衆議院

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第16号 平成18年11月14日(火曜日)

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平成十八年十一月十四日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十号

  平成十八年十一月十四日

    午後一時開議

 第一 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定第五条3及び5の規定に基づく市場アクセスの条件の改善に関する日本国とメキシコ合衆国との間の議定書の締結について承認を求めるの件

 第二 経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第三 ドミニカ移住者に対する特別一時金の支給等に関する法律案(参議院提出)

 第四 関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第五 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、内閣提出)

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本日の会議に付した案件

 日程第一 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定第五条3及び5の規定に基づく市場アクセスの条件の改善に関する日本国とメキシコ合衆国との間の議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第二 経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第三 ドミニカ移住者に対する特別一時金の支給等に関する法律案(参議院提出)

 日程第四 関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、内閣提出)

 少年法等の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定第五条3及び5の規定に基づく市場アクセスの条件の改善に関する日本国とメキシコ合衆国との間の議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第二 経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第三 ドミニカ移住者に対する特別一時金の支給等に関する法律案(参議院提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定第五条3及び5の規定に基づく市場アクセスの条件の改善に関する日本国とメキシコ合衆国との間の議定書の締結について承認を求めるの件、日程第二、経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第三、ドミニカ移住者に対する特別一時金の支給等に関する法律案、右三件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長山口泰明君。

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 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定第五条3及び5の規定に基づく市場アクセスの条件の改善に関する日本国とメキシコ合衆国との間の議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 ドミニカ移住者に対する特別一時金の支給等に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山口泰明君登壇〕

山口泰明君 ただいま議題となりました三案件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、日本・メキシコ経済連携協定議定書について申し上げます。

 日本・メキシコ経済連携協定は、鶏肉、牛肉及びオレンジ生果の関税割り当てについて、協定発効後二年目から五年目までの枠内税率等を両国間で協議することを規定しております。これに基づき、両国間で交渉を行いました結果、議定書案文について合意に達しましたので、本年九月二十日、メキシコ市において本議定書の署名が行われました。

 本議定書の主な内容は、鶏肉及び牛肉について、現行の実行最恵国税率より一〇%から四〇%を減じて得た税率とし、オレンジ生果について、現行の実行最恵国税率より五〇%を減じた税率とすること等であります。

 次に、日本・フィリピン経済連携協定について申し上げます。

 平成十五年十二月の我が国とフィリピンとの間の首脳会談において、二国間の経済連携協定の交渉を開始することで意見が一致したことを受け、平成十六年二月より両国間で交渉を行いました結果、協定案文について合意に達しましたので、本年九月九日、ヘルシンキにおいて本協定の署名が行われました。

 本協定の主な内容は、

 両国は、相手国の産品に対し内国民待遇を与えるとともに、双方が約束した条件に従って、関税を撤廃し、または引き下げること、

 両国は、相手国の投資家及び投資財産並びにサービス及びサービス提供者に対し、内国民待遇及び最恵国待遇を与えること、

 看護師及び介護福祉士等本協定に規定する自然人については、特定の約束に従って入国及び一時的な滞在が許可されること、

 両国は、ビジネス環境を一層整備するために適当な措置をとること

等であります。

 最後に、ドミニカ移住者に対する特別一時金の支給等に関する法律案について申し上げます。

 本案は、昭和三十一年から昭和三十四年までの間に国が企画及び立案を行い、実施されたドミニカ共和国への移住事業において、移住者に多大な労苦をかけたことを国として率直に反省し、移住者の努力に報い、かつ、移住者が我が国とドミニカ共和国との友好関係の発展に寄与してきたことに敬意を表するため、移住者に対し、特別一時金の支給等を行うものであり、その主な内容は、

 ドミニカ移住者またはその遺族に特別一時金を支給することとし、その支給を受ける権利の認定は外務大臣が行うこと、

 特別一時金の額は、ドミニカ移住者のうち、早期の帰国者、転住者は五十万円、それ以外の者は百二十万円とすること

等であります。

 日本・フィリピン経済連携協定は、十月十三日本院に提出され、同月二十六日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、日本・メキシコ経済連携協定議定書とともに外務委員会に付託されたものであります。

 外務委員会におきましては、十月二十七日麻生外務大臣から提案理由の説明を聴取し、十一月一日及び八日質疑を行い、同日質疑を終了いたしました。次いで、十日討論の後、採決を行いました結果、両件は賛成多数をもって承認すべきものと議決いたしました。

 また、ドミニカ移住者に対する特別一時金の支給等に関する法律案は、参議院提出に係るもので、十一月八日本委員会に付託され、十日柏村参議院外交防衛委員長から提案理由の説明を聴取した後、採決を行いました結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、日程第一及び第二の両件を一括して採決いたします。

 両件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

 次に、日程第三につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第四、関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長伊藤達也君。

    ―――――――――――――

 関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔伊藤達也君登壇〕

伊藤達也君 ただいま議題となりました関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定を実施するため、フィリピンの特定の貨物に係る関税の緊急措置の導入及び協定に基づく関税割り当て制度の導入など所要の改正を行うものであります。

 本案は、去る十月三十一日当委員会に付託され、十一月七日尾身財務大臣から提案理由の説明を聴取し、八日質疑を行い、質疑を終局いたしました。かくて、十日採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第五 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第五、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長櫻田義孝君。

    ―――――――――――――

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔櫻田義孝君登壇〕

櫻田義孝君 ただいま議題となりました感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、生物テロによる感染症の発生等を防止する対策を含め、総合的な感染症予防対策を推進しようとするもので、その主な内容は、

 第一に、病原体等について、一種病原体等から四種病原体等までに分類し、所持等の禁止、許可及び届け出等の規制を創設すること、

 第二に、重症急性呼吸器症候群を一類感染症から二類感染症に改める等、感染症の類型を見直すこと、

 第三に、結核予防対策として必要な定期の健康診断、通院医療等に関する規定を設け、これに伴い、結核予防法を廃止すること

等であります。

 本案は、さきの国会に提出され、去る六月一日本委員会に付託されましたが、継続審査となっていたものであります。

 今国会におきまして、十月二十七日柳澤厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、十一月一日から質疑に入り、八日には参考人の意見を聴取し、去る十日質疑を終局し、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 少年法等の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、第百六十四回国会、内閣提出、少年法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣長勢甚遠君。

    〔国務大臣長勢甚遠君登壇〕

国務大臣(長勢甚遠君) 少年法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 近年、少年人口に占める刑法犯の検挙人員の割合が増加し、強盗等の凶悪犯の検挙人員が高水準で推移している上、いわゆる触法少年による凶悪重大な事件も発生するなど、少年非行は深刻な状況にあります。

 このような現状を踏まえ、平成十五年十二月、青少年育成推進本部が策定した青少年育成施策大綱において、触法少年の事案について、警察の調査権限を明確化するための法整備を検討すること、触法少年についても、早期の矯正教育が必要かつ相当と認められる場合に少年院送致の保護処分を選択できるよう、少年院法の改正を検討すること、保護観察中の少年について、遵守事項の遵守を確保し、指導を一層効果的にするための制度的措置について検討することが示されたほか、同月、犯罪対策閣僚会議が策定した「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」においても、非行少年の保護観察のあり方の見直し及び触法少年事案に関する調査権限等の明確化について検討することが取り上げられましたが、これらの検討事項は、いずれも、かねてから立法的手当てが必要と指摘されていたところでもあります。

 また、平成十四年三月に閣議決定された司法制度改革推進計画において、少年審判手続における公的付添人制度について積極的な検討を行うこととされました。

 そこで、この法律案は、少年非行の現状に適切に対処するとともに、国選付添人制度を整備するため、少年法、少年院法及び犯罪者予防更生法等を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、少年法を改正して、触法少年及びいわゆる虞犯少年に係る事件の調査手続を整備するものであります。

 すなわち、触法少年の事件について警察官による任意調査及び押収等の強制調査等の手続を、虞犯少年の事件について警察官による任意調査の手続をそれぞれ整備するとともに、警察官は、調査の結果、家庭裁判所の審判を相当とする一定の事由に該当する事件については児童相談所長に送致しなければならないこととし、児童相談所長等は、一定の重大事件に係る触法少年の事件については、原則として家庭裁判所送致の措置をとらなければならないことといたしております。

 第二は、少年法及び少年院法を改正して、十四歳未満の少年の保護処分を多様化するものであります。

 すなわち、十四歳未満の少年についても、家庭裁判所が特に必要と認める場合には、少年院送致の保護処分をすることができることとしております。

 第三は、少年法、少年院法及び犯罪者予防更生法を改正して、保護観察に付された者に対する指導を一層効果的にするための措置等を整備するものであります。

 すなわち、遵守事項を遵守しなかった保護観察中の者に対し、保護観察所の長が警告を発することができることとした上、それにもかかわらず、なおその者が遵守事項を遵守せず、保護観察によってはその改善更生を図ることができないと認めるときは、家庭裁判所において少年院送致等の決定をすることができることとするほか、少年院及び保護観察所の長が保護処分中の少年の保護者に対し指導助言等をできることといたしております。

 第四は、少年法及び総合法律支援法を改正して、国選付添人制度を整備するものであります。

 すなわち、一定の重大事件について、少年鑑別所送致の観護措置がとられている場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、家庭裁判所が職権で少年に弁護士である付添人を付することができることといたしております。

 その他所要の規定の整備を行うことといたしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 少年法等の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。倉田雅年君。

    〔倉田雅年君登壇〕

倉田雅年君 自由民主党の倉田雅年でございます。

 ただいま議題となりました少年法等の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党及び公明党を代表して質問させていただきます。(拍手)

 自由民主党と公明党は、本年九月二十五日の政権合意において、両党が取り組むべき重点政策の一つとして、国民生活の安全と安心の確保を掲げておりますが、非行を行った少年を更生させ、その健全な育成を図ることは、より安全で安心な社会をつくるために、まことに重要な課題でございます。

 この点に関する国民の意識を見ますと、平成十五年の七月に長崎県で起こった、十二歳の少年が四歳の幼児を略取誘拐した上、パーキングビルの上から落下させる、そういう殺害事件など、社会を震撼させる事件もありましたし、昨年一月に内閣府が行った少年非行等に関する世論調査においても、重大な事件が以前に比べてふえているとする国民が九割を超え、中でも、低年齢の少年による非行がふえている、また凶悪、粗暴な非行がふえているとした国民はいずれも六割と、非常に高い数字を示しているのでございます。

 これに対しては、客観的な事実を反映していない単なるイメージではないかという意見も一部にあるようでございます。しかしながら、少年の身体的な発達の早まりに比し他人への共感性がはぐくまれていないなど、原因については種々考え方がございますけれども、十四歳未満の者を含めて低年齢の少年による凶悪な事件が後を絶たないことや、動機を理解することが極めて困難な事件も多数発生していることからしますと、このような国民の不安には十分な理由があり、まさに、少年非行の現状について、大変深刻な状況になっていると感じられるのでございます。

 そこで、長勢法務大臣御自身は、少年非行の現状についてどのような御認識を持っておられるのでしょうか、お尋ねをする次第です。

 次に、今国会における安倍内閣総理大臣の所信表明演説において、世界一安全な国日本の復活に全力を尽くすこととされているのを受け、少年非行に対する政府の取り組みについても国民の関心が集まっている中で、改正の具体的内容についてお伺いをしていきます。

 今回の法改正では、警察官によるいわゆる触法少年及び虞犯少年の事件の調査手続を整備することが一つの柱とされているわけでございますが、私は、非行を犯した少年を更生させるため、まずもって大切なことは、事案の真相を解明することであります。そのためには、今回の法整備は当然のことと考えます。

 そこで、長勢法務大臣にお尋ねします。

 一つは、大臣は、触法少年及び虞犯少年の事件について事案の真相を解明する必要性及びこれを警察官が行う必要性について、どのようにお考えでありましょうか。

 また、触法少年や虞犯少年については福祉的な対応を行うべきであって、警察官の調査はこのような福祉的な対応を後退させるのではないか、そういった意見もあると聞いております。このような懸念について、どのように御説明されるのでしょうか、お伺いをいたします。

 次に、今回の法改正では、十四歳未満の少年の保護処分を見直して、十四歳未満であっても、家庭裁判所が特に必要と認める場合には、少年院送致とすることができることとされております。近年、年少者による社会を震撼させるような凶悪事件が発生しており、このような少年に対して、その更生のため、どのような処遇を行うべきか、例えば、年少者に対しては教育による育て直しこそが必要なのだ、こういった意見もあるわけでございますが、こうしたことについて国民も非常に強い関心を持っているところでございます。

 そこで、長勢法務大臣にお尋ねいたします。

 大臣は、どのようなお考えで、この十四歳未満の少年院送致を可能にすることとされるのでしょうか。

 次に、今回の法改正では、保護観察についても見直しを図り、保護観察に付された者が保護観察官との間で決められた遵守事項を守らない場合には、保護観察所の長が少年に対して警告を与え、それでもなおかつ遵守事項を守らず、保護観察では改善更生を図ることができないと認める場合には、家庭裁判所が少年院送致等の決定をすることができる、このようにされているわけでございます。

 近年、保護観察制度というものにつきましては国民の関心が大変高まっておりますが、私は、このような措置は、やむを得ないことというよりも、むしろ、少年の更生を図るためには必要なことではないかと考えます。

 そこで、長勢法務大臣にお尋ねをいたします。

 今回の法改正に対しては、保護観察に付された者が単に約束を守らなかったということだけで少年院に送致されるのか、それは行き過ぎではないか、少年の立ち直りを図ることがかえってできないのではないかという意見もあると聞いております。このような意見に対する大臣のお考えはいかん、お尋ねをする次第でございます。

 次に、国選付添人についてでございますが、現行の少年法上、少年及び保護者は私選の付添人を選任することができることとされているほか、検察官が少年審判の手続に関与する場合において、少年に弁護士である付添人がついていない場合には、家庭裁判所が弁護士付添人を付することができる、このようにされているわけでございますが、今回の法改正では、さらにこの制度を一歩進めて、検察官が少年審判の手続に関与しない場合であっても、一定の重大事件については、少年鑑別所送致の措置がとられている場合でございますけれども、その場合には、家庭裁判所が職権で少年に国費で付添人を付することができる制度を導入することといたしております。私は、これは大変少年のためによい新たな前進であると思います。私、この点を一つ特に申し上げておきたいと思います。

 最後になりますが、国民が安心して暮らせる社会をつくることは、国として当然の責務であります。それとともに、次代を担う少年の健全な育成を図り、人材を育成することは国家の基盤をつくるものでございます。このような観点から見て、少年法制はまことに重要なものであり、必要な法制の整備についてはこれを積極的に進めるべきものと思います。そういった私の考えを表明し、質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣長勢甚遠君登壇〕

国務大臣(長勢甚遠君) 倉田雅年議員にお答えを申し上げます。

 まず、少年非行の現状に対する認識についてお尋ねがありました。

 少年刑法犯の検挙人員は、ここ数年、約二十万人前後で推移しておりますが、ここ数年の少年人口に占める検挙人員の割合は、戦後全体を通じて見ると、ピーク時の昭和五十年代半ばに次ぐ高水準にあります。また、十四歳未満のいわゆる触法少年による凶悪重大事件も発生をいたしております。さらに、最近の少年非行の特徴として、他人の痛みに対する理解力に欠け、ささいなきっかけで凶悪な非行に走り、動機が不可解な場合があるという指摘もなされているところであります。

 このように、少年非行は極めて深刻な現状にあると考えております。

 次に、警察官によるいわゆる触法少年及び虞犯少年の事件の調査の必要性についてお尋ねがありました。

 触法少年及び虞犯少年の事件における事案の真相解明は、適切な処遇を行うために不可欠であると考えております。そして、触法少年の事件の調査においては、十四歳以上の者が行えば犯罪に当たる行為についての事実関係を解明する必要があるわけでありますので、これを行うのに最も適しているのが警察官であるということは明らかであります。また、虞犯少年の事件についても、その要件の一つである虞犯事由には、暴力団関係者等との不良交友などがあり、このような調査についても警察官が行う必要性は高いと考えております。

 次に、警察官による調査は少年への福祉的対応を後退させるのではないかという意見についてのお尋ねがありました。

 この法律案は、実務上、従来から行われてきた警察官による調査について、その法的根拠を明確にすることなどを内容とするものであり、従来の法制度の基本的部分を変更するものではございません。また、少年の健全育成のための福祉的措置も、事案の真相解明によって初めて適切に行われ得るものであり、本法律案でも、警察官による調査は、「少年の健全な育成のための措置に資することを目的として行う」ということを明記いたしております。

 したがって、警察官の調査は、触法少年及び虞犯少年に対する福祉的な対応を後退させるものではなく、かえってこれらを充実させるものと考えております。

 次に、十四歳未満の少年の少年院送致についてお尋ねがありました。

 十四歳未満であっても、凶悪重大な事件を起こしたり、悪質な非行を繰り返すなど深刻な問題を抱える者に対しては、少年院において非行性の除去を主眼に置いた矯正教育を早期に授けることが本人の更生を図る上で必要かつ相当と認められる場合がございます。

 もとより、少年院においても、育て直しの観点から、少年の成長を促しながら社会に復帰させるための働きかけを行っております。

 そこで、年齢によって一律に区別するのではなく、個々の少年が抱える問題に即して最も適切な処遇を選択できる仕組みとするため、十四歳未満であっても、家庭裁判所が特に必要と認める場合には、例外的に、初等少年院または医療少年院に収容できることとするものでございます。

 最後に、保護観察に付された者に対する措置は、単に約束を守らなかっただけで少年院に送致するものであって行き過ぎであるという意見についてのお尋ねがありました。

 この法律案は、保護観察における遵守事項の重要性を制度上も明確にし、対象者に遵守事項を守ろうという自覚と意欲を生じさせ、保護観察を一層充実させようとするものであります。そして、保護観察では少年の改善更生を図ることができないとして少年院送致等の処分がなされるためには、保護観察官や保護司による真摯な働きかけが行われたことが当然の前提であり、家庭裁判所においては、この点も十分考慮して判断すると考えられますので、少年が単に約束を守らなかったというだけで少年院送致をするという制度とは考えておりません。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 平岡秀夫君。

    〔平岡秀夫君登壇〕

平岡秀夫君 民主党の平岡秀夫でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出の少年法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 さて、今回の改正法案は、もともと、昨年の通常国会に提出されながら、多くの反対の声もあって廃案となったものが、さきの通常国会で再提出されたものであり、その内容は、前回、六年前の改正から続いている少年事件の厳罰化の流れを一層推し進めようとするものです。児童福祉関係者や法律家などから、今回の改正法案は、少年法の精神を後退、変質させるものであると危惧する声が上がっています。

 前回の改正から今日までの間に発生した幾つかの衝撃的な少年事件も直視しなければなりませんが、しかし同時に、少年事件対策は衝撃の大きさに惑わされてはいけないということも肝に銘じなければなりません。

 そこでまず、改正案の具体的内容に入る前に、青少年問題に対処するに当たっての基本的認識についてお尋ねいたしたいと思います。

 その第一は、少年事件の発生は幼児期からの養育や教育を誤った結果であり、彼らを社会の中に包み込み、育て直すことこそが重要であるという基本認識についてです。

 この基本認識は、少年司法や児童福祉の関係者の多くの方々が指摘しています。実際、凶悪とされるような少年事件の内容を具体的に見ても、そこに至る段階で少年が親など周囲の大人から虐待されていたようなケースが少なくありません。少年事件に厳罰化で対応することが本当に問題の抜本的な解決策になるのか、私は大いに疑問に感じます。法務大臣、厚生労働大臣はどのように考えているのか、その御所見を伺います。

 その第二は、そもそも、政府が少年事件の厳罰化の前提認識としている凶悪犯罪の低年齢化という指摘は正しい事実認識なのかどうかです。

 ことし六月に法務省がまとめた改正少年法の施行状況に関する報告によれば、この五年間に実際に刑事処分相当として検察官送致された十六歳未満の少年はわずか五人です。しかも、うち二人は家庭裁判所に戻されて保護処分に、また、二人は道路交通法違反事件で罰金刑となったにすぎず、実際に懲役刑となったのは一人だけです。

 いみじくも、東京都の治安対策担当部長であった久保大氏がその著書で指摘しているように、厳罰主義で臨むべしだとか、教育の場で愛国心や公共心を養成することが必要だという結論に誘導するために、少年の凶悪事件の増加、低年齢化が言われているにすぎないのではないですか。

 本当に少年の凶悪事件が増加、低年齢化しているのか、法務大臣と国家公安委員長の御所見を伺います。

 続いて、法案の具体的内容について順次お尋ねいたします。

 法案は、まず、いわゆる触法少年や虞犯少年に係る事件について調査手続を整備すると称して、これらの少年事件について警察官による任意調査権限を付与するとともに、触法少年に係る事件については、これまで認められなかった押収、捜索、検証等の対物的強制調査権限を付与することとしています。また、一定の重大事件に係る触法少年については、児童相談所長などの判断権限を制約して、原則として家庭裁判所送致の措置をとらなければならないことにしています。

 しかし、私は、これらの制度改正については、次の三つの理由から疑問を持ちます。

 第一の理由は、児童福祉の役割が後退することへの懸念です。

 重大事件について、警察がきちんとした手続で物的証拠などを集め、調べることが必要な場合もあるとは思います。しかし、今回の改正法案で付与しようとしている触法少年等に対する警察の調査権限は、児童相談所や家庭裁判所の権限と並行的に設けられるものとなっており、これでは、警察が触法児童の中心機関になってしまい、児童福祉が非行問題から遠ざかってしまうことを強く危惧します。幼い子供を、その成長発達という視点から最も専門的に把握でき、処遇できるのは児童福祉機関です。このような観点から、触法少年事件に関する調査についても、今後とも、主体はあくまでも児童相談所と家庭裁判所とし、両者が必要に応じて警察に調査協力を求めるという形にすべきではないでしょうか。法務大臣と厚生労働大臣の御所見を伺います。

 あわせて、児童相談所の業務の実情についてもお尋ねいたします。

 近年、児童相談所で取り扱う問題のうち、虐待事件などが急増し、触法少年などの処遇になかなか手が回らないという実情にあるやに伺っております。特に、重大事件の場合には、児童相談所の事件調査能力に限界があることからも、通告があってもすぐに家庭裁判所に送致してしまい、独自の調査などのきめ細かい対応を十分に行えていないのではないかという指摘もあります。こういう現状の認識と今後の対応について、厚生労働大臣の御所見を伺います。

 第二の理由は、警察による取り調べによって虚偽自白が生み出される危険性です。

 十四歳以上の少年事件でも、警察の不適切な取り調べで虚偽の自白がなされたことが後に判明し、非行事実なしとされたものは少なくありません。このような警察の体質が改められないままに、表現能力が未成熟で暗示や誘導にもかかりやすい低年齢の少年にまで警察官の取り調べが行われるとするならば、ますます虚偽自白が生み出されてくることが危惧されます。しかも、改正案では、事実上強制的に身柄を拘束されている少年の場合には、任意の聴取とは全く名ばかりにすぎず、成年の被疑者に認められる黙秘権等の権利も保障されていません。

 触法少年に対する警察による取り調べがもたらす以上の問題点について、法務大臣と国家公安委員長の御所見を伺います。

 第三の理由は、警察の調査対象の範囲が際限なく広がることへの懸念です。

 虞犯少年というものが、「将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年」と定義されていますから、今回調査対象に加えられる虞犯少年である疑いのある少年というのは、「虞のある少年」である疑いのある者という極めて漠然とした概念にまで広がっています。例えば、夜、塾帰りの中学生がちょっと漫画を立ち読みしようとコンビニに立ち寄っただけでも、警察の調査対象になってしまうおそれがあります。政治家に例えてみれば、政治資金規正法違反をするおそれのある政治家である疑いのある者として、警察から調べられる政治家が大勢出てくるのではないでしょうか。

 虞犯少年の疑いのある者に対する警察の調査権限に関する規定は削除すべきと考えますが、法務大臣と厚生労働大臣の御所見を伺います。(拍手)

 次に、法案は、十四歳未満の少年についても、家庭裁判所の判断により少年院送致の保護処分をすることができることとしています。幼稚園児や小学校低学年の児童はともかくとして、小学校高学年の児童は少年院送致がもくろまれているものと思います。

 さきにも述べたとおり、特に低年齢の少年については、児童福祉施設での育て直し、福祉的、教育的支援こそが必要です。少年院収容年齢の下限を撤廃することは、児童福祉と少年司法の境界を消失させることを意味するものであり、到底賛成できません。この点について、法務大臣、厚生労働大臣の御所見を伺います。

 さらに、法案は、保護観察中に遵守事項に違反した少年について、保護観察所長の申請により、家庭裁判所が少年院送致を決定できる規定を設けようとしています。

 しかし、保護観察中の少年は、保護司や保護観察官との信頼関係を築きながら成長、更生していくことが期待されているはずです。少年院に送るぞという威嚇によって遵守事項を守らせようとするのは、保護観察制度の本来の意義を失わせるものであり、また、二重処罰に当たるおそれすらあるとの批判も出ています。この規定は削除すべきと考えますが、法務大臣の御所見を伺います。

 法案の中には、評価できる内容のものもあります。一定の重大事件の審判において、鑑別所送致の観護措置がとられている場合にも弁護士である国選付添人を付することができるよう、国選付添人制度を拡充しようとするものです。

 しかしながら、事件の審判終局決定前に少年が釈放された場合には国選付添人選任の効力が失われるとしている点については、実務の点から見れば大いに疑問です。なぜ、事件の審判手続が終了するまで効力を認めることとしないのでしょうか。法務大臣の御所見を伺います。

 安倍総理は、その著書「美しい国へ」の中で、教育の使命を次のように語っています。

  家族のかたちは、理想どおりにはいかない。それでも、「お父さんとお母さんと子どもがいて、おじいちゃんもおばあちゃんも含めてみんな家族だ」という家族観と、「そういう家族が仲良く暮らすのがいちばんの幸せだ」という価値観は、守り続けていくべきだと思う。

と書いています。

 しかし、残念ながら、幸せな家庭環境に恵まれない子供たちは大勢いるのです。そのような子供たちに幸せな家庭環境にできる限り近い生活環境を提供していくのは、我々大人の責務ではないでしょうか。

 このような基本認識に立つとき、大人としての責務を怠って、子供たちに厳罰化で臨もうとする今回の少年法改正案は、残念ながら、非常に大きな問題点を多数含んでいると言わざるを得ません。慎重審議を旨とする法務委員会において、引き続き徹底して慎重審議を行っていく必要があることを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣長勢甚遠君登壇〕

国務大臣(長勢甚遠君) 平岡秀夫議員にお答えを申し上げます。

 まず、少年事件の厳罰化が問題の抜本的な解決策になるのかとのお尋ねがございました。

 少年非行につきましては、処分等を厳しくするだけで対応できるものではなく、教育などさまざまな面からの対応が必要になるものと考えますが、本法律案は、少年の非行に関する事実の一層の解明、また少年の状況に応じた最も適切な保護処分の選択を可能にするなど、少年の健全育成を図るものでございます。

 次に、少年の凶悪事件が増加、低年齢化しているのかというお尋ねがありました。

 殺人、強盗、強姦、放火といった凶悪犯の犯罪少年及び触法少年の検挙人員は、平成二年には千百九十四人であったものが、その後上昇傾向に転じ、平成九年以降二千人を超える高水準で推移しておりました。平成十七年は千六百四十三人でありましたが、なお高水準であることに変わりはなく、予断を許さない状況にあると思います。

 また、十四歳未満のいわゆる触法少年による凶悪犯の補導人員をここ十年間で見ますと、平成八年から平成十四年まで二百人未満で推移していましたが、平成十五年以降二百人を超えている上、近時、凶悪重大な事件も発生しているところであります。これらを踏まえれば、少年非行は極めて深刻な状況にあるものと認識をいたしております。

 次に、触法少年の事件に関する調査の主体についてお尋ねがありました。

 触法少年の事件において、非行の事実関係を解明することは、適切な処遇を行うために不可欠であると考えております。そして、その調査においては、十四歳以上の者が行えば犯罪に当たる行為の事実関係を解明する必要があるわけでありますので、これを行うのに最も適しているのが警察官であるということは明らかであると考えます。

 これに対して、児童相談所の調査は、非行事実の有無や内容を解明することを直接の目的とするものではありませんし、また、家庭裁判所も、事件が認知された直後の段階から積極的かつ能動的な証拠収集をみずから行うことは困難であると考えられます。

 したがって、触法少年の事件に関する調査について、主体を児童相談所と家庭裁判所とし、両者が警察に調査協力を求めるという形にすることは相当ではないと考えております。

 次に、触法少年に対する警察による取り調べについてお尋ねがありました。

 少年は被暗示性が高いことや、誘導にかかりやすいという指摘があることは承知をしております。警察の調査における質問は、このような少年の特性を十分に踏まえて行わなければならないと考えております。

 現在行われている警察の調査においても、このような少年の特性への配慮に努めているものと承知をしておりますが、本法律案においては、警察による強制的な身柄拘束は認めていない上、警察の調査が少年の健全な育成のためのものであることを明記いたしております。したがって、事実上も、身柄を拘束し、供述を強制させるようなものではありません。また、少年の心理等に関する専門的知識を有する警察官以外の警察職員も質問等の調査をすることができることとしており、少年の特性を踏まえた調査が行われるよう配慮いたしております。

 したがって、警察の調査における質問については、今後とも適切な対応が行われるものと考えております。

 次に、警察の虞犯少年への調査が際限なく広がる懸念についてお尋ねがありました。

 警察の調査は、家庭裁判所の審判において虞犯少年と認定される前の段階で行われるものでありますので、虞犯少年である疑いのある者を発見した場合において、必要があるときは、事件について調査をすることができるとしているものであります。

 また、虞犯少年である疑いのある者とは、合理的根拠に基づいて、虞犯事由及び虞犯性の双方が存在すると思料される者をいいます。したがって、深夜徘回や喫煙をしただけで直ちに虞犯少年の疑いがあるとされるわけではなく、例えば、虞犯事由として、家出をしてずっと帰宅していないとか、暴力団関係者宅に寝泊まりしているような状況等がうかがわれ、かつ、将来何らかの具体的犯罪に当たる行為に及ぶおそれが強いと認められる場合などに、初めてこれに当たることとなります。

 したがって、御懸念のように、警察の調査対象が際限なく広がることにはならないものと考えております。

 次に、十四歳未満の少年の少年院送致についてお尋ねがありました。

 十四歳未満の少年であっても、凶悪重大な事件を起こしたり、悪質な非行を繰り返すなど、深刻な問題を抱える者の中には、開放処遇を原則とし、職員との家庭的な日常生活を通じた指導を行う児童自立支援施設では対応が困難で、非開放施設である少年院における非行性の除去を主眼に置いた矯正教育を早期に授けることが、本人の改善更生を図る上で必要かつ相当である場合もあると考えられます。

 このように、本法律案は、少年の立ち直りに最も適した処遇選択を可能にしようとするものであります。

 次に、保護観察中の遵守事項違反者の少年院送致についてお尋ねがありました。

 保護観察官や保護司による再三の真摯な働きかけに反して、遵守事項の違反を繰り返したり、保護観察官等との接触も絶つなど、保護観察に不可欠の前提が崩れ、これが機能し得なくなっている事例も少なくありません。

 こうした状況のもと、ルールに違反したときの手当てを設けることは、遵守事項の重要性を制度上も明確にして保護観察の意味を自覚させ、少年に遵守事項を守ろうという意欲を生じさせるものであって、威嚇によってこれを守らせようとするものではなく、保護観察制度の意義を失わせるものではないと考えております。

 また、この法律案における制度は、遵守事項違反という新たな事由について新たな保護処分決定を行うものであり、御指摘のような二重の処罰に当たるものではないと考えております。

 最後に、国選付添人制度についてお尋ねがありました。

 本制度は、少年の身柄が拘束された重大事件については、一般に少年院送致等の処分がなされることが予想される上、少年は家族その他周囲の者の直接の援助を受けることが困難であることから、家庭裁判所が少年に弁護士である付添人を付することができることとしたものであります。

 これに対して、少年が釈放された場合には、一般に少年院送致等の決定がなされる可能性は相当程度減少すると考えられますし、少年が家族その他周囲の者の直接の援助を受けることも可能となります。

 したがって、本法律案では、少年が釈放されたときは選任の効力を失うこととしておるところでございます。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕

国務大臣(柳澤伯夫君) 平岡議員から私へは、五点にわたって御質問がございました。

 まず、少年事件への対応についてでございます。

 今回の少年法改正案は、触法少年等に対する厳罰化を意図したものではなく、一つには、加害少年の立ち直り支援の観点から調査の充実を図ること、二つ、個々の子供の育て直しのために処遇の選択肢が広がることなど、子供の自立支援を図る観点からも意義があるものと考えております。

 次に、触法少年の調査についてお尋ねがありました。

 触法少年調査につきましては、これまでも、警察から通告されるケースについては警察において事実確認等が行われてきたところでございまして、今回の改正は、この警察の調査について権限と手続を明確化するものと理解しております。

 児童相談所の調査は、警察の調査とは異なり、生育歴など非行の背景を中心に行うものであり、今回の改正法案によっても、引き続きこの福祉的、教育的な観点から児童相談所が調査を主体的に行うことには変わりはないものと考えております。

 児童相談所の実情などについて、三点目としてお尋ねがありました。

 児童相談所につきましては、虐待事件の急増等に対応し、体制の充実が図られておりますが、相談件数がこうした体制整備のスピードを上回って増加しており、なお一層、体制強化が必要になると考えております。非行問題への対応についても、それぞれ地域の状況に応じて専従の組織を設けるなど、児童相談所の体制を確保するように努めてまいります。

 次に、虞犯少年の疑いのある者に対する警察の調査につきましてであります。

 これにつきましては、調査の結果等について児童相談所に通知されることとなっておりまして、児童相談所が子供に対する援助を決定する際にもこれが参考になると考えられまして、必要なものと思っております。

 最後に、少年院収容年齢についてのお尋ねがありました。

 十四歳未満の触法少年等につきましては、児童自立支援施設における開放処遇や家庭的ケアになじみにくい少年がいることもこれまで指摘されているところであります。こうしたことから、個々の子供に最適な処遇を選択できるよう処遇の選択肢を広げるという意味で、少年院の対象年齢の下限撤廃は意義のあるものと考えております。(拍手)

    〔国務大臣溝手顕正君登壇〕

国務大臣(溝手顕正君) 平岡議員の御質問にお答えいたします。

 まず初めに、少年事件の凶悪事件の増加と低年齢化についてお尋ねがありました。

 凶悪犯として検挙された犯罪少年は、平成九年以降上昇し、二千人を超える状況で推移してきております。この二年ほどは減少しておりますが、平成十七年も千四百四十一人となっており、いまだ楽観はできないものと認識いたしております。また、凶悪犯として補導された者のうち十四歳未満の触法少年についても、平成十五年以降は二百人を超える状況で推移をいたしております。

 さらに、個別の事件を挙げれば、平成十五年七月に長崎市内において十二歳の少年が幼稚園児を殺害した事件、平成十六年六月に佐世保市内において十一歳の少女が同級生を殺害した事件、平成十七年二月に寝屋川市において十七歳の少年が小学校の教職員を殺傷した事件など、重大な事案が相次いで発生しております。

 こうした情勢を踏まえますと、少年非行の情勢について、依然として厳しい状況にあると認識いたしているところでございます。

 次に、触法少年に対する警察の調査についてお尋ねがありました。

 触法少年に対する調査については、従来から、少年の特性を十分理解した上で実施することといたしております。このため、例えば、面接に当たっては、少年の年齢、性格等に応じてふさわしく、かつ、わかりやすい言葉を用いるなど、特段の配慮をしているものと承知いたしております。

 また、黙秘権の告知に関する規定が設けられていないことにつきましては、刑法上、触法少年については刑事責任を問われる可能性がないこと等を踏まえた結果であると理解をいたしております。

 今後とも、警察において触法少年の特性を十分に配慮した調査が行われるよう、国家公安委員会としても引き続き督励してまいる所存でございます。

 以上です。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時一分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       法務大臣   長勢 甚遠君

       外務大臣   麻生 太郎君

       財務大臣   尾身 幸次君

       厚生労働大臣 柳澤 伯夫君

       国務大臣   溝手 顕正君

 出席副大臣

       法務副大臣  水野 賢一君


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