衆議院

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第25号 平成19年4月24日(火曜日)

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平成十九年四月二十四日(火曜日)

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  平成十九年四月二十四日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 議員請暇の件

 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)及びイラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案(原口一博君外四名提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 議員請暇の件

議長(河野洋平君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。

 篠原孝君及び山田正彦君から、四月二十七日から五月四日まで八日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可することに決まりました。

     ――――◇―――――

 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)及びイラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案(原口一博君外四名提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び原口一博君外四名提出、イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案について、順次趣旨の説明を求めます。国務大臣塩崎恭久君。

    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

国務大臣(塩崎恭久君) ただいま議題となりましたイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、国家の速やかな再建を図るために行われているイラクの国民による自主的な努力を支援し、及び促進しようとする国際社会の取り組みに関し、我が国がこれに主体的かつ積極的に寄与するため、国際連合安全保障理事会決議第千四百八十三号及びこれに関連する決議を踏まえ、人道復興支援活動及び安全確保支援活動を引き続き行うこととし、もってイラクの国家の再建を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的として提出するものであります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 この法律案の内容は、現行法の期限を二年間延長し、施行の日から六年間とするものであります。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

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議長(河野洋平君) 提出者笹木竜三君。

    〔笹木竜三君登壇〕

笹木竜三君 私は、民主党・無所属クラブの提出者を代表して、ただいま議題となりましたイラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案について、その趣旨を説明させていただきます。

 我々は、イラク特措法に基づく自衛隊派遣の法的枠組みはフィクションであるばかりでなく、海外における武力行使を禁じる憲法に抵触するおそれがあるものであり、また、戦争の大義や、国連安保理決議を正当性の根拠として制定した同法の枠組みは完全に破綻しているとの立場から、第百六十一国会、第百六十三国会において、イラク特措法を廃止する法律案を提出いたしました。

 戦争の大義とされたイラクの大量破壊兵器は発見されず、イラクに対する武力行使が正当性を有しないものであったことは明白であり、米国に追従し、不正確な情報に基づきこれを支持した政府の責任はまことに重いと言わざるを得ません。

 政府は、湾岸戦争時の国連安保理決議及び武力行使を容認していない国連安保理決議一四四一を根拠にイラク戦争を支持しましたが、米国のブッシュ大統領、英国のブレア首相は、大量破壊兵器がなかったこと、さらに、テロ組織のアルカイダとのつながりについて、その非を認め、国民に率直におわびのコメントを発しています。それに比べ、武力行使を容認していない一連の国連決議を持ち出し、間違った情報に基づき戦争を支持した誤りを一切認めない政府の姿勢は、言語道断であると言わざるを得ません。

 さらに、政府は、民主党の主張に耳を傾けることなく、漫然と派遣期間の延長を繰り返し、自衛隊の部隊等による対応を継続してきました。昨年七月には、陸上自衛隊がサマワから撤収しましたが、航空自衛隊の活動内容は、人道支援物資の輸送を行う人道復興支援活動中心から、米軍を中心とする多国籍軍支援へと軸足を移すなど、大幅に変化しています。

 自衛隊員のお一人お一人の灼熱のもとでの活動、その御苦労には心から敬意を表したいと思いますが、政府の対応は、イラクの復興支援というよりも、米国向けに派遣実績を示すためのものとしか言いようがありません。しかも、航空自衛隊の活動は人員や物資の輸送であり、自己完結的な部隊でなければできない内容とは言えません。事実、航空自衛隊が輸送を行っているバグダッドやエルビルの空港には、現在、民間商業便も運航をしています。安全面を重視しているとはいえ、欠航することも多いと伝えられる航空自衛隊が撤退しても、国連や多国籍軍の活動に実質的な影響が出るとは考えられません。

 一方で、イラク国内のテロ組織は、最近、対航空攻撃を集中させているとも言われており、航空自衛隊のパイロットの高い技術をもってしても、安全性には大きな懸念があります。また、バグダッドでは、依然として厳しい治安情勢が継続しており、つい先日も大規模な連続爆弾テロが発生するなど、痛ましい事件も後を絶ちません。

 イラクにおけるテロの被害は、イラク戦争前、二〇〇一年から二〇〇二年の年平均が死者四名、負傷者五十五名、それが戦争後は、二〇〇四年―二〇〇六年の年平均が死者六千五十七名、負傷者九千五百八十五名、まさに泥沼の状態です。

 今、政府が検討すべきは、既に破綻している法的枠組みを延長することではなく、むしろ、特措法の期限切れをきっかけとして、撤退のための明確な出口戦略を描くことです。

 既に、スペイン、ニュージーランド、オランダ、イタリアなど十四カ国が撤退し、英国は段階的兵力削減を発表し、デンマークも部隊撤退を発表しています。さらに、ルーマニアが年内の兵力削減を発表し、リトアニアも撤退検討を発表しました。また、当の米国でも、議会において撤退の道筋をつけるための動きが出ています。

 法律の期限切れという絶好の機会を生かし、自衛隊の撤退を検討すべきであって、出口戦略もなく、漫然と法律を延長する政府の姿勢は極めて無責任としか言いようがありません。

 イラク特措法を延長するのではなく、自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了し、その上で、イラクの現状を踏まえた我が国にふさわしいイラクの復興支援活動を実施していくことが重要です。

 また、この間、全く国民に対して情報開示がされなかったイラクにおける自衛隊の活動を総括し、シビリアンコントロールに資する観点からも、政府に対し、特措法第五条の規定に基づく国会への報告を、国会の民主的統制に十分資するものとなるように行うことを義務づける必要があります。

 以上が、イラクにおける自衛隊を直ちに撤退させるためのイラク特措法を廃止する法案を提出した理由です。

 議員各位におかれましては、本案の趣旨につき十分に御理解を賜り、慎重御審議の上、速やかに可決されることをお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)及びイラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案(原口一博君外四名提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。吉川貴盛君。

    〔吉川貴盛君登壇〕

吉川貴盛君 自由民主党の吉川貴盛でございます。

 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりましたイラク人道復興支援特別措置法の改正案につきまして、安倍総理並びに麻生外務大臣、久間防衛大臣にそれぞれ質問をいたします。(拍手)

 昨年七月の陸上自衛隊のサマワからの撤収で、自衛隊によるイラク復興支援は一つの節目を迎えました。陸上自衛隊は、平成十六年一月にイラクで活動を開始しましたが、第一次群の番匠群長は、義理、人情、浪花節をモットーに、武士道の国の自衛官らしく規律正しく堂々と取り組むとの決意を持って部下を指揮し、以後、十次群にわたり、延べ約五千五百人の隊員が、イラク・サマワの地で復興支援のために汗を流したのであります。

 活動当初は、食事はレトルト食品のみで、風呂もなく、タオルで体をふいていたと聞いておりますし、また、活動開始から間もない平成十六年四月、宿営地近傍に迫撃弾が着弾するなど、治安状況が不透明な中にあって、遠いイラクのサマワで復興支援活動を軌道に乗せるまでには並々ならぬ苦労があったと聞いております。そのような中で、音楽隊所属の隊員による楽器演奏が大変楽しみだったとも聞いているのであります。

 また、周知のとおり、陸上自衛隊の撤収以降は、航空自衛隊が引き続きイラクの大空を飛び、イラク復興支援に邁進しているところであります。

 クウェートでは、夏の時期には日中の気温が約五十度、機中の温度は最高で七十度にもなることがあり、機内の手すりやコックピットの操縦桿は熱くて握れないほどになることがあると聞いているのであります。さらに、頻繁に砂嵐が発生するなど自然環境が大変厳しいことに加え、飛行に当たっては安全面に細心の注意を払う必要があるなど、日本国内とは大きく異なる飛行環境に置かれているとも聞いているのであります。

 そのため、現地で任務に当たる空自隊員諸官におかれては、体力、気力ともに極めて厳しい環境下に置かれていると言っても過言ではありません。このような過酷な勤務条件のもとにあっても、現場の隊員が粛々と任務を遂行しておられることは、まさに我が国の代表としての使命を隊員諸官がおのおのの胸に刻み、高い使命感と緊張感を持っていることのあらわれではないでしょうか。

 改めまして、これまで活動に従事し、そして現在も日本を遠く離れた中東の地において、イラクのため、そして世界の平和のために活躍する自衛隊の隊員並びに隊員を支えている御家族を初め多くの方々に対し、心より敬意を表したいと思います。(拍手)

 第一次イラク復興支援群は、北海道旭川の第二師団を主力とする部隊でありましたが、留守を守る旭川市民も、派遣された自衛隊員の無事を祈って黄色いハンカチを掲げる黄色いハンカチ運動を行っていましたのは、記憶に新しいところであります。同じく、私の地元に駐屯します北部航空方面隊からも二名の自衛隊員がサマワに出発する際の壮行会におきまして、黄色いハンカチを振って私自身も無事を祈ったものでありました。

 航空自衛隊の隊員並びに輸送支援の対象である国連職員や多国籍軍の方々の安全確保に万全を期して活動をしていただくよう、特に政府に要望をしておきたいと思います。

 さて、まず総理に、自衛隊のイラク派遣の意義についてお伺いいたします。

 フセイン政権の崩壊以後、国連は、安保理決議一四八三において、国際社会の一致した意見として、すべての国連加盟国に対し、イラクへの人道復興支援等への協力を要請いたしました。その際、イラクへの人道復興支援へ向け、我が国が何をなすべきか、そして何をもって貢献できるかを議論したことは、記憶にいまだ鮮明であります。当時、自衛隊をなぜイラクに派遣することになったのか、改めて総理の御見解を伺いたいと思います。

 第二に、今回のイラク特措法改正案の延長に当たり、なぜ二年の延長なのか、その理由についてお尋ねします。

 我が国は、敗戦後、国際社会からの支援のもとで、灰じんに帰した国土を復興し、発展の軌道に乗せることに成功しました。これにより、ひいてはアジア太平洋地域の平和と安定にとって欠かせない国となったのであります。戦後の困難を克服し、復興の道を歩んだ我が国の経験をイラクに伝えていくことは、我が国にしかできない貴重な支援策になるのではないかと考えるものであります。

 現在、イラクは、テロの頻発や宗派間対立の激化等、厳しい情勢が継続しており、まさに産みの苦しみを国家レベルで経験しているところであると考えます。そのような状況の中、国連や米国を初めとする多国籍軍は、引き続きイラク復興支援に取り組んでいく姿勢を明確にし、そのため、国際社会のイラクでの活動は今後も継続していくものと承知をしております。

 そのような状況の中、国連や多国籍軍より、日本の航空自衛隊の空輸支援に対し、引き続き継続を要請する多数の要望が寄せられているとも聞いているのであります。イラクの安定化、復興の本格化にはいまだ相当数の時間が必要であり、国際社会の期待も高い中、我が国としては主体的、積極的に貢献していく必要があると考えますが、政府は今般、イラク特措法を延長する理由及び延長幅を二年とする理由について、総理の明快な説明を願います。

 次に、防衛大臣に対し、今日までの自衛隊のイラクでの活動の評価についてお尋ねいたします。

 昨年七月まで約二年半にわたっての陸上自衛隊のイラクでの活動は、学校や病院、道路等といった公共施設の復旧や整備、イラク人医師に対する診療・医療技術の指導等といったさまざまな活動を現地で目に見える形で行い、イラク国民から高い評価を受けるに至りました。また、陸自部隊の撤収後も活動を継続している航空自衛隊による輸送活動についても、国連事務総長を初め各国首脳から多くの感謝を受けていると聞いているのであります。先日も、来日したマリキ首相を通じ、総理はムサンナ県民からの自衛隊の活動に対する謝意を表した心のこもった手紙を受け取ったと聞いております。

 第一次イラク復興支援群の活動の際、平成十六年五月五日のこどもの日には、サマワ市内のユーフラテス川川岸で、日本のこいのぼりを紹介する行事が行われております。ユーフラテス川になびいたこいのぼりは、番匠一佐、当時でありますが、ゆかりの北海道名寄市の人々がサマワに送ってくれたものでありました。子供たちの健やかな成長を願うこいのぼりを見て、不自由な生活を続けるサマワの人々も大いに喜んでくれたのではないかと存じます。

 陸自部隊の活動期間中に、自衛隊への支持と活動継続を求めるサマワ市民のデモ行進が三回も行われたとのことでありますが、このことは、陸上自衛隊がサマワの人々に受け入れられ、人々の生活の向上に資する支援が行われたことの証左であると考えるものであります。

 我が国としては、このように相手国等から感謝される形で、長期的な幅広いパートナーシップの構築を視野に入れつつ、イラクの国づくりに対する支援に取り組んでいくことが重要ではないかと考えますが、航空自衛隊による輸送支援を含め、我が国がイラクで行っている活動がイラク政府や国連からどのように評価されているのか、伺いたいと思います。

 最後に、外務大臣に、今後イラクで日本が行う経済協力活動の展望について質問いたします。

 イラク政府は、宗派間の国民融和を目的とした各種の試みや、イラクの政治、治安及び経済復興面での今後五年間の政策目標を国際社会に示すイラク・コンパクトの策定作業を進めるなど、民主的な政府のもとで、イラク人自身による自立的な復興に向け、本格的な第一歩を踏み出したばかりであります。現下の情勢を踏まえれば、イラクの国づくりは長い道のりになるものと考えざるを得ません。

 イラクにとっては、ここ数年が情勢の打開と復興に向けたかぎを握る重要な時期であると言え、イラクの国づくりに対する国際社会による支援も、まさにここ数年が正念場となるのではないでしょうか。これまで政府は、自衛隊による人道復興支援活動とODAを、いわゆる車の両輪としての支援を行ってきましたが、政府としてどのような経済協力活動を考えているのか、今後の展望についてお答えをいただきたいと思います。

 イラクの復興に向けての国際社会の取り組みに、我が国として目に見える貢献をする必要性を痛感しているのは私一人だけではありません。政府は、全力を挙げて、イラク及び中東諸国の平和と安定に貢献していただきたいと思います。そして、願わくは、イラクが民主的な国家として一日も早く再建され、国際社会からの支援を必要とせず、ひとり立ちできる状態になることを切に希望し、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 吉川貴盛議員にお答えをいたします。

 自衛隊のイラク派遣の意義についてお尋ねがありました。

 政府としては、イラクの復興と安定は我が国及び国際社会全体の平和と安全の観点から重要であること、また、多くの国がイラクを支援する中、我が国も国際社会の一員としての責務を果たす必要があること、さらに、自衛隊は、日ごろから訓練を積み、厳しい生活環境においても十分に活動できる自己完結性と危険を回避する能力を備え、世界各地の平和構築努力に参加した経験を有していることなどを踏まえ、自衛隊のイラク派遣を決定したものであります。

 イラク特措法を二年間延長する理由についてのお尋ねがありました。

 イラクの安定と復興は、国際社会共通の重要課題であり、我が国自身の国益にも直結します。したがって、我が国は、イラクの国づくりの努力を主体的に支援していく必要があります。また、潘国連事務総長、マリキ・イラク首相等からも、航空自衛隊の空輸支援への謝意表明や、継続要請の書簡が寄せられています。

 これらを踏まえ、イラクの復興努力に対する支援に腰を据えて取り組む姿勢を示し、航空自衛隊の輸送支援を継続的、安定的に続けるため、法律を二年間延長することといたしました。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 吉川先生より、対イラク経済協力活動について、一問質問をいただいております。

 日本は、二〇〇三年十月のマドリッドの会合におきまして、最大五十億ドルのイラク復興支援を表明いたしております。このうちの十五億ドルの無償資金協力は、既に使途をすべて決定し、現地で着実に支援を進めているところであります。

 また、イラクのインフラ整備のための最大三十五億ドルの円借款につきましては、これまで電力、運輸、石油、かんがい等の分野において十案件、約二十一億ドルに対する支援の意図をイラク側に表明済みであります。

 さらに、本年二月、宗派、民族間の対立激化などの厳しい情勢の中でのイラク政府の国づくりを支援すべく、約一億ドルの無償資金協力を決定したところでもあります。

 日本といたしましては、国際社会と協力をいたしつつ、引き続きイラク政府の主体的な復興努力を支援していくという考え方で進めてまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣久間章生君登壇〕

国務大臣(久間章生君) 吉川議員にお答えいたします。

 国連やイラク政府の自衛隊の活動に対する評価についてお尋ねがありました。

 先ほど総理からもお答えがありましたように、国連からは、潘事務総長等から航空自衛隊による空輸支援に感謝する旨や空輸支援継続を希望する旨が、またイラクからは、マリキ首相等からこれまでの自衛隊のイラクでの活動を高く評価し、航空自衛隊の活動継続を希望する旨などが表明されております。(拍手)

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議長(河野洋平君) 神風英男君。

    〔神風英男君登壇〕

神風英男君 民主党の神風英男です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりましたイラク特措法改正案及びイラク特措法廃止法案に対して質問をいたします。(拍手)

 二〇〇三年三月二十日、日本時間の午前十一時半過ぎ、穏やかな快晴の日であったと記憶しておりますが、米英を中心とする有志連合軍の爆撃によりイラク戦争が開戦となりました。九・一一発生の夜、一晩眠れない経験をした私にとって、有志連合によるイラク攻撃のニュースは衝撃的でした。あれから四年、現在のイラクの情勢は、そのとき全く想像もしていなかった状況を呈しています。

 スタンフォード大学の政治学者ジェームズ・フィーロン氏によれば、イラクでの流血を押しとどめる手だては米国にはない、一時的に兵力をふやしても、減らせばまた悪化する、いずれかの勢力が他を圧倒して権力を掌握するか、いずれの勢力も他を圧倒できないと悟って交渉による権力配分に踏み切るか、どちらかである、それまでは何をしても無駄であり、放置するしかないといった、極めて明快で投げやりな論考をフォーリン・アフェアーズ誌に寄稿しています。

 まことに冷静で正確な、そして残酷な評価であると思いますが、総理は現在のイラクの状態をどのように認識されているのか、まずは総理の御見解を伺います。

 政治家は結果責任を問われる存在である以上、現在の状況を招いた責任はブッシュ政権にあると言わざるを得ません。そして同時に、そのイラク戦争を支持した日本政府も、その責任を免れるものではないはずです。

 米国のブッシュ政権は、イラク開戦に際して、サダム・フセインは大量破壊兵器を持っている、そのイラクは水面下でアルカイダとつながっていることを理由に武力行使に踏み切りました。しかし、現在、米国、英国ともに、その開戦理由とされた事実が存在しなかったことを正式に認めています。イラク戦争の開戦当時とは事実関係が百八十度変わってしまったのです。

 ところが、日本政府は、米国の対イラク武力行使を支持するに当たり、サダム・フセインが十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反していることをいまだに最大の根拠としています。したがって、開戦当時、米国がイラクへの武力行使の論拠となる新たな国連安保理決議を取りつけることに失敗したにもかかわらず、米国の武力行使は正当化し得るといった理屈にしがみついています。

 そうした中、本年一月十日、国民へ向けてのイラク新戦略に関する大統領演説の中で、ブッシュ大統領は次のように述べています。

 イラクにおける今の状況は、米国民にとって受け入れがたいものであり、私にとっても受け入れがたいものです。我が国の軍隊は、イラクで勇敢に戦ってきました。彼らは、私たちが要請したことをすべて実行してきました。間違いが起きた点に関しての責任はすべて私にあります。

 同じように、イラク戦争を支持した日本のリーダーとして、イラク民間人の死亡者が約六万七千人にも達する現在のイラクの惨状を直視したときに、日本のイラク戦争への支持がいまだに正しかったと言えるのかどうか、総理の政治家としての見解を伺います。さらに、この点に関して、外務大臣、防衛大臣の御認識もお示しをいただきたいと思います。

 また、民主党は、イラク戦争の大義がないことを理由の一つとして、イラクへの自衛隊派遣に反対し、イラク特措法の廃止法案を提出していますが、イラク戦争支持の正当性についての民主党の基本的な認識を伺います。

 政府は、安全上の理由を盾に、イラクにおける航空自衛隊の活動内容について、極論をすれば、派遣当初から本年四月十九日までの間に総計四百九十五回、約五百二十二・四トンの物資の輸送を行ったといったような情報しか開示をしておりません。しかし、これは、安全上の理由からという以上に、開示をしたくても開示をできない状況にあると考えられます。

 そこで伺いますが、現在、航空自衛隊が行っている活動は、イラク特措法に定められた人道復興支援活動に当たるのか、あるいは安全確保支援活動であるのか。基本計画によれば、安全確保支援活動は人道復興支援活動に支障を及ぼさない範囲での活動とされているわけですが、多国籍軍兵士や物資の輸送が主な任務であるならば人道復興支援活動とは言えず、安全確保支援活動がその中心であるという認識でよいのか、防衛大臣に伺います。

 また、これまでの政府の見解によれば、我が国の自衛隊は、イラク多国籍軍に対し、協力ではなく参加しているとのことですが、これは憲法の禁じる武力行使との一体化をすることがないとの判断によるものでしょうか。いま一度総理にお答えを願います。

 さらに、そうであるならば、現在の空自の活動にかんがみて、本当にそれが担保されているのかどうかという疑問を禁じ得ません。なぜなら、梱包されている物資について、我が国は多国籍軍との信頼関係のみで、十分な確認もできずに輸送しているからであります。我が国の自衛隊は、我が国の主体的な判断のもとに、我が国の指揮に従い行動しているはずですが、これでは多国籍軍の判断に任せているのと同じ状況です。多国籍軍との信頼関係以外に、武力行使との一体化をしていないとの担保はどこにあるのか、総理の明快な答弁をお願いします。

 さて、いわゆる非戦闘地域の概念が虚構の概念であり、イラク特措法の法的な枠組みが完全に破綻しているような、まさに無理に無理を重ねたこのイラク特措法ですが、どのような国益のためにその延長を図るのでしょうか。

 平成十五年三月二十日の閣議決定においても、我が国自身の国益を踏まえ、このたびのイラクに対する武力行使を支持するとありますが、日本にとっての国益とは何かをきちんと、総理、外務大臣に明示していただきたいと思います。

 加えて、民主党提出者には、廃止法案を提出する立場からの日本の国益について説明を願いたいと思います。

 また、日本にとっては北朝鮮の問題もあり、現在の日米同盟を支える基盤がイラクへの自衛隊派遣とするならば、今回の延長は対米配慮であると割り切って、米国に追従するしかないという考え方を主張されるのかもしれません。しかしながら、そうであっても、無条件で追従することは日本の国益に反すると言わざるを得ません。

 自衛隊派遣を決めた当時も、米国は、日本の国連常任理事国入りに向けた動きを支持するどころか、最終的には、米国によってつぶされてしまったのです。これは、日本外交の完全な失敗であり、この反省に立つならば、一方的に対米追従し続けるのではなく、米国に安保理常任理事国入りを支持させることも当然必要と考えますが、いかがでしょうか。総理、外務大臣にその覚悟も含めてお伺いをします。

 さらに、北朝鮮の核実験実施発表後の昨年十月、ライス米国務長官が来日をした際、記者会見で米国の核の傘を再確認したと報じられていますが、日本有事の際、米軍の部隊がどう動き、核抑止力はどう機能するのか、米側から明確な説明と確実な担保は、現在どこまで得られているのでしょうか。また、今後、どのように具体的な運用手順を詰めていく予定なのか。その担保を確実にする必要があると考えますが、総理、外務大臣、防衛大臣に、それぞれの御見解を伺います。

 さて、現在、イラク駐留多国籍軍への派遣二十六カ国のうち、多くが東欧、CIS諸国であり、スペインやイタリアなど、開戦を支持した国々も撤退しています。また、英国も年内に五千人以下に削減する方針を発表するなど、撤退を視野に入れた動きと見られますが、日本としては、航空自衛隊の出口戦略をどのように描いているのでしょうか。イラクがどのような状況になれば撤退をするのか、防衛大臣に具体的にお示しをいただきたいと思います。

 空自の派遣目的が対米関係の維持であるなら、米軍が撤退するまでの期間が延長期間ということになるでしょうし、逆に、空自の活動が国連やイラク政府からの要請ということであれば、なぜ延長期間をあえて二年間と区切ったのか、その理由もあわせて防衛大臣にお伺いをします。

 また、今般、イラク特措法の期限を迎えるに当たり、イラクのマリキ首相や国連のカジ事務総長特別代表からの空自による支援継続の要請が来ています。民主党は、国連の要請に基づく平和活動には積極的に参加すると表明しているにもかかわらず、なぜ国連からの要請のある空自の撤退をさせるのでしょうか。

 また、空自の即時撤退によって、日本が国際社会の一員としてイラクに貢献できなくなる可能性もありますが、それによって米国との関係悪化や日本の国際的な地位が低下する懸念はないのか、民主党提出者にお伺いをします。

 さて、昨年の米中間選挙では与党共和党が大敗し、ベーカー元国務長官ら超党派でつくるイラク研究グループから、米軍部隊を〇八年三月までに段階的に撤退させる提言が出されました。ブッシュ大統領は、その提言を受け入れずにイラク新政策を発表し、米軍兵士の増派を行ったわけですが、民主党主導となった米議会では、イラク駐留米軍の撤退期限を明示したイラク戦費を賄う補正予算案を可決し、米国内でも撤退に向けた議論が進んでいます。総理は、このような米国の状況をどう認識され、評価をされているのか、お伺いをいたします。

 最後に、民主党は、過去二回、イラク特措法廃止法案を提出していますが、イラクで自衛隊が行ってきた復興支援活動を否定されるのでしょうか。

 また、今回は、特措法の期限切れを迎える中での期間を延長する改正案の審議であり、改正案に反対し、延長しないことにすれば、自動的に期限をもってイラク特措法は終了することになります。にもかかわらず、あえて廃止法案を提出した理由をお伺いいたします。あわせて、過去二回の廃止法案との相違点についてもお示しをいただきたいと思います。

 結局のところ、失敗を隠ぺいし、原因を明らかにせず、責任を回避する官僚主義の無謬性に立脚した官僚政治に埋没をするのか、あるいは主体性を持った民主政治を希求するのか、その彼我の差は歴然としています。

 こうした官僚政治の抜きがたい宿弊を克服し、一日も早く主体性に立った民主党政治に転換することを期して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 神風英男議員にお答えをいたします。

 現在のイラクの情勢についてお尋ねがありました。

 現在のイラクは、バグダッドを中心にテロや各種の衝突が頻発し、宗派間対立が厳しい状況です。このような中で、イラク政府は、米軍とともに、バグダッドでの新たな治安対策を実施しています。同計画が成功することを期待しています。

 イラク情勢打開のためには、治安対策のみならず、イラク政府による国民融和促進のための政治的努力も重要です。そのような観点から、我が国は、来日したハシミ副大統領やマリキ首相に対し、国民融和促進に向けた働きかけを行いました。イラク政府は、依然、治安改善や国民融和等、困難な課題を抱えており、我が国は、今後も航空自衛隊による輸送努力の継続や円借款の供与、国民融和促進に向けた取り組み等でイラクの復興努力を引き続き支援していく所存です。

 対イラク武力行使への支持についてお尋ねがありました。

 当時、イラクは、十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとはしませんでした。このような認識のもとで、政府としては、安保理決議に基づきとられた行動を支持したものであります。

 イラク多国籍軍への参加と協力についてのお尋ねがありました。

 いわゆる多国籍軍の目的、任務が武力を伴うものであっても、自衛隊の活動が他国の武力の行使と一体化することがないという前提を確保することが可能であれば、自衛隊が多国籍軍に関与することは憲法上あり得ます。自衛隊がイラクにおいて行う人道復興支援活動等は、多国籍軍の司令部との間で連絡調整を行いつつも、その指揮下に入ることはなく、我が国の主体的な判断のもとに、我が国の指揮に従い、イラク特措法に基づき行われるものであるため、武力行使と一体化することはありません。

 武力行使との一体化の問題についてお尋ねがございました。

 イラク特措法に基づく自衛隊の活動は、いわゆる非戦闘地域に限って実施することとするなど、他国の武力行使と一体化することがないことを制度的に担保する仕組みのもと行われています。また、自衛隊は、統合された司令部のもとにあって連携や調整を行いますが、同司令部の指揮下に入るわけではなく、その観点からも、他国の武力行使と一体化することがないという前提は確保されています。

 自衛隊のイラク派遣による我が国の国益についてのお尋ねがありました。

 我が国としては、イラクの安定化が日本の国益に資するとの観点から、自衛隊による人的貢献とODAによる支援を車の両輪としてイラクに対する支援を行ってきています。こうした支援を通じて、イラクをテロの温床とせず、平和で民主的な国として復興させることは、中東地域、ひいては国際社会の安定に極めて大きな意味があり、我が国の国益にかなう活動であると考えています。

 我が国の安保理常任理事国入りを米国に支持させることが必要ではないかとのお尋ねがありました。

 我が国は、安全保障理事会の常任理事国となり、その責任をしっかりと果たしていきたいと考えています。戦後つくられた国連を二十一世紀にふさわしい国連に変えていくためにも、我が国の常任理事国入りを目指し、国連安保理改革に引き続き取り組んでいく考えであります。米国においては、我が国の常任理事国入りへの支持をこれまでもたびたび表明しているところであります。

 米国の核の抑止力についてのお尋ねがありました。

 核抑止力を含めた米国の抑止力は、我が国の安全を確保する上で極めて重要な役割を果たしています。私とブッシュ大統領との電話会談を含め、日米間では、日米安保体制に基づく米国のコミットメントは揺るぎないことを繰り返し確認してきています。

 米軍のイラクからの撤退に関してお尋ねがありました。

 米国は、現在、軍の増派を含むイラク政策を実施しています。我が国は、これをイラクの安定化と復興に向けた米国の決意が示されたものと認識をしております。このような米国の努力が効果的に進められ、よい成果を上げることを期待いたしております。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 神風先生より、四問ちょうだいをいたしております。

 まず、対イラク武力行使への支持についてのお尋ねがあっております。

 御記憶と存じますが、十二年間にわたりまして国連の安保理決議に累次にわたって違反し続けておりますイラクに対して、国際社会が与えました平和的解決の機会というものは全く生かされませんでした。最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかった状況にかんがみて、政府としては、安保理決議に基づきとられた行動というものを支持したというように理解をいたしております。

 対イラク武力行使の後、多くの犠牲者が出ていることについては遺憾ではあります。他方、イラクにおいて約一年前に民主的な政府が選挙によって誕生し、そのイラク政府が、現在新たな治安対策を実施するなど、情勢打開に向けた取り組みを行っております。このような取り組みが実を結び、平和で安定したイラクの再建が早期に実現することを期待いたしております。日本としても、イラクの復興に引き続き支援をしてまいる考えであります。

 次に、自衛隊のイラク派遣について、我が国の国益についてのお尋ねがあっております。

 日本といたしましては、イラクの安定化が日本の国益に資するとの観点から、自衛隊による人的貢献とODAによる支援を車の両輪としてイラクに対する支援を行ってきておるところです。こうした支援を通じて、イラクをテロの温床とせず、平和で民主的な国として復興させるということは、中東地域、ひいては国際社会の安定に極めて大きな意味があり、我が国の国益にかなう活動であろうと考えております。

 次に、国連安保理改革についての御質問をいただいております。

 日本は、国連の安全保障理事会の常任理事国となり、その責任をしっかり果たしてまいりたいと考えております。第二次世界大戦後につくられました国際連合という組織を二十一世紀にふさわしいものに改革していくため、日本の常任理事国入りを目指し、国連安保理改革に引き続き取り組んでまいる覚悟であります。

 アメリカは日本の常任理事国入りへの支持をたびたび表明しておりますのは、御存じのとおりです。現在、米国やG4を含みます各国と継続的に協議をいたしつつ、幅広い支持を得られる新たな具体案を検討しているところでもあります。しかるべき時期にそのような案を提示し、幅広い加盟国の協力を得て、改めて運動を展開してまいる考えであります。

 最後に、米国の核抑止力についてのお尋ねがあっております。

 核の抑止力を含めた米国のいわゆる抑止力は、我が国の安全を確保する上で極めて重要な役割を果たしておりますし、果たしておりました。この点につきましては、私自身も、ライス長官との会談を含め、日本の防衛に対する米国の確固たるコミットメントを確認するなど、日米安全保障体制に基づく米国のコミットメントというものは揺るぎないことというものを繰り返し確認してきております。

 これらはいずれも、今御質問があっておりました、大切な質問だと存じますが、通告を直前にいただいております。国民に対して詳しく説明する必要がありますので、必要な場合は追って文書をもって回答させていただきます。(拍手)

    〔国務大臣久間章生君登壇〕

国務大臣(久間章生君) 神風議員にお答えいたします。

 まず、米国等の対イラク武力行使に関するお尋ねがありました。

 累次申し上げているとおり、政府としては、米国等による対イラク武力行使を支持しており、私も、防衛大臣としてこの政府の立場を支持、踏襲しております。

 次に、航空自衛隊の輸送活動についてお尋ねがありました。

 国連イラク支援ミッションは、人道復興、開発支援等を行うこととされており、かかる活動に対し我が国が空輸支援を行うことは、人道復興支援活動に当たります。多国籍軍部隊の活動は、イラクの安全及び安定の維持や復興支援を行うものであり、これらの活動への空輸支援は、安全確保支援活動または人道復興支援活動のいずれかに当たります。

 政府としては、引き続き人道復興支援活動を中心とした対応措置を実施する方針であります。

 次に、米国の核の傘についてお尋ねがありました。

 ただいま外務大臣からも答弁がありましたように、米国からは、累次にわたり、核抑止力を含め我が国の防衛に対するコミットメントが表明されております。今後とも、米国との防衛協力を推進し、日米安保体制の信頼性をさらに強固にしてまいりたいと考えております。

 最後に、航空自衛隊の出口戦略についてお尋ねがありました。

 今後の空自部隊の活動については、イラクの政治状況、現地の治安状況、国連及び多国籍軍の活動や構成の変化等諸事情をよく見きわめつつ、イラクの復興の進展状況等を勘案して判断していきます。

 なお、なぜ二年間にしたのかというお尋ねがございました。

 これにつきましては、先ほどの質問のときに総理が答弁されましたように、イラクの復興努力に対する支援に腰を据えて取り組む姿勢を示し、航空自衛隊の輸送支援を継続的、安定的に続けるため、法律を二年間延長することとしたものであります。(拍手)

    〔原口一博君登壇〕

原口一博君 神風英男議員にお答えいたします。

 提出者に対する質問は六問でした。

 まず第一問、イラク戦争の正当性、開戦を支持した政府の判断について、民主党の認識をお尋ねいただきました。

 民主党としては、イラクに対する武力行使は、国連安保理での問題解決を放棄し、明確な武力行使容認決議もないままに一方的に行われたものであり、国連軽視であるばかりでなく、国連憲章など国際法の原則にも違反するものである、このように考えています。

 政府は、湾岸戦争時の国連安保理決議、そして武力攻撃を容認していない国連安保理決議一四四一、これを根拠に支持しており、私たちはこれを一貫して批判し、ただしてきたところであります。

 戦争の大義とされたイラクの大量破壊兵器も発見されず、イラクに対する武力行使が正当性を有しないものであったことは明確であり、米国に追従し、不正確な情報に基づきこれを支持した政府の責任は重いと考えます。必ず総括が必要だ、こう考えています。

 また、自衛隊の活動については、大変厳しい状況の中、これまで対応措置を実施してこられた自衛隊員の方々に心から敬意を表します。

 ただ、民主党が従前から主張しているように、イラク特措法は、たとえこの法律が想定する非戦闘地域が一時的に存在したとしても、相手側の意思により一瞬にして戦闘地域に変わり得る。イラク特措法に基づく自衛隊派遣の法的枠組みは、フィクションであるばかりでなく、海外における武力行使を禁じる憲法に抵触するおそれもあるものであります。戦争の大義や国連安保理決議を正当性の根拠として制定したイラク特措法の枠組みは完全に破綻しているのであり、イラク特措法に基づく自衛隊の派遣は誤りだったと言わざるを得ません。

 ぜひ、一九九〇年、冬柴委員に対する答弁を皆さん想起していただきたいんです。武力行使と一体とならないという要件は何だったのか。それは、多国籍軍の一員としていない、そして指揮権がどこにあるか、このことが一番大事だったはずであります。

 さて、支援継続要請とこの法案との関係についてお尋ねがありました。

 政府は、航空自衛隊による対応措置について十分な情報開示を行っておらず、その必要性や有用性の根拠が不明確であり、シビリアンコントロールの観点からも大いに問題があるところです。

 ぜひ国会議員同志の皆さんにお尋ねをしたい。

 それは、国会は、自衛隊の安全確保、この責務を政府がどれだけ果たしているか、本当にチェックできているんでしょうか。私たちは、イラクの国内にさえ行くことができないんです。政府側の説明によっても、航空自衛隊による輸送は、国連要員等の輸送よりも多国籍軍に対する人員や物資輸送の意味合いが強く、真の復興支援活動と言えるかどうか疑問があります。さらに、国連要員等の輸送実績は減少傾向にあり、きのう初めて出てきたんです、それによると、昨年の最後の四半期の、もう今五分の一になっているんです。五分の一が幾らかというのはきのう初めて出てきたんです。政府が説明し得ているとはとても考えられません。

 国連要員の輸送実績は減少傾向、安全面を重視しているとはいえ、欠航が多いとも伝えられています。イラクの復興支援というよりも、米国向けに派遣実績を示すための活動である、その疑問さえわきます。

 そもそも、民主党が以前から主張してきたとおり、イラク特措法はその法的枠組みが破綻しています。こうしたことから、現行の法的枠組みに基づく活動を継続することは適当でないと考えております。

 国益についてもお尋ねがございました。

 国益は、単に他国の判断に追随することによって追求されると思いません。平和、自由、人間の尊厳、基本的な憲法の理念のもと、主体的に、戦略的に追求されるべきものである、このように考えております。

 空自の撤退による影響についてもお尋ねがございました。

 私どもは、治安がおぼつかない中で、莫大な費用を使ってイラク特措法に基づく対応措置を、極めて限られた復興支援活動を行うよりも、その資金をもっと有効的に、効果的に活用することが国際的な評価を高める方策であると確信しており、自衛隊の撤退により我が国の国際的な地位が低下するとは考えておりません。

 G8の中でも、フランス、ドイツ、ロシア、カナダは軍隊を派遣していません。英国も派遣規模を縮小しており、米国においても上下両院が補正予算にイラクからの撤退期限を明記するなど、撤退を求める議論が高まっている状況にあります。また、サマワに駐留していたオランダを初め、既に十五カ国がイラクでの活動を終了しましたが、こうした国々が国際的地位を低下させたとは認識していません。

 日米関係についても、日米関係は我が国にとって最も重要な二国関係であり、我が国がみずからの判断として自衛隊の撤退を行ったとしても、それにより揺らぐような関係ではない、このように考えております。

 米国に追随することのみが良好な日米関係を中長期的に維持する方策ではなく、こうしたことを続けていけば、長い目で見れば信頼関係を損ない、我が国の国益にもなりません。民主党は、国際の平和と安全にとって、国連を中心とした国際協調の枠組みも重要であると訴えてきました。そして、主体的、自立的な外交を展開する中で、米国との緊密な対話を図りつつ、真のパートナーとしての関係構築を目指していきます。

 私は、マリキ首相の支持基盤であるサドル派の六閣僚が、この四月の十六日に、米軍撤退時期を首相が明記しないことをもとに反発して離脱を表明したことを重く考えています。イラクの治安の責任はイラク政府に一義的にあります。その治安の責任、これが果たされるかどうか、慎重に見ていかなければならない、このように考えています。

 最後の質問でございますが、過去二回の法案との関係でございます。

 私どもは、自衛隊の部隊等が実施してきた復興支援、そしてその努力、対応措置を実施してきた自衛隊の隊員の方々に心から敬意を表する、先ほど述べたとおりでございます。しかし、イラク特措法は、たとえこの法律が想定する非戦闘地域が一時的に存在したとしても、先ほど申し上げましたとおり戦闘地域に変わり得るなど、フィクションです。したがって、私たちは、戦争の大義、国連安保理決議を正当性の根拠として制定したイラク特措法の枠組みは、今や完全に破綻していると考えています。

 イラク復興支援については、政府も昨年八月の基本計画の変更に際し、「応急復旧的な支援措置が必要とされる段階は基本的に終了し、イラク人自身による自立的な復興の段階に移行したものと考えられる。」とし、自衛隊によるイラク復興支援の中心であった陸上自衛隊による活動は終了したところでございます。現在行われているのは航空自衛隊による輸送業務に限られており、イラクの復興支援というよりも、むしろ安全確保活動の方が重きが置かれている、つまり主客が逆転している、このように考えております。

 国際的にも既に多くの国がイラクから撤退し、英国において大幅な削減が検討され、米国においても上下両院が補正予算にイラクからの撤退期限を明記するなど、撤退を求める議論が高まっている。

 こうしたことから、民主党としての廃止法案を出させていただいたところでございます。

 イラク特措法の期限切れを待たずに廃止法案を提出する理由は、イラク特措法は、延長されなければ本年八月一日には失効します。しかし、イラクにおける対応措置は、八月一日を待つまでもなく、直ちに終了すべきと考えます。民主党が従前から主張してきたとおり、そもそも枠組みが破綻している、そのイラク特措法でございますから、期限切れによる失効を待つのではなく、直ちに廃止し撤退するのが適当であると考えております。

 過去二回の廃止法案との相違点でございますが、まず題名について、即時撤退の趣旨をより明確にするため、イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラク特措法廃止法案とさせていただきました。

 さらに、民主党は、自衛隊の海外での活動について、特にシビリアンコントロールが重要である旨を従前から主張してきているところでございますが、政府は、以前の陸上自衛隊による活動についても、現在行われている航空自衛隊による活動についても、十分な情報を開示しておらず、シビリアンコントロールを軽視しています。このため、本廃止法案の附則において、対応措置の終了後、イラクにおける自衛隊の活動について国会が十分に検証を行い、その結果を今後に生かすことが十分可能となるような内容の報告を政府が行わなければならない旨を特に規定したところでございます。

 以上、お答えさせていただきました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 赤嶺政賢君。

    〔赤嶺政賢君登壇〕

赤嶺政賢君 私は、日本共産党を代表して、イラク特措法延長案について総理に質問します。(拍手)

 イラク特措法は、米英が始めた無法なイラク戦争とそれに続く軍事占領に自衛隊を派兵し、これに日本が参加、加担するという軍事占領支援法であります。武力による威嚇と武力の行使を禁止し、交戦権を否認した憲法九条を真っ向から踏みにじる明白な違憲立法にほかなりません。自衛隊は直ちに撤退すべきであり、その延長は断じて認められません。

 まず、イラク戦争に関する総理の根本認識について聞きます。

 米英による戦争開始から四年、イラクの現状は泥沼化そのものであります。無法な侵略戦争と占領支配、米軍がファルージャやバグダッドで繰り返してきた軍事掃討作戦は、イラク国民の反発と抵抗を生み、宗派間の対立や武装勢力の台頭など、事態の深刻化を招いてきました。

 開戦以降のイラク人死者数は、イラク保健省によると十五万人、イギリスの医学専門誌ランセットによると、人口の約二・五%に当たる六十五万人以上と推定されています。米軍死者数も既に三千人を超えています。

 国際社会の圧倒的多数の反対を押し切り戦争に踏み切った米国政府と、それを支持し支援してきた日本政府の責任を、総理はどう認識しているのですか。

 この際、はっきりさせておかなければならないことは、日本政府がいまだにイラク開戦の判断は正しかったと主張し続けている問題です。

 小泉前総理は、米英による武力行使に対し、いち早く支持を表明しましたが、安倍総理がいまだにこれを踏襲しているのはなぜですか。総理は、フセインが大量破壊兵器を持っていないことを証明する機会を生かさなかったとイラク側に責任があるかのように言いますが、国際社会の圧倒的多数は査察の継続を求め、当時の国連査察委員会のブリクス委員長は、あと数カ月で結論を出せると述べていたのであります。それを一方的に打ち切り、国連安保理事会の合意もなしに戦争に踏み切ったのであり、責任が米英にあることは明白でありませんか。

 戦争の最大の根拠とされた大量破壊兵器がイラクに存在しなかったことは、累次の米政府報告書で既に確定しています。旧フセイン政権が国際テロ組織アルカイダと一切関係がなかったことも、昨年九月の米上院情報特別委員会の報告書が明らかにしています。こうした事実を総理はどう認識しているのですか。

 ブッシュ大統領自身、一昨年十二月、誤った情報に基づいて開戦を判断したことを公式に認め、ことし一月にもイラク政策失敗の責任がみずからにあることを認めています。当時、米国務長官だったパウエル氏は、開戦前の国連安保理事会で大量破壊兵器の保有を強調したことを生涯の汚点と述べています。アナン前国連事務総長は、イラク戦争は国連憲章に照らして違法だと明言したのであります。

 今やイラク戦争の誤りは世界の常識であります。開戦当時の米英の口実を擁護し、いまだに繰り返している国が世界のどこにありますか。総理、イラク戦争がうそで始められた国連憲章違反の侵略戦争であることをはっきり認めるべきではありませんか。明確な答弁を求めます。

 次に、ブッシュ大統領のイラク新政策についてであります。

 ブッシュ政権は、ことし一月、イラク新政策なるものを発表し、米軍部隊二万人以上を増派することを決定しました。アメリカは治安の維持と言いますが、実際にやっていることは軍事掃討作戦と空爆であり、シーア派とスンニ派を隔てる壁まで建設し、軍事力で抑えつけようとするものにほかなりません。事態はますます悪化しています。総理は、これがイラクの安定化と復興にどうつながると言うのですか。

 今、米国内でも、ブッシュ政権のやり方に反対し、米軍の撤退を求める声が多数を占めるに至っています。昨年十一月の中間選挙で共和党が敗北したもとで、上下両院が来年三月末までの戦闘部隊の撤退完了を可決したのであります。

 国際的にも、今や有志連合は世界の一握りにまで孤立しています。イラクから既にスペインやイタリアなど十五カ国が撤退し、イギリスもことし二月、部隊の一部撤退に踏み出しているのであります。

 こうした各国のイラク政策見直しを総理はどう認識していますか。世界が撤退を議論している中で、なぜ自衛隊派兵の二年延長を決定したのですか。国内外で孤立するブッシュ政権をなぜそこまでして支え続けるのですか。明確な答弁を求めます。

 今、イラク情勢の打開のために必要なことは、期限を切った多国籍軍の撤退であり、イラク国民の国民的和解と融和に向けた国際社会の協力と外交努力であります。

 とりわけ、イラク国内外で四百万人を超えるとも言われる避難民は、人道危機状態にあると言われています。避難民支援は急務であります。国際社会では、派兵国とその同盟国に治安悪化の責任を問う声が上がっています。日本政府はこうした声にどう答えるのですか。答弁を求めます。

 さらに、自衛隊の活動実態について聞きます。

 航空自衛隊は、昨年夏の陸上自衛隊の撤退後、活動区域をバグダッド飛行場、イラク北部エルビル飛行場に拡大しています。

 政府は、自衛隊の活動は人道復興支援活動だと言いますが、航空自衛隊は一体どういう活動を行っているのですか。何をどれだけ運んでいるのですか。その輸送の詳細を明らかにすべきであります。

 政府は、私たちの追及に、航空自衛隊の月当たり十七から二十回の輸送実績のうち、国連支援は四から五回にすぎず、実に七、八割が多国籍軍支援だと認めました。この多国籍軍支援とは何ですか。これは、戦闘の頻発するバグダッドへの戦闘作戦任務を持つ米軍の兵員、物資の輸送ではありませんか。これがどうして人道復興支援活動なのですか。まさに米軍支援活動そのものではありませんか。

 この際、三年余に及ぶイラク派遣の全容を明らかにし、徹底的に検証すべきであります。

 イラク特措法は、戦争が終わったイラクの復興支援のため非戦闘地域に派遣することを前提としているから、憲法違反ではないというのが政府の説明でした。しかし、実際には、派遣自衛隊は、多国籍軍の一員として、多国籍軍司令部の統制のもとに米英による軍事占領の一翼を担ってきたのであります。しかも、航空自衛隊は、内戦状態で戦闘の続くバグダッドに兵員・物資輸送を行っているのであります。こうした派遣の実際から、特措法の違憲性は明らかであり、廃止すべきが当然であります。

 ところが、安倍総理は、憲法改正を掲げる一方で、集団的自衛権行使の解釈見直しを提起したのであります。時代が変わっていく中で憲法をどう解釈すべきかなどと言って、政府の都合で憲法九条の解釈を変えるなどということは断じて容認できません。

 以上、イラクの復興に逆行し、国連憲章と憲法九条を踏みにじる自衛隊のイラク派兵は直ちに中止し、イラク特措法の廃止を求め、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 赤嶺政賢議員にお答えをいたします。

 対イラク武力行使を支持した日本政府の責任について、並びにイラク武力行使支持の理由についてのお尋ねがありました。

 当時、イラクは、十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反をし続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしませんでした。このような認識のもとで、政府としては、安保理決議に基づきとられた行動を支持したものであります。

 また、イラクが過去実際に大量破壊兵器を使用した事実や、国連査察団が数々の未解決の問題を指摘したこと等にかんがみれば、対イラク武力行使が開始された当時、イラクに大量破壊兵器が存在すると信じるに足る理由があったと考えます。

 対イラク武力行使の後、多くの犠牲者が出ていることについては遺憾でありますが、イラク政府は、現在、新たな治安対策を実施するなど、情勢打開に向けた取り組みを行っています。このような取り組みが実を結び、平和で安定したイラク再建が早期に実現することを期待しています。我が国としても、イラクの復興を引き続き支援していく考えであります。

 国連の査察を一方的に打ち切り、武力行使に踏み切ったのではないかとのお尋ねがありました。

 当時、我が国を含む国際社会が望んでいた平和的解決はイラク側の対応にかかっており、我が国としては累次の国連査察団の報告を注視していました。しかし、イラクによる消極的な協力姿勢が抜本的に改められなかったことにより、査察継続の有効性にも疑問が生じたことは否めませんでした。

 かつて大量破壊兵器を使用したことのあるイラクが安保理決議に従わず、国連査察団が大量破壊兵器をめぐる疑惑を否定し得ないという極めて異常な状況のもとで、我が国は、国際の平和と安全の維持を確保するために安保理決議に基づきとられた行動を支持したものであります。

 米国の対イラク武力行使と大量破壊兵器及びアルカイダとの関係についてお尋ねがありました。

 米国が、大量破壊兵器がイラクに存在しなかったこと、また、旧フセイン政権とアルカイダとの間に関係がなかったことを認めていることは承知をしております。

 いずれにせよ、日本政府が対イラク武力行使を支持したのは、あくまでも、累次の国連安保理諸決議及び国連査察団の累次の報告書に基づいて主体的に判断したものであります。

 対イラクの武力行使が国連憲章違反ではないかとのお尋ねがありました。

 イラクに対する武力行使は、国際の平和と安全を回復するという明確な目的のために武力行使を認める国連憲章第七章のもとで採択された国連の安保理決議により正当化されると考えています。

 米国のイラク新政策につき、お尋ねがありました。

 米国は、現在、軍の増派を含むイラク政策を実施しています。我が国は、これをイラクの安定化と復興に向けた米国の決意が示されたものと認識をしております。このような米国の努力が効果的に進められ、よい成果を上げることを期待しております。

 各国のイラク政策見直し及びイラク特措法の二年間延長を決定した理由についてお尋ねがありました。

 イラクの安定と復興は、国際社会共通の重要課題であります。米国政府はこのための努力を継続しており、英国も、全面撤収することなく、支援を継続していくと承知をしております。潘国連事務総長、マリキ・イラク首相等からも、航空自衛隊の空輸支援への謝意表明や、継続要請の書簡が寄せられており、現在も二十六カ国が部隊を派遣し活動を実施しています。再建には長期的な見通しが不可欠であります。こうしたこと等を踏まえ、腰を据えて安定的に支援を行うため、我が国の主体的な判断として法律を二年間延長することといたしました。

 イラク国内外の避難民に対する支援についてのお尋ねがありました。

 イラク及び周辺国における難民、避難民の状況には深刻なものがあると認識をしています。こうした状況については、先般、ジュネーブにおいて行われたイラク及び周辺国における難民・避難民支援に関する国際会議においても、イラク代表を初めとする参加者より、国際社会による支援の必要性を訴える発言が相次いだところであります。

 我が国は、こうした深刻な状況にかんがみ、本年二月二十三日、イラク及び周辺国における難民及び避難民を支援するため、国連難民高等弁務官事務所及び国際移住機関を通じ、総額一千三百五十万ドルの支援を実施しました。また、他のドナー国に対しても、イラクへの支援を強化するよう働きかけているところであります。

 政府としては、今後とも国際社会と協調し、周辺国への支援も含め積極的な取り組みを続けていく考えであります。

 航空自衛隊の輸送活動の詳細についてお尋ねがありました。

 航空自衛隊は、人道復興支援活動として国連の人員、物資等を、また人道復興支援活動及び安全確保支援活動として多国籍軍の人員、物資を輸送しています。輸送実績については、昨年七月に陸上自衛隊が撤収した以後は、総計百五十回、約四十六・五トンの物資を輸送しています。なお、国連への輸送支援については、昨年九月六日以降本年三月末までの間に計二十五回、延べ七百六名の人員及び二・三トンの事務所維持関連用品等の物資を輸送したところであります。

 航空自衛隊の多国籍軍支援に関するお尋ねがありました。

 多国籍軍は、イラクの安全及び安定の回復のための活動のほか、公共施設の再建といったインフラ整備等、復興支援の活動にも取り組んでいます。イラク特措法上、かかる復興支援の活動への支援として航空自衛隊が行う空輸は、人道復興支援活動に該当します。

 イラク派遣の全容を明らかにし、検証を行うべきとのお尋ねがありました。

 イラク特措法に基づく自衛隊の活動は、現在、まさに継続中であります。活動が終了したときには、政府は、イラク特措法第五条二号に基づき、その結果を国会に報告することとしております。

 イラク特措法を廃止すべきではないかとのお尋ねがありました。

 イラク特措法に基づく自衛隊の活動は、いわゆる非戦闘地域に限って実施することとするなど、他国の武力行使と一体化することがないことを制度的に担保する仕組みのもと行われています。

 また、自衛隊は統合された司令部のもとにあって連携や調整を行いますが、同司令部の指揮下に入るわけではなく、その観点からも他国の武力行使と一体化することがないという前提は確保されており、違憲であるとの御指摘は全く当を得ません。

 集団的自衛権行使の解釈についてお尋ねがありました。

 時代状況に適合した実効性のある安全保障の法的基盤を再構築することが必要であります。かような問題意識のもと、個別具体的な類型に即し、集団的自衛権の問題を含めた憲法との関係の整理につき研究を行っているところであります。

 かかる研究を深める具体的な方策の一つとして、有識者会議の設置を検討しております。近く会議の設置について発表する予定です。有識者の方々には、集団的自衛権の問題も含め、憲法との関係の整理につき、結論を予断することなく、さまざまな観点から検討していただきたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 阿部知子君。

    〔阿部知子君登壇〕

阿部知子君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました政府提出のイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。(拍手)

 二〇〇三年三月二十日、米英によるイラク攻撃の開始から四年以上を経た今日、イラクの人々にとっては治安、経済、生活のすべてが危機的状況となり、子供らも住む家を失い、親を失い、ユーフラテス川に泳ぐこいのぼりを見るかわりに、ただただ張りめぐらされる鉄条網を茫然と眺めるのみになりました。平和のうちに生存する権利は、今この瞬間にも脅かされております。

 冒頭、安倍総理にお伺いしたいのは、果たしてこのイラク開戦に本当の正当性はあったのか否かであります。

 総理は、これまで再々、イラク・フセイン政権が十二年間にわたって累次の国連安保理決議に違反し続け、平和的解決の機会を生かそうとせず、国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかったことをテープレコーダーのように繰り返されるだけで、米英のイラクへの先制攻撃を支持するという立場は、一切内容にわたっての答弁をされていません。

 しかし、そもそもイラクは、一九四五年、国際連合設立当初からの加盟国でありました。そして、国連憲章第二条及び第七章によって、個別国家あるいは国家集団による先制攻撃は禁止され、安全保障理事会にのみ武力行使が認められるとされています。しかるに、このたびの米英有志連合によるイラク攻撃は、武力行使に踏み切る新たな国連決議もなく、明らかにこれまでの国連のルールに違反する行為と考えるべきではないでしょうか。改めて国連憲章との関係でお答えください。

 また、こうした形での先制攻撃に米国が打って出た背景には、二〇〇二年九月に発表された米国の国家安全保障戦略があります。そこには明確に、テロや大量破壊兵器攻撃に対し、敵が攻撃の意図と能力を持っていると判断した時点での単独での先制自衛権の行使がうたわれていますが、日本政府は、こうした米国の先制攻撃容認の立場に同調するものでありましょうか。それは、国連重視の従来の我が国の外交方針からも大きく逸脱するものと考えますが、果たして国民にはどのように説明されるのでしょうか。

 さらに、イラク戦争の正当性をめぐっては、開戦後に判明した決定的に重要な問題として、米国が先制攻撃の根拠とした大量破壊兵器も、テロ組織アルカイダとの関係もイラクには存在しなかったという事実があります。このことに関しては、ブッシュ大統領やイギリスのブレア首相も、大量破壊兵器の情報の誤りを認めて明確に謝罪をしておられますし、開戦前に国連安保理で軍事行動の必要性を訴えたパウエル前国務長官は、人生最大の汚点だったとすら回顧しています。

 この大量破壊兵器の存在について、安倍総理御自身は、イラク開戦を日本政府が支持することを表明した段階でどう考え、また、米英の見解が訂正された今日において、日本政府もまた当時の情報と判断の誤りを認められているのかどうか、はっきりさせていただきたいと思います。

 これまでの何人かの御質疑に対して、安倍総理はこの点を一貫して逃げ、はぐらかしておられると思いますので、この場で明確な御答弁をいただきたいと思います。果たして、日本は大量破壊兵器があったと思っていたのか、そして、現在はそのときの判断は誤っていたと思っているのか。これくらいのことを国民に説明できずして、総理たる者の任にあらずと思います。

 そして、アルカイダとの組織的関連もなく、大量破壊兵器もなかったのなら、そもそも米国や日本が開戦の根拠として挙げた累次の国連決議の前提すらも揺らぐはずではありませんか。サダム・フセイン体制を専制国家として、その体制の転覆を図るための攻撃であったとするなら、それはまさしく武力による侵略、国家転覆であり、国連憲章第二条に明らかに違反するものです。総理の見解を伺います。

 また、それゆえ、米軍を初めとする外国軍隊は、不法占領とも言うべき状態を早期に終わらせるべく、期限を定めて撤退すべきであり、それは、米国内でこの戦争の終結の道を探るベーカー元国務長官ら超党派のイラク研究グループの指摘するところでもあります。果たして、総理はこの指摘についてどのようにお考えでしょうか。

 次に、イラクの現状について、その認識を麻生外務大臣に伺います。

 イラク開戦以降、既に七万人近くの市民が空爆や戦闘の犠牲となり、二百万人近い避難民が生まれております。また、昨年二月以降は、宗派間、宗派内抗争が激化し、内戦状態に近いとも言われており、米軍の軍事作戦は、事態を力によって押さえ込み、沈静化させるよりは、むしろ対立と混乱を助長しているように思えます。そもそも、現状は復興支援という段階よりも、UNHCRやあるいは多くのNGOが緊急アピールをしていることにもあらわれるように、緊急人道支援がまず不可欠な段階にまで後退しているのではないでしょうか。バグダッド・アダミヤ地域における米軍のコンクリート壁建設はそのことを如実に物語っております。

 一方、我が国のイラク復興支援の基本計画では、イラクに完全な主権が回復され、イラクの本格的な復興に向けた新たな局面が切り開かれ、治安権限移譲プロセスも進行するなど、民主的な政府のもとでイラク人自身による自立的な復興に向けての本格的な第一歩が踏み出されているとしていますが、これは余りにも楽観的であり、イラクの実情を反映していないと考えますが、どのようにお考えか、御答弁をお願いいたします。

 また、この間のイラク戦争で多数のクラスター爆弾や劣化ウラン弾等の非人道的兵器が使われました。その被害は長期にわたって続き、特に子供たちに今後も集中的にその被害があらわれると懸念されます。イラク攻撃のこうした実態を日本ももっとしっかりと調査し、必要な措置や支援策を講ずることが何より必要だと考えますが、麻生大臣はいかがお考えでありましょうか。

 また、こうした非人道的兵器の規制については、国際的な禁止条約づくりの動きも始まっておりますが、残念ながら日本は極めて消極的な態度に終始しております。原爆による惨禍を経験した日本こそ、劣化ウラン弾やクラスター爆弾などの非人道的兵器の規制の最先頭に立つべきと考えます。まして、幼子、将来ある子供たちがその第一の犠牲者となることを日本が座視しているということ自身、既に許されないのだと思います。

 空自の撤退そのほかについても、日々戦闘が拡大、激化するイラクでは、米軍支援の活動を担う航空自衛隊の行動は、これまでのように形だけでも戦闘地域を避けて行うことすら不可能となってくることでしょう。逆に言えば、いつどのような事態で自衛隊が戦闘下に置かれ得るかということをこのままでは国民も知ることができません。そもそも、戦闘の後方支援としての物資輸送に当たることは憲法上も許されないことと考えますが、そうした実態、現状のどのような把握がなされ、またそれが国民にはどのように伝えられているのかということは、シビリアンコントロールの観点からも大きな問題です。

 防衛大臣は、この間の自衛隊の活動における情報公開について果たしてどのようにお考えでしょうか。今回の特措法では、さらに航空自衛隊の活動を二年間延長するものとなりましたが、本当にそのことを判断するに足る根拠を国民には提示しておるとお考えかどうか、お答えください。

 多国籍軍、とりわけ米軍の軍事行動支援のために日本の航空自衛隊がこれ以上活動することは、イラク戦争の失われた大義から見ても、また日本の本来果たすべき人道支援、平和貢献の立場から見ても極めて不適切であり、自衛隊員にも不当な負担をかけるものです。イラク特措法は即刻廃止し、自衛隊は即時撤退すべきです。

 イラク、中東問題の解決を図るための政治・外交的枠組みづくりに日本もまたあらゆる可能性を追求するとともに、医療等を含めた命のための緊急支援や雇用・生活インフラ、農業・環境再生にこそ全力を挙げるべきと考え、私は、社会民主党・市民連合を代表しての代表質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 阿部知子議員にお答えをいたします。

 米国の対イラク武力行使と国連憲章の関係についての御質問がございました。

 国連憲章のもとでは、一般的に武力の行使が禁止されています。一方、その例外として、憲章第五十一条の自衛権の行使の要件を満たす場合のほか、憲章第七章下での安保理の決定に基づく場合には、武力の行使が認められることとされています。このような観点から、米国の対イラク武力行使は、憲章第七章下で採択された国連の安保理決議により正当化される行動であったと考えております。

 米国の国家安全保障戦略に関連したお尋ねがありました。

 我が国としては、他国による国際法の解釈について有権的な評価をする立場にありませんが、いずれにせよ、米国は国際法上の権利及び義務に合致して行動するものと考えております。

 米英の対イラク武力行使支持に関する私の考えについてお尋ねがありました。

 当時、イラクは、十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反をし続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしませんでした。このような認識のもとで、政府としては、安保理決議に基づきとられた行動を支持したものであります。

 イラクが過去実際に大量破壊兵器を使用した事実や、国連査察団が数々の未解決の問題を指摘したこと等にかんがみれば、対イラク武力行使が開始された当時、イラクに大量破壊兵器が存在すると信じるに足る理由があったと考えております。

 以上のように、日本政府が対イラク武力行使を支持したのは、あくまで、累次の国連安保理諸決議及び国連査察団の累次の報告等に基づいて主体的に判断したものだと考えています。

 米国の対イラク武力行使と国連憲章の関係についてのお尋ねがありました。

 イラクに対する武力行使は、国際の平和と安全を回復するという明確な目的のために武力行使を認める国連憲章第七章のもとで採択された国連の安保理決議により正当化されると考えています。

 米軍のイラク駐留には根拠がなく、米軍は一日も早くイラクから撤退すべきではないかとのお尋ねがありました。

 米軍を初めとする外国軍隊は、イラク政府の要請に基づき、国連安保理決議に従って活動を続けているものであります。先般来日をしたイラクのマリキ首相やハシミ副大統領も、当面、米軍等には駐留を続けてほしいと述べていました。

 米国政府は、現在、軍の増派を含むイラク政策を実施しています。我が国は、これをイラクの安定化と復興に向けた米国の決意が示されたものと認識をしています。このような米国の努力が効果的に進められ、よい成果を上げることを期待しています。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣久間章生君登壇〕

国務大臣(久間章生君) 阿部議員にお答えいたします。

 航空自衛隊の活動における情報公開についてお尋ねがありました。

 空自の活動実績の公表については、国民の理解と協力を得るため、できるだけ公表したいと考えておりますが、一方で、我が国及び国連等の要員の安全確保を考えることも必要でございます。政府としては、これらを考えながら、輸送回数、輸送物資トン数等や対国連輸送支援の実績につき公表してきているところであります。

 最後に、航空自衛隊の活動の延長の根拠についてお尋ねがありました。

 イラクの安定と復興は、国際社会共通の重要課題であり、我が国自身の国益にも直結します。したがって、我が国としても、イラクの復興を主体的に支援していく必要があります。

 また、潘国連事務総長、マリキ・イラク首相等からも、航空自衛隊の空輸支援への謝意表明や継続要請の書簡が寄せられていること等を踏まえれば、引き続き活動を継続する必要があると考えます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 阿部知子議員から三問ちょうだいをしております。

 まず、イラクの状況に関するお尋ねがあっておりました。

 紛争後の平和の構築に関しましては、現地の状況、現状等々により、必ずしも緊急人道支援から復興支援の段階に円滑に移行するとは限らないということだろうと存じます。現場の必要に応じて適切に対応していくことが重要と思っております。

 そのような中で、日本としては、イラクに対しては円借款による復興支援というものを実施しつつ、現地の必要を踏まえて緊急人道支援を行っているものであります。

 クラスター弾についてのお尋ねがあっておりました。

 日本は、クラスター弾の不発弾等によります人道上の懸念が表明されていることを十分に認識いたしております。イラクにおきまして、日本自身が御指摘のような調査を行うという予定は現時点ではありません。イラク政府及び国際機関等の取り組みの状況、具体的な要請等を踏まえて、イラク復興支援の観点から今後必要に応じ検討してまいりたいと考えております。

 最後に、これらの兵器の規制についてのお尋ねがあっておりました。

 例えば、クラスター弾の問題につきましては、人道面及び安全保障面のバランスというものを考慮しつつ、幅広い国の参加を得て議論を深めてまいることが必要であろうと考えております。今後、特定通常兵器使用禁止制限条約の枠組み等々を重視いたしつつ、国際的な議論に積極的に参加してまいります。

 クラスター弾及び劣化ウラン弾を含みます兵器の取り組みにつきましては、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十二分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  安倍 晋三君

       外務大臣  麻生 太郎君

       防衛大臣  久間 章生君

       国務大臣  塩崎 恭久君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  下村 博文君


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