衆議院

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第13号 平成18年11月2日(木曜日)

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平成十八年十一月二日(木曜日)

    ―――――――――――――

  平成十八年十一月二日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 地方分権改革推進法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

加藤勝信君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 加藤勝信君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長佐藤勉君。

    ―――――――――――――

 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔佐藤勉君登壇〕

佐藤勉君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、両案の要旨について申し上げます。

 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は、本年八月の人事院勧告にかんがみ、俸給の特別調整額の定額化に伴う規定の整備、扶養手当の額の改定、広域異動手当の新設等を行おうとするものであります。

 次に、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は、秘書官について、広域異動手当の新設を行おうとするものであります。

 両案は、去る十月三十日本委員会に付託され、翌三十一日菅総務大臣から提案理由の説明を聴取し、本日質疑を行い、これを終局いたしました。次いで、採決いたしましたところ、両案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 地方分権改革推進法案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、地方分権改革推進法案について、趣旨の説明を求めます。総務大臣菅義偉君。

    〔国務大臣菅義偉君登壇〕

国務大臣(菅義偉君) 地方分権改革推進法案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 この法律案は、地方分権改革を総合的かつ計画的に推進するため、地方分権改革の推進に関する基本理念並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、地方分権改革の推進に関する施策の基本となる事項を定め、並びに必要な体制を整備するものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、地方分権改革の推進に関する基本理念であります。

 地方分権改革の推進は、国及び地方公共団体が共通の目的である国民福祉の増進に向かって相互に協力する関係にあることを踏まえ、それぞれが分担すべき役割を明確にし、地方公共団体の自主性及び自立性を高めることによって、地方公共団体がみずからの判断と責任において行政を運営することを促進し、もって個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本として行われるものとしております。

 第二は、国及び地方公共団体の責務であります。

 国は、地方分権改革を集中的かつ一体的に推進するために必要な体制を整備するとともに、地方分権改革の推進に関する施策を総合的に策定し、及びこれを実施する責務を有し、地方公共団体は、その行政運営の改善及び充実に係る施策を推進する責務を有することとしております。さらに、国及び地方公共団体は、国及び地方公共団体を通じた行政の簡素化及び効率化を推進する責務を有することとしております。

 第三は、地方分権改革の推進に関する基本方針であります。

 国は、国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体への権限移譲の推進、地方公共団体に対する事務の処理またはその方法の義務づけの整理合理化、地方公共団体に対する国または都道府県の関与の整理合理化その他所要の措置を講ずるものとし、さらに、当該措置に応じ、国庫補助負担金、地方交付税、国と地方公共団体の税源配分等の財政上の措置のあり方について検討を行うものとしております。また、地方公共団体は、行政及び財政の改革を推進するとともに、行政の公正の確保及び透明性の向上並びに住民参加の充実のための措置その他の必要な措置を講ずることにより、地方公共団体の行政体制の整備及び確立を図るものとしております。

 第四は、地方分権改革推進計画であります。

 政府は、地方分権改革の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、講ずべき必要な法制上または財政上の措置その他の措置を定めた地方分権改革推進計画を作成し、当該計画を国会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならないこととしております。

 第五は、地方分権改革推進委員会であります。

 内閣府に、地方分権改革推進委員会を設置することとしております。当該委員会は、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する委員七人をもって組織し、地方分権改革推進計画の作成のための具体的な指針を内閣総理大臣に勧告するものとしております。

 なお、この法律は、政令で定める施行の日から起算して三年を経過した日にその効力を失うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 地方分権改革推進法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。林幹雄君。

    〔林幹雄君登壇〕

林幹雄君 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました地方分権改革推進法案について質問いたします。(拍手)

 安倍総理は、さきの所信表明演説において、「額に汗して勤勉に働き、家族を愛し、自分の暮らす地域やふるさとをよくしたいと思い、日本の未来を信じたいと願っている人々、そして、すべての国民の期待にこたえる政治を行ってまいります。」と述べられ、また、「地方の活力なくして国の活力はありません。やる気のある地方が自由に独自の施策を展開し、魅力ある地方に生まれ変わるよう、必要となる体制の整備を含め、地方分権を進めます。」と述べられております。

 私も、このような総理のお考えに共感を覚える一人であり、そして、地方分権により魅力ある地方をつくることが、総理の言われる美しい国をつくることにほかならないと考えるところであります。

 そこで、地方分権を進めるためには、内政の中心的役割を地方、特に基礎自治体である市町村に移し、国は、本来国として果たすべき役割に重点化していくことにより、国と地方の役割分担を明確化していくべきだと考えます。そのためには、国の権限や財源を思い切って地方に移譲し、地方がみずからの創意と責任で仕事ができるようにしていくことが必要です。

 平成十一年の改革では、機関委任事務制度が廃止されました。その後、三位一体改革では、三兆円の税源移譲が実現しましたが、いまだ解決すべき課題は残っており、さらなる地方分権改革を進めていくことが求められています。

 今般提出のあった地方分権改革推進法案は、この新たな地方分権改革を進めるに当たっての推進体制などを定める枠組み法であります。

 以上の点を踏まえ、まず最初に、今回、本法案を起点として取り組んでいくことになる新たな地方分権改革についての基本的なお考えを総理にお伺いいたします。

 次に、新たな地方分権改革の方向性についてお尋ねします。

 先ほども申し上げましたとおり、平成十一年の地方分権一括法では、機関委任事務制度の廃止など大きな成果を見たところでございますが、権限移譲や、地方公共団体の事務の義務づけの緩和など、まだ取り組むべき課題が残っているところであります。

 これらの課題に取り組んでいくに当たって、まずは、それぞれの行政分野、個別の事務事業において、国と地方の役割分担の見直しを行うことが必要であります。そのことに基づき、権限の移譲や、地方公共団体への関与の廃止縮小などに取り組んでいくことが必要でないかと考えます。

 今回の新たな地方分権改革において、国と地方の役割分担の見直しをどのように進めていくつもりなのか、総務大臣の御所見をお伺いいたします。

 続いて、新たな地方分権改革と道州制導入との関係についてであります。

 これからの求められる国家像は、国が国でやるべき分野に重点化することにより、国家機能を強化することであります。そのためには、地方に抜本的に国から権限を移譲することが不可欠となります。

 一方で、全国の市町村は、明治、昭和、そして平成の大合併により、約七万から千八百余りにまで再編されることになりました。合併により市町村の行財政基盤が充実し、住民に身近なサービスを広く市町村が担うことが可能となってきていますし、都道府県と市町村の関係にも変化が見られるところであります。

 このような点を踏まえると、道州制を導入し、国と地方のあり方を見直すべき時期に来ているのではないかと考えます。

 ことし二月、第二十八次地方制度調査会は、国と地方の双方の政府を再構築し、新しい政府像を確立する見地に立つならば、道州制の導入が適当とする答申を示しました。しかしながら、道州制導入の是非や時期については明示せず、今後の幅広い国民的議論にゆだねた形となっております。

 総理の所信表明演説では、道州制の本格的な導入に向けた道州制ビジョンの策定に触れられております。今後、国民的議論に資するようなわかりやすいビジョンが示されることを期待するものであります。

 そこで、お尋ねいたします。

 これから地方分権改革推進法案に基づき進めていこうとしている新たな地方分権改革と、こうした道州制の導入に向けた枠組みとの関係はどのようなものになるのか、総理の基本的な御所見をお伺いします。

 最後に、新たな地方分権改革における地方税財源の充実についてお伺いします。

 真の地方分権の実現のためには、国と地方の役割分担に沿った事務事業の見直しとあわせ、地方の自由度の拡大にふさわしい税財政基盤を確立することが不可欠であると考えます。

 三位一体改革において、三兆円の税源移譲を初めとした踏み込んだ改革がなされたものと一定の評価をいたしておりますが、市町村長の方々の声をお聞きしますと、自由度が高まっていない、あるいは、交付税が大幅削減され、独自の地域振興が展開しにくくなったという声も耳にします。

 今回の改革においては、真の地方分権を実現するため、地方の活力なくして国の活力なしという視点を踏まえつつ、地方税財源の充実確保に取り組むべきと考えますが、どのように取り組んでいくつもりなのか、総務大臣の所見を伺います。

 以上、地方分権改革推進法案についての基本的な所見についてお伺いしました。

 地方分権の推進は、地方公共団体の自主性、自立性を高めることによって、地方がみずからの判断と責任において行政を運営することを促進する、そのことにより、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図り、国民福祉の増進を図ることにあります。

 地方分権は、待ったなしに取り組むべき喫緊の課題であります。今回の新たな地方分権改革の取り組みにより、地方が元気になり、魅力ある地方に生まれ変わることを期待し、私の質問とします。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 林幹雄議員にお答えをいたします。

 地方分権改革についてお尋ねがありました。

 地方の活力なくして国の活力はありません。やる気のある地方が自由に独自の施策を展開し、魅力ある地方に生まれ変わるよう、地方分権を積極的に進めてまいります。このため、関係法令の一括した見直し等により、国と地方の役割分担の見直しを進めるとともに、国の関与、国庫補助負担金の廃止縮小等を図ってまいります。

 地方分権改革と道州制との関係についてのお尋ねがありました。

 私は、地方分権改革は、知恵と工夫にあふれた地方の実現に向け、真に地方の自律と責任を確立するための取り組みであると考えております。こうした地方分権改革の着実な実施が、将来の道州制の本格的な導入につながるものと考えており、今後、国民的議論の前提となる道州制ビジョンの検討を進めてまいります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁いたします。(拍手)

    〔国務大臣菅義偉君登壇〕

国務大臣(菅義偉君) 林議員から二つ質問がありました。

 まず、国と地方の役割分担の見直しについてであります。

 地方にできることは地方にとの理念のもと、地方公共団体にできる限り事務権限を移譲し、地方の自由度の拡大とともに、責任を明確化することが必要であると考えます。このため、本法案に基づいて必要な体制等を整備し、国と地方公共団体が適切に役割分担することとなるよう不断の見直しを行ってまいります。

 次に、地方税財源の充実についてお尋ねがありました。

 地方が自由と責任を持って政策に取り組める地方分権改革を進めるためには、まずは国、地方の役割分担の見直しを進め、国と地方がそれぞれ責任を持って行政運営ができる体制を構築していくことが重要であります。こうした国と地方の役割分担の見直しに応じて、国庫補助負担金の廃止縮小、さらに交付税、税源移譲を含めた税源配分等を一体的に検討し、地方の権限や責任の拡大にふさわしい地方税財源の充実に努めてまいります。(拍手)

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議長(河野洋平君) 逢坂誠二君。

    〔逢坂誠二君登壇〕

逢坂誠二君 私は、民主党の逢坂誠二でございます。

 ただいま議題となりました地方分権改革推進法案について、民主党・無所属クラブを代表して質問をいたします。(拍手)

 私たちの日本は、戦後、新たな民主主義の国として生まれ変わりました。しかし、その民主主義は、真の民主主義とは質を異にした観客民主主義、あるいは、私自身の言葉で言いますと、国や自治体、組織や他者に依存するお任せ民主主義だったと思われます。

 しかし、現下の幾多の課題を思うとき、このお任せ民主主義からの脱却が必要であり、主権者たる国民が自律性と責任を持ってみずから考え、行動するという真の民主主義を必要としている、今はまさにそのときだと私は強く感じております。

 そして、真の民主主義実現のかぎを握るのが自治であります。

 フランスのトクヴィルやイギリスのブライスは、百年以上も前に、国家レベルの民主主義をしっかりとさせるその要素、それは自治であることを指摘し、ブライスは、民主主義の源泉たる自治は民主主義の学校であるとの言葉を残しております。

 また、石橋湛山は、大正十四年、東洋経済新報の社説において、自治体の政治は、真に住民自身が、自身のために自身で行う政治たるを得ると論じ、民主主義の原点が自治にあることを指摘しているのです。

 分権改革によって、地域の自治は活性化されます。地域の実態に即した責任ある政策の実現が可能になります。さらに、国の各種の補助金の廃止と自治体財政の充実、そして国の権限と関与の縮小によって、限られた財源をより効果的、効率的に使用することができます。国や自治体組織の簡素化にも大きな効果が期待できます。まさに分権改革は今の日本に最も必要な改革なのであります。

 また、地方分権は、地方との文字面から、自治体や地方のための改革と思われがちでありますが、地方制度の再設計を裏返してみますと中央政府の再設計でもあり、すなわち、これは国家全体の改革なのであります。

 そこで、総理、総務大臣に何点かお伺いをいたします。

 安倍総理は就任後、本院で初めての演説の中で、総理の目指す国の形は美しい国と述べられましたが、その説明からは、どうも分権型の国の姿が見えてきません。地域や地方よりも国や国家を中心とする、分権とは逆の国のようにも思われます。

 折しも今、教育の場においては、痛ましいいじめ事件や、高校での必修科目の未履修問題が発生しています。これらに関する議論からは、中央集権的な強制力の強い国家像の復活が見え隠れし、分権型社会の構築とは乖離する議論になる懸念を感じます。

 そこで、総理が地方の活力なくして国の活力はないと考える具体的な理由と、分権型社会構築の観点から総理の考える日本の国の形についてどう考えておられるか、お伺いをいたします。

 現在の日本の国レベルでの政策決定には大きな問題点があると私は思っております。それは、自治体や国民に影響を及ぼす法律の議論、決定に関し、自治体は国の都合に合わせて意見を聞かれるだけの存在にとどまっていることです。

 自治の現場は、国政のよしあしを判断するリトマス試験紙のようなものです。また、政策の内容を規定する現実、真実は、自治の現場に多数存在しています。国の政策決定に自治の現場の実態をしっかりと反映させないままに議論をした結果、例えば、障害者の自立を阻害する障害者自立支援法を生み出してしまったのです。

 フランスの元老院、そしてドイツの連邦参議院、いずれも国の政策を議論する場ですが、この議会の構成員は自治の関係者なのであります。この仕組みにより、国の政策に国民の実態が反映され、国民にとって真に効果を発揮する政策の創出が可能になります。

 そこで、総理にお伺いをします。

 真の分権型社会とは、単なる権限の移譲ではありません。どんなに権限がふえても、それが他者の意思によって分け与えられる権限なら分権型社会とは言えないのです。国と自治体が対等の関係で議論し、政策決定ができる仕組みを構築することが分権型社会には必須だと私は考えますが、総理の所見をお伺いいたします。

 その具体化として、自治体関係者が国と同じテーブルで国の政策について議論、決定する仕組みをつくることが重要だと思いますが、いかがでしょうか。

 また、将来的には、フランスの元老院、ドイツの連邦参議院の例に見られるように、日本の国権の最高機関にも自治関係者の関与を考えるべきだと私は思いますが、総理の所見をお伺いいたします。

 なお、さきの通常国会で提案され継続審議となっているいわゆる道州制特区推進法案も、道州制という分権のある種の発展形態を目指す法案であるにもかかわらず、自治体が提案したことを国が判断して決定するという、上下主従の構造であり、その法案の名称と内容は似て非なるものです。さらに、道州制本質への言及は皆無であり、分権とは無縁のまやかし法案であることを強く指摘したいと思います。(拍手)

 法案第七条には、透明性の向上と住民参加の規定があります。自治体のみならず、国の行財政改革においても、情報公開、透明性の向上と参加こそが改革の出発点だと感じます。

 しかし、国の情報公開の実態は極めて不誠実です。過日、高齢者や障害者の雇用を支援する独立行政法人に関連し、民間からの納付金の運用実態を問い合わせたところ、なかなか情報を出さず、何度かやりとりをしてやっと資料が届く始末です。しかも、その決算資料の費目分けが大ざっぱ過ぎて、納付金が有効に使われているか、無駄がないかを知る材料にはなりませんでした。

 現在、障害者の皆さんは、この法人が本当に障害者の役に立っているかどうか、その実態を知りたいと願っています。しかし、国の情報非公開の壁に阻まれて、苦しい立場にいる障害者の皆さんの声にこたえることができず、私は、本当に申しわけなく、そして悔しく思っています。

 去る四月十日、衆議院の行政改革に関する特別委員会で、行政改革に関する情報公開が進まないことへの懸念をただしたところ、担当大臣から、私どもも、かなり役所に強く迫っていることもひとつお伝えをしていく次第でございます、なかなか歯がゆいところがあるお気持ちは私どもも共有するところがありますと発言され、現役の閣僚にすら役所は情報公開をしていない実態が明らかになりました。

 そこで、総理にお伺いします。

 分権改革や行財政改革の出発点は情報の公開や情報の透明性の確保だと考えますが、この考えに賛同できますでしょうか。

 さらに、現職の閣僚までもが役所から情報を引き出すことに苦慮している実態があり、特別会計や独立行政法人などに至っては、情報公開よりも情報の隠ぺい傾向が見受けられます。私は、国の中央省庁などの透明性の確保は不十分だと感じますが、総理の認識をお伺いします。

 加えて、改革のみならず、健全な民主主義の発展のためにも、さらにしっかりとした情報公開が不可欠だと考えますが、この点に総理としてどうリーダーシップを発揮されるつもりか、その考えをお伺いいたします。

 なお、あわせて、過日、菅総務大臣が、NHKのラジオ国際放送において、拉致問題について特に留意して放送を行うよう命令することを電波監理審議会に諮問する意向を表明しています。私は、一般論として、個別に内容を特定する命令放送は慎重であるべきと考えますが、今回の命令放送に対する総理の考えをお伺いいたします。

 地方六団体が六月に内閣に提出した意見書の中には、中央省庁の壁は厚く、三位一体改革では、国の強い関与を残したまま補助負担率を引き下げ、地方の自由度の拡大という点では不十分だったとのくだりがあります。このような中央省庁や官僚の抵抗は、以前の地方分権推進計画の策定の際にも大きな弊害となりました。

 ところが、法案第四章に定める地方分権改革推進委員会の規定は、以前の地方分権推進法とほぼ同様であり、またしても官僚の強い抵抗に遭遇する可能性が高いことが予測されます。そこで、この弊害を回避するために、第三条第一項に「地方分権改革を集中的かつ一体的に推進するために必要な体制を整備する」旨の規定が設けられたようです。

 そこで、まず菅総務大臣に伺います。

 この体制の整備に関し、現時点で具体的に予定あるいは検討されていることをお知らせください。

 次に、総理にお伺いします。

 この推進委員会の運営には、経済財政諮問会議のように総理と政治の強いリーダーシップが必要だと考えますが、総理としてそれを制度上どう担保するおつもりか。あわせて、この委員会では、地方のことに詳しい委員、例えば自治体関係者などが入らなければ血の通った議論にはならないと思いますが、この点をどう考えているか、お伺いいたします。

 第六条に財政上の措置のあり方が規定されておりますが、地方交付税は地方固有の財源であり、自治体の自律を考える上で極めて重要な仕組みだと認知されています。しかし、総理はこの交付税の制度を誤解されているのではないかと私は心配をしております。

 それは、総理が、地場産品の発掘やブランド化など、前向きに取り組む自治体に対して交付税の支援措置を新たに講ずる「頑張る地方応援プログラム」を来年度からスタートさせるとの考えを持っているからであります。この総理の考え方のように、地方交付税を補助金のように扱ったり、地方交付税で政策の誘導をしたりするのは、分権の本旨にも交付税の本旨にも反すると思われ、こうしたことはすべきではないと私は思いますが、総理の考えをお伺いします。(拍手)

 この法案は、三年の時限立法であり、以前の分権推進法に比較すれば期間が短くなっています。そこで、この三年間は対象を絞って分野を限定した議論になる可能性が高いと私には思われますが、具体的にどの分野を議論する予定でいるのかをお伺いします。

 さて、去る十月二十日、札幌市で地方分権推進北海道総決起大会が開催され、広い北海道の各地から、市町村長、議長などを初め千名近い方々が参加をされました。この大会で、分権にはみんな賛成、しかし、なかなか簡単にはいかない、結局、三位一体改革は、税源移譲は財務省が抵抗し、補助金、負担金の削減は各省が死に物狂いで反対などと述べた方がいました。何とそれは、元総務大臣を務められた与党参議院の重鎮であります。

 また一方、さきの通常国会で小泉改革の集大成として慌てて成立をさせたいわゆる行政改革推進法には、著しく中央集権的かつ画一的な行政を行ってきたことが、個性豊かで活力に満ちた地域社会の形成を阻害する要因となったとの認識から地方分権に関するくだりがあります。

 今の政権与党は、戦後の大半にわたってこの国の政権を担ってきました。その党の自治担当の閣僚経験者が、今になって自分たちの進めた分権に対するリーダーシップの欠如を何の反省もなく言い、そして今後の行政改革の重要なしるべとなるはずの法案の中でも、自分たちがつくり上げ、守ってきた中央集権体制の弊害を述べてもいません。その同じ皆さんが、これからさらに分権改革を進めると言っているのです。こうした現象のことを、世間ではマッチポンプというふうに呼ぶのではないでしょうか。

 本来の分権改革をしっかり断行できるのはだれでしょうか。既得権とは無縁で、国民の目線で政治を進める我々民主党こそが、この分権改革推進の主役たり得ることを国民の皆様に強く訴えたいと思います。(拍手)

 郵政民営化などというまやかしの改革ではなく、国、地方を通して本当の改革の本丸になる分権改革を、民主党は国民の皆様とともにしっかりと進めることをお誓い申し上げ、私の質問といたします。

 大勢の皆様からの御声援、ありがとうございます。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 逢坂誠二議員にお答えをいたします。

 国の形についてお尋ねがありました。

 やる気のある地方が自由に独自の施策を展開し、魅力ある地方に生まれ変わる、そして、このことがまさに我が国の活力と成長の源泉となる。すなわち、地方の活力なくして国の活力なしが、私の地方自治に対する基本的な理念であります。

 私たちは、地域に支えられて生まれ、育ち、学び、そして暮らしています。活力に満ち、一人一人が誇りを感じられる地域をつくり出していくことこそが、私が考える日本の国の形、まさに「美しい国、日本」の実現につながるものと確信をいたしております。

 地方分権改革と権限移譲についてのお尋ねがありました。

 知恵と工夫にあふれた地方の実現に向け、真に地方の自立と責任を確立していくためには、やる気のある地方が自由に独自の施策を展開できるようにすることが重要であり、一方、国は国家の本来的任務を重点的に担うようにすべきであると考えております。

 その意味で、地方分権を推進する上でまずもってなすべきは、国と地方の役割分担の見直しであり、これに基づいて権限移譲等を図ることが肝要であります。

 国の政策について決定する仕組みについてお尋ねがありました。

 国の政策については、全国知事会議など、現状においても、地方の意見、意向を適切に反映する仕組みを有しているところであります。国の政策を決定する仕組みについては、国と地方のそもそも果たすべき役割を常に念頭に置きながら、地方の意見が反映されるよう配慮していくことが重要であると考えております。

 国権の最高機関への地方の意見の反映のあり方についてのお尋ねがありました。

 各国の国権の最高機関は、それぞれの国の機構、文化、歴史等に応じて、それにふさわしい形で構成、運営されているものと考えています。国権の最高機関のあり方については、まずもって国会の場において検討がなされるべきものであります。

 なお、国政への地方の意見の反映のあり方については、国と地方の果たすべき役割、相互の関係等を踏まえて、今後とも多角的視点から研究していくべき課題と考えております。

 情報公開や情報の透明性の確保についてのお尋ねがありました。

 公正で民主的な行政の推進には、行政機関の保有する情報の公開を図ることが必要であると考えております。

 情報公開に関し、透明性の確保は不十分であり、しっかりとした情報公開が不可欠ではないかとのお尋ねがありました。

 政府における情報公開につきましては、平成十三年の情報公開法の施行を契機として、公開される行政文書や情報が質的にも量的にも飛躍的に拡充されてきており、公正で民主的な行政の実現のための基盤として定着してきていると認識しております。

 今後とも、政府の諸活動について、国民に対する説明責任を全うするためにも、着実に情報公開の推進に取り組んでまいります。

 いわゆる命令放送についてのお尋ねがありました。

 北朝鮮による拉致は未曾有の国家的犯罪であり、我が国の国家主権と国民の生命、安全にかかわる重大な問題であります。被害者の御家族も御高齢になられ、大変不安な気持ちでいらっしゃいます。もう一刻の猶予も許されません。そのため、救出を待っている被害者のために何ができるかという観点から、政府一体となって、それぞれの立場でとり得る施策について検討しているところであります。

 こうした中で、御指摘の国際放送については、放送法の規定に基づいて検討し、適切に対処してまいります。

 地方分権改革推進委員会の運営についてのお尋ねがありました。

 委員会においては、政府が作成する地方分権改革推進計画について、そのための具体的な指針の勧告等を、内閣総理大臣である私に対して行うこととなっています。委員会において検討が行われ、政府一体となって地方分権改革の取り組みを実行できるよう、私としても、そのさまざまな局面においてリーダーシップを発揮してまいります。

 地方分権改革推進委員会の委員についてのお尋ねがありました。

 委員会の委員については、地方分権の推進についてすぐれた識見を有する方の中から、両議院の同意を得た上で任命することとしています。委員の構成については、地方の実情を十分に把握できるようなものとすべきことはもちろんでありますが、一方、地方分権は国のあり方にもかかわる重要な事柄であることから、国民全体の意見を反映することができるような人選を幅広く行ってまいります。

 地方交付税についてのお尋ねがありました。

 頑張る地方応援プログラムは、魅力ある地方を目指し、前向きに取り組む自治体を支援するため、地方の頑張りの成果を交付税の算定に反映するものであります。交付税は使途を特定されない一般財源であり、こうした算定が、交付税の補助金化となり、交付税制の本旨に反することには到底ならないものであると考えております。

 三年の時限立法であることについてのお尋ねがありました。

 改革にスピード感が求められる昨今の状況等を踏まえると、魅力ある地方を創出するための地方分権改革は、より短期間で具体的かつ実質的な成果を得る必要があると考えます。地方分権に向け、関係法令の一括した見直し等により、国と地方の役割分担の見直しを進めるとともに、国の関与、国庫補助負担金の廃止縮小等を図ってまいります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣菅義偉君登壇〕

国務大臣(菅義偉君) 逢坂議員から、推進体制の整備についてお尋ねがありました。

 本法案では、政府は、地方分権改革推進計画の作成から実施までを三年の時限で集中的かつ一体的に推進をすることといたしております。

 そのための政府における体制については、政治のリーダーシップが発揮できるよう検討してまいります。いずれにしても、新たな地方分権改革は政府一体となって取り組んでいくことが不可欠であると考えております。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  安倍 晋三君

       総務大臣    菅  義偉君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官  下村 博文君

       総務副大臣   大野 松茂君


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