衆議院

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第2号 平成17年1月24日(月曜日)

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平成十七年一月二十四日(月曜日)

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 議事日程 第二号

  平成十七年一月二十四日

    午後一時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑

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本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

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 国務大臣の演説に対する質疑

議長(河野洋平君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。岡田克也君。

    〔岡田克也君登壇〕

岡田克也君 民主党代表の岡田克也です。

 民主党・無所属クラブを代表し、先日の施政方針演説に関し、小泉総理大臣に質問をいたします。(拍手)

 総理の答弁いかんによっては、再質問、再々質問することがあることをあらかじめ申し上げておきます。

 まず、昨年末のスマトラ沖大地震とインド洋津波被害に関し、死亡された皆様に対しお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に対しお見舞いを申し上げます。

 今回大きな被害を出したのはいずれも日本と同じアジアの国々であり、最大限の支援が必要です。民主党としても、募金活動を既に開始するとともに、可能な限りの支援活動を行っています。これまでの自衛隊、NGOなどの活動を評価するとともに、今後、被災地住民のニーズを見きわめながら、息の長い効果的な援助が行われるよう、政府のさらなる努力を求めます。

 先週月曜日は、阪神・淡路大震災の十周年に当たります。私も、神戸市民の皆さんとともに市内を歩き、十周年追悼式典にも参加をいたしました。式典において、被災者を代表して、夫と娘さん二人を瞬時に亡くされた村松京子さんが、みずからの十年間を振り返りつつ、悲しみと苦しみを乗り越えて力強くごあいさつをされました。多くの人々の命を、そして生活を一瞬にして奪う災害の悲惨さとともに、人の命の大切さ、とうとさを改めて認識させられました。

 政治の原点は、一人一人の人間の命を大切にすることです。一生懸命生きている人々を支援することです。その基本認識に立って、内政、外交の重要問題について、総理に対して質問いたします。

 まず、昨年多発した豪雨や台風に対する取り組みについて総理に質問します。

 補正予算案に一兆三千六百億円の災害対策費が計上されました。しかし、国に対する被災地の要望は多様であり、これで十分とは言えません。特に、今豪雪の中で苦しい生活を送っておられる新潟県の被災者の方々に対するしっかりとした対応を小泉総理に求めます。

 私が理解に苦しむのは、被災者生活再建支援法に対する政府・与党の取り組みです。秋の臨時国会で、民主党は住宅本体の再建を対象に加える修正のための改正案を国会に提出しましたが、まともに審議さえされず廃案となりました。なぜ、本当に困っている被災者のささやかな要求が満たされないんでしょうか。今回、内容を充実させて再提出した法案を与野党力を合わせて全会一致で成立させようではありませんか。総理の心のこもった答弁を求めます。(拍手)

 近年、日本社会が変わってきたとの指摘があります。すなわち、所得の格差が拡大し、中間層の厚みが失われつつあるとの指摘です。格差拡大は人々を不安に陥れ、その是正は今政治が取り組むべき重要な課題です。他方で、アメリカ型の社会が望ましいとの意見もあります。総理はどちらの立場に立つのでしょうか、答弁を求めます。

 総理は、努力した人が報われる社会が大切と言われましたが、その前提はチャンスが平等にあることです。親の所得によって教育を受ける機会に差が出ることは、人生のスタートにおいて機会の平等が保障されていないことになります。その観点からは、公立の小中学校の立て直しが極めて重要な政治課題です。

 総理は、施政方針演説の中で、教育基本法の改正や学習指導要領の見直しに言及されました。これらの問題について議論を行うことを否定するつもりはありません。しかし、教育の立て直しで最も重要なことは、小中学校の学びの現場からの改革です。

 最近、民間出身の校長や、地域を中心とした学校運営など、新たな試みが広がっています。このような学びの現場からの改革をサポートするために、教育の地方分権が必要不可欠と思います。教育における国と地方の役割分担について、総理の基本的な考えをお伺いします。(拍手)

 昨年、小泉総理によって進められた年金制度改革は、甘い前提に基づき、かつ、働く世代に過大な負担を押しつける持続不可能なものであります。問題の本質的な解決にならないことは明らかです。

 年金制度の改革は、総理が施政方針演説で述べられたように、できることなら与野党の立場を超えてしっかりと議論すべき課題です。しかし、改革の方向性について何ら合意がないまま議論をしても、成案を得ることはできません。

 総理に改めて質問します。

 第一に、総理は、今国会において、年金制度の抜本改革について集中的に議論する意欲がおありなんでしょうか。

 第二に、そもそも年金制度について、昨年の通常国会で成立した改革では不十分であり、抜本改革が必要であるとの基本認識を総理はお持ちでしょうか。はっきりとお答えください。

 第三に、私は、働く世代に過重な負担をかけないために、年金保険料が一五%を超えることのないような改革が必要で、そのためには消費税の活用が避けられないと考えています。総理は、年金保険料の上限を一五%とすること、消費税の活用を議論の対象とすることについてどう考えておられるのでしょうか。

 第四に、働き方が多様になる中で、国民年金を含めた年金制度の一元化と、そしてその前提として納税者番号制の検討が必要と考えますが、これらの問題について真剣に検討する用意があるのでしょうか。

 以上、基本的な四点について総理の見解を求めます。(拍手)

 小泉総理は、総理就任後初めての所信表明演説で、国債発行三十兆円を公約しました。しかし、この公約は一度も守られませんでした。来年度こそは、当初の公約である国債発行額を三十兆円以下にするチャンスだったのではありませんか。

 小泉総理は、かつて三十兆円に関し、大きな約束を守るためにはこの程度の約束は守られなくても大したことはないと答弁されました。今改めて、国債発行を三十兆円以下とするという国民に対する公約の重さをどう総理は考えておられるのでしょうか。今でも大したことではないと考えておられるんですか。答弁を求めます。

 来年度の公共事業予算は、従来型の自民党的発想が復活し、将来の大型公共事業費の予算拡大は必至です。人口減少時代にあって、今求められているのは、あれもこれもという発想ではなく、将来の公共事業費削減を前提に、より必要なものは何かという選択であるべきです。

 総理には、財政の現状についての危機感が乏しいのではありませんか。整備新幹線などの大型事業拡大に関し、どのような歯どめと将来の姿を考えておられるのか、総理の基本的な考え方について明確な説明を求めます。

 政府予算案の中で大きなウエートを占める人件費の問題について質問します。

 小泉総理になってから、国家公務員の定員はわずか〇・二%しか純粋には減少していません。二〇一〇年代初頭におけるプライマリーバランスの黒字化を目指すというのであれば、公務員の定員を削減し、公務員人件費を減らすことは不可欠です。今後五年間の国家公務員の定員の純減ベースの計画をつくるべきと考えますが、総理にその意欲はないのでしょうか。答弁を求めます。(拍手)

 活力ある東京に対して、地方経済の回復がおくれ、地域の疲弊が指摘されています。しかし、国の公共事業に依存してきた地域社会が今自立し、地域の個性を生かして新たな取り組みが始まっていることを私は実感しています。

 地域再生に当たり最も重要なことは、地方主権、すなわち地域がみずからの判断と責任で物事を決められる体制をつくることです。小泉総理の進めるいわゆる三位一体の分権改革は、この点において全く評価できません。

 小泉総理の分権改革の問題の第一は、将来展望がないことです。

 民主党は、二十兆円の国からの補助金のうち、国が最終的に責任を持つべきと考えている二兆円を除いた十八兆円相当分について、地方に権限、財源、税源を移譲し、地方の責任で行うべきとの基本的考え方を持っています。地方六団体からは同様に、九兆円の国庫補助負担金の見直しが提案されています。三兆円という当面の数字のつじつま合わせではなく、総理の考える地方分権のあるべき姿をまず示す必要があります。答弁を求めます。

 問題の第二は、各省庁やいわゆる族議員に対して、総理がリーダーシップを発揮できなかったことです。

 施政方針演説の中で、総理は、地方の提案を真摯に受けとめて改革案を取りまとめたとしていますが、それならなぜ、地方案にはなかった国民健康保険国庫負担金が突然、しかも七千億円という規模で計上されたのでしょうか。義務教育国庫負担金についても、実質的には単なる補助率の変更にすぎず、文部科学省の権限は温存され、何の改革にもなっていません。地方分権はもう一回ゼロからやり直すべきです。総理に反論があればお聞きします。(拍手)

 地域再生のいま一つのかぎは、農林水産業の振興です。

 民主党は、農業土木を中心とした補助金制度から、米、麦など主要品目や環境保全型農業に対する直接支払いなどに転換することを主張しています。

 総理は攻めの農政に転換すると述べられました。そのこと自体は異論はありませんが、土地改良や農業集落排水に代表される旧来型の中央集権型でかつ公共事業中心の農政にメスを入れずに、日本の農業を変えることはできません。農政の抜本改革の意思は総理にあるのか、答弁を求めます。(拍手)

 郵政改革について質問します。

 なぜ郵政民営化が必要なのかについて、いまだ国民の理解は深まっていません。総理は、施政方針演説の中で、郵便局が集めている三百五十兆円の資金の流れを官から民へ変えていくことを郵政民営化の理由に挙げられました。しかし、官への三百五十兆円の流入をとめることは郵政民営化とは無関係に実現できることです。

 特殊法人の財投機関債の発行が平成十七年度でいまだ六兆円にとどまり、資金の大部分を財投債という国債に依存し、郵政公社がその国債を買い支えているということに問題の根源はあります。なぜ、財投機関債によって運営できるように特殊法人にメスを入れ、徹底的に改革しないんでしょうか。総理の答弁を求めます。(拍手)

 総理は、民間でできることは民間に任せるべきとの観点から郵政民営化を強調されています。私も、郵貯、簡保については民間でもできることであり、将来的には民営化が本筋と考えています。しかし、将来展望なき民営化は、三百五十兆円の国民資産をリスクにさらすとともに、日本の経済にも大きな混乱をもたらしかねません。もう少し丁寧に民営化を模索することが必要です。

 次の基本的な疑問に対し、総理の明確な答弁を求めます。

 第一に、個人金融資産の約二五%を占める三百五十兆円の郵貯・簡保資金の運用が民営化された際に、国民の資産を安全、有利に運用できる能力をいかにして短期間に高めるのでしょうか。

 第二に、郵政公社が保有する百五十兆円を超える国債を民営化法人は自由に処分できることになるはずですが、仮に自由に売却したときに、その国債市場に与える影響は大丈夫なのでしょうか。

 第三に、仮に二百二十兆円の資金規模の巨大銀行、百二十兆円の資金規模の巨大保険会社が誕生したときに、金融市場の健全な競争環境は維持されるのでしょうか。

 以上三点について、国民にわかりやすい明快な答弁を求めます。(拍手)

 外交問題の最初に、総理の基本的な外交姿勢について質問します。

 私は、日本にとって米国との信頼関係が重要であるとの基本認識に立っていますが、同時にアジア外交を重視すべきと考えています。ASEAN、中国、韓国、インド、アジアこそ世界の中で最も経済的に可能性を持った地域です。私は、日本がアジアの中にあることは日本にとって大きな幸運であり、アジアがさらに平和で豊かな地域になるように、そこに日本外交の重点を置くべきと考えています。

 しかし、小泉総理のアジア外交には何の理念も感じることができません。アジア共同体を目指すと言いながら、現在のASEAN諸国との経済連携協定締結交渉は余りにも時間がかかっています。個別の利害を超えて、大きな政治のリーダーシップが必要です。安全保障、経済両面で極めて重要な存在である中国との信頼関係を築くことにも小泉総理は失敗をしています。日中双方の国民感情も悪化しています。こういった課題に、総理は今後どう取り組んでいかれるのでしょうか。答弁を求めます。(拍手)

 米国との政治、経済、安全保障面でのしっかりとした関係は、日本にとって極めて重要です。しかし、小泉総理が好んで使われる「世界の中の日米同盟」という言葉については、私は違和感を感じています。同盟とは基本的には安全保障の問題であり、安易な言葉遣いは日米安保を世界規模に拡大することにつながりかねません。世界の中の日米同盟とは具体的に何を意味するのでしょうか、答弁を求めます。

 日米両国の国益は必ずしも常に一致するものではなく、例えば、日本は、中東地域においてはパレスチナ問題など、米国とは異なる外交政策を展開してきました。米軍再編問題に関連して、日米間で戦略目標の共通化について議論が進められていると承知しています。中東地域まで含むいわゆる不安定の弧が日米共通の戦略目標であるとの認識で既に一致したのでしょうか。私は、日本の中東外交に大きな転換を強いることになるのではないかと危惧をしています。総理のこの点についての答弁を求めます。

 また、新たな日米安保共同宣言の策定も伝えられています。先制攻撃や国連を軽視した単独行動主義、有志連合を強調する今の米国と自衛隊を活用した安全保障協力を深めることには、慎重さが求められます。総理は、新たな日米安保共同宣言を考えているのでしょうか。そして、その内容について、アジア太平洋という従来の地域を超えたものとなるのでしょうか。国連との関係はどうでしょうか。それぞれについて答弁を求めます。

 ブッシュ大統領は二期目の就任式で、世界にある圧制に終止符を打ち、自由を世界に広げることを宣言しました。

 圧制に苦しむ人々がいるとき、国際社会が無関心であっていいはずはありません。しかし、やり方を間違えると、独裁者は排除できてもその後の混乱がかえって住民を苦しめる結果になることは、イラク戦争で既に経験したことです。世界の大国米国には謙虚さが、そしてよき友人である日本には場合によっては忠告をする賢明さが求められていると思います。

 今後、二期目のブッシュ政権に対し、どのような基本姿勢で臨もうとされているのか、小泉総理の見解を求めたいと思います。(拍手)

 イラク戦争とその後の死者は最低五万人、推計によっては十万人を超えると言われています。今後もイラクの混乱が続くことは必至です。一体、何万人の人命が失われるのでしょうか。亡くなられた人々の家族に対して言葉もありません。イラク戦争を無条件で支持された小泉総理に、今でもイラク戦争は正しかったと思っておられるのか、改めて質問をいたします。

 私は、現在のイラクに非戦闘地域はなく、自衛隊は直ちに撤退すべきと考えますが、オランダ軍が撤退し、自衛隊の安全が十分に確保することができなくなる三月には、これに加えて、イラク特措法上の安全確保義務違反の状態となることは確実です。

 自衛隊は武器使用を制限されていますが、だれがこの自衛隊を守るのでしょうか。オランダ軍撤退を機に自衛隊を撤退させるというのが現実的な考え方だと思いますが、このことについて小泉総理の答弁を求めます。(拍手)

 昨年十一月、国連ハイレベル委員会において、国連改革の方向性が示されました。私は、日本が常任理事国になるとの政府の考えを支持し、その実現のために協力していきます。

 今回の国連改革は、二十一世紀における新たな脅威の発生に対し、国連がよりよく対応できるために何を改革すべきかという大きな問題意識に基づくものです。常任理事国の問題は、そのうちの一つにすぎません。

 ハイレベル委員会は、武力行使について、第一に、加盟国による予防的な軍事力の行使、すなわち先制攻撃についてリスクが大き過ぎると指摘をし、第二に、安保理決議が武力行使を容認するに際して、武力行使が最後の手段であること、手段が脅威と比べて必要最小限であることなど、五つの基本原則を示しています。私は、ハイレベル委員会の指摘に基本的に賛成です。

 小泉総理に質問します。

 第一に、加盟国の予防的な軍事力の行使について慎重な見解を示したことについて、第二に、安保理決議が武力行使を容認するに際して五つの基本原則を示したことについて、それぞれどうお考えでしょうか。そして、第三に、アメリカのイラク攻撃はこの基本原則に照らして正当性があったと考えますか。答弁を求めます。(拍手)

 自民党は、十八日の党大会で、北朝鮮の問題に関し、速やかに事態の改善がない場合には厳しい制裁措置の発動を政治の責任において推進する旨の運動方針を決定しました。

 小泉総理は、わずか三日後に施政方針演説で、一日も早い真相究明と生存者の帰国を強く求めていきます、対話と圧力の考え方に立って粘り強く交渉しますと述べるのみです。自民党総裁と総理の使い分けが余りにも大き過ぎて、何が本当なのか、国民に対して正直ではありません。

 もちろん、私は、経済制裁を声高に唱えるような感情論にくみすることはありません。しかし、小泉総理の発言は、北朝鮮に対して誤ったメッセージを送ることになりかねません。制裁措置の発動に関する総理の基本方針について、明確な答弁を求めます。(拍手)

 次に、政治倫理の問題について質問します。

 さきの国会で、いわゆる旧橋本派やみ献金問題について、小泉総理は、自民党の問題ではないとの一言で責任逃れをしようとしました。しかし、民主党を初めとする野党が関係者の証人喚問を求めたにもかかわらず、小泉総理が総裁を務める自民党はこれを拒否しました。

 一月十二日の村岡元官房長官に関する公判において、旧橋本派の元会計責任者であった滝川氏の証言は、なぜ村岡氏だけが起訴されなければならなかったのかという疑問を生んでいます。今国会において関係者の証人喚問を実現し、事実を国民に明らかにすることは、自民党総裁である小泉総理の責任です。国会で決めることだなどの言いわけではなく、責任ある答弁を求めます。(拍手)

 そして、さらに問題なのは、迂回献金、指名献金の問題です。総理は、党首討論において私の質問に対し、迂回献金はないと断言しました。そうであれば、なぜ、政治資金規正法を改正して迂回献金を禁ずる規定を追加することに反対するのでしょうか。総理が施政方針演説でみずから述べられたように、国民の政治への信頼なくして改革の達成は望めません。迂回献金、指名献金を禁止する政治資金規正法の改正を実現することについて、総理の積極的な答弁を求めます。

 次に、最近の報道によると、清和会、いわゆる森派の政治資金収支報告書に記載していない資金のやりとりがあったとの指摘がなされています。事実とすれば、その責任は重大です。会長を務めたこともある小泉総理の、この件に関して事実かどうか、答弁を求めます。(拍手)

 小泉内閣誕生後、はや四年近くが経過をしました。この間、地方分権、道路公団改革、年金制度改革、医療制度改革、政治改革、財政構造改革など、国民の期待は裏切られ続けてきました。改革は進まずに、国民の将来に対する不安は高まるばかりです。今、国民の間には、自民党内閣である限り本当の改革はできないというあきらめと同時に、将来に対する不安感が高まっています。

 小泉総理、あなたはほとんどの改革を中途半端な姿で投げ出してしまいました。結局、あなたが改革を何が何でもなし遂げるという信念を欠いていたか、それとも、自民党政権である限り改革はできないことを証明したわけです。(拍手)

 私は、細川政権、羽田政権が崩壊し、野党となったときから十一年間、真っすぐに、ひたむきに、政権交代ある政治を目指してきました。現在の民主党が結党されて、間もなく七年を迎えます。民主党が政権を担い、改革をなし遂げるための準備は既にできています。日本が今置かれた状況は、まさしく待ったなしであり、言葉だけの改革はもう十分です。

 政権交代なくして改革なし、政権交代に対する国民の熱い期待にこたえて必ず政権交代をなし遂げ、本当の改革を実現することを国民の皆さんに誓い、私の代表質問といたします。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 岡田議員にお答えいたします。

 被災地復興支援についてでございますが、まず、被害に遭われた方々、そして今なお困難な生活を余儀なくされている方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。

 昨年発生した台風、地震等の災害については、これまで最大限の支援を行ってまいりました。今回の補正予算案においても、新潟県中越地震に係る財政上の支援を含め、一兆三千六百億円の災害対策に要する経費を計上し、しっかりとした対応を行っております。

 被災者生活再建支援法については、昨年の通常国会で、被災者が住宅を再建、補修する際に負担する経費の一部を支援する制度が設けられ、その積極的活用を図っているところであります。

 被災住宅の再建に対する公的支援の充実について、関係者から要望があることは承知しております。他方、行政は公共サービスの回復に重点を置くべきであるとの立場から、個人の住宅本体の再建に対する公費支援については慎重な考え方もあり、また、住宅の耐震改修、地震保険の加入等の自助努力を促進する方策をまず充実させるべきとの考え方もあります。このため、さまざまな角度からなお議論を深める必要があると考えております。

 小泉内閣の改革が目指す社会についてでございます。

 基本的に一番重要なことは、みずから助ける精神、みずからを律する精神、この精神のもとに、国民一人一人が、企業、地域が主役となって、努力が報われ安心して再挑戦できる、自信と誇りに満ちた明るい社会の実現を目指したものであります。

 これまで、雇用・中小企業のセーフティーネットの確保に万全を期すとともに、新規起業の促進策、構造改革特区や都市再生など地方の意欲や挑戦を尊重した地域経済の活性化策、持続的な制度の構築に向けた社会保障制度改革などに取り組んでまいりました。

 引き続き改革を進め、地域や多くの国民が持っている潜在力が自由に発揮される活力ある経済社会の構築に向けて全力で取り組んでまいります。

 教育における国と地方の役割分担でございますが、学校や家庭、地域など社会全体で新しい時代を切り開く人材を守り育てなければならないと思っております。こうした中、教育の地方分権を進めることは重要な課題であります。このため、特区制度を活用した地域の提案を生かした学校運営や、保護者や地域住民が一定の権限を持って学校運営に参画するコミュニティースクールの設置といった取り組みを進めてきております。

 今後とも、国は、全国的な教育水準の確保と教育の機会均等についての責務をしっかりと担いつつ、その上で、各学校が保護者や地域住民の声にこたえ、創意工夫を行えるよう、市町村や学校の裁量を拡大していきたいと考えております。

 年金制度についてでございます。

 国民の安心を確保することは国家の重要な課題であると、先日の施政方針演説の中でも申し上げたところであります。年金制度については、さきの年金改正により年金制度自体は持続可能な制度に見直すことができたものと考えておりますが、なお、今後の産業構造、雇用構造の動向に十分対応できるのか、また、年金の一元化を目指すべきではないかとの議論があるところであります。

 さらに、二〇〇七年から人口減少社会を迎え、少子高齢化が進展する中で、年金を初めとする社会保障制度を持続可能なものとしていくことは、これからの我が国社会のあり方にかかわる極めて重要な政治課題でもあります。

 このためには、年金制度のみならず医療、介護などを含めた社会保障制度全体について、税や保険料の負担と給付のあり方を含め一体的見直しを図る必要があると思います。年金制度のあり方についても、これとの整合性を図りつつ、年金一元化を含めた見直しは必要と考えております。

 私としては、政府のみならず与野党が立場を超えて、年金制度を初めとした社会保障制度の論議に国民的立場から取り組むことは政治の責任であります。このため、国会において集中的な議論を早急に開始していただきたいと考えております。国会において集中的な議論をする場合には、社会保障制度全般について一体的に議論していただく方が、より実り多い議論に結びつくのではないかと考えております。

 年金保険料の上限については、さきの年金改正議論の中でも一五%程度にすべきとする議論があったことは承知しております。年金保険料率が一五%になる前によい結論を見出したいという考えも理解できます。

 しかし、この年金保険料負担の問題については、年金の給付水準をどうするか、また社会保障全体としての負担と給付をどう考えるのか、こういう問題もあります。その際には、消費税の活用ということも当然検討の対象になるものと考えておりますが、消費税を年金のみに充てるのか、他の社会保障の財源との関係でどうするかという議論も必要だと思います。

 また、年金制度の一元化については、まずは厚生年金と共済年金の一元化を進めるべきでありますが、さらに、国民年金を含めた公的年金制度の一元化については、御指摘のとおり、自営業者の公平な保険料徴収のための正確な所得の把握や事業主負担をどうするか、納税者番号制度などの諸条件をどうするかといった問題について早急に検討する必要があります。

 いずれにしても、年金制度の枠組みの中だけで議論するのではなく、医療、介護などを含めた社会保障制度全体について一体的な見直しを行う中で、年金制度の一元化などの問題についても検討していくことが適当であると考えております。

 国債発行額の公約についてでございます。

 平成十四年度当初予算の編成に当たっては、歳出が八十兆円を超える一方、税収が五十兆円程度と見込まれる状況のもと、財政の規律、節度を確保するため、国債発行額三十兆円を目標とし、これを達成したところであります。

 平成十七年度予算編成においても、税収が四十四兆円程度と見込まれる中、一般歳出を三年ぶりに前年度以下に抑制し、四年ぶりに新規国債発行額を減額するなど、引き続き財政の規律、節度を確保するとの基本精神を受け継いでおり、財政構造改革を推進していくという考えに変わりはございません。

 整備新幹線などの大型公共事業に関する基本的考えについてでございます。

 この整備新幹線につきましては、昨年十二月、民主党整備新幹線を推進する議員の会の代表である羽田孜議員の名のもとに、整備新幹線の建設促進に関する要請をいただいております。(拍手)

 平成十七年度の公共事業予算については、従来同様に投資の重点化、効率化を図ることとし、全体として三・六%削減したところであります。整備新幹線などの個別事業については、削減した公共事業予算の枠内で計上し、事業の効果等については厳密に検証したものであります。

 今後とも、公共事業については、事業の必要性、緊急性等を厳しく審査しつつ、重点化、効率化を推進してまいります。

 国家公務員の定員についてでございます。

 スリムで効率的な政府の実現に向けて、これまでも累次の定員削減計画の着実な実施、国の行政組織の独立行政法人への移行等を行ってきており、国家公務員の定員総数は大きく減少してきているところであります。

 行政改革を強化するため、公務員の総人件費を削減する必要があるとの強い指摘がある中、定員削減についても引き続き重要課題として取り組んでいく必要があります。このため、昨年末に決定した「今後の行政改革の方針」において、これまでより一段と厳しい、今後五年間で一〇%以上の削減を目指すことを決定しました。

 平成十七年度においても過去最高の一・六六%の削減を行い、治安の回復など山積する行政需要に対応した増員を的確に措置する必要がある中、純減を確保することとしております。

 なお、公務員の人件費を抑制するためには、定員のみならず公務員給与について、地域の民間企業の給与水準を適切に反映するなどの見直しが必要であると思います。いずれにしても、この問題につきましては、民主党の提案も参考にしながら取り組んでいきたいと考えております。

 地方分権についてでございます。

 地方にできることは地方にという理念のもと、三位一体の改革を進めることにより、国の関与を縮小して地方の権限、責任を拡大するとともに、国、地方を通じた行政のスリム化を推進することを目指しております。

 改革の全体像については、地方六団体がまとめた地方財政の改革案を真摯に受けとめ、地方とも協議を重ねた上で政府・与党で取りまとめたものであり、その内容については、地方からも一定の評価をいただいているものと考えております。

 国民健康保険については、医療保険制度改革の動向を踏まえ、都道府県に県内市町村間の財政調整権限を付与した上で、都道府県負担を導入したところであります。義務教育費国庫負担金の取り扱いなど残された課題についても、国と地方の協議の場などを通じて検討を進め、平成十七年度中に結論を出します。

 十九年度以降何をすべきかにつきましては、十八年度までの三位一体の改革の成果を見きわめた上で判断する必要があると考えます。

 農政改革でございますが、今後の農政の推進に当たっては、経済社会情勢の変化に即応し、公共事業の効率化、重点化を推進する一方で、やる気と能力のある農業経営の重点的支援や、企業の農業経営への参入、農産物の輸出の促進など、攻めの農政に転換するとの視点に立ち、一層積極的に農政改革を進めてまいります。

 十七年度予算においても、公共事業における農業分野は、対前年度比で公共事業全体を上回る四・七%の削減をするとともに、農業集落排水予算については、下水道など複数の省庁にまたがる排水事業を地域再生のために実施する場合には、窓口を一本化して交付金として地方に配分する新たな仕組みを導入したところであります。

 特殊法人についてでございます。

 財投計画の編成に当たっては、民業補完の原則のもと、民間準拠の財務諸表も参考にしながら、住宅金融公庫や都市再生機構について事業の抜本的見直しを行うなど、特殊法人改革に着実に対応してきたところであります。

 この結果、平成十七年度財投計画では、特殊法人等向けの投融資額をピーク時の三分の一程度に圧縮し、財投債の発行額については対前年度比で十兆円減額するとともに、財投機関債については前年を大幅に上回る発行額とするなど、着実な改革が進んでおります。今後とも、民業補完性の精査等により、対象事業の一層の重点化、効率化を図ってまいります。

 郵政民営化に関し、三点お尋ねがありました。

 第一に、運用能力についてですが、貸し付け等の業務については、民有民営化の進展に対応し段階的に拡大していくこととしており、移行期間中に順次体制整備を図ることができるよう、現在、制度設計を検討しております。

 第二に、国債市場に与える影響についてですが、民営化に当たっては、郵貯、簡保の既契約に係る公社勘定については安全性を重視して運用し、また、移行期においては市場関係者の予測可能性を高めるため適切な配慮を行うこととしており、国債市場の安定性を損なうことのないよう十分配慮いたします。

 第三に、金融市場の健全な競争環境との関係ですが、イコールフッティングの度合いや国の関与のあり方を勘案しつつ、監視組織を活用しながら、段階的に業務を拡大することとしております。また、小泉内閣は我が国の金融システムの強化と機能向上にも強力に取り組んでおり、民営化後の郵便貯金会社、郵便保険会社を含め、市場で適正な競争が行われることによって国民にもメリットをもたらすものと考えております。

 ASEAN諸国との経済連携協定及び中国との関係でございます。

 ASEAN諸国との経済連携協定交渉については、昨年、フィリピンと大筋合意に達し、現在、マレーシア及びタイとの交渉の早期妥結を目指して取り組んでおります。また、四月にはASEAN全体との交渉も開始するなど、引き続き積極的に取り組みます。

 日中関係については、昨年の日中首脳会談で、その重要性につき認識を共有いたしました。個別の問題についても対話を深め、大局的な観点から、幅広い分野における協力を強化していく考えであります。

 世界の中の日米同盟についてでございます。

 世界の中の日米同盟とは、日米両国が、政治、安全保障、経済を含む幅広い分野において、世界のさまざまな問題の解決に世界の各国と協調しながら取り組んでいく協力関係を意味しております。

 在日米軍の兵力構成でございますが、この見直しにつきましては、現在、地域の情勢認識、戦略目標、日米両国の役割、米軍の軍事態勢の見直しについての基本的考え方等の基本的論点について包括的議論を行いつつ、双方の考え方についての理解を深めるための意見交換を行っております。

 いずれにせよ、我が国が中東諸国や米国を含む国際社会と緊密に連携して、イラク復興支援や中東和平問題などに積極的に取り組むとの方針に変更はありません。

 新たな日米安保共同宣言の発出の可能性についてでございます。

 今後、新たな安全保障関係に対応した戦略目標、日米両国の役割についての議論の成果を何らかの形で取りまとめるということはあり得ると思いますが、現時点で、新たな日米安保共同宣言の策定について日米間で検討を行っていることはありません。

 第二期ブッシュ政権に対する基本姿勢でございます。

 ブッシュ大統領は、就任演説において、世界で自由と民主主義を推進する旨述べておりますが、同時に、米国は望まない者に米国式の統治方式を押しつけることはしない、同盟国の助言と支援に頼っている旨述べております。

 日米双方は、従来より、強固な信頼関係のもとで、言うべきことを言い、やるべきことをやってきておりますが、今後とも、あらゆるレベルで率直かつ緊密に政策協調を行いながら、世界の諸問題に世界の国々と協調しながら取り組んでいく考えであります。

 米英等によるイラクに対する武力行使でございますが、イラクは、十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしませんでした。このような認識のもとで我が国は安保理決議に基づきとられた行動を支持したのであり、これは今でも正しかったと思っております。

 オランダ軍撤退を機とした自衛隊の問題でございます。

 自衛隊が活動する地域におけるオランダ軍撤退後の治安維持のあり方については、イラク暫定政府のほか、多国籍軍の中でイラク南東部に責任を有する英国が検討を行っており、英国は、我が国と引き続き協力していく方針である旨表明しております。

 また、基本計画においては、派遣期間内に治安に係る状況の変化、多国籍軍の活動状況及び構成の変化など情勢に大きな変化を及ぼし得る事象があった場合には、これらをよく見きわめ、必要に応じ適切な措置を講ずることとしております。

 今後とも、適切な警戒や危険回避の措置をとり、隊員の安全確保に万全を期しつつ、自衛隊の活動を継続してまいります。

 国連ハイレベル委員会の報告書についてでございます。

 報告書においては、予防的な武力行使の合法性について懸念が表明されておりますが、当然ながら、安保理決議に基づく武力行使等国連憲章第七章で認められた集団行動を否定しているものではありません。また、同報告書は、国連安保理が武力行使を承認する際検討すべき基本原則を提言しており、報告書が国連憲章第七章のもとでの武力の行使につき一つの考え方を示したことを評価しております。

 本件については、安保理を初めとして加盟国間で議論が行われることが予定されており、我が国もその議論に積極的に参加していく考えであります。

 ハイレベル委員会報告書の武力の行使に関する基準と対イラク武力行使についてでございます。

 同報告書は、武力の行使を含むさまざまな問題を将来に向けて検討したものであり、過去の個別の問題を検討したものではないと承知しております。いずれにせよ、米国等による対イラク武力行使は、累次の関連安保理決議により正当化されるものであり、国連憲章に合致したものであったと考えます。

 北朝鮮に対する経済制裁についてでございます。

 我が国は、北朝鮮側に対し、安否不明の拉致被害者に関する一刻も早い真相究明を行うとともに、生存者は直ちに帰国させるよう強く求めております。政府としては、対話と圧力という考えのもと、北朝鮮側より迅速かつ納得のいく対応を得るための最も効果的な政策を進めてまいります。その際、経済制裁は可能な一つの手段であると考えますが、まず制裁ありきということではございません。

 一億円献金問題の証人喚問についてでございます。

 この件については、既に昨年十一月三十日の衆議院政治倫理審査会において、橋本氏から説明がありました。さらに国会における関係者の証言が必要かどうかについては、国会において決めるべき問題であり、各党各会派において十分に議論していただきたいと思います。

 いわゆる迂回献金の禁止についてでございます。

 迂回献金のように政治資金規正法に対する脱法的な行為は、あってはならないものであります。与党が提出している政治資金規正法の改正案も、迂回献金との疑惑の払拭を含め、政治資金の一層の透明性を確保しようとするものであります。迂回献金禁止の条項を設けることによって実効性が期待できるかなどの点も含め、各党各会派で十分御議論いただきたいと考えます。

 清和政策研究会の政治資金収支報告書に関する新聞報道についてのお尋ねでございます。

 清和政策研究会では、政治資金に関しては政治資金規正法にのっとって適正に処理していると聞いているところであり、政治資金規正法上問題があるとは承知しておりません。(拍手)

議長(河野洋平君) 岡田克也君から再質疑の申し出がありますから、これを許します。岡田克也君。

    〔岡田克也君登壇〕

岡田克也君 今の小泉総理の答弁に関し、再質問をいたします。

 全体で九点、簡略に申し上げます。

 第一に、被災者生活再建支援法について、総理は、現在、個人財産について国がどこまで見るべきかということについて検討中である、こう答えられました。しかし、その答弁は、もうここ数年来何度も繰り返されたものであって、まさしく官僚の考えられた答弁であります。今まさしく被災地で苦しんでいるそういった方々のために、まさしく政治的な決断が求められている、そのことを私は聞いたわけであります。総理の、もう一度政治家としての、総理としての明確な答弁を求めたいと思います。

 第二に、年金の問題です。年金の問題の小泉総理の答弁は、総理お一人ではなく、まさしく三人、四人の人が答えているのではないかという非常に混乱したものだったと思います。しかし、抜本改革案について一歩踏み込んだ答弁が部分的にせよなされたことは、それなりに評価したいと思います。

 私は、今の答弁を聞いて二つ指摘しておきたいと思います。一つは、社会保障全体の中で年金を議論する、そのことはそのとおりですが、しかし、結局、全体を議論するといって全体が先送りになってきたのが今までです。したがって、まず年金の問題をしっかり議論する、こういう方針で、そして、かつ議論するのは国会の場であるということを確認しておきたいと思います。いかがでしょうか。

 第三に、公共事業の見直しの話です。もちろん、いろいろな議論は我が党内にもあります。しかし、将来の人口減少時代、財政が極めて厳しいという認識の中で、今までつくってきた例えば高速道路や新幹線の計画について、もう一度全体を見直して、どこまでなら可能なのかということをしっかり議論することが政治の責任であります。総理にそういう姿勢があるのかどうか、お聞きをしておきたいと思います。

 第四に、公務員の人件費、定員の問題であります。総理は、五年間で一〇%の定員削減の計画について言及されましたが、これはもちろん純減ではありません。結局、一〇%減らして一〇%近くふやしてきたというのが従来であります。私が聞いた、純減ベースで五カ年計画をつくるべきだということについてのお答えはありませんでした。しっかりお答えいただきたいと思います。

 三位一体の改革について、総理の、十八年度以降は十七年度までの実績を見てから考えるというそのお答えは、前国会において私に対してお答えになったその答えと全く同じであります。将来展望なき単なる数字合わせは問題だというのが私の指摘です。十八年度以降についてはっきりとした姿勢を示すということを、少なくともこの一年間でしっかりそのことを検討するという姿勢ぐらいは見せられないんでしょうか。答弁を求めます。

 六番目、私がお聞きしたかったのは、民営化した後の民営化法人は、私は、当然民営化されたわけですから、国債について自由に処分権限があると思います。そのときに本当に大丈夫なのかというのが私の質問であって、その途中に至ることを聞いたのではありません。明確にお答えいただきたいと思います。

 七番目、イラクの問題です。私は、仮に国連決議があったというふうに考えるとしても、その時点において拒否権を持つ常任理事国である中国やフランスやあるいはロシアが明確に武力行使に反対していた以上、それは国連決議があるということは言えないと思います。この点について、総理はどう考えているんでしょうか。しかも、大量破壊兵器が存在しなかったことについて、存在すると言い続けたみずからの甘い判断、判断の誤りをどう考えるんでしょうか。そのことについても答弁を求めたいと思います。

 国連改革五原則について、ハイレベル委員会が示した五つの原則について、総理は、これから議論をしていく、議論に参加をすると言われました。しかし、常任理事国にみずからがなろうとする国が、こういう根本的な問題についてみずからの意見を述べずして、なぜ常任理事国になれるんでしょうか。総理のこの五原則に対するきちんとした見解を述べられたいと思います。

 最後に、総理は、政治資金をめぐる与党案は迂回献金に対応するものだと言われました。しかし、与党案は、党本部が絡んだ迂回献金の問題について何ら答えを示しておりません。そういう意味で、迂回献金を明確に拒否できるようなそういった民主党の改革案に対して賛成すべきだと考えますが、いかがでしょうか。総理の答弁を求めたいと思います。

 以上、私の再質問に対して明確な答えがなければ、再度質問を重ねたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 岡田議員からの再質問でありますが、被災者支援の問題、年金の問題、社会保障全体の問題、整備新幹線を含めた公共事業の問題、公務員の給与、人員削減の問題、地方の三位一体の改革の問題、民営化の問題、イラクの問題、国連ハイレベル委員会の問題、政治資金の問題、すべてに明確に答弁しております。(発言する者あり)

議長(河野洋平君) 岡田克也君からさらに再質疑の申し出がありますので、これを許します。岡田克也君。(発言する者あり)――内閣総理大臣から答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣小泉純一郎君。

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 各再質問項目の中で、岡田代表や民主党の御意見があったことは理解しております。それに対するお答えは先ほど私が申し上げたとおりであります。(発言する者あり)

議長(河野洋平君) 御静粛に願います。

 ただいま議場内交渉が行われておりますから、しばらくお待ちください。

 議場内交渉は急いで取りまとめられるようお願いいたします。(発言する者あり)――内閣総理大臣から答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣小泉純一郎君。

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私の答弁に不満があるということは理解できます。(発言する者あり)しかし、私は、岡田代表の質問に漏れなく答弁したと思っております。(拍手、発言する者あり)

議長(河野洋平君) 岡田克也君からさらに再質疑の申し出がありますから、これを許します。岡田克也君。(退場する者あり)

 岡田克也君から発言がありません。次に進みます。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 武部勤君。

    〔武部勤君登壇〕

武部勤君 私は、自由民主党を代表いたしまして、総理の施政方針演説に対する代表質問を行います。(拍手)

 残念ながらこのような中で代表質問をしなければならないことは、国民の皆様方に対して極めて申しわけない、そういう思いでありますが、やむを得ません。

 昨年は、まさに「災」の一字をもって象徴すべき、大きな自然災害が内外に相次いだ年でありました。国内では、豪雨、台風、新潟中越地震による死者・行方不明者は二百三十七人に上り、国外では、インド洋・スマトラ沖地震による津波災害で十八万人を超える犠牲者が出たのであります。犠牲となられた方々に対し、改めて御冥福をお祈りし、被災地の方々に心からなるお見舞いを申し上げるものであります。

 政府は、災害対策費一兆四千億円を含む十六年度補正予算を提出しておりますが、これを速やかに成立させることがすべての国会議員の使命である、まずそう申し上げたいのであります。(拍手)

 スマトラ沖地震津波災害で、我が党は昨年末に緊急対策本部を立ち上げ、一月に、タイ・プーケット島の現地調査を含めた、ベトナム・タイ・インドネシア訪問団を派遣いたしました。政府も、自衛艦派遣など迅速に行動し、ジャカルタの緊急サミットで小泉総理がいち早く五億ドルの緊急無償援助を打ち出し、債務償還の一時凍結やインド洋の津波警報システム整備など、国連の支援取りまとめに強いリーダーシップを発揮いたしました。こうした我が国の行動に対し、訪問各国の首脳より、アジアの一員としての真剣な対応に大変信頼を強くしたとの言葉が寄せられたことを報告いたしたいと存じます。

 ことしは阪神・淡路大震災から十年になりますが、その記憶もいまだ鮮明な中で発生したこうした災害対策に、今後我が国はどのように取り組んでいくのか、総理にお伺いいたします。

 そこで、私は、一つの提案をいたしたいと思います。

 我が国の外交の基本は、日米同盟を基軸とし、アジアと国際協調重視の平和外交であります。総理は、昨年秋の国連総会で我が国の安保理常任理事国入りに強い意欲を表明されました。日本がアジアの一員として、アジア重視の国連外交を実現しようとする決意の表明でもあると考えます。戦後六十年を迎え、我が国は、もっともっとアジアで貢献し、信頼され、親近感を醸成していかなければなりません。

 私は、ベトナム訪問で、アジア地域全体を網羅する感染症予防センターの設立を提唱しました。アジア地域においては、人、物、金、情報など、あらゆる交流が今後ますます拡大していきます。アジア共同体ともいうべき時代を迎える中で、鳥インフルエンザ、SARSなど、今後、未知の感染症も含めて発生をいち早く把握し、拡大を水際で食いとめることは、まさに人間の安全保障ともいうべきものであります。

 アジア重視の日本の姿勢を示すためにも、環境、防災など、人間の安全保障確立に我が国が主体的な役割を果たし、貢献可能な感染症予防センター構想をぜひとも進めてはどうかと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。安保理常任理事国入りで目指す理念、決意とあわせて、総理にお伺いいたします。(拍手)

 次に、総理の諸改革についてお伺いいたします。

 就任して三年八カ月、総理の改革により、我が国の経済社会は、構造も意識も大きく変わり、新しい成長への力を確実に蓄えつつあります。

 バブル崩壊後、我が国経済を長く苦しめてきた不良債権処理は、総理の果断なる決意、すなわち、うみを一気に出し切るとの方針により、解決への道筋がつけられました。すなわち、産業再生と一体となった二〇〇二年十月の金融再生プログラムのもとで大なたを振るい、二〇〇四年九月期決算の主要銀行の不良債権比率が四・七%と、不良債権問題の正常化は完全に視野に入りました。

 総理の決断に対し、企業がばたばたと倒産する、失業者がちまたにあふれるといった声もありました。しかし、現実はどうでありましょう。失業率は二〇〇二年の五・四%をピークに低下を続け、現在は四・五%、企業倒産も、帝国データバンクがこの二十日に発表した二〇〇四年の全国企業倒産集計は、一九九四年以来十年ぶりの低い数値を示しているのであります。

 一方、民間活力も沸き上がってまいりました。総理が、官から民へ、民間の潜在成長力を引き出すために導入した一兆八千億円の先行減税や一円起業など、思い切った諸改革によって、設備投資は二けたのペースで増加しております。企業収益も、過去最高益を出す企業もあらわれるなど大幅に好転し、一時七千円台だった株価も、現在は一万一千円台で安定しております。

 こうした経済情勢を反映し、成長率も実質、名目ともに増加基調が定着、特に名目成長率は、二〇〇四年度がプラス〇・八%、二〇〇五年度はプラス一・三%、二〇〇六年度はプラス二・〇%と、着実に増加を見込んでおります。これを受け、政府は、「改革と展望」二〇〇四年度改定で、基礎的財政収支が黒字化する目標年度を二〇一二年度に、一年繰り上げました。

 数字はうそを申しません。総理は、一連の諸改革により、これまでだれもがなし得なかった経済成長と財政健全化の両立を実現しつつあるのであります。国民の負担である財政の出動に頼ることなく、財政を健全化する歳出構造改革が行われました。そして、規制、税制、金融の民間活力を高める改革により、我が国の社会経済構造を確実に転換しつつあるということをここで強調したいのであります。

 総理の改革の成果と、これから取り組むべき改革の視点について、改革を最も知る大臣と言われる竹中経済財政担当大臣にお伺いいたします。

 一方で、官の構造改革についてはさまざまな抵抗が行われております。私は、この状況について、二宮尊徳の話を思い出しました。

 桜町、現在の栃木県二宮町の復興を請け負った二宮尊徳は、当初、桜町の役人や住民からいわれなき不信感を持たれ、復興事業は困難をきわめました。住民や役人は、現代風に申せばサボタージュをして全く協力せず、それでも二宮尊徳は耐えに耐えて、十五年以上の歳月をかけ、再建に成功します。そのとき、二宮尊徳はこのような歌を詠みます。

  田の草はあるじの心しだいにて米ともなれば荒れ地ともなる

 田んぼに生える草は、その持ち主の心がけ次第で、おいしいお米にもなれば、ただの雑草が生える荒れ地にもなるという意味であります。

 今、私たちは、公的部門のリストラ、官の構造改革を進行中であります。そこでは、さまざまな抵抗、官のサボタージュともいうべき状況が生じております。

 私は、抵抗する官の諸君に申し上げたい。諸君の仕事、言いかえれば、諸君が耕そうとしている田んぼには、国民が求める稲を植えているであろうか、それを大切にむだなく育てているであろうか、その心に問うてほしい。

 繰り返して申します。

  田の草はあるじの心しだいにて米ともなれば荒れ地ともなる

 それでは、以下、改革の現状を指摘しつつ、我が党の政権公約に掲げた幾つかの項目に沿って、総理のお考えをお聞きしてまいります。

 まず、公務員制度改革であります。

 我が党は政権公約で、公務員制度改革法案を二〇〇四年の国会に提出すると約束しています。しかしながら、労働組合との調整がつかずにずるずると時を過ごし、ついに国会に提出されることなく年を越しました。公務員制度改革は官の構造改革の原点であり、絶対に放置していてはならないのであります。もしここで一歩引かば、これ幸いと改革への抵抗勢力は身を低くして、あらしの過ぎ去るのを待つことは必至であります。断じてこれを許してはなりません。

 私は、公務員になること自体が目的化するような社会は、活力を失うと考えます。警察官、児童相談所、教育現場、不法産廃投棄など、公務員の関係する問題や事件が生じたときに、必ず言われるのは責任のなすり合いであり、不作為であります。

 先日、社会保険庁の一連の不祥事に対する内部調査結果が公表されました。多額の監修料と称するキックバックの存在や、百人を超える職員の企業との癒着など、その実態、でたらめぶりは声を失うばかりであります。

 社会保険庁に関しては、昨年、労働組合とのいわゆる覚書問題が明らかとなり、強い批判を招きました。その中身は、オンライン化しても合理化せずに職員の身分を保障し、業務の多寡にかかわらず合理的な配置転換を認めず、個人の職務に対する責任強化につながる改革は労働強化に通じるとしてすべて排除するなど、公務員としての責任感、使命感を全く感じさせないものであります。

 これは、社会保険庁だけの問題ではなく、公務員、なかんずく官公労全体の職務に対する意識が民間企業の労働者とかけ離れてしまっているというべきなのかもしれません。国鉄を民営化せざるを得なかった原因も、親方日の丸意識に染まり切った労働組合の存在でありました。民間企業に勤める多くの国民は怒りに震えていることを自覚すべきであります。

 公務員制度改革は、主として官公労の強い反対によって難航しておりますが、本来、国民が費用を負担する公務員の雇用、評価、賃金等、制度改革に労働組合の了解を求める必要があるのかどうか、国民は疑問を感じているのではないでしょうか。総理の公務員制度改革に関するお考え、御決意をお伺いいたします。

 また、社会保険庁については、私は昨年の代表質問で、業務の民間移譲を含めた抜本改革を提唱したところでありますが、もはや民営化以外に改革の道はないと考えます。社会保険庁改革にどう取り組むのか、総理の率直なお考えをお聞かせください。

 次に、郵政改革についてお伺いいたします。

 いわゆる郵政民営化は、官から民へ、規制や官製市場改革の大きな柱であり、全体で四十万人に及ぶ公務員制度改革であります。さらに、肥大化した公的部門の効率化、スリム化に資する特殊法人改革であり、かつ、三百五十兆円もの巨額な資金を民間市場に開放する金融構造改革であります。また、国民負担の軽減と、よりよいサービス提供を可能とする改革でもあります。ここは、大きな視野に立って、何としても改革を断行しなければなりません。

 改革により、公務員が民間人となることに対する不安があることは理解いたします。しかし、公務員であり続けるために、改革に反対することがあってはなりません。改革は、二〇〇七年四月から民営化に着手し、十年かけて完全な民営会社に移行するという長期にわたるものであり、現在の局舎網や雇用の維持に大変な配慮をしているのであります。国民の立場からいえば、郵便のユニバーサルサービスも維持されるのであります。

 郵政公社職員の方たちに申し上げたい。かつて、ジョン・F・ケネディはこう述べています。ニューフロンティアは約束ではない、挑戦である。民営化という新天地、ニューフロンティアには確かに困難もありましょう。しかし、そこには挑戦をする、みずからの力を思う存分試すことができるチャンスがあるのであります。憶することなく、勇気を持って新時代を切り開いていただきたいのであります。

 先日の施政方針演説で、郵政改革にかける総理の熱意のほどがよくよくわかりました。我が党も精力的に論議の集約に努めてまいりますので、政府・与党がともに協力して、国民のためによりよい具体案づくりを目指すべきであります。改めて郵政改革の実行実現に向けた総理の御決意をお伺いいたします。

 次に、官業と官製市場の民間開放、規制改革についてお尋ねいたします。

 官業と官製市場は既に我が国GDPの四割に達し、その多くは、みずから予算を使うのみならず、ファミリー企業に独占的に業務を行わせ、あるいは業法により業界をコントロールし、あるいは特定の業界や団体を補助金で囲い込むなど、閉鎖的な秩序と環境のもとに置かれております。言ってみれば、日本は経済社会の隅々まで官による統制がはびこっていると言って過言ではありません。

 天下り問題とも密接に関係する官業あるいは官製市場を民間開放していくことは、官の既得権益の破壊そのものであります。それだけに官の抵抗も強く、しかも、あらゆる規制や権限は法律でかたく守られており、これを壊すのは相当の力仕事であります。

 政府は、来年度に市場化テストのモデル事業を始めますが、実施対象は三つにとどまり、内容も中核的な業務は除外し、官は入札に参加せず、民間企業だけで競争入札を実施するなど、不十分なものであります。いかに官僚が自分たちの権限に固執し、改革に抵抗し、骨抜きにしようとするか、いつまでもこんな状況を許すわけにはまいりません。

 総理は昨年来、何度も市場化テストを大胆に進めるよう指示しておりますが、現状をどう見ておられるのか、また、ことしの通常国会には何としても市場化テスト法を提出すべきだと考えますが、その御決意とあわせてお伺いいたします。

 次に、地方分権についてお伺いいたします。

 昨年十一月、今後二年間に行う三位一体改革の全体像が決定されました。二兆四千億円の税源移譲を含む全体像が示されたことは評価すべきと考えます。しかしながら、ここにもまた既得権を死守しようとする官僚の強い抵抗があり、結果として、来年度に幾つもの大きな課題が先送りされたのも事実であります。

 私は、個人的にはほとんどの仕事を地方に任せるべきであると考えます。財政力の格差や地方の行政力に対する疑問も残りますが、地方分権改革は、地方を全面的に信頼しなければ進まないのであります。できるだけ地方の裁量度が高まる改革を抵抗を排して進めていくべきだと考えますが、総理の地方分権改革に対するお考えをお聞きいたします。

 また、補助金改革と権限移譲を抜本的に進めるためには、道州制のような行政制度の大きな改革が必要だと考えます。我が党の政権公約は、将来の道州制の検討と北海道の先行展開をうたっておりますが、先般、党政調会に道州制調査会を設置し、その中で北海道道州制特区小委員会を設けたところであります。道州制、なかんずく北海道での先行的展開の今後の取り組みについて総理にお伺いいたします。

 次に、特別会計と特定財源制度であります。

 特別会計や特定財源が国の財政、税制を少なからずゆがめております。年金や雇用保険の積立金が第三者のチェックが入りにくい形でさまざまな事業に流用され、巨額の損失を出しております。さらにまた、事務運営費や豪華な社宅などに湯水のように使われている実態が、社会保険庁の不祥事などを通じて明らかとなりました。特定財源についても、一たんできた制度は既得権となり、財政を硬直化させているのであります。

 特別会計、特定財源の見直しについて、今後どのように取り組んでいくのか、総理にお伺いいたします。

 以上、総理の改革に対し官の抵抗が特に顕著な分野について、改革の決意をお聞きいたしました。総理におかれては、残る改革の焦点は官の構造改革にあるとの明確なメッセージを、ぜひ国民に強く送っていただきたいと思います。

 次に、少子化問題についてお聞きいたします。

 私は、女性がなぜ子供を産もうとしないのか、これは社会全体の問題としてとらえなければならないと考えます。子供を産まない女性が問いかけているのは、お金や制度にはかえられない、今の我が国社会に対する信頼感の喪失だと考えるからであります。

 現在の日本社会は、せつな的で、一獲千金を夢想し、個人主義がはびこり、かつて社会全体にあったやわらかな連帯感も失われ、家庭にいてさえ漠然とした不安を感じるという状況であります。子供を取り巻く環境も、相次ぐ児童虐待や学校における事件の多発と凶悪化など、目を覆いたくなる毎日であります。こうした社会状況の中で、多くの女性が子供を産むことにちゅうちょするのは無理からぬところであると考えます。

 であるならば、少子化は政治が全力を挙げて解決しなければならない問題であります。子供が健全に育つ社会とは、大人も健全である社会であります。政治は、国民の力をかりながら、健全な社会を築く努力をさらに進めねばなりません。

 総理の少子化に対する御認識、解決への決意をお伺いいたします。

 次に、少子化問題を解決する上でも、今後最も重要な政治課題の一つである若者をめぐる現状について質問いたします。

 昨年公表された厚生労働省の就業形態の多様化に関する総合実態調査によれば、非正社員の比率が四年前に比べて二七・五%から三四・六%へ七・一%も上昇し、正社員比率は六五・四%まで落ち込んだことが明らかになりました。特に若者の状況は厳しく、十人に一人が失業者、働く若者の五人に一人はフリーターであるとされております。

 さらに、近年は、働くことも学ぶことも放棄した、ニートと呼ばれる若者も急速に増加しつつあります。ことしは、十五歳から三十四歳までの人口の二・七%、八十七・三万人にも達すると試算されております。

 このような若者が置かれている現状を放置すれば、早晩、大きな社会問題となることは必至であります。

 若者を取り巻く環境が幸福になって初めて、社会は安定し、治安が保たれ、少子化にも歯どめがかかるのであります。若者のわがままを許すのではなく、努力する若者がきちんと報いられ、将来に夢を持てるようにすることが政治に求められていると考えますが、総理は、若者が置かれている現状をどのように認識し、対応していかれるのか、お考えをお示しください。

 次に、持続可能な社会保障制度の構築についてお尋ねいたします。

 少子高齢時代を迎え、人口減少の始まりも目前となっております。今後、若い世代やこれから生まれてくる世代の負担に当然のように依存できる状況にはないと考えます。毎年一兆円を超える規模で膨らんでいく社会保障費を、給付水準を引き下げて、一刻も早く次の時代にも持続可能な制度に改め、引き継いでいくことは、我々世代の責任であります。

 厚生労働省は、年金、介護、医療と順次改革を進めておりますが、社会保障制度全体を見据えた抜本改革の必要性が長く指摘されながら、いまだに各制度をばらばらに手直ししているのが実態であります。

 縦割りにより、制度全体の改革を行政が行い得ないとすれば、それはやはり政治が責任を持ち、与野党の立場を超えて、国民のために真剣な議論を行うべきであります。

 昨年五月、与党と民主党が社会保障制度全体の一体的改革を行う三党合意に署名してから、既に八カ月以上が経過しております。このような状況を、心ある民主党の議員はどう考えるのか。私は、改めて民主党に対し、三党合意を履行し、ともに国民のために責任を果たしていくことを呼びかけるものであります。

 少子高齢社会に持続可能な社会保障制度のあるべき姿をどのように考えるべきか。私は、直接の保険料負担をこれ以上ふやさないことを前提に給付水準を引き下げ、あわせて自助努力を支援する手厚い措置を講じ、さらに社会保障制度全体の中心的な財源として、広く薄く、国民全体で負担する消費税を活用していくべきと考えますが、こうした考えに対する御意見も含めてお尋ねいたします。

 次に、これも深刻な状況にある学力低下の問題と教育改革についてお尋ねいたします。

 我が国の子供たちの学力が著しく低下している現実が、内外の調査などにより次々と明らかにされています。私は、このような事態を招いた原因の一端は、ゆとり教育を推進し、教員組合の問題や教育現場の問題を地方任せにして、真っ向から取り組んでこなかった文部科学省の教育行政にあることは否定できないと考えます。

 中山文部科学大臣は、日本の学力は低下傾向にあるとはっきり認識すべきだと明言し、文部科学官僚の学校現場訪問など、教育行政の意識改革を促す改革方針を明らかにされておりますが、これまでの教育行政に欠けていたのは、まさに中山大臣のような見識と、官僚を指導するリーダーシップであります。(拍手)

 今後は、真摯な反省に立ち、ゆとり教育を早急に転換し、問題教員や教える能力のない教員を排除する教員免許の更新制度導入や、学校運営の自由化推進、教育委員会制度の見直しなど、実態に即した教育改革を直ちに進めるべきであります。

 また、少子化の進展により、子供一人当たりの教員数や予算額は年々ふえているにもかかわらず、学力低下が進み、不登校や学級崩壊などの問題が拡大している事実は、国による画一的な教育が限界に来ていることを示しております。

 私は、国は、教育の理念や教育内容の充実、教育水準の向上と、教育現場の問題解決に向けた各教育委員会との密接な連携など、教育の実態面に、より主体的にかかわり、責任を果たしていくべきだと考えます。それ以外のことはすべて地方に任せて、ふるさとを愛する心、そして日本を愛する心が子供たちにはぐくまれていくような、地域の多様性を生かした教育環境をつくっていくべきだと考えます。

 総理は学力低下問題をどのように認識し、また今後の教育改革をどう進めていこうとしておられるのか、お伺いいたします。あわせて、教育基本法の改正について、総理の基本的なお考えをお聞かせください。

 次に、我が国の治安を悪化させ、国民生活の不安をかき立てている金融犯罪への対処方針についてお伺いいたします。

 最近の金融犯罪、詐欺事件の増加は尋常ではありません。しかも、ハイテク技術の進展を反映し、被害に遭った本人がすぐには気づかないとか、落ち度がないにもかかわらず被害に遭うといったケースが激増しているのであります。例えば、国民が最も安全と考えている銀行の預金口座から知らないうちに預金が引き出されるといったこととか、盗まれてもいないカードが偽造されて被害に遭うといった事件が相次いでおります。

 こうした犯罪は、信用によって成り立ち、機能している金融制度の信頼を根底から覆し、機能不全に至らしめる危険をはらんでいるのであります。何ゆえかといえば、例えば、預金等が引き出される被害に遭った被害者は自分に落ち度がなかったことを立証する責任を負っており、金融機関は責任を負わなくてもいい仕組みに現在はなっております。つまり、被害者が立証し、損害賠償を金融機関に求めることは至難のわざでありますが、逆に、立証責任を負わない金融機関の人間が犯罪に関与しても発覚しにくいということになります。

 実際に、被害者は一様に金融機関への不信感と不満を抱くと伝えられております。一方、金融機関の職員による横領や使い込みといった犯罪も増加しており、現行制度のまま放置すれば、利用者と金融機関との相互不信が次第に広がり、金融制度は、その成り立つ根幹である信頼を失い、機能不全に陥るのであります。こうした犯罪は決して軽視すべきではなく、政治や行政が機動的に対応し、効果的かつ総合的な封じ込め対策を直ちに講じる必要があります。

 我が党の政権公約は、金融サービスを含めた消費者保護法制の強化をうたい、PL法のサービス部門への拡大検討を打ち出しております。これは、製造物責任と同じように、金融商品やサービスについても提供側がリスクを負い、責任を負う仕組みにすることで、消費者に対する誠実な経営姿勢が確立され、法令遵守や企業の社会的責任につながると考えるからであります。このような考えに基づいた投資サービス法の制定や、金融犯罪や振り込め詐欺などの詐欺犯罪から国民を守り、効果的に封じ込める団体訴権制度の整備について、総理のお考えをお聞きいたします。

 次に、イラク支援についてお尋ねいたします。

 昨年十二月、イラク人道復興支援活動への自衛隊派遣継続が閣議決定されました。いよいよ一月三十日には国連安保理決議一五四六に規定される政治プロセスの節目ともなる国民議会選挙が予定され、イラクの安定と復興は極めて重要な局面を迎えました。このような時期に、我が国が、イラク人自身の民主的で安定した国家ができるよう可能な限りの支援を行うことは、国際社会の一員として当然の責任であります。

 自衛隊の安全確保につきましては、私自身、昨年十二月に現地を視察いたしまして、以下のような感想を持ちました。サマワの治安情勢は、予断を許さないものの、他の地域と比べれば安定しており、治安情勢などの情報収集を徹底し、周辺の警戒や警備を強化するなどの措置により、安全確保に万全を期することができるということであります。

 現地には大野防衛庁長官もお入りになりましたが、現地を見てどう感じられたか、自衛隊員の士気はどうであったか、今後、どのようなことに力点を置いて活動を継続していくつもりなのか、防衛庁長官にお伺いいたします。

 次に、日朝関係についてお尋ねいたします。

 総理、国民は怒っております。

 北朝鮮は、横田めぐみさんの遺骨と称して、別人のものを提出してまいりました。その他の拉致被害者についても、何ら誠実な物証を提出するに至っておりません。このことは、北朝鮮が日本を愚弄しているとしか言いようがありません。

 拉致被害者の御家族は、もし自分の娘が、息子が、父が、母が拉致されたとしたら、どんな思いでいられるかとおっしゃいます。私は、それを聞くたびに胸が痛くなります。

 国民は今、政府の出方をじっと見守っております。政府は国民の生命財産を守ってくれるのか、それを注視しているのであります。

 もちろん、核やミサイルの問題をないがしろにはできません。平壌宣言では、日朝関係の正常化は、拉致、核、ミサイル問題の包括的解決をうたっております。しかし、拉致問題の解決なくして正常化はあり得ないのであります。そのことを北朝鮮はきちんと認識しているのかどうか。かくなる上は、経済制裁発動もやむを得ないのではないでしょうか。

 北朝鮮は、テロ組織への武器密輸、麻薬取引等を大きな外貨獲得手段としているとの報道もなされております。六カ国協議についても、一向に進展がなく、次の開催時期をずるずると引き延ばし、時間稼ぎを繰り返しております。国際社会全体の関心をもっと北朝鮮に対して向けさせなければなりません。そのような啓発行動や拉致問題解決の国際世論を高める外交努力をもっともっとすべきなのであります。

 拉致問題解決について、経済制裁を含め、今後どのような基本姿勢で取り組んでいかれるのか、総理にお尋ねいたします。

 次に、日中関係についてお伺いいたします。

 一月十七日、中国の趙紫陽元総書記死去のニュースが全世界を駆けめぐりました。趙紫陽元総書記といえば、一九八九年、天安門広場に集まった民主化を求める大勢の学生たちに囲まれ、理解を示し、武力制圧事態を避けるため、ハンストを中止するよう涙とともに訴えた姿を私は今でも鮮明に思い出すのであります。まさに、改革・開放と民主化のシンボルとして、歴史に刻まれるべき指導者であったと思います。心より御冥福をお祈りいたします。

 さて、日中間ではさまざまな問題が起きております。中国の東シナ海での資源開発問題に続いて、原子力潜水艦の領海侵犯など、国家主権にかかわる大事であります。特に、原子力潜水艦の領海侵犯は、我が国の安全保障上極めて憂慮すべき事柄であり、ないがしろにはできない問題であります。

 しかし、一方で、日中間の経済・文化交流は順調に拡大を続けているのであります。

 小泉総理がAPECでの日中首脳会談で発言されたように、両国が局部的な問題で応酬を続けていくのは不幸なことであります。両国が、大局的な見地から、未来志向で信頼関係を強固にし、アジア地域の安定と繁栄に協力していくことが求められていると思います。

 日中関係を今後どのように良好なものにし、発展させていくか、総理にお聞きいたします。

 次は、日ロ関係についてであります。

 町村外相は、さきのロシア訪問で、ラブロフ外相とプーチン大統領の来日準備の加速を確認したものの、来日時期の確定には至りませんでした。これは、北方領土問題について、プーチン大統領が昨年、一九五六年の日ソ共同宣言は歯舞、色丹の二島返還で領土問題全体を終わりにすることを打ち出していると発言し、これに対する我が国の対応を見きわめているためとも伝えられております。

 大統領の発言は、言うまでもなく、ロシア側の都合のよい、勝手な解釈にすぎません。九三年にエリツィン大統領が来日した際の東京宣言には、四島の名前を具体的に明記し、その帰属の問題を解決することによって平和条約を早期に締結するよう交渉を継続すると明記しているのであります。我が国は、我が国固有の領土である四島の帰属問題をまずロシアとの間で明確にした上で、返還の時期や条件については柔軟に対応するとの正論を押し通すべきであります。

 ことしは、日本とロシアが国交を開いて百五十年になります。隣国である両国が、懸案である領土問題を解決し、平和条約を締結すれば、あらゆる面での交流が一気に拡大し、両国はもとより、極東アジア地域全体の発展や安定に大きな効果を及ぼすことになります。大統領の来日を前に、そのメリットをロシア側によく理解させることが重要ではないかと考えますが、今後の日ロ関係にどう取り組んでいかれるか、お尋ねいたします。

 以上、我が国が直面する内外の課題について質問をいたしました。質問に立って改めて痛感したことは、我が国は今、多くの深刻な問題を抱え、時代の転換の岐路にあるということであります。あらゆる制度、システムが疲弊し、陳腐化し、限界に来ております。しかるに、改革のスピードは、さまざまな抵抗に遭って遅延を余儀なくされる場面も多く見られます。

 我が党は今、十一月十五日の立党五十年記念の日に向け、新しい日本の道しるべともいうべき新しい憲法の草案づくりに取り組んでおります。

 五十年前、我々の先哲は、立党宣言の冒頭で「政治は国民のもの」とうたい上げました。

 小泉総理、どんなに抵抗があっても、既得権の殻を破り、公的部門のリストラを進め、自由と責任が共存する経済市場と公正な社会を実現いたしましょう。

 さらに一言申し上げます。

 本年は、第二次世界大戦が終結して六十年目の年に当たります。当時の首相である鈴木貫太郎は、周囲のだれもが口にできなかった終戦を、命をねらわれながらも、豪胆なまでの勇気と、細心の注意を払いながらなし遂げてきました。鈴木貫太郎は、内閣書記官長の迫水久常にこう言ったそうです。いろいろ人が中傷したりして苦しいだろうが、人が何と言おうと、信じたとおりどんどんおやりなさい。

 僣越ではございますが、この言葉を私は総理にお贈りいたします。そして、選挙のあるなしにとらわれず、常在戦場の民主政治の基本に立って、日本と日本の未来のために、思う存分、渾身の力を込めて改革に取り組んでいただきたいとの願いを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 武部議員にお答えいたします。

 今後の我が国の災害対策でございますが、まず、被害に遭われた方々、そして、今なお困難な生活を余儀なくされている方々に対し、心からお見舞い申し上げます。

 昨年の豪雨、台風、新潟県中越地震の対応については、速やかに激甚災害の指定を行ったほか、災害復旧費等の補正予算への計上など、総力を挙げて対応してまいりました。

 今後とも、被災地の復旧と復興に全力を尽くします。これまでの災害から学んだ教訓を生かして、情報伝達、高齢者の救援が迅速になされるよう、応急対策のさらなる強化を図ります。また、中小河川の整備や水防体制の見直しなど、水害、土砂対策を充実させて、災害に強い国づくりを進めてまいります。

 インドネシア・スマトラ島沖大地震及び津波災害で被災した各国に対しては、同じアジアの一員として、資金、技術・知識、人的貢献のそれぞれの観点から最大限の支援を行ってまいります。そして、関係国や国際機関と協力しながら、津波早期警戒メカニズムの構築などの国際防災協力を積極的に推進してまいります。

 アジアにおける感染症予防センター構想ですが、鳥インフルエンザ、SARS等の感染症はアジア地域で深刻な課題であり、これらの感染症の予防に取り組むことは、アジアの一員としても、また、人間の安全保障の観点からも極めて重要であります。政府としては、現地の状況及びただいまの御提案も踏まえて、感染症の予防の問題に取り組んでまいります。

 国連安保理常任理事国入りについてでございます。

 国際社会が直面する脅威に有効に対処するためには、二十一世紀の国際社会の現実を反映し、実効性及び信頼性を強化する形で安保理を改革することが必要だと思います。我が国は、アナン国連事務総長や関係国と協力しつつ、安保理改革の早期実現を目指します。我が国が安保理常任理事国入りした場合、これまでに培われた能力と経験を生かして、安保理の意思決定に積極的に参画し、国際の平和と安全の維持に一層の役割を果たしていくことが重要であると考えます。

 公務員制度改革でございますが、公務員制度改革に関しては、これまでも、省庁間人事交流の促進や独立行政法人の職員の非公務員化など、可能な措置を着実に実施しております。また、新しい人事制度の構築に向けて取り組んできているところでありますが、職員の理解を高め、制度を円滑に運用できるようにすることにも留意しつつ、関係者間の調整をさらに進めるとともに、能力・実績主義の人事評価を試験的に実施してまいります。

 社会保険庁改革でございますが、社会保険庁については、サービスの質、予算執行のあり方、保険料の徴収実績など、事業運営に関するさまざまな指摘がなされるとともに、不祥事案も生じており、信頼を回復しなければなりません。このため、既に業務改革を進めているところであります。

 また、組織のあり方については、現在、内閣官房長官のもとに置かれた社会保険庁の在り方に関する有識者会議において、外部委託の推進による事業の民営化や組織の形態の見直しを初め、あらゆる議論を例外としない幅広い議論をいただいているところであり、その結果を踏まえ、組織の抜本的な改革を行ってまいります。

 郵政改革でございますが、郵政民営化は、郵便局を通じて国民から集めた三百五十兆円もの膨大な資金を民間部門に流し、効率的に使われるようにする、郵政公社の職員が民間人になるとともに、従来免除されていた税金が支払われること等により財政再建にも貢献するなど小さな政府の実現に資する、国の関与をできるだけ控え、民間企業と同一の条件で自由な経営を可能とすることにより質の高い多様なサービスが提供されるなど、私が官から民への方針のもとに進めてきた改革の本丸というべき大改革であり、これを断固として推進していきたいと思っております。私は、こうした郵政民営化が新しい日本の扉を開くものと確信しております。

 今後、昨年九月に決定した基本方針に基づいて、与党との協議も行いつつ、平成十九年四月に郵政公社を民営化する法案を取りまとめ、今国会に提出し、成立を期していきたいと思います。

 市場化テストでございますが、市場化テストは、政府と民間とが対等な立場で競争することを通じて、行政の効率化や公共サービスの質の向上、受け皿となる民間企業の活性化を図るものであり、重要な制度と考えております。

 十七年度は、ハローワークの中高年向け再就職支援、社会保険庁の保険料未納者に対する督促や年金の電話相談などを対象としてモデル事業を開始するとともに、本格的導入に向けて法的枠組みも含めた制度の整備について鋭意検討を進めてまいります。

 地方分権でございますが、地方にできることは地方にという理念のもと、国の補助金を縮減し、国から地方への税源移譲を進め、同時に地方交付税の改革を行う、いわゆる三位一体の改革を進めております。これにより、国の関与を縮小して地方の権限、責任を拡大するとともに、国、地方を通じた行政の簡素化を推進することを目指しております。各地方が自由に使える財源をふやし、みずからの創意工夫と責任で政策を決められる幅を拡大することによって、地方の自立を可能にし、一層の地方分権を進めてまいります。

 道州制の導入については、分権型社会にふさわしい広域自治体を構築する観点から、広く国民の理解を得る必要があります。このため、制度のあり方や実現方法について、地方制度調査会などにおいて議論を深めてもらっております。また、いわゆる道州制特区については、北海道の提案を受けとめつつ、道州制に向けた先行的取り組みとなるよう、政府としても支援してまいります。

 特別会計及び特定財源の見直しでございますが、特別会計については、一昨年以来、すべての特別会計を対象として事務事業等の見直しを徹底的に進めており、十七年度予算においても、産業投資特別会計におけるNTT株式売却収入を活用した無利子融資制度について、将来的な廃止に向けて見直しを実施しております。今後とも、一般会計からの繰り入れも抑制するなど、温存を許すことなく、一層徹底した見直しを行ってまいります。

 また、特定財源についても、国全体の厳しい財政事情のもとで、道路特定財源の使途の拡大などの見直しを進めてきておりますが、財政資金の有効な活用を図るとの観点から、幅広く検討を進めてまいりたいと考えております。

 少子化問題でございますが、少子化が急速に進行し、若い力が減少する場合には、国の基盤に影響を及ぼすことにもなりかねません。子供を安心して生み、子育ての喜びを実感できる社会を実現し、少子化の流れを食いとめることは、重要な課題であります。昨年末に策定した子ども・子育て応援プランに基づき、待機児童ゼロ作戦、育児時間を確保するための働き方の見直し、地域の子育て支援などの施策を着実に実施し、社会全体で全力を挙げて少子化対策に取り組んでまいります。

 若年者の雇用問題についてです。

 フリーターやいわゆるニートの増加、これは、本人にとっては技能、知識の蓄積がなされない一方、産業や社会を支える人材の育成が図られず、将来の我が国経済社会に与える影響は重大であると認識しております。

 このため、昨年十二月に関係五大臣で若者の自立・挑戦のためのアクションプランを取りまとめ、若年者の働く意欲や能力を高めるための総合的な対策を講じております。また、民間では、農業分野において若年者が職業的自立を図れるような取り組みが進められていると承知しており、こうした取り組みを支援するなど、若年者が将来に希望を持てる社会の実現に取り組んでまいります。

 社会保障についてです。

 社会保障制度のあり方は、少子高齢化の進展や単身者の増大、雇用形態の多様化などの社会生活の変化にも密接に関連する問題と考えており、社会保障制度を将来にわたって持続可能なものとしていくためには、与野党が立場を超えて社会保障の一体的見直しに早急に取り組み、新たな国民的な合意形成を図っていくことが重要であります。

 このため、現在、政府においては、経済界や労働界の参加を得た社会保障の在り方に関する懇談会において、税、保険料等の負担と給付のあり方などを含め、社会保障制度全般について幅広く議論をいただいているところであり、その議論なども踏まえて方向づけをしていきたいと考えております。また、与野党間においても、それぞれ立場はありますが、国民的見地に立って早急に議論を行っていただきたいと考えております。

 こうした中で、税制のあり方については、これまでの与党税制改正大綱を踏まえ、御指摘の消費税のあり方も含め、国民的な議論を進めていく必要があると考えております。

 教育改革でございますが、子供は社会の宝であり、学校や家庭、地域など社会全体で、新しい時代を切り開く心豊かでたくましい人材を守り育てていかなければなりません。こうした中、我が国の学力が低下傾向にあることは深刻に受けとめる必要があり、学習指導要領全体を見直すなどによる学力の向上、教員の質の向上、現場主義の徹底など、教育改革に精力的に取り組んでまいります。

 教育基本法については、中央教育審議会の答申や与党における議論を踏まえて、引き続き国民的な議論を深めながら、改正に向けて積極的に取り組んでまいります。

 投資サービス法、団体訴権制度の整備についてです。

 政府としては、御指摘のように、金融サービスを含めた消費者保護制度の強化は重要な課題であると認識しており、横断的な投資家保護ルールである投資サービス法の検討を精力的に進めるとともに、消費者団体訴訟制度について、現在進められている国民生活審議会における検討を踏まえ、法制化に鋭意取り組んでまいります。

 北朝鮮問題ですが、我が国は、北朝鮮側に対し、一刻も早い真相究明を行うとともに、生存者は直ちに帰国させるよう強く求めております。政府としては、対話と圧力という考えのもと、北朝鮮側より迅速かつ納得のいく対応を得るための最も効果的な政策を進めてまいります。その際、経済制裁は可能な一つの手段であるとは考えておりますが、まず制裁ありきということではございません。

 日中関係についてです。

 日中関係は、人的交流や経済分野を含め、ますます深化していると思います。昨年の日中首脳会談では、二国間のみならず国際社会全体にとっても日中関係は極めて重要であるとの認識を共有し、未来志向の協力を発展させていくことで一致しました。意見が異なる個別の問題についても対話を深め、大局的な観点から幅広い分野における協力を強化していく考えであります。

 日ロ関係についてです。

 平和条約を締結し、日ロ関係を飛躍的に発展させることは、我が国、ロシア双方の国益にかなうものだと思います。引き続き、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという基本方針のもと、精力的に交渉を進めるとともに、日ロ行動計画に従って幅広い分野で協力を進め、プーチン大統領の訪日及びその後の交渉につなげていきたいと考えております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣大野功統君登壇〕

国務大臣(大野功統君) 私がサマワを視察した際の所感等についてお尋ねがありました。

 私は、昨年十二月、サマワを訪問し、武部先生、冬柴先生にも御視察いただいておりますけれども、そのとおり、現地部隊が高い規律と士気を保ち、イラクの復興のために一丸となって取り組んでいることを確認してまいりました。特に、私も隊員とともに市内を視察した際、道行く人々が現地部隊に対して手を振るなど、自衛隊の人道復興支援活動がサマワの人々の共感を得ていることに大きな感銘を受けました。

 イラクの復興は道半ばであり、今後ともイラク側のニーズにこたえた支援を着実に実施してまいりたいと考えております。

 現地部隊の安全につきましては、高度のレベルで確保されていることをみずからの目で確認してまいりました。しかし、ロケット弾飛来の事案もあり、今後とも、防衛庁長官として責任を持って隊員の安全確保に万全を期してまいります。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕

国務大臣(竹中平蔵君) 武部議員から、小泉改革の成果とこれから取り組むべき改革についてお尋ねをいただきました。

 小泉内閣は、改革なくして成長なしとの理念のもと、不良債権処理や財政赤字の拡大阻止に象徴されるような各般の構造改革に取り組んでまいりました。

 こうした取り組みにより、昨年は、日本経済が長い低迷から脱し、その先にある成長の姿が見え始めた年となりました。構造改革は着実な成果を上げつつあると思っております。

 我々は、将来の国民負担を大きくしないように、小さな政府をつくるということを基本姿勢に、守りの改革から、郵政民営化を含む攻めの改革へと進めていくつもりでおります。

 いずれにしましても、もはやバブル後ではない今日、断固たる決意と周到な準備をもって小泉改革をさらに進めてまいりたいと思っておりますので、引き続き御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 小宮山洋子君。――この際、暫時休憩いたします。

    午後三時四十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時四十八分開議

議長(河野洋平君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。

 この際、小宮山洋子君の質疑に先立ち、岡田克也君からさらに質問を求められております。答弁に当たっては、誠意を持ってきちんと対応されるよう望みます。岡田克也君。

    〔岡田克也君登壇〕

岡田克也君 ただいま議長から指摘もありましたように、今回の先ほどの混乱は、ひとえに小泉総理に責任があります。(拍手)

 私は、総理の答弁を注意深く聞いた上で基本的な問題について再質問をしたのであって、総理の答弁漏れを指摘したものではありません。したがって、既に答弁が終わったという小泉総理の答え方は、答弁拒否と同じであります。厳しく反省を求めます。

 私の九項目の質問については、先ほど既に述べておりますので、ここで繰り返すことはありません。誠意を持って答弁していただきたいと思います。

 総理、ここは衆議院の本会議場です。日本の議会制民主主義の中心となる場所です。そして今、私は、通常国会の冒頭に当たり、野党第一党民主党を代表して質問に立っています。こういう場だからこそ、あえて批判のための批判は控え、基本的な質問をいたしました。それに対する小泉総理の答弁は、議会制民主主義の根幹を揺るがすものだと思います。絶対に認めるわけにはいきません。

 総理、冷静に考えてください。我々は、国民に選ばれてこの国会に出てきています。誠意を持って議論する責任があります。総理の今回のこの姿勢は、日本の民主主義の、その歴史に残すような大きな誤りだったと思います。総理の総理としての資質を疑わざるを得ません。総理の謙虚な反省の弁をこの場で国民に対して述べられることをお願いして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 先ほどの岡田議員の再質問につきましては、いずれも既に答弁したところであります。(拍手)しかし、あえて再度質問したいということでありますので、再度、私も答弁いたします。

 被災者生活再建支援法につきましては、なお議論を深める必要があると考えております。

 年金改革につきましては、国会の場で議論すべきとの御質問ですが、国会において集中的な議論を早急に開始していただきたいと思います。また、その場合には、社会保障制度全般について一体的に議論していただく方が、より実り多い議論に結びつくと考えております。

 公共事業について、高速道路や新幹線などの計画全体がどこまで可能か議論すべきとの点でありますが、公共事業の計画につきまして、今後とも、事業の必要性、緊急性等を厳しく審査し、重点化、効率化を推進していく考えであります。

 公務員の定員について、純減ベースの計画をつくるべしとの御質問ですが、「今後の行政改革の方針」において、五年間で一〇%以上の削減を目指すことを決定しており、平成十七年度においても純減を確保することとしておりますが、いずれにしても、この問題については、民主党の提案も参考にしながら取り組んでいきたいと考えております。

 三位一体の改革についてですが、十九年度以降何をすべきかについては、十八年度までの改革の成果を見きわめた上で判断する必要があると考えております。

 郵政民営化が国債市場に与える影響については、国債市場の安定性を損なうことのないよう、十分配意してまいる考えであります。

 イラク戦争についての判断でありますが、イラクは最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかったのであり、このような認識のもとで我が国は安保理決議に基づきとられた行動を支持したのであり、これは正しい選択であったと現在においても考えております。

 国連ハイレベル委員会の五つの基本原則についてですが、同委員会の報告書が国連憲章第七章のもとでの武力の行使につき一つの考え方を示したことは評価しております。

 政治資金規正法についての民主党の改革案についてでありますが、迂回献金禁止の条項を設けることによって実効性が期待できるかなどの点も含め、各党各会派で十分御議論いただきたいと考えております。

 いずれにおきましても、私は、常に誠意を持って答弁しております。(拍手)

     ――――◇―――――

梶山弘志君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十五日午後一時三十分から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。

議長(河野洋平君) 梶山弘志君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十七分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  小泉純一郎君

       総務大臣    麻生 太郎君

       法務大臣    南野知惠子君

       外務大臣    町村 信孝君

       財務大臣    谷垣 禎一君

       文部科学大臣  中山 成彬君

       厚生労働大臣  尾辻 秀久君

       農林水産大臣  島村 宜伸君

       経済産業大臣  中川 昭一君

       国土交通大臣  北側 一雄君

       環境大臣    小池百合子君

       国務大臣    伊藤 達也君

       国務大臣    大野 功統君

       国務大臣    竹中 平蔵君

       国務大臣    棚橋 泰文君

       国務大臣    細田 博之君

       国務大臣    村上誠一郎君

       国務大臣    村田 吉隆君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官 杉浦 正健君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官 阪田 雅裕君


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