衆議院

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第25号 平成18年4月20日(木曜日)

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平成十八年四月二十日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十八号

  平成十八年四月二十日

    午後一時開議

 第一 国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(松本剛明君外五名提出)

 第二 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(内閣提出)

 第三 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案(内閣提出)

 第四 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案(内閣提出)

 第五 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

 第六 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 議員請暇の件

 日程第一 国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(松本剛明君外五名提出)

 日程第二 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(内閣提出)

 日程第三 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案(内閣提出)

 日程第四 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案(内閣提出)

 日程第五 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

 日程第六 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案(内閣提出)


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) この際、御紹介申し上げます。

 ただいまオーストラリア連邦議会議員団御一行が外交官傍聴席にお見えになっております。デイビッド・ホーカー下院議長並びに御一行の皆様を諸君とともに心から歓迎申し上げます。

    〔拍手〕

     ――――◇―――――

 議員請暇の件

議長(河野洋平君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。

 尾身幸次君から、四月二十六日から五月七日まで十二日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第一 国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(松本剛明君外五名提出)

 日程第二 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(内閣提出)

 日程第三 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案(内閣提出)

 日程第四 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案(内閣提出)

 日程第五 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

 日程第六 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、松本剛明君外五名提出、国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案、日程第二、内閣提出、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案、日程第三、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、日程第四、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案、日程第五、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、日程第六、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案、右六案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。行政改革に関する特別委員長伊吹文明君。

    ―――――――――――――

 国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案及び同報告書

 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案及び同報告書

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案及び同報告書

 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案及び同報告書

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び同報告書

 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔伊吹文明君登壇〕

伊吹文明君 ただいま議題となりました六法律案につきまして、行政改革に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 初めに、内閣提出の五法律案について申し上げます。

 まず、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案は、行政改革の基本理念及び重点分野並びに各重点分野における改革の基本方針その他の重要事項を定めるとともに、行政改革推進本部を設置することにより、これを総合的に推進し、もって最小限の国民負担で最大限の仕事をする効率的な政府を目指そうとするものであります。

 その主な内容は、

 第一に、政策金融改革においては、平成二十年度において、現行政策金融機関の組織及び機能を再編成し、その政策金融の機能を、新たに設立する一の政策金融機関に担わせること、

 第二に、独立行政法人について、組織及び業務並びにこれに影響を及ぼす国の施策のあり方の検討等を行うこと、

 第三に、特別会計改革としては、現行特別会計の廃止及び統合並びにその経理の明確化の基本方針を定めるとともに、経理されている事務及び事業の合理化、効率化を図るものとし、平成十八年度から五年間を目途にこれを計画的に推進すること、

 第四に、総人件費改革としては、国家公務員及び地方公務員について、その総数の純減及び給与制度の見直し方針を示し、独立行政法人等についてもそれに準じた措置等を講ずること、

 第五に、国の資産及び債務に関する改革としては、将来の国民負担とリスクを抑制するため、国の資産の圧縮や資産及び債務の管理のあり方の見直しを行うこと

等であります。

 次に、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案は、剰余金の分配を目的としない社団及び財団について、その行う事業の公益性の有無にかかわらず、準則主義により簡便に法人格を取得することができる一般社団法人及び一般財団法人の制度を創設し、その設立、組織、運営及び管理について定めるものであります。

 次に、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案は、社団法人及び財団法人の設立の許可及びこれらに対する監督を、主務官庁の裁量により行うこととしていた現行の制度を改め、公益社団法人及び公益財団法人としての認定及びこれらに対する監督を、独立した委員会等の関与のもとで、内閣総理大臣または都道府県知事が行う制度を創設しようとするものであり、公益認定の基準、公益目的事業の実施等に関して守るべき事項、監督上の措置、税制上の措置、罰則等について定めております。

 次に、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、これらの法律の施行に伴い、中間法人法を廃止し、民法その他の関係法律の規定の整備等を行うとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。

 次に、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案は、国の行政機関等または地方公共団体がみずから実施する公共サービスに関し、その実施を民間が担うことができるものは民間にゆだねるとの観点から、官民競争入札または民間競争入札に付することにより、公共サービスの質の維持向上と経費の削減を図るための必要事項を定めております。

 その主な内容は、

 第一に、競争の導入による公共サービスの改革のために政府が実施すべき施策に関する基本的な方針や、官民競争入札の具体的な対象業務等を主な内容とする、公共サービス改革基本方針を定めること、

 第二に、民間事業者が落札者となった場合の公共サービスの実施に関する契約の締結、変更及び解除を規定するとともに、落札した民間事業者への守秘義務及びみなし公務員規定の適用や、国の行政機関等の長等による落札した民間事業者に対する報告の徴収または必要な指示に関する規定等を定めること、

 第三に、官民競争入札等の実施の過程における透明性、中立性及び公正性を確保するため、内閣府に官民競争入札等監理委員会を設置すること

等であります。

 五法律案のうち、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案及び公益法人制度改革関連三法案については、去る三月二十三日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日五法律案は本委員会に付託されました。本委員会におきましては、三月二十九日中馬行政改革担当大臣から提案理由の説明を聴取し、四月三日から質疑に入り、三日及び十三日には小泉内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行い、十七日には参考人から意見を聴取するなど、十七日まで九回にわたり質疑を行いました。

 次に、松本剛明君外五名提出の国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案について申し上げます。

 本案は、行政改革に関する基本理念と国等の責務を明らかにするとともに、重要課題及びその解決のための改革の基本方針等を定めるとともに、行政刷新会議を設置することにより、これらを総合的かつ集中的に推進しようとするものであります。

 その主な内容は、事務事業の見直し及び地方分権の推進、財政改革、政策金融改革、特別会計改革、公務員制度改革、官製談合の防止その他の契約事務の適正化等のための措置などを定めることであります。

 本案は、四月十三日に本委員会に付託され、十八日馬淵澄夫君から提案理由の説明を聴取いたしました。

 十八日からは六法律案を一括して議題として審査を進め、昨十九日には三たび小泉内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行うなど、総審査時間六十六時間三十分余に及ぶ、与野党の主張の違いはあっても、有権者より負託された政府の役割を最小限の国民負担で行うためには公的部門はいかにあるべきかの真摯な審査が行われました。

 かくして、昨日、質疑を終局いたしましたところ、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案により、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案に対し、競争の導入による公共サービスの改革は公共サービスによる利益を享受する国民の立場に立って行う旨を基本理念に明記することを内容とする修正案が提出され、北橋健治君から趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、各法律案及び修正案について一括して討論を行い、採決いたしました結果、まず、松本剛明君外五名提出の国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案は賛成少数をもって否決され、次に、内閣提出の五法律案のうち、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決し、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案は賛成多数をもって修正議決すべきものと議決した次第であります。

 なお、内閣提出の五法律案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 討論の通告があります。順次これを許します。近藤洋介君。

    〔近藤洋介君登壇〕

近藤洋介君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました民主党提出の行政改革推進に関する法律案に賛成、政府提出の簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案に反対の立場から討論を行います。(拍手)

 政治家にとって、情熱、責任感、判断力の三つの資質が特に重要である。小泉純一郎首相が、次のリーダーの条件として好んで引用される、政治学者マックス・ウェーバーの言葉であります。

 ウェーバーは、この三つの資質の中で判断力が決定的に重要とした上で、さらにこう述べています。現実をあるがままに受けとめる能力が必要である。距離を失ってしまうことは、どんな政治家にとっても、それだけで大罪の一つである。

 今回の政府法案は、小泉政権五年間の総仕上げというふれ込みで提出されました。しかしながら、その内容は、国民生活の姿を見ず、地域の声に耳を傾けず、形だけを取り繕う、具体的な中身はほとんどすべてを官僚に丸投げする、空疎で空虚なものでありました。政府法案は、ウェーバー流に言えば、現実との距離感を見失った罪深き法案であります。

 以下、具体的に理由を述べます。

 第一に、官僚組織による税金の巨額な猫ばばを政府案は見逃しています。

 このたびの民主党の法案質疑により、中央官庁が、みずから所管している公益法人に対して、一年間で総額六千億円もの巨額な事業を随意契約という形式で発注し続けてきたことが明らかになりました。

 我が国の会計法令では、公共調達において競争入札を原則としております。随意契約は競争なしに発注先が決まるため、契約高が割高になるおそれがあるからです。ところが、中央官庁では、例外扱いのはずの随意契約が、件数ベースで何と発注全体の七割も占めるまでに膨れ上がり、それを受注している公益法人に多くの官僚が天下りしていることが明らかになっています。

 防衛施設庁をめぐる談合事件では、こうした公益法人が官製談合の舞台となりました。この五年間、小泉政権は、民の血税を官から官へ流し込み、天下りを養う構造を温存してきたのです。(拍手)

 官製談合が後を絶たない中で、今回の政府案は、今も続く不透明な公共調達について、何一つ法的な手だてを講じておりません。

 民主党は、官製談合の撤廃に向けた刑法の改正、天下り禁止を含め、公共調達のあり方を徹底的に改革します。今回の法案には、随意契約の原則禁止、天下り在籍企業の入札参加資格の見直し、天下り職員の行為の規制など、対策を盛り込みました。さらに、予算の執行を監視する新たな機関、行政監視院を国会に設けます。

 私の郷土米沢の名君、上杉鷹山公の時代を振り返るまでもなく、財政危機に直面している政府にとって、足元を見直す、すなわち、みずからその事業を丸洗いすることが再建の第一歩です。民主党案による徹底的な無駄の撤廃こそ、国民が求める真の行政改革です。

 第二の問題点は、広がる格差社会の現実を受けとめず、社会の一極集中を加速させている小泉政権の姿勢そのものです。

 小泉首相は、四月三日、行政改革特別委員会の私の質問に対して、この八年間で、民間銀行による中小企業への貸し出しが総額八十四兆円も激減したこと、その結果として、小泉政権の五年間で、地方を中心に何と三十五万社もの中小零細企業が倒産し、自主廃業した事実について問われた際に、総理は、私は知りません、銀行がどうしようとわかりませんとの答弁を繰り返しました。

 今回の行革法の柱である政府系金融機関の統合再編で誕生する新たな金融機関について、政府法案は具体的な姿を何も示していません。それだけに、国会答弁での立法者の意思が重要となります。この答弁に代表される首相の姿勢は、日本を支えてきた中小零細企業が倒産しようと、格差が広がろうと、政府は関係ないという弱者切り捨ての姿勢を明確に示しました。

 政治の役割は、官から民へとの単純な原理に基づき、競争に敗れた人を切り捨てることではありません。民にふさわしいものは民へ、公にふさわしいものは公へ、官と民との間に、境目に線を引く、判断することが政治家の役割のはずです。小泉首相は、この役割を完全に投げ出しています。市場の暴走を許し、格差の拡大を促しています。

 民主党案は、公が担うべき分野について、地域のことは地域にとの原則のもと、三年間かけて地方と国の役割分担を全面的に見直します。その結果として、国家公務員の人件費を二割減らし、効率的で、かつ頼もしい政府を築きます。中央集権型の官僚機構を壊し、地方主導の新しい公を日本全土に根づかせる。民主党の行革法案が示した国の形、理念であります。

 市場には心がない。心がないというけれども、市場の参加者には、しばしば邪心がある。終戦直後から復興期まで我が国経済政策をリードした都留重人先生は、小泉政権の構造改革を検証したその最後の著書で、このように警鐘を鳴らされました。その後に発覚したライブドア事件は、邪心ある市場参加者を野放しにし、そして持ち上げてきた、小泉政権の構造的な欠陥を浮き彫りにしました。(拍手)

 末期を迎えた小泉政権は、だれのための、何のための改革かという目的を見失っています。目的のない、志のない組織の見直しは、行政の混乱と政策の混迷を招きます。このことは、一九九七年の橋本内閣における中央省庁の再編、それに伴う官僚機構の混乱、その後の経済失政で証明済みであります。改革への妄想、妄信、いわば改革パラノイアともいうべき今回の政府案で、被害を受けるのは国民であります。

 与党の議員の皆さん、郵政、郵政、郵政と呪文のように唱えれば世の中がよくなるとみずからを洗脳した夏の夢からそろそろ目を覚まして、現実の国民の姿を見ていただきたい。現実との距離感を取り戻していただきたい。

 明治維新以来長く続いた官僚支配から脱皮して、心のある、新しい社会を築く民主党の行革法案に、国民のため、ぜひとも御賛同をいただきますようお願い申し上げ、私の討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) 今津寛君。

    〔今津寛君登壇〕

今津寛君 私は、今津寛でございます。

 自由民主党を代表して、内閣提出の行政改革関連五法案及び自民党、公明党、民主党提出の市場化テスト法修正案について賛成の立場から、また民主党提出の行政改革法案に反対の立場から討論を行います。(拍手)

 現在、我が国の経済社会は、本格的な人口減少、高齢化社会の到来、東アジア諸国の急速な発展など、内外ともに厳しい環境変化に直面しております。その中で、戦後六十年間継続されてきた行政システムのあり方を大胆に見直し、斬新な視点で諸制度を改革することは、もはや不可欠であります。国際競争力を維持向上させ、新たな成長基盤を確立できるか、そして持続可能な社会システムを構築できるかは、まさにここ数年の改革の進展にかかっております。

 さきの衆議院総選挙において、国民が小泉構造改革の成果に対して、改革をとめるな、改革を続行せよとの明確な審判を下しました。郵政民営化に続く改革の方向性を揺るぎないものとするため、政府・与党は、広く深く議論を積み重ね、今回の行政改革法案を提出するに至ったのであります。

 行政改革推進法案の示す改革のビジョンは、極めて明快であります。新たな時代の要請に対応して、民間にできることは民間にの方針のもと、行政をスリム化し、民間の活力を増進する。そして政府は、安全、安心など、政府として取り組むべきことにしっかりと役目を果たす。これは小泉内閣が発足以来一貫して追求してきた路線であり、この法案の成立によって、その路線が今後も確実に継続されることになるわけです。

 また、政府案の示す改革の内容は、明確かつ具体的であります。審議の過程で、野党は細かい点を取り上げて、目標を達成する手段が見えない、内容が煮詰まっていないなどの主張を繰り返しなされました。これは、この法案の目的と意義を全く理解しない議論であります。公務員純減においても政策金融機関においても、この法案には具体的な方向性がはっきりと定められています。

 政府案の内容に記載されている事項は、議論に議論を積み重ねてきたものであります。改革の内容は昨年の閣議で取りまとめられ、法案として国会に提出され、経験と識見があり、しかも公正なる委員長のもとに、六十六時間を超える審議の過程で、国民の前にはっきりと論点を明示することができました。改革の透明性を確保するための法案、まさにこれが政府案であります。

 しかるに民主党案は、まず題名からして、一体どういう改革をしたいのか、さっぱり方向性が見えません。その基本理念においてすら、聞こえのよいフレーズをつなぎ合わせただけで、一貫性を欠くものであります。政府案を、方向性しか定めていないと声高に批判しておりますが、民主党案では方向性さえ行政刷新計画に丸投げして、しかも委員会審議の最終段階になってようやく提出されたものであります。どういう検討を経てこういう法案を決定されたのかも不明であり、看板倒れの内容には到底賛成できません。

 公益法人制度改革関連法案は、官から民へという大きな流れのもと、民間の団体が自発的に行う公益的活動の発展を促進するものであり、簡素で効率的な政府の実現をするために、行政改革の一翼を担うものであります。内容においても透明な手続を確保しており、行政改革に大きく貢献するものとして賛成をいたします。

 さらに、市場化テスト法案について申し上げます。

 競争の導入による公共サービスの改革は、民間にできることは民間にを具体化し、簡素で効率的な政府を実現させるために極めて有効な手段であります。本法案は、個別事業ごとの特性を踏まえつつ、サービスの質の向上を図るための具体的な枠組みもしっかりと規定されており、これらを通じて国民へのサービスの適切な提供が担保されるものと考えており、賛成であります。なお、競争の導入による公共サービスを国民の立場に立って行うことを明確にした修正案にも、私たちは賛成をいたしました。

 いずれにせよ、行政改革は一刻の猶予もない緊急の課題であり、小泉総理は言っております、改革に終わりはない、政治は常に改革を求めていかなければならないと。国民の負託にこたえるべく、政府はいかなる困難をも乗り越えて、行政改革の力強い推進に一層努められることを御期待申し上げて、私の討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、行政改革関連五法案に反対の討論を行います。(拍手)

 小泉総理が改革の総仕上げと言う今回の法案は、簡素で効率的な政府を口実に、国民の安全や暮らしを支える公務部門を縮小し、国の責任を放棄するものであり、断じて認められません。

 法案は、国、地方の公務員の純減を掲げていますが、日本の公務部門は、政府も認めるように、主要国の中でも小さな政府であり、必要な役割が果たされておりません。例えば、サービス残業や劣悪な労働条件を調べる労働基準監督官、大企業の横暴を規制する下請代金検査官は明らかに不足をしております。

 地方公務員の分野でも、消防職員やケースワーカーなどは国の基準を大きく下回っています。公務員の純減という数値目標は、こうした実態を無視するものです。さらに、教職員については、児童数の減少に見合う数を上回る縮減を求めることで、国民の要求である少人数学級の推進を停止させました。まさに、本法案は、国民の安全、教育、福祉の要求、願いを正面から踏みにじるものと言わざるを得ません。

 また、労働福祉事業や失業給付に係る国庫負担の廃止、国立がんセンターなど国立高度医療センターの独立行政法人化なども、本来国が責任を負う分野から撤退を図るものであり、容認できません。

 第二に、市場化テストなどによる行政サービスの民間開放は、一部大企業へのビジネスチャンス拡大を目的とするものであり、国や地方自治体が国民に保障してきた行政サービスの公平性や専門性などを後退させるものであります。しかも、開放の対象とされる業務に制限がなく、あらゆる行政サービスが、もうかるかどうかを最大の基準として、切り売りの対象となることも重大であります。

 第三に、政策金融改革と称して行われる商工組合中央金庫の民営化、国民生活金融公庫などの統廃合は、中小企業に対する金融支援機能を後退させるものです。小泉改革のもとで、民間大銀行が貸し渋り、貸しはがしによって中小企業を窮地に追いやったときに、まさに中小企業の命綱となったのは国民生活金融公庫などの政策金融機関でした。それを民営化、統合して、さらに融資残高も縮小させる本法案は、中小企業のセーフティーネットを破壊するものにほかなりません。日本経済を支える中小企業への支援機能の強化こそ行うべきであります。

 第四に、行政改革の喫緊の課題である政官業の癒着を断ち切る対策、天下り規制、談合防止、企業献金禁止などは何一つありません。さらに、公益法人制度改革については、まじめに公益のために活動する民間の非営利法人の活動抑制となる危険性が大きいという問題も指摘をしなければなりません。

 官から民へ、小さな政府を掲げる構造改革路線のもとで、耐震強度偽装事件など、国民生活の安全を脅かす問題が次々に噴出し、格差の拡大や新たな貧困層の増大など、日本社会そのものの破壊が進行しています。

 今回の行革法案は、こうした害悪をもたらした構造改革路線を、小泉内閣で終わりにするのではなく、将来にわたって継続をさせるものであり、断じて認めるわけにはまいりません。さらに、消費税増税導入の地ならしにしようなど、とんでもないことであります。

 日本共産党は、こうした小泉改革に対して、国民とともに闘っていくことを表明して、討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 桝屋敬悟君。

    〔桝屋敬悟君登壇〕

桝屋敬悟君 私は、公明党を代表いたしまして、内閣提出の簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案等の行政改革関連五法案及び自民党、公明党、民主党・無所属クラブ提出の市場化テスト法案修正案について賛成の立場から、また民主党・無所属クラブ提出の行政改革推進法案に反対の立場から討論を行います。(拍手)

 初めに、先ほどの委員長の報告のとおり、三月二十九日から審議が始まりました行政改革に関する本院特別委員会は、議事規則を初め本院の先例に熟知され、極めて公平公正な委員長のもと、理事初め各委員の協力によりまして、終始、熱心かつ簡素、効率的な議論が行われまして、きのうまでに十三日間、六十六時間を超える審議時間となったのであります。

 まさに、行政改革国会と言われるこの国会の特別委員会にふさわしい充実した委員会審議が行われたことを、委員の一人として皆様に御報告申し上げたいと思います。(拍手)

 さて、私ども公明党は、連立政権に参画して以来、平成十二年の行政改革大綱の策定をスタートとして、小泉総理とともに一連の行政改革作業に懸命に取り組んでまいりました。特殊法人等の改革、地方分権改革、規制改革、そして我が党公明党が粘り強く取り組みを進めた行政評価法や無駄ゼロなど、いずれも困難な作業でありました。とりわけ、最近の三位一体の改革や郵政事業改革などは、小泉構造改革の大きな山場でありました。こうした一連の取り組みの中で、人口減少社会、少子高齢社会を迎えた今、財政の健全化のため、改めて政府みずからが身を切る努力を国民に示す必要があります。

 こうした観点から、今回提出された政府案は、改革の手を緩めずに、さらに改革を続行するための道筋を明らかにするものであります。

 私たち公明党は、今後の行政改革に当たって、大きな視点の一つとして、仕事を減らすことが人の削減につながり、大きな歳出の削減になる、つまり、事業の仕分けが大事であると主張してまいりました。すべての事務事業について、廃止するもの、統合するもの、民間に委託するもの、地方に移管するものに仕分けをするという徹底的な事業仕分け作戦を展開し、大胆な歳出削減に着手することが大事であると申し上げてまいりました。

 政府案では、この趣旨が、基本理念や、特別会計改革、総人件費改革、公共サービス改革について法文として明記されたのであります。すなわち、政府及び地方公共団体の事務及び事業の透明性の確保を図り、その必要性の有無、実施主体のあり方について、事務事業の分類、整理などの仕分けを踏まえた検討を行う、そして不要不急の事業はまず廃止をする。こうした政府案は、今後の行革を進める上で大きな原点になるものと高く評価するものであります。何よりも、あの特別委員会の審議において、多くの質問者も答弁者も盛んに仕分けとの言葉を使われていたことが大変印象的でありました。

 また、政府案の行政改革推進法案では、重点分野ごとに明確な数値目標が掲げられていることを評価したいと思います。すなわち、政策金融改革では貸出残高を対GDP比で半減、特別会計では二十兆円の財政寄与、総人件費改革では対GDP比半減を目安に当面は五年五%の純減、資産・債務改革では対GDP比を半減というものであります。

 もちろん、それぞれに実現するための基本方針も定められており、簡素で効率的な政府を一日も早く実現するためには、何としても政府案の成立が急がれるところであります。

 一方、民主党案であります。何よりも、提出されたのが今月十八日であります。対案を出された努力は評価したいと思いますが、遅過ぎる。遅参その意を得ずであります。ふろしきは確かに大きい。しかしながら、三年二割の総人件費改革、尋ねれば、労働基本権を渡して、国から地方へ公務員を移すのだそうであります。そのようなことが三年で実現できるわけがありません。まさに見かけ倒しの法案であり、到底賛同できるものではありません。

 先ほどの討論を聞いておりましても、批判は結構でありますけれども、みずからの改革案に対して、実現可能な具体論が全く聞かれなかった。最後まで聞かれなかったことはまことに残念であります。(拍手)

 次に、公益法人改革関連法案について申し上げます。

 一連の行政改革作業の中で、あのKSD事件を契機に、我が党の強い主張もあり、公益法人制度の抜本改革を行うこととされ、明治二十九年以来の大改正が行われることとなりました。法人格の取得と公益性の判断を分離し、官製公益法人との批判を払拭する改革であるとともに、民による公益の重要な担い手になっていただくための新しい仕組みとなるものであり、賛成するものであります。政府案成立の上は、今後、適切な公益法人税制とするため、与党の一員として一層の取り組みを進めてまいりたいと考えます。

 最後に、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案について申し上げます。

 今日の厳しい財政状況にかんがみれば、行財政改革を断行し、民間にできることは民間にを実現することは喫緊の課題であります。市場化テストは、これを具体化する手段として、今まで国や地方公共団体が独占的に実施してきたさまざまなサービスを、官と民が対等に競争し、質及び価格の両面で最もすぐれた者にそのサービスの実施を担わせる仕組みであります。

 加えて、市場化テストの手法は、今回の行政改革推進法案に定めております重点分野の改革において、重要なツールとして活用が期待されるものであり、賛成であります。また、この市場化テストの実施に当たって、サービスを受ける国民の立場に立って行うことを明確にした修正案についても賛成するものであります。

 いずれにいたしましても、公明党は、今回の一連の行政改革を集大成だけで終わらせることなく、今後の行革の新たなスタートと位置づけ、今後とも行政改革に全力で取り組んでいくことを決意し、討論を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(河野洋平君) 菅野哲雄君。

    〔菅野哲雄君登壇〕

菅野哲雄君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、政府提出の行政改革関連五法案並びに民主党提出の対案にいずれも反対の立場で討論を行います。(拍手)

 反対の理由の第一は、国際競争力強化や民間活力発揮のために簡素で効率的な政府を目指すとしていますが、公務の民主性や公共サービスが小さく簡素になるだけで、福祉は削られ、国民の財産が売り払われることによって、安心、安全を保障するためのセーフティーネットがますます縮小することを危惧するからであります。

 第二は、政府の責任と役割、公共サービスの質と量について十分な議論を行い、国民にとって必要な事務事業は何かを精査することが先決であるにもかかわらず、公務員の純減や総人件費削減が自己目的化され、根拠のない数値目標が掲げられている点であります。

 第三は、財界が百年に一度と称する官業の民間開放によって、五十兆円もの新たな市場が誕生するとそろばんをはじく市場化テストの問題です。

 公正な労働基準も、雇用継続と均等待遇の制度設計もなく、実際の官民競争は賃金、労働条件の切り下げ合戦となることが危惧されます。サービスの質の保障や、職員、利用者である住民の意見反映の場もありません。入札で民間事業者が落札した場合の公務員の処遇についても、大臣、副大臣、政府参考人の答弁が混乱し、最終的に、民間に移籍した公務員の復帰については法的担保がないことが明らかになりました。

 第四は、公益法人改革について、準則主義で簡単に非営利法人を設立できるようにし、主務官庁制度を廃止するなどの点では一定評価できるものと言えますが、税制支援措置が明らかでなく、天下りの問題も解消されておらず、自由な市民の公益活動を促進する観点からは、極めて不十分な水準にとどまっていることです。

 また、民主党の対案は、早期退職慣行の是正、公務員の労働基本権付与、官製談合の防止、地方分権の推進等では評価できるものが含まれていますが、根拠が不明確なまま三年で総人件費二〇%削減が盛り込まれていることや、労働福祉事業、雇用保険三事業、国有林野事業特別会計の廃止の方向などの点で賛同いたしかねます。

 最後に、小泉構造改革が社会の二極分化、格差拡大をもたらし、民営化、規制緩和の一方的な推進が安全と安心を損ねていることが明確になっている現在、社会的公共サービスの必要性はますます高まっています。天下りの禁止、特権的なキャリア制度の見直し、公務員の労働基本権確立、政官業の癒着構造の打破など、原点に立ち返った改革こそが必要であることを強調し、反対討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、日程第一、松本剛明君外五名提出、国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。

 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立少数。よって、本案は否決されました。

 次に、日程第二、内閣提出、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)

 次に、日程第三ないし第五の三案を一括して採決いたします。

 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)

 次に、日程第六につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。(拍手)

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十二分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       国務大臣  中馬 弘毅君


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