衆議院

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第17号 平成18年3月24日(金曜日)

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平成十八年三月二十四日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十二号

  平成十八年三月二十四日

    午後一時開議

 第一 通勤の範囲の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)

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本日の会議に付した案件

 日程第一 通勤の範囲の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 通勤の範囲の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、通勤の範囲の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長中谷元君。

    ―――――――――――――

 通勤の範囲の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔中谷元君登壇〕

中谷元君 ただいま議題となりました通勤の範囲の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、公務員の災害補償制度について、労働者災害補償保険制度との均衡を図るため、通勤の範囲を改定するとともに、同制度との均衡を考慮した機動的な対応を可能とするため、障害等級ごとの障害について、国家公務員にあっては人事院規則で、地方公務員にあっては総務省令で定める措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る三月七日本委員会に付託され、同月十七日竹中総務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。昨二十三日、質疑を行い、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣杉浦正健君。

    〔国務大臣杉浦正健君登壇〕

国務大臣(杉浦正健君) 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 明治四十一年に制定されました監獄法は、被収容者の権利義務関係や職員の権限が法律上明確にされていないなど、今日では極めて不十分なものとなっておりましたが、同法が規定する事項のうち、刑事施設の基本及びその管理運営に関する事項並びに受刑者の処遇に関する事項につきましては、昨年五月、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律が制定され、法整備が行われたところでございます。

 他方、被逮捕者、被勾留者等の未決拘禁者、死刑確定者等の処遇につきましては、監獄法の題名を改めました刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等ニ関スル法律により規定され、依然としてその内容は極めて不十分であり、また、受刑者の処遇との間で不合理な法律上の格差が生じることとなっているため、早期にこれに関する法整備を行う必要がございます。

 さらに、都道府県警察の留置場及び海上保安庁の留置場につきましては、その設置根拠が法令上明文で存しないこと、これらに留置される者のうち、被逮捕者は、その処遇に関する規定がなく、また、刑事施設に代用される警察留置場に留置される被勾留者等は、これに対する法律の適用関係が不明確であることなどの問題点があり、所要の法整備を行う必要がございます。

 この法律案は、このような状況を踏まえ、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正し、同法において、刑事施設、留置施設及び海上保安留置施設に収容されている未決拘禁者等について、その人権を尊重しつつ、適切な処遇を行うため、その処遇に関する事項について定めるほか、留置施設及び海上保安留置施設について所要の法整備を行おうとするものでございます。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、未決拘禁者等の処遇について定めるものであり、その権利及び義務の範囲を明らかにするとともに、その生活及び行動に制限を加える必要がある場合につき、その根拠及び限界を定めること、適正な生活条件の保障を図るとともに、医療、運動等その健康の維持のために適切な措置を講ずること、外部交通についての規定を整備すること、刑事施設の長等の一定の措置についての審査の申請、身体に対する違法な有形力の行使等についての事実の申告等の不服申し立て制度を整備することなどを内容とするものでございます。

 第二は、留置施設及び海上保安留置施設の基本及びその管理運営に関する事項を定めるものであり、これらの施設の設置根拠を設けること、刑事施設の収容対象者について、一部の者を除き、刑事施設に収容することにかえて留置施設に留置することができることとすることなどに加え、留置施設の運営の透明性を確保するために、留置施設視察委員会の設置、組織及び権限についても定めることとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。早川忠孝君。

    〔早川忠孝君登壇〕

早川忠孝君 自由民主党の早川忠孝でございます。

 自由民主党及び公明党を代表いたしまして、ただいま法務大臣から趣旨説明のありました刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)

 今、国民が最も強く望んでいることは、安心、安全な国日本の再生ではないでしょうか。一般の国民の身近なところで凶悪な犯罪が発生し、子供を学校に通わせることについても不安を抱いておられる国民も少なくありません。与党としても、こうした治安に対する不安をなくしていくことは重大かつ緊急な課題であると考え、さまざまな観点からの取り組みを進めているところであります。

 何よりもまず、速やかに犯人を検挙し、新たな犯罪被害を予防することが重要であり、さらには、迅速適正な裁判を行った上で適切に処罰し、法の正義を実現することであります。また、刑の執行を受ける受刑者に対しては、再犯を防ぐための効果的な矯正処遇を行うなど、刑事に関する諸制度が全体として十全にその機能を発揮することが必要であります。

 そのために解決しなければならない課題は山積をしておりますが、中でも、明治四十一年に制定されたまま実質的な改正がなされてこなかった監獄法を全面的に改正し、行刑改革をなし遂げることは、喫緊の課題であります。

 昨年成立した刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律は、その第一段階として、国民に理解され、支えられる刑務所を実現するため、受刑者の処遇等の全面的な見直しを内容とするものであり、近々その施行が予定をされているところであります。

 しかし、捜査や裁判のために身柄の拘束を受けているいわゆる未決拘禁者等の処遇に関する改革は取り残されており、従来からの監獄法に基づく処遇を継続せざるを得ません。

 効果的な捜査と迅速な裁判によって、事案の真相を解明し、治安を維持することが求められる一方、未決拘禁者の処遇に当たっては、その人権に配慮することもまた重要であり、そうした観点からの改革が急がれています。

 今回の法律案は、これまで取り組んできた行刑改革の集大成となるべきものであります。明治時代からそのままとなっている未決拘禁者等の処遇に関する制度を平成の時代にふさわしいものとするための法改正を、これ以上引き延ばすことはできません。十分な審議を経て早期に成立させ、行刑改革をなし遂げることが、国権の最高機関である国会としての国民に対する責務であります。

 そこで、こうした治安の維持と人権の保障との調和を目指すものとしてこの法律案を支持する立場から、法務大臣、国家公安委員長、国土交通大臣にお尋ねいたします。

 まず、法務大臣に、行刑施設の過剰収容に関する状況及びその対策についてお尋ねをいたします。

 法務大臣は、就任後、精力的に全国各地の刑務所、拘置所等を視察されたと伺っております。その多くの施設において、収容定員を超えた収容になっている状況を目の当たりにされたのではないでしょうか。

 こうした行刑施設の過剰収容がどのような状況にあるのか、また、これを解消するためにどのような対策を考えておられるのか、法務大臣のお考えをお伺いいたします。

 次に、この法律案の意義についてお尋ねをいたします。

 未決拘禁者の処遇に関して、現行の法制にどのような問題があり、今回の法律案によりどのような法整備が図られることになるのか、お伺いをいたします。

 次に、未決拘禁者と弁護人との外部交通の拡充についてお尋ねをいたします。

 本年十一月までには公的被疑者弁護制度が、また、平成二十一年五月までには裁判員制度が実施されるなど、刑事訴訟手続は大きな変革の時代を迎えております。未決拘禁者と弁護人との外部交通のあり方についても、このような変革の時代にふさわしいものに改めていくことが求められているのではないでしょうか。

 刑事訴訟手続を充実したものとするためには、その前提として、未決拘禁者と弁護人との外部交通を充実させることが必要であると考えますが、外部交通の拡充について、法務大臣の見解をお伺いいたします。

 次に、代用刑事施設の問題について、国家公安委員長にお尋ねします。

 代用刑事施設は、監獄法の規定により、監獄に代用される警察の留置場のことであります。今回の法律案で、新たに、留置施設として、その設置根拠等についても規定されることになっておりますが、これまでは、いわゆる代用監獄と言われてまいりました。

 この代用監獄、すなわち代用刑事施設については、捜査機関である警察の管理する施設が被疑者の身柄を拘束する場となることにより、自白強要等の違法な捜査が行われやすく、冤罪の温床になるとの批判がなされ、その廃止が強く主張されてきました。

 しかし、他方において、被疑者のほとんどが代用刑事施設である警察留置場に収容されていること、二十三日間という国際的に見ても短いと言われる身柄拘束期間内に迅速かつ緻密な捜査を遂行する上で貢献している、我が国の刑事司法手続上重要な機能を果たしていること等から、これを廃止することは相当でなく、また現実的でもないとして、その存続が主張されてきたところでもあり、その存廃をめぐって激しい議論がなされてまいりました。

 このような経緯で、昭和五十七年以降、三たびにわたって監獄法の改正が試みられましたが、未決拘禁者の処遇等に関する部分については、いまだ改正に至っておりません。

 この難しい問題に関し、今回の改正案では、代用刑事施設制度の存続という方向性が打ち出されていると理解しております。この結論を出すに当たっては、関係機関との協議や各界の有識者の方々によって構成される会議でなされた議論等を十分尊重されたと伺っております。

 代用刑事施設制度の存続についてどのような議論がなされてきたのか、国家公安委員長にお伺いをいたします。

 次に、留置施設の運営の現状についてお尋ねをいたします。

 捜査機関たる警察の管理する施設が被疑者の身柄拘束の場となることは、無理な取り調べにつながりやすいとの批判がなされているところであります。自白を強要する手段として、例えば睡眠や食事が利用されるようなことがあれば、これはゆゆしきことであり、絶対に見逃すわけにはまいりません。

 そこで、留置施設において、このような事態を起こさないためにどのような制度上の防止策がとられているのか、国家公安委員長にお伺いをいたします。

 また、留置施設は、拘置所と違って設備が悪く、場所も狭いと言われた時代がありましたが、現状ではどのような改善がなされているのかについてもお伺いをいたします。

 代用刑事施設制度を存続させるとしても、人権に配慮した適正な処遇がなされることが必要であります。現在においても、国際的な水準にもとることのないような処遇がなされていることと存じますが、明治以来約百年ぶりの改正でありますので、今回の法改正を機会に、これまで運用で行われていることを法律上明確に規定したり、さらには、施設運営の透明性を確保する措置を新たに講じるなど、制度としてさらに一歩、二歩前に進めることが必要だと考えます。

 今回の法改正では、留置施設についてどのような制度的改善を考えておられるのか、国家公安委員長にお伺いをいたします。

 今回の法律案は、長い間実現されることのなかった監獄法を全面改正し、行刑改革をなし遂げるためにぜひとも必要であり、国民に開かれた司法制度を実現する司法改革の重要な一角をなすものと考えます。今回の法律案の成立にかける御決意を、法務大臣、国家公安委員長、国土交通大臣に、それぞれお伺いをいたします。

 治安の維持と未決拘禁者の人権の保障とは、時として対立する状況にありますが、私は、適正手続の保障等、法の支配を貫徹することにより、これを調和させることが可能になると考えております。国民は、世界一安心、安全な国日本の復活を求めており、これは、小泉内閣の一貫した公約でもあります。

 本国会における審議を通じて、建設的かつ有意義な議論が行われることを心より期待して、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣杉浦正健君登壇〕

国務大臣(杉浦正健君) 早川忠孝議員にお答えを申し上げます。

 まず最初に、行刑施設の過剰収容の現状とその対策についてお尋ねがありました。

 行刑施設の収容人員は、平成十年以降急激に増加しております。平成十七年末現在約七万九千人と、その収容定員約七万六千人を上回り、未決を除く既決人員について申し上げますと、収容人員は約六万八千人、収容定員約五万九千人を大きく上回る過剰収容状態になっております。

 そのため、これまでにも、収容棟の増築工事等による収容能力の拡大を図ってまいりました。本年度の補正予算及び現在審議中の平成十八年度予算案におきましても、収容能力を四千六百人強増強することとしております。

 こうした体制の整備に加えまして、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律により新たに認められることとなった外出、外泊や改善指導の制度の適正な運用を図ることにより、再犯防止を図っていきたいと考えております。

 次に、今回の法律案の意義についてお尋ねがありました。

 今回の法案は、刑事施設、留置施設及び海上保安留置施設に収容されている未決拘禁者等について適正な処遇を行うため、その権利義務の範囲の明確化、適正な生活条件の保障、健康の維持のための措置、外部交通、不服申し立て制度などに関する法整備を行うほか、留置施設について運営の透明性を確保するため、刑事施設と同様に、視察委員会を設けるなどの制度的改善を行おうとするものでございます。

 これにより、未決拘禁者等の処遇に関しては、不十分な内容の法律によって規定され、例えば、受刑者については審査の申請などを行えるのに対しまして、未決拘禁者等には情願の申し立てしか行えないなど、受刑者の処遇との間で生じることとなっている不合理な法律上の格差も解消されることになるとともに、留置施設及び海上保安留置施設に収容されている者の処遇に関する規定も整備され、それらの者の適正な処遇も図られることとなります。

 次に、外部交通の拡充についてのお尋ねがございました。

 未決拘禁者の弁護人との外部交通を拡充することは、公的被疑者弁護制度や裁判員制度の導入など、改革が進められている刑事訴訟手続を充実させる観点からも重要であると考えております。

 このようなことから、連日的、集中的な公判審理が行われる中で防御権を実質的に保障するため、拘置所において休日や執務時間外に弁護人との接見を認める範囲を拡充することを検討するとともに、接見を補完する簡易迅速な外部交通の手段として、弁護人との電話を運用上、試行的に認める方向で、その範囲や具体的な方法等についても検討しているところでございます。

 最後に、この法律案の成立にかける決意についてのお尋ねがございました。

 この法律案は、代用刑事施設、代用監獄のあり方を初めとする未決拘禁者等の処遇に関し、先生御指摘のとおり、昭和五十七年以来、四半世紀の長きにわたる各方面の関係者の真摯な検討、協議を経て法整備を行おうとするものでございます。これにより、約百年前に制定された監獄法の全面的な改正がようやく実現することになります。

 こうした意味からも、今回の法案の意義は極めて大きいと考えておりますので、十分に御審議いただいた上、ぜひとも速やかに成立させていただくべく努力したいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 早川議員にお答え申し上げます。

 この法律案の成立にかける決意についてお尋ねがございました。

 本法律案は、国土交通省につきましては、海上保安庁の留置施設につきまして、その管理運営や被留置者の処遇等について法律上明らかにすることにより、被留置者の人権を尊重しつつ、適切な処遇の確保を図ろうとするものでございます。

 国土交通省といたしましては、法務省及び国家公安委員会と協力し、本法律案の速やかな成立に向け努力をするとともに、この法律案を成立させていただきましたならば、被留置者の人権尊重等の法律の趣旨を十分に踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣沓掛哲男君登壇〕

国務大臣(沓掛哲男君) 早川議員より四問いただきましたので、お答えいたします。

 まず、代用刑事施設制度の存続について、関係機関との協議等の場でどのような議論が行われてきたかについてお尋ねがありました。

 関係機関とは、平成十六年七月より、未決拘禁者の処遇のあり方や監獄法改正の内容等について協議を行ってまいりました。有識者会議では、代用刑事施設制度について、将来的には廃止すべきものであるとする意見も示されましたが、そのように考えることは現実的ではないとする意見が多数を占めたところであります。

 提言では、こうした議論を踏まえ、委員全員の一致した意見として、今回の法整備に当たっては、代用刑事施設制度を存続させることを前提としつつ、代用刑事施設制度のさらなる改善を図るための措置を講ずることが必要であると指摘しているところであります。

 次に、留置施設における捜査と留置の分離及び施設面での処遇改善に関するお尋ねですが、捜査と留置の分離につきましては、昭和五十五年以降、政令以下の規定により、組織上、捜査業務に携わらない管理部門の警察官が留置業務を行うこととしております。

 留置施設の改善については、昭和五十五年以降の新設留置施設に適用する基準として、被留置者のプライバシー保護の観点から、留置室の配置等を改善するとともに、留置室前面のおおむね下半分を不透明な合成樹脂板で遮へいすること、居住環境改善の観点から、被留置者一人当たりの居住面積を拡大することなどを定め、同時に既設留置施設においても可能な限り改善整備を行っているほか、ほぼ全留置施設で空調設備を整備するなど、被留置者の処遇改善に引き続き努力しているところであります。

 次に、今回の法律案によりどのような留置施設の制度的改善が図られたかというお尋ねですが、私といたしましても、被留置者の適正な処遇がより確実に行われるよう、留置施設の運営改善のための規定を設ける必要があると認識しているところであります。

 そこで、具体的には、これまで政令以下で規定してきた捜査と留置の分離を法律上明記すること、施設運営の透明化を図るため、留置施設視察委員会を設置すること、不服申し立て制度を整備することなどを新たに規定することとしており、これらを活用することにより、これまで以上に留置施設の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。

 最後に、今回の法律案の成立にかける決意についてのお尋ねですが、議員御指摘のとおり、監獄法の改正は過去三回にわたって試みられましたが、未決拘禁者の処遇等に関する部分については、主に代用刑事施設問題に関する意見の相違から、成立には至っていないところであります。

 今回は、関係機関との協議や有識者会議の提言を踏まえて法律案を作成したものであるので、今国会でぜひとも本法案の成立を図っていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 高山智司君。

    〔高山智司君登壇〕

高山智司君 民主党の高山智司です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、安倍官房長官、杉浦法務大臣、沓掛国家公安委員長、額賀防衛庁長官に対して質問を行います。(拍手)

 東京拘置所では、今月に入って既に二件も首つり自殺が起きております。東京拘置所は新しい庁舎を建築中ですが、収容定員は三千人という大規模なものです。大規模な拘置所であるがゆえに、職員の目が行き届かず、被収容者の自殺が立て続けに起こるのでしょうか。

 また、この東京拘置所の新築工事の発注にも疑念があります。一回目の一般入札の落札率が九六・四%、二回目は九九・七%、三回目は入札が成立せずでございました。談合のおそれを疑われても仕方のない数字ではありませんか。

 収容者の管理体制に問題がなかったか、施設発注につき談合はなかったか、法務大臣に答弁を求めます。

 また、杉浦法務大臣は、昨日、小田急線訴訟判決を変な裁判の例として挙げたとの報道があります。個別の事案を取り上げてその判決を大臣が変だと言うのは、司法権の独立を侵害するものであり、私は、この大臣の発言に強く抗議いたします。(拍手)

 今回の改正案は、無罪推定のある未決拘禁者の処遇に関するものであります。受刑者よりもより配慮が求められる未決拘禁者に対して整備がおくれていたことから、改正は速やかに行われるべきと考えます。そして、その内容は、迅速的確な犯罪捜査の実現に寄与すべきものであることはもちろんですが、デュープロセスの要請にこたえるものでもなければなりません。

 それでは、以下、法案について質問をいたします。

 まず、いわゆる代用監獄についてお聞きいたします。

 捜査機関である警察が被疑者の身柄を拘束、収容することから、自白の強要等の違法な捜査が行われやすく、冤罪の温床になるとの批判がなされてまいりました。にもかかわらず、実態としては、ほとんどの身柄拘束は警察署内の留置所、代用監獄が利用されております。

 今回の改正案では、「刑事施設に収容することに代えて、留置施設に留置することができる。」と、旧監獄法と同様の規定をされております。これは、本来は刑事施設に未決拘禁者を収容すべきだが、例外として警察署留置もできると文言上は読めますが、従来と解釈に変更があるのか、法務大臣の答弁を求めます。

 有識者会議で日弁連が提出した資料には、平成六年から昨年末まで、代用監獄での勾留において違法な取り調べなどが起きた実際の事例について、五十件以上挙がっております。

 代用監獄で起きた違法な取り調べについて、この十年間で国家公安委員長が把握している件数と、そのことについてどのようにお考えか、違法な取り調べが起きた原因について、制度的な欠陥なのか警察官個人の問題なのか、違法な取り調べを予防するためにはどのような具体的対策をとっているのか、国家公安委員長に伺います。

 私は、留置業務管理者は起居動作の時限を遵守させること、留置担当者は、被留置者が取り調べに耐えられるかどうかを確認する責任を負うこと、また留置施設における被留置者の出入りを正確に記録すること、そして、この記録について裁判所、弁護人がアクセスできること等が制度的に保障されることが必要と考えます。また、深夜に及ぶ取り調べや雑居房の同房者を利用した自白誘導などを防止するために、留置と捜査部門の権限配分の徹底を求めますが、この点もあわせて答弁をお願いします。

 そして、少なくとも、重罪事件、否認事件、女性、少年などの被疑者は、昨日の裁判で判断が分かれた少年事件の例にもあるように、捜査段階での自白強要、誘導の危険が通常よりも高まります。この点に特別の配慮をして、代用監獄ではなく、拘置所または少年鑑別所に収容すべきと考えますが、この点について、法務大臣、国家公安委員長はどのようにお考えになりますか。

 有識者会議の提言では、代用監獄で起こり得るさまざまな問題を回避し、国際的に要求される水準を実質的に満たした被疑者の処遇がより確実に行われるような具体的な仕組みを考えるべきであるとあります。

 国際的に要求される水準を実質的に満たした被疑者の処遇とは、具体的にはどのような処遇を指しているとお考えでしょうか。国際的に要求される水準に対して、代用監獄はどの程度、どのような点が劣るとお考えでしょうか。その国際的に要求される水準の実現のための具体的な仕組みとは何を考えているか、法務大臣、国家公安委員長に答弁を求めます。

 次に、取り調べの可視化についてお尋ねいたします。

 我が国の警察や検察庁での取り調べは密室で行われ、弁護人が立ち会えない上、取り調べの状況が録画、録音されることもありません。日本は伝統的に自白偏重と言われる捜査方法をとってきました。そのため、密室での取り調べは自白強要の危険性があり、ひいては冤罪につながりかねません。また、調書の信頼性をめぐって裁判が長期化することもあります。

 民主党は、取り調べの透明性を高め、裁判の迅速性を高めるために、刑事訴訟法改正案、いわゆる取り調べ可視化法案を提出してまいりました。民主党案では、例えば、被疑者の取り調べに際しては、被疑者または弁護人が求めたときは、弁護人の立ち会いを認めなければならないこととしています。また、被疑者の取り調べに際しては、被疑者の供述及び取り調べの状況のすべてを映像及び音声を同時に記録することができる記録媒体に記録しなければならないこととしております。そして、これに違反してなされた取り調べにおいてなされた自白は、証拠とすることができないこととしております。

 警察署留置を認めるのであればなおのこと、こうした取り調べの可視化の必要性は高まると考えますが、これらの点について既に検討を始めていらっしゃるのでしょうか。あるいは、将来の見通しも含め、どのようにお考えか。民主党は近くこの法案を再提出する予定ですので、その際にはぜひとも御審議の上成立させていただきたいと考えております。いかがでしょうか。これらの点について、法務大臣、国家公安委員長にお聞きいたします。(拍手)

 受刑者、未決拘禁者であっても、拘禁に必要な限度を超えてプライバシーが侵害されたり通信が制限されることはあってはなりません。この点、昨日の最高裁事案にあるように受刑者の手紙の発信が不当に制限されたり、また京都刑務所から受刑者の個人情報が漏えいする事件が現に起きております。

 また、警察、自衛隊、学校、メディア、航空会社などが保有する個人情報や保安情報がウィニーにより流出する事件が後を絶ちません。

 二〇〇三年には、警察がウィニーで映画やゲームソフトなどを公開した男性を著作権法違反で逮捕いたしました。しかし、今回は、その取り締まりをする警察の職員が摘発対象のソフトを使用していたというのもお粗末な話です。

 しかし、問題は、ウィニーにより顕在化した情報管理のずさんさ、とりわけ個人情報が厳重に管理されるべき刑務所、警察署などにおいて、それが職員によりいとも簡単に持ち出せるこの役所のいいかげんさにあるのではないでしょうか。

 特に、警察から流出した情報には、捜査情報、事件関係者などの個人情報が含まれているとのことです。これは、事件被害者の情報なども含まれているということでしょうか。被害者が、流出した情報によりさらに被害に遭うということも十分に予想されます。

 また、国防機密を扱う防衛庁・自衛隊でも情報流出が相次いでおります。

 二〇〇二年には自衛隊の情報通信システム設計を請け負う企業からデータが流出、二〇〇四年には海上自衛隊の情報ネットワークの内部資料が流出いたしました。そして今度は、ウィニーによって海上自衛隊の情報が流出いたしました。同種の事件を何度も繰り返し、それでも改めることのできないこのずさんな管理体制に対して、どのようにお考えでしょうか。最初の事件のときにきちんと対策を講じておれば、今回の流出事件は起きずに済んだ、私は今回の情報流出は未然に防げたと考えますが、防衛庁長官の答弁を求めます。

 一連の情報流出について各大臣に具体的にお尋ねしますが、これまで一体、それぞれ御担当の行政機関において何件の情報流出が起きているのでしょうか。流出元の件数、流出ファイル数、個人情報流出の被害に遭った被害者数を伺います。

 また、被害者への対応、流出してしまった情報が犯罪などに使われないためにどのような対策をとっているのか、もし実際にそうした二次被害が起きた場合、どのような責任をとるつもりなのか、今回情報流出させた職員及び情報管理の責任者をどう処分したか、答弁を求めます。

 以上の点は、法務大臣、国家公安委員長、防衛庁長官はそれぞれ担当の行政機関について、また官房長官は政府全体について、それぞれ御自身の責任についても答弁を求めます。

 特に、法務大臣は、今国会に提出され、現在審議中の入管法改正案において、指紋などの生体認識情報の採取を入国する外国人すべてに義務づけるほか、自動化ゲートを利用する日本人などからも指紋などの生体認識情報を採取することとしております。万が一にもこうした情報が今回の事件のように流出することがあれば、全く取り返しのつかないことになります。個人情報保護法といった一般法だけで本当に大丈夫か、今まで以上にプライバシー侵害の程度の大きい指紋、顔写真を扱う特別の措置が必要と考えますが、法務大臣はこの点も含めて答弁をお願いします。

 さらに、今回の情報流出の原因となったウィニーというソフトについて安倍官房長官にお尋ねします。

 このソフトを作成すること、所持、利用、頒布することは、それぞれどのような犯罪を構成するとお考えでしょうか。また、公務員がこれらを所持、利用することは、何らかの懲戒事由に該当するとお考えでしょうか。どうも、このウィニーというソフトは、専ら違法な著作権侵害に使われていることが多いようです。この点も踏まえて、今後の政府としての対策について答弁を求めます。

 今、国民が切実に求めているのは、安心、安全な社会であります。しかし、その目的のために過剰に個人情報が国家に管理される監視社会は、望んではおりません。また、国家による個人情報の管理がいいかげんな社会を国民が求めているとは思えません。

 民主党は、個人が伸び伸びと自立できる安心、安全な社会づくりに全力を挙げることをお誓いして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣安倍晋三君登壇〕

国務大臣(安倍晋三君) 高山議員にお答えをいたします。

 まず、政府機関からの情報流出事案についてのお尋ねがありました。

 政府機関の重要情報の流出については、大変遺憾に考えております。

 情報流出の防止のためには、各省庁における情報管理を徹底するということが基本であり、三月九日の事務次官等会議において、職員の一人一人にまで情報管理が徹底されるよう、私から厳しく指示したところであります。

 今後とも、各省庁に対して、情報セキュリティー対策の徹底を強力に指導してまいる所存であります。また、情報流出事案の発生した場合には、各省庁の責任において厳正な対処が行われるものと考えております。

 次に、ウィニーの作成等がどのような犯罪に当たるのか、また、公務員によるウィニーの所持等が懲戒事由に当たるかどうかとのお尋ねがありました。

 犯罪の成否は、個別の事案に応じ、収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄であり、一概にはお答えいたしかねます。

 ウィニーに関しては、それ自体を禁止する法令はございませんが、これを使用して著作権を侵害したという事実について有罪判決が確定した事案、ウィニーを他の者にダウンロードさせて提供し、この者が著作権法違反行為を行うのを幇助したという事実について公判請求し、現在、公判係属中の事案があると承知をしております。

 一般職の国家公務員がウィニーソフトを所持すること自体が、直ちに国家公務員法第八十二条に規定する懲戒処分の対象となるものではありませんが、各府省のセキュリティーポリシー等の内部規定に違反してウィニーソフトをダウンロードした場合には、同法第九十八条第一項の「法令及び上司の命令に従う義務」に違反し、同法第八十二条に規定する懲戒処分の対象となり得るものと考えております。

 次に、政府機関におけるウィニー対策についてのお尋ねがありました。

 今回のような情報流出の防止のためには、特に、情報の外部持ち出し及び私物パソコンの業務使用について厳格な管理を行うことが基本的な対策であり、これを徹底することといたしております。特に、私物パソコンを含め、業務で使用するパソコンでは、ウィニーを使用させないよう厳格な管理を徹底することといたしております。

    〔国務大臣杉浦正健君登壇〕

国務大臣(杉浦正健君) 高山智司議員にお答えを申し上げます。

 最初に、私の昨日の参議院法務委員会における答弁に関しての御指摘がございましたが、私の発言の趣旨は、裁判員制度の導入の経緯に関し、裁判に国民の声を反映させる必要が論議されたことを御紹介することにあり、個々の裁判につき法務大臣としての所見を述べたものではございません。

 東京拘置所における被収容者の管理体制についてでございますが、本年三月四日及び三月十二日、東京拘置所において立て続けに自殺事故が発生したことにつきましては、まことに遺憾でありますが、各施設の規模に応じ相応の管理体制を講じているところであり、大規模な拘置所であるがゆえに職員の目が行き届き得ないという問題はないと承知しております。対策につきさらに検討し、再発防止に努めてまいります。

 次に、東京拘置所の施設発注に関してですが、法務省においては、入札に関して談合を疑わせる情報等があった案件につきましては、できる限りの調査を尽くすなど、必要な措置をとってきたところでございます。

 御指摘の工事については、談合があったと疑われるような具体的情報には接しておりませんが、いずれにせよ、法務省における工事の発注手続につきましては、会計法令等にのっとって適正に対処いたしているところでございます。

 次に、この法律案の代替収容に関する規定と旧監獄法の解釈との関係についてでございますが、勾留場所として拘置所を選択するか代用刑事施設としての警察留置場を選択するかについては、法律上、原則、例外の区別はございません。これは専ら裁判官の適正な裁量にゆだねられていると考えられているところでございます。

 今回の法律案においても、このような前提のもとで、代替収容について規定するものであり、この点について考え方を変更するものではございません。

 次に、重罪事件等の被疑者は拘置所等に収容すべきであるとのお尋ねでございますが、被疑者を勾留する場所については、具体的事件ごとに決すべきものであり、代用監獄と拘置所等のどちらが原則でどちらが例外と一概に言えるものではないと考えております。

 次に、国際的に要求される処遇の水準についてのお尋ねでございますが、代用刑事施設における処遇との関係で要求される国際的な水準とは、人権保障のあり方が国際的な水準を満たすことをいうものと考えているところ、我が国の代用刑事施設における処遇は、十分にこれを満たすものであると考えております。

 今回の法案では、留置施設に代替収容される者の権利義務を明確に規定することとし、刑事施設に収容される者との処遇の斉一性を図るとともに、捜査業務と留置業務を法律上も厳格に分離し、また、執務時間外においても管理運営上支障がない限り弁護人との面会を保障するなどの規定を設けるほか、留置施設の運営の透明性を確保するため、留置施設視察委員会を設けることとしているところであり、これらにより、留置施設における処遇の適正さは、より十全なものとなると考えております。

 次に、取り調べ過程の録音、録画や、取り調べに弁護人が立ち会うことについてでございますが、この点については、司法制度改革審議会意見におきましても、刑事手続における被疑者の取り調べの役割との関係で慎重な配慮が必要であることなどから、将来的な検討課題とされているところでございます。法務省としても、慎重に検討することが必要な問題として、多角的な観点から検討を行っているところでございます。

 また、民主党において提出される予定の法案につきましては、国会において御判断されることであると思います。

 次に、法務省におけるウィニー関連のウイルスによる情報流出事案についてお尋ねがございました。

 当省においては、流出元は二件、流出した情報はファイル数で合計約一万件であり、そこには、矯正施設関係では被収容者三千三百八十人分及び職員二千二百八十三人分の氏名等の、検察庁関係では捜査対象者八名分の氏名等の個人情報がそれぞれ含まれていたものと承知しております。

 このような極めて遺憾な事態が生じましたことを、私どもは重く受けとめております。流出した情報に係る個々の方々には御心配をおかけしておりますが、当該情報の広がりぐあいなどの状況を見きわめつつ、適切に対処してまいります。関係者の処分につきましては、現在検討中でございますが、事案の内容を踏まえ、適切に対処いたします。また、十分な対応策をとり、再発防止に努めます。

 最後に、入管法改正案により今後蓄積される個人情報の流出のおそれについてお尋ねがございましたが、外国人から提供を受けた個人識別情報につきましては、専用回線の使用、コンピューターウイルス対策ソフトウエアの導入、基本ソフトウエア以外の無断インストールの禁止、アクセス権者の限定などの対策を講じることにより、その流出防止に細心の注意を払うこととしております。また、個人識別情報については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の規定に基づき、適正に取り扱うことができると考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣沓掛哲男君登壇〕

国務大臣(沓掛哲男君) 高山議員にお答えいたします。

 警察に留置中の被疑者に係る違法な取り調べについての御質問ですが、まず、ここ十年間での統計はないものの、平成十五年以降で刑事部門において把握している範囲では、取り調べ中の暴行やわいせつ行為により警察官を送致した件数が八件あると承知しております。

 それらは、いずれもあくまで警察官個人としての非違行為であると考えておりますが、そのような行為が行われたことは遺憾でございます。被疑者の取り調べが法令にのっとり適正に行われるべきことは当然であり、今後とも、取り調べの適正を確保するための指導が徹底されるよう、警察庁を督励してまいりたいと考えております。

 次に、被留置者の適正処遇の保障と、捜査と留置の分離の徹底についてのお尋ねがございましたが、被留置者の処遇状況については、これを記録化し、必要に応じて関係機関に提供するなど、その適正を確保することとしております。

 また、捜査と留置の分離については、昭和五十五年以降、政令等により、組織上、捜査業務に携わらない管理部門の警察官が留置業務を行うこととしております。今回の法律案においては、これを一歩進め、捜査と留置の分離について法律上明確に規定することとしております。

 続いて、一定の事件について、被疑者の収容場所を拘置所等とすべきではないかとのお尋ねですが、被勾留者を留置施設または拘置所のいずれに収容するかは、個別の事件ごとの裁判官の判断により決定されるものであり、法律上、この裁量的判断に制約を加えるのは適当でないと考えております。

 続いて、留置施設における処遇の国際水準の充足に関してのお尋ねですが、留置施設において、捜査業務と留置業務とは厳格に区別して運営しており、拘禁された者の人道的取り扱いという処遇面も含め、いわゆる人権B規約等の法的拘束力を有する国際規約に沿ったものとなっておると考えております。

 さらに、本法案においては、留置施設の透明性を確保するための措置や被留置者の権利救済手続を整備することとしており、今後とも国際水準に配慮した留置施設の運営に努めてまいります。

 続いて、取り調べの可視化に関する質問ですが、被疑者の取り調べにおける弁護人の立ち会いや、その状況の録音、録画を実施した場合、取り調べの機能が大きく阻害され、犯罪の検挙に支障を来すおそれがあるため、その実施については、警察として慎重に検討する必要があるものと承知しております。

 民主党において提出される予定の法案につきましては、国会において御判断いただくことであると考えております。

 続いて、警察におけるウィニーによる情報流出事案、被害者への対応、解決策等についてのお尋ねでありますが、警察において、ウイルスに感染したパソコンからウィニーを通じて捜査情報等の流出が確認できたものとしては、平成十六年三月以降、七件あると承知いたしております。

 流出した情報のファイル数については、お答えすると流出した情報を特定することにもつながるおそれがありますので、答弁については差し控えさせていただきます。

 なお、それぞれの事案におきましては、少ないもので数人、多いもので四千人を超える被害者や事件関係者等の個人情報を含む捜査資料等が流出しており、警察が保有する捜査資料等の流出が続いたことは、極めて遺憾であります。

 流出した情報の当事者の方々に対しては、個々具体的な事情を勘案した上で、必要な説明を行い、謝罪することとしており、今般の岡山県警察及び愛媛県警察の事案につきましても、相談窓口を設定し、問い合わせ、相談に応じるとともに、一部の方には謝罪したとの報告を受けております。また、その際、情報の流出により二次的な被害に遭われることのないよう、各種の事案を想定して、必要な助言、支援をしていく方針であります。

 関係者の処分につきましては、それぞれの事実に即して、懲戒処分に付するなど厳正に対処してきたほか、現在調査中の事案については、調査結果に即し、厳正に対処するものと承知しております。

 警察庁においては、これら事案の緊急対策として、本年三月七日付で、職場に存在するすべてのパソコン等の緊急点検、私物パソコンからのファイル共有ソフトの削除とその確認、ウィニーの使用禁止を含めた情報管理対策の徹底についての全職員からの確認書の提出などを定めた通達を発出したところであります。

 私としては、今般の緊急対策の確実な履行を通じ、同種事案の再発防止に万全を期すことにより、大臣としての責任を果たしてまいりたいと考えております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣額賀福志郎君登壇〕

国務大臣(額賀福志郎君) 高山議員にお答えをいたします。

 防衛庁の情報流出事案についてのお尋ねがありました。

 防衛庁におきまして、これまで各種情報流出事案が発生していることはまことに遺憾であります。

 防衛庁としては、事案の都度、各種教育等を行ってきましたが、その後も同様な事案が発生していることにかんがみれば、これらの措置が十分でなかったことが明らかでありまして、私も、職員の意識も緩みがあったものと思っております。したがって、今後、再発防止のために全力を尽くしてまいり、国民の信頼を回復することにしたいというふうに思っております。

 次に、防衛庁の情報流出事案に関する概要や事案への対応などについてのお尋ねがありました。

 まず、ファイル共有ソフトを介した情報流出事案については、既に報道された九件以外のことも把握はしておるのでありますけれども、総件数等につきましては、今後、資料の検索等を誘発し、そしてまた二次被害のおそれもあるので、控えさせていただきたいというふうに思っております。

 また、個人情報が流出した場合にはどうしているのかということでございますけれども、流出した情報の内容を説明し、きちっと謝罪をし、同時に、二次被害の可能性について注意喚起をしたり、相談に応じたりしているところでございます。また、個人情報が流出した場合も含め、関係者の処分については、今後とも、今調査中のこともありますので、厳正に処分をしたいというふうに思っております。

 また、防衛庁においては、再発防止に向けた抜本的対策を、今、検討中であります。このような事案が発生したことにより、防衛庁に対する信頼を傷つけたことはまことに遺憾であり、私としては、綱紀粛正、再発防止のために全力を尽くして、信頼を取り戻したいというふうに思っております。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣   竹中 平蔵君

       法務大臣   杉浦 正健君

       国土交通大臣 北側 一雄君

       国務大臣   安倍 晋三君

       国務大臣   沓掛 哲男君

       国務大臣   額賀福志郎君

 出席副大臣

       法務副大臣  河野 太郎君


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