衆議院

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第24号 平成19年4月19日(木曜日)

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平成十九年四月十九日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十九号

  平成十九年四月十九日

    午後一時開議

 第一 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)

 第二 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 少年法等の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、内閣提出)

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本日の会議に付した案件

 日程第一 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)

 日程第二 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 少年法等の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、内閣提出)

 地方公営企業等金融機構法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)

議長(河野洋平君) 日程第一、雇用保険法等の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。

    ―――――――――――――

 雇用保険法等の一部を改正する法律案の参議院回付案

    〔本号末尾に掲載〕

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議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、参議院の修正に同意することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第二 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長櫻田義孝君。

    ―――――――――――――

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔櫻田義孝君登壇〕

櫻田義孝君 ただいま議題となりました短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、短時間労働者について、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図り、その有する能力を発揮することができる雇用環境を整備するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、事業主は、短時間労働者について、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保に努めるとともに、通常の労働者と同視すべき短時間労働者について、差別的取り扱いを禁止すること、

 第二に、事業主は、通常の労働者への転換を推進するための措置を講じなければならないこと、

 第三に、事業主との紛争解決を図るため、都道府県労働局による調停等について規定を設けること

等であります。

 本案は、去る四月三日の本会議において趣旨説明が行われ、同日本委員会に付託され、柳澤厚生労働大臣より提案理由の説明を聴取し、翌四日から質疑に入り、十日には参考人から意見を聴取するなど審査を行い、十三日に質疑を終局いたしました。

 昨日の本委員会において、日本共産党より、有期労働者を本法の対象とする旨の修正案が提出され、討論、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 討論の通告があります。これを許します。田名部匡代君。

    〔田名部匡代君登壇〕

田名部匡代君 民主党の田名部匡代です。

 まず冒頭、選挙戦のさなかに凶弾によりテロに見舞われた伊藤一長長崎市長の御冥福を心よりお祈り申し上げます。

 選挙戦の中、候補者への暴力による言論封殺は、絶対に認めてはいけません。議論を通じ、最後は選挙という多数決で決める、これが民主主義であります。議論の途中で遮り議論をさせない、民主主義を否定する行為は断じて許すことはできません。単なる殺人事件というだけではなく、これは民主主義に対する挑戦です。

 しかしながら、政治家のトップである安倍総理は、真相究明を望むとの短いコメントをなされました。これは、民主主義を信じる多くの国民を落胆させました。なぜもっと強いメッセージを発しなかったのでしょうか。

 我々政治家、国会議員は、このような暴力やおどしに屈してはなりません。民主主義のため、暴力で政治活動を封殺するこのような行為に与野党を超えて断固抗議すべきであることを訴え、討論に移ります。(拍手)

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、内閣提出の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案についての反対の立場から討論をいたします。

 パート労働者法の重要性は、固定化しつつある正社員とパート労働者の格差を是正することでありました。しかし、今回内閣が提出したパート労働法は、現代の日本の雇用環境が抱える本質的な問題を全く直視しておらず、再チャレンジという言葉だけが躍る改正となっています。これでは、ますます雇用環境の悪化を招き、雇用の二極化が一層進むことは明らかです。

 私たち民主党は、この問題に対し具体的で実効性のある対策を講じるため、二〇〇四年から法案を提案してまいりました。今国会にも独自の法案を提出しておりましたが、委員会審議も大変短い審議時間で終了してしまいました。そのことには大変大きな憤りを感じています。

 私たちは、国民の生活に対し、責任を持って真剣に議論をし、取り組んでいかなければなりません。どうせ数の力で決まるのだからというような質問や審議のあり方ではなく、個人の力ではどうにもならない困難をどうやって改善すればいいのか、拡大した格差をどうすれば公正に是正できるのか、真摯な議論を積み重ねていく必要があります。しかしながら今回も、多くの改善すべき点が山積し、放置されたままとなっております。

 以下、五点に絞り、問題点を述べます。

 第一に、政府は、格差是正の目玉として今回の法改正を位置づけていたはずです。そしてその中でも、法案の目玉が正社員とパート労働者の差別禁止であったはずです。にもかかわらず、政府案は、短時間労働であることを理由とした差別的取り扱いを禁止する対象を、正社員と同視すべきパートに限定をいたしました。柳澤大臣は、該当するパートは四、五%存在すると言っておられましたが、本当に存在するのか、ついに明確な答弁はありませんでした。

 明確な答弁がないどころか、我が党議員が委員会において、政府が正社員と同視すべきパートの条件として定めた、仕事の内容、責任、将来も含めた転勤、期間の定めのない雇用という三つの条件を満たすパート労働者など本当に存在をするのか、調査をして報告するように要望をいたしました。しかし、厚生労働省からの回答は、差別禁止対象となるパート労働者がいるかどうか、実態は把握できないという回答がありました。対象者がいるかどうか確認できないのであれば、この法案は机上の空論であり、多くのパート労働者にとっては全く無意味な法案となりかねません。

 また、正社員と同視すべきパートに該当する事例はどのようなものがあるのかという点についても、厚生労働省は、パート労働者からの一方的な指摘のみによっては判断しかねるといった事情があり、具体的事例を挙げることは困難と述べ、差別があったかの判断は一義的には使用者が行うこととしています。これでは、雇用者側の考え方一つでこの法律の対象から外れてしまうということが考えられます。

 さらに、差別かどうかの最終判断は、労働者からの訴えがあれば裁判で決めることになっていますが、一々裁判をしなければならないのであれば、この差別禁止の法律をつくった意味がありません。仮に裁判を起こしたとしても、事業主側には勤務内容や実態を証明する義務規定も設けられておりませんので、労働者がみずからの職務における責任がどのぐらいのものだったのか、さらに正社員の勤務実態までも証明をしなければならず、これではパート労働者にとって極めて不利であり、差別がなくなるとは到底思えません。

 第二に、パート労働者の中に、差別的取り扱い禁止の対象となる者とそうでない者とを分けている点です。正社員と同視すべきパート労働者に該当しなければ、均衡処遇の努力規定があるだけで、かえって処遇が切り下げられ、格差を固定することが懸念されます。これでは、パート労働者間の格差を拡大する法律であります。その点、私たち民主党案は、すべてのパート労働者を差別的取り扱い禁止の対象としています。

 第三に、パート労働者と通常の労働者との労働条件の均衡を図ることを理由として正社員の労働条件が切り下げられるおそれがあり、実際、既にその動きも出ております。パート労働者の処遇が改善されるでもなく正社員の処遇が切り下げられるのでは、全く意味がありません。均等処遇の確保等を図る措置を講ずるに当たっては、民主党案のように、通常の労働者の労働条件を合理的な理由なく低下されることを防ぐ規定を設けるべきであります。

 第四に、パート労働者から正社員への転換を推進する措置についてですが、正社員募集のパート労働者への周知、配置転換を希望する申し出の機会の付与、正社員への転換試験制度の創設等のうちどれかを実施すればよいこととなっており、これで本当に実効性があるのか大変疑問であります。正社員と同じ内容の仕事や責任を何年間も任せられながら、正社員に登用されず、均等処遇が実現しないのでは、全く格差の是正になりません。

 第五に、同一賃金同一価値労働の実現に向けて、職務給制度を構築しようとしていない点です。

 我が国の短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇について、それぞれの事例を積み上げ、労使代表による検討を重ね、社会的なコンセンサスを得ていくことが重要です。しかし、政府案にはそうした施策は入っていません。民主党案のように、事業所ごとに均等待遇等検討委員会を設置すべきなのです。

 以上、五点について申し上げました。

 政府は、大々的にパート労働者への差別をなくすと宣伝をしておきながら、実際には、差別禁止対象者の把握もできない、その調査もしない、全く存在の確認もできないままであります。これではパート労働者の雇用環境を改善する法律とは言えず、期待をした多くのパート労働者に対する裏切りであります。

 柳澤大臣は、パートの働き方も千差万別とおっしゃっております。だから、すべてのパート労働者に適用する必要はないというのでしょうか。それが政府の考える均等待遇なのでしょうか。それでは実態改善の実効性など全くもって期待できません。それどころか、使用者と労働者のアンバランスな力関係の中で、かえって格差を拡大させる内容であることは明らかです。格差是正を真剣に考えた場合、私たち民主党は、やはり、すべてのパート労働者を差別的取り扱い禁止の対象とすべきであることを再度申し上げ、かけ声倒れである内閣提出の法案に反対の討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 少年法等の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第三、少年法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長七条明君。

    ―――――――――――――

 少年法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔七条明君登壇〕

七条明君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、少年非行の現状に適切に対処するため、少年法等の所要の規定を整備するもので、その主な内容は、次のとおりであります。

 まず第一に、触法少年の事件について、警察官による任意調査及び強制調査の手続等を整備することとしております。

 第二に、十四歳未満の少年についても、家庭裁判所が特に必要と認める場合には、少年院送致の保護処分をすることができることとしております。

 第三に、遵守事項を遵守しなかった保護観察中の者に対して、家庭裁判所において少年院送致等の決定をすることができることとしております。

 第四に、一定の重大事件について、少年鑑別所送致の観護措置がとられている場合において、少年に弁護士である付添人を付することができることとしております。

 本案は、第百六十四回国会に衆議院に提出され、継続審査に付されていたものであります。

 今国会では、去る一月二十五日本委員会に付託され、三月二十三日長勢法務大臣から提案理由の説明を聴取し、三月二十八日質疑に入りました。四月十一日喜連川少年院などの視察を行い、十三日、参考人から意見を聴取するとともに、厚生労働委員会との連合審査会も開催いたしました。

 同日、本案に対して、民主党・無所属クラブから、少年院に送致可能な年齢の下限をおおむね十四歳とすること等を内容とする修正案が提出されました。さらに、昨十八日、本案に対し、自由民主党及び公明党の共同提案により、少年院に送致可能な年齢の下限をおおむね十二歳とすること等を内容とする修正案が提出され、提出者から趣旨の説明を聴取し、原案及び同修正案に対する質疑を行いました。

 約十七時間に及ぶ審議に加え、少年院、児童自立支援施設などの視察をこなし、昨日質疑を終局し、採決を行いました。その結果、民主党・無所属クラブの提案に係る修正案は賛成少数をもって否決され、自由民主党及び公明党の共同提案に係る修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、修正議決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

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議長(河野洋平君) 討論の通告があります。これを許します。高山智司君。

    〔高山智司君登壇〕

高山智司君 民主党の高山智司でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提出、少年法等の一部を改正する法律案に対する与党修正案及び修正部分を除く原案に反対する立場から討論を行います。(拍手)

 まず冒頭、昨日の法務委員会で、与党及び七条明委員長が職権により委員会を開催し、強行採決を行ったこと、これに強く抗議いたします。

 憲法改正の国民投票、米軍再編に続く、一週間で三回の強行採決という安倍内閣の強硬姿勢にも重ねて強く抗議するところであります。

 さて、与党修正案及び原案に反対する理由を申し上げます。

 政府提出の少年法改正案は、触法少年や虞犯少年に対する警察官の調査権限の付与、強化、十四歳未満の少年の少年院送致など、ただ単に厳罰化をすると。本当に少年事件は凶悪化、低年齢化しているのか、また、そういった立法事実があるのかという疑問の声に答えないまま、厳罰化にひた走ろうとする安倍総理そして内閣の姿勢は、良識ある国民や私たち野党のみならず、安倍政権の与党、自民党、公明党の中からさえも疑問の声や不安の声が上がっていたところでございます。

 民主党が提出した修正案では、第一に、触法少年及び虞犯少年に係る事件の調査に関し、触法少年に係る事件についての警察官等の調査を、児童相談所長の要請を受けた場合またはその同意を得た場合に限定するとともに、虞犯少年に係る事件についての警察官等の調査に関する規定を削除することとしておりました。この点、与党修正案では、虞犯少年についての調査規定を削除したという、民主党の主張を受け入れたことは評価いたしますが、触法少年については警察が独自の判断で調査、事件送致できるとする原案の仕組みを残しており、極めて問題があると考えています。

 民主党修正案では、第二に、少年に対する質問に関し、その保護を図る等のため、少年及び保護者は弁護士の中から調査付添人を選任できること、少年に対する質問に際しては、児童福祉司または調査付添人の立ち会いを認めること、質問に際し、警察官は、少年に対し答弁を強要されることはないこと等を告げなければならないこと、少年の答弁及び質問の状況のすべてを記録媒体に記録しなければならないこと等としておりました。

 この点、与党修正案では、弁護士の付添人選任については民主党の主張を盛り込みましたが、その他の措置については盛り込まれず、ただ訓示規定を追加したにとどまっています。

 十四歳以上の犯罪少年については刑事訴訟法で明確に認められている黙秘権告知の権利が、なぜか、同様に少年院に送致される可能性のある十四歳未満の少年には認められていないというのは明らかに矛盾しており、欠陥法案、欠陥修正案と言わざるを得ません。

 第三に、民主党修正案は、少年院送致年齢の下限を撤廃するという政府案に対し、おおむね十四歳を下限とすることとしておりました。これに対し、与党修正案は「おおむね十二歳」としておりましたが、おおむね十二歳というのは十一歳も含み、しかも、これは行為時の年齢ではなく収容時の年齢であり、行為時に十歳の児童をも含むことになってしまいます。

 このように、小学校の児童をも少年院に入れようとする趣旨であるとするならば、児童福祉を大きく後退させるものであり、全く不適切、到底容認できるものではありません。

 昨晩、安倍総理は、記者団の質問に対し、小学生でも少年院に入れるのはやむを得ないと答えたようですが、少年の健全育成のための育て直しという趣旨から考えると、本当にまだ幼い小学生を少年院に収容するべきなのでしょうか。大いに疑問が残ります。

 民主党修正案は、第四に、保護観察中の者に対する措置に関し、遵守事項を遵守せず、保護観察によっては改善更生を図ることができないと認めるときは、家庭裁判所が少年院送致の決定をすることができる旨の規定を削除することとしておりました。

 このように、保護観察処分となった少年を、保護司の呼び出しに応じない、朝ちゃんと起きてこないといったような、もとの事件に比べればささいな理由で少年院送致をできるようにすることに関し、長勢法務大臣も、その前の事案を考慮してそうするのだと答弁しており、やはり二重処罰の疑いが晴れません。

 民主党の修正案は、第五に、国選付添人制度に関し、国選付添人の選任は、少年がその選任に係る事件について審判を終局させる決定前に釈放されたときはその効力を失う旨の規定の削除をすることとしておりました。この点に関しては、与党修正案も全面的に受け入れており、評価いたします。

 民主党修正案では、第六に、国及び地方公共団体は、触法少年及び虞犯少年に係る事件に適切に対処できるよう、家庭的な雰囲気の中での育て直しを重視して、児童相談所について、必要な体制の整備に努めるようにとしておりましたが、与党修正案及び原案ではこの児童相談所の役割を非常に軽視しており、当然評価できません。

 以上のように、委員会でのこれまでの審議を十分に踏まえて民主党が出した修正案の一部が与党によって取り入れられた点については、委員会審議の成果として率直に評価いたします。しかし、既に述べたとおり、与党修正案は、政府の原案の幾つもの問題点を放置し、修正部分についても不十分と言わざるを得ない内容であり、与党修正案及び残余の政府原案ともに反対すべきものと考えます。

 また、最後に、今回の少年法改正は、教育ということを最重要と掲げている安倍内閣が、少年をむちをもって追うような厳罰化のみで解決しようとする、大人の責任を放棄した全く無責任なものであり、我々民主党が、少年を育て直そうという観点から修正案を出したところ、一部は取り入れられましたけれども、共同修正がまだ始まったばかり、その初日にいきなり強行採決をしてしまうという安倍内閣の国会運営に強く抗議いたしまして、原案及び与党修正案に反対の討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

 地方公営企業等金融機構法案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、地方公営企業等金融機構法案について、趣旨の説明を求めます。総務大臣菅義偉君。

    〔国務大臣菅義偉君登壇〕

国務大臣(菅義偉君) 地方公営企業等金融機構法案の趣旨につきまして御説明申し上げます。

 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律に基づき、平成二十年十月に公営企業金融公庫を廃止するとともに、地方公共団体の資本市場からの資金調達を補完するため、長期かつ低利の資金の融通等の業務を行う地方公営企業等金融機構を設立し、その組織、業務の範囲等に関する事項を定める必要があります。

 次に、法案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、設立につきましては、地方公共団体の長及び議長が発起人となり同機構を設立するものとし、その出資者は地方公共団体に限ることとしております。

 第二に、組織につきましては、役員として理事長、副理事長、理事及び監事を置くとともに、意思決定機関として知事、市長、町村長の代表者及びこれと同数の学識経験者で構成する代表者会議を設置することとしております。

 また、外部の学識経験者による審議機関として経営審議委員会を設置し、予算、資金の貸し付けに関する基本的事項その他業務について審議を行うとともに、必要に応じて、理事長に対し建議を行うことができることとし、理事長にはその意見に対する尊重義務を課すこととしております。

 さらに、会計について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならないこととしております。

 第三に、業務の範囲につきましては、地方公共団体に対する長期かつ低利の資金の融通等を行うこととし、その範囲は、現行の公営企業金融公庫と同様、公営企業等に限ることとしております。

 また、対象事業につきましては、同機構の業務が地方公共団体による資本市場からの資金調達を補完するものであることにかんがみ、業務の重点化を図る観点から、段階的な縮減を図ることとしております。

 第四に、同機構に対する国の関与につきましては、その設立及び定款の変更に関し総務大臣が認可を行うほか、この法律等に違反し、または違反するおそれがある場合に限り、総務大臣は報告徴収もしくは立入検査または違法行為等の是正要求を行うことができることとしております。

 そのほか、公営企業金融公庫は平成二十年十月一日に解散するものとし、その権利及び義務につきましては、政府からの出資を除き、同機構が承継することとしております。

 また、同機構には、新たな業務に係る勘定のほか、公営企業金融公庫から承継する貸付債権の管理業務に係る勘定を設け、それぞれの勘定ごとに損益を明確に区分し、当該管理業務の適正な運営を確保するために必要な措置を講ずることとしております。

 以上が、地方公営企業等金融機構法案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 地方公営企業等金融機構法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。森山裕君。

    〔森山裕君登壇〕

森山裕君 自由民主党の森山裕でございます。

 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方公営企業等金融機構法案について質問いたします。(拍手)

 政策金融改革については、官から民へ、国から地方への理念のもと、平成十七年の秋から政府・与党において本格的な検討がなされたところであります。その中でも、特に公営企業金融公庫については、いわゆる行革推進法の中で平成二十年度に廃止することとされ、その後、政府において取りまとめられた「政策金融改革に係る制度設計」において、「地方公共団体は共同して、資金調達のための新組織を自ら設立する。」とされたところであります。今回提出をされた地方公営企業等金融機構法案は、これら政府・与党におけるさまざまな議論の経過を踏まえて今国会に提出されているものだと理解をしております。

 また、政府・与党における議論と並行して、新しい組織は地方がその自立と責任のもとに共同して設立するものであることを踏まえ、地方六団体においても議論がなされてきました。その中で、昨年十月には、新組織に関して、特別法に基づき設立すること、現公庫の財務基盤の全額を承継することを柱とする地方案が政府に対して提示されているところであります。

 公営企業金融公庫につきましては、これまで、地方公共団体が上下水道、病院、交通等の住民の生活に密着した社会資本整備を安定的に行うとともに、こうした事業を行うに当たって公共料金の抑制や地方財政の負担軽減を図るための、長期で、かつ低利の資金を安定的に供給することにより、住民福祉の向上に寄与してきたところであります。特に最近では、地方債資金の民間調達が推進をされる中で、私の地元鹿児島のような島嶼部や中山間地を多く抱え、民間からの資金調達に限界があるような地域においても、公営企業金融公庫の機能により、長期かつ低利の資金を安定的に確保することができてきたものと考えております。

 私といたしましては、このような公営企業金融公庫の担ってきた重要な役割が新しい金融機構においてもきちんと果たされ、自治体の財政運営や地方の人々の暮らしに安心をもたらしていただきたいと切に願うところであります。

 これらの経過及び基本認識を踏まえ、本法案の基本的な考え方について順次質問をいたします。

 まず、公営企業金融公庫の改革によって、国の特殊法人である公営企業金融公庫は平成二十年十月一日に廃止されることとなりますが、地方公共団体の民間からの資金調達を補完するため、地方が共同して新機構を設立し、この組織に業務が移行することとなっております。この新機構の枠組みを立案するに当たり、どのような考え方に基づき法案作成を行ったのか、この改革についての基本的な理念、考え方はどのようなものであったのか、総務大臣にお伺いいたします。

 次に、組織に関する問題でございます。

 新機構は、地方公共団体が共同してみずから設立をし、自律的な運営を行う組織であるとされている一方で、資金を貸し付ける相手先も地方公共団体という、貸し手と借り手の同一性が極めて高い組織であるため、経営、特に資金の貸し付けに対するモラルハザード等が起きる可能性も否定できないと考えられます。よって、このような事態を招かないよう、新機構においては、組織運営に対する外部性をきちんと確保し、適切な外部チェックがなされる仕組みを構築することが必要であると考えておりますが、本法案においては、その組織運営の外部性を確保する方策はどのように講じられているのか、総務大臣にお伺いいたします。

 次に、業務のあり方に関する問題でございます。

 新機構の業務のあり方、特に貸付対象範囲と事業規模については、行政改革の趣旨からすれば業務の縮減が必要となってくるのでありますが、一方で、地方六団体が提出した地方案においては、地方自治体のニーズを踏まえ、機構が決定するものとされているところであります。機構の貸付対象業務の範囲や事業規模について、具体的にどのようにするお考えか、総務大臣にお伺いいたします。

 次に、国の関与に対する考え方でございます。

 本法案を作成するに当たってのいわば基本原則ともなっている「政策金融改革に係る制度設計」においては、国で担ってきた政策金融の仕組みを地方公共団体の責任で担う仕組みに移行するに当たり、新たな組織に対して、「国は、新たな出資・保証及びヒト・モノ・カネの全ての面における関与を行わない。」とされているところでありますが、本法案において、新機構に対する国の関与はどのように位置づけられているのか、基本的な考え方について総務大臣にお伺いいたします。

 最後に、現公営企業金融公庫の資産、負債の承継問題についてでございます。

 資産、負債の承継に関しましては、地方案におきましては、現在の財務基盤の全額を承継するとされているところであります。組織の移行に際して、引き続き、地方における住民生活に密着した水道、下水道、交通、病院等の社会資本整備を効率的に進めていけるよう、機構の財務基盤についてしっかりと確保することが重要であると考えておりますが、現公庫からの資産、負債の承継についてはどうなっているのか、総務大臣にお伺いいたします。

 以上、法案に対する基本的な所見についてお伺いをいたしました。

 今後、地方債市場を取り巻く環境が大きく変化するなど、地方公共団体がより一層の自立を求められる時代にあり、また、地方が主体的に担う仕組みに移行する改革の趣旨からしても、新機構の設立主体である地方公共団体においては、みずからの責任のもと、今後しっかりとした設立準備を行うことが非常に重要なものとなってくると考えております。

 最後になりますが、安倍内閣にとって、総理が繰り返し述べられている、地方の活力なくして国の活力なしという考え方は、最も重要なテーマであると私は考えております。この地方公営企業等金融機構に関する改革が、行政改革の趣旨のみならず、国から地方へという地方分権改革の趣旨にも沿ったものとなり、現公庫同様、民間からの資金調達が厳しい地方自治体においても、円滑な社会資本整備を行うための長期、低利の資金が確保できるようなしっかりとした組織となるよう、今後の関係各位のさらなる御努力を期待いたしまして、質問を締めくくらせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣菅義偉君登壇〕

国務大臣(菅義偉君) 森山議員から五つの質問がありました。

 まず、公営企業金融公庫の改革方針についてであります。

 公営企業金融公庫廃止後の新組織につきましては、行革推進法及び「政策金融改革に係る制度設計」に従って、地方六団体から提出された制度設計案の考え方も参考にしつつ、制度設計を行ったものであります。また、行政減量・効率化有識者会議などの外部有識者の方々の意見にも広く耳を傾け、組織運営に関する外部性の確保や対象事業の重点化、国の関与の限定などを行ったところであります。

 次に、組織運営の外部性の確保に関するお尋ねがありました。

 本法案においては、最高意思決定機関である代表者会議に地方の代表者と同数の学識経験者を加えるとともに、外部性を有する第三者機関としての経営審議委員会の設置、監査法人等による外部監査制度の導入など、十分に外部性を確保した仕組みを構築しているところであり、この仕組みのもとに適切な運営がなされるものと考えております。

 次に、機構の貸付対象業務の範囲や事業規模に関するお尋ねがありました。

 機構は、地方が主体的に運営する組織である一方、地方公共団体の資金調達を補完するものであり、また、総務省としても、地方債資金の民間調達を推進していくべきであると考えております。

 これらを踏まえ、機構の業務範囲については、民間からの調達では限界がある長期かつ低利の資金であって、住民生活に密着した社会資本整備に対する貸し付けを行うこととしたところであります。

 また、事業規模については、財政融資資金と並行し、機構資金についても、段階的に適切な縮減を図ることとしたところであります。

 次に、国の関与に関するお尋ねがありました。

 「政策金融改革に係る制度設計」において「国は、新たな出資・保証及びヒト・モノ・カネの全ての面における関与を行わない。」とされていることを踏まえ、機構が新たに行う業務に関しては、現公庫における役員の任命、予算、債券発行等の認可を廃止し、設立認可、定款変更認可、違法行為是正要求等の必要最小限の適法性のチェックのみを行うこととしております。

 最後に、資産、負債の承継に関するお尋ねがありました。

 資産、負債の承継において、現公庫の財務基盤の大宗を占める債券借換損失引当金については、新たな貸し付けに係る一般勘定及び既往の債権管理を行う管理勘定について、将来にわたる経営の持続可能性を確保するために必要な資産を精査した結果、平成二十年十月時点において予想される債券借換損失引当金残高、おおむね三・四兆円全額を引き継ぐこととなっております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 森本哲生君。

    〔森本哲生君登壇〕

森本哲生君 民主党の森本哲生でございます。

 質疑に入る前に、長崎市伊藤市長の今回の事件、悲しみと同時にいたたまれない気持ちでございます。心より御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。

 それでは、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました地方公営企業等金融機構法案について質問をさせていただきます。(拍手)

 現在、公営企業金融公庫から地方の公営企業に低利かつ長期で融資された資金は、上下水道、交通等の社会インフラ整備に用いられております。

 私たち民主党は、昨年の通常国会に行政改革推進法案を提出いたしました。そこでは、行政改革、地方分権、住民生活の利便のバランスを考え、現在の公庫を廃止し、地方が共同して運営する組織に移管するというスキームを提案いたしました。

 今回政府が提出された法案も、現在の公庫を廃止し、地方が共同で運営する新たな機構を設立するというものですが、その内容については慎重な審議が必要であります。例えば、政府案が実現することによって、融資条件が現在よりも地方自治体にとって不利なものとなれば、公共料金の値上がりなど、住民の負担がふえることも考えられます。本法案は、住民の生活に直結し、制度設計や運営を誤れば、地方の格差を拡大させることにもつながりかねない非常に重要な法案であります。

 そこで、以下、不明確な点、懸念される点につきまして質問をさせていただきますので、総務大臣を初めとする各大臣の明快な御答弁をお願い申し上げます。

 まず、新たな機構の組織体制について質問をいたします。

 先ほどの森山議員も一部重なる質問をされましたが、本法案は、地方自治体が運営する新機構が地方自治体に貸し付けを行うというスキームを採用いたしております。貸し手と借り手が同じ地方ということになりますので、融資の際に審査が甘くなるのではといった懸念がなされております。総務省では、これを防ぐために、外部性を有する第三者機関として、機構に経営審議委員会を置くとされております。

 しかし、そのメンバーは、知事、市長、町村長それぞれの代表者と地方の三団体が選任する学識経験者で構成される代表者会議が任命することとされております。地方自治体の息のかかった人物が第三者機関を構成することになるため、果たして第三者性の確保が図れるのかどうか疑問であります。徹底した情報の開示や公正中立な立場からの外部監査が必要と考えますが、総務大臣の御見解をお伺いいたします。

 次に、新たな機構に対する出資方法についてであります。

 本法案は、地方自治体の出資方法が規定されておりません。すべての地方自治体に対して新たな機関への出資義務を課さなければ、財政力が強く、融資を必要としない地方自治体は出資せず、財政力の弱い地方自治体のみで新しい機構を形成することにもなりかねないわけであります。具体的な出資方法は地方六団体の設立準備委員会で今後検討していくとのことでございますが、政府としてどのような方法が望ましいと考えておられるのか、総務大臣の答弁をよろしくお願いいたします。

 次に、新たな機構が発行する債券に対する保証についてであります。

 本法案では、現在の公庫で行われていた政府保証ではなく、地方自治体が新たな機構が発行する債券に対して保証することができると規定されています。しかし、政府保証がつけられていたときと比べて信用度が落ち、現在のような資金調達ができなくなることが懸念されております。総務大臣は、新たな機構が発行する債券が市場でどのような評価を受けるものと見込んでおられるのか。よろしくお願いをいたします。

 また、一口に地方自治体が保証するといっても、保証の方法は、地方自治体が共同して保証する、個別の団体ごとに保証するなど、さまざまな選択肢が考えられます。そして、保証の方法いかんによって市場の信用度が変わってくることも想定されます。しかし、本法案では、保証のルールについて具体的に規定をされていません。そこで、総務大臣にお伺いいたしますが、新機構ではどのような方法で保証をされるのか、具体的に御答弁をよろしくお願い申し上げます。

 次に、新たな機構の貸付先について質問をさせていただきます。

 本法案では、新機構が貸し付けることを認める公営企業の種類について、水道、交通、病院、下水道、公営住宅、その他政令で定めるものと規定されております。このように、本法案は、貸し付けを認める公営企業の種類を国が決めることにいたしております。これでは、政令の内容いかんによっては、地方が本当に必要とする分野で資金調達ができなくなる可能性もあります。本法案は、専ら国の行政改革の観点から立案されておりますが、国の行政改革と地方の行政改革とが必ずしも同じ結論になるとは限りません。政令を定める際には地方と協議するといった方法で地方の意見を尊重されるのかどうか、総務大臣の意向をお伺いいたします。

 続いて、具体的にお伺いをいたしますと、例えば、地方公営企業は、水道や交通など社会インフラに関するものばかりでなく、介護サービスを公営企業として運営している地方自治体も多く存在します。その数は、平成十七年度で六百五十一にも上ります。現在の公庫は、介護サービスを行う公営企業に対しても貸し付けを行っておりますが、先ほど申し述べたとおり、本法案では介護サービスを新機構の貸し付けの対象として明記されておりません。新機構から貸し付けを受けられなくなった場合、これらの自治体の介護サービスは低下するのではないでしょうか。厚生労働大臣の答弁を求めます。

 また、政令で介護サービスを貸し付けの対象とする予定があるのかどうか、総務大臣の答弁もよろしくお願いをいたします。

 次に、新たな機構に対する国の関与についてでありますが、政府は、昨年の六月に政策金融改革推進本部と行政改革推進本部で決定された「政策金融改革に係る制度設計」において、新しい組織に対して、これも森山議員と少し重複いたしますが、「新たな出資・保証及びヒト・モノ・カネの全ての面における関与を行わない。」との方針を示していました。本法案も、国の関与は適法性をチェックするための必要最小限のものに限定するとの立場に立っています。

 一方で、現在の公庫の実態を見ると、中核的な役割を担っているのは国からの出向者です。全職員約八十人のうち、平成十九年三月時点で五十五人が出向者で占められておるわけでございます。本法案では、職員の構成についても全く規定をされていませんが、国から人を全く出さないということになるのか、総務大臣の見解を求めます。

 仮に国から出向させないというのであれば、従来の公庫のノウハウがない職員だけで新しい機構を運営していくということになりますが、それで地方自治体に低利かつ長期で貸し付けるという特殊な事業を円滑に運営していくことが可能なのでしょうか。あわせて、総務大臣の御見解をお伺いいたします。

 また、現在の公庫は、十年債を中心に資金調達する一方で、地方の公営企業に対して最長二十八年で貸し付けをされております。そのため、二十八年の間に最大二回借りかえることになります。その借りかえの際に金利が高くなると、いわゆる逆ざやが起きることになるため、現在の公庫は債券借換損失引当金を積み立てています。

 新たな機構は、その引当金を全額承継するとされております。近年においては、低金利の恩恵を受けて逆ざやが起きず、引当金を取り崩すことはなかったわけでありますが、今後、金利が上昇し、引当金を取り崩していくという事態が起きることも想定されます。万が一、現在の公庫から承継した引当金を使い果たしてしまった場合、国は財政的な支援を行う用意があるのかどうか、総務大臣の答弁を求めます。

 次に、機構の残余財産等の帰属についてであります。

 本法案は、公営企業金融公庫の財産は国がつくり上げたものだという前提に立ち、機構が将来解散した場合などにおいて残された財産は自動的に国に帰属するという考え方をとっておられます。しかし、公庫の財産のほとんどは、地方自治体のいわば払い過ぎた利息が累積したものであり、国はその形成にそれほど寄与していないのであります。それにもかかわらずこのような取り扱いをすることは、地方側にとって不満が残ると考えられますが、総務大臣は、公庫の財産の形成に対する地方自治体の寄与についてどのような認識を持っておられるのか、お伺いいたします。

 最後に、安倍内閣が補助金改革に手をつけるおつもりが一体あるのかどうか、お伺いをいたします。

 本法案により、公営企業に対する貸し付けについては地方の自主性におおむねゆだねられることになりますが、下水道など公営企業にかかわる補助金についてはほとんど手つかずで、国の関与が残されたままです。

 そもそも安倍総理は、補助金の改革を含め、地方分権に関する具体策を示すことができずにいます。小泉前総理のいわゆる三位一体改革は、数字合わせ、看板倒れとさんざん酷評されましたが、一応四兆円の補助金を削減するという目標は実行されました。安倍総理は、地方分権改革推進委員会に地方分権に関する政策の検討をすべてゆだねるという、数字合わせの小泉前総理よりもひどいありさまとなっております。

 これに対して民主党は、国から地方への個別補助金については基本的に全廃し、地方が自由に使える財源に改めて地方の自由度を高めるという具体的な提案をいたしております。

 政府は今後、国から地方への補助金をどのように改革していくのか、総務大臣、財務大臣それぞれに今後の方針をお伺いいたします。

 質疑については以上でありますが、最後に、国政に対する思いを政治家森本哲生として述べさせていただきます。一年生議員として何を言うのか、おしかりをいただくかわかりませんが、お許しを賜りたいと存じます。

 国会に送っていただいて一年半が経過をいたしました。特別、通常、臨時国会、すべて経験させていただくことができ、感謝をいたしております。委員会などの非常に充実した質疑を通じて、国会議員としての責務を日々強く感じている昨今であります。

 しかし、今国会の審議は、法案によっては質疑も少なく、職権によって開催されることが大変多くなりました。私自身、民主党の行動すべてを正当化するものでもありません。しかしながら、国権の最高機関である国会が今のような状況で、国民の皆さんに胸を張って説明できないことが私は非常に残念にも思っております。

 私ども政治家は、より多くの方々の幸せをただひたすら願って、あらゆる角度から議論をすることが政治家の使命と考えております。今の審議状況が、私は憲政史上に汚点を残すことにはなりはしないか。総理のリーダーシップ、そして尊敬する河野議長の良識ある判断をお願いして、質疑を終わります。(拍手)

    〔国務大臣菅義偉君登壇〕

国務大臣(菅義偉君) 森本議員の質問に順次お答えしてまいります。

 まず、機構のガバナンスについてであります。

 本法案におきましては、最高意思決定機関であります代表者会議に地方の代表者と同数の学識経験者を加えるとともに、外部性を有する第三者機関としての経営審議委員会の設置、監査法人等による外部監査制度の導入など、十分に外部性を確保した仕組みを構築しているところであり、適切な運営がされるものと考えます。

 また、情報公開の観点につきましては、機構の予算、財務諸表や監査結果等についての公表や、インターネットを活用した情報開示等についても規定をしているところであります。

 次に、機構への出資についてお尋ねがありました。

 出資に関しては、機構が、地方が自主的、主体的に運営する法人であることを踏まえ、法案上、地方公共団体以外の者は出資することができず、地方公共団体が全額出資することになっておりますが、すべての地方公共団体に出資を義務づけるものではありません。

 出資総額、団体別の出資額に関しましては、地方六団体を中心に、今後鋭意検討されると伺っております。

 次に、機構の債券についての市場評価の見通しについてお尋ねがありました。

 機構は、地方公共団体向けに限定をし、長期、低利の資金の貸し付けを行うという政策目的を担うとともに、その財務基盤として債券借換損失引当金を全額承継することによって、将来にわたり経営の持続可能性を確保することができるものと認識をしております。これについては、投資家へのIRを通じて市場関係者に周知を行うことにより、市場評価を確立できるものと考えております。

 次に、機構の債券に対する地方公共団体の保証についてお尋ねがありました。

 本法案においては、地方公共団体が機構の債券に係る債務について必要に応じて保証ができる枠組みを用意したところであります。機構は、金利変動リスクに対応するための金利変動準備金など十分な財務基盤を有しているところであり、これらを勘案しながら、機構と地方公共団体との間で必要に応じて具体的な保証の方法等については決定されるものと考えております。

 次に、政令で定める貸付対象事業及び介護サービス事業についてお尋ねがありました。

 政令で貸付対象事業を定めるに当たっては、機構の業務の重点化を図る一方で、民間からの資金調達では限界がある長期資金の必要性や地方公共団体のニーズを勘案しつつ、地方の意見も十分聞きながら、今後、介護サービス事業も含めて総合的な見地から検討を行ってまいります。

 次に、機構への国家公務員の出向及び機構の円滑な運営についてお尋ねがありました。

 職員の任用については機構にゆだねるものでありますけれども、機構の行う業務については金融や地方財政等に関する高度な知識が求められることなどから、業務の円滑な実施のためには幅広い人材を活用していただくことが必要であると考えております。機構がその業務の円滑な遂行のために国に対し国家公務員の出向を要請する場合には、その意向を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えます。

 次に、金利変動準備金がなくなった場合における国の財政支援についてお尋ねがありました。

 将来にわたる経営の持続可能性を確保するために必要な資産を精査した結果として、平成二十年十月時点において予想される債券借換損失引当金残高、おおむね三・四兆円の全額を機構に承継することとしたところであります。したがって、機構においては、国から承継した財政基盤を生かしつつ、健全な経営に万全を期していただきたいと考えており、万が一、引当金を引き継いだ金利変動準備金を使い果たすような事態があるとしても、機構に対する国の財政支援はないものと認識をいたしております。

 次に、現公営企業金融公庫の財産形成についてお尋ねがありました。

 現公庫の財産基盤の大部分を占める債券借換損失引当金については、長期にわたる低金利局面における債券の借りかえによって生じた利益を将来の金利上昇に伴う損失に備えて引き当ててきた結果として形成をされたものと認識をいたしております。

 最後に、補助金改革についてお尋ねがありました。

 三位一体改革では、地方が自由に使える財源をふやし、地方の自立を可能にし、みずからの創意工夫と責任で地方自治体の政策を決められるようにすることが重要であるという考え方に立って、地方からの意見にも配慮し、補助金改革を行ってきたところであります。その結果として、三兆円の税源移譲に結びつく国庫補助負担金の廃止、縮小と交付金化、スリム化の改革が達成をできたところであります。

 今後とも、地方分権改革推進法に基づいて、先般発足をした地方分権改革推進委員会の審議の中で、国と地方の役割分担の見直し、それに応じた地方税財源の充実確保等の観点から、国庫補助負担金のあり方について検討を行ってまいります。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕

国務大臣(柳澤伯夫君) 森本議員から、地方公営企業等金融機構の貸付対象事業についてお尋ねをいただきました。

 御指摘のとおり、現在の公営企業金融公庫におきましては、介護サービス事業が貸付対象事業となっております。今後、地方公営企業等金融機構が設立された後におきましても、地方公営企業としての介護サービス事業につきましては、その資金需要をよく把握された上で、地域における介護サービスの確保に支障が出ることのないよう対応されることを求めてまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣尾身幸次君登壇〕

国務大臣(尾身幸次君) 森本議員からの御質問についてお答えいたします。

 国庫補助負担金改革についてのお尋ねがございました。

 地方分権改革推進法に基づき、国と地方の役割分担や国の関与のあり方について見直しを行い、これらの見直しに応じ、国庫補助負担金のあり方を見直してまいります。今後とも、あらゆる施策や事業について聖域なく国庫補助負担金を見直し、その整理合理化を推進してまいります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十一分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣  菅  義偉君

       法務大臣  長勢 甚遠君

       財務大臣  尾身 幸次君

       厚生労働大臣 柳澤 伯夫君

 出席副大臣

       総務副大臣  大野 松茂君


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