衆議院

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第3号 平成16年10月14日(木曜日)

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平成十六年十月十四日(木曜日)

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 議事日程 第三号

  平成十六年十月十四日

    午後二時開議

  一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

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本日の会議に付した案件

 議員請暇の件

 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)


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    午後二時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 議員請暇の件

議長(河野洋平君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。

 海部俊樹君から、十月二十日から二十七日まで八日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

議長(河野洋平君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。横路孝弘君。

    〔横路孝弘君登壇〕

横路孝弘君 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、総理大臣に質問いたします。(拍手)

 総理、就任されて三年半がたちました。総理大臣という重い責任のお仕事で、毎日大変な思いをされているだろうと御拝察申し上げる次第でございます。

 政治家にとって、とりわけ総理大臣にとって大切なことは、今、国民の暮らしがどうなっているのか、日本社会の現状はどうなのか、その現実を直視して、正しく状況認識し把握されることだと思います。

 残念ながら、一昨日の所信表明演説の中では、案の定、改革の結果としてのつまみ食い的成果を述べられましたが、それは、国民の生活の実感や実態とはほど遠いものでございました。いかなる困難があってもくじけることなく、失敗しても挑戦をと鼓舞されましたが、失敗や挫折の多くの原因が小泉政権の政策そのものにあることを棚に上げ、自己責任論に持っていく発言に思えてなりません。

 小泉総理、今、国民の生活実態はどんな状況でしょうか。

 毎年、学校を卒業する若者は、夢と希望を持って社会に巣立っていくことができていますか。高齢者の皆さんは、心穏やかに、不安のない老後を送っておられるのでしょうか。若い夫婦には、安心して子供を産み育てる環境が整っているのでしょうか。地域の商店街、中小企業の経営者の皆さんは、消費が伸びて、売り上げや資金繰りに頭を痛めることが少なくなってきたのでしょうか。

 残念ながら、すべてノーです。小泉さんが総理大臣になってからの数字を見ますと、高校を卒業した新卒のフリーター化率が、三五・一%から三八・四%へとふえています。赤ちゃんの出生率は、一・三三から一・二九へと減少し、生活保護を受ける高齢者世帯が、三十七万から四十三万六千世帯へとふえているのであります。自営業者の人も、実に三十万人が廃業しているのであります。

 総理、総理は、構造改革を進める中で、景気は個人消費や設備投資を中心に堅調に回復していると一昨日おっしゃいましたけれども、国民生活そのものを示す数字は決してよくなっておりません。

 サラリーマンの給料は、六年連続で下がり続けているのです。より深刻なのは、給料を安定的にもらうことのできない人がふえているということです。失業されている人が相変わらず三百万人を超え、職を求めても仕事がないとあきらめた人が四百万人、フリーターが四百十七万人もいるのであります。仕事につける人が減っているだけではなくて、その内容も、正規社員などの安定雇用から、パートなどの不安定雇用に変わってきています。

 七月の統計によりますと、勤労者に占める非正規社員の割合が三四・六%にまで高まっています。そして、この非正規社員の八割の人々が月二十万円以下の収入で、そのうち、十万円未満の人が四割にも上っているのであります。実に、我が国勤労者の三分の一が、このような安い賃金、不十分な福利厚生などに加え、いつ職を失うかという不安を抱えて生活をしているということがわかるのであります。

 その結果、貯蓄の平均保有額は四年連続で前年を下回り、収入が減って生活のために四年間で二百万円も貯蓄を取り崩しているのがはっきりしているのであります。また、貯蓄のない世帯が二〇%を超えております。この数字は、昭和三十年以来の高い数字なのであります。

 そこで、総理に伺います。

 総理は、景気は堅調に回復していると本当にお考えなんでしょうか。私が用いたさまざまな統計の数字は、いずれも政府発表の中からとったものでございますが、こうした国民生活の現実をどう受けとめられますか。あわせてお答えをいただきたいと思います。(拍手)

 次に問題なのは、雇用の不安定化、賃金の抑制などを反映して、国民の間に所得格差が拡大をしていることであります。政府が六月に発表した所得再分配調査によりますと、世帯の所得格差が最大になっております。所得の高い方から四分の一の世帯が全体の所得の四分の三を占めるまでになり、持てる者と持たざる者の二極化が進み、階層が固定化しつつあるのであります。

 金持ちはますます豊かになり、生活の苦しい人がいつまでたっても苦しいままという日本社会を皆さんは望むのでしょうか、私は望みません。人生とは、夢や希望を持ってそれに向かって努力していくこと。多くの国民は、努力すれば報われるという思いで毎日汗水流して働いているのではないでしょうか。そして、それをサポートするのが政治の役割だと思います。低所得階層が低所得階層として固定されてしまうことは、人々からやる気や活力を奪い、社会全体の沈滞を招くことになるでしょう。

 総理は、一体、この国をどんな国、どんな社会へ導こうとしておられるのでしょう。アメリカ的な競争社会ですか。日本には、みんなで協力してやってきたという日本の文化があります。総理の考えておられるところを明らかにしていただきたいと思います。

 今、多くの国民がたくさんの不安を感じています。数々の不安を抱え、ストレスも多く、ひとり悶々と苦悩している人もいます。こんな不安がやはり数字にあらわれているのです。自殺された人の数、昨年三万四千四百二十七人と、過去最高になりました。特に、生活苦など経済、生活問題を原因とする働き盛り、一家の大黒柱の三十代、四十代の自殺が急増したのが特徴であります。競争に追われ、だれにも相談できずに最悪の選択をしてしまう深刻な事態に、本当に胸が痛みます。

 ホームレスの増加も、国民生活の不安、苦悩の一端だと思います。全国で昨年二万五千二百九十六人、とうとう初めて四十七都道府県すべてでその存在が明らかになりました。バブル崩壊後にホームレスになった人が八〇%、かつて正社員だった人が四〇%を占めています。リストラや倒産を受け、一度挫折したらチャレンジもままならない日本社会の現実を見る思いがいたします。

 生活保護の急増も顕著であります。昨年、生活保護の受給世帯は九十四万一千二百七十世帯、受給人員は百三十四万四千三百二十七人と、国民のほぼ九十四人に一人が生活保護を受けていることになります。また、受給世帯の九割は高齢者世帯、障害者世帯、母子世帯になっているのであります。

 自殺もホームレスも生活保護も、本来ならみずから望まない選択肢だと考えますが、何万、何十万という人々がそのような選択をせざるを得ない状況にあるということ、そのことを政治は直視していかなくてはなりません。

 小泉総理、あなたの政権のもとでのこれらの最悪の数字をどう受けとめられますか。どうしてこうなったのでしょう。その原因もあわせてお答えをいただきたいと思います。(拍手)

 次に、生活保護に関連してお尋ねいたします。

 厚生労働省は、去る十月十二日、三位一体改革について、地方六団体の提案を完全に無視して、逆に、生活保護制度の国庫負担軽減、国民健康保険の給付に対する都道府県の負担を新たに導入、児童扶養手当に対しても地方の費用の負担の増加を提案いたしました。

 三位一体改革は、地方への権限と財源を移譲していくことが基本であるはずであります。しかし、厚生労働省の姿勢は、権限も財源も地方へは渡さない、そして、国の財政負担を軽くしてその分負担を地方に押しつけるものでありまして、到底納得のできるものではありません。

 総理として、こうしたでたらめな厚生労働省の考え方をどうお考えになられますか。昨日は、岡田代表の質問に、総理は、各省にしっかり指示をしているということでございましたが、しかし、各省庁はさっぱり受けとめていないようであります。六団体の提案についての考え方ともども、お答えをいただきたいと思います。

 さて、次は、改善のさっぱり進まない雇用情勢についてお伺いいたします。

 雇用を取り巻く状況は厳しく、パートや派遣、業務請負など正社員でない働き方が急増し、時間外を含む長時間労働が減る気配はありません。特に女性の場合、半数以上が非正規労働になっており、男女間の賃金格差や処遇の改善も遅々として進んでいないのであります。

 パートの現状は、例えば女性正社員とパート社員との賃金格差は六六・四%と、その格差は年々拡大をしています。これを放置することは、社会全体としての雇用の二極化を認めることであり、機会均等とは言えない状況の放置であります。

 私たち民主党は、既に、正社員とパートの均等待遇法案を衆議院に提出しております。同一価値労働同一賃金という均等待遇と、厚生年金など社会保険の適用拡大の実現について、総理の見解を求めたいと思います。(拍手)

 雇用のもう一つの問題は、長時間労働であります。今、三十代男性勤労者のうち、一日十二時間以上労働している人が二四%もいるのであります。このような残業をやめることで百六十万人の雇用が、有給休暇を消化することで百五十万人の雇用が生まれると言われています。

 サービス残業はもちろん論外ですが、私たちが働き方と暮らし方を変えて、長時間労働をやめ、休暇をきちんととることのできる社会にしていかなくてはなりません。そのことで、家族と家庭の機能、役割を回復することもできるのであります。

 小泉総理、雇用のあり方や働き方について、政府の責任を放棄することなく社会的な合意、コンセンサスを得るためにどのような努力をされるのか、お答えをいただきたいと思います。(拍手)

 小泉総理、こうした現在の国民生活の実態、日本社会の現状を考えますと、やるべき優先課題が何であるかがはっきり見えてきたと思います。それは、年金を含めた社会保障制度の改革であります。

 今月から厚生年金保険料の引き上げが始まりましたが、みんな怒っています。抜本的な改革が行われず、数多くの問題が先送りされる中で、負担増と給付減を押しつけられたからであります。今回の政府が強行した年金改正で、若い世代の年金不信を払拭することができましたか。国民年金や厚生年金の空洞化、あるいは第三号被保険者の問題など負担がばらばらなこと。負担の上限と給付の下限も、政府の当初の説明以上に負担は重く給付は少ないことが明らかになり、不信を募らせているのであります。

 総理、多くの問題が先送りされていること、百年安心できる制度設計ではなかったことなど、国民のこれらの年金不信に対してお答えをいただきたいと思います。(拍手)

 私たち民主党は、何よりも年金の抜本改革が大切であると受けとめ、最優先課題として取り組んでいく決意であります。

 第一に、年金制度一元化についてお尋ねしたいと思います。

 私たち民主党は、公平でわかりやすい、安心の持てる年金制度をつくるために、年金制度を一元化し、すべての人が所得に比例して保険料を納め、納めた保険料に比例して年金を受給することのできる所得比例年金を創設いたしますとともに、税を財源とする最低保障年金をつくり、高齢者の生活を保障する年金制度にすることを目指しています。その実現に向かって全力を尽くすことを国民の皆さんにお約束をいたします。(拍手)

 現在の年金制度は、職業、働き方によって加入する年金制度が異なります。どのような職業、働き方であっても公平な年金制度にすること、すべての人が同じ年金制度に加入することができるように制度を一元化することこそが求められていると思うのであります。

 しかし、与党の中では、いまだに国民年金を含めた年金制度の一元化に強い抵抗感を示す発言がなされています。総理は年金制度の一元化が望ましいと発言されてきましたが、それは国民年金を含めた一元化であると、ここではっきりと明言していただきたいと思います。また、総理が設置した社会保障懇談会では、総理は一元化に向けての明確な方向性を示しているのでしょうか。その点もあわせてお答えをいただきたいと思います。

 さて、次は、年金の財源についてであります。

 総理は、自分の在任中は消費税を上げるつもりはない、しかし議論は自由にやってほしいとか、二年後のことを束縛する気はありませんと、無責任な答弁をされています。そして、実質的には消費税議論を封印しているのであります。なぜ無責任なのか。基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に五年かけて引き上げる計画の中に、消費税を盛り込んでいるではありませんか。厚生労働省のパンフレットでも、二分の一へ引き上げる道筋として、消費税を含む税制改革でと明記されているのであります。前厚生労働大臣も認める発言をされております。

 そこで、総理にお伺いいたします。政府が行った年金改正では、基礎年金の国庫負担を二分の一へ引き上げる財源として消費税を充てることが含まれていると思いますが、含まれているのかいないのか。国民に負担を求めることについてごまかさないでほしいのであります。総理はどう考えているのか、お答えください。

 私たちは、年金制度を一元化することを条件に、年金目的消費税を創設し、将来的には最低保障年金の財源とする考えでございます。

 さて、さきの通常国会において、民主、自民、公明三党による合意が結ばれましたが、その後、実行に至っておりません。

 私たち民主党は、既に年金制度の抜本改革に関する考え方をまとめており、いつでも合意に基づいて与野党協議や衆参の厚生労働委員会の年金一元化に関する小委員会で議論をする準備ができていますし、協議のテーブルに着きたいと考えております。

 この点について、昨日の岡田代表の質問に対して、総理は相変わらず何も答えておりません。できない理由をたくさんあげつらう総理の姿に、多くの国民は失望したものと思います。

 そこで、総理にお尋ねしますが、総理はさまざまな難しい問題があると言われていますが、少なくとも民主党は、国民年金を含む一元化、納税者番号制度の導入、年金財源としての年金目的消費税の導入という一定の方向性を国民に示しています。これらの問題に解決を求められているのは総理御自身なのであります。そこから協議が始まるのであります。本心から三党合意を実現しようと考えているのか、お答えをいただきたいと思います。(拍手)

 年金制度を協議する上で必要なことは、情報の開示であります。

 さきの国会で厚生労働省が故意に行った合計特殊出生率隠しのように、将来の年金の負担と給付の問題に直結する数値が公表されないことは、年金についての十分な検討、議論を阻害するものであります。それは、厚生労働省に限りません。例えば、国民年金加入者の所得分布がどうなっているかなどは、財務省が持っている情報が開示されないとはっきりしないのであります。

 今回の反省に立って、政府の持っている情報を迅速に明らかにして、国民全体が正しい情報のもとに議論ができるようにしなければならないと考えますが、総理の認識をお伺いいたします。

 次に、無年金問題についてお尋ねいたします。

 国が学生無年金障害者となった者を放置したことに対し、違憲判決が出され、早急な救済措置が必要だということになりまして、民主党、与党からもその方向に法案が出されています。与党案は、学生と主婦についての救済は入っておりますが、国籍要件によって排除されていた在日外国人については、今後の検討課題として先送りされています。しかし、年金制度に加入したくても加入できなかった在日外国人無年金障害者に対しても、直ちに救済に乗り出すべきだと考えますが、総理の御認識をお伺いしたいと思います。

 さらに、年金を取り扱う社会保険庁の問題であります。

 同僚民主党議員がこの間国会で追及をして明らかにしてきたように、社会保険庁のとんでもないむだ遣いや流用、そして汚職事件、目を覆うばかりであります。これらがどれほど国民の年金に対する不信感を増幅したことでありましょうか。総理、このような社会保険庁の現状をどうなさるのでしょうか。民間人の任命でお茶を濁すのですか、お答えをいただきたいと思います。(拍手)

 私たちは、社会保険庁を廃止し、国税庁と統合し歳入庁にして、公正、公平、効率的な保険料徴収を行うことを提案しているのであります。

 安心と信頼の置ける年金制度や社会保障制度をつくることは、日本経済の新しいスタートのためにも必要なのであります。サービス経済化が進んだ現在の日本の経済構造のもとでは、公共事業投資より社会保障、社会福祉投資の方が、生産波及効果はもとより、雇用拡大効果はとりわけ大きいのであります。このことを総理、しっかりと認識をしていただきたいと思います。

 昨日、岡田代表が、政治と金の問題で、総理御自身関係者を説得するかどうか、このことを質問いたしましたときに、政治家は他人から言われるまでもなく、みずからの問題を説明することが重要だと答弁されました。

 伺いたいのは、総理御自身が、自民党の最高責任者である総裁として関係者を説得するのかしないのかという問題であります。再度お答えをいただきたいと思います。

 また、国会での証言の取り扱いは各党各会派で十分議論してほしいという答弁がありましたが、自民党が証人喚問や参考人招致を否決すれば実現できないのであります。今、国民の政治に対する目が厳しい中で、何としても真相を明らかにすることが信頼を回復する道だと思います。自民党総裁としてリーダーシップを発揮されるかどうか、お答えをいただきたいと思います。(拍手)

 小泉総理、あなたの行ってきた三年半の政治は、さまざまな国民の声に耳を傾けることなく、反対する声は抵抗勢力と決めつけて議論を封殺してまいりました。そして他方、戦後六十年にわたって築き上げてきた国の原則を、いとも簡単に議論なしに変えてきたのであります。イラクへの自衛隊派遣、多国籍軍への参加もそうであります。平和国家日本を構成してきたのは、武器を輸出しない、海外派兵を行わない、核武装は行わない、専守防衛に徹するといった原則ではないでしょうか。戦後、憲法のもとでつくり上げてきた原則をすべて投げ捨てて、日本はどんな道を歩むのでしょうか。

 総理、国民の願いと生活に目を向けてください。ただ郵政、郵政と叫ぶことではなく、ブッシュ大統領に身も心もささげることでもありません。必要なことは、夢と希望を持って安心して暮らせる国民生活、そこへの長期的展望に立った着実な歩みであります。

 総理、空虚な言葉だけで何の説明責任も果たさない無責任な政治、パフォーマンス政治、ワンフレーズ政治、ワイドショー政治とやゆされてきた政治はもうやめてほしいというのは、多くの国民の思いであります。

 今日の国民の置かれている生活の状況、社会の状況を明らかにして質問いたしました。率直な、そして真摯な御答弁を心から御期待申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 横路議員にお答えいたします。

 経済の現状についてのお尋ねです。

 日本経済は、地域や企業間で格差があるものの、個人消費、設備投資を中心に、民間主導で堅調に回復しております。失業率は、ピークの五・五%から四・八%へ低下し、有効求人倍率も、十一年ぶりの高水準、〇・八三となっております。賃金は横ばいで推移していますが、家計の消費は緩やかに増加しております。

 引き続き、個人や企業の挑戦する意欲と地方の自主性を引き出すための改革に全力を挙げ、民間需要主導の持続的な経済成長を図り、改革の成果を地域や中小企業にも広く浸透させてまいりたいと思います。

 小泉改革が目指す社会についてでございます。

 私が進める構造改革は決して弱者を切り捨てるものではございません。自助と自律の精神のもと、国民一人一人や企業、地域が主役となり、努力が報われる、安心して再挑戦できる、自信と誇りに満ちた明るい社会の実現を目指すものであります。

 これまで、雇用・中小企業のセーフティーネットの確保に万全を期すとともに、一円の資本金でも会社を起こせるようにするなどの新規起業の促進策、構造改革特区、都市再生など地方の意欲や挑戦を尊重した地域経済の活性化策、持続的な制度の構築に向けた社会保障制度改革に取り組んでまいりました。

 引き続き、改革を進めて、地域や多くの国民が持っている潜在力が自由に発揮されるような活力ある経済社会の構築に向けて全力で取り組んでまいります。

 自殺者、ホームレス、生活保護受給世帯の増加についてでございます。

 これらの増加につきましては、バブル崩壊後の長期にわたる我が国経済の低迷が大きな要因の一つとなっていると考えております。政府としては、精神面、経済面で問題を抱えた方々が勇気と誇りを取り戻して再び安定した生活を送れるよう、それぞれの方の実情に応じたきめ細やかな自殺予防対策の推進と自立・就労支援対策の強化に努めていく考えであります。

 三位一体の改革について、厚生労働省及び地方団体の提案についてでございます。

 三位一体の改革につきましては、関係大臣に対し、地方が活発な議論を重ねてまとめられた改革案を真摯に受けとめ、積極的に各論、具体論を出して議論を深めて、改革案の実現に向けて率先して責任を持って取り組むよう指示しております。

 現在、関係大臣は、私の指示に従い、地方団体との協議等、改革の具体化に向けさまざまな検討を進めている過程でありまして、この結論が出るまでにはさまざまな議論が行われると思いますが、いずれにしても、年内には、今年度の一兆円に加え、来年度からの二年間に行う約三兆円の補助金改革、税源移譲、地方交付税改革の全体像を決定いたします。

 パートタイム労働者の待遇と社会保険の適用拡大でございます。

 パートタイム労働者の待遇については、正社員との格差拡大に対応するために改正したパートタイム労働指針に基づき、正社員との均衡処遇の確保に努めてまいります。

 また、短時間労働者への厚生年金などの適用のあり方の見直しにつきましては、社会経済の状況、短時間労働者が多く就業する企業への影響等を十分踏まえる必要があります。

 今回の年金改正法においては、短時間労働者に対する厚生年金の適用について、法律の施行後五年を目途として総合的に検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずるものとしたところであり、この規定を踏まえつつ、社会保険の適用のあり方の見直しについて検討を進めてまいります。

 長時間労働の抑制、休暇の取得促進についてでございます。

 長時間労働を抑制し、休暇の取得を促進することは、人々が生き生きとした生活を送るために極めて重要であると認識しております。このため、長時間にわたる時間外労働の抑制を図るための指導監督や、年次有給休暇の取得促進に向けた事業主団体による自主的な活動の支援などの対策を進めてまいります。

 国民の年金不信に対する見解でございます。

 公的年金制度は、高齢期の生活の基本的な部分を支える役割を果たしており、将来にわたり持続可能な制度とするため、長期的な給付と負担の均衡を確保する必要があります。さきの通常国会で成立した改正年金法は、こうした課題に真正面から取り組んだものであり、政府としては、その内容を国民に対し引き続き意を尽くしながら説明し、着実な施行に努めているところであります。

 現在、政府においては、経済界、労働界などの参加を得ながら、年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的見直しについて幅広く議論を進めております。今後とも、こうした議論を通じ年金制度に対する国民の信頼を高めていくよう努力してまいります。

 年金制度の一元化についてでございます。

 従来から、基礎年金制度を導入するとともに、旧三公社及び農林共済の厚生年金への統合などを順次進め、被用者年金の統一的な枠組みの形成を図っているところであります。

 御指摘の国民年金と被用者年金を通じた一元化につきましては、さまざまな形の所得をいかに公平に捕捉するのか、給付と負担の適正な水準はどうあるべきか、事業主負担のあり方など、さまざまな難しい論点があります。このため、政府においては、社会保障の在り方に関する懇談会において、社会保障制度の一体的見直しとともに、こうした年金の一元化問題についても幅広い議論を行っていただいております。

 基礎年金の国庫負担引き上げ財源については、さきの通常国会で成立した年金改正法の附則において、平成十六年度から着手し、平成十七年度及び平成十八年度において所要の税制上の措置を講じた上で適切な水準まで引き上げ、平成十九年度を目途に所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成二十一年度までに国庫負担を二分の一に引き上げるとの道筋が法律上明記されました。これに伴う税制面の対応については、昨年末の与党税制改正大綱を踏まえ、個人所得課税、消費税を中心に税制改革に取り組んでまいります。

 年金制度改革の与野党協議についてでございます。

 提示された三点については、これまで民主党が提案されていた最低保障年金との関係など、必ずしも明らかではない点もありますが、昨日の答弁でもお答えしましたとおり、全額税方式の基礎年金と生活保護との調整、年金の財源としての保険料や税の組み合わせのあり方、年金のみならず社会保障全体の財源のあり方、事業主負担のない国民年金対象者の負担のあり方、所得の公平な捕捉など、さまざまな論点を抱える難しい問題であります。

 これらの問題に答えを出していくためには、国民的な見地から幅広い議論を行う必要があると思っております。このため、私は、これまで民主党に対し、三党合意を踏まえて早急に与野党協議を開始するよう呼びかけてまいりました。

 連合の笹森会長が、民主党は独自案と国会対策に固執せず、どうしたら国民のための制度が早く確立できるかを考え、真摯な政党間協議を行い、国民に対する政党の責任を果たすべきではないかと述べております。

 この際、改めて民主党に対し、国会で約束した合意を尊重して真摯な与野党協議を行うよう求めてまいりたいと思います。(拍手)

 なお、私が在任中消費税増税はしないと言ったことに対して、無責任だと批判されておりますが、私は、二年以内に消費税を上げるということの方がはるかに無責任だと思っております。私は、あと二年の間に消費税を引き上げる環境にはないと思っております。まずは、消費税引き上げではなく、行財政改革に徹底的に取り組むのが私の任務だと思っております。この二年の間に消費税を引き上げる環境にないと見ているから、議論は大いに結構であるが、今後とも大いに議論をしていただきたいと思います。

 情報の開示についてでございます。

 平成十五年の合計特殊出生率につきましては、公表までの事務処理が不適切であったことはまことに遺憾なことであったと考えております。年金制度に対する国民の信頼と理解を得る上で、正確な情報の迅速な公開は重要であり、今後とも一層の情報公開に努めてまいります。

 無年金障害者の問題についてでございます。

 年金を受給していない障害者の方々への対応については、さきの通常国会において、特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律案が議員立法として与党から提出され、また、無年金障害者に対する障害福祉年金の支給に関する法律案が民主党から同じく議員立法として提出され、それぞれ継続審議となっていると承知しております。

 両法案については、在日外国人の方を対象にするかどうか等について相違点がありますが、いずれにせよ、これらの法案の扱いについては、今後、立法府において議論が進められていくものと考えます。政府としても、国会での審議状況等を踏まえ、適切な対応を図ってまいります。

 社会保険庁の現状についてでございます。

 現在、民間から迎えた長官のもとで改革を進めております。予算執行の適正化の問題については、予算執行上のむだを排除するとともに、その透明性を確保するための競争入札の徹底などの取り組みを進めてまいります。

 また、社会保険庁職員一人一人が自分たちの職責を十分に自覚しつつ業務に取り組めるよう、職員の意識改革のための取り組みを進めるなど、官房長官のもとに設置した有識者会議の御意見を踏まえ、親切、迅速、正確な国民本位のサービスの実現に向けて、業務や組織の抜本的な見直しを進めてまいります。

 政治と金の問題についてでございます。

 政治家が政治資金を受け取る際には、政治資金規正法にのっとって適正に処理されなければならないのは言うまでもないことであります。まず、政治家一人一人が法律を守らなければならないことは当然であります。

 日歯連の事件については、既に裁判手続にかけられているところでありますが、およそ政治家たるものは、他人から言われるまでもなく、みずからの問題についてきちんと説明することが重要であると考えます。また、国会における証言の取り扱いについては、国会において決めるべき問題であり、各党各会派において十分議論していただきたいと考えます。(拍手)

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議長(河野洋平君) 太田昭宏君。

    〔太田昭宏君登壇〕

太田昭宏君 私は、公明党を代表して、さきの小泉総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。(拍手)

 本年は、集中豪雨や地震、火山の噴火、さらには台風が九つも上陸するなど、史上まれに見る災害に見舞われる年となりました。亡くなられた方の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、災害により困難な生活を余儀なくされておられる皆様にお見舞い申し上げます。

 脆弱国土をだれが守るか。まさに、治山治水、そして耐震は国の基本であります。今般の災害ではとりわけお年寄りなどの災害弱者に被害が集中しており、こうした観点からの総点検、見直しを行っていくべきであります。

 これからの災害対策に向けた決意、あわせて、明年に迫った三宅島への島民の方々の帰島に向けた政府としての支援、取り組みについて、小泉総理並びに北側国土交通大臣の決意を承りたいと存じます。

 さて、私は、ちょうど二年前の本院本会議において、我が国は、負の遺産の清算と二十一世紀日本の未来の創造という大きな歴史的分水嶺にあると申し上げました。そして今、負の遺産の清算から、未来を切り開くための改革を本格的に進めるときが来たと思うものであります。

 時代の変化は激しく、グローバリゼーション、少子高齢化、環境重視、治安の悪化など、社会の構造変化にどう政治が対応するか。まさに政治の役割は大きく、構想力とスピードと決定力が求められています。「民の憂い募りて国滅ぶ」との言葉どおり、私は、変化に対応するときにまず立脚すべきは庶民と現場であると思います。

 この八月、九月、公明党は、全国各地で列島縦断フォーラムを開催し、中小企業や福祉の現場で働く皆様と対話を重ねてまいりました。変化激しき時代であるからこそ、現場の声、庶民の声を聞き、国民のための改革に邁進する決意を込め、以下、何点か質問をいたします。

 我が国経済は、経済構造改革の進展、民間企業の献身的な経営努力、世界経済の景気拡大等も相まって、回復過程に入りました。景気回復を確実なものにすることこそ、今、最大の課題であります。

 原油価格の高騰や依然続いているデフレの影響、若年者の失業問題など課題は多く、特に地方や中小企業へのバックアップこそ重要であり、適切な対策を講じていくべきであります。あわせて、明年四月のペイオフ解禁に向け、着実に実施に移せるよう、金融システムの安定、特に地域金融の安定を図っていくことが不可欠であると考えますが、これらについて総理の御見解を承りたいと存じます。

 次に、経済再生のかぎである地域再生について、具体的にお伺いいたします。

 中小企業、地場産業、商店街を成長のエンジンにすることなくして、地域の再生はありません。ところが、近年、全国の歴史も名もある商店街が荒廃する事例が相次いでいます。よく見ると、商店街の中心の大型店舗が閉店したと思ったら、急速にシャッター商店街に変貌してしまう。これら大型店の閉店は、その約七割が、より大規模な店舗が郊外に立地したことが原因と言われます。

 中長期の観点から都市計画、さらに言えば地域のコミュニティーのあり方、特にまちづくりには生活環境概念を大きく取り入れることなどの検討が不可欠であり、また、都市計画において、隣接する市町村などとの広域的な調整が必要だと考えます。

 まちづくり三法の施行等から六年、ここで現状を踏まえて抜本的に見直し、都道府県の総合的な都市計画の調整機能を強化すべきであると考えます。また、チェーン店と地域との共生やまちづくり条例の制定支援が大切だと思いますが、政府の見解を伺います。(拍手)

 次に、中小企業対策についてであります。

 我が党は、無担保無保証融資や売り掛け債権担保融資制度といった中小企業の資金調達の円滑化、さらには創業・ベンチャー企業への融資、個人保証の見直し、経営革新に挑戦する中小企業への融資の拡充などを訴え、その導入、拡大がなされてきております。

 景気の回復によって民間金融機関の中小企業融資増加への兆しは出てきましたが、なお公的金融機関の役割は大きいと考えます。特に、無担保無保証融資の拡大、資金調達の円滑化、多様化をさらに進めるとともに、新進気鋭のベンチャー起業家、若手・女性経営者を初め、なお民間資金調達が困難な企業や個人に対しての支援をより一層図っていくべきと考えます。地域小規模事業者のための相談指導体制の強化やSBIRの拡充等も含め、中小企業対策についての総理の認識をお伺いいたします。

 住宅基本法の制定について申し上げます。

 少子高齢化、国民の住宅ニーズの多様化や家族形態の変化、地方分権の進展など、住宅をめぐる環境は大きく変わってきております。私は、少子高齢化や階層分化が指摘される中で、住宅はますます社会安定の基盤であるとの思いを深くいたします。

 住宅のセーフティーネット機能の向上などについての公的責任とは一体何かなどについて、その理念、哲学を含め、住宅基本法として国の基本姿勢を明らかにすべきであると考えます。住宅基本法制定は我が党の十年来の主張でありますが、総理の見解を伺います。

 次に、社会保障制度改革についてお尋ねいたします。

 少子高齢社会の進行と人口減少社会に入ろうとしている我が国にとって、社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとするための改革は、もはや待ったなしであります。

 先般行われた年金制度改革に続き、平成十七年には介護保険制度改革、そして平成十八年には医療制度改革が控えており、年金、医療、介護等を一体的にとらえた改革と財政、税制の抜本的な改革が重要であります。とりわけ医療と介護は、高齢者の保険料や自己負担のあり方、両制度の連携及び役割の明確化など、トータルな見直しの議論が不可欠であります。

 そうした観点から、本年五月六日には、自民党、公明党、そして民主党の三党間において、年金の一元化問題を含めた社会保障制度全般の一体的見直しなどを内容とする三党合意が交わされました。与党としても、公党間の約束に従って早急に議論を開始すべきであると、野党第一党である民主党に重ねて強く申し上げる次第であります。(拍手)

 他方、政府でも、社会保障の在り方に関する懇談会が発足し、税、保険料等を含めた負担と給付のあり方など、制度の一体的な見直しの議論がスタートしています。財源も含めた社会保障制度改革のビジョンについて、総理のお考えを伺います。

 少子化対策については、平成十五年の合計特殊出生率が一・二九と過去最低となるなど、国を挙げた取り組みが喫緊の課題となっております。

 これまで、新エンゼルプランや待機児童ゼロ作戦に基づき、子育てと仕事の両立支援策が強化され、また、昨年は、次世代育成支援対策推進法や少子化対策基本法が成立し、国、地方自治体、企業等が一体となって次世代育成支援に取り組むための枠組みがつくられました。さらに本年六月、少子化対策大綱の策定によって、今後の政府の取り組みの方向性が示されました。

 持続的な社会保障制度の基盤を支え、また、これら次世代育成支援施策の効果的な推進を図るためにも、新エンゼルプランにかわる新たな次世代育成プランの策定を急ぎ、総合的な取り組みが必要と考えますが、厚生労働大臣のお考えを伺います。

 若年雇用問題についてお伺いいたします。

 平成十五年のフリーター数が二百十七万人に達し、また最近では、無職で、教育や職業訓練を受けていない若年無業者、いわゆるニートの数は五十二万人とも言われております。こうした若者に対し、実情を踏まえた幅広い就業支援策を打ち出すべきであります。公明党の主張によって、若年者トライアル雇用やジョブカフェなどの施策が実現し、また、来年度から若者人間力強化プロジェクトが始動する予定ですが、教育段階からの職業意識の形成等、一人一人に即したきめ細かな取り組みが必要であります。

 若年雇用問題、ニートに対しての認識とさらなる支援策について、総理並びに厚生労働大臣の御見解を伺います。

 郵政事業の民営化についてであります。

 去る九月十日、郵政民営化の基本方針が閣議決定され、方向性、骨格が大枠として示されました。民営化問題における制度設計の前提となる事項等につき、簡潔に総理のお考えをお聞きしたいと存じます。

 第一点は、民営化の目的、必要性について、国民の皆様に改めて総理の言葉でわかりやすくお示しいただきたい。

 第二点は、今般の基本方針はあくまでも基本方針であって、これからの詳細な制度設計の取りまとめの中で、全体像の提示など、政府・与党間での緊密な議論と合意形成、並びに国民への説明責任を果たしていく必要があると考えます。取りまとめの時期、法案策定・提出までのスケジュール、与党との調整についてお尋ねをしたい。

 第三点は、民営化の基本五原則、すなわち利便性原則、配慮原則、活性化原則、整合性原則、資源活用原則に忠実に従って制度設計を行っていただきたいという点であります。民営化はあくまでも国民利便性の向上のためであり、仮にも競争の導入に名をかりた国民サービスの後退、低下等があってはなりません。また、現在頑張っている四十万人職員の方々の雇用の安定の確保について、明確な御見解を伺います。

 次に、三位一体改革であります。

 そもそも三位一体の改革とは、従来の中央省庁主導の縦割り画一行政を打破し、地域における個々の政策判断を住民主導で行うシステムに切りかえ、真に自立した地方自治体を目指すという地方分権の土台の改革であります。また同時に、二十一世紀の国と地方のあるべき姿の構築に向けた大きな国家ビジョンの踏み台であると考えております。

 その意味で、財政論のみでなく、こうした本来の原点、目的に立ち返って、国の担うべきもの、地方にゆだねるべきものとを十分に論議を尽くしていくべきだと考えます。小泉総理の見解を伺います。(拍手)

 教育は、今最も重要な問題です。

 私は、かねてより、今日の教育にあって最も取り組むべき課題は三つあると訴えてきました。第一に大学改革、第二に学力低下の問題、第三に不登校、学級崩壊などの問題、この三点であります。政府は、この三つの課題についてどのような認識を持ち、対策を考えておられるのか、総理並びに文部科学大臣にお聞きいたします。

 その上で、公明党のこれまでの主張は、学校、家庭、地域が相互に連携し合い、地域が学校を支えていく、開かれた学校のシステムを構築していくことであります。

 具体的には、学校長を中心として、保護者や地域住民などが学校運営に参画していく学校運営協議会制度の全国展開、また、兵庫県のトライやる・ウイークのような、子供たちが学校を出て、地域の方々の御協力を得て行う一週間程度の職業体験活動をすべての中学校に導入することを提案いたします。また一方で、学校の安全確保も重要であり、学校安全警備員、すなわちスクールガードを小学校に配置することを提案いたしますが、文部科学大臣のお考えを伺いたい。

 同時に、教育にとって重要なのは、やはり教師であります。教育改革は教員改革であると言っても過言ではありません。河村前大臣は義務教育改革案として教員育成の大幅改革を提唱され、今後、中央教育審議会で検討されると伺っております。私も、教員になるための教育実習の期間を大幅に拡充することや、今後、教員の養成期間を専門職大学院に広げていくなどの諸改革をする必要があると認識します。文部科学大臣の御所見を伺います。

 イラク問題について申し上げます。

 イラク情勢は、依然、予断を許さぬ状況にあります。私は、昨年六月、イラクを訪問して以来、一貫して、イラクの民生の安定こそ平和の礎であり、電気、水、医療、そして雇用など広範な人道支援が大事である、自衛隊派遣もまた人道復興支援に徹することだと主張してまいりました。

 先日、自衛隊が派遣されているサマワを県都とするムサンナ県のハッサーニ県知事等と意見交換をいたしました。ハッサーニ知事は、イラクにおける自衛隊や外務省の努力を高く評価し、イラク国民が苦しんでいるときに自衛隊は適切な支援をしてくれた、サマワ市民も大歓迎しているとして、日本の復興支援が、サマワだけでなく南部の他地域やイラク全体にとってよいモデルになっていることを強調しておりました。さらに知事は、電気などの基礎インフラがまだ不十分である、新しい、長期にわたる広範なプロジェクトをお願いしたいと言っておりました。

 サマワの安定に自衛隊が果たした役割は大であり、ムサンナ県が他の地域のモデルになっている状況をさらに一歩進めることが、イラクの復興、さらには日本・イラク関係の今後に重要だと考えます。政府の具体的な意思を示していただきたいと思います。

 次に、北朝鮮問題についてであります。

 政府においては、依然、安否不明の十人を初めとする拉致問題の全面解決へ向け、対話を基本としつつも、経済制裁等も選択肢とした毅然たる対応を含め、最大限の努力をしていただきたい。そして、国際社会の責任ある一員となることが北朝鮮の利益に最もかなう選択であることを粘り強く説得していただきたいと思います。日朝平壌宣言を踏まえ国交正常化に取り組むのは当然として、今大事なことは、米韓両国との緊密な連携、中国、ロシアや国際機関とも協力しつつ、北朝鮮に対し、核兵器開発の放棄を強く求めることであります。

 政府の拉致問題解決へ向けての具体的な取り組み、そして、六カ国協議の再開の見通しについてお答えいただきたいと存じます。

 最後に、政治と金の問題について質問をいたします。

 政治に対する国民の信頼、これこそ改革の原点であります。しかし、日本歯科医師連盟の一億円の献金問題は、国民の政治に対する信頼を大きく失墜させました。

 政治と金については、政治家一人一人が常に襟を正していくとともに、再発防止策を講じなければなりません。第一には、政党及び政治資金団体以外の政治団体間の寄附については、青天井ではなく、年間限度額など一定の量的制限を設けること。第二には、政治団体間の寄附については、手続のより透明化を図るために銀行振り込みなどを義務づけることであります。

 これらの課題に関しては、政治への信頼回復に向け、特に、今般の問題の発端となっている自由民主党自身が、疑惑について国民にその事実を明らかにするとともに、真摯に取り組まれんことを、連立を組む友党として強く要望するものであります。

 小泉総理に対し、その決意をお伺いし、私の代表質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 太田議員にお答えいたします。

 連立与党としての日ごろからの御協力と建設的な御提言、感謝申し上げます。

 災害対策と三宅島の帰島対策でございます。

 高齢社会に即した災害対策については、防災担当大臣のもとに有識者等による検討会を設置して、対策の見直しと充実を図ります。特に、ひとり暮らしや介護を必要とする高齢者について、災害時の援助者を定めるなど救援プランの策定を自治体に働きかけるほか、こうした高齢者に関する情報を災害時に消防や警察などの救援担当機関が活用できる仕組みなど、必要な施策を速やかに講じてまいりたいと考えます。

 三宅島の帰島対策については、三宅島帰島対策関係省庁等連絡会議を設けて、必要な支援を行ってまいりました。三宅村は来年二月に避難指示を解除する予定ですが、政府としては引き続き、三宅村及び東京都から、村民の安全確保対策、基盤整備、生活再建対策などに係る考えをよく聞いて、三宅村の皆様が円滑に帰島できるよう万全を期してまいります。

 景気回復を確実なものにするため、適切な対策を講じていくべきではないかとの御指摘でございます。

 景気は、個人消費や設備投資を中心に民間主導で堅調に回復しておりますが、他方、回復の状況につきましては、地域間にばらつきが見られております。また、中小企業をめぐる環境については、大企業に比べてまだまだ厳しいものがあると認識しております。

 こうした認識のもと、政府としては、改革の成果を地域や中小企業に広く浸透させ、民間需要主導の持続的な経済成長を実現するため、地域再生の取り組みの推進、やる気と能力のある中小企業に対する支援等を推進してまいります。

 ペイオフ解禁拡大に向け、地域金融の安定を図ることが不可欠であるとの御指摘でございます。

 ペイオフの解禁拡大に向けては、金融機関に対する預金者等の信認を確保し、金融システムの安定を図っていくことが重要であります。このため、地域金融についても、引き続き、地域密着型金融の機能強化に向け、健全性の確保等を図りつつ、中小企業の再生と地域の活性化を図るための取り組みを着実に推進してまいります。

 まちづくり三法についてでございます。

 中心市街地の現状については、人口や年間販売額の点で、一部では改善傾向が見られるものの、全体としては厳しい傾向にありまして、その活性化が地域再生の観点から重要な課題となっていると存じております。このため、地域の創意と工夫に基づくまちづくりを支援するまちづくり交付金の創設などの措置を講じてきたところでありますが、さらに、御指摘の点も踏まえ、広域的な調整機能の強化など、中心市街地の活性化に必要な総合的対策について検討してまいります。

 中小企業対策ですが、やる気と能力のある中小企業がその力を発揮できるよう、担保や保証人に依存しない融資の拡大、中小企業に対する相談指導体制の充実、中小企業技術革新制度の拡充等、総合的な中小企業政策を強力に進めてまいります。

 住宅基本法の制定についてでございます。

 少子高齢化が進み、国民にはさまざまな要望が多様化しております。豊かな住生活を実現していくためには、従来の、つくっては壊すから、いいものをつくって大切に長く使う、こういう社会に移行する必要があると思っております。このため、良質な住宅ストックを有効に活用する観点から、例えば中古住宅流通や住宅リフォームの役割が重要になっております。また、民間にできることは民間にとの観点から、公団住宅に続き、公庫融資等の主要な政策手段を抜本的に改革するなど、住宅政策全般について見直しを行う必要があると考えております。

 住宅基本法の制定については、住宅政策全般の見直しの中で、基本法制のあり方として検討すべき課題であり、新たな住宅政策の理念や目標、国の役割等について国民の間での十分な合意が醸成されるよう、さらに幅広い検討をしてまいります。

 財源を含めた社会保障制度改革についてでございます。

 社会保障制度を持続可能で安定的なものとしていくためには、年金のみならず、医療、介護、生活保護等の各分野における総合的な改革を進めていく必要があります。

 このため、先般の年金改正法の審議を通じて、年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的な見直しについて議論を進めていく旨の三党合意がなされております。与野党が立場を超えて早急に協議を行うことが必要であると考えております。一方、政府としては、既に、社会保障制度全般について、税、保険料の負担と給付のあり方などを幅広く議論を進めるための社会保障の在り方に関する懇談会を設けて、その議論を進めております。

 こうした議論を踏まえまして、安心して暮らすことができる社会保障の構築に向け、全力で取り組んでまいりたいと考えます。

 若年者の雇用問題でございます。

 御指摘のとおり、近年、フリーターに加え、働いていない、しかも教育も訓練も受けていない、いわゆるニートと呼ばれる若年者が増加しております。ノット・イン・エンプロイメント・エデュケーション・オア・トレーニング、これを略してニートと言っているそうであります。このような状況が続くと、本人にとっては技能、知識の蓄積がなされない一方、産業や社会を支える人材の育成が図られず、将来の我が国経済社会に与える影響は重大であると認識しております。

 このため、昨年六月に策定した若者自立・挑戦プランを強化して、新たに若年者の働く意欲や能力を高める施策に取り組むなど、総合的かつきめ細かな対策の展開に努めてまいりたいと考えます。

 郵政民営化の目的、必要性についてでございます。

 官から民へという方針のもとに、全国津々浦々の郵便局ネットワークを生かして、より便利なサービスが提供されること、郵貯、簡保約三百五十兆円の資金が民間で効果的、効率的に使われること、約四十万人の公社職員が民間人となり、小さな政府の実現に資すること、郵政公社に対する見えない国民負担が解消されること等を通じて、構造改革を一層前進させ、国民に大きな利益をもたらすことにあります。

 また、現在の郵政事業は、郵便局では郵便、郵貯、簡保しか取り扱えない等、業務範囲が制限されております。法人税等が非課税であること等、民間企業と対等な競争条件となっていないこと等の問題点もあります。これを解消し、経営の自由度を高め、民間企業と対等な競争を行って経済を活性化するとともに、よりよいサービスを提供して国民の利便性を向上させるためには、郵政民営化を実現することがぜひとも必要であると考えております。

 郵政民営化の法案策定、提出までのスケジュール、与党との調整についてでございます。

 今後、法案は先般閣議決定した基本方針に忠実に策定すること、簡素かつ一貫性のある制度、法律構成、組織であること、制度設計のプロセス、手続が透明であることという三つの指針にのっとって、与党等とも緊密に調整を行いつつ、詳細な制度設計の取りまとめと法案作成を行い、次期通常国会に法案を提出する考えであります。

 郵政民営化の制度設計に関する方針と職員の雇用についてでございます。

 先般、郵政民営化の基本方針を閣議決定し、その中で、民営化を進める上での五つの基本原則を踏まえ民営化を実現することとしており、今後、制度設計に当たっては、御指摘の基本五原則を十分踏まえて検討してまいります。

 また、職員の雇用の確保については、基本方針において、民営化時に公社職員である者は新会社の職員となることとしており、制度設計において反映してまいります。

 三位一体改革についてでございます。

 地方にできることは地方にとの理念のもと、これまでの地方分権改革の流れの中で議論されてきた国と地方の役割分担の考え方を前提として、それを財政面において担保する税財源のあり方について検討を行うべきものであると考えております。

 先般、関係大臣に、地方団体のまとめた補助金改革案を真摯に受けとめ、積極的に取り組むように指示したところであります。政府一丸となって、地方とも協議を行いつつ、年内には、補助金、税源移譲、地方交付税、これらの改革の全体像を決定したいと思います。

 教育問題への対策でございます。

 国づくりの基盤となるのは人であります。家庭、地域、学校が一体となって、新しい時代を切り開くたくましい人材を社会全体で育てていかなくてはなりません。このため、国立大学法人化等を通じた活力に富み国際競争力のある大学づくり、少人数授業や習熟度別指導による確かな学力の育成、スクールカウンセラーなどの教育体制の充実など、人間力向上のための教育改革に全力を尽くしてまいります。

 イラクのムサンナ県に対する支援についてでございます。

 我が国は、イラクにおいて、自衛隊を初めとする人的貢献とODAによる支援を車の両輪として進めていくこととしております。サマワを中心とするムサンナ県においても、水、衛生、医療、公共施設の復旧整備等の分野を中心として、特に市民の生活基盤の再建に重点を置いた復興支援を行ってまいります。今後とも、雇用拡大効果にも十分配慮し、ムサンナ県への支援を積極的に実施していく考えであります。

 拉致問題と六者会合についてでございます。

 安否不明の拉致被害者に関する真相解明は、喫緊の課題であります。次回実務者協議の進め方にも工夫をして、再調査の迅速な進展とその結果の速やかな提示につき、引き続き北朝鮮側に強く働きかけていく考えであります。

 また、我が国を含めた関係国は、六者会合を通じて北朝鮮の核問題を平和的に解決するとの立場を堅持しております。政府としては、次回会合を早期に開催すべく、引き続き関係国と緊密に協力しつつ、外交努力を重ねていきたいと思います。

 政治と金の問題についてでございます。

 政治家一人一人が、この政治と金の問題については、常に襟を正していかなければならないと思います。政治家というのは、人から言われるまでもなく、みずからにかかわる疑惑についてはきちんと説明することが重要であると考えます。

 また、不祥事の再発防止のため、政治資金を広く、薄く、公正に得るとともに、その透明性を確保する明確なルールをつくり上げる必要があると考えております。

 具体的な改正案については、現在自民党において議論をしておりますが、御指摘のとおり、公明党からも貴重な意見をいただき、また、野党からも提案が出されております。なるべく早期に、国民の幅広い理解が得られる内容がまとまるよう、与党を初め各党各会派間で議論を深めていくべきものと考えております。そのような議論を踏まえつつ、政府としても必要な検討を進めてまいります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣中山成彬君登壇〕

国務大臣(中山成彬君) 太田議員にお答えいたします。

 三つの質問をいただきました。

 まず、今日の教育にあって最も取り組むべき大学改革、学力低下の問題、不登校、学級崩壊などの問題に関する認識及びその対策についてのお尋ねでございます。

 大学改革に関しましては、これまで、教育研究の高度化、高等教育の個性化、組織運営の活性化等の観点に立って積極的に推進してきておりまして、特に最近におきましては、国立大学の法人化、大学の設置認可の弾力化や認証評価制度の導入等の大きな改革を実現しております。今後とも、中央教育審議会の審議を踏まえながら、積極的に大学改革を推進してまいります。

 学力低下の問題に関しましては、国際的な学力調査の結果によりますと、我が国の子供たちの数学及び理科の成績は国際的に見て上位に位置しておりますが、学習意欲などに課題が見られます。このような状況を踏まえ、確かな学力の向上を図るため、教職員の定数改善を進め、少人数授業や習熟度別指導を推進するとともに、学力向上のためのアクションプランを進めてまいります。

 不登校やいわゆる学級崩壊などの問題に関しましては、教育上の重要な課題と認識しておりまして、わかる授業、楽しい学校の実現や心の教育の充実、スクールカウンセラーの配置など教育相談体制の整備、学校、家庭、地域、関係機関の連携の推進などの施策に取り組んでまいります。今後とも、不登校やいわゆる学級崩壊に対する取り組みを推進してまいりたいと考えております。

 次に、地域が学校を支えていく開かれた学校のシステムを構築していくための取り組みについてのお尋ねでございます。

 学校は地域社会を基盤として存在するものでありまして、充実した学校教育の実現には、学校、家庭、そして地域社会の連携協力が不可欠であります。文部科学省といたしましては、地域に開かれた信頼される学校づくりに向けて諸般の改革に取り組んでいるところでございます。

 まず、御指摘の学校運営協議会制度につきましては、さきの通常国会において所要の法改正が行われまして、本年九月より施行されているところであります。文部科学省といたしましては、この制度の全国的な展開が図られ、保護者や地域住民の参画による学校づくりが進められるよう、その普及定着に努めてまいります。

 また、兵庫県のトライやる・ウイークのような職業体験活動を中学校に導入する取り組みは、生徒の勤労観、職業観をはぐくむ上で大きな効果を上げていることから、国としても、このような取り組みを全国的に展開できるよう積極的に推進してまいります。

 さらに、学校においては、子供が安心して教育を受けることができるよう、家庭や地域の関係機関等と連携しながら学校の安全を確保することが重要です。このため、文部科学省でも、人的警備を必要とする小学校において、地域のボランティアがスクールガードとして安全かつ効果的に学校警備に参加できるような体制が整備されるよう支援してまいりたいと考えております。

 最後に、教員養成改革の必要性についてのお尋ねでございます。

 教育は人なりと言われるように、すぐれた教員を養成確保することは極めて重要な政策課題であります。高度の専門性と実践的な指導力を有する教員を養成する上で、御指摘の教育実習の充実や教員養成を専門職大学院に広げていくことは極めて有意義であると考えております。このため、文部科学省といたしましては、本年八月の義務教育改革案等を踏まえまして、今後、中央教育審議会において、教員養成、免許制度のあり方について幅広く御論議をいただき、所要の改革を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣尾辻秀久君登壇〕

国務大臣(尾辻秀久君) 少子化対策についてのお尋ねがございました。

 これまでもさまざまな角度から取り組みを進めてまいりましたけれども、残念ながら、少子化の流れを変えるには至っておりません。この状況に対応するために、お話のございました待機児童ゼロ作戦を初め各般の施策について、改めて、政府、地方公共団体、企業など、国を挙げての取り組みを進めていくことが必要でございます。

 このためには、御指摘のとおり、働き方の見直しを初め、教育、住宅等の分野も含めた総合的な取り組みが必要でございます。本年中に策定いたします新新エンゼルプランにおきましては、総合的な取り組みをどのように進めていくのかが目に見え、子供を産み育てやすい環境整備が進められているという実感を持っていただけるような計画づくりを進めてまいります。

 次に、若者の雇用問題についてお尋ねがございました。

 基本認識につきましては、総理がお答えしたとおりでございまして、早急に対策を講ずる必要がございます。このため、厚生労働省といたしましても、昨年六月に策定いたしました若者自立・挑戦プランを着実に推進してきたところでございますけれども、平成十七年度におきましては、若年者雇用への関心を喚起する国民運動の推進、働く意欲の涵養、向上を図る取り組みなど、新たに若者の働く意欲や能力を高める総合的かつきめ細かな対策として、若者人間力強化プロジェクトを推進いたします。

 これらの取り組みにより、若者の働く意欲を引き出すとともに、その能力の向上を図り、就業に結びつけてまいります。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 今後の災害対策の考え方についてお尋ねがございました。

 ことしは、七月の新潟、福島、福井の梅雨前線による豪雨に続き、台風が相次いで上陸し、多くの人命や財産が失われる水害、土砂災害が発生いたしました。先般、台風二十一号の後に、私は、愛媛県、また香川県を視察させていただきました。人的被害、また経済的損失の大きさを目の当たりにしたわけでございますが、上空からヘリで視察をさせていただきましたところ、至るところで山腹崩壊による山肌が見え、豪雨災害の悲惨さというものに強い衝撃を受けたところでございます。

 今回の災害では、最近の気候変動により、かつて経験したことがない豪雨による土砂崩れや堤防決壊など、これまでの河川、砂防等の整備だけでは十分に対抗できない状況が多く見られたわけでございます。避難勧告をどう的確に判断するか、防災情報をより早く正確にどう伝達、提供するか、また、御指摘のございました高齢者等の円滑な避難をどう進めるかなどに関する課題も明らかになったわけでございます。こうした課題にしっかり取り組みをさせていただきたいと考えております。

 水害や土砂災害から国民の生命財産を守るのは、国の最も基本的な責務でございます。今回の災害の迅速な復旧に全力を尽くすのはもちろんでございますが、既に堤防等の緊急点検を行ったところでございます。また、関係府省と連携し、リアルタイム情報の提供、地域の水防体制の強化、より高度な防災気象情報の伝達など、総合的な検討を開始しているところでございます。

 特に、市町村が作成する洪水ハザードマップについては、現在、作成済み市町村は、いまだ三百三十四市町村にとどまっております。これが全国で早期に整備されるよう強力に支援してまいりたいと思います。

 また、今回の災害にかんがみ、中小河川等の整備と管理のあり方などについても検討し、集中豪雨による水害や土砂災害対策について抜本的な取り組みを推進してまいる決意でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

    〔議長退席、副議長着席〕

副議長(中野寛成君) 志位和夫君。

    〔志位和夫君登壇〕

志位和夫君 日本共産党を代表して、小泉首相に質問します。(拍手)

 質問に先立って、私は、この間の連続した豪雨・台風災害で被災された皆さんに、心からのお見舞いを申し上げます。そして、政府が、被災された方々の生活基盤の再建のために、制度改善を含めた万全の対策を講じることを強く求めるものであります。

 まず、首相の政治姿勢の根本にかかわって、二つの問題について伺います。

 一つは、政治と金の問題です。

 日本歯科医師連盟から一億円ものやみ献金を受け取りながら、記憶にない、責任はないという、余りに庶民の感覚とかけ離れた橋本元首相の言動に、国民の怒りが集中しました。やみ献金問題の真相を徹底的に究明するために、関係者の証人喚問を強く求めるものであります。

 同時に、私が強調したいのは、小泉首相にとって、事は他人事ではない、自民党総裁としての政治姿勢が問われる自民党組織ぐるみの疑惑であるということであります。年間五億円前後に上る日歯連から国民政治協会への献金の大半が受け取り先の議員名を指定したものであり、自民党本部を経由して各議員に流れる迂回献金だったという疑惑が広く指摘されています。迂回献金は、政治家個人への献金を禁止した政治資金規正法に反する脱法行為であり、資金のわいろ性を隠すための極めて悪質な手口であります。

 首相に伺いますが、迂回献金が脱法、悪質なものだという認識がそもそもありますか。この腐敗構造を根絶する上でも、政治家個人に対する献金禁止にとどまらず、政党に対する献金も含めて、企業・団体献金の全面禁止に踏み込むべきではありませんか。

 政党へのものであれ、個人へのものであれ、企業・団体献金が政治を金で買うわいろであることには変わりはありません。政党の政治資金を企業献金から個人献金に切りかえていくということは、首相の諮問機関の選挙制度審議会も、発足以来、繰り返し答申してきたことであります。大体、政党助成金という国民の税金を三百億円も山分けした上、企業・団体献金を未来永劫続け、拡大するなど、到底国民が納得するものではありません。総理の答弁を求めます。(拍手)

 いま一つは、イラクの大量破壊兵器の問題です。

 六日、米調査団は、昨年三月の開戦当時、フセイン政権はいかなる大量破壊兵器も保有せず、開発計画もなかったとする最終報告を発表しました。これは、ブッシュ政権によるイラク戦争の口実が完全に破綻したことを意味するものです。同時に、米国の言い分をうのみにし、イラクが大量破壊兵器を保有していると断定し、それを戦争支持の最大の理由とした小泉首相の政治責任が厳しく問われております。

 ところが、首相と政府は、この米報告書に対して、米国の立場と日本の立場は違うなどと述べ、相変わらず、かつてイラクが大量破壊兵器を保有し、使用したことは事実だ、イラクが国連の査察を拒否したことが問題だと繰り返し、日本政府の判断は正しかったとする立場に固執しております。

 それでは、私は聞きたい。

 かつて保有し、使用したというのは、一体いつのことなのか。米報告書では、イラクの大量破壊兵器開発能力は湾岸戦争直後の一九九一年に基本的に破壊されていたと述べています。首相は、それ以後の時期にイラクが大量破壊兵器を保有し、使用したとでもいうのでしょうか。はっきりお答え願いたい。

 また、イラクが国連の査察を拒否したというのは、これも一体いつのことなのか。イラクが査察を拒否したのは、一九九八年十二月の話です。イラクは、一たんは拒否していた査察を二〇〇二年九月に受け入れ、十一月には国連安保理の決定に基づいて査察が再開していたのであります。

 総理に伺いたい。査察再開以後の時期にイラクが再び査察を拒否したという事実があるとでもいうのですか。そう主張するのならば、国連安保理のいかなる決定によってそれが認定されているのかを明示していただきたい。再開された査察を力ずくで断ち切ったのが米英軍による無法な戦争だったではありませんか。

 つまり、問われている問題は九〇年代の話ではないのです。昨年三月のイラク開戦時に、首相が戦争を支持する最大の理由として大量破壊兵器の保有を断定したことが、虚偽であったのではないかということなのです。さらに、首相が、この問題を私が党首討論でただしたことに対して、フセインも見つからないが存在していなかったと言えないとの詭弁を弄し、大量破壊兵器はいずれ見つかると言い繕って自衛隊派兵を強行した、このいずれ見つかるという言い繕いが虚偽であったのではないかということが問われているのであります。侵略戦争支持と自衛隊派兵という国の命運を左右する重大な問題で、その場その場で無責任な言動を繰り返し、二度までも国民をうそで欺いた、その政治責任が問われているのであります。

 首相、この期に及んで、あなたにはそのことへの自覚と責任、反省がないのですか。はっきりと答弁を求めたいと思います。(拍手)

 次に、国民の暮らしにかかわって緊急に問われている問題について質問いたします。

 まず、年金問題であります。

 政府は、十月からのサラリーマンの保険料値上げを皮切りに、負担増と給付減のプログラムを実施に移しています。しかし、この間も、出生率、年金納付率、厚生年金の赤字など、改悪年金法の根拠とされた数字がどれも虚構だったことが次々と発覚しています。これは、この法律が国民に約束した給付と負担の水準すら既に机上の空論になってしまっていることを意味するものではありませんか。

 総理に伺いたい。既に法律の前提が崩れてしまっているという認識を持っていないのですか。答弁を求めます。

 既に破綻が避けられないことが明白であるにもかかわらず、負担増と給付減だけは予定どおり押しつける。こんなことは、国民のだれも納得できないことであります。改悪年金法の実施は今からでも中止し、法律を白紙に戻し、安心できる年金制度へのやり直しをすべきではありませんか。総理の答弁を求めます。

 次に、介護保険の問題であります。

 政府は、来年度、導入から五年目の抜本的な制度見直しを行うとしています。今の介護保険制度の最大の構造的欠陥はどこにあるか。それは、保険料と利用料が高過ぎて、必要な介護サービスが受けられないことにあります。

 在宅サービスの利用限度額に対する利用率は、平均でわずか四割程度であります。低所得者の利用率は、その平均のさらに半分であります。内閣府の行った調査でも、一割自己負担のために介護保険導入によって低所得者の介護サービスが減少した可能性があると指摘しているほど、所得の少ない人にとって使いづらい制度になっているのであります。

 ところが、厚生労働省の見直し意見を読みますと、この最大の構造的欠陥を検討した形跡すらうかがえません。サービスがふえ過ぎた、それを減らすためにいかに負担をふやすかという話ばかりであります。

 年金を削られた上、介護でも追い打ちでは、高齢者は生きていくことはできません。所得にかかわりなく、必要なサービス、国が必要だと認定したサービスは受けられるようにする。そのために、保険料、利用料の減免制度を、多くの自治体でやっているように国の制度としてもつくる。首相、見直しというのだったら、ここに正面から取り組むべきではありませんか。答弁を求めます。(拍手)

 次に、郵政民営化について質問いたします。

 首相が幾らこれが改革の本丸だと叫ぼうと、どの世論調査を見ても、郵政民営化に期待する国民はごく少数であります。それもそのはずです。この構想そのものが、銀行業界の利益から出発したものであり、利用者である国民の利益から出発したものではないからであります。

 民営化で身近な郵便局がなくなってしまうのではないか、国民の民営化に対する一番大きな不安はここにあります。政府の基本方針では、郵貯、簡保は全国均一サービスを義務づけないとしており、これは、採算の合わない地域から郵貯、簡保が撤退すると宣言したのと同じであります。そうなれば、郵便局の経営は成り立たなくなり、全国の郵便局網はずたずたにされ、郵便の全国均一サービスもその基盤を失うことになるではありませんか。首相は、この不安にどう答えるのでしょうか。

 さらに、政府の基本方針では、民営化後の郵貯、簡保の業務内容を民間金融機関と同様にするとしていますが、今、銀行業界が進めているのは何か。少額の預金からも手数料を取り立てる、支店を閉鎖して機械に置きかえる、庶民サービスの切り捨てであります。それを進める上で国営の郵政事業が邪魔で邪魔で仕方がない、だから銀行業界のもうけのために民営化で国民サービスを切り捨てる、これが事の真相ではありませんか。

 改革というのならば、郵貯、簡保の資金を使ったむだな公共事業をやめること、郵政事業に巣くう利権と腐敗の構造を根本から断ち切ることこそ必要であります。答弁を求めます。

 最後に、在日米軍の再編問題について質問します。

 再編の中で浮かび上がっている計画の一つに、神奈川県の米軍座間基地に米国ワシントン州から米陸軍第一軍団司令部を移転させ、その司令官に在日米軍の四軍、陸海空軍、海兵隊全体を統括させるという構想があります。

 ところが、米陸軍第一軍団とは、アジア太平洋全域とインド洋、アフリカ東岸までを活動範囲としている部隊であります。首相は、その司令部を日本に置くことが、在日米軍の活動範囲を極東と定めた日米安保条約第六条に照らして許されると考えているのでしょうか。首相の基本認識を伺いたいのであります。

 アメリカが世界的規模で米軍の再編を行うというのならば、日本政府は、在日米軍の主力が、沖縄と岩国の海兵隊と、横須賀を本拠にする空母打撃群という海外遠征、殴り込み専門の部隊であるという、世界でも類例のない異常な状態から脱却することこそ真剣に考えるべきであります。

 首相は、沖縄の負担軽減を口実に、在沖縄の米軍基地の本土移転を進める、そのために本土の自治体に受け入れを迫っていくことを表明していますが、これは海兵隊基地の拡張そのものではありませんか。世界のどこに海兵隊基地の拡張を求めている政府がありますか。海兵隊と空母打撃群の抜本的な縮小、撤去を正面から求めるべきではありませんか。私は、そのことこそ、戦後長きにわたって基地の重圧に苦しみ、普天間基地の無条件の閉鎖と撤去を強く求めている沖縄県民の声に真にこたえる道だと考えるものであります。

 今こそ基地のない平和な日本への一歩を踏み出すべきときだ、そのことを強く主張し、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 志位議員にお答えいたします。

 いわゆる迂回献金についてでございます。

 政治団体間の資金の移動については、政治活動の自由を尊重する観点から量的制限はなく、政治資金規正法上、それぞれの政治団体の収支報告書の公開を通じて、本来、透明性が確保されるべきものと承知しております。また、御指摘の政治資金規正法を脱法するようないわゆる迂回献金は、あってはならないものと考えております。

 企業・団体献金についてでございます。

 私は、必ずしも企業・団体献金が悪とは思っておりません。基本的には、政治資金を広く、薄く、公正に得るとともに、その透明性を確保する明確なルールをつくり上げる必要があると考えます。企業献金のあり方につきましては、これらを踏まえ、早期に国民の幅広い理解が得られる提案がまとまるよう、与党を初め各党各会派間でさらに議論を深めていくべきものと考えます。

 イラクが大量破壊兵器をかつて保有し、使用したというのはいつなのかというお尋ねであります。

 一九九四年二月の国連人権委員会での報告や、二〇〇三年三月の国連監視検証査察委員会の報告によれば、イラクは、イラン・イラク戦争中の一九八三年から一九八八年の間、大量の化学兵器を使用した。特に、一九八八年三月には、イラク北部にあるクルド人の町ハラブジャで、化学兵器を使って住民約三千二百人から五千人を殺害したとされております。

 一九九一年以降のイラクによる大量破壊兵器の保有及び使用についてのお尋ねでありますが、一九九九年一月、国連イラク特別委員会は、イラクが保有していた一部の大量破壊兵器が一九九二年以降に同委員会の監視のもとで廃棄されたと報告しています。また、二〇〇三年三月、国連監視検証査察委員会は、イラクが依然として大量破壊兵器を保有しているという疑惑を、具体例を挙げつつ安保理に報告しています。なお、一九九一年以降、イラクが大量破壊兵器を使用したことは承知していません。

 イラクがいつ国連の査察を拒否したかというお尋ねであります。

 イラクは、一九九八年一月、国連イラク特別委員会の査察を拒否しました。その後、査察は一たん再開されましたが、同年十月末、再び同委員会に対する全面的な協力停止を決定しました。九九年に国連監視検証査察委員会が設置されたものの、査察再開の合意は容易には得られず、二〇〇二年十一月まで査察活動は中断したままでした。

 また、二〇〇二年十一月に安保理決議一四四一が採択され、イラクへの査察が再開された後も、当時のブリクス国連監視検証査察委員会委員長は、イラクから十分な協力が得られなかったとの趣旨を安保理に対する報告において述べております。

 米国等による対イラク武力行使に対する支持及び自衛隊のイラク派遣についてのお尋ねであります。

 我が国が対イラク武力行使を支持したのは、イラクが十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反し続けたこと、また、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかったとの認識に基づくものであります。

 また、自衛隊のイラク派遣は、イラクの復興が中東地域ひいては国際社会の安定に極めて重要であることから、我が国としても、国際社会の責任ある一員として、国際社会の平和と安定に寄与するため、我が国にふさわしい支援を行っていくべきとの観点から行っているものであります。

 いずれの点についても、私の判断は適切であったと考えております。(拍手)

 改正年金法の前提が崩れており、改正年金法を白紙に戻すべきとのお尋ねであります。

 さきの通常国会で成立した改正年金法は、長期的な給付と負担の均衡を確保するという課題に正面から取り組んだものであり、政府としては、その内容を国民に対し引き続き説明し、着実な施行に努めているところであります。

 改正年金法の前提となる数字が虚構であったとの御指摘でありますが、これらの数字につきましては、法案提出時点で判明している社会経済状況をできる限り織り込み、設定したものであります。

 なお、平成十五年度の国民年金の納付率、厚生年金の赤字についてはおおむね予測どおりとなっており、また、平成十五年の出生率は、年金財政再計算の前提を下回っておりますが、長期的な趨勢から大きく外れるものではないと考えております。

 現在、政府においては、経済界、労働界などの参加を得ながら、年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的見直しについて幅広く議論を進めております。今後も、こうした議論を通じ、年金制度に対する国民の信頼を高めていくよう最大限努力してまいります。

 介護保険制度についてでございます。

 利用者、サービス量の大幅な増加などに見られるように、国民の老後の安心を支える仕組みとして所期の成果を上げております。低所得者に対しては、既に現行制度において、所得に応じた保険料設定や利用者負担の軽減など、その負担の軽減を図っているところでございます。

 郵政民営化についてでございます。

 郵政民営化は、全国津々浦々に置かれている郵便局ネットワークを生かして、より便利なサービスが提供されるようにするものであります。このような観点から、先月閣議決定をした基本方針においては、郵便貯金会社及び郵便保険会社にはユニバーサルサービスを義務づけることは盛り込んでおりませんが、両事業の窓口業務は、住民のアクセス確保が努力義務となる窓口ネットワーク会社に委託することとしており、また、窓口の配置については過疎地の拠点維持に配慮している、そういうことから、御指摘は当たらないものと考えます。

 郵貯、簡保の業務内容を民間金融機関と同様にするというのは国民サービスの切り捨てではないかというお尋ねでございます。

 郵政民営化は、郵貯、簡保を含む郵政公社の四機能の潜在力を十分に発揮させ、市場における経営の自由度の拡大を通じて良質で多様なサービスが安い料金で提供されるようにし、国民の利便性を最大限向上させるものであります。このような観点から、基本方針におきましても、民営化後、イコールフッティングの度合いや国の関与のあり方等を勘案しつつ、郵政公社法による業務内容等に対する制限を緩和し、最終的な民営化においては民間企業として自由な経営を可能とするとしたものであり、国民サービスの切り捨てとの御指摘は当たらないものと考えます。

 郵貯、簡保の資金を使ったむだな公共事業をやめることが必要ではないかとのお尋ねでございます。

 国民の貯蓄を経済の活性化につなげるためには、資金の流れを官から民へと改革する必要があります。このため、まず、資金の流れの出口については、既に財投計画や特殊法人等の改革が進められており、郵貯資金等の財投への預託義務が廃止され、また、移行後の独立行政法人等向け財政支出を含め、特殊法人向け財政支出をおおむね一兆四千億円削減する等、改革の成果が上がってきております。

 郵政民営化は資金の流れの入り口の改革でありますが、政府保証が付されている郵貯、簡保が家計の全金融資産の四分の一を占め、その大部分を公的部門に還流させております。このような公的な資金の流れを民間に流れるようにするのがこの改革の意義であり、出口の改革と相まって、官から民への資金の流れを実現するために不可欠な改革であると考えます。

 在日米軍の再編と日米安保条約でございます。

 在日米軍の兵力構成の見直しに関する日米間の協議においては、具体的な見直しのアイデアについて議論はされておりますが、これらのアイデアは、いまだ正式な提案やそれに対する対案という位置づけではありません。また、アメリカ側との関係もありますので、議論の内容を現在申し上げることはできません。

 いずれにせよ、本件見直しは、当然のことながら、現行の日米安保条約第六条を含め、同条約の枠内で行われるものであります。

 在日米軍の縮小及び在日米軍基地の撤去についてでございます。

 アジア太平洋地域に依然として不安定性や不確実性が存在している中で、我が国としては、日米安保条約を引き続き堅持していく方針でございます。米軍の前方展開を確保し、もってその抑止力を通じ、日本の安全と独立を確保することが必要であります。

 政府としては、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄等地元の過重な負担の軽減を図る観点から、在日米軍の兵力構成見直しについてのアメリカ側との協議を今後とも進めてまいりたいと思います。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(中野寛成君) 山本喜代宏君。

    〔山本喜代宏君登壇〕

山本喜代宏君 社民党の山本喜代宏でございます。

 私は、社会民主党・市民連合を代表して、小泉総理の所信について質問いたします。(拍手)

 冒頭、今回の台風二十二号の被害に遭われた方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。豪雨や台風の頻発によって、私の地元の秋田でも水稲や果樹に大きな被害が出ております。被害を受けた各地に対する政府を挙げての支援を要請いたします。

 改革の本丸と言われる郵政民営化については、総理の意気込みだけが空回りするばかりで、何のための民営化か、民営化でどうなるのかという答えが全く出されておりません。

 各種世論調査によりますと、新内閣に望むのは、年金・福祉問題と景気・雇用対策がほとんどであります。一方、この十月から施行された年金改悪法案には、依然として国民の七割が反対です。銀行を国有化して郵政を民営化する支離滅裂な政策にしがみつくのではなく、今こそ、国民の声に耳を傾け、年金法の抜本的な改正、非正規雇用労働者の均等待遇の実現を初め、安心をつくり出す社会保障の抜本改革こそ緊急最優先課題であると私は考えますが、総理はどうお考えでしょうか。(拍手)

 八月十三日、世界一危険と言われる普天間飛行場に隣接する沖縄国際大学に、米海兵隊の大型輸送ヘリが墜落しました。米軍は、現場を封鎖し、県警の捜査員すら締め出したまま、機体の残骸を撤去しました。平時の訓練中の事故さえもすべてを米側の運営に託す現行日米地位協定のあり方を根本から見直す必要があると考えますが、総理、いかがですか。

 総理は夏休みとのことでしたが、基地の重圧に苦しむ沖縄県民の心に耳を傾けるべきだったと思います。総理はなぜ県知事に会おうとなされなかったのか、説明を願います。

 住民の不安を考えれば、米軍再編の機を逃さず、基地縮小を大胆に決断すべきです。沖縄の基地負担軽減に対する総理の決意をお伺いいたします。

 イラク戦争について、米政府調査団は、イラクに大量破壊兵器は存在せず、開発計画もなかったとする最終報告書を提出しました。アナン国連事務総長も、イラク戦争を国連憲章違反で違法と断言しています。それでも、大量破壊兵器があるはずだと繰り返してきた総理のお考えは変わりありませんか。もはやイラク戦争自体に大義がないことは明らかであり、基本計画を延長せず自衛隊を即刻撤退させるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 小泉内閣のアメリカ追随の姿勢は、国民の食の安全の分野でも明らかです。

 アメリカからの強い圧力により米国産牛肉の輸入再開に安易に道筋をつけることは、断じて許されません。アメリカに対し、日本と同等のBSE対策を講ずるよう強く要求するとともに、安全、安心を柱とした現行BSE対策の徹底と拡充を求めますが、総理、いかがですか。

 最後に、日本歯科医師会をめぐる一連の事件の徹底解明と同時に、厳しい企業・団体献金規制に取り組まない限り、国民の政治不信は解消されません。

 総理は、先般も、公共事業受注企業からの献金禁止を打ち上げましたが、全く実現する気配は見えません。「政は正なり」というならば、迂回献金の禁止や政治団体間の献金規制にも踏み込んだ政治資金規正法の改正に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

 今臨時国会は会期が五十三日間と短く、政府・与党の姿勢を見ると、逃げまくり国会、疑惑隠し国会と断ぜざるを得ません。米軍基地の縮小、安心の社会保障制度の確立と政治と金の是正にこそ、困難があってもくじけることなく努力すべきだということを申し上げ、私の質問といたします。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 山本議員にお答えいたします。

 郵政民営化にこだわるな、社会保障の抜本改革こそ緊急優先課題ではないかという御質問でございます。

 郵政民営化は、構造改革を進めるに当たり、行財政改革、また経済活性化の観点から、本丸ともいうべき改革であると私は思っております。行財政改革に賛成だ、民間にできることは民間に、これも賛成だ、しかし郵政民営化は反対だというのは、手足を縛って泳げというようなものであります。

 私は、郵政民営化だけではありません。将来にわたり持続可能な社会保障制度を構築し、暮らしの安心を確保することも重要な課題であり、年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的見直しの議論を進めてまいりたいと思います。

 また、パートタイム労働者と正社員との均衡処遇の推進など、働き方にかかわらずだれもが安心して働くことができるような労働環境の整備にも取り組んでまいります。

 米軍ヘリの墜落事故に関連し、日米地位協定と沖縄の基地負担軽減についてでございます。

 政府としては、その時々の問題について、日米地位協定については運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えのもと、運用の改善に努力しているところであります。今回の事故については、その現場での対応を検証し、問題があった点について改善を図っていくべく日米間で話し合っているところであります。

 沖縄の負担を軽減することは、内閣の大きな課題の一つであると考えております。今後も、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄等地元の過重な負担の軽減を図る観点から、在日米軍の兵力構成見直しについての米側との協議を進めてまいります。

 ヘリ事故についてでございますが、今回のような事故の発生は極めて遺憾であり、事故後直ちに、米側に対して、徹底した事故原因の究明と再発防止に全力を挙げるよう求めるとともに、各省庁に対して、内閣一体となった取り組みを行うよう指示いたしました。八月二十五日には稲嶺県知事と会談し、事故の状況と地元の要望について改めて詳細な説明を受けております。

 その後、日米合同委員会のもとに新たな分科委員会を設置して、事故発生時における対応について日米間の協議の仕組みを充実させるとともに、沖縄危機管理官の設置など政府一丸となった取り組みを確保する体制の整備を図っております。

 イラクにおける大量破壊兵器についてでございます。

 対イラク武力行使が開始された当時、イラクが過去実際に大量破壊兵器を使用した事実や、国連査察団の指摘している数々の未解決の問題等にかんがみれば、大量破壊兵器があると想定するに足る理由があったと考えております。

 我が国は、イラクが累次の国連安保理決議に違反し続け、また、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえなかったとの認識のもとで、自主的な判断に基づき武力行使を支持したのであり、その判断は正しかったと考えます。

 自衛隊のイラク派遣についてでございます。

 イラクの復興は道半ばであります。我が国としては、我が国にふさわしい分野において、引き続き復興に積極的に貢献することが重要であると考えます。自衛隊のイラク派遣の基本計画では派遣期間が本年十二月十四日までとされておりますが、その後のことにつきましては、イラク復興の状況や現地治安情勢等を総合的に検討して適切に判断してまいります。

 BSE問題でございます。

 国内対策については、消費者の食の安全、安心の確保を大前提に、食品安全委員会の報告を踏まえ、適切な措置が講じられるよう見直しを検討しております。こうした国内措置の見直しを踏まえ、米国産牛肉の我が国への輸出については、国内と同等の措置を求めるとの考え方を基本として、米国と協議していく考えであります。

 政治資金規正法の改正についてでございます。

 基本的には、政治資金を広く、薄く、公正に得るとともに、その透明性を確保するための明確なルールをつくり上げる必要があると考えます。

 具体的な改正案については、現在自民党内において議論が行われているほか、与党の公明党、さらには民主党の改正案など、さまざまな考え方があるところであり、なるべく早期に国民の幅広い理解が得られる内容がまとまるよう、各党各会派間でさらに議論を深めていくべきものと考えます。そうした議論を踏まえつつ、政府としても必要な検討を進めてまいります。(拍手)

副議長(中野寛成君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(中野寛成君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  小泉純一郎君

       総務大臣    麻生 太郎君

       法務大臣    南野知惠子君

       外務大臣    町村 信孝君

       財務大臣    谷垣 禎一君

       文部科学大臣  中山 成彬君

       厚生労働大臣  尾辻 秀久君

       農林水産大臣  島村 宜伸君

       経済産業大臣  中川 昭一君

       国土交通大臣  北側 一雄君

       環境大臣    小池百合子君

       国務大臣    伊藤 達也君

       国務大臣    大野 功統君

       国務大臣    竹中 平蔵君

       国務大臣    棚橋 泰文君

       国務大臣    細田 博之君

       国務大臣    村上誠一郎君

       国務大臣    村田 吉隆君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官 杉浦 正健君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官 阪田 雅裕君


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