衆議院

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第15号 平成19年3月20日(火曜日)

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平成十九年三月二十日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十号

  平成十九年三月二十日

    午後一時開議

 第一 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 独立行政法人国立博物館法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 永年在職の議員麻生太郎君に対し、院議をもって功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任するの件(議長発議)

 日程第一 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 独立行政法人国立博物館法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件及び国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 永年在職議員の表彰の件

議長(河野洋平君) お諮りいたします。

 本院議員として在職二十五年に達せられました麻生太郎君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。

 表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。

 表彰文を朗読いたします。

 議員麻生太郎君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

 この贈呈方は議長において取り計らいます。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) この際、麻生太郎君から発言を求められております。これを許します。麻生太郎君。

    〔麻生太郎君登壇〕

麻生太郎君 ただいま、院議をもちまして在職二十五周年の表彰をかたじけなくちょうだいいたしました。議会人として大変光栄、心より厚く感謝、御礼を申し上げる次第です。

 過ぐる四半世紀の長きにわたり、変わらず麻生太郎を支援していただきました地元支援者の皆様、また何かと御教示をいただきました党内外の諸先輩並びに同僚諸氏に対しましても、心より厚く御礼を申し上げる次第です。また、身辺を支えてくれました秘書や家族にも、この際一言御礼を欠かすべきではないと存じます。(拍手)

 本来ならば、この壇上に、私と同様の選挙経歴をもちまして永年在職の表彰を受けるべき亀井善之先生の姿があるところでありました。志半ばで昨年急逝をされた亀井善之先生のみたまともども、本日、同僚議員の皆様に改めて御礼を申し上げます。(拍手)

 さて、脳裏に浮かびますのは、二期目を迎えておりました昭和五十八年、いわゆる死んだふり解散と言われた選挙におきまして落選をした思い出であります。この年、私は結婚をいたしました。それが十一月の三日。翌十二月十八日が選挙で落選をしておりますから、新婚一月半で亭主は無職ということに相なりました。大変御心配をおかけしました。(拍手)

 なぜか支持者は深刻ぶるわけでもなし、むしろ落ちるのも一興と、こういった感じでこれを楽しむ風情すらあったものでありますが、私本人といたしましては、かなり落ち込みました。

 そんなときです。東京で、亡くなられました田中角栄先生とばったりお目にかかる機会を得ました。

 おい、先生は極めて単刀直入でありました。おまえ、何で落ちたんだ、何票足りなかったんだと言って、例のだみ声で矢継ぎ早に聞かれまして、最後に、それで一体何票とったと聞かれましたので、七万五千四百十二票でありますと答えました。最下位当選は何票だと言われましたので、共産党の方が七万八千九十票で通られましたと言ったら、ちょっと考えて、いいか、八万票あればいいんだと。おまえは考えておかないかぬことがよくある、大体、当選したらみんなよかった、落選したらみんな悪かった、そんなばかなことがあるか、おまえが変えなくちゃいけないのはその差、八万分の二千六百七十八だけ変えればいいんだ、わかったかと。

 およそ論理的じゃないんですけれども、私を納得させる説得力は物すごいものがありました。電気に撃たれたような感じがして、私は、以来、これは政治家として、少なくとも、本物たるべしという自覚を持ったのはこのときであります。八万分の二千五百ということは三%ぐらいという話ですから、それでいきますと、余り自分を変えなくてもいいんだなと思って、本来の自分を忘れず、雪辱を期しました、ちょうど二年半後に当たります昭和六十一年の総選挙におきましては、中選挙区時代、選挙区では新記録になりました十三万四千百七十九票をいただいて、首位で返り咲くことを得たのであります。(拍手)

 以来、今日まで連続当選を重ねてまいりました。初当選の当時は、私ども筑豊は、石炭鉱害の弊害、すべての話の冒頭においてこの弊害をまくら言葉に言わなければならないほど、地元筑豊は疲弊をいたしておりました。

 しかし、今日、おかげさまで、日本で最初のIT学科を有します国立九州工業大学の地元誘致を契機に、そこで育成をされました地元の優秀な人材と高い労働意欲を持つ人材を集めて、今では九州トヨタを初め、日産、ダイハツなどの自動車産業の企業進出が図られ、結果として、福岡県は自動車生産量で愛知県に次ぎ全国第二位になるまで、その経済力を回復させるところまで来ました。

 私は、今後とも、地方経済の成長なくして日本の元気は回復しないし、その底力が日本にはあると確信して活動を続けてまいります。

 日本の将来に明るさを見、そして未来に自信を持って、政治家として変わらぬ精進をしてまいることをここにお誓い申し上げ、謝辞とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

 日程第一 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長山口泰明君。

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 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山口泰明君登壇〕

山口泰明君 まず前に、麻生大臣、二十五周年おめでとうございます。これからも麻生節で頑張っていただきたいと思います。

 ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、昨年十二月の我が国とモナコ公国との外交関係の開設、外務省における組織の合理化及び海外における物価、為替の変動等の諸事情を踏まえ、大使館の新設や在外基本手当の基準額の改定等、所要の改正を行うものであります。

 その主な内容は、

 第一に、在モナコ及び在モンテネグロの各日本国大使館を新設するとともに、これらの大使館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めること、

 第二に、在セルビア・モンテネグロ日本国大使館の名称及び位置の国名をそれぞれ在セルビア日本国大使館及びセルビアに改めること、

 第三に、在ニューオリンズ日本国総領事館を廃止すること、

 第四に、既設の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額及び研修員手当の支給額を改定すること

等であります。

 本案は、三月九日外務委員会に付託され、十四日麻生外務大臣から提案理由の説明を聴取し、十六日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 独立行政法人国立博物館法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、独立行政法人国立博物館法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長桝屋敬悟君。

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 独立行政法人国立博物館法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

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    〔桝屋敬悟君登壇〕

桝屋敬悟君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、独立行政法人に係る改革を推進するため、独立行政法人国立博物館と独立行政法人文化財研究所を統合する等の措置を講ずるものであり、その主な内容は、次のとおりであります。

 第一に、独立行政法人文化財研究所を解散し、その業務を独立行政法人国立博物館に承継させるとともに、その名称を独立行政法人国立文化財機構に改称すること、

 第二に、機構は、博物館を設置して有形文化財を収集し、保管して公衆の観覧に供するとともに、文化財に関する調査及び研究等を行うことにより、貴重な国民的財産である文化財の保存及び活用を図ることを目的とすること、

 第三に、機構の役職員等に対して、その職務上の秘密に対する保持義務を課すこと

であります。

 本案は、三月十四日本委員会に付託され、同日伊吹文部科学大臣から提案理由の説明を聴取し、去る十六日質疑を行い、討論の後、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

加藤勝信君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 日程第三とともに、内閣提出、児童手当法の一部を改正する法律案を追加して、両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 加藤勝信君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

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 日程第三 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第三、雇用保険法等の一部を改正する法律案、ただいま日程に追加されました児童手当法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長櫻田義孝君。

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 雇用保険法等の一部を改正する法律案及び同報告書

 児童手当法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔櫻田義孝君登壇〕

櫻田義孝君 ただいま議題となりました両案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、雇用保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本案は、行政改革推進法を踏まえ、労働保険特別会計等について見直しを行うとともに、雇用保険制度の直面する課題に対応するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、雇用保険制度について、失業等給付費の国庫負担を、当分の間、本来の五五%に引き下げ、雇用福祉事業を廃止するとともに、育児休業給付の給付率を暫定的に五〇%に引き上げること、

 第二に、労働者災害補償保険制度について、労働福祉事業のうち、労働条件確保事業を廃止すること、

 第三に、船員保険制度のうち、労働者災害補償保険制度及び雇用保険制度に相当する部分をおのおのの制度に統合すること

等であります。

 本案は、去る三月八日の本会議において趣旨説明が行われ、同日本委員会に付託されました。本委員会では、翌九日柳澤厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、十四日から質疑に入り、十六日に質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 次に、児童手当法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本案は、我が国における急速な少子化の進行等を踏まえ、総合的な少子化対策を推進する一環として、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減等を図る観点から、三歳に満たない児童に係る児童手当の額を一月につき一万円に引き上げようとするものであります。

 本案は、去る三月十五日の本会議において趣旨説明が行われ、同日本委員会に付託されました。本委員会では、翌十六日柳澤厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、本日質疑を行った後、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

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議長(河野洋平君) 討論の通告があります。順次これを許します。柚木道義君。

    〔柚木道義君登壇〕

柚木道義君 民主党の柚木道義でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案に反対する立場で討論を行います。(拍手)

 私が本改正案に賛同できない理由は大きく三点あります。第一に、失業給付の国庫負担の引き下げによって政府が雇用政策の責任を放棄してしまっている点、第二に、本当に必要な人に給付が行かない問題点、そして第三に、働く皆さんの貴重な雇用保険料の無駄遣いをそのまま放置している点であります。

 第一に問題なのは、失業給付に係る国庫負担を本来負担額の五五%に削減した点です。

 一部地域で雇用情勢が好転しているものの、依然として雇用情勢が大変厳しい地域も多く、また不安定な非正規雇用がふえております。例えば私の地元岡山県でも、有効求人倍率は確かに好転しておりますが、正社員の雇用はふえておらず、短時間労働や派遣労働などの非正規雇用がふえております。政府は景気回復と言いますが、働く人たち、生活する人たちの豊かさの実感が乏しいのが実情ではないでしょうか。

 こうした中、財政削減の名のもとに失業給付の国庫負担を大幅に引き下げることは、国の雇用政策の責任放棄ではないでしょうか。

 第二の問題点は、本当に必要な人に給付が及ばないところです。そもそも、この点については、安倍政権の、そして柳澤厚生労働大臣の雇用労働行政そのものに対する認識が問われていると考えます。

 そして、残念ながら、本法案では格差是正への効果の望みは薄いと言わざるを得ません。より具体的に言えば、まず、雇用が不安定な非正規労働者は、失業給付の受給期間を終えても就職できなかったり、正規雇用の労働者と比較をして教育訓練給付の受給者が極めて少なかったりと、雇用保険は正規雇用への道が開ける支えにはなっておりません。

 さらに、今回、委員会審議の中で驚くべき事実が明らかになってまいりました。今回、短時間労働被保険者の受給資格が十二カ月から六カ月に短縮されます。ところが、一般被保険者の自己都合離職者は、受給資格期間が六カ月から逆に十二カ月に延びるわけで、極めて不利になるのです。厚労省は、安易な離職や循環的給付の防止策として十二カ月への引き上げを主張しておりますが、その根拠は、調査対象受給者五百七十二万人に対しまして三・四%、約二十万人が複数回失業給付を受給しているからだけというのです。

 しかし、ちょっと冷静に考えてみてください。出産や病気療養や家族の介護や交通機関の急な事情などは安易な離職になるのでしょうか。あるいは、これが循環的な給付対象者になるのでしょうか。こうしたケースへの視点が全く抜け落ちていることを、十四日の委員会質疑の中で我が党の内山議員から指摘された厚生労働省や柳澤大臣は、その日は何度も答弁に窮し、委員会は紛糾し、質疑は延期されたのです。翌々日の委員会採決当日の十六日の再質疑の際には、厚労省は、そうした事例は特定受給資格者として政省令に書き込むと苦し紛れに答弁をしました。

 しかし、このような新たに社会的に重篤な影響を与える改定を単に政省令に書き込むといった答弁で、しかも、指摘されて初めてそう答えるような厚生労働省に任せられるものでしょうか。これこそまさに国会の中で審議されてしかるべき重要事項ではないのでしょうか。何のために我々は国会で審議をしているのでしょうか。

 労働者にとって多大な不利益になる重要な事柄が法案に盛り込まれず、政府は雇用のセーフティーネットと言いますが、これでは穴だらけのネットであって、個々の労働者にとって安心のネットであるとは到底思えません。こうした穴を一つ一つ丁寧にふさいでからならいざ知らず、このような穴あきだらけの法案に賛同できるはずがありません。

 また、柳澤大臣は、委員会質疑の中で、雇用保険法三十三条によって給付制限が既に十分機能しているのに、なぜ一般の方々の受給資格要件を六カ月から十二カ月に引き上げる必要があるのですかとの問いに、給付制限が機能しているからといって受給資格要件引き上げが不必要ということにはならないという、およそ厚生労働大臣とは思えない、つまり、日々現場で額に汗して働く国民の皆さんの実態がわかっているとは全く思えない、無責任かつ場当たり的な答弁をされました。

 あるいは柳澤大臣は、工場労働を労働時間だけが売り物と発言をされた方ですから、そういった働く国民の皆さんにとって大変な不利益変更になる労働時間ならぬ労働期間変更を、人間的な感情を抜きにして、いとも簡単に機械的に決めてしまわれるのではないでしょうね。

 その後、政省令でそのようなことがないようにしていきたいとの官僚答弁がございましたが、実は平成十六年度年金法改正でもそうでしたが、あのときも改正後に多くの問題が起こったのは御承知のとおりです。しかも、今回の雇用保険法改正の施行は四月からです。今はもう三月の二十日です。柳澤大臣、あと十日で、国民生活に大変な影響を及ぼす不利益変更の内容を特定受給者に該当するように一つ一つ精査して書き込んでいくんですか。そんないいかげんなことをしていたら、障害者自立支援法であったり、あるいは診療報酬改定のリハビリ日数の制限緩和などのように、国民生活に重大な支障が出てから慌てて改定するようなことになるのではないですか。

 私たちが心配しているのは、この改定によって、これから受給資格が発生しないで失業保険がもらえない人たちが続々と出てくるという新たな社会問題が生まれてしまうことなのです。

 柳澤大臣、大臣は、こういった不利益変更になってしまうことのないように、それこそ機械的な正確さをもってしてその内容をしっかりと明示し、そういったすべての方々がそこから除外されるべきことを、この際、国民の皆様にはっきりと明示されてから採決されるべきではないでしょうか。

 大臣、反論があれば、法案を差し戻していただければ、我々は幾らでも委員会で審議いたしますので、どうぞおっしゃってください。

 次に、育児休業給付の拡充も大変場当たり的です。政府案では、育児休業給付の額が引き上げられますが、三年間の暫定的な措置です。非正規労働者が育児休業を取得しにくいこと、育児休業給付と企業からの賃金保障を合わせると、育児休業給付率が失業等給付を上回るという問題があります。

 審議会の中でも、育児休業中の所得保障を含め、子育て支援策については雇用保険制度以外の枠組みで検討すべきとの意見が出ていますが、政府はいまだその検討を始めておりません。それだけでなく、ここでも不利益変更となるような、子育て支援とはおよそ逆行した改定となってしまうものです。

 また、我が党の三井議員も指摘されたように、積雪寒冷地等の季節労働者に給付されている特例一時金の支給期間が五十日から四十日間に短縮されます。冬期雇用がいまだに厳しい地域において特例給付金の水準が引き下がれば、労働者の生活が脅かされかねません。

 さらに、雇用保険の適用対象を広げていない問題もあります。短時間のパートを複数かけ持つマルチジョブホルダーや請負労働者は雇用保険の適用外ですが、雇用が不安定なことから、こうした方々こそ雇用保険制度の適用対象とすることで、まさに再チャレンジのセーフティーネットとすべきではないでしょうか。

 そして、第三の問題点は、雇用保険をめぐる無駄遣いが本法案では根絶されないという問題です。

 一昨年十二月には、労働保険特会については、原則として純粋な保険給付事業に限り本特会にて経理するものとし、労働福祉事業及び雇用保険三事業については廃止も含め徹底的な見直しをするとされていましたが、本法案では、雇用保険三事業は雇用福祉事業だけが廃止され、労災保険の労働福祉事業も形を変えて存続します。

 安倍総理は、所信表明で、行革を推進し、筋肉質の政府を実現すると述べておりましたが、これではまさしく改革の看板倒れではないでしょうか。労働保険特会に徹底したメスが入らず、我が党の長妻議員や園田議員も重ねて指摘しておりますように、いわゆる天下りは温存されたままですし、働く者の雇用保険を流用して無駄な経費に費やされたりする余地を残すものであります。

 加えて、私の地元で、水道関係の現場で日々雇用保険料もきちんと納めながらまじめに働かれている方から強く抗議を受けましたので、ここできちんと明らかにしておきたいことがございます。

 松岡農林水産大臣は、今どき水道水を飲んでいる人はいないという大変配慮に欠ける発言をされましたが、先日の厚生労働委員会で我が党の田名部議員が、水道水の安全について厚生労働大臣が定める水道法の水質基準に基づいて柳澤厚生労働大臣の認識をただした際に、柳澤大臣は、水道法において水道とは、導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体をいい、もともと水道水というのは、人の飲用に適する水として供給されているのであって、松岡農林水産大臣は何か誤解をされているのではないかと述べられておりました。

議長(河野洋平君) 柚木君、申し合わせの時間が過ぎましたから、結論を急いでください。

柚木道義君(続) 総理、安倍総理、水を粗末にする者には罰が当たると私は考えますが、このように閣僚間の発言が異なるのは、これはれっきとした閣内不一致ではないですか。総理、このような松岡農林水産大臣をそれでもまだかばい続け、罷免されないんですか。

 ちなみに、国会事務局にも確認しましたが、議員の皆さんが飲まれるすべての委員会室の水も、そして今ここで私が持っているこの水も、水道水であります。

議長(河野洋平君) 申し合わせの時間が過ぎています。結論を急いでください。

柚木道義君(続) 水とそこで働く人々を大事にしなくてはいけないことを強く付言した上で、以上、これまで申し述べましたとおり、政府案は、第一に、雇用をめぐる責任放棄の問題、第二に、本当に必要な人に給付が及ばず格差是正に役立つものではない点、そして第三に、特会を使った無駄遣いを温存する問題点があり、これら一つ一つの改善なくして働く者の安心、安定なしとして、このような政府案には全く賛同できないことを強く表明し、私の討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(河野洋平君) 郡和子君。

    〔郡和子君登壇〕

郡和子君 民主党の郡和子です。

 私は、ただいま議題となりました政府提出の児童手当法の一部を改正する法律案について、民主党・無所属クラブを代表して、反対の立場で討論を行います。(拍手)

 反対する第一の理由は、政府・与党が児童手当制度全体についての将来ビジョンを持ち合わせず、小手先の見直しを繰り返しているからであります。

 児童手当法は、ここ数年でも支給対象年齢などが何度も変更されておりますが、これは児童手当制度が極めて不十分であることの証左にほかなりません。

 そもそも、法律の本則で定められた支給対象年齢は三歳未満なのですが、これを政府は、法律の附則の特例措置という形で、あくまでも当分の間の暫定措置として小学校六年生まで延ばしているにすぎません。それは、財政措置についても同様であり、一体いつまで暫定措置を続けるおつもりなのか。繊細なガラス細工のような危うさをもって今の仕組みがつくられており、根本的な制度の見直しは待ったなしの状況であります。

 国会審議では、毎回のように制度の抜本改革の必要性が言われているのですが、そのたびに政府は、検討を進めますの一点張りで、その場しのぎの答弁を繰り返すばかりです。こうした政府の姿勢からは全く本気度が伝わってまいりません。また、今の政府・与党では、何年、いや、何十年かかっても何の結論を得ることもできないのではないかと思います。今回もまた、抜本的改革の検討さえ行わず、小手先の見直しでお茶を濁そうとする政府案には到底賛同できません。

 先日の本会議でも、我が党高井議員から、児童手当の将来像について質問がありました。これに対し、柳澤大臣は、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略会議におきまして今後議論を行い、制度、政策、意識改革など、あらゆる観点からの効果的な対策の再構築をと答弁されましたが、ここではっきりしているのは、政府がまたまた少子化問題に関係する会議を立ち上げたということだけでありました。

 この問題に限らず、安倍内閣は新しい会議体をつくるのがお好きなようですが、くれぐれも国民生活を混乱させることがないようにしていただきたいと思います。

 第二に、政府が、児童手当などこれまでの子育て政策に関する十分な評価や検証を行うことなく、場当たり的な対応に終始しているからであります。

 柳澤厚生労働大臣は、先日の本会議におきまして、子育てに関する負担について、経済的なものだけでなく、仕事と子育ての両立が難しいことや育児不安など、さまざまな要因が考えられ、児童手当だけを取り出して施策の評価を行うことは難しいと答弁されました。

 しかし、児童手当制度の有効性については、その費用対効果について検証を求める声も多くあり、平成十六年の法改正時には、当時の坂口大臣が、スウェーデンの例を引き合いに出して、少子化対策として実施する政策の効果の検証制度を我が国でもつくり、政策の優先順位を考えていかなくてはならない旨の答弁をされています。坂口大臣の思いは、その後、どうなったのでありましょうか。

 児童手当のように、これまで見直しを繰り返してきた政策については、国民に対する説明責任という観点からも、政策の評価と検証をきちんと行う必要があると考えております。それを、評価を行うのは難しいとほうり投げられたのでは、責任放棄と言われても仕方がないのではないでしょうか。政府の無責任な姿勢と、場当たり的に見直しを繰り返す政府案に、到底賛同することはできません。

 そして、今回の乳幼児加算についても問題があると考えています。

 政府案の対象となる第一子、第二子を養育する保護者には、子供が三歳になるまでは月一万円を支給されることになるようですけれども、その子供が三歳になった途端に、手当がもとの五千円に事実上減額されてしまいます。この点、政府からは明確な説明がなされておりません。政府は、三歳未満の子育てに係る経済的負担の軽減を図るため、今回の措置を行うとしていますが、三歳になったら手当が半額に減らされてしまうのは混乱を招くことになりませんでしょうか。その場しのぎ、間に合わせの対策、これには全く賛同できません。

 子育て、特に教育の経済的な負担が重くなってくるのは、むしろ小学校、中学校に通うころであり、私は、中学修了までの子供たちにも当然支給すべきだ、対象範囲を広げるべきだと考えております。

 安倍内閣では、財源が限られているから、その範囲までしか支給しないのだということでしょうが、政治が本当のリーダーシップを持って、子供、子育てを応援するのだと内閣の意思をはっきりと示せばいいのではないでしょうか。少なくとも、チルドレンファースト、子供政策を重点政策に掲げてきた私たち民主党が政権をとれば、子供そして人づくりに対し責任を持って、しっかりと予算を配分し、子供の育ち、はぐくみをしっかりと実行することをお約束し、私の反対討論を終わらせていただきます。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、日程第三につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

 次に、児童手当法の一部を改正する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件及び国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件及び内閣提出、国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。外務大臣麻生太郎君。

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) ただいま議題となりました国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明させていただきます。

 この規程は、平成十年七月にローマにおいて作成されたものであります。

 この規程は、国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪について訴追及び処罰を行うため、常設の国際刑事裁判所の設立、締約国の同裁判所に対する協力等について規定するものであります。

 この規程は、これまで百四カ国が締結しており、昨年には裁判手続が開始されるなど、国際刑事裁判所の活動は本格化してきております。我が国がこの規程を締結することは、国際社会における重大な犯罪行為の撲滅及び予防並びに法の支配の徹底に寄与するとの見地から有意義であると認められます。

 以上が、この規程の締結について承認を求めるの件の趣旨であります。

 次に、国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案について御説明をさせていただきます。

 国際刑事裁判所に関するローマ規程の我が国による締結に伴い、国際刑事裁判所が管轄権を有する事件の捜査等への協力のための手続規定、及び国際刑事裁判所における偽証等その運営を害する行為についての罰則を整備する必要があります。この法律案は、そのための法整備を行おうとするものであります。

 この法律案の主要点について御説明をいたします。

 第一は、国際刑事裁判所が管轄権を有する事件の捜査等への協力のため、各種の手続規定の整備を行うものであります。

 すなわち、国際刑事裁判所に対する証拠の提供、及び引き渡し犯罪人の引き渡しに関する規定、並びに国際刑事裁判所の財産刑等の執行及び保全に関する規定を整備するほか、国際刑事警察機構を通じた国際刑事裁判所からの請求に応じるための規定などを整備することといたしております。

 第二は、国際刑事裁判所の運営を害する行為についての罰則の整備を行うものであります。

 すなわち、国際刑事裁判所における偽証等の罪、国際刑事裁判所の職員の職務に関する贈収賄の罪などを新設することといたしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件及び国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。笠浩史君。

    〔笠浩史君登壇〕

笠浩史君 民主党の笠浩史でございます。

 民主党・無所属クラブを代表いたしまして、いわゆる国際刑事裁判所に関するローマ規程及び同協力法案について質問をさせていただきます。(拍手)

 質問に先立ちまして、麻生大臣におかれましては、先ほど在職二十五年の表彰の栄誉に浴されましたことに敬意を表させていただきます。先ほどの謝辞のように、御自身の言葉で率直な答弁をお願い申し上げまして、質問に移らせていただきます。

 私ども民主党は、ずっと以前から、マニフェストにおいて、集団殺りくや戦争犯罪などについて法で対処していくため、国際刑事裁判所すなわちICCへの早期加盟を主張してまいりました。まだまだ国際社会は法治システムのインフラを欠いておりますけれども、人類の平和と安寧を法で守りたいとの願いは決して弱いものではありません。

 我が国が国際社会でいかなる役割、使命を果たし得るかに思いをいたすとき、この国際刑事裁判所は、実は率先してかかわるべきものであろうと思います。それなのに、なぜこれまで我が国は条約加盟をためらってしまったのか。法律学的なさまざまなこの言いわけはあるにせよ、根本には、我が国が国際社会においてどのような役割、使命を果たしたいのかについて、みずからのビジョンを欠いていることが一番の問題としてあるのではないでしょうか。

 特に、アメリカがこれに消極的であることが我が国の対応をおくらせてしまった大きな要因であり、私は、そのような政治に甘んじてよしとする現在の我が国の政治状況に歯がゆさを禁じ得ません。政府は、このたび、ようやく重い腰を上げたわけです。遅きに失した感はありますが、私ども民主党は、ICCの問題についてはこれまでも積極的に取り組んできており、基本的に賛成の立場であります。

 しかし、今回の条約加盟により、日本はICCにとって最大の拠出国となるわけですが、これまで出おくれたがゆえに、例えば、いち早く加盟を果たし、裁判官を出しているお隣の韓国と比べても、運営などに対する発言権がしっかり確保できるかについて大きな疑問符が生ずるに至っております。人材の育成あるいは供給の面からも大きく立ちおくれてしまっています。

 ちなみに、我が国は条約加盟により断トツの資金拠出国になると聞いておりますが、一体どれくらい断トツなのか、まず麻生大臣にお伺いをいたします。また、最大拠出国にふさわしいだけの発言権を確保していくために、今後の具体的な取り組みについてもあわせてお答えをいただければと思います。

 本来、このような国際刑事裁判所のような事柄は、我が国が国際社会に率先してリード役を果たすべきものであると考えます。各国の加盟状況を見てみると、国連安保理常任理事国ではイギリス、フランスの加盟にとどまっており、アメリカや中国、ロシアは加盟していません。アジア諸国の加盟も少ない状態が続いております。

 国際社会の平和と安全に寄与していかんと我が国が志しているのであれば、今後、こうした国への働きかけをしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。とりわけ、アメリカに対してもきちんと声をかけていくつもりがあるのかどうか、麻生大臣、明確にお答えをいただきたいと思います。

 日本は、ICCの設立までは、国連のアドホック委員会で副議長国の役割を果たしたのを初め、ローマ規程の採択に賛成するなど、積極的に活動し、これまで大きな貢献をしてきたと理解しております。それなのに、加盟の段階に至り、急に腰砕けになってしまいました。

 政府はこれまで、国内法の未整備を表向きの理由として加盟をおくらせてきましたが、今回の法案を見る限り、国際刑事裁判所への協力に関する手続的な事項や同裁判所の運営を害する罪の新設などにとどまっており、本当のおくれの原因は別にあったように思えてなりません。ICCで規定されている戦争犯罪、集団殺害罪、人道に対する罪などについて、例えば、アメリカのブッシュ大統領がそれらを問われかねないことについて遠慮しているのではないかとすら思えます。そのような政府の及び腰は美しくありません。外交のみならず経済においてもアメリカに追随するだけの政治では、美しい日本をつくることはできないのではないでしょうか。このことこそが今の自民党政治の大きな問題点であります。

 次に、条約の対象犯罪についてお尋ねいたします。

 ICCの対象犯罪とされた集団殺害、人道に対する犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪のほかにも、ICC規程の草案においてはテロ犯罪、麻薬犯罪等が記載されていましたが、結果として、時間的制約などにより、今回対象となっていないことは承知しております。

 しかし、特にテロについては、ICC条約が成立した一九九八年の後の二〇〇一年に、アメリカで九・一一の同時多発テロが発生し、数千という人命が奪われました。当のアメリカが、ICCの政治性を懸念し、国際協力によってある程度対応可能という理由から、正面からとらえることに消極的になっているであろうことは想像できます。しかし、内戦状態とも称されるイラク国内のテロ行為などによって、毎日のように多大な人命が失われているのも事実です。

 こうした国際犯罪についても、各国がそれぞれの国内裁判所で処罰することにはなっております。しかしながら、容易に国境を越える今日のテロネットワークの現状を考えると、さまざまな理由で国際協調が困難な場合などに備えて、今後、未整備の侵略の罪に加え、テロについてもICCの対象とするための検討を行うべきではないかと考えますが、麻生大臣の御認識を伺います。

 さて、この国際刑事裁判所は、例えば北朝鮮によるテロである拉致事件、このことに関してどこまで有効に対処し得るのか、あるいは活用し得るのか。北朝鮮による拉致事件はICC設立以前に発生したとか、また、北朝鮮はICCに非加盟であるなどのへ理屈をまかり通らせてしまうのでしょうか。麻生大臣の答弁をお聞かせください。

 ちなみに、ICC規程七条では、「人道に対する犯罪」として「人の強制失踪」という行為が明記され、「国若しくは政治的組織又はこれらによる許可、支援若しくは黙認を得た者が、長期間法律の保護の下から排除する意図をもって、人を逮捕し、拘禁し、又は拉致する行為であって、その自由をはく奪していることを認めず、又はその消息若しくは所在に関する情報の提供を拒否することを伴うもの」と定義をされております。

 北朝鮮による拉致はこの定義に立派に該当するのではないでしょうか。大臣の御見解を伺います。

 拉致事件では、仮に北朝鮮の工作員による略取という行為がICC設立前に実行されていたにせよ、被害者を御家族のもとへ戻していないという意味での監禁行為は現在に至るまで継続中であり、私は、拉致事件についてICCの条文は適用されて当然と思いますが、大臣いかがでしょうか。

 次に、ICC関連法案による日本人の訴追の可能性について伺います。

 例えば、国連のPKOなどの平和活動に積極的に参加するとして、場合によっては、受け入れ主体となる国や政府が崩壊している事態や、周辺国、関係国を初め派遣地域の民族や宗派、住民の利害が錯綜し、必ずしも日本の派遣が歓迎されない事態も想定されます。あるいは、特定の国に対する憎悪等により、日本にその気がなくとも、憎悪の対象となった国に日本が加担していると見られるようなことも起こり得ます。日本の派遣部隊の一員が、ICCの管轄となるような事件に仮に巻き込まれるような場合も想定し得ます。

 日本の派遣部隊が、この条約の対象となる集団殺りくなどの犯罪を起こすことは想定されないところですが、混乱した現地で、事実関係が明確でない中で、相手方が政治的な思惑でICCに不当な事実を主張し、問題を提起する場合も考えられないわけではないでしょう。このような点について、本当に大丈夫なのかどうか、麻生大臣にお伺いをいたします。

 国際刑事裁判所という新たなシステムにより国際社会における法の支配を一歩進めることの意義は、幾ら強調してもし過ぎることはありません。しかしながら、アメリカを初めとした大国の消極的態度のみならず、加盟国についても、いわゆる補完性の原則を隠れみのにした、非協力的な事態も多分に想定されるでしょう。そのような場合、法の支配を実効あらしめるためにはどうすればよいのか、我が国として、国際社会において大事な役割を果たし得る重要な分野であると思いますので、麻生大臣の今後の決意も含めた答弁を求めます。

 冒頭申し上げましたように、民主党として、今回の条約及び法案については、遅きに失したくらいで、その意義については大いに認めるところですが、我が国がアメリカに遠慮して追随している精神構造がこの分野にも大きな影を落としていることは否めません。この条約を実効あらしめ、国際社会における法の支配を一歩一歩進めるために、アメリカ、中国、ロシアなどを説得することも含めて、日本が果たし得る役割は非常に大きいと考えます。その点についての政府のさらなる自覚を促しまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 笠議員からの御質問、大まかに分けて六つに分けられると存じますが、最初に、我が国によるICCローマ規程の締約というのは少し遅かったのではないかということだと存じます。

 この規程の対象犯罪というのは、御存じのように、国内法との関係につき検討するという必要があるのは当然であります。ICCへの協力を実施するための手続などを定める新たな国内法の整備などが必要でありました。また、ICCに加盟をいたしますと、相応の分担金の支払いが発生いたします。我が国の財政事情が極めて厳しい中、分担率についての交渉を含め、予算手当ての問題にも対処する必要がありました。関係省庁でこのような作業に取り組んできたところ、今国会において、同規程の締結につき承認をお願いすることになったところであります。

 次に、国際刑事裁判所、ICC、いわゆるインターナショナル・クリミナル・コートの略ですけれども、この加盟に伴う分担金の予算措置についてのお尋ねがあっておりました。

 この国会でICCローマ規程の締結につき御承認を得ることができれば、我が国は、本年十月ぐらいから正式にICCの加盟国となる予定でおります。この点を踏まえまして、平成十九年度の政府の予算案におきましては、二〇〇七年分の分担金といたしましては、十月から十二月までの三カ月分ということになって、約七・二億円を計上しております。本年十月加盟予定というのを前提にしております。御審議をお願いしておるのはその点でありまして、二〇〇八年以降は総額約三十億円ぐらいになると予定をしております。

 また、二〇〇七年におきますICC全体の予算はという御質問に対しては、八千九百万ユーロ、約百三十億円が総額になると承知をいたしております。

 なお、ICC加盟国の分担率は、国連の通常予算の分担率を基礎として調整をされるということは御存じのとおりで、二〇〇七年の我が国の分担金につきましては、二二%の最高シーリングというのが適用されますので、最大分担金拠出国になる予定であります。日本の分担金の中では、国連の分担金とか、またPKO分担金等、多額のものがありますので、このICCの分担金が一番多いということではございません。

 こうした点を踏まえまして、日本といたしましては、ICC締結につきまして今後働きかけてまいりますが、加盟後、人材面でも貢献を一層積極的に行っていきたいと考えております。また、日本といたしましては、ICC加盟後は、関係国に対して、ICC加盟に向けたいわゆる働きかけをさらに積極的に行っていきたいと考えております。

 次に、ICCの対象犯罪は我が国においてすべて処罰できるかという御質問だったと存じます。

 ICCローマ規程におきましては、集団殺害犯罪などの対象犯罪を各締約国におきまして犯罪化することは義務づけられておりません。しかしながら、ほとんどの対象犯罪は、我が国の現行国内法によりまして既に処罰可能となっております。

 なお、理論上では、一部の対象犯罪の未遂行為などにつきましては日本で処罰できない可能性があり得ると存じます。ただし、ICCが実際にその管轄権を行使いたしますのは十分な重大性を有する事案に限られておりますため、そうした可能性は実際には想定できないものと存じます。

 次に、テロ行為とICCの対象犯罪の関係についてのお尋ねがあっております。

 テロ行為は、いかなる理由をもっていたしましても正当化できず、断固として非難されるべきものであります。日本も、テロ防止関連条約のもとで、テロ行為を国内法上犯罪として自国で訴追するか、他の関係締約国に引き渡すことによってこれを取り締まることといたしております。

 政府といたしましては、今後の検討会議におきましてテロ行為に関する議論が行われた場合には、テロ防止に関するこれまでの国際社会としての取り組みを踏まえつつ、この議論に積極的に参加してまいるつもりであります。

 次に、北朝鮮による拉致の問題について、これとの関係での御質問があっております。

 ICC規程では、人道に対する犯罪の一つとして、人の強制失踪が掲げられております。その中で、拉致を初めとする行為が規定されておりますのは御存じのとおりです。我が国のICCへの加盟は、こうした犯罪は許さないとの断固たる姿勢を北朝鮮に示すことになり、北朝鮮による日本人拉致事案の解決にも資するものと考えております。

 ただし、ICCが管轄権を行使するためには一定の条件を満たす必要があります。例えば、対象事案は、ICC規程が発効いたしました二〇〇二年七月一日以降に行われた行為でなければなりません。また、締約国として事案を付託するためには、犯罪の実行地国または被疑者の国籍国が締約国でなければならないということであって、北朝鮮はいまだ同規程を締約いたしておりません。

 以上にかんがみれば、日本のICC加盟によりまして、北朝鮮による日本人拉致事案が直ちにICCで裁かれるというわけではございません。

 なお、国連安保理によるICCへの付託に関する質問もございましたが、ICC締約国でない国の個人を安保理決議に基づいてICCに付託することは規程上あり得ますが、まず、安保理としてそのような決定がなされるか否かというところでありまして、十分な重大性としてICCが認めるかどうかという問題がここにあろうと存じます。

 最後になりましたけれども、PKO活動を含め、ICCと日本人訴追の可能性についてのお話があっておりました。

 国際刑事裁判所の基本的な考え方は、補完性の原則であります。つまり、ICCの対象犯罪の被疑者の捜査、訴追は各締約国が行うことが基本とされておりますが、それができない場合には、ICCが捜査、訴追し、各締約国がこれに協力することとなります。

 このような考え方のもと、ICC規程においては、対象犯罪を各締約国において処罰できるようにすることは義務づけられてはおりませんけれども、ほとんどのものが我が国日本の現行国内法において、殺人罪、また傷害罪、逮捕監禁等の罪として処罰は可能であります。

 なお、対象犯罪の一部について我が国で処罰できない可能性は、理論上はあり得ます。しかし、ICCが実際に管轄権を行使いたしますのは十分な重大性を有する事案のみであるため、そうした可能性は実際には想定できません。

 大まかに分けて六つ御質問いただきましたが、質問時間が極めて限られておりましたので十分なお答えになっていないと思いますが、これは国民に対して詳しく説明する必要があろうと存じますので、追って文書をもって回答させていただきます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 丸谷佳織君。

    〔丸谷佳織君登壇〕

丸谷佳織君 公明党の丸谷佳織でございます。

 私は、自由民主党並びに公明党を代表しまして、国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件及び国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案につき質問をさせていただきます。(拍手)

 まず初めに、一貫して国際刑事裁判所の創設推進を訴えてきた公明党として、本日議題のICC関連法案がようやく国会に提出されましたことを、大いなる賛意もって歓迎したいと思います。

 一九九八年七月十七日に世界百二十カ国が支持して成立しましたICC規程は、戦争犯罪を初め、人道に対する罪やジェノサイドなど、国籍、性別、年齢を超え、すべての人類に共通する最悪の犯罪を法にのっとって処罰することで暴力による報復の連鎖を断ち切ろうとする、いわば二十一世紀の人類の知恵と勇気の果実の一つと言っても過言ではありません。

 我が国を人権大国へとの思いからICC早期加盟を訴えてきた公明党の主張がまた一歩前進したことを実感しつつ、幾つか政府の御所見をお伺いいたします。

 国際社会の平和と安全の維持に責任を持つ主要な機構として、国連安全保障理事会があります。特に冷戦終結後における安保理は、国家間の紛争のみならず、国内紛争に対してもその平和的解決に尽力し、紛争終了後の平和維持及び平和構築分野において重要な役割を果たしてまいりました。

 しかしながら、安保理が対象とするのは国家であって、個人ではありません。また、一九四五年に設立した国際司法裁判所も同様に、対象とするのは国家であって、個人ではありません。

 レイプやジェノサイドなどの犠牲者の多くは、弱い立場にいる女性や子供たちです。また、人の肉体と精神を同時に破壊するだけでなく、残された人々の心にも根深い憎悪感を残していくことで、その地域の未来さえも奪ってきた歴史的事実がこれらの犯罪にはあります。

 このような罪を犯した個人に対し、国際社会が法律をもって処罰することができるICCの意義について、外務大臣の御所見をお伺いいたします。

 次に、我が国の今後の対応についてお伺いいたします。

 このまま国会審議が順調に進めば、我が国はこの十月にもICCに加盟できます。加盟がおくれたとはいえ、ICCの活動はまだ緒についたばかりであり、我が国がICCで果たすべき役割は大きいと思います。

 例えば、我が国は全分担金の二二%を負担し、最大拠出国として財政面でICCをしっかり支えることとなりますし、人材面での貢献も十分に可能だと確信をいたします。ICCに求められる高い基準を満たす有能な裁判官や検察官を輩出することに力を注ぐべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。

 また、締約国会議においてイニシアチブを発揮すること、締約国が少ないアジア諸国のほか、アメリカ、中国、ロシア、インドなどにも締結の働きかけを行うことも、我が国ができる貢献のあり方と考えますが、ICCにいかなる姿勢で臨むつもりか、御所見をお伺いいたします。

 ローマ規程の中には、効力発生の七年後に改正を審議するための検討会議を招集するとの取り決めがあります。この取り決めは、ローマ規程が今なお成長段階にあることを示し、締約国が規定を成熟させる義務を負っているとも言えます。

 そこで、二〇〇九年に開かれる検討会議で、我が国が議論のリーダーシップをとっていただきたい点を三点申し上げます。

 一つ目は、子供兵士の徴兵問題です。

 ローマ規程では、十五歳未満の児童を自国の軍隊に強制的に徴集することや、敵対行為に参加させること等を戦争犯罪と規定しています。これは子どもの権利条約第三十八条に合致する規定ですが、子どもの権利条約の選択議定書の武力紛争における児童の関与に関する選択議定書では、十八歳未満を対象としております。ローマ規程は、子供兵士に関して、子どもの権利条約にある古い規定ではなく、選択議定書に盛り込まれた新しい規定に立脚すべきであると考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

 二つ目に、大量破壊兵器の問題ですが、ローマ規程では、大量破壊兵器の使用を明示的に戦争犯罪と規定しておりません。

 ローマ規程が採択された外交会議において、インドは核兵器の使用が禁止されなかったことを理由として反対票を投じ、シンガポールは化学兵器と生物兵器が禁止対象から外されたこと等を理由として棄権をしたように、世界が大量破壊兵器の拡散という新たな脅威に直面している今、ICCも大量破壊兵器の使用を明確に戦争犯罪と規定すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 そして三つ目は、テロリズムについてです。

 ローマ規程はテロを対象犯罪としておりません。規程が採択された一九九八年は二〇〇一年の九・一一以前であったことを考えますと、テロの定義が国際的に合意されないままの対象犯罪化を見送ったことは理解できます。しかしながら、九・一一を境に、テロとの闘いが国際社会のキーワードとなっている今日、国際法におけるテロリズムの定義を待たずとも、今国会に提出されている核テロ防止条約を含め、実に十二本のテロ防止関連条約が既に発効している中、ICCの管轄権をテロにまで拡大することは妥当な措置と考えます。

 テロの犯罪グループがいかなる思想的、政治的な背景を持っていても、ひとしく法のもとで処罰するという国際社会の普遍性を確立することがテロ防止の大前提となるのではないでしょうか。外務大臣の御見解をお伺いいたします。

 最後に、我が国の刑事司法制度に目を転じてみたいと思います。

 ローマ規程では、被疑者段階での弁護人の付与、取り調べでの弁護人立ち会い、被告人に有利な証拠の検察官による開示義務など、被疑者、被告人の権利を最大限に尊重する一方で、被害者に対するメンタルケアや被害者が公判等で意見を提示する権利の保障など、被害者の人権に対する最大限の配慮もなされています。

 公明党は、二十一世紀の人権大国・日本を目指す中で、国民の立場に立った司法制度改革の推進を掲げており、ローマ規程とほぼ同様の改革提案を行っています。特に、被疑者段階での弁護人の付与、取り調べでの弁護人立ち会いの制度が導入されれば、自白偏重主義が一掃され、全員が無罪判決を受けた鹿児島県議選公職選挙法違反事件や富山県での冤罪事件のような例が繰り返されることはなくなるのではないかと考えますが、刑事司法制度の改革の重要性について、法務大臣の御所見をお伺いいたします。

 戦争犯罪や人道に対する罪、ジェノサイドはもちろんのこと、許される暴力など人間の尊厳の前では一切あり得ません。しかしながら、すさまじい憎悪の前にただ対話の必要性を訴えているだけでは、暴力の連鎖をとめることもできません。戦争と戦争の幕間にしか見られなかった平和という舞台が長く続くような国際社会を築いていくため、我が国がICC加盟を機に大いに貢献していくことを祈願し、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 丸谷議員より五問いただいております。

 まず、国際刑事裁判所、インターナショナル・クリミナル・コート、通称、略してICCと呼ぶようになりましたけれども、この意義についてのお尋ねがありました。

 丸谷先生御指摘のとおり、ICCは、国際社会にとりまして最も重大な犯罪を犯した個人を国際法に基づき訴追し、処罰するための初めての常設国際刑事法廷でありまして、国際社会における法の支配の推進などの観点から、極めて大きな意義を有していると存じます。

 日本といたしましても、ICCへの加盟によりまして、集団殺害犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪などを犯した個人の不処罰を許さないとの我が国の決意を明確に示すことができ、これらの犯罪を犯した個人を処罰する包囲網の一翼を担うことになるものと考えております。

 次に、我が国のICCに対する貢献についてのお尋ねがありました。

 日本としては、ICCが国際社会における重大な犯罪行為の撲滅と予防につき果たしてきた役割は大きなものだったと存じます。ICCへの加盟後は、人材面での貢献も一層積極的に行っていきたいと考えております。具体的には、裁判官、ICC事務局職員などにつきまして、日本国出身者を送り込むべく、適当な人材の発掘により積極的に取り組んでまいりたいと存じます。

 また、我が国が率先してICCへ加盟することにより、他のアジアの諸国などの加盟をも促進し、ICCをより普遍的な組織とすることが期待できると存じます。日本としては、ICC加盟後は、関係国に対し、ICCへの加盟の働きかけをさらに積極的に行っていきたいと存じます。

 続きまして、児童の権利に関する条約及び武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書との関係についてお尋ねがありました。

 議員御指摘のとおり、ICC規程では、同条約を踏まえて、十五歳未満の児童につきましては軍隊への強制的徴集などを禁じ、これを戦争犯罪と規定いたしておりますが、日本としては、同選択議定書の内容も踏まえつつ、今後の関連の議論に積極的に参加をいたしてまいりたいと存じます。

 続いて、大量破壊兵器の使用とICC規程の関係についてのお尋ねがありました。

 ICC規程の起草過程におきましては、大量破壊兵器の中でも極めて影響力の大きい核兵器の使用をICCの対象犯罪とするか否かにつきましては、各国間で意見がまとまらず、最終的には将来の検討会議で議論することとされております。

 政府といたしましては、従来から一貫して、核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的な基盤である人道主義の精神には合致しないという考えのもと、日本としては、ICC加盟後は、こうした点を十分に踏まえつつ、関連の議論により積極的に参加をしていく覚悟であります。

 最後に、テロ行為とICCの対象犯罪の関係についてのお尋ねがあっておりました。

 テロは、いかなる理由をもってしても正当化できず、断固として非難されるべきものであろうと存じます。日本も、テロ防止関連条約のもとで、テロ行為を国内法上犯罪として自国で訴追するか、また他の関係締約国に引き渡すことによってこれを取り締まることといたしております。

 政府といたしましては、今後の検討会議においてテロ行為に関する議論が行われた場合には、テロ防止に関するこれまでの国際社会の取り組みをも踏まえつつ、その議論にさらに積極的に参加をしていく考えであります。(拍手)

    〔国務大臣長勢甚遠君登壇〕

国務大臣(長勢甚遠君) 丸谷佳織議員にお答えを申し上げます。

 刑事司法制度改革の重要性についてお尋ねがありました。

 刑事司法制度改革につきましては、司法制度改革審議会意見においても、刑事司法を国民の期待にこたえその信頼を確保し得るものとするためには、適切な制度を構築していくことが必要であるとされているところであります。

 法務省としましても、そのような趣旨を踏まえ、所要の改革を着実に進め、定着させていくことが重要であると考えております。

 まず、刑事裁判の充実、迅速化につきましては、平成十七年十一月に施行された改正刑事訴訟法により、公判前整理手続が導入されるとともに、検察官による証拠開示が拡充されたところであります。

 次に、御指摘の被疑者段階での弁護人の付与の制度につきましては、平成十八年十月から、被疑者国選弁護制度が一定の事件について既に実施されているところであります。

 また、取り調べにおける弁護人の立ち会いを認める制度を導入することなどにつきましては、司法制度改革審議会意見においても、刑事手続全体における被疑者の取り調べの役割との関係で慎重な配慮が必要であることなどから、将来的な検討課題とされているところであり、法務省としても慎重に検討することが必要であると考えております。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十二分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       法務大臣  長勢 甚遠君

       外務大臣  麻生 太郎君

       文部科学大臣 伊吹 文明君

       厚生労働大臣 柳澤 伯夫君

 出席副大臣

       外務副大臣  岩屋  毅君


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