衆議院

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第36号 平成17年7月26日(火曜日)

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平成十七年七月二十六日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第三十二号

  平成十七年七月二十六日

    午後一時開議

 第一 酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法の一部を改正する法律案(財務金融委員長提出)

 第二 無権限預貯金等取引からの預金者等の保護等に関する法律案(中塚一宏君外四名提出)

 第三 偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案(江崎洋一郎君外五名提出)

 第四 母体保護法の一部を改正する法律案(参議院提出)

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本日の会議に付した案件

 日程第一 酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法の一部を改正する法律案(財務金融委員長提出)

 日程第二 無権限預貯金等取引からの預金者等の保護等に関する法律案(中塚一宏君外四名提出)

 日程第三 偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案(江崎洋一郎君外五名提出)

 日程第四 母体保護法の一部を改正する法律案(参議院提出)

 小泉内閣総理大臣の第三十一回主要国首脳会議出席に関する報告及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 御報告することがあります。

 永年在職議員として表彰された元議員芳賀貢君は、去る六月十四日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。

 芳賀貢君に対する弔詞は、議長において去る二十日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。

    〔総員起立〕

 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに決算委員長 災害対策特別委員長の要職にあたられた正四位勲一等芳賀貢君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第一 酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法の一部を改正する法律案(財務金融委員長提出)

 日程第二 無権限預貯金等取引からの預金者等の保護等に関する法律案(中塚一宏君外四名提出)

 日程第三 偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案(江崎洋一郎君外五名提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法の一部を改正する法律案、日程第二、中塚一宏君外四名提出、無権限預貯金等取引からの預金者等の保護等に関する法律案、日程第三、江崎洋一郎君外五名提出、偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の趣旨弁明及び報告を求めます。財務金融委員長金田英行君。

    ―――――――――――――

 酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法の一部を改正する法律案

 無権限預貯金等取引からの預金者等の保護等に関する法律案及び同報告書

 偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔金田英行君登壇〕

金田英行君 ただいま議題となりました各法律案のうち、まず、酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及びその概要を御説明申し上げます。

 本案は、去る十九日財務金融委員会において全会一致をもって起草、提出したものであり、酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法に基づく緊急調整地域の指定等に関して、経過措置等を講ずるものであります。

 具体的には、酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法の失効の際に効力を有している緊急調整地域の指定及び当該地域についての酒類小売業免許の付与の制限等に係る規定について、平成十八年八月三十一日までの間、なおその効力を有することとするとともに、公正取引委員会への措置請求等に係る規定についても、同日までの間、なおその効力を有することとしております。

 また、政府は、おおむね一年を目途に、青少年の健全な育成の重要性及び酒類に係る公正取引の確保等の観点から、酒類の販売業免許の制度及びこれに関連する制度のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしております。

 以上が、本案の提案の趣旨とその概要であります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

 次に、中塚一宏君外四名提出の無権限預貯金等取引からの預金者等の保護等に関する法律案及び江崎洋一郎君外五名提出の偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、無権限預貯金等取引からの預金者等の保護等に関する法律案は、カード、通帳等による払い戻し等に関する民法の特例等について定めることにより、偽造・盗難カードや盗難通帳を悪用した、正当な権限を有しない者に対し行われる無権限預貯金等取引からの預金者等の保護及び信用秩序の維持を図ろうとするものであり、以下、その概要を申し上げます。

 第一に、民法第四百七十八条の規定は、カード、通帳等による払い戻し等には適用しないこととしております。

 第二に、無権限者に対するカード、通帳等による払い戻し等は、金融機関が善意、無過失であり、預金者等に故意または重大な過失があった場合に限り有効であることとしております。

 第三に、この法律の施行前に無権限預貯金等取引により損害が生じた預金者等については、この法律の趣旨に照らし、金融機関等により最大限の配慮が行われることとしております。

 次に、偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案は、預貯金者の保護を図り、あわせて預貯金に対する信頼を確保するため、偽造・盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払い戻し等により預貯金者に生じた損害を原則として金融機関が補償すること等とするものであり、以下、その概要を申し上げます。

 第一に、偽造カード等による損害については、預貯金者に重大な過失がない限り、金融機関がその損害の全額を負担することとしております。

 第二に、盗難カード等による預貯金者の損害については、預貯金者に重大な過失がある場合を除き、原則として金融機関がその損害の全額を補てんするものとしておりますが、預貯金者に重大な過失以外の過失があることが金融機関により証明された場合には、損害の四分の三を補てんすることとしております。

 第三に、この法律の施行前に発生した被害についての補償に関しても、この法律の趣旨に照らし、最大限の配慮が行われるものとしております。

 両法律案は、去る十五日当委員会に付託され、十九日提出者中塚一宏君及び江崎洋一郎君から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、同日質疑を終局いたしました。

 次いで、二十二日討論を行い、順次採決いたしましたところ、まず、無権限預貯金等取引からの預金者等の保護等に関する法律案は否決すべきものと決しました。次に、偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、日程第一につき採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

 次に、日程第二、中塚一宏君外四名提出、無権限預貯金等取引からの預金者等の保護等に関する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。

 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立少数。よって、本案は否決されました。

 次に、日程第三、江崎洋一郎君外五名提出、偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 母体保護法の一部を改正する法律案(参議院提出)

議長(河野洋平君) 日程第四、母体保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長鴨下一郎君。

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 母体保護法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔鴨下一郎君登壇〕

鴨下一郎君 ただいま議題となりました母体保護法の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、都道府県知事の指定を受けて受胎調節の実地指導を行う者が厚生労働大臣が指定する受胎調節用医薬品を販売することができる期限を五年間延長し、平成二十二年七月三十一日までとするものであります。

 本案は、参議院提出に係るもので、去る七月十五日本委員会に付託され、二十日参議院厚生労働委員長から提案理由の説明を聴取し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 内閣総理大臣の発言(第三十一回主要国首脳会議出席に関する報告)

議長(河野洋平君) 内閣総理大臣から、第三十一回主要国首脳会議出席に関する報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣小泉純一郎君。

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、七月六日から七月九日まで、英国のグレンイーグルズで行われた主要国首脳会議に出席するとともに、カナダ、ロシア及びG4の首脳と個別に会談しました。

 今回のサミットの会議当日、ロンドンにおいて連続爆発事件が発生しました。しかし、G8として、このような卑劣な行為に屈することなく会議を進め、よりよい世界をつくるため、アフリカと気候変動という主要二議題のほか、世界経済、地域情勢などにつき、実り多い意見交換を行うことができました。

 世界経済については、堅調な成長が見込まれていますが、世界的な不均衡に対処するため、G8として、構造改革の推進、財政健全化等各国の役割を果たすとともに、高騰する石油価格に対しては、エネルギー効率の向上、石油市場の透明性の向上などに取り組むことに合意しました。

 貿易については、二〇〇六年末までにWTOドーハ・ラウンド交渉を妥結する必要があり、本年十二月の香港閣僚会議がそのための重要な機会であるとの認識を共有しました。

 知的財産権について、私は、模倣品や海賊版をG8が協調して国際的に厳しく取り締まる必要性を指摘しました。知的財産権の侵害が経済成長ばかりでなく、人々の健康や安全を脅かすとの認識で一致し、今後、G8が他国や関係国際機関と連携して、その取り締まりに効果的に取り組むことで合意しました。

 気候変動については、省エネやクリーンエネルギーの活用などの具体的行動や、主要エネルギー需要国を交えた対話の設置を含む行動計画に合意しました。新興経済諸国との対話では、これら諸国が一層の責任を果たすよう求めるとともに、G8として協力していくことで一致しました。

 私は、京都議定書の実施の重要性、3R、もったいない精神の重要性を強調するとともに、違法伐採対策を初めとする我が国の具体的取り組みを説明し、これらがG8行動計画に反映されました。

 アフリカについては、G8が一層力強く支援していくことで一致しました。我が国としても、今後五年間のODA事業量について百億ドルの積み増しを目指すこと、対アフリカODAを今後三年間で倍増することなど、種々の新たな支援策を通じ、アフリカの自助努力を引き続き支援していくことを表明しました。

 地域情勢については、中東和平、イラク、スーダン、北朝鮮等について議論されました。中東和平については、G8として、両当事者の和平努力を引き続き積極的に支援していくとともに、国際社会の支援を呼びかけていくことで一致しました。

 北朝鮮については、核兵器関連計画の完全、検証可能かつ不可逆的な廃棄とともに、六者会合への速やかな復帰を求める強いメッセージを発出しました。私は、北朝鮮の核、ミサイル、拉致問題の包括的解決の重要性を訴え、各国から理解を得ました。

 国連改革については、私は、安保理改革を含め、平和と安全、開発、人権・人道という広範な範囲でも包括的な改革の必要性を強調しました。

 今回のサミットでは、ロンドンでの連続爆発事件という異例の事態が生じましたが、参加各国はテロには断固闘うとの点で一致団結し、中断することなく、サミットでの議論を続けました。

 日ロ首脳会談におきましては、プーチン大統領の訪日の日程について合意したほか、G4諸国の首脳とは、国連改革について一層緊密に協力していくことを確認するなど、有益な会談ができたと考えております。(拍手)

     ――――◇―――――

 内閣総理大臣の発言(第三十一回主要国首脳会議出席に関する報告)に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。河野太郎君。

    〔河野太郎君登壇〕

河野太郎君 自由民主党の河野太郎でございます。

 若干後ろが気になりますが、自由民主党を代表して、ただいまの総理のサミット報告に対する質問をいたします。(拍手)

 サミットも三十一回を数えるようになりました。一部にはサミット不要論あるいは見直し論もささやかれておりますが、私は、日本がこのサミットのオリジナルメンバーであったことをもっと外交に活用すべきだと考えております。二〇〇八年の神奈川サミットを目指して、サミットの常設の事務局機関をつくり上げ、国連とあわせていわば二院制のような形で国際秩序を担っていくべきではないかと考えますが、総理、いかがでございましょうか。

 小泉総理は、これまで日本の農業の輸出振興に力を入れてこられました。ある意味で日本の農業より国際競争力がないものが日本産の政治家だと思います。これまで日本の政治家が国際機関のトップについたことがあったでしょうか。今後は、国益を考え、大局的な見地から、与野党の枠を超えて適材適所、政治家で国際機関のポジションをとりに行くべきだと考えますが、総理、いかがお考えでしょうか。(拍手)

 今回のサミットの大きな柱であります気候変動、この国際的な枠組みを決める京都議定書に我が同盟国のアメリカはいまだに拒否をし続けています。もう一つのテーマであるアフリカで、今日なお多数の死傷者を出している対人地雷を禁止する条約にアメリカはいまだ背を向けています。核兵器に関するCTBTの批准もアメリカはまだしていません。そろそろ、同盟国として我が日本がはっきりとアメリカに物を申すときが来たのではないかと思います。ブッシュ大統領と個人的にも信頼関係を築き上げてこられた小泉総理こそがはっきりとアメリカに物を言う立場にあると思います。

 総理は、アメリカの京都議定書、対人地雷あるいはCTBTに対する姿勢をどのようにお考えになっていますでしょうか。

 さらに、我々は、アメリカの小型核兵器の開発についてもはっきりとしたメッセージを出すべきだと思います。唯一の被爆国として、我々日本は、より使いやすい核兵器の開発など絶対に認められない、そういう強いメッセージをアメリカに向けて今こそ出すべきではないでしょうか。(拍手)

 この星の表面で、今異変が起きています。気候変動は今や現実のものになりつつあります。人類は、その英知を結集し、地球温暖化を防ぐための努力を続けていかなければなりません。だからこそ、我々衆議院議員は、似合う似合わないは別として、クールビズに前向きに取り組んできたわけであります。

 しかしながら、私は、個人的には、この本会議場の冷房の温度設定はいかがなものかと考えております。国会こそが、地球温暖化を防ぐために意識改革の先頭に立たなければならないのではないでしょうか。議長の御英断に期待をしたいと思います。

 さて、総理、気候変動の問題で中国がサミットに今回招かれました。中国はサミットの中でどのような議論を展開したのか、御報告賜りたいと存じます。

 サミットの期間中、卑劣なテロ行為がロンドンで発生いたしました。ロンドン、エジプト、バグダッド、連日大勢の人がテロで亡くなっています。

 国連のアラブ人権報告を読むと、世界各国で出版された書籍がなかなかアラビア語に翻訳されていない、つまり、アラビア語を読む人たちは、ほかの社会で考えられていること、ほかの世界のアイデアになかなか触れるチャンスがないということがよくわかります。

 我々日本は、アラビア語に世界の各国で出版された書籍を翻訳する支援を積極的に行い、イスラム文化あるいはイスラム社会に大きなかけ橋を築いていくべきだと考えますが、総理、いかがでございましょうか。

 以上、私がサミットに行くときにはこうやりたいということを中心にお尋ねいたしました。来年のサミットでは引き続き小泉総理の御活躍を期待して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 河野太郎議員に答弁いたします。

 新進気鋭の政治家らしい気概のある意見表明、質疑に敬意を表します。(拍手)

 サミットの事務局機関の創設についてでありますが、サミットは、世界経済を含め、国際社会の優先的な諸課題について、民主主義と自由主義経済を共有する主要先進国の首脳が自由に話し合い、政策協調を行う場として有効に機能しております。今後のサミットのあり方については、このようなサミットの性格も十分踏まえつつ、我が国の国益がよりよく実現できる仕組みとなるよう、引き続き各国と議論してまいります。

 日本人による国際機関のポスト獲得についてでございますが、最近の例を見ますと、国際機関の長の各国からの候補者は、閣僚や首脳経験者が多い傾向にあります。こうした傾向も踏まえ、政府といたしましては、能力があり、かつ国際的な競争力を有する日本人候補者の発掘に努め、国際機関の長のポストの確保と拡大に向けて一層努力していく考えであります。

 対米政策でございますが、日米双方は、私とブッシュ大統領との信頼関係のもとで、言うべきことを言い、やるべきことをやってきております。私も、累次の首脳会談の機会を通じ率直な意見交換を行っておりますが、今後とも、あらゆるレベルで率直かつ緊密に政策協調を行いながら、世界の諸問題に世界の国々と協調しながら取り組んでいく考えであります。

 アメリカの京都議定書、CTBT、対人地雷についてのお尋ねでございますが、我が国としては、京都議定書は地球温暖化対策における重要な第一歩であり、米国を含むすべての国の参加が必要と考え、働きかけております。

 また、包括的核実験禁止条約は、国際的な核軍縮、不拡散体制の維持強化のための具体的措置として極めて重要な意義を有しており、米国を含む発効要件国に対して繰り返し早期批准を働きかけていきます。

 さらに、我が国は、対人地雷の全面的禁止を推進してきており、米国を含む対人地雷禁止条約、いわゆるオタワ条約未締結国に対し、条約の普遍化を図ることの重要性を訴えてきております。

 米国の小型核兵器開発でございますが、米国による小型核兵器の研究再開については、これが国際的な懸念を惹起することにより、核軍縮、不拡散における国際的な動きに影響を与える可能性があるとの懸念を米側に提起しております。

 サミットで中国がどのような議論を展開したかということでございますが、中国は、G8と非G8諸国との対話の中で、責任を持って気候変動問題に取り組んでいくつもりである、温室効果ガス削減のためにエネルギーの多様化やクリーンエネルギーの導入にも取り組んでいると表明いたしました。

 出版物のアラビア語への翻訳についてでございますが、国連開発計画の二〇〇三年度アラブ人間開発報告書においては、外国の出版物のアラビア語への翻訳が少ないことが指摘されています。同様な認識のもと、我が国としても、アラブ社会の需要を踏まえ、日本関係図書のアラビア語への紹介事業を推進していきたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 鳩山由紀夫君。

    〔鳩山由紀夫君登壇〕

鳩山由紀夫君 おくればせではありますが、ただいま議題になりましたサミット報告等につきまして、民主党・無所属クラブを代表して質問いたします。(拍手)

 小泉総理とは、どうやら最初と最後だけ意見が合ったようであります。私は、小泉総理就任直後、私が唱えておりました構造改革を取り上げて、自分でやるとおっしゃったものですから、エールまで送らせてもらいました。ところが、その後、私の期待は裏切られ続けました。自分はいいですが、上辺の改革で国民の皆さんの期待を裏切り続ける行為は、断じて許せるものではありません。(拍手)

 あげくの果てに、最近では、どうやら御趣味の郵政民営化法案を可決させるために、あからさまな締めつけを同志のはずの皆様方に行いました。恫喝に屈せずに信念を貫かれたさわやかな自民党の議員の皆様に、改めて敬意とエールを送らせてもらいます。(拍手)

 ついに小泉総理は、参議院で郵政法案が否決されたら衆議院を解散だとまで述べるに至りましたが、これは間違いであります。本来、このようなときには、内閣総辞職を行って、野党に政権を明け渡すことが憲政の常道であります。(拍手)そのときには、民主党は選挙管理内閣を結成し、早期解散をして国民に信を問い、安定政権をつくります。

 ところが、残念なことに、あなたには憲政の常道は通用しません。ならば、お望みどおり解散をなさってください。我々は堂々と受けて立ちます。(拍手)いや、もともと我々は早期解散を求めてきたのですから、千載一遇のチャンスをいただいたと受けとめます。レームダック状態の内閣が続くことは、国民の皆さんにとっても迷惑な話です。一刻も早く解散を宣言してください。私は、解散を主張するあなたを支持しますから。(拍手)

 さて、サミットの開始に合わせるように、ロンドンで同時多発テロが発生し、多くの英国民が犠牲になりました。心からお悔やみを申し上げるとともに、ブレア首相が、テロに屈せずとはいつもと同じように生活をすることだと述べられたことには、さすが英国流は違うと感心したものです。

 しかしながら、どうもイギリスでも政府より国民の方が正直のようで、ブレア政権はイラク戦争と今回のテロとの関連性を否定していますが、国民の三分の二は、イラク参戦の決断が今回のテロに責任があると答えています。あのチャタムハウスも、イラク戦争でアメリカが運転席、イギリスが助手席に座ったことが英国民をテロの危険にさらしたと報告をしています。

 イラク戦争によって、むしろテロが世界的に広がっていることについて、総理はどのように感じておられるのでしょうか。正直にお答えください。

 そのイラクに関してであります。

 総理は、自衛隊の派遣に当たって、イラクをテロの温床にしてはいけないと盛んに訴えておられましたが、イラクの現状は、テロの温床どころか、テロリストがばっこする状態であります。アメリカ兵の犠牲も、戦争中は百三十九人でありましたが、戦後は千六百人を上回っています。一日当たりの死傷者の数が戦争中より戦後の方が多いという事実は、イラクの泥沼化を物語っています。イラクの要人、イラク軍兵士、警察官、市民を問わず、連日のように多くの犠牲者が出ており、その数は二万五千人を最少でも超えています。米軍も早々に撤退したいのが本心だなどと言われている、そういう始末です。

 このような状況のもとで、派遣要件すら満たしていない自衛隊の派遣延長はあり得ない話であります。サマワの自衛隊は、何度も迫撃砲の脅威にさらされているばかりでなく、日本ムサンナ友好協会が脅迫により解散をし、前会長経営の宝石店が爆破されているなど、サマワの状況はより悪化してきています。自衛隊の速やかな撤退はもちろん、イラク特措法終了後の政府の方針について、総理の答弁を求めます。(拍手)

 また、イラクの影響で、原油価格は一バレル六十ドルを突破しており、我が国経済への影響ははかり知れません。何か対策をお持ちなんでしょうか。小泉総理の見解を求めます。

 イラク戦争について、アメリカが運転席、イギリスが助手席なら、日本はさしずめ後部座席に座っていたと言えるでしょう。新潟にアルカイダメンバーが潜伏し、出国後ドイツで捕まった例もあるように、既に日本がテロのターゲットになっています。

 テロリストが次にどういう行動を起こすかということを厳密に予測することは極めて難しい話でありますが、だからこそ、水も漏らさぬ対応が必要だと考えます。政府は、昨年末、テロの未然防止に関する行動計画を策定しているようですが、半分しか実行していないと言われています。日本よりはるかにテロ対策の充実しているイギリスでさえテロを防げなかった現実を見て、また、今回、さらに警備が厳重で安全とされていたエジプトのリゾート地、シャルムエルシェイクで大規模なテロが発生しました。もはや世界に安全神話などどこにも存在をしていません。

 日本のテロ防止の具体策は十分と言えるのか、国民の皆さんに向かって正確に御答弁願います。私は、真のテロ対策は、憎しみの連鎖の増幅ではなく、憎しみの連鎖を断ち切ることにあると信じています。いかがでしょうか。(拍手)

 本日から始まる北朝鮮をめぐる六者協議についてお伺いしたい。

 率直に申し上げて、日本だけ蚊帳の外にならないか、大変に危惧をしています。なぜなら、韓国は南北対話の中で驚くべき重大提案を行い、中国は基本的にこれに同調すると思われます。一方、アメリカやロシアの本音は、核問題に集中したいと考えています。

 ここで日本が拉致問題を提起したとき、アメリカは支持をするでしょうが、具体的な進展が見られなくては六者協議を終えてはならないと考えていますが、いかがですか。その決意をお持ちでしょうか。日本を支持すると言っているこのアメリカでさえ、交渉の中でもし日本が経済制裁を示唆したときには、本当に支持してくれると思っておられますか。

 また、私は、同僚議員を通じて、直接南北対話に当たった韓国の議員から重大提案の内容を伺いましたが、大変ショッキングな内容でありました。なぜ政府はその一部しか公表しないのでしょうか。あるいは、ひょっとしたら御存じないのでありましょうか。一説には、北朝鮮はプルトニウムの放棄を認めるとも言われていますが、北朝鮮の核放棄による地域の安全保障のためには、より査察が困難とされる高濃縮ウランの扱いについても結論を得なければなりません。小泉総理の答弁を求めます。

 拉致被害者の御家族は、御承知のとおり、炎天下座り込みをされたり、訪米して窮状を訴えておられますが、政府は一体、御家族の声をどう受けとめておられるのでしょうか。六カ月以上前に、北朝鮮が速やかに対応しないときには厳しい措置をとるとおっしゃったあの細田官房長官の発言は、そんなにも軽いものだったのですか。

 既に我々は、改正外為法や特定船舶入港禁止特別措置法等のツールを持っておりますが、民主党は、これに加え、北朝鮮人権救済法案を策定し、国会に提出しています。その趣旨に沿って、私たちは、人権から拉致問題を議論しようと、アメリカ、韓国を巻き込んだ国際シンポを近々日本で開く予定です。この問題への解決には、経済制裁等の発動も視野に、国連での取り組みや救済法の立法化も重要だと考えます。いかがでしょうか。

 また、日朝国交正常化に対する北朝鮮の真意について、総理の数少ない腹心とされる山崎前副総裁の発言をめぐって迷走しています。この問題をめぐって、政治家が功名争いなどしている場合ではありません。小泉総理は、国益とは何かを確認して六者協議に臨むべきでありますが、果たしてその日本の国益とは何か、しっかりとここで国民の皆さんに説明をしてください。(拍手)

 ところで、米軍再編に伴う在日米軍の兵力見直しについて、沖縄を初めとする地元の負担軽減と抑止力の維持が基本であったはずであります。ところが、先日のライス国務長官の表敬の際、ライス長官は、抑止力の維持強化が重要と発言し、それに答えて、小泉首相、あなたまでが抑止力の維持強化が非常に重要と答えたと外務省から説明を受けました。この点に対して我々がただしたところ、五日後に外務省は、ライス長官の発言を維持強化から維持に、そして、小泉総理の発言を維持強化から維持確保に変えて説明をし直しました。

 小泉総理、あなたは、そしてライス長官も、本当は抑止力の維持強化と語ったのではないのですか。もしそうならば重大な問題です。もしそうでないとしたら、外務省はなぜ我々に維持強化とあえて最初に説明をしたんでしょうか。伝えられている陸軍第一軍団司令部の座間移転こそ、北朝鮮、台湾、そして世界全体をにらんだ抑止力の強化ではないのですか。すなわち、それが日米の本音なのではないのですか。お答えください。

 それが証拠に、在日米軍は、金武町のキャンプ・ハンセン内のレンジ4の都市型戦闘訓練施設を使った実弾射撃訓練を今月十二日に再開しています。これでは、沖縄の基地負担の軽減どころか、全く逆じゃありませんか。

 私も先日、現地を訪れ、やぐらの上から視察してまいりました。近くには住居や自動車道もあり、過去に流れ弾による事故が何度も発生したことから、地元の住民の方々は非常に心配されているのがよくわかりました。

 将来、訓練施設を奥に移す計画であるということは、今の施設は危険だということではないですか。危険を承知で訓練を許可したということは、沖縄県民の命より米軍の訓練の方が重要ということではないんですか。現地の不安の声は、抗議のための緊急県民集会で強く表明されるに至りました。県民の声を十分に聞いて、直ちに訓練を中止するように求めます。小泉総理の御所見を伺いたい。(拍手)

 また、昨年八月の在沖縄海兵隊ヘリ墜落事故に際しても、日米地位協定の改定を改めて強く主張いたしました。同事件後も、米軍兵による少女へのわいせつ事件などの事故が相次いでおります。独立国としての地位協定の改定について、小泉総理から明確な答弁をお願いいたします。(拍手)

 また、日米の役割分担を見直し、米軍の在外基地の再編の機会に合わせ、在沖縄海兵隊基地の国外への移転と、普天間基地については、辺野古沖が事実上不可能になった今、代替施設なき返還をアメリカに求めるべきであります。

 さらに、米軍が依然有する航空管制権及び在日米軍基地の管理権の返還も早期に取り組むべきと考えます。九月にもようやく米軍再編の全貌が明らかになると報じられていますが、特に基地を抱える地元の方々にとっては極めて深刻な問題であります。九月とは言わず、ただいま小泉総理から、米軍再編に伴う在日米軍基地の具体的な動向について、国会や国民への説明責任を果たしていただきたい。

 グレンイーグルズ・サミットで日本政府はアフリカに対する支援の強化を表明いたしましたが、その直後に、国連の安保理改革に関して、G4とAUで共同提案の努力がなされました。これは、国連安保理の常任理事国入りしたいからアフリカへの支援を表明しているように受け取られるおそれがあったのではないでしょうか。応援してくれなければODAを減らすなどといった恫喝まがいの話が聞こえてまいりましたが、いやしくもそんなことは断じてなかったと言ってください。

 そもそも、総理の靖国参拝問題などにより、中国を初め近隣諸国は日本の常任理事国入りには理解を示しておりませんし、米国はG4の枠組みそのものに反対をしています。分担金の議論を持ち出すまでもなく、日本が常任理事国の資格を満たしているのは明らかなはずですが、どう考えてもいまだ十分な成算があるとは見えません。

 小泉総理は、もともとは常任理事国入りに反対でおられましたが、突然に積極的になられるなど、常任理事国入りが自己目的化しており、場当たり的で緻密な戦略がなされておりませんでした。これでもし常任理事国入りが果たせなかったとしたら、まさに外交戦略の失敗以外の何物でもありません。お答えください。

 最後に、郵政民営化を成立させようとする自民党の議員の皆さん方からはこんな声が聞こえてきます。もし参議院で否決されたら解散だ、そうなれば自民党は分裂し、政治は大混乱に陥る、それは避けねばならないと。

議長(河野洋平君) 鳩山君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

鳩山由紀夫君(続) 自民党が分裂するかは勝手でありますが、政治は決して大混乱には陥りません。今の政治こそ混乱のきわみであり、民主党は、現在の混乱を収拾して戦略なき外交を正し、国民本位の政治を取り戻してまいりますから、どうぞ安心して解散を実行されますように強く願いつつ、質問を終えます。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 鳩山由紀夫議員に答弁いたします。

 テロ情勢についてでございますが、イラクに対する武力行使以前から、米国同時多発テロを初め、世界各地でテロは多発しており、国際社会におけるテロの脅威は深刻であります。

 テロは、いかなる理由をもってしても正当化できません。我が国は、テロとの闘いをみずからの安全確保の問題と認識しつつ、国際社会と一致結束して、具体的かつ効果的な措置を迅速かつ総合的に展開していきたいと思っております。

 イラクへの自衛隊派遣についてでございますが、政府としては、自衛隊による人的貢献とODAによる支援を車の両輪としてイラク復興支援を進めてきており、自衛隊の活動はこれまで、現地の人々やイラク当局から高い評価を受けております。

 今後とも、自衛隊の活動に当たっては、地元治安当局や他の多国籍軍からの情報の収集と分析に努めるとともに、常に自主的な周囲の警戒を怠らず、また、状況に応じて適切な危険回避の措置をとるなど、隊員の安全確保には万全を期してまいります。

 現在の基本計画における派遣期間終了後の対応については、その時点におけるイラク国内及び国際的な諸情勢を慎重に見きわめつつ、国会での議論にも配意しつつ判断すべきものと考えます。

 原油価格の高騰が我が国経済に与える影響と対策でございますが、原油価格は、一時期、一バレル六十ドルを超える高水準で推移していますが、日本経済への影響は、エネルギー消費の効率化が進んでいることなどから、一九七〇年代の石油危機当時より小さなものにとどまるものと考えられます。

 しかしながら、原油価格が高水準を続けていく場合には、企業収益や個人消費への影響も懸念されることから、引き続き中東情勢、内外の需給価格の動向及び我が国経済に与える影響等を十分に注視するとともに、先般のサミットでも決定したとおり、各国が協力した省エネルギーの推進や産油国における開発投資の促進など総合的な取り組みを進めていくこととしております。

 テロ対策でございますが、我が国が国際テロのターゲットとならないためには、日ごろから平和主義に徹するとともに、人権、人道に対して最大限の配慮を行い、また法治主義を遵守することが重要であることは言うまでもございませんが、そうした努力のみによって国際テロを防止することは困難であると思っております。

 政府としては、今回のテロを受け、出入国管理、ハイジャック対策、重要施設や鉄道等公共交通機関の警戒警備など、これまで実施してきたテロ対策の徹底を図るとともに、テロの未然防止に関する行動計画を確実に推進することが重要と考えます。今後とも、テロ関連の情報収集・分析に努め、情勢に応じて必要な措置をとり、国民の安全の確保に努めてまいります。

 六者会合での拉致問題でございますが、六者会合では北朝鮮の核問題が中心課題となりますが、政府としては、北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的解決を図る必要があるとの観点から、これまでの六者会合と同様、会合において拉致問題解決の必要性を提起する考えであります。現時点で結果を予断することはできませんが、問題解決に向けて一歩でも前進する糸口が得られるよう、六者会合の機会を活用して最大限努力いたしてまいります。

 経済制裁についての米国との関係でございますが、北朝鮮に対し諸懸案の解決に向けた前向きな対応を促すための我が国としての方策を検討、実施するに当たっては、米国を初めとする関係国と緊密に連絡、協議しつつこれを進め、その理解と支持を得られるよう努める考えでございます。

 なお、経済制裁は可能な一つの手段でありますが、まず経済制裁ありきという考えをしているわけではございません。

 韓国政府のいわゆる重大な提案についてのお尋ねでございます。この提案については、韓国政府より、対外公表に先立ってしかるべく説明を受けておりますが、韓国側との関係もあり、これまでに韓国政府が対外的に説明してきている以上の内容について我が国から明らかにすることはしておりません。

 北朝鮮のウラン濃縮計画でございますが、今回の六者会合における議論の行方については予断を許さないものがありますが、我が国としては、引き続き北朝鮮に対し、国際的な検証のもと、ウラン濃縮計画を含むすべての核計画を完全に廃棄するよう強く求めていく考えであります。

 拉致問題の解決に向けた政府の取り組みでございますが、政府としては、被害者御家族の強い思いを踏まえ、北朝鮮から納得のいく対応を得るため、いかなる段取り、方法で何をすることが最大の効果をもたらすか、対話と圧力の考えのもとに、諸要素を総合的に勘案しつつ、我が国の立場、取り組みに対する国際社会の理解と支持を得ながら検討していきます。

 なお、累次明らかにしているとおり、経済制裁は可能な一つの手段でございますが、まず制裁ありきで考えているというわけではございません。

 北朝鮮との関連での我が国の国益についてでございますが、北朝鮮との関係において、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、北東アジア地域の平和と安全に資する形で日朝国交正常化を図ることが国益にかなうと考えております。

 そのため、北朝鮮に対し、国際的な検証のもとですべての核計画を完全に廃棄すること、生存する拉致被害者を直ちに帰国させ、また真相の究明を行うことなどを求めてきているところであります。

 米軍の兵力構成の見直しでございますが、十二日にライス国務長官の表敬を受けた際に、私からは、沖縄を初めとする地元の負担軽減と抑止力の維持確保は引き続き日本にとって非常に重要である旨述べました。この点については、事務方より説明がなされていると承知しております。

 なお、個別の施設・区域に関する見直しについては、いかなる決定も行われておりません。

 キャンプ・ハンセン内の複合射撃訓練場についてでございますが、政府として、地元において懸念があることを踏まえ、米軍と協議し、代替施設を建設し訓練を移転させることに同意を得るなど、最大限の努力を払ってきております。

 なお、移設完了までの間、日米安保条約の目的達成のため、米軍がレンジ4で必要不可欠な訓練を実施するに当たっては、安全、環境に十分配慮されるよう求めていく考えであります。

 日米地位協定の改定についてでございますが、日米地位協定について、政府としては、その時々の問題について、運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えのもと、運用の改善に努力しているところであります。

 運用の改善の重要性については、二月の日米安全保障協議委員会において日米間で改めて確認したところであり、今後も努力してまいります。

 在日米軍再編に関し、国会や国民への説明責任についてでございますが、在日米軍の兵力構成見直しについては、九月ごろを目途に何らかの成果を出していきたいと考えております。

 本件については、地元自治体を含め、国民の理解なくして実行することは不可能であると考えており、しかるべく説明してまいります。

 国連安保理改革とアフリカ支援についてでございますが、先般のサミットで表明した対アフリカ開発支援は、アフリカ開発会議を基軸として、引き続き積極的にアフリカ支援を実施していく観点から取りまとめたものであり、アフリカ諸国より理解されているものと考えております。

 なお、従来からの我が国のアフリカ支援を通じて得られた評価は、安保理改革のみならず、我が国の外交政策全般に対する国際社会の理解と信頼を高めることにつながっているものと考えております。

 国連安保理改革についてでございますが、我が国は、九月のミレニアム宣言に関する首脳会合前に、安保理改革を含め、平和と安全、開発、人権・人道という広範な分野で成果を得られるよう国連改革を実現できることが重要だと考えております。

 安保理改革については、現在、各国との調整が行われているところですが、我が国として安保理常任理事国入りに向けて、引き続き全力を挙げて取り組むことが私の責任であると考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 丸谷佳織君。

    〔丸谷佳織君登壇〕

丸谷佳織君 公明党の丸谷佳織でございます。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりましたグレンイーグルズ・サミットに関する報告について、小泉総理大臣に質問をさせていただきます。(拍手)

 冒頭、イギリスでの連続爆破テロ、また二十三日にエジプトで起きたテロで犠牲となった方々と御家族に対し、心より追悼の意を表し、負傷された方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。

 サミット開催国を開催中にねらった同時爆破テロは、まさしく国際社会への挑戦であり、その国際社会が断固テロと闘う姿勢をサミットにおいて示したことを評価いたします。

 テロと闘うためには、各国が自国のテロ対策を強化することはもちろんですが、テロの温床となる貧困からの脱却に尽力すること、文化や宗教を超えた対話の場を提供すること、また、テロ行為を法にのっとって処罰するためのルールメーキングも重要な要素と考えます。

 テロ対策に関するG8首脳声明でも、核テロ条約の早期発効及び包括テロ条約交渉の推進が指摘をされていますが、我が国として、これらの法整備に積極的に取り組むお考えはおありでしょうか。我が国のテロの脅威への認識と、テロ対策に取り組む総理の御決意をまずお伺いさせていただきます。

 続いて、アフリカ支援についてお伺いします。

 今回のサミットでは、民間企業による投資促進の必要性や貿易拡大に資する環境整備の重要性が指摘されるとともに、国際金融機関等による債権の放棄、さらに我が国が表明した今後三年間でODAを倍増させることなど、具体的な資金援助の枠組みを盛り込んだ特別文書が採択されました。

 しかしながら、アフリカ諸国の中には、今なお内戦や独裁に苦しむソマリアやコンゴ、内戦終結後も混乱が続くスーダンのように、経済分野のみならず、平和を定着させるための支援が必要な国もあります。

 小泉総理は、「G8サミットに向けた小泉総理大臣からアフリカへのメッセージ」の中で、元兵士の武装解除、動員解除、そして社会復帰事業に取り組む方針を示されておりますが、サミットではどのような貢献策を表明されたのか、また、今後どのように事業を展開していくおつもりなのか、御説明願います。

 次に、環境問題についてお伺いします。

 G8のみならず新興経済国が議論に参加をして、積極的に対策が講じられたことは大変意義深いことであり、行動計画がまとめられたことを歓迎したいと思います。

 京都議定書は、二〇一三年以降の温暖化対策について、ことしじゅうに交渉を開始することとしておりますが、米国が議定書の実効性に疑問を呈していることや、途上国が温室効果ガス削減義務に反発しているため、ポスト京都議定書に関する交渉もかなりの困難が予想されます。サミットの結果が今後の温暖化対策枠組み交渉の弾みとなるよう、京都議定書の議長国として再びリーダーシップを発揮すべきと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。

 そもそもサミットは、一九七五年に経済再建首脳会議としてスタートしましたが、今回、経済分野では、総理のイニシアチブで出された知的財産の保護についての特別声明のほか、残念ながら成果が見られません。

 一方、サミットにおいて、人民元の改革に具体的ではないものの前向きな姿勢を示した中国は、先日二%の切り上げを行ったばかりですが、切り上げ幅が小さかったため、世界経済に与える影響は軽微であるとも言われています。

 今後、欧米からさらなる切り上げを求める声が高まり、再度の切り上げも予想されるところ、人民元の切り上げが我が国経済に与える影響と今後の人民元の切り上げの見通しについて、総理の御見解をお伺いいたします。

 さて、ことしは戦後六十周年。私たちが核兵器の悲惨さを知らされた日から半世紀以上の間、核兵器が二度と人類を脅かさないよう、我が国はその廃絶に取り組んでまいりました。

 しかしながら、世界に広がる核のやみ市場の存在や、北朝鮮による核保有宣言、イランにおける核疑惑問題等、核軍縮、不拡散の情勢は厳しさを増していると言わざるを得ません。サミットでは不拡散に関する声明が採択されましたが、包括的核実験禁止条約、CTBTはいまだ発効できず、さきのNPT再検討会議も物別れに終わるなど、核問題に対する多国間協議の機能が低下していることも指摘をしなければいけません。

 被爆から六十周年を機に、いま一度、我が国は核廃絶という究極の目標に向かって行動を起こすべきではないでしょうか。CTBTの早期発効はもちろんのこと、これまで我が国が核軍縮、不拡散の最優先事項の一つと位置づけてきたカットオフ条約の早期妥結を目指し、より積極的な対応を総理に望みますが、いかがでしょうか。また、元カナダ外相が提案をしたような、我が国が主体となった、核兵器の役割を再検討する有識者委員会の設置を検討されてみてはいかがでしょうか。

 このような行動が、三年後に我が国で行われる予定のサミット、また五年後のNPT再検討会議の成功を導くために大きく貢献することと思います。総理の御所見をお伺いします。

 来年は、初めてロシアでサミットが行われます。テロとエネルギーが大きな課題となるやに聞いておりますが、日ロ間では、我が国のエネルギー安全保障の観点からも非常に重要なプロジェクトも進行中です。日本の歴代総理としては最多の六回目の出席となる来年のサミットにおいて、持ち前のリーダーシップを思う存分に発揮していらっしゃる小泉総理の雄姿を拝見することを強く期待申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 丸谷議員に答弁いたします。

 テロ対策についてでございますが、テロとの闘いにおいて、国際的な法的枠組みの強化は重要であり、我が国は、核テロ防止条約の早期締結に向けて必要な検討を進めております。また、国連において交渉中の包括テロ防止条約の早期妥結を支持し、関係国に働きかけております。

 現在のところ、日本国内において国際テロ組織による具体的テロ関連情報は把握していませんが、現下の厳しい情勢を踏まえ、国内におけるテロの未然防止を図るため、関係省庁が緊密な連携のもと、テロ関連情報の収集、分析、出入国管理、ハイジャック対策、重要施設や公共交通機関の警戒警備等、各種テロ対策の徹底に努めております。

 サミットで我が国が表明したアフリカ支援策、また今後の事業実施の方針についてでございますが、サミットにおいて、私は、平和の定着や保健、人づくり等、アフリカがみずから立ち上がっていけるための協力を今後も重視することを表明いたしました。また、今後三年間でアフリカ向けODAを倍増することに加え、今後五年間でODA事業量を全体として百億ドル積み増すことを目指すことを表明しました。

 我が国は今後とも、アジアの経験を生かすとの観点からアジア諸国とも協力しながら、アフリカ開発会議を基軸として、アフリカが最も必要としている分野への支援を実施していく考えであります。

 温暖化対策についてでございますが、地球温暖化対策の実効性を確保するためには、温室効果ガスの排出量の多いアメリカや中国、インド等の途上国も参加する共通ルールの構築が重要であります。

 今回のサミットで、温暖化防止に向けてさらに努力する必要性について首脳レベルで認識が一致したことを踏まえ、我が国としても、ブラジルと共同で実施してきている気候変動に対する更なる行動に関する非公式会合の開催を含め、二〇一三年以降の温暖化対策の枠組み交渉において主導的な役割を果たしていく考えであります。

 人民元の切り上げについてでございますが、今回の措置は、我が国などG7が従来より申し入れてきた為替制度の柔軟化を中国が決定したものであり、中国の世界経済における役割も勘案すれば、適切な対応であると評価しております。

 また、中国経済と我が国経済との関係が近年ますます密接になっていることを踏まえれば、新しい為替制度のもとで中国経済が安定的な発展を続けていくことは、我が国経済にとっても好ましい影響を及ぼすものと考えております。

 いずれにせよ、引き続き、我が国経済に与える影響や今後の中国の為替制度等について十分に注視してまいります。

 核軍縮に対する取り組みでございますが、我が国は、唯一の被爆国として、核兵器の廃絶に向けた積極的な外交活動を行ってきており、包括的核実験禁止条約の早期発効や兵器用核分裂性物質生産禁止条約、いわゆるカットオフ条約の早期交渉開始に向けてもさまざまな働きかけ等を行っております。今後とも、有識者の意見をも参考にし、こうした現実的かつ着実な努力を継続、強化してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 赤嶺政賢君。

    〔赤嶺政賢君登壇〕

赤嶺政賢君 私は、日本共産党を代表して、日本外交が直面している深刻な行き詰まりについて、総理に質問します。(拍手)

 第一に、過去の戦争への態度の問題です。

 小泉総理が、過去の戦争は正しかったとする靖国神社への参拝に固執していることが、アジア諸国との溝を深めていることは明らかです。

 そもそも、日本がアジアに対して行った戦争は、大東亜共栄圏の名のもと、他国の領土を奪うことを目的とした侵略戦争であり、アジアの人々を深く傷つけてきたことは歴史の事実であります。この戦争を正当化する立場と決別せずに、アジア諸国との友好関係をつくることはできません。政府が進める国連常任理事国問題でも、そのことが問われていると思いませんか。

 総理は、四月のアジア・アフリカ首脳会議において、我が国による植民地支配と侵略がアジア諸国に多大の損害と苦痛を与えたと述べ、歴史の事実を謙虚に受けとめ、痛切なる反省を表明しました。この立場に立つなら、きっぱりと靖国参拝を取りやめるべきであります。明確な答弁を求めます。

 第二に、アメリカ追随の外交姿勢です。

 総理は、アメリカに言われるがまま、憲法九条を真っ向から踏みにじって、戦闘状態にあるイラクへの自衛隊派兵を強行してきました。宿営地や部隊への攻撃が繰り返され、政府の論理からいってもイラクに駐留し続ける理屈は成り立ちません。対米追従をやめ、自衛隊を直ちに撤退させるのが当然ではありませんか。

 今アメリカが進めている米軍再編は、座間への米陸軍第一軍団司令部の移転など、イラク戦争で破綻済みの先制攻撃戦略に基づき、日本をそのための司令・出撃拠点として強化するものにほかなりません。

 政府は負担軽減を言いますが、いまだに普天間基地の辺野古移設を断念しないばかりか、嘉手納基地への統合、NLPの岩国移転など、伝えられる再編案は、いずれも基地のたらい回しであります。関係住民や地方自治体が負担軽減につながらないと反対するのは当然ではありませんか。総理の見解を求めます。

 今月十九日、沖縄県金武町で一万人の県民集会が行われました。米軍キャンプ・ハンセンに建設された都市型戦闘訓練施設での実弾射撃訓練の強行に抗議し、同訓練施設の閉鎖、撤去を求めました。総理はこの県民の総意にどうこたえますか。

 基地のたらい回しでは問題は解決しません。アメリカ追随姿勢を改め、米軍基地の縮小、撤去を求める声にこたえるべきであります。

 以上、総理の明確な答弁を求め、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 赤嶺議員に答弁いたします。

 国連安保理改革とアジア諸国の立場についてでございますが、我が国は、さきの大戦に係る過去の歴史に関する反省の上に立って、戦後六十年、民主的な平和国家としての道を歩み、発展を遂げ、さまざまな分野において国連を通じた貢献を行ってきております。我が国の戦後の歩みについては、アジア諸国を含め国際社会に広く認識されており、多くの国々が我が国の安保理常任理事国入りを支持しております。

 私の靖国参拝についてでございますが、御指摘のような歴史認識や歴史に対する反省は、総理就任以来一貫して表明しております。

 参拝は、心ならずも国のためにとうとい犠牲となられた方々を追悼するとともに、二度と戦争をしてはならないという不戦の誓いを込めて行うものであります。こうした参拝は、過去の反省や歴史認識を踏まえたものであります。

 今後の靖国参拝については、適切に判断してまいります。

 イラクへの自衛隊派遣についてでございますが、イラクの復興と民生の安定を図ることは、中東地域のみならず、我が国を含む国際社会全体の平和と安全の観点から重要です。今後のイラクにおける政治プロセスを円滑に進展させるためにも、国際社会がイラクに対する支援を継続することが必要であります。

 自衛隊派遣は、そうしたイラクの人道復興支援のために、我が国の主体的判断に基づき実施しているものであり、自衛隊の活動は、これまで現地の人々やイラク当局から高い評価を受けております。

 今後とも、自衛隊の活動に当たっては、地元治安当局や他の多国籍軍からの情報の収集と分析に努めるとともに、常に自主的な周囲の警戒を怠らず、また、状況に応じ適切な危険回避の措置をとるなど、隊員の安全確保には万全を期してまいります。

 在日米軍施設・区域の負担軽減についてでございますが、在日米軍の兵力構成見直しについては、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄等地元の負担の軽減を図る観点から、米国と協議を進めてきております。

 沖縄等地元の負担軽減の重要性については、累次の日米首脳会談や外相会談等において、日米間で認識は一致しており、それをいかに実現するかについては、さまざまな可能性を追求しているところであります。

 キャンプ・ハンセン内の複合射撃訓練場についてでございますが、政府としては、地元において懸念があることを踏まえ、米軍と協議し、代替施設を建設し訓練を移転させることに同意を得るなど、最大限の努力を払ってきております。

 なお、移設完了までの間、日米安保条約の目的達成のため、米軍が本件訓練施設で必要不可欠な訓練を実施するに当たっては、安全、環境に十分配慮するよう求めていく考えであります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  小泉純一郎君

       財務大臣    谷垣 禎一君

       厚生労働大臣  尾辻 秀久君

       国務大臣    伊藤 達也君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官 杉浦 正健君


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