衆議院

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第7号 平成17年2月22日(火曜日)

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平成十七年二月二十二日(火曜日)

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  平成十七年二月二十二日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 日露修好百五十周年に当たり、日露関係の飛躍的発展に関する決議案(川崎二郎君外二十一名提出)

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

梶山弘志君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 川崎二郎君外二十一名提出、日露修好百五十周年に当たり、日露関係の飛躍的発展に関する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 梶山弘志君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。

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 日露修好百五十周年に当たり、日露関係の飛躍的発展に関する決議案(川崎二郎君外二十一名提出)

議長(河野洋平君) 日露修好百五十周年に当たり、日露関係の飛躍的発展に関する決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。北村直人君。

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 日露修好百五十周年に当たり、日露関係の飛躍的発展に関する決議案

    〔本号末尾に掲載〕

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    〔北村直人君登壇〕

北村直人君 自由民主党の北村直人であります。

 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合の提出者を代表いたしまして、ただいま議題となりました決議案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    日露修好百五十周年に当たり、日露関係の飛躍的発展に関する決議案

  千八百五十五年に日魯通好条約が調印され、両国の間に公式な関係が樹立されるとともに、択捉島とウルップ島の間に両国の国境が平和裡に確定された。同条約の調印から、本年で百五十周年を迎える。日露両国の先人は、粘り強い交渉を通じて信頼関係を構築し、この日魯通好条約に調印したが、以来百五十年の両国間の歴史を想い、国民とともに深い感慨を覚える。

  日本とロシアは、両国の利益に合致する戦略的パートナーシップの構築に向けて引き続き尽力すべきであり、日露関係をその潜在力に見合ったレベルに引き上げることが必要である。

  しかしながら、戦後六十年の節目の年に当たる今日なお、北方領土問題が解決せず、日露両国間に平和条約が締結されていないことは誠に遺憾である。政府は、日露修好百五十周年という歴史的に重要な節目の年を迎えるに当たり、ロシアとの間で幅広い分野での協力を進めるとともに、全国民の悲願にこたえ、歯舞、色丹及び国後、択捉等の北方領土の帰属の問題を解決して平和条約を早期に締結するという一貫した方針に基づき、平和条約交渉を具体的かつ実質的に前進させ、日露関係を大きく発展させるため、最大の努力を継続するべきである。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

 この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣小泉純一郎君。

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) ただいまの御決議に対して、所信を申し述べます。

 政府といたしましては、ただいま採択された御決議の趣旨を十分に体しまして、日露両国の利益に合致する戦略的パートナーシップの構築に向けて、ロシアとの間で幅広い分野での協力を進めるとともに、我が国固有の領土である北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、もって両国関係を飛躍的に発展させるべく、引き続き最大限の努力を払っていく考えであります。(拍手)

     ――――◇―――――

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案及び国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案について、趣旨の説明を順次求めます。文部科学大臣中山成彬君。

    〔国務大臣中山成彬君登壇〕

国務大臣(中山成彬君) 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 義務教育は、知育、徳育、体育の調和のとれた児童生徒を育成し、国民として共通に身につけるべき基礎的資質を培うものであり、国は、憲法の要請により、すべての国民に対して無償で一定水準の義務教育を提供する最終的な責任を負っております。

 一方、政府においては、いわゆる三位一体の改革に関する政府・与党合意に基づき、国及び地方を通じた行財政の効率化を図る観点から、国庫補助負担金の改革等を進めているところであります。

 このうち、義務教育制度については、その根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持する方針のもと、費用負担のあり方についての地方案を生かす方策と教育水準の維持向上を含む義務教育のあり方について、今年秋までに中央教育審議会において結論を得ることとし、それまでの平成十七年度予算については暫定措置を講ずることとしております。

 この法律案は、こうした政府の方針を受け、義務教育費国庫負担金についての平成十七年度限りの暫定措置を講ずるとともに、文部科学省関係の補助金の整理及び合理化を図るものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明いたします。

 第一に、義務教育費国庫負担金について、平成十七年度限りの暫定措置として、本来の国庫負担額から四千二百五十億円を減額するための所要の措置を講ずるものであります。

 第二に、市町村が行う就学援助に係る国の補助についての対象を要保護者に限定するなど、文部科学省関係の補助金の整理及び合理化を図るものであります。

 なお、このことに伴う地方財源の手当てについては、所要の財源措置が講じられることとされております。

 以上が、法律案の趣旨でございます。(拍手)

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議長(河野洋平君) 厚生労働大臣尾辻秀久君。

    〔国務大臣尾辻秀久君登壇〕

国務大臣(尾辻秀久君) 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 政府においては、平成十七年度予算編成の基本方針を閣議決定し、国と地方に関する三位一体の改革を推進することにより、地方の権限と責任を大幅に拡大し、真に住民に必要な行政サービスを地方がみずからの責任で自主的、効率的に選択できる幅を拡大するとともに、国、地方を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築を図ることとしております。

 また、昨年成立した年金制度改正法においては、基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げることとし、これに向けて今年度に続き平成十七年度においても、所要の税制上の措置を講じた上で、国庫負担を適切な水準へ引き上げるものとされたところであります。

 この法律案は、かかる政府の方針等を受け、国民健康保険の国庫負担率の見直し、基礎年金に対する国庫負担の引き上げ、国庫補助金等の廃止及び交付金の創設等の措置を講ずるものであります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一は、国民健康保険における保険給付等に要する費用に対する国庫負担を見直し、都道府県負担を導入することとしております。

 第二は、基礎年金の給付に要する費用について、平成十七年度において、国庫は、現行の三分の一及び千分の十一に加え、各制度を通じて千百一億円を負担することとしております。

 第三は、養護老人ホームへの入所措置等に要する費用、幼児の健康診査に要する費用等について国庫負担の対象外とすることとしております。

 第四は、市町村または都道府県の創意工夫を生かした介護・福祉サービス基盤の整備や次世代育成支援対策に資する子育て支援事業、施設整備等の実施を支援するための交付金をそれぞれ創設することとしております。

 最後に、この法律は平成十七年四月一日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

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議長(河野洋平君) 農林水産大臣島村宜伸君。

    〔国務大臣島村宜伸君登壇〕

国務大臣(島村宜伸君) 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案の趣旨につきまして、御説明申し上げます。

 農業及び漁業に関する制度金融は、経営改善に必要な資金等を円滑に融通することにより、効率的かつ安定的な経営の育成を図るものであり、国と地方が適切に役割分担しつつ、円滑に実施することが重要であります。

 一方、政府においては、地方の権限と責任を拡大し、歳入歳出両面での地方の自由度を高めることで、真に住民に必要な行政サービスを地方がみずからの責任で自主的、効率的に選択できる幅を拡大するとともに、国、地方を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築を図ることとする平成十七年度予算編成の基本方針を閣議決定したところであります。

 この法律案は、このような政府の方針を受け、農業近代化資金、漁業近代化資金及び漁業経営維持安定資金について、都道府県が行う利子補給に係る政府の助成を廃止し、これに伴う関係規定の整備を行うものであります。

 なお、このことに伴う地方財源の手当てについては、所要の財源措置が講じられることとされております。

 以上、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。河本三郎君。

    〔河本三郎君登壇〕

河本三郎君 自由民主党の河本三郎であります。

 ただいま議題となりました三位一体改革関連三法案に対し、私は、自由民主党を代表して、小泉総理並びに関係大臣に質問いたします。(拍手)

 まず、義務教育費国庫負担法案についてお聞きします。

 資源の大半を輸入に依存している我が国が、時代の課題を乗り越えて今日の繁栄を享受できるのは、すぐれた教育によるものであり、その根幹である義務教育は、まさに国家の礎と言えるのであります。

 諸外国と比較して、我が国の義務教育は機会均等と教育水準の点で極めて充実しておりますが、残念ながら、最近の各種調査では学力の低下傾向が見られるのであります。

 また、昨今、義務教育を財政的に支えてきた国庫負担制度の廃止が議論されていますが、この制度は教育の根幹を支えるものであり、これにより世界有数の機会均等と教育水準が確保されているのであります。

 国家の繁栄を真に願うのであれば、義務教育をおろそかにせず、積極的に充実させる改革を進め、国庫負担制度については、国家論、教育論から十分に議論を尽くした上で結論を導くべきと考えます。

 地方六団体が国民の声をすべて代弁しているわけではないのであります。多くの地方議会や市町村長、教育委員会においては、国庫負担制度の廃止が、教育に関する自治体間の格差を引き起こし、さらには地域の活力低下につながることを懸念して、制度の堅持を求める決議や要望がなされています。これは、地方からの切実な訴えであります。

 主要先進国では、国策として学力向上を目指し、教育水準保障のために、国家が教育投資を拡充する改革を行っており、多くの国が義務教育の教職員給与の全額を負担しているほか、イギリスでは首相のリーダーシップのもと、二〇〇六年度には義務教育費全額を国庫負担にすると聞いております。

 そこで、このような世界の潮流を踏まえ、我が国における義務教育について国が果たすべき役割と義務教育改革の方向性について、総理と文部科学大臣の所見をお伺いします。

 次に、農業近代化資金法案について農水大臣にお聞きします。

 農水関係の補助事業は、食料自給率の向上といった国家的な課題や昨年の累次の災害への対応に見られるように、上流、下流にまたがった広域的な課題に対応するためのものであり、国が責任を持って遂行しなければならず、一つの地方公共団体の判断だけで実施するような性格のものではないのであります。

 地域の実情に即した施策を進めていくという三位一体改革の趣旨を実現するためには、農水省としてどのように対応していくのか、お伺いします。

 また、農水分野については、今回どのようなものを税源移譲するのか、それにより現場で必要な施策の推進に支障を生ずることがないのか、お伺いします。

 近代化資金法案の改正に伴い、今後は都道府県の責任において事業が実施されることになりますが、我が国の農業、漁業の構造改革を進める上では、これまで近代化資金が果たしてきた農業者、漁業者への低利の施設資金等が引き続き円滑に融通されることが何より重要であると考えますが、その需要に的確にこたえ、融資を確実に行うため、どのような基準や仕組みを講ずることにしたのか、お伺いします。

 次に、国民健康保険法案に対してであります。

 社会保障につきましては、世界に例を見ない少子高齢化社会に向けて、国と地方が連携して、国を挙げて社会保障改革に取り組む必要がありますが、今後の社会保障制度において国と地方がどう役割分担をしていくべきか、総理のお考えをお伺いします。

 次に、国民健康保険の都道府県負担の導入について質問いたします。

 昨年十一月末の政府・与党合意の中、社会保障関係では、国民健康保険における都道府県負担の導入が最も大きなものとして位置づけられると考えられます。ただし、地方六団体の提案において、国保、介護費用、老人医療費等、今後増加が見込まれる補助金や負担金については、具体的提案がなかったのであります。また、厚生労働省から国民健康保険について提案があった際には、地方から、唐突であるとの意見も出されたところであります。

 そこで、今回なぜこのような負担導入を盛り込んだのか、厚生労働大臣にお尋ねをいたします。

 また、このたび、新たに都道府県が市町村間の財政調整権限を持ち、あわせて負担もしていただくとのことですが、その配分がどうなるのか、不安の声も聞こえてきます。財政調整の実施に当たり、現場の市町村に混乱が生じないよう、国として調整交付金の目安を示すとともに、それが一〇%から九%に減少するので、国として激変緩和措置を講ずるべきと考えますが、厚生労働大臣の見解をお尋ねいたします。

 次に、基礎年金国庫負担の引き上げについて質問します。

 昨年の年金制度改正において、国庫負担の二分の一への引き上げに向けた道筋が明記されましたが、今回はまさにこれに沿って、平成十七年度も引き続き国庫負担の上乗せを図ることにしているわけで、平成二十一年度までに国庫負担二分の一を実現するためには、さらに大きな財源が必要となります。

 そこで、社会保障の財源の確保について、消費税も含め、今後議論を進めていく必要があると考えますが、年金国庫負担の引き上げに向けた総理の見解をお伺いします。

 信頼できる安定した社会保障制度の構築は、まさに与野党が立場を超えて取り組むべき重要な政治課題であり、今後早急に、与野党が一つのテーブルに着いて真剣かつ建設的な議論を進めるべきことを強く申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 河本議員にお答えいたします。

 義務教育について国が果たすべき役割と改革の方向性についてでございます。

 我が国の学力が低下傾向にあることは深刻に受けとめる必要があり、私としては、主要先進国と同様に教育を国政上の最重要課題と位置づけ、国は、学力の向上など教育改革に精力的に取り組み、全国的な教育水準確保と教育の機会均等についての責務をしっかりと担いながら、地域や学校の創意工夫を生かせるよう、教育の地方分権を進め、市町村や学校の裁量を拡大することが重要であると考えております。

 社会保障制度における国と地方の役割分担でございますが、急速な少子高齢化が進行し、地域社会が変化する中で、個人の責任や自助努力では対応しがたいリスクに対して社会全体で支え合っていくためには、国と地方それぞれが果たすべき責任に応じて協力、分担しながら社会保障制度を支えていくことが重要であります。

 政府としては、このような観点に立って国民健康保険制度における都道府県の役割の拡大などの改革を推進するものであり、今後とも、社会保障が一層その機能を発揮できるよう、地方とよく協力、連携しつつ、関係する制度の改革を進めてまいります。

 基礎年金の国庫負担引き上げでございますが、今回の法律案では、平成十七年度において、定率減税の見直しによる増収分の一定額を基礎年金の国庫負担割合の引き上げの財源に充てることとしておりますが、今後とも、昨年成立した年金改正法で示された道筋に沿って、安定した財源を確保しつつ、国庫負担割合の二分の一への引き上げを着実に実現してまいります。

 また、年金制度を初めとする社会保障制度全体を持続可能なものとするためには、税や保険料の負担と給付のあり方も含め一体的見直しを行う必要があり、こうした中で、消費税も検討の対象になるものと考えております。

 この点については、消費税を年金のみに充てるのか、他の社会保障の財源との関係でどうするかとの議論も必要であると考えており、いずれにせよ、年金制度を初めとした社会保障制度の論議については、政府のみならず、与野党が立場を超えて国民的立場から取り組むことが政治の責任であり、与野党間で早急に真摯な議論を開始していただきたいと考えております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣中山成彬君登壇〕

国務大臣(中山成彬君) 河本議員より、我が国における義務教育について、国の果たすべき役割と義務教育改革の方向性についてのお尋ねであります。

 世界はまさに知の大競争時代に入っており、現在、諸外国は、教育を国政上の最重点課題と位置づけ、国家戦略として教育改革に取り組んでおります。このような観点から、河本議員御指摘のように、例えばイギリスにおきましては、教育に関する国の関与を強め、二〇〇六年度から義務教育費の全額国庫負担制度の導入を行う予定と承知しております。

 我が国においても、国が、全国的な教育水準の確保、教育の機会均等、必要な財源の確保等についての責務をしっかり果たしながら、その上で、義務教育の実施に当たっては、地域や学校が創意工夫して、最善の教育が行われるようにすることが重要であると考えております。

 このような基本的な理念のもと、学習指導要領全体の見直しなどによる学力の向上、教員の資質向上、現場主義の徹底などの教育改革に精力的に取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣尾辻秀久君登壇〕

国務大臣(尾辻秀久君) 国保の都道府県負担導入の趣旨についてお尋ねがありました。

 国民健康保険制度においては、保険運営の広域化を通じた財政の安定化と医療費の適正化を進め、国保の基盤、体力を強化する必要があります。

 そのためには、都道府県の主体的な取り組みが必要であり、確実な財政措置が講じられる三位一体改革の中で、都道府県に市町村間の財政調整という権限の一部を移譲することにより、都道府県の役割の強化を図ることとしたものであります。

 都道府県財政調整交付金の配分方法及び激変緩和措置についてお尋ねがありました。

 都道府県による財政調整の実施方法については、各都道府県が市町村の意見を十分に踏まえ、主体的かつ自主的に決定するものと考えていますが、保険者である市町村で混乱が生じないよう、地方団体と関係省庁において検討の場を設けた上で、都道府県調整交付金のガイドラインを作成することとしております。

 なお、国の財政調整交付金の割合が減少することで、急激な影響を受ける市町村が生じる場合には、その具体的な影響を踏まえた上で、国の財政調整交付金による激変緩和措置を講ずる必要性について検討してまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣島村宜伸君登壇〕

国務大臣(島村宜伸君) 河本議員の御質問にお答えいたします。

 まず、三位一体改革に対する基本的な考え方についてのお尋ねでありますが、農林水産施策は、食料の安定供給の確保、国土と環境の保全などの重要な役割を果たしており、その効果は、食料の生産地や森林のある上流域のみならず、広く消費地や下流域にも及んでおります。したがって、農林水産施策については、広域的な観点から国が責任を持って推進する必要があります。

 一方で、農林水産業は地域の自然条件などに左右されることから、施策の実施に当たっては、地域の自主性、裁量性が発揮できる仕組みとする必要があります。

 このため、今回の改革においては、国として必要な施策の実施を確保しつつ、地域の実情に即した施策の推進が可能となるよう、省庁間の連携強化や統合、交付金化を行うなど、補助事業の仕組みの転換を基本としたところであります。

 次に、税源移譲の内容についてのお尋ねでありますが、農林水産関係では、十七年度、十八年度の二年間で、約二百五十億円の税源移譲を行うこととしております。具体的には、十七年度は融資や森林管理の関係の補助金約五十四億円を税源移譲の対象とし、十八年度は農業委員会や普及事業の関係の補助金を対象とすることとしております。

 税源移譲に当たっては、例えば、農業委員会や普及事業にあっては法制度を維持することにより事業の継続的な実施を担保しております。また、融資の関係では都道府県に対し運用の指針などを示すこととしており、必要な施策の推進に支障が生じることはないと考えております。

 最後に、農業近代化資金などの融資を確実に行うための基準や仕組みについてのお尋ねでありますが、これらの資金については、補助金廃止による税源移譲後も、農業者や漁業者への融資に支障が生じないよう、資金の貸し付け条件など、制度の運用に関する指針を都道府県に示すこととしております。

 また、本事業が農業者や漁業者の資金需要に的確に対応しているかどうかを把握するため、都道府県に対して、予算措置や貸し付け状況などについて報告を求め、必要に応じ、助言を行うこととしております。

 これらの措置により、農業者や漁業者に対する融資が従来どおり確実に実施されるよう努めてまいります。(拍手)

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議長(河野洋平君) 山花郁夫君。

    〔山花郁夫君登壇〕

山花郁夫君 民主党・無所属クラブの山花郁夫でございます。

 ただいま議題となりましたいわゆる三位一体の改革関連法案、義務教育費国庫負担法一部改正案、国民健康保険法等一部改正法案につきまして、地方分権に関する民主党のスタンスを明らかにしながら、質問をしたいと思います。(拍手)

 我が国では、三百諸侯に分かれていた幕藩体制から、明治二年に版籍奉還、明治四年に廃藩置県を行うなど、一連の中央集権制度をつくり上げてから約百三十年がたちました。当時、近代国家を建設していく過程において、工業化社会の当時においては中央集権的国家体制が適しているとの判断が背景にあったと言われております。

 そのころの日本は第一次産業が中心で、都市人口率は約五%。新潟県が人口規模第一位を誇り、交通手段は馬、船という典型的な農業国でありました。わずか一世紀の間に都市人口率は八〇%に達し、第三次産業を中心とする高度都市国家に変貌を遂げたことを思えば、中央集権的な国づくりが一定の成果を上げたものと評価できます。しかし、こうした中央集権システムによる国家建設により、政治、経済、情報、文化などの一極集中化が進み、結果として地方の活力の低下というものを招いております。もはや、このような手法は歴史的使命を終えたと言ってもよいでありましょう。

 現代のように価値観の多元化した社会においては、住民の暮らしや生きがいという視点に立つべきで、中央集権的、効率重視の画一的な政策展開は見直すべきであります。地域みずからの創意工夫が生かせる国をつくっていくこと、多様な物差しで政策展開できる自治体をサポートしていく国の形に改めていくことが必要であると考えます。

 一九八五年に制定され、現在ではヨーロッパの三十カ国もの国が批准しているヨーロッパ自治憲章には、公的部門が負う責務は、原則として、最も市民に身近な公共団体が優先的にこれを執行するものとするという補完性の原理、近接の原理をうたっています。家族でできないことをコミュニティーで、コミュニティーでできないことを基礎自治体で、基礎自治体でできないことを広域自治体で、そして広域自治体でできないことを国でという補完性の原理に示されるように、中央集権的な発想からの転換が必要であります。

 私たち民主党も、この補完性の原理に基づいた中央政府と地方政府との関係を構想し、分権型社会を目指すべきであると考えます。

 今の国際社会を見たとき、地方にいろいろな補助金を配分することに多くの人材を投入することは改めるべきであります。中央政府は地方政府に対してはしの上げ下げまで指示するような仕事はやめて、国でしかなし得ないような仕事に人材も財源も傾斜配分していくことが、ひいては国力を高めることになるからであります。

 総理、中央政府と地方政府のあるべき姿、その将来像について、どのような構想をお持ちであるか、答弁を求めます。

 昨年、全国知事会等地方六団体は、六月九日の内閣府による国庫補助負担金の具体案の取りまとめについての要請に基づき、八月二十四日に「国庫補助負担金等に関する改革案 地方分権推進のための「三位一体の改革」」を政府に提出しております。その内容は、平成十八年までを第一期改革とし、十九年から二十一年までを第二期改革として、総額八兆円程度の国から地方への税源移譲と、総額九兆円程度の国庫負担金の廃止、あわせて地方交付税の見直しを行うというものであります。

 民主党は、国から地方への補助金を、約十二兆円の一括交付金化と五・五兆円の税源移譲を行うことにより、地域が自由に使うことのできる財源に切りかえること、そうすることによって権限と財源を地域に移譲することをマニフェストにもうたっております。地方六団体の改革案は、政府のオーダーに対するレスポンスでありますから、政府と民主党のプランが異なるのと同様に、そのスキームを異にしておりますけれども、真の地方自治の確立に向けた地方分権改革を行おうとする方向性において一致をいたしております。

 さて、この地方六団体の改革案について、昨年九月から、政府と地方六団体との間で国と地方の協議の場が持たれたことは、今回のいわゆる三位一体改革の中で唯一評価できる事柄であると当時は見ておりました。しかし、昨年十二月以来、こうした機会すら設けられておりません。

 二月十七日、新たな全国知事会長に麻生渡福岡県知事が就任をいたしました。麻生新会長は、前会長の梶原路線を承継すると表明をいたしております。選挙で会長が選ばれたのは史上初めてのことでありますけれども、この選挙の際、麻生新会長は、候補者所見において国と地方の協議の場を制度化すべきことを第一に訴えて当選されたことは、極めて重みがあることだと思います。傾聴すべき提案であり、今後、政府として、国と地方の協議の場を制度化し、継続して開催していくべきと考えますが、その意向はおありでしょうか。総理に答弁を求めます。

 そして、その協議の場は、真に地方の声に耳を傾ける場でなければなりません。昨年は、協議の場どころか、既得権益にしがみつく中央省庁の激烈な抵抗の場であり、結果として、族議員の権限を温存するアリバイづくりの場として利用されたのであります。

 その結果、地方六団体が百四十八項目にわたる国庫補助負担金の改革案を示したのに対し、政府案にはほとんど反映されることはありませんでした。

 そこで、総理に伺います。百四十八項目のうち、暫定分を除くと、一体何項目を採用したのですか。また、その総額は幾らになるのでしょうか。答弁を求めます。

 総理は、九月三日の閣僚懇談会で、改革の検討に当たっては、地方からの改革案を真摯に受けとめ、関係各大臣は、改革案の実現に向けて率先して、責任を持って全力で取り組み、平成十七年度予算に最大限生かしてもらいたいと述べています。この今回の結果は、改革案の実現に向けて関係各大臣には全力で取り組んでもらった結果と評価できますでしょうか。百点満点で一体何点がつくようなものなのか、自己採点の答弁を求めます。

 同様に、総務大臣にお伺いします。この結果は、地方からの改革案を真摯に受けとめた数字だとお感じになられますでしょうか。答弁を求めます。

 次に、義務教育費国庫負担法一部改正案について伺います。

 義務教育段階における顕著な学力の低下、学級崩壊などの困難な課題の直面と就学前教育の見直しなど、義務教育に関する国と地方の役割はますます大きくなってきております。

 地域によって直面する課題も異なり、また、地域の特性を生かした学びの場づくりを創造的に進めていくためにも、教育の現場のあり方は大胆に地域にゆだねて、その創意工夫を求めていくべきであります。権限のないところに責任は伴いません。責任のないところに創意工夫の意欲は生まれません。民主党は、義務教育の無償原則を含めて、その基盤整備のための財源保障について国が責任を負い、それを義務教育という中で、使途の特定されない一括交付金として配分する仕組みを提案しております。

 政府の改正案は、義務教育費国庫負担金から四千二百五十億円を減額するというものでありますが、地方六団体案と異なり、中学校分という仕切りもなしに、案分して減額するというわけでありますから、地方案とは似て非なるものです。これでは、従来から指摘されていた、国が金を出すが口も出すの弊害を除去するどころか、金はけちるが口は出し続けるというまさに最悪の選択であり、分権改革には真っ向から対立するものと言わざるを得ません。(拍手)

 昨年十一月二十六日の政府・与党合意には、義務教育については制度の根幹を維持するとあります。ただいまの趣旨説明でも、文部科学大臣は同様の趣旨のことを述べられましたが、これは、口は出し続けて地方独自の施策は許さないということを意味することになるのではないでしょうか。文部科学大臣に答弁を求めます。

 しかも、今回の措置は、平成十七年限りの暫定措置となっております。これは中央教育審議会の議論にゆだねたもので、国庫負担制度を今後どうするのか、予見可能性の極めて不確かな代物であります。

 ところで、総理は、中教審の答申は尊重すべきであるという意見についてどのように考えておられますでしょうか。平成十六年以前に戻すという答申が出る余地もある問題ですので、これは極めて重要なことだと考えます。答弁を求めます。

 また、中教審の答申が出たら、たとえそれが義務教育費国庫負担金制度を維持するという結論であったとしても、政府としてそれに従うということになるのでしょうか。文部科学大臣に答弁を求めます。

 また、従うということになると、今回の補助金改革案は振り出しに戻ってしまうことになりますが、総務大臣、どのように対処されるのでしょうか。答弁を求めます。

 次に、国民健康保険法等一部改正案について伺います。

 この改正案は、国民健康保険制度について、国から都道府県に対して財政調整権限の一部を移譲するものであります。この補助金改革により、国庫負担率が引き下げられ、都道府県が市町村間の財政を調整する交付金制度が導入されます。

 しかし、税源移譲をされたところで、地方がこの財源を国保財源以外に充てるということは考えられません。しかも、国が今後示すというガイドラインのあり方によっては都道府県がさらに縛られる可能性があり、使途に自由度が高まるといったたぐいの話ではありません。

 高齢化社会のますますの進展とともに、医療費の増加が確実に予想されます。すなわち、この補助金改革は、結果的に地方に負担を押しつけることになることは目に見えております。税財源移譲、国庫補助負担金の削減、交付税改革は、地方分権を推進するための手段であるべきで、そのこと自体が目的ではないはずです。経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三を経済財政諮問会議で決定する際に行われた内閣総理大臣指示の冒頭にも、次のように述べられています。「三位一体の改革は、「地方が自らの創意工夫と責任で政策を決める」、「地方が自由に使える財源を増やす」、「地方が自立できるようにする」ことを目指す」。

 この国民健康保険法等一部改正案は、地方分権と一体どのような関係があるというのでありましょうか。具体的には、地方が何を自由に選択することができるようになり、どのような創意工夫が可能となるのでしょうか。厚生労働大臣、総務大臣、それぞれに答弁を求めます。

 もともと国保の問題は、地方六団体の国庫補助負担金改革には存在しなかったものであり、六団体案を真摯に受けとめたと言っているはずの政府が、まるで異なったものを提案しているのであります。ベンチ入りしていない選手をフィールドに出してプレーさせることは、スポーツの世界ではルール違反です。

 世間一般には、表面上の財務数値の見ばえをよくするために数字を飾ることを粉飾決算といいます。地方分権とはまるで関係のない制度改正をあたかも三位一体の改革の成果であるとし、国庫補助負担金改革の三兆円に算入するとして胸を張っているのは、まさに国家的粉飾であるということを指摘いたしまして、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 山花議員にお答えいたします。

 中央政府と地方政府の将来像でございますが、地方については、地方が自由に使える財源をふやし、地方の自立を可能にして、みずからの創意工夫と責任で自治体の政策を決められるようにすることが重要であり、国については、本来果たすべき役割を重点的に担うようにすべきであると考えております。

 このため、地方にできることは地方にという理念のもとに三位一体の改革を進めることにより、国の関与を縮小して、地方の権限、責任を拡大する地方分権を一層推し進めるとともに、国、地方を通じた行政のスリム化を推進してまいります。

 三位一体の改革について、今後の地方との協議に関するお尋ねでございますが、地方から提出された改革案を真摯に受けとめて、地方とも協議を重ねた上で、政府・与党において取りまとめたものであります。その内容についても、地方からも一定の評価をいただいているものと考えております。

 義務教育費国庫負担金の取り扱いなど残された課題についても、引き続き、国と地方の協議の場などを通じて、地方の要望を十分踏まえながら検討を進め、本年中に結論を出していきたいと思います。

 地方六団体の国庫補助負担金の改革案の反映状況、全体像の評価についてでございます。

 今回の三位一体の改革の全体像は、地方六団体がまとめた改革案を真摯に受けとめた上で、地方とも協議を重ねつつ、政府・与党において取りまとめたものであり、地方からも一定の評価をいただいているものと考えております。

 なお、残された課題がある中で、当初の提案から何項目が採用されたかで評価する、あるいは具体的な数字で何点とお答えするつもりはございません。

 義務教育費国庫負担金の取り扱いについてのお尋ねです。

 中央教育審議会においては、昨年末の政府・与党合意に基づき、義務教育制度に関する国の責任を引き続き堅持するとの方針のもと、費用負担に関する地方案を生かす方策と教育水準の維持向上を含む義務教育のあり方について、本年秋までに幅広く検討が行われていくものと考えております。

 政府としては、その中央教育審議会の審議結果を踏まえ、本年中に結論を出してまいります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 三位一体改革全体像の評価についてのお尋ねがあっております。

 改革の全体像につきましては、三兆円規模の税源移譲の方針を極めて明らかにいたした上で、暫定措置とはいえ義務教育費国庫負担金を対象とさせていただいたこと、また、交付税につきましては地方団体の懸念に当面安心感を与える方向性がはっきり明記されたことなど、地方の改革案が一定程度反映をされているものと考えております。

 しかしながら、地方の改革案のうち、建設国債発行対象経費につきましては改革対象とはされず、また、経常経費につきましても半分程度の達成率にとどまっておりますことから、今後の改革におきましては、地方の意見が十分に反映されることになりますよう、全力を傾けてまいりたいと思っております。

 次に、義務教育費国庫補助負担金の話につきましては、平成十六年十一月二十六日の政府・与党合意において、中央教育審議会で費用負担についての地方案を生かす方策を検討いただくこととされております。

 政府といたしましては、中教審の結論を得て、私どもとしてもきちんとした結論を出すようにいたしたいと思いますが、私といたしましては、三位一体の改革を成功させるという政府全体の方針のもとに、地方の改革案が適切に生かされる形で中央教育審議会の結論が導かれるものと考えております。

 最後に、今回の国民健康保険に係る都道府県負担の導入につきましては、当初の厚生労働省の案を改め、保険料と国庫負担を均等にするという従来からの基本原則を維持した上で、税源移譲を前提に都道府県財政調整交付金を創設することとしたところでもあります。

 この制度は、都道府県内の財政調整の権限を基本的に都道府県にゆだねるものでありまして、都道府県が一定の自主性を発揮し得るものと考えております。(拍手)

    〔国務大臣中山成彬君登壇〕

国務大臣(中山成彬君) 山花議員にお答えいたします。

 義務教育制度の根幹を維持というのは、地方独自の施策は許さないという意味かというお尋ねでございます。

 義務教育の根幹は、教育の機会均等、教育水準の維持向上、無償制にあると考えます。これらを達成するため、国は、全国的な教育水準の確保と教育の機会均等についての責務をしっかり果たしながら、その上で、義務教育の実施に当たっては、地域や学校が創意工夫をして、最善の教育を行うことができるようにすることが重要であると考えております。

 今後、中央教育審議会において、国、都道府県、市町村の役割、責任についても御議論いただくことになっておりますが、文部科学省としては、義務教育に係る国の責任をしっかり踏まえた上で改革に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、中央教育審議会において、義務教育費国庫負担制度を維持するという結論となった場合、この結論に従うことになるのかというお尋ねでございます。

 義務教育費国庫負担制度の今後の取り扱いにつきましては、政府・与党合意に基づき、義務教育制度の根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持するという方針のもと、費用負担についての地方案を生かす方策と教育水準の維持向上を含む義務教育のあり方について幅広く検討し、今年秋までに中央教育審議会において結論を得ることとされております。

 文部科学省としては、中央教育審議会の結論を踏まえた義務教育費国庫負担制度の改革を進めてまいりたいと考えております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣尾辻秀久君登壇〕

国務大臣(尾辻秀久君) 国保における都道府県負担導入などの改革と地方分権との関係についてお尋ねがありました。

 国民健康保険制度につきましては、従来は国が全国一律の基準に基づき財政調整を行ってきましたが、国に加え、都道府県内の状況に応じ、都道府県が裁量を持って財政調整を行うことを可能にしたものであります。

 また、地域介護・福祉空間整備等交付金や次世代育成支援対策交付金の創設等を通じ、地方公共団体の創意工夫を生かした福祉サービスの整備の充実を図ることが可能となります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 稲見哲男君。

    〔稲見哲男君登壇〕

稲見哲男君 民主党・無所属クラブの稲見哲男でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、議題となりました国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部改正案及び地方分権改革について質問いたします。(拍手)

 平成七年七月に地方分権推進委員会が発足をして、間もなく十年が経過しようといたしております。平成十三年六月の最終報告まで六次にわたって報告がなされましたけれども、私は、平成八年三月の中間報告が地方分権の基本的理念を最も端的に指し示していると考えています。

 その中間報告に比してみれば、当初、国庫補助負担金の廃止と税財源の地方への移譲とともに地方交付税改革の三つの課題を一体的に進めるとされていた三位一体改革は、地方交付税の削減等による国の財政再建ばかりが先行し、目標からすっかり外れてしまっています。

 確かに、公共事業の垂れ流しにより自民党政権が積み上げた一千兆円に上る国、地方の膨大な債務の中では、地方においても財政再建は重要な課題です。

 しかし、分権改革の本旨は、地方の自主的な決定、裁量権を拡大することで地域の実情に合った事業の選択、効率的な事業推進を可能にすることであり、補助金による中央省庁のコントロールを排してむだな事業をストップし、地方の財政的自立、ひいては地方の個性ある発展につなげていくことであります。

 翻って、総理の進める三位一体改革は、政府、省庁の権限維持、地方への財政負担の押しつけ、課題の先送りと結論の先延ばしに終始し、まるで地方分権改革の体をなしていません。(拍手)

 山花議員の質問と重複は避けますが、平成十六、十七年度の三位一体改革において省益に走る各省庁の姿は、大きな歴史的転換点、この国の形を根本から再構築すべきこの時期にあって、国を滅ぼしかねないものと言えます。そして、小泉総理がリーダーシップがないこと、あるいはやる気がないことが鮮明になりました。小泉総理の三位一体改革は、地方にとってマイナスとなりかねない要因を多く内包し、まやかしの地方分権であると言わざるを得ません。(拍手)

 まず初めに、農業近代化資金助成法等の一部改正案に関連して質問をいたします。

 地方六団体は、昨年八月に提示した補助金改革案において、農水省所管の補助金のうち、今回の法案で改正される農業近代化資金利子補給補助金を含め、三十五項目、額にして約三千九十億円を廃止、税源移譲対象として挙げました。

 しかし、平成十七年度の三位一体改革によって税源移譲の対象となったのは、農業近代化助成補助金を含めて五つの補助金に限られ、移譲額はたった五十四億円にすぎません。残りの三千億円余り、農水官僚や自民党の族議員が権限と利権にしがみつく構造には手をつけられませんでした。まさに、寄生虫ではありませんか。これが、小泉三位一体改革の実態です。

 この農業近代化資金助成法等改正案についても、補助金削減が実現して地方分権が一歩進んだと歓迎するのは、コインの片面しか見ていないことになります。別の観点からいえば、地方が要求した改革のほんの一部だけを実現することと引きかえに、中央省庁の官僚や族議員が権益の大部分を守り切ったということであり、本法案を含め、今国会に提出された三位一体改革関連法案の大部分は、改革骨抜きの象徴にほかなりません。

 なぜ、地方提案のわずか三十五項目さえ採用できなかったのか、この三十五項目すべての補助金を廃止し税源移譲することにどのような障害があるのか、何が問題なのか、島村農林水産大臣の見解を伺います。(拍手)

 また、小泉総理には、この三千億円の骨抜きという現実に対してどのように認識しておられるのか、官僚や族議員に配慮するあなたのことだから、一歩前進だというくらいのコメントがやっとかもしれませんが、自分なりの認識をお述べください。

 農水省は、昨年の国と地方の協議の場において、地方提案に対しかたくなにゼロ回答を繰り返し、あげくの果て、百七十五の補助金を、強い農業づくり、元気な地域づくりなど七つの交付金化を行うとしてお茶を濁して、地方の主張を退けました。

 政府は、交付金化とは、複数の補助金を束ね、その総枠の範囲でなら補助金相互間の融通を認めるものであり、地方にとっては利便性が高まるものであると自画自賛しています。

 しかし、幾ら交付金化されても、農水省が決めた補助要綱にのっとって地方から農水省に申請が行われ、農水省や自民党族議員からさまざまに指導されたあげく、農水省が承認して初めて地方に交付されるのであれば、これまでの補助金と本質は変わりません。むしろ、交付金化は、名前を変えて補助金を温存する小泉総理お得意の看板のかけかえ、やったふり改革にすぎません。

 補助金の交付金化に伴い、補助要綱を新たにつくるのか、新設するのであれば、従来のものと比べて基準が大幅に緩和されるのか、島村農水大臣、お答えください。

 交付金化は、農水省の権限温存のための手段としか評価し得ないものであり、地方分権の重要性を一顧だにしない農水省のその姿勢も問題ならば、農水省を初め、抵抗する各省を最後まで説得し切れなかった小泉総理のリーダーシップの欠如もまた問題です。

 総理に伺います。補助金は何本か束ねたら補助金ではなくなるのでしょうか。また、交付金化の名のもとに、官僚や族議員が相変わらずばっこし続ける実態についてどう思われるのか、お答えください。(拍手)

 続いて、昨年十一月に示された政府・与党合意に盛り込まれた、補助負担金の廃止・縮減によって移譲された事務事業について、確実に執行されることを担保する仕組みについて伺います。

 国からの補助金が廃止された事業を自治体が責任を持って実行できるように、施策の到達目標を明示することを一概に否定するものではありませんが、地方の自由と自立を阻害するような国の関与が残されてはなりません。ただでさえ、義務的経費の補助金改革ばかりが先行し、地方の自由となる税源移譲額がわずかであるのに、そこにさらなる縛りがかかるようでは、地方分権でも何でもありません。

 わざわざ明記されている担保する仕組みとはどのような内容を考えているのか、小泉総理、麻生総務大臣、お答えください。

 次に、政府・与党合意において、今後の検討課題として挙げられた生活保護費負担金について質問をいたします。

 生活保護制度は、憲法二十五条の理念に基づき、最低限度の生活を全国一律に保障する重要な役割を担っており、社会保障の根幹をなす制度であります。そもそも、このような国民生活の基盤を支える基礎的な行政サービスは、その財政責任のすべてを国が負い、経費の全額を負担すべきものであります。

 厚生労働省の取りまとめによれば、生活保護を受ける世帯が、昨年十月時点で約百万二千世帯になり、昭和二十五年の制度発足以来初めて百万世帯を超えました。平成十七年度の予算案では、生活保護費約一兆九千億円が計上され、自治体負担分と合わせると二兆五千億円を超えます。

 そして、そのしわ寄せは、とりわけ大都市に集中をいたしています。平成十四年度で、指定都市の保護世帯は二十四万一千百十世帯、全国の二七・七%を占め、保護費は六千五百十五億円、二八・九%に上ります。厚労省がねらっている負担率の引き下げの影響は、十六年度予算ベースで、指定都市だけで六百二十三億四千五百万円と莫大です。全国では二千億円を超えます。しかも、現行でも、一般財源決算額と基準財政需要額算入との乖離が指定都市で五百八十四億円余りもあり、三割を超える措置不足、つまりは、指定都市の負担になっているわけです。

 このような状況の中で、厚労省がねらっているような生活保護費負担金の負担率引き下げを行うことは、単なる国の責任放棄であり、国の負担を地方に押しつけるものでしかありません。きっぱり断念すべきであります。(拍手)

 保護費の増嵩は、創設後五十年を経て制度疲労を起こしていることに根本的な原因があり、受給期間の長期化に対する自立支援機能の強化、あるいは高齢者世帯の増加や医療扶助費の増加に対する制度見直しなどについて、現場の声を十分聞きながら、三位一体改革とは別個に検討すべきです。小泉総理の見解をお伺いいたします。(拍手)

 地方財政計画に関連をして質問いたします。

 谷垣財務大臣は、経済財政諮問会議で、地方財政計画において投資的経費の単独事業費など実際の執行額を大幅に上回る過大計上が行われているとして、七、八兆円を十七、十八年度に是正、削減すべきと極めて刺激的な指摘を行い、物議を醸し出しました。そして、今年度の地財計画においては、決算乖離の一体的是正として、一般単独と投資単独でそれぞれ三千五百億円のプラスマイナスが行われました。

 投資的経費の決算乖離だけを問題にするのは間違いで、例えば平成十三年度の決算では、投資的経費は六兆円下回っているものの、一般行政経費では七・六兆円上回っています。このことは財務省も十分に御承知のはずであり、地方財政計画の策定に当たって、十分に協議し、政府として決着してきた内容であるにもかかわらず、突然このような提起は、地方に政府案をのませるためのブラフであったとしか思えません。

 谷垣財務大臣に猛省を促すとともに、投資的経費の歳出減のみを一方的に削減することについては撤回されたと解しますが、谷垣財務大臣、麻生総務大臣の認識をお聞きいたします。

 締めくくりに、冒頭に申し上げた平成八年三月の地方分権推進委員会の中間報告の第一章「総論」を引用したいと考えます。

 「国権の最高機関たる国会が率先し、これに内閣が歩調を合わせ、明治期以来の中央集権型行政システムを新しい地方分権型行政システムに変革しようとする決意を表明したものであって、わが国の憲政史上にも稀なる画期的な政治決断であった。」「それは明治維新・戦後改革に次ぐ「第三の改革」というべきものの一環であって、」「世紀転換期の大事業である。」こういうふうに述べられています。

 この理念を忘れ去り、補助金改革では省益を優先し、交付税改革では財政再建だけを目的にした、官僚と族議員に屈服した、かけ声倒れの小泉総理に地方分権、地域主権を推進することはできません。地方分権は、政権交代と民主党の新しい政府でこそ実現するのだということを国民の皆さんに高らかに宣言をして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 稲見議員にお答えいたします。

 今回の改革の全体像は、地方六団体がまとめた改革案を真摯に受けとめて、地方とも協議を重ねた上で取りまとめたものであり、その内容についても、地方から一定の評価をいただいているものと考えております。

 なお、農林水産関係の補助金については、税源移譲に結びつく改革のほかに、スリム化の改革を行うとともに、大胆な交付金化を行い、地方の裁量性を高める改革を進めたところであります。

 農水省の補助金の交付金化でございますが、今回の農林水産関係の補助金の交付金化に当たっては、百七十五事業を七つの交付金にまとめましたが、この際、単なる統合にとどめず、地域が提案するメニューも補助の対象とするなど地域の取り組みの自由度の拡大、事業ごとの細かな事前審査を簡素化するなど事務手続の大幅な軽減のための措置もあわせて講じたところであり、これにより地域の裁量性、自主性の大幅な拡大が図られ、地域の実情に合った施策の実施が可能となるものと考えております。

 地方に移譲された事務事業の確実な執行を担保する仕組みでございますが、三位一体の改革の全体像の取りまとめに向けた議論の中で、国の責務を果たすことが困難となるので、補助負担金を廃止・縮減することができないという意見がありました。

 このような意見も踏まえ、補助負担金の廃止・縮減によって移譲された事務事業について、地方に対する過剰な関与とならないよう留意しつつ、特に必要な場合には、基準などを設けてその実施状況を把握することを考えております。具体的な仕組みについては、今後検討してまいります。

 生活保護制度でございますが、生活保護の保護率について地方公共団体間で格差があることも踏まえますと、御指摘の自立支援機能の強化等に関する国と地方の役割や費用負担のあり方について、地方団体関係者と幅広く議論した上で結論を出すべきものと考えており、昨年十一月の三位一体の改革に関する政府・与党合意にもあるように、改めて地方団体関係者が参加する協議機関を設置して検討を行った上で、本年秋までに結論を出していくこととしております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣島村宜伸君登壇〕

国務大臣(島村宜伸君) 稲見議員の御質問にお答えいたします。

 まず、地方提案に沿った税源移譲についてのお尋ねでありますが、農林水産施策は、食料の安定供給の確保、国土と環境の保全などの重要な役割を果たしており、その効果は、食料の生産地や森林のある上流域のみならず、広く消費地や下流域にも及んでおります。したがって、農林水産施策については、広域的な観点から国が責任を持って推進する必要があります。

 このため、地方六団体の提案に沿って補助事業を廃止し、税源移譲を行うと、必要な施策の実施を確保することが困難となるおそれがあると考えております。

 次に、補助金の交付金化についてのお尋ねでありますが、農林水産関係の補助事業については、これまで、事業の数が細かく分かれ事業間の予算の融通がきかない、内容の細部にわたるまで国の審査が必要であり、地方の自由がないといった声が聞かれております。

 このため、今回の農林水産関係の補助金の統合、交付金化においては、単なる補助事業の統合にとどまらず、メニュー間、地区間の配分、融通は地方に任せる、採択の段階で事業内容の細部まで国は審査しないといった、地方の自由度が高まる措置を講じております。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 移譲された事務事業の担保する仕組みについてのお尋ねがあっております。

 補助金の廃止によりまして地方に移譲された事務事業の具体的なチェックの仕組みにつきましては、昨年の政府・与党合意を踏まえて、各府省において今後検討されることとなります。

 その際、地方分権の推進という観点から、地方団体の裁量権を生かすという基本方針に沿いまして、地方に対する過剰な関与とならないよう、総務省としても各府省と十分調整させていただきたいと考えております。

 次に、地方財政計画の各歳出項目と決算との乖離という問題につきましては、投資単独事業の決算額が計画額を下回っておるという事実に対しまして、経常経費の決算額は逆に計画額を上回っているという状態がこれまで続いておりました。

 このため、私としては、投資的経費と経常的経費を一体的に是正する必要があるということを申し上げてまいりましたが、平成十七年度の地方財政計画におきましては、ハードからソフトへという地方の実情に合わせまして、投資的経費を減額、逆に経常的経費を増額するという一体的是正に着手をいたしております。

 このような是正は、平成十八年度以降も着実に実施をしてまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣谷垣禎一君登壇〕

国務大臣(谷垣禎一君) 稲見議員にお答えいたします。

 平成十七年度の地財計画についてお尋ねがございました。

 今、麻生総務大臣からも御答弁があったところですが、十七年度の地方財政計画策定過程におきまして、地方財政計画歳出には、投資単独事業を初めとする過大計上が十三年度決算ベースで合計七兆円から八兆円ある、国民に対するアカウンタビリティーの観点から早急に解消すべきであるという問題提起をいたしました。

 このため、十七年度の地方財政計画においては、計画計上額の適正化として、投資単独経費を七千億円縮減したところでございます。十八年度以降においても、さらに投資単独事業の適正化を進めることとしております。

 なお、一般行政経費単独事業については、真に必要な行政需要と認められる経費について、必要性、それから積算を精査しました上、三千五百億円の増額計上を認めたところでございます。(拍手)

    ―――――――――――――

    〔議長退席、副議長着席〕

副議長(中野寛成君) 藤田一枝さん。

    〔藤田一枝君登壇〕

藤田一枝君 民主党の藤田一枝でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)

 まず、法律案の内容についてお尋ねする前に、本法案の構成について伺います。

 本法案は、およそ七千億円の国庫負担を削減する国民健康保険を中心に、国庫補助負担金等を削減する趣旨の法律改正と、かねてから問題となっている基礎年金の国庫負担比率を三分の一から二分の一に引き上げる趣旨の法律改正を一くくりにしています。

 国庫負担を変更するという点で共通するから一つの法案としてまとめたというのが政府の見解であると伺いましたが、私は、この説明を聞いて大変驚きました。医療と年金という全く別の制度であり、しかも、国庫負担を引き上げるものと引き下げるものを一くくりにすることによって、重要な意味を持つそれぞれの法律改正に対して、果たして十分な審議が本当に行えるのでしょうか。

 このような法律の分類ができるのであれば、多くの法案は、予算に関係する、補助金がかかわるといった名目で、一本の法律改正案として束ねることが可能になってしまいます。これはまさに、国会軽視と言うほかはありません。(拍手)

 そこで、小泉総理にお尋ねいたします。

 基礎年金の国庫負担比率の引き上げは、法案の題名である補助金の整理合理化とどのように関係するのか、そして、このような法律改正案を束ねることが適切であるのかどうか、明確にお答えください。(拍手)

 次に、三位一体改革について伺います。

 まず、忘れてならないのは、この法案は三位一体改革の議論から始まったということであります。

 昨年夏、地方六団体がまとめた国庫補助負担金等に関する改革案は、社会福祉施設等施設整備費負担金、補助金一千三百億円を含む施設整備関係費一千六百七十七億円と、保育所運営費負担金二千六百七十億円を含む運営費、事業費七千七百六十六億円から成る国庫補助負担金を平成十七年度及び十八年度に廃止し、税源と権限を移譲するという内容でした。

 もちろん、この提案の中には、国民健康保険に関する補助金削減、財源の移譲、権限の移譲を求める項目は一切含まれておりませんでした。そして、この提案に対して、小泉総理が、官房長官を中心とした協議機関を設置し、六団体から提出された意見について誠実に対応していくと述べられたことは、記憶に新しいところでもあります。

 そもそも、地方六団体の提案は、国が直接行わなくても自治体が独自にみずからの裁量で取り組むことができる施策を選び、その分の補助金を撤廃し、あわせて税源の移譲を行うという三位一体改革の本来の趣旨、つまり、補助金削減、税源移譲、地方交付税改革を通して、地方の自主性、自立性を高めようとするものでありました。

 しかし、提案を受けた当初から、厚生労働省は対案づくりに走り、補助金の使い勝手の問題にすりかえ、看板をかけかえた補助金で相変わらず地方を縛り、国の地方への関与を温存したばかりか、地方が求めた税源移譲額に対するつじつま合わせとして、国民健康保険の国庫負担を削減し、都道府県に負担させるという意趣返しを行いました。だからこそ、議論もなしに制度の設計、運営にかかわる問題を組み入れたのはおかしいという知事会側の不信の声となったわけです。

 そこで、厚生労働大臣にお尋ねいたします。

 本法案の補助金削減案は、地方六団体がまとめた提言のうち、金額ベース、項目ベースでそれぞれどれだけ反映されたのか、まずお答えください。また、なぜ地方六団体の提案が受け入れられなかったのか、そして、なぜ国民健康保険の国庫補助金の負担引き下げを提案することにしたのか、明確な御答弁をお願いいたします。(拍手)

 今回の改正案において、政府は、国庫負担の見直しが補助金改革であり、財源とともに権限も移譲したと説明されていますが、実際には、都道府県は、七%の財政調整交付金と保険基盤安定制度の財源の四分の三に該当する予算を確保することが義務づけられており、移譲された財源について自治体の裁量の余地がない仕組みになっています。

 また、都道府県が市町村間の財政調整を行うことになっていますが、新たに導入される都道府県財政調整交付金の市町村への配分について、国と地方の合意のもとにガイドラインが作成されるのかどうか、また、配分に当たって都道府県にどの程度の権限が付与されるのか、現時点では全く明らかにされていません。さらに、市町村国保の財政が逼迫している状況下では、配分する際の弾力的運用は、現実的に困難な実態にあると言わざるを得ません。

 したがって、国から地方に移譲される財政調整機能という権限そのものが三位一体改革の趣旨に合致しているとは言いがたく、三位一体改革だから都道府県もその一翼を担え、財源を与えるから都道府県内の財政調整を行えと言っても、それは単に、都道府県の仕事をふやすだけのものでしかありません。仮にもし、都道府県がみずからの裁量によって医療費抑制に知恵を絞った結果、今度は逆に国からの財政調整交付金が減額されるようなことにでもなれば、結局、これまで国が行ってきた財政調整をそのまま継承する以外にとるべき方策がなくなってしまいます。

 先ほど山花議員も指摘しましたように、今回の提案は、都道府県に何ら権限を移譲しているわけでもなく、むしろ過重な課題を押しつけ、裁量の余地のない財源を渡し、国が補助金削減をしたという成果を声高に宣伝するだけのものであり、真の三位一体改革とはほど遠いものと言わざるを得ません。(拍手)

 都道府県財政調整交付金の配分方法について、政府は具体的にどのような指針を示すのか、また、その指針以外のことを行った場合に、国の財政調整交付金の配分が影響を受けないのか、厚生労働大臣、明確にお答えください。

 また、このような中身が本当に三位一体改革と言えるのか、総理の御答弁をお願いいたします。

 次に、国民健康保険改革との関連についてお尋ねをいたします。

 確かに、これまで都道府県は、国民健康保険の運営に関与してきませんでした。国民健康保険の財政に無関心であった都道府県に自覚と責任を持たせ、財政の健全化に寄与させたいというのが政府の説明です。

 しかし、中途半端に補助金の一部を負担させることがどのように国民健康保険の改革につながるのかは、いまだ明確な説明がされているとは思えません。都道府県の担当者からは、社会保障審議会医療保険部会で粛々と審議が進められているさなかに、一体なぜという驚きと疑問の声すら上がっています。

 国民健康保険制度の安定的な運営のために保険運営の広域化を図るという観点からしても、今回の都道府県の負担導入が、将来的に保険者を市町村から都道府県に移そうとしているのか、それとも市町村に都道府県レベルで連合体をつくらせようとしているのか、全く明らかにされていません。

 国民健康保険の改革は、今後どのような方向性を持って進めていくおつもりなのか、厚生労働大臣にお尋ねをいたします。

 来年の通常国会には、医療保険制度の改革が予定されています。

 厚生労働省は、先月、社会保障審議会において、組織論を含めた政管健保の改革案を示し、検討に入りました。その一方で、国民健康保険は、都道府県に補助金の一部を担わせることに着手しようとしているわけです。

 政府は、医療保険制度を今後どのように改革しようとしているのか。全体のビジョンを示さないままに制度を手直ししていく、まさに昨年の年金議論と同様に、持続性、信頼性、透明性を無視した継ぎはぎの改正を繰り返すことになっていくのではないでしょうか。

 今回の国民健康保険法の一部改正と来年に予定される医療保険制度改革の関連について、どのような関係にあるのか、厚生労働大臣にお尋ねいたします。

 また、都道府県に国民健康保険制度への関与を求めるとするならば、今後さらに、国庫補助負担金等を削減し、都道府県にその負担を求めていくこと、国と都道府県の関与の度合いを逆転させることもあり得るのかをお答えください。

 次に、年金国庫負担二分の一への引き上げについてお尋ねをいたします。

 何と、今年度から始まった年金課税の強化と、今回の税制改正で政府が行おうとしている定率減税の縮減によって、年金国庫負担二分の一への引き上げに関する来年度の道筋が示されました。しかし、定率減税縮減の論議の帰結は当然確定していません。さらに、来年度以降どのように基礎年金国庫負担を引き上げるのかは、来年の法改正を待たなければならず、平成十九年以降の方針を知る手がかりは、平成十六年度与党税制改革大綱にしか示されておりません。つまり、「平成十九年度を目途に、年金、医療、介護等の社会保障給付全般に要する費用の見通し等を踏まえつつ、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費税を含む抜本的税制改革を実現する。」というものであります。

 素直に読めば、消費税を含んだ税制改正によって財源を確保し、基礎年金国庫負担の財源にするということですが、総理は、消費税引き上げの議論はしてもよいが、在任中は引き上げる気はないという主張を繰り返しており、財源確保のための議論に実質的に待ったをかけた状態にあります。

 さらに総理は、年金制度は昨年の改革によって持続性を持ったと発言されていますが、これはとんでもない誤りであります。六年前に約束された基礎年金国庫負担引き上げについてすら、いまだに財源を確保しているわけではなく、基礎年金の国庫負担引き上げの約束はあるが、財源の手当ては今後にゆだねる、そのような状態にある年金制度がどうして本当に持続性を持った制度と言えるのでしょうか。(拍手)

 国庫負担引き上げはとにかく約束したのだから、毎年毎年、何とか財源を割り当てるというのでは、余りにも無責任過ぎます。年金制度は、将来の生活を支える重要な制度であり、そのことは今さら言うまでもないことです。

 国民が共通して加入する基礎年金給付の原資を明らかにすることは、年金制度の信頼の第一歩に直結します。基礎年金国庫負担割合の引き上げについて、小泉総理みずから、今後の方針を明確にお示しください。

 以上、お尋ねをしてまいりましたが、本法案を通して言えることは、三位一体改革とは何なのかということであります。今、多くの国民の皆さんは、総理が説明責任を果たしていないと感じておられます。この三位一体改革においてもしかりです。三位一体改革という言葉だけで、何ら地方分権改革を行う気概もないというのであれば、総理、直ちにおやめいただきたい。そのことを強く申し上げ、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 藤田議員にお答えいたします。

 法案の一括化でございますが、平成十七年度において基礎年金国庫負担を引き上げる措置や、国民健康保険制度等において補助負担率を引き下げる一方、税源移譲を行うという措置は、いずれも、平成十七年度における国、地方を通じた税制・財政改革の中で、社会保障分野全体における国の負担のあり方を見直す一環として行うものであることから、これらを一括した法案として提案しているところであり、適切なものと考えております。

 国民健康保険における都道府県負担の導入でございますが、国民健康保険の都道府県負担については、新たに都道府県財政調整交付金を創設し、都道府県がみずからの権限と裁量により、国保財政の安定化のために市町村へ交付金を配分することができるようにしたものであり、地方にできることは地方にという理念のもと、地方の権限、責任を拡大するという三位一体改革の理念に沿うものと考えております。

 基礎年金国庫負担割合の引き上げでございますが、昨年の年金改正において、平成二十一年度までに国庫負担割合を二分の一に引き上げるとの道筋を法律上明確に定めたところであります。

 今回の法律案では、平成十七年度において、定率減税の見直しによる増収分の一定額を国庫負担に充てることとしておりますが、今後とも、与党税制改正大綱を踏まえ、個人所得課税、消費税を中心に税制の見直しを行う中で、安定した財源を確保しつつ、国庫負担割合の二分の一への引き上げを着実に実現してまいりたいと考えております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣尾辻秀久君登壇〕

国務大臣(尾辻秀久君) 地方六団体案の反映状況についてのお尋ねがありました。

 昨年八月の地方六団体案では、厚生労働省関係につきましては、四十七項目、約九千四百億円の提案がありました。これに対し、厚生労働省としては、十三項目、約八百五十億円の税源移譲を行うこととしており、本法案で対応したものは四項目、約五百九十億円であります。

 このほか、地方の自主性、自立性を高める観点から、十七年度及び十八年度において、地方六団体案のうち二十三項目、約三千百億円の交付金化等を措置するとともに、国民健康保険関係約六千八百五十億円の税源移譲を実施することとしております。

 次に、地方案との関係についてお尋ねがありました。

 社会保障制度につきましては、国と地方のいずれか一方のみがすべての責任を担うのではなく、重層的に連携して取り組むことが重要ですが、地方六団体の提案のとおり補助金を廃止することは、一定水準のサービスを地域格差なく保障するという国の責任が果たせなくなるなどの問題があったことから、受け入れられなかったものであります。

 一方、地方分権を推進し、国と地方の適切な役割分担のもと、必要な社会保障の確保を図っていくことも必要であり、地方六団体の提案を真摯に受けとめ、議論を重ねた結果、地方の裁量を拡大するための今回の改革を提案したものであります。

 国保制度においては、保険運営の広域化を通じた財政の安定化と医療費の適正化を進め、国保の基盤、体力を強化する必要があるため、確実な財政措置が講じられる三位一体改革の中で、都道府県に市町村間の財政を調整する権限の一部を移譲し、都道府県の役割の強化を図ることとしたものであります。

 次に、国保の都道府県調整交付金の配分についてお尋ねがありました。

 都道府県調整交付金の配分方法につきましては、各都道府県が、県内市町村の意見を十分に踏まえつつ、条例で自主的かつ主体的に決定していただくものであります。

 厚生労働省としては、地方団体と関係省庁との間で検討の場を設けた上で配分のガイドラインを作成する予定であり、都道府県がこれと異なる配分を行ったとしても、そのことをもって直ちに国の調整交付金の配分に影響を与えるものではありません。

 国民健康保険改革の今後の進め方についてお尋ねがありました。

 国保を含めた保険者の再編統合につきましては、一昨年に閣議決定されました基本方針において、都道府県単位を軸とした保険運営を目指すこととされており、市町村国保につきましては、今後さらに、当面は二次医療圏の区域を基本とし、都道府県内の医療費格差が大きくないなどの状況であれば、都道府県を単位に再編統合を行うことが適当であると考えております。

 また、都道府県には、今回新たに負担していただく財政調整交付金等を通じて、医療費の適正化や保険料平準化を促進し、保険運営の広域化を推進するとともに、医療費の適正化に向けて取り組むための計画を策定するなど、基本方針を踏まえ、国保制度に関し、従来以上に重要な役割を果たしていただきたいと考えております。

 さらに、今回の国保法の改正と医療保険制度改革の関連についてもお尋ねがありました。

 今回の国保改革は、医療保険制度改革の具体化に向けた第一歩と考えており、今後、国保、政管、健保組合を通じた、都道府県単位を軸とした保険者の再編統合、都道府県が中心となった地域における医療費の適正化などを図ることにより、保険者、特に地域保険の基盤、体力を強化し、医療保険制度改革全体の具体的内容について成案を得てまいりたいと考えております。

 また、国保制度における財政のあり方、国や都道府県の役割等については、引き続き検討してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(中野寛成君) 桝屋敬悟君。

    〔桝屋敬悟君登壇〕

桝屋敬悟君 公明党の桝屋敬悟でございます。

 党を代表いたしまして、ただいま議題となりました補助金の整理及び合理化に伴うさまざまな関係法律の改正案について質問をしたいと思います。(拍手)

 五人目のバッターでありますから重複があるかもしれませんが、重複を恐れずに聞いていきたいと思っております。

 さて、国庫補助負担金の改革につきましては、今日まで分権改革とともに整理合理化の方向で取り組まれてまいりましたが、決して容易な作業ではありませんでした。

 平成十二年四月から施行されました地方分権一括法では、従来の機関委任事務が廃止され、国と地方の事務事業が明確にされましたものの、国と地方の税財源についてまで大きな改革の手を入れることができなかったのであります。その後、地方分権推進計画に沿って国庫負担金や補助金の整理合理化が進められてきたところでありますが、残念ながら、今日まで、負担金と補助金の区別も判然としない状況が続いてきたわけであります。こうした中で、平成十四年、小泉改革の一つとして三位一体の改革が掲げられたわけであります。

 国の関与を縮小し、地方の権限と責任を大幅に拡大するため、内閣総理大臣の主導のもと、各大臣が責任を持って検討し、国庫補助負担事業を廃止・縮減するとの骨太二〇〇二の宣言は、交付税改革、そして税源移譲とともに、いわゆる三位一体の改革として全国に大きな衝撃を与えたのであります。

 自来、骨太二〇〇三では四兆円との規模が明らかにされ、大変困難は伴いましたが、昨年末には地方団体との協議も経て、政府・与党において改革の全体像が合意されたわけであります。

 ただいまその姿を振り返ってみますと、平成十五年度から平成十八年度までの期間における国庫補助負担金の改革規模は四兆四千億円となっているわけであります。税源移譲がいささか少ない感はいたしますが、同時にスリム化や交付金化などの改革も行われているわけであります。

 小泉総理、いまだ十八年度へ向けての改革作業は残されてはおりますが、全体として見たときに、私は、総理は郵政民営化へかける情熱と同じように、いや、それ以上の思いでこの三位一体の改革に取り組んでこられたと信じておりますが、総理の思いをお聞かせいただきたいと思います。

 特に、改革の作業の中で地方団体の意見を求めたということは、そして地方団体が意見をまとめたということは、国と地方の関係ではまさにエポックメーキングであったと思いますが、あわせて御所見を伺いたいと思います。

 さて、その地方の意見でもありましたように、改革は平成十八年度以降も続けていかなければなりません。本年度予算を見ても、二十兆円を超える国庫補助負担金が横たわっているわけであります。十八年度分も含め、今後の削減、縮小についてどのように取り組むかが大事であります。

 このたびの作業では、勢い、義務教育の国庫負担金をどうするか、あるいは国保の負担金をどうするかが問題となりましたが、個別の補助負担金を議論する前に、改めて国と地方の役割分担を明確にする必要があると考えます。

 国の役割としては、ナショナルミニマムの実現は当然といたしましても、例えば、全国的規模で統一して新しい施策を実施するとき、または国民経済に適合するように総合的に樹立された計画に従って実施するとき、国が責任を持ってその実現を図らなければならない、その場合の国庫補助負担金は認めるであるとか、あるいは国民の生命、健康、文化などを守るために必要な施策で採算性や効率性を超えて行う必要がある場合、その部分については国庫補助負担金を認めるというような新しいルールが必要だと考えます。

 また、各省や事務事業ごとの縦割りの議論ではなくて、各分野においてその同化、定着の程度や、地方の裁量度を高め自主性を拡大する程度などによって段階的に地方に移譲する、いわゆる横切り方式なども検討されるべきであると考えます。もちろん、公共事業についても例外にすることはできないと考えますが、あわせて総理の御所見をお伺いしたいと思います。(拍手)

 さて、関連三法案によって、義務教育費国庫負担金の暫定的減額や国民健康保険における都道府県負担の導入、養護老人ホームの措置費や一歳半健診、三歳児健診に係る費用などの国の負担の廃止、農業近代化利子補給金などの廃止が行われるわけであります。こうした措置に対応したきめ細かな地方交付税による対策が必要でありますが、その取り組みについて総務大臣にお伺いしたいと思います。

 地方団体の皆さんは、義務教育費に対応いたします税源移譲予定特例交付金あるいは国保に対応する所得譲与税の配分がどのように行われるのか、強い懸念を感じているのであります。

 また、今回の改革の姿を、地方団体の現場における実態としてお示しをいただきたいと思います。例えば、経済的理由により就学困難な児童生徒に対して学用品や通学費、学校給食費などを市町村が援助する経費に係る補助について、要保護児童を除き、このたびは準要保護児童の補助金は廃止されるわけでありますが、国費ベースで百三十四億円の改革であります。これは全国で何人の児童が対象となっているのか、文部科学大臣にお示しをいただきたい。

 また、法律事項ではありませんが、予算補助の部分でも地方にとっては大きな改革がなされております。高齢者福祉の分野における在宅福祉事業補助金では国費ベースで百二十五億円が廃止されますが、この中には緊急通報体制の整備事業も含まれております。いざというときにお年寄りの皆さんが消防本部などへ緊急通報するということで知られている事業でありますが、虚弱な単身高齢者のセーフティーネットとして全国的に実施されている事業であります。廃止される緊急通報体制等整備事業について、昨年度の事業費総額と実施市町村数を厚生労働大臣にお示しいただきたいのであります。

 昨年末の政府・与党の合意文書では、「補助負担金の廃止・縮減によって移譲された事務事業については、地方団体の裁量を活かしながら、確実に執行されることを担保する仕組みを検討する。」、先ほども出ておりましたけれども、とされているところでありますが、両大臣にはこの点も含めてお答えをいただきたいと思います。

 国庫補助負担金改革の議論は、義務教育費国庫負担金についても、そして生活保護についても、本年秋までが大きな山でありますが、るる申し上げたような当面の諸問題があることを指摘しておきたいと思います。また、交付金化された補助金について、真に地方の自主性、裁量性が高められるものとして執行されることを強く希望したいと思います。仮にも地方団体から、これでは補助金と同じではないか、いや、補助金以上だという、こうした批判があってはならないと考えますが、このたびの改革による交付金の執行について、総理の御所見を伺っておきたいと思います。

 厚生労働大臣にはさらにお尋ねいたします。

 今回新たに導入された、国民健康保険における市町村間の財政調整を行うための都道府県負担についてであります。

 地方の改革案にないものであっただけに、都道府県にとっては困惑が隠せないものがありました。平成十五年三月に閣議決定されました医療保険制度改革に関する基本方針では、既に、保険運営の広域化、医療費の適正化、財政調整交付金の配分方法の見直し、都道府県の役割の強化という方針が明らかにはされていましたが、社会保障制度全体の改革スケジュールからすると、医療保険制度の抜本改革はまさにこれからだというときでありますから、地方団体からすると結論の先取りではないかとの声になるわけであります。

 今後の医療改革を考えるとき、地方団体との信頼関係を確保することが大変に重要であると申し上げたいのであります。マスコミもさまざまに報道しておりますが、今回の改革の必要性と今後の検討の方向性を改めてお尋ねしたいと思います。

 国庫補助負担金の改革は、霞が関においてはみんな賛成であります。しかしながら、実行の段階になりますと、なぜか、まことに困難な作業となるわけであります。公明党はこれからも粘り強くこの課題に挑戦していくことをお誓い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 桝屋議員にお答えいたします。

 今回の改革について、高い評価と激励をいただきましてありがとうございます。

 三位一体の改革といいますが、今まで、地方の自主性を高めようということに対して、総論は賛成であります。しかし、補助金改革一つとっても難しい、税源移譲も難しい、地方交付税改革も難しい。ならば一緒に、難しい問題を一緒にやろうというのが三位一体の改革であります。

 こういうことにつきましては、国の関与を縮小し、地方の権限、責任を拡大する地方分権を、今回大きな足がかりができたと思いまして、着実に進んできたと思います。なお一層推進するために、これからも、国、地方を通じた行政のスリム化を推進し、皆さんの御協力を得ながら、この改革をさらに前進させたいと思っております。

 地方団体との協議についてでございます。

 十七年度からの補助金改革を進めるに当たり、補助金の実態に通じた地方団体に改革案の提示をお願いいたしました。地方団体、四十七都道府県、それぞれ賛否両論ある。困難な議論を重ねた上で、苦労した上でまとめたものであります。

 その地方案を真摯に受けとめて、今回、政府・与党において取りまとめたものであります。その内容についても、地方から一定の評価をいただいているものと考えております。

 義務教育費国庫負担金の取り扱いなど残された課題についても、国と地方の協議の場などを通じて、地方の要望を十分踏まえながら検討を進め、本年中に結論を出してまいります。

 国庫補助負担金改革でございますが、地方分権の主体である地方からの提案を真摯に受けとめつつ、公共事業も含め、個々の事務事業について、国が責任を持ってやるべきものは何か、地方にどの程度定着しているものかといった観点から、国と地方の役割分担を見直すことにより推進しているところであります。

 今後、残された課題についても、御指摘のような観点を踏まえつつ、地方とも議論を重ねた上で改革を推進してまいります。

 交付金の執行でございますが、平成十七年度予算における補助金改革の一環として措置される交付金については、事業執行の円滑化や事務負担の軽減を求める地方からの声を真摯に受けとめつつ、できるだけ客観的なチェック項目を用いた事業計画全体の評価によって交付金を配分する、申請窓口を一本化した省庁横断的な交付金を設けるなど、地方の使い勝手を格段に向上させるものとなっております。

 今後、地方が独自性を生かした取り組みを推進できるよう、積極的な情報提供などを行い、交付金の一層の活性化に努めてまいります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣中山成彬君登壇〕

国務大臣(中山成彬君) お答えいたします。

 要保護及準要保護児童生徒援助費補助金についてのお尋ねでございます。

 学校教育法におきましては、経済的理由により就学困難な児童生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならないとされております。

 国としても、義務教育の円滑な実施を図る観点から、就学援助法等に基づき、市町村に対して予算の範囲内で補助を行ってきたところであり、平成十五年度の準要保護児童生徒数は約百十三万人となっております。

 なお、今回の三位一体の改革により、準要保護児童生徒に対する援助については国庫補助を廃止することとなりました。これを含め、国庫補助を廃止する事業に伴う財源については、所得譲与税として税源移譲されるとともに、所要の事業費が地方財政計画に計上され、地方交付税を算定する際の基準財政需要額に算入されることとなっており、今後は、各地方公共団体において、地域の実情に応じ適切に実施されるものと考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣尾辻秀久君登壇〕

国務大臣(尾辻秀久君) 緊急通報体制等整備事業についてのお尋ねがありました。

 平成十六年度の緊急通報体制等整備事業は、事業費ベースでおおむね百億円であり、全市町村の約九割の二千七百六十一市町村で実施されているところであります。

 本事業につきましては、補助金の廃止、一般財源化という地方自治体の意見や、既に同化、定着しているという状況を踏まえ、平成十七年度予算において、廃止し、税源移譲を行うこととしており、今後は、各市町村において一般財源を用い、地域の実情に応じて適切に取り組まれるものと考えています。

 国保の都道府県負担の導入についてお尋ねがありました。

 国民健康保険制度におきましては、保険運営の広域化を通じた財政の安定化と医療費の適正化を進め、国保の基盤、体力を強化する必要があります。

 そのためには、都道府県の主体的な取り組みが必要であり、都道府県に市町村間の財政を調整する権限の一部を移譲することにより、都道府県の役割の強化を図ることとしたところであります。

 今回の改革は医療保険制度改革の第一歩と認識しており、今後、都道府県単位の保険運営や医療費の適正化を図ることにより、保険者、特に地域保険の基盤、体力を強化し、医療保険制度改革全体の具体的内容について成案を得てまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 国庫補助負担金改革に係る財源措置についてのお尋ねがあっております。

 まず、所得譲与税は人口を基準としてさせていただきます。また、義務教育費国庫負担金の暫定的減額に伴います税源移譲予定特例交付金につきましては、教職員給与費を基準として配分をするということにいたしております。

 国庫補助負担金の一般財源化などに係る金額は、これら所得譲与税などで全額措置をした上で、地方交付税におきましてきめ細かく手当てをすることにより、これらの事務事業の円滑な執行に必要となります財源を適切に確保することといたしております。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(中野寛成君) 吉井英勝君。

    〔吉井英勝君登壇〕

吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、三位一体改革関連三法案について質問いたします。(拍手)

 三位一体の改革と言われるものは、国と地方の税財源のあり方の見直しとして始まったものです。これに地方が一定の期待を寄せたのは、国のひもつき補助金を減らして税源を地方に移譲することで、地方自治体の自主性が高まるのではないかということでありました。しかし、実際には、国庫補助負担金削減と地方交付税の削減と、不十分な税源移譲しか行わないことで、自治体財政を圧迫し、住民サービスを脅かしています。

 二〇〇五年度の地方交付税総額は、二〇〇四年度に配分するべき一兆円を繰り入れたことで、ほぼ前年同額に維持したという形にはなっていますが、大幅削減で予算が組めないと地方から悲鳴が上がった水準のままであります。多くの自治体が予算編成に苦しみ、住民サービスが後退した事態が改善されたわけではありません。総理は、こういう現実を認識しておられるのか、答弁を求めます。

 国庫補助負担金と税源移譲の問題です。

 国庫補助負担金の廃止・縮減は、二〇〇四年度の一兆円に加えて、二〇〇五年、六年度で三兆円程度、合わせて四兆円とされました。一方、これに見合う税源移譲は、二〇〇四年度の実施分を含めて、おおむね三兆円規模を目指すとされましたが、ここには一兆円のギャップがあるのではありませんか。

 今後、約一兆二千億円の国庫補助負担金の廃止・縮減が予定されていますが、全額が税源移譲されたとしても、国庫補助負担金の縮減は約四兆五千億円、税源移譲は三兆円ですから、国から地方への支出の削減は、一兆五千億円になるのであります。

 国庫補助負担金の削減額に比べて税源移譲の額が少ない上に、地方交付税の削減では、国の地方への支出が削減されただけで、地方財源は減収となるのではありませんか。これでどうして地方財源の自主性、自立性の強化につながるのか、明らかにしていただきたいと思います。

 税源移譲で自治体の自主性を高めるとすれば、まず、公共事業関係の補助金にメスを入れるべきであります。ところが、税源移譲の対象となった大きなものは、義務教育や国民健康保険の負担金です。これらは、地方自治体にとっては義務的経費であり、自治体が裁量を発揮できる余地の少ないものです。なぜ、公共事業関係の補助金の税源移譲には手をつけなかったのですか。

 総理は、国の補助金の削減、国から地方への税源移譲、地方の歳出の合理化とあわせた地方交付税の見直し、この三つを同時に進めると言いますが、三つ同時というのは、補助金、税源、交付税のそれぞれの額が一体として並行して進めるということではないのですか。答弁を求めます。

 次に、義務教育費国庫負担制度について質問します。

 この制度は、憲法二十六条と教育基本法の掲げる教育機会の均等及び義務教育無償の原則を実現するため、教職員の給与費のみならず、旅費、教材費、児童手当などを国庫負担の対象としてきたものです。

 ところが、三位一体改革のもとで削減を重ね、残るは給与費本体のみとなっています。旅費及び教材費は八五年度に一般財源化されましたが、その結果、教材費の予算措置率は、今では八六%台にまで落ち込んでいます。三〇%、四〇%台にまで落ち込んでいる県もあります。

 文部科学省の試算では、義務教育費国庫負担制度を廃止し、全額税源移譲した場合、四十道府県で税源移譲額が補助金額を下回るという結果が出ているではありませんか。

 一般財源化された場合、本来、その格差を調整するのが地方交付税の役割ですが、その交付税を中期地方財政ビジョンで今後大幅に削減するとしています。そうなると、自主財源の乏しい地方ほど財源確保が困難になり、教育の機会均等は著しく困難になることは明瞭ではありませんか。答弁を求めます。

 就学援助費の補助廃止、地方移譲について質問します。

 長引く不況の影響で、要保護や準要保護の児童生徒数は五年間で四十八万人もふえています。今、国が予算をふやし手厚い措置をとらなければならないときに、あべこべに就学援助の九割を占める準要保護児童生徒に対する国の補助金を廃止するということは、国の責任放棄ではありませんか。

 義務教育費国庫負担にしても就学援助にしても、今政府の行おうとしているのは、公教育からの財政的撤退の道であり、憲法二十六条の義務教育無償の原則を投げ捨て、教育の機会均等の保障を放棄する道ではありませんか。総理の見解を求めます。(拍手)

 第三に、国民健康保険の問題です。

 国保加入者の所得に対して保険料が高過ぎるため、滞納世帯は全体の二割近い四百六十一万世帯、保険証取り上げ世帯は三十万世帯に上り、国民健康保険財政も国民の健康も危機的状況にあります。今回、給付費の国負担分の一部にかえて新たに都道府県負担を導入しますが、これは国保財政の危機的状況の打開につながるものと考えているのですか。はっきり答えていただきたい。

 事態の抜本的打開のためには、公費負担の拡大こそ必要です。政府は、この間、国庫負担率を大幅に引き下げ、国の責任を後退させてきました。国保収入に占める国庫支出金の割合は四九・八%から三五・四%に引き下げられる一方、住民一人当たりの国保料は二倍にふえています。国庫負担割合の計画的引き上げこそ、今必要なことではありませんか。

 さらに、介護施設整備補助金を交付金化する問題についてであります。

 二〇〇五年度の交付金予算額は八百六十六億円で、前年度のこの補助金九百三十一億円から六十五億円も削減されます。高齢者が増加し、特別養護老人ホームの待機者が三十四万人にも上るなど、地域で安心して生活するための施設整備がますます求められている中で、国が予算を削減しながら地方の責任で整備をというのは、高齢者介護を保障する国の責任を放棄するものではありませんか。

 また、市町村、都道府県が策定した計画に基づいて交付するようにしていますが、交付の要件は、国が定める基本方針に照らし適当なときとなっています。これでは、国が全国一律の基準を示して自治体を縛るという従来の方法と変わらないではありませんか。

 交付金化によって、地方の自由度は具体的にどのように増すことになるのか、明らかにしていただきたいと思います。

 最後に、農業近代化資金助成法に関連して質問します。

 農業補助金や漁業補助金は、農地面積や海岸線の長さに比例して投入されるという性質を持っているため、農山漁村に厚く配分されます。ところが、この補助金廃止で、所得譲与税となると、所得譲与税は人口に応じた配分ですから、その財源は人口の多い都市部に集中し、農山漁村の自治体との歳入格差はますます拡大します。最終的に、地方税として移譲されることになったとしても、この傾向は同じです。

 本来、全国どこの自治体に住んでいても、すべての住民に健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するというのが憲法二十五条の立場です。国と自治体には、住民の権利を保障するための必要な事業やサービスの提供や、社会的な平等の実現を図る義務があります。そうした自治体の責務を財政的に保障するのが、財源保障と財源調整の二つの機能をあわせ持つ地方交付税であります。

 地方交付税の役割は、今後、税源移譲が進めばますます重要となります。税源移譲に伴う自治体間の格差是正をどう調整するのか、また、地方交付税の必要な総額をどう確保するのか、総務大臣の明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 吉井議員にお答えいたします。

 地方交付税の規模についてでございます。

 地方交付税の財源保障機能については、その全般を見直し、縮小する一方、地域間の財政力格差を調整し、一定水準の行政を確保する機能は今後とも必要としております。

 こうした点を踏まえつつ、平成十七年度予算においては、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税の規模を確保したものと考えております。引き続き、地方公共団体を初め関係者の意見も十分踏まえながら、交付税改革に取り組んでまいります。

 国庫補助負担金の改革、税源移譲等についてでございます。

 十七年度については、地方分権の主体である地方からの提案を真摯に受けとめた上で、裁量的であるか義務的であるかを問わず、公共事業も含め、個々の事務事業を見直し、一兆七千億円余の補助金の廃止・縮減等を行うとともに、公共事業関係の補助金については、省庁を越えた一本化による交付金化の取り組みなどを行うこととしたところであります。

 また、廃止する補助金の対象事業の中で引き続き地方が主体となって実施するものについては、一兆一千億円余の税源を移譲し、必要な財源を確保すると同時に、地方自治体の安定的な財政運営に必要な交付税を確保することとしました。

 これらの措置により、地方自治体の裁量性を高めることにつながる改革が実現できたと考えており、地方からも一定の評価をいただいていると考えております。

 教育関係の国庫補助負担金の見直しでございますが、義務教育費国庫負担金の取り扱いについては、教育の機会均等など義務教育制度の根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持するとの方針のもと、費用負担に関する地方案を生かす方策と教育水準の維持向上を含む義務教育のあり方について幅広く検討し、今年中に結論を出すこととしております。

 また、就学援助費に関しては、国と地方の役割分担の見直しにより地方が行うこととした事業の実施のための財源については、税源移譲により手当てを行ったところであります。

 なお、三位一体の改革においては、補助金を廃止し税源移譲を行う場合であっても、個人住民税の税率をフラット化することなどにより税源分布の偏りを緩和するとともに、地方交付税の財政調整機能によって地域間の財政力格差に対応する考えであります。

 国民健康保険の負担のあり方でございますが、国民健康保険の都道府県負担の導入については、国保制度の基盤、体力の強化を通じた、国保制度の安定化に役立つものと考えております。

 今回の改革により、国庫負担の割合は現行の五〇%から四三%に引き下げとなりますが、国及び都道府県を含めた国保に対する公費負担の割合は、従来どおり、給付費等の五〇%を維持することとしております。

 一方で、御指摘のように、公費負担割合をさらに引き上げることは、国民健康保険制度が保険制度であることを踏まえれば、困難であると考えます。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣中山成彬君登壇〕

国務大臣(中山成彬君) 準要保護児童生徒に対する国の補助金の廃止は、国の責任放棄ではないかとのお尋ねでございます。

 今回、三位一体の改革により、準要保護児童生徒に対する援助については国の補助を廃止することとなりました。これに伴う財源については、所得譲与税として税源移譲されるとともに、所要の事業費が地方財政計画に計上され、地方交付税を算定する際の基準財政需要額に算入されることとなっており、今後とも、市町村において必要な就学援助が実施されるものと考えております。(拍手)

    〔国務大臣尾辻秀久君登壇〕

国務大臣(尾辻秀久君) 地域介護・福祉空間整備等交付金についてのお尋ねがありました。

 厚生労働省といたしましては、今回、本交付金を創設することで、全国的な状況を勘案しつつ、整備がおくれている地域を重点的に支援することにより、バランスのとれた整備が可能となること、交付された交付金の範囲内で、地域の実情に応じて、事業者への助成の程度を変更したり整備量をふやすなど、自治体の自主性、裁量を発揮できる仕組みとしたことから、限られた予算の中でも、効率的に介護施設の整備を進めることが可能になるものと考えております。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 今後の交付税の役割についてのお尋ねがあっております。

 我が国は、国が、法令基準の設定などを通じまして、地方団体に一定の行政水準を求める仕組みになっておりますので、御存じのとおりなんですが、一方では、地域間に大きな税源の偏在が存在していることも確かであります。

 このため、地方団体が標準的な行政水準を維持するのに必要な財源を確保して、財政力格差を調整する地方交付税制度というものは、今後とも必要不可欠と思っております。

 あわせて、税源移譲に伴います財政力格差の拡大に対して適切に対応していく必要があるため、地方団体の安定的な財政運営というものに必要な交付税の総額を確保する必要があると考えております。(拍手)

副議長(中野寛成君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(中野寛成君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  小泉純一郎君

       総務大臣    麻生 太郎君

       財務大臣    谷垣 禎一君

       文部科学大臣  中山 成彬君

       厚生労働大臣  尾辻 秀久君

       農林水産大臣  島村 宜伸君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官 杉浦 正健君

       文部科学副大臣 塩谷  立君

       厚生労働副大臣 西  博義君

       農林水産副大臣 岩永 峯一君


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