衆議院

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第28号 平成16年4月27日(火曜日)

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平成十六年四月二十七日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十七号

  平成十六年四月二十七日

    午後一時開議

 第一 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 高速道路事業改革基本法案(岩國哲人君外四名提出)

 第三 高速道路株式会社法案(内閣提出)

 第四 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案(内閣提出)

 第五 日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

 第六 日本道路公団等民営化関係法施行法案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 高速道路事業改革基本法案(岩國哲人君外四名提出)

 日程第三 高速道路株式会社法案(内閣提出)

 日程第四 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案(内閣提出)

 日程第五 日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

 日程第六 日本道路公団等民営化関係法施行法案(内閣提出)

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 市町村の合併の特例等に関する法律案(内閣提出)

 総合法律支援法案(内閣提出)

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 公益通報者保護法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時七分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) この際、新たに議席に着かれました議員を紹介いたします。

 第四百三十八番、埼玉県第八区選出議員、柴山昌彦君。

    〔柴山昌彦君起立、拍手〕

     ――――◇―――――

 日程第一 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長山本公一君。

    ―――――――――――――

 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山本公一君登壇〕

山本公一君 ただいま議題となりました構造改革特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図るため、病院等開設会社による病院等開設事業に係る措置、市町村教育委員会による特別免許状授与事業に係る措置その他の構造改革特別区域に係る法律の特例に関する措置を追加しようとするものであります。

 本案は、去る四月十六日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、同日金子国務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、二十一日質疑を終了いたしました。二十三日討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 討論の通告があります。これを許します。市村浩一郎君。

    〔市村浩一郎君登壇〕

市村浩一郎君 兵庫県第六区、伊丹市、川西市、宝塚市から選出をいただいております市村浩一郎でございます。

 民主党・無所属クラブを代表して、構造改革特別区域法の一部改正案について、まことに残念ながら、反対の立場から討論をさせていただきます。(拍手)

 まず最初に、民主党の規制緩和、構造改革特別区域に対する基本的な立場と考え方を改めて申し上げます。

 国民の生活の質の向上を図る観点から、構造改革、すなわち、この国の形を時代に合わせて変えていくことには、当然賛成です。その方法の一つとして、行き過ぎた規制を緩和していくこと、特に経済規制については撤廃をしていくことも賛成です。また、その規制緩和や規制撤廃の方向性として、民営化をして、民の知恵を取り入れ、民の柔軟性、機動性、迅速性を生かしていくことにも、基本的に賛成です。

 また、民主党は、株式会社という業態を民営化から排除するものでもありません。政府が特区全般で強調しているように、株式会社が原理的に持つ資金調達能力やその研究調査能力に期待をしたいという考え方にも賛同をするところでございます。

 ただし、食品の安全性や、近年では鳥インフルエンザやSARSに代表されるウイルスへの対応など、いわゆる社会的規制については、消費者、生活者の立場に立って、これは慎重に考え、規制を強化すべきはすべきものとしています。

 ここで少しまとめますと、経済規制の撤廃などは、本来であれば全国一律に行われるべきところではありますけれども、以上申し述べました観点から、民主党は、構造改革特別区域という手法にも一定の理解を示してまいりました。

 しかしながら、そうした一定の理解をする立場に立ちましても、このたびの一部改正案には、賛成をできない部分が含まれています。

 ここで、与党の皆さんに改めて問いかけます。

 自由診療で高度先進医療に限って株式会社に病院の設立を認めることに、与党の皆さんは本当に賛成なのでしょうか。それが、全国民がひとしく命にかかわる医療を受けられるという、日本が誇る国民皆保険制度を将来崩壊に至らしめるアリの一穴となる可能性があるとしても、賛成なのでしょうか。お金があれば高度かつ先進的な医療サービスが受けられ、お金がなければ受けられない、命のさたも金次第となるとしても、賛成なのでしょうか。

 遺伝子治療、再生医療など、今は高度先進医療でも、十年後、二十年後にはそれが普通の治療法となってほしい、これまで助からなかった命が助かるようになってほしい、そして、その治療は保険によって適度な負担で受けられるようになってほしい、それが私たち国民の願いなのではないでしょうか。

 人間、お金がたくさんなくても、健康であれば働くことはできますし、あとは心の持ちようで何とかなります。しかし、何が不安といって、病気になったときほど不安なことはありません。その不安を多少とでも安心に変えているのが、お金の多寡にかかわらず国民がひとしく命にかかわる治療を受けられるという、国民皆保険で示されている志ではないのでしょうか。

 そもそも、今回の株式会社病院には保険診療が認められず、自由診療以外できないようになっています。そのため、医療費は全額患者負担です。高度かつ先進的な医療に限定していることとあわせて、そうした条件下で新規参入する株式会社があるのか、甚だ疑問です。それでは、構造改革、規制緩和、民営化とは名ばかりの法律改正となってしまいます。やったふりと指摘されても仕方がありません。

 また、株式会社の経営が厳しいときでも、患者に対し、しっかりとしたケアがなされるのか、医療の質が保てるのか。これが百歩譲って、株式会社にも医療法人と同じように保険診療も認めるとするのであれば、国民皆保険の原則を崩さず、株式会社という形態に医療の道を開くことも、まだ合理的に説明ができなくもありません。

 現実に、歴史的な経緯があるとはいえ、株式会社の病院が全国に六十二あります。長く経営が存続しています。今回の特区の株式会社病院と既存の株式会社病院の違いは、保険診療が認められているかどうかにあります。また、介護保険では株式会社にも、保険が適用されるサービスの提供も認めています。なぜ、医療となると保険の適用ができないのでしょうか。

 残念ながら、こうした疑問に対しまして、国会審議を通じて提案者から十分な説明がなされたとは言えません。とにかく、これは検証だから、まあ、やってみないとわからないというわけです。哲学も理念もあいまいに実験台にされてしまっては、私たち国民はたまったものではありません。(拍手)

 医療は、特に命にかかわることだけに、経済規制とは趣を異にしています。社会的な規制の範疇に入るものと考えるべきです。

 本会議まで参りましたけれども、まだ最後のチャンスがあります。与党の代議士の皆さんには、将来に重い責任があることを御自覚いただき、この後の採決では良心に従って賛否を決めてください。よろしくお願いします。

 ここで、構造改革の議論に対して、この国の形という観点から、一言申し上げておきたいことがあります。

 今回、民営化が一つの議論でありました。民営化というと、なぜひとっとびに株式会社になってしまうのか。私は、民営化という場合、本来、大きく二つの選択肢があると考えています。一つは、株式会社に代表される営利企業、そしてもう一つが、NPO、すなわち非営利組織です。

 NPOとは、最初に申し上げました民の利点を生かしつつ、官から独立して、公益サービス、すなわち、みんなのためのサービスを提供する主体です。私は十五年来、この意味で、社会の仕組みとしてNPOの重要性を訴えてまいりました。そもそも、NPOとは私の造語、いわゆるコピーでございます。

 日本は、民法三十四条で、NPOを公益法人に限定し、しかもそれを許可制としているために、大変いびつな形でNPOを取り巻く仕組みができてしまっています。天下り問題も予算の不正流用も、そこに起因をしています。

 今、民法三十四条を改正し、国家公益独占主義を本格的に打ち崩し、社会の仕組みを大きく変えていくことこそが、真の構造改革ではないんでしょうか。(拍手)そうすれば、これからの民間主導の社会に不可欠な非営利・独立型のシンクタンクやコミュニティー財団・基金なども生み出しやすくなります。

 NPOがきちっと社会に定着していけば、政策の選択肢も広がってまいります。今回の医療の規制緩和というとき、その民営化の主体、方向性は、株式会社ではなく、NPOでなければならなかったんです。今回の一部改正案は、NPOに正しい認識が足りず、NPOが社会にしっかりと定着していないために政策の選択肢が狭くなっている、非常に残念な例でございます。

 最後に、改めて、民主党は国民の立場から本法案に反対することを表明し、私の討論を終わらせていただきます。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 高速道路事業改革基本法案(岩國哲人君外四名提出)

 日程第三 高速道路株式会社法案(内閣提出)

 日程第四 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案(内閣提出)

 日程第五 日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

 日程第六 日本道路公団等民営化関係法施行法案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、岩國哲人君外四名提出、高速道路事業改革基本法案、日程第三、内閣提出、高速道路株式会社法案、日程第四、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案、日程第五、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案、日程第六、日本道路公団等民営化関係法施行法案、右五案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長赤羽一嘉君。

    ―――――――――――――

 高速道路事業改革基本法案及び同報告書

 高速道路株式会社法案及び同報告書

 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案及び同報告書

 日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案及び同報告書

 日本道路公団等民営化関係法施行法案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔赤羽一嘉君登壇〕

赤羽一嘉君 ただいま議題となりました五本の法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 初めに、内閣提出の四法律案について申し上げます。

 この四法律案は、民間にできることは民間にとの原則に基づき、道路関係四公団の民営化を実現するために提出されたものであります。その主な内容は、第一に、約四十兆円に上る有利子債務を確実に返済すること、第二に、できるだけ少ない国民負担のもとで、真に必要な道路を早期に建設することなどであります。

 それでは、まず、高速道路株式会社法案について申し上げます。

 本案は、道路関係四公団を民営化し、高速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理等を効率的に行わせるため、東日本高速道路株式会社、首都高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、阪神高速道路株式会社及び本州四国連絡高速道路株式会社を設立するものであります。

 次に、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案について申し上げます。

 本案は、道路関係四公団の民営化の円滑な実施を図るため、高速道路に係る道路資産の保有及び会社に対する貸し付け、公団から承継した債務及び高速道路の新設等に係る債務を四十五年以内に返済等の業務を行う独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構を設立するものであります。

 次に、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案について申し上げます。

 本案は、道路関係四公団の民営化に伴い、所要の規定の整備を行うものであります。その内容は、道路関係法律について、従来の公団に対する施行命令方式等を廃止すること、そして、新会社は、機構と協定を締結し、工事の内容、料金等について国土交通大臣に事業許可を申請して事業を実施できること等であります。

 次に、日本道路公団等民営化関係法施行法案について申し上げます。

 本案は、道路関係四公団の民営化に伴い、所要の経過措置を定めるとともに、関係法律の廃止及び改正を行うものであります。その内容は、現在供用中の高速道路については、当該高速道路を事業範囲とする新会社が管理及び料金徴収を行うこと、そして、現在建設中または調査中の高速道路については、国土交通大臣が新会社と協議し、新会社が建設を行うべき高速道路を指定できることなどであります。

 引き続き、岩國哲人君外四名提出の高速道路事業改革基本法案について申し上げます。

 本案は、高速道路事業の改革に関し、国等による道路関係四公団の資産及び債務の承継、道路関係四公団の管理する高速道路の三年以内の原則無料開放、新たな高速道路の整備等を内容とする基本的な理念及び方針等を定めるとともに、内閣総理大臣を本部長とする高速道路事業改革推進本部を内閣に設置し、高速道路事業改革推進計画を策定させることなどであります。

 内閣提出の四法律案は、去る三月三十日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託され、同月三十一日石原国土交通大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、四月二日から十四日まで六回にわたり政府等に対する質疑を行ってまいりました。

 この間、六日及び九日には小泉内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行うとともに、十三日には二度にわたり八名の参考人からの意見聴取を行いました。

 また、十四日には高速道路事業改革基本法案が本委員会に付託され、同日岩國哲人君から提案理由の説明を聴取いたしました。

 その後、五法律案を一括議題として審査を進め、十九日には滋賀県及び大分県においていわゆる地方公聴会を開催し、二十日には再び、二度にわたり八名の参考人からの意見聴取を行いました。

 二十一日及び二十三日には政府及び提出者に対し質疑を行い、二十三日には三たび小泉内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行うなど、都合五十四時間に及ぶ慎重なる審査を重ね、同日質疑を終了いたしました。

 次いで、討論を行い、採決いたしました結果、岩國哲人君外四名提出の高速道路事業改革基本法案は賛成少数をもって否決され、内閣提出の四法律案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、内閣提出の四法律案に対し、割引等弾力的な料金設定により高速道路の有効利用を図るとともに、真に必要な高速道路の整備を行うことにより、高速道路事業予算の重点化及び効率化を図ることなど、計十一項目の附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 五案につき討論の通告があります。これを許します。長安豊君。

    〔長安豊君登壇〕

長安豊君 長安豊でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、高速道路株式会社法案、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案の政府提出の道路関係四公団民営化法案に反対、民主党提出の高速道路事業改革基本法案に賛成の立場で討論を行います。(拍手)

 本来、道路は無料で通行できるものである。この先進国として当たり前の原則を取り戻すのに、私たちはあと何年かかるのでしょうか。全国プール制にして三十年後には無料化を実現するという三十二年前の約束の期限を守ることができず、今、民営化の名をかりて四十五年プール制を継続しようとする政府の姿勢は、極めて不誠実であります。四十五年という、この場にいる多くの議員が現世で責任をとれないような期間を債務の返済期限とする政府案は、無責任のきわみと言うべきでしょう。(拍手)

 我が国の歴史を振り返っても、また先進諸外国の例を見ても、この三十年余りの我が国の有料高速道路制度が大変特殊な制度であることは明らかであります。全国プール制による高速道路網の整備促進が、我が国経済の発展に一定の役割を果たしてきたことを否定するつもりはありません。しかし、我が国も安定成長の時代に入り、これまでのような整備方式が歴史的な役割を終えたということに気づくべきときが来ています。

 政府案の審議を通じて明らかになったことは、民営化の看板は掲げたが、肝心の中身は全く決まっていないということであります。

 政府案の民営化会社は、求められる経営者の資質もわからなければ、経営戦略も決まっていない。本業で利益を上げることは許されず、コスト削減努力をしても報われない。中身は何もない、何もわからないこのような会社が、四十五年で四十兆の債務だけは確実に返済できると約束するのは、机上の空論以外の何物でもありません。(拍手)

 委員会での質疑を通じて、四十五年という長い年月の間に生じる料金収入の変動と金利の変動という二重のリスクに対して、政府は何の備えもしていないことも明らかになりました。

 このようないいかげんな返済計画をもとに、大切な公共財である高速道路を生殺しにしようとするのが政府の民営化法案なのです。(拍手)

 将来の上場についても、委員会質疑の中で、政府がその可能性について真剣に検討していないことが明らかになりました。JRとは異なり、上下分離方式をとった高速道路株式会社に上場の可能性がほとんどないことは明らかであるにもかかわらず、将来上場できるかのように吹聴し、国民に誤った期待を与えていることは、看過できない問題であります。

 トヨタやソニーといった超優良企業でさえ、四十五年間、企業価値を保ち続けることは容易ではないこの大競争時代に、国のつくった特殊会社が四十五年間順調にお金を稼ぎ続けてくれる、さらには上場まで期待するという政府の仮定自体が、幼稚で身勝手な妄想の産物にすぎないのであります。

 そのような後ろ向きの妄想をするよりも、もっと建設的な創造力を発揮するのが政治の役割ではないでしょうか。借金を返すためにどうするかを先に考えるから発想が貧しくなるのです。つくった道路をどう生かし、経済を活性化できるか、国民を豊かにできるかを考えるのが、高速道路問題を考える際の大原則であります。(拍手)

 二十一世紀の国際的大競争時代の中で、道路や空港といった交通インフラは、国家の競争力を左右する大きな要因となります。にもかかわらず、今回の法案審議では、これから五十年を見据えた国家戦略は、そのかけらも示されることはありませんでした。

 報道によれば、中曽根元総理は、今の政治家を評して、優等生の事務屋の集まりみたいな感じだと述べられたそうでありますが、むしろそれは褒め過ぎで、現実には、グランドデザインも語れない、事務もろくにできない政治家がたくさんいるのではないかとさえ感じます。(拍手)

 高速道路を無料で走れたらどんな日本になるだろうか。政府が四十五年後に先送りした世界を、ここにいるほとんどの皆さんの目が黒いうちに実現する、それが民主党の高速道路無料化案であります。

 高速道路を無料化することによって、さまざまな経済効果が期待できることは明らかであります。物流コストの低減により、都市の消費者も農漁村の生産者も、大きな恩恵を受けることができます。旅行費用も大幅に下がって、地方の観光地もにぎわいを取り戻すことが期待できるでしょう。これまで帰省費用がネックで田舎の親元に頻繁に帰れなかった都市生活者も、もっともっと田舎に帰り、親孝行できるようになるでしょう。

 大切なことは、四十兆円の借金を返すことだけではなくて、生活を豊かにし、心を豊かにするために、もっと高速道路は生かすことができるということに気づくことなのではないでしょうか。(拍手)

 民主党の高速道路無料化案は、日本の経済にも、日本人の心にも豊かさを取り戻す大きな起爆剤となるものであります。

 道路は国の責任でつくるというのは当たり前のことであります。

 高速道路は、我が国の経済、文化の発展と国民の幸福を支える最も基本的で重要な社会資本であります。参考人からも、公共財である高速道路は有料が前提である民営化にはなじまないという意見陳述がありました。また、先進国では、高速道路は国が整備し、無料で供用することが常識となっています。

 しかし、これまでの道路整備の歴史の中で、いわゆる道路族がばっこし、政治家への信頼が失われたことで、政治家が道づくりに関与すること自体が悪であるかのように言われるようになってしまいました。

 私のような新しい若い政治家が求めているのは、利権やお金ではなくて、よりよい日本をつくるために、政治家が意見を表明し、議論し、デザインを描いていく場であります。(拍手)

 私は、コケむした九千三百四十二キロの呪縛を解いて、国家百年の計を見据えた交通体系を考え、優先順位を見直していくことが、これからの政治家の役割だと考えています。

 道路関係四公団民営化法案は、高速道路が有している、我が国の経済社会の再生を主導するポテンシャルを損なうだけでなく、道路という公共財をゆがんだ金もうけと借金返済装置に変容させようとする悪法であり、毅然としてこれに反対するものであります。(拍手)

 近い将来、高速道路無料化が実現されることによって、再び高速道路に命が吹き込まれ、多くの国民がその恩恵のもとに笑顔を取り戻すことを信じて、私の討論を終わらせていただきます。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、日程第二、岩國哲人君外四名提出、高速道路事業改革基本法案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。

 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立少数。よって、本案は否決されました。

 次に、日程第三ないし第六の内閣提出の四案を一括して採決いたします。

 四案の委員長の報告はいずれも可決であります。四案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、四案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

小渕優子君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案、市町村の合併の特例等に関する法律案、右三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 小渕優子君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 市町村の合併の特例等に関する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 地方自治法の一部を改正する法律案、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案、市町村の合併の特例等に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長佐田玄一郎君。

    ―――――――――――――

 地方自治法の一部を改正する法律案及び同報告書

 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

 市町村の合併の特例等に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔佐田玄一郎君登壇〕

佐田玄一郎君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、各案の要旨について申し上げます。

 地方自治法の一部を改正する法律案は、地域自治区の制度の創設等を行うものであります。

 次に、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案は、現行合併特例法の経過措置等を講ずるものであります。

 また、市町村の合併の特例等に関する法律案は、合併の障害除去のための特例措置等を講ずるものであります。

 以上の三案は、去る三月二十三日本委員会に付託され、四月十三日麻生総務大臣から提案理由の説明を聴取し、二十日、二十二日及び本日質疑を行い、これを終局いたしました。

 次いで、市町村の合併の特例等に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同により、市となるべき要件の特例に係る修正案が提出されました。

 次いで、討論を行い、順次採決いたしましたところ、地方自治法の一部を改正する法律案及び市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決し、市町村の合併の特例等に関する法律案は賛成多数をもって修正議決すべきものと決しました。

 なお、三案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 三案を一括して採決いたします。

 三案中、地方自治法の一部を改正する法律案及び市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案の両案の委員長の報告はいずれも可決、他の一案の委員長の報告は修正であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり議決いたしました。

     ――――◇―――――

小渕優子君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、総合法律支援法案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 小渕優子君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 総合法律支援法案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 総合法律支援法案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長柳本卓治君。

    ―――――――――――――

 総合法律支援法案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔柳本卓治君登壇〕

柳本卓治君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、裁判その他の法による紛争の解決のための制度の利用をより容易にするとともに、弁護士及び弁護士法人並びに司法書士その他の隣接法律専門職者のサービスをより身近に受けられるようにするための総合的な支援の実施及び体制の整備に関し、基本理念、国等の責務、日本司法支援センターの組織及び運営などについて定めようとするものであります。

 本案は、三月十八日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、付託されたものであります。

 委員会においては、四月十四日野沢法務大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑に入り、二十二日参考人の意見を聴取し、二十三日質疑を終局いたしました。

 本日本案に対し、高齢者または障害者の援助を行う団体との連携の確保強化などを内容とする修正案が自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案で提出され、趣旨の説明を聴取し、採決の結果、全会一致をもって修正議決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

小渕優子君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 小渕優子君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長池坊保子君。

    ―――――――――――――

 学校教育法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔池坊保子君登壇〕

池坊保子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、学校における健康教育の充実を図るため、教育職員として新たに栄養教諭を位置づけるとともに、栄養教諭の免許制度を創設し、その給与費の負担等について所要の措置を講ずることとするほか、医療技術の高度化等に対応するため、大学の薬学を履修する課程のうち薬剤師養成を主たる目的とするものの修業年限を六年とするものであります。

 本案は、四月五日本委員会に付託され、同月十四日河村文部科学大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。去る十六日から質疑に入り、参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を重ね、本日質疑を終局し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 公益通報者保護法案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、公益通報者保護法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣竹中平蔵君。

    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕

国務大臣(竹中平蔵君) 公益通報者保護法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 近年、食品の偽装表示事件を初め、国民の生命や身体の保護、消費者の利益の擁護等にかかわる事業者の犯罪行為や法令違反行為が相次いで発生しております。また、これら事業者の犯罪行為や法令違反行為は、その多くが、事業者内部の関係者からの通報を契機として明らかにされたところであります。

 このような状況を踏まえ、事業者による法令遵守を確保して国民生活の安定等を図っていく上で、公益のために通報を行ったことを理由として労働者が解雇等の不利益な取り扱いを受けることのないよう公益通報に関する制度を整備していくことが緊要な課題となっております。

 政府といたしましては、以上の認識のもと、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を図るため、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 この法律案は、公益通報者の解雇の無効等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置について定めております。

 第一に、一定の要件に該当する公益通報をしたことを理由とする労働者の解雇を無効とし、労働者派遣契約の解除を無効とするとともに、降格、減給その他の不利益な取り扱いをしてはならないこととしております。

 第二に、公益通報を受けた事業者は、是正措置を講じたときは遅滞なく通報者に通知するよう努めなければならないこととするとともに、公益通報を受けた行政機関は、必要な調査及び適切な措置をとらなければならない旨等を定めております。

 その他、公益通報の範囲、一般職の国家公務員等に対する取り扱い、施行後五年を目途とする法律の施行状況についての検討等を規定しております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 公益通報者保護法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。宮下一郎君。

    〔宮下一郎君登壇〕

宮下一郎君 自由民主党の宮下一郎です。

 自由民主党、公明党を代表し、ただいま議題となっております公益通報者保護法案につきまして質問をさせていただきます。(拍手)

 近年、自動車のリコール隠し、食品の偽装表示、原子炉のひび割れ隠しの例に見られますように、企業による不祥事が内部関係者からと見られる通報によって明らかになるという事態が相次いでいます。最近においても、鳥インフルエンザ感染による鶏の大量死を隠して出荷を続けていた事実が、匿名の通報により明らかになったことは記憶に新しいところであります。

 これらの事件は、いずれも国民の生命、身体、財産を脅かすものであり、被害の未然防止や法律違反の早期発見のための体制整備がぜひとも必要であります。

 そうした観点から、自民党の政権公約「小泉改革宣言」におきましては、公益通報者保護制度の法整備を行い、消費者保護を強化することとしております。また、総理の施政方針演説においても、組織の内部から公益のために違法行為を通報する人を保護する仕組みを整備すると述べられており、本法案は、こうした公約を実現するものとして重要な法案であります。

 言うまでもなく、最も大切なのは、事業者みずからが法令を遵守する体制を整備し、国民や消費者の信頼を得て健全な企業社会を形成していくことですが、さまざまな不祥事事件を考えるとき、事業者の自主的な体制整備だけに任せるのではなく、それを後押しする対応も必要であると考えます。また、本法案により、公益のために通報を行う人が解雇や降格等の不利益から保護されることが明らかになれば、このような不祥事が早期に発見され、その被害の芽を小さなうちに摘み取ることが可能になると思われます。

 このように、本法案は、事業者みずからが法令を遵守する体制、いわゆるコンプライアンス体制を整備することを後押しするとともに、国民の利益向上を図ることを目的としていると考えますが、大臣の御認識を伺いたいと思います。

 一方、こうした制度を導入するに当たっては、乱用の防止にも十分配慮することが必要であります。企業の違法な行為を是正しようとする、まさに公益のために通報する人を保護するのは当然ですが、いわゆる内部告発の中には、根拠のない誹謗中傷や自己の利益を図るためなど、不正な目的で行われるものもあると思われます。このような根拠のない通報がルールもなく行われるならば、企業が深刻な被害にさらされ、かえって健全な企業活動が阻害されるということも考えられます。

 そこで、このような乱用の懸念に対し、制度としてどのように対応しているのか、お聞かせください。

 また、公益のために通報した従業員等を保護し、事業者の法令遵守を確保するという制度の本来の趣旨に沿って本制度を機能させるためには、単に制度をつくるだけではなく、制度が国民や各事業者等に十分に周知されるよう努めるとともに、適切な運用がなされるよう準備にも万全を期していくことが重要であります。

 そこで、本法律の施行、運用に当たってどのような取り組みをされるのか、方針をお聞かせください。

 企業は、単に利益を追求するだけでなく、社会に貢献している重要な存在であり、社会的責任も大きなものがあります。今こそ、それぞれの事業者みずからが自浄作用を発揮して不正を排し、正直者がばかを見ることのない社会をつくっていかなければなりません。

 この法案の制定を契機として、透明性のある、健全で活力ある企業社会が形成されることを期待し、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕

国務大臣(竹中平蔵君) 宮下一郎議員から、三問の質問をいただきました。

 まず、本法案の目的についてのお尋ねでございます。

 近年、事業者におきましては、企業倫理に関する従業員からの相談や通報の窓口を整備するなど、企業倫理の浸透と法令遵守経営の促進に向けて自主的な取り組みが進められていると承知をしております。

 しかしながら、近年、事業者の犯罪行為でありますとか法令違反行為が、その内部の関係者からの通報を契機として次々と明らかにされたことを踏まえますと、自主的な取り組みと同時に、公益通報者保護に関する制度的なルールを明確化していくことがぜひとも必要と考えられます。

 本法案は、以上の認識のもと、公益通報者の保護を通じまして、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を図りますとともに、広く国民に被害が及ぶのを防止することを目的とするものであります。本制度の整備によりまして、事業者による自主的なコンプライアンスへの取り組みが一層促進されていくというふうに考えております。

 次に、本法案は乱用の懸念に対して制度としてどのように対応しているのかというお尋ねがございました。

 本制度を導入するに当たりましては、誹謗中傷などの乱用が生じないようにすることは重要であるというふうに認識をしております。

 そこで、本制度では、第一に、不正の目的、すなわち、金品を受け取る目的や他人に損害を加える目的で行う通報については、保護の対象外としております。第二に、事業者外部への通報については、犯罪行為等の事実が生じていると信ずるに足る相当の理由があることを保護の要件としているほか、個人の生命または身体に危害が発生する場合など一定の要件を満たす場合を保護の対象としております。第三に、通報者は、他人の正当な利益等を害することのないよう努めなければならない旨の規定を置いているところでございます。

 以上のとおり、本法案では、乱用の懸念に配慮した制度としているところであります。

 最後に、本制度の施行、運用についてのお尋ねがございました。

 本制度が円滑に施行されるためには、どのような要件を満たす公益通報が保護の対象となるか等について、事業者や従業員に十分な周知を図るなど、運用面での対応が重要でございます。

 このため、本法案が保護の対象とする公益通報の範囲、保護の要件等について、事業者や従業員にわかりやすく広報するとともに、通報を受けた事業者や行政機関の対応指針を示すなどにより、適切な運用にぜひ万全を期していきたいというふうに考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 泉健太君。

    〔泉健太君登壇〕

泉健太君 この場に立たせてくださいましたすべての国民の皆様に感謝を申し上げます。(拍手)

 泉健太でございます。

 民主党・無所属クラブを代表して、また正義と誇りを重んじるすべての国民、そして現在も苦しんでいる公益通報者の叫びを代弁し、政府に対し質問をさせていただきます。(拍手)

 まず、皆様、もし皆様が御自身のかかわる仕事の中で意図的に不正が行われていることを知ったら、あるいはその行為が多くの人々に不利益や損失を与え、健康被害などを与えていることを知ったら、あなたはそれを黙って見過ごすでしょうか。

 公益通報者保護法とは、本来、正義を貫き、不正を改善したいという当然の行動をしたその人の地位を守り、もって通報を促すことで、組織の自浄作用を高め、公益を確保する法律です。

 しかし、残念なことに、いまだに日本社会では、公益通報が組織に対する裏切り行為と見られる現状があります。国会でも、これらの人々を法律で保護することについて、いまだに古い見識の声が聞こえてきます。密告増進法だと。これはまさに大きな間違いの声でございます。なぜなら、この法律は、中傷目的のいいかげんな通報または匿名の通報者を保護するのではなく、公益通報を行った特定の個人を保護するものだからです。

 竹中大臣、この法律は密告増進法ではないと、改めてその御趣旨を御説明ください。

 さて、我々民主党は、この法の趣旨と国民の声を真正面からとらえ、以下、不完全な政府案を指摘し、質問をさせていただきます。(拍手)

 まず、この公益通報者保護法の経緯についてです。

 さかのぼれば、ムネオハウスや外務省機密費流用事件、さらには薬害エイズなどでの監督官庁の不正は、その隠ぺい体質が被害拡大の原因でした。公益通報である内部告発によって解決に向かったもの、また、公益通報がなされていれば改善の可能性があったもの、こういった事例が相次ぎ、国民からの強い要望を背景に、我々民主党が一昨年の五月に公益開示法を既に参議院に提出し、本格的な議論がスタートしました。

 さらに民間でも、牛肉偽装事件、医療ミス隠し、リコール隠し、鳥インフルエンザ隠しなど、多くの不誠実な行為が国民に広く被害を与え、それらの多くが公益通報によって明るみになりました。国民、消費者の側からはさらに強く強く、公益通報を促進する法律の制定、そして、そのための方策として、内部でいち早く不正を知り得る立場にある、あらゆる方々の地位を保護する法律の早期制定が求められてきたのです。

 皆さんも、もし医療ミスに見舞われたり、突然大きなタイヤが目の前に転がってきて家族が失われたり、もしそれが、本当は防げたことにもかかわらず、問題が組織内部で隠ぺいされたがために被害に遭ってしまった、そういう被害者であれば、悔やんでも悔やみ切れないんじゃないでしょうか。

 また、加害者側の関係者であったとして、不正や問題点があるとわかっていながら、組織の都合上口に出せない、そして、起こった被害や問題を見て自責の念に駆られる、そんな組織の人間の苦悩をどうお考えになりますでしょうか。現在の警察不正経理疑惑など、その最たるものと考えます。

 そして、勇気ある公益通報にもかかわらず、組織の裏切り者のように扱われ、解雇や減給、嫌がらせなどの不利益を受けてきた方々の苦しみ。

 この被害者、加害者側で苦悩する人々、そして保護されなかった公益通報者、この三者の苦しみに報いる法律をどうしてもつくらなければならないのです。その意味で、政府案は非常に不十分だと考えています。竹中大臣、現在の政府案は、この部分で十分な手当てができているでしょうか。

 さて、そうした国民、そして民主党や野党各党の声を受け、政府はようやく、昨年十二月、骨子の発表、本年三月、政府案の閣議決定となったわけですが、出てきた政府案は、公益通報者保護法ならず公益通報抑制法でありました。与党の皆さんは、このことを御存じなんでしょうか。

 まず、政府案では、保護される対象者の範囲が狭いということがあります。私は、公益通報者には、派遣や下請も含む労働者、退職者はもちろん、さらに、その派遣元の役員、下請企業の役員も当然含むべきと考えます。ところが、政府案では、これは含まれていません。

 日本の企業風土を考えてみてください。上に盾突くようなことをすれば、取引停止、入札外し、あるいは契約単価の引き下げ、これが事実です。保護される法律もなければ、だれが公益通報などできるでしょうか。不正があってもです。結果的に不利益をこうむるのは、消費者、国民です。

 あの雪印食品の牛肉偽装事件。西宮冷蔵の水谷社長は、雪印食品への指摘が受け入れられず、逆に、黙っているのが当然だというような言葉をかけられました。彼は取引停止を覚悟したといいます。

 弱い立場にある労働者同様、不正を知り得る立場にある、時には無理やり不正に協力させられる派遣元企業や下請企業の役員も公益通報者の中に含むべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。(拍手)

 次に、通報対象となる通報事実です。

 政府は、法律の犯罪行為、すなわち罰則のある法令違反のみを対象とすることとして、この政府案に七本の法律を明示し、それ以外の通報対象法令は何と政令で別表に定めるというふうにしております。

 まず、この定め方が問題です。これでは、自動車のリコール隠し、食肉の偽装表示、原発の点検記録改ざんなどの通報が保護されるかどうか、現在もなお不明なままでございます。

 なぜ法律に明示されず、国民に非常にわかりにくい別表という形をとるのか。これでは、公益通報を考えている国民を、自分の通報は保護対象じゃないかもしれないと惑わせる通報抑制の嫌がらせとしか言いようがありません。竹中大臣、この定め方の理由と正当性についてお答えください。

 そもそも、自民党は知っているはずです。政令となれば、官僚が好きなように内容を操れるということを。自民党はこの法案をプロジェクトチームで議論をしているはずです。なぜこのような官僚主導のものを認めるのか。だから小泉政権は全く政治主導がないんです。(拍手)

 公明党の皆さん、自民党はもう皆さん方なくして選挙に勝てない体質になりました。ぜひ、その生活与党としての大きな力をここで発揮していただいて、一緒にこの法案の修正にお力をいただきたいというふうに思います。(拍手)

 それとも、都合の悪い法律を国民に見えないように対象外にするということでしょうか。確かに、そういえば、骨子では明示されていた独占禁止法が削除をされているようです。本来、談合ややみカルテルの防止が期待されていたはずですが、独禁法はいつの間にどこに消えたんでしょうか。経緯も含め、大臣、明確にお答えください。

 また、国民生活審議会の報告書でも、罰則のある法令違反のみでは不十分と指摘をされております。そして、法令違反ではなくても、シックハウス被害や日本で危険度判定がおくれている医薬品や添加物の使用、株主総会対策として株主でない人間へ利益供与をする件など、法律が未整備であったりするケースには、これでは対応できないことになります。

 この法の先進地イギリスでは、もっと広く、環境破壊や情報の隠匿、そういったことも対象にしております。

 私は、まず、罰則規定に関係なく法令違反すべてを対象にすること、そして、法令違反ではなくても、生命や健康、環境に重大な影響を与える事実を対象にすべきと提案いたしますが、大臣、いかがでしょうか。(拍手)

 また、政府案は、骨子よりハードルを上げ、通報の対象となる事実を、まさに生じようとしている場合に限定しました。これは、あらゆる分野における早期発見を妨げるものとなるでしょう。

 ある部署で勤務中、安全基準を満たしていなかった製品の存在を知った、しかしまだ出荷されていないから、これはまさに生じようとしていない、そうしたら、そのうちその人に辞令が出て部署がかわり、情報が入らなくなってしまった、そうしたら、いつの間にか製品が出荷をされ、多くの国民に被害を与えることになった、こうなったらどうするでしょうか。事故が起こってからでは遅いわけです。早期発見が私は必要だと思います。

 法務省入管局がことし二月からホームページで、不審な外国人を見たらすぐ通報しろという見当違いなキャンペーンを張って、人権問題となっております。この通報には非常に熱心な政府が、本当に必要な公益通報になると急にトーンダウンをされているわけです。そして、通報を事実上抑制させようとしている。何事かと私は考えます。

 被害が出る可能性がある時点で通報が行われ、通報者が保護されるよう、生ずるおそれがある場合との要件の緩和を提案しますが、大臣、いかがですか。(拍手)

 さて、この法律では、もう一つ重要な点、法令遵守、コンプライアンス経営の促進が期待をされています。私も、これには異論がございません。だからこそ、この法律は密告法ではなく、法令遵守の促進並びに公益通報者の保護のための法律だと位置づけられているのです。

 労働者や下請企業が疑問を感じ、見つけた問題点や不正を正義感に基づいて組織内へ通報、そして真摯な検討を経て改善に向かっていく、その事項を可能な限り情報公開する、こうした潔い企業、官庁がふえることは大変望ましいと考えております。

 しかしながら、大半の企業、官庁がその努力を行っている一方で、やはり問題や不正の隠ぺい疑惑が後を絶ちません。また、隠ぺいどころか、その通報者をさまざまな手段を使い、労働条件、また精神的に追い込んでいく陰湿な体質も残されております。

 そういった中で、公益通報が組織内部で一向に改善されない場合、マスコミや監督官庁、国民生活センターや消費者団体などへの外部通報で被害を防ごうというのが通報者の当然の心理です。

 しかし、政府案では、外部通報にさまざまな要件を課し、また、その組織が調査しますとさえ答えれば、その後改善が見られない場合でも、すぐには外部通報できないようになっております。これでは事実上問題点が放置をされかねません。私は、公益通報により行った措置や回答について、期限を設けて、あるいは可及的速やかに通報者に回答を通知するよう改めるべきと提案しますが、いかがでしょうか。(拍手)

 また、政府はマスコミや消費者団体の存在をどのように認識されているのか。政府案の外部通報要件には、真実相当性というのがあります。そんな要件を課さないとマスコミはいいかげんなネタを何でも報道するというのでしょうか。彼らは十分な節度を持っております。政府がマスコミや消費者団体を全く信頼していないその姿勢を感じますが、大臣、いかがでしょうか。

 以上、問題点はまだまだございますが、代表的な点の指摘をさせていただきました。

 いま一度、皆様とともに、この法律の意味を確かめたいと思います。

 高い倫理観と人への愛情を持つ、誇りあるこの日本に暮らす人々。だからこそ、正義を貫き、不正を改善したいと行動したその人の地位を守り、あらゆる組織の自浄作用を高め、公益を確保する。これを否定される方はこの議場にはおられないと思います。

 我々民主党は、昨年のマニフェストにおいて、医療機関のカルテ開示、食品安全規制の強化を掲げました。さらに、消費生活用製品の危険情報を公開させる法案の準備も進めております。

 私は、建設的責任政党に所属をする一人として、先ほど述べた数々の提案をもって国民の声を代弁し、今後、与野党の真摯な議論を経て、不完全な政府案を修正、撤回、あるいは再提出をさせることが立法府としての責務だと思います。大臣、その前に、この政府案をみずから撤回し、再提出なさいますか。(拍手)

 被害者、公益通報者、国民の声に真にこたえた法案が必要です。小泉政権が与党内から公益通報されないように、政府の対応に期待をし、私の質問を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕

国務大臣(竹中平蔵君) 泉健太議員から、合計十問の質問をいただきました。

 本法案の趣旨についてのお尋ねでございます。

 本法案は、近年における事業者の犯罪行為や法令違反行為の発生状況等を踏まえ、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産等にかかわる法令の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とするものでございます。

 法案においては、不正の目的、すなわち、金品を受け取る目的や他人に損害を加える目的で行う通報を保護の対象外とするなど、乱用の懸念にも配慮しているところでありまして、中傷目的の密告を促すものでは断じてございません。

 次に、本法案は、被害者、加害者側の事業者、公益通報者、それぞれの立場の方々に配慮した内容になっているのかどうかというお尋ねがございました。

 まず、本法案は、国民の生命、身体、財産等にかかわる法令違反について公益通報を行った労働者、すなわち公益通報者に対する解雇等の不利益な取り扱いを制限して、公益通報者の保護を図っておるものであります。

 また、これによって、事業者による国民の身体、生命、財産等にかかわる法令の遵守を図りますとともに、事業者の犯罪行為や法令違反行為による国民生活への被害の未然防止、拡大防止にも資すると考えております。

 したがいまして、本法案は、それぞれの立場の方々に配慮した手当てとなっているところでございます。

 次に、本法案の保護対象であります通報者の範囲についてお尋ねがありました。

 この法案では、公益通報をした労働者を公益通報者としております。下請や派遣元企業などの取引事業者の役員を対象とする場合には、事業者間の取引関係に保護を加えることが必要と考えられますが、これにつきましては、取引自由の原則から慎重に検討すべきであると考えられますので、公益通報者に含めることはしなかったわけでございます。

 次に、本制度の対象法令の定め方についてのお尋ねがございました。

 本法案では、対象法令を国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令としまして、個人の生命または身体の保護などの分野を例示する、刑法などの法律を例示するということを示しながら、法案の別表に掲げました七法律以外の具体的な対象法令につきましては、政令で定めることとしております。国民生活への影響を見きわめながら、かつ機動的にそれによって対応する所存でございます。

 また、本法律案の公益通報者といいますのは、事業者内部の労働者であるために、当該事業者が遵守すべき法律につきましては、一定の知識を有しているというふうに考えられます。このため、対象法令の範囲が明確化されれば、当該事業者の法令違反行為が通報対象か否か判断できるものというふうに考えているわけでございます。

 次に、当初案に盛り込まれていた独禁法が法案では削除されている、その理由と経緯についてのお尋ねがございました。

 昨年十二月に公表しました法案の骨子案におきましては、議員御指摘のとおり、独禁法を対象法令の例示として掲げておりましたけれども、本法案が対象とするのは、国民の生命、身体、財産その他の利益でありますので、それをバランスよく例示するという観点から、独禁法にかえまして個人情報保護法を掲げることとしたものでございます。

 もちろん、独禁法につきましては、法案に掲げました公正な競争の確保という分野にかかわる法律であると認識しております。そのような点も踏まえながら、政令制定の際には具体的に検討してまいる所存でございます。

 次に、本法案の通報対象を広げるべきではないかというお尋ねがございました。

 刑罰による担保のない法令違反行為や犯罪行為、または法令違反行為に当たらない生命や健康、環境に重大な影響を与える事実というものを本法案の通報対象とすることにつきましては、通報の対象範囲を不明確にしてしまいます。通報者と事業者との間で見解の相違が生じて、制度の運用に当たって混乱が生じるため適当ではないというふうに考えるわけでございます。

 次に、通報対象事実が生ずるおそれがある場合に要件を拡大すべきではないかというお尋ねがございました。

 生ずるおそれがある場合と規定をいたしますと、当事者間の事実認識の相違を生む可能性ですとか、通報によって事業者に損害が発生した場合に、「おそれ」の蓋然性をめぐって争いとなる可能性があります。このため、保護される通報の要件をより明確にするという観点から、まさに生じようとしている場合と規定するのが適当であるというふうに考えております。

 次に、公益通報により行った措置や回答に関する通報者への通知義務についてのお尋ねがございました。

 本法案では、公益通報を受けた事業者に対し、公益通報者に是正措置等を遅滞なく通知する努力義務を課しております。これを期限を設けて、あるいは可及的速やかに通知する義務とすることにつきましては、本法案は、個人事業者、非営利団体や行政機関も含めたあらゆる事業者を幅広く対象にしているため、一律に法律上の義務とすることは適当でないというふうに考える次第でございます。

 次に、マスコミや消費者団体への外部通報についてのお尋ねがございました。

 本法律案では、事業者外部への通報については、法令違反の通報による公益の実現と事業者の正当な利益の保護とのバランスを図るという観点から、通報内容に真実相当性があり、かつ、内部通報では証拠隠滅のおそれがある等々の一定の要件に該当する場合、これを保護の対象とすることとしております。

 一般的に言いますと、報道機関は客観的事実を国民に広く知らせることを通じ、また、消費者団体は消費者利益の擁護の観点から活動することを通じ、それぞれ、事業者の法令違反行為の発生や被害の拡大防止に資する存在であると考えておりますので、本法案における事業者外部の通報先に含まれるものでございます。

 最後に、政府案の撤回についてのお尋ねがございました。

 政府としては、現在の政府案が最良のものと考え提出しておりますので、撤回する考えは持っておりません。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) この際、暫時休憩いたします。

    午後二時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣    麻生 太郎君

       法務大臣    野沢 太三君

       文部科学大臣  河村 建夫君

       国土交通大臣  石原 伸晃君

       国務大臣    金子 一義君

       国務大臣    竹中 平蔵君

 出席副大臣

       内閣府副大臣  伊藤 達也君


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