衆議院

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第34号 平成19年5月24日(木曜日)

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平成十九年五月二十四日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十八号

  平成十九年五月二十四日

    午後一時開議

 第一 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)

 第三 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

 第四 千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の締結について承認を求めるの件

 第五 職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約(第百八十七号)の締結について承認を求めるの件

 第六 株式会社日本政策投資銀行法案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)

 日程第三 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

 日程第四 千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第五 職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約(第百八十七号)の締結について承認を求めるの件

 日程第六 株式会社日本政策投資銀行法案(内閣提出)

 労働契約法案(内閣提出)、労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び最低賃金法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長西野あきら君。

    ―――――――――――――

 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔西野あきら君登壇〕

西野あきら君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、食品循環資源の再生利用等を促進するため、食品廃棄物等を多量に発生させる食品関連事業者に食品廃棄物等の発生量等に関し定期の報告を義務づけるとともに、再生利用事業計画に位置づけられた食品循環資源の収集または運搬を行う者について一般廃棄物に係る廃棄物処理法の許可を不要とするなど所要の措置を講じようとするものであります。

 本案は、今月十一日本委員会に付託され、十五日に若林環境大臣から提案理由の説明を聴取し、十八日には参考人から意見を聴取した後、政府に対し質疑を行いました。二十二日に質疑を終局し、直ちに採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)

議長(河野洋平君) 日程第二、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長塩谷立君。

    ―――――――――――――

 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔塩谷立君登壇〕

塩谷立君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤である住宅の備えるべき安全性その他の品質または性能を確保するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、建設業者及び宅地建物取引業者に対し、新築住宅に係る瑕疵担保責任の履行の確保を図るため、住宅建設瑕疵担保保証金等の供託または住宅瑕疵担保責任保険契約の締結を義務づけること、

 第二に、国土交通大臣は、住宅に係る瑕疵担保責任の履行の確保を図るための保険契約の引き受けを行う法人を、住宅瑕疵担保責任保険法人として指定することができること、

 第三に、住宅瑕疵担保責任保険契約に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るための処理体制を整備すること

等であります。

 本案は、参議院先議に係るもので、去る五月十八日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託され、同日冬柴国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、二十二日参考人からの意見聴取を行い、二十三日質疑を終了いたしました。質疑終了後、採決いたしました結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

議長(河野洋平君) 日程第三、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長上田勇君。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔上田勇君登壇〕

上田勇君 ただいま議題となりました承認を求めるの件につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 昨年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるとして、外国為替及び外国貿易法第十条第一項に基づき、十月十四日から半年間実施された北朝鮮からのすべての貨物の輸入を禁止する等の措置について、本年四月十日の閣議において、これを継続することが決定されました。

 本件は、四月十四日以降も継続して当該措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるものであります。

 本委員会においては、五月十一日甘利経済産業大臣から提案理由の説明を聴取し、昨日質疑を行った後、採決の結果、全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第四 千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第五 職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約(第百八十七号)の締結について承認を求めるの件

議長(河野洋平君) 日程第四、千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の締結について承認を求めるの件、日程第五、職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約(第百八十七号)の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長山口泰明君。

    ―――――――――――――

 千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約(第百八十七号)の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山口泰明君登壇〕

山口泰明君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、ロンドン条約千九百九十六年議定書について申し上げます。

 船舶等からの投棄による海洋汚染の防止を目的として、昭和四十七年、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約が採択されました。その後も、条約の定める防止措置を強化するための改正が行われてまいりましたが、海洋環境の保全に対する国際社会の関心の高まりを背景に、新たな防止の仕組みを構築するための議論が行われました結果、平成八年十一月七日、ロンドンで開催された条約の締約国特別会議において本議定書が採択をされました。

 本議定書の主な内容は、

 締約国は、船舶等からの海洋投棄を原則として禁止すること、

 例外として海洋投棄が認められる廃棄物等についても、厳格な条件のもとでのみ許可すること、

 廃棄物その他の物の海洋における焼却を禁止すること、

 投棄または海洋における焼却のため、廃棄物その他の物を他の国に輸出することを許可してはならないこと

等であります。

 次に、職業安全衛生枠組み条約について申し上げます。

 近年、労働災害が世界的に増加傾向にある中、労働安全衛生分野の取り組みについてより一貫性のある対策を可能にするため、安全、健康に関する危害防止の文化の発展などが重要であるという認識が高まっております。このため、本条約は、職業上の安全及び健康を不断に改善することを促進するための枠組み条約として、平成十八年の第九十五回ILO総会において採択されたものであります。

 本条約の主な内容は、

 加盟国は、安全及び健康に関する危害防止の文化を促進すること、

 国内政策、国内制度、国内計画を定めることにより、職業上の安全及び健康を不断に改善することを促進すること

等であります。

 両件は、去る五月十五日外務委員会に付託され、翌十六日麻生外務大臣から提案理由の説明を聴取し、二十三日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 両件を一括して採決いたします。

 両件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第六 株式会社日本政策投資銀行法案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第六、株式会社日本政策投資銀行法案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長伊藤達也君。

    ―――――――――――――

 株式会社日本政策投資銀行法案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔伊藤達也君登壇〕

伊藤達也君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、行政改革推進法に基づき、日本政策投資銀行を完全民営化するとともに、その長期の事業資金に係る投融資機能の根幹を維持するため、日本政策投資銀行を解散して新たに株式会社日本政策投資銀行を設立し、その目的、業務の範囲等に関する事項を定めるものであります。

 本案は、去る四月二十五日当委員会に付託され、二十七日尾身財務大臣から提案理由の説明を聴取した後、五月八日より質疑に入り、昨日質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 討論の通告があります。これを許します。三谷光男君。

    〔三谷光男君登壇〕

三谷光男君 民主党の三谷光男です。

 民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました株式会社日本政策投資銀行法案に対し、反対の立場から討論を行います。(拍手)

 この法案に反対する理由の第一は、この法案の中にしたためられている日本政策投資銀行の完全民営化は、国民のためにならない完全民営化だという点であります。

 民間にできることは民間にという議論は、公的機関の効率化を図ることは国民の多くが望むことでもあり、大いに賛成です。そして、国会においても丁寧な審議を重ねてまいりました。

 長期の事業資金を必要とする電力、鉄道、港湾、まちづくりなど、国民生活を支える事業は、大型で、かつ多額の資金を要することから、長期、固定、そして低利の資金を前提に事業が行われてきました。完全民営化後は、こうした融資が円滑には行われず、国民生活の便益は、むしろ不利益の方が大きくなるおそれが明らかになりました。

 これらの事業に対しては、別途新たに補助金や利子補給の形で、法的な措置を含め手当てすることが審議の中で明らかになりました。政策投資銀行の試算では、二十年間で約四千三百億円、新たに国庫から持ち出さなければならないことが明らかになりました。財政の健全化に資するという意味では、全く逆の財政負担増になるわけでありまして、これは本末転倒な話です。完全民営化におつき合いをする代償は余りに大きいと言わざるを得ません。

 反対理由の二つ目ですが、日本政策投資銀行は、これまでに、そして現在も、その役割を十分に果たしている点であります。

 長期での事業資金提供という政策使命を果たしつつ、必要経費において国庫負担は受けておりません。受けずに事業運営を行っております。逆に、累計七千億円を超える国庫納付を重ね、ほぼ毎年財政に貢献しているというのがその状況であります。

 とにかく完全民営化だというのではなくて、財投出口改革におつき合いをして民営化をしようというのであるならば、せめて、国民経済にとって利益の方が大きいのか、不利益の方が大きいのか、慎重に検討を行った上で、この国会の審議の場に付すべきなのではないでしょうか。

 反対理由の最後に、閣議決定と法律が矛盾をしている点であります。

 我が国の金融市場における長期の事業資金の調達のあり方について、ユーザーによる起債や民間金融機関の新規参入など、さまざまな資金調達が考えられる中で、政府も、恐らくこうした流れを受け、平成十七年十二月の閣議で、政策金融として行う必要がなくなったと決定したのではないでしょうか。

 ところが、平成十八年、昨年の行革推進法においては一転して、政投銀の有する長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されることになるよう必要な措置を講ずると、完全民営化を決定された、民間銀行となる政投銀にその機能を負わせることになりました。

 結局、これまでの事業の継続性を担保せざるを得ない、その一方で、では完全民営化してどのようなビジネスモデルの銀行が成り立つのか見当もつかない、本当に成り立っていくのかどうかすらわからない、このように矛盾した、そして全く見通しなしの内容では、この法律に反対をせざるを得ません。

 そして、日本政策投資銀行もいいことばかりをやっているわけではありません。今も、JAL向け融資など、政投銀が行うには疑問と思わざるを得ない問題、課題もございます。完全民営化後は、こうした問題に対して国会のチェックも全くきかなくなることも、この反対理由の一つであります。

 完全民営化という決められたレールの上を窮屈に走るのではなくて、効率化という命題に資する、そして国民経済に本当に資する日本政策投資銀行のあり方をもう一度真剣に議論し直すことを強く求め、私の反対討論を終わらせていただきます。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 労働契約法案(内閣提出)、労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び最低賃金法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、労働契約法案、労働基準法の一部を改正する法律案及び最低賃金法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生労働大臣柳澤伯夫君。

    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕

国務大臣(柳澤伯夫君) 労働契約法案、労働基準法の一部を改正する法律案及び最低賃金法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、労働契約法案について申し上げます。

 就業形態や就業意識の多様化等が進み、個別労働関係紛争が増加しているという状況のもとで、労使双方が安心、納得した上で多様な働き方を実現できるよう、体系的でわかりやすいルールを整備することが重要な課題となっております。

 このため、労働者及び使用者の自主的な交渉のもとで、労働契約が円滑に継続することを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資するための基本的なルールを法制化するため、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、労働契約に関する原則について、労働契約は労働者と使用者が対等の立場により締結、変更すべきものであること等を定めることとしております。

 第二に、労働契約の成立及び変更に係るルールについて、労働契約は、労働者及び使用者の合意によって成立し、または変更される旨を明確にすることとしております。その上で、現に広く用いられている就業規則と労働契約との関係を明らかにすることとしております。具体的には、使用者が、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益になるように労働契約の内容を変更することができない旨を定めるとともに、就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を周知させ、かつ、就業規則の変更が合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、変更後の就業規則に定めるところによるものとすることとしております。

 第三に、使用者の権利の濫用に当たる出向命令や懲戒は無効となることを明確にすることとしております。

 第四に、期間の定めのある労働契約について、使用者は、必要以上に短い契約期間を定めた上で反復更新することのないよう配慮しなければならないこと等を定めることとしております。

 最後に、この法律の施行期日は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 次に、労働基準法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 少子高齢化が進行し労働力人口が減少する中で、子育て世代の男性を中心に、長時間にわたり労働する労働者の割合が高い水準で推移していること等に対応し、長時間労働を抑制し、仕事と生活の調和がとれた社会を実現する観点から、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、時間外労働に関する見直しとして、特に長い時間外労働を抑制するため、一カ月について八十時間を超えて時間外労働をさせた場合には、その超えた時間の労働について、法定割り増し賃金率を五割に引き上げること等とし、さらに、労使協定により、法定割り増し賃金率の引き上げ分の割り増し賃金の支払いにかえて、有給の休暇を与えることができることとしております。

 なお、中小事業主については、法定割り増し賃金率の引き上げを猶予することとしております。

 第二に、年次有給休暇の見直しとして、年次有給休暇を有効に活用できるようにするため、労使協定により、年次有給休暇について五日の範囲内で時間を単位として取得することができることとしております。

 最後に、この法律の施行期日は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 次に、最低賃金法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 就業形態の多様化等が進展する中で、最低賃金制度については、賃金の低廉な労働者の労働条件の下支えとして、十全に機能するよう整備することが重要な課題となっております。このため、最低賃金制度について、社会経済情勢の変化に対応し、必要な見直しを行うこととし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、地域別最低賃金については、あまねく全国各地域について決定されなければならないこととするとともに、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払い能力を考慮して定められなければならないものとし、労働者の生計費を考慮するに当たっては、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとすることとしております。

 さらに、地域別最低賃金の実効性を確保する観点から、その不払いに係る罰金額の上限を五十万円に引き上げることとしております。

 第二に、産業別最低賃金については、すべての労働者の賃金の最低限を保障する安全網とは別の役割を果たすものとして、関係労使の申し出を契機として決定されるものとし、最低賃金法の罰則は適用しないこととしております。

 最後に、この法律の施行期日は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 以上が、労働契約法案、労働基準法の一部を改正する法律案及び最低賃金法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 労働契約法案(内閣提出)、労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び最低賃金法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。園田康博君。

    〔園田康博君登壇〕

園田康博君 民主党の園田康博でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました内閣提出、労働契約法案、労働基準法の一部を改正する法律案、最低賃金法の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)

 質問に入ります前に、一言申し上げておきたいと存じます。

 今回のこの議題設定につきましては、全会一致が慣例の議院運営委員会において、強行に採決されたものであるというふうに思っております。また、今国会における職権開会は六回、委員会においては実に三十七回も職権において開会をされています。言語道断、国会軽視も甚だしく、数に物を言わせるのはいいかげんにしていただきたい。

 さらに、明日の厚生労働委員会において、国民の消えた年金問題の解明と解決を先送りにして、強行に採決をしようとしている。その宙に浮いた五千万件、国民年金の五千万件については、管理責任者として社会保険庁のミスであります。この社会保険庁のミスをそのままにしておいて強行採決をするなど、言語道断であります。そのことを強く抗議させていただきたいと思います。

 さて、質問に入りたいと思います。

 バブル崩壊後に長引いた不景気の影響で、企業が一時的な労働コストの削減を進めた結果、パート、派遣、有期契約といった非正規雇用の割合が働く人の三割以上にまでふえ、正規雇用との待遇の格差の拡大が社会問題となっています。しかし、政府は格差是正に真正面から取り組もうとせず、一連の再チャレンジ法案は甚だ不十分であります。

 そこで、民主党は今国会に格差是正緊急措置法案を提出いたしましたが、政府・与党は審議もしようとしないので、仕方なく私たちは、個別法案として、すべてのパート労働者を対象とし正規社員と均等待遇を推進するパート労働法改正案、雇用政策の基本方針と基本施策を定める雇用基本法案、募集・採用における年齢差別禁止法案、就職氷河期に社会に出た人を対象とし就労の安定化を集中的に推進する若年者就労支援法案、そして最低賃金を労働者が生計を立てられる水準に引き上げるための最低賃金法改正案を提出してきました。

 以下、本日議題となっている政府提出の三法案にも問題が山積しているという認識のもと、質問をさせていただきます。

 まず、労働契約法案についてお尋ねいたします。

 我が国は働く人の八割を給与所得者が占める雇用社会でございますが、近年、雇用就労形態の多様化や転職の増加に伴い、労働条件が個別に決定され、一方的に労働条件を変更されるなどのトラブルになるケースも多くなってまいりました。そうした中、問題が生じた場合、労使当事者が労働審判など紛争解決機関において迅速に自主的に解決し、個別の労働紛争を未然に防ぐための体系的な法律が、これまでの日本社会には欠けておりました。労働契約における公正かつ透明な民事上のルールを明確にする労働契約法であります。

 この労働分野の民法とも言える労働契約法に対しては、二〇〇三年の労働基準法改正時以来、大きな期待が寄せられていましたが、今回政府が提出した労働契約法案は、二〇〇五年九月に今後の労働契約法制の在り方に関する研究会が取りまとめた報告書に比べて内容が乏しく、せっかく二十一世紀の雇用社会にふさわしい新法をつくるというのに意気込みと熱意が感じられないばかりか、目指すべき内容からほど遠いとしか言いようがありません。なぜこんな薄っぺらな法案になったのか、大臣の御説明を受けたいと思います。

 その上で、法案の内容について一点のみお伺いいたします。就業規則の取り扱いについてであります。

 私どもの社会において、契約の基礎にあるのは、契約をする両当事者の合意であります。労働契約も例外ではありません。会社とそこで働く労働者が話し合って合意することが労働契約の基礎にあるべきであり、それがなければなりません。労働契約法とは、労働契約の締結から終了までのあらゆる場面において、労使が対等の立場で協議し、交渉し、合意するためにはどのような内容であるべきかという大命題が常に基礎になければなりません。

 特に労働契約は、その契約の途中でさまざまな形で変更されることが想定されますが、契約である以上、使用者による一方的な労働条件の変更はできないのは当たり前でございます。労働条件が切り下げられる場合はなおさらでございます。その意味で、労働契約法を考えるときには、使用者が事実上一方的に決める就業規則は労使で合意したものではないという認識からスタートしなければなりません。

 ところが、政府は、この使用者が一方的に決める就業規則の扱いが極めて雑でございます。それは、法案要綱を法案にする際、就業規則の周知の問題について、簡単に文言を変えてしまったところにあらわれています。仮に百歩譲って従来の判例法理に沿ったとしても、就業規則の周知が問題となる場面は、既に就業規則が存在している場合に限定されています。にもかかわらず、法案要綱は、聞いてくださいよ、「使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする」こととなっていたのに、法案第七条は「就業規則を労働者に周知させた場合には、」と変わってしまいました。おわかりでしょうか。

 その結果、変更された政府案では、労働者数が十人未満であって労働基準法による就業規則の作成義務がなく、就業規則が作成されていなかった事業場において、それまでの労働条件を切り下げるために新たに就業規則を制定してこれを周知すれば、それができてしまうと解釈できるものでございます。これでは合意に基づく労働契約とは言えないのは明らかであります。政府は、法案も要綱案も意味が同じだと回答をしておりますが、それでは、あえてあいまいな文言に変更したのはなぜでしょうか。そして、なぜ法案要綱で踏ん張れなかったのか、厚生労働大臣の姿勢をお尋ねいたします。

 次に、労働基準法改正についてお伺いします。

 長引いた不景気を背景に、企業の人員削減が進んだあげく、会社に残った社員は仕事量がふえ、長時間労働がふえています。働き盛りの三十代は四人に一人は週六十時間以上の労働時間となっており、二〇〇六年六月の調査においても、正社員の四二%がサービス残業をしております。平均で月三十四時間を超えたと回答もしているんです。仕事上のストレスによる精神障害になり、二〇〇六年度に労災認定を受けた人も前年度の一・六倍の二〇五人に急増し、未遂を含めて過労自殺が六十六人にも上っています。過労による脳出血や心筋梗塞などで労災認定された人は二年連続で増加し、三百五十五人に達しました。このうち、九割に当たる三百二十三人が長期の過重業務を理由に認定されており、発症前の一カ月から六カ月間における月平均の残業時間が百時間以上の人が六割を占めていました。長時間労働は、確実に心身の健康をむしばみ、人間らしく生きる時間を容赦なく奪います。これでは、ワークライフバランスなど夢のまた夢、到底実現できるはずがありません。

 企業は、長時間労働に歯どめをかけるため、所定時間内に業務が終わるよう業務の効率化を推進していくべきでございますが、やむを得ず残業を行う場合は、労働者の健康に配慮しつつ、公正な賃金が支払われなければなりません。そうした観点から、民主党は、所定労働時間が週四十時間を超えた場合の割り増し賃金率を国際水準の五〇%にまで引き上げるべきだと主張しています。

 これに対して政府案は、時間外手当の割り増し率が現行では二五%のところ、時間外労働が月に八十時間を超えた場合に限って五〇%に引き上げることを義務づけるだけで、残業に歯どめをかけるものでは全くありません。月八十時間は過労死ラインと言われ、健康を害する危険性が極めて高いと厚生労働省自身も認めている水準でございます。体と心を壊すほど長時間労働をした人しか五〇%の割り増し賃金の対象とならないのは、本末転倒ではありませんか。

 割り増し賃金五〇%の義務化について、月八十時間を超える場合に規定した理由は何でしょうか。また、月四十五時間を超える場合の割り増し賃金引き上げの努力義務でどの程度の引き上げが期待できるのでしょうか。私は、何の強制力もなく、絵にかいたもちだと考えますが、厚生労働大臣の御所見をお伺いします。

 次に、最低賃金法の改正について伺います。

 地域別最低賃金は毎年一円から五円程度しか引き上げられておらず、我が国の最低賃金水準は、他の先進諸国に比べても低い水準に抑えられたままでございます。地域によっては、最低賃金が生活保護水準を下回っており、生計が立てられない貧困層の拡大を招いています。

 新聞各紙はワーキングプアなどと上品な片仮名を使っておりますが、これは日本語に訳せば、働いても貧乏ということであります。まじめに働いても暮らしていけない、結婚できない、将来の展望が持てずその日暮らしを続けるしかない社会は、貧乏な国でございます。すなわち、政府案が行き着くところは、美しい国ではなく、貧乏の国・日本を目指していると言わざるを得ません。

 大臣、ネットカフェに行ったことはございますでしょうか。私は昨日、ネットカフェのその実態、若者の実態を現場で見なければならないと思い、実際に見てまいりました。そこには、日雇い派遣という形で、一日六千円から八千円の給料で生計を立てているものの、アパートを賃貸する初期費用六カ月分をためることができず、ネットカフェ、あるいは最近ではハンバーガーショップなどで一夜を過ごす若者がふえていると言われ、ネットカフェ難民という言葉まで生まれています。このような若者がどのくらいいるのか、その実態と、また、そのような若者を生んでいる社会について大臣はどう思われますでしょうか。御感想をお伺いいたします。

 さて、法案についてお伺いする前に、政府の御見解を明確にしておかなければなりません。

 昨今、規制改革会議から、不用意に最低賃金を引き上げると、その賃金に見合う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらすという、最低賃金の引き上げに慎重な意見が発表されたそうであります。今、こうして最低賃金法の改正案がまさに国会審議に入ろうというときに、政府の規制改革会議から意見書が発表されたとするならば、これは見過ごすことはできません。さらに、成長力底上げ戦略推進円卓会議で、最低賃金の中長期的な引き上げ方針を協議することになったそうであります。

 一体、政府は最低賃金を引き上げるんでしょうか、引き下げるんでしょうか、どっちなんですか、答えてください。規制改革会議のペーパーを読めば、政府は、貧乏人はもっと貧乏になれと言っていて、格差是正など単なるポーズだったとしか見えません。最低賃金政策の決定権がだれにあるのかも含めて、厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 民主党の考えでは、最低賃金の原則を労働者及びその家族の生計費を基本とするとしておりますが、政府案において、最低賃金の原則として労働者及びその家族の生計費を基本とすること、これを取り入れるお考えがあるかどうか、厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 政府案は、地域別最低賃金の原則として「労働者の生計費を考慮するに当たつては、生活保護に係る施策との整合性に配慮するもの」としておりますが、この改正により、加重平均で時給四十九円になるという厚生労働省の試算が報道されています。この試算の算定根拠、法施行後一遍に引き上げるのか、厚生労働大臣に説明を求めます。

 最後に、これまで私どもが独自案としてそれぞれ出してくるたびに、バナナのたたき売りではございませんが、例えば最賃の相場が引き上がるような報道がなされており、それはそれで結構でございますが、格差是正に本気で取り組むのは民主党の方なのか、政府・与党なのか。どんなに競ってみたとしても、私ども民主党の方が真剣であり、政府・与党は単なるポーズにすぎないということを最後に指摘をさせていただきまして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕

国務大臣(柳澤伯夫君) 園田議員にお答え申し上げます。

 最初は、今回の労働契約法案は、内容が不十分なものではないかとのお尋ねでございました。

 個々の労働者と使用者との間の紛争が増加基調にある中で、労働者が安心、納得して働くことができるよう、労働契約に関する基本的なルールを定めることは、目下重要な課題でございます。

 今回の労働契約法案は、御指摘の二〇〇五年九月の研究会の報告書に盛り込まれていたあらゆる場面を完全に網羅したものではございませんが、それは、労働の現場において紛争が生じている問題を中心に、労働契約における労使対等の立場での合意の原則や、労働契約を変更する場合に遵守すべきルールなどを定めることによって使用者の合理的な行動を促し、労働者が安心、納得して働けるようにすることを目指したものでありまして、この点、御理解をいただきたいと考えております。

 就業規則の新規作成により、使用者が自由に労働契約の内容を変更することができることとなるのではないかとの御疑問の提示がございました。

 御指摘のように、これまで就業規則を制定していなかった企業におきましても、新たに就業規則を制定した場合につきまして、第七条の規定は適用されることとなると考えております。

 ただし、個別具体的な判断によりますが、一般的には、就業規則がなかった場合、既に就業していた労働者との間では、個別の合意で労働条件を決定していることが多いと考えられるところでございます。このような場合には、第七条ただし書きにより、その合意が優先されることとなるため、御懸念のように、使用者が就業規則の新規作成によって自由に労働条件を変更するというようなことはないものと考えております。

 法律案の文言を、要綱に比べ変更した理由につきましては、「周知させていた」では第十条の法的効果の発生時点が不明確であるということのため、時点を明確にするため「周知させていた」としたものであります。

 法定割り増し賃金率の引き上げの基準についてお尋ねがありました。

 今回の労働基準法改正法案では、月八十時間を超える時間外労働について、法定割り増し賃金率を五割に引き上げております。

 これは、一つは、長時間労働の実態を見ますと、週六十時間、これでありますと月八十七時間の時間外労働ということになりますが、これを超えて働いている者が子育て世代の男性の約五分の一を占めること、二つには、労働時間が週六十時間以上になると、労働時間の長さについてかなり長いという意識を持つ労働者が最も多くなること、三つは、労働安全衛生法において、週四十時間を超える労働が月百時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者に対しては、医師による面接指導の実施が使用者の義務とされていること等を考慮して提案させていただいたものでございます。

 次に、限度基準告示における努力義務の効果についてお尋ねがありました。

 時間外労働の限度時間の目安を定める限度基準告示につきましては、労働基準法に労使の遵守義務及び行政官庁による助言指導が規定されておりまして、これに基づき、時間外労働協定の労働基準監督署への届け出、さらには事業場への監督指導の際に、必要な指導を行い、その履行確保を図っていくこととなっております。このことによりまして、時間外労働の抑制を実効的に図ってまいりたいと考えております。

 次に、いわゆるネットカフェ難民についてお尋ねがありました。

 この問題に的確に対応するためには、まずその実態を把握することが重要でありますが、これらの労働者は、その外見から一般の利用者と区別がつかないことなどから把握が困難な面があるため、関係者と調整を図りながら的確な把握方法を見出し、早急に実態調査を行ってまいる所存であります。

 これらの者に対する対策につきましては、把握された実態を踏まえて具体的に検討する予定でありますが、これらの者には、まず、住居を確保するための相談、支援を行うとともに、より安定的な就業機会を確保するための支援を行っていくことが課題であると考えております。

 規制改革会議の意見書に対する見解等についてのお尋ねがありました。

 お尋ねの規制改革会議の意見書とは、去る五月二十一日、規制改革会議再チャレンジワーキンググループ労働タスクフォースが公表したものであるとお聞きいたしましたが、当該記述は、現時点における同タスクフォースの考え方として、不用意な引き上げということが起こった場合について意見を述べたものと理解しております。

 厚生労働省といたしましては、最低賃金法改正法案を成立させていただいた暁には、改正法の趣旨を踏まえ、最低賃金の引き上げを図ってまいる所存であります。

 なお、最低賃金は、最低賃金審議会の意見を聞いて、厚生労働大臣または都道府県労働局長が決定するものとなっております。

 労働者の家族も考慮した最低賃金の決定に関するお尋ねがありました。

 労働者の生計費とは、労働者の生活のために必要な費用をいうものでありますが、具体的にどのような労働者を前提とするのかについては、最低賃金の決定の仕方と密接に関連する問題であります。

 現在決定されている地域別最低賃金は、年齢階層にかかわらず一律に決定され、単身労働者も扶養家族を有する労働者もいずれも対象としており、また、一般的には賃金カーブは入職時が最も低くその後上昇していくということでございますので、こうしたことを前提とするならば、最低賃金の決定に当たって、直接参考とするのは若年単身労働者の生計費とすることが適当と考えております。

 今回の法改正による最低賃金の引き上げ幅についてのお尋ねがございました。

 今回の最低賃金法改正法案におきましては、地域別最低賃金について、その水準を生活保護との整合性も考慮して決定することといたしております。生活保護に係る施策との整合性の具体的なあり方は、最低賃金審議会における審議を経て決定されるものであります。

 また、地域別最低賃金の具体的な水準は、中央最低賃金審議会の議論も踏まえ、地方最低賃金審議会において、生計費、賃金及び賃金支払い能力の三つの決定基準に基づき、地域の実情を含め、さまざまな要素を総合的に勘案して審議を行い、決定されるものであります。

 御指摘の報道の内容は、現在の最低賃金の水準と生活保護の水準との機械的な一つの比較を示したものと考えております。

 いずれにいたしましても、今回の法案が成立した暁には、最低賃金審議会におきまして法改正の趣旨に沿った議論が行われ、その結果に沿って、現下の雇用経済情勢を踏まえた適切な引き上げ等の措置を講ずることといたしております。

 以上でございます。(拍手)

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議長(河野洋平君) 江田康幸君。

    〔江田康幸君登壇〕

江田康幸君 公明党の江田康幸でございます。

 私は、ただいま議題となりました労働契約法案、労働基準法の一部を改正する法律案及び最低賃金法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、公明党を代表して質問をいたします。(拍手)

 近年の我が国の労働関係を取り巻く状況を見ますと、長期的な観点で見れば、少子高齢化がますます進行しているという問題があり、その要因の一つである出生率低下の根底には、働き方の問題があると考えます。

 現在、我が国の労働市場は、労働時間が短く賃金が低い雇用と労働時間が長く賃金が高い雇用に二極化されており、このことが長時間労働が困難な女性や高齢者の働く場を制約し、一方で、画一的な長時間労働への拘束に耐えられない若者たちがフリーターや無業者となるケースをふやしていると考えます。

 我が国が今後も引き続き経済活力を維持していくためには、我が国の働く方々が、老若男女を問わず、充実した職業生活を営みつつ、家庭や地域などにおける生活も職業生活と調和のとれた形で送ることができるような環境づくり、ワークライフバランスが重要であると考えます。また、そうした働き方の前提として、働く方々が安心して納得して働くことができる環境づくりも重要であると考えます。

 このような考えのもとで、順次質問をいたします。

 まず、最低賃金法改正法案について御質問します。

 最低賃金制度は、すべての労働者の賃金を下支えするセーフティーネットとして極めて重要な役割を果たしているところであり、就業形態が多様化する中で、その重要性はさらに増しているものと考えます。

 ところで、現在、地域別最低賃金は都道府県ごとに決定されておりますが、地域によっては、最低賃金でフルタイム働いても、生活保護水準以下の収入しか得られない場合もあると伺います。このことは、最低限度の生活を保障するという観点やモラルハザードの観点から大きな問題であり、就労に対するインセンティブが働かないものと考えます。

 こうした問題に関し、労働者の賃金の底上げを図るべく、最低賃金制度がより一層セーフティーネットとして十分に機能する必要があると考えておりますが、今回の改正法案においてはどのように対応しようとしているのか、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。

 次に、あるべき最低賃金の姿についてお尋ねいたします。

 現在、地域別最低賃金の水準は、全国加重平均で六百七十三円と聞いております。これについて、全国最低賃金を導入すべきとの意見や、全国平均で千円を目指すというような意見があり、これを実現させるため、民主党案では、最低賃金の決定基準から賃金支払い能力を取り払っております。

 このような主張は耳ざわりがよく、またわかりやすくもあるのですが、最低賃金は国が罰則をもってすべての労働者の最低限度の水準の賃金を保障するものであることにかんがみれば、企業の賃金支払い能力を無視して、最低賃金を例えば千円といった水準に大幅に引き上げるとなりますと、中小企業の事業経営を圧迫し、反発を招くのは明白であります。

 また、我が国の実情を見ると、賃金や物価水準等について地域格差が大きく存在し、地域の経済状況にも差が見られるところであります。

 全国最低賃金を導入すべきという主張や、地域別最低賃金を例えば千円といった水準に大幅に引き上げるべきといった主張について、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。

 次に、労働基準法改正法案について御質問をいたします。

 我が国の労働者の働き方を見ると、全労働者の十人に一人が週六十時間を超えて働いており、特に、子育て世代である三十代の男性については、五人に一人が週六十時間を超えて働いているという状況でございます。

 少子化が進行する中で、我が国の労働者が、家庭生活を初めとする生活のための時間を十分確保しながら働くことができるような社会、ワークライフバランスを図ることができる社会を実現することが重要となっていますが、週六十時間労働、すなわち毎日毎日、夜の十時まで残業を続け、疲れ果ててあとは帰って寝るだけというような生活では、子育てへの参加などワークライフバランスの実現はおぼつきません。

 公明党としても、昨年四月に、割り増し賃金率引き上げ等による長時間労働の是正等を内容とする少子社会トータルプランを公表するなど、累次にわたってワークライフバランスの実現のための長時間労働の抑制の必要性を訴えてまいりました。

 また、公明党は、長時間労働の是正を進めるに当たっては、中小企業の立場も慎重に考慮し、助成金制度などにより事業主負担の軽減にも配慮すべきと主張してまいりました。

 そこで、今回御提案されている労働基準法の一部を改正する法律案は、長時間労働の抑制についてどのように取り組んでいく内容となっているのか、厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 また、今回の改正では、年次有給休暇について一定の場合に時間単位での取得を認める内容が盛り込まれております。我が国における年次有給休暇の取得率は五割を切っていますが、その一因として、職場環境による労働者の気兼ねなどが指摘されています。一方、丸一日休暇をとることもないような子供の学校の行事などに合わせ、年次有給休暇制度をもう少しきめ細かく、使いやすいものに改めることもワークライフバランスの実現の観点から有用であると考えます。

 本法案は、年次有給休暇の取得率が低いなどの状況を少しでも改善するものと期待しておりますが、今回の年次有給休暇制度の改正の趣旨を厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 次に、労働契約法案について御質問をいたします。

 近年、労働者の就業形態が多様化し、労働条件の個別化が進展するに伴って、個々の労働者と使用者との間の労働条件をめぐる紛争も増加しております。このため、より迅速に解決を図るための手続として、都道府県労働局によるあっせん制度が設けられましたが、相談件数は年々増加傾向にあります。

 こうした膨大な紛争を未然に防止するためには、紛争解決の手続を整備するだけではなく、そもそも、労働者にとって不合理な労務管理が行われることによって紛争が発生しないよう、労働契約に関する基本的なルールを整備することが必要であります。

 ところが、我が国においては、個々の労働者と使用者との間の労働契約について、その民事的ルールを体系的に定めた法律は存在せず、判例法理という裁判所のルールに依存している状況です。

 今こそ、労働契約に関する基本的なルールを整備して、労働者が安心して働くことができるようにすることが必要と考えますが、今回御提案されている労働契約法案は、そうした内容の法案になっているのでしょうか。その御提案の趣旨を厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 また、就業形態が多様化する中で、有期労働契約で働く者も年々増加しております。そうした有期契約労働者は、正社員でないがゆえに不安定な雇用であると考えられ、契約更新をめぐる紛争も発生しております。

 今回御提案されている労働契約法案においては、有期労働契約が良好な雇用形態として活用されるようにするための方策として、どのようなものが盛り込まれているのでしょうか、厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 冒頭にも申し上げましたとおり、現在、我が国の働き方は、正社員を中心とした労働時間が長く賃金の高い雇用と、非正社員を中心とした労働時間が短く賃金が低い雇用に二極化されている状況にあります。

 今回の三法案により、最低賃金の底上げ、長時間労働の抑制、労働契約ルールの明確化を図ることを通じて、こうした我が国の働き方の状況を見直すことが、少子社会においてすべての人が安心、納得して働くことができる環境づくりにとって喫緊の課題であると強く申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕

国務大臣(柳澤伯夫君) 江田議員にお答えいたします前に、先ほどの園田康博議員に対する答弁の中で、私、発音が悪かったのか、あるいは条文を取り違えたようでございまして、訂正をさせていただきます。

 先ほど、労働契約の内容と就業規則との関係につきましてお答えをする際に、本来第七条と言うべきところを第十条と申し上げたかと思います。それからまた、そもそもの問題につきまして、要綱で「周知させていた」というものを法文において「周知させた」というふうに変更した点について御質疑をいただいたわけで、私としてもその理由を説明させていただいたところでございますが、ちょっと発音が悪くて、お取り違えがあるかもしれないということから、まことに、おわびをして訂正をさせていただきます。

 それでは、江田議員にお答え申し上げます。

 最初に、最低賃金の機能強化に関するお尋ねがございました。

 最低賃金制度は、賃金の低廉な労働者の労働条件の下支えとして重要なものと認識しておりまして、就業形態の多様化等といった社会経済情勢の変化に対応して、今後ともセーフティーネットとして一層適切に機能することが求められている、このように考えております。

 このため、最低賃金法改正案におきましては、地域別最低賃金について、一つ、その水準を生活保護との整合性も考慮して決定すること、二つ、不払いに係る罰金額の上限を五十万円に引き上げることといたしております。

 次に、最低賃金の決定に当たっての考え方に関するお尋ねがございました。

 最低賃金は、労働者の最低限度の水準の賃金を保障するものでありますが、地域によって物価水準等に差があり、生計費も異なることから、その最低限度の水準についても、地域によって差があるものと考えております。このため、全国一律に最低賃金を定めることは適当ではなく、各地域の実情に応じて決定されるべきであると考えます。

 また、地域別最低賃金を例えば千円へ引き上げるなど、急に大幅に引き上げることについては、中小企業を中心として、労働コスト増により事業経営が圧迫される結果、かえって雇用が失われる面もあり、非現実的と考えております。

 次に、長時間労働の抑制対策についてお尋ねがありました。

 最近の総労働時間の推移を見ましても、労働者の長時間労働が常態化しており、その抑制を図ることにより、仕事と生活の調和がとれた社会を実現することが重要な課題と考えております。

 このため、公明党の御主張も踏まえ、一つ、今回の労働基準法の改正法案においては、中小企業にも配慮しつつ、月八十時間を超える時間外労働について法定割り増し賃金率を五割に引き上げるとともに、二つ、また、告示を改正し、そこで定められた限度時間を超える労働時間をできるだけ短くするよう労使双方に努力義務を課し、三つ、あわせて、時間外労働の削減に積極的に取り組む中小企業に対し助成金を支給するという制度を創設する等の取り組みをしてまいりたいと考えております。

 年次有給休暇制度の改正の趣旨についてお尋ねがありました。

 労働基準法に定める年次有給休暇につきましては、特に子育て世代の女性から、子供の学校行事や通院に対応するため、時間単位の取得の希望があったことを踏まえ、五日を上限として、これを可能とすることといたしております。

 これによりまして、年次有給休暇を多様な目的で有効に活用できるようになり、労働者のワークライフバランスの実現にも資するものと考えております。

 労働契約法案の趣旨についてお尋ねがありました。

 江田議員御指摘のとおり、労働に関する紛争が増加基調にあり、労働者が安心して働くことができるよう、労働契約に関するルールを明確にすることが必要と認識しております。

 このため、労働契約法案では、労使が労働契約を締結する際には両者が対等の立場における合意に基づくべきという原則、理念や、労働契約の成立及び変更は労使当事者の合意が原則であり、就業規則による労働条件の変更は合理的なものであることを要する等、労働契約に関する基本的なルールを明らかにすることとしております。

 これによりまして、労働契約に関する基本的なルールが周知され、紛争の未然防止が図られることになり、労働者が安心、納得して働く条件が整うものと考えております。

 有期労働契約についてお尋ねがございました。

 有期労働契約については、使用者のみならず労働者のニーズもありますことから、私も、議員御指摘のとおり、有期労働契約が良好な雇用形態となりますよう、そういうことを実現することが重要であると認識しております。

 有期労働契約の実態を見ますと、契約更新時など契約の終了場面において紛争が多く発生しておりますので、今回の労働契約法案におきましては、契約期間を必要以上に短く定め、それを反復更新するといったことがないよう配慮を求めるなどの規定を設けております。

 これによりまして、有期契約労働者が安心して働くことができるようになるものと考えております。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 笠井亮君。

    〔笠井亮君登壇〕

笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、労働関連三法案について質問いたします。(拍手)

 今日、雇用、労働をめぐる最大の問題は、多くの労働者が低賃金、長時間労働、不安定雇用を強いられていることです。財界、大企業が、利潤追求のため、コスト削減と称してリストラや雇用の非正規化を進めるもとで、ワーキングプアなど働く貧困層が拡大しているのであります。この十数年来、労働法制の規制緩和を進めてきた政府の責任をどう考えているのですか。厚生労働大臣の答弁を求めます。

 今回の労働三法案の提出をめぐっては、ホワイトカラーエグゼンプションが重大な議論になりました。残業代ゼロ法案という国民の厳しい批判を受け、政府は法案に盛り込むことを断念したのであります。

 ところが、経済財政諮問会議の八代尚宏氏は、この四月、労働市場改革専門調査会の第一次報告をまとめるに当たって、ホワイトカラーエグゼンプションの導入を改めて主張しているのであります。これは、参議院選挙後にも導入しようという考えなのではありませんか。官房長官、内閣としての見解をはっきりとお答えください。

 さらに重大なことは、五月二十一日に、規制改革会議が労働法制のさらなる規制緩和を打ち出したことです。不当な理由であっても金銭さえ払えば解雇できる制度を初め、派遣労働における業種の拡大や派遣期間の制限の撤廃など、労働者保護のために辛うじて残っている仕組みさえことごとく撤廃する内容であり、言語道断であります。

 一昨日、柳澤厚生労働大臣は参議院で、政府の方向性と全く違う、適切さを全く欠いていると答弁しましたが、安倍内閣として、規制改革会議の報告書が明らかにしている方向はとらないと断言すべきです。官房長官並びに厚生労働大臣の答弁を求めます。

 次に、法案に即して厚生労働大臣に質問します。

 今回の労働基準法改正案は、長時間労働を是正するためとして、時間外労働の割り増し率引き上げなどを盛り込んでいます。しかし、この十数年来、労働時間は二千時間を超えたまま横ばいとなっており、有給休暇の取得率も年々低下しています。昨年度、長時間労働や仕事のストレスなど、過労が原因の自殺で労災認定を受けた人が六十六人と過去最多となっており、長時間労働は一向に改善されていないのが実態です。

 長時間労働を是正するために最も肝心なのは、残業時間を法的に規制することです。なぜそれを行わないのですか。

 労働契約法案は、労働契約の締結や変更について、労働者と使用者が対等な立場で合意することを原則としています。ところが、使用者が一方的に定める就業規則の変更が労働者にとって不利益であっても、労働者の合意は必要ないとしています。これでなぜ、労使が対等の立場だと言えるのですか。

 労働契約に関する重大な問題は、派遣労働やパートなどの非正規労働者が、恒常的かつ基幹的な業務を担っているにもかかわらず、短期間の雇用契約を繰り返す、不安定な働き方を押しつけられていることにあります。この法案で、こうした実態が改善されるのですか。明確にお答えください。

 最後に、最低賃金の問題です。

 現行の最低賃金は、全国十一都道府県で、生活保護水準さえ下回っているのが現状です。こんなことが放置されていいはずはありません。最低賃金の決定権は国にあります。こんなに低レベルにとどめてきた責任は極めて重大です。一体、今回の法改正で、最低賃金が幾ら引き上げられるのですか。

 今必要なことは、全労連や連合を初め多くの労働者、国民が求めているように、全国どこでも時給千円以上に引き上げることではありませんか。明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

国務大臣(塩崎恭久君) 笠井議員にお答えを申し上げます。

 まず、自己管理型労働制についてお尋ねがございました。

 自己管理型労働制は、一定のホワイトカラー労働者を対象に、働く人がみずから労働時間を管理し、仕事と生活の調和を図りつつ弾力的、効率的に働くことを可能とし、労使双方にとってメリットがある制度として、創設を目指して検討が行われてきたものでございますが、国民の理解が得られなかったことから、法案に盛り込むことを見送ることとしたものであります。

 ホワイトカラー労働者の働き方の改革については、働く人を含め国民の理解を得ながら取り組まなければならない課題であり、今後とも、労働時間制度のあり方について検討してまいりたいと考えていますが、法案提出時期等をあらかじめ定めて検討するものではないと考えております。

 次に、規制改革会議の意見書についてお尋ねがございました。

 規制改革会議労働タスクフォースの意見書は、今後三年間において検討すべき規制改革項目についての同タスクフォースの現段階における考え方を取りまとめたものでございます。労働法制の規制改革を具体的にどのようにしていくかについては、今後、関係府省ともよく議論をし、適切に検討してまいります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕

国務大臣(柳澤伯夫君) 笠井議員にお答え申し上げます。

 労働法制の規制緩和とワーキングプアとの関係についてお尋ねがありました。

 労働法制に関する規制改革は、経済産業構造の変化や価値観の多様化などにより、企業や労働者が多様な働き方を求めるようになったことを背景として、働き方の選択肢を拡大するために必要な改革を行ったものと認識しております。

 労働法制の規制改革に当たりましては、経済的な効果等だけでなく、労働者の保護に欠けることがないようにとの観点にも留意しつつ進めてきたところでありまして、今後ともこれらの観点に立ち、また労使を初めとする関係者の意見を踏まえつつ、適切に検討してまいります。

 規制改革会議の意見書についてお尋ねがありました。

 規制改革会議労働タスクフォースの意見書は、今後三年間において検討すべき規制改革項目について、同タスクフォースの現段階における意見を述べたにすぎないものと承知をいたしております。労働法制の規制改革を具体的にどのようにしていくかは、今後、厚生労働省といたしましても、規制改革会議等と十分に議論し、適切に検討してまいります。

 残業時間の法的規制についてお尋ねがありました。

 我が国の労働時間の現状を見ますと、仕事と生活の調和がとれた社会を実現するために長時間労働の抑制を図ることが必要でありますが、そのための具体的な方策として、御指摘のように一律的に時間外労働の総量規制を行うことが適切かどうかにつきましては、労使両当事者も交えて慎重に議論を行うことが必要であると考えております。

 就業規則の変更ルールについてお尋ねがありました。

 労働契約法案におきましては、契約の締結、変更について、労使の合意原則をまず明確に規定した上で、就業規則による変更については、現在の判例法理に沿ったルールを明確化したものでございます。こうした点も含め、労使が実質的に対等な立場となることに資する内容の法案となっていると考えております。

 労働契約法案に関し、短期の有期労働契約を繰り返す働き方の改善等についてお尋ねがありました。

 有期労働契約につきましては、期間が満了した際にその契約更新をしない、いわゆる雇いどめ等による紛争が多く発生いたしておりますので、紛争の端緒となる契約更新の回数そのものを減少させることにより、有期契約労働者が安心、納得して働くことができるようにすることが必要であると考えております。

 このため、今回の労働契約法案におきましては、契約期間を必要以上に短く定め、それを反復更新することがないよう使用者に配慮を求めることとしております。このことにより、有期契約労働者の不安定な働き方の改善が進むものと考えております。

 今回の法改正による最低賃金の引き上げ幅についてのお尋ねがございました。

 今回の最低賃金法改正法案におきましては、地域別最低賃金について、その水準を生活保護との整合性も考慮して決定することといたしております。

 最低賃金の具体的な水準につきましては、地方最低賃金審議会における審議を経て決定されるものでありますが、今回の改正法案が成立した暁には、審議会において法改正の趣旨に沿った審議が行われ、その結果に沿って、現下の雇用経済状況を踏まえた適切な引き上げ幅等の措置を講ずることといたしております。

 最低賃金の水準についてのお尋ねがありました。

 地域別最低賃金を全国どこでも千円以上に引き上げるなど、急に大幅に引き上げることにつきましては、中小企業を中心として、労働コスト増により事業経営が圧迫される結果、かえって雇用が失われる面があり、非現実的と考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 重野安正君。

    〔重野安正君登壇〕

重野安正君 社会民主党・市民連合の重野安正です。

 私は、社会民主党・市民連合を代表し、労働契約法等労働三法について厚生労働大臣に質問します。(拍手)

 近年の労働市場を見るにつけ、社会を支える勤労国民が日に日に肉体的にも精神的にも疲弊していく現状に心を痛め、将来を悲観する国民がふえ続けていることを我々は直視しなければなりません。

 派遣と称して人間を企業に売ることを通して利益を上げ、そうした人の売り買いの上にかつてない収益を上げている大企業が、今また、飽くなき利益のために、働く者の自由よりも働かせる自由を求めて法改正に狂奔するさまを見るならば、この社会はいつあの産業革命の時代に戻ったのかと思うほどであります。

 今、この社会は明らかに二つに分断されております、すなわち、勤労国民を物として扱う資本と、それに抗する無言の勤労国民とに。このように分断された社会にあって、安倍総理が叫ぶ美しい国という言葉がいかにそらぞらしく聞こえることか。この言葉の陰で、過労死、精神障害や脳・心臓疾患による労災が過去最高を記録するこの現実。そしてまた、若い世代を中心とする派遣社員、請負社員、パートといった不安定労働者が増加し、低賃金競争が渦巻いていることについて、まず厚生労働大臣の認識を伺います。

 以下、法律案について質問します。

 社民党は、雇用就業形態が複雑化し、個別労働紛争が急増している現状を踏まえ、その未然防止や早期解決を図るために、労働契約法を早期に制定すべきであると考えます。

 しかし、法案は、使用者の圧倒的な力のもと、個人を守る労働契約法とはなっておらず、労働契約の成立、継続、終了について、基本ルールを明らかにするものとしては極めて不十分と言わなければなりません。

 労働契約法制が対象とする労働者の範囲は、正規労働者のみならず、非正規労働者や個人請負業など、経済的従属関係にある者すべてを対象とすべきであると考えますが、答弁を求めます。

 また、有期労働者の本質的な解決のためには、有期労働契約を利用できる理由の制限、正規労働者への転換、そして均等待遇を盛り込むべきであると考えますが、いかがお考えか、答弁を求めます。

 次に、労働基準法の一部を改正する法律案について質問します。

 本法案は、現行の時間外労働の割り増し賃金率二五%を、一カ月につき八十時間を超える分については五〇%に引き上げるとしていますが、この数字は、厚生省が過労死、過労自殺を発症するおそれがあるとしている過労死ラインであります。なぜ過労死するかもしれない人だけを新たな対象とするのか。国際標準やワークシェアリングの観点から、割り増し率は一律五〇%に引き上げるべきではありませんか。答弁を求めます。

 また、長時間労働に歯どめをかけるためには、労働時間そのものの直接規制が必要であります。EUの労働時間指令にある休息時間をとる権利は、日本においても検討すべきではありませんか。答弁を求めます。

 今回、最低賃金法の一部を改正する法律案に生活保護との整合性が盛り込まれていますが、そもそも、このような考え方を導入すること自体、問題です。新たな指標が加わることで、生活保護制度の縮小が続く中、最低賃金もどの程度引き上げられるのか定かではありません。

 日本の最低賃金は、欧米諸国と比べ低過ぎます。ナショナルミニマムの最低賃金を法で定め、そこに地域別最賃を上乗せする方式に変更することによって、最低賃金の底上げを図る方策を検討すべきであると考えますが、大臣の答弁を求めます。

 最後に、機能不全に陥っている雇用のセーフティーネットを一刻も早く張り直すことを強く求め、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕

国務大臣(柳澤伯夫君) 重野議員にお答え申し上げます。

 雇用を取り巻く現状の認識についてお尋ねがありました。

 近年の経済産業構造の変化や働く側の価値観の多様化等を背景に、就業形態が多様化し、非正規雇用の割合が高まっております。他方、企業の競争条件の厳しさや非正規雇用比率の高まりのもとで、正社員による長時間労働の常態化が見られるところであります。

 このため、安定した雇用を希望する方々の正規雇用への移行を促進する施策の展開、長時間労働を抑制し、仕事と生活のバランスを実現するための労働基準法の改正、正規、非正規を問わず、最低賃金制度がセーフティーネットとして十分に機能するための最低賃金法の改正などに取り組んでいるところであります。

 このような施策の展開により、どのような働き方を選択しても、だれもが安心、納得して働くことのできる環境整備が進むことになるものと考えております。

 労働契約法案における対象者の範囲についてのお尋ねがございました。

 労働契約法案の労働者には、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者のすべてが含まれております。したがいまして、正規労働者のほか、議員御指摘の非正規労働者も労働契約法の労働者に含まれます。

 また、契約当事者が個人請負という形で契約を締結いたしておりましても、実態として使用従属関係が認められるものであれば、労働契約法の労働者として取り扱われることとなると考えております。

 有期労働契約についてのお尋ねがありました。

 有期契約労働者が安心、納得して働くことができるようにするため、労働契約法案におきましては、現に紛争が多く発生している労働契約の終了場面のルールを定めることにいたしております。

 有期労働契約に関して今回法案に盛り込まれなかった事項や、労働条件に関する労働者間の均衡のあり方については、労働政策審議会から「引き続き検討することが適当」との答申をいただいておりますので、今後、この答申を踏まえて必要な検討をいたしてまいります。

 次に、法定割り増し賃金率の引き上げについてお尋ねがありました。

 今回の労働基準法改正案は、仕事と生活のバランスや健康を確保する観点から、長時間労働を抑制するため、法定割り増し賃金率の引き上げ等を行っております。

 具体的には、月八十時間以下の時間外労働については、大臣告示を改正し、そこで定められた限度時間を超える労働時間について割り増し賃金率を引き上げるとともに、時間そのものもできるだけ短くするよう努力義務を課し、あわせて、時間外労働の削減に積極的に取り組む中小企業に対する助成金を創設することといたしております。

 また、月八十時間を超える特に長い時間外労働につきましては、労働基準法の法定割り増し賃金率を引き上げて、これを抑制することといたしております。

 これらの方法を組み合わせることにより、長時間労働抑制の実効を上げてまいりたいと考えております。

 EU労働時間指令の休息時間についてお尋ねがありました。

 我が国の労働時間の現状を見ますと、仕事と生活の調和がとれた社会を実現するために、長時間労働の抑制を図る必要があると考えております。そのための具体的方策として、御指摘のように一律的な労働時間の総量規制を行うことが適切かどうかにつきましては、労使両当事者も交えて慎重に議論を行う必要があるものと考えております。

 最低賃金の決定方式についてのお尋ねがありました。

 最低賃金は、労働者の最低限度の水準の賃金を保障するものでありますが、地域によって物価水準等に差があり、生計費も異なりますので、その最低限度の水準についても地域によって差があると考えております。このため、全国一律に最低賃金を定めることは適当ではなく、各地域の実情に応じて決定されるべきであると考えます。

 また、全国最低賃金を決定した上で、地域によってそれを上回る地域別最低賃金を決定する方式につきましては、地域の実情に応じて地域別に最低賃金を定めている現行の制度と結果としては実質的に変わらないのではないかと考えられ、御指摘のような制度とする必要性はないものと考えます。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 糸川正晃君。

    〔糸川正晃君登壇〕

糸川正晃君 国民新党の糸川正晃です。

 国民新党・そうぞう・無所属の会を代表して、労働契約法等労働三法について質問いたします。(拍手)

 現在、我が国は、戦後最長の景気回復にあり、企業の経常利益は過去最高を更新していると言われております。

 しかし、働く人々の実態はどうでしょうか。多くの人々は正社員になることができず、働く人の三人に一人が非正規雇用者となっています。その結果、ワーキングプアの増加、格差の拡大が大きな問題となっています。また、長時間労働や仕事のストレスによる労災認定者数は過去最多を記録する状況にあります。このように、働く人々をめぐる環境は、過去最高どころか、過去最悪の状況にあると言わざるを得ません。

 働く人々が安全、安心して働くことができる社会を実現することが喫緊の課題であり、我々政治家の使命であると考えます。まず、現在の労働環境に対する現状認識を厚生労働大臣にお伺いします。

 続いて、労働契約法案について質問いたします。

 バブル経済崩壊以降、リストラや賃金などの労働条件の引き下げが行われることがふえるとともに、就業形態の多様化等により労働条件の個別化が進展し、個別労働関係紛争が増加しております。このため、労働契約法を制定すること自体は、紛争の解決や未然防止が期待されることから賛成でありますが、政府提案の法案には幾つかの問題があると言わざるを得ません。

 今回の法案の大きな特徴の一つが、これまで個別の裁判例の積み重ねによって形成されてきた判例法理の幾つかを法定化することであります。

 しかし、これに対して、本当に判例法理をそのまま法定化したのか、これまでの判例法理より労働者にとって不利になっているのではないかなどの疑問の声が聞かれるところであります。

 今回の判例法理の法定化が判例をそのまま法定化したものであるのか、法定化により、これまでの解釈と変更される部分があるのかどうか、厚生労働大臣の明確な答弁を求めます。

 次に、労働基準法の一部を改正する法律案について質問いたします。

 我が国の労働時間は、世界的に見ても最も労働時間の長い国の一つとなっており、長時間労働による過労死、過労自殺、精神障害などの問題が顕在化しております。今回の改正案では、長時間労働を抑制するため、一カ月に八十時間を超えて時間外労働をさせた部分について、法定割り増し賃金率を五割に引き上げることとしております。しかし、一カ月八十時間を超える時間外労働は過労死の危険性があるとされる水準であることを考えますと、政府は本当に労働者の健康を考えているのか、疑問を抱かざるを得ません。

 しかも、中小企業に対しては、当分の間、この法定割り増し賃金率の引き上げを猶予することとしております。中小企業に対する配慮は必要と考えますが、だからといって、中小企業で働く人々の健康確保がおろそかになっていいということは断じて許せません。これは、労働条件の最低基準を定める労働基準法の精神から考えても、大きな問題であると考えます。

 政府は、この法定割り増し賃金率の引き上げによって、中小企業で働く人々の健康確保をどのように図っていくのか、厚生労働大臣の見解を求めます。

 最低賃金法の一部を改正する法律案について質問いたします。

 今回の改正案は、地域別最低賃金の決定に当たって、生活保護に係る施策との整合性に配慮することとしております。そして、これにより最低賃金は引き上がる方向であると、総理、柳澤厚生労働大臣は幾度となく発言しております。

 厚生労働省の試算によりますと、東京や大阪などの全国十一都道府県で、地域別最低賃金が生活保護の水準を下回っております。

 最低賃金の大幅引き上げは中小企業への影響も大きいと考えられますが、どのようにして最低賃金を大幅に引き上げるつもりなのか、厚生労働大臣の明確な答弁を求めます。

 現在の働く人々をめぐる環境を見ると、これまで政府が進めてきた労働法制改革は、労働者のための改革なのか、それとも企業のための改革なのか、甚だ疑問であります。

 政府は、今後も、労働ビッグバン、労働市場改革と称し、労働法制の改革を進めていくことを予定しているようでありますが、最後に、今後の労働法制改革についての考え方、方針を厚生労働大臣にお聞きし、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕

国務大臣(柳澤伯夫君) 糸川議員にお答え申し上げます。

 現在の労働環境に対する認識についてお尋ねがありました。

 近年の経済産業構造の変化や働く側の価値観の多様化等を背景に、就業形態が多様化し、非正規雇用の割合が高まっております。また、企業の競争条件の厳しさや非正規雇用比率の高まりのもとで、正社員による長時間労働の常態化が見られるところであります。

 このため、安定した雇用を希望する方々の正規雇用への移行を促進する施策の展開、長時間労働を抑制し、仕事と生活のバランスを実現するための労働基準法の改正、正規、非正規を問わず、最低賃金制度がセーフティーネットとして十分に機能するための最低賃金法の改正などに取り組んでいるところであります。

 このような施策の展開により、どのような働き方を選択しても、だれもが安心、納得して働くことのできる環境整備が進むことになるものと考えております。

 労働契約法案と判例法理との関係についてお尋ねがありました。

 今回の労働契約法案におきましては、労働契約と就業規則の関係など、これまで判例法理により決められていたことにつきまして、現行の実務の取り扱いや判例法理に沿った規定をいたしております。したがいまして、労働者にとって不利となるような解釈の変更はございません。

 法定割り増し賃金率の引き上げによる労働者、特に中小企業労働者の健康確保についてお尋ねがありました。

 今回の長時間労働対策は、中小企業にも配慮しつつ、月八十時間を超える時間外労働について法定割り増し賃金率を引き上げるだけでなく、その手前の水準で、まず大臣告示を改正し、そこで定められた限度時間を超える労働時間をできるだけ短くするよう労使双方に協力義務を課し、あわせて、時間外労働の削減に積極的に取り組む中小企業者に対する助成金を創設する等、総合的な取り組みを行っております。これらを通じて、中小企業の労働者も含め、長時間労働抑制の実効を上げていくことといたしておりまして、労働者の健康確保には十分な配慮をいたしているところでございます。

 最低賃金の引き上げについてのお尋ねがございました。

 最低賃金の具体的な水準につきましては、地方最低賃金審議会における審議を経て決定されるものでありますが、今回の最低賃金法改正法案が成立した暁には、審議会において法改正の趣旨にそった審議が行われ、その結果に基づき、現下の雇用経済状況を踏まえた適切な引き上げ等の措置を講ずることといたしております。

 さらに、成長力底上げ戦略推進円卓会議におきまして、生産性の向上を考慮した最低賃金の中長期的な引き上げ方針について政労使の合意形成を図り、その合意を踏まえて、最低賃金の中長期的な引き上げに関して産業政策と雇用政策の一体運用を図ることといたしておりますが、中長期的には、こうした取り組みの成果としての生産性の向上に見合った最低賃金の引き上げが実現されるものと期待をいたしております。

 今回の労働法制改革についてお尋ねがございました。

 今後の人口減少下において、労働力の減少が見込まれることを考えますと、女性や高齢者の労働力率の向上が必要であり、これを実現するためには、雇用形態の多様化を進める労働市場改革がなお検討されるべき課題としてあると考えられます。他方、現下の労働市場におきましては、非正規雇用の割合の増大や、正規雇用者を中心とする長時間労働の常態化等が認識されるところであります。

 今回の一連の労働法制の改正案は、このような状況に対応して、正規、非正規労働者の均衡処遇、正規雇用を希望する者の正規雇用への移行促進、長時間労働の抑制、最低賃金の引き上げ、労働契約のルールの明確化等を御提案しているものでございまして、これによりまして、だれもが安心、納得して働く環境を整備しようとしているものでございます。

 以上でございます。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       外務大臣   麻生 太郎君

       財務大臣   尾身 幸次君

       厚生労働大臣  柳澤 伯夫君

       経済産業大臣  甘利  明君

       国土交通大臣  冬柴 鐵三君

       環境大臣   若林 正俊君

       国務大臣   塩崎 恭久君

 出席副大臣

       厚生労働副大臣  武見 敬三君


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