衆議院

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第15号 平成17年3月29日(火曜日)

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平成十七年三月二十九日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第九号

  平成十七年三月二十九日

    午後一時開議

 第一 不動産登記法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの件(参議院送付)

 第三 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 不動産登記法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの件(参議院送付)

 日程第三 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

 国立国会図書館法の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)

 国会職員法の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)

 民間事業者の能力を活用した市街地の整備を推進するための都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 不動産登記法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、不動産登記法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長塩崎恭久君。

    ―――――――――――――

 不動産登記法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔塩崎恭久君登壇〕

塩崎恭久君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、土地の筆界の迅速かつ適正な特定を図り、筆界をめぐる紛争の解決に資するため、登記官が、土地の所有権登記名義人等の申請に基づいて筆界を特定する制度を創設するほか、司法書士及び土地家屋調査士の業務について筆界特定についての手続の代理及び民間紛争解決手続の代理に関する規定を整備する等の法整備を行おうとするものであります。

 本案は、去る三月八日本委員会に付託され、同日南野法務大臣から提案理由の説明を聴取し、十五日参考人から意見を聴取し、二十二日質疑を終局し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 日程第二とともに、日程第三は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略し、両件を一括して議題とするに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第二 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの件(参議院送付)

 日程第三 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの件、日程第三、臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案、右両件を一括して議題といたします。

 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。厚生労働委員長鴨下一郎君。

    ―――――――――――――

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの件及び同報告書

 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔鴨下一郎君登壇〕

鴨下一郎君 ただいま議題となりました両件について申し上げます。

 まず、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの件について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本件は、公共職業安定所の配置の適正化を図るため、新たに、越谷公共職業安定所を設置することについて、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、国会の承認を求めようとするものであります。

 本件は、参議院先議に係るもので、三月二十三日本委員会に付託となり、同日尾辻厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、二十五日質疑を行った後、採決を行った結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決した次第でございます。

 以上、御報告申し上げます。

 次に、臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案について、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本案は、医療の高度化及び検査の機械化、情報化等の進展に伴い、業として臨床検査を行う者の質を担保し、検査の正確性を確保するための措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、法律の題名を、臨床検査技師等に関する法律に改めるものとすること。

 第二に、臨床検査技師の定義については、医師または歯科医師の指示のもとに各種検査を行うことを業とする者に改めるものとすること。

 第三に、臨床検査技師の名称を用いて行う生理学的検査については、厚生労働省令で定めるものとすること。

 第四に、衛生検査技師の資格は、廃止するものとすること

等でございます。

 以上が、本案の趣旨及び内容であります。

 本案は、去る三月二十五日の厚生労働委員会において、全会一致をもって委員会提出法律案とすることに決したものであります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、日程第二につき採決いたします。

 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

 次に、日程第三につき採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

梶山弘志君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 議院運営委員長提出、国立国会図書館法の一部を改正する法律案及び国会職員法の一部を改正する法律案の両案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 梶山弘志君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 国立国会図書館法の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)

 国会職員法の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)

議長(河野洋平君) 国立国会図書館法の一部を改正する法律案、国会職員法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員長川崎二郎君。

    ―――――――――――――

 国立国会図書館法の一部を改正する法律案

 国会職員法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔川崎二郎君登壇〕

川崎二郎君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。

 まず、国立国会図書館法の一部を改正する法律案についてでありますが、本案は、国立国会図書館の館長等の待遇に関する規定を削るとともに、核燃料サイクル開発機構及び日本原子力研究所が解散することに伴う所要の規定の整理を行おうとするものであります。

 次に、国会職員法の一部を改正する法律案についてでありますが、本案は、国会職員に懲戒事由が生じた際には、一般職の国家公務員の場合と同様に、各任命権者が当該職員を停職処分に付することもできるよう、国会職員の懲戒処分に停職を加えようとするものであります。

 両法律案は、本日議院運営委員会において起草し、提出したものであります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、国立国会図書館法の一部を改正する法律案につき採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。

 次に、国会職員法の一部を改正する法律案につき採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 民間事業者の能力を活用した市街地の整備を推進するための都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、民間事業者の能力を活用した市街地の整備を推進するための都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国土交通大臣北側一雄君。

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 民間事業者の能力を活用した市街地の整備を推進するための都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 稚内から石垣までを合い言葉に国を挙げて取り組んでいる全国都市再生につきましては、平成十六年度に創設したまちづくり交付金制度などを活用し、全国の各都市でその自主性を生かした取り組みが進められているところでございます。

 こうした取り組みを一層推進していくためには、市町村の創意工夫を生かした都市再生と連携して行われる民間プロジェクトを促進することが効果的であり、民間事業者がノウハウや資金を活用して市街地整備を強力に推進することができるよう、適切な措置を講じていくことが必要です。

 この法律案は、このような必要性を踏まえて提案することとした次第でございます。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、都市再生整備計画に記載された事業と一体的に施行される、都市再生に資する民間都市開発事業の立ち上げを支援するため、当該事業を行う民間事業者に対して、民間都市開発推進機構が当該事業の施行に要する費用の一部を出資等により支援する制度を創設することとしております。

 第二に、宅地の所有者等が議決権の過半数を保有する株式会社または有限会社を、区画整理会社として土地区画整理事業の施行者に追加するとともに、土地区画整理組合及び市街地再開発組合について、組合員からの決算関係書類の閲覧・謄写の請求権を規定するなど、組合運営の適正化を図ることとしております。

 第三に、市街地整備のための資金調達を円滑化するため、土地区画整理事業を施行する区画整理会社に対する都市開発資金の無利子貸付制度を創設することとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、民間事業者の能力を活用した市街地の整備を推進するための都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 民間事業者の能力を活用した市街地の整備を推進するための都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。和田隆志君。

    〔和田隆志君登壇〕

和田隆志君 民主党の和田隆志でございます。

 ただいま議題となりました都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案について、民主党・無所属クラブを代表して質問させていただきます。(拍手)

 質問に入ります前に、きょう未明に起きましたインドネシア・スマトラ沖のまたもやの地震につきまして、被災された皆様方、そしてまた、今現在復旧に取り組まれている方、それらへの思いをいたしながら、しっかりとした国政運営をしていっていただきたい、そのような思いを込めて質問させていただきます。

 それでは、質問に入ります。

 まず、これまで小泉政権がとってきた都市再生政策全般について質問いたします。

 小泉政権は、発足直後の平成十三年五月に都市再生本部を設置し、総理御自身が本部長として指揮をとりながら、既に四年間も都市再生に取り組んでまいっております。

 しかし、私には、これから取り組まれる地方の中小都市の再生という目的に照らせば、これまでの四年間が致命的なほどに無為に過ごされてしまったのではないかという感じがしてなりません。

 与野党を含め議員各位の地元をごらんになってください。シャッター通りになりかけていた町がにぎわいを取り戻し活性化したところが、どの程度ございますでしょうか。むしろ、四年前から既にシャッター通り化が進み、今に至るまで状況が悪化の一途をたどっている、そのようなところばかりが目につきます。これはすなわち、小泉政権が少なくともこの分野では有効な手だてを打てなかったのではないかということのあかしではないでしょうか。(拍手)

 このように申し上げれば、小泉総理の反論が聞こえてきそうです。すなわち、経済への波及効果を考え、選択と集中とによってまず大都市の都市活性化を図ってきたんだ、そして次に、これから中小都市の活性化を図っていくんだというふうに聞こえてきそうです。

 しかし、このまず大都市、次に中小都市、このような順番で都市再生を図ることに本当の合理性があったのでしょうか。

 政府の説明を聞いておりますと、民間活力を最大限に引き出すというキャッチフレーズのもとに、大都市再生の目玉として指定された六十三の都市再生緊急整備地域の中で見込まれる民間投資や経済効果は、おのおの十二兆円、二十三兆円とはじかれております。しかし、現在まで四年間に至るまで、おのおの三兆円と六兆円にしかすぎません。このままでいくと、政府のもくろんだ大都市の再生さえ、まだ十年規模の時間がかかってまいります。一体いつまでに、政府の考えられた大都市の再生というものが完了するのでしょうか。

 しかも、この中身を見ると、国費の投入が呼び水効果を持ち、そして民間投資が活性化した案件はほんのわずかであり、大部分は、民間がみずからの判断で投資に踏み切ったという案件ばかりでございます。つまり、言いかえれば、選択と集中により国費を大都市に振り向けたと説明できるほど国費が投入されていないのが実情でございます。

 それだけ国費が節約できたならよかったじゃないか、そのようなこともお声としてあるかもわかりません。しかし、それであれば、節約できる分を最初から中小都市に振り向けていれば、中小都市の分も含め、もっと成果が上がったのではないでしょうか。

 もし民主党が政権を担っていたら、活性化が進まなくて苦しんでいる中小都市の方が圧倒的に多数であるという現実と、そこで地道に頑張っていらっしゃる中小企業の経営者、労働者の皆様の心情をお察し申し上げた上で、中小都市の活性化こそ最重点項目として取り組んだであろうというふうに考えます。

 さらに、経済効果の算出方法について政府に聞くと、民間投資額と建設部門の生産誘発係数というものを単純に掛け合わせて算定しているそうです。しかし、この係数、全国一律の係数でございまして、それを掛け合わせるだけの作業であれば、大都市も中小都市も波及効果においては何ら差はないものと考えますが、いかがでしょうか。

 つまり、この程度の大ざっぱな計算の中で、大都市最優先を掲げてきた都市再生が、最初から地方中小都市最優先で行ったであれば実現できたであろう都市再生と比べて、いかほどのメリットがあるとお考えでしょうか。

 これらについては、本来ならば四年間指揮をとられた小泉総理御自身にお尋ねすべきところですが、院内のルールとして難しいそうでございますので、都市再生本部副本部長たる内閣官房長官、四年間の最後の方だけの御在任で恐縮でございますが、総理にかわり、全責任を持ってお答えいただきたいと思います。

 また、大都市も中小都市も含め国土の均衡ある発展を担保する観点から、限られた財源の配分という前提を置いたとしても、都市再生について中小都市に振り向ける予算、制度が余りに手薄過ぎるのではないでしょうか。もう一人の副本部長たる国土交通大臣に答弁を求めたいと思います。

 次に、政策の実施体制について質問いたします。

 都市再生本部を設置した以上、各省の縦割り意識を乗り越え、本部がリーダーシップを発揮した上で、大都市、中小都市の状況分析、施策目標の設定、施策の決定、施策実施後の都市の状況分析、施策評価、当該評価の将来施策への活用、これらに万全を期されているだろうと信じ、これまでの足跡をたどる問い合わせをいたしたところ、お答えとしては、各省に任せており、各省から資料がもらえません、今、各省から数字を取り寄せて集計していますといったたぐいの、正直申し上げて唖然とするような返答が返ってまいりました。

 私は決して、重箱の隅をつつくようなマニアックな質問をした覚えはございません。この程度の問い合わせに答えられないような調査分析の程度で、法案を提出する者として国民の皆様への説明責任を果たしていると言えるのでしょうか。内閣官房長官、この点について反論がおありになればお伺いしますし、そうでなければ、ぜひ改善の方策をお示しいただきたいと思います。(拍手)

 また、こうした取り組みの結果、この分野に係るトータルのコストなどにも悪影響が及んでいると考えます。

 つまり、四年前よりも、中小都市の再生の難易度は高まり、遠ざかった民間投資を呼び込むための所要期間は長くなってしまったのではないでしょうか。本部発足当初から選択と集中を中小都市の再生に振り向けた場合に比べて、都市再生全体に係るトータルコスト及び投入国費は相対的に高くつく結果になっているのではないでしょうか。

 施策を組み立てる政府の側に、何ゆえ現在の資源配分が最適なのかの挙証責任があると考えますので、この点につき、査定された財務大臣にお答えいただきたいと思います。

 さらに、中小都市の再生は、大都市のように国家的なプロジェクトとして取り組むものの割合は小さいと考えられるだけに、これからの中小都市再生については、施策実施に係る地方自治体の財政的な負担、事務的な負担が相対的に高まってくると考えられます。地方自治体には、そのような財源、事務体制を確保できているのでしょうか。総務大臣にぜひ御答弁いただきたいと思います。

 なお、全国で都市再生に取り組まれている方々を初め、国民の皆様方に十分に御理解いただくためにも、政府として、客観的な統計があるのであれば、ぜひそれを織りまぜて御答弁いただくよう求めます。もし抽象的な表現のみの答弁でしたら、政府の施策はその程度の熟度でしか構成できていない、そのように認識せざるを得ないことを申し添えさせていただきます。(拍手)

 残りの時間を使い、各改正案について、主要論点に絞って質問いたします。

 第一に、都市再生特別措置法について質問します。

 まず、中小都市の再生についても、大都市の場合と同様、国の関与を維持しつつ推進していく御方針であれば、少なくとも、中心市街地と郊外との都市機能分担、また、車社会の進展を織り込んだ施策のあり方など、地方都市における問題点について、地方任せにすることなく、国として中小都市の活性化のための処方せんを示すべきではないか。そして、その処方せんを地方や民間からの信頼を得た上で実施するためには、例えば、当該地域の関係者による協議会を設置するなど、オープンな形での検討が進むような、そのような法的担保を講じるべきではないかと考えますが、この点について国土交通大臣の御答弁を求めます。(拍手)

 次に、昨年創設されたまちづくり交付金との関係について質問いたします。

 改正案には、中小都市における民間の都市再生事業に対する金融支援が盛り込まれております。しかし、支援の実施に当たっては、この民間の事業区域が、市町村が策定したであろう都市再生整備計画の対象区域に含まれることが条件となっております。

 そして、事業区域をこの対象区域に取り込むために、聞きますと、既に作成した都市再生整備計画を再び改定する必要が生じる場合が多いというふうに聞いております。そのような事務的な負担を地方に強いるのが望ましいとは、とても考えられません。

 むしろ、このような民間の都市再生事業も、昨年成立しましたまちづくり交付金の対象に追加的に統合し、改正案よりも地方の自由度の高い仕組みを考えるのが自然なのではないかと思いますが、国土交通大臣及び総務大臣の御答弁を求めます。

 より理想に近い形を申し上げれば、地方都市の再生に官民一体となって取り組み、そしてそれを実現するという趣旨を徹底すれば、地方都市の再生については、その権限と財源を国から地方に移すべきではないかと考えますが、総務大臣、財務大臣の御答弁をいただきたいと思います。(拍手)

 さらに、今般の改正案では、出資支援を実施することになっております民間都市開発推進機構について、この機構、都市開発のエキスパートであります国土交通省の幹部OBがたくさん天下られているにしては、従来の各業務における実績を見る限り、資金回収のめどや案件の組成能力、審査能力及び迅速性について余りにも心もとない状況と見受けられますが、本機構の運営と財務内容について、現状の評価及び今後の対処方針を国土交通大臣及び財務大臣にお答えいただきたいと思います。(拍手)

 第二に、土地区画整理法について質問いたします。

 改正案は、土地区画整理事業の施行者に民間企業としての土地区画整理会社を追加することとしております。これは、従来の土地区画整理組合などによる事業施行にどのような問題点があって、それをどのように改善しようと考えておられる措置なのか、国土交通大臣の御答弁を求めます。

 第三に、都市開発資金貸付法について質問いたします。

 この法律に基づき貸し付けられている都市開発資金は、繰り上げ償還が見込みの十倍以上になる年度も出るなど、飛躍的に増大している状況にございます。しかし、それにもかかわらず、成立しました平成十七年度予算においては、都市開発資金融通特別会計への一般会計からの繰り入れが続行されております。

 ただでさえ資金繰りの厳しい一般会計から、資金がだぶつきぎみの特別会計に繰り入れを認められた理由について財務大臣に、また、繰り上げ償還で累積された資金規模以上にきちんとした資金貸し付けの見込みはあるのかについて、国土交通大臣に御答弁を求めます。(拍手)

 結びとしてでございますが、小泉政権の中で予算編成などに携わらせていただいた間、私自身の心の中に抱いた疑問の一つを申し上げたいと思います。

 それは、小泉総理就任当時の、地方にできることは地方に、民間にできることは民間にというキャッチフレーズについてでございます。当時は、全国の皆様に、おお、なかなかよいことを言うなと思わせたものです。私自身もそう思いました。

 しかし、職務に臨む中で、当事者に腕を振るってもらえるような環境をつくりさえすれば地方や民間の方々にやってもらえるのではないか、そのように考えたことに対し、所管省庁からは、このような事業を地方や民間に渡したら混乱が起きて大変なことになります、今、彼らにはそんな能力はありません、そのような趣旨の説明を幾度となく聞いてまいりました。また、それらについて官邸からの明確な指示が下ったことは、ほとんどございませんでした。

議長(河野洋平君) 和田隆志君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

和田隆志君(続) こうした経験を積むうちに、小泉総理は、地方や民間に渡す内容をどのレベルで考えているんだろうかと疑問を持つようになりました。つまり、所管省庁の言うように、現時点で地方や民間にできることなのか、それとも、将来のあるべき姿として地方や民間にできることなのかということでございます。いろいろな面で、後者を期待された国民の皆様方が大変多かったのではないでしょうか。

 しかし、議題となった都市再生特別措置法についても、三位一体改革関連の法案についても、ことごとくと言っていいほど、結果的に、現時点でということに限定されているような気がしてなりません。また、合併によって、来年からどこまでのことが実施できるのかさえわからなくなっている自治体も多いと聞きます。

 小泉総理も、就任された当時、その仕切りではうまくいかないと思われたからこそ、このキャッチフレーズを使われたのではないでしょうか。そう考えると、現時点で能力が備わっているかどうかをメルクマールにするのは、本末転倒だと思います。(拍手)

 地方や民間は、今まで中央省庁の指導のもとで、そのとおり申請し、事業を実施することを求められていたわけですから、現時点でやれることに制約があるのはむしろ当然だと思います。その能力を備えられるような施策を打つことこそが求められているのではないでしょうか。

議長(河野洋平君) 結論を急いでください。

和田隆志君(続) しかし、これまでのところ、国と地方との間で仕事とお金の配分を変えた部分について、どのような根拠で地方に渡す仕事とお金を考えているかと聞くと、全国のバランスをとる必要がありますというような趣旨がたくさん返ってまいります。これでは、やる気を持って取り組もうとしている地方自治体や民間の方に余りに失礼ではないでしょうか。

 このようなスタンスではなく、思い切って、地方や民間の方々の能力を信じて、どこまでできるか、思い切って任せてみる、そのような政策スタンスを求めたいと思いますが、内閣官房長官の答弁を求めます。(拍手)

 最後に、小泉政権がそのような度量の大きい政策スタンスをとれないのであれば、民主党がすぐにでも交代し、今までのしがらみにとらわれず、地方への一括交付金の創設など、あるべき姿に向かって進む未来志向の政策を繰り出し、地方分権や民間部門の活性化、主役化を強力に推進することをお誓い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣細田博之君登壇〕

国務大臣(細田博之君) 和田議員にお答えいたします。

 まず、大都市の再生より中小都市の再生を後回しにしたのではないかという御指摘がございました。

 地方の中小都市の再生につきましては、これまでも、都市再生本部におきまして、稚内から石垣まで、全国の都市再生の推進のため、歴史的なたたずまいの継承や観光を生かしたまちづくりなど、中小都市に共通する課題について協議会を設置して対応したほか、全国都市再生モデル調査、年間百六十から百七十件において、多くの中小都市による先導的な活動の支援などの施策を講じてきております。

 このように、都市再生本部におきましては、波及効果の大小によって大都市中心に再生に取り組むというのではなく、大都市、中小都市それぞれの特性に応じつつ施策を推進してきたところでありまして、中小都市を後回しにしたという御指摘は当たらないと考えております。

 中小都市につきましては、いまだ厳しい状況が見られることを踏まえつつ、その再生には、引き続き全力で取り組んでまいります。

 和田議員初め本院の議員の皆様方は、全国津々浦々の状況をよく御存じの方ばかりでございます。皆様方のいろいろな地方の実態に応じたお知恵を今後とも賜ってまいりたいと思っております。

 次に、大都市、中小都市の調査分析が不十分であって、説明責任を果たしていないのではないかというお尋ねがございました。

 都市再生の推進に当たりましては、全閣僚をメンバーとする本部の主導のもと、施策ごとに関係省庁連絡会議等を設置して、内閣一体となって進めております。

 施策の実施に当たりましては、できる限り現状を十分に把握した上で施策を講じることが望ましいと考えており、関係自治体の抱える問題点を踏まえまして、都市再生プロジェクトの立ち上げ等の形で政策目標を設定し、その進捗状況については、おおむね年に二、三回開催している都市再生本部会合の際に把握、評価に努めております。また、近々、都市再生本部のホームページにより、詳細な情報を掲載し、国民への説明責任を果たしていくことといたしております。

 今後とも、自治体と連携を一層強めてまいりたいと思っております。

 第三に、小泉内閣が地方にできることは地方に、民間にできることは民間にと言っておるけれども、自治体や民間の現時点の能力に限定しているのではないかというようなお尋ねがございました。

 三位一体改革の推進等におきましても、地方自治体の御意見をよく承りながら、そして国の政策と調整していくという基本的な小泉内閣の姿勢は、あくまでも地方にできることは地方にという考え方を原則として進めているわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。

 また、まちづくり交付金等の工夫につきましても、このたびから、道路、市町村道と農道、林道などの問題、あるいは下水、農村、漁村の集落排水の問題、あるいは港湾と漁港の問題等、これまで大きな欠点がある、地方の実情に即していないと言われてきた分野についても、省庁横断的な交付金を創設するなど、地方の声を反映した施策を打ち出してきております。

 今後とも、こうした地方や民間の持てる力、潜在力を最大限に引き出す施策を推進してまいる所存でございますので、議員各位のさらなるお知恵を賜りたいと思っております。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 七問、御質問をちょうだいいたしました。

 中小都市の都市再生の予算、制度についてのお尋ねでございます。

 都市再生の推進は、大都市、中小都市にかかわらず、地域が、中心市街地の活性化などのそれぞれの重点的な課題に対応して、創意工夫を発揮しながらまちづくりに取り組んでいくことを支援していくことが肝要であると考えております。

 このため、政府としての都市再生への取り組みが始まって以来、これまでも稚内から石垣までを合い言葉に、全国都市再生モデル調査の実施やまちづくり交付金の創設など、地方都市にも評価していただける地方公共団体の創意工夫を生かした意欲的な取り組みを支援するための予算、法制度を逐次整備してまいりました。

 ちなみに、全国都市再生モデル調査の実績は、約七割が県庁所在都市、特別区以外の都市であり、まちづくり交付金も、人口二十万人以下の都市が約七割となっております。

 本法律案もこうした観点から、これらの施策に加えて、さらに、市町村の都市再生の取り組みと連携した民間プロジェクトの支援や土地区画整理事業への民間活力の導入等が今後の都市再生の推進のために必要であるとの認識から提案するものであり、地方都市の再生に大きな効果を発揮するものと考えております。

 次に、国としては中小都市の活性化のための処方せんを示すべきではないかという御質問でございます。

 今後、地方都市では、人口減少、高齢化の一層の進展という事態が生じることから、コンパクトで車に過度に依存しないまちづくりを行っていくことが必要であると考えております。特に、シャッター通りと言われる中心市街地の活性化を図るためには、中心部に人口を呼び戻すとともに、生活に必要な都市機能を集積させることが必要でございます。

 国土交通省といたしましては、こうした認識のもと、平成十六年度よりまちづくり交付金を創設いたしました。さらに、今回の法改正により創設する民都機構の出資制度を中心とするまち再生総合支援事業を平成十七年度予算に盛り込み、中心市街地の活性化、中小都市の再生のための施策の充実に取り組んでいるところでございます。

 さらに、こうした支援措置の効果を高めるため、昨年末から、学識経験者、地方公共団体に参加していただいたアドバイザリー会議を設け、中心市街地を活性化するためのまちづくりのあり方について検討しているところでございます。

 この検討を踏まえて、中小都市の活性化の処方せんとなるべき総合的対策についてさらに検討してまいりたいと考えております。

 次に、地方都市の再生について、地方や民間の信頼を得るための手法についてお尋ねがございました。

 全国都市再生の推進のためには、官民が一体となって個性あるまちづくりを進める必要がございます。このため、昨年、都市再生特別措置法を改正し、市町村が創意工夫を生かして都市再生整備計画を作成することといたしましたが、この計画にはまちづくりNPOが実施する事業等も記載することができる規定を設けました。これに加え、今回創設する民間事業者への支援制度も、市町村事業と一体となって都市再生に大きな効果を発揮するものを対象としております。

 したがって、支援業務を行う民都機構におきまして、必要に応じて地元関係者による協議会等に参加するなどにより、関係者間の連携を深める役割を積極的に果たす必要があると認識をしております。このため、本法律案において、支援の対象となる認定整備事業者に対し、必要な助言、あっせんその他の援助を行うことができることを民都機構の新たな業務とする規定を設けることとしております。

 次に、民間の都市再生事業をまちづくり交付金の対象に追加、統合するべきではないかという御質問でございます。

 民間事業について、市町村を通じてまちづくり交付金で支援することは現在でも可能でございますが、都市再生に資する優良な民間事業への支援をより効果的に行うために、財政的支援措置であるまちづくり交付金に加え、今回、出資という金融的手法による支援措置を創設しようというものでございます。

 次に、民都機構の現在の業務の健全性、審査能力、迅速性の評価と今後の方針についてお尋ねがございました。

 民都機構は、昭和六十二年の設立以降、参加業務、融通業務、土地取得・譲渡業務を通じて、民間都市開発事業の立ち上げを支援し、相当の実績を上げてきたところであり、資金回収についても、これまでおおむね円滑に行われ、今後も適切な回収が図られるものと考えております。

 民都機構には、都市開発の専門家による審査体制のもとで、過去の支援実績を通じたノウハウ、情報が蓄積されており、今回新たに行う出資業務においても、審査を適切かつ迅速に行うことができると考えておるところでございます。

 次に、区画整理会社を施行者に追加するねらいについて御質問がございました。

 土地区画整理組合では、必ずしも事業を熟知しているとは限らない地権者みずからが経営に当たっていることから、資金調達の難航やノウハウの不足により事業が遅延したり、事業化が困難となる例が見られるところでございます。

 これに対して、区画整理会社においては、資力、信用とノウハウを有する民間事業者が参画することから、民間事業者の資金力や創意工夫を生かして、円滑な事業展開が可能となると考えております。

 最後に、都市開発資金の貸し付けの見込みについて御質問がございました。

 都市開発資金は、土地区画整理事業等について、地方公共団体等に対して資金を貸し付けるものであり、貸付対象者からの要望を踏まえて必要と考えられる予算額を計上しておるところでございます。

 十七年度予算においては、全体としての貸付額を絞り込み、重点化を図っておりますが、その中で区画整理会社への貸し付けの追加を行うなど、新たなニーズに対応しており、これに必要と見込まれる資金を予算額として計上し、この予算額を確保するために必要な一般会計の繰り入れを行うものでございます。(拍手)

    〔国務大臣谷垣禎一君登壇〕

国務大臣(谷垣禎一君) 和田議員にお答えいたします。

 都市再生を大都市から中小都市へとの順番で進めた結果、投入国費等が高くなったのではないかというお尋ねがありました。

 都市再生に関するこれまでの取り組みにつきましては、政府として、大都市、地方中小都市のどちらかを優先して進めるということじゃなく、地域のそれぞれの特性に応じながら、適時適切に施策を推進してきたものと理解しております。

 関連するさまざまな予算についても、それぞれの施策の目的に即して、必要性、有効性等を精査した上で、必要な措置を行っているところであります。

 地方都市の再生に関する財源についてお尋ねがありました。

 地方都市の再生につきましては、政府としての重要な課題の一つと認識しており、十七年度予算においても制度の拡充を図っておりますが、その際、地方の自主性、裁量性を最大限に尊重した交付金の拡充や創設を図るとともに、民間都市開発事業者のニーズに対応した出資制度を創設するなど、地域の要望に沿った使い勝手のよいものとすべく最大限配慮したところであります。

 なお、税源移譲については、三位一体改革の一環として取り組んでいるところであり、地方とも協議を重ねた上で取りまとめた改革の全体像においては、税源移譲については、おおむね三兆円規模を目指すこととし、その八割方について具体的に取りまとめています。

 また、全体像においては、残された課題について、平成十七年中に検討を行い、結論を得ることとしており、今後、この全体像に沿って改革をさらに進めてまいります。

 民間都市開発推進機構の資金回収めどや審査能力等についてお尋ねがありました。

 民間都市開発推進機構については、民間都市開発事業の円滑な推進の支援を目的として、法律の規定に基づき、参加業務、融通業務、土地取得・譲渡業務などを行ってきておりますが、これまで、都市開発の専門家による審査体制のもとで、厳格な案件審査が行われるとともに、資金回収についてもおおむね円滑に行われていると承知しております。

 今後につきましても、引き続き、適切かつ迅速な審査を行うとともに、円滑な資金回収を図る必要があると考えております。

 都市開発資金融通特別会計に対する一般会計からの繰り入れを認めている理由についてお尋ねがありました。

 都市開発資金融通特別会計については、都市整備の円滑化を図るため、市街地再開発事業等への無利子貸し付けの原資として一般会計からの繰り入れを行っているものであります。

 十七年度の一般会計繰入額については、現下の厳しい財政状況の中で厳に抑制すべきとの方針のもと、事業全体の見直しにより都市開発資金融資額の大幅な圧縮、重点化を図った上で、過年度からの剰余金受け入れを含む自己資金の状況を勘案しつつ、必要な額を計上したものであります。

 都市開発資金融通特別会計については、借り手からの繰り上げ償還の発生や毎年度の予算執行の結果として剰余金を生じているところでありますが、今後とも、予算の執行状況の把握を的確に行いつつ、適切な予算計上に努めてまいります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 最初に、中小都市が都市再生に取り組む能力についてのお尋ねがあっております。

 近年、地方公共団体は、まちづくりや地域振興に積極的に取り組んできておりまして、職員の能力も間違いなく向上してきておると存じます。

 しかし、今後、地方団体が創意工夫というものを生かしながら都市再生などのプロジェクトに取り組んでいくためには、中小都市も含めまして、いわゆる基礎自治体の能力、規模、さらには財政規模といったものを一層充実強化することが望ましいと考えております。

 また、都市再生事業に関して、現在あるまちづくり交付金へ事業を追加すべきではないかとの御提言があっております。

 御指摘のように、まちづくり交付金の所管は国土交通省ということでありますが、さまざまな国庫補助負担金につきましては、地域の実態に即して効率的な事業執行が可能となるようにすべきだというのは当然と存じます。

 今後とも、地方の自由度の拡大、自主性の向上を図るという補助金改革の趣旨にかんがみまして、交付金化にとどまらず、一般財源化というものを働きかけていかねばならぬと思っております。

 最後に、地方に対する財源と権限の移譲についてのお尋ねがあっております。

 現在進めております地方分権の考え方では、地方にできることは地方にという理念のもと、国の関与というものを縮小し、そして地方の権限と責任を拡大しようとするものであります。

 現在取り組んでおります三位一体の改革を実施することで、地方に対する財源と権限の移譲が次第に進んでいくものと考えております。今後、三位一体の改革の期間中に、三兆円の税源移譲の実現を図るとともに、さらなる地方の権限の拡大というものをしてまいらねばならぬと思っております。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣南野知惠子君。

    〔国務大臣南野知惠子君登壇〕

国務大臣(南野知惠子君) 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 現行の監獄法は、明治四十一年に制定されて以来、実質的な改正がされることなく今日に至っているため、被収容者の権利義務関係や職員の権限が明確ではなく、受刑者処遇の内容についても十分な規定が設けられていないなど、今日では極めて不十分なものとなっております。

 他方で、治安情勢の悪化を受けて、国民が安心して暮らせる安全な社会の実現が強く求められている昨今の状況にかんがみますと、受刑者の処遇に当たる行刑の役割は一層重要なものとなっているところであり、行刑改革を遂げ、行刑運営の充実を図ることは、喫緊の課題であります。

 この法律案は、このような状況を踏まえて、刑事施設の適正な管理運営を図るとともに、刑事施設に収容されている受刑者等について、その人権を尊重しつつ、適切な処遇を行うため、所要の法整備を行おうとするものであります。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、刑事施設の基本及びその管理運営に関する事項を定めるものであり、刑事施設の運営の透明性を確保するために、刑事施設視察委員会の設置、組織及び権限についても定めることとしております。

 第二は、受刑者の処遇について定めるものであり、次の点などを主な内容としております。

 その一は、受刑者の権利及び義務の範囲を明らかにするとともに、その生活及び行動に制限を加える必要がある場合につき、その根拠及び限界を定めることであります。

 その二は、受刑者に対して、適正な生活条件の保障を図るとともに、医療、運動等その健康の維持のために適切な措置を講ずることであります。

 その三は、受刑者には矯正処遇として作業を行わせるとともに、改善更生及び円滑な社会復帰を図るため必要な指導を行うものとすること、矯正処遇は、受刑者ごとに作成する処遇要領に基づき、必要に応じ、専門的知識及び技術を活用して行うこと、自発性及び自律性を涵養するため、生活や行動に対する制限は、受刑者処遇の目的を達成する見込みが高まるに従い順次緩和されるものとすること、改善更生の意欲を喚起するため、優遇措置を講ずるものとすること、一定の条件を備える受刑者について、円滑な社会復帰を図るため、職員の同行なしに外出及び外泊することを許すことができるものとすること、その他受刑者の改善更生の意欲を喚起し、社会生活に適応する能力の育成を図るための処遇方法を定めることであります。

 その四は、面会、信書の発受等の外部交通についての規定を整備するものであります。

 その五は、一定の刑事施設の長の措置についての審査の申請、身体に対する違法な有形力の行使等についての事実の申告等の不服申し立て制度を整備することであります。

 第三は、労役場留置者の処遇、刑事施設に代用される警察留置場に係る規定の整備その他所要の措置を講ずるものであります。

 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。辻惠君。

    〔辻惠君登壇〕

辻惠君 民主党の辻惠でございます。

 ただいま議題となりました刑事施設及び受刑者の処遇に関する法律案について、民主党・無所属クラブを代表して質問いたします。(拍手)

 まず、質問に先立ち、本日、日本歯科医師政治連盟の元常任理事内田裕丈被告に対して、懲役二年六月、執行猶予五年の判決が下されました。判決の要旨として、政治活動の透明性確保という法の趣旨に反した悪質な犯罪である、国民に多大の疑惑を抱かせ、制度への信頼を損なった、そして、橋本元首相に一億円を交付したという事実を認定しております。

 この問題の解明については、国民の九〇%の皆さんが強くその解明を要求している。まさに、これにこたえることが議会としての責任を果たすことではありませんか。この衆議院本会議の意思として、橋本元首相を初めとした証人喚問を実現していくこと、このことを強く訴えたいと思います。(拍手)

 小泉政権が発足して四年間、この間に日本の財政赤字は雪だるま式に膨れ上がり、その矛盾は、年間自殺者三万五千人、自己破産者二十四万人という数字となってあらわれております。一体、小泉政権は、日本の現状をどのようにとらえ、未来に向けてどのように希望をつくり出そうとしているのでありましょうか。

 小泉政権の一連の政策に、未来を展望した確かな構想を感じることはできません。本法律案もまたしかりであります。日本の二十一世紀の行刑をどのように構築するのかという一貫した理念を見出すことはできないのであります。速やかな政権交代が必要となるゆえんであります。(拍手)

 まず、法律案の立法事実についてであります。

 日本の行刑制度に関する法制は、一九〇八年の監獄法の制定を嚆矢とします。当時は、行刑制度が法律に規定されることはまれな時代でありましたが、その後百年近くにわたり実質的な改正が行われず、このため、日本の行刑は、特別権力関係を強調した規律秩序偏重のまま推移し、国際的な行刑理念、基準から大きくおくれをとっております。行刑に関する国際準則として、一九五五年に国連で定められた被拘禁者処遇最低基準規則に照らせば、今日の日本の行刑がいかに国際基準にもとるものであるのかは一目瞭然であります。(拍手)

 二〇〇一年十二月から二〇〇二年九月にかけて名古屋刑務所で発生した受刑者の死傷事件は、今日の日本の行刑制度が必然的に生み出したものと言うことができます。保護房収容や革手錠等の戒具の使用など全国の監獄施設の実態は、一刻も早い規律優先から受刑者の人権尊重への転換を迫るものであります。

 これまでも、一九八〇年代以降、現行監獄法の改正は三度にわたって試みてこられました。しかし、各改正案は、代用監獄の恒久化を図るものであり、かつ、未決、既決の被拘禁者の人権保障が極めて不十分であることもあって、現在まで改正されるに至っておりません。今や、端的に受刑者の人権保障のための監獄法改正を行うべきときであります。そして、二十一世紀の未来に向けた日本の行刑を真剣に構築しなければならないときであります。(拍手)

 そこで、立法目的として、日本の行刑の目指すべき方向性について述べたいと思います。

 名古屋刑務所事件を契機に発足した行刑改革会議は、二〇〇三年十二月の同会議提言において次のように述べております。

 国民の目が刑務所の中に届き、また、その声が伝わり、そして、刑務所の中の声が国民に伝わってくることが、最も大切なことではないかと確信した。

  かつて他人の人間性を踏みにじった受刑者の人権を尊重する必要などあるのかという声も国民の中にあるかもしれない。また、受刑者のために一層のコストをかけることに対して抵抗感を抱く国民もいるかもしれない。しかし、我々は、受刑者の人権を尊重し、改善更生や社会復帰を図るために施す処遇を充実させることに要するコストを無駄なものとは考えない。むしろ、今、必要不可欠なものである。なぜなら、この改革において実現される処遇により、受刑者が、真の意味での改善更生を遂げ、再び社会の担い手となるべく、人間としての自信と誇りをもって社会に復帰することが、最終的には国民全体の利益となるものと考えるからである。

まさに、この提言やよしとしなければなりません。(拍手)

 行刑の基本理念が、受刑者の社会からの隔離、そして受刑者の改善更生及び社会復帰の促進にあることから、受刑者の処遇こそ行刑にとって最重要の課題です。罪を犯した者を、真の意味で改善更生させ、円滑な社会復帰をさせることが重要であり、このためには、単に刑務所に戻りたくないという消極的な形にとどまるのではなく、各受刑者が、人間としての誇りと自信を取り戻し、自発的、自律的に改善更生及び社会復帰の意欲を持つことを導き出すことのできる処遇を実現していかなければならないのであります。

 そのためには、まず第一に、受刑者が人間としてその人権を十分に尊重されることが必要であります。具体的には、受刑者の権利義務が明確化され、外部交通権、医療や不服申し立て制度を初め、人間としての尊厳を保持するための諸権利が保障されなければなりません。

 次に第二に、受刑者が人間性を尊重されるためには、行刑施設の職員もまた、みずからの職務に使命感と充実感を持ち得ることができていなければなりません。職員の人権意識の涵養を図るとともに、職員の権限を明確にし、健全な執務環境を確保することを不可欠といたします。

 そして第三に、何よりも受刑者の特性に応じた実効的な処遇がなされることが重要であります。作業時間を短縮するなど刑務作業の内容を見直すとともに、カウンセリング、教誨、教科指導、生活指導などの刑務作業以外の処遇や治療の充実、豊富化が図られる必要があります。

 この処遇の充実に当たっては、受刑者に対して特定の職員が個別指導するという、これまでの日本行刑に特有な担当制の弊害が除去されなければなりません。担当職員の裁量が大きく生殺与奪の権を与えることとなる担当制と、担当者のいわばさじかげんによって昇級が決まるという累進処遇制度とが相まって、日本の行刑は規律偏重が常態化してきているのです。

 さらに第四に、このような処遇を実効あらしめるためには、施設内処遇と社会内処遇の円滑な移行が図られなければなりません。円滑な社会復帰が実現できるためには、受刑者が入所した時点から、施設の処遇計画と並行して保護観察官を関与させることが有用であります。行刑施設と更生保護機関とがより一層連携を密にして、具体的な方策を煮詰めることが喫緊の課題なのであります。(拍手)

 それでは、本法案の内容はどうなのでありましょうか。

 本法案は第一条で、刑事施設の適正な管理運営を図ること、受刑者等の人権を尊重すること、そして適切な処遇を行うことという三つの目標を掲げております。人権保障と適切な処遇を目的として掲げ、従前の規律優先の行刑から脱しようとしていることは、遅きに失したとはいえ、相応の評価がなされるべきであります。

 しかし、本法律案が行刑の中核たる受刑者の適切な処遇を実現する理念で貫かれているかについては疑問があります。

 すなわち、刑事施設の長が主体となった規定が多く、また法務省令への委任となっていて、受刑者の権利義務規定として不十分である。拘禁条件を含んだ待遇という意味での広義の処遇と、受刑者の社会復帰に向けた働きかけという積極的な施策を指す狭義の処遇という概念が混在して、統一的に使用されていない。現行担当制が温存されており、受刑者の矯正処遇が実務上どう実現されるのか不明である。外部交通権の保障、不服申し立て制度等受刑者の権利規定が不十分であり、かつ、警察庁長官の巡察など不必要な警察留置場規定が盛り込まれている等だからであります。

 そこで、各大臣に対して、次のとおり所見を伺います。

 まず、法務大臣に対して、第一に、受刑者の処遇の原則について、自発性、自律性に基づくことを原則としながら、矯正処遇の内容としては作業、改善指導、教科指導が規定されているだけであり、これだけでは、自発性、自律性がはぐくまれることにならないのではないでしょうか。

 第二に、行刑累進処遇令を廃止して、受刑態度の評価に応じた優遇措置を講ずるものとされておりますが、従前の担当制が変わらない限り処遇の実効性はなされないと考えますが、担当制度をどのように改善するおつもりでありましょうか。

 第三に、「矯正処遇は、必要に応じ、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識及び技術を活用して行う」とされておりますが、専門家以外に職員が関与することは予定していないのでありましょうか。

 第四に、施設内処遇と社会内処遇との連携について、具体的にどのような施策を講ずる予定なのでありましょうか。

 第五に、受刑者の権利義務についてであります。

 面会、信書、書類閲覧などの権利制約の要件をより限定すべきではありませんか。

 一日一時間の運動を法律上保障することに支障があるのでしょうか。

 受刑者の居室を単独室とすることを法律上の原則とすることに支障があるのでしょうか。

 申し出のあったときに診療義務があることを明確にすべきではないでしょうか。

 医療の充実をどのように図るおつもりか。

 以上、お答えいただきたいと思います。(拍手)

 次に、厚生労働大臣に対して、矯正施設内における医療水準について、どのようにお考えでしょうか。刑務所といえども、医療分野においては厚生労働省の管轄下に置き、法務省との連携を図った方がより妥当なのではありませんか。

 さらに、総務大臣に対して、行刑改革会議の提言で、国民に開かれた行刑ということが強調されております。これを実現していくためには刑務所と地域社会との連携を深めることが重要と考えますが、そのために地方公共団体が果たすべき役割について、どのようにお考えでしょうか。

 最後に、国家公安委員長に対して、警察留置場に関する規定は来年にも改正が予定されております。必要最小限の今回の改正とすべきではありませんか。

 以上、総括的に述べれば、今日の社会は、行刑の基本理念が前提としていた従前の社会と異なってきており、処遇にとってより困難な状況が現出しているのであります。すなわち、行刑施設は恒常的な過剰収容状態にあり、その上、高齢受刑者や在日外国人受刑者が増加し、また、さまざまな価値観や生活歴を有する多様な受刑者が収容され、さらに精神に障害を有する等の処遇困難受刑者の数もふえているのであります。

 そして、小泉政権のもとで、行刑目的の実現を困難にする社会状況をより拡大する施策が、無自覚、野方図にとられております。自由競争という強者の原理に基づいて、日本社会の二極分化はさらに強まっており、しかも、刑法の重罰化のような犯罪者への敵対感情と排斥意識を助長する治安重視の法案が、法制審への諮問から一年も経ないうちに、思慮深い検証もないまま拙速的に導入されているのです。

 応報と教育という刑罰の機能は、階級・階層対立を顕在的に意識させない日本の市民社会の柔構造のもとで、十全ではないにしても、曲がりなりにも機能してきました。しかし、今やこの柔構造は切り裂かれつつあり、そもそも改善更生の意欲を持ち得ない受刑者や、社会生活に適応する能力を欠如した受刑者が増加しているのであります。

 法務大臣は、極めて無邪気に、しかも思慮もなく、刑法の重罰化により規範意識が醸成されるなどと官僚の作成した浅薄な答弁を棒読みされましたが、みずからの行為が日本の社会を取り返しのつかない方向に切り裂き、ひいては本法律案の目的とする矯正処遇の前提を覆すことになっていることの自覚をお持ちでしょうか。

議長(河野洋平君) 辻君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

辻惠君(続) 競争原理の強調や治安重視の観点から決別し、市民社会の包摂力を鍛える施策こそ必要であると考えますが、いかがお考えでしょうか。

 行刑目的を実現するためには、さまざまな価値観や生活歴を有する受刑者に対し、その特性につき、資質と環境という視点から分析し、市民社会の中に包摂する方策を考察することが不可欠であります。かかる考察は、競争と排除という小泉政権の理念からは決して導かれ得ないものであります。

 結語として、以上のことから、小泉政権が、多様な存在を許容して包摂していくという、市民社会の統合に向けて政策提言する能力をもはや喪失していることが明らかであります。(拍手)

議長(河野洋平君) 結論を急いでください。

辻惠君(続) 日本の社会に取り返しのつかない災禍を及ぼす前に一刻も早く退陣し、真に二十一世紀の未来を担う民主党に政権を譲り渡すべきことを要求して、私の代表質問といたします。(拍手)

    〔国務大臣南野知惠子君登壇〕

国務大臣(南野知惠子君) 辻惠議員にお答えを申し上げます。

 まず、受刑者の自発性、自律性の育成についてお尋ねがありました。

 受刑者の処遇に当たっては、その自発性及び自律性を涵養することが重要であることは御指摘のとおりであり、法案においても、矯正処遇の目的を達成する見込みが高まるに従い、受刑者の行動等に対する制限は順次緩和するものとしているほか、受刑者の処遇は、その自覚に訴えてこれを行おうとする理念を受けて、その具体的な実施に当たっては、受刑者が自発的、自律的に改善更生や社会復帰に取り組む意欲を喚起するような処遇プログラムを策定するなど、受刑者の自発性、自律性の涵養に十分配慮していくことになるものと考えております。

 次に、担当制の改善についてお尋ねがありました。

 いわゆる担当制とは、各工場を担当する職員が受け持つ受刑者を個別指導しながら集団を管理する処遇体制でありますが、これについては、御指摘のように、担当職員の裁量が大きく、恣意的な運用がされるおそれがあるなどの問題点があります。

 そのため、今後、心理技官を積極的に処遇に関与させて担当職員をサポートさせたり、担当職員を複数配置するなどの対応を進め、その問題の解消に努めてまいりたいと考えているところであります。法案において導入することとなる優遇措置においても、担当職員の恣意的判断にゆだねられるようなことがないよう、その運用には十分配慮してまいりたいと考えております。

 次に、矯正処遇への専門家以外の職員の関与についてお尋ねがありました。

 矯正処遇は、一般の職員が中心となってこれを実施することとなりますが、特に改善指導等は、心理学等の専門知識や技術を活用して行う必要があり、今後とも、こうした知識等を有する心理技官等の職員のほか、民間の専門家も活用し、その充実を図っていきたいと考えております。

 次に、施設内処遇と社会内処遇との連携の強化についてお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を図るためには、刑事施設と更生保護機関の連携を緊密にし、施設内処遇から社会内処遇への円滑な移行を図ることが重要であります。

 そのため、受刑者が刑事施設に入所した時点から刑事施設と更生保護機関との間で受刑者に関する情報を共有し、早期に更生保護機関が釈放後の生活環境の整備を実施するとともに、刑事施設においてもこれを前提として計画的な処遇を実施しているところでありますが、今後とも、こうした観点から連携の強化に努めてまいりたいと考えております。

 次に、受刑者の権利の制約要件についてお尋ねがありました。

 法案においては、刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるときなどに受刑者の権利を制約できるものとしておりますが、こうしたおそれがあるときには、安全で秩序ある共同生活と適切な処遇環境を確保するために、受刑者の権利を制約する必要があり、したがって、この要件をさらに限定することは適当ではないと考えております。

 もとより、こうした受刑者の権利制約の要件は、合理的な根拠をもって認定することが必要である上、法案においては、制約は「必要な限度を超えてはならない」とする比例原則を明記しているところであり、過度に受刑者の権利を制約することのないよう適切な運用に努めていきたいと考えております。

 次に、一日一時間の運動の保障についてお尋ねがありました。

 適切な運動を行う機会の付与は受刑者の健康の保持のために必要でありますが、現下の収容状況や、運動のためのスペース及び職員配置の状況を前提とすると、大多数の刑事施設において一日一時間の運動の機会を確保することは現実問題として不可能であり、これを法律上保障することは適当ではないと考えております。

 次に、受刑者の居室を単独室とする原則についてお尋ねがありました。

 受刑者の居室は基本的に単独室とすることが望ましいものと考えているところでありますが、現在の施設の状況のもとにおいては、単独室収容を原則とすることは不可能であり、目標としてであれ、余りにも現実と乖離した内容を、刑事施設の長に義務づける法規範として規定することは適当でないと考えております。

 次に、受刑者から申し出のあった際の診療義務の明確化についてお尋ねがありました。

 法案は、受刑者が負傷しもしくは疾病にかかっている疑いがある場合の医療上の措置義務を規定しています。

 これにより、受刑者から診療の申し出があった場合には、仮病であることが明らかな場合など例外的な場合を除き、適切な資格、知識を有する者がその受刑者の状況を把握し、必要であるときは医師による診療等の医療上の措置を講じなければならないことは明確にされているものと考えております。

 次に、刑事施設の医療の充実についてお尋ねがありました。

 被収容者に対する医療は、国の責務であり、医師を初めとする医療スタッフの確保や医療機器の整備など、医療の充実に努めているところであります。

 また、刑事施設での対応が難しい場合に備えて、協力病院を確保するため関係機関との連携の強化に努めているところであり、今後とも、医療体制の一層の充実に向けて努力してまいりたいと考えております。

 最後に、競争原理の強調や治安重視の観点から決別し、市民社会の包摂力を鍛える施策が必要ではないかとのお尋ねがございました。

 私は、社会経済の活性化を図るためには、自由な競争が促進されることも有意義であると考えておりますし、国民が安心して暮らせる安全な社会を築くためには、法秩序の維持が必要であるとも考えております。そして、そのための施策を推進することが、直ちに、犯罪を犯してしまった者も含め、社会的な弱者を社会から排除する気風を醸成することにつながるものではないと確信しております。

 もちろん、これらと並び、改善更生し社会復帰しようとする受刑者が、健全な社会の一員として受け入れられるような成熟した社会を築くことも大切なことであり、これも重要な課題として取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 巧みに裏声をまぜられての演説で、聞き取りにくかったのが正直なところなんですが、刑務所と地域社会との連携を深めるために地方公共団体が果たすべき役割というこの質問一点だったと、私の聞き取りが間違っていなければ、さようなことになろうと思います。

 刑務所などの設置と運営は……(発言する者あり)やかましいな、本当に。

 刑務所などの設置と運営というものにつきましては、国と地方の役割分担におきまして、専ら国の事務とされていますことは御存じのとおりであります。

 御指摘のように、受刑者と地域社会とのいわゆる交流につきましては、法務省から御相談があれば、私どもといたしましては、地方公共団体の自主性というものも尊重しながら、よく話を伺って、適切に処理をしてまいりたいと存じます。(拍手)

    〔国務大臣尾辻秀久君登壇〕

国務大臣(尾辻秀久君) 刑務所における医療についてのお尋ねでございました。

 刑務所におきましては、受刑者の日常生活全般が刑務所の管理のもとに行われておりますので、受刑者の健康管理や医療もこの一環として、刑務所の責任のもとに提供されることが適当であると考えております。すなわち、法務省の責任のもとで行われることが適当であると考えます。

 一方、刑務所内における医療機関は、国の開設する医療機関として医療法の適用を受けますことから、厚生労働省としても、所在地の都道府県知事と連携しながら、刑務所内の医療機関に対し、医療法に基づき、必要に応じ適切な指導監督を行うよう努めておるところでございます。

 これまでも、厚生労働省といたしましては、法務省主催の関係省庁等連絡会議に参加をいたしますとともに、各都道府県知事あてに、行刑施設の医療の確保に関する協力を求める旨の通知を発出するなど、連携を図っておるところでございまして、今後も、必要に応じて適切な協力をしてまいります。(拍手)

    〔国務大臣村田吉隆君登壇〕

国務大臣(村田吉隆君) 辻議員にお答えをいたします。

 警察留置場に関する規定についての御質問をいただきました。

 これらの中で、特に警察庁長官の主宰する巡察について、具体的に御指摘があったところでございますが、刑事施設については、新法に規定される法務大臣の主宰する実地監査等により全国的な斉一性を確保することとしているところでありますが、警察留置場に関しても、これとの均衡を図るため、全国的な見地から調整する仕組みとして、警察庁長官の指定する職員が直接留置場を巡回し視察することが必要であります。

 いずれにせよ、今後引き続き行われる、代用監獄制度を含む未決拘禁者処遇に関する事項等についての検討に当たっては、真摯に議論に参加してまいる所存でございます。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣    麻生 太郎君

       法務大臣    南野知惠子君

       財務大臣    谷垣 禎一君

       厚生労働大臣  尾辻 秀久君

       国土交通大臣  北側 一雄君

       国務大臣    細田 博之君

       国務大臣    村田 吉隆君

 出席副大臣

       法務副大臣   滝   実君

       国土交通副大臣 蓮実  進君


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