衆議院

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第6号 平成16年10月29日(金曜日)

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平成十六年十月二十九日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第四号

  平成十六年十月二十九日

    午後一時開議

 第一 独立行政法人福祉医療機構法の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

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本日の会議に付した案件

 日程第一 独立行政法人福祉医療機構法の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明及び質疑


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    午後一時七分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。

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 日程第一 独立行政法人福祉医療機構法の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、独立行政法人福祉医療機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。厚生労働委員長鴨下一郎君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人福祉医療機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

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    〔鴨下一郎君登壇〕

鴨下一郎君 ただいま議題となりました独立行政法人福祉医療機構法の一部を改正する法律案について、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本案は、独立行政法人福祉医療機構が運用する基金の一部取り崩しにより、障害者スポーツの振興のため特に必要と認められる活動への助成に充てることができるようにするものであり、その主な内容は、

 第一に、独立行政法人福祉医療機構は、当分の間、障害者のスポーツ振興のため特に必要と認められる活動への助成を行おうとする場合であって、基金の運用状況にかんがみやむを得ないと認めるときは、厚生労働大臣の承認を受け、障害者のスポーツ支援に係る基金の一部を取り崩し、助成することができるものとすること、

 第二に、厚生労働大臣は、基金の取り崩しに係る承認をしようとするときは、あらかじめ、独立行政法人評価委員会の意見を聞くとともに、財務大臣に協議しなければならないこと

等であります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本案の趣旨及び内容であります。

 本案は、去る二十七日の厚生労働委員会において、全会一致をもって委員会提出法律案とすることに決したものであります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につき、趣旨の説明を求めます。外務大臣町村信孝君。

    〔国務大臣町村信孝君登壇〕

国務大臣(町村信孝君) 趣旨説明に先立ちまして、イラクにおける邦人人質事件につきまして、最新の状況を御報告申し上げます。

 二十七日早朝の事件発覚直後より、政府としては、官邸対策室を立ち上げ、また、外務省では、私を本部長とする対策本部を立ち上げ、さらに、谷川外務副大臣が昨日からヨルダンの現地対策本部で指揮をとっております。

 政府としては、二十一日より香田証生氏がイラクに滞在しているという情報を入手していました。これまで入った情報によれば、香田氏は、バグダッドで滞在を予定していたホテルに宿泊を拒否された模様です。同氏のその後の足取りについては、アンマンに戻ろうとした形跡があります。

 犯人グループにつきましては、イラクで多くのゲリラ活動、自爆テロ、誘拐等を首謀してきたと言われるザルカウィが率いると見られるイスラム過激組織による犯行声明が出されております。

 政府としては、事件発生直後から、イラクや主要国政府に対し、あらゆるレベルで関連情報の提供や人質の早期解放についての協力や助言を要請しております。私からも、イラクのアラウィ首相、ジバリ外相、パウエル米国務長官、ストロー英外相、フラッティーニ・イタリア外相に対し、直接協力要請を行いました。また、ヨルダンにおいては、谷川外務副大臣がアブドラ国王やムルキー外務大臣等に面会し、協力を要請いたしました。イラクでは、鈴木在イラク大使がアラウィ首相等、イラクの各方面に対し協力要請を行っております。

 さらに、私は、アラブ、欧米の主要メディアのインタビューを通じ、犯人グループに対し、日本はイラクの復興努力を支援しており、自衛隊もこうした努力を支援するために派遣されている、自衛隊とも政府とも全く関係のない純粋な民間人である香田氏の速やかな解放を求めるとのメッセージを伝え、このインタビューはアルジャジーラ等で放送されました。各国からは、事件の解決に向け可能な限りの支援を行うとの反応が寄せられております。

 なお、本日、香田氏の安否に関連し得る一部報道がありましたが、現在、その事実関係を確認中であります。

 政府としては、引き続き、香田氏の一刻も早い解放に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。

 次に、経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 この協定は、我が国とメキシコとの間で貿易及び投資の自由化、並びにビジネス関係者等の自由な移動を促進し、ビジネス環境の整備、人材育成、中小企業支援等における協力を含む幅広い分野での連携を強化するものであります。

 具体的には、この協定は、両国における物品及びサービスの貿易の障壁を削減し及び撤廃することについて定め、また、このような貿易の自由化及び円滑化のみならず、幅広い分野、例えば、投資の機会を増大すること、政府調達に参入する機会を増大すること、競争法の効果的な執行のための協力を促進すること、人材育成や中小企業支援等の分野における協力及びビジネス環境のさらなる整備のための枠組みを設定することについても定めるものとなっております。

 この協定につきましては、平成十四年十月の我が国とメキシコとの間の首脳会談において、二国間の経済連携強化に関する協定締結のための交渉を開始することで意見が一致したことを受け、同年十一月以来、両政府間で締結交渉を行ってまいりました。その結果、本年九月十七日にメキシコ市において、我が方小泉内閣総理大臣と先方ビセンテ・フォックス・ケサーダ大統領との間でこの協定の署名が行われた次第であります。

 この協定の締結により、両国の経済が一段と活性化され、両国間の経済上の連携が強化され、ひいては両国間の関係がより一層緊密化されることが期待されます。

 以上を御勘案の上、この協定の締結について御承認くださいますよう、お願い申し上げる次第でございます。

 以上が、経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。

 本件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。宇野治君。

    〔宇野治君登壇〕

宇野治君 自由民主党の宇野治でございます。(拍手)

 質問を始める前に、さきの新潟県中越地震並びに台風二十三号、さらには、ことし発生してまいりました多くの台風等の災害によりお亡くなりになられた皆様に心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された多くの方々にお見舞いを申し上げます。政府におかれましては、災害復旧、被災者救済など、十分なる対策をとられることを強くお願い申し上げます。

 さて、先ほど町村外務大臣から提案説明のありました、経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件について、自由民主党並びに公明党を代表いたしまして、質問をいたします。

 初めに、我が国の対外経済政策における基本戦略についてお伺いいたします。

 経済活動のグローバル化が急速に発展している中、我が国の今後の経済外交のあり方は、将来の我が国の国際的な競争力を考える上でも大変重要であると思います。国土と資源が限られている我が国にとって、より開かれた国際的な貿易環境を築いていくことは、今後の我が国の一層の経済的発展を図る上でも極めて重要であります。既に、数多くの日本企業が、国内において、また海外において国際的なビジネスを展開して活躍をしております。

 我が国は、一貫してWTOを通じ、多国間協議の場で貿易自由化を図ってまいりました。ヨーロッパにおいては、EUの拡大を通じて政治経済レベルでの地域内の統合を進めており、また、アメリカにおいても、北米自由貿易地域の創設以来、二国間の自由貿易協定を通じた取り組みを積極的に進めております。一方、我が国においては、初の経済連携協定を平成十四年にシンガポールとの間で締結して以来、貿易自由化に向けた交渉を積極的に推進していると聞いております。

 世界各国が国際的な自由貿易体制の推進に向け二国間あるいは地域間での取り組みを進めている中で、政府としては、このような取り組みを今後どのように進めていこうとされているのか、お伺いいたします。

 このような経済環境の中で、本年九月十七日、小泉総理はメキシコシティーで、メキシコのフォックス大統領との間で日・メキシコ経済連携協定に署名されました。この協定は、そもそも、平成十四年十月に両首脳のイニシアチブで交渉が行われてから、約二年の月日をかけて精力的な交渉が行われたと聞いております。

 しかしながら、多くの国民にとり、メキシコという太平洋の向こうの国は必ずしもなじみ深い国ではなく、今なぜメキシコとの間で経済連携協定を締結すべきなのかについて、明確な説明が必要であると思います。

 人口一億人を抱えるメキシコは、ASEAN十カ国を合わせた規模にも匹敵する世界第十位の経済規模を誇っており、我が国にとって魅力的な市場であります。しかしながら、我が国からのメキシコへの輸出は、メキシコとFTAを既に締結している国々と比べて、高い関税率を掛けられたり、メキシコ政府調達などに不平等な扱いがあるといった問題も聞いております。

 政府として、このような不公平な貿易を改善するためにもメキシコを今般の締結相手国として選んだと思われますが、日・メキシコ経済連携協定の意義をどのように考えておられるのか、お伺いいたします。

 さらに、外交政策の一環としての経済連携協定により、我が国と相手国との間の外交関係がさらに一層深まることが必要であります。この日・メキシコ経済連携協定の締結が、今後、我が国の対メキシコ外交及び日本・メキシコ両国間の関係をどのように位置づけられるものなのかについてもお伺いいたします。

 経済連携協定のあり方を考えるに当たっては、もちろん、我が国の国内産業への影響にも十分に配慮する必要があります。

 特に、このような二国間の交渉においては、我が国として相手国から得るものがあるからこそ交渉を行います。一方で、我が国が交渉の過程において譲るべき場面というのも当然生じると思います。

 今般の交渉開始以降、とりわけ、ことし三月に日・メキシコ両国関係閣僚の間で主要点についての大筋合意に至る過程において、豚肉、牛肉、鶏肉、オレンジ、オレンジジュースといったいわゆる農産品五品目を含め、メキシコからは農業分野においてさまざまな要求があったようであります。政府といたしましても、それに対していろいろな形で応じていくという場面があったと思います。

 日本国内では、農林水産業における構造改革の努力が進められており、国際社会との競争も含め、関係者が全力を尽くしているところであります。今般の協定が我が国の農林水産業に与える影響について、関係者は大いに注目しているところであります。日・メキシコ経済連携協定が農林水産業分野に与える影響と今後の課題につき、島村農林水産大臣のお考えをお伺いいたします。

 メキシコとの経済連携協定交渉を終えた今、政府は、現在交渉中の東アジア諸国との間での二国間協定締結に向けて精力を注いでいただかなければなりません。

 地理的にも歴史的にも密接な関係を有する東アジア諸国との経済連携は、我が国にとって極めて重要であると思います。小泉総理も、平成十四年一月にシンガポールで行ったスピーチの中で日・ASEAN包括的経済連携構想を提唱し、またさらには、東アジア・コミュニティーの構築という大きな目標を掲げる、東アジア諸国との外交指針を示しております。

 このように重要な東アジア諸国との経済連携協定交渉を成功させるためには、メキシコとの交渉における努力と同様に、政府としてさらに汗をかいて、必死で交渉していく必要があると思います。そのためにも、今回のメキシコとの交渉を通じて得られた経験を次の交渉に生かしていく姿勢が必要であります。今後の東アジア諸国との交渉において、日・メキシコ交渉における経験はどのように生かされるのか、お伺いいたします。

 今、国民の皆様の多くが、東アジア諸国との経済連携協定交渉に注目をしております。アジア第一の経済大国かつ先進国として、我が国がその責任を果たすという観点からも、そうした東アジア諸国との二国間交渉を積極的に前進させなければなりません。今般、日本とメキシコとの間で経済連携協定が締結されたことにより、東アジア諸国との交渉にさらなる弾みがつくことと思われますが、今後の東アジア諸国との交渉の見通しについてお伺いいたします。

 最後に、政府は、より望ましい国際的な経済環境の構築へ向け、経済外交政策を駆使していくという重要な責務を負っております。そのためにも、今般の日・メキシコ経済連携協定を一つの布石としつつ、今後、東アジア諸国を初めとする国や地域との間で経済連携をさらに進めていかなければなりません。小泉総理も、今臨時国会における所信表明演説において、今後とも二国間の経済連携を積極的に進めると述べておられます。

 今後の我が国の二国間の経済連携推進へ向けた町村外務大臣の決意を伺い、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣町村信孝君登壇〕

国務大臣(町村信孝君) 宇野議員にお答えいたします。

 貿易自由化に向けた多国間での取り組みと二国間での取り組みの関係についてのお尋ねでございました。

 WTOを中心とする多角的貿易体制の維持強化は、我が国の対外経済政策の基本でございまして、我が国としてWTO新ラウンド交渉の進展に努力していく考えであります。同時に、貿易自由化や経済活性化にも資するものとして経済連携協定も重要であり、多角的貿易体制を補完するという観点から積極的に推進していく考えでございます。

 次に、経済連携協定の相手国としてメキシコを選んだ理由及び本協定の意義についてお尋ねでございました。

 御指摘のとおり、メキシコは世界でも有数な重要な市場であり、このようなメキシコとの経済連携を強化することは、我が国にとり大きな利益になるのみならず、米州市場への橋頭堡を築くことが期待されております。また、メキシコは、自由貿易協定の相手国とそうでない国を差別的に扱う政策をとるなど、我が国の企業はさまざまな面で欧米企業に比べ競争上不利な状況に置かれておりますので、本協定の締結により、こうした不利益の解消が図られるものと期待をしております。

 次に、対メキシコ外交及び日・メキシコ関係における本協定の位置づけについてのお尋ねでございます。

 本協定により、経済上の連携が強化され、日・メキシコ関係の一層の緊密化につながることが期待されております。昨年十月のフォックス・メキシコ大統領の訪日に際し、両国首脳は、政治、経済、文化及び協力の各分野にわたる戦略的パートナーシップを構築する決意を表明されました。本協定は、このような戦略的パートナーシップの強固な基盤を築くものと考えております。

 次に、メキシコとの経済連携協定交渉における経験を東アジア諸国との交渉においてどのように生かしていくのかというお尋ねでございました。

 これまでのメキシコとの交渉においては、互いに相手国の事情を理解した上で、質が高く、かつ双方に利益をもたらす内容の合意をつくっていく不断の努力が重要であるということを再認識いたしたところであります。我が国が得たこうした経験は、今後の東アジア諸国との交渉においても生かされていくものと考えております。

 今後の東アジア諸国との経済連携協定交渉の見通しについてのお尋ねでございました。

 御指摘のとおり、我が国と緊密な関係を有する東アジア諸国との経済連携協定は、重要な戦略的課題であると位置づけております。経済連携協定交渉は、相手のある交渉でもあり、すべての交渉を直ちに妥結することは容易ではございませんけれども、政府としては、我が国と相手国双方にとって利益となります協定をできるだけ早期につくり上げるため、スピード感を持って交渉に当たりたいと考えております。

 最後に、今後の我が国の二国間経済連携の推進に向けた外務大臣の決意についてお尋ねがございました。

 経済連携の強化は、貿易や投資の自由化等を通じて経済の活性化に資するものであり、また、我が国の重要な戦略的な課題であると認識をしております。そのためには質の高い協定を締結することが重要であり、外務大臣としても、引き続き関係省庁と緊密に連携を保ちつつ、経済連携を積極的に推進していく決意でございます。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣島村宜伸君登壇〕

国務大臣(島村宜伸君) 宇野議員の御質問にお答えいたします。

 日本・メキシコ経済連携協定の我が国農林水産分野に与える影響及び今後の課題についてのお尋ねであります。

 メキシコとの農林水産物の関税交渉に当たっては、農林水産業の多面的機能や食料安全保障の確保、構造改革の努力に悪影響を与えないよう十分留意してきたところであります。

 具体的には、各農林水産物の国内における重要性を勘案し、必要に応じて例外品目や関税割り当てを設定するとともに、二国間セーフガードの導入を確保した上で合意したものであります。

 今後、本協定締結の効果や影響に留意しながら、我が国農林水産業の国際競争力の強化を推進していくことが重要と考えております。

 以上であります。(拍手)

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議長(河野洋平君) 首藤信彦君。

    〔首藤信彦君登壇〕

首藤信彦君 首藤信彦です。民主党・無所属クラブを代表し、ただいま趣旨説明のございました経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定について質問いたします。(拍手)

 それに先立ち、昨今の台風、そして新潟を襲った地震によって被災されている皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 と同時に、政府には危機管理対策の充実を望みます。危機管理の要諦はプリペアドネス、すなわち、どれだけ事前に準備と覚悟ができているかということでございます。準備のない危機管理は単なる管理危機であって、今、政府は管理危機に陥っているのではないでしょうか。

 きょうは二〇〇四年十月二十九日、くしくも今から八十日後の一月十六日は、阪神・淡路大震災から十年目を迎えることになります。しかし、テレビを見ると、新潟の現状はデジャビュ、既視体験とでもいいましょうか、規模こそ違え、同じような状況を目の当たりにして愕然とする思いです。

 また、今この瞬間において、イラクでは日本人青年が武装グループに拘束され、生命の危機が迫っています。政府におかれましては、救出に全力を挙げると同時に、危機管理の基本が事前対策と予防にあることを再認識し、危機管理体制の再建に全力をかけられることを切に切にお願い申し上げます。

 さて、先ほど外務大臣からイラクの事件に関しての御説明がございました。

 今、この国会の開かれる直前に、イラクの北部のティクリット、サダム・フセイン大統領の故郷でありますが、ティクリットにおいてアジア人らしき人物の死体が発見されたという情報がございました。その情報はまだ未確認であり、また、本件の事件とどれだけの関係があるかもわかりません。しかし、このことは何よりも国民の重大な関心事であり、外務大臣に特別にその詳細説明をもう一度求めたいと思います。(拍手)

 そして同時に、なぜこの青年がビザもなくイラクに入っていけたのか、どうしてこのことをこんな難しい時期に我が国の外務省がチェックできなかった、そのことに関して外務大臣の弁明を求めたいと思います。

 この事件に関しては、各地でさまざまな情報を手に入れる必要があると思います。しかし、残念ながら、我が国には、この事件に関しても、またイラクで起こっているさまざまな事件に関しても、ほとんど情報がない。これではまさに、目隠しされて障害物競走に出るようなものではないでしょうか。一体、今後、イラクでのこれからのさまざまな事件、そして、それがチェックできないというなら、どうやって私ども国民と国民の財産を守っていくのか。政府の危機管理体制、そしてイラクへの対策を質問したいと思います。(拍手)

 さて、ちょうど今から六十年前の一九四四年、まだ第二次世界大戦も最終局面に達していなかったころ、ニューハンプシャー州のブレトンウッズで、ハリー・デクスター・ホワイト、ジョン・メイナード・ケインズというアメリカとイギリスを代表する経済財政専門家、そして四十四カ国の代表などが集まって、戦後の経済システムの基本デザインを決めました。その結果、IMFとIBRD、いわゆる国際通貨基金と世銀とが成立して、今日に至るまで世界経済を支えています。

 なぜ戦争継続中にこのような会議を設けたかというと、国際経済システムの崩壊こそが貿易を縮小させ、通貨切り下げ競争、そしてブロック経済化を招き、最終的に第二次世界大戦をもたらしたという反省であり、したがって、二度と戦争をもたらしてはならないという覚悟でブレトンウッズ協定をつくり出したのです。

 実は、戦後においてもう一つの柱、自由貿易のルールをつくろうとしました。それが一九四八年のハバナ憲章であり、ITO、国際貿易機構の創設によって安定的な国際経済システムをつくろうとしたのです。ところが、投資や農業分野でアメリカが反対して、結局、ハバナ憲章を批准せず、ITOは成立しませんでした。国際貿易システムは、関税協定のガット、現在のWTOだけが生き残ったものの、国際貿易の自由公正な発展には必ずしも十分な働きをすることができないまま現在に至っています。

 今、なぜこのような話を、半世紀前の昔の話を持ち出してきたかというと、国際経済システムや貿易協定のようなものが、その取り扱いによっては、一国の経済を破綻させ、民主政治を崩壊させ、そして最後には戦争をも導く可能性があることを我々も十分認識する必要があるからであります。

 第二には、製品、産品の貿易自由化は、同時に、投資、ソフト、人の移動など広範な自由化をもたらし、その影響評価も極めて難しいということです。各分野の専門家を招致して慎重審議が必要となります。

 そして第三に、過剰農産物を抱えたアメリカの存在が、これまでも国際貿易システムの安定にとって攪乱要素となってきたという事実への認識です。

 このような視点で、今回政府提出のメキシコ合衆国との経済連携協定、いわゆるEPAを見ると、多くの深刻な問題点を指摘せざるを得ません。そこで、限られた時間の中で、そのごく一部について、関係大臣に対応をただしたいと思います。

 まず、提出者の外務大臣に質問いたします。

 本協定は、あくまでもEPA、すなわち経済連携協定、エコノミック・パートナーシップ・アグリーメントでありますが、国会においても、我が同僚においても、そしてまた経済界においても、これをFTA、すなわち自由貿易協定と誤解している向きが非常に多いということです。EPAは、先ほどの趣旨説明にありましたように、貿易のみならず、投資、人の移動、ビジネス環境の整備など、両国間の農業や広範にわたる産業構造の調整、こうしたものが必要とされるものであり、単なる貿易の自由化とは似て非なるものです。

 そこで、文化、制度基盤を共有し、長い生産分業の経験を持つアジア諸国とではなく、アメリカの経済覇権を基盤とするNAFTA、北アメリカ自由貿易協定の主要国であるメキシコとなぜ今わざわざEPAを結ぶ必要があるのか、また、その将来にどのような展望を持っているか、説明いただきたい。

 第二に、そのNAFTAに参画したことによって、メキシコは経済が発展し、雇用が増加し、農産品輸出が拡大すると期待しました。しかし、現実にはどうでしょうか。NAFTAのシステムが機能し始めるに至ってメキシコ経済は失速し、ブラジルなどいわゆるBRICs国にはるかにおくれをとるようになりました。農業においては、価格競争力のあるアメリカの農産品が流入し、メキシコは自給国から農業の輸入国に転落しました。穀物ですら、アメリカの穀物自給率一二〇%に対し六八%と、今やメキシコは穀物自給国ですらありません。

 そのため、NAFTA参加を決めた政権が揺らぎ、アメリカの農産品との競争にさらされたメキシコ農民はNAFTAの再交渉を要求していると言われています。現政権を苦境に追い込み、同時に、NAFTA構想を推し進めるアメリカをも当惑させているのが現状ではないでしょうか。

 その意味で、今回のメキシコとのEPAは、危機に立つメキシコ政府と、よりメキシコへの輸出を拡大したいアメリカ政府にとっては確かに渡りに船なのかもしれませんが、比較劣位にあるメキシコ産品をわざわざ輸入することは、我が国の国の富を損ね、我が国の農民を苦しめる以外に一体何の効用があるのか、説明いただきたいと思います。

 無論、工業製品の対メキシコ輸出が増加するという回答はあると思いますが、既に主要な日本企業は現地生産を充実させ、現地調達を増大させており、また、日本からの工業製品の多くが技術レベルが高く価格競争力を持っていることを前提にすれば、関税切り下げ効果のような紋切り型の回答が意味を持たないことを自覚していただきたいと思います。

 第三に、迂回貿易の問題があります。

 本来なら、安全基準上、衛生基準、価格競争力、関税障壁上、我が国に容易には輸入されなかった産品が、この協定でつくられる自由貿易のチャンネルを通って国内市場に入ってくる可能性があります。

 それを排除するためには、何よりも原産地証明が重要となります。また、本協定でもそのように規定されていますが、果たして本協定対象国の原産地証明がどれほどの信頼性を持ち得るものでしょうか。業界には、アメリカ製品が戦略的にメキシコを迂回して我が国市場に大量に入り込むとのおそれもあります。

 無論、外交における相手国との信頼関係は重要ですが、現実世界の厳しい国際競争を考えれば、現実には、そうした性善説だけでは国内市場を守ることはできません。政府は具体的にどのようにして原産地原則を貫徹するつもりか、その覚悟と方策を説明してください。(拍手)

 また、日本はこれまで、相手国に検査官などを派遣して相手政府の認証、業界の慣行などをチェックすることがありませんでした。しかし、皆さん、EUなどの貿易体制を見れば、主権侵害ではないかと思われるほど日本にも専門家や検査官を派遣して検査しています。日本政府もこのような行動をとられるのかどうか、お答え願いたい。

 以上、四点につき、外務大臣に質問いたします。

 次に、このEPAによって最も深刻な影響を受けるであろう農業分野について、農林水産大臣に質問いたします。

 何よりも危惧するのは、食の安全でございます。BSE騒動で明らかなように、日本とアメリカの検疫、衛生基準に差がある現状において、アメリカ産の肉骨粉や残留農薬汚染の飼料を食べた可能性のある豚や牛の製品が日本に輸入されるリスクにどう対応するのか、明確にお答え願いたい。

 BSEに関しては、メキシコ政府は、牛肉に関し、自国がBSE発生国でない証明書をつけて輸出すると言われますが、そもそも、日本のように全頭検査が行われているわけではなく、アメリカと同様に三十カ月齢以下の牛には検査が行われていないと言われるメキシコで、BSE発生あるいは無発生の確認が権威を持ち得るのか、大変疑問であります。

 農林水産大臣はBSEを余り深刻には考えておられないという報道も流れておりましたが、BSE汚染牛の輸入を阻止できる具体的な方策を示してください。

 また、既に日本で深刻な問題となっているGM農産品、すなわち遺伝子組み換え産品の侵入をどのように防ぐか、具体策を説明ください。

 最近、驚くべきニュースがもたらされました。それは、メキシコのトウモロコシが大規模にスターリンクに汚染されているという情報です。それが事実かどうか、御確認ください。また、トウモロコシの輸入を禁止するとしても、スターリンクで汚染されたトウモロコシを飼料とした豚肉、牛肉の検査及び排除手段を御説明ください。

 最後に、農林大臣、このメキシコEPAで最も直接的で深刻な影響を受けるのは、我が国の農家です。既に日本の食料自給率は実質四割を切っていると専門家は指摘しています。今回のEPA協定で、例えばメキシコからの豚肉の輸入は、従価税率半減の特恵輸入枠を設定し、一年目で三万八千トン、五年目には八万トンに達すると想定されていますが、それは日本の輸入量の一割近い量です。

 食料自給率向上が安全保障上の至上命題である、その我が国において、メキシコだけでなく今後EPAが拡大すれば、農産品輸入の大幅拡大は火を見るよりも明らかですが、日本の自給率を向上させるために、農業補助金を含め、平成十二年の食料・農業・農村基本計画を超える、どのような抜本農業改革が行われるのか、そのグランドデザインをお示しください。

 以上六点、御回答をお願いします。(拍手)

 次に、法務大臣にお聞きします。

 今回、メキシコとのEPAで危惧される要素は、大規模な製品と産品の貿易に加えて、企業間契約形態の多様化、労働・雇用・教育システムの調整など、これまでの貿易概念とは量的にも質的にも飛躍的に拡大した関係が生まれ、そこにおける紛争も多様で広範なものになると、その可能性が指摘されています。異なった言語、文化、習慣の衝突も予想されます。さらに、EPAであるために、企業間紛争もWTOの紛争解決手続を利用することができません。これらすべてが、我が国の法体系、裁判システムなど法制度及び法曹界を含む大規模な対応が必要となることを暗示しています。

 法務省は、今回、EPA協定の実行を前提にどのような対応を打とうとしているのか、御説明ください。

 また、今回、EPAでは、大規模なビジネスマンの交流、移動を前提としています。それは、必ず、ホワイトカラーや技術者だけではなく、非熟練労働者や職探しの若者など、大量にメキシコから日本にやってくることを予想させています。アメリカでは、九・一一テロ以降、国境管理が極度に厳しくなり、メキシコからの不法入国が困難になっている現状を見れば、そうした傾向が加速することは容易に考えられます。

 しかしながら、日本の入管システム、収容施設、通訳、国内定着支援などが極端な欠陥と限界を持っていることは、最近のアフガニスタン難民騒動などで明らかなはずです。今回のメキシコEPAに関して、また将来のEPAに伴う人の流入に対して、法務省としてどのように対応しようとしているのか、具体策をお示しください。

議長(河野洋平君) 首藤信彦君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

首藤信彦君(続) 最後に、官房長官にお聞きします。

 今回のメキシコEPAは、これまでのような貿易概念ではなく、日本国内市場の根本的な自由化、農業のみならず石油化学産業などの日本が比較劣位にある産業分野における大規模な構造調整が必要なことが明らかになりました。それには、各省庁の個別の縦割り組織の対応では限界があります。例えばUSTRのような、総合性と戦略性を持った統合的な組織と、官庁だけではなく、国民の意思が反映される国会の関与とが欠くべからざるものとなります。

 政府は、この根源的な問題にどう対応しようとするのか、具体策をお示しください。

 ここまで、今回のメキシコとの経済協定について、ごく表面的な部分について質問させていただきました。しかし、聡明なる国会議員諸君、現在のグローバル経済の中で経済協定を進めるには、単に現状に反応するだけではなく、何よりも日本の経済社会の将来像、すなわち、新しいこの国の形を見据えた骨太な対応が必要となります。したがって、本来は、外務大臣や農林大臣ではなく、小泉総理みずからがこのメキシコとのEPA協定について国会に説明し、また国民の理解と共感を得るように努力して説得すべきであったことを指摘して、私の質問を終えます。(拍手)

    〔国務大臣細田博之君登壇〕

国務大臣(細田博之君) 首藤議員にお答えいたします。

 経済連携を推進するための統合的な組織の設置及び国会の関与についてのお尋ねであります。

 経済連携の推進は重要な課題であると認識しており、経済連携促進関係閣僚会議や関係省庁連絡会議を設置するなど、関係するすべての省庁が緊密に連携しつつ、政府一体となって積極的に取り組んでおります。

 例えば、先週二十二日に行ったような、外務、経産、農林水産、財務、厚生労働そして官房長官という、主要閣僚による非公式の打ち合わせ等を随時行って次のFTAの交渉に備えるなど、さまざまな政府部内での推進の機構を持って、新たな体制をとっておりますので、アメリカに見られるような組織を新たに設置することは考えておりません。

 本経済連携協定につきましては、関係各界と十分な意見交換を行って方針を決めてまいり、そして国会の御審議をいただきたいと思っております。(拍手)

    〔国務大臣町村信孝君登壇〕

国務大臣(町村信孝君) 首藤議員にお答え申し上げます。

 冒頭、イラクにおける日本人の人質に関連する報道についてのお尋ねがございましたが、私どももその報道については承知をしております。現在、事実関係につきましては、通信社あるいはイラク政府関連当局に対しまして事実関係を確認しているという状態でございます。

 次に、メキシコとの間でのEPAを結ぶ意義についてのお尋ねでございました。

 メキシコは、その人口及び経済規模においても世界でも有数な重要な市場であるということに加えまして、その経済規模は年々拡大をしており、我が国にとりましてますます重要な貿易・投資相手国となっております。こうしたメキシコとの経済連携を強化することは、日本にとり大きな利益になるのみならず、これらによりまして米州市場への橋頭堡を築くことが期待をされております。

 次に、日・メキシコ経済連携協定の我が国国内産業への影響についてのお尋ねがございました。

 メキシコとの交渉に際しては、農林水産業を含む国内産業への影響を十分留意しながら交渉を行ってきたところでございます。また、メキシコにおける完成品の輸入や進出日本企業による部品の輸入にかかる関税や、政府調達市場における扱いにおいて、日本企業は不利益をこうむっており、この協定を通じてこうした問題が解決されることにつながると考えております。

 メキシコを経由した我が国への迂回輸入への懸念についてのお尋ねであります。

 各輸入品が日・メキシコ経済連携協定上の関税撤廃または引き下げの対象となるためには、メキシコの原産品として認められる必要があります。この協定では、迂回輸入の問題に対処するため、何が原産品に当たるかどうかについての判断基準を厳格に定めており、したがって、この協定の締結により我が国への迂回輸入が行われるようになるのではないかという御懸念は当たらないと考えております。

 メキシコの原産地証明書の信憑性の確認についてのお尋ねでございます。

 日・メキシコ経済連携協定においては、迂回輸入の問題に対処すべく、厳格な原産地規則を定めており、また、原産地証明書の取り扱いについても詳細な手続が定められております。例えば、メキシコの原産地証明書に疑義がある場合に、メキシコの政府や輸出者、生産者に情報提供を求めたり、我が国の税関当局がメキシコの生産施設の確認に立ち会うことも認められています。

 政府としては、このような原産地証明に係る制度を厳格に運用していく考えでございます。(拍手)

    〔国務大臣南野知惠子君登壇〕

国務大臣(南野知惠子君) 首藤信彦議員にお答え申し上げます。

 まず、EPA協定締結後の日本とメキシコの企業間に生ずる紛争を解決する制度などに関する法務省の対応について、お尋ねがございました。

 日本・メキシコ間に限らず、今後ますます増大すると見込まれる国際的な民事紛争に対応するため、今回の司法制度改革においては、第一に、民事訴訟の充実・迅速化のための法整備、仲裁法制の整備等の一連の民事司法制度の改革を行っております。第二に、紛争解決の担い手である弁護士が、国際化時代の法的需要を満たす質の高い法律サービスを提供できるようにするため、現在、国際的な素養を法曹の資質の一つと位置づけた上で、法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度を創設して弁護士人口の大幅増加に取り組んでいるほか、弁護士と外国法事務弁護士との提携、協働を進めるための外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の改正を行ったところです。

 これらの制度改革と今後の制度の適切な運用により、我が国の司法制度は、国際的な民事紛争の解決に適切に対応することができるようになっていくものと考えております。

 次に、入国管理の対応についてお尋ねがありました。

 法務省としましては、EPA締結に伴って問題のある外国人の流入が発生することのないよう、厳格な入国審査など適正な出入国管理を行ってまいります。そのためにも、入国管理局の総合的な体制強化に努めてまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣島村宜伸君登壇〕

国務大臣(島村宜伸君) 首藤議員の御質問にお答えいたします。

 まず、日本・メキシコ経済連携協定の締結に伴う我が国の食の安全確保についてのお尋ねであります。

 輸入食品の安全性を確保するため、従来から厚生労働省を中心に、空港、港湾での検査、海外の食品事故の情報収集を行っており、今後ともこれを堅持してまいります。

 また、牛肉の輸入については、メキシコ政府にその原産地証明を求めることにより、メキシコのようにBSEが発生していない国からの牛肉にあっては輸入を認めますが、BSE発生国からの牛肉については、これがメキシコを経由して我が国に輸出されることがないよう措置しているところであります。なお、メキシコは、国際獣疫事務局の定める基準に基づき国内調査を行っており、BSEが発生していない国として国際的に認められております。

 遺伝子組み換え食品については、食品衛生法、飼料安全法等に基づき科学的評価を行い、問題のないもののみが利用できることとしております。スターリンクの輸入トウモロコシへの混入についても、空港、港湾での検査等により対処してまいります。

 なお、我が国でスターリンクの家畜への給与試験を行った結果では、スターリンクのたんぱく質等の肉への移行は認められなかったところであります。また、メキシコ産トウモロコシのスターリンクによる汚染の事実については、現在のところ確認されておりませんが、今後とも情報収集に努めてまいります。

 国民の食の安全、安心に万全を期してまいりますので、よろしく御協力を願います。

 なお、我が国農業政策の抜本的見直しについてのお尋ねであります。

 今回の交渉においては、国内農業への影響を極力回避し得る結果が得られたと考えております。今後の交渉に当たっても、食料安全保障の確保、構造改革の努力に悪影響を与えないよう、十分留意して取り組んでまいります。

 一方で、我が国の農業は、食の安全への関心の高まりや、構造改革の立ちおくれなどの課題に対応した政策改革が求められております。このような状況の中で、現在、今後の食料・農業・農村基本計画の見直しについて、食料・農業・農村政策審議会で精力的に検討を進めているところであります。

 各界各層の代表者の幅広い意見を踏まえながら、食料自給率の目標や基本施策の方向につき、来年三月の閣議決定を目指し、全力で取り組んでまいります。

 以上であります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十九分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       法務大臣   南野知惠子君

       外務大臣   町村 信孝君

       厚生労働大臣 尾辻 秀久君

       農林水産大臣 島村 宜伸君

       国務大臣   細田 博之君

 出席副大臣

       外務副大臣  逢沢 一郎君


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