衆議院

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第2号 平成18年1月23日(月曜日)

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平成十八年一月二十三日(月曜日)

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 議事日程 第二号

  平成十八年一月二十三日

    午後一時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑

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本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

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 国務大臣の演説に対する質疑

議長(河野洋平君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。前原誠司君。

    〔前原誠司君登壇〕

前原誠司君 民主党の前原誠司です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、総理の施政方針演説について質問いたします。(拍手)

 昨年末から、豪雪によって全国的な被害が出ており、今まで百名以上の方が亡くなられておられます。お亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被害に遭われている国民の皆さん方にお見舞い申し上げます。また、豪雪対策に当たっておられる関係者の皆様に心から敬意を表します。

 民主党も、豪雪対策本部を設置し、先日、私も新潟、長野両県を訪れ、関係者、住民の方々から御意見、御要望をお聞きいたしました。政府が、国の責任において、住民の安全確保と被害の拡大防止、そして、自治体への支援により一層の取り組みをされるよう、重ねて強く要請いたします。総理の決意を伺います。

 近年、地震や豪雨、台風や豪雪、大規模な災害が相次いでいます。テロなどへの対処を含め、我が党と自民、公明三党で緊急事態基本法を制定する必要性に合意しておりますが、自公両党の取り組みは、残念ながら、極めて消極的と言わざるを得ません。今国会中の成案を得るとの三党合意を、総理は自民党総裁として誠実に履行するおつもりなのか、お伺いをいたします。(拍手)

 政府・与党は、今国会を行革国会と命名していますが、私たち民主党は安全国会と位置づけています。行革、つまりは、税金の無駄遣いをなくし、より効率的、効果的な行政サービスを提供するよう不断の努力を行うことは当然ですが、それは単なる手段にすぎません。何を達成するための行革なのか、その目的が問われています。

 本来、国民の生命財産、生活の安心、安全を守る手段として行革は行われるべきです。しかし、小泉改革なるものは、小さな政府路線だからといって、障害者自立支援法の一律負担導入や、適正化に名をかりた生活保護の門前払い、打ち切りなどに見られるように、本来最も政治が責任を負うべき生活弱者を切り捨ててきました。その結果、セーフティーネットのところどころに大きな穴があき、人間の尊厳が失われています。

 そもそも、長期、短期合わせて一千兆円に及ぶ財政赤字は自民党政権の失政の結果であり、その四分の一は、小泉総理、あなたがつくったものではありませんか。そのツケを現役世代の頑張っている人たちに回して、所得格差は拡大をする、地域間格差は拡大をする、少子化に歯どめがかからない、そして教育における機会の平等まで奪われています。

 同時に、小泉政権は人権問題に極めて冷淡であります。我が国では、刑務所や入国管理施設における公権力の濫用、同和問題などの差別や子供の虐待、家庭内暴力など人権侵害が後を絶ちません。しかし、人権侵害を受けた方が迅速に救済を受けられる制度が確立していないため、多くの被害者が泣き寝入りを余儀なくされています。民主党は昨年の通常国会で、人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案を提出いたしましたが、成立には至っておりません。小泉総理は、人権侵害救済機関の必要性をどうお考えなのか、伺います。

 民主党は、官製談合や大型公共事業など、いまだに過大な公共投資にメスを入れるなど、徹底的に税金の無駄遣いをなくします。行革なくして増税なしを貫き通します。同時に、教育や社会保障へ税金の使い道を変え、コンクリートから人への流れをつくり出し、効率的だが人に温かい政治を実現するために、今国会でも、重要な政策では対案路線、提案型を貫く決意であります。(拍手)

 そこで、小泉総理に伺いたい。国会の議論を国民の目線で活性化させるためにも、我が党から出された対案、提案を、数に物を言わせてたなざらしすることなく、堂々と受けとめて、真摯な議論ができるように、自民党総裁としてその環境をつくるべきだと考えます。総理の所見をお伺いいたします。

 耐震偽装問題について伺います。

 そもそもこのような事件が起きたのは、無原則に官から民への流れを推し進め、本来公が担うべき責任まで自民党政治が放棄したからにほかなりません。官の責任放棄、民の倫理観の欠如、まさに必然的に起きた事件と言わざるを得ません。

 緊急避難的に補正予算で公的支援が打ち出されていますが、そもそもだれが責任を負うべき問題なのか、再発防止のためにもきちんとただされなくてはなりません。業者の責任は言うまでもありませんが、補償能力に限界のある中で、行政はどこまで税金を使うのか、その根拠は何か、国と地方での責任の所在をどう考えるのか、国民や国会に明快に説明をしていただきたい。

 しかし、事件の全容はいまだ解明されず、関係者が責任をなすり合ってあいまいなままです。十七日の証人喚問では、ヒューザーの小嶋社長は、刑事訴追の可能性に言及して多くの質問に答弁拒否をいたしました。テレビインタビューでは饒舌であったにもかかわらず、国会での証言は拒む。国民、国会を愚弄するなと言いたい。当然、再度の証人喚問が必要だと考えます。総理は同意されますでしょうか。

 また、事件に関連して、自民党の伊藤公介議員、伊藤信太郎議員、安倍晋三官房長官秘書などの名前が取りざたされていますが、国民の不信感を取り除くためには、これらの関係者の証人喚問、参考人招致も不可欠であります。

 与党は、民主党の再三にわたる証人喚問、参考人招致の要求には極めて非協力的で、一刻も早く幕引きをしようとする姿が見え見えであります。自民党総裁として、総理には、必要な証人喚問、参考人招致を含めて、事件の全容解明と対策に全力で取り組むことをお約束いただきたい。答弁を願います。

 あわせて、実名を挙げられた安倍官房長官にも、みずからの秘書の参考人招致も含めて、対応を伺います。(拍手)

 去る二十日、輸入された米国産牛肉に特定危険部位の脊柱が混入していたことが判明いたしました。これは、月齢管理、検査体制などが不十分なまま、アメリカ政府からの再三の要望にこたえるという政治的な判断で輸入再開を急いだ結果であり、総理の責任は極めて重大であります。

 民主党は、米国での昨年の現地調査とあわせて、かねてより、米国からの輸入牛肉に特定危険部位が混入する危険性を指摘してまいりました。にもかかわらず、政府は日米関係を優先して、最も守るべき国民の生命と健康をないがしろにしたのです。言語道断と言わざるを得ません。今回の件で、消費者の不安はさらに深まり、小泉政権の輸入再開がいかに無責任で拙速であったかが明らかになりました。日米関係も結果として傷つくことになりました。

 危険部位の混入があったわけですから、輸入の全面的即時停止は当然であります。さらに、民主党としては、前国会に提出したトレーサビリティー法案を早期に成立をさせ、輸入牛肉についても原産地、原産国表示を義務化し、国内産と同様の追跡義務をつけることが急務だと考えます。同時に、牛の月齢管理や厳格な検査体制の確立などが担保されなければ、絶対に輸入再開を認めるべきではありません。総理の良識ある答弁を求めます。(拍手)

 ここ数年、子供たちが被害者となる痛ましい事件が多発をしています。子供たちの安全対策は、特に今国会で徹底的に取り組むべき最重要課題であります。

 民主党は、対策として、学校及びその周辺の安全対策に関する国、地方公共団体、学校設置者の責務を定める学校安全対策基本法案を今国会に提出をいたします。

 残念なことは、子供を守るべき大人たちが安易に子供を傷つける時代になってしまったことです。子供を守るために、関係者が一体となって、古きよき日本の伝統であった、人のつながりを大切にする地域社会を再構築し、公の力を再生しなくてはなりません。それは、市民が地域活動に参加しやすい分権社会をどうつくるかにかかってきます。総理、子供の安全対策にどう取り組むのか、伺います。

 さらに、昨年は、JR福知山線、JR羽越線で、あってはならない事故が起こりました。亡くなられた方の御冥福を改めてお祈り申し上げます。

 政府は、この事故の教訓を受けて、公共交通機関の安全に対して、何を見直し、どのように取り組むのか、見解を伺います。

 さて、小泉総理の任期はことしの九月です。総理は任期どおりの退任を明言されていますが、国会の場でも確認をさせていただきたい。そうであれば、今国会が最後の国会となります。そこで、小泉総理に、御自身の実績あるいは未達となった課題について伺います。

 まず、ライブドアに関連して伺います。

 この事件は、証券市場を揺るがし、健全な投資家を欺く、極めて悪質かつ重大な事件です。徹底かつ厳正な捜査を望みます。

 多くの新興企業が、意欲とアイデア、そしてチャレンジ精神を持ち、日本経済に大きな活力を与えていることに、日本人の一人として誇りと頼もしさを感じます。頑張り続けてもらいたい、新たな人にどんどんチャレンジしてもらいたいと心底願っています。

 ただ、事件の根底に、小泉改革なるものによって、企業がマネーゲームに奔走し、経営やMアンドAに不可欠な、公正なルールや企業人としての基本的なモラルまでもが失われつつあるような気がしてなりません。偽装や粉飾までして利益を上げるという社会的風潮が蔓延しているのではないか、果たして現在の景気回復基調は本物なのか、虚構の上に成り立ったある種のバブルではないか、そういう強い危惧を禁じ得ません。反論があれば伺いたい。(拍手)

 昨年九月の総選挙は、ワイドショー選挙、劇場型選挙と言われ、その原動力になったのが、マドンナ、ホリエモンといった刺客候補でした。堀江貴文氏は自民党公認候補ではありませんでしたが、自民党本部で記者会見を行い、選挙期間中は武部幹事長や竹中大臣などが次々に広島六区に入り、公認候補以上の応援体制をしきました。いや逆に、自民党自身が堀江氏を、小泉改革の広告塔、総選挙の象徴的存在、ネット世代の若者を取り込む票寄せパンダとして大いに利用したのであります。武部幹事長は選挙後も、堀江氏には党運営のアイデアを提供してほしいと発言をしています。

 このような候補をうまく利用して膨れ上がった総理初め自民党は道義的な責任を免れることはできません。総理は素直に国民に謝罪をすべきであります。答弁を求めます。(拍手)

 民主党は、元祖改革政党として、改革の必要性を早くから訴えてまいりました。徹底した税金の無駄遣いをなくす真の改革競争に与党がようやく応じるようになったことを歓迎いたします。

 私は、公共事業、特別会計、公務員制度、分権、省庁再々編の五つの分野での改革を主張してきました。私から見れば、これらの分野での総理の改革はまだまだ手ぬるく、全体像が見えてこない。本当に聖域を設けず、既得権益を守ろうとする勢力ととことん戦う意識があるのか、総理の本気度を伺いたい。

 五つの分野のうち、公務員制度改革について伺います。

 総理は、施政方針演説で、簡素で効率的な政府として、公務員総人件費の削減、公務員数の五%以上の削減を言われました。しかし、単に削ればよいというものではありません。

 徹底した地方分権と民間やNGOなどとの役割分担を進め、また事業の統廃合を行うことによって、公務員人件費も人数も総理が言われる以上に減らせると考えます。民主党は、さきの総選挙のマニフェストで、結果として公務員人件費総額を三年で二割削減するとしました。

 総理は、具体的にどのような考え方に基づいて削減しようとしておられるのでしょうか。また、人件費総額はどれぐらい削減するおつもりですか。

 給与水準を民間の実態に合わせる一方で、公務員が励みを持って働けるような給与体系に改革することも必要です。そのためには、労働基本権を認める一方で、人事院勧告制度をなくすことがあるべき方向性だと考えます。総理の考えを伺います。

 他方、世間では、公務員は何をやってもやめさせられることはないと考えられていますが、国家公務員法七十八条に、「勤務実績がよくない場合」「心身の故障」「定員の改廃又は予算の減少」といった場合に公務員を分限免職できるという規定があります。しかし、過去の国会決議などによってこれまで余り適用されず、民間から見れば制度自体が形骸化しているとの指摘もあります。濫用があってはならないことは当然ですが、この法律条項が適正に運用されるようにすべきではないでしょうか。総理の考え方を伺います。(拍手)

 小泉改革には光と影の両面があります。とりわけ、国民の安全、安心や社会の公正にかかわるさまざまな事件、問題が発生し、国民の間に不安、不信、不公平感が広がっています。私は、改革とセーフティーネットを両立させ、人を大切にする社会こそが必要だと考えており、そうした観点から、小泉改革の影の部分について総理の認識を伺います。

 第一に、小泉改革は経済、雇用、生活を破壊いたしました。

 小泉総理の在任中に、GDPは五百十三兆円から二〇〇五年度には五百一兆円に減少しています。サービス業では五百三十万人雇用という当初の公約は、百五十万人にとどまり、全体の就業者数は七十七万人減少しました。

 この間の自殺者は七年間連続三万人以上で、生活保護世帯も七十五万世帯から百万世帯以上にふえました。勤労者世帯の実収入も減少し、国民の多くは景気回復を実感しておりません。このような指摘に対し、総理はどう反論されますか。お答えください。

 第二に、小泉改革で将来世代に莫大な借金が残りました。

 小泉総理の在任中に、百七十兆円の国債が増発され、国、地方の長期債務の総額は七百七十五兆円に達しました。短期を含めると約一千兆円に上ります。来年度の予算のプライマリーバランスの赤字は約十一兆円。これは森政権の平成十三年度予算とほぼ同じ規模であります。国債発行三十兆円以内も、最後に帳じりを合わせただけではありませんか。これでも、財政再建に貢献したと強弁されるんでしょうか。お答えください。

 第三に、小泉改革は社会の格差を拡大いたしました。

 小泉総理の在任中に、所得の不平等指数であるジニ係数は〇・四七から〇・五〇へと拡大をしています。二〇〇五年には、貯蓄がないという世帯の割合が約二三%に上り、一九五三年の調査以来最悪の数字となっております。

 さらに、雇用の現場では、いわゆるパート、アルバイト、派遣など正社員以外の雇用形態で働く人が増加する一方で、フルタイマー、正社員との賃金格差が拡大をしています。

 フリーター、ニートが定着し、下流社会、希望格差社会という言葉も登場しました。在任中にこのような社会を生み出した結果について、総理はどのように認識されているんでしょうか。また、民主党は、正社員とパート社員などとの格差を是正し、均等な待遇を実現するパート労働法改正案を再提出する予定ですが、雇用についての総理の認識、均等待遇についてのお考えを伺います。(拍手)

 第四に、小泉改革はセーフティーネットを壊しました。

 小泉総理は、最初の所信演説において、社会保障の三本柱である年金、医療、介護については、お互いが支え合う、将来にわたり持続可能な、安心できる制度を再構築すると約束しました。

 しかし、政府・与党が強行した年金改革は、単に給付を引き下げ、負担を上げ、そして支給開始年齢を引き上げただけで、抜本改革には全く値をいたしません。また、四〇%の保険料未納があり、将来の無年金予備軍を日々生み出している国民年金の改革には全くの手つかずであります。全国民が加入する、公正公平で持続可能な一元化された年金制度への抜本改革こそ急務ではないでしょうか。

 障害者自立支援法も、障害者に一律一割の負担を求め、障害者の自立をむしろ阻害するものになっています。さらに、今回進めようとしている医療制度改革も、医療のあるべき姿を論じることなく、診療報酬が過去最大に引き下げられたことを自慢しています。金を削ることが目的化され、患者の視点に立った医療制度が全く語られない。本末転倒と言わざるを得ません。

 少なくとも、現在、絶対数が不足をしている急性期診療の医師や看護婦、小児科医をどのようにふやして患者のニーズにこたえるべきと考えておられるのか、また、在任中の社会保障制度全体の見直しについてどう総括されるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

 第五に、小泉改革は、未来を担う子供たちの教育基盤を揺るがしました。

 総理は、就任直後、この本会議にて、明治初期の長岡藩の米百俵の逸話を持ち出し、教育重視のポーズを示されました。

 しかし、実際には、日本の義務教育に対する公的支援は一貫して低いままで、教育に対する財政支出は対GDP比で二・七%と、OECD諸国で最低の水準であります。教育現場が抱える難題を顧みず、三位一体改革の名前をかりて義務教育費総額の減額を強行しようとしている総理に、米百俵を語る資格は全くありません。(拍手)

 公立学校と私学の格差についても放置したままであります。私立学校生への公的支援は公立学校生の約三分の一と著しく少なく、保護者は過重な負担に耐えかねております。公立、私学に通う子供への格差是正、私立学校生に対する直接授業料補助制度についてどのようにお考えになるのか、伺います。

 一九七九年に我が国も批准した国際人権規約の高等教育無償化条項について、百五十カ国が批准をしておりますが、たった三カ国だけ留保しております。その中に日本も含まれております。なぜ留保しているのか、御答弁をいただきたい。

 徹底的な歳出の見直しを行うことなく、マニフェスト違反の定率減税廃止を断行しようとしていることも含め、小泉改革には多くの影の部分があります。表面上の株価や経済成長率など、多少はよくなっているように見えても、財政赤字の増大、国民の負担増、社会の格差の拡大、雇用やセーフティーネットの破壊、不十分な子供政策など、多くの問題点をさらけ出しています。

 総理の所信表明演説は、余りにも自画自賛が過ぎました。実績を必要以上に誇るのではなく、今後取り組むべき課題、積み残した問題を真摯に語るべきです。みずからの五年間の影について、率直に語っていただきたい。

 次に、外交問題について伺います。

 まず、北朝鮮問題について、昨年末の日朝政府間協議の結果、今月末にも、拉致問題、核・ミサイル問題、国交正常化問題に関する並行協議を開催することが合意されました。

 この間、拉致事件について、外国人も含む新たな拉致被害者の存在や、辛光洙容疑者を初め、複数の拉致実行犯の名前が挙がっています。協議再開の前に、北朝鮮に対して、新たな拉致被害者に関する情報提供、拉致実行犯の速やかな引き渡しをどのように実現をするのか、伺います。

 また、安倍官房長官は今まで、拉致問題の進展がなければ北朝鮮に対して経済制裁を行うべきだと主張されてきました。その考えに変わりはありませんか。ないとすれば、いつのタイミングで経済制裁を行うべきと考えるのか、答弁を求めます。

 九月の六者協議で北朝鮮の核放棄に関する共同声明が採択されたものの、その後、実際には何の進展もありません。共同声明の内容実現と今後の六者協議に向けて、総理は、残された任期中、どのように対応されるおつもりなのか。また、拉致、核、ミサイルなどの全面的解決なくして国交正常化を急ぐ必要性は全くないと考えますが、総理の決意をお聞かせください。(拍手)

 昨年十一月、京都において日米首脳会談が開かれ、その場で小泉総理は、日米関係が緊密であれば中国や他のアジアの国々との関係はおのずとうまくいくといった趣旨の発言をされました。日米関係が日本にとって最も重要な二国間関係であることには同意いたしますが、日米関係だけをてこに、中国や韓国、他のアジアの国々との関係がうまくいくとは到底思えません。アジアと良好な関係にあり、影響力を行使できる日本とそうでない日本とでは、同盟のパートナーとしてアメリカは、どちらの日本を高く評価するでしょうか。答えは明らかです。日米首脳会談において、ブッシュ大統領から、中国や韓国との関係改善を求める発言があったと聞いていますが、事実をお聞かせください。

 私は、昨年十二月、中国を訪問し、腹蔵なく意見交換をしてまいりました。私が中国の軍事力増強や最近の動向を見て、現実的脅威と認識していることも伝えました。多くの国民が脅威に感じていると。しかし、それは敵視政策ではありません。お互いが関心を持つ現実の課題を率直に語り合うことによって、日中関係を改善、前進させることができると私は確信しています。(拍手)

 翻って、親中派と言われる議員たちが日中友好を口にするだけで、日中間に横たわる現実的な問題を今まで解決してきたのでしょうか。

 昨年の訪中で、民主党は、中国共産党と相互訪問による定期協議をスタートさせることに合意しました。中国の環境汚染、エネルギー効率の悪さ、鳥インフルエンザ、HIVなどの感染症対策、北朝鮮の核問題、そして私が提起した軍拡競争をお互いが引き起こさないための軍事交流がそのテーマです。率直に話し合い、相互に理解をし合い、真の信頼関係を構築したいと考えております。

 総理に提案をさせていただきたい。日中両国の次官級交流を定期協議化させ、環境、エネルギー、感染症、北朝鮮問題、軍事交流など、お互いの共通利益につながるテーマを議論し合うべきではありませんか。また、それを軌道に乗せ、アメリカと中国で行われている外務次官級の包括対話と時には合わせて、日米中三カ国で包括的な協議の場をつくり、率直な意見交換を通じて、アジア太平洋地域の安定、発展のために協力する必要性があると考えますが、総理の見解をお聞かせください。(拍手)

 終わりに、総理大臣が靖国神社に参拝することを国民のおよそ半分が賛成をし、半分が慎重にという気持ちを持っております。慎重にであって反対ではないところがこの問題の本質だと私は考えております。小泉総理が言われるように、日本人の多くは、戦争で亡くなられた方々のみたまをしのび、そして感謝する気持ちに満ちあふれています。そして、みたまに思いをはせることにより、不戦の誓いを新たにしています。

 では、なぜ慎重論も多いんでしょうか。私は、A級戦犯が合祀されていることにその理由を見出します。さきの大戦で多くの方々が国内外で亡くなられました。その時代が帝国主義によって支配をされていたにせよ、日本が侵略と植民地支配を行ったことは事実であります。政治が結果責任を求められる以上、当時、国政の中枢を担っていただれかが責任をとらなければなりません。A級戦犯がそれに完全に合致するとは思いません。東京裁判の正当性への疑問、あるいは、A級戦犯でも絞首刑になった人もいれば、名誉回復して勲一等をもらった人もおり、公平性の観点からすれば当然異論はあるでしょう。しかし、日本はすべてをのみ込んでサンフランシスコ講和条約を受け入れ、国際社会に復帰をいたしました。ことしは国連加盟五十周年に当たります。

 人の足を踏んだ人は、どんなに想像力を働かせても、足を踏まれた人の痛みを理解することはできません。他国から言われて靖国参拝を自粛するのではなく、我が国の大局的な判断によって、A級戦犯が合祀をされている間は、総理や官房長官、外務大臣は参拝しないという政治風土を築かれるべきだと私は考えます。

 小泉総理、そしてその後継者が、靖国問題に関して大局的な判断を下されるように切に要望し、なお答弁が不十分であれば再質問を行うことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 前原議員に答弁いたします。

 豪雪対策でございますが、被害に遭われた方々や今なお困難な生活を余儀なくされている方々に対し、心からお見舞い申し上げます。

 今般の寒波、大雪については、既に昨年末より、政府・与党連携して速やかな対応に当たっております。去る十九日には、人命の被害防止、国民生活の安全等に遺漏なきよう、各大臣に改めて指示したところであります。

 例年はこれから雪が多い時期であり、集落孤立などの発生も予想されるところから、被害の拡大防止のため、今後とも、災害救助法による支援、自衛隊の迅速な派遣、補助金の緊急配分など種々の対策を講じてまいります。

 緊急事態基本法につきましては、一昨年五月の三党合意、昨年八月の三党からの申し出に基づき、政府において、いわゆる有事を初めとする国家の緊急事態への対処のあり方等について検討しているところであります。法案の提出については、これらの検討を踏まえ、適切に判断してまいります。

 人権救済制度についてのお尋ねでございますが、政府・与党内でさらに検討を進めまして、人権侵害被害者の実効的な救済を図ることを目的とする人権擁護法案をできるだけ早期に提出できるよう努めてまいります。

 民主党の提案に関する国会での議論についてでございますが、国会は、与野党議員あるいは政府から提案された議案について与野党で議論する場であり、野党も与党案や政府案に反対するばかりでなく、対案を提出して、与野党で活発な議論がなされることが望ましいことは、前原代表の言うとおり、言うまでもありません。

 実際の国会運営は、各党各会派が協議しながら行っているところであり、直面する重要な課題について、国会において建設的かつ活発な議論が与野党間で行われることを期待しております。

 耐震偽装マンションの居住者に対する公的支援措置についてでございますが、危険な分譲マンションの居住者について、その安全と居住の安定を確保することは、緊急に取り組むべき課題であります。

 売り主である建築主が契約上の責任を誠実に履行する見通しが全く立っていない現状では、売り主に対する徹底した責任追及を前提に、類似の財政措置との均衡にも配慮した上で、居住者に対する公的な支援を行う必要があるものと考えております。

 具体的には、ローンや税負担の軽減策に加えて、既存の法律に基づく地域住宅交付金を活用し、地方公共団体に対し国が助成を行って、相談、移転から取り壊し、建てかえに至る総合的な支援措置を講ずることとしております。

 なお、関係者の法的責任については、今般の支援措置とは別の問題であり、事件の全容が解明された後に明らかになるものと考えております。

 耐震強度偽装問題に関し、証人喚問などを含め、事件の全容解明と対策への取り組みについてでございますが、証人喚問、参考人招致の取り扱いについては、院の運営に関する問題であり、国会においてよく議論していただきたいと考えております。

 政府としては、マンションの居住者及び周辺住民の安全を最優先に、居住の安定確保に努めるとともに、国民の不安を払拭するため、実態の全容を早急に把握すると同時に、書類の偽装を見抜けなかった建築確認検査制度を総点検し、早急に見直しが必要なものについては、今国会において制度の改正を行うことといたします。さらに、建築物の耐震診断や耐震改修に対する支援措置を講じて耐震化を促進し、事件の再発防止と建築物全般にわたる安全性、信頼性の確保に全力で取り組んでまいります。

 米国産牛肉輸入に関してでございますが、一月二十日に、輸入された米国産牛肉に危険部位の混入が確認されたため、直ちにすべての米国産牛肉の輸入手続を停止いたしました。輸入を再開するためには、日米間で合意したルールの遵守が必要であり、二度とこうしたことが起きることのないよう、国民の食の安全、安心を大前提に、米国に対し、原因究明と再発防止を求めております。

 なお、輸入牛肉にトレーサビリティーを義務づけることは、国際協定との関係で問題となることも考えられ、慎重に検討する必要があると考えております。

 子供の安全対策についてでございますが、既に昨年十二月に、全通学路の安全点検、地域ボランティアの充実、路線バスの活用などを内容とする緊急対策六項目を盛り込んだ「犯罪から子どもを守るための対策」を取りまとめ、犯罪対策閣僚会議においてその着実な推進を確認したところであります。

 今後とも、子供が健全に育っていくことのできる社会の実現に向け、努力してまいります。

 公共交通機関の安全についてでございますが、公共交通機関の安全確保は、国民の公共交通に対する信頼の根本をなすものであります。先般の列車事故のような悲劇を二度と繰り返さず、とうとい人命を事故から守るためには、すべての交通分野において、運転士の資質向上など人にかかわる対策、安全を最優先する企業風土の徹底など企業にかかわる対策、施設等の安全基準など制度にかかわる対策について不断の見直しを行いつつ、総合的に施策を講じていくことが重要であります。

 政府としては、今国会において、最近の事故等を教訓に、事業者における安全の取り組みを強化するための制度改正を行うこととしており、引き続き公共交通機関の安全の確保に向けて全力を尽くしてまいります。

 私の任期についてのお尋ねでございますが、私は、ことし九月の自民党総裁任期をもって総理大臣を退任いたします。残された任期いっぱい、内閣総理大臣の職責を果たすべく全力を尽くしてまいります。

 景気回復の基調は本物なのかとお尋ねでございます。

 日本経済は、二〇〇二年一月以来、消費や設備投資といった国内民間需要中心の緩やかな回復が続いております。こうした背景には、好調な世界経済に加え、不良債権処理の進展や雇用、設備、債務の三つの過剰の解消に見られるように、企業部門の体質が強化され、収益や設備投資の増加が続いていること、また、企業部門の好調さが雇用、所得環境の改善を通じて家計部門にも及んでいることが挙げられます。このように、実体経済における景気回復の基調はしっかりしているものと考えております。

 衆院選で堀江氏を応援したことについてお尋ねでございますが、堀江氏の関連企業については、現在捜査当局による捜査が行われているところであり、その状況を見守っていきたいと思います。違法行為があれば、これに厳正に対処すべきことは当然であります。

 なお、この件と、昨年の衆議院総選挙において自民党幹部などが堀江氏を応援したこととは別の問題であると考えております。

 改革への覚悟についてでございますが、私は、総理に就任して初の所信表明演説で、「痛みを恐れず、既得権益の壁にひるまず、過去の経験にとらわれず、恐れず、ひるまず、とらわれずの姿勢を貫き、二十一世紀にふさわしい経済社会システムを確立していきたい」と申し上げました。

 これまで改革を進める際には、総論賛成、各論反対に直面し、現状を維持したい勢力との摩擦、対立が起こりましたが、政治は一部の利益を優先するものであってはならず、国民全体の利益を目指すものでなければならないとの思いで、政界のタブーと言われた郵政民営化を初めとした改革を進めてまいりました。

 今後とも、簡素で効率的な政府を実現するために、これまでの方針に基づき行政改革を推進していく考えであり、民主党からも建設的な対案をいただきたいと考えております。

 国家公務員の総人件費につきましては、政府の規模の大胆な縮減に向けて、対GDP比で見て今後十年間でおおむね半減させるといったような長期的な目安も念頭に置きながら、改革を進めてまいります。

 こうした方針のもと、今後五年間の取り組みとして、定員については厳格な定員管理を行うとともに、民間の有識者の知見も活用しつつ業務の大胆かつ構造的な見直しなどを断行いたします。

 また、給与についても、人事院において早急に検討を行い、政府として、厳しい財政状況を踏まえ、給与水準の民間準拠を一層徹底するなどの給与制度改革に全力で取り組みます。

 なお、地方公務員の定員、給与についても同様の取り組みを要請してまいります。

 公務員の労働基本権につきましては、その地位の特殊性と職務の公共性から一定の制約がなされており、人事院勧告制度はこれに見合う代償措置として設けられております。こうした点を踏まえつつ、国民意識や給与制度改革の進捗状況等も踏まえた幅広い観点から、公務員制度に関する課題の一つとして十分に検討を行うべきものと考えております。

 国家公務員法第七十八条の分限処分についてのお尋ねでございますが、分限制度は、勤務実績がよくないなどの職員を本人の意に反して処分を行うものであります。職員の利益擁護の観点から濫用を戒めてきた過去の附帯決議や裁判例も踏まえつつも、前原議員御指摘のように、適切に運用することにより、公務の適正かつ能率的な運営の確保に努めていく必要があると私も考えております。

 景気回復の実感がないのではないか、小泉改革によって格差が拡大したのではないかとのお尋ねでございますが、我が国経済は、企業部門の改善を受けて、家計部門において、失業率の低下、有効求人倍率の上昇、好調なボーナスなど賃金の緩やかな増加、消費者マインドの改善といった改善の動きが進むなど、着実に景気回復の道を歩んでいると考えております。

 所得や資産の格差の問題については、こうした状況においても、予算、税制、規制改革などの検討に当たっては、よく注視していく必要があると考えております。

 この点について、近年、ジニ係数の拡大に見られるように所得の格差が広がっているとの指摘がありますが、統計データからは、所得再分配の効果や高齢者世帯の増加、世帯人員の減少といった世帯構造の変化の影響を考慮すると、所得格差の拡大は確認されない、また、資産の格差についても明確な格差の拡大は確認されていないとの報告を受けております。

 しかしながら、将来の格差拡大につながるおそれのあるフリーター、ニート等若年層の非正規化や未就業の増加、生活保護受給者の増加、また東京などの都市と地方の格差といった最近の動きには注意が必要であります。このため、政府としては、これまで、ニート、フリーター、生活保護受給者の自立支援対策の充実や地方の再生を進めております。

 引き続き景気の回復を図るとともに改革を進め、地域や多くの国民が持っている潜在力が発揮され、国民一人一人が将来の夢と希望を実現できる活力ある経済社会の構築に向けて全力で取り組むことが重要であると考えております。

 財政再建についてでありますが、私は、就任以来、財政健全化に向けて徹底した無駄の排除に取り組んできたところであり、公共事業費を約四割削減するなど、十三兆円を上回る歳出改革を進めてまいりました。

 また、十八年度予算においても、一般歳出の水準を二年続けて前年度以下にするとともに、基礎的財政収支も三年連続で改善しております。さらに、民主党が二〇〇八年度予算において実現するとされた国債発行額三十兆円未満も、二年前倒しして実現したところであります。(拍手)

 今後の課題は、引き続き簡素で効率的な政府を目指して徹底した行財政改革を行うとともに、持続的な経済活性化を実現していく上で財政がその足かせとならないようにするため、高齢化により増加する社会保障の財源をどう賄うか、また膨大な債務をどうすべきかといった点も含め、将来に向けた財政健全化の道筋を示していくことであると考えます。

 このため、本年六月を目途に、歳出歳入を一体とした財政構造改革の方向についての選択肢及び工程を明らかにし、改革路線を揺るぎないものといたします。

 パートタイム労働者などの雇用についてでございますが、近年、正社員が減少する一方、パートタイム労働者などいわゆる非正規労働者が増加しております。

 こういった事態に対処するため、政府としては、均衡処遇に取り組む事業主への支援の強化や公正な処遇が確保される短時間正社員制度の普及など、だれもが安心して働くことができるような労働環境の整備を進めてまいります。

 なお、法規制の強化については、労使を含めた国民的合意形成を図りつつ対応していくことが必要と考えております。

 年金制度の改革でございますが、年金制度については、平成十六年の制度改正により持続可能な制度とすることができたと考えておりますが、引き続き、国民年金保険料の未納、未加入対策の強化や、社会保険庁の改革などに取り組んでいるところであります。

 国民年金を含めた一元化については、事業主負担をどうするのか、所得の捕捉をどうするかといったさまざまな課題があり、まずは厚生年金と共済年金の一元化を速やかに実現することが重要であると考えております。このため、被用者年金一元化について、四月末を目途に基本方針を閣議決定することができるよう、早急に検討を進めてまいります。

 いずれにせよ、年金制度は長期的な視野に立って改革を進める必要があることから、与野党が胸襟を開いて協議を行い、意見の相違を埋める努力をすることが重要であり、早急に民主党も参加して両院合同会議における議論が再開されることを期待しております。(拍手)

 小児科医師等の確保についてでございますが、小児医療、救急医療の分野における医師等の確保につきましては、今般の医療制度改革において医療計画制度を見直し、地域の医療関係者の協力のもと、小児医療対策、救急医療対策などの事業ごとに具体的な医療の連携が確保されるようにするとともに、平成十八年度診療報酬改定において、小児医療等の医療の質の確保に配慮し、急性期医療の実態に即した看護配置を適切に評価した改定を行うこととしており、こうした総合的な対策により対応してまいります。

 社会保障制度全体の見直しの総括でございますが、年金、医療、介護等の社会保障制度については、少子高齢化が進展する中で、世代間の公平性を確保し、それぞれの制度の持続可能性を高める必要があり、こうした観点から制度全体の一体的な見直しに取り組んでまいりました。

 具体的には、平成十四年には医療制度改革、平成十六年には年金制度改革、平成十七年には介護保険制度改革を実施したところであります。

 さらに、増大する医療費の適正化を推進し、新たな高齢者医療制度の創設等を内容とする医療制度改革関連法案を今国会に提出するとともに、年金改革の残された課題である被用者年金の一元化について、先ほど申し上げたとおり、基本方針をできるだけ早く取りまとめたいと考えております。

 また、少子化対策についても、平成十六年末に子ども・子育て応援プランを策定するとともに、今国会には児童手当の拡充などを内容とする改正法案を提出する予定であります。今後は、こうした取り組みを踏まえながら、さらに少子化対策を強力に推し進めることとしております。

 今後とも、社会保障制度の構造改革を進めてまいりたいと考えております。

 公私立学校間の負担格差の適否及び直接授業料補助制度についてでございますが、公立学校に比べて私学に係る教育費負担が大きいという問題については、これまでも私学助成や奨学金事業など各種支援策を実施してまいりました。

 今後とも、教育費負担の軽減に努めることは必要であり、家庭に直接補助する教育バウチャー制度についても、これまでの実施例を参考にしつつ、その意義や問題点などについて今後さらに研究、検討を行ってまいりたいと考えております。

 国際人権規約についてでございますが、我が国の高等教育機関への進学率は、奨学金事業等の支援により、先進国の中でも高い水準である七六%にまで達しております。今後とも、高等教育を受ける機会の確保について適切な施策を講じてまいります。

 なお、高等教育無償化条項については、無償化のための財源をどのように賄うか等の問題もあることから、留保しております。

 日朝包括並行協議についてでございますが、日朝包括並行協議では、拉致、安全保障、国交正常化の各問題を取り上げ、日朝関係の全般的な進展を図る考えであります。その中で、特に最優先課題である拉致問題に関し、生存者の帰国、真相の究明、容疑者の引き渡しを北朝鮮側に強く求め、問題解決に向けた具体的前進を図るべく最大限努力してまいります。

 また、拉致問題の解決のためには国際社会との連携も重要であり、拉致被害者が存在するとされる国との間で情報交換や意見交換を引き続き行っていく考えであります。

 六者会合については、政府としては、北朝鮮による核問題の解決のためには、六者会合を通じた平和的解決が依然として最も現実的かつ最善の対応であると考えております。

 政府としては、議長国の中国や米国、韓国と緊密に連携し、まずは六者会合の早期再開を図り、その上で、北朝鮮の核廃棄の実現のため、昨年九月の共同声明の早期実施に向け最大限努力してまいります。

 日朝国交正常化についてですが、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決なくして国交正常化なしとの政府の方針は一貫しています。今後行われる日朝包括並行協議においてもこの方針にのっとって臨んでまいります。

 日米首脳会談における中国及び韓国との関係に関するやりとりについてのお尋ねでありますが、私は、十一月の日米首脳会談では、日米関係がよければよいほど各国との関係もよくなっていくべきものであると。日米関係がよければ各国との関係はどうでもいいなんということは一言も言っておりません。そこを誤解しないでいただきたい。これに対して、ブッシュ大統領は、賛成である、良好な日米関係があるからこそ、中国も、日本及び米国との関係をよくしていかなければならないと思うのではないかとの発言もありました。私の発言の趣旨を誤解せず、曲解せず、正確に受けとめていただきたいと思います。(拍手)

 前原代表も、日米関係は重要であるという、その上に立って、中国や韓国等の各国との関係も進めていくべきだという考えについては、それほど反対しないのではないかと思っております。

 私は、日米関係の良好の上に立って、これからもアジア諸国、世界各国との関係を引き続きいい関係に持っていくよう努力してまいりたいと思います。

 日中間の協議でございますが、谷内外務事務次官と戴秉国・中国外交部副部長との間では、中長期的視点に立って、日中二国間関係、地域・国際情勢について議論するために、日中総合政策対話を昨年五月よりこれまで三回実施してきており、次回の会合を近く実施する方向で調整しているところであります。引き続き、幅広い分野において日中間の忌憚のない意見交換を間断なく行っていく考えであります。

 日米中三カ国の協議についてでございますが、日米、日中、米中間で幅広い分野において意見交換を実施し、日米中三カ国間で意思疎通を促進させることは、アジア太平洋地域の安定、発展のために有意義なものと考えます。日米中三カ国による包括的な協議の場をつくるとの考えについては、一つの提案として承っておきたいと思います。

 前原代表が民主党の党首、代表に就任して以来、単に自民党や小泉内閣を批判するばかりでなく、建設的な提案、対案を行っていきたいということについては、私は歓迎しております。前原代表も御苦労が多く、大変だと思いますが、党内の抵抗勢力に負けずに、民主党を将来、政権担当できるような政党にしていくよう指導力を発揮していかれるよう、私も心から期待しております。(拍手)

    〔国務大臣安倍晋三君登壇〕

国務大臣(安倍晋三君) 前原議員にお答えをいたします。

 まず、耐震強度偽装問題への対応についてお尋ねがありました。

 私自身、小嶋氏との面識は全くなく、また私の秘書も、国土交通省への働きかけを含め、問題になるような対応は一切しておりません。

 耐震強度偽装問題への政府としての対応については、総理大臣から答弁があったとおりであります。参考人招致については、院の運営に関する事柄であります。しかしながら、私の秘書の参考人招致については、私は全く必要ないと考えております。

 次に、北朝鮮に対する経済制裁についてお尋ねがありました。

 日朝間の諸懸案の解決に向けた政府の基本方針は、対話と圧力です。日朝間の諸懸案の解決のためには、北朝鮮と対話を進めると同時に、圧力となる施策も必要です。この点につき、私の考えは一貫しています。北朝鮮への圧力を考える上では、いかなる措置をいかなるタイミングで講じるかが、問題解決に向け最大の効果を上げるかとの観点から重要であります。

 政府としては、今後立ち上がる拉致問題に関する協議において、北朝鮮に対し、生存者の帰国、真相究明、容疑者引き渡しを強く要求し、北朝鮮側の誠意ある対応を強く求めてまいります。(拍手)

議長(河野洋平君) 前原誠司君から再質疑の申し出があります。残り時間がわずかでありますから、ごく簡単に願います。前原誠司君。

    〔前原誠司君登壇〕

前原誠司君 幾つか質問をしたいことがございますけれども、時間の関係で一点だけにとどめさせていただきます。

 まず、光と影の、影の部分についての答弁がなかったことについては、これは再質問ではなくて、答弁漏れということで答弁をいただきたいと思います。

 一点、先ほど私は、証人喚問、参考人招致につきまして、自民党総裁としての総理の考え方を伺いました。院の運営については、当然ながら、議運や国対あるいは担当の委員会の理事が話し合うことでございますが、党の責任者としてどう考えるのかということを私は伺いました。

 特に、伊藤公介議員の場合におきましては、この間の記者会見で、自分はその中身について知らなかった、そういうお答えをされておりました。本来、政治家というものは、さまざまな方から要望を受ければ、それについて、役所に通すべきものなのかどうなのかということを自分がまず判断をしてから、そして役所に要望するしないを決めるのが政治家としてイロハのイではありませんか。それをやらないままで、献金を受けていた、パーティー券を買ってもらっていた、そして自分の子供が仕事をもらっていた、そういうことをはっきりさせなければ、これは耐震強度偽装の問題ではなくて、政治の金の問題につながると私は考えます。

 だからこそ総理は、自浄能力を発揮して……

議長(河野洋平君) 前原君、申し合わせの時間が過ぎましたから、簡単に願います。

前原誠司君(続) 伊藤公介議員の証人喚問に応ずべきということを、自民党総裁としての考えをもう一度述べていただきたいと思います。

 終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 前原代表の再質問については、すべて答弁しております。

 念のために、あえて再質問されましたから再答弁いたしますが、耐震強度偽装問題に関してどうか、証人喚問についてもどうかという質問に対して私は、先ほどのように全部答弁するとまた時間の関係で、一部省略いたしますが、政府としては、マンションの居住者及び周辺住民の安全を最優先に、居住の安定確保に努めるとともに、国民の不安を払拭するため、制度改革等を含め全力を今後とも尽くしてまいります。

 そのほか、十分答えております。

 また、証人喚問につきましても、証人喚問、参考人招致の取り扱いについては、院の運営に関する問題であり、国会において議論していただきたいと答弁しております。

 また、小泉内閣の改革の影の部分についてでありますが、これは、格差が拡大したのではないかという答弁の中にも、いろいろ統計データにつきましては、そのような明確な格差の拡大は確認されていないという報告を受けている。しかしながら、将来の格差拡大につながるおそれのあるフリーター、ニート等若年層の非正規化や未就業の増加、生活保護受給者の増加、また東京などの都市と地方の格差といった最近の動きには注意が必要であります。このため、政府としては、これまでニート、フリーター、生活保護受給者の自立支援対策の充実や地方の再生を進めております、今後とも努力していくという答弁を、かなり細かく答弁しております。

 また、小泉改革の影に関してでも、パートタイム労働者の雇用について、これは非正規労働者が増加しておりますが、こういう問題については、法規制の強化等についていろいろ御意見もありますが、労使を含めた国民的合意形成を図りつつ対応していくことが必要であるといったように、かなり具体的に細かく答弁しております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 久間章生君。

    〔久間章生君登壇〕

久間章生君 自由民主党を代表して、小泉総理の施政方針演説を受けまして、総理初め関係閣僚に質問をいたします。(拍手)

 まず、質問に先立ち、昨年の十二月二十五日、東日本旅客鉄道株式会社羽越線における列車脱線事故で、不幸にも亡くなられました五名の方に心から哀悼の意を表しますとともに、三十二名の重軽傷者の方々の一日も早い御回復を祈念いたします。

 また、昨年の十二月上旬以降、折からのたび重なる寒気の到来により、日本海側の各地では暴風を伴った大雪に見舞われ、記録的な積雪となったところもあります。この大雪による家屋の倒壊や、除雪作業中に屋根から転落するなどして多くの方々がお亡くなりになりました。心からお悔やみを申し上げますとともに、関係地域の方々にお見舞いを申し上げます。

 超高齢化社会を控え、だれもが安心して安全、快適に暮らせる災害に強い国土づくり、町づくりや集落形成づくりのため、既成の概念や価値観などにとらわれず、みんなが知恵を出し合う機会にすべきだと考えております。

 まず、安全、安心の確保についてであります。

 このたびの豪雪は、ライフラインや道路、交通機関などにも影響を与え、不自由な生活を余儀なくされた方も多くおられました。特に、国道四〇五号の全面通行どめにより、新潟県や長野県の一部集落が孤立するなど市民生活に大きな影響を与えましたが、このような道路の通行どめによる集落の孤立を防止するため、今後どのような対策をとられるのか。

 また、昨年は、三月の福岡県西方沖地震、九月の台風十四号などにより大きな被害が発生しました。これら災害による被災者の方々に心からお見舞い申し上げますとともに、今後とも、政府としてしっかりと被災者への支援、被災地の復旧復興に努めていただきたいと思います。

 さらに、いつどこで発生してもおかしくない地震への対策を進めることが重要であります。平成七年一月十七日の阪神・淡路大震災では、地震により六千四百人以上のとうとい命が奪われ、地震発生後の犠牲者の八割以上が建築物の倒壊による窒息死、圧死でありました。そこで、住宅や建築物の耐震化を積極的に推進することが地震による死者数軽減の最も効果的な対策であると考えております。

 また、政府を挙げて耐震化問題に取り組んでいる最中に発覚した今回の耐震偽装問題は、国民生活の基礎である住宅について、国民の夢と希望、信頼を大きく損ねた、まことに許しがたい行為と言わざるを得ません。被害に遭われた居住者の安全を確保するとともに、国民の間に広がる建築物に対する不安を解消する上でも、迅速かつ的確な対応が求められております。

 与党は、居住者の安全確保、危険建物の除去、被害者に対する支援、検査機関に対する緊急実態調査の実施、さらには第三者委員会の設置などについて、政府に早急な対応を強く促したところであります。

 早速政府においては、十二月六日、関係閣僚によって、居住者への公的支援等を内容とする当面の対応を取りまとめられました。現在なお疑いのある物件の調査が継続する中、今般、警察による強制捜査が行われたところであり、今後、事件の実態も明らかになると考えられます。

 こうした中で、建築基準法、建築士法等の現行法制度の不備も指摘されており、建築物全般にわたる安全性、信頼性の確保に向け、抜本的な対策が必要ではないかと考えます。

 なお、アスベスト被害についてでありますけれども、現在、アスベストによる健康被害が大きな社会問題となっております。特に、アスベストによる被害者のうち労災補償など既存の法律で救済されることがない方々については、現状では救済の道が事実上閉ざされております。これらの被害者について、迅速かつすき間のない救済を図るため、与党の検討結果を受け、一月二十日に被害者救済のための新法が国会に提出されました。一刻も早くこの新法を成立させなければなりません。

 さらに、国民の不安を解消するため、アスベストに関する情報の開示や、アスベストの早期で安全な除去が求められております。既存の建築物でアスベストを使用しているものがどれだけあるかにつきましては、政府で既に調査を行い、結果を公表しておりますが、府省ごとの個別の発表にとどまっており、アスベスト問題に関する情報公開の窓口を一本化する必要があると考えます。さらに、本件の行政相談窓口についても、その一本化や関係府省での情報の共有が必要と考えます。

 今後、アスベスト使用建築物は、飛散の危険性が高いものを優先しつつ早急に除去するため、自治体への補助や民間に対する融資などの支援策が必要と考えます。安全、安心の確保につきまして、総理のお考えをお伺いします。

 なお、この問題に関連して、米国産牛肉に危険部位の混入が判明した問題についてでありますが、政府は直ちに輸入の全面禁止を決定されました。この決定は、同時に、我が国が水際対策等、BSE問題に万全を期してきた経緯から見ても高く評価いたしたいと存じます。

 今後、食の安全という観点からも、米国に対し、安全管理の徹底も含め、厳しく対応すべきと考えますが、農林水産大臣の答弁を求めたいと思います。

 次に、小さくて効率的な政府の実現についてであります。

 総理は、昨年の総選挙に当たり、郵政民営化なくして小さな政府なしとの決意を表明し、国民の圧倒的支持を得て、特別国会で郵政民営化法案を成立させました。いよいよ、行財政改革を通じた小さな政府を実現するために、改革を加速させるための強力な取り組みがメジロ押しとなります。

 まず、平成十八年度予算は、総理就任時の公約であった国債発行三十兆円への復帰を目指して予算編成が行われ、それを達成しました。プライマリーバランスも三年連続で改善し、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスの黒字化を目指すとの政府の目標に向け、着実に前進しつつあると言えます。しかしながら、国、地方合わせて七百七十五兆円もの巨額の債務を抱え、それはいまだにふえ続けているという深刻な状況には変わりありません。

 国民の将来不安を払拭し、持続可能な経済社会を構築していくため、今後も歳出歳入一体改革をより一層強力に推進していく必要があります。デフレ脱却も含め、経済財政運営に当たっての総理の御決意をお伺いいたします。

 この第百六十四国会は行革国会であります。昨年末に策定された行政改革の重要方針は、小泉改革の総仕上げとして、小さくて効率的な政府への道筋を確かなものにするため閣議決定したものであると承知しております。それをさらに法律化していこうという意気込みも評価されるところであります。

 そこで、幾つか質問を申し上げます。

 まず、大きな柱の一つであります公務員の総人件費改革について、政府の基本方針は、今後十年間で総人件費を対GDP比でおおむね半減させるとしておりますが、そもそも人件費をGDPと比較することの意味はどうなのか。

 また、人件費の抑制については二つの要素があり、一つは公務員の人数を減らすこと、いま一つは給与水準を下げることであります。公務員の人数を減らす、つまり、いわゆる純減の問題ですが、政府の方針では五年で五%の純減をうたっています。その具体的方策はどのようなものか。また、給与水準とその決定方式としての現在の人事院勧告制度についてどうあるべきか。

 さらに、こうした総人件費の改革に着手すれば、必ず公務員制度そのものを改革する必要性が高まろうと思いますが、民間のような能力、実績を重視した任用、給与の制度を導入するお考えがあるのかどうか。また、いわゆるキャリア制度あるいは天下りについてはどう考えるか。さらには労働基本権をどう考えるのか。これらについての、公務員制度改革法案提出の時期を含めて、総理のお考えを伺います。

 次に、政策金融改革ですが、これは、昨年十一月に政府・与党で協議を重ねた結果、民営化や廃止、統合することになったところでございますが、全体として、この改革の方向性をどう評価するのか。

 また、特別会計改革については、昨年末、与党で特別会計整理合理化計画骨子を策定しました。この際、政治のリーダーシップと英断をもって対処すべきと考え、当面、特別会計数は半分以下とすることとしております。これに対して、特別会計制度そのものについての総理の御見解をお伺いしたいと思います。

 次に、公益法人制度は、明治二十九年に民法が制定されて以来、百年以上にわたって抜本的な見直しが行われてこなかったため、時代の変化に対応した、国民による非営利活動の妨げになっているとの指摘があります。今回、抜本的な制度改正の法案が提出される運びになったことは、大きく評価されてしかるべきであると思います。

 規制改革については、今国会に公共サービス効率化法案、いわゆる市場化テスト法案を提出予定と承知しております。この法案のポイントは、財政負担の軽減と官業の民間開放であろうかと思います。

 財政負担の軽減の面でいいますと、官民競争入札ですから、民間が勝った場合、その業務にかかわっていた公務員については、例えば、分限免職の上、民間に転籍させるなどしなければ、行革効果は大きく上がりません。この場合の公務員の処遇についてはどう措置すべきか。

 また、官業の民間開放の面では、市場化テストはその促進剤に位置づけられると考えますが、官民の事業の仕分け、あるいは市場化テストの対象事業の選定についてはどのように考えるのか、総理の見解をお伺いします。

 年明けの一部報道で、省庁再々編が話題となっておりました。平成十三年に省庁再編をスタートさせてちょうど五年がたちますが、この際、省庁再編をレビューし、再編することでうまくいったこと、うまくいっていないことを整理し、再々編をしていこうというお考えをお持ちなんでしょうか、総理の御所見をお伺いします。

 次に、成長の確保についてであります。

 資源の乏しい我が国が、厳しい国際競争に伍して今後とも持続的な繁栄を続けるためには、国家戦略として義務教育を初め教育の改革を進め、人間力の向上を図る必要があります。さまざまな課題がある中、教育の根本を定める教育基本法を改正し、豊かな情操と道徳心にあふれ、正義と責任を重んじ、伝統文化を尊重し、郷土や国を愛する心や公共の精神が身につく教育、また家庭や地域の教育力の再生を実現すべきであります。教育基本法改正に向けた文部科学大臣の御決意をお伺いします。

 また、少子化の中で、人間形成の基礎が培われる幼児期の教育は極めて重要です。現在、長年の懸案であった、幼稚園と保育所の機能をあわせ持ち、教育と保育を一体として提供する施設の設置に向けた検討が鋭意進められております。すべての子供が力強く生きる力を幼児期から育成するため、国家戦略としての幼児教育を推進すべきと考えますが、文部科学大臣の御見解はいかがでしょうか。

 我が国経済は、緩やかに景気が回復しているものの、回復感には地域や企業規模等の間で大きなばらつきがあるなど、懸念される要素もあります。また、現在我が国は、グローバル競争の激化、巨額の財政赤字、少子高齢化、人口減少といったさまざまな課題を抱えております。

 こうした我が国の置かれた厳しい状況を踏まえると、今後とも、経済の構造改革と従来型の公共事業に極端に頼らない新しい形の経済活性化に向けて、政府が一丸となって取り組むことが必要であると考えます。新たな成長戦略に向けての総理の御決意をお伺いします。

 また、科学技術創造立国の実現が必要と思います。

 宇宙開発は、人類の広大なフロンティアを開くとともに、国民、特に青少年に多くの夢を与えるものであります。現在、平成十八年度からの第三期科学技術基本計画の策定作業が進められておりますけれども、必要な研究開発投資を確保し、宇宙輸送システム、新しい原子力エネルギー、次世代スーパーコンピューターの開発など、我が国の発展の基幹としての重要技術の開発整備や人材養成を推進すべきであります。

 また、昨年の原油価格高騰は、日本経済及び世界経済にさまざまな影響を及ぼしました。その背景には、中国、インドの急成長などによる需要の急増など、世界のエネルギー市場の構造変化があります。こうした情勢に対し、欧米諸国では、省エネ政策の強化、原子力の見直し、国際的な資源確保戦略の強化など、エネルギー国家戦略の見直しが進んでいますが、我が国としても確固たるエネルギー戦略が急務と考えます。

 柔軟かつ強靱な体質を持った産業、国家をつくり上げるには、省エネ、新エネ、安全確保を大前提とした原子力の推進など、需給両面から総合的な対策が必要であります。中でも、電気自動車や燃料電池車など、我が国が得意とする革新的なエネルギー技術の開発と導入がかぎを握ると思われますが、今後のエネルギー技術戦略をどう考えるのか、総理の御見解をお伺いします。

 我が国は、昨年十二月のWTO香港閣僚会合において、後発開発途上国を支援する開発イニシアチブを打ち出して、先進国及び途上国双方から高い評価を受けました。ラウンド交渉は、この会合で一定の前進を見たものの、関係国の利害が錯綜する中、難航しております。実質上の合意期限である本年末まで、残された時間はわずかであります。貿易から多大な利益を得てきた経済大国として、我が国が自由貿易体制の維持発展に責任を負っていることは言うまでもありませんが、交渉成功に向けてのかぎとなる開発途上国の取り扱いを含め、ラウンド交渉に取り組む総理の御決意をお伺いしておきたいと思います。

 近年、我が国は、各国との経済連携協定、いわゆるEPA締結に取り組み、昨年も総理にはマレーシアとの協定に署名されましたが、今後、総理が提唱されている東アジア共同体を実現し、また我が国経済の安定成長を確保するためにも、東アジア諸国や資源供給国等とEPAを締結し、密接な共存共栄の関係を構築していくことが不可欠であります。その際には、労働市場や農業等の国内構造改革を踏まえて対処することが重要であります。

 さて、このWTO農業交渉やEPA交渉は、今後の農政を左右する重要な交渉であり、我が国農業に多大な影響を及ぼすことが想定されます。このため、政府は、やる気と能力のある担い手を育成し、確保する視点に立って、経営所得安定対策の導入や、政策金融改革に伴い新設される機関においても、農業専門の部門で長期低利融資を適切に実施していくなど、農政改革を積極的に進め、これに基づく各般の施策を展開していただくように、まず強く要望いたします。

 しかるに、昨年十二月のWTO香港閣僚会議においては、農業の問題についても積極的に議論をリードし、香港閣僚宣言の採択にこぎつけたと聞いております。今後、農業交渉は、四月末のモダリティー確立に向け、最重要課題である市場アクセスを中心に集中的な議論が見込まれておりますが、重要品目の数や取り扱い、上限関税といった問題について、我が国の農政改革の方向にも即した結論を得るように努力していく必要があると考えております。今後の交渉に臨む農林水産大臣の御決意をお伺いいたします。

 次に、少子化、子育て支援についてであります。

 我が国の人口は、二〇〇五年をピークに二〇〇六年から減少に転じると予想されておりましたが、予想を上回る少子化の進行により、昨年から減少に転じたことが発表されました。団塊ジュニアと呼ばれる年代の方々が結婚、出産適齢期にある時期に出生率低下の流れを変えられなければ、我が国の子供の数は減少の一途をたどることになります。

 政府は、これまでに、子育てと仕事の両立支援を中心とした取り組みを進めてきましたが、効果は上がっておりません。少子化対策に特効薬はありませんが、今こそ思い切った施策、考え得るすべての施策を実施すべきときだと考えます。経済的支援も、保育所の充実も、子育てしやすい労働環境の整備も必要です。母親が孤立しがちな育児の状況を地域社会が支えることも必要であります。

 また、子供が被害者になる事件も続発しており、その未然防止も求められております。子供を産み、育てようとする人が不安に感じたりためらったりすることなく、また、生まれた子供を健やかに育てる社会環境を整えていくことが政治の役割ではないかと思います。総理のお考えをお聞かせください。

 我が国外交の積極的展開についてお尋ねしたいと思います。

 アジアは今、未曾有の経済的繁栄と域内相互依存関係の高まりの中で、この地域を一層発展させる大きなチャンスを迎えております。その一方で、テロ・海賊問題、エネルギー問題、鳥インフルエンザ等の感染症問題など地域共通の課題を抱え、加えて、ナショナリズムの高まり等の不安定要因も顕在化しております。

 昨年末、アジアにおける新たな協力の枠組みを目指して、東アジア・サミットが開催されました。アジアは我が国のよって立つ地域であり、この地域の安定なくして我が国の平和と繁栄はないとの認識のもとで、この流れを確かなものとし、自由、民主主義、人権、法の支配など、普遍的価値の共有を目指すべきであります。

 そのためには、日中、日韓の関係改善は喫緊かつ重大な課題であり、新しいアジアをともに創造するという未来志向型の関係を構築していかなければなりません。中国、韓国との関係改善や新しい東アジアの構築など、今後のアジア外交をどう展開するのか。

 また、このアジア外交においては、北朝鮮による拉致問題等があります。

 昨年末の日朝協議では、我が国の提案した、拉致問題、ミサイルや核問題などの安全保障問題、過去の清算を含む国交正常化問題の三分野を同時並行的に協議していくことが確認されました。すぐにでも新たな協議の場での交渉を開始し、生存者の早期帰国と安否不明者や特定失踪者の情報提供、拉致実行犯の引き渡し等を強く求めていかなければなりません。

 この拉致問題の解決は国家の責任であり、一日も早く解決すべきであると考えますが、今後の交渉をどのように進めていくのか。

 以上、総理のお考えをお伺いします。

 日米協力、日米同盟の強化は、単に両国間の問題であるのみならず、国際社会が抱える諸問題への対処において極めて重要であります。

 中東地域では、政治プロセスが進展しつつあるイラクやアフガニスタンに対する復興支援、核開発を続けるイランへの対応、シャロン・イスラエル首相の病状から混迷を深める中東和平の行方等は喫緊の課題であります。また、安保理が国際社会の現状に効果的に対処し得るための改革も焦眉の急の課題であります。

 このような国際社会が一致して取り組むべき諸問題に際して、我が国は、米国との協力を通じてこそ、我が国が望む解決を導き、みずからの国益を追求することができるものと考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。

 最後に、安全保障体制の強化について述べてみたいと思います。

 昨年十月二十九日に行われました日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2において、自衛隊と米軍の役割、任務、能力及び在日米軍の兵力構成見直しについての共同文書が発表されました。それを受けて、政府は、十一月十一日に閣議決定し、2プラス2の成果を踏まえ、在日米軍基地の所在する地元の都道府県及び市区町村の理解と協力を得ることに全力を傾注されております。

 在日米軍の兵力構成見直しについては、引き続きこれらの検討を重ねるとともに、地元に説明をしつつ、関係自治体、住民の理解と協力を得ながら、関係省庁と連携をし、中間報告に示された各項目の実現に万全を期すことが何よりも大切であります。

 これらを踏まえて、ことしの三月までに最終的取りまとめを行うわけであります。政府としては、こうした検討を一層促進するとともに、これらに基づく具体的措置の的確かつ迅速な実施を確保するための方策に関し、総合的な観点から必要な措置を講ずることについても検討する必要があると思いますが、米軍再編関連について防衛庁長官の御見解をお伺いいたします。

 今日まで自衛隊が行ってきた海外における活動は、安全保障対話、防衛交流の推進などとともに、国際社会全体の平和と安定に役立つものであります。我が国が国際社会の一員として、今後とも国際的責務を果たしていくことは当然のことであります。

 テロとの闘いについては、依然として存在する国際テロの脅威に国際社会が引き続き取り組んでいることを踏まえまして、我が国も国際社会の一員として、テロとの闘いに引き続き主体的かつ積極的に取り組む必要があります。

 こうした観点から、昨年、テロ対策特措法を一年間延長し、また、イラクの人道復興支援活動について、昨年末には、イラク人道復興支援特措法に基づく基本計画の派遣期間を一年間延長いたしました。こうした活動については、広く内外から高い期待と評価を得ております。これも自衛隊員が過酷な環境の中で任務を着実にこなしているからであり、派遣隊員には心から敬意を表するものであります。

 さらに、このほかにも、ゴラン高原における国際平和協力業務、一昨年末のスマトラ沖大規模地震等の大地震に際しての国際緊急援助活動など、世界各地で自衛隊員は汗を流しております。このような自衛隊の海外における活動に対しては、各国首脳を初め現地の国民からも数多くの感謝の言葉が寄せられており、それぞれの働きが国際社会の安定に貢献をしております。

 そこで、テロ対策特措法及びイラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊派遣についてのお考えと今後の見通しについて、防衛庁長官にお尋ねいたします。

 また、一昨年、創設五十周年を迎えました自衛隊は、新たな半世紀の第一歩を踏み出しました。一昨年十二月に防衛計画の大綱が新たに策定され、本格的な侵略事態に備えつつ、弾道ミサイル攻撃やゲリラや特殊部隊による攻撃、大規模・特殊災害といった新たな脅威や多様な事態に対しても実効的に対応していくことが必要となってきております。

 そのような態勢強化の一環として、本年三月には、新中期防に基づき、統合運用体制強化の観点から、統合幕僚監部が新たに発足することになります。

 我が党は、総選挙に臨んでの政権公約の中で、防衛庁を省にすることを国民にお約束しております。今後は、与党内の協議を経た上で、政府・与党内で具体的な法案検討作業が行われると存じますが、防衛庁を省にすることについて、防衛庁長官のお考えをお伺いいたします。

 最後の質問を終わるに当たりまして申し上げたいことは、改革なければ成長なしとの小泉総理の強い信念、指導のもと、道路公団の民営化や郵政民営化法の成立を初めとして、困難と思われた数々の改革がなし遂げられました。その結果、景気も自律回復へ向け着実な足取りを続けており、デフレからの脱却もようやく進展が見られるようになりました。

 総理は、我が国の新たな成長に向けての基盤づくりのため改革を見事に実現してこられ、第四十四回衆議院総選挙においては、自民党を歴史的な大勝に導かれました。

 ことし九月には自民党総裁選挙が行われます。我々は、小泉総理・総裁の改革の志と決断力を引き継ぐ立派な総裁を選出しなければなりません。エドモンド・バークの「保守したければ改革せよ」を肝に銘じ、改革を加速し、小さな政府実現のため全力を尽くすことをお誓い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 久間議員にお答えいたします。

 防災対策でございますが、被害に遭われた方々、今なお困難な生活を余儀なくされている方々に対し、心からお見舞い申し上げます。

 今般の寒波、大雪につきましては、既に昨年末より、政府・与党連携して速やかな対応に当たっております。今後、二月、三月にも集落孤立などの被害拡大が予想されるところであり、災害救助法による支援、自衛隊の迅速な派遣、補助金の緊急配分など種々の対策を講じてまいります。

 昨年の地震、台風につきましては、これまでも災害復旧事業を推進しているところでありますが、今後とも、被災者の支援と被災地の復旧復興に全力を尽くしてまいります。

 地震対策として、災害リスクを軽減するためさまざまな施策を行っており、平成十八年度予算案におきましては、住宅・建築物の耐震化を促進するための新たな税制を創設し、補助制度を拡充するなどの新規施策を盛り込んだところであります。

 耐震強度の偽装問題でございますが、今回の偽装事件は、住まいという生活の基盤への信頼を土台から崩すものであり、国民の安全と安心にかかわる重大問題であります。

 政府としては、マンションの居住者及び周辺住民の安全を最優先に、居住の安定確保に努めるとともに、国民の不安を払拭するため、与党からの申し入れも踏まえ、実態の全容を早急に把握すると同時に、書類の偽装を見抜けなかった建築確認検査制度を総点検し、早急に見直しが必要なものについては、今国会において制度の改正を行うことといたします。

 さらに、建築物の耐震診断や耐震改修に対する支援措置を講じて耐震化を促進し、事件の再発防止と建築物全般にわたる安全性、信頼性の確保に全力で取り組んでまいります。

 アスベスト問題については、昨年末の関係閣僚会合において取りまとめたアスベスト問題に係る総合対策に基づき、すき間のない健康被害者の救済のため、石綿健康被害救済法案を今国会に提出するとともに、今後の被害の未然防止のためのアスベスト除去への支援、国民の不安解消のための情報提供や健康相談等の取り組みを進めているところであります。

 今後とも、関係省庁が密接に連携しつつ、総合的なアスベスト対策を着実に実施してまいりたいと考えます。

 経済財政運営についてでございますが、我が国経済は、民間需要主導で回復してきておりますが、依然としてデフレ状況にあり、デフレ脱却に向けた取り組みは引き続き重要な政策課題であります。このため、政府としては、民間需要、雇用の拡大に力点を置きつつ、規制、金融、税制、歳出の分野を中心とした構造改革を進め、日銀と一体となった取り組みを行ってまいります。

 また、持続的な経済活性化を実現していく上で財政がその足かせとならないようにするため、将来に向けた財政健全化の道筋を示していくことが大きな課題であります。このため、本年六月を目途に、歳出歳入を一体とした財政構造改革の方向についての選択肢及び工程を明らかにし、改革路線を揺るぎないものといたします。

 総人件費改革でございますが、政府の規模を大胆に縮減するには、公務員の総人件費の削減は避けて通れません。このため、定員については厳格な定員管理を行うとともに、民間の有識者の知見も活用しつつ業務の大胆かつ構造的な見直しを進めることなどにより、現在六十九万人の国家公務員について、今後五年間で五%以上純減いたします。また、給与についても、人事院において早急に検討を行い、政府として、厳しい財政状況を踏まえ、給与水準の民間準拠を一層徹底するなどの給与制度改革に全力で取り組んでまいります。

 なお、地方公務員の定員、給与についても同様の取り組みを要請してまいります。

 公務員制度改革につきましては、職員の意欲と仕事の成果を引き出していくような能力、実績主義の人事管理の徹底が必要であると考えております。このため、新たな人事評価を試行することとしており、その取り組み状況も踏まえつつ、関係者との調整を精力的に進め、公務員制度改革法案について、できる限り早期に具体化を図ってまいります。

 なお、労働基本権の問題につきましては、国民意識や給与制度改革の進捗状況等も踏まえつつ、幅広い観点から検討を行っていくべきものと考えております。

 政策金融改革につきましては、貸出残高対GDP比半減、民業補完の原則を徹底した機能の限定、八つの機関の統廃合、完全民営化などを内容とする抜本的改革を実現いたします。このような改革を進めることにより、官から民へと資金の流れが変わり、効率的な、簡素な政府への道筋が確かなものとなると考えております。

 特別会計改革でございますが、特別会計の歳出の見直しについては、一般会計に比べ必ずしも十分行われてこなかったとの批判もございます。

 こうした批判にこたえ、党においても特別会計整理合理化の計画骨子をまとめていただくなど精力的に議論いただき、政府・与党が連携することにより、今後五年を目途に、特別会計の数を現行の二分の一から三分の一程度に大幅に削減し、明治二十三年の制度発足以来最小とするとともに、今後五年間において合計約二十兆円程度の財政健全化への貢献を目指すこととした踏み込んだ改革案を作成することができました。政府としては、改革案に沿って、十八年度予算を第一歩として着実に改革を推進してまいります。

 市場化テスト法案につきましては、市場化テストで民間が落札した場合の公務員の処遇については、まずは配置転換と新規採用の抑制による対応を基本としつつ、事業の移動に伴う人員の移動を円滑化する措置についても検討しております。

 また、対象事業の選定については、民間にできることは民間にとの考えのもと、民間の方々からの提案等も踏まえ、第三者機関の議を経て決定することを検討しております。

 いずれにしても、今後、本格的導入を内容とする法案を提出し、住民票の写しや戸籍謄本の窓口業務、統計調査の業務など対象事業の拡大を図りたいと考えており、法案への御理解をお願い申し上げます。

 省庁再編についてでございますが、中央省庁改革は、内閣主導のもとで、簡素で効率的な行政運営を目指したものであります。これまで経済財政諮問会議の活用など成果もありますが、さらに改善する点があるか、不断に見直していく必要があると考えております。このため、与党における中央省庁等改革の実施状況に係る議論などを踏まえた点検を行ってまいります。

 新たな成長戦略についてでございますが、我が国経済は、揺らぐことなく改革の方針を貫いてきた結果、政府の財政出動に頼ることなく、民間主導の景気回復の道を歩んでおります。

 この動きを地域や中小企業にも浸透させ、中長期的な経済成長につなげていくために、国際競争力の強化、生産性の向上、地域経済の活性化などを目指した新たな成長戦略を夏までに策定し、実行してまいります。

 エネルギー戦略でございますが、原油価格の高騰を初めとする内外の厳しいエネルギー情勢のもと、引き続きエネルギーの安定供給を確保するため、新たに国家エネルギー戦略を策定し、電気自動車や燃料電池車など革新的なエネルギー技術の開発と導入を進め、資源や環境の制約と経済成長の両立を図ってまいります。

 WTOドーハ・ラウンドへの取り組みでございますが、WTOのもと、貿易自由化を進め、多角的貿易体制を強化していくことは、我が国及び世界経済の発展にとって重要であります。そのためにも、貿易を通じた途上国の開発を進めるべきであり、昨年十二月に私が発表した開発イニシアチブを着実に実施してまいります。ドーハ・ラウンド交渉の本年中の妥結のため、各交渉分野において引き続き積極的に取り組む考えであります。

 少子化問題でございますが、少子化の流れを変えることは極めて重要な課題であります。子供を安心して生み育てる環境の整備、子供が健全に育っていくことのできる社会の実現のために、子供の立場から各種施策を推進していくべきものと考えております。

 待機児童ゼロ作戦、多様な放課後児童対策、若者の就労支援など、子ども・子育て応援プランに基づいて少子化対策を全力で推進してまいります。

 六月を目途に、昨年設置された少子化社会対策推進会議が今後の少子化対策について議論を取りまとめることとしており、その結論も踏まえ、子ども・子育て応援プランをより充実してまいります。

 アジア外交でございますが、豊かで安定したアジア地域の実現は、我が国の安全と繁栄に不可欠であります。このため、先月の東アジア首脳会議の成果に立脚し、多様性を認め合いながら、自由と民主主義を尊重し、地域共通の課題に協力して取り組み、開かれたアジアの形成を目指してまいります。

 大事な隣国である中国、韓国との関係についても、一部の問題で意見の相違や対立があっても、大局的な観点から協力を強化し、相互理解と信頼に基づいた未来志向の関係を築いてまいります。

 拉致問題についてでございますが、今後、日朝包括並行協議を行い、拉致、安全保障、国交正常化の各問題を取り上げ、日朝関係の全般的な進展を図る考えであります。その中で、特に最優先課題である拉致問題に関し、生存者の帰国、真相の究明、容疑者の引き渡しを北朝鮮側に強く求め、問題解決に向け、具体的前進を得るべく最大限努力してまいります。拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はないとの政府の方針に変わりございません。

 日米同盟についてでございますが、日米両国政府は、国際社会が直面する諸課題に対し、世界の国々と協調しながら、協力して取り組んでおります。昨年十一月の日米首脳会談でも、ブッシュ大統領との間で、このような意味での世界の中の日米同盟を強化していくことで一致しております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣小坂憲次君登壇〕

国務大臣(小坂憲次君) 久間議員にお答え申し上げます。

 教育基本法の改正についてお尋ねでありますが、昭和二十二年の教育基本法の制定以来、半世紀以上が経過して、その間に社会状況が大きく変化し、教育についてさまざまな課題が生じている中、教育の根本にさかのぼった改革が求められております。

 このため、平成十五年三月の中央教育審議会答申においては、人格の完成や個人の尊厳など、普遍的な理念は今後とも大切にしながら、伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心、公共の精神や学校、家庭、地域社会の連携協力など、今日極めて重要と考えられる理念や原則を明確にするため、教育基本法の改正が必要との御提言をいただいております。

 文部科学省といたしましては、この中央教育審議会答申や与党における御議論を踏まえながら、教育基本法の速やかな改正を目指し、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。(拍手)

 幼児教育の推進についてお尋ねでございますが、生涯にわたる人間形成の基盤が培われる幼児期に行われる教育は、国家戦略としても大変重要であると考えております。

 このため、文部科学省といたしましては、家庭、地域、幼稚園等が連携し、希望するすべての幼児に対して質の高い幼児教育の機会が提供されるよう、今後とも幼児教育の振興に努めてまいります。

 また、就学前の教育、保育を一体としてとらえた一貫した総合施設については、平成十八年度からの本格実施に向け、本国会に関連法案を提出してまいります。

 御理解また御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

    〔国務大臣中川昭一君登壇〕

国務大臣(中川昭一君) 久間議員にお答えいたします。

 まず、米国産牛肉の輸入禁止問題でございますけれども、一月二十日に、農林水産省動物検疫所における輸入検査におきまして、米国産牛肉に危険部位の混入が確認されましたが、議員御指摘のように、直ちにすべての米国産牛肉の輸入手続を停止いたしました。これは、我が国の水際対策が有効に機能したものと考えております。

 今回のように、米国が日米間で合意したルールを遵守していない牛肉を輸出したことは極めて遺憾であり、二度とこうしたことが起きることのないよう、米国に対し、原因究明と再発防止を強く求めているところでございます。今後とも、国民の食の安全、安心を大前提に、国民の信頼回復が図られますよう、適切に対応してまいります。

 次に、WTO農業交渉についてのお尋ねでございますけれども、我が国は、多様な農業の共存を基本理念とし、柔軟性があり、輸出国と輸入国とのバランスのとれた貿易ルールの確立を目指して交渉に臨んでおります。

 昨年十二月の香港閣僚会議においては、我が国の開発イニシアチブの貢献もあり、原則としてすべてのLDC産品に対する無税無枠を供与することが基本的に合意されるなど、一定の成果が得られました。

 今後の農業交渉につきましては、本年四月末までのモダリティー確立に向けて集中的な議論が必要と認識しております。

 我が国としましては、世界最大の食料純輸入国の立場で、重要品目を初めとする主要課題につきまして、積極的に交渉に貢献しつつ、我が国の主張がドーハ開発ラウンドの成果にできる限り反映されますよう努めてまいりたいと考えております。

 今後の農政につきましては、やる気と能力のある経営への支援を図るとともに、我が国農産物の海外への輸出など攻めの農政に転換し、積極的に構造改革を進めてまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣額賀福志郎君登壇〕

国務大臣(額賀福志郎君) 久間議員にお答えをいたします。

 まず、米軍再編についてであります。

 米軍再編につきましては、昨年十月の2プラス2共同文書を踏まえまして、具体的な案をことし三月までに作成すべく、日米の間で検討作業を加速させております。また、地元のそれぞれの地域の皆さん方に懇切丁寧に説明をいたしているところでございます。

 政府といたしましては、抑止力の維持と地元の負担の軽減の観点から、具体的な措置の的確かつ迅速な実施を確保するために、総合的な観点によって必要な措置を講ずることについて検討する旨、昨年の十一月十一日に閣議決定をいたしました。

 今後、政府といたしましては、久間議員御指摘のとおり、総合的な観点から必要な措置をとるという視点に立ちまして、まず、三月末までの日米間の最終まとめについて合意を得るように全力を尽くす等、一方で、日本の安全保障体制あるいはまた日米同盟関係の将来図、そしてまたそれぞれの地域の振興等々、総合的な対応策を考えてまいりたいというふうに思っております。

 また、これについては、与党の間でしっかりと御議論をいただき、そして、政府・与党の間で連携をとりながら対応させていただきたいというふうに思っております。

 次に、テロ対策特措法及びイラク人道復興支援措置法に基づく自衛隊派遣についての見解と今後の見通しについてのお尋ねがありました。

 インド洋における協力支援活動及びイラクにおける人道復興支援活動等は、我が国の目に見える国際貢献として、諸外国からも高く評価をされております。また、その成果も着実に上がっているわけでございます。

 インド洋における協力支援活動の今後につきましては、アフガニスタンの内外の情勢、国際社会におけるテロとの闘いへの取り組みの推移、あるいは我が国として果たすべき役割等を総合的に勘案いたしまして、また、イラクにおける人道復興支援活動の今後につきましては、イラクにおける政治プロセスの進展の状況、現地の治安に係る状況、多国籍軍の活動状況及び構成の変化など、いろいろな条件をよく見きわめながら、現地の復興の状況等を勘案して、我が国としての主体的な対応を考えてまいりたいというふうに思っております。

 また、最後に防衛庁の省移行についてお尋ねがありました。

 近年、防衛に関する問題は、国政の中で重要度を増しておりまして、防衛庁・自衛隊の任務、役割が拡大する中で、国内外で理解が深まっていると思っております。

 国内における活動は言うに及ばず、自衛隊の海外における活動は、これまでの実績への評価に見られるように、国際社会からますます期待をされ、要望されているものとなっております。この期待にこたえていくためにも、防衛庁を省として位置づけまして、専属の主任の大臣を置き、的確に対応していくことがこれからの我々の仕事ではないかと思っております。

 今後、政治の場での議論をきっちりとしていただきまして、省への移行が一日でも早く実現されるように、皆さん方のお力をかしていただくことを心からお願いを申し上げる次第であります。

 以上であります。(拍手)

    ―――――――――――――

    〔議長退席、副議長着席〕

副議長(横路孝弘君) 長島昭久君。

    〔長島昭久君登壇〕

長島昭久君 民主党の長島昭久です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、施政方針演説に対しまして、内閣総理大臣に質問いたします。(拍手)

 まず、国家の安全、すなわち外交・安全保障政策からお伺いいたします。

 かつて、ウィンストン・チャーチル英国首相は、外交は八割が常識、あとの二割はニュアンスの違いと喝破いたしました。

 政権を目指す民主党の外交・安保政策は、万年野党型の何でも政府の逆というのではなく、この八割の常識に基づいて、あくまでも現実的な外交の選択肢を国民に提示することを心がけてまいります。ただし、変人と呼ばれる小泉総理の外交は、八割方が非常識なものでありますから、その点は徹底的にただしてまいります。(拍手)

 さて、総理は、常々、日米関係が緊密であればあるほど、中国や韓国、アジア諸国初め世界各国と良好な関係が築ける、このようにおっしゃってこられました。私は、率直に、この日米関係を基盤にしたアジア外交という前提は正しいと思っております。

 しかし、問題なことは、五年近くにわたる小泉政権下で、日米関係緊密化の努力はそれなりに一生懸命やってこられたと評価いたしますが、それがアジア外交にどう結びつくのか、具体的な成果が全く見られません。最近では、さすがにアメリカでさえ、日中関係の険悪化がアジアにもたらす悪影響について心配をしております。

 これは当然のことであります。アメリカにとってみても、世界戦略を考えた場合、アジア太平洋地域で同盟のパートナーを探すとき、アジア地域に確固とした外交基盤を持った国を望むか、それとも、八方ふさがりで孤立感をますます深めているような国を望むかは、答えは明白であります。

 一方、私は、アメリカかアジアか、言いかえれば、アメリカと距離を置いてアジアと親密にいこう、そういう命題の立て方も誤っていると思っております。それは必ずしも現実的な選択肢ではありません。

 しかし、小泉外交に決定的に欠落しているのは、アジアとの関係とアメリカとの関係が、日本の外交戦略上、相互に補完関係になっていること、このことへの認識が全くないということであります。アジアとの関係、これを基盤にして日米関係をさらに強化していこうという視点が私は足りないと思っています。

 そういった外交基盤を持たずにアメリカとの関係にしがみつこうとするから、BSEのような問題で結局譲歩を強いられて、国民の命と健康を危険にさらすようなことになるのです。

 日本がアジアに外交基盤を築いていく上で大きなかぎを握っているのは、何といっても首脳外交だと思います。首脳外交のインパクトについては、総理御自身が身をもって実感しておられると思います。戦後最高と言われる日米関係をもたらしたものは、ブッシュ大統領と小泉総理というリーダー同士の信頼関係だと思います。また、あの北朝鮮の最高指導者に拉致事件の存在を認めさせ、謝罪させ、再発防止を約束させたのは、まさに小泉総理による首脳外交の成果であります。

 にもかかわらず、中国と韓国との関係に限っては、首脳会談は開けなくても問題ない、首脳間の往来が途絶えていても、民間交流がうまくいっているから心配ないと強弁される。このダブルスタンダードは一体何なのでしょうか、総理。

 中国と韓国との間に首脳同士の信頼関係がないことを総理はどのように考えておられるのでしょうか。自分は対話の扉を閉ざしていない、相手が悪いといった開き直り答弁は、もう聞き飽きました。日本国の最高指導者として、中韓の首脳との信頼関係構築の重要性についてどんな認識を持っておられるのか、首脳外交を進めるために、相手国を非難する以外にこれまでどんな努力をしてこられたのか、今後どのような努力をなさるおつもりか、明快な御答弁をお願いいたします。(拍手)

 仮に、今のような冷え切った日中関係のままで、例えば二〇〇一年四月に起こった米中軍用機の接触事故のような事態が発生したら、どうなるでしょうか。

 あのときは、両首脳間に一定の信頼関係があり、米中両国の指導者たちが協力関係を維持しようと懸命に努力したことが事態の悪化を防ぎました。直接的には、パウエル国務長官が率直な謝罪をし、中国政府も人民解放軍の強硬路線を抑えることができ、事故発生から十日余りで米中衝突の最悪のシナリオは回避されました。

 しかし、今の日中関係、あるいはその背後にある日中両国の世論に、そのような抑制のきいた態度を期待することができるでしょうか。

 例えば、海洋権益をめぐり緊張が高まっている東シナ海で突発事故が起こった場合、両国内のナショナリズムに火がついて、両国政府とも振り上げたこぶしのおろしどころを見失って、危険なチキンゲームに突入してしまうかもしれません。昨年四月の中国各地で起こった反日暴動の例を引くまでもありません。

 総理、今あなたがなすべきことは、自国のナショナリズムに迎合したりあおったりすることではなく、アジアの二つの大国にたまっているナショナリズムのマグマを適切に管理することだと思うのです。それこそが真のリーダーシップではないでしょうか。この点についての総理の御見解を承りたいと思います。(拍手)

 もう一つ私が危惧するのは、今のような日本外交の行き詰まり状態の中に、我が国がアジアの外交舞台で中国に大きくおくれをとってしまっていることであります。

 中国は、自国の平和的台頭を補強する国際環境を整備するために、ここ数年、極めて積極的な近隣外交を展開してまいりました。まず、中央アジア諸国との間に上海協力機構という対話の枠組みをつくり西側を固め、長く続いたインドとロシアとの国境問題に決着をつけて北と南を固め、ASEAN諸国との間にFTAを中心に積極的な経済協力関係を樹立、さらには、北朝鮮をめぐる六者協議でリーダーシップを発揮して、北東アジアの秩序形成で主導権を握るような勢いを見せています。

 これは、我が国にとって看過すべからざる事態と考えますが、総理はどのような現状認識、そして危機感を持っておられますか、御所見を承りたいと思います。

 このような中国の積極的な外交攻勢に比べて、小泉政権五年の近隣外交は、まさに貧困の一語に尽きます。

 FTAにしても、二〇〇三年十月の日韓首脳共同発表で二〇〇五年末までに実質的な交渉を終えると合意しながら、やがて暗礁に乗り上げ、いまだに次回の交渉日程すら決められない状況です。ASEANが友好協力条約を締結した際にも、中国は直ちに加盟いたしましたが、我が国は八カ月もおくれをとってしまいました。もちろん、拉致問題の解決が大前提でありますけれども、六者協議における我が国の存在感は極めて薄い。昨年末に行われた史上初の東アジア・サミットでも、我が国は辛うじてメンツを保ったにすぎません。インドやロシア、オーストラリアとの戦略的連携も、アメリカに背中を押されているようなていたらくであります。

 総理、あなたは、残された任期の中で、アジア外交におけるみずからの負の遺産を帳消しにするような具体的なアクションプランを持っておられますか。総理大臣として、例えば、あなたの師匠であった福田総理の福田ドクトリンのようなアジア外交の総合戦略を期待するのは無理なんでしょうか。その必要性も含めて、明快な御答弁をお願いいたします。(拍手)

 我が国のアジア戦略を描く場合、中国の存在を無視することはできません。中国の台頭は、一時的なブームなどではなく、世紀の単位でとらえるべき歴史的現象です。しかも、その動向は世界規模で衝撃を与えるものです。この中国を、かつてのような朝貢システムではない、欧米と調和し得る価値観に基づいた責任ある地域大国へと導いていくために、日本の果たすべき役割は大きいと思います。

 その際、ポイントとなるのは、日中間の共同作業のアジェンダをいかに見出すかということだと思います。たとえ脅威に感じるような強大な軍事力を有していても、共同作業を進めることによって、中国を平和協調的な路線に導いていくことが可能であります。

 今の中国の最大の外交課題は何でしょうか。それは、経済成長のボトルネックになっているエネルギー問題のリスクを軽減することであります。東シナ海での強引な資源開発や、世界各地の産油国に地域の安定や国際規範を無視してプレゼンスを拡大していく姿勢は、その端的なあらわれであります。世界経済に影を落とす原油高の重要な要因の一つが中国の需要増加であることは、周知の事実であります。中国のエネルギー効率を劇的に改善し得る我が国の技術力や経験が、中国にとってそれこそ垂涎の的であります。

 かつて、ヨーロッパ連合の前身であるECが、一九五〇年、独仏を中心に創設された石炭鉄鋼共同体というエネルギー協力に端を発していたことを想起していただきたいと思います。同じように、日本と中国にも今、東アジア共同体創設に向けた構想力が求められていると思います。

 例えば、東シナ海の海洋資源開発やシベリアの天然ガス開発などは、将来的な共同体建設への推進力となり得ると思いますが、総理がどのような長期的な構想をお持ちなのか、ぜひお伺いしたいと思います。(拍手)

 このほかにも、日中間で協力し得るテーマは幾らでもあります。環境問題、テロ対策、核やミサイルの不拡散、平和構築、シーレーンの安定確保、そして鳥インフルエンザなど感染症対策。特に、環境問題や感染症対策といった人間の安全保障にかかわる非軍事の民生協力は、もともと我が国の得意とする分野であり、ここにこそ大きな協力の可能性が秘められていると私は考えます。

 このように、地域の発展にとって不可欠な分野の日中協力が、やがて地域の公共財にまで高められていったとき、初めて、お互いの自国の勝手な都合で簡単には協調関係を崩せなくなるはずです。

 こういう大きな外交のかじ取りは、事務方に任せるには荷が重過ぎます。首脳同士の信頼関係に基づく共同のリーダーシップが不可欠なのではないでしょうか。総理にそのようなリーダーシップを発揮される意思がおありかどうか、覚悟のほどをお伺いしたいと思います。

 事務方の限界という意味では、上海総領事館の情報担当職員がとうとい命を落とされた事件について触れなければなりません。

 もちろん、中国公安当局による遺憾な行為が自殺の原因との外務省の主張を裏づけるためには、真相究明を徹底的にやらなければなりません。民主党は、当時の責任者だった川口順子元外務大臣の証人喚問を要求いたします。総理、国会での真相究明に御協力いただけますね。お答えください。

 それ以上に重要なことは、我が国のインテリジェンスが全く機能していないという驚くべき事実であります。在外公館における最前線の情報担当者を守り切れなかった日本政府は、情報戦で敗北したも同然です。

 ところが、麻生外務大臣は、外交演説の中で、情報の重要性を強調されたにもかかわらず、この事件で明らかになった外務省のカウンターインテリジェンスのお粗末さには一言もお触れにならなかった。政府は、いまだに、この問題が内包する日本外交の危機的な状況に対する自覚が薄いように思われますが、総理、真相究明を含め、今後どのように対処していくおつもりなのか、具体的にお示しください。(拍手)

 次に、アメリカ合衆国との同盟関係について伺います。

 小泉外交で辛うじて及第点をつけられるのは、日米同盟の強化を積極的に進めた点のみと言えます。

 昨年十月末に発表された日米同盟の変革と再編は、大変意義深いものだというふうに思っています。さらに、二月に合意した日米共通の戦略目標は、さらに意義深いというふうに考えております。特に、台湾海峡をめぐる問題に、「対話を通じた平和的解決を促す。」と明記するなど、これまであいまいにしてきた問題にもきちっと踏み込んでおり、日米両政府の、アジア太平洋地域における平和と安定に向けた並々ならぬ決意がうかがわれます。

 しかし、同盟強化は、我が国の安全保障にとって、ほんの一部、軍事的な側面でしかないこともきちっと認識をしておく必要があります。軍事面ばかりを強調すれば、近隣諸国が警戒感を持つのは自然の成り行きであります。

 したがって、同時にやるべきことは、周辺国の不安にこたえる丁寧な説明や信頼醸成のための真摯な努力です。小泉政権に欠けているのは、そういった外交のデリカシーだというふうに思います。

 例えば、一九九六年から九七年の、日米防衛協力のガイドライン改定のときを思い出してください。当時は、事務方だけに任せずに、総理大臣以下、外務大臣、防衛庁長官、官房長官、与党の政調会長など政策責任者らが、それこそ入れかわり立ちかわり中国や韓国、ASEAN諸国に直接足を運んで、その趣旨や進捗状況などを懇切丁寧に説明しています。

 これに引きかえ、小泉政権の無頓着、無神経さにはあきれるばかりです。今回の同盟変革をめぐる周辺諸国への説明責任について、総理は一体どのようにお考えか、御所見を承りたいと思います。

 このデリカシーの欠如は、米軍再編のプロセスにおいても、基地を抱える自治体に対する政府の姿勢に顕著にあらわれております。

 その最たるものが、沖縄の普天間基地の移設問題で見せた小泉政権の強引な手法であります。

 一九九六年、日米で返還が決まって以来、普天間基地移設をめぐり、日本政府、沖縄県、移設先の名護市、そして米軍との間で、慎重の上にも慎重な折衝が積み重ねられてまいりました。しかし、今回、小泉政権は、これまでの経緯を一挙に吹っ飛ばして、九九年の閣議決定からも大きく逸脱して、渋る米軍を説得して、沖縄県や名護市の頭越しに移設先を決定してしまいました。

 しかも、昨年十月末の日米合意から既に二カ月以上も経過しているのに、当然予想されたはずの地元からの環境や騒音に関する基本的な疑問や懸念に全く答えられない現状は、無責任のきわみではないですか。総理の現状認識を承りたいと思います。(拍手)

 昨日行われました名護市の市長選挙の結果、三人の候補者の中では最も柔軟な方が当選されましたが、政府の決めた移設案に対しては、市長も明確にノーと言っております。政府として、まさか特別措置法などによって力ずくの解決を図ろうとするわけではありませんね。この点、総理の口からはっきりとした答弁を求めます。

 十一月には沖縄県知事選挙も控えております。政府が強引な手法に訴えた場合、いやが応でも沖縄県全体を反米、反基地運動に駆り立ててしまうことにもなりかねません。これまで、この問題を半ば放置してきた小泉総理の猛省を促したいと思います。沖縄のSACO合意実施に向け努力した橋本、小渕政権とは雲泥の差であることを申し上げたいというふうに思います。今後、どのように沖縄の皆さんに御理解と御協力を求めていこうとするのか、具体的な方策をお尋ねしたいと思います。

 沖縄以外でも、昨年十月の日米合意によって、いきなり基地機能の強化が打ち出され、周辺住民に不安の声が広がっている自治体が多数あります。

 例えば、アメリカ空軍の横田基地には、航空自衛隊の司令部が移駐され、事実上、ミサイル防衛に係る日米共同の防空司令部が創設されることになります。米陸軍の司令部が移ってくる神奈川県の座間基地や、空母艦載機の移駐が決まった山口県の岩国基地などでも、基地の性格を一変させるような計画が進められております。しかし、この基地機能の強化が周辺住民にどのようなリスクをもたらし得るのか、説明は全くなされておりません。

 米軍再編における二つの原則は、抑止力の維持と負担の軽減だとされました。我が国の安全保障を考えた場合、この原則は妥当なものだと思います。しかし、基地機能が軽減される自治体はともかく、逆に強化される場合には、その不安にこたえる、より丁寧な説明が必要なはずです。

 原子力空母の配備が発表された横須賀基地について、神奈川県の松沢知事は、外務省は通常型空母の可能性はまだあると最後まで期待を持たせてきた、これは明らかにだまし討ちだと憤慨しておられます。

 総理にしても外務省にしても、政府の姿勢は地元自治体に対し甚だしく不誠実なのではないでしょうか。それとも、政府は、その意に反してすべてアメリカに押し切られたとでもいうのでしょうか。米軍基地再編をめぐる政府の説明不足に対する総理の反省の弁とともに、基地機能の強化に伴うリスクについても、総理御自身からきちっとした説明を求めます。

 こうして見てまいりますと、小泉政権の説明責任に対する認識の甘さが、日米同盟の基盤である国民の支持にいかに深刻な亀裂を生じさせているかがわかります。この国民の不信感を払拭しなければ、三月を期限としている在日米軍基地の再編着手など実行できるはずがありません。これを挽回するためには、政府挙げての相当な努力が必要だと思います。

 その意味では、外務省がこれまで渋ってきた日米地位協定の改定は避けられないと考えますが、いかがでしょう。例えば、最近、横須賀で起きた米兵による強盗殺人事件などへの対応をめぐっても、政府は、米軍に対し、何かはれものにさわるような姿勢に終始しました。国民は、一体だれのための政府なのかと怒っているんです。

 これまで事件が起こるたびに同盟関係を揺るがせてきた、例えば、犯罪の被疑者の身柄をいち早く日本当局に引き渡す問題や、環境や安全基準の国内法の適用など、これまでのような運用改善というびほう策ではなく、半世紀以上も前にできた日米地位協定そのものの改定を一日も早く実現すべきと考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。

 総理、このことは日米同盟の安定性にかかわる根本問題です。政府が及び腰であれば、私たち民主党は、独自の改定案に基づいて、渉外知事会を初めとする基地を抱える全国の首長の皆さんとともに、地位協定改定の国民運動を展開してまいります。(拍手)

 次に、内政問題について、三点に絞ってお尋ねいたします。

 まず、地方分権について質問いたします。

 国の未来像を描こうとすれば、中央と地方のあり方は根幹にかかわる重大問題です。

 私たち民主党は、その名のとおり、国民の力を信頼しておりますから、公の仕事も民と官で分担し、官はまず地方から考えてまいります。外交、防衛のように中央政府が担わなければならない仕事は別として、基礎自治体が主役となり、広域自治体や中央政府はこれを補う補完性の原則を重視いたします。原則に基づいて仕事の仕分けを進めることが最優先課題であって、中央が地方に口を挟むべきでないことは言うまでもありません。

 その私たちの立場から見ると、政府の三位一体改革が目指すゴールは全く見えません。これまで総理は、補助金削減四兆円、税源移譲三兆円という数字だけを掲げ、全体像は平成十八年度までの改革を具体化してから考えると言い続けて、理念を全く示してきませんでした。結局は、霞が関の権限を温存しつつ、負担を地方に押しつける補助率カットという最悪の手法を許して、中央官僚にとりあえず数合わせをさせただけではないでしょうか。もし総理に反論がおありでしたら、ぜひ承りたいと思います。

 地方分権を本気で進めていくためには、権限と財源ばかりでなく、自治体の立法権、広域のイメージ、住民の直接参加なども重要なテーマです。ぜひ総理の基本的な考え方を国民に示していただきたい。補助金の廃止や税源移譲は必ず行うべきものですが、これで一件落着というわけではないはずです。平成十九年度以降の具体的な方針もお聞かせ願います。

 今国会の焦点課題の一つは、医療制度改革であります。

 小泉総理は、厚生大臣を二度経験され、これまで累次にわたる医療制度改革に深くかかわってこられましたから、だれよりも大きな責任があると言うことができます。そして、今回も、医療財政の逼迫を理由に、国民への負担増を押しつけ、保険の抜本的な改革も医療の質の向上も先送りする、これまでと全く同じパターンの繰り返しをされるんでしょうか。

 人口の減少、高齢者比率の上昇、医療給付費の増加見通しといったデータに注目を集めて、高齢者にも負担を求めつつ、診療報酬改定においては、総理みずから最大の下げ幅となるよう指示を出して、三・一六%という引き下げの数字によって改革を演出していると同然であります。

 しかし、公的医療制度に求められるのは、国民の命と健康が十分に確保されるサービスの提供、そして、透明で合理性があって国民が納得できる負担です。診療報酬を引き下げるなとは言いませんが、今こそ医療保険制度の根本的な見直しを実施すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 財政面では、医療費全体を見ることが重要です。国の給付費だけを抑えても、全体がふえれば国民の負担となります。医療費は、保険料と患者負担、税によって賄われています。負担の総額もバランスも問われているのです。総合的な保険制度のビジョンを、総理、ぜひお示しください。

 問題は財政だけではありません。三時間待ちの三分医療や医療事故など、患者やその御家族が切実に求めている医療の質あるいは必要なサービス量は本当に確保できるのか、経済弱者や健康弱者が医療制度からはじき出されていくようなことが本当に起きないのか、国民の間に深刻な懸念が広がっているんです。総理の明快な御答弁を求めます。

 先般、NHKスペシャルで、がんに関する特集がありました。患者も医療を提供する側も苦悩している状況が如実にあらわれていました。国民病ともなっているがん対策や小児救急の整備体制のおくれ、産科医の減少など、現在直面している緊急課題にどう取り組もうとされているかについてもぜひお答えください。(拍手)

 内政問題の最後は、犯罪被害者への支援策です。

 私がしているこのハートバンドは、その犯罪被害者への支援のシンボルです。人が被害者となった刑法犯の認知件数は、平成十六年で約三百五万五千件余りにも上りました。毎年これだけ起こっているということは、一生の間に犯罪被害者とならずに過ごすことの方がむしろまれだとも言えます。

 昨年十二月に閣議決定された犯罪被害者等基本計画は、確かに一歩前進ではあります。しかし、愛する肉親を卑劣な犯罪や突然の交通事故などで失った被害者の皆さんが切実に訴えてこられた、肝心かなめの経済的な支援策については、そのあり方すら決まりませんでした。周知のとおり、欧米に比べて、我が国の被害者への経済支援は著しく貧弱であります。なぜなら、基本理念が全く異なるからであります。

 欧米の被害者支援の基本理念は、国家が、テロや犯罪から自国民を守れなかったために、被害者の人権が侵害されたと受けとめるんです。したがって、侵害された人権を回復し救済するために、国家が補償金という形で被害者に給付をいたします。

 翻って、我が国の給付金制度は、あくまで見舞金的な性格だと言われています。そこには、犯罪を防げなかった国の責任意識も、被害者の人権を救済しようという姿勢のかけらも見られません。このような基本思想を根本的に転換しなければ、欧米並みの被害者の支援制度は確立できません。総理、ぜひとも、経済支援のあり方は、犯罪被害者の基本的人権を保障するという憲法の要請に従ってこれを定める、このような明確な指針を示していただきたい。いかがですか。(拍手)

 結びに、憲法改正について述べたいと思います。

 自由民主党は、結党五十年に合わせて憲法草案をまとめられましたが、党内にまで異論が噴出するありさまで、とても国民的な議論を積み重ねて決めたとは言いがたい状況です。

 これに対して、私たち民主党は、憲法提言というアウトラインをまず取りまとめ、ことし一年間かけて全国津々浦々を回り、国民の皆さんと直接議論し、幅広い意見を取り入れながら、あくまでも国民のコンセンサスを重視した憲法草案づくりを進めてまいります。

 いずれにしても、ことし還暦を迎えた日本国憲法を見直すことは、私たちの戦後の生き方を見直すことにもつながります。小泉政権は、ホリエモンやヒューザーに象徴される短絡的な競争原理や表面的な効率化を称揚し、官の責任放棄、民の堕落を招き、まさしく国家の品格をおとしめました。

 私たち民主党は、官の効率化は進めつつも、民の公共性をはぐくむことによって、地域のきずなと公の精神に支えられた公正で誠実な政府を樹立し、小泉政権五年で失われた国家の品格を取り戻してまいります。そのためにも、一日も早く政権交代を実現して、国民の皆様の期待にこたえてまいることをお約束して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 長島議員にお答えいたします。

 中国及び韓国との首脳外交についてでございますが、日中、日韓関係をさらに深化させる上で、良好な首脳間の信頼関係の構築、対話は重要であると認識しております。そのために首脳会談を行うことは有効な手段であり、我が国としてはいつでも日中、日韓首脳会談を行う用意があるとの立場であります。一部の問題で意見の相違や対立があっても、中国は、韓国は我が国にとって大事な隣国であります。大局的な視点から協力を強化し、相互理解と信頼に基づいた未来志向の関係を築いていくことが重要であると思います。これは極めて常識的な考えではないでしょうか。一部の問題があるから首脳会談を行わないというのが常識的な立場だとは思っておりません。

 日中間の信頼関係の構築についてでございますが、中国とは、経済、文化、観光など幅広い分野において、いまだかつてないほど交流が盛んになっております。こうした国民間の直接の交流を通じて相互理解と相互信頼を増進することは、未来志向の日中関係を構築していく上で重要であります。引き続き、中国との間で、未来を担う青少年世代を初め、さまざまなレベルでの交流を進めていく考えであります。

 我が国のアジア外交の認識についてでございますが、我が国は、先月の東アジア首脳会議やASEANプラス日本、中国、韓国首脳会議において、会議の成功のために積極的に貢献いたしました。具体的には、地域協力の理念や原則を提示するとともに、テロの根絶などの分野での具体的協力を推進することを提唱いたしました。また、鳥インフルエンザ対策についての支援策やASEAN諸国の地域統合に対する支援を表明いたしました。

 このような我が国の貢献については、会議参加国から高く評価されております。

 アジア外交の戦略についてでございますが、我が国は、多様性を認め合いながら、自由と民主主義を尊重し、地域共通の課題に協力して取り組む開かれたアジアの共同体形成を目指しております。我が国のこのような考えは、私自身も累次表明してきております。

 そのため、中国、韓国との未来志向の協力関係を築いていく必要があると思っております。同時に、ASEAN諸国、さらにはインド、豪州、ニュージーランドといった諸国との戦略的関係も強化してまいります。

 東アジア共同体とエネルギー問題でございますが、我が国は、先月の東アジア首脳会議の成果をも踏まえ、地域共通の課題に協力して取り組みながら、開かれた東アジア共同体を築いていく考えであります。この中で、他の諸問題と並び、エネルギー問題についても具体的協力を進めてまいる考えであります。

 日中間における協力でございますが、環境問題や感染症など、地域規模あるいは世界規模で人の安全の脅威となる問題について、日中両国はこれまで二国間でまたは国際会議等を通じて対話や協力を進めてきており、今後も人間の安全保障の視点に立って、このような協力関係を促進していきたいと考えております。

 日中間の首脳外交でございますが、日中の首脳間では、日中関係が、二国間のみならず、地域及び国際社会にとって極めて重要であるとの認識を共有しております。引き続き、中国との間で、相互理解と信頼に基づいた未来志向の関係を構築していくべく、首脳間も含め、幅広い分野における率直な対話を進めていく考えであります。

 上海総領事館員の自殺についてでございますが、本件については、中国政府に対し、厳重な抗議を行うとともに、事実関係の究明を求めてきているところであります。今後、国会における議論も踏まえながら、事実関係の解明に努めてまいります。

 外交上のインテリジェンス機能の強化でございますが、対外情報機能は、戦略的かつ強力な外交を展開していく上で重要な基盤であります。政府としては、本国及び在外公館の双方において、対外情報収集、分析、秘密保全等の面での体制強化に努めること等により、対外情報機能の強化を図っていく考えであります。

 日米同盟に関する近隣諸国への説明でございますが、日米安保体制を中核とする日米同盟は、我が国のみならずアジア太平洋地域全体の平和と安定に寄与しております。また、日米両国は、世界の中の日米同盟との考えのもとに、世界のさまざまな課題の解決に世界の国々と協調していきながら協力しております。我が国は、このような日米同盟の意義について、累次の日米安全保障協議委員会の結果等も含め、随時近隣諸国に説明してきており、理解を得られているものと考えております。

 沖縄における在日米軍の兵力態勢再編の進め方でございますが、在日米軍の兵力態勢再編につきましては、地元地方公共団体を含め、国民の理解なくして実行することは困難であります。政府としては、沖縄の負担軽減に向け、関係閣僚が実際に現地を訪問し、その内容や方向性について誠心誠意御説明しているところであります。

 このような状況において、御指摘のような法案を検討しているということはございません。引き続き、沖縄振興のため、地元の方々の理解と協力が得られるよう努めてまいります。

 沖縄以外の地域を含めた在日米軍の再編でございますが、在日米軍の兵力態勢再編に関しては、抑止力の維持と地元の負担軽減を柱とする勧告につき、その実現のため、関係閣僚などが関係自治体を訪問し、その内容や方向性について誠心誠意説明しているところでございます。今後、三月の具体案の最終的な取りまとめに向け、地元の理解を得ながら日米協議を加速してまいります。

 原子力空母の問題についてでございますが、二〇〇八年の空母交代を通じてアメリカ海軍の能力を維持することは、我が国及び極東の平和と安全に寄与するものであり、安全性の観点を含め、地元の方々の理解を得るべく引き続き努力してまいります。

 また、昨年十月の在日米軍の再編についての共同発表、これは、抑止力維持と国内全体の負担軽減を図るために最適と判断した結果であり、地元の方々の理解と協力が得られるよう今後も努めてまいります。

 日米地位協定についてですが、政府としては、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えのもとに、運用の改善に努力しております。例えば、先日も、起訴前の容疑者の身柄引き渡しが日本側要請後直ちに実現するなど、種々の分野で改善例を積み重ねてきております。今後とも、目に見える運用改善の成果を積み上げていくよう努力してまいります。

 三位一体の改革を含む地方分権でございますが、平成十四年以来、小泉内閣では、いわゆる三位一体の改革を進めてまいりました。その結果、三兆円の税源移譲、四兆七千億円の補助金改革などを行うこととなり、地方からも画期的な改革であると評価されていると承知しております。

 地方分権に向けた改革に終わりはありません。地方にできることは地方にとの方針のもとに、平成十八年度までの改革の成果を踏まえながら、市町村合併の推進など、国と地方を通じた行財政改革を進め、道州制の検討など、真に地方の自立と責任を確立するための取り組みを行ってまいります。

 医療保険制度のビジョンについてでございますが、医療保険制度については、急速な高齢化の進展の中で、国民が安心し信頼できる医療を確保しつつ、国民皆保険を堅持することが必要であります。

 このため、今般の改革においては、予防を重視しつつ、計画的に政策を実施し、中長期的に医療費の伸びを抑制する、保険として給付する範囲の見直しや診療報酬の引き下げを行い、短期的に医療費の適正化を図る、レセプトのオンライン化を行うなど、総合的な対策を推進することとしております。

 さらに、これらとあわせ、超高齢社会を展望し、七十五歳以上の高齢者の医療費について、世代間で公平に負担する新たな高齢者医療制度の創設や、都道府県単位を軸とした保険者の再編統合といった医療保険制度体系の見直しを進めることとしております。

 こうした改革を含む医療制度改革法案を本国会に提出し、将来にわたり持続可能な制度の確保を図ってまいりたいと考えております。

 医療の質の確保、がん対策等についてでございますが、国民の医療に対する安心、信頼を確保し、質の高い医療サービスが適切に受けられる体制を構築することが課題となっております。

 このため、今般の医療制度改革において医療計画制度を見直し、脳卒中、がんなどの疾病ごとに、急性期から在宅における療養に至るまで、一貫した治療方針のもとに、病態に応じた切れ目のない医療が提供される体制を構築するとともに、小児救急医療、産科医療の分野ごとに、地域の医療関係者の協力のもと、具体的な連携方策を定め、地域医療を確保し、あわせて、平成十八年度診療報酬改定において、小児医療等の医療の質の確保に配慮した改定を行うこととしております。

 また、国民の関心の高いがん対策については、国民、患者のがん医療に対する不安や、がん医療水準の地域格差を解消することなどを目指して、がん情報提供ネットワークの構築、がん予防・早期発見の推進、がん専門医等の育成、終末期医療の充実など、政府全体として具体策の強化に取り組んでまいります。

 犯罪被害者等に対する経済的支援のあり方についてでございますが、経済的支援については、犯罪被害者等から切実な御要望のある重要な課題と承知しております。

 昨年十二月の犯罪被害者等基本計画は、犯罪被害者の方々から寄せられた多様な御要望にこたえるために制定したものであり、被害者の方々からも高い評価をちょうだいしております。その中で、経済的支援は、将来に向けて、現状よりも手厚い制度となるよう、社会保障・福祉制度全体の中におけるあるべき姿を二年以内に検討し、施策を実施することとしております。(拍手)

     ――――◇―――――

中山泰秀君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十四日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。

副議長(横路孝弘君) 中山泰秀君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

副議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十二分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  小泉純一郎君

       総務大臣    竹中 平蔵君

       法務大臣    杉浦 正健君

       外務大臣    麻生 太郎君

       財務大臣    谷垣 禎一君

       文部科学大臣  小坂 憲次君

       厚生労働大臣  川崎 二郎君

       農林水産大臣  中川 昭一君

       経済産業大臣  二階 俊博君

       国土交通大臣  北側 一雄君

       環境大臣    小池百合子君

       国務大臣    安倍 晋三君

       国務大臣    猪口 邦子君

       国務大臣    沓掛 哲男君

       国務大臣    中馬 弘毅君

       国務大臣    額賀福志郎君

       国務大臣    松田 岩夫君

       国務大臣    与謝野 馨君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官 長勢 甚遠君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官 阪田 雅裕君


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