衆議院

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第21号 平成18年4月11日(火曜日)

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平成十八年四月十一日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十五号

  平成十八年四月十一日

    午後一時開議

 第一 国際民間航空条約第五十六条の改正に関する千九百八十九年十月六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件

 第二 国際水路機関条約の改正議定書の締結について承認を求めるの件

 第三 国際海事機関条約の改正(簡易化委員会の設置)の受諾について承認を求めるの件

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 国際民間航空条約第五十六条の改正に関する千九百八十九年十月六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第二 国際水路機関条約の改正議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第三 国際海事機関条約の改正(簡易化委員会の設置)の受諾について承認を求めるの件

 都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 住生活基本法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 国際民間航空条約第五十六条の改正に関する千九百八十九年十月六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第二 国際水路機関条約の改正議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第三 国際海事機関条約の改正(簡易化委員会の設置)の受諾について承認を求めるの件

議長(河野洋平君) 日程第一、国際民間航空条約第五十六条の改正に関する千九百八十九年十月六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件、日程第二、国際水路機関条約の改正議定書の締結について承認を求めるの件、日程第三、国際海事機関条約の改正(簡易化委員会の設置)の受諾について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長原田義昭君。

    ―――――――――――――

 国際民間航空条約第五十六条の改正に関する千九百八十九年十月六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 国際水路機関条約の改正議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 国際海事機関条約の改正(簡易化委員会の設置)の受諾について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔原田義昭君登壇〕

原田義昭君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、国際民間航空条約改正議定書について申し上げます。

 国際民間航空機関は、昭和十九年に作成された国際民間航空条約に基づき、国際民間航空の安全かつ整然たる発展を確保することを目的として設立されたものであります。国際連合の専門機関の一つであり、その加盟国の数は、我が国を含め百八十九カ国に達しております。

 国際民間航空機関の航空委員会の委員の数については、これまで十五名の委員から構成されておりましたが、平成元年十月にモントリオールで開催された第二十七回総会において、委員数を十九名に増加することを定める本議定書が作成されたものでございます。

 次に、国際水路機関条約改正議定書について申し上げます。

 近年、急速な情報技術の進展により、水路業務をめぐる状況は大きく変化しております。このような状況に対応するため、国際水路機関をより柔軟かつ迅速な意思決定が可能な近代的な組織とすることが求められ、平成十七年四月、モナコで開催された第三回臨時国際水路会議において本改正議定書が採択されました。

 本改正議定書は、これまで国際水路機関の内部機関であった国際水路会議及び国際水路局にかえて、新たに総会、理事会、財政委員会、事務局及び補助機関を設置することにより、機関の意思決定の迅速化、予算、財政の透明化及び円滑な組織運営を図ろうとするものでございます。

 最後に、国際海事機関条約一九九一年改正について申し上げます。

 国際海事機関は、国際航海に従事する船舶の入出港に係る手続や書類のさらなる削減等を検討するため、昭和四十七年の理事会決議により理事会のもとに簡易化委員会を設置しております。しかし、同委員会が国際海事機関条約上認められた正式な委員会でないため、専任の事務局スタッフを置けないなど、委員会の運営に制約がありました。そのため、平成三年十一月に開催された総会において、同委員会を正式な委員会と改組することでその機能を強化することと決定したものであります。

 以上の三件は、去る三月三十日外務委員会に付託され、翌三十一日麻生外務大臣から提案理由の説明を聴取し、四月七日、質疑を行い、討論の後、採決を行いました結果、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 三件を一括して採決いたします。

 三件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、三件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

中山泰秀君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 中山泰秀君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長林幹雄君。

    ―――――――――――――

 都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔林幹雄君登壇〕

林幹雄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、都市の秩序ある整備を図るため、都市計画制度の見直しなど所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、都市計画区域内等の一定の区域内において、大規模集客施設の立地を規制すること、

 第二に、準都市計画区域の指定権者を市町村から都道府県とすること、

 第三に、公共公益施設や市街化調整区域内の大規模開発について、開発許可制度の見直しを行うこと、

 第四に、大規模集客施設の整備による商業等の利便の増進を図るため、開発整備促進区を地区計画に定めることができること

などであります。

 本案は、去る三月十六日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託され、翌十七日北側国土交通大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。二十九日質疑に入り、同日視察を行い、四月四日参考人からの意見聴取を行い、翌五日質疑を終了いたしました。

 本日、本案に対し、日本共産党及び社会民主党・市民連合から修正案が提出され、趣旨の説明を聴取した後、採決いたしました結果、修正案は賛成少数で否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 住生活基本法案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、住生活基本法案について、趣旨の説明を求めます。国土交通大臣北側一雄君。

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 住生活基本法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 これまで、我が国の住宅政策は、住宅建設計画法のもと、公的資金による住宅の新規供給の支援を通じて、戦後の住宅不足の解消や居住水準の向上に一定の役割を果たしてまいりました。

 しかしながら、近年の急速な社会経済情勢の変化に応じて、現在と将来における国民の豊かな住生活を実現するためには、住宅の量の確保を図るこれまでの政策から、住宅セーフティーネットの確保に配慮し、健全な住宅市場の環境整備と、居住環境を含む住宅ストックの質の向上を図る政策へと本格的な転換を図り、新たな住宅政策の基本となる制度を構築することが大きな課題となっております。

 この法律案は、このような趣旨を踏まえ、住生活の安定の確保と向上の促進に関する施策について、その基本理念、国等の責務、基本的施策、住生活基本計画その他の基本となる事項を定め、住生活の安定の確保と向上の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上と社会福祉の増進を図り、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものでございます。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、住生活の安定の確保と向上の促進に関する施策の推進について、その基本理念を定め、国、地方公共団体及び住宅関連事業者の責務を明らかにすることとしております。

 第二に、国と地方公共団体が講ずべき、住生活の安定の確保と向上の促進に関する基本的施策を定めることとしております。

 第三に、政府が定める全国計画と都道府県が定める都道府県計画から成る住生活基本計画を策定することとするとともに、この計画を実施するため、国、地方公共団体等が講ずべき措置について定めることとしております。

 第四に、住宅建設計画法を廃止することとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、住生活基本法案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 住生活基本法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。吉田六左エ門君。

    〔吉田六左エ門君登壇〕

吉田六左エ門君 吉田であります。六左エ門でございます。

 私は、自由民主党を代表し、建築を学んだ者の一人として、強い思いを込めて、住生活基本法案に係る趣旨説明に対し質問をさせていただきます。(拍手)

 皆さん、二十世紀の初め、多くの建築家は未来の都市を夢見ました。その未来都市の夢の中心は集合住宅という新しいビルディングタイプのものであり、現在のアパート、マンションの原型になるものであります。この発想は、フランス人建築家ル・コルビジェらによってでき上がったものでありまして、一九一八年、第一次世界大戦が終わり、ドイツにワイマール共和国ができた時代で、敗戦による住宅不足を解決するため、国家戦略として住宅を大量供給した時代であります。一家が一ユニットに住む、そして、それを幾層にも積み重ねるという新しい建築様式としてこの時代にでき上がったものであります。

 このことは、とりもなおさず、我が国の戦後についても同じことが言えます。国破れて山河あり、祖国は焼け野原、多くの同胞が外地から祖国へ帰ってきました。そして、住宅はもちろん、衣食にも事欠くあの時代です。戦後の住宅政策は、住宅不足と人口の急増に対し、昭和二十五年以降、住宅金融公庫、公営住宅制度、日本住宅公団が相次いで設立され、集合住宅の形式で大量供給されたのであります。

 さらに、昭和四十一年、住宅建設計画法が制定、住宅建設五カ年計画が策定、実施され、国民にマイホームの夢を与え、当時の社会秩序の形成に対しても大きな役割を果たしました。こうした政策は大いに評価できるものであると私は確信しております。

 一方、最近の社会経済情勢は、少子高齢化の急速な進展、人口、世帯減少により大きく変化しており、一昨年来、公庫、公営、公団について抜本的な改革が進められました。

 このような改革が進む中、今後の住宅政策の位置づけと方向性を国家戦略として明確にすべきであります。今こそ、住宅政策は、成熟国家として、量の確保から住環境を含めた質の向上を目指すよう、パラダイム転換を図るべきです。そして、そのためには、住宅政策こそ、若者、高齢者、障害者などの社会的弱者も含め、すべての国民が生き生きと暮らせる地域社会を再生するための最も重要な課題であると認識しなければなりません。

 私は、この政策転換の象徴として、一つのエグザンプルとして、江東区にある東雲キャナルコートを挙げたいと思います。

 これは、都市再生機構の賃貸住宅でありますが、これまでの公団住宅の常識を打ち破り、都心居住のための全く新しい集合住宅をつくるのだという建築家たちの発想を取り入れたものであります。居住者すべてが健康で人間らしい生活を営むことのできる地域社会をつくることを目指して建築されており、建築家の発想が一人一人が健康で明るくはつらつと暮らせる住宅をつくり、町をつくり、ひいては地域をつくることができる確かなあかしでもあります。子供がキャナルコートでは最近ふえつつあるというデータも聞かされています。

 さらに、私は、このような住宅政策の本格的な転換こそが今回の住生活基本法の根幹であると信じ、政府の意気込みを高く評価するものであります。

 そこでまず、なぜ今、住生活基本法を制定しようとするのか、その趣旨、ねらいについて国土交通大臣の所見を伺います。

 また、国が住生活基本計画を定めることとされており、豊かな住生活を目指すため、今後どのような政策の柱を立て展開していくお考えか、国土交通大臣の所見を伺います。

 東雲キャナルコートの例にもあるように、周辺地域の住環境を含めて整備することが重要であります。職住近接による子育て、家庭の団らん、地域交流等の時間的なゆとりと文化活動やショッピングを重視した生活を求める都心居住や町中居住を進めることが重要な課題であると思います。

 住宅政策を進めるに当たっては、中心市街地の活性化など、まちづくりと一体になった政策の推進が必要不可欠と考えます。この点について国土交通大臣の御所見を伺いたいと思います。

 天下国家という言葉を我々はよく使います。中国古典をひもときますと、孟子の言葉に、「天下の本は国にあり、国の本は家にあり、家の本は身にあり」とあります。だからこそ、今回、住生活基本法を制定し、さらに、そのダイナミックな運用を真っ正面の北側大臣に期待したいと思っているのであります。国民一人一人が常に豊かに住生活が実現できる住まいと住環境をつくり、今後の日本社会を支える基とすることを強く要望申し上げさせていただいて、ここからの自由民主党を代表しての質問とさせていただきます。

 御清聴感謝いたします。ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 吉田議員にお答え申し上げます。

 まず、住生活基本法を制定する趣旨についてお尋ねがございました。

 我が国の住宅政策は、戦後の深刻な住宅不足を背景に、住宅建設計画法に基づく五カ年計画のもと、住宅の新規供給の支援を基本としてまいりました。しかし、人口減少社会が到来する今日、住宅の量の確保を図る政策から、住環境を含めた住宅の質の向上を図る政策へと転換する必要がございます。

 このため、現行制度を抜本的に見直し、新たな計画制度を創設するとともに、国、地方公共団体、事業者や住民の意識を高め、豊かな住生活の実現に向けた長期的かつ一体的な取り組みを推進するため、住生活基本法を制定しようとするものでございます。

 次に、今後の政策の柱立て及びその展開についてお尋ねがございました。

 住生活基本法案においては、住宅の品質、性能の維持向上、地域における良好な居住環境の形成、既存ストックの活用や消費者利益の保護を図る住宅市場の環境整備、住宅困窮者の居住の安定の確保の四つを主要な柱とし、それぞれの基本理念及び基本的施策について規定しているところでございます。

 今後、国及び地方公共団体は、これらに基づき具体的な施策を強力に推進するとともに、住宅関連事業者、居住者等住生活に係るすべての関係者相互の連携協力が図られるよう努めてまいります。

 三点目に、住宅政策とまちづくりの関係についてお尋ねがございました。

 少子高齢社会の進展や人口減少社会が到来する中、高齢者でも暮らしやすい、にぎわいのある町を再構築する観点から、既存ストックを有効に活用し、必要となるさまざまな機能がコンパクトに集積したまちづくりの推進が重要な課題となっております。

 先ほど、都市計画法の改正につきましては、衆議院の方で可決をちょうだいいたしました。

 このため、住宅政策としては、中心市街地の活性化等地域におけるまちづくりの取り組みと一体となって良好な居住環境の形成を図る観点から、町中居住の推進など、地域におけるさまざまなニーズに応じた住宅政策の総合的な推進に努めてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 長安豊君。

    〔長安豊君登壇〕

長安豊君 民主党の長安豊でございます。

 ただいま議題となりました政府提出の住生活基本法案について質問いたします。(拍手)

 先週のことでありますが、小泉総理の在任期間が、佐藤栄作元総理、吉田茂元総理に次いで戦後歴代三位になったとのニュースがありました。小泉総理着任の時期は、私がちょうど国会議員を志し、政治活動を始めた時期と重なります。多くの国民が小泉総理の誕生に熱狂し、政治への期待に胸を膨らませた時期でありました。

 以来五年近くにわたって、小泉総理は我が国のトップリーダーとして国政の最高責任者の地位にあり、一方、私は国会議員として、こうして国民を代表して質問をする立場になりました。

 この五年間、小泉総理は、小泉改革と称して幾つかの制度のリフォームをしてきました。道路公団、年金、郵政など、小泉総理が手がけた、記憶に残る幾つかの改革はあります。しかし、残り少ない任期となった総理に申し上げたいことは、それらの改革で、果たして日本が安心して暮らせる国になったのか、どれだけの日本国民が五年前より幸せになったのか、そして、その改革の過程でどれだけの人が傷つき、不幸せになってきたかということであります。

 総理は、就任当初、米百俵の精神を説き、国民に耐えることを求めました。多くの国民は総理を支持し、ともに耐えたかもしれません。最近になってようやく、日本経済全体としては景気が回復しつつあり、株価も上昇するなど、一見すると、改革の成果があらわれ、耐えてきたかいがあったと早合点する見方もあります。

 しかし、改革の成果とは何でしょうか。GDPがふえること、デフレが解消されること、株価が上がることはもちろん大切ですが、政治の最終目標はそのようなものではありません。いかに国民を幸せにするか、私はそれこそが政治の役割であると考えています。

 国民の幸福に無関心な政治をこれ以上続けさせることはできません。小沢新代表のもと、近い将来、民主党は必ず政権交代をなし遂げることをお約束して、具体的な質問に入ります。(拍手)

 衣食住と言われるように、住宅は国民生活の最も基本的な要素の一つであります。昨今、社会における格差の拡大と固定化が問題となる中、住宅政策においても、この現象にしっかりと対応する必要があるものと考えます。一方、今回の住生活基本法案では、市場機能の活用がうたわれ、ふえつつある社会的弱者への配慮が軽視されているのではないかという懸念を持ちます。

 小泉総理は、これまでの国会での答弁の中で、格差の拡大は必ずしも悪ではないという見解を示されていますが、これに関連し、国土交通大臣に以下二点お伺いします。

 第一に、今回の基本法制定により、国民にどのような住生活を保障しようとしているのか、また、国民が長く安心して暮らせる社会をどのような形で築こうとしているのか。法の理念について、国民にわかりやすく御説明願います。

 第二に、格差論に関連して、これまで公的住宅等が果たしてきたセーフティーネットとしての機能について、今後どのように位置づけようとしているのか、答弁を求めます。

 これまでの住宅政策は、住宅建設計画法に基づく住宅建設五カ年計画のもと、公的資金による住宅の計画的な供給を基本として展開されてきました。今回の住生活基本法では、住宅ストックの量の充足や本格的な少子高齢化と人口、世帯減少等を理由に、量から質への住宅政策の転換をうたっています。量の充足と少子高齢化といういずれの点も、きのうきょう指摘されたことではありません。世帯当たりの住宅数は一九八三年には一・一を超えており、また、少子高齢化も人口動態を見れば容易に予見できていた現象であります。にもかかわらず、量的供給を優先するスキームを現在まで維持し、明確な方針転換をおくらせてきたのは、政府の無定見と怠慢と言うべきであります。

 これまでの住宅政策に関して、以下二点についてお伺いします。

 第一に、平成十七年度末で終了した第八期までの住宅建設五カ年計画を中心に展開されてきたこれまでの住宅政策をどう評価、総括するのか。第二に、今般の住生活基本法の制定による住宅政策の転換は遅きに失したのではないか。答弁を求めます。

 住まいにかかわる最近の大きな問題として、昨年末に発覚した耐震強度偽装の問題があります。これは、我が国の住宅政策が質について余りにも無頓着であったことを端的に示す問題でもあります。不況になるたびに、内需拡大の手段として住宅取得への税制優遇や住宅金融の拡大が図られ、あるべき住宅政策を真剣に検討することもなく、住宅関連業者の中には、品質の確保、向上よりも、有利な条件の間に住宅販売を進めようというインセンティブが働きました。消費者においても、自分のライフスタイルに合わせて住宅を選ぶことができず、政府の支援策や金利動向を見て住宅取得の時期を左右されるという時代が続いてきました。

 耐震強度偽装問題の背景には、供給量をふやすこと、消費者にどんどん持ち家を取得させることを政策目標としてきたことがあります。既に十分なストックがあるのであれば、そのストックを生かすこと、全体の品質を向上させることが優先すべき政策課題であったはずであります。

 耐震偽装問題は、単に建築士制度の問題や住宅にかかわる業者のモラルの問題ではなく、これまでの住宅政策そのもののでたらめさを背景として、半ば必然的に成立した犯罪ではなかったのではないでしょうか。

 以下、耐震強度偽装問題に関連して、二点お伺いします。

 第一に、耐震強度偽装問題発生を許した政策的な背景をお伺いします。個別主体の責任問題とは別に、偽装の発生を招き、それを発見できなかった原因、政府としての責任についてどう考えているのか。

 第二に、いまだ一千万戸を超える耐震性能が不足していると言われる住宅について、今後どのような対策をとっていくのか。今回の住生活基本法のもとでも、二重基準で長く放置されることになるのか。答弁を求めます。

 これからの住宅政策においては、人口、世帯ともに減少していくことが予想される中、住宅ストックの充実を図らなければなりません。これまでの住宅政策は、住宅の新規供給の支援に偏り、また、累次の経済対策において内需拡大の手段として乱用されるなど、理念や計画性に全く欠けたものでありました。

 今後、政策として住宅の質を向上させていくためには、これまでのようないわゆるアウトプットを目標としたマネジメントコントロールから、アウトカム、すなわち成果を目標としたコントロールに転換していかなければならないことについては、今回の基本法の考え方に賛同するものであります。しかしながら、これまで国や地方自治体で行われてきた政策評価、行政評価の世界においては、必ずしも成果指標を基軸としたマネジメントは成功しているとは言えません。

 そこで、以下三点についてお伺いします。

 第一に、住生活基本計画の目的を達成するために、成果指標の中身と目標水準の設定が重要だと考えますが、どのような目標をどのような水準で設定するつもりなのか。また、省エネルギー化や国産木材の利用推進など、重点化すべき目標と一般的なベンチマーク指標を区別して設定するなど、国民や自治体が政策意図を正確に理解できるような工夫が必要だと考えますが、どのような具体的方策を考えているのか。

 第二に、全国計画と都道府県計画において、成果指標の連携、あるいはそれに連動するアウトプット指標の連携が図られなければ、目標は絵にかいたもちとなってしまいますが、全国計画と都道府県計画の連携についてどのように担保されるのか。

 第三に、住生活基本計画における政策評価の目的は、マネジメントを機能させることにほかならないと考えます。その最大のポイントは、評価を踏まえて計画を的確に修正できるか、また、インプット、すなわち投入する予算や人員を機動的に配分できるかということだと考えますが、この点についてのどのような具体的な方策を検討されているのか。

 以上、答弁を求めます。

 私は、住宅に関する基本法の制定そのものに反対しているわけではありません。しかしながら、ここ数年、公団や公庫などの改革が明確な理念を示さないまま、ただ官から民へというかけ声のもとに先行し、少なからず住宅購入を考える人たちを混乱させてきたことを考えると、個別法の改正に先立って、国として住宅政策をどう考えるかという基本法を提示すべきであったと思っています。

 小泉総理の五年間を振り返ると、まさに理念なき政策メニューが並んだショーケースのようであります。一見小ぎれいなメニューが並んではいますが、そのいずれもが、アメリカから持ってきたレトルトをレンジでチンしただけの、心のない空虚な料理のようであります。

 私たち民主党は、小沢新代表のもと、心のこもった中身のある本当の改革メニューを掲げ、政権に挑むことを最後にお誓いして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 長安議員にお答えいたします。

 基本法の制定により、豊かな住生活をどのような形で実現するか、法の理念についてお尋ねがございました。

 豊かな住生活は、国民一人一人の価値観、ライフスタイルやライフステージごとに異なるものでございます。したがって、豊かな住生活の実現のためには、国民の多様なニーズに合った、安全、安心で良質な住宅が適時適切に選択できる市場の環境整備、市場において自力では適切な住宅を確保することが困難な者に対する住宅セーフティーネットの構築を図ることが必要不可欠であると考えております。

 今回の住生活基本法案は、これらの観点を踏まえた基本理念を規定しており、基本法の制定により、国民の豊かな住生活の実現を目指してまいります。

 次に、公的住宅に係るセーフティーネット機能の今後の位置づけについてお尋ねがございました。

 住宅は国民生活の基盤であり、住宅困窮者に対する住宅セーフティーネットの構築を図ることは、住宅政策の極めて重要な使命の一つでございます。今回の住生活基本法案においても、住宅困窮者の居住の安定の確保について、基本理念及び基本的施策の一つに明確に位置づけているところでございます。

 今後とも、公的賃貸住宅の的確な供給、管理のみならず、民間賃貸住宅の活用も含め、住宅セーフティーネット機能の向上を図る施策を適切に講じてまいります。

 これまでの住宅政策の総括評価等についてお尋ねがございました。

 我が国の住宅政策は、戦後の深刻な住宅不足を背景に、住宅建設計画法に基づく五カ年計画のもと、時代のニーズに対応しつつ、住宅建設の総合的な計画、実施に一定の成果を上げてまいりました。昭和四十年代後半において住宅が量的に充足して以降は、住宅床面積についての居住水準の目標等を掲げ、住宅の質の向上に努めてきたところでございます。

 今回の住生活基本法案は、少子高齢化の急速な進展や人口減少社会の到来を踏まえ、公庫融資、公団住宅、公営住宅など政策手法を抜本的に見直す中、住宅政策の制度的枠組みについて、市場重視、ストック重視の方向への本格的な政策転換を図るためのものでございます。時期を得たものと考えております。

 耐震強度偽装問題の原因と政府の責任についてお尋ねがございました。

 今回の耐震強度偽装問題において、本来法令を遵守し建築物の安全を確保すべき資格者である建築士が、職業倫理を逸脱して構造計算書の偽装を行い、さらに、その偽装を指定確認検査機関のみならず地方公共団体でも見逃したことは、まことに遺憾でございます。

 今回、偽装の態様は多岐にわたっており、これを見抜けなかったことについては、通常行われるべき審査が不十分であったことや、見抜くには再計算や高度な判断が必要なものがあったことなど、さまざまな要因が指摘されますが、いずれも審査業務の指導監督や審査方法及び体制に不十分な点があったものであり、建築確認検査制度そのものの抜本的な見直しによる再発防止策が必要であると考えております。

 再発防止策につきましては、構造の専門家である第三者による審査を義務づけるなど構造審査の厳格化や、地方公共団体による立入検査の導入など民間検査機関に対する指導監督の強化、危険な建築物の設計者等に対する罰則の強化など、早急に対応が必要なものについて、今国会において建築基準法などの改正を行うとともに、建築士の資質、能力の向上など建築士制度に関する課題などにつきましても、夏ごろまでに方針を取りまとめ、抜本的な改正を行っていく所存でございます。

 政府の責任については、制度の見直しにより、今回のような問題が二度と起こらないよう、再発防止に全力を尽くしてまいります。

 住居の耐震性能の向上方策についてお尋ねがございました。

 住宅ストックの総数約四千七百万戸のうち、約二五%に相当する約一千百五十万戸が耐震性が不十分と推計されており、これらの耐震性能の向上が喫緊の課題であると考えております。

 このため、昨年秋の特別国会において改正されました耐震改修促進法に基づく国の基本方針において、住宅の耐震化率について、現状の約七五%を平成二十七年までに少なくとも九割にするという目標を定めたところでございます。また、所有者の費用負担の軽減のための支援制度の拡充強化が指摘されており、平成十八年度から補助事業の大幅な拡充や耐震改修促進税制の創設などを行ったところでございます。

 国土交通省としましては、今後、地方公共団体に対し、耐震改修促進法に基づく耐震改修促進計画の早期の策定を促すとともに、耐震診断、改修に係る助成制度の的確な運用などの施策の充実を求め、地域住民や関係者と一丸となって、平成二十七年において耐震化率が少なくとも九〇%を上回るという目標を着実に実現できるように努めてまいります。

 最後に、住生活基本計画の運用方針についてお尋ねがございました。

 住生活基本計画については、国が全国的見地から全国計画を、また、これに即して都道府県が地域の特性に応じた都道府県計画を策定することとしております。

 その際、全国計画におきましては、新耐震基準適合率、バリアフリー化率など基本理念の達成状況を具体的な数字ではかる成果指標をできる限り導入することとし、また、策定に当たりましては、あらかじめ都道府県の意見を聞くなど、都道府県計画との連携を十分に図ってまいります。

 また、全国計画につきましては、定期的な政策評価の実施を義務づけており、計画及びこれに基づく施策が常に効率的に実施され、社会経済情勢等に即したものとなるよう努めてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 伊藤渉君。

    〔伊藤渉君登壇〕

伊藤渉君 公明党の伊藤渉でございます。

 私は、公明党を代表し、今国会に提出をされました住生活基本法案について質問をいたします。(拍手)

 さて、長年の悲願であった住宅に関する基本法制がいよいよ成立を見込める地点に立ちました。我が国の住宅基本法制制定の動きは、今から九十年近くも昔、東京市長に就任直前の後藤新平氏によって起こされました。当時の官僚、学界、建築界の有力者で構成をされた、後藤氏が主宰をする都市研究会は、次のように提案をしております。「住宅が沢山出来ますれば住宅の不足に対する方策はそれで略ぼ目的を達せらるる」、しかし「住宅の改良、詰り住宅問題といふものが残って居って、今迄申しただけでは足りない」と指摘をし、「国家又は公共団体が組織的住宅政策を執って、而して之に必要なる法制を整へて実行しなければならぬ」として、個人の力を超える住宅問題の解決のために住居法案の制定を呼びかけているのであります。

 今日さまざまに惹起する住宅問題をまるで予期したかのような後藤氏らの住宅に関する基本法制定の必要性は、安全の確保、環境の保全、福祉の向上など、複雑性、多様性、公益性を強め、一層強まっていると考えます。

 本住生活基本法案は、国または地方自治体が、国民が固有の権利として、人間の尊厳、人権を守り得る居住空間を確保することを保障する基本理念と責務を規定するもの、平たく言えば、国民は生きる権利としてこのことを政府に求める権利があることを保障する重要な法律と認識するのでありますが、改めて北側国土交通大臣の決意をお伺いいたします。

 後藤氏らの住居法提案と時を同じくして、地方からも制定を求める声は上がっております。当時の大阪市長、関一氏は、我が国では住宅問題よりもまず都市計画が世論の焦点になっていると批判をした上で、より具体的に法案に規定すべき内容として、住居地区の改善、住宅調査、住宅供給などを列挙し、政府に制定を迫っております。

 関市長が最も熱心に強調したのは、当時の先進国イギリスをモデルに、文明国として必要なる最低の標準としての居住水準を定めること、そして、耐震偽装もなかった時代に住宅監督制度を整備することでありました。

 今日から見ると、関市長の積極的な提言は、驚くべき先見性を持っていたという以上に、国に居住水準の確保を求める一方で、危険な住宅に対する住宅監督の必要性を、地方みずからの発想でその解決に苦慮していたことは象徴的でもあります。

 比べるわけではございませんが、昨今、公営住宅は建てかえのみに限定をし、全体としては戸数を減らす自治体がふえるなど、地方財政の逼迫を理由として住宅行政に積極性を失う事例をかいま見ることはまことに残念であります。

 そうした現状を踏まえ、本法案では、国民の住生活の安定の確保及び向上の促進に関し、国と地方自治体の役割は車の両輪のごとく必要不可欠という前提で規定されております。国土交通省として、本法制定により地方自治体の住宅行政の何が変わると考え、どのような役割を期待しているのか、北側国土交通大臣の答弁を求めます。

 次に、今、国民にとって最も関心の高い住宅及び住空間の安全性についてお伺いをいたします。

 姉歯元建築士による耐震偽装事件だけでなく、近年はマンションを舞台とした事件の頻発や災害に脆弱な建築物など、人間として最も安全な場所であるべき住宅が危険にさらされております。阪神大震災で、六千人を超える死亡者のうち四四%を六十五歳以上の高齢者が占めていたことも忘れてはならない事実の一つであります。

 加えて、住宅に今求められる防災・防犯機能は個人の努力の限界を超え始めております。これを受けて、行政の明確な意識転換が必要です。その意味で、本法案の名称を住宅基本法ではなく住生活基本法としたのは、時代に的確に対応した措置として高く評価するものでありますが、本法案において、国民の安全のとりでとしての住宅が確保されるためにどのような配慮がなされ、今後どのように施策が展開されていくのかを北側国土交通大臣にお伺いをいたします。

 次に、少子高齢化社会に入った我が国の福祉と住宅の連携について伺います。

 定年後の生活にしろ、子育てにしろ、その大部分は住宅で営まれます。東京都の調査によると、介護が必要になったとき、老人福祉施設などを希望する人は二割にすぎず、自宅での介護や生活を希望する高齢者は七割近くに達します。失業者にとっても、年金が主な収入源という高齢者にとっても、住宅さえ確保されていれば、そこを起点にして生活設計が可能であり、人生の再挑戦に対する希望がわいてくるのではないでしょうか。その意味で、住宅行政と福祉行政は極めて深いつながりがあります。

 こうした住宅における福祉の展開には、行政の各部門、さらに住宅関連事業者との密接な連携が必要ですが、本法案によって成果を期待できるのかどうか、具体的な方針と決意を北側国土交通大臣に伺います。

 次に、良質な住宅の確保についてお聞きをいたします。

 住生活の安定の確保及び向上の促進のためには、安全と安心の両方の要素が求められます。ある調査によると、住宅内の風呂場での不慮の溺死、転倒などによる死亡、この数は、異物をのみ込むことによる窒息死を含めますと、六十五歳以上の交通事故死に匹敵をすると言われております。

 国民生活の目まぐるしい変化に伴い、バリアフリー化やシックハウス、アスベストなどへの環境対策、さらに高齢者などが暮らしやすいコンパクトシティーの形成など、より質の高い住宅への要請は、現在及び将来に向けて絶えることはないと推測をされます。こうした国民の多様な施策要求に対して、本法案がスピード感を持って対応できるのか、北側国土交通大臣に具体的な答弁を求めます。

 最後に、本住生活基本法案成立にかける公明党の決意を述べて終わります。

 冒頭御紹介した、後藤新平、関一両氏の住居法の構想はその後どうなったのか。関東大震災や道路、鉄道整備など都市計画の優先によって昭和十年代まで放置をされ、財団法人同潤会によって法案要綱の骨子まで作成されましたが、結局、第二次大戦突入によってそれもまた阻まれました。

 戦後、法案化は建設省でも触れる程度にしか検討されず、昭和四十四年に我が国で初めて住宅基本法案を議員立法として提出したのは我が公明党でございました。その後も、公明党は、平成三年までに計八回、国会に提出をいたしましたが、いずれも審議未了に終わっております。

 今国会においてこそ、建設的かつ有意義な議論が行われることを心より期待して、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 伊藤議員にお答えいたします。

 まず、国民の権利としての居住空間の確保についてお尋ねがございました。

 住宅は、国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤であり、憲法第二十五条の趣旨を踏まえ、住宅に困窮する方々を初めとして、国民一人一人の居住の安定の確保を図ることは、住宅政策の重要な使命の一つでございます。

 このため、住生活基本法案においては、住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保を基本理念として明らかにした上で、国及び地方公共団体が講ずべき基本的施策について規定をしております。

 今後とも、これらの規定を踏まえて、公営住宅の供給など必要な施策を講ずることにより、住宅分野における憲法第二十五条の趣旨の具体化に努めてまいります。

 次に、地方公共団体の役割についてお尋ねがございました。

 住生活基本法案においては、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策を策定、実施すべき主体として、地方公共団体を明確に位置づけたところでございます。

 このような位置づけのもと、地方公共団体が住宅政策の主役となって、地域の特性や住宅に対する多様な需要に的確に対応し、良好な居住環境の形成あるいは住宅セーフティーネットの確保など、本法案に定める基本理念の実現に向け、重要な役割を担っていただくことを強く期待しております。

 住宅の安全性についてお尋ねがございました。

 住宅の耐震性、防火性、防犯性を初めとする安全性の確保は、豊かな住生活を実現するために必要不可欠なものでございます。

 住生活基本法案におきましても、国及び地方公共団体は、安全性、耐久性などの住宅の品質、性能の維持及び向上のために必要な施策を講ずる旨規定するとともに、そもそも住宅関連事業者が事業活動を行うに当たっては、みずからが住宅の安全性を初めとする品質、性能の確保について最も重要な責任を有していることを自覚し、事業の各段階において、その確保のために必要な措置を講ずる責務を有する旨規定をしております。

 このような法案の趣旨に沿って、建築確認検査制度の抜本的な見直し、耐震診断、耐震改修の促進、防犯性の高い住宅の普及促進などの各種の施策を推進してまいります。

 福祉施策との連携についてお尋ねがございました。

 少子高齢化の急速な進行に対応して、国民が豊かさを実感できる住生活を実現するためには、福祉施策との連携が不可欠でございます。

 このため、住生活基本法案におきましては、低額所得者、高齢者、子育て世帯などの居住の安定の確保を基本理念として掲げるとともに、国、地方公共団体、住宅関連事業者、居住者、保健医療・福祉サービスの提供者などの関係者が相互に連携するよう努めなければならない旨、規定をしているところでございます。

 このような法案の趣旨を踏まえ、公営住宅等の供給や子育てしやすい居住環境の整備、高齢者、障害者の地域居住の支援など、福祉行政と連携した施策の展開を図ってまいります。

 最後に、国民の多様な施策要求に応じた施策の展開についてお尋ねがございました。

 国民の豊かな住生活の実現には、安全、安心を確保できる良質な住宅が適時適切に選択できる市場の環境整備が必要であり、国民の多様なニーズにこたえるための施策を的確に実施をしていくことが重要でございます。

 このため、国土交通省としては、住生活基本法に基づき、施策の実施状況を的確に把握するとともに、全国計画についての定期的な政策評価を実施することにより、計画及び施策が常に社会経済情勢に即したものとなるよう努めてまいります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       外務大臣    麻生 太郎君

       国土交通大臣  北側 一雄君

 出席副大臣

       国土交通副大臣 江崎 鐵磨君


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