衆議院

メインへスキップ



第2号 平成16年8月2日(月曜日)

会議録本文へ
平成十六年八月二日(月曜日)

    ―――――――――――――

  平成十六年八月二日

    午後一時 本会議

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 小泉内閣総理大臣の第三十回主要国首脳会議出席に関する報告及び質疑


このページのトップに戻る

    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 内閣総理大臣の発言(第三十回主要国首脳会議出席に関する報告)

議長(河野洋平君) 内閣総理大臣から、第三十回主要国首脳会議出席に関する報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣小泉純一郎君。

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 報告に先立ち、一言申し上げます。

 平成十六年七月、梅雨前線豪雨は、新潟県、福島県、福井県等に大きな被害をもたらしました。お亡くなりになった方々の御冥福をお祈りするとともに、被災者の方々に心からお見舞い申し上げます。

 政府としては、被災者への支援、被災地の復旧復興に全力を尽くしてまいります。また、現在でも大雨による大きな被害が懸念される台風十号への対応にも、万全を期してまいります。

 私は、六月八日から十二日まで、米国のシーアイランドで行われた主要国首脳会議に出席するとともに、米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、ヨルダンの首脳と個別に会談いたしました。

 今回のサミットでは、世界経済や開発、大量破壊兵器の拡散、テロ、北朝鮮、イラクの問題など、世界が今直面するさまざまな挑戦につき、二国間の会談を含め、率直で実り多い意見交換を行うことができたと考えます。

 明るさを増しつつある世界経済については、構造改革の促進による一層の成長への決意と、WTO新ラウンド交渉の推進を確認いたしました。私は、我が国経済に回復の兆しが見えていること、さらにまた、これまでの成果をもとに今後とも改革を推進し、持続可能な成長に結びつけることが重要であることなどを説明いたしました。また、石油価格高騰の途上国への影響を考慮すべきことなどを指摘いたしました。

 WTO新ラウンド交渉では、このサミットの議論を受け、八月一日に中間合意が採択され、交渉が再び軌道に乗りました。バランスのとれた最終合意を達成するため、さらに努力していく考えであります。

 中東については、中東和平、改革支援などについて幅広い議論を行い、中東和平推進の重要性を確認するとともに、拡大中東・北アフリカ地域の改革支援に関するG8としての支援計画を発表できたことは重要な成果でありました。我が国としては、地域の自主性と多様性を十分尊重した上で、改革努力を支援するとの基本姿勢で臨み、支援計画は、そのような我が国の主張が反映されております。今回のサミットでは、イラク暫定政府のヤーウェル大統領、アフガニスタンのカルザイ大統領を初め、中東七カ国の首脳とも有意義な意見交換を行いました。

 イラクについては、サミット開幕直前に全会一致で採択された国連安保理決議に基づいて、イラクの政治プロセス推進及び経済復興のため、国際社会が一致して支援すべきことを確認いたしました。

 イラクが復興し、安定した民主的な国となるためには、イラク人自身による努力が何よりも重要であります。サミットにおいて、私はこの点を強調いたしました。我が国として、そのような努力を支援するために、引き続き、自衛隊の派遣とODAによる資金協力を車の両輪として人道復興支援活動等を推進し、国連決議に基づく国際協調に貢献していく考えであります。

 大量破壊兵器の不拡散とテロ対策については、不拡散体制を強化するための行動計画と、旅行者の安全に関するテロ対策を盛り込んだ行動計画に合意し、引き続きG8として取り組みを強化していくことで一致しました。

 北朝鮮については、私は、五月の訪朝の際の金正日国防委員長との会談について説明し、G8首脳との間で率直な意見交換を行うことができました。その結果、北朝鮮に国際社会の一員としての責任ある対応を促し、拉致問題や核開発などの諸問題の包括的解決を支持するG8の一致したメッセージを出すことができました。我が国としては、こうした国際社会の声も踏まえつつ、諸懸案の早期解決に向け、北朝鮮側への働きかけを一層強めていく考えであります。

 サミットにおける地球環境問題への取り組みも重要であります。私は、我が国の経験に触れつつ、経済発展と同時に環境保護を重視して取り組むべきことを強調いたしました。そして、その観点から、循環型社会構築のため、世界的に三つのR、いわゆるリデュース、リユース、リサイクルを推進する提案を行い、各国の賛同を得て、行動計画が採択されました。

 また、今回のサミットでは、昨年に引き続き、アフリカ六カ国首脳の参加を得て、アフリカの諸問題について対話を行いました。国際社会全体の安定と繁栄を考える際、アフリカ問題の解決は不可欠であります。この対話では、我が国がTICAD(アフリカ開発会議)に積極的に取り組んできたことについて、アフリカ側より高い評価を受けました。

 ことしのサミットは、第三十回目のサミットでありました。三十年の間に課題は変わりましたが、世界が直面する主要な課題について、サミット参加国が前向きに協力しようという姿勢に変わりはありません。私は、今後ともG8各国との協調を図り、我が国として積極的な役割を果たしていきたいと考えております。(拍手)

     ――――◇―――――

 内閣総理大臣の発言(第三十回主要国首脳会議出席に関する報告)に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。中山成彬君。

    〔中山成彬君登壇〕

中山成彬君 自由民主党の中山成彬です。

 私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま報告のありましたシーアイランド・サミット等について、小泉総理に質問いたします。(拍手)

 その前に、先般の豪雨及び今度の台風十号により被災された新潟県、福井県及び四国、中国地方の皆様に心からお見舞いを申し上げます。そして、被災者の支援のために、国、地方公共団体はもとより、多くのボランティアの方々が懸命に復旧作業に取り組んでおられる姿に胸が熱くなる思いがいたします。被災者の皆さん、大変でしょうが、どうか頑張ってください。

 また、こうした災害の惨状を見ますと、治山治水の重要性を改めて痛感いたします。最近、脱ダム宣言など、治山治水がやや軽視されている風潮に警鐘を鳴らしておきたいと思います。

 さて、ことしのサミットは、六月八日から十日にかけて行われました。その後、参議院選挙がありましたので、いささか印象が薄くなった感がありますが、まずは、総理も御指摘のとおり、サミットの中心テーマでありました世界経済について御質問いたします。

 今回のサミットの議長総括において、世界経済は力強さを増しているとの認識が示されました。総理におかれては、経済セッションの冒頭において、議長であるブッシュ大統領よりの指名を受けて、回復の兆しを見せている日本経済及び世界経済について熱弁を振るわれたと伺っております。

 しかし、世界経済をめぐっては、米国経済の先行きや過熱気味の中国経済、さらに昨今の石油価格の高騰等のリスク要因もあり、引き続き注意を払っていく必要があると考えます。日本経済及び世界経済の強化のために日本としていかに取り組むべきか、サミットにおける首脳間の議論も踏まえて、総理のお考えをお尋ねいたします。

 なお、この関連で、昨今、急増する中国のエネルギー需要が世界のエネルギー需給に影響を与えているとの見方がありますが、この点も含め、世界のエネルギーの安定的確保について外交上どのように対応していくか、総理のお考えを伺います。

 イラクの復興は、国際社会が一致協力して取り組んでいかなければならない重要な問題であります。

 テロが今なお続いているイラクですが、今後、政治・復興プロセスが進展していく中で重要なことは、イラク人自身がみずから自分の国を再建していくのだという強い気構えを持ち続けることであり、その努力に対する国際社会の支援が不可欠であるということです。

 我が国は、これまで自衛隊のイラク派遣を含む人道復興支援活動を推進してまいりました。小泉総理は、サミットにおいて、イラクのヤーウェル大統領から直接感謝の表明を受けられたということでありますが、イラク支援に向けた国際協調を維持強化するためにも、国際社会の責任ある一員として、引き続き人道復興支援をしっかりと行っていく必要があると考えます。総理の見解を伺いたいと思います。

 今回のG8サミットでは、北朝鮮問題も大きな関心を呼んだ課題の一つでありました。小泉総理は、五月二十二日に訪朝されたこともあり、サミット首脳間の議論の中で大きな存在感を示されたと承知しております。

 さて、その北朝鮮問題ですが、総理の決断と御尽力もあり、金正日国防委員長との直接会談により、地村さん、蓮池さんの御家族の帰国が実現し、また、先月十八日には、曽我さん一家の帰国が実現いたしました。ジェンキンスさんに関しては、依然問題が残っていることは存じておりますが、ジェンキンスさんは小泉総理に深い信頼を寄せていると聞いており、日米の緊密な連携のもと、必ずよい結果が出ることを期待しております。

 このように、小泉総理の訪朝を経て、五名の被害者とその家族が日本に帰れたことは、一定の前進があったものと考えます。他方、残り十名の安否不明の拉致被害者の方々、さらに、他にも拉致されて北朝鮮で一日も早い救出を待っている日本人がたくさんいると考えられております。北朝鮮は、苦労して拉致した日本人でありますから、その消息はしっかり把握しているはずです。

 拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はあり得ないと総理は繰り返しおっしゃっておられます。北朝鮮との交渉に当たっては、対話だけではなく、圧力も必要であります。九月十七日で総理の訪朝以来二年になります。それまでに我々が納得できる誠意ある対応がなされない場合、経済制裁を行うことも考えるべきだと思いますが、拉致問題解決に向けた総理の強い決意をお聞かせいただきたいと思います。

 また、北朝鮮との関係では、核問題も極めて深刻です。G8サミットでは、北朝鮮に対し核計画の廃棄を求める力強い声明が出され、また、六月に開催された第三回目の六者会合では、米朝双方より具体的な提案がなされるなど、一定の前進が得られたと聞いております。我が国の安全保障に直接の脅威を与え、また国際的な不拡散体制への深刻な挑戦である北朝鮮の核問題に関し、その解決に向けた総理の決意と今後の見通しをお伺いしたいと思います。

 今回のサミットでは、エイズ、ポリオ、飢餓、貧困対策、環境など、開発途上国支援についても取り上げられました。これらは、世界の安定と繁栄を確保するために国際社会が取り組まなければならない重要な課題であります。明年のサミット議長国であるイギリスは、アフリカ問題や気候変動に焦点を当てる考えを有していると聞いております。こうした中、我が国としても引き続き開発や地球環境などの分野で積極的にリーダーシップを発揮していくべきであると考えますが、これらの分野における我が国の取り組みに関する総理の決意をお伺いいたします。

 この関連で、地球温暖化に関する京都議定書につきましても、その発効に向けた取り組みや、京都議定書上排出削減義務を負っていない中国等途上国への対処ぶり、さらに同議定書の国内における義務履行について、政府としてどのような政策をとっていくつもりか、総理のお考えをお伺いいたします。

 さて、総理、サミットが終わって、あの暑い中での参議院選挙が行われました。

 結果として、自民党は五十一議席が四十九議席となり、民主党は三十八議席が五十議席と急伸いたしました。与党としては、公明党の十一議席を加えると現状維持であり、逆風の中よく頑張ったという総理の談話も承知しております。

 参議院選挙の結果をどう見るか、これは今後の政局を考える上で極めて大事なことだと思います。私は、自民党は勝てるはずの選挙を勝たせてもらえなかったと認識すべきだと考えております。

 今日のような情報化社会では、選挙直前の出来事が選挙結果を大きく左右いたします。ことしに入ってからも、韓国の総選挙直前の盧武鉉大統領に対する国会の弾劾決議、あるいはスペインにおける列車テロなどが選挙結果を左右したことは記憶に新しいところです。

 今回の参議院選挙は、これまでの小泉改革の是非を問う選挙であり、その点、改革の実は着実に上がっており、国民の最大の関心であった景気回復も軌道に乗りつつあり、小泉内閣は高い支持率を保っておりました。しかし、国会終盤における参議院の与党による年金法案の強行採決の場面が繰り返しテレビ画面に流れ、さらに、イラクへ派遣されている自衛隊がそのまま多国籍軍へ参加することが問題になるなど、選挙戦に入って、年金とイラクへの自衛隊派遣に争点が絞られていきました。

 年金法案については、その成立後、四十カ所もの誤りが見つかりました。こんなことは以前には考えられなかったことで、法案を作成した役所に厳しい処分がなされたことは当然だと思います。しかし、衆参合わせて七十時間を超える審議を行いながら一つの誤りも見つけられなかった我々国会議員も、深く反省すべきであると考えております。

 ところで、年金改革の本質は、その財政が毎年約五兆円の赤字になっていることであり、先送りは許されないということであります。民主党が主張するように、一たん法案を白紙に戻して五年間じっくりと議論するような余裕はないのであります。一元化を含む抜本改革は、衆議院の段階で三党合意に基づいて行うことになっておりましたが、民主党はこの公党間の約束をいまだに実行しておりません。しかし、日本国民に責任を負う政権与党としては、批判を覚悟の上で、強行してでも年金法案を成立させたのであります。

 また、イラク派遣中の自衛隊についても、民主党が言うように、国連決議に基づく多国籍軍参加のために、一たん全員日本に引き揚げて、国会で議論した後、再度派遣するようなことは、大変な時間とむだな費用がかかりますし、本当にそんなことをしたら世界じゅうの物笑いになるでしょう。

 年金法案の白紙撤回も、イラクからの撤退も、やってはならないことであります。それはわかっているのに、選挙に勝つために撤回と撤退を主張した民主党は、極めて無責任な政党であります。小泉総理は、昨年秋の衆議院総選挙で、自民党をとるか民主党をとるかの政権選択の選挙だと言われました。私はそれは余りにも民主党を持ち上げたことだと思いましたけれども、このように公党間の約束を守らなかったり無責任な主張を続ける民主党を、日本を任せ得る政党だと、総理は今でも本当にそう思っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

 小泉総理も、「人生いろいろ、会社もいろいろ」発言など、やや緊張感を欠いた発言があり、そこにおごりを感じ取った有権者も多かったように思います。年金やイラク派遣問題も、国民に向かってもっと丁寧に説明すれば必ず理解してもらえるものだと確信しております。

 さて、小泉改革もいよいよ正念場であります。日本の将来を考えると、ここでくじけることは許されません。改革には当然痛みを伴います。かの仁徳天皇は、夕方になると外に出られて、庶民のかまどから夕げの煙が立ち上っているかどうかを心配されたといいます。どうか小泉総理、この仁徳天皇のお慈悲の心を持ち続けていただきたい。国民に十分説明し、理解を得る努力を尽くしてください。そうすれば日本国民は必ずついてきてくれます。

 今後とも、くじけず、ひるまず、そしておごらず、大胆かつ細心の注意を払って改革に邁進していただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 中山議員にお答えいたします。

 エネルギーの安定的確保についてのお尋ねであります。

 中国等のエネルギー需要が高まりを見せる中、エネルギーの安定的確保の取り組みは、我が国を含む国際社会の安定的な経済成長のために不可欠であると思います。政府としては、このような認識のもと、我が国自身の国益を踏まえ、中東地域を初めとする産油国の安定やエネルギー分野における国際的な協調体制の構築に、より一層努めていく考えであります。

 イラク復興支援についてでございます。

 先般、安保理決議一五四六が全会一致で採択され、六月二十八日からイラク人によるイラク人のための統治が始まり、イラク暫定政府の要請を受けて、多国籍軍が支援活動に当たるなど、イラク支援のための国際協調体制が再構築されております。

 こうした国際協調体制に貢献するためにも、我が国としては、国際社会の責任ある一員として、資金協力と人的貢献を車の両輪とした、我が国にふさわしい人道復興支援を今後とも続けていくべきであると考えております。

 拉致問題及び日朝関係についてでございます。

 拉致、核、ミサイルといった諸懸案を、日朝平壌宣言に基づき、包括的に解決した上で、日朝国交正常化を図るという政府の方針は不変であります。

 政府としては、日朝協議や六者会合等の場において、引き続き、北朝鮮に対し、諸懸案の解決に向けた前向きな対応を強く求めていく考えであります。特に、拉致問題については、安否不明の拉致被害者に関する再調査につき早期に回答が得られるよう、引き続き北朝鮮側に働きかけていく考えであります。

 北朝鮮の核問題についてでございます。

 我が国としては、六者会合を通じ、国際的な検証のもとで、北朝鮮のすべての核計画の完全な廃棄が実現されることが何よりも重要であると考えております。九月に予定されている第四回六者会合に向け、北朝鮮側より前向きな対応を引き出すことができるよう、関係国との連携協力を引き続き図っていく考えであります。

 開発、環境の分野における我が国の取り組みについてでございます。

 来年は、国連ミレニアム宣言の進捗状況の検討が予定されるなど、開発にとって重要な年となります。我が国としては、今後とも、教育や保健医療、水と衛生や農業等の分野での協力とともに、ODAと民間投資を連携させて成長を通じた貧困削減の実現を目指していく考えであります。このような取り組みの中で、アフリカについては、TICAD(アフリカ開発会議)プロセスを基軸に、引き続き積極的に支援を行っていく所存でございます。

 また、環境の分野では、廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用を通じて循環型社会を構築する三R等を国際的に推進していく考えであります。

 京都議定書についてでございます。

 京都議定書の発効にはロシアまたは米国の締結が不可欠であり、これまでさまざまな機会を活用して両国に対し早期締結を働きかけております。また、温暖化対策の実効性を確保するため、中国等の開発途上国を含むすべての国が参加する共通ルールの構築に向け、最大限努力いたします。

 京都議定書の削減約束を確実に達成するための我が国の政策については、本年度行う地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しの結果を踏まえ、必要な追加的対策、施策を講じてまいります。

 重要な政策課題に対する民主党の対応についてのお尋ねでございます。

 私は、国会での議論などを通じて、小泉内閣が推進しようとしている改革や政策について国民の理解が得られるよう努力してまいりました。改革の具体論を進めようとすると何事にも賛否両論がありますが、広く国民の理解と協力を得られるように、引き続き努力していきたいと考えます。

 年金問題については、改正年金法は年金制度における給付と負担の均衡を確保するものであり、これを廃止することは考えておりません。

 年金一元化を含む社会保障制度全般について与野党間で議論することを、自民党、公明党、民主党の三党で合意いたしました。岡田代表も署名されております。民主党の参加を得た三党協議が早急に進められることを期待しております。

 厚生年金と国民年金を一元化する場合をとってみても、給付を国民年金の方に合わせるのか、負担は厚生年金の方に合わせるのかなどの問題一つをとってみても、極めて難しい問題があります。納税者番号も、民主党も主張しておりますが、国民の中にいまだ十分な理解が得られているとは思いません。こういう問題に対して三党協議の中で建設的な提案をすることが、責任政党としての民主党の果たすべき責任であると私は考えております。

 また、消費税についても、私は在任中消費税を引き上げることは考えておりませんが、議論は大いにしていただきたいと思っています。三党協議の中で民主党も提案していただき、まず三党の間で十分議論がなされるべき問題であると考えます。

 イラク復興支援については、我が国としては、国際社会の責任ある一員として、資金協力と人的貢献を車の両輪とした、我が国にふさわしい人道復興支援を今後とも続けていくべきであると考えております。

 民主党は、テロ対策特別措置法にも反対し、また、今般、イラクからの自衛隊の撤退を主張しています。国際社会における我が国の役割や日米同盟の重要性についてどのような認識を持っておられるのか、示していただきたいと考えております。

 イラク問題や年金問題についての不安がある中での参議院選挙でありましたが、結果的に与党が安定多数の議席を確保することができたことを重く受けとめ、今後とも国民の信頼を得られるような政治を実行してまいりたいと考えております。

 いずれにしても、政府・与党に対する国民の信任は衆議院総選挙において明らかにされるものであり、民主党も、建設的な提案をすることなどを通じて、総選挙において国民の支持が得られるような行動をとっていただきたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 岡田克也君。

    〔岡田克也君登壇〕

岡田克也君 民主党代表の岡田克也です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、総理のサミット報告に関連して、総理の国政、外交に対する基本的な姿勢、考え方を中心に質問をいたします。(拍手)

 質問に入る前に、先日発生した新潟、福島、福井、そしてこのたびの四国、中国の豪雨災害について、亡くなられた方々の御冥福を祈るとともに、被害に遭われた多くの皆様にお見舞いを申し上げます。また、現在復旧に当たっておられる方々、全国から支援に駆けつけておられるボランティアなど、関係者の皆様に心から敬意を表します。

 私は、福井を訪れ、被災者の皆さんとお会いして、何点か、政治が取り組むべき課題があると痛感しました。

 第一に、被災した関係自治体から激甚災害指定の早期実施を求める声が強く上げられています。今までの例を見ると、実際に指定されるまでには、被害状況の算定に数カ月を要するなど、時間がかかるケースがほとんどです。迅速な指定が必要です。

 第二に、私は、大規模な災害発生のたびに繰り返される激甚災害指定の陳情を見るたびに、何かが間違っていると感じます。被災者や被災した関係自治体の立場に立てば、算定に時間をかけるのではなく、まず概算によって速やかに仮指定を行うなどの制度改革が必要です。

 第三に、住宅を失われた被災者の皆さんとお会いして、改めて、生活の基盤である住宅を失うということが人生においていかに大きなことであるかということを痛感いたしました。被災者生活再建支援法による支援対象に住宅本体部分への再建支援を含めるべきとの声に、真摯に耳を傾けるべきです。

 第四に、今回の集中豪雨では、ひとり暮らしや寝たきりのお年寄りが避難できずに多く犠牲になりました。高齢化社会に即した災害対策について、真剣に取り組む必要があります。

 以上、今私が指摘した四点について、小泉総理も新潟入りされ、同様の印象を持たれたのではないでしょうか。ぜひ、総理のお考えを聞かせていただきたい。答弁を求めます。(拍手)

 さて、今国会の対応についてお伺いをいたします。

 総理は、参議院議員選挙直後の記者会見において、野党の意見にも耳を傾けろという国民の声だと受けとめる、議論によって政治への不信や懸念を解消していくと発言しました。今国会は、年金問題やイラク多国籍軍への自衛隊参加について、国民に対し説明責任を果たす絶好の機会です。それにもかかわらず、選挙後初めて開会したこの国会がわずか八日間というのは、どういうことなのでしょうか。全く納得できません。

 現時点でも、国民の約八割はさきの国会で成立した改正年金法に反対し、同じく約六割がイラクにおける自衛隊の多国籍軍参加に納得していません。国民の意識と政府の考えにこれだけの乖離があることが明らかになったときに、なぜ十分に議論を行おうとしないのでしょうか。答弁を求めます。(拍手)

 私は、参議院選挙直後から、少なくとも一カ月の会期をとってこれらの問題を十分議論すべきと主張してきました。加えて、集中豪雨発生に伴う災害対策、日本歯科医師連盟のやみ献金疑惑の解明など、重要課題も山積しています。

 総理、時間がない、忙しいというのは言いわけにはなりません。国会は国民に対する説明の場であり、総理が最も時間を割くべきことです。総理は最近、有名タレントや著名人と会うのにお忙しいようですが、違和感を覚える国民も多いはずです。総理が今なすべきことは、国会審議を通じて国民への説明責任を果たすことであって、人気取りではありません。

 総理、予算委員会や党首討論を開いて、国民の前で大いに議論しようじゃありませんか。国会がお決めになったことだとの言いわけは許されません。国会会期がわずか八日間であることに強く抗議するとともに、なぜ国民に対し説明責任を果たそうとしないのか、総理の答弁を求めます。(拍手)

 次に、年金改革問題について伺います。

 年金問題は、参議院選挙の最大の争点でした。そして、選挙を通じて示された改正年金法に対する国民の審判は明らかにノーでした。民意は明らかです。少なくとも、民意を受けて、しっかりと国会で説明をすることは最低限の責任です。総理出席のもと、予算委員会や厚生労働委員会で十分な議論を行うべきですが、現時点ではその機会が民主党には与えられていません。大きな怒りを感じながら、この場で私の考えを明らかにします。

 まず、参議院選挙を通じて国民が最も政府に不信感を持ったのは、政府が正直でないということです。現役世代の平均的収入の五割を維持するとの説明が、モデル世帯についての、しかも六十五歳時点でのことであり、多くの国民に誤解を与えました。また、年金財政を見直すに当たり最も重要なデータである出生率が、法案成立後に明らかになりました。これらの点について、総理は、参議院選挙期間中もほとんど言及、説明することはありませんでした。改めて、国民に説明不足をわびるとともに、説明責任を果たすことを求めます。(拍手)

 次に、改正年金法は、持続可能でないという問題があります。国民は、少子高齢化時代において、保険料が上がること、あるいは年金給付がある程度削減されることは、ある程度やむを得ないことだと納得していると思います。国民が問題にしているのは、制度が持続可能でないということです。特に、加入者の約四割が納付していない、すなわち既に制度として破綻状態にある国民年金については、何ら根本的解決策が示されていません。総理御自身も、参議院選挙中に、年金の抜本改革の必要性に何度も言及されました。総理は、今回の改革案が抜本改革でないことを明確に認めるべきです。答弁を求めます。(拍手)

 政府の改正年金法は廃止すべきです。年金制度が国民の信頼の上に成り立っている以上、一たん白紙にし、議論をやり直すことが必要です。このまま改正年金法を施行すれば、年金制度に対する国民の不信感はさらに高まります。国民が信頼しない年金制度は成り立ちません。参議院選挙で示された民意は、年金を一から議論し直すことです。

 民主党は、今国会の冒頭に、衆参両院に改正年金法廃止法案を提出しました。廃止法案を十分な議論もなく廃案にすることは、年金を一から議論し直すという民意を否定することになります。本当にそれでいいのでしょうか。ここは、日本国総理大臣として、小泉総理の大きな判断が求められています。この廃止法案をどう扱うのか、改めて総理の答弁を求めます。

 選挙期間中を通じて、総理は、三党合意に基づく与野党協議にたびたび言及されました。私は、年金制度の一元化を含めた社会保障制度について政党間で協議するとともに、国会に小委員会を設けて議論することは必要なことだと考えています。年金制度を含めた社会保障制度を少子高齢化時代において持続可能なものとすることは、政治の大きな責任です。

 しかし、抜本改革の論議が改正年金法を正当化する隠れみのになってはなりません。本格的な抜本改革論議の前に、まず、国民が納得していない改正年金法を廃止しなければなりません。(拍手)

 加えて、小泉総理が本気で年金の抜本改革を与野党で議論したいというなら、その基本的方向性を明確にすべきです。国民年金を含めた年金制度の一元化や、その前提となる納税者番号制の導入などについて、民主党は必要だとの結論を出し、参議院選挙におけるマニフェストに明記しました。これらの問題について、選挙期間中の小泉総理の見解は一貫性を欠いたと思います。

 また、先ほど総理の答弁の中で、建設的な提案をすべきだと言われましたが、自民党の建設的な提案の中身は一体どうなっているのでしょうか。具体的な建設的提案の中身がない中で協議しても結果は出ないことは、子供でもわかることです。総理の改めての見解を求めます。(拍手)

 また、先日、細田官房長官は、小泉総理任期中に消費税の引き上げを決定することもあり得ると発言しましたが、その日の夕方には総理はこれを否定したと報道されています。

 小泉総理は、将来の消費税引き上げを任期中に決定することについて、そのことすら否定されたのでしょうか。仮にそうだとしたら、来年の介護保険や再来年の高齢者医療制度の見直しは、消費税抜きで抜本改革するということを考えていることになります。他方で、消費税の問題について、総理は選挙期間中に、介護もあるし医療もあると言ってきました。真意はどちらなのか、明らかにすべきです。答弁を求めます。

 私は、選挙期間を通じて、少なくとも、年金制度の抜本改革のためには、将来の消費税の引き上げは避けられないと明言してきました。将来の消費税引き上げについて何ら決定しないとの前提では、抜本的な年金制度の改革論議は不可能であることは、与野党を問わず、心ある議員の共通認識です。

 総理は、任期中は消費税を引き上げないと明言されました。総理の公約は守られなければならないと思います。しかし、任期中の消費税引き上げの決定の可能性については、総理は完全には否定されていないと思います。

 消費税についての議論は自由だが、自分の任期中は決定しないという縛りをあらかじめかけてしまうことは無責任であり、消費税引き上げの準備期間に数年を要することを考えると、かえって次の総理大臣を縛ることになりかねません。国民に対して正直ではありません。この問題について、総理の責任ある答弁を求めます。(拍手)

 さて、またしても、国民の政治への信頼を大きく損なう事件が起きています。日本歯科医師連盟をめぐる裏献金事件です。

 この問題では、既に、四月に臼田前日歯連会長、七月に自民党の吉田幸弘前衆議院議員が逮捕され、さらに数多くの政治家の名前が取りざたされています。自民党の政治資金受け皿団体である国民政治協会や、各都道府県に設置された自民党歯科医師連盟支部をめぐる、つじつまの合わない不透明な資金の流れがあります。

 自民党総裁として、事実関係を徹底的に調査するとともに、その結果を国民に対して明らかにしていく、説明責任を果たすべきと考えます。総理の答弁を求めます。

 これらの事件に加えて、二〇〇一年に、当時の臼田日歯連会長が橋本元総理と会食をして、一億円の小切手を渡していたが、日歯連の収支報告書にも、橋本元総理が会長を務めていた平成研究会の収支報告書にも記載されていなかったことが判明しました。信じられないような事件です。

 収支報告に載せない、つまり使い放題の裏金が自民党内でいまだに存在していることについて、党総裁を務める小泉総理はどのようにお考えですか。総理はかねがね、派閥は力を失ったと言われてきましたが、今回の事件は、旧態依然たる派閥政治の存在を浮き彫りにしました。不思議なことに、自民党総裁や幹事長は今回の事件についてどう考えているのか、明らかにされていません。小泉総理は、本件をどう受けとめ、どう対処しようとしているのか、国民に対して説明責任があります。答弁を求めます。(拍手)

 今回の一連の事件は、かつてのリクルート事件を思わせる広がりを見せています。リクルート事件をきっかけに、自民党は党を二分する政治改革論議が行われ、選挙制度や政治資金制度の改革がなされました。

 不透明な政治と金の問題は、国民の政治不信の大きな原因となっています。政治資金の透明性を高めるための思い切った改革ができるか否かが、政治が信頼を取り戻すための決め手になります。小泉総理がこういった改革に本気で取り組むのであれば、私はそれに協力することにやぶさかではありません。ともに政治に対する国民の信頼を取り戻そうじゃありませんか。この問題に関する総理の決意と覚悟を国民に対して述べることを求めます。(拍手)

 最後に、ただいまの総理からのサミットに関する報告に関連して、イラクの復興支援、我が国の外交のあり方について、私の考えを述べ、総理に質問します。

 まず、多国籍軍への自衛隊参加に関し、総理が国会や国民に対して説明責任を果たしていないことを指摘しなければなりません。総理は参議院選挙中に、今までと変わらない活動をするのに、日本に帰って相談しないとわかりません、それで日本の総理大臣が務まると思いますかと街頭演説の中で述べています。まるで、多国籍軍への参加の問題が突然日米首脳会談で話題になったかのような話しぶりです。

 しかし、これは、明らかに事実に反したごまかしの説明です。現実には、日米首脳会談と同じ日に、日英外務省間で、日本の独自指揮権に関する口頭了解がなされました。多国籍軍への参加は、突然出てきた問題ではなく、日本の外務省が米英両国に根回しを行った上で、日米首脳会談で日本側から積極的に持ち出したというのが事実ではありませんか。答弁を求めます。

 多国籍軍への自衛隊の参加という今までにないこと、憲法上の疑義のある重大な問題について、なぜ、時間があったにもかかわらず、あらかじめ国会で政府方針を説明し国民の理解を求めようとしなかったのか、改めて総理の説明を求めます。

 また、サミット帰国後も、私が国会で説明するように求めたのに対し、これを無視して閣議決定しました。衆議院で閉会中審査が行われたにもかかわらず、総理は出席を拒み、地方で参議院選挙の応援演説をされました。なぜ国会で事後的であれ真摯に説明しようとしなかったのか、この点についても答弁を求めます。(拍手)

 次に、イラクの現状認識について質問します。

 サマワ初めイラクのどこでテロリストによる攻撃が行われるか、予想できない状況にあります。今戦闘がなされていないからといって、将来サマワで戦闘が行われないとは言い切れません。したがって、サマワがイラク特措法上の非戦闘地域とは言えないというのが民主党の主張です。

 総理官邸で、私が総理に対して、サマワは将来にわたって戦闘が行われないと言い切れるのかと聞いたとき、小泉総理は、将来のことはわからないと断言されました。

 しかし、イラク特措法上の非戦闘地域の定義は、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域という定義です。総理の言葉に従えば、すなわち、将来のことはわからないというその言葉に従えば、サマワは明らかに非戦闘地域ではないということになります。この点をどう考えているのか、改めて総理の見解を伺います。(拍手)

 総理は、自衛隊の人道復興支援活動についてのみ説明し、安全確保支援活動については、その活動の実態すら明らかではありません。しかし、武装米兵を輸送したことがあることは、航空幕僚長が記者会見で明らかにしています。これまでの間、一体何回武装米兵の輸送を行ったのか、説明を求めます。

 また、多国籍軍に参加した上での安全確保支援活動、すなわち治安活動に当たる米軍の支援活動は、本当に独立した指揮権のもとで行うことが可能なのでしょうか。そして、武力行使との一体化はあり得ないのでしょうか。総理の明確な説明を求めます。

 そして、以上のことにつき十分な説明がなされないのであれば、我々は自衛隊のイラクからの撤退を求めます。(拍手)

 サミットでも議題となった北朝鮮問題について質問します。

 総理の二度目の訪朝後、七十二日間が経過しました。いまだに金正日国防委員長が約束した十名の安否不明者についての調査結果は明らかにされていません。日本はこのまま待つしかないのでしょうか。調査結果がいつまでに示されるのか、総理の責任ある答弁を求めます。

 他方で、総理は国交正常化を一年以内にもと発言していますが、拉致問題に目立った進展がない中、国交正常化交渉をいつ、どのように本格的にスタートするつもりなのでしょうか。それとも、既に本格交渉を開始されたのですか。私は、十人の安否不明者について全く回答がないままの本格交渉開始には慎重であるべきと考えます。小泉総理の責任ある答弁を求めます。(拍手)

 次に、大量破壊兵器の問題について質問します。

 核兵器を初めとする大量破壊兵器のテロリストによる使用が大きな脅威となっていることを考えれば、サミットにおいて行動計画が合意されたことは評価できます。しかし、他方で、核保有国の核軍縮についての熱気が失われていることが気がかりです。

 非核保有国に対して核を持つことを許さない核不拡散条約は、核保有国がまじめに核の保有量を削減するとの前提があって、その不平等性を超える正当性が与えられます。米国の小型核兵器の開発や包括的核実験禁止条約の批准問題について、総理はどうお考えなんでしょうか。また、日米首脳会談でブッシュ大統領とこれらの件についてお話しになったのでしょうか。答弁を求めます。(拍手)

 最後に、日米関係について申し上げます。

 私は、先週訪米し、共和党、民主党の関係者と率直な意見交換をしてきました。私が今回の訪米で米国の関係者に最も伝えたかったことは、日米両国の自立と相互信頼に基づき、より対等な同盟関係の構築が必要であること、米国が世界にぬきんでた力を持つ国であるからこそ、より寛容であり、そして謙虚であることが求められるということです。自衛隊派遣に我々民主党が憲法上の理由で反対していることもきちんと説明し、率直に議論をしてきました。

 イラク戦争に関して米国政府に批判的な我々を、米国国務省あるいはホワイトハウスがあえて受け入れ、意見を聞き、議論しようという姿勢を見せたこと、そして、現時点で見ればイラク戦争は間違っていたとの認識が広く共和党関係者にもあることは、アメリカという国の懐の深さを改めて感じさせました。

 日米同盟をより深いものにしていくためには、国民的理解が不可欠です。いざというとき日本を守ってくれるのはアメリカだけだというような底の浅い議論、説明はもうたくさんです。総理が国会において、国民に対して、日米同盟の重要さ、そして我が国外交のあり方に対して説明責任を十分に果たすことを強く求めます。総理に反論があれば述べていただきたいと思います。

 以上、国政全般にわたり私の考えを述べてきました。批判だけに終始するのではなく、この国の政治に対し責任を持つ政党の代表として、基本的な質問をしました。質問者である私に対してだけでなく、国民に対して、総理の責任ある説明を求めます。

 なお、答弁が不十分であれば、当然のことながら、再質問、再々質問を行うことを申し上げ、私の質問といたします。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 岡田議員にお答えいたします。

 豪雨災害被害に関してでございます。

 私も新潟の被災地を視察いたしましたが、激甚災害の指定については、災害復旧事業費がかなり大きくなるものと想定されるので、当然激甚災害の指定を考慮しており、可能な限り指定に係る期間を短縮するよう指示しているところでございます。

 また、災害復旧事業費の査定見込み額を使用して、被災した地方公共団体が安心して災害復旧に取り組めるよう早期指定に努めているところであります。

 住宅の再建支援については、さきの通常国会で、居住安定支援制度を創設し、解体撤去費やローン利子など、被災者が住宅を再建、補修する際に現実に負担する経費を幅広く支援の対象といたしました。個人の住宅本体に対する公費の支援については、さまざまな議論があり、今後さらに議論を深めていく必要があると考えております。

 高齢社会に即した災害対策については、ひとり暮らしや介護を必要とする高齢者一人一人について援助者を定めるなど、災害時の救援プランを策定するよう自治体などに働きかけるほか、助けを必要とする高齢者の情報を災害時に救援に当たる消防や警察などの機関が活用できる仕組みなど、必要な措置を速やかに講じてまいります。

 重要課題に関する国民への説明責任についてでございます。

 私は、国会での議論などを通じて、小泉内閣が推進しようとしている改革や政策について国民の理解が得られるよう努力してまいりました。改革の具体論を進めようとすると、何事にも賛否両論があります。反対の立場から見れば不満もあると思いますが、広く国民の理解と協力を得られるよう引き続き努力していくことが必要だと考えております。

 年金問題については、年金一元化を含む社会保障制度全般について与野党間で議論することになっており、こうした議論を通じて国民の理解がより得られると考えていますが、なぜ民主党が応じないのか、理解に苦しむところでございます。

 言うまでもなく、今国会の進め方については、与野党協議の上、国会みずからが決めるべき問題でありますが、いずれにしても、重要な政策課題については、今後とも、国会の内外において国民に対する説明責任を果たしてまいりたいと考えます。

 改正年金法は抜本的なものか、また民主党提案の改正年金法廃止法案の審議についてのお尋ねでございます。

 さきの国会で成立いたしました改正年金法は、従来のように五年ごとに改正するのではなく、将来の給付の下限と負担の上限を明らかにするとともに、課題であった基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げの道筋を示すなど、持続可能な年金制度を構築するために先送りのできない抜本的な改革を行ったものと考えております。

 なお、私は、国会審議において、年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的見直しについては、三党合意に基づき与野党間で建設的な議論を進めるべきであると申し上げてきましたが、年金の一元化については、さまざまな意見のある中長期的な課題であることから、今回の年金制度改革とは切り離して社会保障制度全般の中で議論を行う必要があると考えたものであり、今回の改革を行うこととは何ら矛盾するものではないと考えております。

 また、民主党提出の年金改正法廃止法案は、年金一元化の内容を示さず改正法を廃止するために給付と負担の均衡が確保されず、年金財政の悪化を放置するものであるとともに、国庫負担の財源を明らかにせず二分の一への引き上げを行うなど、極めて問題がある内容の法案であると思っております。いずれにせよ、その取り扱いについては、国会において議論されるものと承知しております。(拍手)

 改正年金法を廃止するべきとのお尋ねとともに、年金の一元化や納税者番号制、社会保障制度改革の議論と消費税の引き上げについてのお尋ねがございました。

 改正年金法は、年金制度における給付と負担の均衡を確保するものであり、これを廃止することは考えておりませんが、国会審議においては、年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的な見直しについて議論を進めていく旨の三党合意がなされました。また、経済界、労働界から、政府においても同様の議論を行うことの要請があり、このため、政府として、社会保障の在り方に関する懇談会を設置し、社会保障制度全般について、税、保険料の負担と給付のあり方などについて幅広く議論をいただくこととしております。

 公的年金の一元化、納税者番号制度については、これらの機会を通じて幅広く議論を行っていくべきものと考えており、民主党の参加を得た三党協議も早急に進められることを期待しております。

 また、消費税については、私は、総理就任以来、在任中に消費税を引き上げないが、税制全体のあり方として消費税の議論は大いに結構であると申し上げてまいりました。社会保障の在り方に関する懇談会において、社会保障制度全般について、税、保険料などの負担と給付のあり方などを幅広く検討していただく中で、消費税のあり方についても十分に御議論いただきたいと考えております。

 政府としても、昨年末の与党税制改正大綱を踏まえ、社会保障制度の見直し等とあわせ、中長期的視点に立って税制の抜本的改革に取り組むこととしております。

 日歯連の政治献金にかかわる問題でございます。

 政治家が政治資金を受け取る際には、政治資金規正法にのっとって適正に処理されなければならないのは言うまでもございません。日歯連の政治献金にかかわる疑惑については、現在、捜査当局において一連の事件を捜査中であり、その状況を見守りたいと思います。

 いずれにせよ、政治に対する国民の信頼は改革の原点であり、国民の信頼を得ることができるよう、政治資金のあり方については、政治に携わる者一人一人が襟を正して対応しなくてはならないと考えます。政治改革を今後も進め、信頼の政治の確立を目指してまいります。

 多国籍軍の中で自衛隊が参加することと私の発言に関するお尋ねがございました。

 国際協調が一層強化される中で行われたG8サミットの際の日米首脳会談では、政府部内での検討を踏まえ、私から、我が国としてイラク人道復興支援特措法に基づく支援を継続するとの基本方針を明確にいたしました。また、サミット終了後の記者会見において、多国籍軍との関係や我が国の自衛隊の法的地位については帰国後に検討する旨説明いたしました。

 その後、多国籍軍の中で自衛隊が活動することについて、与党を初めとする方々の意見を踏まえながら政府において鋭意検討を行い、野党の党首の方にも説明を行いました。また、さきの通常国会の会期末でございましたけれども、私自身が出席して委員会審議も行いました。六月十八日には、基本計画の変更について直ちに国会に報告を行うとともに、閉会中審査も行われました。

 国内議論を行わずに自衛隊が多国籍軍の中で活動することを決定したものではありません。

 いわゆる非戦闘地域の要件についてでございます。

 イラクの治安情勢は全般として予断を許さない状態が続いておりますが、サマワを初め自衛隊が活動する地域の情勢については、これまでの情報とあわせて総合的に判断して、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる非戦闘地域の要件を満たしていると判断しております。

 御指摘の点は、この判断はあくまでも現時点におけるものであって、今後とも、関係機関と連携を図って最新の情報の収集に努めて、情勢の変化には柔軟に対応する方針であることを述べたものであります。

 自衛隊による安全確保支援活動についてでございます。

 自衛隊は、イラク特措法及びその基本計画にのっとって、人道復興支援活動を中心に活動を行い、これに支障を及ぼさない範囲で安全確保支援活動を行うこととしております。相手国、回数、人員などの詳細については、安全の確保や関係諸国との関係といった観点から、お答えは差し控えさせていただきます。

 安全確保支援活動については、米国の物資、人員を航空自衛隊のC130輸送機により輸送するなどの支援活動を実施しております。なお、その場合にも、武器弾薬の輸送は行っておらず、輸送の対象となる人員が武器を携行する場合には、常識的な範囲で通常携行するものに限って、人員輸送の一環として輸送することとしております。

 自衛隊の活動は独立した指揮権のもとで本当に行えるのか、武力行使と一体化しないと断言できるのかというお尋ねでございます。

 人道復興支援活動のほか、安全確保支援活動を含めて、イラクにおける自衛隊の活動は、あくまでもイラク特措法の範囲内で、我が国の主体的な判断に基づき、我が国の指揮に従って行うものであり、憲法の禁じる武力の行使に当たるものでもなく、また、他国の武力の行使と一体化するものでもありません。こうした我が国の自衛隊の活動のあり方については、米英両政府と我が国政府との間で了解に達しております。

 非戦闘地域と安全確保支援活動について十分な説明がないならば自衛隊の撤退を求めるとの御指摘でございます。

 お尋ねの二点については、改めて丁寧に政府の考え方を御説明申し上げました。

 六月二十八日からイラク人によるイラク人のための統治が始まり、イラク暫定政府の要請を受けて、多国籍軍が支援活動に当たるなど、イラク支援のための国際協調体制が再構築されております。我が国としては、国際社会の責任ある一員として、資金協力と人的貢献を車の両輪とした、我が国にふさわしい人道復興支援を今後とも続けていくべきであり、今自衛隊を撤退させる考えはありません。

 拉致問題及び日朝国交正常化についてでございます。

 安否不明の拉致被害者に関する再調査については、北朝鮮側が関係機関等によってこれを進めているものと承知しており、早期に回答が得られるよう引き続き北朝鮮に働きかけていく考えであります。また、曽我さん家族を含む拉致被害者家族の帰国の実現により、国交正常化交渉再開の前提は満たされたと考えていますが、その具体的時期等については現時点では決まっておりません。いずれにせよ、拉致問題を含む諸懸案の解決なくして日朝国交正常化はあり得ません。

 核兵器国による核軍縮等についてでございます。

 我が国は、核兵器国による一層の核軍縮の進展をさまざまな機会に働きかけております。昨年、米ロ間では、戦略核弾頭の削減に関するモスクワ条約が発効しましたが、我が国は、これを歓迎するとともに、その着実な履行を求めております。

 米国による小型核兵器の研究再開については、核軍縮、不拡散における国際的な動きに影響を与える可能性があるとの問題意識をアメリカ側に提起しております。また、包括的核実験禁止条約についても、繰り返し米国による早期批准を働きかけております。

 なお、先般の日米首脳会談ではこうした問題について取り上げられませんでしたが、日米当局間で取り上げてきております。

 日米関係及び日米同盟の重要性についてでございます。

 日米両国は、基本的人権の尊重、民主主義及び市場経済の推進といった価値観を共有しております。日米関係は日本外交のかなめであり、日米同盟は我が国の安全とアジア太平洋地域の平和と安定の礎であると思っております。日米関係を重視することは、我が国の国益にかないます。

 世界の問題を世界の国々と協調しながら解決していく原動力としての世界の中の日米同盟を一層強化する方針であります。(拍手)

議長(河野洋平君) 岡田克也君から再質疑の申し出がありますから、これを許します。岡田克也君。

    〔岡田克也君登壇〕

岡田克也君 時間がありませんから、二点だけ申し上げます。

 一つは、八月六日の広島、八月九日の長崎、いずれも日本にとっては特別な日です。唯一の被爆国として、今まで核の軍縮あるいは核の不拡散について日本は特に力を入れてまいりました。私が気になることは、先ほどの小泉総理の答弁を見てもわかるように、日米同盟の中で、核の軍縮に対する日本の外交が以前のような輝きを失っている、私はそう思えてなりません。この点についてもう一度、しっかりとした日本外交の志、それを示していただきたい、これが第一点であります。(拍手)

 そして第二は、先ほど総理は、年金制度などいろいろなことに触れる中で、国会で大いに議論したらいい、こういうふうに言われました。私もそう思います。ですから、年金制度や多国籍軍への自衛隊参加の問題などについては、総理も委員会に御出席いただき、あるいは党首討論を開催して、この短い期間中でありますが、さらに大いなる議論をしたいと思いますので、ぜひ、総理の御理解をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 以上です。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 再質問の岡田議員に御答弁いたします。

 核兵器による核軍縮等については、私は答弁したつもりでございます。

 我が国は、核兵器国による一層の核軍縮の進展をさまざまな機会に働きかけております。昨年、米ロ間では、戦略核弾頭の削減に関するモスクワ条約が発効いたしましたが、我が国はこれを歓迎するとともに、その着実な履行を求めております。

 また、米国による小型核兵器の研究再開については、これは核軍縮、不拡散における国際的な動きに影響を与える可能性がある、そういう問題意識というものを米国に提起しております。また、包括的核実験禁止条約についても、繰り返し米国に早期批准を働きかけております。

 私は答弁しているつもりでございます。

 また、年金問題への再質問ですが、今理事間で、これは報告の趣旨と違うから答弁必要ないというお話ですが、あえて、質問されましたので答弁いたします。

 年金問題については、岡田さんも幹事長時代に三党合意、年金一元化を含む社会保障全体のあり方を協議しようと合意されているんですね。そういう合意をされているのに、この合意をほごにされているのか、協議を拒否しているのか、私は理解に苦しむところであります。

 選挙中の際においても、年金一元化についてはそれぞれ問題がある。厚生年金と国民年金を一元化する場合に、給付を厚生年金にそろえたら国民年金の負担はどうなるのか。これは大変な問題です。また、国民年金に合わせたら給付はどうなるのか。

 そういう問題もありますから、ぜひとも民主党も、みずから合意された問題でありますから、この協議に積極的に応じられるのが責任ある政党の立場だと思っております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 前原誠司君。

    〔前原誠司君登壇〕

前原誠司君 民主党の前原誠司でございます。

 民主党・無所属クラブを代表いたしまして、小泉総理に質問いたします。(拍手)

 今、岡田代表が再質問された内容について、私からもう一度質問いたします。

 つまりは、年金を含む社会保障制度全体について国会で議論をしたらいい、そういう総理の答えはわかりました。しかし、人ごとではなくて、みずからが委員会や本会議や党首討論を開いてしっかりやる意思があるかどうかということを、総理は逃げて答弁されませんでした。そのことを岡田代表は再々質問をされたかった。そのことをまず冒頭に答弁をいただきたいと思います。(拍手)

 さきに行われました参議院選挙の終盤におきまして、自民党は、新聞各紙の朝刊に、民主党の年金、イラク政策を誹謗中傷する一面広告を出しました。さぞ高い費用がかかったと思いますが、選挙結果を見れば、その費用がむだであったことは一目瞭然です。事実を指摘しているならまだしも、事実を歪曲して国民を欺こうとしましたが、賢明な国民はだまされませんでした。

 私は、その広告を見て、正直悲しく、情けない思いをいたしました。官僚依存、利権体質、金権体質といった、いわば構造的な問題を抱えているにしろ、戦後復興、高度経済成長をリードしてきたいわば横綱であるあの大自民党がここまでやるのか、ここまで落ちぶれたのかと、本当に悲しくなりました。貧すれば鈍するというのは、まさにこのことであります。(拍手)

 公明党も同じです。五年ももたないような年金制度を百年もつと豪語し、年金制度のみならず、三位一体や道路公団の民営化など、中身のない、看板倒れの改革を手がけたからといって実現力ナンバーワンと言い切る。あげくの果てには、野党でマニフェストを実現できる立場にない民主党をつかまえて、執行部が声をそろえて、民主党はマニフェストを何一つ実現できていませんと絶叫しています。実際、公明党の支持者からでさえ、それは野党だから仕方ないでしょうという言葉が聞こえてきました。

 イラク問題に関して、菅前代表がアナン事務総長に言及した国連決議とは、次のようなものでした。単に文書だけの国際合意ではなく、安保理常任理事国のフランスやロシア、そしてドイツやアラブの国々が実際に人を出すような国際協調体制が確立される国連決議でありました。

 しかし、現実にはそうなりませんでした。ブラヒミ特別顧問が行おうとしたイラク暫定政権の主要人事は、次から次へと横やりが入りました。結局は、CIAと深いつながりを持つとされているアラウィ首相が誕生いたしました。結局は、アメリカの石油利権の確保、中東和平をアメリカ、イスラエル主導で進めたいというアメリカの下心が露骨にあらわれているのが今のイラク政策ではありませんか。(拍手)

 菅前代表がアナン事務局長につけ加えられたもう一つの前提条件は、憲法上の問題がクリアされるということでありました。これは、先ほど岡田代表が質問されたことで尽きております。

 以上の諸点を挙げるまでもなく、我々民主党は、多国籍軍参加の前提は整っていないと考え、そして、当然の帰結として反対を表明しました。我々の考え方は一切ぶれておりません。首尾一貫しております。(拍手)

 総理に伺いたい。民主党へのネガティブキャンペーンは、事実をしっかりと調べずに見切り発車で行ったのか、それとも、わかった上でねじ曲げられたのか、どちらですか。どちらにしても、自民党総裁として誠実に謝罪をしていただきたい。

 また、イラク問題自体についても伺いますが、アメリカのみならず、イギリスの独立調査委員会も大量破壊兵器に関する情報については深刻な欠陥があったと情報操作を認めており、米英両国の国内世論も、イラクへの戦争は間違いだったと考える人の数が、正しかったと考える人の数を上回っております。判断の根拠となった情報が間違っていても、まだあの戦争は正しかったと抗弁されますか。

 イラクを混乱の渦から立て直すためには、アメリカのオーバープレゼンスを是正し、アラブの国々も含めて、より広い国際協調体制を築き直すことではないでしょうか。そのために日本が行うべき具体的な行動について、総理から取り組む決意をぜひ述べていただきたいと思います。

 総理は、たびたび日米関係の重要性を指摘されていますが、そもそも、本当に日米関係は重要だと考えておられるのでしょうか。首脳同士が個人的に仲よくなればそれで日米関係がうまくいくと短絡的に、いや、間違って考えておられるのじゃないでしょうか。また、その思い込みが、お互いの国益にとって重要なインフラである同盟関係を脆弱化させることも往々にしてあるということを総理はわかっておられるのでしょうか。

 多国籍軍参加を国連決議がまとまる前にブッシュ大統領に約束するというのは、まさに象徴的な出来事でありました。日米両国とも民主主義国家です。それぞれ国民の理解、支持がなければ、両国の友好同盟関係は成り立ちません。本当に大切だと考えるのであれば、一つ一つの政策決定に対して国民への説明責任を果たし、真摯で、そして不断の努力を続けて国論をまとめていくという丁寧さと、日本としての国家戦略がなければなりません。反論があればお答えください。

 その意味で、今回の米軍のトランスフォーメーションにかかわる政府の迷走ぶりは、お粗末の一言に尽きます。政府は、アメリカから要望されている基地機能や司令部機能の移転をそのまま受け入れるつもりだったのですか。それとも、日本としての具体的な案を持っていたのですか。案の有無だけではなく、持っていたのであれば示していただきたい。

 日米間で正式合意がなされる前に具体的な地名が出ればどのようなリアクションが起きるかぐらい、政府はわかっていたはずです。普天間の海兵隊の一部を富士へ、そしてキティーホーク艦載機の基地を厚木から岩国になどとの報道がなされていますが、受け入れる側の自治体は、基地機能強化に当然反対するでしょう。そしてまた、出ていくと報道された地域は当然期待し、しかし、実際それが実現できなければ失望、不信へと変わり、より基地がなければという思いが強くなるというパンドラの箱をあけることになるのではありませんか。そして、アメリカも、日本への打診案が日本政府のマネジメント能力の不在で一向に前に進まないと不信感を募らせる。

 今のやり方は、すべてを敵に回す最も稚拙なやり方ではありませんか。一体、だれが日米同盟のマネジメントをしているんですか。この稚拙な交渉はだれに責任があるのか、お答えをいただきたい。(拍手)

 そもそも、政府は、日米同盟関係の将来像をどこで、だれが、どのように描いているのか、伺いたい。これからも、冷戦期のように基地を提供し、お金をそれなりに出していれば同盟関係は維持できると考えているのですか。それとも、日本としてどのような新たな役割を果たすべきだと考えているのでしょうか。それは国際貢献なのか、集団的自衛権の行使なのか、それによって憲法改正の議論もおのずと変わってくるはずです。

 本来、トランスフォーメーションの議論とは、基地の問題だけに特化させずに、日米の役割分担の見直しまで含めて議論すべきではありませんか。そのような観点から日本としての同盟の将来ビジョンを示せば、普天間の代替基地なき返還はそれほど難しいことだとは思いません。それをアメリカに投げかけるつもりはありませんか。総理が日米同盟関係は重要だと考えているのであれば、御自身の言葉で、あるべき日米同盟将来ビジョンを語っていただきたいと思います。(拍手)

 戦略なき日本の外交は、中国との排他的経済水域、大陸棚の問題にもあらわれています。

 中国は、日本からの再三にわたる問題提起を無視する形で、東シナ海や太平洋の日本の排他的経済水域、大陸棚において海洋調査を行ってきました。日本側の抗議により設けられたはずの事前通告制度も、中国は全くと言っていいほど無視を決め込み、今や形骸化しています。あげくの果てには、東シナ海における日中中間線付近で、中国による石油、ガスの試掘、そしてアメリカのメジャーなどとの共同開発契約が行われ、本格的な採掘施設の建設が始まり、春暁鉱区は来年からの操業開始、天然ガスを生産する予定です。

 採掘現場は中国側だとはいえ、ほぼ中間線の上に位置し、地下構造はつながっていると見られます。したがって、本来は日本に権利のある石油、天然ガスといった地下資源が、このまま放置をすれば中国に吸い上げられることになりませんか。このような状態に至るまで、なぜ政府は放置していたのか。放置していた日本政府の責任は極めて重大であります。政府は中国によるこの権益侵犯をどのようにやめさせるおつもりなのか、明らかにしていただきたいと思います。(拍手)

 東シナ海の海底に石油や天然ガスが存在することは、かなり以前から指摘されていました。現に、一九六〇年代後半から、日本企業四社が鉱業権を申請し、探査の許可を政府に求めていましたが、三十年以上も外務省と通産省がたらい回しをし、そして、結局は今も何もできずじまいであります。なぜ、たなざらしを続けたのか、決断できなかったのか、その責任の所在を明らかにしていただきたいと思います。

 七月七日に、中間線の東側において、ようやく日本も物理的探査を開始しました。中川経済産業大臣は試掘を前提とすべきだと発言されていますが、政府の統一見解と考えてもいいのですか。また、物理的探査をして、中国が確認をしているように、地下資源の存在を日本も確認した場合、開発を認めることになるのかどうか、答弁をいただきたいと思います。

 中国は、尖閣諸島の日本領有権を認めていません。日本が提示する排他的経済水域の日中中間線も認めていません。大陸棚は沖縄トラフまであると主張しています。また、我が国の最南端の領土である沖ノ鳥島については、領有権は認めるものの、二百海里の排他的経済水域と大陸棚は認めないと主張し、この周辺海域でも、日本政府の許可を得ずに、最近とみに海洋調査を活発化させています。莫大な人口を抱え、急激な経済発展を遂げる中国は、エネルギー開発を長期戦略に基づいて行っています。

 対する日本は、エネルギー戦略、海洋戦略を持って対応してきたのでしょうか。どうひいき目に見ても、場当たり的な対応をしてきたとしか言いようはありません。日本と領有権で対立している領土、領海、排他的経済水域、大陸棚において、さらなるエネルギー開発などの権益侵犯を防止するためにどのような対応をとるべきだと考えているのか、外交ルートでの抗議、警告が無視され続けた場合、政府はどうするつもりなのか、明確にお答えをください。(拍手)

 それにつけても、このような重要な懸案事項がありながら、日中間の首脳交流が全く行えないのは、極めて異常であります。この期に及んでもまだ小泉首相は、首脳交流ができなくても特に支障はないと強弁されるのでしょうか。

 中国は、六者協議の議長役として、さらにリーダーシップを発揮してもらわなければなりません。FTA、EPAを視野に入れたさらなる経済連携強化も必要です。ましてや、東シナ海の石油や天然ガスを日本が開発できたとしても、その地理的条件から、販売先は中国にならざるを得ないのではないでしょうか。つまりは、中国とは、対立する問題では毅然と日本の姿勢を貫きながらも、総合的な判断の中でうまく日中関係をマネジメントしていく、そういう政治トップのリーダーシップが必要なのではないですか。

 日中首脳交流は必要だと考えているのか、もし必要だと考えるのであれば、どのようにそれを再構築するつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。(拍手)

 エネルギーに関連して、核燃料サイクルについても質問します。

 今まで、原子力発電から生じる高レベル放射性廃棄物処分の処理費用については、政府は、国会での数次にわたる質問に対しても、再処理しない場合のコストを試算したものはないと答弁してきました。しかし、実際は、再処理費用とともに直接処分をした場合のコスト比較を行ったものを平成六年二月に作成していたということが明らかになりました。政府が発表した途端、今までそのような資料はないと言っていた原子力委員会や電気事業連合までもが、直接処分コストと再処理コストの比較資料を持っていたということを次々と明らかにしました。いずれも、再処理ではなく直接処分の方が安いという試算になっています。

 つまりは、プルサーマル計画を進める上で、直接処分のコストの方が安いと世間に知られるのはまずいとの判断から、経済産業省のみならず、原子力委員会、電気事業連合会もともにぐるになって、うそをついて、情報を隠し続けてきたのではありませんか。

 経済産業省の職員三名が内規に基づき処分されたということでありますが、職員三人の処分で済む話ではありません。国家プロジェクトであるプルサーマル計画を進めるために、意図的に不利な情報を隠していたのであれば、まさに担当大臣が責任をとるべき問題ではありませんか。総理並びに経済産業大臣の厳しい対処の見解を求めます。(拍手)

 今回の参議院選挙は、抜本改革とは言えない年金制度、説明責任が十分に果たされなかった自衛隊の多国籍軍参加、そして、人生いろいろ発言に見られる小泉総理のおごり、そういった批判票が民主党にプラスに働いたのは事実でしょう。しかし、きょう指摘した諸問題は、決して一過性の問題ではありません。構造的な問題であります。

 国家が外交・安全保障政策の戦略ビジョンも持っていない。アメリカや中国との関係をうまくマネジメントする能力も意思もない。エネルギー確保の長期戦略も持ち合わせていない。そして、対応はすべて場当たり的。そして、都合の悪いことは隠す。責任論はお茶を濁す。これほど経営感覚がなく、いいかげんな人たちに、日本の国家経営をこれ以上任せるわけにはいきません。(拍手)

 政権交代でなければ日本は変わらないんです。我々は、マニフェストをさらに進化させ、与党に対するアンチテーゼではなく、まさに積極的に政権政党に国民の総意として推挙されるよう、次の総選挙までに内容、陣容をさらに充実させ、次の総選挙で必ず日本再生のために政権交代をなし遂げるという強い決意を申し上げ、また、不十分な答弁であれば再質問、再々質問もさせていただくことを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 前原議員にお答えいたします。

 私の国会への出席についてのお尋ねです。

 言うまでもなく、今国会の進め方については、与野党協議の上、国会みずからが決めるべき問題でありますが、いずれにしても、重要な政策課題につきましては、今後とも、国会の内外において国民に対する説明責任を果たしてまいりたいと考えます。(拍手)

 自民党の新聞広告における民主党批判についてのお尋ねがございました。

 これは、イラクにおいて我が国にふさわしい人道復興支援を今後とも続けるべきであるという自民党の主張に立って、この問題に関する民主党のマニフェストと前代表の国連本部における発言との間に一貫性が見られないとの批判を加えたものでありまして、民主党としては、こうした多くの人が感じている疑問に対して、わかりやすく国民に説明を行う責任があると考えます。(拍手)

 私は、民主党から常に批判されております。民主党は、余り批判になれていないせいか、批判されるとお怒りのようでありますが、政党間の批判もいろいろでございます。批判に対しては、政党として大いに反論していただければ結構だと思います。(拍手)

 米軍等による対イラク武力行使及び大量破壊兵器の存在についてでございます。

 イラクは、かつて実際に大量破壊兵器を使用していたほか、多くの大量破壊兵器に関する疑惑があり、査察への非協力を初め関連安保理決議の重大な違反を継続的に犯してきました。米国等によるイラクに対する武力行使は、累次の関連安保理決議に合致し、国連憲章にのっとったものであります。我が国がこれを支持したことは正しかったと考えております。

 イラク復興支援における国際的な協調体制づくりでございます。

 我が国はこれまで、国連のより大きな関与を含む国際協調の重要性を訴え、昨年十月のマドリッド支援国会合へ向けた貢献や、国連や主要国への総理特使派遣、ドイツ、フランス、アラブ諸国との協調、さらには安保理決議採択に向けた外交努力等、国際的な協調体制づくりに努めてきたところであります。今後とも、こうした外交努力を継続強化していく考えであります。

 日米関係の重要性についてでございますが、日米関係は我が国の外交のかなめであります。国際社会の諸問題に日米両国が協力して指導力を発揮していくことが我が国の国益にかなうと思っております。良好かつ強固な日米の協力関係を一層強化していくために、これまで同様、首脳同士のみならず、あらゆるレベルでの戦略的な対話を継続していく考えであります。

 自衛隊の多国籍軍の中での活動でございます。

 先般のサミットの際、私はブッシュ大統領に対し、日本として、イラク暫定政府に歓迎される形で、イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の支援を継続する考えであると述べました。これまでどおり支援を継続するとの基本方針を伝達したものであります。

 他方、多国籍軍への関与については、サミット後の記者会見において、日本に帰国してから、与党を初め皆さんと相談しながら、どのような日本にふさわしい支援ができるか検討していきたいと述べました。サミットから帰国した後に、新たに強化された国際協調やイラク支援の重要性を踏まえ、与党との協議や国会への質疑も含め、国内的議論を行った上で決定したものであります。いずれにせよ、今後とも国民に対し適切に説明を行ってまいる考えであります。

 在日米軍の軍事態勢の見直しに関する日本側の具体的な提案についてでございます。

 御指摘のような基地機能や司令部機能の移転につきアメリカ側から提案を受けているとの事実はありません。いずれにせよ、在日米軍が有している抑止力が効果的に維持されるとともに、沖縄を含む米軍施設・区域が所在する地元の負担が十分念頭に置かれるべきと考えており、こうした観点から協議を進めてまいります。

 在日米軍の軍事態勢の見直しに関する米側との協議及び日米同盟の将来についてでございますが、一昨年の日米両国の外務・防衛担当閣僚による会合の決定に基づき、国際安全保障環境の変化を踏まえ、両国の役割及び任務、兵力構成を含む安全保障に関する協議をさまざまな機会に日米外務・防衛当局間で緊密に行ってきております。

 日米同盟は、我が国の安全とアジア太平洋地域の平和と安定の礎であります。日米関係を重視することは我が国の国益にかなうと考えております。

 東シナ海における中国の資源開発及び我が国政府による鉱業権の付与と物理的探査についてのお尋ねでございます。

 東シナ海における中国の資源開発は、これまで、基本的には日中中間線よりも中国側の水域で行われてきました。他方、中国が最近着手した一部の探鉱・開発については、その設定された鉱区及び地下構造が中間線の日本側水域にはみ出しているおそれがあるため、中国側に対し、累次、我が国の懸念を伝えるとともに、鉱区及びその地下構造に関する情報の提供を要請しております。

 排他的経済水域及び大陸棚の日中間の境界画定がいまだなされていない東シナ海海域における鉱業権の付与については、国連海洋法条約において「最終的な合意への到達を危うくし又は妨げないためにあらゆる努力を払う」こととされていることも踏まえつつ、これまで、鉱業権の出願の許可または不許可の処分を留保するとの方針で対応してきているところでございます。

 現在、日中中間線の日本側の水域において、石油及び天然ガスに関する精細なデータを収集するため物理探査を実施しているところであり、今回の調査で得られるデータは、中国が最近着手した探鉱・開発に係る一部の地下構造が日中中間線の日本側にまたがっていないかを確認するためにも使用することとなります。

 現時点では試掘の具体的な計画はありませんが、政府としては、国連海洋法条約に基づく我が国の主権的権利その他の権利が侵害されないよう、今後とも適切に対応していく考えであります。

 海洋をめぐる問題に関する中国への対応についてでございます。

 東シナ海における中国の資源開発及び我が国排他的経済水域における中国海洋調査船の活動等に対し、政府として、具体的事例に応じて、我が国の主権的権利その他の権利が侵害されないよう、国連海洋法条約等も踏まえて対応しているところであり、今後とも適切に対応していく考えであります。

 日中間の首脳交流についてでございます。

 我が国は、中国との関係を最も重要な二国間関係の一つとして重視してきており、胡錦濤国家主席を初めとする中国側指導者も、対日関係を重視するとの姿勢を明らかにしております。昨年、私は胡錦濤国家主席、温家宝総理との間で三度の首脳会談を行うなど、日中間では活発な交流が行われております。こうした間断なき対話を通じて、両国間の相互理解、相互信頼をさらに強化し、幅広い分野において未来志向の日中関係を発展させていく考えであります。

 高レベル放射性廃棄物処分のコスト比較の問題に関する担当大臣の責任についてでございます。

 御指摘の資料については、先月、既に公表されていますが、本年三月の国会質問当時、答弁者はその存在を認識しておらず答弁したものであり、隠す意図はなかったものと聞いております。

 いずれにしても、核燃料サイクルを含む原子力という重要な政策課題については、積極的に情報を公開するとともに、国民に開かれた形で議論を進めていきたいと考えます。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣中川昭一君登壇〕

国務大臣(中川昭一君) 高レベル放射性廃棄物処分のコストの比較をした資料を意図的に隠したのであれば、担当大臣が責任をとるべきではないかとのお尋ねでございます。

 御指摘の資料につきましては、本年三月の国会質問当時、答弁者はその資料の存在を認識しておらずに答弁したものであります。隠す意図はなかったものの、事実と異なる答弁を行ったことは、まことに申しわけなく思っております。答弁を行った当時の資源エネルギー庁長官その他関係者を、直ちに内規に基づき処分をいたしました。現在、その他に過去試算したものがなかったか等引き続き調査を行っており、まとまり次第公表いたします。

 核燃料サイクルを含む原子力という重要な政策課題につきましては、引き続き、積極的に情報を公開するとともに、国民に開かれた形で議論を進めてまいる決意でございます。(拍手)

議長(河野洋平君) 前原誠司君から再質疑の申し出がありますから、これを許します。前原誠司君。

    〔前原誠司君登壇〕

前原誠司君 三点だけ再質問をさせていただきます。

 一つは、先ほど、民主党に対する広告の中で、事実をねじ曲げてそういった広告を出しているということを申し上げました。しかし、総理からの説明については、事実と異なるかどうかという明確な御判断はありませんでした。それに基づいてちゃんと広告を出したのか、それとも、事実は知っていてねじ曲げて広告を出したのか、そのことを聞いているので、しっかりと答弁していただきたいと思います。(拍手)

 二つ目の問題として、トランスフォーメーションについて質問いたします。

 トランスフォーメーションについて、先ほど総理は極めて重大な発言をされたと私は思います。具体的な提案はない、そんな、国会議員をだますような答弁を本会議場でしたらだめです。あれだけ日米担当者が行き来をして、具体的な地名が挙がっているのは、我々でもわかっている話です。我々もアメリカの関係者との話をしています。野党の議員をなめないでください。

 つまりは、具体的な提案はされているわけです。されているのにどうしてこんな下手なマネジメントをするかという話をしているのに、具体的な提案はなかったという、うその前提で物事を進められるというのはおかしいと思います。もう一度答弁をお願いします。(拍手)

 最後に、中国の調査船についてでありますが、今後とも適切に対応するとおっしゃっていますけれども、日中間で、もしその調査をするときには事前に通告をしようという話があったにもかかわらず、それが無視され続けているわけです。つまりは、無視され続けていて、そして今後も同じように適切に処理するということは、無視されることを黙り続けるということですか。

 つまりは、私が聞きたかったのは、無視され続けているのをどのように是正するかということを聞いているのです。

 その答弁をお願いして、私の再質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 前原議員の再質問に答弁いたします。

 いずれにしても、民主党への批判、各党、他党からの批判については、反論があれば党としてどこの場でも反論されれば結構だと思います。

 米軍のトランスフォーメーションに関する再質問でございますが、新聞に出ている記事と政府間交渉とは違います。今後とも、日本の考え、アメリカの考え、それは今後の問題でございます。

 中国に対する再質問でありますが、中国に対して、無視しているのではないか、それは、日本は、我が国の主権的権利、このことについては継続的に中国に積極的な対応を働きかけております。(拍手)

    ―――――――――――――

    〔議長退席、副議長着席〕

副議長(中野寛成君) 志位和夫君。

    〔志位和夫君登壇〕

志位和夫君 日本共産党を代表して、小泉首相に質問します。(拍手)

 まず、新潟、福島、福井を襲った豪雨災害と台風十号による被害についてであります。

 私は、犠牲となられた方々に深い哀悼の気持ちを述べるとともに、多くの被災者の皆さんに心からのお見舞いを申し上げるものです。

 日本共産党は、直ちに対策本部を設置し、地元の皆さんと連携して救援と復興に取り組んできました。現地の実態は極めて深刻であります。全壊、半壊した住宅が三百棟を超えるだけでなく、一万数千を超える住宅が床上浸水で泥に埋まってしまうという状況となりました。全国でも有名な地場産業、中小企業の工場も泥に埋まり、水田も至るところ泥をかぶり、大被害を受けました。水害の被害を受けたニット関係業者が自殺するという痛ましい事態も起こっています。

 自然災害のすべてをなくすことはできませんが、災害から国民の命を守ること、被災者の生活と営業を復興すること、これは政治の力でできることであり、国の重大な責任であります。私は、政府がそのために全力を尽くすことを強く求めるものです。(拍手)

 同時に、被災された方々の切実な願いにこたえて、国がその責任をしっかりと果たすためには、現行法を最大限に活用することはもちろんですが、自然災害による個人財産の被害は補償しないとしてきた従来の政府の姿勢を転換し、住宅や町工場の修繕、建てかえへの直接の公的支援に踏み出すべきだと考えます。首相の答弁を求めます。(拍手)

 次に、年金問題について質問します。

 参議院選挙の結果が、政府・与党が力ずくで強行した改悪年金法に対する国民のノーの審判を示したものであることは明瞭です。選挙後の世論調査でも、実に八割の国民が、白紙に戻してやり直せと求めております。

 これは、改悪年金法が、国民に連続負担増を押しつけることで、保険料が高過ぎて払えないという方々を一層ふやし、年金制度の空洞化をいよいよ深刻にするとともに、連続給付減の押しつけによって、ただでさえ貧しい年金の給付水準を一層切り下げ、憲法に保障された生存権を国みずからが侵害しようとしていることに対して、国民の怒りが沸騰した結果であります。

 さらに、負担増には上限がある、給付減には下限があるという二つのうそに加えて、出生率のデータ隠し、四十カ所に上る条文ミスなど、うそとごまかしの限りを尽くした結果であります。

 年金制度で一番大切なものは何か。それは国民の信頼であります。長い間掛金を払い、老後に給付を受けるという長い命を持つ制度であるだけに、国民の信頼がなければ制度が成り立つはずがありません。うそとごまかしでつくった制度は、長続きする道理はありません。

 小泉首相に伺いたい。選挙で厳しい審判が下り、八割もの国民が白紙に戻せと要求している制度が、一体立ち行くと考えているのですか。民意を厳粛に受けとめて、改悪年金法は白紙に戻し、その上で、国民の知恵を結集して、だれもが安心できる年金制度をつくるべきではありませんか。明確な答弁を求めます。(拍手)

 消費税の増税の問題が、国政の重大問題になっております。

 細田官房長官は、七月二十九日の会見で、与野党の協議で引き上げの合意ができれば、三年後施行もあり得ると述べました。三年後の二〇〇七年度には消費税値上げを実行する、それまでに与野党の協議を進め、増税の段取りを立てる、このシナリオが今やすっかり明らかになりました。

 私が驚くのは、消費税増税を進める人たちが、この税金を引き上げることが国民にどんな痛みと苦しみをもたらすかについて、余りに無感覚であることです。例えば、税率を三%値上げして八%にするという案も出されていますが、税率八%というのはどんな重さになるか。

 年収六百万円、四人家族のサラリーマン世帯の場合、税率五%でも年間負担している消費税は十六万円と、既に所得税の十五万円より重い負担となっています。それが税率八%になれば、年間負担する消費税は二十六万円と、所得税の倍近い額に膨れ上がります。これが家計と経済にどれだけの打撃になるか、はかり知れません。

 月額五万円の国民年金で暮らしを立てているお年寄りはどうなるでしょう。月額五万円といいましたら、年間でも六十万円の収入です。この年金収入は、ほとんどが消費に回ることになるでしょう。税率八%になれば、このお年寄りが年間負担する消費税は約五万円となります。つまり、月五万円の年金暮らしのお年寄りから一月分の年金を召し上げてしまうというのが、消費税八%なのであります。

 消費税増税を進める人たちは、福祉のためには仕方がないということを最大の口実にしています。しかし、年金や福祉というのは、立場の弱い方々の命と暮らしを支えるという大事な役割を持った制度であります。消費税とはそうした立場の弱い方々に重くつらくのしかかる税金です。一体、月五万円の年金暮らしのお年寄りから一月分の年金を召し上げることを、福祉のためといって合理化することが許されるでありましょうか。私は、福祉のためといって福祉を破壊する税金を引き上げることは、本末転倒も甚だしいものだと考えますが、この根本問題についての首相の見解を伺いたい。(拍手)

 日本共産党は、税金の使い方と集め方のゆがみを土台から改める。すなわち、第一に、国と地方と公団で年間四十兆円を超える公共事業費、年間五兆円に上る軍事費に縮減のメスを入れること。第二に、この十数年間に大企業への減税をやり過ぎたために、日本の大企業の税と社会保険料負担がヨーロッパ諸国の半分から七、八割の水準にまで下がっていることに目を向け、大企業に徐々に世間並みの負担責任を果たさせること。これらの改革を行えば、消費税に頼らなくても、安心できる年金、医療、介護の制度を築くことは可能だという提案を明らかにしております。

 私は、こうした国民の暮らし第一の改革を進めることは、日本経済の六割を占める家計を温め、経済の健全な成長を促し、企業活動の長い目での発展にもつながるものと確信するものであります。(拍手)

 次に、イラクへの自衛隊派兵問題と憲法改定問題について質問いたします。

 小泉首相がこの三年間とってきた外交政策は、日米同盟、日米安保条約を国の行動の最高の基準にするというものでした。アメリカがイラク戦争を始めれば、日米同盟のためといって賛成する、アメリカがイラクに自衛隊を派兵してくれと言えば、日米同盟のためといって派兵する。そして、イラクの占領軍が多国籍軍になった際には、武力行使を伴う多国籍軍への参加は憲法上認められないというこれまでの政府見解をまともな説明なしに覆して、これも日米同盟のためといってブッシュ大統領にさっさと参加の約束をして帰ってくる。

 小泉首相がやってきたことは、日米同盟のための一言ですべての思考を停止させ、世界でも異常なアメリカ言いなりの道を進むことではありませんか。

 重大なことは、小泉首相がこの間違った道にさらに大きく踏み込もうとしていることであります。首相は、かねてから憲法九条の改定を公言してきましたが、選挙戦の中で、集団的自衛権の行使のために改憲が必要だと発言をエスカレートさせました。この発言が意味するものは何か。私は、端的に二つの点を質問したいと思います。

 第一に、集団的自衛権とは、日本が攻撃されていなくても、米国が戦争を始めた際にともに戦うということにほかなりません。これは、日本を米国とともに海外で戦争をする国につくりかえることを意味するものではありませんか。はっきりとした答弁を求めます。

 第二に、それでは、その米国が行っている戦争とはどのような戦争か。イラクで行ったような先制攻撃の戦争であります。しかし、国連憲章は、武力攻撃が発生した場合の自衛の反撃と、国連安保理が決定した場合以外は、武力の行使をかたく禁止しているのであります。

 イラク戦争は、この国連憲章を踏み破った無法な侵略戦争であり、だからこそ、世界の六十二億の人口のうち、五十億の人口を抱える国々がこの戦争に反対、不賛成の態度をとったのであります。

 日本を米国とともに海外で戦争をする国につくりかえることは、日本を国連憲章を踏み破る無法国家に転落させることを意味するものではありませんか。はっきりとした答弁を求めるものであります。(拍手)

 アーミテージ米国務副長官は、憲法九条は日米同盟の妨げと言いました。しかし、二十一世紀の日本国民にとって本当の妨げはどちらか。我が党は、二十一世紀の日本がなくすべきは世界に誇る憲法九条ではない、異常なアメリカ言いなりの政治の根源にある日米安保条約こそなくすべきだ、それにかえて本当の対等、平等、友好の日米関係こそ築くべきだと考えるものであります。(拍手)

 最後に、日本歯科医師連盟の膨大な政治資金をめぐる疑惑について、二つの点に絞って質問いたします。

 一つは、橋本元首相への一億円のやみ献金問題であります。これは一派閥、一議員の問題で済まされることではありません。元総理のかかわる犯罪事件として極めて重大であります。何のためのやみ献金だったのか、このやみ献金が何に使われたのか。小泉首相は、総理・総裁として、責任を持って調査をし、国民と国会に報告すべきではありませんか。

 二つ目は、日歯連から自民党に対して、この三年間で届けられたものだけでも、何と十五億円を超える巨額の献金がされておりますが、この献金の原資は、国民が払っている医療費であり、医療保険料などであるということであります。

 財政難を口実にして、国民には医療費の値上げなど耐えがたい痛みを押しつけながら、自分たちは医療費や保険料から献金という甘い汁を吸って恥じない、この態度は到底国民の理解を得られるものではありません。(拍手)

 我が党は、企業・団体献金の全面禁止を強く求めていますが、わけても国民の保険料などを原資とする企業・団体からの献金は速やかに中止することを要求するものであります。

 以上、二つの点について、小泉首相の明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 志位議員にお答えいたします。

 災害対策についてでございます。

 このたびの豪雨災害については、国会報告の冒頭でも触れたように、政府として救助救援や応急復旧に全力を挙げて取り組んでいるほか、今後とも被災者に対する支援、被災地の速やかな復旧に努めてまいります。

 防災は国民の生命、身体、財産の安全に直接かかわる行政の基本的責務の一つでありまして、政府、地方自治体、地域、ボランティア団体などが一体となって、防災対策を一層推進してまいりたいと考えます。

 自然災害の被害の補償についてでございます。

 さきの通常国会の被災者生活再建支援法の改正によって、住宅の再建等を支援する居住安定支援制度を創設し、解体撤去費やローン利子など、被災者が住宅を再建、補修する際に現実に負担する経費を幅広く支援の対象といたしました。

 今回の豪雨災害による被害に対しては、被災者生活再建支援法を積極活用するよう指示したところであり、この制度を活用した被災者の生活再建支援に最大限努力してまいります。

 なお、個人の住宅本体に対する公費の支援については、さまざまな議論があり、今後さらに議論を深めていく必要があると考えております。

 改正年金法を白紙に戻し、安心できる年金制度をつくるべきとのお尋ねがありました。

 年金制度に関しては、どのような制度であっても避けることのできない給付と負担の均衡を確保する必要があり、さきの国会で成立しました改正年金法は、こうした課題に真正面から取り組んだものであります。政府としては、その内容を国民に一層説明するなど、その施行に向けた準備を進めることとしたいと考えております。

 国会審議においては、年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的な見直しを行うべきとの議論がありました。また、経済界、労働界から、政府においても同様の議論を行うことの要請がございました。このため、政府として、社会保障の在り方に関する懇談会を設置し、七月三十日に第一回の会合を行ったところであります。

 今後とも、このような議論を通じ、国民の理解が得られる年金制度となるよう最大限努力してまいります。

 なお、社会保険庁についても、組織のあり方、事業運営について抜本的な見直しを早急に進めてまいります。

 消費税についてでございます。

 消費税は、少子高齢化が進展する中、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合い、社会保障等の公的サービスを安定的に支えるため重要な税であると考えております。

 私は、総理就任以来、在任中に消費税は引き上げませんと言っております。税制全体のあり方として、消費税の議論は大いに結構であるとも言っております。今後とも、消費税について積極的な議論は私も歓迎するところでございます。このため、今般設置した社会保障の在り方に関する懇談会においても、年金、医療、介護などの社会保障制度全般について、税、保険料などの負担と給付のあり方などを幅広く検討していただく中で、消費税のあり方についても十分に議論をしていただきたいと考えております。

 政府としても、昨年末の与党税制改正大綱を踏まえ、社会保障制度の見直し等とあわせ、中長期的視点に立って税制の抜本的改革に取り組むこととしております。

 我が国の外交政策と日米同盟についてでございます。

 我が国の外交政策は、従来より、我が国の国益を踏まえ自主的に判断してきております。その際には、日米同盟と国際協調の両立、これを図っていくことが重要であり、我が国はその両立を実践してきていると思っております。

 我が国は、世界の問題を世界の国々と協調しながら解決していく原動力としての世界の中の日米同盟を一層強化する方針であります。そのためには、これまでと同様、日米双方が言うべきことを言い、やるべきことをやっていく必要があり、あらゆるレベルで率直かつ緊密に政策協議を行ってまいります。我が国の政策がアメリカ言いなりとの御指摘は当たりません。

 集団的自衛権の行使と憲法改正についてでございます。

 憲法第九条のもとにおいては集団的自衛権の行使は許されないとする政府の憲法解釈は、今まで一貫しております。これまで積み重ねていた議論を私は尊重したいと思っております。

 集団的自衛権と憲法の関係についてさまざまな議論があることは承知しております。この点について、憲法解釈の変更によって集団的自衛権を認めるべきだとの意見があることも私は承知しております。私としては、見解が対立するこのような問題については、便宜的な解釈の変更によるものではなく、今後、正面から憲法改正を議論することにより解決を図ろうとするのが筋であろうと考えております。御指摘の選挙戦の中での発言は、この点についての考え方に触れたものであります。

 なお、イラクにおける米英の武力行使については、国連決議に基づくものとして理解しており、これが国連憲章を踏み破った無法な侵略戦争であるとの御指摘は当たらないと考えます。

 日歯連からの政治献金についてでございます。

 政治家が政治資金を受け取る際には、政治資金規正法にのっとって適正に処理されなければならないのは言うまでもございません。日歯連の政治献金にかかわる疑惑については、現在、捜査当局において一連の事件を捜査中であり、その状況を見守りたいと思っております。

 いずれにせよ、政治に対する国民の信頼は改革の原点であり、国民の信頼を得ることができるよう、政治資金のあり方について、政治に携わる者一人一人が襟を正して対応していかなくてはならないと考えます。

 国民の保険料などを原資とする企業、団体からの献金の中止についてでございますが、企業・団体献金は民主主義のコストとしての政治資金の調達方法の一つであり、政治団体が一定の規制のもとで、かつ透明性が担保された形で受け取ることは、必ずしも悪であるとは私は思っておりません。

 いずれにせよ、政治資金については、政治資金規正法にのっとり厳正に処理することにより、公明公正な政治活動を確保していかなければならないと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(中野寛成君) 東門美津子さん。

    〔東門美津子君登壇〕

東門美津子君 社会民主党の東門美津子です。

 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいまの小泉総理大臣のシーアイランド・サミット出席に関する報告に関連して質問をいたします。(拍手)

 まず最初に、多国籍軍への自衛隊の参加の問題についてお尋ねいたします。

 今回のサミットに際して行われた日米首脳会談で、総理は、主権移譲後のイラクに展開される多国籍軍に自衛隊を参加させることを表明されました。これまで武力行使を目的とした多国籍軍への参加は憲法上許されないとしていた政府見解を大きく変更する我が国の安全保障政策の重大な転換について、国内で十分な議論をするより先に外国の首脳に表明するということは、一体どういうことでしょうか。

 国会での議論もなく、国民への説明もないまま、安全保障政策の大転換をブッシュ大統領と勝手に約束し、この約束を果たすために無理な解釈を積み重ねて帳じりを合わせる、このような小泉総理の手法が許されてよいのでしょうか。私は、これほどまでに自国民を軽視し、外国首脳に追従する独立国の指導者というものを知りませんし、断じて認めることができません。

 総理がブッシュ大統領に自衛隊の多国籍軍参加を表明する前に国内議論を行わなかった理由を明確に御説明ください。

 先日、アーミテージ米国務副長官による、憲法第九条を日米同盟の妨げとして、日本の国連安保理常任理事国入りと関連させて憲法改正を求める発言が波紋を広げました。このような内政干渉まがいの発言が米政府高官から平然と出てくる背景にも、小泉内閣の極端な対米追従政策があるのではないでしょうか。日本の政権は、何でも言うことを聞く、くみしやすい政権と思われているのではないでしょうか。

 米国の要求にこたえるために、周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法、有事法制と、自衛隊の活動領域を広げる法制を次々と整備し、ついには多国籍軍に参加するに至っていることを考えれば、米国が求めれば憲法改正も当然行うだろうと思われているのかもしれません。

 私は、ブッシュ政権にただただ追従するいわば金魚のふんのような小泉内閣が、米国との健全なパートナーシップを築いているとはどうしても思えないのです。独立国の指導者として、総理、国の最高法規である自国の憲法を外国の干渉から守る決意をぜひお聞かせください。

 さて、シーアイランド・サミット直前に、安保理決議一五四六が全会一致で採択されました。これは、米国の一国主義的なイラク占領の破綻を背景に、米国が国際社会に譲歩した結果と言われていますが、小泉総理は、決して米国の譲歩ではなく、米国の大義の勝利だとまで発言し、米国を強く擁護しました。

 そもそも、米国はイラクの大量破壊兵器を理由に武力攻撃を行い、日本もこれを理由にイラク戦争を支持しましたが、結局、イラクには差し迫った大量破壊兵器の脅威はなかったことが既に明らかになっています。

 総理は、イラクの大量破壊兵器の脅威がブッシュ政権による情報操作であり虚偽であったとしても、米国に大義があったとお考えでしょうか。米国の大義を総理はどのように理解されているのか、御説明ください。

 また、総理は、イラクの大量破壊兵器保有について、きょう現在、どのような認識を持っておられるのでしょうか。将来的に発見されない場合、米国の不確かな情報をうのみにして、平和憲法を持つ日本を戦争支持へ動かした責任をどのように認識しておられるのか、お伺いいたします。

 続いて、在沖米軍基地の問題について伺います。

 今回の日米首脳会談では、沖縄の米軍基地問題に関しては何ら進展がなく、沖縄県民を深く落胆させています。トランスフォーメーションと呼ばれる米軍の世界規模での再編に伴って、在日米軍の配備をめぐる議論がクローズアップされている最中だけに、沖縄の要求を明確にブッシュ大統領に伝え、負担軽減の実現を促す絶好の機会だったのではないでしょうか。余りの中身のなさには県民も本当に失望しています。

 私は、ことし二月と七月の二度にわたり、ワシントンDCを訪問し、政府関係者や議員の方々、シンクタンクの皆さんと意見交換する機会を持ちました。二度の訪米を通して感じたことは、残念ながら、政府が沖縄県民の負担軽減に本気で取り組んでいないということ、そして、県民の要求を米国側に伝えていないということです。SACO合意から八年過ぎた今も目に見える形での負担軽減はなく、絶好の機会だと思われる今回の米軍再編の動きにも、兵力削減や沖縄県に集中する広大な基地の整理縮小など、何ら具体的提案もしない政府には、腹の底から怒りが込み上げてきます。

 一九九六年のSACO合意により、宜野湾市の市街地にある普天間飛行場の移設予定先とされている沖縄本島北部の辺野古の海では、五十九年前の戦火をくぐり抜けてきた八十代、九十代のおじい、おばあたちが、ジュゴンのすむ美ら海、豊穣の海を埋め立てて、戦争につながる軍事基地にするわけにはいかないと、猛暑の中で連日座り込みをして、反対の意思を表明しています。

 SACO合意成立から数えると、監視小屋で監視を続けること八年余、国による同地域のボーリング調査が着工されようとした去る四月十九日からの座り込みは、炎天下で百六日目を数えています。病院に通い、点滴を受けながら参加している高齢者もおられ、文字どおり命をかけた埋め立て阻止の闘いです。

 歓迎されないところには軍隊を送りたくないというラムズフェルド国防長官の発言もあります。日米同盟が何よりも大事であると考えておられる小泉総理大臣であれば、ぜひとも移設予定地に出向かれ、移設先を視察していただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。(拍手)

 次に、今回合意された、いわゆる拡大中東構想についてお尋ねします。

 米国がイスラム諸国を支援し、民主化を促すために提唱した拡大中東構想は、イスラエル・パレスチナ紛争の永続的解決を掲げてはおりますが、大統領選挙を控えた米政府はますますイスラエル寄りの姿勢を明確にし、国際社会の不信を高めています。

 去る七月二十日に圧倒的多数で採択された、イスラエルが占領地ヨルダン川西岸で進める分離壁の建設を違法とした国際司法裁判所の勧告的意見の遵守を求める国連決議にも、米国は反対しました。こうした態度はイスラム社会での反米感情をますます高め、拡大中東構想も、結局は米国的価値観の押しつけではないかとの反発につながるだけともなりかねません。中東問題を解決しようとするなら、米国がパレスチナとイスラエルに対して中立的立場から関与することが必要不可欠です。

 イスラエルは、国連決議に従わず分離壁の建設を進める方針であり、パレスチナ側は、安保理による対応を求めています。この際、米国は拒否権を行使すべきではないと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。また、その旨、米国を説得するおつもりはありませんか。お答えいただきたいと思います。

 最後に、これからのサミットのあり方についてお尋ねいたします。

 サミットは、経済問題について先進国間の調整を図る目的で始まり、今回で三十回目を迎えました。にもかかわらず、今回のシーアイランド・サミットでは、経済に関する議論がかつてなく小さくなり、サミットが経済問題に対して有効な対策を打ち出し得なくなっていることを印象づけました。

 その背景として、大きな経済力を持つようになった中国を抜きに実質的な経済論議ができなくなったことが指摘されています。G8に中国、インドなどを加えG10とする構想も取りざたされています。政治体制の異なる中国を直ちに加えることができないとしたら、テーマを限ってでも参加を求める必要があるのではないでしょうか。昨年のエビアン・サミットには、議長国のフランスが胡錦濤中国国家主席を招いた実績があり、決して難しいこととは思えません。中国等のサミットへの参加について、総理のお考えをお尋ねいたします。

 三十回の節目を経て、サミットを名実ともに主要国の首脳たちの危機への対応能力を示すものとして再編する時期に来ているのではないでしょうか。参加国がふえれば当然合意をつくることが難しくなりますが、その困難を乗り越えてなお実のある協調にこぎつける努力によってのみ、国際社会をリードするサミットの存在意義を維持できるのではないかということを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 東門議員にお答えいたします。

 多国籍軍の中で自衛隊が活動することについてでございます。

 六月の日米首脳会談においては、イラクに対する人道復興支援を中心とした協力を継続する旨表明するとともに、サミット終了後の記者会見において、多国籍軍との関係や我が国の自衛隊の法的地位については帰国後に検討する旨表明いたしました。

 その後、多国籍軍の中で自衛隊が活動することについて、与党を初めとする方々の意見も踏まえながら政府において鋭意検討を行い、野党の党首の方々にも説明を行いました。また、さきの通常国会の会期末には、私自身が出席して委員会審議も行い、六月十八日には、基本計画の変更について直ちに国会に報告を行うとともに閉会中審査も行われました。

 国内議論を行わずに自衛隊が多国籍軍の中で活動することを決定したものではございません。

 米国とのパートナーシップについてでございます。

 我が国の外交政策は、従来より、我が国の国益を踏まえ自主的に判断してきております。その際には、日米同盟と国際協調の双方が重要であり、我が国はその両立を実践してきていると思います。

 我が国は、世界の問題を世界の国々と協調しながら解決していく原動力としての世界の中の日米同盟を一層強化する方針であります。そのためには、これまで同様、日米双方が言うべきことは言い、やるべきことをやっていく必要があり、あらゆるレベルで率直かつ緊密に政策協議を行っていく必要があると思っております。

 我が国の政策が米国追従との御指摘は当たりません。また、日米協力が憲法の枠内で行われることは当然であります。

 イラクにおける大量破壊兵器の存在及び米軍等による対イラク武力行使についてでございます。

 イラクは、かつて実際に大量破壊兵器を使用しているほか、多くの大量破壊兵器に関する疑惑があり、査察への非協力を初め関連安保理決議の重大な違反を継続的に犯してきました。米国等によるイラクに対する武力行使は、累次の関連安保理決議に合致し、国連憲章にのっとったものであります。我が国がこれを支持したことは正しかったと考えております。

 普天間飛行場代替施設についてでございますが、政府としては、市街地に所在する普天間飛行場を早期に移設、返還すべく、代替施設建設協議会における議論と検討の上に立って、地元の沖縄県や関係自治体とも十分に連携を図りつつ、代替施設の建設に向け着実に取り組んでおります。

 代替施設建設予定地の視察については、現時点において計画はありませんが、いずれにせよ、代替施設の建設について、引き続き地元の意向に配慮しながら進めてまいります。

 イスラエルによる壁の建設に関する安保理での米国の対応についてでございます。

 米国はこれまで、イスラエル、パレスチナ側双方にロードマップに沿った和平努力を働きかける等、中東和平実現に向けた役割を果たしてきていると認識しております。

 本件の安保理付託の見通しは定かではありませんが、いずれにせよ、我が国は、ロードマップの前進が図られるよう、関係国と連携協力しつつ両当事者への働きかけを行っており、その一環として、両当事者に影響力を有する米国に対し、和平推進のための一層の取り組みを要請してきております。

 サミットへの中国等の参加についてでございます。

 サミットは、世界経済を含め国際社会の諸課題について民主主義と自由主義経済を共有する主要先進国の首脳が話し合う場として、有効に機能してきたと思っております。

 途上国とは、九州・沖縄サミット以来、有意義な対話が行われてきており、G8と中国等主要途上国との関係は他のG8諸国ともよく協議していきたいと考えております。(拍手)

副議長(中野寛成君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(中野寛成君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十二分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  小泉純一郎君

       経済産業大臣  中川 昭一君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官 杉浦 正健君


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © 2014 Shugiin All Rights Reserved.