衆議院

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第23号 平成18年12月15日(金曜日)

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平成十八年十二月十五日(金曜日)

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  平成十八年十二月十五日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 会期延長の件

 安倍内閣不信任決議案(小沢一郎君外八名提出)


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    午後一時十二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 会期延長の件

議長(河野洋平君) 会期延長の件につきお諮りいたします。

 本国会の会期を十二月十九日まで四日間延長いたしたいと存じ、これを発議いたします。

 本件につき討論の通告があります。順次これを許します。松野頼久君。

    〔松野頼久君登壇〕

松野頼久君 民主党の松野頼久でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました四日間の会期延長につきまして、反対の立場で討論をいたします。(拍手)

 反対の理由の第一は、今回の会期延長が、国会法ほか国会運営のルールを余りにも軽視するものだからであります。

 政府・与党は、事実上一体として、我々の反対を押し切って、八十一日間の会期を決定いたしました。当然のことながら、教育基本法を初めとする重要法案については、八十一日間の会期があれば十分だとの見通しに基づくものであったはずであります。にもかかわらず、政府・与党が見通しを誤ったというだけではなく、いとも安易に会期の延長を申し出るということでは、会期制の持つ意味が全く失われ、国会法ほか国会運営のルールは形骸化しかねません。

 しかも、会期末その日に会期延長を申し出るというのは、過去百六十五回の会期中わずか五回しかなく、憲政史上極めて異例のことであります。さらに言えば、会期末その日の本会議において、会期延長と内閣不信任案を審議したことは、昭和四十六年十二月二十四日に佐藤内閣不信任決議案を審議した、たった一回しかありません。

 反対の理由の第二は、今回の会期延長が余りにも御都合主義によるものだからであります。

 言うまでもなく、今国会の最重要法案である教育基本法は、憲法に次ぐ重要な法律であります。当然のことながら、広く深く時間をかけた国民的な議論が必要であり、質疑時間が百時間に達したから採決などという性格の法案ではありません。にもかかわらず、政府・与党は、衆参両院において、与野党の合意もなしに質疑を打ち切り、強行採決を行いました。

 しかも、衆議院の教育基本法特別委員会においては、公聴会を開催したその日のうちに採決をすることを与党は事前に決めていました。公述人にとっては、自分がどういう意見を述べようとも結論は先に決まっていたわけであり、極めて失礼な話であります。

 本件については、一昨日の議会制度協議会において、河野議長からも問題提起がありました。議長からこのような問題提起があるということ自体、極めて異例のことであり、政府・与党は強引な国会運営を猛省するべきであります。(拍手)

 にもかかわらず、参議院においても公聴会を形だけのものにして、教育基本法特別委員会において再び強行採決を行い、本日また会期延長をごり押ししようとする政府・与党は、議長の問題提起の本質を全く理解していないと言わざるを得ません。

 反対の理由の第三は、会期の延長の目的が、教育現場における数々の問題に目をつぶったまま、教育基本法案を強引に成立させ、かつ、そのことをもって問題の幕引きを図ろうとしているからであります。

 今、全国の教育現場では、いじめを苦にした児童生徒の自殺が相次いで発生しています。また、高等学校において必修科目が履修されていないという、いわゆる未履修問題も明らかになり、高等学校のみならず中学校にも広がりを見せようとしています。これらの問題について、文部科学省や教育委員会は、適切な対応をとるどころか、いじめの事実を隠ぺいし、未履修の実態に関する報告を握りつぶすという、極めて遺憾な対応を行ってきたことが続々と白日の下にさらされています。

 さらには、教育基本法の成立を強引に推し進めるため、政府主催のタウンミーティングにおいてやらせを行っていたことまで発覚いたしました。タウンミーティング調査委員会の報告によれば、教育改革をテーマにしたタウンミーティングのうち、五回のタウンミーティングにおいて、特定の発言内容を依頼したことが確認されています。しかも、事もあろうに政府は、発言を依頼した人に五千円の謝礼を渡していたほか、広告代理店と不透明な随意契約を結び、閣僚の送迎係やエレベーターのボタンを押すだけの人に二万九千円もの報酬を支払うなど、全く非常識な会計処理を行っています。まさに、公金を使った世論誘導と言わざるを得ません。(拍手)

 これについて、当時官房長官を務めていた安倍総理は、総理としての給料のうち百万円を国庫に返納するほか、塩崎官房長官ら四人の閣僚も、まるでドミノ倒しのように、給料の一部を返納するというお考えを示しておられます。当然、これをもって問題を幕引きにしたいということでしょう。私は、その話を聞き、実に寂しい気持ちになりました。そもそも、国民が安倍総理に注目しているのは、政治家としてどういう責任をとるのかという、その姿勢であります。給与を返上するというお役人的発想では、政治家として余りに小さいと私は思います。

 以上、会期延長に反対する理由を申し述べましたが、それでもなお政府・与党が会期を延長しようとするならば、山積する諸問題に真剣に取り組むことを確約していただきたい。いじめ、未履修、やらせタウンミーティングの問題を初めとして、麻生外務大臣の核保有発言、久間防衛庁長官のイラク戦争に関する発言、日銀福井総裁の不透明な資産運用の問題、政府の税制調査会本間会長の公務員宿舎入居問題、その他政治と金の問題等について、徹底した真相解明と責任追及を行うことを確約していただきたいと思います。いかがでしょうか。

 しかし、残念ながら、政府・与党にそのような意思があるとは私には到底思われません。例えば、麻生外務大臣の核保有発言をめぐって、我が党は再三予算委員会の開催を要求してきましたが、政府・与党は全く応じることはありません。政府・与党は、みずからの都合で時には会期延長をごり押ししておきながら、みずからに都合の悪いときには委員会さえ開かないではありませんか。したがって、この点においても、会期延長には強く反対せざるを得ません。

 以上、会期延長に反対する理由を申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 江渡聡徳君。

    〔江渡聡徳君登壇〕

江渡聡徳君 自由民主党の江渡聡徳でございます。

 私は、自由民主党及び公明党を代表し、ただいま議題となりました今国会の会期を十二月十六日から十九日まで四日間延長する件につきまして、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 臨時国会は、限られた短い会期の中で、特定の法案を審査することを最大の目的としております。去る九月二十六日に召集されて以来八十一日間、私どもは、テロ特措法、防衛庁の省移行法、憲法改正手続法、道州制法など、数々の重要法案審議に全力を尽くしてまいりました。とりわけ、さきの通常国会から継続となっておりました教育基本法は、今国会の最重要法案として位置づけられ、精力的に審議を続けてきたところでございます。

 教育基本特別委員会では、野党側の主張を柔軟に受け入れ、公聴会、地方への委員派遣、参考人質疑など、百六時間もの審議を積み重ねてまいりました。これは、日米安保条約、沖縄返還法、小選挙区比例代表並立制、郵政民営化法に次ぐ、五番目に長いものであります。この間、民主党は、委員名簿を提出しない、重複した内容の質問を繰り返す、修正協議に応じないなど、無責任な対応をとり続けてまいりました。参議院においても、その審議時間は八十時間を超えており、既に論点は国民の前に明らかであります。この上、何を求めているのでしょうか。(拍手)

 野党諸君が、審議は尽くされていないと言いながら、その一方で会期延長に反対しているのであれば、それは国会議員としての使命を果たそうとしない無責任な行為であり、到底、政権交代を目指そうとする政党がとるべき態度ではありません。結論を先延ばしすることは、すなわち責任を先延ばしすることを意味するのであります。

 教育基本法、防衛庁の省移行法などの重要法案は、既に参議院において委員会で可決され、本会議採決を待つばかりであります。ほかにも五件の法案が本会議上程を控えております。委員会で表決した法案を本会議の議題とするのは立法府としての責務であって、そのための会期延長は当然のものと考えております。(拍手)

 また、民主党は、一昨日から昨日にかけて三件の議員立法を提出いたしました。会期末を目前に控え、成立の見通しもなく提出するだけの行為に対しまして、我々は大いに戸惑いを感じるものであります。みずから提出した法案の成立を真に望むのであれば、むしろ民主党から会期の延長を提案するべきものではないでしょうか。

 私は、あえて野党諸君の良識に訴えます。理念や手法は違っていても、国民に対する思いは与野党を問わず同じはずであります。パフォーマンスに走る政治が国民に通用しないことは、もはや明らかなのであります。野党諸君は、かかる議事妨害にも等しい行動を猛省し、会期延長に賛同され、残る重要法案の成立に速やかに協力していただきますよう強く申し上げまして、私の賛成の討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 穀田恵二君。

    〔穀田恵二君登壇〕

穀田恵二君 私は、日本共産党を代表して、第百六十五回臨時国会の会期を四日間延長することに反対の討論を行います。(拍手)

 さきの議院運営委員会理事会において、なぜ四日間の延長かと問われて、与党は、まだ議案が残っていると答えました。ここに明らかなように、今回の会期延長は、政府提出の教育基本法案、自衛隊海外派兵本務化・防衛省昇格法案など、憲法の諸原則に背く重大な悪法をごり押ししようとするためのものであることは明白であり、断じて認められません。

 政府提出、教育基本法案は、やらせ、サクラの世論誘導によって持ち出されてきたものであることが明らかになりました。そのことは、現行教育基本法を改正しなければならないという理由も国民合意も見出せなかったことを示すことにほかならないではありませんか。全く不十分なタウンミーティング調査報告でさえ世論誘導を認めたのであります。政府が公式に認めた事実だけをとっても、政府に法案提出の資格もなかったことは明白ではありませんか。しかも、その追及を免れるために報告書の提出を会期末ぎりぎりにするなど、その姿勢は最低限の道理さえかなぐり捨てたものであり、教育を語る資格はないと言わなければなりません。(拍手)

 そもそも、政府提出の教育基本法案は、内心の自由の原則に背いて愛国心などを押しつけ、教育への国家・行政権力の介入を許すという重大な内容を盛り込んだものであります。憲法原則に背くこの法案は、国家百年の大計どころか、我が国の未来に重大な禍根を残すものにほかなりません。今、教育が直面する深刻な問題であるいじめ問題の解決にも逆行する姿も浮き彫りになっています。審議すればするほど、法案の問題点、危険性が露呈しているのであります。

 ところが、政府・与党は、こうした山積する問題を積み残したまま、衆院で公聴会が開催されたその日に与党単独で採決を強行し、まさに国民の意見を聞く耳を持たぬ態度さえ示したのであります。昨日は、参院教育基本法特別委員会において、合意のないまま質疑を断ち切り、強行採決に踏み切ったのであります。こうした無法に無法を重ねた与党のやり方に大義は全くないと言わなければなりません。世論調査を見ても、今国会成立にこだわるべきでない、これが五五%、今国会での成立が必要、たった一九%にすぎないのです。今国会で急いで行うべきではないというのが国民の圧倒的多数の声ではありませんか。

 国会法は、常任委員会、特別委員会は、会期中に限り付託法案を審査する、「会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しない」ことを基本原則としています。この会期制の原則に従って、本日、会期を閉じ、教育基本法政府案、自衛隊海外派兵本務化・防衛省昇格法案などは、これを廃案とするのが憲政の常道であります。政府と与党の都合で勝手に土俵を広げ、諸悪法案の成立をごり押しするなどはもってのほかであります。

 以上、四日間の会期延長に断固反対する態度を表明し、討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) 日森文尋君。

    〔日森文尋君登壇〕

日森文尋君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、党利党略の会期延長に怒りを込めて反対する立場で討論を行います。(拍手)

 教育基本法案の重大な問題点が審議を通じて明らかになりつつあります。そして、これに対して大きな国民的な批判の声が高まっています。そのさなか、昨日の参議院教育基本法特別委員会で教育基本法の採決が強行されました。衆議院の特別委員会でも強行採決でした。教育に関する基本法を非民主的手法で押し通そうとする政府・与党に、教育を語る資格はありません。

 与党の皆さんに申し上げたい。きょうも、この国会を多くの子供たちが見学しています。その子供たちに、これが国権の最高機関であり、唯一の立法機関の姿だと胸を張って言えるんでしょうか。小学生に恥ずかしくないんでしょうか。子供たちの未来を数の横暴で汚していいんでしょうか。

 防衛庁の省昇格法案も、防衛庁不祥事の解明が不十分なまま、しかも、外務大臣、防衛庁長官、与党幹部から、非核三原則を否定する発言や、日本が核武装を検討するかのような、こんな発言が続き、安倍総理や塩崎官房長官からも集団的自衛権をなし崩しで容認するかのような発言が行われている中で成立が図られようとしていることに、大きな憂慮を覚えます。

 教育基本法案、防衛庁設置法改悪法案は、会期延長をしてまで成立させるという緊急性や必要性は全くありません。したがって、今回の会期延長には理由がありません。憲法及び国会法にのっとり、法案が会期末において審議未了であれば、廃案となるのは当然なんです。臨時国会の会期は、与野党が一致して八十一日間、この会期を決定しました。延長するのであれば、与野党が全会一致で合意を図らなければなりません。

 私は、会期を延長するというのであれば、タウンミーティングにおけるやらせ発言や政府関係者の動員の問題、不適切な費用支出などの民意の偽装疑惑の徹底解明、あるいは麻生大臣を初めとする関係閣僚の問題発言の追及の場とするための延長でなければならない、こう思っています。問題の幕引きに奔走する政府・与党には、残念ながらその姿勢のかけらもありません。

 以上、私ども社民党の会期延長に対する反対の意見を申し上げ、討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

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議長(河野洋平君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 会期を十二月十九日まで四日間延長するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(河野洋平君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(河野洋平君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百六十八

  可とする者(白票)      三百三十五

  否とする者(青票)       百三十三

議長(河野洋平君) 右の結果、会期は四日間延長することに決まりました。(拍手)

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本国会の会期を十二月十九日まで四日間延長するを可とする議員の氏名

あかま 二郎君   安次富  修君   安倍  晋三君   阿部  俊子君

逢沢  一郎君   愛知  和男君   赤池  誠章君   赤城  徳彦君

赤澤  亮正君   秋葉  賢也君   麻生  太郎君   甘利   明君

新井  悦二君   井澤  京子君   井上  喜一君   井上  信治君

井脇 ノブ子君   伊藤  公介君   伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君

伊藤  達也君   伊吹  文明君   飯島  夕雁君   石崎   岳君

石破   茂君   石原  伸晃君   石原  宏高君   稲田  朋美君

稲葉  大和君   猪口  邦子君   今井   宏君   今津   寛君

今村  雅弘君   岩永  峯一君   岩屋   毅君   宇野   治君

上野 賢一郎君   浮島  敏男君   臼井 日出男君   江崎  鐵磨君

江崎 洋一郎君   江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君

遠藤  武彦君   遠藤  利明君   遠藤  宣彦君   小川  友一君

小此木 八郎君   小里  泰弘君   小野  次郎君   小野  晋也君

小野寺 五典君   小渕  優子君   尾身  幸次君   越智  隆雄君

近江屋 信広君   大島  理森君   大塚  高司君   大塚   拓君

大野  松茂君   大野  功統君   大前  繁雄君   大村  秀章君

太田  誠一君   岡下  信子君   岡部  英明君   岡本  芳郎君

奥野  信亮君   加藤  勝信君   加藤  紘一君   嘉数  知賢君

海部  俊樹君   鍵田 忠兵衛君   梶山  弘志君   片山 さつき君

金子  一義君   金子 善次郎君   金子  恭之君   上川  陽子君

亀井 善太郎君   亀岡  偉民君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君

川条  志嘉君   河井  克行君   河村  建夫君   瓦    力君

木原  誠二君   木原   稔君   木村  太郎君   木村  隆秀君

木村   勉君   木村  義雄君   岸田  文雄君   北川  知克君

北村  茂男君   北村  誠吾君   久間  章生君   倉田  雅年君

小池 百合子君   小泉 純一郎君   小坂  憲次君   小島  敏男君

小杉   隆君   木挽   司君   古賀   誠君   後藤  茂之君

後藤田 正純君   河野  太郎君   河本  三郎君   高村  正彦君

近藤 三津枝君   近藤  基彦君   佐田 玄一郎君   佐藤  剛男君

佐藤   勉君   佐藤 ゆかり君   佐藤   錬君   斉藤 斗志二君

坂井   学君   坂本  剛二君   桜井  郁三君   櫻田  義孝君

笹川   堯君   清水 鴻一郎君   清水 清一朗君   塩崎  恭久君

塩谷   立君   七条   明君   実川  幸夫君   篠田  陽介君

柴山  昌彦君   島村  宜伸君   下村  博文君   新藤  義孝君

菅   義偉君   菅原  一秀君   杉浦  正健君   杉田  元司君

杉村  太蔵君   鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君   鈴木  淳司君

鈴木  恒夫君   関   芳弘君   薗浦 健太郎君   園田  博之君

田中  和徳君   田中  良生君   田野瀬良太郎君   田村  憲久君

平   将明君   高市  早苗君   高木   毅君   高鳥  修一君

竹下   亘君   竹本  直一君   武田  良太君   棚橋  泰文君

谷   公一君   谷垣  禎一君   谷川  弥一君   谷畑   孝君

谷本  龍哉君   玉沢 徳一郎君   中馬  弘毅君   津島  雄二君

土屋  品子君   土屋  正忠君   寺田   稔君   とかしきなおみ君

戸井田とおる君   渡海 紀三朗君   土井   亨君   土井  真樹君

冨岡   勉君   中川  昭一君   中川  秀直君   中川  泰宏君

中谷   元君   中根  一幸君   中野   清君   中野  正志君

中森 ふくよ君   中山  太郎君   中山  成彬君   中山  泰秀君

仲村  正治君   永岡  桂子君   長崎 幸太郎君   長島  忠美君

長勢  甚遠君   並木  正芳君   二階  俊博君   丹羽  秀樹君

丹羽  雄哉君   西川  京子君   西川  公也君   西野 あきら君

西村  明宏君   西村  康稔君   西銘 恒三郎君   西本  勝子君

根本   匠君   野田  聖子君   野田   毅君   葉梨  康弘君

萩生田 光一君   萩山  教嚴君   萩原  誠司君   橋本   岳君

馳    浩君   鳩山  邦夫君   浜田  靖一君   早川  忠孝君

林    潤君   林   幹雄君   林田   彪君   原田  憲治君

原田  令嗣君   原田  義昭君   平井 たくや君   平口   洋君

平沢  勝栄君   平田  耕一君   広津  素子君   深谷  隆司君

福井   照君   福岡  資麿君   福田  峰之君   福田  良彦君

藤井  勇治君   藤田  幹雄君   藤野 真紀子君   二田  孝治君

船田   元君   古川  禎久君   古屋  圭司君   保坂   武君

保利  耕輔君   細田  博之君   堀内  光雄君   馬渡  龍治君

牧原  秀樹君   増原  義剛君   町村  信孝君   松岡  利勝君

松島 みどり君   松浪 健四郎君   松浪  健太君   松野  博一君

松本   純君   松本  文明君   松本  洋平君   三ッ林 隆志君

三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君   御法川 信英君   水野  賢一君

宮腰  光寛君   宮澤  洋一君   宮路  和明君   宮下  一郎君

武藤  容治君   村上 誠一郎君   村田  吉隆君   望月  義夫君

茂木  敏充君   盛山  正仁君   森   英介君   森   喜朗君

森山   裕君   森山  眞弓君   やまぎわ大志郎君   矢野  隆司君

谷津  義男君   安井 潤一郎君   保岡  興治君   柳澤  伯夫君

柳本  卓治君   山内  康一君   山口  俊一君   山口  泰明君

山崎   拓君   山中 あき子君   山本  明彦君   山本  公一君

山本  幸三君   山本   拓君   山本ともひろ君   山本  有二君

吉川  貴盛君   吉田六左エ門君   吉野  正芳君   若宮  健嗣君

渡辺  具能君   渡辺  博道君   渡辺  喜美君   渡部   篤君

赤羽  一嘉君   赤松  正雄君   井上  義久君   伊藤   渉君

池坊  保子君   石井  啓一君   石田  祝稔君   上田   勇君

漆原  良夫君   江田  康幸君   遠藤  乙彦君   大口  善徳君

太田  昭宏君   神崎  武法君   北側  一雄君   佐藤  茂樹君

斉藤  鉄夫君   坂口   力君   田端  正広君   高木 美智代君

高木  陽介君   谷口  和史君   谷口  隆義君   富田  茂之君

西   博義君   東   順治君   福島   豊君   冬柴  鐵三君

古屋  範子君   桝屋  敬悟君   丸谷  佳織君   下地  幹郎君

徳田   毅君   中村 喜四郎君   西村  真悟君   

否とする議員の氏名

安住   淳君   赤松  広隆君   荒井   聰君   池田  元久君

石関  貴史君   泉   健太君   市村 浩一郎君   岩國  哲人君

内山   晃君   枝野  幸男君   小川  淳也君   小沢  鋭仁君

大串  博志君   大島   敦君   大畠  章宏君   太田  和美君

逢坂  誠二君   岡田  克也君   岡本  充功君   奥村  展三君

加藤  公一君   金田  誠一君   川内  博史君   川端  達夫君

河村 たかし君   菅   直人君   吉良  州司君   黄川田  徹君

菊田 真紀子君   北神  圭朗君   玄葉 光一郎君   小平  忠正君

小宮山 泰子君   小宮山 洋子君   古賀  一成君   後藤   斎君

郡   和子君   近藤  昭一君   近藤  洋介君   佐々木 隆博君

笹木  竜三君   篠原   孝君   下条  みつ君   神風  英男君

末松  義規君   鈴木  克昌君   仙谷  由人君   園田  康博君

田島  一成君   田嶋   要君   田名部 匡代君   田中 眞紀子君

田村  謙治君   高井  美穂君   高木  義明君   高山  智司君

武正  公一君   達増  拓也君   津村  啓介君   筒井  信隆君

寺田   学君   土肥  隆一君   中井   洽君   中川  正春君

仲野  博子君   長島  昭久君   長妻   昭君   長浜  博行君

長安   豊君   西村 智奈美君   野田  佳彦君   羽田   孜君

鉢呂  吉雄君   鳩山 由紀夫君   原口  一博君   伴野   豊君

平岡  秀夫君   平野  博文君   福田  昭夫君   藤村   修君

古川  元久君   古本 伸一郎君   細川  律夫君   細野  豪志君

馬淵  澄夫君   前田  雄吉君   前原  誠司君   牧   義夫君

松木  謙公君   松野  頼久君   松原   仁君   松本  大輔君

松本  剛明君   松本   龍君   三日月 大造君   三谷  光男君

三井  辨雄君   村井  宗明君   森本  哲生君   山岡  賢次君

山口   壯君   山田  正彦君   山井  和則君   柚木  道義君

横光  克彦君   横山  北斗君   吉田   泉君   笠   浩史君

鷲尾 英一郎君   渡辺   周君   渡部  恒三君   赤嶺  政賢君

石井  郁子君   笠井   亮君   穀田  恵二君   佐々木 憲昭君

志位  和夫君   塩川  鉄也君   高橋 千鶴子君   吉井  英勝君

阿部  知子君   菅野  哲雄君   重野  安正君   辻元  清美君

照屋  寛徳君   日森  文尋君   保坂  展人君   糸川  正晃君

亀井  静香君   亀井  久興君   綿貫  民輔君   滝    実君

横路  孝弘君 

     ――――◇―――――

加藤勝信君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 小沢一郎君外八名提出、安倍内閣不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 加藤勝信君の動議に御異議ありませんか。(発言する者あり)動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 安倍内閣不信任決議案(小沢一郎君外八名提出)

議長(河野洋平君) 安倍内閣不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。菅直人君。

    ―――――――――――――

 安倍内閣不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔菅直人君登壇〕

    〔発言する者あり〕

議長(河野洋平君) 静粛に願います。――静粛に願います。

 菅君、発言してください。

菅直人君 私は、民主党の菅直人でございます。

 私は、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合、国民新党・無所属の会を代表し、安倍内閣に対する不信任決議案の提案の趣旨を説明いたします。(拍手)

 まず、決議案の案文を朗読いたします。

  本院は、安倍内閣を信任せず。

   右決議する。

    〔拍手〕

 次に、我々が本決議案を提案する理由を説明いたします。

 第一に、安倍総理みずからが官房長官時代に責任者として行った、タウンミーティングでのやらせ質問による世論誘導であります。

 第二に、いじめや未履修問題などについて改革案も示さないまま、教育基本法改正を与党が強行してきた点であります。

 第三に、麻生外務大臣の核保有議論であります。

 第四に、イラク戦争についての安倍総理の姿勢であります。

 第五に、郵政造反組の復党により、昨年の総選挙のやり直しが必要だという点であります。

 第六に、格差社会の是正に安倍内閣が取り組んでいないという点であります。

 第七に、障害者自立支援法の大変な大きな問題を放置しているということであります。

 第八に、道路特定財源の扱いに見られるように、にせの改革を進めようとしている点であります。

 第九に、官製談合をやめさせようという姿勢が全く見えない点であります。

 第十に、小泉政権に引き続き地方の切り捨て政策を、この点だけは継続しようとしている点であります。

 第十一に、総理の就任前と就任後の政治姿勢に余りにもぶれが大きくて、果たして信用できるのかという疑念があるという点であります。

 以下、それぞれの理由についてしっかりと意見を述べさせていただこうと思います。

 まず、恥を知れという言葉を、私はあのタウンミーティングの報告書を読んだときに、私の頭に浮いた言葉がこの言葉でありました。

 私は、新渡戸稲造氏が書かれた「武士道」という本を、多くの方も好きだと思いますが、大変評価をいたしております。その中に、教育のあり方として、例えば子供たちに、おまえは弱い者いじめをして恥ずかしくないのかとか、あるいは大人に対しても、官製談合などに手を染めて恥ずかしくないのかとか、私は、恥という考え方の方が、欧米で言われる正義とか正しいという言葉よりも日本人にとって非常に受け入れやすい考え方だと思っております。しかし、まさに今回のタウンミーティングが恥知らずの行為であったことを、国民の皆さんは十分に知っておられるはずであります。

 総理は、タウンミーティングについて、最近、双方向の意見交換といいましょうか、一方的ではない、双方向の意見を聞くための会というふうに言われております。やらせ質問が双方向なんでしょうか。そのやらせ質問を繰り返して、その中で議論されてきたのが、多くが教育問題であり、さらには司法の問題であったというところに、まさに皮肉が込められているんじゃないでしょうか。

 総理は、責任を感じてか、一月たしか三十四万円ほどでしょうか、その金額を三カ月分返上されると、報道によればそうなっております。しかし、お金だけでいっても、これはお金の問題じゃないんですが、お金だけでいっても、我が党の小宮山泰子さんが質問主意書で一体幾らかかったんだと聞いたんですよ。幾らか皆さん知っていますか。十九億九千万円ものお金がこのやらせのためのタウンミーティングにかけられているんです。もし総理が、月三十四万円ずつ返上してこの十九億九千万円を穴埋めしようとしたら、どのくらい時間がかかるんでしょうか。約五百年かかるんですよね。

 このタウンミーティングの報告書の中では、内閣のタウンミーティングを担当する官僚が広告代理店に発注してこの企画を行ったそうでありますけれども、まさに双方向の議論をしようとするのであれば、政治家なんですから、街頭に出たって、いろいろな集会に出たって、まさに双方向で皆さんだって選挙をやっているはずですから、そんなものを一々官僚に丸投げするという姿勢そのものが、小泉内閣から安倍内閣の改革がいかににせものであるかという証明じゃないですか。(拍手)

 関連しますが、第二点の教育基本法の強行ということについて申し上げます。

 今、教育の現場の中で一番深刻に議論されていることは何かということを、この議場におられる皆さんだれもが知っていると思います。一つはいじめの問題であり、一つは学力の低下であり、あるいは不登校の問題など、まさに多くの問題を抱えております。しかし、残念ながら、今回の教育基本法をめぐる議論の中でもう一つ大きな問題がありました、未履修の問題を含めて。一体どのような形でこれらの問題を解決しようとするのか。私の知るところ、その解決方法に対して安倍総理なり文部科学大臣なりからしっかりとした政策が出されたということを残念ながら聞きませんが、皆さんいかがですか。

 つまり、政府の教育基本法を、例えば、成立させたらいじめがなくなるとか、成立させたら未履修の問題が解決するとか、何かそういう論理が成り立つのであれば、まだ多少の言いわけにはなりますけれども、まさに恥ずかしいやり方で世論を操作して、教育に最も悪い影響を与えながら審議を進めていて、何がこの教育基本法を成立させることが子供たちの教育にプラスになるんですか。

 安倍総理は所信表明の中でも、公教育の改革ということを言われておりました。実は、私は山口県の宇部市というところで生まれました。安倍総理が一九九三年に初当選された山口一区、中選挙区時代の一区にこの宇部市は入っております。私は、その宇部の公立小学校、公立中学校、公立高校の半ばで父の転勤で東京に移りましたが、そういう公立小学校や中学校を経験いたしております。安倍総理は、今私が生活しております武蔵野の私立の小学校や中学校をたしか、そこで学ばれたはずであります。私は、私立だからいけないなんて言うつもりはありません。しかし、ややもすれば、私立で小学校に通えるというのは比較的恵まれた家庭でありますし、余りいじめも少ないだろうということで、そういう皆さんが子供を通わせているわけであります。

 何か、公教育の改革というと、とにかく管理を強めることが改革なんだともし総理が考えられているとすれば、私は決して、管理を強めたからといって、単にそれだけでいじめがなくなったり、あるいは不登校がなくなったりするものではない。

 そういった意味で、今回のこの教育基本法をめぐる議論や総理の言われる公教育の改革というものが、今、本当に子供たちやあるいは大人たちが必要としていることではなくて、例えば、ある労働組合をつぶしてやろうとか、あるいは教育基本法をいわば皮切りにして次の政治テーマに移るステップとか、つまりそういった、本来の教育そのものの議論ではなくて、別の政治目的を持って急がれていると私の目には映るんですが、いかがでしょうか。(拍手)

 第三番目に移りたいと思います。第三に、麻生太郎外務大臣の核保有発言についてであります。

 北朝鮮が核兵器を持つのなら我が国も持つべきだ、こういう考え方が、抽象的な意味でですよ、例えば評論家とか、例えばそういう自由な立場の人から発言をされても、それに対して、日本は言論の自由のある国ですから、私はそれをとやかく言うつもりはありません。しかし、我が国は、今から六十一年前、まさに広島、長崎で初めてで、今日まで、その後については幸い被爆をした国はありませんが、唯一の被爆国であります。そうした被爆国である我が国が核に対してどのような姿勢で臨むかという議論を重ねた中から、我が国の非核三原則といった考え方が定着をしてきたわけであります。

 私は、今の日本、さらには今の世界の情勢は、一時期に比べて核の拡散の危機や、場合によっては、間近とは言いませんけれども、核戦争の危機が、ある時期よりも高まっているという感じを受けております。

 私が高校生の時代ですから、麻生大臣があるいは大学生かその上の時代でしょうか、キューバ危機というものがあったのを覚えておられると思います。当時のアメリカ大統領はケネディ大統領、当時のソ連の首相はフルシチョフ首相でありました。キューバにソ連が核ミサイルを持ち込むということを察知したアメリカが、海上封鎖をしてそれを阻止しようとし、結果的には、ソ連の輸送船がUターンをして撤退したことによって、核戦争の危機が回避された。私の頭の中には鮮明にその記憶が残っております。

 しかし、私は、最近の報道を見て、改めて、そうだったのかと驚いたことがありました。つまり、当時は、まだソ連の核ミサイルはキューバには搬入されていない中での海上封鎖だというふうに理解をされておりましたが、当時のソ連、現在のロシアの関係者の最近の証言などによると、既に多くの核ミサイルがキューバに搬入されていたという事実が明らかにされております。もしそのときに米ソの核戦争が起きていれば、数千万あるいは数億と言われる人たちが命を落とし、あるいは、この地球そのものが果たしてその後の人類の生きていくことができる星であったか。まだ、決して数百年前の話ではありません、わずかに四十年余り前の話であります。

 そういう歴史を踏まえた中で、我が国がとるべき核政策についてまず最も重要なことは、現在の核保有国を含めて、核の削減を最も強く言える立場にあるのが我が国であり、その先頭に立つべきなのが総理大臣と外務大臣の仕事ではないでしょうか。そうした立場をわきまえることもなく、一私人のような形で、いや、いろいろな議論があったっていいんだ、それはそのとおりであります。しかし、それは一般の人について言えることであって、責任ある立場にある外務大臣の発言としてそのまま放置されていいはずはないじゃないですか。

 安倍総理は、そうした発言を繰り返す外務大臣に対しても、あるいは、これは閣内ではありませんが、自民党政調会長に対しても、たしなめたという話も一度もお聞きをいたしておりません。少なくとも、そうした閣僚に対してきちっとした指導力のない安倍総理、安倍内閣を私たちは信任をすることができない、これが三番目の理由であります。(拍手)

 次に、第四番目の理由、イラク戦争に関する安倍総理の姿勢について述べさせていただきます。

 先日のアメリカの中間選挙においてアメリカ民主党が大勝したことは、皆さんも御承知のとおりであります。こうした選挙の結果を生み出したのは、言うまでもなく、ブッシュ大統領のイラク戦争、イラク政策に対してアメリカ国民がノーという判断をしたからではないでしょうか。つまりは、大量殺りく兵器を持っている、開発している、そういう前提のもとでイラクに先制攻撃をしかけたわけですけれども、結果として、その後の調査によってそうしたものは発見されなかった、なかったんだということをアメリカ自身が認めているわけであります。

 しかし、それに対して、そうした新しい事実がはっきりしたにもかかわらず、安倍政権の姿勢は、小泉政権のまだそれがはっきりしないときと何一つ変わることがないじゃないですか。つまりは、大量破壊兵器が存在していたかいないかというまさに事実に対して、それがあったと言われて行った政策に対して、アメリカを含め多くの国々が失敗をしたと思っているわけであります。私は、そうしたアメリカの誤った認識を真に受けてアメリカに追従をしてきたこれまでの小泉政権、そして現在の安倍政権の姿勢は明らかに間違っている、これが安倍政権を信任できない第四番目の理由であります。

 同時に、この間、久間防衛庁長官は、米国のイラクへの武力行使に対して閣議決定をした正式な支持表明があったにもかかわらず、久間大臣からは、そうした政府の正式な決定はなかったんだという信じられないような発言が飛び出しました。一般人じゃないんですよ。久間さんという、この問題の専門家であり、現在は防衛庁長官であるその人から出た言葉ですよ。そうした意味では、一体、安倍内閣というのは何なんだと。そうした最も重要なことすら認識を一つにできないでいて、外務大臣は勝手に核保有の発言をし、防衛庁長官は勝手にそうした間違った認識を述べる、こうした内閣を信任することができないのは当たり前ではないですか。(拍手)

 第五に、郵政造反組の復党問題についてであります。

 私は、自由民主党という政党がどなたを入党させようとも、どなたを除名されようとも、それは政党の自由であります。しかし、有権者に対して一体どのような形でそのことをきちっと説明できるんでしょうか。私は、説明するやり方はただ一つしかないと思いますよ。怖いんですか。(発言する者あり)怖くないんだったら、もう一回国民に信を問うてみたらどうですか。

 私の選挙区にも自由民主党の候補者がおられ、この議場にもおられます。多くの仲間のところにも、もちろん自由民主党の候補者がほぼ全員立ったわけでありますから。しかし、そのときの選挙では、刺客を送ってまで党内の反対派を排除しようとしたその姿勢が、ある意味での小泉ブームを醸し出したんじゃないですか。その刺客に対して、使い捨てにするのかしないのかは、それは自民党の勝手です、まさに。しかし、幾ら幹事長や総裁にどんな誓約書を出そうとも、国民に対してただ一つのことは、もう一度信を問うしかないじゃないですか。安倍総理は、このことをやる責任がある。それは、総裁としてではなくて、総理大臣としての責任でありますから、その責任を果たせない総理、内閣は信任できません。(拍手)

 第六に、格差社会を是正するための政策にしっかりと取り組もうとしない、逆に言えば、それに反する政策をとり続けている点であります。

 現在、戦後最長の好景気というふうに言われておりますけれども、多くの国民にはその実感がありません。なぜかわかりますか。簡単な理由ですよ。それは、かつてのいざなぎ景気の当時は、実質賃金がその間で二倍以上上昇をしました。しかし、この今日続いていると言われる好景気の中では、実質賃金がどうなっていますか。二倍上がりましたか、一・五倍上がりましたか、一割にも満たない。つまりは、実質賃金が下がってきているからなんですよ。

 安倍総理は私との予算委員会の質疑の中で、格差が拡大しているという指摘に対して、いやいや、それは高齢者の比率とかが変わったからで、専門家の話を聞くと格差がそれほど拡大したとは言えないという趣旨の答弁をされました。まさにこの認識が大間違いなんです。景気がよくなった、よくなったと言いながら、庶民の一般の生活をしている、そういう皆さんの所得が下がっていて、何が好景気と喜べるんですか。

 自民党の、特に安倍さんを応援している皆さんの口からは、再チャレンジという言葉がよく出てまいります。確かに、起業家で失敗した人に再チャレンジをするチャンスを考えたり、それは大いに結構なことであります。しかし、今、ワーキングプアと言われるように、派遣やアルバイトなどの非正規雇用で、時間的には正規社員と同じように働いて生活保護水準以下の所得しか得られない若者がふえているということを自民党の皆さんは御存じですか。こういう、まさに生活保護を受ける人は、従来は高齢者の人が多かったんですが、今や若者の中にまで生活保護を受ける人が拡大しているということも知っているんですか。そうした人たちに、どのような形で再チャレンジをすることができる、そうした政策が自民党や政府から打ち出されたのか、残念ながら私の耳には全く入ってきませんが、皆さんいかがですか。

 つまりは、そうした最も下層の、いわゆる上流、中流、下流と言いますが、下流の人たちが固定化し拡大していく傾向が強まっているから、まさに格差の拡大が心配されると私たち、特に野党を中心に言っているんじゃないですか。こういった点に対してほとんど目を向けようとしない安倍内閣に対して、残念ながらというか、当然ながら信任を与えることはできません。(拍手)

 第七に、障害者自立支援法についての問題であります。

 安倍総理は、本当に現場の話を聞かれたことがあるんでしょうか。もともと重い障害を持っている子供やあるいは家族を持たれている方は、いろいろな制約があって、決して裕福な方ばかりではないというのはもちろんのことであります。そして、その人たちに対して、重い障害であればあるほど負担が重くなるという、まさにそういう政策が障害者自立支援法の中身であるということも御存じなんでしょうか。

 既にいろいろな例が出ておりますが、中には、二人の娘さんを抱えたお父さんが、これ以上の負担には将来耐えられなくなりそうだといって自殺をしたケースも報道をされております。

 私は、最も厳しい立場、弱い立場にある人たちにどれだけの手が差し伸べられるかという、このことが文明国としての一つの物差しである、このように考えますけれども、いかがでしょうか。残念ながら、安倍政権にはそうした姿勢は全く見受けられない、とても信任ができない。これが七番目の理由であります。(拍手)

 次いで第八に、近年、道路特定財源に関する自民党と政府の間の議論がにぎやかでありました。そして、結局どうなったんでしょうか。

 私が理解するところでは、いわゆる道路特定財源と言われるものの中で道路建設に使った余りがもしあれば、それを一般財源に振り向けるというのが政府と自民党の合意ではなかったですか。違いますか。つまりは、道路族の皆さんは、目いっぱい頑張って道路をつくれば、一円たりとも一般会計に振り向ける必要がないというのがこの中身ではないですか。

 これが、改革を継承するとか継続をするという安倍内閣の目玉商品がこのインチキなんですから、とてもではありませんが、私たちが信任することはできないわけであります。

 今、この道路財源あるいは一般財源の中から高速道路の料金を引き下げようという動きが出ております。思い切って全部ゼロにされたらどうですか。ゼロまで引き下げられたらどうですか。私たち民主党が二〇〇三年の選挙などでマニフェストに掲げた政策を遠慮なく採用していただいて結構でありますから、そうした財源がないから、ないから民営化だといいながら、今になって、民営化したはずの道路公団の値下げを総理や内閣が一々言っていることも自己矛盾そのものであるわけですが、一体どうなっているんですか。

 こういうにせの改革の継承を言い続けようとする安倍内閣に対して、私たちは、とてもとても信任を与えることはできないわけであります。(拍手)

 第九番目に、官製談合を相変わらず野放しにしている安倍政権の姿勢であります。

 近年、多くの県知事や市長などを巻き込んだ官製談合が明らかになり、また防衛庁の昇格問題の中でも防衛施設庁の官製談合、さらにはかつての道路公団の官製談合など、官製談合に対して、我が党を初め多くの野党は、根本的な改革が必要だということを強く具体的に提案をしてまいりました。

 私は、安倍政権の予算委員会でも、実はその前の小泉政権の予算委員会でも、テレビの入った予算の審議の中で、天下りをした企業には発注をしないという、そういう決定を安倍内閣なり小泉内閣でやられたらどうですかと親切に教えてあげたつもりでありましたが、残念ながら、全く採用されないどころか、二年間の天下り規制の法案までを変えよう、最近またいろいろ動いているようですが、どうも民主党に言われてやばそうだからやっぱり残そうとか、いろいろ動いているようですが、少なくとも、安倍内閣最初の予算委員会の席では、そうした二年間の天下りを緩和する、そういう姿勢を示されたじゃないですか。一体、官製談合について、総理は少しでもそれをやめさせようという姿勢があるのか。その姿勢が全く見られない安倍内閣に、私たちはとても信任をできないのは当たり前だと思います。(拍手)

 次に、実は一番重要なのはこの十番目かもしれません。つまり、安倍内閣は小泉内閣の政策をしっかり継承したものがあります。それは何か。それは地方切り捨てであります。

 私は、近年、四国ばかりではありませんが、多くの地方を回っております。そして今、それぞれの地域で言われていることは何か。過疎という段階を超えて、今や村落が崩壊をし始めているということを、これは自民党の皆さんでも、自分の足元を見たらよくおわかりだと思うんですよ。私は今、東京選出の国会議員ではありますけれども、東京が最も生産性が高いとは思っておりません。なぜか。それは、子供の生まれる出生率が最も低いところが社会として生産性が高いと言えないと私は確信するからであります。

 そういった意味で、農山村でもちゃんと子供を産んで育てることができるような政策に転換をすべきだ、そのことを我が党は強く主張してまいりました。特に、我が党が提案をしてきた農業再生プランは、私が民主党の農業再生本部の本部長としてまとめさせていただいた中身になっております。

 それまで、政府や与党は、直接支払い制度は全部廃止をするというようなことを言っておられましたが、我が党の一兆円規模の大きな所得補償、直接支払い制度の提案に対して、大規模な農家についてのみ、あるいはまとまった農家についてのみ、まあ数千億規模でしょうか、それに対して直接支払いをするという、そういう政策を出されてまいりました。しかし、それが意味するところは何か御存じでしょう。今、四ヘクタールでしたか、四ヘクタール以上の農地を持っている農家は全体のどのくらいですかね、二割程度あるかないかじゃないでしょうか。つまりは、七割、八割という農家はもうやめてもらって結構なんだ、それが政府の出している今の農業政策そのものじゃないですか。これが地方切り捨てでなくて一体何と言うんですか。

 総理は、時々、戦前の価値を大事にしたいというようなことを言われます。一方では、グローバル化をこれからも前提とした対応を言われます。そこは、大きなギャップをどのように埋めるかという物すごい重要な知恵が必要なところなんですが、残念ながら、安倍総理からはその言葉は聞かれません。

 私たち民主党も、まさにグローバル化の中での貿易の問題と農業の再生とを両立させるには、これまで関税に頼ったやり方から直接支払い制度、直接所得補償制度を大規模に導入することが必要だ、これが我が党が提案している農業政策でありまして、自民党は、お役人の手をかりたのか、我が党の農業政策に対して、実現不可能だとかいろいろな批判の文章を書かれておりますけれども、そういう批判をしていること自体が、やはり地方切り捨ての小泉政権の政策をそのまま踏襲しようとしているんだということを言わざるを得ないわけでありまして、そうした点から、決して小泉政権を信任することはできません。(発言する者あり)失礼しました。安倍政権もあわせて信任することはもちろんできません。(拍手)

 第十一番目、最後になりますけれども、安倍総理の就任前の多くの発言と就任後の多くの発言や政治姿勢に余りにも大きなぶれがあるということであります。

 安倍総理は、私との予算委員会の質疑の中で、戦後五十年の村山総理の談話や、あるいは宮沢内閣のときでしたか、現在議長をされている河野官房長官の談話などについて、否定的な発言を総理になるまでは繰り返されておりました。それは、自民党の皆さん、よく知っておられるはずですよね。しかし、総理になって、予算委員会の席で私が確かめたところ、内閣としても自分自身としても、その談話はそのまま踏襲し、守っていくという趣旨の答弁をされました。大変結構な答弁だと私も思います。しかし、それでは、総理になる前の発言は党内の総裁選用の発言だったのかなと。

 あるいは、私があえてお聞きをした、岸元首相が太平洋戦争の詔勅に署名をされた問題について、間違っていたんじゃないですかと申し上げましたら、間違っていましたという答弁をいただきました。そういった姿勢の変更に対して、たしか安倍総理を従来は強く支持されていた例えば桜井よしこさんなどが、最近の報道によれば、一体どうなっているのと懸念を示されております。

 立場は違いますが、一体、総理の本当の信念はどこにあるんでしょうか。総理は、みずから出されたあの「美しい国へ」という本の中で、私は闘う政治家なんだ、たとえどんな批判を受けようとも、自分の意見を明らかにして闘うんだということをわざわざ冒頭の文章の中で述べられているはずでありますけれども、しかし、今日に至るまで、そうした姿勢はどの場面でも見ることができないと感じているのは決して私だけではないと思いますが、いかがですか。

 靖国参拝問題にしても、当初は、次期総理大臣がたとえどなたになろうとも当然参拝すべきだと、非常にわかりやすく、はっきりと言明をされていた同じ安倍首相が、あいまいにすることが、それが自分の政策なんだ。私は、あいまいにすることが信念を述べたとはとても思えないわけでありますが、一体、あいまいにするというのも一つの信念だと開き直られるつもりなんですか。

 このように、残念ながら、安倍総理の発言は、結果としてですよ、私が主張することに近づいていただいた部分は多々ありますから、内容的に必ずしも私はすべてを否定はいたしません。しかし、少なくとも、国民が信頼をするに足りる総理であるかという点では大きな疑問を感じざるを得ないというのが、この就任前と就任後の安倍総理の発言、言動であるということを改めて申し上げておきたいと思います。

 今、我が国は、いろいろな意味で歴史の曲がり角に来ていると思います。安倍総理は、戦後生まれの初めての総理、しかも、私や昭和二十年代の初めに生まれた団塊世代を飛び越して一挙に若い世代の総理が生まれたわけであります。

 ただ一つ私が懸念するところは、戦前の経験のない私の世代、団塊世代も、戦争の余韻というものを受けて生活をし、育ってまいりました。つまりは、物がない時代とか、まさに牛乳が大変なごちそうであった時代とか、バナナなどはなかなか食べられなかったとか、卵も簡単には手に入らなかったとか、そういう時代を体験してきた世代であります。それに対して、安倍総理の、もう一つ若い世代の皆さんは、そうした戦争の余韻もほとんど感じることがなく育たれた世代でありまして、それだけに、こうした日本の将来を考えるときに、血や汗や、本当の体験に基づく判断ではなくて、何かテレビゲームの中でのそうしたものを参考にして判断をされるのではないかという、そういう心配を持っているということを最後に申し上げ、以上、安倍内閣を信任せずの理由の趣旨説明をこれで終わりにさせていただきます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 討論の通告があります。順次これを許します。石原伸晃君。

    〔石原伸晃君登壇〕

石原伸晃君 ただいま議題となりました安倍内閣不信任決議案に対し、私は、自由民主党及び公明党を代表して、断固として反対の討論を行うものであります。(拍手)

 安倍総理は、今国会冒頭の首班指名を受け、戦後生まれの初めての総理大臣に就任されました。そして、所信表明演説において、額に汗して勤勉に働き、家族を愛し、自分の暮らす地域やふるさとをよくしたいと思い、日本の未来を信じたいと願っている人々、すべての国民にこたえる政治を実行する。身命をなげうって、その重責を果たしていくと宣言をされたわけであります。安倍内閣は、まさに総理のその言葉どおり、総理の強力なリーダーシップのもと、私ども政府・与党は一致団結して、活力とチャンスに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、世界に開かれた「美しい国、日本」づくりに邁進しております。

 また、総理は、就任早々、中国、韓国を訪問され、我が国の大事な隣国である両国と、首脳同士がお互いに未来志向で率直に語り合える信頼関係を構築されました。

 麻生外務大臣も、日中、日韓の関係の強化、拉致問題などに精力的に取り組み、北朝鮮の核実験の際には、国連安保理の北朝鮮非難決議、制裁決議について全会一致の採択を実現されるなど、強い意思を持って外交のかじ取りを務められております。六者会合の再開、北朝鮮の核放棄と拉致問題の解決に向けた前進を期さねばならない今このときに、安倍内閣を不信任とするということは、我が国の外交政策、ひいては国益を大きく損なうものであることは論をまちません。(拍手)

 野党は、総理は麻生外務大臣の核武装の論議を容認したと主張しますが、安倍内閣は、政策論として、非核三原則は今後とも堅持することを明確にしているではありませんか。その上で、議論することさえも許さないという主張は、党利党略だけではなく、もはや言論の府をみずから否定するものであると言わざるを得ません。

 また、イラク問題に関する我が国の立場は常に一貫しております。イラクは、累次の国連安保理決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとはせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとはしませんでした。だからこそ、国連安保理決議に基づく、米国、英国等の各国による武力行使を支持した政府の立場については、久間防衛庁長官も国会で明確に答弁されているところであり、閣内不一致という御批判は全くの的外れでございます。(拍手)

 民主党の鳩山幹事長も、平成十一年、当時防衛政務次官であった西村真悟議員による核武装発言に世間の批判が集まる中、核武装してもいいかどうかを国会で検討したらどうかと言っている、検討したらどうかと言った瞬間に首を切られるとなると国会で核を持つべきかどうかの議論がなされなくなる、そこまで禁止するのが正しいのか、議題にのせることすらいけないという発想はいかがなものかと発言をなさいました。

 また、先ほどいらっしゃいました小沢代表も、平成十四年の講演の中で、中国には核弾頭があると言っているけれども、日本がその気になったら一朝にして何千発もの核弾頭が保有できる、大陸間弾道弾になるようなロケットを持っているなどと、さも我が国の核武装をほのめかし、その能力を誇示するような発言をされております。

 このように、過去に核武装を肯定するがごとき発言をした方が代表として選出され、また、そのような発言を擁護した方が幹事長を務めていらっしゃる皆様方民主党が、麻生外務大臣の発言を批判して内閣不信任決議案を提出するなど、全く私の理解を超えているものであり、この決議がいかに正当性を欠くものかを語って余りあると言わざるを得ません。(拍手)

 教育基本法を改正し、新しい時代の教育理念を明確にすることで、国民全体による教育改革を着実に進め、我が国の未来を切り開く教育の実現を図ることは、与野党の喫緊の課題ではないかと思います。

 野党の皆様方は、いじめ、未履修などの諸問題が解決されない中での法案の採決を非難されているようですけれども、法案の採決をおくらせれば、問題の解決に役立つと言えるのでしょうか。政府・与党は、教育基本法改正とあわせて、いじめ、自殺、未履修といった現下の問題にも日々懸命に取り組み、さらに、教育再生のための具体策の検討を真剣かつ迅速に進めております。いたずらに法案の採決に反対する野党の皆さん方と比べて、どちらが真に国民の、子供の皆様方の幸せを願い、また我が国の将来に責任を持つ態度であるかは、これをごらんになっている国民の皆様方には明々白々であります。

 教育基本法の衆議院での実質審議時間は、前国会の四十九時間余り、今国会では五十六時間を超え、合わせて百六時間を超えるものでございました。さらに、参議院においても八十六時間を超える審議を行ってきたものであります。審議時間ばかりではございません。衆議院では、前国会と合わせて参考人質疑を四日、地方公聴会を二日、さらに中央公聴会、また参議院でも、地方公聴会を二日、さらに参考人質疑を三日、また中央公聴会と、国民の皆様方の意見を十分に拝聴しながら、両院それぞれにおいて、広く深く議論が積み重ねられてきたところでございます。

 まして、民主党は対案を提出され、改正の必要性、内容の多くについて、我々与党と共通の認識を持っているはずだと思います。にもかかわらず、教育に関する現下の問題が解決されていないとの理由で法案の採決に反対するのは、甚だ自己矛盾と言わざるを得ません。

 もちろん、タウンミーティングをめぐるいわゆるやらせの問題は、国民の信頼を損ねる、あってはならないものだと思っております。政府は、教育改革に関するタウンミーティングの問題が明らかになるや、速やかにすべてのタウンミーティングの徹底した調査を行うべく中立公正な調査委員会を発足させ、問題点のすべてを国民の皆様方の前につまびらかに明らかにされました。そして、責任関係を明らかにし、関係者の厳正な処分を行うとし、総理みずからが給与を国庫に返納するとおっしゃっております。タウンミーティングをめぐる問題は大変残念な問題ではございますが、政府の対応は適切で、安倍総理のけじめはまことに潔いというほかございません。(拍手)

 野党は、教育改革タウンミーティングの問題で教育基本法案の撤回を求めるとのことでございますが、法案は、長期にわたるさまざまな論議の積み重ねが結実し、国会に提出されたものでございます。一事をもって法案の正当性を非難することは、全く道理に欠ける言いがかりとしか言いようがございません。

 以上述べてまいりましたように、野党四党提出による安倍内閣不信任決議案は、いささかの正当性もなく、全く理不尽としか言いようがございません。子供たちのための教育を再生し、総理がおっしゃるように、額に汗して勤勉に働く人々のために日夜奮闘し、国民の生命財産を守るために積極的な外交を展開する安倍内閣を不信任とする理由が一体どこにあるというのでしょうか。

 国会の会期末のこの時期に、理念も政策も異なる野党が共同して提出した決議案は、いたずらに国会を混乱させることのみを目的にするものであり、このような野党の態度は、まさに無責任なだだっ子そのものだと断じざるを得ません。

 こうした全く筋の通らない、党利党略そのものの内閣不信任決議案は断固否定するとともに、あわせて、我々自由民主党は、今後とも、公明党の皆さん方と一緒に、連立のもとに、安倍内閣とともに、真の国民の利益、我が国のあすのために引き続き全力を尽くすことを、この場をおかりいたしまして国民の皆様方にお誓い申し上げ、簡潔ではございますが、私の反対討論とさせていただきます。(拍手)

議長(河野洋平君) 牧義夫君。

    〔牧義夫君登壇〕

牧義夫君 民主党の牧義夫でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました安倍内閣不信任決議案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 ほんの二カ月半前、九月末の安倍内閣発足当時の内閣支持率は、およそ六割を超えておりました。改革、改革と叫びながら、国民に痛みばかりを押しつけ続けた小泉内閣が五年以上続いた結果、経済指標が多少改善したと言われても、ついぞ生活実感としての豊かさを感じることのなかった国民の皆様方が、実はそのかけ声がただのまやかしであったと気づき始めたそのときに、さっそうと登場した史上最年少の若きリーダーが安倍総理であります。多くの国民は、そんな安倍さんに最後の期待を託したのかもしれません。

 しかし、残念ながら、安倍総理みずからが多くの政治課題に対し不誠実な対応に終始し、みずからの手によって国民を愚弄し続けた結果、その国民の期待は見事に裏切られたわけでございます。

 まず、昨日の参議院教育基本法に関する特別委員会において、与党が教育基本法案の採決を強行したことに対し、強く抗議をいたします。新しい時代における我が国の教育のあり方が問われているこのときに、徹底した国民的議論が不可欠であるにもかかわらず、やらせにまみれた国民との対話をアリバイに法案採決を強行するなどというやり方に、私たちは到底賛同することはできません。

 国家百年の計たる教育のあり方を新しく描き出そうとするならば、重ね上げた不祥事の責任を徹底的に明らかにすることなどは最低限の条件であり、その上で、国民が真に納得できる形での徹底した開かれた議論を重ねていく、本来ならば、その先頭に立つことこそが安倍総理の責務であったはずでございます。残念ながら、総理にはその真摯な姿勢が全く欠けていると言わざるを得ません。このことは、我々がこの不信任案に賛成する重要な柱のまずは一つでございます。(拍手)

 一昨日、政府は、タウンミーティングのやらせ問題について、ようやく調査委員会の最終報告を取りまとめました。皆様御承知のように、その発表は、衆議院教育基本法に関する特別委員会での集中審議には間に合いませんでした。議論にももちろん反映されておりません。この会期末ぎりぎりのタイミングで発表するそのやり方というのは、国会審議から逃げたものと言わざるを得ないわけでございます。

 その内容はといえば、計百七十四回開催されたタウンミーティングにおいて、やらせ質問は、教育改革、司法制度改革を含むタウンミーティングで十五回あり、これらを含めた政府からの発言依頼は百十回、四百三十六人にも上ったということであります。また、公募ではなく国が動員したケースは四割に近い七十一回、そして六十五人に謝礼金が支払われておりました。さらに、非常識な契約による無駄遣いも明らかになったところであります。そして、このめちゃくちゃなやらせタウンミーティングの実質的な責任者は、当時官房長官だった安倍総理御自身でございます。

 タウンミーティングを国民との対話の場と言いながら、実は悪質な世論誘導、世論操作の場として使ったことはもはや明らかであります。国民の声を聞く機会はたくさんつくりましたよというアリバイづくりのために多額の税金を投入し、それが明らかになると、今度は自分たちの給与の何カ月分かを国庫に返上してけじめをつけました、そう言われる。こんな不誠実な姿勢をもって国民の信頼回復など図れるわけがございませんし、安倍総理が言うところの国民との対話の再構築など、絵そらごとに終わるのはもはや火を見るよりも明らかでございます。

 教育の憲法とも言える法律を見直して、我が国の教育全体を改革していこうというそのときに、その前提とも言える国民との対話の機会をめぐって、余りに真剣さや誠実さを欠いているのではないでしょうか。金を払って人に物を言わせ、みずからの重大な責任を認めざるを得ない内容を明らかにすることからも逃げ続け、結果的にばれてしまったからといって、また金を払って事を済ませようとする、その姿を子供たちが見たときに一体何を感じるかということに思いをいたせば、私たちは、もう怒りを通り越して恐ろしささえ感じる次第でございます。

 教育基本法改正に関し、真の意味での開かれた十分な議論はいまだ行われていないということを改めて重ねて申し上げ、真摯な議論の積み重ねを継続することを改めて主張いたします。(拍手)

 安倍内閣の発足以降、国民が最も驚かされたのは、麻生外務大臣や自民党の中川政調会長が、国会の内外において核武装の議論の必要性を訴える発言を繰り返し行ったことであります。

 言うまでもなく、我が国は唯一の被爆国として、国是として非核三原則を持っており、立法府としても十一回に及ぶ核廃絶に関する決議を行っております。そして、核廃絶に向けた努力を世界じゅうに訴え続けてきたのが我が国であります。そうした中、現在の外務大臣あるいは現在の与党自民党の政調会長という要職にある者が、我が国があたかも核武装に踏み出すかともとられかねない重大な発言を繰り返したのであります。

 我が国の核保有の可能性は国益にとってマイナスの効果しか得られないという結論が明らかであり、かつ、核兵器を持たないと決めた非核三原則を堅持するならば、核保有の是非などということについて何ら議論をする余地がないことはもう明々白々でございます。二人の発言は、こうした認識を全く欠いており、立法府を軽視、冒涜し、ひいては国民の安全をも脅かしかねないものでありますが、こうした一連の発言を聞きながら、安倍総理がしたことは一体何だったのでしょうか。

 我々野党四党は共同で、直ちに麻生外務大臣の罷免要求を行いました。安倍内閣は、今日に至るまで、この我々の要求に対して真摯な対応を怠っているばかりか、総理自身が、外務大臣は議論について論評したものなどと、これらの発言を擁護するかのようなことまで言われるに至っては、我が国が国際社会からの信用を失うことを総理みずから率先しておられるとしか申し上げられません。

 安倍内閣が発足して以降、小泉劇場に続いて安倍劇場とも言える騒動を我々は目の当たりにしてきました。いわゆる自民党の復党問題がそれであります。

 昨年の通常国会で郵政民営化法案に反対して自民党を追い出され、続く総選挙ではその自民党から刺客まで放たれて戦った、いわゆる郵政造反組議員を、総理がかわった途端に、あろうことか、もとの自民党に迎え入れるというではありませんか。復党のハードルが高い低い、踏み絵がどうのこうのなどというどたばた劇に国民は何の関心もございません。この安倍劇場があらわしているものは、まさに郵政民営化を争点とした選挙において正反対の主張を掲げて戦い、有権者に選択を迫ったにもかかわらず、今度は、次の選挙のためなどという手前勝手な論理によって、いとも簡単にもとのさやにおさめてしまうという、その傍若無人な発想であります。

 まさしく有権者を愚弄した背信行為であり、その先頭に立って復党劇をやり通した安倍総理には、実は昨年の総選挙は八百長試合だったのですよとあなたから突きつけられた有権者の怒りの声ももはや届いておられないのでしょう。

 今、国民生活における喫緊の課題は、格差社会の是正にあります。小泉内閣の一貫した政策スタンスであった規制緩和主義と市場原理、競争原理至上主義によって、確かに、アルバイトやパート、非正規雇用の安い労働力を動員した大企業は、業績を回復し、あるいは空前の利益を計上し、いたずらに内部留保を積み上げているかもしれません。しかし、その結果、ほんの一握りの勝ち組の皆さんの陰で、その他大多数の国民の皆様の生活が疲弊し切っているという事実もまたございます。特に、高齢者や子育て世代、あるいは障害を持つ、所得の低い層の皆様方に対しては、ますます苦しい生活を強いているというのが今日の日本の現状でございます。

 それもそのはず、小泉政権の五年間で既に八兆円もの国民負担がふえており、既に改革という名のもとで国民に負わされているというのが実態でございます。歳出改革は全く不徹底のまま、無駄な高速道路は相変わらずつくり続けられ、天下りや官製談合は後を絶ちません。

 小泉内閣の継承をうたう安倍内閣ですが、国民生活に直接大きな影響を与えるこうした課題をすべて放置したままの安倍内閣は、苦しい人々にさらなる負担を強いる政策をこそまさに継承しようとしているように思われてなりません。

 各報道機関の調査による安倍内閣の支持率は低下の一途をたどっております。ほんの二カ月半前に六割を超えていた内閣支持率は、ついに四割近くにまで落ち込んでまいりました。これは、当初抱いた期待を裏切られ、裏切られ続けた多くの国民の皆様方のまさに怒りのあらわれであると確信をいたします。

 国民の代表たる本院が、この不信任案を成立させることを切にお願いをいたしまして、私の賛成討論とさせていただきます。(拍手)

議長(河野洋平君) 石井郁子君。

    〔石井郁子君登壇〕

石井郁子君 私は、日本共産党を代表して、安倍内閣不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 安倍内閣が発足して二カ月半、あらゆる面で不信任に値する内閣であることが明らかになりました。

 第一に、国民世論を踏みにじり、衆参両院での強行採決によって教育基本法改悪案を強行成立させようとしていることです。

 日本の教育のあり方、子供たちの未来を決める法案を、議会制民主主義を踏みにじる暴挙によって押し通して、どうして子供たちに顔向けができますか。私はこの壇上から、満身の怒りを込めて抗議をするものです。

 そもそも、現行教育基本法は、日本国民を侵略戦争に駆り立てた戦前の軍国主義的国家統制の教育への反省に立ち、平和、民主主義、人権尊重という憲法の理想を教育の力によって実現しようとしたものです。この現行教育基本法こそ、今の日本に生かすべきであり、変えなければならない理由はどこにもありません。

 政府・与党は、現行教育基本法を全部書きかえると言いながら、現行教育基本法のどこが悪いから変えるのかという問いに対して、今に至るもまともな説明ができないのであります。それゆえ、政府・与党は、やらせ、サクラのタウンミーティングで政府に都合のいいように世論を偽装するしかなかったのであります。教育の名でこれほど国民と子供たちを欺いたことが、かつてあったでしょうか。やらせでできた教育基本法と後々まで子供たちに語り継がれることになるでしょう。

 私が質問で取り上げた青森県八戸における教育改革タウンミーティングのやらせ問題を発端に、全国的にやらせが行われていたことが明らかになりました。驚くべきことに、やらせ質問に対するやらせ回答まで準備していました。官僚のおごり、民主主義をわきまえない道徳的退廃ぶりに唖然とせざるを得ません。まさに法案の提出者の資格そのものが問われたのであります。

 やらせに対する国民の怒りの前に、政府は、調査を約束したにもかかわらず、その報告書の提出を参院での強行採決の前日まで引き延ばし、国会審議を避けたのであります。言語道断と言わなければなりません。しかも、報告書は、真相究明や責任の所在も極めて不十分なものです。

 そして、重大なことは、この報告書で世論誘導をみずから認めながら、責任問題には一切目をつぶり、安倍総理の給与をわずか百万円余り返上することでお茶を濁そうとしています。これほど国民を愚弄するやり方はありません。政治家安倍総理がとるべき道は、やらせでつくった教育基本法改悪案を直ちに撤回した上、みずから総理の職を辞することであります。

 やり方だけではありません。教育基本法の法案の内容そのものが、憲法に違反する極めて重大なものであります。

 法案は、「教育の目標」に二十に近い徳目を並べ立て、「態度を養う」として、その目標達成を子供たちと教師、国民に義務づけようとしています。これは、憲法十九条が保障する思想、良心、内心の自由を踏みにじるものであります。

 現行の教育基本法は、国家権力の教育介入を不当な支配として厳しく禁止しています。ところが、教育基本法案は、教育は国民全体に直接責任を負って行われるべきものという文言を削除し、この法律及び他の法律の定めるところによって行われるという規定に変えています。これは、教育内容に対する国家的介入はできるだけ抑制的でなければならないという日本国憲法の要請からくる大原則を踏みにじり、政府が教育全体を権力的な統制と支配のもとに置くものであります。

 この間、いじめによる自殺が相次ぎました。未履修問題など、教育をめぐる深刻な事態が次々と起きているじゃありませんか。ところが、政府はこれらの問題に根本的解決を示すことができない、子供たちの命をかけた訴えを裏切り続けているのです。

 あまつさえ、教育基本法改定と安倍総理の掲げる教育再生プランのもとで、全国一斉学力テストなど過度の競争教育に子供たちを一層追い込もうとしているのです。これでは、深刻ないじめ問題に拍車をかけ、その克服を困難にし、選別と差別の殺伐とした教育とならざるを得ません。

 だからこそ、現場の教師を初め多くの国民が法案の慎重な審議を求めてきたのであります。衆参の特別委員会の審議に参考人、公述人として出席された二十名の方々が、十二日、連名でアピールを出されました。次のように訴えています。私たちが指摘した法案の内容そのものについての議論は極めて不十分だと言わざるを得ませんと。この間の世論調査も、今国会での成立が必要というのはごく少数であります。今国会成立にこだわるべきでないというのが圧倒的多数でした。

 こうした国民の声を無視してはばからない安倍内閣は、不信任に値するものであります。(拍手)

 また、防衛庁・自衛隊発足以来初めて海外活動を自衛隊の本来任務とし、防衛庁を省に昇格させる法案の強行も重大です。

 歴代政府は、自衛隊は自衛のための必要最小限の実力組織だから憲法に違反しないという解釈のもとで、自衛隊の任務を日本防衛に限定し、専守防衛を建前としてきました。こうした建前を根底から覆し、海外での米軍戦争支援活動を自衛隊の任務に位置づけることは、憲法九条を真っ向から踏みにじるものであります。

 安倍内閣は、憲法改正を公然と掲げ、自民党憲法草案には自衛軍を書き込み、その任務に国際活動を規定していますが、今回の法案は、この改憲案をまさに先取りするものであります。政府・与党幹部から核武装発言が繰り返され、安倍総理自身が集団的自衛権行使の見直しに言及するなど、まさに改憲推進内閣と言わなければなりません。

 さらに、経済政策でも不信任は明白です。安倍内閣は、再チャレンジといいながら、国民を勝ち組と負け組にふるい分ける格差社会をただすどころか、一層深刻にする政策を進めているからであります。

 史上空前の大もうけを上げている大企業に対して、応分の負担を求めるどころか、逆に、来年度税制でも各種減税の大盤振る舞いを続ける一方、高齢者を初め庶民に無慈悲な大増税、大負担を押しつけています。しかも、参議院選挙が終わったら消費税の大増税までねらっているのです。

議長(河野洋平君) 石井君、申し合わせの時間が過ぎましたから、結論を急いでください。

石井郁子君(続) これでは、格差をますます拡大することにならざるを得ません。

 以上、安倍内閣は、子供たちの未来を危うくし、海外で戦争する国づくりを推し進め、国民にはさらなる痛みと負担を押しつけるものであり、即刻退陣すべきであります。

 以上をもって内閣不信任に賛成の討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 保坂展人君。

    〔保坂展人君登壇〕

保坂展人君 私は、社民党・市民連合を代表して、安倍内閣不信任決議案に賛成の立場で討論を行います。(拍手)

 美しい国創り内閣を掲げて二カ月有余、この臨時国会における安倍内閣の姿に教育を語る資格はないと申し上げなければなりません。

 教育基本法特別委員会で始まった議論は、文科省の七年間いじめ自殺ゼロのでたらめ統計が、子供の直面している危機的な状況を覆い隠し、教育委員会や学校がいじめ自殺を認めない構造になっていることを明らかにしました。安倍総理及び文科大臣は統計数字の見直しを指示いたしましたが、先週、福島みずほ党首がこの教育基本法特別委員会で質問をすると、何と文科省は、全くこの作業を進めていない、遺書を所持していた子供の自殺数、はるかに警察庁統計の方が多い、この警察庁と連絡をとることもしていなかったということが判明したわけでございます。

 こんな不誠実で怠慢な文科省が、子供たちに一体どんな態度や規範意識を教えようというんでしょうか。衆参ともに議論を打ち切って教育基本法の強行採決を行ったことに強く抗議をするものであります。

 きわめつけはタウンミーティング問題。やらせ、サクラ、五千円の謝金、過剰経費、次々と発覚する問題に、うみは出し切ると言って大見えを切って官邸に設置された調査委員会は、この衆議院における教特委の集中審議が終わるのを待って、資料も含めて二百四十三ページの報告書を出す、実にこそくな汚い審議逃れの態度です。

 しかも、この間明らかになっている内容は言語道断です。小泉内閣のスタート時に電通と結んだ九億円を超える契約書は、後からつくられたさかのぼり契約の可能性を報告書で指摘されています。また、この請求書には何と日付がありません。日付もない請求書に現金をぽんと払ってしまうような大盤振る舞い。聖域なき構造改革の実施を訴えたタウンミーティングが一回二千万円以上の信じがたい経費を使い運営されている事実が明らかになった以上、安倍総理が百万円減給をしたからといって、このように使い果たされた経費が戻ってくるものではございません。過払いの経費は、かつて防衛庁調本事件の際、業者に求めたように、過払い請求を求めるべきではありませんか。

 しかも、塩崎官房長官は、平成十四年以降の落札率は公開をしないと言い張っている。驚きあきれたことに、同一事業の契約については落札率を公表すると談合のおそれがあるからという理由を述べています。信じがたい金銭感覚ではありませんか。安倍内閣は、タウンミーティング及び政府主催のイベントをこれからも広告代理店に丸投げして、一回一千万円、二千万円で開催するつもりなのでしょうか。抜本的に見直すとは口ばかり、公正な入札を事後的に検証するために公開が前提となっている予定価格、落札率を明かさないとは、タウンミーティング無反省内閣と言わざるを得ません。

 現在、タウンミーティングに出席停止中の閣僚の皆さんの中で、とりわけ法務大臣に申し上げたい。司法制度改革タウンミーティング全七回中、六回やらせがありました。私たち野党から再三、このテーマではやらせ、仕込みがあったのではないかという指摘を受けながら、ないないと言い続けて、どうでしょうか。千六百万円をかけて那覇で行われた司法制度改革タウンミーティングでは、検事、法務局、法務省関係者、やらせ質問者も含めて、何と百十九人が動員されているではありませんか。卒業生と在校生が向かい合う対面卒業式、こういう形で官民対話をするならまだしも、法務省関係者が国民からの意見を捏造して、本来は国民が座るべき席に大量にいたというのでは、これは激しく批判されなければなりません。

 安倍内閣が進めている教育基本法、防衛省昇格、共謀罪、憲法改正国民投票は、国家、官僚の権限を肥大化させ、国民主権を脅かし、内心の自由に制限をかけるという戦前の日本によく似た国づくりではありませんか。教育勅語に政治のコントロールもきかなかった軍、統治権力への批判イコール非国民とした治安維持法と監視・警察社会、これを思い起こします。さらに、自衛隊の派遣恒久法と集団的自衛権の行使を禁じた内閣法制局見解の見直しなど、日本をどこへ持っていこうとしているんでしょうか。

 とりわけ麻生外務大臣は、核武装の議論は自由と言い続けてきました。この発言は、非核三原則を国是としている日本の姿勢を転換することを検討しようということになります。核のさらなる拡散が始まっている以上……

議長(河野洋平君) 保坂君、申し合わせの時間が過ぎました。結論を急いでください。

保坂展人君(続) 世界に核廃絶を訴えることが内閣の姿勢ではありませんか。

 安倍内閣は、社会保障、雇用政策で信頼回復に背を向け、国民の中からの要望のない五十年前の自民党の悲願実現に執着しています。十一人の復党組の皆さんに安倍総理はお帰りなさいと迎えたそうですが、再チャレンジが唯一実現したケースでした。二カ月半の色あせた安倍内閣さようならという思いを込めて、不信任を言い渡します。

 以上、賛成討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(河野洋平君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(河野洋平君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百六十九

  可とする者(白票)       百三十四

  否とする者(青票)      三百三十五

    〔拍手〕

議長(河野洋平君) 右の結果、安倍内閣不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

小沢一郎君外八名提出安倍内閣不信任決議案を可とする議員の氏名

安住   淳君   赤松  広隆君   荒井   聰君   池田  元久君

石関  貴史君   泉   健太君   市村 浩一郎君   岩國  哲人君

内山   晃君   枝野  幸男君   小川  淳也君   小沢  一郎君

小沢  鋭仁君   大串  博志君   大島   敦君   大畠  章宏君

太田  和美君   逢坂  誠二君   岡田  克也君   岡本  充功君

奥村  展三君   加藤  公一君   金田  誠一君   川内  博史君

川端  達夫君   河村 たかし君   菅   直人君   吉良  州司君

黄川田  徹君   菊田 真紀子君   北神  圭朗君   玄葉 光一郎君

小平  忠正君   小宮山 泰子君   小宮山 洋子君   古賀  一成君

後藤   斎君   郡   和子君   近藤  昭一君   近藤  洋介君

佐々木 隆博君   笹木  竜三君   篠原   孝君   下条  みつ君

神風  英男君   末松  義規君   鈴木  克昌君   仙谷  由人君

園田  康博君   田島  一成君   田嶋   要君   田名部 匡代君

田中 眞紀子君   田村  謙治君   高井  美穂君   高木  義明君

高山  智司君   武正  公一君   達増  拓也君   津村  啓介君

筒井  信隆君   寺田   学君   土肥  隆一君   中井   洽君

中川  正春君   仲野  博子君   長島  昭久君   長妻   昭君

長浜  博行君   長安   豊君   西村 智奈美君   野田  佳彦君

羽田   孜君   鉢呂  吉雄君   鳩山 由紀夫君   原口  一博君

伴野   豊君   平岡  秀夫君   平野  博文君   福田  昭夫君

藤村   修君   古川  元久君   古本 伸一郎君   細川  律夫君

細野  豪志君   馬淵  澄夫君   前田  雄吉君   前原  誠司君

牧   義夫君   松木  謙公君   松野  頼久君   松原   仁君

松本  大輔君   松本  剛明君   松本   龍君   三日月 大造君

三谷  光男君   三井  辨雄君   村井  宗明君   森本  哲生君

山岡  賢次君   山口   壯君   山田  正彦君   山井  和則君

柚木  道義君   横光  克彦君   横山  北斗君   吉田   泉君

笠   浩史君   鷲尾 英一郎君   渡辺   周君   渡部  恒三君

赤嶺  政賢君   石井  郁子君   笠井   亮君   穀田  恵二君

佐々木 憲昭君   志位  和夫君   塩川  鉄也君   高橋 千鶴子君

吉井  英勝君   阿部  知子君   菅野  哲雄君   重野  安正君

辻元  清美君   照屋  寛徳君   日森  文尋君   保坂  展人君

糸川  正晃君   亀井  静香君   亀井  久興君   綿貫  民輔君

滝    実君   横路  孝弘君   

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   安次富  修君   安倍  晋三君   阿部  俊子君

逢沢  一郎君   愛知  和男君   赤池  誠章君   赤城  徳彦君

赤澤  亮正君   秋葉  賢也君   麻生  太郎君   甘利   明君

新井  悦二君   井澤  京子君   井上  喜一君   井上  信治君

井脇 ノブ子君   伊藤  公介君   伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君

伊藤  達也君   伊吹  文明君   飯島  夕雁君   石崎   岳君

石破   茂君   石原  伸晃君   石原  宏高君   稲田  朋美君

稲葉  大和君   猪口  邦子君   今井   宏君   今津   寛君

今村  雅弘君   岩永  峯一君   岩屋   毅君   宇野   治君

上野 賢一郎君   浮島  敏男君   臼井 日出男君   江崎  鐵磨君

江崎 洋一郎君   江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君

遠藤  武彦君   遠藤  利明君   遠藤  宣彦君   小川  友一君

小此木 八郎君   小里  泰弘君   小野  次郎君   小野  晋也君

小野寺 五典君   小渕  優子君   尾身  幸次君   越智  隆雄君

近江屋 信広君   大島  理森君   大塚  高司君   大塚   拓君

大野  松茂君   大野  功統君   大前  繁雄君   大村  秀章君

太田  誠一君   岡下  信子君   岡部  英明君   岡本  芳郎君

奥野  信亮君   加藤  勝信君   加藤  紘一君   嘉数  知賢君

海部  俊樹君   鍵田 忠兵衛君   梶山  弘志君   片山 さつき君

金子  一義君   金子 善次郎君   金子  恭之君   上川  陽子君

亀井 善太郎君   亀岡  偉民君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君

川条  志嘉君   河井  克行君   河村  建夫君   瓦    力君

木原  誠二君   木原   稔君   木村  太郎君   木村  隆秀君

木村   勉君   木村  義雄君   岸田  文雄君   北川  知克君

北村  茂男君   北村  誠吾君   久間  章生君   倉田  雅年君

小池 百合子君   小泉 純一郎君   小坂  憲次君   小島  敏男君

小杉   隆君   木挽   司君   古賀   誠君   後藤  茂之君

後藤田 正純君   河野  太郎君   河本  三郎君   高村  正彦君

近藤 三津枝君   近藤  基彦君   佐田 玄一郎君   佐藤  剛男君

佐藤   勉君   佐藤 ゆかり君   佐藤   錬君   斉藤 斗志二君

坂井   学君   坂本  剛二君   桜井  郁三君   櫻田  義孝君

笹川   堯君   清水 鴻一郎君   清水 清一朗君   塩崎  恭久君

塩谷   立君   七条   明君   実川  幸夫君   篠田  陽介君

柴山  昌彦君   島村  宜伸君   下村  博文君   新藤  義孝君

菅   義偉君   菅原  一秀君   杉浦  正健君   杉田  元司君

杉村  太蔵君   鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君   鈴木  淳司君

鈴木  恒夫君   関   芳弘君   薗浦 健太郎君   園田  博之君

田中  和徳君   田中  良生君   田野瀬良太郎君   田村  憲久君

平   将明君   高市  早苗君   高木   毅君   高鳥  修一君

竹下   亘君   竹本  直一君   武田  良太君   棚橋  泰文君

谷   公一君   谷垣  禎一君   谷川  弥一君   谷畑   孝君

谷本  龍哉君   玉沢 徳一郎君   中馬  弘毅君   津島  雄二君

土屋  品子君   土屋  正忠君   寺田   稔君   とかしきなおみ君

戸井田とおる君   渡海 紀三朗君   土井   亨君   土井  真樹君

冨岡   勉君   中川  昭一君   中川  秀直君   中川  泰宏君

中谷   元君   中根  一幸君   中野   清君   中野  正志君

中森 ふくよ君   中山  太郎君   中山  成彬君   中山  泰秀君

仲村  正治君   永岡  桂子君   長崎 幸太郎君   長島  忠美君

長勢  甚遠君   並木  正芳君   二階  俊博君   丹羽  秀樹君

丹羽  雄哉君   西川  京子君   西川  公也君   西野 あきら君

西村  明宏君   西村  康稔君   西銘 恒三郎君   西本  勝子君

根本   匠君   野田  聖子君   野田   毅君   葉梨  康弘君

萩生田 光一君   萩山  教嚴君   萩原  誠司君   橋本   岳君

馳    浩君   鳩山  邦夫君   浜田  靖一君   早川  忠孝君

林    潤君   林   幹雄君   林田   彪君   原田  憲治君

原田  令嗣君   原田  義昭君   平井 たくや君   平口   洋君

平沢  勝栄君   平田  耕一君   広津  素子君   深谷  隆司君

福井   照君   福岡  資麿君   福田  峰之君   福田  良彦君

藤井  勇治君   藤田  幹雄君   藤野 真紀子君   二田  孝治君

船田   元君   古川  禎久君   古屋  圭司君   保坂   武君

保利  耕輔君   細田  博之君   堀内  光雄君   馬渡  龍治君

牧原  秀樹君   増原  義剛君   町村  信孝君   松岡  利勝君

松島 みどり君   松浪 健四郎君   松浪  健太君   松野  博一君

松本   純君   松本  文明君   松本  洋平君   三ッ林 隆志君

三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君   御法川 信英君   水野  賢一君

宮腰  光寛君   宮澤  洋一君   宮路  和明君   宮下  一郎君

武藤  容治君   村上 誠一郎君   村田  吉隆君   望月  義夫君

茂木  敏充君   盛山  正仁君   森   英介君   森   喜朗君

森山   裕君   森山  眞弓君   やまぎわ大志郎君   矢野  隆司君

谷津  義男君   安井 潤一郎君   保岡  興治君   柳澤  伯夫君

柳本  卓治君   山内  康一君   山口  俊一君   山口  泰明君

山崎   拓君   山中  あき子君   山本  明彦君   山本  公一君

山本  幸三君   山本   拓君   山本ともひろ君   山本  有二君

吉川  貴盛君   吉田六左エ門君   吉野  正芳君   若宮  健嗣君

渡辺  具能君   渡辺  博道君   渡辺  喜美君   渡部   篤君

赤羽  一嘉君   赤松  正雄君   井上  義久君   伊藤   渉君

池坊  保子君   石井  啓一君   石田  祝稔君   上田   勇君

漆原  良夫君   江田  康幸君   遠藤  乙彦君   大口  善徳君

太田  昭宏君   神崎  武法君   北側  一雄君   佐藤  茂樹君

斉藤  鉄夫君   坂口   力君   田端  正広君   高木 美智代君

高木  陽介君   谷口  和史君   谷口  隆義君   富田  茂之君

西   博義君   東   順治君   福島   豊君   冬柴  鐵三君

古屋  範子君   桝屋  敬悟君   丸谷  佳織君   下地  幹郎君

徳田   毅君   中村 喜四郎君   西村  真悟君 

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) この際、暫時休憩いたします。

    午後三時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣 安倍 晋三君

       総務大臣   菅  義偉君

       法務大臣   長勢 甚遠君

       外務大臣   麻生 太郎君

       財務大臣   尾身 幸次君

       文部科学大臣 伊吹 文明君

       厚生労働大臣 柳澤 伯夫君

       農林水産大臣 松岡 利勝君

       経済産業大臣 甘利  明君

       国土交通大臣 冬柴 鐵三君

       環境大臣   若林 正俊君

       国務大臣   大田 弘子君

       国務大臣   久間 章生君

       国務大臣   佐田玄一郎君

       国務大臣   塩崎 恭久君

       国務大臣   高市 早苗君

       国務大臣   溝手 顕正君

       国務大臣   山本 有二君

     ――――◇―――――

 昨十四日は、会議を開くに至らなかった。


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