衆議院

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第37号 平成19年5月31日(木曜日)

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平成十九年五月三十一日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第三十一号

  平成十九年五月三十一日

    午後一時開議

 第一 日本年金機構法案(内閣提出)

 第二 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律案(石崎岳君外四名提出)

 第四 競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 議院運営委員長逢沢一郎君解任決議案(松野頼久君外三名提出)

 厚生労働委員長櫻田義孝君解任決議案(三井辨雄君外三名提出)

 厚生労働大臣柳澤伯夫君不信任決議案(三井辨雄君外三名提出)

 日程第一 日本年金機構法案(内閣提出)

 日程第二 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律案(石崎岳君外四名提出)


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    午後二時三十三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

加藤勝信君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 松野頼久君外三名提出、議院運営委員長逢沢一郎君解任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 加藤勝信君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 議院運営委員長逢沢一郎君解任決議案(松野頼久君外三名提出)

議長(河野洋平君) 議院運営委員長逢沢一郎君解任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。加藤公一君。

    ―――――――――――――

 議院運営委員長逢沢一郎君解任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔加藤公一君登壇〕

加藤公一君 民主党の加藤公一でございます。

 私は、民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合、国民新党・そうぞう・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました議院運営委員長逢沢一郎君解任決議案について、その提案の理由を説明いたします。(拍手)

 まず、案文を朗読いたします。

  本院は、議院運営委員長逢沢一郎君を解任する。

   右決議する。

    〔拍手〕

以上であります。

 以下、その理由を申し述べます。

 議院運営委員長とは、国権の最高機関である国会にあって、議会運営にその責任を持ち、公正中立かつ円満にその職務を全うすることにより、健全な民主主義を機能させ、国会の権威を守るという極めて重い責任を負った職務であります。

 しかしながら、今国会における議院運営委員長逢沢一郎君の議会運営は、憲政史上まれに見る不公正かつ強引なものであると言わざるを得ません。本来の職責に照らして、私たちは、とてもこの状態を看過することはできません。よって、本決議案を提出した次第であります。

 以下、具体的に提案理由を申し述べます。

 第一の理由は、逢沢一郎君が、五千万件もの年金保険料の納付記録がだれが納めたものかもわからなくなっているという、いわゆる消えた年金問題について、立法府として政府の責任を明確にすることもないまま日本年金機構法案の採決を強行した櫻田義孝厚生労働委員長の暴挙を容認し、本会議の設定を強行したことであります。

 消えた年金問題については、社会保険庁の無責任な対応について数多くの国民が怒りの声を上げており、また実際に多くの国民の皆様が被害に遭われており、大きな社会問題となっていることは周知の事実であります。それにもかかわらず、一切被害回復が期待できない政府提出法案の強行採決を容認するとは、信じがたい暴挙であると言わざるを得ません。

 理由の第二は、逢沢一郎君は、与党がその場しのぎで提出した厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律案を、提出直後に、採決によって厚生労働委員会へ付託するという前代未聞の暴挙を強行したばかりか、わずか四時間の審議で同法律案の採決を強行した櫻田義孝厚生労働委員長のたび重なる暴挙、蛮行を再び容認し、本会議設定を強行したことであります。

 そもそも、日本年金機構法案の採決直後に慌ててもう一本別の法律を提出すること自体、最初の法案が欠陥だらけであったことを如実に証明しているわけであります。本来ならば、日本年金機構法案を撤回し、改めて法案を出し直すのが筋であります。それこそが内閣の責任であります。少なくとも、厚生労働委員会に差し戻して、さらに審議を尽くすべきであります。

 その上、議員立法で提出するというのも実に不可解であり、政府として極めて無責任な対応だと言わざるを得ません。まさに泥縄法案、一夜漬け法案と言うほかなく、このような状況で本会議採決を強行すれば、年金制度に対する国民の信頼は大きく失墜し、将来に致命的な禍根を残すことになってしまいます。それを容認する逢沢一郎君の態度は決して許されるものではないのであります。

 理由の第三は、逢沢一郎君は、全会一致が慣例である議院運営委員会において、就任以来、幾度となく採決による決定を強行したばかりか、委員長職権による本会議設定をも強行し続けております。まさに巨大与党による、数の力に物を言わせた問答無用の強引な議会運営を議院運営委員長みずからが主導していると言わざるを得ないのであります。

 柳澤厚生労働大臣の女性を蔑視するような問題発言によって、国民が罷免を要求する中での補正予算の与党単独強行採決後の本会議設定に始まり、今日までその強引な議会運営が続けられております。

 三月一日には、逢沢一郎君は、公聴会のあり方を見直し、国民各界各層の意見を予算審議に反映させるべきではないかという河野洋平議長の問題提起を全く無視し、公聴会における貴重な意見を一つも予算審議に生かすこともなく、強引に審議を打ち切った金子一義予算委員長の暴挙を容認し、翌二日の本会議設定を強行いたしました。しかも、この際、総務委員会及び財務金融委員会においても、重要広範議案である予算関連法案の審議をわずかばかりの審議時間で強引に打ち切っており、逢沢一郎君は、これらすべての暴挙をも容認したのであります。

 その後も逢沢一郎君は、四月十三日の本会議において国民投票法の強行採決を容認するなど、二十回近くも委員長職権の濫用そして乱発、巨大与党の暴走を助長するかのごとき議会運営を続けてまいりました。

 逢沢一郎君によるこれらの暴挙は、いやしくも議長より委任されている職権を軽々しく濫用するものであり、議院運営委員長のみならず、議長の権威をも傷つける重大な行為であります。

 これらの暴挙の数々は、まさに多数を占めた者のおごりであり、健全な民主主義を破壊する行為と断ぜざるを得ないのであります。おごりではなく、謙虚さを持って議会運営に当たるべき職務にありながら、それを行ってこなかった逢沢一郎君の責任は極めて重大だと言わざるを得ません。

 よって、ここに、議院運営委員長逢沢一郎君の解任を強く求めるものであります。良識ある議員各位の御賛同を心からお願いして、提案理由の説明といたします。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 討論の通告があります。順次これを許します。竹本直一君。

    〔竹本直一君登壇〕

竹本直一君 自由民主党の竹本直一でございます。

 私は、自由民主党、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合、国民新党・そうぞう・無所属の会の野党三党が提出いたしました議院運営委員長逢沢一郎君解任決議案に対し、断固反対の意見を述べるものであります。(拍手)

 言うまでもなく、議院運営委員会の職責は、議長を補佐し、議院の円満にして正常な運営を図り、国会の機能を十分に発揮して、国民の負託にこたえるものであります。

 逢沢議院運営委員長は、昨年九月二十六日の就任以来、一党一派に偏らず、議会運営に対して強い責任感を持って臨み、常に中立公正な立場で委員会を運営され、誠心誠意職務を全うされてまいりました。このことは、理事会に出席しておられる各位は十分御承知のことではありませんか。

 しかるに、今回の解任決議案の趣旨弁明の中に、本会議設定を強行したとの説明がありました。しかし、これは全く党利党略的な理由以外の何物でもありません。まことに理不尽きわまりのないものでございます。

 議院運営委員長といたしましては、委員会で法案の採決が行われれば、それを直近の本会議で処理するために本会議を設定することは当然のことであり、厚生労働委員会におきましては、手続上、何らの瑕疵なく採決は行われております。そのことは、議長が本日の議事日程に掲載されていることを見ましても明らかであります。むしろ、厚生労働委員会においてたび重なる暴挙を働いたのは民主党議員の方であります。その暴挙を棚に上げ、事もあろうに逢沢委員長を批判することは全く筋違いと言わざるを得ません。

 また、今回の年金時効特例法案を採決で厚生労働委員会に付託したことへの批判もありましたけれども、この法案は、緊急性を要するものであり、立法府として直ちに審議を行う必要のあるものであります。議院運営委員長は、与野党の意見を十分聞いた上で、協議が調わないときは、委員会での多数決により決定するという民主主義の基本ルールにのっとった処理を行ったにすぎません。

 さらに、先ほどの趣旨弁明におきましては、逢沢委員長が就任以来、累次にわたり採決による決定を強行したとか、職権による本会議設定を強行したとか、暴挙、蛮行を行ったなどの全く聞くにたえない言葉が述べられておりましたけれども、私は、議院運営委員会の理事として常に同席いたしておりますけれども、逢沢委員長ほど与野党の意見を十分に聞いた上で冷静に判断をされる委員長は余り見たことがありません。最近の議運理事会におきましても、与野党から意見が出尽くし、与野党とも疲れ果て、もう何も言うことがないというまで長時間にわたり辛抱強く理事会運営を行っておられます。

 以上、申し上げましたように、いかに我々と政治的立場を異にするとはいえども、提出者の真意は全くはかりかねるところであります。ルールにのっとり、誠心誠意議会運営に当たられている逢沢委員長の高潔な人格、謙虚な人柄を思うとき、心から同情を禁じ得ません。

 ここに、正義と良心をもって国民の負託にこたえんとする議員各位とともに、提出された野党三党に猛省を促し、本決議案に断固反対の意見を表明し、討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) 石関貴史君。

    〔石関貴史君登壇〕

石関貴史君 民主党の石関貴史です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました議院運営委員長逢沢一郎君解任決議案について、賛成の立場で討論をいたします。(拍手)

 言うまでもなく、憲法第四十一条に明記されているように、国会は国権の最高機関であります。各議院には、それぞれ選挙によって選ばれた議長がおり、同様に選挙によって選ばれた議院運営委員長がおります。そして、議長は、国会法により、議事の順序その他必要と認める事項につき、議院運営委員長に委任することができると定められています。

 当然のことながら、議院運営委員長が議長から委任された職権を、議院運営委員長みずからがその都合で濫用することはあってはならないことであります。しかしながら、議院運営委員長逢沢一郎君の不公正かつ強引な国会運営は、巨大与党による数の力に物を言わせたまさに議長職権の濫用、さらに言えば、国会の私物化と言っても言い過ぎではないゆゆしき事態であります。

 以下、具体的な賛成理由について申し述べます。

 理由の第一は、逢沢一郎君の議会運営が、目に余るほど不公正かつ強引なものであるからであります。今国会に限っても、逢沢一郎君は、二十回にもわたって強引な議会運営を強行しています。

 以下、その仁義なき強引ぶりを一々お示し申し上げます。

 まず、二月一日には、翌二日の本会議開会を委員長職権により設定しました。同二日には、地方交付税等改正案について趣旨説明を聴取せず、総務委員会に付託するとともに、補正予算を緊急上程することを採決によって決めました。同二十八日には、翌三月一日の理事会開会を委員長職権により設定しました。

 三月一日には、翌二日の本会議開会を委員長職権により設定しました。同六日には、翌七日の理事会開会を委員長職権により設定しました。同七日には、翌八日の本会議開会を委員長職権により設定しました。同八日には、雇用保険法等改正案の趣旨説明、質疑を行うことを採決によって決めるとともに、翌九日の委員会開会を委員長職権により決めました。同九日には、政府提出の九法案について趣旨説明を聴取せず、所管の委員会に付託することを採決によって決めるとともに、同十二日の理事会開会を委員長職権により設定しました。同十三日には、翌十四日の委員会開会を委員長職権により決めました。同十五日には、日本国憲法に関する調査特別委員会における公聴会開会承認要求の件を採決によって決めました。

 四月十二日には、翌十三日の本会議開会を委員長職権により決めました。同十三日には、教育再生に関する特別委員会を設置することを採決によって決めました。同十七日には、教育関連法案の趣旨説明、質疑を行うことを採決によって決めました。同二十六日には、公共サービス改革法改正案について趣旨説明を聴取せず、内閣委員会に付託することを採決によって決めました。

 五月二十四日には、労働三法案の趣旨説明、質疑を行うことを採決によって決めました。同二十八日には、翌二十九日の本会議に社会保険庁改革関連法案を上程することを委員長職権により決めました。同二十九日には、年金時効特例法案について趣旨説明を聴取せず、厚生労働委員会に付託することを採決によって決めました。そして昨日は、本日の本会議開会を委員長職権により設定しました。

 まさに目に余る不公正かつ強引な議会運営と言わざるを得ません。

 理由の第二は、逢沢一郎君が、本日、この本会議において、社会保険庁改革関連法案及び年金時効特例法案の採決を強行しようとしているからであります。

 国民は今、消えた年金問題について激しく怒っています。社会保険庁に振り込んだはずの保険料が消えるとは、これはまさに国家的振り込め詐欺ではないかという声も聞こえてまいります。また、百年安心の年金という政府・与党の宣伝は、これは誇大広告ではないか、JAROに訴えてやりたい、そんな声まで聞こえてくるありさまになっております。しかも、保険料は払っているはずだと申し出た方々に対し、あろうことか、社会保険庁は、三十年前の領収書を出せという信じがたい対応をしていたことが明らかになっています。事務所費や光熱水費の領収書は不要なのに、三十年前の保険料の領収書を出せというのでは、国民の皆さんが到底納得できるはずはありません。

 このような中、政府提出の社会保険庁改革関連法案では国民の理解を得られないと見た与党は、慌てて議員立法で年金時効特例法案なるものを提出しました。しかし、昨日の党首討論や厚生労働委員会における質疑でも明らかになったように、政府・与党の救済策なるもので救済されるのはごく一部であり、抜本的な問題解決はほとんど期待できません。そもそも、政府・与党がみずからの責任でこのような事態を招いておきながら、救済などという言葉を使うこと自体が完全に間違っています。わずかに四時間ばかりの審議では、とても審議が尽くされたとは言えません。年金に対する国民の皆さんの信頼を取り戻すには、改めて審議をやり直すしかありません。

 その上、昨日の審議では、時効のために泣き寝入りとなっていた年金が少なくとも二十五万件、総額九百五十億円に上るというとんでもない事実も判明しました。我々はこの間ずっと消えた年金の実態を明らかにせよと言い続けてまいりましたが、政府はこの強行採決直前になってようやくこのような重大な事実を明らかにしたのであります。まさに国民生活の根幹にかかわる重大問題にふたをして、逃げ切りを図る強行採決と言うほかはありません。

 以上、申し述べましたように、逢沢一郎君は議院運営委員長として全く不適格であり、解任に値するのはだれの目にも明らかであります。議員各位の御賛同をお願い申し上げ、賛成討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(河野洋平君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(河野洋平君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百五十四

  可とする者(白票)       百二十七

  否とする者(青票)      三百二十七

議長(河野洋平君) 右の結果、議院運営委員長逢沢一郎君解任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

松野頼久君外三名提出議院運営委員長逢沢一郎君解任決議案を可とする議員の氏名

安住   淳君   池田  元久君   石川  知裕君   石関  貴史君

泉   健太君   市村 浩一郎君   岩國  哲人君   内山   晃君

枝野  幸男君   小川  淳也君   小沢  鋭仁君   大串  博志君

大島   敦君   大畠  章宏君   太田  和美君   逢坂  誠二君

岡田  克也君   岡本  充功君   奥村  展三君   加藤  公一君

川内  博史君   川端  達夫君   河村 たかし君   菅   直人君

吉良  州司君   黄川田  徹君   菊田 真紀子君   北神  圭朗君

楠田  大蔵君   玄葉 光一郎君   小平  忠正君   小宮山 泰子君

小宮山 洋子君   後藤   斎君   郡   和子君   近藤  昭一君

近藤  洋介君   佐々木 隆博君   笹木  竜三君   篠原   孝君

下条  みつ君   神風  英男君   末松  義規君   鈴木  克昌君

仙谷  由人君   園田  康博君   田島  一成君   田嶋   要君

田名部 匡代君   田中 眞紀子君   田村  謙治君   高井  美穂君

高木  義明君   高山  智司君   武正  公一君   津村  啓介君

筒井  信隆君   寺田   学君   土肥  隆一君   中井   洽君

中川  正春君   仲野  博子君   長島  昭久君   長妻   昭君

長浜  博行君   長安   豊君   西村 智奈美君   野田  佳彦君

羽田   孜君   鉢呂  吉雄君   鳩山 由紀夫君   伴野   豊君

平岡  秀夫君   平野  博文君   福田  昭夫君   藤村   修君

古川  元久君   古本 伸一郎君   細川  律夫君   細野  豪志君

馬淵  澄夫君   前田  雄吉君   前原  誠司君   牧   義夫君

松木  謙公君   松野  頼久君   松原   仁君   松本  大輔君

松本  剛明君   松本   龍君   三日月 大造君   三谷  光男君

三井  辨雄君   村井  宗明君   森本  哲生君   山岡  賢次君

山口   壯君   山田  正彦君   山井  和則君   柚木  道義君

横光  克彦君   横山  北斗君   吉田   泉君   笠   浩史君

鷲尾 英一郎君   渡辺   周君   渡部  恒三君   赤嶺  政賢君

石井  郁子君   笠井   亮君   穀田  恵二君   佐々木 憲昭君

志位  和夫君   塩川  鉄也君   高橋 千鶴子君   吉井  英勝君

阿部  知子君   菅野  哲雄君   重野  安正君   辻元  清美君

照屋  寛徳君   日森  文尋君   保坂  展人君   糸川  正晃君

亀井  静香君   亀井  久興君   下地  幹郎君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   安次富  修君   安倍  晋三君   阿部  俊子君

逢沢  一郎君   愛知  和男君   赤池  誠章君   赤城  徳彦君

赤澤  亮正君   秋葉  賢也君   甘利   明君   新井  悦二君

井澤  京子君   井上  喜一君   井上  信治君   井脇 ノブ子君

伊藤  公介君   伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君   伊藤  達也君

飯島  夕雁君   石崎   岳君   石田  真敏君   石破   茂君

石原  伸晃君   石原  宏高君   稲田  朋美君   稲葉  大和君

猪口  邦子君   今井   宏君   今津   寛君   今村  雅弘君

岩永  峯一君   岩屋   毅君   宇野   治君   上野 賢一郎君

浮島  敏男君   臼井 日出男君   江崎  鐵磨君   江崎 洋一郎君

江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君   遠藤  武彦君

遠藤  利明君   遠藤  宣彦君   小川  友一君   小此木 八郎君

小里  泰弘君   小野  次郎君   小野  晋也君   小野寺 五典君

小渕  優子君   越智  隆雄君   近江屋 信広君   大塚  高司君

大塚   拓君   大野  松茂君   大野  功統君   大前  繁雄君

大村  秀章君   太田  誠一君   岡下  信子君   岡部  英明君

岡本  芳郎君   奥野  信亮君   加藤  勝信君   嘉数  知賢君

海部  俊樹君   鍵田 忠兵衛君   梶山  弘志君   片山 さつき君

金子  一義君   金子 善次郎君   金子  恭之君   上川  陽子君

亀井 善太郎君   亀岡  偉民君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君

川条  志嘉君   河井  克行君   河村  建夫君   瓦    力君

木原  誠二君   木原   稔君   木村  太郎君   木村  隆秀君

木村   勉君   木村  義雄君   岸田  文雄君   北川  知克君

北村  茂男君   北村  誠吾君   久間  章生君   倉田  雅年君

小池 百合子君   小泉 純一郎君   小坂  憲次君   小島  敏男君

小杉   隆君   木挽   司君   古賀   誠君   後藤  茂之君

後藤田 正純君   河野  太郎君   河本  三郎君   高村  正彦君

近藤  基彦君   佐田 玄一郎君   佐藤  剛男君   佐藤   勉君

佐藤 ゆかり君   佐藤   錬君   斉藤 斗志二君   坂井   学君

坂本  剛二君   桜井  郁三君   櫻田  義孝君   笹川   堯君

清水 鴻一郎君   清水 清一朗君   塩崎  恭久君   塩谷   立君

七条   明君   実川  幸夫君   篠田  陽介君   柴山  昌彦君

島村  宜伸君   下村  博文君   新藤  義孝君   菅   義偉君

菅原  一秀君   杉浦  正健君   杉田  元司君   杉村  太蔵君

鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君   鈴木  淳司君   鈴木  恒夫君

関   芳弘君   薗浦 健太郎君   園田  博之君   田中  和徳君

田中  良生君   田野瀬良太郎君   田村  憲久君   平   将明君

高市  早苗君   高木   毅君   高鳥  修一君   竹下   亘君

竹本  直一君   武田  良太君   武部   勤君   棚橋  泰文君

谷   公一君   谷垣  禎一君   谷川  弥一君   谷畑   孝君

谷本  龍哉君   玉沢 徳一郎君   中馬  弘毅君   津島  雄二君

土屋  品子君   土屋  正忠君   寺田   稔君   とかしきなおみ君

戸井田とおる君   渡海 紀三朗君   土井   亨君   土井  真樹君

徳田   毅君   冨岡   勉君   中川  昭一君   中川  秀直君

中川  泰宏君   中谷   元君   中根  一幸君   中野   清君

中野  正志君   中森 ふくよ君   中山  太郎君   中山  成彬君

中山  泰秀君   仲村  正治君   永岡  桂子君   長崎 幸太郎君

長島  忠美君   長勢  甚遠君   並木  正芳君   二階  俊博君

丹羽  秀樹君   丹羽  雄哉君   西川  京子君   西川  公也君

西野 あきら君   西村  明宏君   西村  康稔君   西銘 恒三郎君

西本  勝子君   額賀 福志郎君   根本   匠君   野田  聖子君

野田   毅君   葉梨  康弘君   萩生田 光一君   萩山  教嚴君

萩原  誠司君   橋本   岳君   馳    浩君   鳩山  邦夫君

浜田  靖一君   早川  忠孝君   林    潤君   林   幹雄君

林田   彪君   原田  憲治君   原田  令嗣君   原田  義昭君

平井 たくや君   平口   洋君   平沢  勝栄君   平田  耕一君

広津  素子君   深谷  隆司君   福井   照君   福岡  資麿君

福田  峰之君   福田  康夫君   福田  良彦君   藤井  勇治君

藤田  幹雄君   藤野 真紀子君   二田  孝治君   船田   元君

古川  禎久君   古屋  圭司君   保坂   武君   保利  耕輔君

細田  博之君   堀内  光雄君   馬渡  龍治君   牧原  秀樹君

増原  義剛君   町村  信孝君   松島 みどり君   松浪 健四郎君

松浪  健太君   松野  博一君   松本   純君   松本  文明君

松本  洋平君   三ッ林 隆志君   三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君

御法川 信英君   水野  賢一君   宮腰  光寛君   宮澤  洋一君

宮路  和明君   宮下  一郎君   武藤  容治君   村上 誠一郎君

村田  吉隆君   望月  義夫君   茂木  敏充君   盛山  正仁君

森   英介君   森   喜朗君   森山   裕君   森山  眞弓君

矢野  隆司君   谷津  義男君   安井 潤一郎君   保岡  興治君

柳本  卓治君   山内  康一君   山口  俊一君   山口  泰明君

山崎   拓君   山中 あき子君   山本  明彦君   山本  公一君

山本  幸三君   山本   拓君   山本ともひろ君   与謝野  馨君

吉川  貴盛君   吉田六左エ門君   吉野  正芳君   若宮  健嗣君

渡辺  具能君   渡辺  博道君   渡辺  喜美君   渡部   篤君

赤羽  一嘉君   赤松  正雄君   井上  義久君   伊藤   渉君

石井  啓一君   石田  祝稔君   上田   勇君   漆原  良夫君

江田  康幸君   遠藤  乙彦君   大口  善徳君   太田  昭宏君

神崎  武法君   北側  一雄君   佐藤  茂樹君   斉藤  鉄夫君

坂口   力君   田端  正広君   高木 美智代君   高木  陽介君

谷口  和史君   谷口  隆義君   西   博義君   東   順治君

福島   豊君   冬柴  鐵三君   古屋  範子君   桝屋  敬悟君

丸谷  佳織君   中村 喜四郎君   平沼  赳夫君

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) この際、暫時休憩いたします。

    午後三時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時十八分開議

議長(河野洋平君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

     ――――◇―――――

加藤勝信君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 三井辨雄君外三名提出、厚生労働委員長櫻田義孝君解任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 加藤勝信君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 厚生労働委員長櫻田義孝君解任決議案(三井辨雄君外三名提出)

議長(河野洋平君) 厚生労働委員長櫻田義孝君解任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。山井和則君。

    ―――――――――――――

 厚生労働委員長櫻田義孝君解任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山井和則君登壇〕

山井和則君 私は、民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合、国民新党・そうぞう・無所属の会を代表いたしまして、ただいま議題となりました厚生労働委員長櫻田義孝君解任決議案の提案理由説明をいたします。(拍手)

 まず、主文を読み上げます。

  本院は、厚生労働委員長櫻田義孝君を解任する。

    〔拍手〕

以上であります。

 以下、提案理由説明をいたします。

 一番目の理由は、理事会のない、歴史に残るひどい強行採決を五日間の間に二度も断行したことであります。

 そして、五月二十五日、強行採決で混乱する中、労働三法の趣旨説明を強行し、おまけに、それにもかかわらず、五月三十日には新たな時効撤廃法案の審議を行ったことであります。

 十分な審議が尽くされぬまま、そして何よりも、ごく一部の被害者しか救済されない案しか提示しない中で二度の強行採決をしたことは、国民の年金不信を著しく拡大させました。

 具体的に二点を申し上げます。

 まず一点目、安倍総理は答弁の中でいろいろな対策を述べられましたが、ごく一部の消えた年金記録の被害者しか救済されません。被害者の方々からも、がっかりした、これでは私たちは救われないという失望の声が上がっております。

 例えば、安倍総理は、記録訂正に領収書は要らないようにすると胸を張って答弁されました。しかし、これは、実は昨年八月に社会保険庁が既に発表していたことであります。そして、昨年八月から領収書以外の資料、物証によって記録が訂正された件数、皆さん、御存じでしょうか。〇件であります。〇件なんです。実は、領収書が必要かどうかということではなく、その立証責任を年金がなくなったと泣いている加入者に負わせている、このことこそが根本的な問題なのであります。

 そもそも、三十年前の年金を支払ったことを証明できる人がどれぐらいいるでしょうか。このことを昨日の党首討論で我が党の小沢代表は安倍総理に質問しました。立証責任はどちらにあるんですかと質問をしました。しかし、安倍総理は逃げて逃げて逃げまくって、安倍総理は逃げて逃げて逃げまくって答弁をしませんでした。

 安倍総理、どうしてこんな大切な点、つまり、消えた年金記録の被害者についての立証責任がどちらにあるのかという最も大切な質問に、どうして安倍総理、逃げたのでしょうか。こういうことでは、いつまでたっても消えた年金記録の問題は解決をしません。

 そして第二に、厚生労働委員長櫻田義孝君の不十分な運営により、何と採決の直前にしか大切なデータが答弁から出てまいりませんでした。そのデータとは、時効によって受け取るべき年金がもらえなかった方の数と年金給付額であります。

 皆さん、どれぐらいの方が、本人に何の落ち度もないのに年金記録の訂正を拒まれ、年金給付を受けられなかったと思われますか。何と、二十五万人、合計九百五十億円もの年金を国は払ってこなかったんです。まじめにこつこつと老後のために、何の落ち度もなく払い続けてこられた方々に対して、何と二十五万人もの方々に対して、九百五十億円もの年金を払ってきませんでした。

 昨年以来ずっと、長妻議員を先頭に、この問題について追及をしてまいりました。この三週間の審議の中でも、時効による被害者とその総額を出すように何度も求めました。しかし、政府・与党は、情報を隠し、逃げて逃げて逃げまくってまいりました。

 皆さん、与党の皆さんも冷静に聞いてください。保険料を払ったのに、九百五十億円も年金を払わなかったんですよ。これは、国による詐欺ではありませんか。年金の加入者に何の落ち度があるというんですか。

 今やっております消えた年金一一〇番に次のような川柳が届きました。消えた年金の被害者の方からの川柳であります。読み上げます。「社保庁が振り込め詐欺とは気がつかず」。振り込め詐欺より悪質ですよ。振り込め詐欺だったら犯罪で、やった人は逮捕されるんですから。この九百五十億円も払わなかったということ、だれが責任をとったんですか。

 おまけに、もっと悪質なのは、何度民主党が要求しても、この事実を政府・与党は隠してきたじゃないですか。これはまさに、厚生労働委員長櫻田義孝君がちゃんと運営をしてきたら、こういう事実も最初に明らかになっていたのではありませんか。

 民間の保険会社で、いざ保険給付を受けたいといったときに、三十年前の保険料を払った領収書を出してくれと言われたらどうなるでしょうか。そして、九百五十億円も保険の未払いがあったら、その保険会社はどうなるでしょうか。即、社長以下幹部は首であります。

 今回のこの時効の問題一つをとっても、政府・与党や社保庁のだれが責任を持ったんですか。かつ、九百五十億円は氷山の一角、実際この数倍の、数千億、兆単位のお金が年金の不払いになっているかもしれません。まさに、そういうことをこれから審議しようとするときに採決を打ち切る、このような櫻田義孝君の不公平な議会運営をこれ以上座視することはできません。

 以上が、本決議案を提出する理由であります。

 この委員長解任決議案が満場の議員の御理解と御賛同を得られますことを心からお願いしまして、提案理由の説明といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 討論の通告があります。順次これを許します。西川京子君。

    〔西川京子君登壇〕

西川京子君 私は、自由民主党の西川京子でございます。

 まず冒頭に、松岡利勝農林水産大臣の御逝去に際しまして、哀悼の意を表し、安らかにお休みくださいと心からの御冥福をお祈り申し上げます。

 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました厚生労働委員長櫻田義孝君解任決議案に対し、反対の討論を行います。(拍手)

 櫻田委員長は、委員長就任以来、国民の負託にこたえるため、決して一党派に偏することなく、常に公正中立の立場から円滑な委員会運営を図り、その職責を全うしてこられました。このことは、野党の諸君も十分御存じのはずでございます。

 にもかかわらず、今回の厚生労働委員長櫻田義孝君解任決議案の提出は、いたずらに国会を混乱に陥れ、国民の信頼を失わせるものにほかなりません。

 野党は、解任決議案の理由として、年金記録に係る問題について審議不十分と主張しています。しかし、社会保険庁改革関連法案については、野党の質問時間を十分に確保した上、参考人からの意見聴取、それに対する質疑を行ったほか、安倍内閣総理大臣の出席のもとでの質疑を行うなど、約三十五時間にわたって真剣な審議を行ってきたところであります。

 そもそも、基礎年金番号に統合されていない年金記録に係る問題や、五年以上前の年金が時効によって支払われないといった問題については、与野党ともに力を合わせて、ともに乗り越えていかなければいけない課題であるはずです。

 年金受給者の記録と未統合の記録との突合や、マイクロフィルムで保存されている被保険者台帳等とオンラインシステム上の記録との突合など、全国民が本来受け取ることのできる年金をすべて間違えなく受け取れる具体的な取り組みを、昨日の党首討論において総理も明確におっしゃいました。

 そのために不可欠なのが、五年以上さかのぼって支給できないという時効の問題への対応であります。与党は、早急に対応するため、年金時効特例法を提出いたしました。国民のためにその成立に向け努力しているにもかかわらず、年金記録未統合問題が未解決と決めつけて、野党の主張は理解できません。

 野党も、年金記録の問題は与野党を超えて解決するべき問題だと主張していらっしゃったのでありますから、政府・与党の対策を一方的に批判するのは、全く筋が通らない対応であります。社会保険庁改革を先送りし、国民を無視して年金記録未統合問題を政争の具としようとする無責任な姿勢と言わざるを得ません。

 また、委員会審議においては、野党の理事は、自分の期待どおりの答弁がないと何度も委員長席に詰めかけ、大声で不規則発言を繰り返すなど、政府側の答弁を妨げているだけでなく、質問者の質問までも妨げている次第であります。さらに、委員長に対する数々の非礼な言動は、国民の負託を担う議会人として到底許されるものではありません。仮に委員会が円満に運営されていないとするにしても、その原因がどこにあるのかは明白であります。

 委員長の議事進行を乱す者がいる状況の中で、円満かつ円滑に委員会を運営しようと御尽力されている櫻田委員長には、心より敬意を表します。

 このように、野党側の主張は単に審議の引き延ばしのみを図るものであり、その選挙目当ての党利党略の姿勢は決して国民の理解を得られるものではありません。

 社会保険庁をめぐってはさまざまな不祥事が指摘されてきたことから、社会保険庁を解体するといった抜本的な改革を早急に行う必要があることは当然であります。年金記録未統合問題への対策も着実に実施していかなければなりません。どちらも、公的年金制度に対する国民の信頼を回復するためには迅速な対応が必要であり、今政治に求められている喫緊の課題であることは言うまでもありません。

 もとより、法案に対する賛否が分かれるのは各会派の立場が違う以上やむを得ないことでありますが、みずからの主張どおりにならないというだけで、委員長を取り囲んで許しがたい暴力という行為に及び、今回の混乱状態をつくり出したことは、議会制民主主義を否定する行為であり、決して許されるものではありません。委員会休憩中に委員長が理事会室から出てこられない状況をつくり出したり、委員長を席から引きずりおろす等、言語道断のきわみであり、野党諸君の猛省を促します。

 先ほども申し上げたとおり、厚生労働委員会では、社会保険庁改革関連法案について長時間にわたり大変慎重に審議を行ってまいりました。その上での採決を行うことは、委員会として当然のことであり、委員長が質疑打ち切りの動議に応じて採決したのは、何ら非難されるいわれのない判断であります。

 最後に、公平中立な委員会運営に全力を尽くし、委員長としての職責を誠心誠意、誠実に果たしてきた櫻田委員長に対し解任を求める理由は何ら見当たらないことを重ねて申し上げ、議員各位がこの党利党略で無責任きわまりない解任決議案に断固反対することを強く訴え、本解任決議案に対する反対討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) 柚木道義君。

    〔柚木道義君登壇〕

柚木道義君 民主党の柚木道義でございます。

 私は、民主党・無所属クラブ、国民新党・そうぞう・無所属の会を代表いたしまして、ただいま議題となりました厚生労働委員長櫻田義孝君解任決議案について、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 そもそも、委員長の職責にある者には、公平かつ円満な委員会審議が求められることは言うまでもありません。ところが、櫻田君は、公平の意味を全く理解していないとしか思えない委員会運営に終始いたしました。二十五日には、日本年金機構法案の審議を強引に打ち切って強行採決をし、昨日に至っては、職権によって委員会を開会したあげく、前日に与党が提出した法案に対し、まともな審議時間も確保しないまま、またもや採決を強行したのであります。さらに、そのような状況の中で、本日まで委員会の開会を強行いたしました。

 それにしても、先週金曜日のあの強行採決は一体何だったんでしょうか。民主党を初め野党の委員は皆、審議は尽くされていない、採決などあり得ないと何度も何度も訴えていたはずです。そうであるにもかかわらず、櫻田君は強行採決に踏み切り、その日のうちに労働三法の趣旨説明まで行いました。ところが、櫻田君は、その労働三法を投げ出して、与党議員から消えた年金幕引き法案が提出されるや否や、趣旨説明から採決までわずか一日で行ってしまうという暴挙に出たのです。

 もともと与党議員は、二十五日、消えた年金問題について十分審議をしたとして、審議打ち切りの動議を出したのではなかったでしょうか。その舌の根も乾く間もなく、たった一日か二日で、驚くべきことに、与党の法案提出者すら何度も何度も答弁に窮するようなつけ焼き刃的な法案の提出を認め、その上、民主党案は審議せず、与党の特例法案のみを審議するという、これが責任あるやり方と言えるでしょうか。

 そして、櫻田君に関して言えば、このような一夜漬け、穴あき、やっつけ法案を、よろしいですか、一夜漬け、穴あき、やっつけ法案を強行採決させるのが公正中立な運営と言えるのでしょうか。急場ごしらえの、審議時間もわずか四時間という法案で、困窮している国民の方々が本当に救済できると考えて委員会を運営されているんでしょうか。

 その上、与党がお出しになるまでもなく、我々民主党が既に消えた年金記録被害者救済法案を提出していたのですから、これについてしっかり審議するよう促すことが委員長として当然の務めではないでしょうか。

 櫻田君のした行為は、政治家として恥ずかしいばかりでなく、国民の切実な願いを踏みにじったのです。一刻も早く委員長の席からおりていただきたいと思います。

 民主党法案は、立証責任を社保庁に求め、被害者全員救済を旨とするものですが、今回の与党特例法案で救済されるのは、消えた年金記録被害者の何と〇・四%にしかならないんですよ。与党議員が平然とこれを救済策だなどと言うのは、国民を欺く行為以外の何物でもないじゃありませんか。

 二十五日の強行採決を受けて、各社世論調査で、安倍内閣の支持率は発足以来の急落を記録いたしました。今回の与党特例法で救済されるのは、消えた年金被害者ではなく、与党であり、安倍内閣であるんじゃないですか。

 一方、櫻田委員長は、二十五日の強行採決から明けて翌週二十九日に、議員会館エレベーター前で出くわした私にこう言ったんですよ。おい、月夜の夜ばかりじゃないぞ、覚えておけよ、許さないからな。いいですか、皆さん。与党の方もそばにいたんですよ。与党の同じ委員会の方もそばにいたんですよ。こう言ったんですよ。月夜の夜ばかりじゃないぞ、覚えておけ、許さないからな、はっきりそう言われたんですよ。その言葉に、私は驚いて一瞬物が言えませんでした。それは恐怖で物が言えないのではなくて、このように品位を欠き、言論の府においてほかの手段に訴えることを示唆する問題発言をされる方が国民の負託を受けたこの国会という場におられ、あろうことか、委員会の長として国政にかかわっているという、その余りにも悲しい現実に対してであります。私は、この一件だけでも十二分に委員長解任に値すると考えますが、皆さん、いかがでしょうか。

 その上……(発言する者あり)許すんですか。そういう発言をする人を許すんですか、与党の皆さん。

 その上、櫻田君は、議会運営は政府・与党を利する方向に大きく偏ったものでありました。例えば、私たちが資料の提供を求めたり、同僚議員が理事会協議を申し入れても、櫻田君は一切これに応じませんでした。その一方で、政府が内容のない長答弁をしてもこれを放置し、また、誠実な答弁が得られないために質疑者が質問を中断しようとしても、櫻田君は適切な答弁を促すことも、質疑者の質問時間を確保することも全くいたしませんでした。そうして質問時間を無為に消化させ、予定の持ち時間が過ぎると強引に質疑を終了させるといったことが何度も何度も繰り返されたのです。これは委員長による質疑妨害以外の何物でもありません。

 私はここで確認させていただきたいのですが、委員会審議とは政府のお説拝聴の場ではないのです。質疑者には質問する権利があると同時に、答弁者には質問の内容に沿った誠実な答弁をする義務があります。

 委員長たる櫻田君に求められるのは、そうした実りある審議が行われるよう質疑応答の内容を理解、判断し、采配することであって、単なるタイムキーパー役ではありません。ましてや、社保庁の過失にかかわるものとして、本来であれば政府が閣法として提出すべき法案を与党の議員立法で提出するという、政府・与党のこそくで傲慢な手法に委員会審議の公平性を放棄して従うなど、言語道断です。委員長としての適性を著しく欠く櫻田君が今後も委員長として居座り続けるならば、委員会審議そのものが形骸化しかねません。

 櫻田君によって運営された委員会において、社保庁を廃止、解体する法案が十分に審議されたとは到底言えません。民主党は、社保庁による年金制度の運営が著しく国民の信頼を失っている現状を踏まえ、まずはこの信頼回復こそが改革の本質であると考えてきました。その立場から、社保庁を解体するそれ以前に解決すべき前提条件として、消えた年金記録問題を提起したんです。したがって、この消えた年金問題が審議されたその後に、この問題に適切に対策を講ずるべく、新たな組織のあり方が議論をされるはずでした。

 しかし、消えた年金問題については、政府の立場は余りにも後ろ向き、消極的であったため、審議は一向に進まず、社保庁を解体した後の日本年金機構において消えた年金の問題がどのように扱われることになるのか、むしろ、看板のかけかえによって政府はこの問題から逃げ切りを図ろうとしているのではないか、その疑念は払拭されないまま、審議は打ち切られたのです。

 委員長が審議の状況を的確に把握し、真に公正公平な委員会運営をする意思があるならば、わずか四日に一度ならぬ二度も強行採決を行うことなど到底あり得ないことです。

 今まで私がここで申し述べたことは、櫻田君の委員会運営について、ほんの一端を述べたにすぎません。しかし、これだけでも委員長として信任に値しないことは、国民の負託を受けて本議場におられる良識ある皆さんには十分御理解いただけたと思います。

 与党、委員長による強行採決に、まさに国民の立場から、腹の底からの怒りをもって強く抗議し、そして、今回は記名投票でもありますから、与党の中からも、良識ある方からも必ずや御賛同いただけるものと確信をいたしまして、私から、櫻田義孝君解任決議案への賛成討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) 高橋千鶴子君。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました厚生労働委員長櫻田義孝君の解任決議案に賛成の討論をいたします。(拍手)

 初めに、一週間のうちに二度も強行採決をするという暴挙に対し、満身の怒りを込めて抗議をするものです。

 そもそも公的年金制度は、憲法二十五条に基づく国民の生存権を保障する土台であり、多くの国民が年金問題に関心を寄せるのは当然のことであります。五千万件の統合されない年金記録の問題は、国のずさんな管理運営のあり方を露呈したものでした。しかも、五千万件の調査が完了しないうちに社会保険庁を廃止し、新法人と民間委託に切りかえるという無責任ぶりです。これでは、この問題の責任が宙に浮き、解決しないばかりか、新たな年金記録問題を生み出しかねないということを指摘せざるを得ません。だからこそ、社会保険庁関連法案も含め、採決を急ぐべきではなかったのです。

 今回、与党が年金時効特例法案を提出したのは、野党の追及と国民世論に押されてのことだと思います。年金記録を訂正する人に時効を適用しないというのは、本来国民に責任はないのですから、当然のことであります。社会保険庁本体の法案には各党意見が分かれていても、年金記録問題については、与野党が十分な審議を尽くし、国民の不安を解消する最善の努力を尽くすべきでした。本当に残念でなりません。

 なぜ櫻田委員長は、前日夕方にわかに出されたばかりの法案を、翌日には採決まで持ち込むという運営を認めたのですか。私たちは、この法案の中身を提出者である与党から説明さえ受けずに審議に臨まざるを得なかったのです。

 このような議会運営こそが国民の不信感を増長させるものではないか、こういう質問に対し、与党の提出者は、全く不信感は増長させるものではないと言い切りました。改めて、数の力の上に立った与党のおごりに対し、強く抗議をしたいと思います。

 もともと、安倍総理が厚労省の頭越しに法案を出すと決め、それを議員立法でやれと指示をしたことが最大の問題であります。今度の問題に国の責任を認めるのであれば、なぜ閣法として出さなかったのでしょうか。

 柳澤大臣は、会計法に基づく時効の厳密な運用を繰り返し答弁してきました。逆に、立法措置をしなくても、現場の判断において運用ができるということも明らかになりました。そうした現行法や他制度との整合性を指摘されれば提出者に説明責任を押しつけようというものであり、断じて許せません。

 櫻田委員長は、この間も職権による委員会開催、採決を重ね、委員会質疑においては、政府が答弁に窮して相談をしたり、質疑者の求めに応じて筆頭間協議を行っている間さえも速記をとめず、しゃにむに委員会を進行させようとしました。しかも、質疑者が理事会で協議をと求めた案件すら、無視し続けました。

 委員長は、本来、会派の違いを超えて、公平公正な審議を保障しなければならないはずです。櫻田委員長は、与党と政府に一方的に肩入れした運営に終始し、その資格が全くないと言わなければなりません。

 以上のことを指摘して、賛成の討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) 保坂展人君。

    〔保坂展人君登壇〕

保坂展人君 社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題になりました厚生労働委員長櫻田義孝君の解任決議案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 政府提出の日本年金機構法案、与党議員提出の年金特例法案にかかわる審議は、社会保険庁という組織のあり方だけではなく、年金制度の信頼を根底から問うものであり、現在から将来にかけての社会保障制度の基幹となる重要な議論でした。

 ところが、厚生労働委員会では、議論を封殺するための強行採決が続いております。五月二十五日金曜日には機構法案、さらに昨日、特例法案をめぐって、二度にわたって暴挙を重ねた櫻田厚生労働委員長の振る舞いは言語道断であります。

 機構法案では、五千万件の年金記録の精査のため、あるいは不払い年金の支給のための財源や予算はどうなっているのか、この基本的事項にも一切答弁ができず、また、特例法では、たった一日で政府部内での連携調整はできているのかということに対して具体的な答弁もなく、どうして、どうぞ国民の皆さん、御安心ください、救済法案が出ましたから安心してください、政府・与党はこのように居直って、どういう神経で言えるんでしょうか、全く理解できません。だれが信用するでしょうか。

 機構法案の強行採決への国民の怒りが高まったことに危機感を深めた安倍内閣は、特例法案というインスタント議員立法を与党につくらせました。本来なら、内閣が機構法案の欠点を認め、重大な瑕疵を放置して年金不信を増大させたことを国民に謝罪し、法案を撤回すべきではありませんか。議員立法を官邸が与党に指示するなど聞いたこともありません。筋違いも甚だしいと言わなければなりません。

 櫻田厚生労働委員長は、この際、政府・与党の議員立法をたしなめて、機構法案の強行採決を取り消して、年金記録問題の集中審議を決断することが議会人としての良識ある選択でした。ところが、二十五日金曜日の年金破壊の強行採決の不始末の上に、さらなる強行採決を重ねたのが櫻田委員長です。

 この間の委員会運営は、数の力に物を言わせた極めて乱暴かつ強権的なものでした。野党の質問に全く答えず、そして、的外れな答弁をすることで審議をかわそうとする柳澤厚生労働大臣に対して、一度すら注意をしなかったのであります。野党議員が、審議にならない、これでは答弁にならない、このように異議を唱えても……

議長(河野洋平君) 保坂君、申し合わせの時間が過ぎました。結論を急いでください。

保坂展人君(続) 発言を続けてくださいと大声で言うばかりでありました。

 強行採決を何度重ねても恥じることのない櫻田義孝君は、厚生労働委員長として全く不適任であり、解任に値することはもはや明白です。

 議員各位の御賛同をお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(河野洋平君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(河野洋平君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百六十四

  可とする者(白票)       百三十一

  否とする者(青票)      三百三十三

議長(河野洋平君) 右の結果、厚生労働委員長櫻田義孝君解任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

三井辨雄君外三名提出厚生労働委員長櫻田義孝君解任決議案を可とする議員の氏名

安住   淳君   池田  元久君   石川  知裕君   石関  貴史君

泉   健太君   市村 浩一郎君   岩國  哲人君   内山   晃君

枝野  幸男君   小川  淳也君   小沢  一郎君   小沢  鋭仁君

大串  博志君   大島   敦君   大畠  章宏君   太田  和美君

逢坂  誠二君   岡田  克也君   岡本  充功君   奥村  展三君

加藤  公一君   金田  誠一君   川内  博史君   川端  達夫君

河村 たかし君   菅   直人君   吉良  州司君   黄川田  徹君

菊田 真紀子君   北神  圭朗君   楠田  大蔵君   玄葉 光一郎君

小平  忠正君   小宮山 泰子君   小宮山 洋子君   古賀  一成君

後藤   斎君   郡   和子君   近藤  昭一君   近藤  洋介君

佐々木 隆博君   笹木  竜三君   篠原   孝君   下条  みつ君

神風  英男君   末松  義規君   鈴木  克昌君   仙谷  由人君

園田  康博君   田島  一成君   田嶋   要君   田名部 匡代君

田中 眞紀子君   田村  謙治君   高井  美穂君   高木  義明君

高山  智司君   武正  公一君   津村  啓介君   筒井  信隆君

寺田   学君   土肥  隆一君   中井   洽君   中川  正春君

仲野  博子君   長島  昭久君   長妻   昭君   長浜  博行君

長安   豊君   西村 智奈美君   野田  佳彦君   羽田   孜君

鉢呂  吉雄君   鳩山 由紀夫君   原口  一博君   伴野   豊君

平岡  秀夫君   平野  博文君   福田  昭夫君   藤村   修君

古川  元久君   古本 伸一郎君   細川  律夫君   細野  豪志君

馬淵  澄夫君   前田  雄吉君   前原  誠司君   牧   義夫君

松木  謙公君   松野  頼久君   松原   仁君   松本  大輔君

松本  剛明君   松本   龍君   三日月 大造君   三谷  光男君

三井  辨雄君   村井  宗明君   森本  哲生君   山岡  賢次君

山口   壯君   山田  正彦君   山井  和則君   柚木  道義君

横光  克彦君   横山  北斗君   吉田   泉君   笠   浩史君

鷲尾 英一郎君   渡辺   周君   渡部  恒三君   赤嶺  政賢君

石井  郁子君   笠井   亮君   穀田  恵二君   佐々木 憲昭君

志位  和夫君   塩川  鉄也君   高橋 千鶴子君   吉井  英勝君

阿部  知子君   菅野  哲雄君   重野  安正君   辻元  清美君

照屋  寛徳君   日森  文尋君   保坂  展人君   糸川  正晃君

亀井  静香君   亀井  久興君   横路  孝弘君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   安次富  修君   安倍  晋三君   阿部  俊子君

逢沢  一郎君   愛知  和男君   赤池  誠章君   赤城  徳彦君

赤澤  亮正君   秋葉  賢也君   甘利   明君   新井  悦二君

井澤  京子君   井上  喜一君   井上  信治君   井脇 ノブ子君

伊藤  公介君   伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君   伊藤  達也君

伊吹  文明君   飯島  夕雁君   石崎   岳君   石田  真敏君

石破   茂君   石原  伸晃君   石原  宏高君   稲田  朋美君

稲葉  大和君   猪口  邦子君   今井   宏君   今津   寛君

今村  雅弘君   岩永  峯一君   岩屋   毅君   宇野   治君

上野 賢一郎君   浮島  敏男君   臼井 日出男君   江崎  鐵磨君

江崎 洋一郎君   江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君

遠藤  武彦君   遠藤  利明君   遠藤  宣彦君   小川  友一君

小此木 八郎君   小里  泰弘君   小野  次郎君   小野  晋也君

小野寺 五典君   小渕  優子君   尾身  幸次君   越智  隆雄君

近江屋 信広君   大島  理森君   大塚  高司君   大塚   拓君

大野  松茂君   大野  功統君   大前  繁雄君   大村  秀章君

太田  誠一君   岡下  信子君   岡部  英明君   岡本  芳郎君

奥野  信亮君   加藤  勝信君   嘉数  知賢君   海部  俊樹君

鍵田 忠兵衛君   梶山  弘志君   片山 さつき君   金子  一義君

金子 善次郎君   金子  恭之君   上川  陽子君   亀井 善太郎君

亀岡  偉民君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君   川条  志嘉君

河井  克行君   河村  建夫君   瓦    力君   木原  誠二君

木原   稔君   木村  太郎君   木村  隆秀君   木村   勉君

木村  義雄君   岸田  文雄君   北川  知克君   北村  茂男君

北村  誠吾君   久間  章生君   倉田  雅年君   小池 百合子君

小泉 純一郎君   小坂  憲次君   小島  敏男君   小杉   隆君

木挽   司君   古賀   誠君   後藤  茂之君   後藤田 正純君

河野  太郎君   河本  三郎君   高村  正彦君   近藤 三津枝君

近藤  基彦君   佐田 玄一郎君   佐藤  剛男君   佐藤   勉君

佐藤 ゆかり君   佐藤   錬君   斉藤 斗志二君   坂井   学君

坂本  剛二君   桜井  郁三君   櫻田  義孝君   清水 鴻一郎君

清水 清一朗君   塩崎  恭久君   塩谷   立君   七条   明君

実川  幸夫君   篠田  陽介君   柴山  昌彦君   島村  宜伸君

下村  博文君   新藤  義孝君   菅   義偉君   菅原  一秀君

杉浦  正健君   杉田  元司君   杉村  太蔵君   鈴木  馨祐君

鈴木  俊一君   鈴木  淳司君   鈴木  恒夫君   関   芳弘君

薗浦 健太郎君   園田  博之君   田中  和徳君   田中  良生君

田野瀬良太郎君   田村  憲久君   平   将明君   高市  早苗君

高木   毅君   高鳥  修一君   竹下   亘君   竹本  直一君

武田  良太君   武部   勤君   棚橋  泰文君   谷   公一君

谷垣  禎一君   谷川  弥一君   谷畑   孝君   谷本  龍哉君

玉沢 徳一郎君   中馬  弘毅君   津島  雄二君   土屋  品子君

土屋  正忠君   寺田   稔君   とかしきなおみ君   戸井田とおる君

渡海 紀三朗君   土井   亨君   土井  真樹君   徳田   毅君

冨岡   勉君   中川  昭一君   中川  秀直君   中川  泰宏君

中谷   元君   中根  一幸君   中野   清君   中野  正志君

中森 ふくよ君   中山  太郎君   中山  成彬君   中山  泰秀君

仲村  正治君   永岡  桂子君   長崎 幸太郎君   長島  忠美君

長勢  甚遠君   並木  正芳君   二階  俊博君   丹羽  秀樹君

丹羽  雄哉君   西川  京子君   西川  公也君   西野 あきら君

西村  明宏君   西村  康稔君   西銘 恒三郎君   西本  勝子君

額賀 福志郎君   根本   匠君   野田  聖子君   野田   毅君

葉梨  康弘君   萩生田 光一君   萩山  教嚴君   萩原  誠司君

橋本   岳君   馳    浩君   鳩山  邦夫君   浜田  靖一君

早川  忠孝君   林    潤君   林   幹雄君   林田   彪君

原田  憲治君   原田  令嗣君   原田  義昭君   平井 たくや君

平口   洋君   平沢  勝栄君   平田  耕一君   広津  素子君

深谷  隆司君   福井   照君   福岡  資麿君   福田  峰之君

福田  康夫君   福田  良彦君   藤井  勇治君   藤田  幹雄君

藤野 真紀子君   二田  孝治君   船田   元君   古川  禎久君

古屋  圭司君   保坂   武君   保利  耕輔君   細田  博之君

堀内  光雄君   馬渡  龍治君   牧原  秀樹君   増原  義剛君

町村  信孝君   松島 みどり君   松浪 健四郎君   松浪  健太君

松野  博一君   松本   純君   松本  文明君   松本  洋平君

三ッ林 隆志君   三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君   御法川 信英君

水野  賢一君   宮腰  光寛君   宮澤  洋一君   宮路  和明君

宮下  一郎君   武藤  容治君   村上 誠一郎君   村田  吉隆君

望月  義夫君   茂木  敏充君   盛山  正仁君   森   英介君

森   喜朗君   森山   裕君   森山  眞弓君   矢野  隆司君

谷津  義男君   安井 潤一郎君   保岡  興治君   柳澤  伯夫君

柳本  卓治君   山内  康一君   山口  俊一君   山口  泰明君

山崎   拓君   山中 あき子君   山本  明彦君   山本  公一君

山本  幸三君   山本   拓君   山本ともひろ君   山本  有二君

与謝野  馨君   吉川  貴盛君   吉田六左エ門君   吉野  正芳君

若宮  健嗣君   渡辺  具能君   渡辺  博道君   渡辺  喜美君

渡部   篤君   赤羽  一嘉君   赤松  正雄君   井上  義久君

伊藤   渉君   池坊  保子君   石井  啓一君   石田  祝稔君

上田   勇君   漆原  良夫君   江田  康幸君   遠藤  乙彦君

大口  善徳君   太田  昭宏君   神崎  武法君   北側  一雄君

佐藤  茂樹君   斉藤  鉄夫君   坂口   力君   田端  正広君

高木 美智代君   高木  陽介君   谷口  和史君   谷口  隆義君

富田  茂之君   西   博義君   東   順治君   福島   豊君

冬柴  鐵三君   古屋  範子君   桝屋  敬悟君   丸谷  佳織君

中村 喜四郎君

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) この際、暫時休憩いたします。

    午後六時十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後八時二十三分開議

議長(河野洋平君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

     ――――◇―――――

加藤勝信君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 三井辨雄君外三名提出、厚生労働大臣柳澤伯夫君不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 加藤勝信君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 厚生労働大臣柳澤伯夫君不信任決議案(三井辨雄君外三名提出)

議長(河野洋平君) 厚生労働大臣柳澤伯夫君不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。長妻昭君。

    ―――――――――――――

 厚生労働大臣柳澤伯夫君不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔長妻昭君登壇〕

長妻昭君 民主党の長妻昭でございます。

 まずは、松岡利勝農林水産大臣の御冥福を心よりお祈り申し上げます。

 私は、民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合、国民新党・そうぞう・無所属の会を代表し、柳澤伯夫厚生労働大臣不信任案の提案の趣旨を説明いたします。(拍手)

 まずは、決議案の案文を朗読いたします。

  本院は、厚生労働大臣柳澤伯夫君を信任せず。

   右決議する。

    〔拍手〕

以上であります。

 年金の不安を解消するには、制度改革と組織改革が欠かせません。二つは、信頼回復のための車輪の両輪です。民主党は、制度改革では、すべての年金の一元化と同時に、最低の年金を保障する最低保障年金制度を提案しております。

 組織改革としては、さきに強行採決された厚生労働委員会に歳入庁法案を提出しています。これは、社会保険庁を国税庁に吸収合併して、ダブり仕事を解消し、大幅に人員削減を実現するものであります。さらに、国税庁の情報とノウハウを活用し、未納を減らし、厚生年金適用漏れ事業所も大幅に減らします。納めるのも相談も、年金と税金が一カ所で可能となり、国民の皆様の利便性を高めるものであります。

 さらに、さきの厚生労働委員会には、年金保険料の流用を一切禁止する流用禁止法案と、消えた年金問題を解決する、消えた年金記録被害者救済法案を提出しておりました。

 民主党は、一年以上前から消えた年金問題の調査を開始し、昨年六月十六日の厚生労働委員会で、今回問題となっている宙に浮いた年金記録に関して、村瀬長官を初め、厳しく政府を追及しました。それは、昨年の六月の十六日であります。

 この質問を皮切りに、これまで、国会質問に加え、予備的調査などあらゆる手段を使って、実態解明と政府への問題解決の要請を繰り返してまいりました。この過程で、民主党の再三の強い要請を受けて、政府も渋々五千万件という数字を明らかにしたのです。しかし、柳澤厚生労働大臣は、事の重大性をことごとく見過ごしてきました。その責任は大きいと言わざるを得ません。

 民主党は、一年をかけて調査をした結果に基づいて、ことし五月七日に、衆議院に、消えた年金記録被害者救済法を提出いたしました。厚生労働委員会では、この一年かけた民主党の法律はほとんど議論せず、世論の風にうろたえた与党が一日でつくった議員立法をたった半日の議論で強行採決しました。

 なぜ潜在的被害者を救済するための抜本解決から逃げるんですか。いまだ、五千万件という数字が明らかになっただけで、本質的な実態解明もなされていません。なぜ実態解明から逃げるんですか。

 かつての国民年金の納付記録が記された手書き台帳も、社会保険庁の廃棄命令でほとんどが捨てられてしまいました。これらを含む責任問題も、全く明らかになっておりません。なぜ責任問題から逃げるんですか。(発言する者あり)

 ちょっと静かにしてください。ちょっと議長……。

議長(河野洋平君) どうぞ続けてください。

長妻昭君(続) 政府の時効以外の対策らしき案の検証も、昨日の半日の審議でどうやれというのですか。政府案のぼろが出る前に逃げ切ったと言わざるを得ません。なぜ抜本対策の議論から逃げるんですか。

 某新聞では、「新たに数百万人規模の支給漏れに発展する可能性もある。」とあります。今、民主党が提案している徹底的な対策をとれば、驚くほど多くの被害者が顕在化し、救済される可能性があるんです。

 今、被害者と認定されて記録が回復されるのか否か、この瀬戸際です。我々は、多くの被害者救済のためにも、この幕引きを許すことは絶対できません。本人が気づいていない潜在的被害者も含めて、民主党は、全員の記録回復を目的としております。国会がやるべき役割、柳澤大臣が果たすべき役割をきちんと全うしていただきたい。

 与党が法案を提出した時効五年の撤廃は当たり前です。この問題は、国会でも民主党が強く指摘をしており、遅過ぎます。社会保険庁の怠慢なのに時効が発生するという、そもそもの考え方がおかしいんです。この時効を撤廃された方の申し出を待つだけではなく、こちらから対象者に働きかけて、お金をただ振り込むだけじゃなくて、訪問の上、謝罪をしてください。

 しかし、与党が出したこの法案は、既に被害者と確定された方のみの対策です。法案には、民主党が提案している、被害者と気づかない方や被害者と認められない方々の対策は盛り込まれておりません。我々民主党は、潜在的被害者を含め、すべての被害者の救済をしたいんです。

 今回の消えた年金問題に対する政府の対応は、いつものやり口と言わざるを得ません。つまり、実態や責任は明らかにせず、一部の解決策を出して、それですべてが解決するかのように見せかけてふたをするという手法です。こうすれば、実態や責任を明らかにしないで逃げ切ることができると考えたんでしょう。国民をばかにするのもいいかげんにしてください。国会にふたをしても、国民の怒りにはふたをできません。

 柳澤大臣初め政府は、大変な間違いを犯しております。政府が素直にいまだ隠されている実態を明らかにすれば、被害者救済に大いに役立つはずです。このこそくなやり方に憤りを覚えるのは私一人ではありません。この際、政府は一気にうみを出し切るべきなんです。

 消えた年金の問題は、言葉をかえて言えば、政府が預かり金をなくしてしまったということと同じです。お金一つまともに預かれない政府を立て直すためには、徹底的な実態解明が必要です。

 昨年からの国会審議の過程で明らかになったのは、一言で言えば、柳澤大臣が、実態解明、責任明確化、被害者救済のために大きな障害になっているということです。

 柳澤大臣では限界です。大変失礼ながら、官僚の発想の域を出ておりません。下から積み上げるボトムアップ型解決策ではだめなんです。政治家のリーダーシップを発揮して、みずからの政治生命をかけて、トップダウンで指示しなければなりません。被害者の皆様方の救済と実態解明を進めるためにも、与党の皆様も涙をのんで柳澤大臣を交代させていただきたい。

 これから少々長くなりますが、柳澤厚生労働大臣の不信任案の理由に関連して、民主党が現時点で知り得る消えた年金問題の実態をお話しします。そして、現時点で考え得る民主党の解決策もすべてお話しします。これを議事録に残し、広く国民の皆様にお知らせするためにも、最後まで御清聴をお願いいたします。(拍手)

 まず、八項目にわたって皆様にお話を申し上げたい。

 まず初めには、消えた年金の何が問題なのか、問題点の所在です。

 二番目、消えた年金というのはどういうものなのか。数字も交えてお話を申し上げます。

 三番目、なぜ消えたのか。現在民主党として考え得る原因をお話し申し上げます。

 四番目、政府の情報隠しの実態。柳澤大臣が情報開示を拒む中身をお伝えします。

 五番目、政府の対策の問題点。柳澤大臣の問題理解の薄さを指摘したいと思います。

 六番目に、消えた年金問題の、これまでの国会での論戦、議論の経緯をお話をします。民主党は、一年前から国会で追及を開始しております。つまり、柳澤大臣は、昨年九月の大臣就任時に、事の重大性を把握できる立場にあったということを申し上げます。

 七番目に、民主党の消えた年金記録被害者救済法、そして民主党の第一次緊急対策の概要、これをお話し申し上げます。これは、柳澤大臣の危機意識の薄さを浮き彫りにすることにもなるわけです。

 そして八番目に、消えた年金記録問題以外の柳澤大臣不信任の理由をお話し申し上げます。

 以上、八項目にわたってお話を申し上げます。

 まず、何が問題なのかということでございます。

 私どもは、かつて、年金の流用問題を徹底追及いたしました。六兆円もの国民の皆様方が払った年金の保険料が、年金の支給以外に使われる。そして、社会保険庁職員の専用のゴルフ練習場をつくった。ゴルフボール、ゴルフクラブも年金保険料で買ってしまう。これは、言い出したら切りがございません。とんでもない浪費がございました。

 この問題を徹底的に我々民主党が追及している過程で、民主党に対して、国民の皆様方からぽつぽつとお便りをいただくことが始まりました。そのお便りには、自分の年金が消えている、自分の記録が消えた、こういうようなお便りだったわけでございます。

 我々は、できる限り、お便りをいただいた方と直接お話をいたしました。そして、すぐに事の重大性に気づきました。例えば、多くの方が、自分は払ったはずなのに未納にされている、厚生年金、加入していたのに払っていないことになっている。こういう方々のお話を聞くと、やはり証拠がないので認められない、こういう社会保険庁の一点張りなんだ、困っている。そして、証拠の品、つまり、コンピューターのデータに入っていない場合は、紙台帳というのが社会保険事務所に保管されている可能性がある、あるいは市区町村に保管されている可能性があると言われて、どこの事務所にあるのか、捜すのはあなたが捜しなさい、こういうふうに社会保険庁に言われている。

 これも今も改善されていない点でございますけれども、例えば引っ越しを繰り返した方。住所のところの社会保険事務所や市区町村に手書き台帳がある。しかし、引っ越しを繰り返して、どこの事務所にあるのか、すべての引っ越しをした事務所あるいは自治体を訪問して問い合わせしなきゃいけない、捜してくださいと。

 そして、会社もそうでございます、厚生年金。会社の本社や事業所の所在地、そこに手書きの台帳がある可能性がある。しかし、転勤を繰り返した方あるいは事業所をかわられた方、どこに自分の台帳があるかわからない。自分で推定して、社会保険事務所を回って現物を捜してください、今でもこういう対応でございます。こういう現状を与党の皆さんはおわかりになっておられるんですか。

 そして、自分で紙台帳を捜しに捜していろいろな事務所を歩いて、いろいろな自治体を歩いて、何年もかけてやっと見つかった、そういう人もいるんです。紙台帳なんかは、コンピューターに索引簿をつけて、全国どこに自分の紙台帳があるのか、そんなもの、検索して教えるのが当然じゃないですか。

 そしてもう一つ、本人が被害に気づいていない方、こういう方も大変多いと思います。社会保険庁がまさか記録を間違えるはずがない、そこまではひどくないんじゃないかと思われていた方もこれまで多かったと思います。そのため、納付履歴を示されても、きちっと見ずに受給を開始された方も多かったんだと思います。その意味では、少ない受給額のまま、気づかずに亡くなっていった方々もたくさんおられると思います。(発言する者あり)そういう方々にも、ぜひ与党の皆さん、ふまじめなやじを飛ばさないで、思いをいたしてください。これらの方々、つまり自分でも気づいていない方々、大変多いと考えられます。これらの方々の解決策が大変重要になるわけです。

 政府はこれまで、五千万件の記録の中で、百歳以上、亡くなった方の記録は関係ない、こういう答弁をしておりました。しかし、少ない金額で亡くなった方もいる、遺族年金の問題もある。民主党の指摘で、亡くなった方にも問題があるということをわかって、その点だけは政府はやっと認識されました。

 そして、今回の問題というのは、国民年金の記録が消えるという被害もありますけれども、厚生年金の被害もかなり多いんです。

 国民年金は証拠持ってこいと言われる。これは手書きの領収書を持っている、そういう方も、わずかでございますけれども、いらっしゃる。しかし、厚生年金は領収書がない、給与明細を持っていないとなかなか認められない。それだけ深刻なんです。そして、同じ会社に勤めていても、例えば広島支店に転勤になった、その転勤になった期間だけが同じ会社に勤めているのに記録が抜けている、こういうケースもございました。事業所がかわるたびに手続が必要だ、こういう大きな問題もあるわけです。

 そして、却下、つまり、あなたは証拠がないから認められません、これは厚生年金の方の却下の方が多いんです。数字を申し上げます。平成十八年八月二十一日からことし二月二日まで、社会保険庁に問い合わせて却下された方、払ったはずだと言っても認められなかった方、総計で一万三千九百三十三人おられます。うち厚生年金は一万九百九十四件、国民年金は二千九百三十九件であります。厚生年金が三倍以上ある。厚生年金は制度の開始が昭和十七年、国民年金は制度の開始が昭和三十六年、確かに歴史の違いも関係あるのかもしれませんけれども、現在の加入者の比率は、厚生年金と国民年金、四対三で、三倍も変わりません。厚生年金の被害もかなり深刻なわけでございます。

 そしてもう一つ、特例納付。この制度、御存じでしょうか。過去三回行われました。国民年金の方々で、今現時点では過去二年しか未納を払うことができませんけれども、特例納付といって、過去三回だけは十年以上さかのぼって払える、こういうような特例措置です。この方式で払った方々に大変被害者が多いんです。

 特例納付の中では、自治体ではお金を預かれない。特例納付のお金は自治体で預かってはいけない、そういう決まりがあったのに、なぜか自治体に特例納付の保険料を払った方がいらっしゃるんです。その場合は自治体はどういうお金の入金処理をしていたのか、これも厳重に本来は調べる必要があるんですよ。自治体は本来受け取ってはいけないわけでありますから、自治体から社会保険事務所には連絡がない、こういうケースもあります。徹底調査が必要です。しかし、この特例納付に関する政府の認識は、全く今の時点でゼロです。

 そしてもう一つ。今、御存じでしょうか、日本では、年金には二十五年ルールというのがございます。つまり、保険料を延べで二十五年以上払っていないと、保険料は没収された上、一円も受給は受けられない。ある意味では、この六十五歳以上で、二十五年未満で受給権が発生しない方、社会保険庁の調査、我々の要請で出してきた数字が四十万人ということでございました。ある意味で、この方々に統合漏れや記録が消えたということがあったとしたら、天国と地獄ですよ。つまり、金額が少なくなるというどころか、もらえるかもらえないか、こういう方々も私はいらっしゃると思う。

 そして、被害者の方には三つあります。

 一つは、被害者として政府が認定済みの方。これは、五年前の時効があれば、今回の恩恵は受けられるでしょう。二番目、本人は被害者だと主張をするが、政府が認めていない方。三番目、本人も自分が被害者だとは気づいていない方。この二番目と三番目が大変多いんですよ。この解決をせずに幕引きは絶対許されないと申し上げているんです。

 消えた年金問題とは、四つ問題があります。

 その前に、昨日、五月三十日の午後に政府は、時効以外の解決策らしきものを書いたこそくなペーパーをマスコミに発表しました。世耕広報担当首相補佐官の名前で招集したレクの場です。その配付した資料の中には驚くべき記述があります。

 「年金加入者の皆様へ あなたの年金は消えていません」、こういう資料を配付しました。しかし、このペーパーの最後には、「ごく少数ですが、転記ミス等による記録漏れが生じています(昨年暮れまでに八十四件が判明)」とあります。消えているじゃないですか、記録が。八十四件、ごく少数、こういう書き方は誤解を生みます。

 つまり、たまたま領収書を持っていた人なんですよ、こういう人は。つまり、領収書は本人は持っていた。しかし、社保庁の中、自治体の中、何も記録がない、紙データにもない。消えているじゃないですか、記録が。消えていないんですか。(発言する者あり)消えていないんですか、消えていない、消えていないと言うけれども。消えていないというやじはやめてください。この八十四件の方も。二万人の方は証拠を持ってない、領収書がないということで門前払いをくらっているんですよ。その方々の中にも消えた人がいるかもしれないじゃないですか。

 そして、昨日の午後配られたもう一つのメモには、年金問題メモというものも政府は配付をしました。そこにはこういう記述がございます。「心配いりません!あなたの年金が消えたわけではありません」。消えた年金問題を糊塗するものです。官邸広報チームが国民からの逆風を和らげるための、一時しのぎのペーパーです。国民は、このようなものにだまされません。国民をばかにするなと言いたい。

 消えた年金はあるんです。このようなインチキなペーパーを慌てて作成し配付する、その責任者である安倍総理と柳澤大臣には大きな怒りを覚えます。(拍手)

 それでは、消えた年金の四つの問題を説明します。(発言する者あり)ぜひ、消えていないというやじはやめていただきたい。

議長(河野洋平君) 長妻君、長妻君、やじに応酬してはいけません。あなたは提出者として趣旨弁明をしているのですから、趣旨弁明をやってください。

長妻昭君(続) はい。

 まず一番目です。物理的に社保庁、市区町村の記録が一切消えている、これは完全に記録が消えているということです。社保庁もその事実を認めております。これは五千万件には含まれておりません。消えた記録ですから、五千万件以外の、これも重大な話なんです。昨年の八月からことしの三月まで、社会保険庁に問い合わせされた方の二百万人のうち二万人が、証拠がないと門前払いされました。相談者の一%です。仮にこれが日本国すべての方の比率とすれば、一%という大変大きな数字ではないでしょうか。

 二番目、五千万件の基礎年金番号との、この五千万件の記録に含まれますけれども、そのデータの一部が欠落していて、どうやっても本人と結びつかない、つまり実質的に消えている情報です。これは、本人が主張しても統合ができないんです。つまり検索にもかからない。これは実際、生年月日三十万件が欠落をしておりました。ある意味では、きちっとした記録管理をしないのは、国民年金、厚生年金保険法施行規則違反でもございます。

 そして、三番目といたしましては、五千万件の中の記録でございますけれども、本人が記録漏れを指摘して、漏れた記録の詳細を思い出せば統合できる可能性があるものでございます。いわゆる統合漏れと言われるものでございます。窓口で年金相談員が名前の読み方を変える、旧姓で入っていないかチェックする、こういうことで統合可能なデータでございます。

 しかし、いずれも、本人が気づかなければだめです。思い出さなければ、統合が不可能でございます。以上、いずれも、本人から見れば消えた記録となるわけであります。

 もちろん、五千万件の中には、基礎年金番号付番前に全額年金をもらってお亡くなりになった方などのケースも含まれます。しかし、このケースでも、基礎年金番号がない時代に複数番号を保持している方が本当に不足なく年金を受給したか、検証する必要があります。

 この問題に関して、不安をあおり立てるなと与党は言いますけれども、五千万件の内訳すら出さない政府・与党こそ不安をあおっているのではないですか。

 そして四番目、コンピューターには記録が全くない、あるいは記録が不完全で検索ができない、しかし手書きの台帳には納付記録があった、こういうケースです。

 以上、四つ問題があるわけでございます。

 政府・与党も、この四つの問題をきちんと把握していただきたい。しかも、政府は、これら四つの分類の数字がそれぞれどの程度あるのか、推計数字も出しておりません。幾らでも推計できるはずです。

 そして、具体的な数字の話を申し上げます。

 平成十三年度から平成十九年二月末分まで六年間で、二十一万八千四百七十四人もの方が、社会保険庁のミスなどの理由で受給額が受給途中に変わりました。これらの方々は氷山の一角です。そして、五十八歳通知では、これまで三十六万六千五百四十四人もの方が、自分の記録は違うから訂正してほしい、こういうことを言われておられるわけです。

 実際に、比率でいえば百三十人に一人の割合でしか救済されておりません。つまり、自分は払ったと言われている方のうち、百三十人にたった一人しか領収書を持っていないんです。ことし三月までの七カ月で、二万六百三十五人の方が却下されております。

 そして、ことし三月までの七カ月で、社会保険庁の申し出等で七人に一人もの記録が訂正されました。一四%の方の記録が訂正されております。ある意味では、それだけ初めの記録が間違っているということであります。

 そして、この五千万件のデータでございますけれども、全体のデータが何件あるのか、調べました。二億九千五百四十七件ございます。これは、五千万件を含んでおります。つまり、六件に一件が行方不明になっている。六件に五件は基礎年金番号に統合されているわけでございますけれども、それだけの比率が今問題になっているという御認識を持っていただきたい。

 それでは、現時点で、民主党として考え得る原因をお話し申し上げます。

 平成九年のときの基礎年金番号の際の通知、一億百五十六万人に、あなた様はこの番号でございます、基礎年金番号をお教えしました。そのときに、返信用はがきをつけていたわけでございます。御記憶ございますでしょうか、十年前。その返信用はがきには、あなた様は複数の番号を持っておられますか、基礎年金番号、この番号以外の年金番号を持っておられますか、あるいは、他の公的年金制度に加入されておられますか、こういう二つの質問をしたわけでございます。その二つのどちらかに該当される方は、はがきを送り返してください。

 つまり、これが、私もこの通知の中身を拝見しましたけれども、大変字が小さくて、非常にわかりにくい記述です。私が読んでもわかりませんでした。まずは、こういうわかりにくい通知で番号を統合しようとした。事実、ほかに番号はありますというような回答が、九百十六万人だけでありました。まず、このときの事務的な誤りが私どもはあったと考えております。

 その後、まだ持ち主のわからない記録に対して、名前、生年月日、性別で突合をしたわけであります。そうしましたら、九百二万人の方がヒットしました。その方々は、申し出はなかったけれども、別にも番号があって、統合漏れの可能性がある方をピックアップしたんです。

 この対策というのが、今政府が打ち出した対策なんです。ですから、今政府が打ち出した五千万件の調査というのは、昔の焼き直し、同じことをまたやろうとしている。これは効果がなかったわけでありますから。

 そして、さきのほかの番号がありますと回答した九百十六万人と足し算をした合計一千八百十八万人に履歴を送ってお尋ねをしたわけです。つまり、あなた様には、こういう加入履歴ですけれども、この中に抜けがありませんでしょうか、そういう照会通知を送りましたけれども、結果は、五百六十五万人は未回答だった。私のではないという方も、私には抜けがないという方も三百六万人おられた。

 しかし、この実物も私は見ました、通知の実物。これも、書き方が難しくて、容易にわからない内容だったんです。これら、もう本当にずさんな手法が、統合漏れ、統合が進まない理由だったのではないかと我々は分析をしております。

 そして、もう一つ統合が進まない理由、もともとのデータの入力ミス。読み方あるいは生年月日、あるいは資格取得日、資格喪失日、そういうものが間違えていたのではないのか。

 厚生年金の原票は、手書きの納付記録、名簿原票と言われますけれども、漢字のみしか書いてありません、名前が。振り仮名欄がなくて、ある意味では、その当時、コンピューターには漢字は入力できませんでしたから、担当者が当てずっぽうで仮名に読みかえて、仮名入力をしてしまったわけであります。それも一つの大きな理由。

 そして、手書き台帳からコンピューターに入力、昭和五十九年前後に年金事務が全面オンライン化になりました、コンピューター化になりました。このときに、手書き台帳をきちっと入力しなかった、入力漏れが多数発生した。計画的な入力あるいはダブルチェック体制の不備、こういうことも大変大きな原因でございました。そもそも、手書き台帳の不備ということもございました。初めからもとの手書き台帳が正確でなければ、コンピューターの中身も正確でない。

 そして、国民年金は、かつては市区町村が集めておりました。市区町村はお金を預かったけれども、社会保険庁にそれを伝達するのを忘れていた、伝達漏れ、こういう原因もございます。そして、企業にも問題があったケースもあります。企業が手続を忘れた、手続ミス、こういう問題もございます。

 しかし、公的年金の管理責任は社会保険庁にあるんです。当時、現在もそうでございますけれども、社会保険庁にはSE、システムエンジニアが一人もおりません。あれだけの巨大コンピューターシステムを扱っているにもかかわらず、SEがいない。コンピューター処理の責任者がよくわからないで処理を進めているのも大きな原因だったと考えております。

 もちろん、現時点での救済責任と実態解明責任は現政権にあります。その責任を果たしていないじゃないですか。

 三つの銀行が合併した銀行が、口座を一本化せず、ほかの銀行に預金のあった方は申し出てください、そうすれば口座を統合します、こういうような銀行があったら、すぐつぶれるでしょう。平成九年に基礎年金番号を付番したんですよ。十年たっても名寄せできない銀行があったら、とっくに地上から消えています。

 この消えた年金被害者救済法案の審議のためにも、民主党は、昨年から、法案審議までに実態のデータ提出を要請しておりました。しかし、何も出てきておりません。強行採決で実態解明にふたをすることは許されない。

 それでは、実態隠しの実例を申し上げましょう。

 五千万件のデータがございます。この持ち主不明の五千万件の、では、保険料の総額は幾らなんですか。社会保険庁は、調べようと思えば調べられる、しかし上からストップがかかっているんです、こういう話です。五千万件の保険料の総額がわかれば、年金受給額の総額も推定できます。なぜ隠すんでしょうか。

 そして、過去六年間で受給額が変更になった方、二十二万人おられます。では、受給額がふえた総額は幾らなんですか。社会保険庁は、調べれば出せます、しかし上が調べろと言いません。

 二十二万人の方々の中で、五年の時効で切られてしまった年金受給額の総額は幾らなんですか。社会保険庁は推計で、時効で切られた方は二十五万人おられると言っておりますけれども、一体、何人の方の名前と住所を把握しているんですか。

 そして、もう一つ隠している数字があります。コンピューターへの入力漏れ件数でございます。

議長(河野洋平君) 長妻君、長妻君、長妻君に申し上げます。

 柳澤大臣の不信任決議案の趣旨弁明をしておられるのですから、その範囲を超えないようにお願いします。

長妻昭君(続) これは非常に重要な件数でございます。このコンピューターへの入力漏れ件数は、紙データにはあるけれども、コンピューターにはないという件数であります。

 例えば、東京では、東京だけでありますけれども、マイクロフィルム、これが社会保険庁東京事務局分室にございます。

議長(河野洋平君) 長妻君に申し上げます。

 長妻君、あなたは柳澤大臣の不信任決議案の趣旨弁明のためにその場に立っています。その範囲を超えないように議論をしてください。

長妻昭君(続) わかりました。今議長からも御指摘がございましたので、さらにわかりやすくお話をします。

 つまり、柳澤大臣の不信任の理由、コンピューターへの入力漏れの件数を隠している、こういうこともあるんです。この隠した数字は何か。

 例えば、社会保険庁東京事務局分室では、マイクロフィルム、手書き台帳を写真撮影したものを保管しております。厚生年金四千五百巻、延べ一億六千万人分、国民年金四百四十八巻、実数で九十万人分保管しております。その中で、ことし三月十五日から末まで、コンピューターには入っていないけれども、マイクロフィルム、手書きのものにありますかという問い合わせの中で、これが、個人照会受け付け三百五十八件あったうち六十一件が実際に紙データだけにはあった。一七%です。

 平成十八年度一年間で、コンピューターにはありませんでしたけれども、マイクロフィルムにありますかという照会が、この分室に十万百九十四件寄せられております。このうち約一割から二割が発見されているとすれば、そう事務局の方は言われております。つまり、一年間で、東京だけで一万から二万件の入力漏れの可能性があるんです。この数字を、全国の数字を把握できるはずです、大臣は。それを出さないから不信任案を出していることであります。

 なぜこの数字を出さないのか。もしこの数字を出すと、余りにも紙データとコンピューターの中身が違い過ぎるので、早く突合作業、紙データとコンピューターの中身を全件きちっと早急に調べよ、こういう国民の声が沸き上がるのを恐れてのことではないんですか。

 そして、柳澤大臣はもう一つ隠しておりました。

 昨年八月からことし四月末まで領収書で変更した人の総数。昨年の十二月末までの数字は八十四件出しましたけれども、ことしの四月末までの数字は出さない。突然、大臣決裁になったということです。民主党への情報提示は、大臣決裁になりましたということでありました。被害者の実態を把握するために、実態の事例が重要なんです。これも柳澤大臣不信任の理由です。

 そして、私がことしの二月十四日の衆議院予算委員会で柳澤大臣に、五十八歳通知で三十六万人が訂正要求しているけれども、その訂正要求を却下した人、受け入れた人、それぞれ何人ですかと言いましたら、調べると明言をいたしました。しかし、今もまだ出てきておりません。これも柳澤大臣不信任の理由の一つであります。

 五千万件のうち、生年月日の情報の抜けが三十万件あった。しかし、ほかの情報の抜けの件数は何件なのか、これも再三再四お尋ねしましたけれども、回答は一切ございませんでした。

 あるいは、非常に重要なのが、国民年金、捨てられたと言われております普通台帳でございます。捨てられた、そういう指令書、通知が出ましたけれども、実は、捨てていなくて、各社会保険事務所で持っているところもあるという話でございました。この埋もれた手書き台帳が発見されれば、多くの被害者が助かる可能性も出てきます。これがどれだけあるのか調査を要請しましたけれども、一切出てきておりません。柳澤大臣、なぜきちっと出さないのか。

 そして、これも国会の質疑で、柳澤大臣が進めたサンプル調査、つまり、国民年金の手書き台帳、特殊台帳という一部はマイクロフィルムで保管されております。では、その特殊台帳がコンピューターの中身とどれだけ違っているのかサンプル調査をしてくださいと要請しました。そうしましたところ、当時はまだこれだけ大ごとになっていなかったので、柳澤大臣はサンプル調査を進めたわけです。三千件のサンプル調査が完了したということです。しかし、今大騒ぎになってしまったんで、そのサンプル調査の結果もふたをされました。柳澤大臣、なぜ隠すんですか。

 きわめつけは、柳澤大臣も提出を国会で答弁した、ことし四月分の社会保険庁の窓口調査の数字です。ここには、四月一カ月で救済された被害者のうち、コンピューターには入力がなく、紙台帳のみに記録があった入力漏れの件数が記載されております。これも既に集計が終わっているのに一切出さない。これも担当者の方が、大臣決裁になっているので出せませんと私に明言をしているわけです。

 そしてもう一つ、新たな実態を出さない問題もあります。

 不在者設定のでっち上げ問題。社会保険庁はかつて、国民年金の未納者を行方不明者に設定して成績を上げようとした。この不正な処理が平成十七年度一年間で十万四千七百七十人に上ることを民主党の調査で明らかにしました。しかし、平成十八年二月末時点で約七十八万人に上る不在者設定の人のうち、でっち上げは何人いるのか。つまり、不在者設定にされてしまうと、基礎年金番号が付番されないんです。この七十八万人の基礎年金番号が付番されていない方々、不正にでっち上げられた方は何人なのか、この調査要求も昨年からしているのに出てきておりません。

 そしてもう一つ、余り言われていない問題もございます。

 年金受給は日本では申請主義です。しかし、年金の受給の申請を忘れている方、たくさんおられるそうです。その申請忘れによる総額の金額というのは幾らなのか、社保庁に調査を命じましたが、音さたがありません。あるいは、マイクロフィルムに保管すべき紙台帳を捨てている件数、事例は何なのか、これも出してまいりません。ほとぼりが冷めたころにこれらの実態数字を提出するとすれば、それは許されないことです。

 そして、柳澤大臣の罪。五千万件を、いずれ統合されるデータだと、問題が大きくならないように隠し続けたことです。例えば、このように問題が大きくなる前、ことしの五月八日の本会議の答弁です。柳澤大臣は、「徐々に統合されていく、そういう過程を経るものと思っております。 最終的には、もちろん残ります。残るのは、先ほども言ったように、亡くなられた方とか受給資格を得るに至らなかった方、」つまり、五千万件は全件問題ない、いずれ全部統合される、こういう間違った発言をしていたわけであります。

 私のところには、極端な例でありますけれども、認知症の方の相談がございました。お父様が認知症で、会社をどこに転職して移ったか覚えていない、息子さんからの相談です。忘れた方やそういう方は、思い出さなければ永久に統合ができないわけです。

 安倍総理の平成十九年五月八日の本会議の答弁。これは、柳澤大臣がきちっと問題を把握しない、危機感がないから総理がこういう答弁をするんだ、こういう実例を申し上げるわけです。その意味でも柳澤大臣の不信任、これを我々は出しているんです。

 安倍総理はどういう発言をされたか。「すべての被保険者、年金受給者に対して納付記録を送付し点検をお願いすることは、大部分の方の記録が真正なものであることを考えれば、非効率な面が大きいのではないかと考えます。」と言われております。総理は、「大部分の方の記録が真正」、つまり正しい、こういうふうに明言されておられますけれども、「大部分」というのは何人なんですか、何人が間違っているんですか、それをきちっと把握してこういう発言をされておられるんですか。

 次に、政府の対応の問題点を申し上げます。政府・与党ですね。

 まず初めに申し上げたいのは、政府には被害者に対する謝罪が一切ありません。なぜ安倍総理が謝罪をされないのか。柳澤大臣が危機感がない、実態の深刻さをわかっていない、それも私は原因だと思います。

 そして、政府は、柳澤大臣も、領収書以外でも対応する、こういうことを言われております。しかし、第三者委員会にゆだねる前に、被害者がどのような状況なのか、実態解明と公表がまず重要なんです。そして、納付の立証責任を厳格に加入者だけに求めるのではなく、政府にも責任を負わせる、政府は基本的に加入者の証言を尊重して認定作業に努める、こういう基本姿勢がなければ、今と同じじゃないですか。第三者委員会にゆだねるといっても、最終判断は政府になるんですよ。こういう非常に甘い解決策に関する点でも柳澤大臣の不信任の理由でございます。

 そして、一つ申し上げたいのは、五千万件の解決方法の順番が違うんじゃないかということでございます。

 五千万件の記録は、十年間統合できなかった記録です。データに何らかの問題があるものが多いと考えるのが自然ではないでしょうか。安倍総理は本日のメールマガジンに、「一年以内に全記録の名寄せを完了させます。」と非常に楽観的に書いておられますけれども、先ほどるる述べたように、統合できない記録もあるんです。まずこのデータを直すのが先決です、壊れたデータを直すのが。そのためには、紙台帳に徹底的に当たって、コンピューターのデータを訂正するというのが非常に重要な対策になるんです。まず社会保険庁の中のデータをきちっとしなければ、どうやって国民に示せるんですか。(拍手)

 このやり方を申し上げます。

 簡単に言えば、紙台帳の記録とコンピューターデータを照合して、データを修正するわけです。これに関して柳澤大臣は、期限も明示しない、手法も明示しない、この一番重要な対策に対する認識が欠けている、これも柳澤大臣の不信任の理由です。

 紙台帳、どういうものがあるのか。

 厚生年金の手書きの納付記録では、名簿と言われるもの、原票と言われるものがございます。社会保険庁によると、これらはすべてマイクロフィルムにとってあるということであります。そして、国民年金でいえば、先ほど申し上げましたように、ほとんどの手書き台帳は捨ててしまった、しかし特殊台帳だけはマイクロフィルムに残っている、こういうことでございました。

 そして、市区町村の被保険者名簿。これは、市区町村が年金を、保険料を集めていたころ、国民年金でございますけれども、市区町村の手書きの被保険者名簿というものがある、しかし捨ててしまっている自治体、二百以上の自治体が捨ててしまった。どの程度保管されているのか緊急調査すべきじゃないんですか。

 この被保険者名簿の中には、マイクロフィルム化されているものもあります。紙のものもあります。そして、非常に重要なのが、埋もれている手書き台帳です。これは、社会保険事務所全部、隅から隅まで捜していただいて、どの程度埋もれている手書き台帳があるのか、これを緊急調査する。

 以上、申し上げた紙の情報すべて、コンピューターのデータと突合していただきたい。そして、コンピューターの中身を正しくする、これが非常に重要なんです。そして、紙テープも保管している事務所があるそうでございます。紙テープなどの古い媒体もすべて発見をして、コンピューターデータを直していただきたい。

 これら重要な対策の期限、私は、先週の金曜日にも、先日の厚生労働委員会でも、この点の期限を、再三再四にわたって柳澤大臣に期限のめどを質問しました。しかし、言えないの一点張りでした。うやむやになり、実施されないおそれが大きいと私は危惧します。平成二十二年一月、日本年金機構移行時までも無理だ、こういう趣旨の発言をしております。信じられません。

 私は、期限のない約束に、期限のない政府の約束にこれまで随分だまされてきました。何としても期限を言っていただきたい、これを申し上げたんですけれども、めどすら出せない。こういう根本的対策のめどの期限すら出せない大臣、不信任の理由の大きな一つです。

 大臣は私に、無理を承知で期限を聞いているんでしょう、こういう趣旨の発言をされましたが、社保庁に何年かかるか試算したまえと言ったらば、百年と言って出してきますよ、あの組織は。大臣がリーダーシップを持ってめどを示さなければ、この対策はうやむやになる可能性が高いということなんです。

 そして、大臣は、御自身がよくおわかりになっておられないから、この作業は専門性が高い、だから社会保険庁のOBにやらせる、こういうとんでもない焼け太りのような発言をされておられますけれども、この重要な作業は年金の知識がなくてもできるんです。

 つまり、私ども民主党視察団が先週、マイクロフィルムが保管されている東京の分室に行きました。そして、私もその画面を見ました。つまり、マイクロフィルムが映っている画面、結構鮮明に紙データが、紙台帳が見られます。そのディスプレーの横にコンピューターの画面を置いて、そして本当に数字が合っているのか、きちっと入力されているのか、これを確認する作業なんです。つまり、年金の専門知識なんて要らないんですよ。

 今回の問題は大ざっぱな議論では解決しません。例えば、全省庁から人をかき集めて徹底的に照合作業をする、こういう選択肢もあるでしょう。民間企業は社員を多く集めて作業しますよ。なぜか。作業して信頼回復しなければ民間企業はつぶれるからです。何をやっても大丈夫だからこれで逃げ切ろうと柳澤大臣が考えているとすれば、大間違いだ。

 そして、五千万件を調査、突合する、これも政府から出されておりますけれども、先ほど申し上げましたように、この突合の手法も、平成十年度から十八年度までに実施した調査と同様の手法なんです。あなた様は抜けがありますか、こういう聞き方なんです。

 しかも、この五千万件の調査、突合をすると言っておりましたけれども、私は耳を疑いました。きのう柳澤大臣の発言では、五千万件をすべて突合調査するわけじゃないんだ、二千八百八十万件だけの突合なんだ、こういう趣旨の答弁をされました。五千万件のチェック、突合というのはうそじゃないですか。二千八百八十万件以外は、従来どおり五十八歳通知などで申し立てがあれば統合する、これまでと同じじゃないですか。

 こういううそを国民の皆さんについて、何が政府の対策なのか。あいまいなまま逃げ切ることは絶対許されない。その意味でも、柳澤大臣の不信任を提出したわけでございます。この際、五千万件をすべての受給者、被保険者に突合、チェックすべきではないんでしょうか。

 そして、政府は、ねんきん定期便ということを言われておられます。これは百億円もかけてやる事業だそうでございますけれども、しかし、基本的に被保険者全員に送る、あるいは受給者にも今後は加入履歴を送ると言われておりますけれども、被保険者に関しては、三十五歳、四十五歳、五十八歳だけには加入履歴を送る、それ以外の被保険者には、百億円もかけたにもかかわらず加入月数しか送らない。つまり、あなた様は厚生年金が何百カ月ですよ。それだけじゃ抜けがわからないじゃないですか。あなた様は国民年金が納付が何百カ月ですよ。それでも未納がわからないじゃないですか。そういうような非常に欠点がある。

 我々は、コンピューターのデータを訂正した上で、受給者、すべての被保険者に緊急チェックをいただく、すべてに納付履歴を送って緊急チェックをいただく、こういうことを申し上げているわけでございます。

 これら政府が発表した時効以外の対策らしきものに関して、再三再四、社保庁幹部に説明を求めました、具体的な中身を。しかし、ナシのつぶてです。法案が通れば、私どもに説明に来ることさえしない。これは、ぼろが出るのを恐れての説明拒否であれば、断じて許されません。

 政府に緊急にお願いしたいこともございます。

 現在、社会保険事務所が大変混乱しております。早急に、電話相談あるいは臨時事務所の増設など、混乱を招かないような、順番待ちを緩和するような、そういう対策をきちっとしていただきたい。

 そして、もう一つ。柳澤大臣は本当に御存じなんでしょうか。インターネットで加入履歴は見られます、こういうふうに言われておられます。社会保険庁も言われておられます。しかし、インターネットで加入履歴を見られるのは被保険者だけです。受給者は加入履歴が見られない。こんな欠陥のシステムを、あたかもすべての方が見られるように宣伝をする。

 そして、責任問題が置き去りであるというお話も申し上げます。

 先ほどから申し上げております国民年金の手書きの普通台帳廃棄通知、これは昭和六十年の九月に社会保険庁から出されました。私は、この廃棄通知は問題があったのではないですか、責任を明らかにすべきではないですかと柳澤大臣に聞きましたところ、いや、問題はなかったんです、コンピューターに入力したんだから捨ててしまってもいいんです、こういう趣旨の答弁をされました。こういう答弁、これも不信任の理由の一つでございます。この通知の表題は、「新しい事務処理方式の実施に伴う国民年金被保険者台帳の取扱いについて」という表題の通知でございます。

 そして、市区町村への指導、これも問題がありました。

 現在、国民年金の手書き台帳である被保険者名簿、一千八百三十五市区町村のうち、一五%に当たる二百八十四市区町村は廃棄をしてしまったということでございます。それ以外の自治体にも、残ってはいるけれども一部しかないという自治体もある。なぜ社会保険庁は国民年金の徴収が自治体から社保庁に移ったときに永久保存を指示しなかったんだ。民主党が国会で消えた年金問題を追及した後、昨年八月になって慌てて保存の通知を全自治体に出しております。これは遅いわけです。こういう責任もうやむやにされました。

 民主党は平成十八年六月十六日、厚生労働委員会でこの消えた年金問題を追及しましたけれども、柳澤大臣、こういう答弁をしております。「記録というものをこちらから御本人に確認していただく仕組みは、おっしゃるように大事だろうというふうに思っております。」こういうことも言っておられる。しかし、何も手を打たなかった。

 そして、村瀬長官には、昨年の十二月六日にも決算行政監視委員会で消えた年金問題を追及しました。日本じゅうの厚生年金、国民年金の被保険者と受給者全員に緊急調査、全員に納付記録を送って緊急にチェックしていただく、こういう措置をすべきだと思いますが、いかがですかと聞きましたら、村瀬長官は答えをはぐらかし、何も手を講じなかった。

 そして、昨年十二月十四日には、民主党は、消えた年金に関する予備的調査、これを衆議院に提出しました。松本政調会長初め民主党衆議院議員四十三人の署名をもって提出したわけです。ことし二月に回答がございました。多くは回答拒否でございますけれども、一部、被害者の実例の記述もございますので、与党の皆様も、衆議院調査局にありますのでぜひ参考にしていただきたい。

 そして、ことし一月二十九日には、松本政調会長は衆議院の本会議で、「全被保険者、全受給者に納付記録を送付して、緊急に点検をお願いし、被害者の救済を進めるべきだと思います。」こういうことを安倍総理に質問をした。そうしましたら、安倍総理は「年金記録についてのお尋ねがありました。年金の支給を決定する際には、従来から、個別に御本人に年金の加入履歴等を確認していただいた上で決定しておりますが、昨年八月から、年金記録相談の特別強化体制をとり、すべての被保険者等の御疑問にお答えをしているところであります。今後とも、年金に対する信頼が損なわれることのないよう、記録の管理や相談等に万全を期してまいります。」と、全然問題の本質に気づいていなかった。この時点では、柳澤大臣は問題の深刻度に気づく立場にあったのに本人は気づかず、総理にも進言できなかった、これも大きな不信任の理由でございます。

 そして、ことしの二月十四日予算委員会、ことしの三月一日予算委員会第五分科会、ことしの四月二十三日決算行政監視委員会第三分科会、これらでも消えた年金問題を民主党は徹底追及しました。そして、この一年間の追及、調査の集大成として、ことしの五月七日、消えた年金記録被害者救済法を提出した。しかし、この法案をほとんど審議しないで、何で与党が出した、一日でつくった法案を半日審議で強行採決するんですか。

 そして、柳澤大臣の適切な進言がないことによって、総理が問題をきちっと把握していなかった。例えば、ことしの二月十四日予算委員会で、民主党の質問に対して、すべての被保険者、受給権者の皆様に納付記録を郵送して、緊急事態宣言をして、抜けがあるかどうかチェックしてくださいという趣旨でありましたけれども、安倍総理は「ただいま御提案がありました緊急事態宣言をすべての被保険者に出す、これは年金そのものに対する不安をあおる結果になる危険性があるのではないか、」と。なぜ不安をあおるんですか。

 そして、ことしの五月二十三日、安倍総理は私の消えた年金問題の質問に対して、「今、長妻議員からもいろいろとお話がございました。やはり国民の皆様に不安を与えてはならない、私はこのように思うわけでありまして」と。その私がなぜ不安を与えるんですか、国民の皆さんに。

 そして、民主党が一年かけて練り上げた法案、これを一顧だにせず柳澤大臣は暴走してしまいました。それも一つの不信任の大きな理由でございます。

 民主党の法案は、まず第九条から十九条に、年金個人情報関係調査監視委員会を設置します。委員は五人、国会同意人事です。厚生労働省OBは委員になれません。委員会はすべて公開でございます。そこで徹底的に社会保険庁、第三条では調査を実施する。五項目に上っております。そして、報告書はすべて公表をいたします。そして、実際の記録の訂正、救済策の実施、これも四項目にわたってきちっと明記をされている。こういう法案があるのに、なぜ柳澤大臣は全くこの法案を無視して、実質的な解決をしないで、ふたをしようとされるんですか。

 民主党は、法案だけではなくて、消えた年金被害者救済第一次緊急対策、これも出しております。

 先ほど申し上げましたように、一刻も早く、紙データすべてとコンピューターデータを突き合わせて、コンピューターデータを徹底的に訂正する。そして、受給者、被保険者すべてに、あるいは二十五年未満で受給できない方にも、消えた年金記録の事例があることを注意喚起するとともに、わかりやすい形で納付履歴を一斉に送付して、緊急にチェックを求める、こういう根本対策も柳澤大臣はとらないじゃないですか。それも不信任の理由です。

 そして、五千万件の統合を進める手法でございます。

 未統合の持ち主不明の五千万件の納付記録のうち、氏名、生年月日、性別が受給者、被保険者約一億人と合致する記録及び合致すると推定される記録を取り出して、そのお一人お一人に当該記録そのものを個別に工夫してお示しをして確認を得る作業を実施するということなんです。

 つまり、五千万件の記録で名前と生年月日と性別が同じものを取り出して、そしてシノダさんならシノダさんに、これはあなた様の記録ですか、これを工夫してお示しをする。昭和四十年何月何日から何月までこういう会社に勤めた記憶はありますか、あるいは、昭和五十年何月何日から何月何日まで国民年金に入っておられませんでしたかと直接その方に工夫をしてお示しをして確認を求める、こういう手法をとらない限り、前に進まないと考えております。

 そして、台帳閲覧、なぜ手書き台帳を国民の皆さん一人一人が、足を棒にして、どこの事務所にあるか捜し回らなきゃいけないんですか。これを、すべての手書き台帳に、索引簿をコンピューターにつけて、どこにその方の手書き台帳が保管されているのか、これを整備する、こういうことも柳澤大臣は一顧だにしない。

 そして、特例納付。これの被害者が多い。その傾向、これを徹底的に調査をする。柳澤大臣はこの点も一切認識していない。

 そして、非常に重要な立証責任。この立証責任の質問も、山井議員を初め、内山議員を初め、多くの民主党議員が柳澤大臣に聞きましたけれども、我々は満足のいく回答が得られないから国会で問題にしているんじゃないんです。回答をはぐらかすから問題にしているんです。

 この立証責任、我々は、納付の証明を厳格に加入者だけに求めるのではなく、政府にも責任を負わせる。政府は、基本的に加入者の証言を尊重して認定作業に努める、こういうことであります。

 そして、申請主義という壁が日本にはございます。

 現在、年金受給は加入者がみずから書類をそろえて申請しなければ受給が始まりません。この厳格な申請主義を諸外国の事案も勘案しながら見直しの検討を始める。申請し忘れによる失われた受給額も多額に上ると考えられております。この申請主義に関する対策も、柳澤大臣、全く頭にない。ただただ、日本は法律上申請主義です、申請主義です、こういうことをお役所の方も繰り返すばかりでございます。

 そして、最後に、情報公開が必要でございます。

 この民主党の第一次緊急対策、この実施状況及び実施件数の進捗状況を随時公表するとともに、記録が回復された方の事例、件数、原因をすべて明らかにして、被害者救済に資する情報として蓄積、公開する。これは非常に重要なことなんです。

 ある意味では、窓口に来てくれ、電話をくれという姿勢ではなくて、みずから働きかける、みずから連絡をする、こういう姿勢が今回の政府の案にも欠けているわけでございます。極端な話、寝たきりの方や認知症の方はどうすればいいんですか。

 あるいは、証拠の検討も重要です。

 例えば、所沢市の領収書。所沢市は、かつて、国民年金の保険料を納付したときの領収書、こういう記述がありました。「この領収書は五年間保存してください」、五年間保存してくださいと書いてあれば、五年で捨ててしまった人もいるかもしれないじゃないですか。領収書を持ってこいと言うのならば、当時から、受給のときまで持っていろ、持っていてくださいと書かなきゃだめじゃないですか。

 こういう細かいことを、膨大な情報は政府が握っているんです。

 社会保険庁の手書き台帳にもコンピューターにもどこにも納付記録がない、五十五人。原因不明は三十六人。これらのケースでは、二十歳で自動的に国民年金の資格取得になるべき方がなっていないケースもありました。こういう傾向を分析して、そこを集中的に調べる。こういう手法もとることができるんです。

 例えば、もう一つのケース。厚生年金、これを資格喪失した方のうち、同日に自動的に国民年金の資格取得となるべき方が取得となっていないケースもあるんです。こういうケースも集中して調べる。こういう姿勢が重要なんです。ポイントはいっぱいあるんですよ。

 市町村から社保事務所に通知がないケース。納付書の番号が本人の番号ではない、こういうケースもあったわけであります。

 そして、社会保険庁の調査によると、非常に少ない数字でございますけれども、社会保険庁の手書き台帳にはあるけれどもコンピューターには未入力、コンピューターにはなかった、十一人あったということであります。あるいは、市町村の被保険者名簿のみに記録があって、それが社保庁には伝達していない、これが十八人あったということであります。

 我々は、ことし三月までの七カ月で門前払いをされた二万人の方への再調査を柳澤大臣に求めます。この再調査は、国会で民主党が再三再四、柳澤大臣に執拗に要請しましたけれども、大臣は拒否し続けております。

 八十四人の方が領収書で訂正をされた。社保庁には記録がない、門前払いされそうになったけれども、八十四人は領収書を持っていた。しかし、その後、民主党の追及を受けてよくよく調べたら、二十九人は納付記録が見つかったじゃないですか。まじめに捜せば社保庁の中に記録があるケースもあるという実例があるじゃないですか。

 門前払いした二万人の方への再調査をなぜ柳澤大臣はしないんですか。強い憤りを覚えます。これも不信任の大きな理由の一つです。

 以上、柳澤大臣の消えた年金問題に関する不信任の理由を述べました。

 そして、最後に、その他の理由を申し上げます。

 もともと社会保険庁問題は、保険料浪費から端を発しました。民主党の調査で、六兆円もの年金保険料が年金支給以外に使われたことが明らかになった。リゾート施設の観覧車やメリーゴーランドの建設にまで流用された上、職員のカラオケセットやミュージカルのチケット代にまで保険料が浪費されました。

 平成十六年二月二十五日、衆議院予算委員会で、当時、与党年金制度改革協議会の座長であった自民党の大野功統議員は、同協議会の与党合意として、「我々は、国民の皆様の大事な年金の保険料は年金の給付以外には絶対使わない、こういう誓いに達したわけでございます。」と予算委員会で大見えを切りました。当日はNHK生放送もされており、国民の皆様の前で与党として公約したわけです。

 年金流用しないと公約していながら、今回、これまで以上に流用を可能とする二つの法案が柳澤大臣の手で政府から提出されました。保険料の流用を、利便の向上に資する情報提供、年金教育・広報、あるいは年金相談その他の援助には可能とするという条文が追加されました。非常に抽象的で、また保険料が浪費される何でも流用法とでも言うべきものです。天下り団体に仕事を与えるために、全国に年金教育センターや年金PRセンターなどができ、保険料が食いつぶされることは明らかです。さらに、平成二十年度以降、永久に年金事務費に保険料を流用できる法案も、今回、柳澤大臣の手で提出されております。

 この法律は与党の公約違反だ。柳澤大臣は、その提出に待ったをかけるべき立場にもかかわらず、それを許してしまった。これも不信任の大きな理由の一つです。

 社会保険庁は、監修料という名目で保険料をキックバックして、五年間で六億円以上の年金や政管健保の保険料を使い込んでしまいました。特に、社保庁職員の飲み食いに、年金保険料ばかりか政府管掌健康保険の保険料、合計一億円以上が使われてしまいました。これも民主党が明らかにした数字です。しかし、この発表数字よりも多くの金額が私は飲み食いに使われた可能性もあると考えますが、正確な数字はいまだ、柳澤厚生労働大臣、出してきておりません。

 本来は、使い込んだ六億円すべてを返却すべきと考えますが、いまだ一億六千万円しか返却されておりません。全額返却されるのが当然と考えますが、柳澤大臣はこの後始末の責任から逃げております。これも不信任の大きな理由の一つです。

 柳澤大臣は、納付記録の消失問題を初め、不祥事の後始末までほったらかしのまま、特殊法人に衣がえして逃げ切ることは断じて許されません。一連の政府案は年金責任逃げ切り法案だと私は指摘をしているところでございます。

 柳澤大臣は辞職をして、とまっている実態解明、責任問題の全容解明、そして消えた年金問題のすべての被害者救済を柳澤大臣の辞職によって前に進めるように強く要請します。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 討論の通告があります。順次これを許します。岸田文雄君。

    〔岸田文雄君登壇〕

岸田文雄君 私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま議題となりました厚生労働大臣柳澤伯夫君不信任決議案に対しまして、断固反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)

 柳澤厚生労働大臣は、閣僚としては、かつて国土庁長官、金融担当大臣を務められ、自由民主党におきましては、税制調査会長、政調会長代理といった要職につかれてこられました。そして、昨年九月就任以来、一貫して、我が国の行財政に関する幅広く高い見識を持って、厚生労働施策の推進、発展のため、安倍内閣の重要閣僚として全霊を傾けられ、その責務を全うしてこられました。

 柳澤大臣は、強い使命感を持ち、与党のみならず野党の諸君もよく御存じのように、経済、税制から社会保障に至る他の追随を許さない豊富な知識と経験を持って、厳しい財政状況の中、少子高齢化の難しい社会保障の局面において数々の難問に立ち向かい、まさに獅子奮迅の活躍をされておられます。

 言うまでもなく、公的年金制度は、国民の信頼を基礎として安定的に実施されるものであります。しかるに、その運営を担う社会保険庁は、たび重なる不祥事など事業運営に関するさまざまな問題が生じた結果、国民の信頼を失っております。公的年金制度の運営体制を再構築することは喫緊の課題となっております。この社会保険庁出直しのために、柳澤大臣は陣頭指揮をとり、その解体、再編に向けて中心的な役割を果たされてこられました。

 にもかかわらず、今回野党から不信任決議案が提出されたことは、全く理解に苦しむものであり、党利党略に基づくパフォーマンスと言わざるを得ません。

 野党は、今回の不信任決議案の理由として、社会保険庁の年金記録に関する問題を挙げております。しかし、いわゆる五千万件という数字は、消えた年金ではなく、基礎年金番号に統合されていない年金記録の数であり、国民がいたずらに不安に陥らないよう、正しいとらえ方が必要であります。

 平成九年、一人一番号の基礎年金番号に統合することで、年金記録の確認を簡易迅速に行える体制が導入されました。これにつきまして、平成八年の参議院本会議場で、公明党の山本保参議院議員が、基礎年金番号導入の諸課題について、多くの国民は、大丈夫かと心配しておられますと指摘をされました。それに対しまして、当時の菅直人厚生大臣は、徹底した対策を講じ、万全を期してまいりたいと答弁をされました。しかしながら、残念なことに、十年たった現在も統合が続けられているわけであります。この十カ月でも百四十六万件が統合されております。五千万件という数字は、こういう数字であります。

 このたび、こうした事態に対し柳澤大臣は、みずから主導のもと、政府の側から改めて記録突合作業等を行うとともに、ねんきん定期便その他の通知により確認の呼びかけを行うなどの方策を盛り込んだ六項目から成る新対応策パッケージを策定し、完全統合へ向けて大幅に加速させることにより、国民の不安を解消することに全力で取り組む次第であります。

 また、既に年金を受給されておられる方々のうち、年金記録を訂正することにより年金給付金がふえる方には、与党として、特別立法措置を行い、時効で消滅した部分の回復措置を講じるなど、万全の対策を講じることとしております。

 年金記録の問題については、できることはすべてやるという徹底した方針のもとに対応策を実行するとともに、あわせて、こういう事態を招いたぬるま湯体質の社会保険庁を徹底的に解体、再編して出直すことが必要であります。この年金記録の対策、そして社会保険庁の出直し、この二つ、この両方を行ってこそ初めて国民の将来に対する不安を取り除くことができると考えます。柳澤大臣は、この両方の先頭に立って努力をされているわけであります。その柳澤大臣に不信任決議案を出す野党の意図は何なのか、本音はどこにあるのか、全く理解ができません。

 また、柳澤大臣は、厚生労働委員会で、その審議の中において、野党からのたび重なる同じ質問に対しても、まことに辛抱強く、実に誠実に答弁をされておられます。厚生労働委員会においては、この国会、年金に関連しまして、昨日まで約三十九時間に上るしっかりとした審議時間が費やされております。その間、委員長の議事運営にも従わない野党議員による混乱状況の中にあっても、柳澤大臣は誠実に、冷静に答弁に努めたわけであります。これらの事柄をもってしても、不信任決議案を出すことはまことに理不尽であると考える次第であります。

 国民の財産である年金の信頼回復のためには、党派を超えて、政治の責任として努力しなければなりませんが、野党諸君には、このような不信任決議案を提出すること自体が、公的年金制度に対する国民の不安をいたずらにあおり、信頼回復を困難にするものであるということに気づき、こういった党利党略、パフォーマンス優先、国民不在の対応をやめるべきであると強く求めるものであります。

 以上のとおり、柳澤厚生労働大臣に対して解任を求める理由など全くないことを重ねて申し上げ、議員各位がこの無節操、無責任な不信任決議案に断固反対することを強く訴えて、私の反対討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 郡和子君。

    〔郡和子君登壇〕

郡和子君 民主党の郡和子でございます。

 私は、民主党・無所属クラブ、国民新党・そうぞう・無所属の会を代表いたしまして、ただいま議題となりました厚生労働大臣柳澤伯夫君不信任決議案について、賛成の立場から討論をいたします。(拍手)

 以下、本決議案に賛成する理由を申し述べてまいります。

 社会保険庁の改革が一刻の猶予もない課題であるというのは、だれしもが認めるところであります。しかし、このたびの政府案は、何のために社会保険庁を改革するのかという、その本質を見失っております。民主党が消えた年金記録の問題を提起いたしますと、政府は、国民が困窮する現状を無視し、ひたすら臭い物にふたをしようとする姿勢に終始いたしました。

 民主党は、消えた年金問題について、社会保険庁を解体する前に徹底的に調査を行い、被害者を救済するべきだとこれまで長く訴えてまいりました。なぜなら、政府の日本年金機構法案によって社会保険庁が廃止、分割された後では、この問題について責任の所在があいまいとなることが明らかだったからであります。これが杞憂でないことは、五月二十五日の委員会審議において、期せずして柳澤厚生労働大臣みずからが証言されております。

 と申しますのも、私は柳澤大臣に、この六月に発送される年金の支払い通知に消えた年金の問題が記載されるのかどうかとお尋ねをいたしました。すると、柳澤大臣は、長官に指示を出してはいるが、実際には社会保険庁長官の責任で行われる、長官を私のスタッフのように使うわけにはいかない、こう答弁されました。つまり、柳澤大臣は、厚生労働大臣としての責任から逃れ、村瀬長官に責任をなすりつけたわけでございます。

 現在でさえ、国の対応はこんなにも無責任なものですが、日本年金機構になれば、理事長は民間人、国会への出席義務もなくなってしまいます。要するに、国は機構に責任をなすりつけて、機構理事長は国会に出席せず、結局は国と機構とが足並みをそろえて公的年金の責任から逃げ切ろうとする、そんな図式が成り立つわけでございます。

 この一例をとってみましても、いかに政府案が重大な問題をはらんでいるかがおわかりいただけると思います。社会保険庁の解体、新たな組織のあり方についての審議は全く不十分です。

 政府案は、職員の身分を非公務員としていますが、実態は給料全額が税金から支払われている隠れ公務員であり、事実上天下りし放題となる特殊法人にほかなりません。そして、年金事務にかかわるアルバイトなどの給与は、国民が納めた保険料から恒久的に流用され、支払われることになるのです。

 その上、消えた年金の問題の実態が徐々に明らかになり、本格的な審議の緒についたばかりであるにもかかわらず、救済などと言って見せかけだけの法案を提出し、審議を打ち切り、この消えた年金の問題の責任から逃げ切ろうとすることは、断じて許されません。

 国会での審議を阻害したのは、まさに柳澤厚生労働大臣であります。民主党初め野党が年金記録の調査を再三要求したにもかかわらず、政府は、調査と情報公開を拒み、説明責任を果たそうとしてきませんでした。国民の不安が高まっているのを無視し続け、納付履歴の送付はしない、コンピューターのデータと紙、マイクロフィルムのデータの突合はしないなどと繰り返し繰り返し答弁していたのは柳澤大臣にほかなりません。

 それが、マスコミや世論の批判が高まってきたと見るや否や、突如として方針を転換し、年金支給についての五年間の時効を撤廃する特例法案を提出しました。しかも、本来政府が出すべきものにもかかわらず、たった一日で与党議員の議員立法として出すという極めてこそくな方法によって提出されたものです。

 その上、この法案では、今既に消えた年金問題の被害者である方のうちの〇・四%しか対象になりません。言いかえれば、九九・六%の、ほとんどの被害者の方々が対象外となるのです。

 そして、その前提となる記録の訂正のために必要な五千万件の納付記録の突合や調査については、するかしないのか、きのうの安倍総理の答弁と柳澤大臣の答弁も食い違いを見せました。総理は五千万件の突合をというふうにおっしゃいましたが、大臣は、二千八百八十万件でスタート、五十八歳通知で何件かやってと、全くのでたらめでございます。内閣の不一致。これで幕引きにしてはならないのです。

 日本年金機構法案を強引に衆議院を通過させようとし、その上で、時効特例法はみずからが責任を負わない議員立法として提出、そんなつけ焼き刃の突貫工事でつくった法案がどんな問題をはらんでいるのか、一体どれだけ吟味されたのでしょうか。そんなに時間はなかったはずであります。そうであればなおさらのこと、委員会では十分に時間をかけて審議する、そういう姿勢が必要だったのではありませんでしょうか。残念ながら、大臣にはそのような真摯な姿勢というのは全く見受けられませんでした。つまり、柳澤大臣はひたすらこの問題の責任から逃げ続け、この期に及んでも、政府はみずからの立証責任を果たさず、国民の自己責任、あたかも瑕疵が国民にあるかのような態度を崩しません。この問題をこれで終わらせるわけにはいかないのです。

 柳澤大臣の説明責任逃れ、そして、はぐらかし、国民無視の答弁は、社会保険庁改革関連法案の審議に始まったことではありません。パート労働法改正案の審議では、大臣、ゆめゆめお忘れとは思いませんが、差別的取り扱い禁止の対象となるパート労働者がいるのかどうか質問しますと、法案の根幹の問題であるにもかかわらず、推定で四%から五%だ、実態調査はできないと、まるで人ごとのような答弁を繰り返されました。

 また、民主党が追及している旧特殊法人年金資金運用基金幹部が設立した私的団体による裏金疑惑についても、のらりくらりと全く、調査に時間をかけ、委員会審議で事態の全容を明らかにするには至っていません。明らかにしないでおられます。

 そして、柳澤大臣の人権意識の問題を挙げなければなりません。女性を子供を産む機械と発言したものも加えさせていただきたいと思います。決して私たちは忘れることができません。世界からも大きな批判を浴びました。柳澤大臣が厚生労働行政のトップにとどまるのは、美しい国どころか、恥ずかしい国、浅ましい国ではないでしょうか。

 以上、厚生労働大臣を不信任とする理由について枚挙にいとまがありませんが、これまで申し上げた内容だけでも信任に値しないことは十分に御理解いただけることと思います。

 皆様の御賛同をお願いいたしまして、私の賛成討論といたします。ありがとうございました。(拍手)

議長(河野洋平君) 穀田恵二君。

    〔穀田恵二君登壇〕

穀田恵二君 私は、日本共産党を代表して、柳澤伯夫厚生労働大臣の不信任決議に賛成の討論を行います。(拍手)

 柳澤大臣を不信任する最大の理由は、いわゆる宙に浮いた年金、消えた年金の問題をめぐって、無責任きわまりない態度をとってきたからであります。

 今回の年金記録の未確定問題や支給漏れ問題は、すべて国の責任で起こった問題です。一九九七年に基礎年金番号を導入し、国による一元的な年金記録の管理が始まって十年が経過し、五千万件に上る年金記録がいまだに統合できていないまま放置されていること。また、保険料を払ったのに納付記録が消失していて年金が受給できない被害者を多数生み出していること。これらは、保険料を納めてきた国民には何の非もありません。ひとえに国の責任です。歴代政府、とりわけ厚生労働大臣の責任は極めて重大です。

 柳澤大臣が厚生労働大臣としてまずやるべきことは、消えた年金の解決に国が責任を持って対処することでした。現状の正確な把握、当面の救済策や再発防止策、今後の年金の記録管理のあり方など、立法措置も含めた抜本的対策を出し、国民の年金不安を取り除くことが今国会で求められていたのであります。

 ところが、安倍内閣と柳澤大臣は、消えた年金の解決のめども方途も明確にしないまま、社会保険庁解体・民営化法案を提出し、審議不十分なまま、強行採決まで行って、その成立を図ろうとしているのであります。断じて許すことができません。

 第二に、安倍総理の指示で急遽まとめたいわゆる救済策と特例法案の内容がいまだに不明確であり、かつ、総理と柳澤大臣の答弁が全く矛盾していることであります。

 そもそも、国民に責任がないのですから、年金記録が突き合わせできて、記録の誤りを訂正する場合に時効を適用しないというのは当然のことです。問題は、本人が申請し、保険料を納めていたことを証明しなければ、記録が訂正されず、被害が補償されないという従来の枠組みが全く変わっていないことであります。

 昨日の厚生労働委員会で、我が党の高橋議員が、年金記録が誤っていると本人が申し出たのに証拠がないとして却下された二万件についてまず再調査すべきだと求めました。驚くべきことに、柳澤大臣は、即座に首を左右に振って否定し、納得いかないのなら本庁に上げてもらいたいなどと従来答弁を繰り返したのであります。二万人の再調査さえやらないというのでは、一歩も進まないではありませんか。

 さらに、昨日、安倍総理は、政府の責任で五千万件を一年で調査すると明言しました。ところが、大臣は、優先して調査するのは二千八百八十万件だと答弁したのであります。しかも、必要なシステム開発に二年かかると答弁しています。総理答弁と全く違うのであります。

 総理のやりますという決意表明には、具体的な実施の担保は何もないということではありませんか。これほど国民を愚弄する態度はないと言わなければなりません。

 そもそも、年金は、老後の生活を支える最後のセーフティーネットであります。国民の年金受給権にかかわる問題は、本来、すべての党が真剣に協議し、審議を尽くして最善の打開策をつくることが求められている問題であります。急ごしらえの法案を、しかもわずか四時間の審議で強行し、幕引きを図ろうとすることは、言語道断の許しがたい暴挙であります。

 最後に指摘したいのは、成長戦略と称して大企業、財界支援の政策を推進する一方、今日の深刻な貧困と格差の拡大を放置し顧みない、安倍内閣の冷たい政治姿勢であります。

 そのもとで、国民健康保険証の取り上げや入院患者の病院追い出しを初め医療難民や介護難民が急増し、また、長時間労働と低賃金、不安定雇用の拡大が大量のワーキングプアを生み出しているのであります。にもかかわらず、国民の年金不信の根源にある高い保険料と低い給付という制度の欠陥には一切手をつけず、労働法制の一層の改悪を進めようとしているのであります。国民の生存権の危機的状況をつくり出してきた安倍内閣と柳澤大臣、政権与党の責任は極めて重大です。

 さらに、今国会冒頭、柳澤大臣の女性は子供を産む機械という発言は、女性の人格と尊厳を否定するものであります。

 今や、柳澤大臣が、福祉、健康、労働における国民の人権を守ることを職責とする厚生労働大臣の資格に欠けることは明白であります。

 以上、柳澤伯夫厚生労働大臣の不信任決議に賛成する討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 日森文尋君。

    〔日森文尋君登壇〕

日森文尋君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、柳澤厚生労働大臣不信任決議案に賛成する立場から討論を行います。(拍手)

 賛成の理由の第一は、柳澤厚生労働大臣の無責任、不誠実な姿勢にあります。

 公的年金に加入する国民は七千万人、そのうち約五千万件もの年金納付記録が、だれのものか特定されず、宙に浮いたままこれまで放置されてきました。また、本人が保険料を納め、領収書があるのに、社会保険庁のずさんな業務が原因で、過去の納付記録が失われ、本来受け取れるはずの年金を満額受け取ることができないなど、公的年金制度の信頼を根底から喪失させる驚くべき実態が次々と明らかになりました。

 これらの原因は、加入者の側に立って運営をしてこなかった社会保険庁にその責任があります。同時に、社会保険庁は厚生労働省の一部局であり、一連の責任は柳澤厚生労働大臣にあることは明らかです。にもかかわらず、柳澤厚労大臣の答弁は、保身に回るばかりで、真摯に反省し誤りを認め、被害者、国民に対して謝罪し、みずから組織のうみを出し、抜本的な対策を検討しようとする姿勢は一切見られません。

 第二に、柳澤厚労大臣がみずからの職責を放棄している点であります。

 昨日、与党は議員立法で年金時効特例法案を提出いたしました。世論の批判をかわし、社会保険庁関連法案の採決を優先させようと、突如、つけ焼き刃で提出されたこの特例法では、救済される人はごく一部です。原因を社保庁、厚生労働省みずからが究明し、国民に謝罪するとともに、内閣が救済法案を提出するのが筋ではありませんか。議員立法に便乗する形で、社会保険庁の重大な誤りをごまかし、幕引きを図ろうとするなど、言語道断であります。

 第三に、柳澤厚労大臣の国民と向き合う姿勢に問題があります。

 本年一月、柳澤大臣は、女性は子供を産む機械と女性の人権を踏みにじる発言をし、世論の批判を浴びたばかりです。大臣は、なぜ今子供を産み育てることが困難であるのか、国民の声に耳を傾けようとしませんでした。

 また、この間、国や厚労大臣を被告とする原爆症認定訴訟、トンネルじん肺訴訟、あるいは薬害肝炎集団訴訟などで、複数の地方裁判所において原告が勝訴判決をかち取っていますが、厚労省は、それぞれの事件の被害の深刻さと早期解決の必要性を何ら顧みることなく、機械的に控訴を繰り返しています。被害者は、事件の早期全面解決を実現するため、厚労省と協力、共同していくことを望んでいます。しかし、柳澤大臣は、面会を求める被害者に直接会おうとすらしていません。厚労大臣は、当事者、国民の声に耳を真摯に傾けるべきだと思います。

 最後に、日本年金機構法案、国民年金法改正案、議員立法の年金特例法案について、本日、本会議で採決は行わず、厚労委員会に差し戻し、徹底審議を継続すべきであることを強く要求し、私の賛成討論とさせていただきます。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(河野洋平君) 投票漏れはありませんか。投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(河野洋平君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百六十四

  可とする者(白票)       百三十一

  否とする者(青票)      三百三十三

議長(河野洋平君) 右の結果、厚生労働大臣柳澤伯夫君不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

三井辨雄君外三名提出厚生労働大臣柳澤伯夫君不信任決議案を可とする議員の氏名

安住   淳君   池田  元久君   石川  知裕君   石関  貴史君

泉   健太君   市村 浩一郎君   岩國  哲人君   内山   晃君

枝野  幸男君   小川  淳也君   小沢  一郎君   小沢  鋭仁君

大串  博志君   大島   敦君   大畠  章宏君   太田  和美君

逢坂  誠二君   岡田  克也君   岡本  充功君   奥村  展三君

加藤  公一君   金田  誠一君   川内  博史君   川端  達夫君

河村 たかし君   菅   直人君   吉良  州司君   黄川田  徹君

菊田 真紀子君   北神  圭朗君   楠田  大蔵君   玄葉 光一郎君

小平  忠正君   小宮山 泰子君   小宮山 洋子君   古賀  一成君

後藤   斎君   郡   和子君   近藤  昭一君   近藤  洋介君

佐々木 隆博君   笹木  竜三君   篠原   孝君   下条  みつ君

神風  英男君   末松  義規君   鈴木  克昌君   仙谷  由人君

園田  康博君   田島  一成君   田嶋   要君   田名部 匡代君

田中 眞紀子君   田村  謙治君   高井  美穂君   高木  義明君

高山  智司君   武正  公一君   津村  啓介君   筒井  信隆君

寺田   学君   土肥  隆一君   中井   洽君   中川  正春君

仲野  博子君   長島  昭久君   長妻   昭君   長浜  博行君

長安   豊君   西村 智奈美君   野田  佳彦君   羽田   孜君

鉢呂  吉雄君   鳩山 由紀夫君   原口  一博君   伴野   豊君

平岡  秀夫君   平野  博文君   福田  昭夫君   藤村   修君

古川  元久君   古本 伸一郎君   細川  律夫君   細野  豪志君

馬淵  澄夫君   前田  雄吉君   前原  誠司君   牧   義夫君

松木  謙公君   松野  頼久君   松原   仁君   松本  大輔君

松本  剛明君   三日月 大造君   三谷  光男君   三井  辨雄君

村井  宗明君   森本  哲生君   山岡  賢次君   山口   壯君

山田  正彦君   山井  和則君   柚木  道義君   横光  克彦君

横山  北斗君   吉田   泉君   笠   浩史君   鷲尾 英一郎君

渡辺   周君   渡部  恒三君   赤嶺  政賢君   石井  郁子君

笠井   亮君   穀田  恵二君   佐々木 憲昭君   志位  和夫君

塩川  鉄也君   高橋 千鶴子君   吉井  英勝君   阿部  知子君

菅野  哲雄君   重野  安正君   辻元  清美君   照屋  寛徳君

日森  文尋君   保坂  展人君   糸川  正晃君   亀井  静香君

亀井  久興君   鈴木  宗男君   横路  孝弘君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   安次富  修君   安倍  晋三君   阿部  俊子君

逢沢  一郎君   愛知  和男君   赤池  誠章君   赤城  徳彦君

赤澤  亮正君   甘利   明君   新井  悦二君   井澤  京子君

井上  喜一君   井上  信治君   井脇 ノブ子君   伊藤  公介君

伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君   伊藤  達也君   伊吹  文明君

飯島  夕雁君   石崎   岳君   石田  真敏君   石破   茂君

石原  伸晃君   石原  宏高君   稲田  朋美君   稲葉  大和君

猪口  邦子君   今井   宏君   今津   寛君   今村  雅弘君

岩永  峯一君   宇野   治君   上野 賢一郎君   浮島  敏男君

臼井 日出男君   江崎  鐵磨君   江崎 洋一郎君   江渡  聡徳君

江藤   拓君   衛藤 征士郎君   遠藤  武彦君   遠藤  利明君

遠藤  宣彦君   小川  友一君   小此木 八郎君   小里  泰弘君

小野  次郎君   小野  晋也君   小野寺 五典君   小渕  優子君

尾身  幸次君   越智  隆雄君   近江屋 信広君   大島  理森君

大塚  高司君   大塚   拓君   大野  松茂君   大野  功統君

大前  繁雄君   大村  秀章君   太田  誠一君   岡下  信子君

岡部  英明君   岡本  芳郎君   奥野  信亮君   加藤  勝信君

嘉数  知賢君   海部  俊樹君   鍵田 忠兵衛君   梶山  弘志君

片山 さつき君   金子  一義君   金子 善次郎君   金子  恭之君

上川  陽子君   亀井 善太郎君   亀岡  偉民君   鴨下  一郎君

川崎  二郎君   川条  志嘉君   河井  克行君   河村  建夫君

瓦    力君   木原  誠二君   木原   稔君   木村  太郎君

木村  隆秀君   木村   勉君   木村  義雄君   岸田  文雄君

北川  知克君   北村  茂男君   北村  誠吾君   久間  章生君

倉田  雅年君   小池 百合子君   小泉 純一郎君   小坂  憲次君

小島  敏男君   小杉   隆君   木挽   司君   古賀   誠君

後藤  茂之君   後藤田 正純君   河野  太郎君   河本  三郎君

高村  正彦君   近藤 三津枝君   近藤  基彦君   佐田 玄一郎君

佐藤  剛男君   佐藤   勉君   佐藤 ゆかり君   佐藤   錬君

斉藤 斗志二君   坂井   学君   坂本  剛二君   桜井  郁三君

櫻田  義孝君   笹川   堯君   清水 鴻一郎君   清水 清一朗君

塩崎  恭久君   塩谷   立君   七条   明君   実川  幸夫君

篠田  陽介君   柴山  昌彦君   島村  宜伸君   下村  博文君

新藤  義孝君   菅   義偉君   菅原  一秀君   杉浦  正健君

杉田  元司君   杉村  太蔵君   鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君

鈴木  淳司君   鈴木  恒夫君   関   芳弘君   薗浦 健太郎君

園田  博之君   田中  和徳君   田中  良生君   田野瀬良太郎君

田村  憲久君   平   将明君   高市  早苗君   高木   毅君

高鳥  修一君   竹下   亘君   竹本  直一君   武田  良太君

武部   勤君   棚橋  泰文君   谷   公一君   谷垣  禎一君

谷川  弥一君   谷畑   孝君   谷本  龍哉君   玉沢 徳一郎君

中馬  弘毅君   津島  雄二君   土屋  品子君   土屋  正忠君

寺田   稔君   とかしきなおみ君   戸井田とおる君   渡海 紀三朗君

土井   亨君   土井  真樹君   徳田   毅君   冨岡   勉君

中川  昭一君   中川  秀直君   中川  泰宏君   中谷   元君

中根  一幸君   中野   清君   中野  正志君   中森 ふくよ君

中山  太郎君   中山  成彬君   中山  泰秀君   仲村  正治君

永岡  桂子君   長崎 幸太郎君   長島  忠美君   長勢  甚遠君

並木  正芳君   二階  俊博君   丹羽  秀樹君   丹羽  雄哉君

西川  京子君   西川  公也君   西野 あきら君   西村  明宏君

西村  康稔君   西銘 恒三郎君   西本  勝子君   額賀 福志郎君

根本   匠君   野田  聖子君   野田   毅君   葉梨  康弘君

萩生田 光一君   萩山  教嚴君   萩原  誠司君   橋本   岳君

馳    浩君   鳩山  邦夫君   浜田  靖一君   早川  忠孝君

林    潤君   林   幹雄君   林田   彪君   原田  憲治君

原田  令嗣君   原田  義昭君   平井 たくや君   平口   洋君

平沢  勝栄君   平田  耕一君   広津  素子君   深谷  隆司君

福井   照君   福岡  資麿君   福田  峰之君   福田  康夫君

福田  良彦君   藤井  勇治君   藤田  幹雄君   藤野 真紀子君

二田  孝治君   船田   元君   古川  禎久君   古屋  圭司君

保坂   武君   保利  耕輔君   細田  博之君   堀内  光雄君

馬渡  龍治君   牧原  秀樹君   増原  義剛君   町村  信孝君

松島 みどり君   松浪 健四郎君   松浪  健太君   松野  博一君

松本   純君   松本  文明君   松本  洋平君   三ッ林 隆志君

三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君   御法川 信英君   水野  賢一君

宮腰  光寛君   宮澤  洋一君   宮路  和明君   宮下  一郎君

武藤  容治君   村上 誠一郎君   村田  吉隆君   望月  義夫君

茂木  敏充君   盛山  正仁君   森   英介君   森   喜朗君

森山   裕君   森山  眞弓君   矢野  隆司君   谷津  義男君

安井 潤一郎君   保岡  興治君   柳澤  伯夫君   柳本  卓治君

山内  康一君   山口  俊一君   山口  泰明君   山崎   拓君

山中 あき子君   山本  明彦君   山本  公一君   山本  幸三君

山本   拓君   山本ともひろ君   山本  有二君   与謝野  馨君

吉川  貴盛君   吉田六左エ門君   吉野  正芳君   若宮  健嗣君

渡辺  具能君   渡辺  博道君   渡辺  喜美君   渡部   篤君

赤羽  一嘉君   赤松  正雄君   井上  義久君   伊藤   渉君

池坊  保子君   石井  啓一君   石田  祝稔君   上田   勇君

漆原  良夫君   江田  康幸君   遠藤  乙彦君   大口  善徳君

太田  昭宏君   神崎  武法君   北側  一雄君   佐藤  茂樹君

斉藤  鉄夫君   坂口   力君   田端  正広君   高木 美智代君

高木  陽介君   谷口  和史君   谷口  隆義君   富田  茂之君

西   博義君   東   順治君   福島   豊君   冬柴  鐵三君

古屋  範子君   桝屋  敬悟君   丸谷  佳織君   中村 喜四郎君

西村  真悟君

     ――――◇―――――

 日程第一 日本年金機構法案(内閣提出)

 日程第二 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律案(石崎岳君外四名提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、日本年金機構法案、日程第二、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案、日程第三、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長櫻田義孝君。

    ―――――――――――――

 日本年金機構法案及び同報告書

 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案及び同報告書

 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔櫻田義孝君登壇〕

櫻田義孝君 ただいま議題となりました各案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、日本年金機構法案について申し上げます。

 本案は、公的年金制度の運営体制を再構築し、国民の信頼の確保を図るため、社会保険庁を廃止し、厚生労働大臣が公的年金制度に関する財政責任及び運営責任を担うこととするとともに、新たに年金事業の運営業務を行う非公務員型の公法人として日本年金機構を設立するとともに、保険料の滞納処分の権限を財務大臣に委任できること等を定めようとするものであります。

 次に、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本案は、国民年金事業等の運営の改善を図るため、被保険者の届け出手続の簡素化、保険料の納付方法の多様化等、保険料の納付を促進するための施策を導入するほか、福祉施設規定を廃止するとともに、年金事務費の一部に保険料財源を充当できることとする等の措置を講じようとするものであります。

 両案は、去る五月八日の本会議において趣旨説明が行われ、同日本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、翌九日に柳澤厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、二十二日には参考人から意見を聴取するなど審査を行い、二十五日には安倍内閣総理大臣の出席を求め、質疑を行った後、質疑を終局しました。次いで、採決を行った結果、両案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 次に、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律案について申し上げます。

 本案は、年金記録処理に対する国民の信頼を回復するため、記録の訂正に係る年金の支給について時効の特例を設けるほか、正確な年金個人情報の整備に関する政府の責務規定を定める等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る五月二十九日本委員会に付託され、翌三十日提出者谷畑孝君から提案理由の説明を聴取し、次いで、内閣の意見を聴取した後、質疑に入り、同日質疑を終局しました。次いで、採決を行った結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 討論の通告があります。順次これを許します。園田康博君。

    〔園田康博君登壇〕

園田康博君 民主党の園田康博でございます。

 まず、先日、五月二十八日にお亡くなりになられました松岡利勝農林水産大臣に心から哀悼の誠をささげ、御家族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。

 それでは、ただいま議題となりました政府提出、日本年金機構法案及び国民年金法改正案に対して、民主党・無所属クラブを代表し、断固反対の立場から討論を行います。(拍手)

 先ほど、本院において厚生労働大臣柳澤伯夫君に対する不信任決議案及び厚生労働委員長櫻田義孝君の解任決議案が否決されました。しかし、これは国民の意思とは全く乖離したものであると私は信じております。

 みずから納めた保険料に応じた年金がもらえない、国に納めて安心していたにもかかわらず数十年もたって自分の記録がないと言われる、しかも、自分が納めたことを証明するために何十年も前の領収書を持ってこいと言われる、このような理不尽を放置する政府・与党の議会運営を一体どこの国民が許すというんでしょうか。

 本来ならば、手書き台帳をしっかりと保存し、コンピューターあるいはマイクロフィルムと突合する、そして、そのことによって少しでも多くの国民が救える、年金を返すことができる、そういった状況の中において、手書き台帳を捨てるように命令したのは一体どこのだれでしょうか。社会保険庁そのものじゃありませんか。振り込め詐欺そのものであり、そして、国家によるこの詐欺的行為を幇助している、それは与党・政府、あなた方であります。

 あげくの果てには、実際には被害者救済には役に立たない、政府・与党の言いわけのためだけの法案を救済法案と称し、その上、強行採決するという愚行に再び及んでしまったわけであります。わずか四日の間に二度も強行採決を繰り返す、そして、わずか二日でつくった法案をたった四時間の審議で議了する。数百万にも及ぶ可能性のある、切実な消えた年金の被害者を切り捨て、自分たちのアリバイづくりの法案を成立させる。余りにも身勝手な、なりふり構わぬそれらの行為については、私は断じて許しません。そして、この一連の行動を国民はじっと見ているはずであります。国民は必ずや、国民の声を無視した与党に対する鉄槌を下すものと、私たちは信じております。

 政府・与党が強行採決を行ったこの日本年金機構法案でありますが、この法案の第一の問題は、消えた年金の問題の責任をあいまいにすることにあります。

 政府は、先週二十五日に突如、消えた年金記録について調査を行う方針を示しましたが、その期限は相変わらず示しておりませんでした。これまでの議論の中で、社会保険庁が保有する年金納付記録に多くのミスがあり、このままでは年金の支給不足が起きかねないことは、政府自身が認めていることではありませんか。このミスは、改めて言うまでもなく、政府の機関である社会保険庁そのものが犯したミスであります。しかし、明確な期限のない政府・与党の方針では、この始末を日本年金機構、すなわち非公務員に押しつけることにほかなりません。

 そして、これまで自民党政権では、組織の変更に伴って責任の所在をうやむやにすることは数限りなくあったではありませんか。最近では、特殊法人から独立行政法人への組織がえに伴って、政府の出資金十二兆円がいつの間にか赤字の穴埋めに充てられていたことが判明いたしましたが、巨額の税金が雲散霧消していたにもかかわらず、その責任は全くあいまいのままでございます。国民の財産、生活に直結する年金については、決してこのようなことがあってはなりません。

 今、このときにおいても、本来もらうべき年金の給付を受けていない方々が数多く存在する可能性が高いのであります。そして、この方々の正当な権利を守るために、同時に、年金に対する信頼を守るためにも、一刻も早く消えた年金問題の徹底調査と被害者の救済が必要でございます。組織の看板をかけかえることによってこの責任から逃れることは、断じて許しません。

 日本年金機構法案の第二の問題点は、この法案によって設立される日本年金機構は、どこからどう見ても社会保険庁の看板のかけかえにすぎないということでございます。

 そもそも、なぜ今特殊法人なのか、その理由がわかりません。特殊法人にすることによって、年金保険料の納付率が高まるんでしょうか。あるいは、職員や組織の体質が改善され、不祥事の再発を防ぐことができるんでしょうか。業務の効率性が高まり、国民負担は軽減されるんでしょうか。いずれも全く期待のできない法案であります。

 自民党政権においても、特殊法人の業務の非効率性、コスト高を認めざるを得なくなり、改革に取り組んでいたのではなかったんでしょうか。そして、その中身の是非はともかく、今国会において、特殊法人改革の一区切りとしての政府系金融機関の改革法案を提出したばかりではなかったんでしょうか。このような状況の中で、なぜ不祥事続きの社会保険庁を特殊法人に衣がえするのか、全くもって理解ができません。

 何よりも最大の看板のかけかえ、ごまかしは、年金機構の職員の身分を非公務員としながらも、その給料を全額税金で賄うことでございます。

 年金機構には、競争相手も存在しません。そしてまた、年金を運営する唯一の機関であることから、倒産することも考えられていません。加えて、職員の給料は全額税金というのであれば、一体どこが公務員と異なるのでしょうか。政府は、民間的な運用ということを繰り返しておりましたけれども、一体どこが公務員と異なるのでしょうか。そして、その可能性は全くないと私たちは考えております。どこからどう見ても、この年金機構の職員は公務員そのものであります。これをごまかしと言わずして、何をごまかしと言うのでしょうか。

 さらに悪いことに、この年金機構の職員は、見せかけ上は公務員の身分を外れるため、国家公務員法上の規制の適用を受けません。具体的には、これまで社保庁職員として受けていた天下り規制の適用、この除外になってしまうのであります。天下りし放題ではありませんか。社保庁は、現在でも年間二千七百億円の予算を有し、これを背景に、所管の公益法人だけでも約七百名の天下りが在籍をしております。

 また、仮に年金機構で再度不祥事が発生した場合、政府案では、国会が機構に直接説明を求めることができるか不透明ではありませんか。現在であれば、社保庁は政府の一機関であり、そして村瀬長官は国会に対する説明責任を負っています。しかしながら、年金機構は政府とは異なる法人でありまして、その役職員は非公務員であります。したがって、そのために、社会保険庁長官のように、当然に国会に出席し、説明義務を負っているわけではありませんね。年金機構は、国民生活に密接に関係する年金の実質的な運営者でありながら、与党が了解を出さなければ、国会に説明する責任さえ回避できてしまうではありませんか。

 このように、政府提案の日本年金機構法案は、不祥事だらけの社会保険庁の職員に、給料は全額税金、天下りし放題、そして国会の出席義務なしというパラダイスのような環境を提供するものではありませんか。

 同時に強行採決された国民年金法改正案では、年金保険料を永久に流用するという信じがたい内容も盛り込まれています。政府は、雇用保険も医療保険も保険料を事務費に充当していると強弁しておりますが、年金保険料は事務費に充当しないという制度をつくったのは政府であり、かつ、これをもって民間保険よりもお得だと説明してきたんではないでしょうか。それを突然何の説明もなく、永久にこれを流用しますでは、これでは政府の説明を信じてきた国民に対する裏切りでございます。

 いわゆる福祉施設の規定についても、確かに政府案では当該規定は削除しております。かわりに、教育及び広報、相談その他の援助、利便向上に資する情報提供、電子情報処理組織の運用に保険料が充当できる規定が創設されているではありませんか。これは、読みようによってはこれまでの規定よりもはるかに広範囲な流用が可能と考えられ、例えば年金教育施設や、先ほど長妻さんからも説明がありました年金相談センターなど、日本じゅうにこれらがつくられてしまうではありませんか。

 平成十六年二月の衆議院予算委員会において、先ほども出ました自民党の大野議員は、与党年金改革協議会の結論として、「国民の皆様の大事な年金の保険料は年金の給付以外には絶対使わない、こういう誓いに達したわけでございます。」と、テレビの前でよくもしゃあしゃあと、ぬけぬけと言ったものでございます。その結果が、今申し上げたこの年金何でも流用法案、これをつくることになってしまったんではないですか。この矛盾を一体与党はどのように説明するのか、国民の前で責任ある与党議員が公言した事実をどのように受けとめておられるのか、猛省をすべきであります。

 以上、申し上げてきたように、政府提出の二法案の実態は、年金に対する政府の責任を放棄し、不祥事だらけの社保庁職員にパラダイスのような職場を提供し、そして国民に対する約束をほごにするものであります。このような法案を決して認めるわけにはいきません。何よりも、本法案の審議を尽くしたとして与党が強行に採決した直後に、政府・与党が一体となって特例法を提出したことが、本法案が欠陥法案であること、そして審議が全く不十分であったことを如実に示しているではありませんか。

議長(河野洋平君) 園田君、申し合わせの時間が過ぎました。結論を急いでください。

園田康博君(続) 与党の強行採決によって採決には至りませんでしたけれども、先ほど長妻昭君がわかりやすく説明したように、民主党は、社会保険庁を解体する歳入庁法案と同時に、消えた年金記録被害者救済法案を国会に提出し、厚生労働委員会において審議に付していました。この法案は、消えた年金問題を徹底的に調査するとともに、外部の第三者機関のチェックにより透明性を確保した上で、社会保険庁が新たな組織に変更される前に、被害者の救済、再発の防止策を、総合的に対策を講ずることを規定しております。与党が本気で、この消えた年金問題の対策を講じる気持ちがあるのであるなら……

議長(河野洋平君) 申し合わせの時間が過ぎております。結論を急いでください。

園田康博君(続) つけ焼き刃の何の効果があるのか不明な法案ではなく、この民主党案を審議するべきでありました。その方がはるかに効果のある救済策を、しかも時間を区切って講じることができるのであります。

 私たちは、年金の受給者、加入者のための修正であるならば、幾らでも応じようではありませんか。素直に民主党案の審議に入り、修正すべきは修正し、一刻も早く対策を法律化し実施に移すことこそ、国民の立場に立った政治と言えるのではないでしょうか。

議長(河野洋平君) 園田君、園田君、申し合わせの時間が過ぎました。結論を急いでください。

園田康博君(続) 国民の批判の強さを受け右往左往する政府・与党の姿は、それが選挙対策であることを如実にあらわしているものであります。

 国民の年金不信、政治不信は、先週及び今週の強行採決で頂点に達したものと考えます。この不信を払拭する第一の手段は、本法案を本院において否決し、消えた年金問題を最優先に議論することでございます。時効の特例など一部に限った議論ではなく、政府がきちんと資料を提出し、その資料に基づいて年金の問題の全体像を把握し、その上で、払った年金の保険料に見合った年金を給付することができないという人を一人も生まないようにすることである、これが国会の責務だと感じております。

 そのことを強く主張し、私の反対の討論とさせていただきます。(拍手)

議長(河野洋平君) 伊藤信太郎君。

    〔伊藤信太郎君登壇〕

伊藤信太郎君 自由民主党の伊藤信太郎です。

 党派を超えて、思想の違いを超えて尊敬できる議員はいます。しかし、その気持ちが崩れ去るのは、暴力を目の当たりにしたときであります。

 今般、厚生労働委員会において、多数の民主党議員が、委員長を委員長席から引きずりおろし、拉致を試み、手で口をふさいで発言を封じて、まるで集団リンチのように委員長に暴行を加えたことは、まことに悲しむべきことであります。これはまさに暴力による言論封殺であり、決して許されるべきことではありません。私たち議会人は、暴力でなく、言論によって国民に奉仕すべきであります。

 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております内閣提出の日本年金機構法案及び国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案並びに石崎岳君外四名提出の厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律案に対して、賛成の立場から討論をいたします。(拍手)

 公的年金は、国民一人一人の老後生活を支える大事な柱であります。こうした中、社会保険庁は、これまでさまざまな問題を生じ、国民の信頼を失っております。今こそ抜本的な改革を行わなくてはなりません。

 今回の改正案は、社会保険庁を廃止し、公的年金に関する国の責任は堅持しつつ、新たに非公務員型の日本年金機構を設置し、これまでの組織体質を一掃し、信頼の回復と業務の効率化を図るものであります。

 以下、第一に、内閣提出の二法案に賛成する理由を申し上げます。

 賛成の理由の第一は、非公務員化であります。

 新法人を設けて非公務員化することにより、能力と実績に基づく人事管理の導入、職員の親方日の丸的な意識の払拭などが可能となるほか、募集、採用方式により、厳正な審査の上、新たな組織にふさわしい能力と意欲を有する者を採用することにより、規律の回復と事業の効率化が図られます。

 第二は、年金の運営に対する国の責任や事業への統制がしっかり確保されることにあります。

 法律案では、年金の徴収、給付、記録管理等の業務の管理運営責任や財政責任を厚生労働大臣に引き上げます。その上で、一連の業務を厚生労働大臣の直接的な監督のもとで日本年金機構に行わせることとしております。これにより、業務の的確かつ効率的な実施が徹底されるものであります。

 次に、時効特例法案に対する賛成の理由を申し上げます。

 これに先立ち、基礎年金番号に統合されていない年金記録の問題について申し述べます。

 ここでは問題の性質を正しく把握することが大切です。

 平成九年の基礎年金番号の導入以前には一人が複数の年金番号を持っていましたが、これを一人一番号の基礎年金番号に統合することで、年金記録の確認を簡易迅速に行えるようにしました。その際に、記録を統合するために照会を全被保険者に行いましたが、まだ統合が完了していない件数が五千万口あります。なぜ十年もたってこのような問題があるのでしょうか。

 ここに、社会保険庁に蔓延する労働慣行を示す百二件もの労働組合との信じられない内容の覚書、確認事項があります。

 一つ、基礎年金番号通知時の照会への対応は、各事務所臨時電話二台、全国でもたった六百台設置、期間は二カ月のみ。二つ、オンライン化は社会保険庁中心の考えに立つもので、将来にわたり市町村とは直結しない、一元化には同調しない。三つ、オンライン化に伴い定員削減はしない、機械操作になじまない者に対してもこれに伴う退職勧奨は行わない。四つ、オンライン端末機操作に当たりノルマや実績表はつくらない等々。

議長(河野洋平君) 伊藤君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

伊藤信太郎君(続) こういうことがあるから、十年やっても五千万口の未確認年金記録が残ってしまったのであります。

 年金記録を訂正することにより年金給付がふえる方については、時効によって増額分を失わないようにしなくてはなりません。今回の時効特例法案は、時効により増額分を受けられないことをなくすものであります。

 これらの法律案が一体となって公的年金に対する国民の信頼を確保できる新たな組織を実現させ、自由民主党は、国民の年金を守るために全力を挙げることを申し上げ、社会保険庁改革二法案及び時効特例法案に対する賛成討論といたします。(拍手)

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は時間の関係上この程度にとどめ、明六月一日午前零時十分から本会議を開き、本日の議事を継続することといたします。

 本日は、これにて延会いたします。

    午後十一時三十分延会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       厚生労働大臣 柳澤 伯夫君


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