衆議院

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第7号 平成16年11月2日(火曜日)

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平成十六年十一月二日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第五号

  平成十六年十一月二日

    午後一時開議

 第一 労働組合法の一部を改正する法律案(第百五十九回国会、内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 労働組合法の一部を改正する法律案(第百五十九回国会、内閣提出)

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案(内閣提出)及び刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

 町村外務大臣のイラクにおける邦人人質事件に関する報告及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 労働組合法の一部を改正する法律案(第百五十九回国会、内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、労働組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長鴨下一郎君。

    ―――――――――――――

 労働組合法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号(二)に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔鴨下一郎君登壇〕

鴨下一郎君 ただいま議題となりました労働組合法の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、不当労働行為事件の迅速かつ的確な処理を図るため、労働委員会の行う審査の手続及び体制を整備しようとするもので、その主な内容は、

 第一に、不当労働行為事件等について、中央労働委員会は、原則として公益委員五人による合議体で処理を行うものとするとともに、都道府県労働委員会についても、同様の処理を行うことができるものとすること、

 第二に、労働委員会は、争点及び証拠、命令交付予定時期等を記載した審査の計画を定めなければならないものとするとともに、証人等の出頭や物件の提出を命ずることができるものとすること、さらに、和解を促進するため、その手続等を整備するものとすること、

 第三に、物件提出命令に反して提出しなかった物件は、労働委員会の命令に対する取り消し訴訟において、正当な理由がない限り、証拠として提出できないものとすること

等であります。

 本案は、第百五十九回国会に提出され、去る四月五日本委員会に付託となり、六月九日坂口厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取した後、継続審査となっていたものであります。

 今国会においては、十月二十九日委員会で質疑を行い、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

梶山弘志君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 梶山弘志君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件

議長(河野洋平君) 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長赤松広隆君。

    ―――――――――――――

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号(二)に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔赤松広隆君登壇〕

赤松広隆君 ただいま議題となりました経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 平成十四年十月の我が国とメキシコ合衆国との首脳会談において、二国間経済連携協定締結のための交渉を開始することで意見が一致したことを受け、同年十一月より両国間で交渉を行った結果、協定案文について合意に達したので、本年九月、メキシコ市において本協定の署名が行われました。

 本協定は、両国間において、貿易及び投資の自由化並びにビジネス関係者等の自由な移動を促進し、ビジネス環境の整備等における協力を含む幅広い分野での連携を強化しようとするものであり、その主な内容は、

 一方の締約国は、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第三条の規定の例により、他方の締約国の産品に対し内国民待遇を与えること、

 各締約国は、原産品について、附属書一の自国の表に定める条件に従って、関税を撤廃しまたは引き下げること、

 各締約国は、他方の締約国の投資家及びその投資財産並びに他方の締約国のサービス及びサービス提供者に対し、内国民待遇及び最恵国待遇を与えること、

 両締約国は、ビジネス環境の整備に関する問題に取り組むために随時協議すること、

 両締約国は、民間企業による貿易及び投資の活動を促進することに協力すること

等であります。

 本件は、去る十月二十九日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、外務委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、十一月一日町村外務大臣から提案理由の説明を聴取し、本日質疑を終了し、討論を行い、採決を行いました結果、多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案(内閣提出)及び刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案及び刑法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣南野知惠子君。

    〔国務大臣南野知惠子君登壇〕

国務大臣(南野知惠子君) まず、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 内外の社会経済情勢の変化に伴い、訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る裁判外紛争解決手続が、第三者の専門的な知見を反映して紛争の実情に即した迅速な解決を図る手続として重要なものとなっております。

 この法律案は、このような状況にかんがみ、裁判外紛争解決手続についての基本理念及び国等の責務を定めるとともに、民間事業者がいわゆる調停、あっせん等の和解の仲介を行う紛争解決手続の業務に関し、認証の制度を設け、あわせて時効の中断等に係る特例を定めてその利便の向上を図ること等により、紛争の当事者がその解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にし、もって国民の権利利益の適切な実現に資することを目的とするものであります。

 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、裁判外紛争解決手続に関し、その基本理念及び国等の責務について定めるものとしております。

 第二に、いわゆる調停、あっせん等の和解の仲介の業務を行う民間の紛争解決事業者は、申請により、その業務の適正性を確保する観点から必要とされる一定の要件に適合するものであることにつき、法務大臣の認証を受けることができるものとし、認証の要件及び手続、認証を受けた民間事業者の業務遂行上の義務、認証を受けた民間事業者の法務大臣に対する報告等について所要の規定を置いております。

 第三に、認証を受けた紛争解決手続の利用に関し、時効の中断及び訴訟手続の中止に係る特例並びに調停前置に関する特則について所要の規定を置いております。

 第四に、法務大臣の官庁への協力依頼等法律の施行のため必要な事項及び罰則に関し所要の規定を置いております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

 次に、刑法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 近年、我が国の治安水準や国民の体感治安が悪化しているとの指摘がなされていますが、その大きな要因の一つとして、人の身体に攻撃を加えて、その生命や身体等の重要な個人的法益に重大な危害を及ぼす凶悪犯罪その他の重大犯罪の増加傾向が続いていることが挙げられます。

 こうした中で、平成十五年十二月、犯罪対策閣僚会議において、犯罪に強い社会の実現のための行動計画が取りまとめられ、当面取り組むべき重点課題の一つとして挙げられた治安回復のための基盤整備の項目の中で、凶悪犯罪等に関する罰則を整備することが求められましたが、特に凶悪犯罪等については、刑法や刑事訴訟法に定められている有期刑や公訴時効の期間のあり方等が現在の国民の正義観念に合致しているのかという問題がかねてから指摘されていたところでもあります。

 そこで、凶悪犯罪を中心とする重大犯罪に対し、最近の犯罪情勢及び国民の規範意識の動向等を踏まえた上で、事案の実態及び軽重に即した適正な対処が可能になるよう、刑法及び刑事訴訟法等を改正し、所要の法整備を行おうとするものです。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、刑法を改正して、有期の懲役及び禁錮を一月以上二十年以下とするとともに、有期の懲役及び禁錮を加重する場合においては、三十年にまで上げることができるものとしています。

 第二は、刑法等に規定された個々の凶悪犯罪等、すなわち、強制わいせつ、強姦、強姦致死傷、殺人、傷害、傷害致死及び強盗致傷等の各罪の法定刑の上限または下限を見直すとともに、二人以上の者が現場において共同して強姦または準強姦の罪を犯した場合等について、新たな処罰規定を設けるものです。

 第三は、刑事訴訟法を改正して、凶悪犯罪等についての公訴時効の期間を延長するものであり、死刑に当たる罪については二十五年、無期の懲役または禁錮に当たる罪については十五年、長期十五年以上の懲役または禁錮に当たる罪については十年とするものです。

 その他所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案(内閣提出)及び刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。樽井良和君。

    〔樽井良和君登壇〕

樽井良和君 樽井良和です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案、いわゆるADR法案に対しまして質問をいたします。(拍手)

 質問に先立って、このたび、イラクで香田証生さんが武装グループにより拉致され、殺害された事件は、まことに遺憾であり、御両親に心よりお悔やみを申し上げます。また、たび重なる台風や新潟中越地震によりお亡くなりになられた方々、被災された方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。政府に対しては、災害地域の早期復旧のために全力を挙げて取り組むことを強く要望いたします。(拍手)

 まず、司法制度改革推進本部長である小泉総理は、今国会の所信表明演説で、「政治に対する国民の信頼なくして、改革を進めることはできません。政治資金をめぐる不祥事が後を絶たないことを厳しく受けとめています。政(まつりごと)とは正すこと。「政(せい)は正なり。」政治は不正を許さず人々に模範を示すことで秩序ある社会をつくり上げる」という孔子の言葉を引用し、「政治家一人一人が肝に銘じ、常に襟を正さなければなりません。」と訴えられました。

 同じく孔子の言葉を引用して言えば、人は、身を修め家をととのえた上で、国を治め天下を平らかにすることができるというのです。

 旧橋本派の一億円やみ献金問題につきましても、自民党の政治資金団体である国民政治協会や自民党本部を利用した迂回献金の問題につきましても、総裁の立場であるにもかかわらず、まるで他人事のような態度をとり、みずからが裁かれるときはいいかげんな言い逃れを繰り返し、不透明なまま追及を拒み続け、党内の問題を放置しておきながら、人を裁く司法制度改革の旗を振るとは、余りにもおこがましいというのが国民の総意ではないでしょうか。(拍手)

 また、南野法務大臣は、助産師として活動され、全国の看護連盟からの支援を受けてこられた方ですから、そのお人柄とナイチンゲールの精神で厚生労働大臣に就任するのなら理解できるのですが、なぜ法務大臣に就任されたのですか。

 二転三転した、いや五転した予算委員会での答弁、司法制度改革推進本部設置期限を目前に控え、重要法案メジロ押しのこのたびの法務委員会での大臣の自信なさげな姿と、答弁に右往左往され立ち往生される姿は余りにも痛々しく、これから勉強します、そうおっしゃった、その専門知識の欠如と司法行政に対する不適格さを考慮すると、一体、小泉総理は何が悲しくて法務大臣に南野大臣を抜てきされたのですか。どういった経緯で選任され、また、なぜ御本人も法務大臣を断ることなくお引き受けになったのですか。

 うがった見方をすれば、献金問題の追及を早める権限のある法務大臣に司法行政からいかにも遠い人選をして、追及逃れをしているのではないかと勘ぐってしまいます。

 南野大臣、大臣に選任された経緯と就任された真意をお答えください。(拍手)

 裁判とADRの質問をします。

 国民が容易に利用でき、公正かつ適正な手続のもと、より迅速、実効的にその使命を果たすことができる司法制度を構築するために、社会で起こる紛争の大小、種類、事案の性格や当事者の事情に応じた紛争解決方法を整備することは、国民の紛争解決の選択肢を広げることとなり、大きな意味があります。

 ADR、オルタナティブ・ディスピュート・リゾリューション、裁判以外の紛争解決手段、こう訳しますが、この拡充と活性化を図るべきですが、ADRが国民にとって裁判と並ぶ魅力的な選択肢となるためには、ADRに対する認知度と信頼性を高め、裁判とADRのどちらを選択するか比較検討できる環境を整備しなければなりません。国民が紛争解決に当たり、その都度裁判とADRのどちらを選ぶのか検討できる環境整備にどのような対策をなさるおつもりですか、お答えください。(拍手)

 また、法律事務のうち、代理は、代理人のみの判断で依頼者本人の権利義務の確認・変動を直接発生させる行為であり、代理人は依頼者とじかに接して依頼者と報酬を伴う契約関係を持ち、依頼者の権利利益に多大な影響を及ぼすために、救済、紛争解決を求める当事者の代理人となる者には、不十分な法律知識で当事者を混乱に陥れたり、関係者に迷惑を及ぼすことがないようにしなければなりません。また、万が一にも当事者の弱みにつけ込んだりすることがないように、高度の職業倫理が要求されます。

 事ADRにおいて、法的知識もなく、倫理的な規律に服することがない者が他人の法律事件に介入することは避けなければならないため、ADRに弁護士法七十二条の趣旨を十分堅持すべき必要性がありますが、ADRにおいて、法律的知識、倫理面をどうやって堅持させようとお考えなのか、お答えください。

 民間機関の認証制度については、基準を満たせば法務大臣が認証し、ADRの実施機関として公的なお墨つきを与えますから、特定の企業や団体の利益を誘導するための意図的なADRや、ある意図を持って強引に仲裁、あっせんする示談屋まがいの機関も誕生する懸念があります。

 国民には信頼できる機関を探す目安がないのが実情で、悪質な機関に不利益をこうむりかねないのではないかという懸念がありますが、どうやって国民は良質なADRの実施機関を選択するすべを持つのでしょうか。何か判断できる基準の設置、もしくは悪質な機関を淘汰させるためのシステム、罰則などの施策をお答えください。

 また、既存の各種隣接法律専門職種へのADR代理権付与問題に関して質問いたします。

 先ほどから触れておりますとおり、代理人の資質と能力には、十分な法的専門知識と紛争解決能力、当事者や関係者に法的立場を正確に理解させる能力、紛争時に陥りやすい双方代理などを禁止する高度な職業倫理が必要です。

 その点を踏まえ、各種専門士業であります司法書士、弁理士、税理士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、社会保険労務士、行政書士、またその他専門業種において、代理権を付与するのかどうか。各種専門士業ごとに、それぞれ代理権を付与するのか、付与しないのか。認証権を持つ大臣の見解で結構ですので、付与するのか付与しないのか、はっきりお聞かせください。(拍手)

 あわせて、既存の各種隣接法律専門職種へ大臣がADR代理権付与を行った場合において、弁護士の市場シェアは一体何%減少すると予想されますか。また、代理手数料は弁護士に比べてどのくらいの割合になると想定されますか。予想で結構ですので、数字で明確にお答えください。

 ADRを拡充・活性化させるためには、裁判所や関係機関、関係省庁との連携体制とともに、認証されたADR機関相互の連携が不可欠です。相互間の情報提供、個別の事件処理に関する連携や広告など利用者に対する情報提供の作業などは、各ADR機関が個別に行えば資源ロスが大きく、不合理です。

 また、ワンストップで国民に情報を提供するため、インターネット上のポータルサイト、共通のリーフレットを常設した窓口などを活用することが必要で、知識やノウハウの共有、情報交流、人材の共有を促進した上で、必要な技術に関する研修などを充実させるために、ADR機関相互の連絡調整会議や諸作業の履行支援を一元的に行える機関を設置すべきだと思いますが、そういった機関の設置状況、進捗状況などをお答えください。

 ADRが結果として失敗に終わった場合、そのまま一から訴訟手続を行えば、ADRが全くむだになります。また、費用も二重取りになります。ADRでの審議結果を訴訟手続の中で活用するということが当然考えられ、また、そうすることによって裁判所の負担を軽減する効果も期待できます。ADRから裁判への移行は、ADR活用への大きなかぎになると思われます。

 弁護士と市場を奪い合うのではなく、むしろ協調的に連携し合い、国民のきめ細かいニーズに対応できるシステムの構築を連携して実現させるべきだと考えますが、ADRと裁判手続との連携に関してどういった施策がありますか、お答えください。

 いずれにいたしましても、このADR法案を初め、敗訴者負担や共謀罪といった本来なら多くの物議を醸す重要法案がメジロ押しですが、今国会ではそういった重要法案に対する国民の認知不足を感じずにはいられません。国民が知らないまま重要法案が駆け足で素通りしていくことに危機感を感じます。司法制度改革がより国民の法的ニーズに的確に対応できる司法制度を確立するためには、さらなる国民の認知と議論が必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。その所見をお伺いいたします。

 最後に、冒頭申しましたように、司法制度を改革する者、人を裁く制度をつくる者が、みずからは不透明で裁きを回避するのは、あり得ない話です。災害や大統領選挙のどさくさに紛れて、今後きちんと説明責任を果たさないならば、説明されるまで、民主党は、いつまでも、しつこく、真っすぐに、ひたむきに追及し続けることを申し上げて、質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣南野知惠子君登壇〕

国務大臣(南野知惠子君) 樽井良和議員にお答え申し上げます。

 まず、法務大臣に選任された経緯及びこれを引き受けた真意についてお尋ねがありました。

 組閣の日、総理から、法務大臣にとのお話がありました。政治家として私が軸としているところは、個々の人々が大切にされ、安心、安全に生活できる世の中にしたいということです。(拍手)法務省の仕事は、政治家として私が目指すところと同じであると考えます。そのような思いで法務大臣を引き受けました。(拍手)

 次に、裁判手続とADRの比較検討のための環境整備についてお尋ねがありました。

 本法律案におきましては、国民に選択の目安を提供するため認証制度を設け、業務の内容や手続実施者、報酬など認証紛争解決事業者の情報が国民に提供されるようにしており、裁判を含め多様な紛争解決手段の中からふさわしい手続を選択することができるようにしております。

 次に、ADRに関与する者の法的知識や倫理規律の確保についてお尋ねがありました。

 本法律案におきましては、弁護士法第七十二条の趣旨を損なうことのないよう、弁護士の関与を初めとする所要の認証の基準を定めております。また、本法律案とは別途検討しております代理人としての活用の是非につきましても、代理業務を行う上で必要な法律的能力や倫理規律を備えているかどうかという観点から検討すべきものと考えております。

 次に、ADRの選択のための判断基準及び悪質な機関を淘汰させるための措置についてお尋ねがありました。

 本法律案の認証制度におきましては、認証紛争解決事業者の情報が国民に提供されることにより、国民がADRを選択するために必要な情報を得ることができるようになっております。また、暴力団員等であることなどを欠格事由とするなど、悪質な機関は認証を受けられない仕組みとしております。加えて、認証の基準を満たさなくなった場合などには認証を取り消すこととしているほか、所要の罰則規定を設けております。

 次に、隣接法律専門職種に対する代理権付与の検討状況についてお尋ねがありました。

 お尋ねの点につきましては、司法書士等の隣接法律専門職種を対象に代理権を付与するかどうかの検討を進めているところでありまして、現段階では具体的結論を得ておりません。引き続き検討を進めまして、司法制度改革推進本部の設置期限である今月末までには具体的方向性を取りまとめたいと考えております。

 次に、隣接法律専門職種に代理権を付与した場合の弁護士の業務への影響等についてお尋ねがありました。

 隣接法律専門職種に代理権を付与する社会的要請は、弁護士だけでは必ずしも十分でない特定の分野の専門的事案や、弁護士に代理を依頼することが費用面等から見て事実上困難な事案などにおいてあるものと考えております。

 ただ、弁護士の業務への影響や手数料の水準につきまして、具体的数値をお示しするのは困難であることを御理解いただきたいと存じます。

 次に、認証を受けたADR機関相互における連携についてお尋ねがありました。

 ADRの利用の促進を図る上では、ADR機関相互で適切な連携協力が図られていくべきものと認識しており、お尋ねのような機関の設置に向けて適切な支援を行っていくことも、関係省庁等と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、ADRと裁判手続との連携に関する施策についてお尋ねがありました。

 本法律案におきましても、認証を受けた機関を利用する場合について、時効中断の効力の付与、訴訟手続の中止及び調停前置主義の特例という三点について制度上の措置を講じております。

 なお、ADRの話し合いの結果を訴訟手続で活用することにつきましては、ADRにおける率直な話し合いの妨げになるという意見もあるところから、これを制度的に措置することはしておりません。

 最後に、司法制度改革に関する国民の認知と議論についてお尋ねがありました。

 司法制度改革に関しましては、国民の皆様からの御意見を幅広く反映させるよう努めてまいりました。引き続き、国民の皆様の声に耳を傾け、その要請にこたえられるよう努めてまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 松本大輔君。

    〔松本大輔君登壇〕

松本大輔君 民主党の松本大輔です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました刑法等の一部を改正する法律案について御質問いたします。(拍手)

 質問に入る前に、イラクで殺害された香田証生さんと、相次ぐ風水害や地震によってとうとい命を奪われた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、御遺族並びに被災者の皆様に対し、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 国権の最高機関といえども、御遺族や被災者の皆様の悲しみを消し去るすべはないのかもしれません。であるならば、せめて、悲劇を起こさせない、広げない、そして繰り返させないために全力を尽くしていくことこそが、我々国会議員の誠ではないかと考えます。国民の生命と財産を守り抜くという職責を全うするために渾身の努力を傾けていくことを、国民の皆様に改めてお誓い申し上げたいと思います。(拍手)

 さて、最新の警察白書によると、平成十五年の刑法犯の認知件数は二百七十九万百三十六件にも上ります。その前年に比べ約六万四千件減少したものの、依然として戦後最高水準を維持し続けており、強盗、傷害、殺人、強姦、強制わいせつといった暴力的犯罪が増加しております。痛ましい事件が連日のように報道され、日本は治安がよい国というのはもはや過去の話となっております。

 内閣府がことし九月に実施した世論調査では、ここ十年間で日本の治安が悪くなったと回答した人が八六・六%、自分や身近な人が犯罪に遭うかもしれないと不安になることが多くなったと回答した人が八〇・二%との結果が出ております。こうした状況の中で、凶悪重大犯罪に対する厳正な対処と防止策を講じることは、国民の生命と財産を守る国家にとって重大な責務であると考えます。

 とはいえ、今回の法改正は、一九〇七年に刑法が制定されて以来、およそ百年ぶりの大幅な見直しであります。加えて、あと五年足らずで、国民が刑事裁判に参加する裁判員制度が始まります。裁判員が裁判官とともに、有罪無罪、そして量刑を評議するようになるという観点からも、今回の法改正については、広く国民の理解を得られるものでなければなりません。政府には、国民に対してわかりやすい説明を求めるものであります。

 まずもって確認しなければならないのは、法定刑引き上げによる犯罪抑止効果についてであります。

 人の自由や尊厳を奪い、時には生命を奪う罪であり罰であれば、なおさら、いつもにも増して、情と理、その双方を尽くした議論を行っていくことが我々立法家の責務であると考えます。

 法定刑の引き上げは、凶悪重大犯罪への厳罰化を望む犯罪被害者を初めとした国民の感情や要望にこたえるものである点は理解できます。しかし、その一方で、刑罰を考えるに当たっては、罪刑の均衡という応報刑論的アプローチに加え、犯罪予防を目的とし、効果としてねらうという目的刑論的アプローチを欠いてはならないことを忘れるべきではありません。

 近年の犯罪、とりわけ、増加しているとされる凶悪重大犯罪の原因に関する科学的な分析は行われたのでしょうか。法定刑引き上げによる犯罪抑止効果について、理性的、合理的な検証は行われたのでしょうか。本法案のもととなった前法務大臣の諮問や法制審議会の答申でも、犯罪抑止効果についての説得力ある論証はされていません。

 法定刑の引き上げによりどの程度犯罪を抑止できると考えるのか、法務大臣に伺います。

 次に、法定刑の見直しの基準について伺います。

 改正案では、強盗致傷罪の法定刑引き下げのほかはすべて法定刑の引き上げとなっていますが、その引き上げの幅は一様ではありません。殺人罪の有期刑の下限が三年から五年に引き上げられているのに対し、組織的な殺人罪の下限は五年から六年に引き上げられています。何を基準に引き上げ幅を決めたのか。また、有期刑の法定刑の上限を二十年、加重事由がある場合の上限を三十年とした理由について、法務大臣に説明を求めます。

 次に、窃盗などの財産犯について伺います。

 凶悪重大犯罪の重罰化だけで体感治安は回復できるのでしょうか。

 平成十五年の一般刑法犯総数の約八割は窃盗であります。過去十年で一般刑法犯総数は約百万件増加しておりますが、このうち約七割は窃盗の増加によるものです。その一方で、同じ期間に窃盗の検挙率はおよそ四割から二割を切る水準へと落ち込み、刑法犯全体の検挙率を大きく押し下げる要因となっております。したがって、国民の体感治安の回復には、凶悪重大犯罪だけでなく、身近で起こる空き巣被害などの窃盗犯についての対策をあわせて講じていく必要があるのではないでしょうか。にもかかわらず、今回の改正案には、窃盗などの財産犯については全く触れられていません。

 本法案の提出根拠ともなっている法制審議会の答申には、強盗や窃盗を含めた盗犯に係る罰則のあり方について検討を促すとの附帯決議が付されていますが、今後どのような方向で見直しを進めるのか、法務大臣に伺います。また、窃盗犯対策と検挙率向上に向けた方策について、国家公安委員長に伺います。

 次に、強姦罪について伺います。

 改正案で、集団強姦罪が新設され、親告罪の規定を外して被害者の告訴がなくても処罰できることにしたのは、一定の前進であると受けとめます。しかし、強姦が、被害者の人格や人間性を著しく否定する点で殺人にも劣らない重大な犯罪であるにもかかわらず、懲役刑の下限が二年から三年に引き上げられただけでは、強盗罪の五年に比べても余りにも軽いのではないでしょうか。

 法務大臣は、かねてより、性犯罪に対する法定刑を強盗罪の法定刑より高くすべきであると御主張されていたとのことですが、人の尊厳に対する侵害が物への侵害よりも軽く扱われたままでよいのか、御答弁願います。(拍手)

 次に、刑務所の収容について伺います。

 平成十五年末の刑務所等における収容率は一〇五・八%であり、ほとんどの刑務所において過剰収容状態となっております。法定刑の引き上げで服役期間が長期化すれば、懲役刑に処される者が激減しない限り、過剰収容状態はますます深刻化することが懸念されます。

 厳しい人繰りにより、刑務官が強いられる緊張の度合いも高まっている中で、さらなる過剰収容を進めてしまえば、刑務所が治安の最後のとりでたり得なくなる可能性も否定できません。収容者の増加に対応する施設の拡張、増設、刑務官の増員などを予定しているのか、法務大臣に伺います。

 次に、更生教育について伺います。

 平成十五年版犯罪白書によれば、出所年から五年間における再入率は五割程度で推移しております。およそ二人に一人が出所後五年以内に再入所するという現状で、現行の行刑や更生教育はその目的を達していると言えるのでしょうか。刑務所のあり方や更生教育についての検証もないまま、刑罰の長期化だけが行われれば、受刑者の社会復帰を今以上に困難とし、結果として犯罪と犯罪予備軍をさらにふやしてしまうことになりはしないでしょうか。

 暴力団からの離脱や薬物依存克服に向けた支援強化、職業訓練拡充のための基盤整備など、実態に即した対策を講じるべきときが来ていると考えますが、受刑者の出獄後の再犯防止と円滑な社会復帰の促進に向け今後どのように取り組んでいくのか、法務大臣に伺います。

 次に、公訴時効期間の延長について伺います。

 改正案は、死刑に当たる罪の公訴時効期間を十五年から二十五年に延長するとしています。確かに、被害者や御遺族の悲しみに時効はないでしょう。しかしながら、期間を延長することで、どれだけ犯人の逮捕や事件の解明に効果があるのでしょうか。二十五年たっても、証人の記憶は正確と言えるのでしょうか。証拠の散逸のおそれはないのでしょうか。

 犯人が名乗り出て初めて時効成立後の犯罪が発覚するという悲劇は、捜査体制を充実させ、早期の事件解決を図ることをもって防ぐというのが、被害者並びに御家族、御遺族の救済の観点からも本来の筋ではないでしょうか。法務大臣、国家公安委員長の御見解を伺います。(拍手)

 次に、民主党の刑事訴訟法改正案について伺います。

 民主党は、かねてより刑事手続の適正化を求め、ビデオ録画等による取り調べ過程の可視化と、取り調べ段階での弁護人立ち会い権の確立を目的とした刑事訴訟法改正案をことしの通常国会に提出しました。残念ながら、与党の御賛同を得られずに否決されましたが、法定刑を厳罰化するのであれば、なお一層、刑事手続の透明性、公平性を確保する必要があるのではないでしょうか。

 こうした刑事訴訟法の改正を行う考えがあるのか、法務大臣に伺います。(拍手)

 次に、総合的な犯罪防止施策について伺います。

 政府は、昨年十二月に取りまとめた犯罪に強い社会の実現のための行動計画に基づいて、犯罪対策を実施してきましたが、目に見えた効果は上がっていません。ことし上半期の刑法犯の認知件数は、昨年同期に比べ減少したとはいえ、検挙率は依然二割台、重要犯罪に限っても約五割と低迷を続けております。

 夜警国家という言葉もあるとおり、本来、良好な治安は社会福祉の大前提であるべきです。民主党は、凶悪犯罪の検挙率を現在の五〇%台から八〇%台に回復させることを目標とし、四年間で地方警察官を三万人以上増員し、警察機能を拡充することを提起しています。また、地域社会の防犯機能を生かすため、自治会、町内会などが自主的に結成する防犯パトロール隊などに対し、その立ち上げ費用を支援すべきとの考えです。

 刑罰強化に偏るのではなく、こうした総合的な防犯施策に人もお金も投じることで、初めて犯罪を抑制していくものではないでしょうか。民主党の提案を受け入れるつもりがないか、法務大臣、国家公安委員長に伺います。(拍手)

 以上、犯罪という結果に着目し、監視や事後的救済、再発防止といった観点から、幾つかの問題点を指摘してまいりました。

 最後に強調しておきたいことは、そもそも、人を犯罪に走らせる要因を社会から可能な限り取り除くことこそが最大の治安対策であるということです。根本的な解決のために我々が立ち向かうべきは、我が国をむしばむ不安や諦観、そして社会規範の崩壊などであります。

 地域経済活性化と雇用の回復、教育や社会保障制度の立て直しと再挑戦可能な環境整備に全力で取り組んでまいることはもちろん、まずは、立法家たる我々自身がその規範意識を疑われることのないよう、みずから襟を正し、政治と金の問題にもきっちりと片をつけていくことの重要性を指摘して、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣南野知惠子君登壇〕

国務大臣(南野知惠子君) 松本大輔議員にお答えを申し上げます。

 まず、刑の引き上げによる犯罪抑止の程度についてお尋ねがございました。

 今回の刑の引き上げによる犯罪抑止の効果を数字としてお示しすることは困難ですが、政府全体として治安回復を図るための取り組みを進めることにより、相応の効果を得られるものと期待しています。

 次に、刑の引き上げの基準についてお尋ねがありました。

 今回の改正案においては、近年の犯罪情勢などを踏まえ、犯罪の性質や他の刑法の規定などを考慮して引き上げ幅を決めたものです。

 有期刑の上限の見直しにつきましては、犯罪情勢や国民感情の変化、平均寿命の延びなどを踏まえ、適切な刑を科すことができるようにするために必要な見直しを行うこととしたものです。

 次に、財産犯の罰則の見直しについてお尋ねがありました。

 法制審議会の附帯決議において、強盗罪や窃盗罪などの罰則のあり方については、近年の犯罪情勢などを踏まえ、さらに検討すべきものとされており、法務省としては、これに基づき、今後必要な検討を行っていきたいと考えております。

 次に、強姦罪の法定刑についてお尋ねがありました。

 強姦罪の法定刑は刑法の中では重いものであり、悪質な事件については強盗罪と同じ重い刑に処することもできますので、今回の法改正により、適正な科刑をなし得るものと考えています。

 もっとも、強盗罪などの罰則のあり方については、法制審議会の附帯決議を踏まえ、必要な検討を行っていきたいと考えております。

 次に、法改正によって見込まれる刑務所の被収容者の増加への対応についてのお尋ねがございました。

 今回の法改正により、どの程度収容人員が増加するかを予測することは困難でありますが、今後とも、刑務所の拡充を含めた収容能力の増加と所要の要員の確保に努めてまいりたいと考えております。

 次に、受刑者の出所後の再犯防止等への取り組みについてお尋ねがありました。

 刑期の長い受刑者も含め、矯正教育、職業訓練等のより効果的な実施や、仮釈放者に対する保護観察の一層の充実強化を図ることにより、円滑な社会復帰ができるよう努めてまいりたいと考えております。

 次に、捜査体制の充実についてお尋ねがありました。

 今回の公訴時効期間の延長により、重大な犯罪については起訴できる期間が延びることになり、国民の正義感情にもこたえられるものと考えています。いずれにしましても、御指摘のとおり、迅速な捜査を実施するため、今後も、必要な検察体制の整備を図ってまいりたいと考えております。

 次に、取り調べ過程の録音、録画等についてお尋ねがありました。

 この点については、司法制度改革審議会意見においても、刑事手続における被疑者の取り調べの役割との関係で慎重な配慮が必要であることなどから、将来的な検討課題とされており、慎重な検討が必要であると考えています。

 最後に、総合的な犯罪防止対策についてお尋ねがありました。

 この問題につきましてはさまざまな御意見があると承知しておりますが、私は、今後とも、政府の策定した犯罪に強い社会の実現のための行動計画の実施に一生懸命取り組んでまいります。(拍手)

    〔国務大臣村田吉隆君登壇〕

国務大臣(村田吉隆君) 松本大輔議員の御質問にお答えをいたします。

 窃盗犯の抑止と取り締まりについてでございます。

 窃盗犯は、全刑法犯認知件数の約八割を占めており、その抑止対策は、良好な治安の回復を図る上で極めて重要であると認識をしております。特に、近年、急激に増加しているひったくり、自動車盗などの街頭犯罪や、侵入窃盗を初めとする侵入犯罪は、国民が身近に不安を感じているものであり、これを抑止することは喫緊の課題であると認識をしております。

 そこで、平成十五年一月から、全国警察を挙げて街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策に取り組んでいるところであります。

 さらに、窃盗犯を抑止するためには、被疑者の検挙、特に連続犯の検挙が重要と認識しており、警察においては、都道府県警察官の合同捜査、共同捜査の推進等を図りまして被疑者の検挙に努めているところでありまして、こうした努力の結果、検挙率の向上が図られるものと考えております。

 次に、捜査体制を充実するなどにより事件の早期解決を図るべきとの御指摘でございます。

 警察におきましては、近年の厳しい治安情勢にかんがみて、組織、人員の効率的運用、優秀な捜査官の養成、育成、科学捜査力の強化、入国管理局、税関、海上保安庁等の国内関係機関との連携強化、外国捜査機関等との情報交換の推進等、捜査体制の整備に努めるとともに、来日外国人犯罪対策、街頭犯罪対策、重要凶悪事件対策等のための地方警察官の増員を図ってきたところでございます。

 最後に、総合的な犯罪防止策を推進する必要があるとの御指摘がございました。

 最近の治安情勢は依然として大変厳しい状況にあると認識しておりまして、警察としては、犯罪対策閣僚会議が策定いたしました犯罪に強い社会の実現のための行動計画等に基づきまして、各種犯罪について、検挙、抑止の両面で諸対策を推進中でございます。

 また、平成十三年度以降、約一万四千人の地方警察官を増員し、さらに約一万人を緊急に増員する必要があることから、平成十七年度は三千五百人の増員を要求したところでございます。

 さらには、交番勤務員の不在が常態化している空き交番についても、平成十九年度当初を目標に解消するべく、鋭意取り組み中でございます。また、本年六月には、犯罪に強い地域社会再生プランを取りまとめまして、関係省庁と連携しつつ、自主防犯運動への支援を推進中でございます。

 国家公安委員会といたしましても、以上申し上げたような取り組みが引き続き的確に推進されるよう、警察当局を督励してまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 江田康幸君。

    〔江田康幸君登壇〕

江田康幸君 公明党の江田康幸でございます。

 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案について、法務大臣に質問をさせていただきます。(拍手)

 まず冒頭、イラクで犠牲に遭われた香田証生さん並びに御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げますとともに、今般の中越地震、たび重なる台風等で被害を受けられた国民の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 さて、今、私たちは、二十一世紀の我が国を支え、国民に身近で頼りがいのある司法の実現を目指して、百年に一度と言われる司法制度改革に取り組んでおります。本日議題となりましたいわゆるADR法案は、司法制度改革の三本の柱の一つである、国民の期待にこたえる司法制度の構築のために重要な法案であると認識をしております。

 日本の司法は、長い間、二割司法、すなわち、民事紛争を司法手続によって解決することのできる国民は二割しかいないという不名誉に甘んじてまいりました。

 公明党は、これまで、泣き寝入りをしなくともよい社会の実現に向けて、無料法律相談の実施や民事法律扶助制度の導入、拡充等に全力で取り組んでまいりました。本法案は、我が党のこれまでの取り組みと軌を一にした法律であり、国民の司法アクセスの拡充のためにぜひとも成立をさせなければならないものと考えております。

 それでは、以下、具体的な質問をさせていただきます。

 ADRは、裁判以外の紛争解決手段の総称であり、その利点としては、利用者の自主性を生かした解決、非公開での解決、簡易迅速な解決、実情に沿った解決など、柔軟な対応が可能であることが挙げられます。しかし、現状は、ADRの存在や意義についての国民の認識や理解が不十分で、十分に活用されていないというのが現実であります。

 既存のADRが十分に活用されていない理由についてどのように認識されているか、お伺いをいたします。また、それらの点について、本法律案ではどのような改善策が講じられているのか、あわせてお伺いをいたします。

 次に、国や地方公共団体の責務についてお伺いをいたします。

 国民が紛争を抱えた場合に、紛争の性質や内容に応じて、多様な紛争解決手続の中からふさわしい手続を選択することを容易にするということは、国民が紛争解決の局面でもその主体性を発揮し、みずから権利利益の保護を図ることを可能にするものとして、非常に有意義であると考えます。

 しかしながら、国民が紛争を解決するのにふさわしい手続を選択することができるようにするためには、その大前提として、国民がADRの意義や機能について十分理解することや、手続に関する具体的な情報が提供されることが必要になると考えます。

 法第四条は、国や地方公共団体の責務として、国民の理解の増進や情報の提供等、必要な措置を講ずるように規定しておりますが、国及び地方公共団体が具体的にどのような措置をとることになるのか、お伺いをいたします。

 認証制度の導入についてお尋ねいたします。

 ADRに時効中断等の一定の法的効果を付与する以上、その公正・的確性を確保するために認証制度を設けることに、私は賛成をいたします。しかし、検討会では、認証制度の導入について大きな議論があったと伺っております。反対の論旨及び導入に踏み切った理由についてお尋ねいたします。

 さらに、認証の基準についてお尋ねいたします。

 法第六条第四号の中に、「申請者の実質的支配者等」として、「申請者の株式の所有、申請者に対する融資その他の事由を通じて申請者の事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にあるものとして法務省令で定める者をいう。」と規定されておりますが、具体的に説明をしていただきたいと思います。

 また、同号中、「申請者の子会社等」として、「申請者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配する関係にあるものとして法務省令で定める者をいう。」と規定されておりますが、どのような場合を想定されておられるのか、あわせて説明を求めます。

 同条第五号は、手続実施者が弁護士でない場合には、「弁護士の助言を受けることができるようにするための措置を定めていること。」としております。「弁護士の助言を受けることができるようにするための措置」とは、どの程度の措置を要求されているのか、不明であります。ADRの業務を行う事務所に弁護士が常駐していることが求められるのか。あるいは、ADR事業者と弁護士の助言に関する顧問契約の存在といった程度でよいのか、答弁を求めます。

 法第十条第一項は、「認証審査参与員若干人を置く。」としていますが、何名程度を予定されているのか。また、法務大臣は、認証の申請に際しては「認証審査参与員の意見を聴かなければならない。」とされています。全国の認証申請者に対して、この程度の人数で実効性のある効果が果たして期待できるものか否か、お尋ねいたします。

 認証紛争解決手続を利用した場合には、時効中断、訴訟手続の中止、調停前置の特則といった法的効果が付与されることになりました。

 しかし、合意の効果に執行力を付与するか否かについては、検討会でも大きな議論になり、今回は見送られたと聞いております。せっかく合意が成立したにもかかわらず、その合意に執行力が付与されなければ、実効性に欠けるという考え方がございます。執行力の付与を見送った理由をお伺いいたします。

 法第二十八条は、認証紛争解決事業者は「報酬を受けることができる。」と規定し、弁護士法第七十二条の例外を定めたものとされています。それでは、認証を受けていない事業者が報酬を受けた場合は、この弁護士法第七十二条の違反になるのか否か、お尋ねいたします。

 最後に、国民にとって身近な司法を実現する上で、裁判の充実を図るとともに、裁判外紛争解決手続の拡充・活性化を図ることが必要であります。今回の裁判外紛争解決手続、すなわちADRの拡充・活性化を図る施策に関しまして、その司法制度改革における位置づけについて御認識をお伺いいたします。

 以上、法務大臣にお尋ねし、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣南野知惠子君登壇〕

国務大臣(南野知惠子君) 江田康幸議員にお答え申し上げます。

 まず、ADRが活用されていない理由及び改善策についてお尋ねがございました。

 その理由といたしましては、国民の理解が十分でないこと、情報が十分でなく、また利便性が乏しいことなどが考えられます。

 このため、本法律案におきましては、基本理念等を定め、国民の理解の増進を図るとともに、認証制度を設け、選択の目安の提供と法的効果の付与等による利便性の向上を図っております。

 次に、国等が講ずる措置についてお尋ねがありました。

 国につきましては、ADRについて、内外の制度や利用状況の調査及び分析、また、その情報の国民への提供、教育や広報の充実などが挙げられます。また、地方公共団体については、地域内で行われるADRに関する情報の住民への提供などが挙げられます。

 次に、認証制度導入に反対する意見の論旨と、これを導入した理由についてお尋ねがありました。

 認証制度につきましては、民間のADRの選別、国の過度な関与につながらないかといった懸念もありました。本法律案においては、こうした懸念も踏まえ、認証は任意の申請に基づくものとするとともに、事業者の自主性、多様性に十分配慮した認証の基準とするなどの措置を講じております。

 次に、法案第六条第四号の具体的内容についてのお尋ねがありました。

 本規定は、認証の基準の一つとして、申請者の親会社や子会社のように、申請者の業務に強い支配力や影響力を及ぼす関係にある者や申請者がこれらの力を及ぼす関係にある者が当事者となる紛争を取り扱う場合には、手続実施者に対して不当な影響を及ぼすことのないような措置を求めるものであります。法務省令におきましては、株式の所有割合や資金調達額に占める融資割合等の基準を定めることを予定いたしております。

 次に、弁護士の助言に関する措置についてのお尋ねがありました。

 この措置に関しましては、弁護士が常駐したり、顧問契約を締結するといったことは必ずしも必要ではありませんが、特定の弁護士が具体的事案に対して的確に助言をすることができるような措置が必要であると考えております。

 次に、認証審査参与員の具体的運用についてのお尋ねがありました。

 認証審査参与員につきましては、民間ADRの経験が豊富で、専門的知識を有する法律家や実務家等の中から、十数名程度の範囲内で任命することを予定しております。また、実際の運用では、法務大臣の専門性を補完し、認証の客観性、透明性を確保するという制度の趣旨が生かされるよう、十分にその活用を図ってまいりたいと考えております。

 次に、執行力の付与を見送った理由についてのお尋ねがございました。

 この点につきましては、手続のより一層の実効性を確保するという意義はあるものの、幅広い方面から、弊害が発生するおそれが十分に払拭されていない、あるいは紛争解決事業者の中での差別化につながるといった強い懸念が寄せられました。そこで、将来の課題とし、現時点での導入は見送ることとしたものであります。

 次に、認証制度と弁護士法第七十二条の関係についてのお尋ねがありました。

 弁護士法第七十二条は、原則として、弁護士でない者が報酬を得る目的で紛争解決手続の業務を行うことを禁止しております。他方、一般論ではございますが、業務の方法や組織等に照らして正当業務として違法とはならない場合もあるとされております。

 したがいまして、認証を受けていないことをもって直ちに弁護士法第七十二条に違反するとまでは言い切れないものと承知しております。

 最後に、ADRの拡充・活性化の位置づけについてのお尋ねがありました。

 司法制度改革の柱の一つは、国民の期待にこたえる、より利用しやすい司法を実現していくことにあり、そのためには、司法の中核である裁判機能の充実に加えまして、ADRにつきましてもその機能の充実を図る必要があります。これによりまして、国民が紛争の解決を図るのにふさわしい手段を選択しやすい社会になるものと考えております。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

 国務大臣の発言(イラクにおける邦人人質事件に関する報告)

議長(河野洋平君) 外務大臣から、イラクにおける邦人人質事件に関する報告について発言を求められております。これを許します。外務大臣町村信孝君。

    〔国務大臣町村信孝君登壇〕

国務大臣(町村信孝君) 在イラク邦人人質事件につき御報告いたします。

 一昨日、バグダッド市内で発見された遺体の身元確認を行った結果、極めて残念ながら、それが香田証生さんの御遺体であるということを確認しました。

 十月二十七日に香田さん拘束の第一報に接して以来、政府として、香田さんの一刻も早い解放のため、アンマンに設置した現地対策本部や関係在外公館と連携し、イラク暫定政府を初めとする関係各国や関係者の協力も得つつ、全力を尽くしてきました。それにもかかわらず、香田さんがテロの犠牲になられたことは痛恨のきわみであります。衷心から哀悼の意を表しますとともに、御家族に対して心からのお悔やみを申し上げます。

 現在、クウェートに到着した御遺体をできる限り早く日本へ搬送できるよう、関係方面と調整を進めているところです。

 無辜の民間人の生命を奪った今回のテロは、卑劣きわまりない行為であり、強い憤りを覚えます。人命を盾にとってみずからの要求を通そうとする行為は、いかなる理由であれ断じて許すことはできません。我が国は、国際社会と協力し、今後とも断固たる姿勢でテロとの闘いを続けなければならないと考えます。

 政府としては、邦人保護は政府の重要な任務と考えており、今後とも、邦人が海外で危険に遭遇した場合には、その時々の状況を踏まえつつ、全力を尽くしていく方針です。そして、今回のような痛ましい事件の再発防止のためにも、イラクのような退避勧告地域に対してはいかなる目的であれ渡航は絶対に差し控えていただくよう、また、退避勧告地域に滞在している方については安全な方法で直ちに退避するよう、改めて強く勧告いたします。

 イラクの復興は道半ばであり、イラクは国際社会の支援を引き続き必要としています。自衛隊は、国際協調のもと、イラクの人々のために人道復興支援活動を行っています。このような我が国の支援は、イラクの人々からも高い評価を受け、歓迎されています。我が国として、イラクの復興に引き続き積極的に関与していくことが重要です。今回の卑劣なテロ行為に屈することなく、安全確保に細心の注意を払いながら、引き続き、対イラク復興支援を行ってまいります。

 今回、最悪の結果となってしまったのは大変残念なことでございますが、本件につき御協力いただいた国会を初めとする関係者の方々に対し、改めて心より御礼を申し上げます。

 以上であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 国務大臣の発言(イラクにおける邦人人質事件に関する報告)に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。谷本龍哉君。

    〔谷本龍哉君登壇〕

谷本龍哉君 自由民主党の谷本龍哉でございます。

 本日は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、イラクにおける邦人殺害事件に関する質問を、総理及び外務大臣に対して行いたいと思います。(拍手)

 初めに、前途にさまざまな希望を抱きながら、志半ばで亡くなられました香田証生さんの御冥福を心からお祈りするとともに、香田さんの御遺族、関係者の方々に対して、衷心からのお悔やみを申し上げたいと思います。こうした犠牲を繰り返さないためにも、本日、質問に立たせていただきました。

 それでは、まず、事件発生前の政府の対策について外務大臣にお尋ねいたします。

 イラクにおいては、武装勢力による外国人の誘拐・襲撃事件が相次いでおり、四月には五名の日本人が誘拐され、五月には橋田さん、小川さんが殺害される事件がありました。このように、現在のイラクに民間人が入国することは危険な状況であると認識いたしますが、今回のような事件を未然に防止するために、外務省は注意喚起などの十分な対策を行ってきたのでしょうか。外務大臣の答弁を求めます。

 次に、日本時間二十七日早朝に事件発生の第一報を受けた後、政府として、関係国政府などに対してどのような働きかけを行ったのですか。例えば、四月の邦人人質事件の際に人質の解放に当たって仲介役を果たしたと言われるイスラム聖職者協会には、仲介を依頼したのですか。外務大臣の答弁を求めます。

 日本時間三十日午前四時に、高島外務報道官から、日本時間の三十日未明に、イラクに駐留する米軍から在イラク大使館に対し、バラドにおいて発見された遺体が香田さんの身体的特徴と一致する部分があるとの連絡があり、政府として事実確認を進めているとの発表がありました。しかしながら、十五時三十分には官房長官が、クウェートに搬送された遺体を在クウェート大使館の医務官が確認したところ、当該遺体は香田さんではないことがほぼ確認されたと発言をされました。最終的に、十八時十分には高島外務報道官から、バラドで発見された遺体は香田さんのものではないとの発表がありました。

 このように、遺体に関する情報が錯綜し、二転三転いたしましたが、その正確な経緯について、改めて外務大臣に説明を求めます。

 このように、三十日の遺体に関する情報は、結果的には米軍からの情報が間違っており、一時、政府の情勢認識が混乱したわけですが、政府の情報収集・管理体制について、問題点、改善点があるのではないですか。外務大臣の見解をお聞かせください。

 日本時間三十一日未明に、イラク保健大臣から在イラク大使に対し、バグダッド市内で身元不明の遺体が発見された旨の連絡があったそうですが、この遺体が香田さんの遺体であると、だれが、どのような根拠で最終的に判断をしたのですか。外務大臣の答弁を求めます。

 御家族のことを考えますと、香田さんの御遺体が一刻も早く日本に搬送され、御遺族のもとに戻ってほしい、そう思いますが、その段取り、手続はどのようになっているのでしょうか。外務大臣の答弁を求めます。

 今回のような痛ましい事件は二度と繰り返されることがないよう、最大限の努力が必要であると思います。現在もイラクにはジャーナリストなどの邦人が滞在していると承知しますが、こうした邦人の安全をどのように確保するおつもりですか。また、今後もイラクに渡航しようとする邦人の方がいないとは限らないと思いますが、今回の痛ましい事件を踏まえ、今後こうした犠牲者を出さないために、外務大臣としてどのような再発防止策を講じていくおつもりでしょうか。答弁をお願いいたします。

 次に、イラクにおける我が国の人道復興支援活動に対する現地のイラク人の評価はどのようなものでありますか。町村外務大臣の答弁を求めます。

 最後に、総理にお尋ねします。

 今回の事件は、政府挙げての解放に向けた努力にもかかわらず、大変残念な結果となり、痛恨のきわみであります。御遺族の無念は、思って余りあるものです。

 他方、今回の事件があったからといって、イラク国民とテロリストとを混同して考えるべきではありません。テロリストの言葉とイラク国民の声は、全く別のものであります。

 一般のイラク国民は、平和を求めているはずです。彼らは、イラクの一日も早い復興、安定に向け、国際社会からの支援を求めています。こうしたイラク国民の声にこたえるためにも、政府として、イラクの一日も早い復興、安定のために、自衛隊による人道復興支援活動を含めた対イラク支援を引き続き継続するべきであると考えますが、総理のお考えはいかがでしょうか。

 また、現地時間十月三十一日夜に、イラクのサマワの宿営地にロケット弾が着弾したとのことでありますが、日本政府として、イラク復興支援に取り組む自衛隊の安全確保に万全を期していただきたいと思います。

 ただ、サマワ周辺はイラクのほかの地域に比べれば比較的安定をしており、このこと一つをとって直ちに戦闘地域であるとは言えないと考えております。こういった脅威に憶することなく、イラク復興支援をぜひとも着実に継続していただきたいとの要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 谷本議員にお答えいたします。

 香田さんがテロの犠牲になられたことに対しまして、心から哀悼の意を表したいと思います。また、このような残虐な、非道な行為に対しては、強い憤りを覚えるものでありまして、御家族の方々に対しまして、心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 我が国のイラク支援についてでございますが、我が国といたしましては、今回の卑劣なテロの行為に屈することなく、引き続きイラクの復興支援を続けていかなければならないと思っております。

 なお、自衛隊のイラク派遣の基本計画では、派遣期間が本年十二月十四日までとされておりますが、その後の対応については、イラク復興の状況、また現地治安情勢等を総合的に検討して、適切に判断してまいりたいと考えます。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣町村信孝君登壇〕

国務大臣(町村信孝君) 谷本議員にお答えいたします。

 まず、事件の発生を防ぐための対策についてのお尋ねがございました。

 外務省としては、従来から、海外に渡航される邦人の安全にとって適切な情報発信が極めて重要だと考えてまいりました。

 ことしの四月の邦人拘束事件の教訓を踏まえて、外務省としては、渡航情報の内容、ユーザーの拡大、さらには発出の頻度について一層意を用いてきたところであります。

 四月以降、誘拐、テロの脅威及び退避勧告について改めて注意を促す速報も三十六回発出してまいりました。外務省としては、イラクへの渡航が極めて危険であることについては、一層広く周知されるに至ったものと考えております。

 以上のような措置に加え、在ヨルダン大使館では、多くの邦人が利用するホテルに対し、イラクの渡航情報の掲示を依頼しています。さらには、イラクへの渡航を希望する邦人が来訪した際には、大使館への連絡をお願いするとともに、ホテル関係者よりもイラクへの渡航を差し控えるよう説得するよう要請してきました。

 以上のような情報発信面での努力と同時に、政府としては、個人個人の方がみずからの安全を確保する上では、危険を十分に認識し、みずからの判断に基づき、危険に遭遇しないよう行動することが何よりも重要であると考えております。安全意識の一層の強化のため、若年層を中心に啓発活動を一層強化しております。

 次に、関係国政府等に対し、政府としてどのような働きかけを行ったかについてのお尋ねがありました。

 二十七日に本件事件発生の情報を得て以降、関係国の首相、外相等に対して、関連情報の提供及び人質の解放について、私自身、直接依頼することを含めての協力、助言を要請いたしました。

 なお、イスラム聖職者協会といった個別の組織との連絡については、関係者の安全及び今後発生し得る事件の解決の障害となるおそれがあることから、その具体の内容を明らかにすることは差し控えさせていただきます。

 次に、遺体に関する確認についてのお尋ねでございます。

 日本時間十月三十日未明に、イラク駐留米軍より、バラドで日本人らしい遺体が発見されたとの連絡を受け、政府は、米側と連携しつつ全力でその事実確認に努めましたが、これは、あくまでも、その遺体が香田さんである可能性について、適切かつ可能な方法で事実関係の確認を行ったものであります。その結果として、日米間で調整の上、最終的にクウェートにて在クウェート大使館の医務官が確認を行い、日本人のものでないと確認したものであります。

 政府としては、この間一貫して、遺体を香田氏のものと断定したことはございません。この点、三十日、官房長官も、香田氏の遺体である可能性は、全くわからない、即断してはいけないと明言しているとおりであります。

 次に、政府の情報収集・管理体制の問題点、改善点についてのお尋ねであります。

 外務省は、本事件発生以来、情報収集、事実関係の確認のためにあらゆる努力を尽くしてきました。何らかの具体的な情報があった場合には慎重に事実関係の確認を行うという方針で対応してきました。

 御指摘の三十日の遺体の情報についても、イラク駐留米軍から香田さんの可能性があるとの情報を受けて、あくまでも、その可能性について、適切かつ可能な方法で事実関係の確認を行っていたものであります。その結果として、日米間で調整の上、クウェートにて在クウェート日本大使館の医務官が確認を行い、日本人のものではないと確認したものであります。

 このような政府の対応に問題があったものとは考えておりませんけれども、今後とも、特定の情報に関して、事実関係を慎重に確認し、万全を尽くしていかなければならないと考えております。

 次に、香田氏の遺体であると判断した根拠についてのお尋ねでございますけれども、在イラク大使館の警備関係者が、遺体が収容された施設に赴き、遺体の指紋その他の身体的特徴に関する情報を収集し、それを在イラク大使館から外務省に伝送の上、外務省対策本部において警察庁とも綿密に連携し、政府としてこれらを総合的に判断したものであります。指紋の同一性については、警察庁の専門家の意見を踏まえたことは言うまでもございません。

 次に、御遺体の搬送についてのお尋ねがございましたが、香田証生氏の御遺体を乗せた米軍機が無事にクウェートに、本日、日本時間の十一時二十五分に到着したとの知らせが、つい先ほど入りました。クウェートから日本へのフライト日程につきましては、現地にいる谷川副大臣がクウェート側と調整を行いつつあるところでございます。

 次に、イラクにいる邦人の安全をどのように確保するのかとのお尋ねでございますが、政府の対応については先ほど答弁いたしました。政府としては、イラクへの渡航に関してはどのような目的であれ見合わせるよう、また、同国に滞在している方については安全な方法で直ちに退避するよう、改めて注意喚起を行ったところでございます。

 最後に、我が国の対イラク人道復興支援に対する評価についてのお尋ねでございます。

 我が国は、これまで、自衛隊による人的貢献とODAによる支援を車の両輪として進めており、暫定政府のヤーウェル大統領、アラウィ首相、ハッサーニ・ムサンナ県知事等からも、我が国のこのような貢献に対して謝意が表明されております。

 また、自衛隊の派遣については、十月二十四日、小泉総理は、自衛隊の駐留継続を要請するアラウィ首相からの書簡を受領しているところでございます。

 以上であります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 藤田幸久君。

    〔藤田幸久君登壇〕

藤田幸久君 藤田幸久でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりましたイラク人質事件に関する報告について、小泉内閣総理大臣に質問をいたします。(拍手)

 まず、質問に入ります前に、香田証生さんが、国民の期待もむなしく、無残にも遺体で発見されたことは、心痛にたえません。香田さんの御冥福をお祈りするとともに、御遺族に対して心よりお悔やみを申し上げます。この間、耐えがたき御心痛を受けられた御家族に対し、政府からの物心両面での最大限の支援を、まず小泉総理にお願いするものです。

 また、何ら関係のない民間人を無残に殺害した犯人グループの残虐な手口には、激しい憤りを禁じ得ません。

 この間、香田さん救出に向けた政府関係者の不眠不休の努力は率直に評価したいと思います。

 民主党も、四月のイラク人質事件の際と同様、自衛隊の撤退問題とは切り離し、人質の救出を第一義とする観点から、情報の交換や共有など、政府にも協力する用意があるとの立場を表明し、事件が発生した二十七日には対策本部を立ち上げ、二十四時間体制で解放に向けての活動を行ってまいりました。鳩山由紀夫ネクスト外務大臣がジュマイリ駐日イラク大使に直接協力要請を行ったほか、岡田克也代表がアルジャジーラ・テレビで犯人グループに対する解放を直接呼びかけました。また、イラクの宗教指導者を通した働きかけも行いました。

 さて、具体的な質問に入ります。

 私は、中越地震で二歳の皆川優太君の救出に見られたような、一人の命を救おうとする感動的な執念とチームワークの再現を祈りましたが、奇跡は実現しませんでした。今回の政府の対応には、四月と異なり、どうしても香田さんを救出するという熱意と執念が感じられませんでした。

 それを象徴的にあらわしているのが、事件発生直後の小泉総理による、強硬なイメージが突出したメッセージです。特に、豊岡の台風被災地での突き放すようなしぐさの映像が繰り返し外国メディアで放映された影響を総理はどう認識されておられるのか、まず伺います。(拍手)

 こうした小泉総理の発言に対して、バグダッドの有識者や学者、イスラム聖職者などが、小泉首相の発言が人質殺害の時期を早めたと思う、犯行グループの誤解を解くこともできず人質を死亡させた日本側の最大のミスは小泉首相が犯した、小泉首相は熟慮せずすぐに挑発的な声明を出してしまったなどと述べたことが報道されています。

 受け手がどう感じるかが重要だという観点から、こうしたイラクの良識的な一般市民の反応を小泉総理はどう受けとめているのか、伺います。

 私は、自衛隊の撤退を表明すべきだったと総理に言っているのでは毛頭ありません。結果として、自衛隊駐留継続やテロとの闘いを挑発的に言い続けることと香田さんの若い命とが、二者択一的なイメージとして伝わってしまったことの結果責任を問うているのです。(拍手)

 一国の総理としての発言の重さに対する認識を問うとともに、脅しに屈しない姿勢と香田さんの救済とのどちらか一方ではなく両立し得る方策と、人命尊重への努力を粘り強く続けるべきではなかったかをただしているのです。総理自身の冷静なお言葉をお聞かせください。(拍手)

 同じように、町村外務大臣が二十七日に行った、アルジャジーラなどに出演しての発言にも疑問を禁じ得ません。

 「イラクで日本人を人質にしているグループへ」と題したメッセージには、日本のイラクの復興努力に対する支援や自衛隊の復興支援、さらには日本主催によるイラク復興信託基金に関する会合などが次々と述べられています。

 これでは、犯人側が敵とするアメリカやイラク暫定政府と日本との緊密な関係を誇示しているだけではありませんか。少なくとも、犯人グループがアルカイダと名乗っているという認識を持たずに外務大臣はテレビカメラに向かっていたのでしょうか。答弁を求めます。(拍手)

 このメッセージの最後には、「私そして日本国民のすべてが、香田さんの早い解放を願っております。」と結ばれています。まるで他人事のようであり、犯人たちに対して直接解放を求めてはおりません。つまり、小泉総理も町村外務大臣も、香田さんの命を救おうとする具体的な発信がなかったことの是非を改めて総理に伺いたいと思います。皆川優太くんを救ったようなあの連帯や人道主義は存在しなかったのでしょうか。(拍手)

 四月の人質事件の際には、米軍のファルージャに対する停戦が人質解放に役立ったと言われていますが、先週はファルージャのザルカウィ派に対する激しい攻撃が続けられ、双方に多数の死者が出ました。米軍による攻撃の激化がアルカイダの反発を強めたとの見方もありますが、日本政府は香田さん救済の観点からアメリカに対して攻撃自粛などを要請したのかどうか、総理に伺います。(拍手)

 次に、今回の人質事件に際し、バグダッドの鈴木大使は、イラク暫定政府のアラウィ首相に直接会って協力要請すべきところを、電話での要請で済ませています。また、三十日に香田さんとは異なる遺体発見の際も、大使館員がだれもティクリットの病院に確認には行っておりません。こうした体制が政府を迷走させ、香田さんの御家族に多大の御心痛を与えたことは否めません。

 総理、これだけ政府を挙げての危機に際し、日本の特命全権大使が、赴任国の首都で、その国の首相に思うように会えないという現状は、ゆゆしき問題だと思いませんか。この外交体制の不備と政府の迷走に対し、総理はいかなる改善策をお持ちか、しっかりお答えいただきたい。

 今のイラクは、特措法のもとで自衛隊を派遣するという政治決断で暫定政府を承認している日本外交の最も重要な国の一つです。国策として、また総合外交能力としての情報収集・分析能力が求められているのではないでしょうか。これがなければ、第二、第三の奥大使や香田さんが生まれかねず、さらにはサマワで活躍する自衛官の身にも危険が迫っています。政府の情報分析経験者や警護能力を持った民間警備会社、現地人の登用も含めた総合的な治安、情報収集・分析能力の改善が急務ではないでしょうか。外交の最高責任者としての総理にお尋ねいたします。

 民主党は、当初から、大義なきイラク戦争及び憲法上疑義のあるイラク特別措置法による自衛隊の派遣に反対してきました。

 最近は、イラク攻撃の根拠とされた大量破壊兵器について、アメリカ政府高官の情報操作疑惑が消えないばかりか、アメリカ政府の最終報告は、公式に大量破壊兵器の発見を断念しているではありませんか。戦争の大義は既に崩壊しています。アナン国連事務総長まで、米国等の単独主義を批判し、国連憲章上の疑義を挙げ、法の支配を強調している事態をどう受けとめているのですか。町村外務大臣の答弁を求めます。(拍手)

 小泉総理は、今になって、戦争の大義について、大量破壊兵器の脅威がなくても、イラクの累次にわたる国連決議違反で正当化できると軌道修正しています。しかし、一連の国連決議は大量破壊兵器の脅威が前提にあり、この存在が否定された今、国連決議にすがる言い逃れを詭弁と言わずして何と表現すればいいのでしょうか。小泉総理の答弁を求めます。(拍手)

 今回の人質殺傷事件は言うに及ばず、昨日はサマワの陸上自衛隊宿営地にロケット弾が着弾し、コンテナを貫通しました。宿営地内の施設の被弾は初めてです。本気で殺傷しようとしているようにも思えると、サマワから帰った自衛隊員の談話が報道されています。こうした事態を総理はどう認識しているのか、伺いたい。宿営地が攻撃の対象とされたというこの新たな事態を迎えても、自衛隊が活動できる非戦闘地域という派遣要件は満たしていると考えるのか、小泉総理の御認識を伺います。(拍手)

 また、自衛隊の治安を守っているオランダ軍も早晩撤退する方針と聞いています。このような状況においては、イラク特措法の規定に基づき、自衛隊の撤退を考えるべき時期に来たと考えますが、小泉総理から、自衛隊の撤退についての方針を伺います。

 また、期限が切れる十二月十四日を前に、国会閉会後の抜き打ちによる政府決定をすることなく、しっかりと、国会と六割以上が延長反対と考える国民の前で審議を行うことを強く求めたいと思います。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)

 九・一一事件以降の先制攻撃論に基づく単独行動主義的な独善的な戦争によって、今、世界は大きな岐路に立たされていると思います。昨年のイラク戦争開始前にはアルカイダも自爆テロも国内には存在しなかったと、最近、あるイラク政府の関係者が私に語ってくれました。

 ますます一般市民が犠牲になっているというこの正気を欠いた戦争に対して、日本も真の人道主義の立場からの平和構築のために立ち上がるときが来たと私は確信しています。総理に、この認識に対する答弁を求め、先ほどの谷本議員に対するようなそっけない答弁ではない答弁を総理大臣及び町村外務大臣に求めて、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 藤田議員にお答えいたします。

 私の発言がテロ事件解決に与えた影響についてでございますが、人命を盾にとってみずからの要求を通そうとする行為は卑劣きわまりない行為でありまして、いかなる理由であっても許すことはできないと思っております。香田さんがテロの犠牲になられたことは、まことに残念であります。

 自衛隊の人道復興支援は、イラクの人々と国際社会の平和と安全のために重要と考えております。新たなテロを防ぐためにも、我が国がテロに屈しないとの立場を堅持することが重要と考えており、イラク人のために人道復興支援活動を行う自衛隊を撤退させないとの私の発言は、このような我が国の立場を明らかにしたものであります。

 政府は、今回の人質事件に当たって、イラク政府及び関係各国に協力を依頼し、ヨルダンでの現地対策本部の活動等を通じ、解決に向けて全力を尽くしてきたところでございます。

 香田さんの命を救おうとする具体的なメッセージについてでございます。

 政府としては人質解放のためにあらゆる努力をいたしましたが、その一環として、外務大臣が二十七日、二十八日の二度にわたりアルジャジーラに出演するほか、関係国、関係機関に協力を要請し、解放に向け全力を尽くしてきたところでございます。

 米軍に対して攻撃自粛などの要請をしたのかとのお尋ねでございます。

 政府としては、人質の安全な解放に向けたあらゆる努力の一環として、米国とはさまざまな経路を通じた情報交換等を行いましたが、数多くの未解決の事件があること、こうした事件が今後とも発生する可能性があること、さらに、関係した方々の立場にかんがみ、その詳細について申し上げることを控えさせていただきます。

 イラクにおける外交体制についてでございますが、今回の事件に関して政府は一体として最善の努力をしたと考えております。バグダッドの治安情勢は厳しい状況にあり、在イラク大使館の警備につきましては、現地の状況を踏まえ、できる限りの対応を行ってきております。

 イラクについては、安全対策、情報収集・分析について、可能なあらゆる手段を活用するとともに、現地の状況の動向に合わせ、その改善強化に努めております。今後とも、我が国のイラク復興支援を支えるこうした努力を継続してまいります。

 我が国の国連決議に基づく対イラク武力行使についてでございます。

 我が国が対イラク武力行使を支持したのは、イラクが十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反し続け、また、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかったとの認識のもとで、自主的な判断に基づき武力行使を支持したのであり、その判断は正しかったと考えております。

 サマワの情勢についてでございます。

 昨日のサマワ宿営地に対する砲撃事案については、現地部隊において、砲弾の捜索を含めた事実関係や背景等の確認を進めているところであります。

 サマワの治安情勢は、予断を許さないものであると認識しております。バグダッドなど他の地域と比べれば比較的安定しているものの、先日もロケット弾の不発弾が宿営地内に着弾しており、今後もこうした事案の可能性を否定することはできないと考えております。

 しかしながら、これまでの情報とあわせて総合的に判断すれば、今回の事案により直ちに自衛隊の活動するサマワ周辺が非戦闘地域の要件を満たさなくなったとは考えておりません。

 自衛隊の活動に当たっては、現地の情勢に注意しつつ、情報収集を強化するとともに、適切な警戒、危険回避の措置をとり、隊員の安全確保に万全を期してまいります。

 自衛隊の今後の活動についてでございます。

 一般に、自衛隊の撤退については、復興支援活動の目的を達したと考える場合など、我が国が政治的、外交的な判断として派遣を終了させる場合のほか、活動場所が非戦闘地域の要件を満たさなくなった場合や、危険が迫って安全に活動を続けることが難しくなった場合には、自衛隊は、特措法の規定に従って、活動の全部または一部を中止したり、退避、撤収などの措置をとることになります。

 イラクの復興は道半ばであり、我が国にふさわしい分野において引き続き復興に積極的に貢献することが重要であります。私自身、最近、アラウィ首相やハッサーニ・ムサンナ県知事などとの会談において、自衛隊の人道復興支援活動に対する高い評価と、引き続き駐留することに対する期待を改めて認識しております。

 自衛隊のイラク派遣の基本計画では、派遣期間が本年十二月十四日までとされております。その後どうするかについては、国会における議論や、その時点における国民世論の動向を踏まえつつ、イラク復興の状況や現地治安情勢等を総合的に検討して適切に判断してまいります。

 人道主義の立場から平和構築に立ち上がるべきだとのお尋ねでございます。

 現在、イラクの人々は、新しい国家の建設のために必死の努力を行っております。国際社会は一致してこの努力を支援する必要があると思っております。我が国としては、今回の卑劣なテロ行為に屈することなく、引き続き、国際社会と協調しつつ、イラク国民による努力を支援していく考えであります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣町村信孝君登壇〕

国務大臣(町村信孝君) 藤田議員にお答えをいたします。

 犯人グループがアルカイダの背景を持つグループを名乗っていることを認識せずにメッセージを流したのではないかというお尋ねでございますが、二十七日及び二十八日に、本件人質事件をめぐる諸般の事情を十分に踏まえた上で、香田さんが純粋な民間人であることなどを指摘しつつ、犯人グループに対して人質解放を強く求めるメッセージを発出したところでございます。

 次に、米国等によるイラクに対する武力行使についてのお尋ねであります。

 イラク監視グループは、大量破壊兵器がイラクにおいて発見されなかったと報告をいたしましたが、仮に対イラク武力行使が行われていなかったならば、今回のような徹底した調査の実施は困難であり、大量破壊兵器疑惑から生ずるイラクの脅威は現在も続いていたことになると考えられます。

 かつて大量破壊兵器を使用したことのあるイラクが、安保理決議に従わず、国連査察団が大量破壊兵器をめぐる疑惑を否定し得ないという極めて異常な状況のもとでは、国際の平和と安全の維持を確保するために安保理決議に基づきとられた行動を支持するのは当然のことであると考えます。

 なお、九月二十二日の小泉総理との会談において、アナン国連事務総長は、自分の真意は先ほどの訪日の際に強調したとおり、イラク問題については前向きに対応することが重要ということであり、そういった自分のアプローチには何ら変化がないことを御理解いただきたい旨、そういう発言をされたと承知をしております。

 以上であります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  小泉純一郎君

       法務大臣    南野知惠子君

       外務大臣    町村 信孝君

       厚生労働大臣  尾辻 秀久君

       国務大臣    村田 吉隆君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官 杉浦 正健君

       法務副大臣   滝   実君

       外務副大臣   逢沢 一郎君


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