衆議院

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第20号 平成17年4月19日(火曜日)

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平成十七年四月十九日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十四号

  平成十七年四月十九日

    午後一時開議

 第一 食育基本法案(第百五十九回国会、小坂憲次君外五名提出)

 第二 港湾の活性化のための港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 食育基本法案(第百五十九回国会、小坂憲次君外五名提出)

 日程第二 港湾の活性化のための港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

 証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び証券取引委員会設置法案(原口一博君外四名提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 食育基本法案(第百五十九回国会、小坂憲次君外五名提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、食育基本法案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長松下忠洋君。

    ―――――――――――――

 食育基本法案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔松下忠洋君登壇〕

松下忠洋君 ただいま議題となりました食育基本法案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 近年における国民の食生活をめぐる環境の変化に伴い、食の正しいあり方、すなわち、国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむための食育を推進することが極めて大切で重要な課題となっております。

 このため、本案は、食育について、国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成などの基本理念を明らかにしてその方向性を示し、国、地方公共団体及び国民の食育の推進に関する取り組みを総合的かつ計画的に推進しようとするものであります。

 本案は、第百五十九回国会に提出され、今国会まで継続審査となっていたもので、さきの第百六十一回国会の昨年十二月一日、提出者小坂憲次君から提案理由の説明を聴取いたしました。

 今国会においては、四月六日質疑に入り、八日には参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行い、去る十五日質疑を終局いたしました。質疑終局後、自由民主党及び公明党の共同提案により、附則中この法律の法律番号に係る暦年を「平成十七年」に改める修正案が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。次いで、討論、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 港湾の活性化のための港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、港湾の活性化のための港湾法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長橘康太郎君。

    ―――――――――――――

 港湾の活性化のための港湾法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔橘康太郎君登壇〕

橘康太郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、港湾の国際競争力の強化及び利便性の向上を通じて港湾の活性化を促進するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、国際競争力の強化のために特に重要な港湾を指定特定重要港湾として指定するとともに、この港湾の国際コンテナ埠頭の運営者に対する港湾に係る行政財産等の貸付制度及び無利子資金の貸付制度を創設すること、

 第二に、各港湾の入出港届の様式を国土交通省令により統一すること、

 第三に、特定港湾以外の港湾における一般港湾運送事業等及び検数事業等について事業参入を免許制から許可制にするなど、港湾運送事業の規制緩和を全国の港湾に拡大すること、

 第四に、船舶の夜間入港規制を廃止すること

などであります。

 本案は、去る四月十二日本委員会に付託され、翌十三日北側国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、十五日質疑を行い、質疑終了後、討論を行い、採決いたしました結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第三、旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長赤松広隆君。

    ―――――――――――――

 旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔赤松広隆君登壇〕

赤松広隆君 ただいま議題となりました旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、旅券犯罪や不法な出入国の防止を強化し、渡航の安全を向上させ、海外に渡航する国民の便宜を図るため、所要の措置を講じるものであり、その主な内容は、

 電磁的方法による記録を行った旅券を導入すること、

 紛失または焼失した旅券の失効制度を導入するとともに、旅券の再発給制度を廃止すること、

 旅券法の罰則を整備すること、

 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律を整備すること

等であります。

 本案は、去る三月八日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、外務委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、三月三十日町村外務大臣から提案理由の説明を聴取し、四月十五日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案及び地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案について、趣旨の説明を求めます。国土交通大臣北側一雄君。

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案及び地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。

 最近における住宅及び宅地の需給状況等の社会経済情勢の変化を踏まえ、住宅政策上の課題に柔軟かつ機動的に対応する供給体制づくりが喫緊の課題であります。

 この法律案は、このような課題を解決する観点から、公的資金による住宅及び宅地の供給体制を整備するため、所要の措置を講ずるものでございます。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、地方公共団体等は、事業主体の同意を得て、公営住宅の管理を代行することができることとしております。

 第二に、公営住宅の指導監督交付金を廃止することとしております。

 第三に、住宅金融公庫及び独立行政法人都市再生機構の一部の業務について、特別勘定を設けるとともに、当該業務に係る一部の政府貸付金の償還期限は、主務大臣が財務大臣と協議して定める日とすることとしております。

 第四に、地方住宅供給公社は、設立団体が議会の議決を経て国土交通大臣の認可を受けたときは、解散することができることとしております。

 第五に、公営住宅の家賃収入補助を平成十七年度までとすることとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 次に、地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案につきまして申し上げます。

 少子高齢化の急速な進行等の社会経済情勢の変化に伴い、子育てしやすい居住環境の整備、高齢者や障害者の地域居住の要請、まちづくりと一体となった良好な居住環境の形成などの、地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備及び管理を推進する必要があります。

 また、三位一体の改革を着実に推進するため、地方の裁量度を高め自主性を大幅に拡大する国庫補助負担金の改革を推進する必要があります。

 これらの必要性を踏まえ、地方公共団体が、自主性と創意工夫を生かして、既存ストックの有効活用を推進するとともに、福祉施策との連携、民間活力の活用を図りつつ、地域の実情に応じた公的賃貸住宅等の整備及び管理を推進することができるよう、所要の措置を講ずるものです。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、地方公共団体は、国土交通大臣が策定する基本方針に基づき、地域住宅計画を作成することができることとしております。

 第二に、地域住宅計画に基づき実施される公的賃貸住宅等または公共公益施設の整備に関する事業等を推進するため、地方の裁量度を高め自主性を大幅に拡大する交付金制度を創設することとしております。

 第三に、公営住宅と高齢者向け優良賃貸住宅、グループホームなどの一体的な整備を推進するための公営住宅建てかえ事業の施行要件の緩和等の措置を講ずることとしております。

 以上が、公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案及び地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。室井邦彦君。

    〔室井邦彦君登壇〕

室井邦彦君 民主党の室井邦彦でございます。

 私は、ただいま議題となりました公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案並びに地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する法律案につきまして、民主党・無所属クラブを代表いたしまして質問をいたします。(拍手)

 質問に先立ちまして、一言申し上げます。

 公営住宅法等の一部改正案でありますが、このような改正案の提出の仕方が許されるかどうか、政府並びに与党の見識を疑わざるを得ないのであります。

 公営住宅法の改正部分は、公営住宅の管理主体の拡大を行っております。一方、住宅金融公庫法の改正は政府貸付金の繰り上げ償還、都市再生機構法の改正も政府貸付金の繰り上げ償還なのであります。このように趣旨も改正内容も全く異なる改正を、何と一本の改正案として提出したのであります。

 本来であれば、別々に改正案を提出し、それに賛否を決するものであるにもかかわらず、このような無謀な、むちゃくちゃなやり方が許されていいのか。まさに国会の審議軽視、国会に対する冒涜であります。

 与党の諸君はこの法案を閣議決定する前に事前に審査しており、このような国会軽視の改正案の提出を認めていることは甚だ問題であります。まさに、国会議員の職責である国会審議を軽視するものであり、このような法案の提出を行う政府をチェックできなかった与党の諸君の猛省を促したいと存じます。(拍手)

 さて、住宅は、人間の生活に大変重要であり、不可欠なものであります。生活の質を決める重要なものであるにもかかわらず、主要先進国に比べて日本の住宅の質はいまだに貧弱であると言わざるを得ません。日本では、住宅は消費するものであり、公共的なもので長く維持するべきであるという認識が非常に薄いのであります。

 こうなってしまったのは、とにかく、質は度外視してでも家を持たせるという持ち家政策の結果であります。戦後間もない住宅難の時代であれば仕方がないことであったのでありますが、その政策が今に至るまで基本的に維持されてしまった結果、日本の住宅や町並みの質は劣化したのであります。

 さらに、持ち家偏重の政策が、都市部におけるファミリー向け賃貸住宅の供給不足といった問題を発生させていると考えられます。加えて、公営住宅においては、低所得者向けの賃貸住宅の供給という本来の目的に合わないような状況も生じていると聞いております。

 このような日本の住宅政策は、持ち家政策の偏重、賃貸住宅の軽視の結果です。これからの少子高齢化、人口減少社会をにらんだ住宅政策の大転換が必要であると考えますが、いかがでしょうか。国土交通大臣に質問を申し上げます。

 また、現在の日本の賃貸住宅についてどのような認識を持ち、政府として、今後、賃貸住宅政策についてどのような方向性を目指しているのかもあわせて国土交通大臣にお答えを願います。

 公営住宅法等一部改正案について、具体的にこれから質問を申し上げます。

 公営住宅法の改正部分でありますが、公営住宅の管理主体の拡大について改正がなされているところであります。公的住宅管理の効率化という趣旨であれば、都市再生機構の住宅やその他の公的主体の管理する住宅などについて、どこかの主体が一括して管理することが効率化に資するケースだと考えられます。この法律の枠外なのかもしれませんが、このようなケースについて、柔軟に一括して管理できるよう、国、地方自治体が協力すべきであると考えますが、政府の考え方について国土交通大臣にお尋ねをいたします。

 また、家賃収入補助の廃止が盛り込まれておりますが、廃止に伴い、一般財源化されることになりますが、補助の場合と一般財源化の場合では各自治体に支払われる金額に大きな差が生じ、必要とするところに手当てされるかどうか危惧されますが、現時点での見通しについて、総務大臣にお尋ねを申し上げます。

 住宅金融公庫法の改正部分についてでありますが、財投からの借り入れについて繰り上げ償還を行うものであります。これまでも、逆ざや状態が続き、政府からの補給金の投入が続いてきたわけであります。もっと早くこのような措置を行っていればよかったのではないのか、このように思うわけであります。これまで繰り上げ償還を行わなかった理由について、国土交通大臣にお尋ねを申し上げます。

 現在、住宅金融公庫が逆ざや状態になっていること、この責任について、政府はどのように考えているのか、だれがどのような責任をとるのか、国土交通大臣に御答弁願います。

 さらに、繰り上げ償還をするための資金源をどのように考えているのか、国土交通大臣にお尋ねを申し上げます。

 都市再生機構法の改正部分についても同様であります。もっと早く繰り上げ償還を行うべきではなかったのか。また、繰り上げ償還を行わざるを得なくなったことについて、だれがどのような形で責任をとるのか、繰り上げ償還の資金源についてどのように考えているのかもあわせて国土交通大臣にお尋ねを申し上げます。

 次に、財務大臣にお尋ねいたします。

 財投の繰り上げ償還を政府はこれまで原則として認めてこなかったにもかかわらず、今回、利子の支払いもなく繰り上げ償還を認めるケースが二つも出ております。今後は繰り上げ償還を原則として認めるかどうか、この御答弁をお願い申し上げます。

 続いて、公的賃貸住宅整備特別措置法案について質問をいたします。

 まず、新たに創設される地域住宅交付金についてでありますが、そもそも、このような狭い形で交付金にするのでは、従来の補助金と余り変わらないという疑問を感ずるわけであります。確かに、これまでの補助金制度よりは一歩前進したかもしれませんが、地方分権をさらに進め、ひもつきではなく、一括交付金のような形で地方が自由に使うことができるようにすべきではないでしょうか。国土交通大臣の御答弁を願います。

 また、この地域住宅交付金の創設は、まちづくり交付金の流れの一環として国土交通省の補助金の見直しとして行われたものなのか、あるいは三位一体の一環として創設をされたものなのか、国土交通大臣に御答弁をお願い申し上げます。

 そして、この交付金について、地方の提案に基づく事業を交付対象とするということでありますが、それは交付金の一割分にしかすぎないと聞いております。これでは、地方の創意工夫を十分に生かすことができません。これまでの補助金行政の延長線となり、非効率な予算投入が行われかねません。もっと地方の提案に基づく事業の割合をふやすべきではないのか、このように考えるわけであります。どうぞ、国土交通大臣の御回答をお願い申し上げます。

 さらに、この制度では、地方がみずから設定した目標をもとに効果を客観的に分析するという、いわゆる事後評価を重視するとされております。事後評価を重視するとした場合、目標が達成できなかった場合、支払われた交付金の取り扱いはどうなるかについての国土交通大臣の御回答をお願い申し上げます。

 事後評価自体が難しいことに加えて、目標不達成でも交付金の返還も求められないような中途半端な状況が場合によっては生じるのではないでしょうか。改革の方向としては、このような補助金の延長でしかない中途半端な交付金制度を設けるのではなく、民主党が主張しているような大胆な分権なくして、この国の未来はあり得ない。(拍手)

 最後に、今小泉内閣は、郵政民営化を改革の本丸と位置づけ、推し進めようとしております。しかし、世論調査でも明らかなように、国民の多数は、そして与党自民党の大半も、郵政民営化の必要性も緊急性も認めておりません。なぜ本丸なのか、理解に苦しみます。国民が望まないことに多くの労力と時間を浪費し、本来政治が最優先に果たさなければならないことをおろそかにしていると言わざるを得ません。(拍手)

 ここ数日の中国における反日デモ、とりわけ暴力行為は、北朝鮮による拉致事件と同様、日本国民の生命と財産を脅かした、絶対に許すことのできない、愚劣で野蛮な行為であります。暴力行為を制止すらしなかったにもかかわらず、いまだに中国側は、謝罪、補償の意思を見せるどころか、むしろ責任は日本にあるなどと言っております。今や日本は、国家としての威厳を完全に踏みにじられたのであります。戦後の日本外交が、事なかれ主義、先延ばし主義外交の繰り返しを続けたことによって一気に噴き出たと言えるでしょう。国民は大変憤りを感じており、小泉内閣の真価が問われております。

 今、政治が最優先して取り組まなければならないこと、それは日本の誇りを取り戻すことであります。無法な行為は絶対に許さないという強い意思を持って国家として自国の利益と立場を正々堂々と主張し、認めさせることにあります。そのことをできないようでは、現与党の政権担当能力を疑わざるを得ません。民主党が政権交代を実現しなければ日本の未来はあり得ないことを申し上げ、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 室井議員にお答えをいたします。

 賃貸住宅政策を含めた住宅政策の転換についてお尋ねがございました。

 我が国の住宅は、量的には既に充足しておりますが、持ち家の一戸当たり床面積が百二十四平米であるのに対し、借家は四十六平米にとどまっているほか、耐震性、バリアフリー、省エネルギーなど質の面で大きく立ちおくれております。

 このため、少子高齢化の進展など社会経済情勢が大きく変化する中で、住宅ストックの質の向上を図るとともに、これらを社会全体で有効に活用していくことを基本としたストック重視型の政策へと本格的に転換を図ることが必要でございます。

 具体的には、新たに創設する地域住宅交付金などにより、ファミリー世帯や高齢者世帯向けの良質な賃貸住宅の供給を支援するとともに、持ち家、借家を問わず、ライフステージに応じた適切な居住の選択が可能となるよう、中古住宅流通、住宅リフォームの推進や高齢者の持ち家を賃貸住宅として活用することなどに取り組んでまいりたいと思います。

 こうした取り組みを通じ、国民一人一人が、多様な選択肢の中からその方にふさわしい住まい方が選択でき、豊かさを実感できる住生活の実現を目指してまいります。

 次に、公営住宅の管理主体の拡大についてお尋ねがございました。

 今般の公営住宅の管理主体の拡大は、入居者の決定など、公営住宅法に規定する事業主体の権限を他の地方公共団体等が代行できることとするものでございます。

 このような法律上の権限の代行を公営住宅以外の公的賃貸住宅に拡大することは、その種別によって施策対象や役割が異なることから、いずれかの主体が種別を越えて一体的に行うことは困難でございます。

 しかしながら、例えば清掃、修繕といった維持管理業務などの事実行為については、権限の行使を伴わないことから委託が可能であり、例えば、地方都市の機構賃貸住宅について維持管理業務を地方住宅供給公社に委託している例もございます。

 また、地域住宅特別措置法案におきまして、地域の住宅政策を円滑に進めるため、地方公共団体、都市再生機構、地方住宅供給公社が中心となって、地域住宅協議会を設けることができることとなっております。地域の居住ニーズに的確に対応した管理方策を協議する中で、住宅管理に係る事実行為の委託や入居募集情報の一元的な提供などが適切に推進されるものと考えております。

 次に、これまで住宅金融公庫が財投資金の繰り上げ償還を行わなかった理由についてお尋ねがございました。

 住宅金融公庫は、金利水準の高い時期に行った貸し付けに係る任意繰り上げ返済に起因する逆ざや等により、多額の補給金が毎年度必要な状況となっております。

 平成十九年四月に公庫を廃止した上で設置する新独立行政法人が、民間金融機関の支援、補完を行う組織として、自立的な経営を確立することが大切でございます。そのためには、過去に実施した直接融資に起因する財政的負担について、先送りをせずに透明な形で早期に処理することが重要と考えております。

 このため、平成十七年度より既往債権を管理する特別勘定を設置し、組織のスリム化等最大限の自助努力を前提に財政融資資金の繰り上げ償還を実施することにより、独立行政法人移行後の第一期の中期目標期間中に、補給金に依存する財務構造からの転換を図ることとしております。

 こうした住宅金融公庫の財務の改善については、従来より議論を進めてまいりましたところでございますが、今般、民間で取り組んでいる直接融資を廃止するなどの業務の抜本的な見直しを含む改革スキームを取りまとめ、推進していくこの機会に、財務当局とも調整の上、平成十七年度より繰り上げ償還することとしたところでございます。

 住宅金融公庫の逆ざやに係る国の責任についてお尋ねがございました。

 住宅金融公庫の補給金の原因となっております貸付金に係る任意繰り上げ返済による逆ざやを防止するためには、例えば、任意繰り上げ返済を行おうとする利用者からペナルティーとして補償金を徴収することが想定されます。

 しかし、このような措置をとらなかったのは、補償金を徴収する事例が民間住宅ローンでも一般的ではなく、また、住みかえや転勤などの理由による任意繰り上げ返済もある中で、補償金を徴収し、国民の住宅ローンに係る選択肢をいたずらに狭めることは、国民の計画的な住宅取得を支援するという住宅政策上の意義に照らしまして、適当でないと考えたからでございます。

 こうした点を踏まえれば、任意繰り上げ返済に起因して財政的負担が発生していることは、長期固定ローンの安定的な供給により国民が円滑に住宅取得を行える環境を整備する上で、政策上やむを得ない面があったと考えております。

 繰り上げ償還を行うための資金源についてお尋ねがございました。

 財投資金の繰り上げ償還を行うに当たっては、公庫が過去に貸し付けを行った債権を証券化することにより得られる資金と融資利用者から返済された資金を財源とすることとしております。

 都市再生機構の繰り上げ償還についてもお尋ねがございました。

 都市再生機構については、平成十三年十二月の特殊法人等整理合理化計画において、ニュータウン事業について、「時価評価の結果を踏まえ、プロジェクトの見直し、土地の処分等を早急に進め、できる限り多くの継続事業を速やかに終了させる。」とされていたところでございます。

 昨年実施されました時価評価の結果、賃貸住宅資産に含み益が生じる一方、ニュータウン事業を中心に大幅な含み損が生じ、債務超過には至りませんでしたが、七千三百億円の繰越欠損金が生じているところでございます。

 このような厳しい経営状況に対処するため、一層の経費削減、土地の早期処分等機構の最大限の自助努力を盛り込んだ経営改善に取り組むとともに、土地の売却収入や民間からの借入金等を財源として財投への繰り上げ償還を行い、財務基盤の改善強化を図ることとしたものでございます。

 今回、ニュータウン事業からの早期撤退や繰り上げ償還等の措置によって、問題を先送りすることなく、早期に対処することで、今後とも、我が国の喫緊の課題でございます都市再生業務と、賃貸住宅の適切な管理を実施していくことが重要な責務であると考えております。

 地域住宅交付金についてお尋ねがございました。

 地域住宅交付金は、従来の個別事業ごとに審査する補助制度にかえて、地方の自主性、裁量性を十分に発揮しながら、公営住宅の整備や面的な居住環境整備など、地域のニーズに応じた住宅政策を総合的に推進するために創設するものでございます。

 この地域住宅交付金の活用により、地方公共団体が作成した計画に基づき、国と地方公共団体が協力して、公営住宅等の地域における住宅のセーフティーネットの充実、多様な住宅需要への対応のための取り組みが推進されることとなります。地域の実情に応じて地方の創意工夫を生かした住宅政策が展開されるものと考えておるところでございます。

 地域住宅交付金創設の趣旨についてお尋ねがございました。

 地域住宅交付金については、昨年、三位一体の改革の一環として行われました補助金についてのさまざまな議論を踏まえまして、公営住宅等をめぐる社会経済情勢の変化にも対応しつつ、国の財政支援について地方の裁量度を高め自主性を大幅に拡大する観点から創設するものでございます。

 これにより、地域のさまざまなニーズに対応した住宅政策が国と地方の協力のもとで実現されるものと考えております。

 地方提案に基づく事業についてお尋ねがございました。

 地域の多様なニーズに応じた住宅政策を展開するに当たっては、住宅セーフティーネットの機能の充実を主眼とする公営住宅整備などの基幹事業を中心に置きながら、あわせて、地方の自主性を最大限生かすための取り組みを推進することが必要でございます。

 このため、地域住宅交付金におきましては、地方の提案に基づく事業等を一定の範囲内で交付金の対象とすることとしております。

 このような趣旨を踏まえた交付金の活用により、地域の創意工夫を生かした総合的かつ一体的な住宅政策の実現が図られるものと考えております。

 最後に、事後評価についてお尋ねがございました。

 地域住宅交付金におきましては、計画期間の終了後に、地方公共団体が地域住宅計画に定めた目標をもとにみずから事後評価を実施し、公表することを義務づけることにより、交付金が有効かつ効率的に使われたかどうかを国民に対して明らかにすることとしております。

 このように、本交付金における目標の設定は、その達成のみを目的とするものではなく、事業の透明性、客観性を確保し、事業の適切な実施を図ることを趣旨とするものでございます。(拍手)

    〔国務大臣谷垣禎一君登壇〕

国務大臣(谷垣禎一君) 室井議員にお答えいたします。

 いわゆる財投の繰り上げ償還の件についてお尋ねがありました。

 この繰り上げ償還については、補償金を徴求して受け入れることを原則としておりますが、このたび、財政制度等審議会財政投融資分科会の了承をいただいた「繰上償還についての基本的考え方」を踏まえまして、一定の条件を満たした上で、透明性のある形で法律に基づいて行われる場合に、例外的な措置として、補償金なしの繰り上げ償還を認めることとしております。

 具体的には、業務からの撤退を含む抜本的な事業の見直し、撤退事業の経理の明確化、業務運営効率化等の自己努力を担保するための計画の策定、これらの実施により財政融資資金に対する償還確実性を高めることができる等、最終的な国民負担を軽減するために財政融資資金の得べかりし利益の放棄が必要かつやむを得ないことという条件を満たす必要があると考えております。

 今般の住宅金融公庫、都市再生機構への措置は、こうした基本的考え方を踏まえて例外的に実施するものでありまして、繰り上げ償還に際して補償金を徴求するという原則を変更するものではありません。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 公営住宅家賃収入補助を一般財源化した後の財源措置についてのお尋ねがあっております。

 現在、三位一体の改革を進めておりまして、その一環として、公営住宅家賃収入補助を一般財源化することといたしております。

 この廃止される金額、平成十七年度分につきましては三百二十億円、これにつきましては、他の国庫補助負担金改革分と同様に、その全額を所得譲与税で措置をいたします。

 その上で、各地方団体ごとで格差が生じることにつきましては、地方交付税の算定におきまして、各地方団体に対するこの補助金の算出基準に準じまして、実績に応じたきめ細かな算定を行うことといたしております。

 これによりまして、各地方団体ごとに事務事業の円滑な執行に必要となります財源を適切に確保することといたしております。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

 証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び証券取引委員会設置法案(原口一博君外四名提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、証券取引法の一部を改正する法律案及び原口一博君外四名提出、証券取引委員会設置法案について、趣旨の説明を順次求めます。国務大臣伊藤達也君。

    〔国務大臣伊藤達也君登壇〕

国務大臣(伊藤達也君) ただいま議題となりました証券取引法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 本法律案は、最近の証券市場をめぐる状況等の変化に対応して、公開買い付け制度や企業情報開示制度の信頼性を確保すると同時に、我が国証券市場の国際競争力の向上を図るための措置を講ずるものであります。

 以下、その大要を申し上げます。

 第一に、公開買い付け制度の信頼性を確保する観点から、公開買い付け制度の適用対象となっていない証券取引所の立ち会い外取引のうち、相対取引に類似した取引については、買い付け後の株券等保有割合が三分の一を超える場合に公開買い付け制度を適用することとしております。

 第二に、企業情報開示制度の信頼性を確保する観点から、子会社が上場会社であって、親会社等が上場していないこと等により、親会社の企業情報が開示されていない場合について、その親会社に対して情報の開示を義務づけることとしております。

 第三に、我が国証券市場の国際競争力の向上を図る観点から、外国会社等が本国等において適切な開示基準に基づいて英語による開示を行っている場合等には、日本語による要約等の添付を前提として、外国会社等に英語による有価証券報告書の提出を認めることとしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 提出者岩國哲人君。

    〔岩國哲人君登壇〕

岩國哲人君 ただいま議題となりました証券取引委員会設置法案につきまして、提案理由及び内容を御説明いたします。

 総会屋への利益供与、特定顧客への損失補てん、相場操縦、インサイダートレーディング、我が国証券市場は不公正取引がまかり通ってまいりました。また、最近においては、ニッポン放送をめぐるライブドアとフジテレビの企業合併、買収合戦、そして産業再生機構が支援中でありますカネボウの粉飾決算、西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載などの問題が立て続けに起きています。これらの問題の根底にあるのが、一般株主、個人投資家不在の証券市場という実情であります。

 一般株主、個人投資家の寄りつかない証券市場は、株式持ち合い企業と機関投資家ばかりのいびつな市場になります。いびつな証券市場は企業の倫理観をゆがめ、結果として法令遵守の意識が欠けることになります。こうして証券市場の公正、透明性はますます失われていきます。まさに悪循環です。

 今国会では、証券取引法改正案のほかに、六十年ぶりの商法の抜本改正となる会社法案も提出されています。しかし、会社法案の議論の中では、例えば敵対的企業買収に対して株式持ち合いを復活させるなど、時計の針を戻すような議論も散見されます。銀行等保有株式取得機構なるものをつくり、二兆円もの公的資金を使って銀行、企業から持ち合い株を買い取らせる、あるいは銀行が持っていた三兆円もの持ち合い株を日銀に買い取らせる、こうした数年間の施策は一体何だったんでしょうか。まさにその場しのぎのびほう策と言わざるを得ません。

 本質的な解決方法は、公正、透明な証券市場を実現することにあります。米国には、泣く子も黙ると言われる証券取引委員会、SECがあります。これに対し、我が国も一九九二年、証券取引等監視委員会を設置いたしました。私は、ニューヨークのウォール街で、実際に米国SECと何度も折衝してまいりました。その経験をもって言えば、我が国の証券取引等監視委員会は、その権限、規模、独立性のすべてにおいて、米国SECにはるかに見劣りしています。

 例えば、米国SECは三千八百人を超える人員を擁しているのに比較して、証券取引等監視委員会は、地方の財務局も含めてわずか四百人余りにすぎません。また、権限も独立性も弱いことから、事件が起きても、金融庁、法務省あるいは検察庁などに一々お伺いを立てています。米国に倣って日本版SECをつくれという大きな国内外の世論の中に誕生したのは、日本版SECではなくて、日本的SECでした。(拍手)

 枝ぶりも小さく、権限も弱く、置かれた場所も庭の片隅。捜査一つをとっても、報道つき、予告つき、隠ぺい期間つき、逃亡期間つき。こうしたやり方では、真相究明や犯罪防止効果に著しく欠けて、投資家保護の目的を達成することはできません。

 このような考えのもと、民主党はここに、証券取引委員会設置法案を提出するものであります。(拍手)

 以下、内容の概要を三点だけ説明させていただきます。

 第一に、証券取引の公正を確保し、投資家の保護を図るとともに、有価証券の流通の円滑化を図るため、内閣府の外局として証券取引委員会を設置することとします。すなわち、独立性の弱い現行の八条委員会から、独立性の強い三条委員会に変えます。

 第二点、証券取引委員会は、証券取引に係る制度の企画立案及び証券会社等の検査監督等の事務をつかさどることとします。

 第三点、最後ですけれども、証券取引委員会は、委員長及び委員四名をもって組織し、委員長及び委員四名は国会の同意人事とすることとします。

 国会が町の治安対策に取り組むことはもちろん大切なことですが、経済の中心、金融証券市場の治安・防犯対策に取り組むことは、日本再生のために緊急の課題であると思います。

 党派を超え、議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び証券取引委員会設置法案(原口一博君外四名提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。田中和徳君。

    〔田中和徳君登壇〕

田中和徳君 自由民主党の田中和徳であります。

 証券取引法の一部を改正する法律案に関連して、自由民主党並びに公明党を代表して質問をいたします。(拍手)

 今、強く求められている我が国の経済活性化に向けて、貯蓄から投資への流れを加速させるためには、幅広い投資家の証券市場への参加を促すことが必要であり、そのためには、証券市場を投資家にとってわかりやすく魅力的なものにしなければならないことは言うまでもありません。

 また、株式の持ち合いが解消されたことなどがその理由と思いますが、昨年の国内企業のMアンドA件数は、対前年比二八%増の二千二百十一件で、過去、空前の投資ブームと言われた平成二年に比較しても、三倍近くにふえております。海外では、二割近くが敵対的な案件にもなっており、もろもろの事情を考慮すれば、その対応も必要と考えます。

 こうした観点から、和解が成立したようでございますが、お茶の間でも大きい話題となりましたライブドア社による東京証券取引所の立ち会い外取引を通じたニッポン放送の株式の取得をめぐる一連の事案は、我が国の証券市場のあり方に対し、多くの問題を提起しました。

 現行の証券取引法では、取引所市場の外で大量に株式を取得する場合は、公開買い付け規制の適用対象となり、すべての株主に公平に売却の機会が与えられることになっています。

 これに対し、取引所の立ち会い外取引で大量の株式を相対で取得するといった事案が続けば、蚊帳の外に置かれる一般の個人株主にとって、証券市場が不透明で魅力のないものに映りかねません。

 ただいま伊藤金融担当大臣より趣旨説明がありましたこの証券取引法の改正法案は、こうした問題に対処しようとするものであり、諸外国におけるルールにも沿ったものと考えますが、まず大臣に、立ち会い外取引の導入の趣旨についてお伺いをいたします。

 その上で、さらに、今回の法案における公開買い付け制度の見直しのねらいについても御答弁をいただきたいと思います。

 次に、大事件に発展しました西武鉄道、コクドをめぐる問題に関連した質問をいたします。

 このケースのように、上場している子会社の経営に重大な影響力を持つ親会社が存在する場合、当然に投資家はこのことを十分理解して投資する必要があります。しかしながら、その親会社が非公開会社である場合、投資家は、子会社への投資を行うに当たって重要な情報を得ることは極めて困難なことになります。

 今回の改正案では、このような非公開の親会社に関する情報を開示させるとしておりますが、その趣旨について大臣よりお答えをいただきたいと思います。

 最後に、今回の法案に盛り込まれた英文開示について質問をいたします。

 英文開示については、以前からも多くの外国企業より要望がありました。それらの新しい時代の要請にこたえる意味もあり、英語での開示書類の提出を認めることで、日本の証券市場の魅力を一段と高めることができ、投資家にとっても投資対象の選択肢がふえるといった効果が期待をされます。もちろん、将来は英語以外の言語についても対象とすることが考えられます。

 しかしながら、これのみで我が国の証券市場の魅力を向上させていくことは困難であり、これにあわせて、証券市場の魅力アップに向けた数々の施策を積極的かつスピーディーに講じていく必要があると考えます。この点についても大臣のお考えをお尋ねしておきたいと思います。

 以上、今回の改正案に関連して質問をいたしましたが、政府は、これだけでよしとするのではなく、今後とも、市場監視機能の強化等を着実に進め、証券市場に対する信頼確保に向けて不断の努力を引き続き行っていただきたいと存じます。

 なお、市場監視機能の強化についてはさまざまな議論があることは承知しておりますが、近年、金融サービスの分野においては、貸付債権の証券化など、銀行や証券の垣根を越えた金融商品の一体化といった流れが急速に進展いたしております。また、海外の動向を見ても、英国、ドイツ等において銀行、証券、保険の統合の動きに合わせた制度整備が行われておりますが、これらを踏まえれば、我が国においても、業態横断的な視点に立った行政を確保することが必要と考えます。

 民主党は、過去二回提出して廃案となった証券取引委員会設置法案を再び今国会に提出されましたが、内外の金融をめぐる環境の変化等を踏まえれば、証券行政部門を銀行行政部門や保険行政部門から切り離すことは時代の流れに逆行するものではないかと考えます。

 特に民主党は、先般本院で採決した保険業法等の一部を改正する法律案に反対されましたが、その第一の理由は、金融サービス全般にわたる横断的な金融サービス法を整備すべきとの党の考え方が反対討論演説の中でも示されております。今般の民主党の法案は、証券分野のみの分離独立をさせる内容となっており、矛盾をするものではないかと私は考えます。

 何とぞ、政府においては、現在の体制を着実に強化することに努め、市場に対する国民の信頼をより確保すべく最大限の努力をしていただくことを強く求め、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣伊藤達也君登壇〕

国務大臣(伊藤達也君) 田中議員にお答えをいたします。

 立ち会い外取引導入の趣旨及び公開買い付け制度の見直しのねらいについてお尋ねがありました。

 立ち会い外取引は、一定の株式ポートフォリオをバスケットとして行う取引や大量株式の一括取引等、機関投資家等の多様化する取引ニーズへ対応する観点から、金融システム改革の一環として導入されたものであります。

 こうした取引は、現行証券取引法上、基本的に公開買い付け規制の対象とされておりませんが、その使い方によっては取引所市場外の相対取引と類似した形態をとることが可能であり、これを放置すれば公開買い付け規制の形骸化を招くおそれがあると考えられます。

 このため、今回の証券取引法改正案では、立ち会い外取引のうち、相対取引と類似した取引について、公開買い付け規制の対象とするものであります。

 非公開の親会社に係る情報開示についてのお尋ねがありました。

 上場会社に親会社が存在する場合、当該親会社の状況は上場会社のコーポレートガバナンス等に大きな影響を及ぼし得ることになりますが、現行制度では親会社に関する情報の開示は限られたものとなっております。

 このため、今回の改正案では、上場会社の親会社が有価証券報告書提出会社でない場合に、親会社の株主、役員、財務の状況等についての開示を親会社自身に義務づけることといたしております。

 証券市場の魅力の向上に向けた施策の必要性についてお尋ねがございました。

 金融庁といたしましては、金融改革プログラムにおける諸施策の実施などを通じて、日本の証券市場の競争力を強化し、その国際的地位の向上を図ってまいりたいと考えております。

 東京証券取引所においても、本年二月、外国株市場の活性化のため、外国株を内国株と同等の基準により上場することが可能となるよう、上場制度の見直しを行ったと承知いたしております。

 今後とも、東証等とも連携しつつ、我が国証券市場の魅力の向上に努めてまいる所存です。(拍手)

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議長(河野洋平君) 津村啓介君。

    〔津村啓介君登壇〕

津村啓介君 民主党の津村啓介です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました内閣提出、証券取引法の一部を改正する法律案並びに民主党提出、証券取引委員会設置法案について質問をいたします。(拍手)

 この本会議場には五百人近い代議士が一堂に会しています。それぞれに政治家としての原点を持ち、理想と現実のはざまで日々葛藤と努力をしているはずであります。本日の議題である証取法改正は、私が、前職である日本銀行職員の時代からかかわってきた、日本の金融戦略の重要テーマであります。少しの時間、私の政治家としての原点である日本銀行での経験を話させてください。(拍手)

 一九九六年十一月、当時の橋本内閣は、日本版ビッグバンを提唱しました。当時の日本は、バブル崩壊後の長引く景気低迷で自信を失っていましたが、この構想は、日本再生への明確なビジョンを示す画期的なイニシアチブでした。東京マーケットをロンドン、ニューヨーク並みの国際金融市場として育成し、アジア経済のリーダーとして責任と名誉ある地位を占めようとした、日本の国家戦略に裏打ちされた内容でした。

 前川リポート以来、当時の大蔵省とともに円の国際化に取り組み、国際基軸通貨としての強い円を目指して日本の国益のために汗を流してきた、少なくとも当事者はそう考えていた日銀の入行三年目であった私の目には、自分の国の未来に対する自信と誇りを改めて確認するに十分な、たくましい政治のリーダーシップに映りました。私は、政治の構想力と実行力を示された、当時の橋本総理の決断を今も尊敬しています。

 しかし、興奮は長くは続きませんでした。ある日、私の職場であった日銀営業局は東京地検特捜部の家宅捜索を受け、過剰接待にまみれた前近代的組織のそしりを受けました。さまざまなドラマがあり、社会の不条理を感じたこともあります。海外の金融危機や景気の伸び悩みも続き、短期的な政策対応に追われる中で、いつしか日本の未来を語る余裕も、そして自信と誇りも、少しずつうせていったように思います。

 その後、広く社会に人材を募る我が民主党との出会いがありましたが、私の政治活動の原点には、いつもこのときの悔しさがあります。今ようやく、不良債権処理の問題はマクロの局面からミクロの局面へとステージを変え、日本の金融行政は新たな転換期を迎えました。日本の金融部門には少しずつ余裕と自信、そして誇りが戻ってきたように思います。

 伊藤達也金融担当大臣、あなたは若いリーダーです。私は、今こそポスト金融ビッグバンの新たな国家戦略を立ち上げるときと考えますが、いかがでしょうか。金融ビッグバンの再評価と新たな金融市場整備への取り組みについて御所見を伺います。

 大臣、この問題は、日本の中長期的な国益と深くかかわる大切なテーマです。シンガポール、香港、上海など他の市場におくれをとってからでは取り返しがつきません。市場間競争は、一度勝負がつき差が生まれたら、簡単には追いついたり追い越したりできないという性格を持っています。

 経済大国、超大国としての栄光の時代を終えて久しい英国、イギリスが、今なお金融大国として世界に君臨し、多くの人材を集めているこの歴史的事実から、私たちは何を学ぶべきでしょうか。

 ちまたには、不良債権処理が峠を越えたことをもって、金融担当大臣のポストを軽視する向き、あるいはその廃止を呼ぶ向きもあります。しかし、国家戦略を打ち出すのは政治家の大切な仕事です。今こそ強い政治的リーダーシップが求められていますが、現職大臣としての所見と抱負を聞かせてください。大臣、しっかりと取り組んでください。(拍手)

 法律論に移ります。

 昨日、フジテレビとライブドアの和解が大きく報道されました。今回の証取法改正は、この一連の騒動、とりわけ、ホリエモンこと堀江ライブドア社長の資本市場におけるパフォーマンスが問題提起の役割を担ったことは明々白々であります。中には、感情的な反発からか、この問題を外資警戒論と短絡的に結びつけたり、堀江社長個人への批判といった形で非合理的に論ずる向きもありますが、ここは立法府ですので、事実に基づいた冷静な議論を行っていきたいと思います。

 そこで、具体的にお伺いいたします。

 大臣は、二月八日のライブドアによるニッポン放送株購入に際し、いち早く、適法であるとのコメントをされました。堀江社長流に言えば、想定の範囲内ということかと思います。しかし、あるとき突如として、規制対象に加えるとの判断をされました。少なくとも、多くの市場参加者や国民の目にはそう映ったことでしょう。立ち会い外取引に対する大臣のお考えは、あるとき突然変わったのでしょうか。今回のライブドアの取引について、その評価を改めて伺いたいと思います。

 また、ライブドアから金融庁に対し、事前に取引の適法性について照会がなされたとの報道もありますが、事実の確認をお願いいたします。

 国民の高い関心を集めた一連のライブドア騒動も、昨日の和解発表で一つの局面が幕を閉じました。今回のフジテレビとライブドアの騒動は、単に若きカリスマ、ホリエモンの冒険物語、アドベンチャーとして記憶されるべき性質のものではありません。和解発表という節目を機に、既に経済界からは評価の声も聞かれ、企業価値や株主利益、MアンドAあるいはTOBに対する国民的理解を進めた意義が指摘されています。

 この機に、今回のライブドア問題の投じた問題提起に対する大臣の受けとめについてお聞かせください。

 次に、敵対的買収の増加が日本企業の経営に与える影響について伺ってまいります。

 ライブドアをめぐる一連の騒動で敵対的買収がクローズアップされましたが、その防衛策として、株式持ち合いの復活という選択をする企業もあると言われます。銀行保有株式取得機構をつくり、日銀にも銀行保有株の買い入れをさせるなど、公的資金を五兆円も使って持ち合い解消を国策的に支援してきたことを考えれば、時計の針を逆に回すようなものです。到底看過し得ないと考えますが、買収防衛策としての株式持ち合いの復活について大臣の評価をお聞かせください。

 なお、敵対的買収については、先般の会社法改正案をめぐる代表質問の中で、南野法務大臣から、敵対的買収はふえないという見通しが示されました。一方では、より広い定義ではありますが、小泉首相が対日直接投資の拡大を容認しています。日本市場における敵対的買収の増加について、国際金融市場戦略の観点に立った大臣の評価を聞かせてください。

 当質問については、民主党の法案提出者からも意見を伺いたいと思います。

 堀江社長が多用する取引手法として、CB、転換社債の発行とその後の株式分割を問題視する向きもあります。

 すなわち、株券が紙ベースで印刷されるまでの間、株式の流通量が減ることを見越し、そこに空売りをかけて株価をつり上げ、大きな利益を得るというスキームを不公正取引と見る意見です。定義にもよると考えますが、個人投資家を株式市場に呼び込み、日本の市場の厚みを増していく上で、株式分割の制度は有用です。私は、場当たり的に規制を重ねるのではなく、株式ペーパーレス化の加速によって技術的に解決すべき問題と考えますが、欧米と比較した日本の株式ペーパーレス化の現状について教えてください。

 今回、株券大量保有報告制度、通称五%ルールの見直しが見送られました。ライブドアをめぐる騒動では、いわゆる村上ファンドの株式売買の実態が長期間ブラックボックスとなったため、市場に過度の憶測を生んだとの指摘もある反面、報告免除の特例の範囲について線引きが困難とする実務的な声も聞かれます。大臣はどのように対応されるお考えでしょうか。

 課徴金制度の早期導入の必要性についても伺います。

 金融庁は、当初、本法律案の柱は有価証券報告書の継続開示義務違反に対する課徴金制度の導入であると説明をしていましたが、内閣法制局との調整がつかず導入を見送りました。不祥事の多発を考えると、市場の信頼回復は急務のはずですが、今後の取り組みについて聞かせてください。

 このほか、今回の証取法改正は、買収後の経営計画の開示義務、TOB期間の延長、買い付け価格の下方修正等が盛り込まれていない点で不十分との指摘があります。これらの必要性について大臣の御認識を聞かせてください。

 谷垣禎一財務大臣にお伺いいたします。

 市場インフラの整備を行うのが金融庁の役割とすれば、そこで売買される金融商品である我が国の通貨円や日本国の債務、日本国債の商品性向上を進めるのが財務省の役割であります。近年は、目先の景気対策に追われ、長期的な通貨政策が十分戦略的に運営されていないとの印象がありますが、円の国際化に対する今後の取り組みを聞かせてください。また、国債管理の観点に立った、金融庁の市場整備との連携のあり方についても伺います。

 最後に、民主党案について質問します。

 今回の法案提出の前提にある我が国証券市場の問題点について率直にお示しください。また、そうした中で、民主党案は何を目指し、どのような道筋で問題解決を実現するのか、政権準備党としての抱負をお示しください。また、今回の政府案に対する見解もあわせてお尋ねいたします。

 以上、るる御質問をいたしましたが、私の質問に込めました最大のメッセージは、国際金融センターとしてアジアのリーダーになるというシナリオは、日本が国として目指す価値があり、かつ選択可能な、数少ない国家目標の一つであるということです。できることはやるべきです。

 近い未来の人口減少が確実視されています。我が国の成長力の伸び悩みが懸念され、今や、外交・安全保障のみならず、経済の分野でも周辺諸国の脅威が我が国を脅かしています。私は、日本という国家の将来を考えたとき、アジアの奇跡とうたわれた戦後の高度成長の果実をいかに将来世代に継承していくかを、今こそ真剣に考えなければならないと思います。これが私たちの世代の責務です。

 国際社会における日本の発言力の源泉の一つは経済力であります。日本はアジアのリーダーです。また、世界のリーダーでもあります。そして、その責任を果たす力を持っています。

 国債管理政策の充実と円の国際化に支えられた東京マーケットの国際金融センター化は、私たち政治家が強いリーダーシップを発揮し、国策として実現するにふさわしい戦略分野です。私たち政治家の力でやり遂げましょう。

 そのことを重ねて強調し、我が民主党には政権準備党としてのビジョンと、ビジョンを実現するリーダー、それを支えるスタッフが必要十分に備わっていることを申し述べ、政権交代によって日本の国際競争力を飛躍的に向上させることをお誓いして、私の代表質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣伊藤達也君登壇〕

国務大臣(伊藤達也君) 津村議員にお答えをいたします。

 日本版ビッグバンに対する再評価及び新たな金融市場整備への取り組みについて、政治的リーダーシップをもって国家戦略を打ち出すべきとの立場からお尋ねがありました。

 いわゆる日本版ビッグバンにおいては、フリー、フェア、グローバルの三原則のもと、銀行、証券、保険の各分野で大幅な自由化、規制緩和が行われたところです。

 金融庁はこれまで、こうした日本版ビッグバンの成果を踏まえ、金融の各分野において、利用者保護を図りつつ、さまざまな自由化、規制緩和を進めるとともに、金融システムの安定強化を図るべく、不良債権問題の解決に全力を尽くしてきたところであります。

 金融資本市場の構造改革と活性化をさらに加速する今後の取り組みについては、昨年末、今後二年間の金融行政の指針として金融改革プログラムを策定、公表したところであり、これに盛り込まれた諸施策の着実な実施を通じて、多様な金融商品やサービスを国民が身近に利用でき、国際的にも高い評価が得られるような金融システムを、官の主導ではなく、民の力によって実現していきたいと考えております。

 ライブドアのニッポン放送株式取得に関する評価についてお尋ねがありました。

 個別取引に係るコメントは従来より差し控えさせていただいておりますが、一般論で申し上げると、立ち会い外取引は、現行証券取引法上、基本的に公開買い付け規制の適用対象とはならないと考えられます。

 立ち会い外取引は、機関投資家等の多様化する取引ニーズへ対応する観点から導入をされたものでありますが、使い方によっては取引所市場外の相対取引と類似した形態をとることが可能であることから、今回の法案では、公開買い付け規制の形骸化を招くことがないよう、立ち会い外取引のうち、相対取引と類似した取引について、公開買い付け規制の対象としているところです。

 ライブドアからの個別の照会に係るお尋ねがありました。

 金融庁では、ライブドアまたはその代理人から、本件についてその会社名を明かした上で相談を受けたという事実は確認されておりませんが、公開買い付け制度に関する質問は日常的に金融庁に寄せられており、これに対しては、従来から、立ち会い外取引は、現行法上、基本的には公開買い付け規制の対象とされていない旨の回答を行っているところです。

 今回のライブドアの事案が投じた問題提起の評価についてお尋ねがありました。

 個別案件に対するコメントは差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、資本市場が発展するためには、企業経営者において、株主を初めとしたステークホルダーの利益にも十分目配りをした経営を行っていただくことが求められているのではないかと考えております。

 株式持ち合いについてお尋ねがありました。

 株式の持ち合いを行うかどうかは、基本的には各企業における経営判断の問題であると認識しておりますが、持ち合いに当たっては、ガバナンス上の問題等を惹起することのないよう十分留意する必要があると考えております。

 対日投資の拡大と敵対的買収の増加に対する評価についてお尋ねがありました。

 我が国金融資本市場の国際競争力を強化する観点からは、海外企業等による対日投資の拡大は重要な課題であると考えております。

 このうち、対日投資手段としての企業買収については、敵対的であるか否かを問わず、被買収企業の企業価値の向上を通じて、株主を初めとするステークホルダーの利益が最大限図られることが重要であると認識をいたしております。

 株式分割との関係で、株式のペーパーレス化の進捗状況及びその効果に関するお尋ねがありました。

 株式のペーパーレス化を定めた株式等決済合理化法は、昨年六月九日の公布から五年以内の政令で定める日に施行されることになっており、現在、新しい振替制度への円滑な移行を実現するための具体的な日程を検討中です。

 現状でも、我が国の証券決済制度は、保管振替制度の活用により欧米と比較して遜色のないものになっていますが、新しい振替制度の実現により、さらに効率性及び安全性の高い証券決済システムの実現が可能になると考えます。

 なお、御指摘の株式分割後に株式の需給の不均衡が発生するという問題については、現状の保管振替制度のもとにおいても改善が図られるよう、保管振替機関等の実務関係者とともに、所要の調整を続けているところであります。

 大量保有報告制度の見直しについてお尋ねがありました。

 大量保有報告制度の特例は、大量保有報告書を迅速に開示する必要性と金融機関等のコスト負担とのバランスを考慮し、諸外国の制度も参考にして設けられたものであります。

 大量保有報告制度のあり方については、今後、金融審議会における投資サービス法及びそれに関連した開示制度のあり方に係る検討の中で、必要に応じて検討が行われていくものと考えます。

 継続開示義務違反に対する課徴金制度についてお尋ねがありました。

 金融庁では、有価証券報告書など、継続開示書類の虚偽記載に対する課徴金制度の導入に向け、法制面の詰めの作業を行ってきました。

 しかしながら、現行証取法の体系のもとでこれを導入するためには、違反行為で得られる経済的利得の内容及び算定方法、課徴金と刑罰規定との関係など、引き続き慎重に検討すべき課題が少なくないことから、今回の法案に盛り込むには至りませんでした。

 金融庁としては、継続開示義務違反に対する課徴金制度の導入の検討自体を断念したわけではなく、今後さらに検討を深めていきたいと考えております。

 公開買い付け制度のさらなる見直しについてお尋ねがありました。

 今回の改正法案は、公開買い付け規制の形骸化を防ぐため、早急に手当てが必要であることに対応したものです。

 公開買い付け制度の具体的なあり方について御指摘がありましたが、本制度については、今後、株主に平等に株式の売却の機会を与えるとの制度本来の趣旨を踏まえながら、金融審議会における投資サービス法及びそれに関連した開示制度のあり方に係る検討の中で、制度のあり方全体について議論が行われていくものと考えます。(拍手)

    〔国務大臣谷垣禎一君登壇〕

国務大臣(谷垣禎一君) 津村議員にお答えいたします。

 まず、円の国際化への取り組みですが、円の国際化を進めますと、日本経済は為替変動リスクから自由度が高まってまいります。その意味で、日本経済の足腰が強くなるということだけじゃなくて、アジア域内経済の一層の安定ということを考える上でも大変重要なことだと私は思っております。

 こういう観点から、平成十年にやりました対外取引原則自由化のための外為法改正、それから平成十五年にやりましたオフショア市場の機能拡充、それから平成十七年度の税制改正でも非居住者等の国債保有に係る税制優遇措置の要件緩和をやりました。これらはいずれも、円の国際化への取り組みの一環であります。

 今後とも、特にアジア経済との連携が深まってきていますので、アジアとの関係も視野に入れながら、円の国際化に向けて着実に取り組んでいく必要があると考えております。

 それから、金融庁の市場整備との連携のあり方ということでありますが、我が国の国債市場に関しましては、発行体である国の円滑な資金調達を可能にしていくということと、それから多様な投資家のニーズに的確に対応できるよう環境整備を進めていくこと、これはいずれも、国債管理政策の観点からも大変重要なことであります。

 こういう国債市場の整備に当たりましては、発行、それから流通、決済、こういったさまざまな段階で、当局も含めた市場関係者が効果的に連携をとっていくということが極めて有意義だというふうに考えております。

 そういう観点も踏まえまして、国債の発行者である財務省としては、市場のニーズもよく見きわめていかなきゃなりません。そして、商品の多様性ということも図っていかなければなりません。そういう中で、全体の市場インフラ整備を担当する金融庁等とは、それぞれ問題意識はあるわけですけれども、整合性を図りながら、車の両輪のように努めていく必要があると考えております。(拍手)

    〔中塚一宏君登壇〕

中塚一宏君 津村議員にお答えをいたします。

 敵対的買収が日本の金融資本市場に与える影響についてであります。

 いわゆる敵対的買収がクローズアップされていますが、やや感情的な外資脅威論が目立っており、冷静な議論が必要であると考えております。

 まず、敵対的といいますが、だれに対して敵対的なのか。現在議論されている敵対的買収に対する防衛策とは、ややもすると、経営者の保身のための議論になっているのではないのか。株主が経営者を選ぶのではなく、経営者が株主を選ぶという本末転倒した議論になっているのではないか、このような印象を受けるのであります。(拍手)

 しかも、その防衛策とやらが、何のことはない、株式持ち合いの復活という、時計の針を逆に回すような議論になっているのも気になるところです。今日の企業買収は、持ち合い解消を進めるという時点で当然予想されていなければなりません。

 問題は、コーポレートガバナンスが働かないということ。企業買収自体は、上場企業にとっては常にあり得ることだからです。

 その上で、第一に、企業は、敵対的であれそうでない場合であれ、買収を避けたいというのであれば企業価値を高めることです。

 第二に、その企業の価値を株価などに反映させることであります。つまり、株主価値の向上を追求していかなければならないということであって、三角合併に伴ってよく言われる日米株価の格差についても、フェアバリューの反映こそがまず取り組まなければならない課題であります。

 そして第三番目に、ここが一番大切なところでありますけれども、その株主価値が本当に正確なものであるかどうかを判断する公平な機関が必要であるということです。

 そういった意味で、企業買収は、株式会社は一体だれのものかという問題をはらんでおり、公平、透明な資本市場の構築が求められます。

 また同時に、お上が保険業法などの各種業法を通じて、預金者、投資家、契約者の保護をするという前近代的な発想ではなく、消費者の立場からどのようにその権利を擁護、確立するのかという、そういった理念、発想が必要であって、だからこそ、私ども民主党は、金融サービス法の制定ということを訴えているわけです。(拍手)

 また、経営者にとっても、経営の選択肢をふやすという意味において、企業買収自体を否定するべきではないと考えております。

 次に、政府案に対する見解でありますけれども、金融庁は当初、今回の証券取引法改正案の柱は有価証券報告書虚偽記載、継続開示義務違反に対する課徴金制度の導入であると説明をしておりましたけれども、内閣法制局の審査が通らず、急遽、公開買い付け、TOB規制の見直しに差しかえたという経緯がある、そのように承っております。

 しかし、公開買い付け、TOB規制の見直しには唐突な印象を受けるのも事実です。課徴金制度については、何年も導入を検討しながら、今回も断念。一方で、ニッポン放送株をめぐる問題でTOB規制がクローズアップされるや否や、電光石火の早わざで法改正という金融庁の対応には、非常に恣意的なものを感じます。

 西武鉄道のケースを見るまでもなく、有価証券報告書の虚偽記載は投資家に対する重大な裏切り行為であります。また、カネボウのケースに至っては、国民の血税がむだに使われるかもしれないという問題でもあります。悪質なケースだとみなされれば刑事事件として立件されることはあっても、必ずしもすべてがそうなるとは限りません。これでは、やり得を許すことになってしまうのであります。

 有価証券報告書虚偽記載に対する課徴金制度の導入が断念された政府案は、極めて問題が多いと言わざるを得ない、そのように考えております。(拍手)

    〔平岡秀夫君登壇〕

平岡秀夫君 津村議員にお答えいたします。

 津村議員からは、まず、我が国証券市場の問題点は何かという御質問をいただきました。ぜひ政府にも尋ねてほしい質問ではありますけれども、これまで失政を重ねてきた政府が、みずからの非を認めるような答弁をすることはどだい無理なのかもしれません。

 我が国証券市場に欠けているもの、それは公正性と透明性であります。

 現在、個人金融資産に占める株式の総額は、わずか八%にすぎません。総会屋への利益供与、特定顧客への損失補てん、相場操縦、インサイダー取引など、これまで不公正取引がまかり通ってきたことが、株は怖い、株は素人のやるものではないといったような意識を浸透させているからであります。

 そもそも、証券市場の信頼維持と向上に大きな責任を負っていた金融担当大臣が、ETF、株価指数連動型投資信託、これは絶対もうかるなどと平然と言い放つようでは、証券市場に対する投資家の信頼など望むべくもありません。(拍手)

 一般株主、個人投資家が参加をちゅうちょするような証券市場は、株式持ち合い企業、機関投資家、企業支配を求める投資家などが中心となるいびつな市場となります。いびつな証券市場はコーポレートガバナンスをゆがめ、コーポレートガバナンスがゆがんだ企業はコンプライアンスの意識にも欠けるといったようなことになります。このような悪循環の中で、証券市場の公正、透明性はますます失われてきているというのが日本の証券市場の問題であります。

 そこで、津村議員の第二の質問、民主党案は何を目指し、どのような道筋で問題解決を実現するのかについてであります。

 民主党は、公正、透明な証券市場を実現することが何よりも重要だと考えています。そして、そのためには適切な市場監視機能が必要であります。

 しかしながら、米国には証券取引委員会、いわゆるSECという独立性の高い市場監視機関があり、三千八百人を超える人員を擁しているのに対して、我が国には、金融庁内に証券取引等監視委員会、先ほどの岩國議員の言葉によれば日本的SECがあるものの、地方の財務局も含めて人員は四百人余りしかありません。米国SECが年間二百四十件の不公正取引を摘発しているのに対し、証券取引等監視委員会が刑事告発したのは三十件に満たない状況であります。

 証券取引等監視委員会も、最近、インサイダー取引をしていた経済産業省の係長を告発するなど、それなりに成果は上げていますけれども、ETFは絶対もうかるなどと平然と言い放った金融担当大臣が何らの追及もされていないというような状況では、我が国の証券市場監視体制はやはり不十分であると言わざるを得ません。(拍手)

 民主党が一貫して主張しているように、我が国にも独立性が高く、独自の処分権限を有する証券取引委員会を設置し、市場監視機能を大幅に強化することが今こそ求められていると考えます。

 なお、先ほど田中和徳議員から、民主党が金融サービス法の提案を主張していることと、今回提案している証券取引委員会設置法案とが矛盾しているのではないかというような御指摘がありました。しかし、その指摘は、一つの法律は一つの役所のものであるといったような縦割りの固定観念でしか行政を考えられない与党議員の限界を痛切に感じさせるものであります。(拍手)

 今後の政治のあり方を考えた場合には、それが時代錯誤の大きな誤りであることを指摘いたしまして、私の答弁とさせていただきます。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十二分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣    麻生 太郎君

       外務大臣臨時代理

       国務大臣    細田 博之君

       財務大臣    谷垣 禎一君

       国土交通大臣  北側 一雄君

       国務大臣    伊藤 達也君

       国務大臣    棚橋 泰文君

 出席副大臣

       内閣府副大臣  七条  明君

       国土交通副大臣 蓮実  進君


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