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第34号 平成17年7月5日(火曜日)

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平成十七年七月五日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第三十号

  平成十七年七月五日

    午後一時開議

 第一 郵政民営化法案(内閣提出)

 第二 日本郵政株式会社法案(内閣提出)

 第三 郵便事業株式会社法案(内閣提出)

 第四 郵便局株式会社法案(内閣提出)

 第五 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(内閣提出)

 第六 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 郵政民営化法案(内閣提出)

 日程第二 日本郵政株式会社法案(内閣提出)

 日程第三 郵便事業株式会社法案(内閣提出)

 日程第四 郵便局株式会社法案(内閣提出)

 日程第五 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(内閣提出)

 日程第六 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 郵政民営化法案(内閣提出)

 日程第二 日本郵政株式会社法案(内閣提出)

 日程第三 郵便事業株式会社法案(内閣提出)

 日程第四 郵便局株式会社法案(内閣提出)

 日程第五 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(内閣提出)

 日程第六 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、郵政民営化法案、日程第二、日本郵政株式会社法案、日程第三、郵便事業株式会社法案、日程第四、郵便局株式会社法案、日程第五、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案、日程第六、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右六案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。郵政民営化に関する特別委員長二階俊博君。

    ―――――――――――――

 郵政民営化法案及び同報告書

 日本郵政株式会社法案及び同報告書

 郵便事業株式会社法案及び同報告書

 郵便局株式会社法案及び同報告書

 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び同報告書

 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔二階俊博君登壇〕

二階俊博君 ただいま議題となりました郵政民営化関連六法案につきまして、郵政民営化に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、各法案の要旨について申し上げます。

 最初に、郵政民営化法案は、郵政民営化について、その実施に必要となる事項を定めるもので、その主な内容は、

 第一に、郵政民営化の基本的な理念及び方針並びに国等の責務を定めること、

 第二に、郵政民営化を推進するとともに、その状況を監視するため、政府に、郵政民営化推進本部及び郵政民営化委員会を平成二十九年三月三十一日まで設置すること、

 第三に、平成十九年三月三十一日までの間の日本郵政公社の業務の特例として、国際貨物運送に関する事業を行うことを主たる目的とする会社に出資することができること、

 第四に、日本郵政株式会社に郵便貯金銀行及び郵便保険会社を設立させるとともに、銀行法及び保険業法の特例等としての、みなし免許について定めるほか、預入限度額、保険金額等の限度額など適正な競争関係等を確保するための必要な制限を加えること、

 第五に、公社の業務等の新たな組織への承継に関する基本計画及び実施計画について定めること

としております。

 次に、日本郵政株式会社法案は、日本郵政株式会社を設立しようとするもので、その主な内容は、

 第一に、当該会社は、郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の発行済み株式の総数を保有するとともに、経営管理並びに業務の支援を行うことを目的とすること、

 第二に、政府は、常時、当該会社の発行済み株式の総数の三分の一を超える株式を保有していなければならないこと、

 第三に、当該会社は、郵便事業株式会社及び郵便局株式会社に対し、社会・地域貢献業務の実施に要する費用に充てる資金を交付するため、社会・地域貢献基金を設け、一兆円に達するまで積み立てること

としております。

 次に、郵便事業株式会社法案は、郵便事業株式会社を設立しようとするもので、その主な内容は、

 第一に、当該会社は、郵便の業務及び印紙の売りさばきの業務を営むことを目的とすること、

 第二に、当該会社は、目的の業務を営むほか、お年玉付郵便葉書等及び寄附金付郵便葉書等の発行の業務等を営むことができること、

 第三に、第三種・第四種郵便物に係る社会貢献業務の実施に関し、所要の規定を設けること

としております。

 次に、郵便局株式会社法案は、郵便局株式会社を設立しようとするもので、その主な内容は、

 第一に、当該会社は、郵便窓口業務及び郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とすること、

 第二に、当該会社は、目的の業務を営むほか、印紙の売りさばきの業務等を営むことができること、

 第三に、当該会社は、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならないことを定めること、

 第四に、地域住民の生活の安定の確保のための地域貢献業務の実施に関し、所要の規定を設けること

としております。

 次に、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案は、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構を設立しようとするもので、その主な内容は、

 第一に、当該機構は、公社から承継した郵便貯金及び簡易生命保険を適正かつ確実に管理し、これらに係る債務を確実に履行し、もって郵政民営化に資することを目的とすること、

 第二に、当該機構は、目的の業務を営むほか、その業務の一部を銀行、生命保険会社その他の者に委託すること及び再保険の契約を締結することができること

としております。

 最後に、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、以上の法律が施行されることに伴い、郵便貯金法、簡易生命保険法、日本郵政公社法等十三の関係法律を廃止するほか、郵便法について郵便認証司の制度を設けるなど百五十八の関係法律について規定の整備等を行うとともに、所要の経過措置を定めるものであります。

 以上の六法案は、五月二十六日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、本委員会に付託されました。

 委員会におきましては、同日竹中郵政民営化担当大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。翌二十七日から六法案を一括して質疑に入り、六月三日及び十五日に小泉内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行い、さらに参考人から二回にわたって意見を聴取したほか、二十八日には、北海道、新潟県及び佐賀県において、いわゆる地方公聴会を開催いたしました。

 翌二十九日、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便局株式会社法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対し、自由民主党及び公明党の二会派共同提案により、郵政民営化の進捗状況について、郵政民営化委員会が三年ごとに「総合的な見直し」を行うこと、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の定款には、株式の連続的保有を可能とするような事項を定めなければならないこと、社会・地域貢献基金について、日本郵政株式会社が一兆円を超えて積み立てることを妨げるものではないこと、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務として、銀行業及び生命保険業の代理業務を例示すること、地方公営企業法について所要の規定の整備を行うこと等を内容とする修正案が提出され、翌三十日趣旨の説明を聴取いたしました。

 七月一日及び四日には参考人から意見を聴取し、再度、小泉内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行いました。

 委員会における総審査時間は延べ百九時間を超え、長時間にわたり熱心かつ慎重に審査を重ねてまいりました。

 委員会における主な質疑事項を申し上げますと、まず、政府は、民間にできることは民間にを原則として、郵政民営化を構造改革の本丸、政策上の最重点課題と位置づけているが、郵政民営化の優先順位は非常に低いとして、今なぜ郵政民営化が必要なのか、公社の中期経営計画が終了しない状況下での民営化の緊急性、中央省庁等改革基本法との整合性といったそもそも論に始まり、郵政民営化の目的は何か、四分社化の趣旨、民営化のメリット、デメリット、入り口である郵貯、簡保と出口である政府系金融機関等特殊法人改革、財政構造改革との整合性といった本質論を経て、金融のユニバーサルサービスの担保措置、郵便局の設置基準、骨格経営試算、年間利益試算の性格や定量的コストに基づいた試算の必要及びコスト情報の開示の必要、郵便認証司制度、情報システムの構築、民営化による金融排除問題、社会・地域貢献基金の積立金の積算根拠、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の完全処分の問題、郵政民営化に関する政府広報の契約の経緯等、各般にわたる質疑が行われましたが、その詳細は委員会議録によって御承知願いたいと存じます。

 かくて、昨四日、質疑を終局いたしました。

 次いで、討論に入り、各案及び各修正案に対し、民主党・無所属クラブの松野頼久君から反対、自由民主党の石破茂君から賛成、日本共産党の塩川鉄也君から反対、公明党の石井啓一君から賛成、社会民主党・市民連合の横光克彦君から反対の意見がそれぞれ述べられました。

 次いで、順次、各案について採決いたしました結果、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便局株式会社法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、それぞれ賛成多数をもって修正議決すべきものと決し、郵便事業株式会社法案及び独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案は、それぞれ賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 六案につき討論の通告があります。順次これを許します。伊藤忠治君。

    〔伊藤忠治君登壇〕

伊藤忠治君 私は、郵政民営化関連法案及び与党提案の修正案に対し、断固反対、即刻廃案を求めて討論を行う民主党・無所属クラブの伊藤忠治であります。(拍手)

 討論に先立ち、昨日、郵政民営化に関する特別委員会において、中央公聴会の開催、三十三条問題に関する参考人招致を初め、法案の疑問点、問題点について疑義があり、いまだ審議不十分にもかかわらず、ひたすら小泉総理が今月六日にサミットに向けて出発する外交日程に合わせ、強行採決を行い、本日の本会議に強引に上程したことを、私どもは断じて許すことができません。(拍手)

 ここに、怒りを込めて、断固抗議するものであります。

 さて、本題の郵政民営化法案について、小泉内閣は四つのルール違反を行っております。

 第一は、省庁改革基本法第三十三条第一項六号に規定されている民営化は行わないことに違反していること。

 第二は、公社法第二十四条に定める四年間の中期経営計画が現在進行中であり、これの実績と評価を国会で十分議論することを義務づけているにもかかわらず、これを無視して民営化法案を強行したこと。

 第三は、この国会にかかわらず十分議論をすべきだという国民世論が、六〇%以上存在をします。また、ほぼ一〇〇%に近い地方議会の反対決議が寄せられているにもかかわらず、これを無視したことであります。

 そして第四は、自民党内を二分するような根強い反対派の動きがある中で、小泉総理はこれを一顧だにしないことであります。

 果たしてこれが、民意を吸収した民主政治と言えるのでありましょうか。小泉総理には、その片りんもなく、その手法は強権政治、独裁政治そのものであると言わなければなりません。(拍手)

 小泉総理が得意げに使う官から民へ、中央から地方へというワンフレーズ、私には呪文のように聞こえます。

 総理は郵政公社をなぜ急いで民営化するのか、この質問に対して、先細りするから今のうちに手を打つ必要があると答えています。しかし、抽象論だけで、具体的な数字を挙げた根拠、説明がありません。

 業を煮やした我が党の小沢鋭仁委員が、特別委員会において、政府が提出しました骨格経営試算に基づいて、十年から二十年後の経営はどう変化するのか、試算いたしました。

 その結果、郵便は二百八十九億の赤字、郵貯は一千二百三億の黒字、簡保は二千五百三億の黒字、公社全体では三千四百十七億の黒字という結果が出たのであります。数字は徐々に厳しくなっていますが、三事業一体の運営は可能であることが明らかになりました。

 竹中大臣は、これに対して一言の反論もできませんでした。数字を出して反論すると、みずからの論拠が崩れてしまうことを恐れたのではないでしょうか。

 委員会審議では、当然のことながら、民営化して郵便局のネットワークは維持できるのか、窓口での金融・保険サービスはカットされるのではないかについて、議論が集中しました。

 竹中大臣は、局の設置基準を政省令等で明記するから心配ない、小泉総理は例の調子で、減る場合もあるしふえる場合もある、そこは経営の判断だと繰り返すばかりであります。

 金融・保険サービスのユニバーサル化については、終始否定の立場を変えませんでした。

 五百三十七の町村では、郵便局以外の金融機関がありません。過疎地域の対象局として、二千局が想定されております。社会・地域貢献基金としてたとえ二兆円をつくっても、運用利子は三百六十億円程度にすぎず、基金の配分基準も明らかになっていないのです。このまま民営化されれば、利益の出ない赤字の過疎地域の郵便局を残すことなどできるはずがありません。(拍手)

 政府は、民営化後は経営の自由度が高まり、三十五兆円の貸し付け、株式仲介やコンビニ経営、不動産や住宅リフォーム仲介などの新規業務によって、六千五十億もの収益増が見込まれるという試算を公表しております。民営化すれば即夢のある経営が可能になるのだと言いたげであります。

 しかし、それは全く逆なのであります。そこで、民営化後のビジネスモデルについて追及すると、それは会社の経営者が判断するものであると、一転して逃げを打つのであります。いかにずさんなごまかし法案であるのか、明白であります。(拍手)

 次に、株式の持ち合いに関する自民党の修正案について述べます。

 原案では、二〇〇七年四月民営化開始後十年間の移行期を経て、二〇一七年四月には、貯金会社と保険会社は、郵政持ち株会社から資本関係を離れて完全民営会社になるとされております。この規定が自民党内では問題になり、持ち株会社が貯金・保険会社との間に継続的な支配関係を持続するために、議決権行使と株式の持ち合いの両面から工夫を凝らした修正案が特別委員会に提出されました。

 総括質疑の中で、我が党の原口一博委員が小泉総理に対し、改めて修正案に対する総理の見解をただしたところ、総理は、こう答えたのであります。原案の考え方は変わらない、これが政府の方針であり、法的効果は不変であると繰り返し明言されました。この総理答弁は、明らかに修正案を否定するものであります。

 私は、本院に二十年間在籍しておりますが、このような総理の理不尽きわまりない、しかも、与党内におけるルール違反を平然とやってのける答弁をかつて耳にしたことがありません。まさに傲慢無礼もここにきわまれりであります。(拍手)

 次に、郵貯資金の問題があります。

 三百四十兆円に上る郵貯・簡保資金を官から民へと流れを変える、そのために民営化は不可欠である、日本経済の活性化のために何としても必要なんだというのがその理由であります。しかし、こんなまやかしの議論はありません。

 周知のとおり、郵貯資金は八七年に、預託金利と国債市場の金利が連動いたしました。九三年には、郵貯金利も市場金利に連動しました。財投資金の使い道の判断は、当時は大蔵資金運用部の専権事項であり、最終的には、運用を認めた国会の責任であります。郵政の問題でもないし、ましてや郵便貯金を預けた利用者の責任では全くない。(拍手)

 二〇〇一年以降は全額自主運用となり、財投債による市場化が行われました。その結果、郵貯、財投、特殊法人の赤字という図式は成立しなくなっております。

 財務省からの財投債引き受けの要請、すなわち官の支配がなくなれば、郵政公社は、一企業として市場から調達することになります。むしろ現実には、郵政が財投への配慮、すなわち国家財政への寄与を必要と考えているからであります。国民の個人資金もこれに役立つことを国を思う立場から願っているのではないでしょうか。むしろ問題なのは、民間の資金、すなわち銀行預金がサラ金資金に活用されることは、庶民にとって心が痛む思いであります。(拍手)

 郵貯会社が民営化後、利益優先で運用を始めたら、国債市場は暴落のリスクを抱えることになるのではないでしょうか。民営化後も国債の売り買いは制限すべきだとの議論が既にあります。変則的な民営化なら、公的規制、つまりコントロールがきく現行の公社制度の方がベターなのではないでしょうか。

 また、参考人質疑の中で、地銀協の代表者は、貯金会社が民間銀行とイコールフッティングで競争できるように、移行期間中に十分な規制措置を行ってほしい旨の発言を繰り返されました。これは、裏を返せば、二百兆円になんなんとする超巨大銀行の出現には反対であるとの心情を吐露したことに等しいと思っております。

 民営化という名の民業圧迫がここにも出現しようとしている現実を、小泉総理はしっかりと直視すべきであります。(拍手)

 以上、審議の中で出されました無数の問題点や疑問点の中から、主要な問題点に絞り、私どもの反論や意見を重点的に述べました。

 小泉総理、国民は民営化によって、よりよいサービスを受けられるのでしょうか。答えはノーであります。

 ATM手数料、振り込み手数料、口座管理料などは、大手銀行並みに値上げされるでありましょう。窓口会社との間で契約される委託手数料にも七百三十五億円の消費税がかかり、結局、利用者が負担することになります。郵便サービスが継続できなくなったり、金融サービス不能の窓口ができたりしたら、住民生活に与える影響ははかり知れません。

 逆に、民営化による政府の受益は膨大なものになります。法人税等で五千五百億、消費税で七百三十五億、巨額の株式売却、配当益が財政経済資金として国庫へ流れ込むわけであります。また、財務省や金融庁の天下り先がふえるのであります。

 逆に、民営化後の職員は、大変な苦労を味わうことになるでありましょう。急激かつ大規模な職転、配転、リストラ、アウトソーシングによる賃金水準の切り下げ、雇用不安など、JR、JTの例が如実にそのことを物語っております。

 郵政民営化の悲劇は、明治以来百三十年の歴史を刻んだ郵便、貯金、簡保サービスの三事業の一体的運営を崩壊させてしまうことであります。地域住民の安全、安心を守る拠点としてかけがえのない役割を果たしてきた国民共有の財産である二万四千七百の郵便局ネットワークが破壊されるとしたら、これこそ国家の重大な損失であり、取り返しのつかないことになります。(拍手)

 今日、小泉総理の歴史問題を軽視した戦略なきひとりよがりな外交政策によって、韓国、中国などアジア近隣諸国から信頼をなくし、国益を損ないつつあります。極めて不幸な事態であります。

 我が国は、人口がどんどん減り、高齢化が進み、国力が次第に縮小していく中で、市場原理万能主義のもとに、社会の二極構造が進行しつつあります。公共サービス、セーフティーネットが否定されるとするなら、安全、安心なコミュニティーは決して構築することができません。

議長(河野洋平君) 伊藤君、申し合わせの時間が過ぎましたから、結論を急いでください。

伊藤忠治君(続) すなわち、日本の成熟社会は存在できないと思うわけであります。

 政治とは、歴史や物事の成り立ちというたて糸と国際情勢というよこ糸を巧みに織り上げた布のようなものだ、深い洞察と歴史観、哲学が必要な理性的な仕事であろう、ただ勘に頼ってのみ行う民営化は、日本社会の現状を無視した、拙速、無思慮な悪政であると元郵政大臣自見庄三郎議員が述べられました。(拍手、発言する者あり)よく聞きなさい。ただ勘に頼ってのみ行う民営化は、日本社会の現状を無視した、拙速、無思慮な悪政であります。(拍手)

 全く、この考え方には私も同感であります。

 最後に改めて、最後に改めて申し上げます。

 理念なき、理念なき郵政民営化に反対し、即刻廃案にすることを要求いたします。さらに、弱者いじめの郵政民営化に反対し、即刻小泉内閣の退陣を要求することを表明し、私の反対討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(河野洋平君) 山崎拓君。

    〔山崎拓君登壇〕

山崎拓君 私は、自由民主党を代表して、議題となっております内閣提出の郵政民営化関連六法案及び自由民主党、公明党修正案について、賛成の立場から討論を行うものであります。(拍手)

 なお、初めに、ただいま民主党の伊藤忠治議員は、特別委員会において強行採決が行われたと言われましたが、実に百十時間になんなんとする慎重審議の上、円満裏に採決が行われたものであります。(拍手)このようなうそ偽りの発言と、ただいまのようなルール破りの長広舌を強行されたことを遺憾千万に存じます。(拍手)

 さて、私は、簡素で効率的な小さな政府の実現は、時代の要請にこたえるものであると考えております。民間にできることは民間に、地方にできることは地方にという方針は、まさに小さな政府の実現を目指すものであります。また、民間にできることは民間にということは、経済の活性化を図る上で極めて重要な方針であります。

 郵政事業については、その取り巻く環境が、通信・輸送手段の発達や金融の技術革新などにより劇的に変化してきております。今や、郵便、郵貯、簡保いずれの分野も、民間企業が自由な経営のもとで同様のサービスを提供しており、公務員でなければできない事業ではなくなっており、民間による運営が十分可能になったと考えております。

 今般提出された郵政民営化関連法案は、小さな政府の実現という時代の要請にこたえるものであり、また、郵政事業を取り巻く環境変化にも適切に対応するものである一方、明治以来百三十年の歴史を誇る郵政事業が果たしてきた役割、その公共性についても十分配慮されたものであると考えるものでありまして、以下申し上げる理由により、賛成いたすものであります。

 まず、今般の民営化、分社化は、郵政事業の四つの機能、すなわち、窓口ネットワーク、郵便、貯金、保険の機能を市場原理のもとで、それぞれ新たな四つの会社として自立した存在とすることとしているものであり、これにより、四つの会社がそれぞれの業務に特化し、専門性を高めるとともに、国の関与をできるだけ控え、民間企業と同一の条件で自由な経営を可能とすることにより、質の高い多様なサービスが提供されるようになるのであります。

 郵便局を通じて国民から集めた約三百四十兆円もの膨大な資金を官から民に流す道を開く。約三十八万人の郵政公社の職員が民間人になるとともに、従来免除されていた税金が支払われること等により財政再建にも貢献するといったメリットを引き出し、国民に大きな利益をもたらすものであります。

 また、四つに分社化することにより、一つの事業の損益状況が他の事業に影響を及ぼすことを防ぐことができるようになります。特に金融システムの安定性の観点から、金融と商業を分離することが銀行法等金融法令上の一般的なルールであり、民営化に当たっては、このルールに服する必要があります。

 また、郵政事業の現状を見ると、郵便事業については、Eメールを初めとする他の通信手段の発達により、郵便物数が毎年二から二・五%減少し、今後さらにその減少が加速する懸念もあるところであり、また、郵貯事業、簡保事業についても、残高等の減少傾向が顕著となっているところであります。

 郵政公社の経営については、中期経営計画を見ても、今後の経営見通しは楽観が許されないところであり、こうした環境変化に適切に対応して将来にわたって健全な事業経営を維持していくためにも、市場経済の中で民間活力による自由な経営を実現することが非常に重要であります。そのためには、公共の目的を担保するという性格から業務範囲等に制約がある現在の公社制度では柔軟かつ機動的な事業運営は困難であり、速やかに郵政事業を民営化することが必要であります。

 また一方で、新会社と他の民間企業との間のイコールフッティングを確保することも重要であります。現在の公社制度では、公社に対して、法人税、預金保険料等の負担がないこと、郵貯、簡保については民間金融機関の預金、保険と異なり政府保証が付されていること等の優遇措置が講じられており、民間企業と同一の競争条件となっておらず、公社と民間企業との間に公正な競争は行われておりません。郵政民営化関連法案においては、イコールフッティングを確保するため、有識者から成る郵政民営化委員会を設置するなどの措置が講じられているところであります。

 自由主義経済においては、同一の競争条件のもとにおける自由で公正な競争を通じた、市場における自由な経営と創意工夫、革新に向けたたゆまざる努力によって経済社会は進歩するものであります。民間にできることは民間にという方針のもと、郵政民営化を実現することにより、民営化した新会社が、市場原理に基づき、民間企業と同一の競争条件のもとに自由な経営を行うようにすることが望ましいと考えております。

 他方で、郵政事業は、従来から、過疎地を含め全国の郵便局において郵便、貯金、保険のサービスを提供するとともに、第三種・第四種郵便物、特別送達等の公共的サービスを提供するなど、公共的な役割を果たしてきました。このような郵政事業あるいは全国の郵便局が果たしている公共的な役割については、私としてもその重みを十分に認識しているところであり、民営化後においても、このような公共的な役割が引き続き果たされることが極めて重要であります。

 今般の郵政民営化関連法案には、このような公共性への配慮も盛り込まれており、例えば、郵便局の設置について、あまねく全国において利用されることを旨として設置することを法律上義務づける、郵便サービスについては、引き続きユニバーサルサービスとして提供する、特別送達及び内容証明については、従来と同様の信用力を維持し、その適切かつ確実な提供を確保するため、郵便認証司の制度を設ける、第三種・第四種郵便、過疎地における金融サービスなど社会、地域にとって真に必要なサービスについては、その実施を確実かつ安定的に提供することが可能となるよう社会・地域貢献基金を設置する等の措置が講じられており、利便性が低下しないよう十分配慮しているところであります。

 このように、当委員会において審議いたしました郵政民営化関連法案においては、一方で郵政事業の果たしてきた公共的な役割については制度的に担保しつつ、他方で市場における自由で公正な競争により我が国の活力を最大限に引き出すことを可能とするよう、制度設計に十分な工夫が凝らされており、両者の調和が図られた良案であると考えております。

 最後に、修正案について申し上げますと、このような郵政民営化の目的、制度設計には大いに賛同できるものの、その趣旨を法案において明確にすべきであると考えられる部分もあり、先日、これまでの審議を踏まえて、自由民主党及び公明党から修正案が提出されました。

 この修正案においては、郵便局が行う業務について、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務として、銀行業、生命保険業の代理業務を例示すること、社会・地域貢献基金について、一兆円を超えて積み立てることができることを明確にするとともに、二兆円まで積み立てる場合には一兆円まで同じルールで積み立てること、株式の持ち合いについて、議決権の面で連続的保有を可能とするよう、議決権の行使に関する事項、基準日を郵便貯金銀行、郵便保険会社の定款に必ず定めなければならないこと……(発言する者あり)

議長(河野洋平君) 山崎君、申し合わせの時間が過ぎましたから、結論を急いでください。

山崎拓君(続) 郵政民営化委員会における「検証」を「見直し」とすることとされており、政府案の制度趣旨を明確にするものであります。

 国民生活に深くかかわっている郵政事業の民営化に当たっては、過疎地の郵便局は維持されるのか、金融サービスはどうなるのかなど、国民の種々の不安を払拭する必要があり、この修正案は、政府案の基本的な枠組みを維持しつつ、国民の一層の理解と支持を得ていく観点から必要であるものと考えております。引き続き、国民に対し、さまざまな場において郵政民営化の必要性、重要性を説明していく必要があることは申し上げるまでもありません。

 以上、賛成理由を申し上げましたが、何と申しましても、郵政民営化は明治以来の大改革であり、百三十年の歴史を誇る郵政事業を分割し、民営化するものであります。本法案の成立後、政府、郵政公社は、不退転の決意をもって事に当たり、今回の大改革を立派に成就されんことを心より希望いたしまして、内閣提出の郵政民営化関連六法案並びに自由民主党及び公明党提出の修正案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、郵政民営化関連六法案に反対の討論を行います。(拍手)

 反対する第一の理由は、もうけ第一の民間ではできない、国民生活に不可欠な金融のユニバーサルサービスを保障してきた郵便貯金法、簡易保険法、日本郵政公社法等、郵政関連法を廃止することであります。

 小泉首相は、民間にできることは民間にと言いますが、民間にできないことをやっているのが郵便局であります。すなわち、郵便局は、あまねく公平に、国民生活に不可欠な基礎的通信・金融サービスを提供する役割を果たしているのであります。

 具体的には三つあります。

 一つは、少額の貯金や日常の金銭の出し入れの妨げとなる口座維持手数料や平日時間外、休日のATM引き出し手数料を取らないことなど、庶民の金融サービスを保障していることであります。

 二つは、すべてのATMを障害者に使いやすい仕様にし、郵便局に点字ブロックの設置など、お年寄りや障害者にも、いわばだれにでも公平に利用できる金融サービスを保障していることであります。

 三つは、過疎地を含め全国あまねく、どこに住んでいても郵便、貯金、保険の基礎的通信・金融サービスが受けられるように郵便局を設置していることであります。

 これが、郵便局が果たしているユニバーサルサービスの中身であります。

 これに対して、もうけ第一の民間銀行は、次々と店舗を統廃合し、取れるところから手数料をどんどん引き上げています。また、お年寄りや障害者へのバリアフリー対応は遅々として進んでおりません。郵便局を民間にすれば、これらの公共的サービスができなくなる、公でなければできないことがある、このことが審議を通じてだれの目にも明らかになったのであります。

 世界を見ても、民間任せにしている国はどうなっているか。アメリカでは低所得層の三八%、イギリスでは五世帯に一世帯が銀行口座を持てずに、大きな社会問題となっています。このもとで、各国で、庶民の口座を公的に保障する取り組みが始まっているのであります。

 急速に高齢化社会に向かう日本で、現に機能している郵便局のユニバーサルサービスを解体する郵政民営化が、世界の流れにも時代の流れにも逆行する愚行であるということは明白であります。(拍手)

 反対する第二の理由は、分割・民営化によって、郵便貯金銀行や郵便保険会社に、預金保険料や消費税など数千億円に上る巨額の、そして理不尽なコストを課すことであります。

 政府の試算でも、公社のままなら、十七年後の二〇二二年度でも黒字が続くのに対して、民営化をした郵便貯金銀行は、預金保険料や手数料への消費税課税など不合理で巨額のコストを新たに課され、移行期間中にも六百億円の赤字になることが明らかとなりました。基金を二兆円積んだとしても、その運用益は三百六十億円にすぎません。破綻は明白であります。

 反対する理由の第三は、銀行代理店問題や株式の持ち合い問題など、法案の中心点で竹中大臣が答弁不能になるなど、法案は矛盾だらけで、法案の体をなさない、まさに欠陥法案だということであります。

 なお、修正案は、原案を何ら変えるものではなく、全く問題にもなりません。

 最後に、そもそも、今回の郵政民営化が国民のためのものではなく、最初から、国民の郵貯・簡保資産三百四十兆円の開放をみずからのビジネスチャンスの拡大として要求してきた日米金融資本の要求にこたえたものだということであります。

 日米金融資本のために、国民生活の隅々に浸透し、土台から支えてきた郵政事業を根本から破壊する今回の郵政民営化法案は、断じて認められません。

 以上、郵政民営化法案は廃案にすべきことを強調して、反対討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 谷口隆義君。

    〔谷口隆義君登壇〕

谷口隆義君 公明党の谷口隆義でございます。

 私は、公明党を代表いたしまして、内閣提出の郵政民営化関連六法案及び自由民主党、公明党提出の修正案につきまして、賛成の立場から討論を行うものであります。(拍手)

 郵政民営化は、国の関与をできるだけ控え、民間企業と同一の条件で自由な経営を可能とすることにより、質の高い多様なサービスが提供されるようになる。また、郵便局を通じて国民から集めた約三百四十兆円もの膨大な資金を一層の市場原理の流れに乗せることにより、経済活性化に資することになる。また、従来、郵政公社に負担をされなかった法人税等の租税を負担することにより財政再建にも貢献する。このようなメリットを引き出し、国民に大きな利益をもたらすものであります。

 今般提出をされました郵政民営化関連法案につきましては、既に申し上げましたように国民の利益をもたらすものでありますが、一方でこの法案に多くの利害にかかわる方々がおられるということを考えなければなりません。そこで、私どもは、経済活性化に資するのか、国民の利便性を重く考えたものなのか、郵政公社職員の皆さんの雇用に対して最大配慮されたものなのかなどの五原則を念頭に策定された法案であるかが、大きな判断基準として考えてまいったわけであります。

 そのような結果、五原則にも配慮され、郵政事業が果たしてきた公的な役割や国債市場への影響についても十分配慮されたものと考え、以下の理由から賛成をいたすものであります。

 まず、郵政事業は、従来から、過疎地を含め全国の郵便局において郵便、貯金、保険のサービスを提供するとともに、第三種・第四種郵便物等のサービスを提供するなど、公共的、福祉的な役割を果たしてまいったわけであります。このような郵政事業あるいは全国の郵便局が果たしてまいった役割につきましては、公明党としてもその重みを十分認識しておるところであり、民営化後においてもこのような公共的、福祉的な役割が引き続き果たされ、国民の利便性が低下しないようにすることが極めて重要であります。

 今般の郵政民営化関連法案は、現在の郵便局の利便性が低下しないよう十分配慮されたものとなっており、例えば、過疎地を初め公明党が特に配慮すべきことを主張してまいりました都市部においても必要な郵便局ネットワークを維持し、また、移行期間中における代理店契約の義務づけや社会・地域貢献基金の設置など、貯金、保険の金融サービスが低下しないよう制度設計には工夫が凝らされておるわけであります。

 このように、郵政民営化関連法案におきましては、市場における自由で公正な競争を通じて、民営化のメリットを最大限引き出すような制度設計がなされている一方、郵政事業の果たしてきた公共的な役割、利便性の確保については担保される工夫がなされておるわけであります。

 また、約三百四十兆円もの資金を政府部門から民間部門に流すというような今般の政府案につきましては、郵政公社が大量の国債を保有していることを踏まえ、新旧勘定を分離し、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構に引き継がれる旧勘定につきましては、国債を中心とした安全資産で運用することを義務づけるなど、国債市場に及ぼす影響や郵便貯金、簡易生命保険の既存の利用者に対する配慮も丁寧に盛り込まれたものだと考えております。

 このように、郵政民営化関連法案は、民間の知恵や力を生かすことにより我が国の力を最大限伸ばすものである一方、郵政事業の果たしてきた役割、利便性の維持、国債市場への影響、雇用の維持等、配慮すべき事項について丁寧に配慮したものとなっており、まさに郵政事業を改革するにふさわしい案であると考えております。

 次に、先日提出をされました自由民主党及び公明党の修正案について申し上げますと、この修正案においては、郵便局が行う業務について、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務として、銀行業、生命保険業の代理業務を例示すること、株式の持ち合いについて、議決権の面で連続的保有を可能にするよう、議決権の行使に関する事項、基準日でございますが、これを郵便貯金銀行、郵便保険会社の定款に必ず定めなければならないこと等が盛り込まれており、政府・与党間において合意された事項を明確にするものであります。

 国民生活に深くかかわっている郵政事業の民営化に当たっては、過疎地だけでなく都市部の郵便局は維持されるのか、貯金、保険はどのようになるのかなど、国民の種々の不安を払拭する必要があります。この修正案は、政府・与党間で合意をされた事項を維持しつつ、国民の一層の理解と支持を得ていく観点から必要なものであると考えております。

 最後に、政府に対しまして、私が出席をいたしました佐賀県唐津市におけます地方公聴会の折に、玄界島において地震で被災をされました方が避難をした体育館で一人一人の顔を見て配達をしてもらった、このようにおっしゃっておられたわけでありますが、このように全国津々浦々で頑張っておられる職員の皆さんに不要な心配を与えることのないよう十分な配慮をしていただき、引き続き、国民に対し、さまざまな場において郵政民営化の必要性、重要性を丁寧に説明していくことをお願い申し上げまして、内閣提出の郵政民営化関連六法案並びに自由民主党及び公明党提出の修正案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 東門美津子君。

    〔東門美津子君登壇〕

東門美津子君 社会民主党の東門美津子です。

 私は、社会民主党・市民連合を代表して、郵政民営化法案及び関連五法案に対する反対の立場から討論を行います。(拍手)

 特別委員会では、実に百九時間にわたる審議が行われました。しかし、時間はかけても質問に対する政府答弁はお粗末そのもので、多くの疑問に答えられない総理初め担当大臣の姿がはっきり見えた審議でした。

 多くの議員が指摘したとおり、民営化後の具体像については、政省令や経営判断にゆだねられる部分ばかりで、全く不透明なままです。審議すればするほど、なぜ民営化が必要かの説明が矛盾に満ちたものであることが明確になり、公共性や利便性よりも採算性や経営判断が優先され、郵便局のネットワークとユニバーサルサービスががたがたになりかねないことが浮き彫りになってきたことに驚くばかりです。

 さきの大戦で焦土と化した沖縄、多くの離島を抱える沖縄では、小さな村落の郵便局が村人たちの生活の大きな励ましと支えになり、大きな力となってきました。今、地方は、農協や営林署が統廃合になり、市町村役場も大合併が進み、地域社会の最後の公共サービスのとりでというべき郵便局の存続が、郵政民営化によって危機に陥っています。

 沖縄県内では、沖縄本島、久米島、石垣島、宮古島以外に銀行はありません。離島では、郵便局が金融サービスを提供するセーフティーネットなのです。沖縄の産業振興を支えてきた沖縄発のゆうパックの政策割引も、効率化・採算重視、民間との競争のかけ声のもとで風前のともしびです。

 問題点の多い法案をなぜそんなに急いで通さなければならないのでしょうか。しかも、政府の答弁は誠意のかけらもなく、二転三転することも相次ぎ、国民の不安の解消とはほど遠いのが実態です。

 郵政民営化の模範と言われているニュージーランドの教訓について、オークランド大学のジェーン・ケルシー教授は次のように述べています。

 とにかく、この道を採択するほかに道はない。国民に対して言われたのは、長期的によいことをもたらすためには今の痛みは我慢しろということだった。しかし、そのときに痛みをこうむった人たちには、長い時間がたっても、約束されたよいことというのは訪れなかった。郵政事業も非常にアグレッシブな、積極的な形での商業志向の姿勢をとって活動を行い、かなりの数の郵便局が閉鎖され、また、職員も相当な数が削減されたと。

 小泉政権の進めようとしている郵政民営化は、国際的に見ても時代おくれです。無謀な民営化で日本をニュージーランドの二の舞にしてはいけません。公社の経営形態のまま必要な改善、改革をやることは十分可能です。

 総理は、昨年八月、メールマガジンで「国鉄が民営化されて鉄道事業がなくなったでしょうか。むしろサービスはよくなったと思います。」と指摘されています。しかし、JR西日本の列車事故では、民営化が安全の公共サービスを壊したことが明らかになりました。郵政の民営化で安心の公共サービスが損なわれることはないのでしょうか。国民の共有財産としての郵政事業の将来を決定する重大問題について、すべての皆さんが良心と信念に従った、後世に悔いのない対応をとられるよう切に願うものです。

 郵政民営化関連法案の廃案を強く求め、反対討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 六案を一括して採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 日程第一、第二、第四及び第六の四案の委員長の報告はいずれも修正、日程第三及び第五の両案の委員長の報告はいずれも可決であります。六案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(河野洋平君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(河野洋平君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百六十一

  可とする者(白票)      二百三十三

  否とする者(青票)      二百二十八

    〔拍手〕

議長(河野洋平君) 右の結果、郵政民営化法案外五案は、いずれも委員長報告のとおり議決いたしました。(拍手)

    ―――――――――――――

郵政民営化法案外五案を委員長報告のとおり決するを可とする議員の氏名

安倍  晋三君   逢沢  一郎君   赤城  徳彦君   秋葉  賢也君

麻生  太郎君   甘利   明君   井上  喜一君   井上  信治君

伊藤  公介君   伊藤 信太郎君   伊藤  達也君   伊吹  文明君

石崎   岳君   石田  真敏君   石破   茂君   石原  伸晃君

稲葉  大和君   今井   宏君   今津   寛君   岩崎  忠夫君

岩永  峯一君   岩屋   毅君   宇野   治君   植竹  繁雄君

江崎  鐵磨君   江崎 洋一郎君   江渡  聡徳君   衛藤 征士郎君

遠藤  武彦君   遠藤  利明君   小此木 八郎君   小里  貞利君

小野  晋也君   小野寺 五典君   尾身  幸次君   大島  理森君

大野  松茂君   大野  功統君   大前  繁雄君   大村  秀章君

岡本  芳郎君   奥野  信亮君   加藤  勝信君   加藤  紘一君

嘉数  知賢君   海部  俊樹君   金子  一義君   金子  恭之君

金田  英行君   上川  陽子君   亀井  善之君   鴨下  一郎君

川崎  二郎君   河井  克行君   河村  建夫君   瓦    力君

木村  太郎君   木村  隆秀君   木村   勉君   木村  義雄君

岸田  文雄君   北川  知克君   北村  誠吾君   久間  章生君

倉田  雅年君   小池 百合子君   小泉 純一郎君   小坂  憲次君

小島  敏男君   小杉   隆君   後藤  茂之君   後藤田 正純君

河野  太郎君   河本  三郎君   佐田 玄一郎君   佐藤  剛男君

佐藤   勉君   佐藤   錬君   坂本  剛二君   坂本  哲志君

桜井  郁三君   櫻田  義孝君   笹川   堯君   塩崎  恭久君

塩谷   立君   七条   明君   実川  幸夫君   柴山  昌彦君

島村  宜伸君   下村  博文君   菅   義偉君   菅原  一秀君

杉浦  正健君   鈴木  俊一君   鈴木  淳司君   鈴木  恒夫君

砂田  圭佑君   園田  博之君   田中  和徳君   田野瀬良太郎君

田村  憲久君   高木   毅君   竹下   亘君   竹本  直一君

武部   勤君   橘  康太郎君   棚橋  泰文君   谷   公一君

谷垣  禎一君   谷川  弥一君   谷畑   孝君   谷本  龍哉君

玉沢 徳一郎君   中馬  弘毅君   津島  雄二君   土屋  品子君

寺田   稔君   渡海 紀三朗君   中川  昭一君   中川  秀直君

中谷   元君   中野   清君   中野  正志君   中山  太郎君

中山  成彬君   中山  泰秀君   仲村  正治君   永岡  洋治君

長勢  甚遠君   二階  俊博君   丹羽  雄哉君   西川  京子君

西川  公也君   西田   猛君   西野 あきら君   西村  明宏君

西村  康稔君   西銘 恒三郎君   額賀 福志郎君   根本   匠君

葉梨  康弘君   萩生田 光一君   萩野  浩基君   萩山  教嚴君

橋本 龍太郎君   蓮実   進君   馳    浩君   鳩山  邦夫君

浜田  靖一君   早川  忠孝君   林   幹雄君   林田   彪君

原田  令嗣君   原田  義昭君   平井  卓也君   平沢  勝栄君

平田  耕一君   福田  康夫君   二田  孝治君   船田   元君

細田  博之君   増田  敏男君   増原  義剛君   町村  信孝君

松岡  利勝君   松島 みどり君   松野  博一君   松本   純君

三ッ林 隆志君   三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君   御法川 信英君

水野  賢一君   宮腰  光寛君   宮澤  洋一君   宮路  和明君

宮下  一郎君   武藤  嘉文君   村上 誠一郎君   村田  吉隆君

茂木  敏充君   森   英介君   森   喜朗君   森田   一君

森山  眞弓君   谷津  義男君   保岡  興治君   柳澤  伯夫君

山際 大志郎君   山口  泰明君   山崎   拓君   山本  明彦君

山本  公一君   山本   拓君   山本  有二君   与謝野  馨君

吉野  正芳君   渡辺  博道君   渡辺  喜美君   赤羽  一嘉君

赤松  正雄君   井上  義久君   池坊  保子君   石井  啓一君

石田  祝稔君   上田   勇君   漆原  良夫君   江田  康幸君

遠藤  乙彦君   大口  善徳君   太田  昭宏君   河合  正智君

河上  覃雄君   神崎  武法君   北側  一雄君   佐藤  茂樹君

斉藤  鉄夫君   坂口   力君   白保  台一君   田端  正広君

高木 美智代君   高木  陽介君   谷口  隆義君   富田  茂之君

長沢  広明君   西   博義君   東   順治君   福島   豊君

冬柴  鐵三君   古屋  範子君   桝屋  敬悟君   丸谷  佳織君

山名  靖英君

否とする議員の氏名

青山   丘君   今村  雅弘君   江藤   拓君   衛藤  晟一君

亀井  静香君   亀井  久興君   川上  義博君   城内   実君

熊代  昭彦君   小泉  龍司君   小西   理君   小林  興起君

左藤   章君   自見 庄三郎君   田中  英夫君   滝    実君

武田  良太君   津島  恭一君   能勢  和子君   野田  聖子君

野呂田 芳成君   平沼  赳夫君   藤井  孝男君   古川  禎久君

古屋  圭司君   保坂   武君   保利  耕輔君   堀内  光雄君

松下  忠洋君   松宮   勲君   村井   仁君   森岡  正宏君

森山   裕君   八代  英太君   山口  俊一君   山下  貴史君

綿貫  民輔君   安住   淳君   阿久津 幸彦君   青木   愛君

赤松  広隆君   荒井   聰君   五十嵐 文彦君   井上  和雄君

伊藤  忠治君   池田  元久君   石井   一君   石毛 えい子君

石田  勝之君   泉   健太君   泉   房穂君   一川  保夫君

市村 浩一郎君   稲見  哲男君   岩國  哲人君   宇佐美  登君

内山   晃君   生方  幸夫君   枝野  幸男君   小沢  一郎君

小沢  鋭仁君   大石  尚子君   大出   彰君   大島   敦君

大谷  信盛君   大畠  章宏君   岡島  一正君   岡田  克也君

岡本  充功君   奥田   建君   奥村  展三君   加藤  公一君

加藤  尚彦君   鹿野  道彦君   海江田 万里君   梶原  康弘君

金田  誠一君   川内  博史君   川端  達夫君   河村 たかし君

菅   直人君   吉良  州司君   城井   崇君   黄川田  徹君

菊田 まきこ君   岸本   健君   北橋  健治君   楠田  大蔵君

玄葉 光一郎君   小泉  俊明君   小平  忠正君   小林  憲司君

小林 千代美君   小宮山 泰子君   小宮山 洋子君   古賀  一成君

五島  正規君   近藤  昭一君   近藤  洋介君   佐々木 秀典君

佐藤 謙一郎君   佐藤  公治君   鮫島  宗明君   篠原   孝君

島    聡君   島田   久君   下条  みつ君   城島  正光君

神風  英男君   首藤  信彦君   須藤   浩君   末松  義規君

鈴木  克昌君   鈴木  康友君   仙谷  由人君   園田  康博君

田島  一成君   田嶋   要君   田中  慶秋君   田中 眞紀子君

田村  謙治君   高木  義明君   高山  智司君   武正  公一君

武山 百合子君   達増  拓也君   玉置  一弥君   樽井  良和君

樽床  伸二君   津川  祥吾君   津村  啓介君   辻    惠君

筒井  信隆君   手塚  仁雄君   寺田   学君   土肥  隆一君

中井   洽君   中川   治君   中川  正春君   中津川 博郷君

中塚  一宏君   中根  康浩君   中野   譲君   中村  哲治君

中山  義活君   仲野  博子君   永田  寿康君   長島  昭久君

長妻   昭君   長浜  博行君   長安   豊君   楢崎  欣弥君

西村  真悟君   西村 智奈美君   野田  佳彦君   羽田   孜君

計屋  圭宏君   橋本  清仁君   鉢呂  吉雄君   鳩山 由紀夫君

原口  一博君   伴野   豊君   肥田 美代子君   樋高   剛君

平岡  秀夫君   平野  博文君   藤井  裕久君   藤田  一枝君

藤田  幸久君   藤村   修君   古川  元久君   古本 伸一郎君

細川  律夫君   細野  豪志君   堀込  征雄君   本多  平直君

馬淵  澄夫君   前田  雄吉君   前原  誠司君   牧   義夫君

牧野  聖修君   増子  輝彦君   松木  謙公君   松崎  公昭君

松崎  哲久君   松野  信夫君   松野  頼久君   松原   仁君

松本  大輔君   松本  剛明君   松本   龍君   三日月 大造君

三井  辨雄君   水島  広子君   村井  宗明君   村越  祐民君

室井  邦彦君   山内 おさむ君   山岡  賢次君   山田  正彦君

山井  和則君   山花  郁夫君   横路  孝弘君   吉田   泉君

吉田   治君   米澤   隆君   笠   浩史君   和田  隆志君

若井  康彦君   若泉  征三君   渡部  恒三君   渡辺   周君

赤嶺  政賢君   石井  郁子君   穀田  恵二君   佐々木 憲昭君

志位  和夫君   塩川  鉄也君   高橋 千鶴子君   山口  富男君

吉井  英勝君   阿部  知子君   照屋  寛徳君   土井 たか子君

東門 美津子君   山本 喜代宏君   横光  克彦君   中野  寛成君

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       国務大臣  竹中 平蔵君


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