるを得ません。政府の猛省を求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣井上喜一君登壇〕

国務大臣(井上喜一君) 国民保護法制の策定と緊急事態基本法との関係についてのお尋ねがございました。

 国民保護法制の整備につきましては、武力攻撃事態対処法案の審議の過程におきまして、「武力攻撃事態対処法の施行の日から一年以内を目標に実施をすること」との衆参両議院の委員会の附帯決議がなされていることなどから、国民保護法案を今国会に提出したものでございます。

 なお、いわゆる基本法につきましては、与党と民主党の間におきまして三党協議会が開催され、緊急事態基本法、仮称でありますけれども、これを制定することについて合意がなされたものと承知をしておりますが、政府といたしましては、まずは、今国会に提出いたしました国民保護法案を初めとする有事関連七法案の成立に万全を期してまいりたいと考えており、緊急事態基本法につきましては、与野党間の御論議を見守りながら、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

 次に、国民保護法案と一九三八年の国家総動員法との違いは何かとのお尋ねがございました。

 国家総動員法におきましては、国家総動員とは、戦時に際し国防目的達成のため人的及び物的資源を統制運用することとされ、同法では、国家総動員上必要がある場合に政府が講ずることができる措置を広範に定めていたものと承知をいたしております。

 一方、国民保護法案は、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施することを目的といたしまして、住民の避難でありますとか避難住民等の救援、武力攻撃災害への対処等に関し国や地方公共団体などが講ずる措置を規定するものでありまして、その目的、内容とも国家総動員法とは全く異なるものでございます。

 基本的人権についてのお尋ねがございました。

 武力攻撃事態等におきましても、日本国憲法の保障する国民の基本的人権が最大限尊重されることは当然のことであります。武力攻撃事態等において、国民の生命、身体等を保護することのためにやむを得ない場合に限って、国民の自由と権利に必要最小限度の制約が加えられることもあり得ますが、この場合においても、日本国憲法の保障する基本的人権が最大限尊重されるものでございます。

 次に、武力攻撃事態等における行政側から住民側への要請についてのお尋ねがございました。

 武力攻撃事態等において、国全体として万全の措置を講ずるためには、国民の協力が必要であり、国や地方公共団体が国民の保護のための措置を実施する際に、それを補完する形で国民に必要な協力を要請することといたしております。

 国民保護法案におきましては、国民の協力は国民の自発的な意思にゆだねられるものであって、その要請に当たって強制にわたることがあってはならないと規定しておりまして、国民に協力を義務づけるものではありませんが、住民の避難や被災者の救助の援助などの場面におきましては、一定の国民の協力が得られるものと期待をいたしております。

 次に、米軍との協力関係に係る憲法の修正についてお尋ねがありました。

 武力攻撃事態等における日米間の協力として我が国が行う措置は、我が国憲法の範囲内におきまして、武力攻撃事態対処法に定められた基本的な枠組みのもとで、米軍行動関連措置法案等に従って適切に実施することができるものと考えております。

 地域の実情に応じた国民保護措置についてのお尋ねがございました。

 それぞれの地域の実情に応じた具体的な国民の保護のための措置の内容につきましては、国民保護法案に基づき、各地方公共団体が作成する国民の保護に関する計画において定めることといたしております。

 次に、国民保護法案に関し、都市についての特別な措置の必要性についてお尋ねがございました。

 都市部における住民の保護については、特に、適切な交通規制、避難路の確保等が重要でありますが、これらの対応につきましては、都市部を抱える地方公共団体が作成する国民の保護に関する計画の中で定めることといたしております。

 武力攻撃事態における一元的な指揮権についてのお尋ねがございました。

 我が国に対する武力攻撃に際して共同対処をする際の自衛隊及び米軍の関係につきましては、日米防衛協力のための指針においても、「自衛隊及び米軍は、緊密な協力の下、各々指揮系統に従って行動する」とされているところでありまして、日米どちらかが一元的な指揮権を持つといった関係にはございません。

 次に、武力攻撃事態への対処に関し、各機関の主張が異なる場合の対応についてお尋ねがありました。

 武力攻撃事態等において、国は、組織及び機能のすべてを挙げてこれに対処することといたしますとともに、国全体として万全の措置を講ずる責務を有しております。

 このため、武力攻撃事態対処法においては、対処措置の的確かつ迅速な実施を図るため、対策本部長による総合調整等が規定されており、関係機関による武力攻撃事態等への対処に関し、必要がある場合には、この総合調整等が行われることとなります。

 また、米軍との関係については、日米間において調整メカニズムを通ずるなどにより必要な調整が行われることになっており、日米両国政府は、整合性を確保しつつ、適切に共同で対処することといたしております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 首藤議員の方から、三問いただきました。

 危機的状況への対処のあり方について、まず最初にお尋ねがあっております。

 武力攻撃事態等におきましては、国及び地方団体において対策本部を設置して、国、地方及び関係機関の間の調整を行い、措置の総合的な推進を図ることとするなど、国全体として適切に対処できる態勢を構築することといたしております。

 また、国の対策本部長が出します住民への警報、避難措置の指示は、総務大臣が一元的に、迅速かつ適切に伝達することといたしておりまして、知事、市町村等に対する命令系統は総務大臣ということになります。国民の保護のための措置を総合的に決定して推進することといたしております。

 次に、都市部における国民保護への対応についてのお話がありました。もっともな指摘であります。

 地震等の自然災害や火災等におきましても、人口や建造物が集積をいたします都市部におきましては、災害予防、避難、災害緊急対策等におきまして、都市の特性や実情を踏まえた特別な対応が必要であろうと存じます。このようなことから、都市部を抱えます各地方団体では、それぞれの事情を踏まえた地域防災計画を策定しておられ、対応しているところでもあります。

 武力攻撃事態におきましても、都市部における事情を踏まえた対応が必要であるというのは当然のことでありまして、各地方団体が国民保護計画に基づいて適切に対応できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 最後に、地方公共団体が中立地帯を宣言した場合の日本政府の対応についてお話があっておりました。

 ジュネーブ諸条約及び第一追加議定書における非武装地帯などの設定または宣言というものは、日本におきましては国において行われるべきものであり、地方公共団体がこれらの地帯の設定または宣言を行うということはできないということと承知をいたしております。

 したがいまして、例えば特定の都市が御指摘のような宣言をしたとしても、それは条約において想定される地帯の設定または宣言には当たらないと考えております。(拍手)

    〔国務大臣川口順子君登壇〕

国務大臣(川口順子君) お答えを申し上げます。

 まず、日米安保条約の改正の必要性についてのお尋ねですが、米国は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合には、日米安保条約第五条に従って我が国を防衛する義務を負っています。米国は、その他の我が国の緊急事態において特段の行動の義務は負っていませんが、日米安保条約に基づく日米安保体制は、我が国の平和と安全のための基本的な枠組みとして十分有効に機能しており、同条約の改正は考えていません。

 次に、国連安保理決議や国連軍等との関係につきお尋ねがありました。

 武力攻撃事態対処法及びこれに基づき整備する法案は、我が国に対する武力攻撃が発生した事態等への対処について定めるものであり、いわゆる朝鮮半島有事などへの対処を具体的に想定しているものではありません。

 いずれにせよ、武力攻撃事態等への対処については、武力攻撃事態対処法の枠組みのもと、日米間で緊密に協力するとともに、国際連合を初めとする国際社会の協調的行動も得るべく努めつつ、我が国自身の判断に基づき実施することとしています。

 さらに、ジュネーブ諸条約に関する国内法整備についてお尋ねがありました。

 ジュネーブ諸条約については、我が国が一九五一年にサンフランシスコ平和条約に署名した際に、同条約の効力発生後一年以内に加入することを宣言したことも踏まえつつ、必ずしも国内法整備が十分に行われないまま加入したという経緯があります。

 昨年成立した武力攻撃事態対処法において、「事態対処法制は、国際的な武力紛争において適用される国際人道法の的確な実施が確保されたものでなければならない」と規定されており、事態対処法制の整備に当たり、ジュネーブ諸条約を含む国際人道法の的確な実施を確保した国内法制の整備を行うこととなっているところでございます。

 その次に、ジュネーブ諸条約に違反する行為の責任についてのお尋ねでございますが、そのような行為の責任については、それぞれの事案に関係する当事国において、その国の関係法令の規定に従い、処罰されることを含め、適切に取り扱われることになるものと考えています。

 次に、追加議定書を締結していない米国との協力についてのお尋ねでございますが、米国は、第一追加議定書の締約国ではありませんが、第一追加議定書の規定のうち国際人道法の基本的な原則であるものについては軍事教範に取り込んでいると承知をしております。米国が第一追加議定書を締結していないことが、我が国との協力に影響をすることとなるとは考えておりません。

 なお、我が国に対する武力攻撃に際しては、日米両政府は、相互に緊密に調整し、整合性を確保しつつ、適切に共同して対処することとなります。

 最後に、米軍の行為とジュネーブ諸条約等との関係についてのお尋ねがございました。

 米国は、ジュネーブ諸条約の締約国であることから、その規定に拘束されます。米国は、国際社会の責任ある一員として、同諸条約上の義務を当然に遵守するものと考えます。また、ジュネーブ諸条約の両追加議定書については、米国は、締約国ではないことから、両議定書の規定には拘束されませんが、国際人道法の基本的な原則については、米国の軍事教範に取り込まれていると承知をいたしております。(拍手)

    〔国務大臣野沢太三君登壇〕

国務大臣(野沢太三君) 首藤議員にお答えを申し上げます。

 まず、憲法に規定されている人権と武力攻撃事態において守らなければならない人権とは、全く同じものか、異なったものかとのお尋ねがございました。

 一般論として申し上げれば、憲法が国民に保障する基本的人権は、第十一条において、「侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与ヘられる。」と定められております。武力攻撃を受けるような事態においても、この基本的人権が最大限尊重されることは当然のことであり、これは、平時、有事にかかわらず変わりのないものと考えております。

 次に、武力攻撃事態等の場合において、不服従権がどのように扱われるかとのお尋ねがありました。

 法務省は、有事関連法案を所管するものではなく、お答えする立場にはございませんが、一般論として申し上げれば、憲法のもとにおいて、非常な事態に対応すべく、公共の福祉の観点から、合理的な範囲内で国民の権利を制限し、国民に義務を課す法律を制定することは可能であると思われます。

 もっとも、このような事態においても憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならず、これに制限が加えられる場合は、その制限は当該事態に対処するため必要最小限のものであり、かつ、公正かつ適切な手続のもとに行われなければならないことは言うまでもないものと考えております。

 次に、ジュネーブ諸条約に違反する行為の責任についてお尋ねがありました。

 私は、ジュネーブ諸条約すべてにつきお答えする立場にはありませんが、一般論として申し上げれば、具体的な事案に応じて、それぞれの国の法令に基づき処断されることになると思われます。我が国においても、関係法令の規定に従い、処罰されることを含め、適切に取り扱われることとなるものと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 長島昭久君。

    〔長島昭久君登壇〕

長島昭久君 民主党の長島昭久です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました、いわゆる有事関連法案などにつきまして、その中核法案である国民保護法案を中心に、関係大臣に質問させていただきます。(拍手)

 質問に先立ちまして、イラクで今なお拘束されている三人の日本人の方々が一刻も早く無事に解放されますことを、心からお祈り申し上げたいと思います。(拍手)

 事件が起こって以来、解決のために昼夜を問わず尽力されてきた関係各位に深く敬意を表するとともに、政府に対しましては、このような事件が再発しないよう、邦人保護に万全の対応措置を講じられるよう、改めて強く要望したいと思います。(拍手)

 この事件に際しまして、私たち民主党は、早い段階から、党派を超えて政府の対応を支援する方針を打ち出してまいりました。それは、この事件がまさしく有事にほかならないと考えたからであります。

 したがいまして、事件が解決した暁には、対イラク政策全般について、とりわけ自衛隊のイラク派遣の是非について、改めて徹底的な議論をしていくことを国民の皆様にお誓い申し上げたいと思います。(拍手)

 さて、本題に入ります。

 私たち民主党は、結党以来、緊急事態の法整備はこれを速やかに進めるべきであるとの立場を貫いてまいりました。有事にあって、国民の生命と財産を守るためとはいえ、超法規的な手段に訴えることは、憲法秩序そのものの破壊につながるからであります。

 その際、特に留意すべき憲法上の原則として、基本的人権の尊重とシビリアンコントロールの貫徹を強く求めてまいりました。

 その意味で、このたび、与野党の協議機関において、武力攻撃事態のみならず、大災害やテロなども含めた包括的な緊急事態基本法を制定することが合意され、あわせて、民主党が求めてきた緊急対処事態の認定に国会を関与させるシビリアンコントロールの原則を与党側が受け入れたことは大きな前進である、このように評価をしております。

 このように、私たちは、有事関連法案の審議に当たり、議論の入り口から反対しようとは考えておりません。国民の生命と財産を守る上で、より実効性の高い危機管理体制を構築するために、引き続き法案審議に対して真っ正面から取り組んでいく決意であることを冒頭に明らかにしておきたいと思います。(拍手)

 まず最初に、与野党で合意いたしました基本法づくりの大前提である基本的人権に対する考え方についてお尋ねいたします。

 基本的人権の保障は、平時、有事を問わず貫徹されなければなりません。特に、武力攻撃事態などにおける実力部隊の活動は、常に人権侵害に至る可能性と表裏一体であります。その際にも、政府が最大限に尊重すべき基本的人権について、基本法の中に詳細に盛り込んでおく必要があると考えます。

 例えば、いかなる事態にあっても、思想、良心、信仰の自由といった内心の自由は絶対不可侵であること、その他の精神的自由権に対する制約も、より重大な人権を守るための必要最小限の範囲にとどめなければならないことなどであります。

 その中でも、特に報道の自由は重要であります。さきの大戦下における大本営発表のような苦い経験にかんがみれば、政府案で指定公共機関の一つとされた放送事業者の報道の自由、取材の自由に対する具体的な保障規定は不可欠であります。

 この点、昨年民主党が提出した修正案が、放送事業者の「報道の自由、政府を批判する自由等の表現の自由を侵してはならない」と規定し、これを受けて、武力攻撃事態法の成立に際して行われた衆参両院の附帯決議の中で、特に報道・表現の自由への配慮がうたわれたことは周知のとおりであります。

 これら基本的人権の尊重について、まず、法務大臣の御所見を賜りたいと思います。その上で、基本法において人権保障規定をさらに詳細なものとする意思がおありかどうか、有事法制担当大臣の御所見を伺います。(拍手)

 また、その他の指定公共機関が行う国民保護のための措置についても、各方面から心配の声が聞かれます。

 例えば、保護措置に従事する者の安全確保や事故が起きた場合の補償問題、労働組合や赤十字などの関係団体との協議、従事者が業務命令違反をした場合の運用指針の策定、指定公共機関の指定理由、その範囲や効果の明示など、政府案では全くうかがい知ることができません。

 政府は、このような国民の懸念に対して、逐一、説明責任を果たし、理解を得なければ、法案に言う、有事における国民の自発的な協力は望むべくもないでしょう。

 少なくとも、今挙げた幾つかの懸念について政府がどのようにお考えか、また、国民の理解を得るためにどのような御努力をなされるおつもりか、有事法制担当大臣から明確な御答弁をいただきたいと思います。(拍手)

 次に、あるべき危機管理体制づくりに向けた進捗状況について伺います。

 民主党は、昨年提出した緊急事態対処・未然防止基本法案におきまして、危機管理庁の設置を提唱いたしました。この民主党提案を受けて、昨年の武力攻撃事態法の附則において、「緊急事態へのより迅速かつ的確な対処に資する組織の在り方について検討を行うものとする。」と明記されたことは周知のとおりであります。

 数々の実績を誇るアメリカの危機管理組織FEMAの経験からも明らかなように、緊急事態にあって、省庁横断的な総合調整権限を持った強力な中核組織の存在は不可欠だと思われますが、検討の状況は一体どうなっているのでしょうか。まさか、平時の縦割り行政を前提とした出向職員の寄せ集めで有事にも十分対処できるとお考えではないでしょう。有事法制担当大臣、既に一年が経過しようとしておりますが、危機管理体制づくりの進捗状況について明確にお答えください。(拍手)

 長くFEMAの長官を務めたジェームズ・ウィット氏は、最近行った議会証言の中で、計画の策定、訓練や演習、事態対処に当たっての情報収集、情報共有のすべてにわたり、国と地方が一体となって協力していける体制づくりが最も重要だと繰り返し強調しております。

 法案によれば、地方レベルにおける有事の際の総合調整は、都道府県及び市町村の対策本部にゆだねられています。しかし、武力攻撃事態が県境をまたいで広域に影響する場合、本来が危機管理官庁ではない都道府県庁や市町村の役場などに、自衛隊、警察、消防など多くの機能、もろもろの機関にわたる迅速的確な総合調整が果たして可能なのでしょうか。具体的な自治体支援体制について、総務大臣及び有事法制担当大臣に説得力ある説明を求めます。

 特に、国と地方が一体となって緊急事態に対処する上で不可欠と思われるのが、国の現地対策本部であります。

 この点について、初動がおくれて大惨事を招きました阪神・淡路大震災の教訓や反省を踏まえて、法律上の機関として、国が現地対策本部を置くことができるよう、平成七年に災害対策基本法が改正されました。さらに、東海村の臨界事故を契機といたしまして平成十二年に新たに制定された原子力災害対策特別措置法においても、同様の規定が盛り込まれました。

 しかしながら、今回提出された政府案には、国が現地対策本部を設置できる規定はどこにも見当たりません。これは一体、いかなる理由なのでしょうか。過去の緊急事態における貴重な教訓や反省が全く生かされていないとすれば、今回の国民保護法案の致命的な欠陥と言わなければなりません。(拍手)

 緊急事態における国民の保護に万全を期し、国及び地方の関係機関による対処措置を円滑に行うためには、現地においても国の対策本部を設置し、現地対策本部長に、都道府県をまたいだ広域的な状況判断や関係機関を束ねる迅速な意思決定を可能とする一定の総合調整権限を付与することが極めて有効であり、かつ必要と考えますが、総務大臣並びに有事法制担当大臣の御見解を伺いたいと思います。(拍手)

 次に、今回の法案で、いわゆる民間防衛組織の創設を見送った真意について伺います。

 今回、政府が承認を求めているジュネーブ諸条約の第一議定書には、第六章に、文民たる住民を敵対行為や災害の危険から保護することなどを任務とする文民保護について詳細な規定が置かれております。

 にもかかわらず、政府案においては、国民の保護のための活動を行う組織、条約の規定でいえば文民保護組織を新たに設けることはせずに、住民の自主的な防災組織やボランティア活動に期待をし、これを国や地方自治体が支援するにとどめております。

 しかし、地域の自治会や消防団などでは深刻な高齢化が進んでおり、自主防災組織の組織率は、全国平均で約六〇%、しかも、都道府県ごとに見ると、ほぼ一〇〇%に近い自治体から五%に満たない自治体まで千差万別です。このような対処能力のばらつきは、有事において致命的な結果を招くおそれがあります。

 にもかかわらず、なぜ、政府として全国規模の国民保護のための組織を設けようとしないのか、総務大臣及び有事法制担当大臣、その理由をお答えください。

 また、緊急事態に当たって、混乱することなく円滑に避難の措置などを行うためには、平素から十分な訓練を行っておくことが極めて重要であります。

 政府案には、地方自治体による保護措置の実施に対して原則として国費を充てることになっていますが、他方、平時において最も重要である住民の訓練や警報伝達体制の整備などに要する経費、あるいは住民避難のための社会資本整備など、あらかじめ講じておかなければならない各種措置に要する経費については、国庫負担にかかる規定が置かれておりません。

 これらの費用は、自治体にとっては相当な負担となることが予想されております。平素における訓練その他の準備措置にかかる経費についても国において相応の負担を行うべきであり、その旨を法律上も明確に規定すべきと考えますが、総務大臣及び有事法制担当大臣の御所見を伺いたいと思います。(拍手)

 最後に、有事法制をめぐる本質的な問題について一言申し上げたいと思います。

 有事法制の本質は、国民の生命、身体を守るため、一時的にではあれ、時の政府に国民の権利を制約する権限をゆだねることにあります。それには、国民の信頼に足る政府であることが大前提です。

 しかし、小泉政権の現状はどうでしょうか。イラクでとうとい命を落とされた二人の外交官をめぐる情報操作の疑惑や、年金法案の審議における総理大臣のあからさまな答弁拒否など、立法府が慎重な審議を行うに当たって不可欠な情報や判断の根拠について、平時においてすら国会や国民への情報提供が十分に行われていません。情報がより錯綜する緊急事態においてをやであります。まさしく、信なくば立たずであります。(拍手)

 私たち民主党は、一日も早く政権交代を実現して、国民の皆さんが本当に信頼できる政府をつくり、私たちの手で緊急事態法制の総仕上げをなし遂げる決意であることを表明して、質問を終わりたいと思います。(拍手)

    〔国務大臣野沢太三君登壇〕

国務大臣(野沢太三君) 長島議員にお答えを申し上げます。

 報道の自由を初めとした基本的人権の尊重について、さらなる詳細な規定を緊急事態基本法に盛り込む意思があるかどうかとのお尋ねがありました。

 法務省は、緊急事態基本法を所管するものではなく、お答えする立場にありませんが、一般論として申し上げれば、憲法が国民に保障する基本的人権は侵すことのできない永久の権利として尊重されるべきものと考えております。

 今後、緊急事態対処法について法務省として対応すべき問題につきましては、関係省庁と連携しつつ、必要な対応をしてまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 長島議員から、四問ちょうだいをいたしております。

 まず、地方レベルにおける総合調整の支援策についてお尋ねがあっております。

 これまでも、大規模災害などに当たりましては、国の防災基本計画と地方の防災計画に基づきまして、国及び地方団体の総合調整というのを行ってきたのは御存じのとおりです。

 今回の国民保護につきましても、国の基本方針と地方のつくります国民保護計画などによりまして、国及び地方団体の総合調整というものを図らねばならぬことは当然でありまして、総合調整を図るということが大前提であると思っております。これに基づきまして、国民の保護のためにいろいろ行います措置が、国、地方と一体となって推進されていくものというぐあいに考えております。

 次に、緊急事態における現地での迅速な意思決定についてのお尋ねがありました。

 武力攻撃事態におきまして、国全体として対処する必要がある、まことにごもっともな御指摘でありまして、内閣に対策本部は当然のこととして設置いたします。地域におきましても、都道府県知事及び市町村長が対策本部長として国民の保護のための措置を実施いたします。

 その際、国の対策本部長、内閣総理大臣ということになりますが、住民への警報、避難措置の指示は総務大臣、知事及び市町村に対して一元的かつ迅速に伝達するというのは当然のこととして、これによって、国民の保護のための措置を迅速かつ総合的に決定し、推進する仕組みといたしております。

 三番目に、国民保護のための組織についてのお尋ねがありました。

 地域におきましては、日ごろから、消防職員や消防団員、また警察官、そのほか地方団体の職員などが、火災、自然災害等重要な事故に当たりましては役割を担っているところでありますけれども、今回提出をいたしました法案におきましても、こういった方たちがジュネーブ条約に規定する文民保護組織の要員として、そして国民の保護のための措置に係る職務を協力しながら一体として行うというものにいたしております。武力攻撃事態におきましても、こうした方たちが住民の避難や誘導、救援に携わることの方が効果的であり、かつ適切であると考えております。

 最後に、訓練に係る財政措置についてのお尋ねがありました。

 まず、武力攻撃事態等におきます住民避難等に要します費用については、国が負担するということにいたしております。

 次に、訓練等平素の準備ももっと重要かもしれませんが、そういった意味で、地方公共団体から、こうした経費につきましても国が負担すべきであるという、財政措置に対する要請がなされておるところであります。

 これらを踏まえまして、国としても、支援をする対象の具体化を行いまして、国として責任を果たし得る財政措置を検討いたしてまいりたいと存じます。(拍手)

    〔国務大臣井上喜一君登壇〕

国務大臣(井上喜一君) いわゆる基本法についてのお尋ねがございました。

 いわゆる基本法につきましては、与党と民主党の間で三党協議会が開催され、緊急事態基本法、仮称でありますが、これを制定することについて合意をされたものと承知いたしております。

 政府といたしましては、まずは、今国会に提出をいたしました国民保護法案を初めとする有事関連七法案の成立に万全を期してまいりたいと考えておりまして、緊急事態基本法につきましては、与野党間の御論議を見守りつつ、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

 次に、指定公共機関が行う国民の保護のための措置等についてのお尋ねがございました。

 安全確保については、法案第二十二条で、国や地方公共団体の指定公共機関に対する安全確保の配慮義務などを規定いたしております。従業者の事故補償については、労働者災害補償により対応されることとなります。

 また、各指定公共機関におきましては、国民保護のための措置を円滑に実施するため、平素から幅広い関係者の意見を聞き十分な理解を得ることは大変重要なことと考えております。

 また、法案は個々の従業者に対して具体的な行為を求めるものでないため、従業者が業務命令に従わない場合は、それぞれの機関の内部規定等に基づき対応されることとなります。

 また、武力攻撃事態等においては、国全体として万全の措置を講ずる必要があることから、民間機関も一定の役割を果たしていただきたく、指定公共機関の制度を設けた次第でございます。具体的な指定の内容は、現段階で定まっておりませんけれども、災害対策基本法の指定公共機関を参考に検討する考えでございます。指定公共機関として指定された法人は、業務計画を作成し、措置を実施する義務が生じます。

 法案の整備に当たっては、これまで幅広い関係者の意見を伺いながら進めてきたところでありますが、今後とも、幅広く国民の理解を得られるよう一層努力をしてまいります。

 次に、緊急事態対処組織のあり方の検討状況についてのお尋ねがございました。

 国及び国民の安全に重大な影響を及ぼすさまざまな緊急事態に急速かつ的確に対処できる体制を構築することは、政府の当然の責務でございます。

 国家の緊急事態への対処に当たりましては、関係する省庁の機能を十分に生かしながら、政府全体として総合力を発揮できることが重要であり、これまでも、内閣を中心にさまざまな緊急事態に対する体制を整備強化してきたところでございます。

 御指摘の緊急事態対処組織のあり方につきましては、これまで整備してきた既存の組織や法令との関係、効率性などに留意しつつ、十分な検討が必要であり、引き続き検討してまいりたいと考えております。

 次に、地方公共団体の広域的対応に関する国の支援についてお尋ねがございました。

 災害に関しましては、各地方公共団体が相互応援協定を締結し、広域的対応をとっております。武力攻撃事態等においては、災害時よりもさらに広域にわたる連携や調整が必要となりますことから、国の基本指針において地方公共団体相互の広域的な連携協力に関する事項を定めるとともに、地方公共団体が実施する措置に対して国が必要な支援を行うことといたしております。

 こうした取り組みなどを通じて、国民の保護のための措置に関し、国全体として万全の態勢を整備してまいりたいと考えております。

 現地における国の対策本部についてのお尋ねでございます。

 武力攻撃事態等への対処は、災害対策の場合とは異なり、国による意思決定、総合調整等が基本となること、対処措置を実施すべき地域は特定の地域に限定されず、全国レベルの複数地域となることが想定されます。このため、それぞれの地域に国の現地対策本部を設置し対処するよりも、中央からの一元的な指揮命令系統に基づき対処する方が、国全体として万全の態勢が整備できるものと考えております。

 なお、国民保護のための措置の実施に当たって関係機関の総合調整が必要な場合は、都道府県本部長は、対策本部長に対し総合調整を行うよう要請できることとしており、これにより、関係機関の広域調整が図られ、的確かつ迅速な対応が可能となると考えております。

 次に、国民保護のための組織の創設についてお尋ねがございました。

 国民保護法案におきましては、指定行政機関、地方公共団体、指定公共機関等並びにこれらの委託及び協力の要請を受けた者が国民の保護のための措置を行うことといたしております。

 この国民の保護のための措置の実施につきましては、自主防災組織及びボランティア等により行われる自発的な活動に対し必要な支援を行うことによって、これをさらに効果的に実施することができるものと考えておりまして、国民の保護のための新たな組織をつくるということは考えておりません。

 最後に、平素におけるこの準備措置に要する費用についてのことでございますが、国民の保護のための措置を円滑に実施するためには、訓練など平素からの準備が重要と考えております。平素における訓練その他の準備措置に要する費用に係る財政措置については、関係省庁と協議をしてまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

    〔議長退席、副議長着席〕

副議長(中野寛成君) 遠藤乙彦君。

    〔遠藤乙彦君登壇〕

遠藤乙彦君 公明党の遠藤乙彦でございます。

 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました有事関連七法案及び三条約について、関係閣僚に質問いたします。(拍手)

 まず冒頭に、今月八日にイラクで発生した日本人人質事件について申し上げます。

 事件発生以来六日目を迎えましたが、情報が錯綜しており、厳しい事態となっていることを深く憂慮いたしております。三名の人質の方々、そして御家族の方々の心痛はいかばかりかと思いつつ、一刻も早い解放を強く求めるものであります。また、当然のことながら、イラクの人道復興支援活動を引き続き実施するとの毅然たる姿勢を示しつつ、人質解放に全力を挙げている政府の努力を支持するものであります。(拍手)

 事件解決への取り組みに当たって、行政が機能していないイラクにおいては、部族指導者や宗教指導者の力をかりることが極めて重要であると考えます。このような人々に対し、日本はイラクの真の友人であり、純粋にイラク人道復興支援に取り組んでいることを正しく理解してもらいつつ、事件解決に向け影響力を行使してもらうことを強く期待するものであります。

 こういった点も含め、今回の人質事件の最新の状況、見通し及び解決へ向けての政府の決意を伺いたいと思います。また、あわせて、イラクからの退避勧告をさらに周知徹底することを強く求めるものであります。

 以上の点につき、川口外務大臣にお伺いいたします。

 今国会、審議の対象とされました有事関連七法案及び三条約は、昨年成立しました武力攻撃事態対処法などとともに、諸外国からの武力攻撃及び国内テロ事件等発生の際、自衛隊の運用につき、内閣や国会のシビリアンコントロールの明確化や、国民の生命と財産を守るための特別の権限や手続を定めるものであります。

 先進国の中で有事法制の整備がおくれていた我が国において、今、ようやく一通りの法制度が整えられようとしています。我が国においては、長い間、有事に関する議論ができる環境になかったのであります。今日、このように国会において建設的な形で議論できることは画期的なことであり、往時と比べるとまさに隔世の感があるのであります。

 緊急事態に適切な対応をとり得る態勢を平時から備えておくことは、政治の責務であります。なぜなら、法的枠組みがないまま緊急事態に直面した場合、超法規的な措置がとられたり、基本的人権を著しく侵害するおそれがあるからであります。

 我が国の一部には、有事法制が我が国を戦争に導くものである、あるいは米国に対する戦争協力のためのものであるなどといった批判があります。しかし、これらの法案及び条約は、我が国が万一武力攻撃等を受けた際の国民の生命と財産を守ることを主眼としたものであり、そのような批判は全く当たらないことは明らかであります。有事法制の整備は法治国家として当然のことであり、また、そのことが抑止力の向上につながるものと考えます。

 しかしながら、今後、何よりも有事関連法に基づく措置を実際に発動しなければならない事態が起きないことが重要であり、そのために政府は、引き続き外交努力により我が国の平和と安全を維持していくべきであることをここで指摘し、強調しておきたいと思います。

 その上で、我が国を取り巻く国際環境について伺います。

 冷戦構造の崩壊により、全面核戦争の脅威は薄れた反面、文明の衝突と言われるように、世界各地の宗教上、民族上の対立が表面化し、地域紛争が多発するようになり、大量破壊兵器やミサイルなどの拡散に対する懸念が生じるようになりました。

 また、世界に衝撃の走ったあの二〇〇一年九月十一日、米国を襲った同時多発テロは記憶に新しいところでありますが、今日では、テロ組織などの非国家主体が脅威の中心となりつつあります。国連を初め世界各国は、テロ撲滅へ向け努力を重ねていますが、その危険性はいまだ減少していないのが実情であります。

 その意味で、我が国で起こり得る紛争形態としては、大規模紛争よりもテロや工作員による破壊活動などといった非対称的な紛争の方がより可能性が高いものと思われますが、石破防衛庁長官はどのような認識をお持ちか。また、我が国の安全保障政策において、テロ防止のための施策はどのような位置づけにあるのか、井上有事法制担当大臣の見解をお聞かせください。

 次に、大規模テロ等への対処に関する法整備について伺います。

 今回提出された国民保護法案では、新たに緊急対処事態という概念を設定し、大規模テロのような事態が発生した場合における住民の避難や被災者の救援手続などについて定めています。

 このたび、自由民主党、民主党、公明党三党は、武力攻撃事態対処法において明示されていない大規模テロ等に際して、国としての取り組みや対処するための基本的な考え方をまとめた緊急事態基本法の必要性について認識し、基本法を制定することについて合意いたしました。我が国においてもテロに対する危険が指摘されている中、テロも含めた緊急事態に対処する基本的枠組みを定めておくことは有益ではないかと思いますが、政府としてこのような基本法の制定の必要性についてどのような見解をお持ちか、井上国務大臣に伺います。

 さて、今回国会に提出された七法案及び三条約は、国民の権利義務に密接にかかわるものも多く含まれていることから考えますと、より一層、幅広く国民の理解と協力を得なければなりません。そのためには、各法案及び条約の内容について、国民に対して十分な説明を行い、理解を得る努力をしていく責任が政府に課せられていることを申し上げておきたいと思います。その説明責任を十分に果たしつつ、有事の際、迅速に対応するためのシステムを構築し、運用していくべきであります。

 そこで、説明責任の観点から質問いたします。

 特に国民保護法案につきましては、まさに法律の対象が国民であり、避難・誘導を行う際などにおいては国民の協力が大前提となっております。その意味では、政府は、内容について国民だれにでもわかりやすく説明する責任があると考えますが、どのように周知徹底を図っていくつもりなのか、その方策について説明願います。また、どこまで国民の協力を仰ごうとしているのか、あわせて見解を伺いたいと思います。

 また、法案の具体的な内容については、多くの部分において政令で定めるとされています。確かに、法律ですべての内容を定めるのは、法の柔軟な運用を妨げることにもなり、妥当ではありません。しかし、政令は政府限りで制定できるものであり、法律と比較して、国民の代表が集う国会が関与する度合いが低いと言えます。関係政令についても、国民の幅広い理解を得るため、何らかの形で主権者たる国民との接点を設けるような施策を講じていく必要があると思いますが、有事担当大臣の見解を伺いたいと思います。

 国民への説明責任は、国内法だけにとどまるものではありません。ジュネーブ諸条約は、その原則を自国のすべての軍隊及び住民に知らせるため、この条約の本文をできる限り普及させることを求めております。しかしながら、我が国の現状を見ますと、ジュネーブ諸条約の内容が国民に広く知られているとは言いがたいのが現状だと思います。人道上及び国民保護の観点からも、政府はその普及に努力すべきだと思いますが、外務大臣の見解を伺います。

 また、政府は、ジュネーブ諸条約の二つの追加議定書の承認案件及び国際人道法違反処罰法案を提出いたしております。

 戦争犯罪等、世界の平和及び安全を脅かす国際犯罪の処罰に関する世界の動向に目を転じてみますと、二〇〇二年七月一日、国際刑事裁判所に関するローマ規程が発効し、裁判所設立に向けた動きが本格化いたしました。我が国は同裁判所規程の採択に向け積極的な役割を果たしたと承知していますが、現時点では規程を批准しておりません。我が国としても、戦争犯罪や人道に対する罪等への対処に関する国際協力の意味からも、国際刑事裁判所規程の批准を早急に行うべきと思われますが、批准のめどについて外務大臣にお伺いいたします。

 続いて、有事の際、適切に対処するための体制づくりについてお伺いします。

 都道府県及び市町村は、国があらかじめ作成した国民の保護に関する基本指針に基づき、個別に国民の保護に関する計画を策定することとされています。しかしながら、自治体としては初めてのことでもあり、ノウハウの蓄積がないことや、厳しい財政事情の中、一定の出費を迫られることもあり得ることなどから、計画策定への体制は必ずしも万全ではありません。

 政府は、地方が実施する計画策定についてサポート体制を強化すべきであると考えますが、どのような体制で臨んでいくのか、有事担当大臣に伺います。

 また、有事法制が一通り整備され、計画まで策定されたとしても、その適切な運用を行っていくためには、運用のための組織がしっかりと構築され、かつ、組織相互間の意思疎通が十分に図られなければ不可能です。まして、その成否が国民の生命に直結する避難・誘導ということになればなおさらのことであります。

 実際に住民に対して警報発令の伝達や避難の指示、避難・誘導などを行うのは、都道府県や市町村など多岐にわたり、多くの人々が携わります。その上、指定公共機関やボランティアの人々なども一定の役割を担うことが予定されています。これらの組織及び人員に的確な情報や指示を素早く提供するためのシステムが不可欠ですが、どのように構築していくのか、政府の方針を伺います。

 さらには、運用に当たっては、災害対策の場合と同様に訓練を実施していくことも重要であります。国民保護法案では、指定行政機関の長等は、国民保護のための措置について訓練を行うよう努めなければならない旨の規定がありますが、政府としてはその頻度及び規模についてどのように考えているか、お伺いいたします。

 最後に、有事の際における基本的人権の取り扱いについて伺います。

 公明党は、有事法制の整備に当たり、緊急事態の措置であっても、憲法の範囲内という原則を堅持するよう主張してまいりました。その結果、武力攻撃事態対処法には、基本的人権の尊重や、やむを得ず財産権が制約される場合の損失補償の原則などが明記されたわけであります。

 国民保護法案でも、国民保護のための措置を実施する際に、憲法が保障する国民の自由と権利が尊重されなければならないと規定し、やむを得ず権利が制限される場合も必要最小限に限ることを明示して、損害や損失を補償する規定が盛り込まれています。

 国民保護法案の運用の際には、マスコミなどから懸念の声も寄せられている表現の自由のほか、思想及び良心の自由を初めとする基本的人権を侵さないようにするため、改めて政府の人権に対する基本的認識及び対処方針について有事担当大臣にお伺いいたします。

 今回の審議に際しては、何といっても、国民や地方自治体の幅広い意見を聞く努力が必要であります。同時に、アジア諸国の理解を得ることも重要であり、丁寧な説明が必要であります。特に韓国や中国に対しては、今回の関連法案の趣旨について、今の段階からきちんとした説明を行い、理解を得るための絶え間ない外交努力がますます重要であります。こうした努力を含めた我が国の有事法制の整備は、二十一世紀におけるアジア太平洋地域の平和の構造の確立に必ずや寄与するものと確信するものであります。

 この点について外務大臣の御決意をお伺いし、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣川口順子君登壇〕

国務大臣(川口順子君) お答え申し上げます。

 まず、イラクの人質事件についてのお尋ねがございました。

 本件につきましては、政府は引き続き、在イラク邦人人質事件対策本部のもと、関係省庁が連携し、関係国、関係機関の協力をさまざまなレベルで仰いでおります。また、現地対策本部での現地調査、さまざまなルートを通じた各種働きかけを通じて、一刻も早い人質の解放、身柄の無事確保と事実関係の把握に向けて、全力を挙げて取り組む所存でございます。

 従来から、イラク全土に対しては退避勧告の危険情報を発出いたしております。それに加えて、昨年八月以降、今回の事件発生を受けたものも含めまして、現在まで計二十七回にわたり、邦人のための注意速報、いわゆるスポット情報ですが、発出する等いたしまして、イラクにおけるテロ攻撃の危険性について徹底した注意喚起を行っております。今後とも、機会をとらえて注意喚起をしていきたいと思います。

 なお、治安情勢が厳しく、渡航する日本人へのリスクの高い国については、事件、事故発生の際の在外公館の邦人保護活動に大きな制約があることも考慮いたしまして、退避勧告等の高いレベルの基本情報を発出いたしておりますけれども、このような国に既に滞在されている方に対しては、直接自主的な退避を呼びかけるとともに、状況によっては退避の支援を行っております。

 外務省が発出する退避勧告を含む危険情報は、法的拘束力を有するものではございません。海外に渡航ないし滞在をする方が自己の責任において行う判断のための参考情報です。今後とも、適時適切な情報提供を行いますとともに、みずからの安全についてはみずからで責任を持つという考え方の一層の徹底を図ってまいります。

 ジュネーブ諸条約の普及についてのお尋ねでございますが、政府としてはこれまで、学校における教育や自衛隊における教育等を通じまして、また、我が国において国際人道法に関する教育及びその普及について精力的な活動を行っている日本赤十字社と協調する形で、ジュネーブ諸条約の普及に取り組んできております。

 政府といたしましては、今般国会に提出したジュネーブ諸条約追加議定書を含め、ジュネーブ諸条約等の普及のため、今後とも一層の努力を傾注していきたいと存じます。

 国際刑事裁判所規程についてのお尋ねがございました。

 我が国としては、国際刑事裁判所規程の締結につきまして、現在、同規程の内容や各国における法整備の状況を精査するとともに、国内法令との整合性等について必要な検討を行っているところです。二〇〇二年七月一日に国際刑事裁判所規程が発効したことを踏まえ、政府として検討を進めていきたいと考えております。

 最後に、有事法制の整備に係る外交努力についてのお尋ねがございました。

 いわゆる有事法制は、国の独立と主権、国民の安全を確保するために主権国家が当然整備すべきものであり、周辺国に不安感や警戒感をもたらすようなものではないと考えております。

 他方、無用な誤解を避けるとの観点から、今後とも、有事関連法制の趣旨、内容等について随時説明を行うなど、周辺諸国の幅広い理解が得られるように努めてまいります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣石破茂君登壇〕

国務大臣(石破茂君) 遠藤議員より、我が国で起こり得る紛争の形態についてのお尋ねをちょうだいいたしました。

 議員御指摘のとおりだと思っております。冷戦崩壊後十年以上を経まして、特に経済面を中心とした国家間の相互依存の拡大と深化をも踏まえれば、我が国に対します本格的な侵略事態が生起する可能性は、確かに低下しております。

 一方、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散、さらには、国際テロ組織の活動を含みます新たな脅威や平和と安全に影響を与える多様な事態への対応、議員の表現をかりれば非対称的な紛争ということでございますが、そのようなものへの対応が、我が国を含む国際社会にとっての差し迫った課題となっておりまして、このような安全保障環境に実効的に対応し、我が国の平和と安全に万全を期す必要があると考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣井上喜一君登壇〕

国務大臣(井上喜一君) まず、テロ防止のための施策であります。

 国及び国民の平和と安全に影響を及ぼすさまざまな緊急事態にすき間なく対応することは、国家の重要な責務であります。このため、国民の安全な生活を脅かすテロ対策につきましても、政府として、最大限の努力を払い、万全の措置を講じているところでございます。

 テロ対策において最も重要なことは、これを未然に防止することであります。政府としましては、テロ情勢を踏まえ、情報収集・分析の強化を図るとともに、出入国管理、ハイジャック対策、重要施設の警戒警備等の国内警戒措置を強化、徹底しているところであります。

 次に、いわゆる基本法についてのお尋ねがありました。

 この基本法につきましては、与党と民主党の間で三党協議会が開催され、緊急事態基本法、仮称でありますが、これを制定することについて合意をされたものと承知いたしております。

 政府としましては、まずは、今国会に提出しました国民保護法案を初めとする有事関連七法案の成立に万全を期してまいりたいと考えており、緊急事態基本法につきましては、与野党間の御論議を見守りながら、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

 次に、国民の協力についてのお尋ねがございました。

 武力攻撃事態において国全体として万全の措置を講ずるためには、国民の協力が必要であり、国や地方公共団体が住民の避難や被災者の救援などの国民の保護のための措置を実施する際に、それを補完する形で国民に必要な協力をお願いしたいと考えているところであります。

 国民の協力の重要性にかんがみまして、政府としては、平素から十分な国民の理解が得られるよう、国民保護法案第四十三条の規定に基づき、説明会の実施や政府広報の活用などを通じ、国民に対する啓発を適切に行うなど、さまざまな努力を行うこととしております。

 さらに、関係政令についてのお尋ねであります。

 関係政令につきましては、広く国民等に案を公表し、いただいた意見等を考慮して制定されるべきものであると考えております。

 政府としては、法案の成立後、パブリックコメント等の手続を通じ、政令案を公表し、国民の御理解を得て、政令を制定してまいる考えでございます。

 次に、地方公共団体の国民の保護に関する計画についてのお尋ねでございます。

 武力攻撃事態等に対して国全体として万全の対策を整備するためには、地方公共団体を初め各機関・団体が作成する計画が整合性のとれたものとなる必要がございます。

 このため、消防庁におきましては、本法案に基づく地方公共団体の事務に関する連絡調整の体制を整えるとともに、地方公共団体の計画の作成作業に資するため、国民保護モデル計画を作成し、地方公共団体に提示をすることといたしております。

 政府としては、地方公共団体の計画作成のために必要な情報の提供など、今後とも必要な支援を行ってまいります。

 次に、地方公共団体等に対する情報等を提供するためのシステムについてのお尋ねでございます。

 武力攻撃事態等におきましては、警報等の必要な情報を地方公共団体等に迅速かつ確実に提供することは極めて重要であると考えております。武力攻撃事態等において情報伝達のためのシステムを有効に機能させるためには、平時から使用されるシステムを活用することが適切であると考えております。

 政府としては、防災行政無線の充実など、迅速かつ確実な情報提供のためのシステムのあり方について、今後とも検討してまいります。

 訓練についてのお尋ねがございました。

 武力攻撃事態等において国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施するため、訓練を行うことは大変重要であると考えております。このため、国民保護法案におきまして、指定行政機関の長、地方公共団体の長、指定公共機関等が、それぞれまたは共同して訓練を実施する旨の規定を置いております。国民の意識啓発のためにも訓練は極めて重要であり、訓練の規模や実施方法について検討を深めてまいりたいと考えております。

 最後に、政府の人権に対する基本的認識及び対処方針についてのお尋ねがございました。

 武力攻撃事態等においても、表現の自由などの国民の自由と権利が尊重されることは当然のことでありまして、政府としましては、報道の規制など言論の自由を制限するようなことは考えておりません。

 このような考え方のもと、国民保護法案においても、日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されねばならない旨を規定しているところでございます。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(中野寛成君) 赤嶺政賢君。

    〔赤嶺政賢君登壇〕

赤嶺政賢君 私は、日本共産党を代表して、まずイラクの日本人拘束事件について質問します。(拍手)

 何よりも人命優先で対応する、三人を無事救出するためにとり得るすべての手を尽くすことが政府の責任であります。

 今緊急に必要なことは、アメリカがイラク全土で展開している反米武装勢力の鎮圧・掃討作戦をやめさせることです。とりわけ、米軍がファルージャでクラスター爆弾まで使用して掃討作戦を行い、モスクを爆撃し、六百人以上の市民の生命を奪ったことが事態を一層悪化させています。こうしたもとで外国人人質事件が多発しているのではありませんか。

 アナン国連事務総長は、無辜の民間人への危険を最小限にとどめるため、すべての関係当事者に自制を呼びかけています。日本政府は、アメリカに対して武力攻撃の自制を求め、鎮圧・掃討作戦を中止するよう、なぜ要求しないのですか。

 今、イラクは全土が戦争状態にあります。これまでの政府答弁からいっても、自衛隊の撤退を真剣に検討すべきであります。航空自衛隊が武装米兵の輸送を行うなど、自衛隊が米軍の作戦を支援し、占領支配の一翼を担っていることは明白です。しかも、自衛隊派兵によって、イラクで活動する日本のNGOやボランティアの人々の人道支援活動を困難にしているのであります。今や、自衛隊派兵を続ける根拠はどこにもないではありませんか。(拍手)

 有事関連法案について質問します。

 小泉内閣は、昨年の国会で、日本が攻められたときへの備えだといって武力攻撃事態法を成立させましたが、その核心は、アメリカが日本国の領域外で引き起こす戦争に日本を本格的に参戦させる体制づくりにほかなりません。日本が武力攻撃を受けていない、日本有事に至るはるか以前の段階、武力攻撃予測事態から、自衛隊を初め地方自治体、民間まで、官民挙げて戦争遂行中の米軍に対し支援を行うというのが武力攻撃事態法の基本的な枠組みであります。

 有事関連七法案・三条約は、この武力攻撃事態法の枠組みに沿って米軍支援や国民総動員の体制を具体化するものであり、極めて重大です。

 しかも、アメリカが先制攻撃戦略に基づき、国連憲章を踏みにじり、大義なきイラク戦争を引き起こしているもとで、日本がその米軍支援のための有事法制づくりを進めることは、イラク戦争に反対し、国際社会の平和のルールの確立を求める世界の流れに逆行するものではありませんか。(拍手)

 米軍行動円滑化法案について聞きます。

 この法案の眼目は、武力攻撃予測事態の段階から米軍の軍事行動が円滑かつ効果的に遂行できるようにするための措置の実施を政府の責務としていることです。

 この措置の内容に何らかの制約はあるのですか。周辺事態法では自衛隊の支援を後方地域に限定していましたが、そのような地域的限定は一切ないのではありませんか。また、米軍支援の要請に応じる責務を負わされる地方自治体や事業者は、要請を拒否することができるのですか。結局、日本が攻撃を受けていない予測事態から、米軍の軍事行動のためにあらゆる障害を取り払い、無限定に米軍を支援する仕組みをつくることになるのではありませんか。

 重大なことは、予測事態から米軍に対し弾薬の提供を行うことができるようにしていることです。弾薬の提供は、周辺事態法では、憲法上慎重な検討を要する問題として政府も認めてこなかったものであります。なぜ、それを今回できるようにしたのですか。周辺事態も予測事態も、日本が攻撃を受けていないことでは同じでありませんか。弾薬の提供は、まさに米軍と直結した軍事行動であり、政府の言う米軍の武力行使との一体化になるのではありませんか。

 さらに、ACSA改定案は、国際の平和及び安全に寄与する目的で、日米が相互に兵たん支援をできるようにする規定を盛り込んでいますが、これは、日本の有事とは全く関係のない、海外のあらゆる事態に日米が共同で対処する体制をつくろうとするものではありませんか。

 また、海上輸送規制法案は、米軍と共同対処行動をする海上自衛隊が、外国軍用物資を輸送している疑いがあれば、公海上で第三国の民間船舶を停船、拿捕し、応じなければ撃沈も可能にするものです。政府は、従来、有事の際の第三国船舶への臨検は、憲法が禁止する交戦権の行使に当たり認められないとしてきたのではありませんか。答弁を求めます。(拍手)

 特定公共施設利用法案について聞きます。

 法案は、予測事態から、港湾や飛行場、道路などの管理者である地方自治体や指定公共機関に対して、政府の定める指針に従い、米軍、自衛隊に優先的に利用させることを責務と規定しています。自治体が政府の要請に従わないときは、首相による指示と国土交通大臣を通じた代執行による強制まで定めています。

 これは、周辺事態法が、あくまで自治体に協力を求めるとしていたのとは異なり、米軍の行動を支援するためにこれらの公共施設を強制使用するということなのではないですか。まさに、港湾、飛行場を初め、道路も、海域、空域も、電波も、すべて米軍、自衛隊が優先的に利用できる仕組みをつくるものではありませんか。

 国民保護法案について質問します。

 法案は、住民の避難・誘導、避難住民の救援を定めていますが、一体どういう事態、戦争を想定しているのですか。政府自身が、我が国に対する本格的な侵略事態生起の可能性が低下したと認めているのではありませんか。

 また、住民の避難といいますが、実際は、米軍、自衛隊の作戦行動を最優先する仕組みのもとで、作戦地域から邪魔になる住民を排除するために、避難させようというものではありませんか。政府が住民に避難を指示し、これに知事や市町村長が従わなければ、首相みずからその措置をとることができるとしているのも、そのためではありませんか。

 法案は、消火や医療、負傷者の搬送などに駆り出し、物資を収用し、報道を規制し、罰則までつけて国民を戦争に動員する仕組みを定めています。しかも、重大なことは、都道府県と市町村に、自衛官、警察官が加わる国民保護協議会を設置し、国民動員の計画をつくり、訓練を行い、国民の啓発を行うとしていることです。これは、ふだんから戦争体制に国民を組み込むシステムづくりではありませんか。

 さらに、NHKを指定公共機関とし、民間放送事業者に対しては、対策本部長が発令する事態等の現状及び予測を含む警報の放送を義務づけ、一方、政府や国の行政機関、地方自治体に有事関連情報の迅速な提供を義務づけています。これは、政府当局が発する情報で放送をコントロールし、報道の自由を制限することになるのではありませんか。

 今回新たに盛り込まれた緊急対処事態とは、いかなる事態ですか。緊急事態基本法などの議論もありますが、そもそも、日本に対する武力攻撃とテロ、自然災害は、それぞれ原因も違えば、事態の態様も違います。これを一くくりにして対処する仕組みをつくることは、我が国社会と国民生活のすべてに有事法体系を持ち込むものであり、人権侵害を一層拡大することになるのではありませんか。

 以上、日本共産党は、有事関連法案を断じて許さず、憲法の平和原則を守り抜く決意を表明し、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣川口順子君登壇〕

国務大臣(川口順子君) 赤嶺議員にお答えを申し上げます。

 イラクの情勢及び外国人の拘束事案についてお尋ねでございますけれども、イラクの情勢については、全般として予断を許さない状況にあると認識しております。我が国としては、緊迫化しつつある現地情勢を憂慮し、注視しており、できる限り早急に秩序と治安の回復が図られ、事態が鎮静化することを希望しております。また、イラクで発生している外国人の拘束事案については、一刻も早い解決が図られることを希望いたします。

 次に、イラクにおける米軍の行動についてのお尋ねですが、我が国は、米軍を含む連合当局及びイラク国民による治安、秩序の回復に向けての努力を一貫して支持しております。

 いずれにせよ、我が国としては、緊迫化しつつある現地情勢を憂慮し、注視しており、できる限り早急に秩序と治安の回復が図られ、事態が鎮静化することを希望いたしております。

 米軍支援のための有事法制をつくることは、イラク戦争に反対し国際社会の平和のルールの確立を求める世界の流れに逆行するものではないかとのお尋ねがありました。

 いわゆる有事法制は、国の独立と主権、国民の安全を確保するため、主権国家が当然整備すべきものです。我が国がみずからの自衛力のみでは自国の安全が脅かされるようなあらゆる事態には対処できない以上、日米安全保障条約に従って行動する米軍が円滑かつ効果的に行えるように手当てすることは当然のことと考えます。

 なお、イラクにおける米軍による武力行使は、安保理決議に従って、イラクの武装解除等の義務の履行を確保し、この地域の平和と安全を確保するための真にやむを得ない措置として行われたものでございます。

 最後に、ACSA改正は、我が国有事とは関係ない、あらゆる事態に対処するためのものではないかとのお尋ねがありました。

 今回改正される部分を含め、ACSAに基づく手続の枠組みに従って行われる自衛隊による物品、役務の提供は、あくまで、個別の活動ごとに我が国国内法上の根拠がある場合に限り行われることとなります。したがって、今回のACSA改正が、我が国有事とは関係ない、あらゆる事態に共同で対処するためのものではないかとの御指摘は当たりません。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣石破茂君登壇〕

国務大臣(石破茂君) 赤嶺議員から、自衛隊のイラク派遣の根拠などについてお尋ねをいただきました。

 イラク人道復興支援特措法に基づきます自衛隊の活動は、我が国として主体的にイラクの人道復興支援を中心とした活動に従事するものであり、占領行政の一翼を担うという御指摘は当たりません。

 また、イラクの復興と民生の安定は、中東地域のみならず、我が国を含みます国際社会全体の平和と安全の観点からも重要であり、統治権限のイラクへの移譲を円滑に進展させるためにも、国際社会によるイラクへの支援の強化が不可欠であります。さらに、イラクの厳しい生活環境のもとで十分に活動できる自己完結性を備えております自衛隊による活動が有効であるものと考えております。

 政府といたしましては、こうした考え方に立ちまして、国会で御審議をいただき成立したイラク人道復興支援特措法に基づき、また、今国会において御承認をいただきました上で、自衛隊をイラク等に派遣し、人道復興支援を中心とした活動を行っているものであり、根拠がないとの御指摘は全く当たらないものと考えております。

 次に、ACSA改正と国際平和協力の一般法との関係についてのお尋ねをいただきました。

 今回のACSA改正は、自衛隊による物品、役務の提供は個別の活動ごとに有効な我が国国内法の認める範囲内で行われるとの大前提のもと、現時点で自衛隊及び米軍の双方にニーズが高い活動にACSAに基づく手続の枠組みを適用するものであり、今後の国際平和協力の一般法に関する議論を先取りするためのものではございません。

 次に、海上輸送規制法案につきまして、憲法が禁ずる交戦権との関係でお尋ねをいただきました。

 本法案に基づきます停船検査等は、我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した場合に、自衛権の行使に伴う必要最小限度の範囲内の措置として行うものでございます。憲法で禁止されておる交戦権の行使に当たるものではございません。

 このような自衛権の行使に伴う措置が憲法上可能でございますことは、政府として累次申し述べてきたところでございます。本法案は、これまでの政府の考え方を踏まえ、必要な規定を整備するものであり、憲法上問題ないものと考えております。

 最後に、国民保護法案が想定しております事態についてのお尋ねをいただきました。

 国民保護法案は、武力攻撃事態に加えて、大規模テロ等の緊急対処事態を対象としておりまして、現時点において想定しております事態といたしましては、武力攻撃事態につきましては、航空機や船舶により地上部隊が上陸する攻撃、ゲリラや特殊部隊による攻撃、弾道ミサイル攻撃、航空機による攻撃等、緊急対処事態につきましては、原子力発電施設の破壊、炭疽菌等の生物剤を用いた生物テロ、航空機による多数の死傷者を伴う自爆テロ等を想定しております。

 御質問のように、我が国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下をしておりますが、先ほど述べました事態も含めた各種の国家の緊急事態に対処するための態勢の整備は、国家国民にとって重大な事態に備えるものであり、独立国家としての当然の重要な課題と考えておる次第でございます。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣井上喜一君登壇〕

国務大臣(井上喜一君) 米軍行動関連措置法案に規定いたします行動関連措置は、法令に基づいて実施されるものでありまして、また、法案第四条に規定するとおり、武力攻撃を排除する目的の範囲内において、事態に応じ合理的に必要と判断される限度を超えるものではなく、法案は無限定に米軍を支援する仕組みをつくるものであるとの御指摘は当たりません。

 次に、武力攻撃予測事態における弾薬の提供についてでございますが、事態が緊迫し、我が国に対する外部からの武力攻撃が予測されるに至った事態において、我が国の平和と安全の確保のために万全の措置を講ずるのは当然のことであります。このような観点から、米軍行動関連措置法案では、武力攻撃予測事態において、弾薬の提供も含め、必要となる措置を講ずることとしたものであります。

 法案に基づいて我が国が弾薬の提供を行うことができる対象は、法案第二条第五号に規定する、日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な準備のための米軍の行動に限られます。

 武力攻撃予測事態においては、我が国に対する武力攻撃は発生しておらず、米軍はかかる武力攻撃を排除するために武力を行使していないことから、このような米軍の行動に対する支援として法案に基づき弾薬を提供したといたしましても、憲法との関連で問題が生ずることはありません。

 次に、武力攻撃事態等においては、国民の保護のための措置や、武力攻撃を排除するために必要な自衛隊や合衆国軍隊の行動等が実施されるところでございますが、特定公共施設利用法案は、これら対処措置等の実施のためにその利用が不可欠であり、かつ、利用の集中が予想される港湾施設、飛行場施設などの特定公共施設等の利用に関し、その総合的な調整を図り、もって対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るためのものでございます。

 特定公共施設等の利用に際し優先すべき対処措置等の内容については、対策本部長がその時々の状況を総合的に勘案し、適切に判断するとともに、その利用の確保を図るものであり、合衆国軍隊の行動を支援するために強制するものあるいは合衆国軍隊や自衛隊が優先的に利用できる仕組みをつくるためのものであるとの御指摘は、いずれも当たりません。

 次に、国民保護法案が想定している事態についてのお尋ねでございます。

 武力攻撃事態の想定としましては、現時点においては、航空機や船舶により地上部隊が上陸する攻撃、ゲリラや特殊部隊による攻撃、弾道ミサイル攻撃、航空機による攻撃等を想定していますが、具体的には、今後、基本指針の策定段階で検討をすることといたしております。

 国家の緊急事態に対処し得るよう必要な備えをしておくことは、独立国家として当然の重要な課題であります。とりわけ、武力攻撃事態に対処するための態勢の整備は、我が国が外部から武力攻撃を受けるという国家国民にとって最も重大な事態に備えるという意味で、重要なものと考えております。

 次に、住民の避難に関する措置についてでございます。

 武力攻撃事態等においては、武力攻撃による被害から住民の生命、身体または財産を保護することが重要であることから、住民の避難に関する措置について規定しているところであり、御指摘のような作戦地域から邪魔になる住民を排除することが目的ではありません。

 また、避難の指示に係る内閣総理大臣の是正措置についても、住民の生命、身体または財産を保護するため特に必要があると認める場合において、国全体として万全の措置を講ずるために実施するものでございます。

 次に、国民保護法案は、国民を戦争体系に組み込むシステムづくりではないかというお尋ねでありますが、武力攻撃事態等において、国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施するためには、国全体として万全の態勢を整備することが必要であります。平素から組織の整備や計画の作成、国民に対する啓発、訓練の実施などを行うことが重要であると考えております。

 これらは、あくまで国民を保護するために必要な平素からの備えであり、国民を戦争体制に組み込むようなものではございません。

 次に、報道の自由についてのお尋ねでございます。

 国民の生命、身体の安全の確保に関する緊急情報を正確かつ迅速に国民に伝達することは極めて重要であり、放送の速報性という機能に着目し、警報、避難の指示及び緊急通報の内容の放送を、放送事業者である指定公共機関の国民の保護のための措置とする考えであります。

 他方、国会における附帯決議を踏まえ、国民保護法案第七条では、国及び地方公共団体は、放送事業者である指定公共機関等が実施をする国民の保護のための措置については、その言論その他表現の自由に特に配慮しなければならない旨を規定いたしております。

 武力攻撃事態等においても、表現の自由などの国民の自由と権利が尊重されることは当然であり、政府としては、報道の規制など報道の自由を制限するようなことや、国が放送事業者をコントロールすることなどは考えておりません。

 最後に、緊急事態についてのお尋ねでございます。

 緊急対処事態は、武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷する行為が発生した事態または当該行為が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態で、国民の生命、身体及び財産を保護するため、国家として緊急に対処することが必要な事態であります。

 具体的な緊急対処事態の対象としては、発生初期の段階では武力攻撃事態であるとの判断が困難な事態、武力攻撃に準ずる手段を用いた攻撃により甚大な被害が生じる事態を想定いたしております。

 また、緊急事態基本法については、与野党間の御議論を見守りつつ、必要な検討を行ってまいります。(拍手)

副議長(中野寛成君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(中野寛成君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

        総務大臣   麻生 太郎君

        法務大臣   野沢 太三君

        外務大臣   川口 順子君

        環境大臣   小池百合子君

        国務大臣   井上 喜一君

        国務大臣   石破  茂君

        国務大臣   小野 清子君

 出席副大臣

        防衛庁副長官 浜田 靖一君

        総務副大臣  山口 俊一君

        法務副大臣  実川 幸夫君

        外務副大臣  阿部 正俊君


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © 2014 Shugiin All Rights Reserved.