第28号 平成19年5月10日(木曜日)
平成十九年五月十日(木曜日)―――――――――――――
議事日程 第二十二号
平成十九年五月十日
午後一時開議
第一 地方公営企業等金融機構法案(内閣提出)
第二 映画の盗撮の防止に関する法律案(経済産業委員長提出)
第三 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
第四 タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
議員請暇の件
日程第一 地方公営企業等金融機構法案(内閣提出)
日程第二 映画の盗撮の防止に関する法律案(経済産業委員長提出)
日程第三 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第四 タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時三分開議
○議長(河野洋平君) これより会議を開きます。
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議員請暇の件
○議長(河野洋平君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
海部俊樹君から、五月十二日から二十三日まで十二日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
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日程第一 地方公営企業等金融機構法案(内閣提出)
○議長(河野洋平君) 日程第一、地方公営企業等金融機構法案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。総務委員長佐藤勉君。
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地方公営企業等金融機構法案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔佐藤勉君登壇〕
○佐藤勉君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律に基づき、公営企業金融公庫を廃止するとともに、地方公共団体の資本市場からの資金調達を補完するため、長期かつ低利の資金の融通等の業務を行う地方公営企業等金融機構の設立、組織、業務の範囲等に関する事項を定めようとするものであります。
本案は、去る四月十九日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、本委員会に付託されました。
委員会におきましては、同日菅総務大臣から提案理由の説明を聴取した後、同月二十四日、二十六日及び五月八日に質疑を行い、これを終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、本案に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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○議長(河野洋平君) 日程第二は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。
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日程第二 映画の盗撮の防止に関する法律案(経済産業委員長提出)
○議長(河野洋平君) 日程第二、映画の盗撮の防止に関する法律案を議題といたします。
委員長の趣旨弁明を許します。経済産業委員長上田勇君。
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映画の盗撮の防止に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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〔上田勇君登壇〕
○上田勇君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその概要を御説明申し上げます。
現在、映画の盗撮によって作成された海賊版ソフトが多数流通し、映画産業に多大な被害が発生しております。
このような現状にかんがみ、映画の盗撮を防止するために必要な事項を定め、もって映画文化の振興及び映画産業の健全な発展への寄与を図る観点から、このたび、映画の盗撮の防止に関する法律案を提案した次第であります。
次に、本案の要旨を御説明申し上げます。
本案は、映画の盗撮の定義及び映画産業の関係事業者等の盗撮防止措置についての努力義務を定め、その上で、映画の盗撮については、著作権法第三十条第一項の私的使用目的による複製を認める規定を適用しないこととしております。
なお、この措置については、日本国内における最初の有料上映後八月を経過した映画については適用しないこととしております。
以上が、本案の提案の趣旨及びその概要であります。
本案は、昨日経済産業委員会において、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
なお、本委員会におきまして、映画の盗撮の防止に関する件を本委員会の決議として議決したことを申し添えます。
何とぞ速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 採決いたします。
本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
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日程第三 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(河野洋平君) 日程第三、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。内閣委員長河本三郎君。
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競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔河本三郎君登壇〕
○河本三郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
政府は、公共サービスの全般について不断の見直しを行い、民間事業者の創意と工夫を適切に反映させることによって、国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現しようとしております。
これを受け、本法律案は、不動産登記法等の特例として、登記事項証明書等の交付及び登記簿等の閲覧に関する業務について、民間事業者に対する委託を可能とするため、官民競争入札等の対象とする業務の範囲、民間事業者に必要とされる資格等の措置を定めるものであります。
本案は、去る四月二十六日本委員会に付託され、同日大田国務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。次いで、五月九日質疑を行い、質疑終局後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
――――◇―――――
日程第四 タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(河野洋平君) 日程第四、タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。国土交通委員長塩谷立君。
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タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔塩谷立君登壇〕
○塩谷立君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、タクシー事業の業務の一層の適正化を図るため、指定地域制度等について所要の見直しを行うもので、その主な内容は、
第一に、本法の対象となる指定地域について、現行の利用者利便を確保する観点に加え、輸送の安全を確保する観点を追加し、その拡大を図ること、
第二に、指定地域のうち、特に利用者利便を確保する観点からタクシー事業の業務の適正化を図る必要があると認められる地域を特定指定地域とすること、
第三に、指定地域におけるタクシー運転者の登録要件に、輸送の安全及び利用者利便の確保に関する講習の修了を追加すること
等であります。
本案は、去る四月二十四日本委員会に付託され、翌二十五日冬柴国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、五月八日参考人からの意見聴取を行い、翌九日質疑を終了いたしました。質疑終了後、採決いたしました結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(河野洋平君) この際、内閣提出、防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。防衛大臣久間章生君。
〔国務大臣久間章生君登壇〕
○国務大臣(久間章生君) 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
防衛省の所掌事務をより適正かつ効果的に遂行し得る体制を整備するため、防衛施設庁を廃止し、同庁の事務を防衛省本省で処理するために必要な組織の改編等を行うとともに、特別の機関として防衛監察本部を新設するほか、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の部隊の設置を可能とし、陸上自衛隊の中央即応集団及び第十一師団並びに海上自衛隊の地方隊を改編し、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数を変更する必要があります。
以上が、この法律案の提案理由であります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
まず、防衛省設置法の一部改正について御説明いたします。
第一に、部隊の改編等に伴い、自衛官の定数を二千五百七十五人削減するものであります。これにより、自衛官の定数は二十四万八千六百四十七人となります。
第二に、施設行政をより適正かつ効率的に遂行し得る体制を整備するため、防衛施設庁を廃止し、同庁が所掌していた施設の取得、管理等に関する事務を内部部局及び装備本部を改組して設置する装備施設本部に所掌させるものであります。
第三に、防衛及び警備等に関する事務を円滑かつ効果的に実施するための地方公共団体及び地域住民の理解及び協力の確保に関する事務を内部部局に所掌させるものであります。
第四に、防衛省の所掌事務を適正に遂行する体制を強化するため、特別の機関として防衛監察監を長とする防衛監察本部を新設するものであります。
第五に、防衛行政全般の地方における拠点を確立するため、防衛省の所掌事務の一部を分掌する地方支分部局として地方防衛局を新設するものであります。
次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
第一に、自衛隊の統合運用体制の一層の充実を図るため、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の部隊を防衛大臣の直轄部隊として置くことを可能とするものであります。
第二に、新たな脅威や多様な事態に実効的に対応するとともに国際平和協力活動等に一層強力に取り組むことができるよう、陸上自衛隊の中央即応集団及び海上自衛隊の地方隊を改編するものであります。
第三に、防衛計画の大綱に定める新たな防衛力の体制へ移行するため、陸上自衛隊の第十一師団を改編し、第十一旅団とするものであります。
第四に、即応予備自衛官の員数を五十七人増加するものであります。これにより、即応予備自衛官の員数は、八千四百二十五人となります。
そのほか、関係法律の規定の整備を行うものであります。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
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防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。津村啓介君。
〔津村啓介君登壇〕
○津村啓介君 民主党の津村啓介です。
質問に入ります前に、病を克服され、本日より本院本会議に元気に復帰を果たされました郷土の大先輩平沼赳夫代議士に心よりお喜びを申し上げます。(拍手)
平沼先生のほかにも、与謝野馨先生、金田誠一先生、照屋寛徳先生など、病魔を克服され、国政の最前線に復帰された先輩議員のお姿を拝見することは、私たち後輩、同僚議員にとって党派を超えた喜びであり、大いなる励みであります。今後ますますの御健勝と御活躍を心よりお祈りいたします。(拍手)
一方で、大変残念なニュースもございました。久間防衛大臣の事務所にかみそりの刃が送りつけられたというニュースです。背景や動機は明らかではありませんが、思想、信条によらず、言論に対する暴力による挑戦は断固許されないと信じます。
以下、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について質問いたします。
最近、久間防衛大臣は、我が国の国策とも言える重要な安全保障原則について、ある重要な問題提起をされました。武器輸出三原則の見直しであります。私も議論すること自体が封殺されることがあってはならないという考えですが、中途半端な議論であれば、内外の無用な憶測を生み、かえって問題をややこしくする一面もございます。大臣は武器輸出三原則についてどのような見直しが必要と考えておられるのか、また、どうやって内外の理解を得ていくお考えなのか、腹蔵のない御所見を御披露ください。
なお、昨年の核武装論議の際に、言論封殺するつもりはありませんと述べておられた麻生外務大臣にも、武器輸出三原則の見直しについて、議論の是非及び見直しそのものに関する御所見を伺います。
ミサイル防衛についても伺います。
昨年強行された北朝鮮のミサイル発射により、脅威はさらにリアルなものとなり、本年三月の入間基地へのPAC3の配備により、実務的な対応の詰めが必要になってまいりました。
先般閣議決定された緊急対処要領について、私は、本院安全保障委員会で、その適用の基準をケーススタディー的に質問いたしましたが、久間大臣は、昨年の北朝鮮のミサイル発射事案はミサイル防衛の適用されるケースに当たらない旨の答弁を繰り返されています。この御見解に間違いはありませんか。
シビリアンコントロールの観点から、システムの運用には慎重を期すべきことは当然ですが、数カ月前から予兆が確認されていた極めて具体的な脅威に対応できないシステムとなれば、国民は大きな不安を感じます。また、その理由が示されないとなれば、事後的なチェックもままなりません。昨年の北朝鮮事案がミサイル防衛の適用外とされる理由及び今後の適用のガイドラインをお示しください。
イラク特措法の延長問題についても触れないわけにはいきません。
本日、英国のブレア首相が退陣表明するとの報道がありますが、最近では、米国のテネットCIA元長官の回顧録が波紋を呼ぶなど、英米ではイラク開戦の責任論がかまびすしく議論されています。大臣はイラク開戦の判断を今日どのように評価されていますか。また、延長期間を二年とする根拠を改めてお伺いいたします。
我が党は、イラク戦争への自主性なき過度なコミットを自民・公明連立政権の失政と考えます。重要問題にもかかわらず、不十分な審議のまま強行採決された在日米軍再編問題とあわせ、今後とも議論を続けてまいります。
以下、防衛省設置法及び自衛隊法の一部改正案について、各論を伺ってまいります。
本法律案のポイントの一つは、多くの不祥事の舞台となった防衛施設庁の廃止ですが、一方で、焼け太りを懸念する声もございます。同庁が所掌していた事務を本省に統合することにより、施設行政部門と政策部門との関係はどう変わるのか、メリットは何か、久間大臣の御所見を具体的にお聞かせください。
四月十三日、防衛施設庁発注の土木建設工事をめぐる談合で、公正取引委員会は、大手ゼネコンを含む建設会社五十六社に対し、独占禁止法に基づく排除措置命令と、過去最高額とされる総額約三十億円の課徴金納付を命ずる方針を固め、事前通告をしました。
昨年秋の国会において防衛庁の省昇格が議論された際に、談合事件の再発防止が約束されたばかりです。にもかかわらず、防衛省発足からわずか百日でこのような事案が明るみに出ました。残念であります。大臣の反省の弁をお聞きいたします。
情報流出の問題も頻発しています。海上自衛隊の護衛艦「しらね」の二等海曹がイージス艦情報を不正に持ち出されたとされる事案では、イージス艦の構造図面など最も秘匿性の高い特別防衛秘密が含まれていたとされています。こうした事件が起これば、我が国の安全保障に与える直接的なダメージはもちろん、日米関係など外国との相互信頼関係に与える間接的なダメージははかり知れません。さきの米国訪問でも釈明に追われたと想像いたしますが、米国の理解を得られたのでしょうか。
また、軍事情報包括保護協定、GSOMIAの実質合意をされたようですが、その具体的な内容と今後の見通しについても伺います。
防衛監察本部の新設について伺います。
省昇格の際の附帯決議で、「新たに外部からの人材の登用等、監査・査察等に関する制度の創設を図ることにより、一層の厳格な規律の保持に努め、もって国民の信頼回復に全力で尽くすこと。」が求められていますが、外部からの人材登用の規模及び人選の基準、また、内部部局から登用される人材の既存組織からの独立性をどのように担保するかの二点についてお答えください。
三自衛隊の統合運用のメリットについても伺います。
自衛隊は昨年三月末から統合運用体制に移行し、この春で一年がたちました。具体的にどのようなメリットがあらわれてきたか、教えてください。
最後に一問、官房長官に御質問いたします。
カトーという政治家がいます。古代ローマ帝国の元老院議員であります。彼は、ローマ帝国の安全保障上、経済大国カルタゴの打倒が必須であるとの信念から、元老院で演説を行うたびに必ず「カルタゴ滅ぼすべし」と叫び、最後を締めくくったそうであります。それは現実となりました。
また、本日退陣表明する英国のブレア首相は、政権交代前夜のころ、演説の最後を「教育、教育、教育」と連呼して締めくくるスタイルを多用し、国民に教育改革の重要性をアピールし続け、次第に国民の理解を得ていきました。
私は、過去四回登壇の例に倣い、金融ビッグバン、資源・エネルギー、宇宙科学技術などを含めた総合安全保障について改めて訴えたいと思います。
日本の国際的な発言力の源泉は、平和な経済大国としての高い評価です。とりわけアジア各国からは、アジアの国家である日本が、戦前のような軍事力でなく、戦後、経済力によって世界の大国に伍するというモデルケースを示したという意味で、静かではありますが、確かな尊敬を集めています。目には見えませんが、守るべき国益であります。
地球は二十四時間かけて自転をしています。時差の存在と人間の体力の限界により、世界には少なくとも三つのセンターが必要であります。日本は、米国、欧州と肩を並べる第三極、アジアのリーダーとして、国際的なビジョンを示し、行動をする責任と力があります。
例えば、アジアにおいて一日の長がある金融の分野で日本の円を国際通貨として育て、東京マーケットを世界の金融センターとして戦略的に育成することなどは、英国シティーの先例を見ても、将来世代への確かな遺産となるに違いありません。十年前、橋本総理のもとで力強く進められた金融ビッグバンの再評価、再検証と再構成が必要であります。
本日のテーマは防衛省の未来像です。このテーマの奥行きは深く、単に数十万人、数百万人の関係者の皆様の身分や規律の問題にとどまらず、国際政治はもとより、通貨、資源、食料、宇宙科学技術等を含めた総合的な安全保障に係る国家ビジョンなくしては中途半端な議論しかできません。
今、安倍内閣は日本版NSC創設によって外交・安全保障政策を一元化し、縦割り行政を打破するとしています。本当ですか。少なくとも外側から見れば、補佐官制度を含めた現在の官邸の機能はいよいよ不透明感を増し、この上NSCをつくっても本当に機能をするのか、甚だ疑問です。
官房長官、日本版NSCの創設は防衛省の組織のありようにどのような影響を及ぼし、また、日本の総合的な安全保障にとってどのようなメリットがありますか、お答えください。政治の質問です。官僚の作文ではなく、長官御自身の言葉でお答えください。
また、事前の通告にはございませんが、金融ビッグバンや円の国際化は塩崎長官の最もお得意とされる分野であります。総合安全保障における位置づけについて、もし何か御感想があれば、お聞かせください。
最大のシビリアンコントロールは国会審議であると信じます。冷戦後、世界の秩序は大きく変容しましたが、その一つの帰結として、ここ数年来、我が国では安全保障論議が連綿と続いております。大変重要な議論です。この大切な議論が防衛省の相次ぐ不祥事でゆがめられることなく、また縦割り行政の陥穽にはまり込むことなく、本院及び参議院における開かれた十分な国会審議によって進められることこそ、最大のシビリアンコントロールであり、また、日本の議会制民主主義が未来に続くシステムとして正常に機能するために必要な仕組みであると考えます。
以上、問題提起を添えまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣久間章生君登壇〕
○国務大臣(久間章生君) 津村議員にお答えいたします。
まず、武器輸出三原則等についてお尋ねがありました。
私は、三原則等に関し、これを見直すと述べてはおらず、装備品開発の高額化などを踏まえ、今後、日米での共同開発など、適切な対応に向けて研究していく必要性等について申し上げております。
政府としては、武器の輸出管理については、武器輸出三原則等のよって立つ平和国家としての基本理念にかんがみ、今後とも引き続き慎重に対処してまいります。
次に、ミサイル防衛についてお尋ねがありました。
御指摘の答弁においては、その前提として、当時、私は防衛庁長官の立場ではなかったため、そのときの状況がよくわからないので、確たることを申し上げられない旨述べております。御指摘の答弁は、このような前提の上、率直に私の考えを述べたものであり、断定的に申し上げたものではありません。
いずれにせよ、自衛隊法八十二条の二に基づき命令を下令するか否かは、そのときの情勢や自衛隊の態勢等も勘案して適切に判断いたします。
次に、米国等の対イラク武力行使に関するお尋ねがありました。
累次申し上げているとおり、政府としては、米国等による対イラク武力行使を支持しており、私も、防衛大臣としてこの政府の立場を支持、踏襲しております。
イラク特措法の二年延長の根拠についてお尋ねがありました。
イラク特措法の目的であるイラクの復興努力に対する支援に腰を据えて取り組む姿勢を示し、航空自衛隊の輸送支援を継続的、安定的に続けるためには、ある程度長期間の枠が必要であり、政府としては、法律を二年間延長する方針です。要すれば、実際の空自の活動は、本法律の期限の範囲内で適切かつ柔軟に対応する考えであります。
次に、統合後の施設行政部門と政策部門との関係についてお尋ねがありました。
今般の改編では、防衛施設庁が担っていた施設行政部門のうち、企画立案的な事務を内部部局に、実施的な事務を装備施設本部に移行させることとしております。これにより、防衛省の政策立案と業務実施の関係がより明確になり、政策機能の強化と、より効率的な業務の実施が可能とのメリットがあると考えております。
次に、昨年生起しました防衛施設庁の入札談合事案に関するお尋ねがありました。
今般の事案は、防衛省・自衛隊にとって最も重要な国民の信頼を著しく傷つけたものと考えております。防衛省としては、昨年六月、建設工事の入札手続等の各分野における抜本的な再発防止策を取りまとめ、その着実な実施により同種事案の再発防止に万全を期し、国民の皆様方からの信頼回復に全力で取り組んでいるところであります。
次に、情報流出問題について、訪米時の反応についてお尋ねがありました。
防衛相会談において、私から、本件について遺憾に思うと同時に、米側とも緊密に連絡しつつ、本事案の全容解明と再発防止に努める旨述べました。米側から、日米間で情報共有をさらに進めるためには情報の保全が不可欠である旨反応があり、今後、日米双方で情報保全の強化を図っていくことで一致しました。
次に、軍事情報包括保護協定、いわゆるGSOMIAについてお尋ねがありました。
本協定は、秘密軍事情報の取り扱いの手続等を明確化するものであり、これにより、日米間の秘密軍事情報の交換をより円滑、迅速に行うことが可能となるものであります。現在、米側と締結に向けた最終的な調整を行っており、締結時期については調整中であります。
次に、新設される防衛監察本部への外部からの人材登用についてのお尋ねがありました。
防衛監察本部による監察の客観性、適正性を確保するためには、会計監査の専門家や法曹関係者など外部の人材による専門的知見を活用することが重要であると考えております。現在、部外者の登用については、確たることは申し上げる段階にはありませんが、慎重に検討しているところであります。
次に、新設される防衛監察本部への部内の人材の登用についてお尋ねがありました。
防衛監察本部は、防衛大臣直轄の特別の機関として位置づけ、既存の組織から独立した立場で監察を行うものであります。
部内者については、組織の設立の趣旨にふさわしい人材を選考し、これらの者に対し研修を実施することなどにより、監察の客観性、適正性を確保することといたしております。
最後に、統合運用体制移行後のメリットについてお尋ねがありました。
本移行に伴い、平素から陸海空自衛隊を一体的に運用できる態勢が整い、各種事態に迅速かつ効果的に対応することが可能になりました。例えば、昨年五月のジャワ島中部地震後の国際緊急援助活動や国内での災害派遣活動では、各自衛隊が連携して迅速に対応することができました。
今後も、より効果的な部隊運用に努めてまいりたいと思います。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) 武器輸出三原則についてのお尋ねがあっております。
政府といたしましては、武器輸出管理につきましては、武器輸出三原則等の平和国家としてのよって立つ基本理念にかんがみまして、今後とも引き続き慎重に対処するとの方針を堅持することといたしております。(拍手)
〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 津村議員にお答えをいたします。
国家安全保障会議の創設による防衛省の組織や我が国の安全保障に対する影響等についてのお尋ねをいただきました。
現行の安全保障会議を国家安全保障会議へ改めることは、防衛省の所掌事務を変更するものではなくて、同省の組織のありように影響を及ぼすものではございません。
また、国家安全保障会議へ改めることにより、同会議の審議事項や審議方法の充実等が図られることから、政治のリーダーシップのもとで、先ほど津村議員からお話のございました資源・エネルギーあるいは金融経済あるいはODA等の分野を含めまして、先生のおっしゃる総合的な安全保障の観点を含めて、国家安全保障に関する諸課題に、縦割り的発想を排して迅速にかつ的確に対応できるようになると考えているところでございます。
なお、橋本金融ビッグバンから十年たっての考えをお尋ねいただきましたが、安倍内閣といたしましては、総裁選挙のときから、日本の金融資本市場をニューヨーク、ロンドンに比肩するだけのいい、効率的な、強い市場にしようということをお約束してこの内閣をつくったところでございます。
ただいま、山本金融担当大臣のもとの金融庁、そしてまた根本補佐官のもとのアジア・ゲートウェイ会議、そしてまた大田大臣のもとの経済財政諮問会議において、それぞれの角度から、日本の金融資本市場のあり方について、またその強化策について具体的に今検討をしているところでございますので、しばし具体案につきましてはお待ちをいただきたい、このように思うところでございます。
以上でございます。(拍手)
○議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。
――――◇―――――
○議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。
午後一時三十九分散会
――――◇―――――
出席国務大臣
総務大臣 菅 義偉君
外務大臣 麻生 太郎君
経済産業大臣 甘利 明君
国土交通大臣 冬柴 鐵三君
防衛大臣 久間 章生君
国務大臣 大田 弘子君
国務大臣 塩崎 恭久君
出席副大臣
防衛副大臣 木村 隆秀君