衆議院

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第2号 平成20年1月21日(月曜日)

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平成二十年一月二十一日(月曜日)

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 議事日程 第二号

  平成二十年一月二十一日

    午後一時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑

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本日の会議に付した案件

 永年在職の議員船田元君に対し、院議をもって功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任するの件(議長発議)

 国務大臣の演説に対する質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 永年在職議員の表彰の件

議長(河野洋平君) お諮りいたします。

 本院議員として在職二十五年に達せられました船田元君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。

 表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。

 表彰文を朗読いたします。

 議員船田元君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

 この贈呈方は議長において取り計らいます。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) この際、船田元君から発言を求められております。これを許します。船田元君。

    〔船田元君登壇〕

船田元君 ただいま、院議をもって永年在職の表彰をいただきました。まことに光栄の至りであります。

 長きにわたり御指導いただきました先輩同僚議員の皆様、御支持をいただいた栃木県旧一区や現一区の有権者、後援会の皆様、さらには事務所スタッフや家族に対し、改めて御礼の言葉を申し述べたいと思います。

 私は、二十九年前、祖父でありました船田中の後継者として、二十五歳で国政に挑戦しました。その際、船田はまだ被選挙権を持っていないんじゃないかとデマを流されたり、国会に出てきたら、先輩の浜幸先生から、おまえはまだ十年早いぞと一喝されたりもしましたが、めげずに今日まで頑張ってきたかいがありました。今、私より当選回数の多い先輩議員は、わずか二十二名となりました。時の流れを痛感しております。(拍手)

 この二十九年間は、日本政界にとって、まさに激動の時代でした。まずは角福戦争のあおりを食らって、初当選からわずか半年で、まさかの解散・総選挙。我が国が国際的責任を果たす第一歩となったPKO法審議の際は、柄にもなく強行採決の現場監督を務めました。政治改革のあらしにも巻き込まれ、仲間とともに一時自民党を離れ、非自民連立政権の誕生に奔走しました。しかし、そのとき私は、政治は結果だけではなく、プロセスも大事なのだということを学び、自民党に戻ってまいりました。

 教育をもう一つの生業とする私は、目の前の子供たちをどう見るかによって教育の手法が異なることを学びました。生まれながら子供は善だとする考えからは、放任主義が生まれます。逆に、だめな存在だという考えからは、スパルタ教育が生まれます。そのいずれもが、うまくいったためしはありません。時には子供をしかり、時には子供の後ろを歩くという絶妙なバランスが大切なのです。

 このバランスは、中庸という漢語にも通じますが、政治の世界でも大切な姿勢ではないでしょうか。極端に走らず、足して二で割る妥協でもなく、能動的に真ん中を選びつつ、しかし、必要なときには極端を選ぶこともあります。「言うは易く、行うは難し」ですが、私は、物事を一方的に決めつけず、人の意見をよく聞いて、しかし、こうと決めたらとことんやり遂げようと努力をしています。これが私にとっての実践的リベラリズムであります。

 また、私は、憲法改正をライフワークの一つにしています。国内外の変化に即して憲法を変えていくのは当然ですが、国会の発議要件三分の二は守るべきハードルだと考えます。二分の一では、時の政権勢力によって自由に変えられるおそれがあるからです。三分の二の幅広い合意を目指すことこそ、最高法規の改正にふさわしいプロセスであり、このような姿勢は、また、動き出したばかりの二大政党時代の議会運営にとっても極めて重要であります。(拍手)

 今、我が国は急速に活力を失いつつあります。これに歯どめをかけることが、同時代に生きる政治家共通の使命であります。そのためには、柔軟でリベラルな政治を行う一方、「国のかたち」をどうするかという骨太の議論を真剣に闘わせることが不可欠であります。

 私の進むべき道はいまだ半ばであります。今後とも皆様の変わらぬ御指導、御鞭撻をお願い申し上げ、私の謝辞といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説に対する質疑

議長(河野洋平君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。鳩山由紀夫君。

    〔鳩山由紀夫君登壇〕

鳩山由紀夫君 皆さん、民主党の鳩山由紀夫です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、福田総理の施政方針に対して質問いたします。(拍手)

 とはいいましても、自民党を中心とした古い政権勢力と民主党を中心とした新しい政権勢力とが対峙をして、政権交代が現実のものとなりつつある今日、国民の皆さんが知りたいのは、今の政府の方針ばかりではありません。近い将来、民主党の政府ができたら、私たちの暮らしは、そしてこの国はどうなるということに大きな関心を持っていただいています。

 そこで私は、ここで民主党の政権政策についても説明をいたします。

 政治が取り組むべきは、国民の生活であり、日本という国家の進路です。今日、日本はどのような状態に置かれているでしょうか。

 第一に、国民生活はほころび、格差が拡大しています。長く続いた自民党政治の結果、政治、経済、社会のさまざまな仕組みが制度疲労を起こしています。

 その根本問題にメスを入れることなく、弱肉強食の流儀を持ち込んだのが、小泉元総理のいわゆる偽装改革でありました。

 典型的な例が三位一体改革です。三年間で交付税を五兆円削って国の赤字のツケを地方に回す一方、地方の自由度をほとんどふやさないまま、四・七兆円もの補助金を減らしました。地方の力が失われ、自治体間に格差が広がったのも当然であります。

 政府の政策が国民生活から安心を奪ったのは、年金ばかりではありません。国の医療費抑制により、過去二年間で、地域医療の中心的担い手である二次救急病院のうち、二百三十五カ所が救急対応をやめました。病院をたらい回しにされて亡くなった患者さんの話を連日のように耳にします。

 増税や社会保険料の引き上げなどによる家計への打撃は、御承知のとおりです。

 第二に、日本という国の力が低下をしています。

 世界の名目GDPに占める日本の割合は、一九九四年の一七・九%から、二〇〇六年には九・一%へ落ち込んだのです。一人当たりGDPは、OECD三十カ国中十八位へと順位を下げ、二位ノルウェーの半分にも満たないありさまです。

 円が世界の外貨準備に占める割合も、九五年の六・八%から、昨年は二・八%へと低下しました。

 また、昨年一年間で株価が下落をしたのは世界でわずか五カ国でありましたが、日本の株式市場は六・五五%も下落し、その不名誉な一角を占めています。

 将来の国の力という意味で、次世代を担う子供たちの学力の低下はゆゆしい問題であります。昨年十二月に発表された学習到達度調査で、世界における日本の高校一年生の学力は、四年前と比較して、読解力で十四位から十五位へ、数学は六位から十位へ、そして科学は二位から六位へと、すべての分野で順位を下げています。

 国民生活のほころびと国力の低下、これが今日の日本の抱える最大の問題です。福田自公政権は、この問題をどうとらえ、どうするつもりなのでしょうか。

 第一に、福田内閣にも自民党にも、日本の現状に対する危機意識が全く足りません。与党にあるのは、政権から転落することへの恐怖と焦燥感だけじゃありませんか。

 臨時国会、今国会と、福田総理の演説を二度聞きましたが、私の感想は、何も言っていないじゃないかということに尽きます。国民生活の現実を直視した生きた言葉も政策もなく、官僚の作文を継ぎはぎして化粧しただけじゃありませんか。

 総理は、模範となる先例がない中、新しい日本をつくり上げると言っておられますが、海図なき時代の青写真は官僚には描けません。

 第二に、福田内閣も自民党も、今日の危機に対して何もしていません。

 考えてみてください。福田内閣発足以来、この内閣が何をしたでしょうか。ガソリンが高騰していく中でさえ、国民生活や経済運営はそっちのけにして、インド洋で米軍艦船等にただで油を渡すことにきゅうきゅうとしていただけです。

 二度も国会を延長しながら、格差は放置、年金の公約にはほおかむり、株価下落には茫然、防衛省のスキャンダルも傍観。再可決という禁じ手を使ってまでテロ新法成立に注いだエネルギーの十分の一でも政府が消えた年金の解決につぎ込んでいれば、多くの人が救済されたに違いありません。

 この内閣は一体、何のために政治をやっているのでしょうか。四カ月を費やして、アメリカからのサンキューという一言が福田内閣の唯一の実績とは、余りにも悲しい政府です。

 第三に、国民を軽視する福田自公政権に国民も不信を抱いています。

 施政方針で国民本位を強調したのは、政府が本当は国民軽視の政府であることを隠すためではありませんか。論より証拠、総理の施政方針には、多くの国民が不安を抱きながら暮らしている生活実感に触れた部分など一行もありません。

 また、年金記録問題への対応にも触れてはいますが、総理は、公約違反の非を認めていません。総理は、国民の信頼を取り戻すと言われますが、また約束を実行できなくなっても、公約違反というほど大げさなものかと言って済まそうとしているのではないかと、国民はさめた目で見ているのであります。

 国民の皆さん、それでも皆さんは悲観主義に陥る必要は全くありません。

 日本の置かれている状況は確かに厳しい。そして、今ある政府はそれに立ち向かおうとしていません。自民党に、日本を変えることはできません。しかし、民主党にはできます。私たちが政権をとり、新しい政府をつくれば、国民生活に活力を取り戻し、この国に輝きを取り戻すことができます。

 なぜなら、民主党が担う政府は、国民生活のことを本気で考えているからであります。国民生活と国の力を立て直す、このことが政治の使命であることを自覚し、官僚任せにしないからです。民主党の掲げる「国民の生活が第一」とはそういう意味です、皆さん。(拍手)

 私たち民主党には、明確なビジョンがあります。以下、総理の施政方針と対比させながらそれを説明し、総理に質問します。

 総理の施政方針演説について、大事なことは何も言っていないと申し上げましたが、その意味するところは、この政府が続いても何も変わらないということです。総理の自立と共生という理念も、言葉が躍るばかりです。

 なぜ、公約をした障害者自立支援法の見直しには触れないのですか。永住外国人の地方参政権は、既に韓国に先を越されたではありませんか。いまだにアイヌ民族を先住民族と認めないのですか。

 また、被爆者やシベリア抑留者などにも目を配ってください。人気取りのための自立、共生という言葉遊びならやめてください。

 また、年金制度は現行の保険料方式を変えようとしていません。しかし、国民年金では保険料を満額支払っている人は半分しかいないと言われるばかりか、最近の出生率を前提とする限り、政府の約束する給付を持続的に行うこともできません。政府の言う百年安心など、もはや国民はだれも信じていません。

 さらに、年金記録問題でも、政府は紙台帳に当たるという基本的な対策にすら踏み出そうとしていません。

 総理にぜひ確認しておきたいことがあります。年金の未統合記録五千万件について三月までに名寄せを完了してすべての対象者にねんきん特別便を送るというのは、総理の公約ですか、本当にできるのですか、明確にお答えください。窓口を訪れた人にヒントさえも与えずに、何で国民本位と言えるのでしょうか。

 総理は、社会保障国民会議を開催することを提唱しています。一見もっともらしく見えますが、その根底にあるのは、国民の最も関心のある問題を与野党の争点から外そう、国民をごまかそうという判断じゃありませんか。

 政府はまず、これまでの年金改革の誤りを認め、抜本的な制度改革案を示した上で、国会の場で堂々と議論すればいいんです。結局、この政府に年金問題は解決できないのではありませんか。

 地方分権も、分権後の姿とあり方を国民に示していくと言うばかりで、それがどんな姿なのかには一切触れていません。法人事業税を一部国税化するという時代錯誤に陥ったり、ふるさと納税と言いながら、地方間で住民税をたらい回ししたりするのが関の山ではありませんか。

 教育に至っては、文科省が猫の目のように学習指導要領を改訂する羽目に陥った無責任行政に対する反省もなく、「国民の皆様から信頼される公教育を確立する」と言うばかりです。教育は大事だ、大事だと言うばかりで、具体的な対策は打ち出していません。

 農林水産業についても、無味乾燥で抽象的な言葉が四行並んでいるだけでした。コメントに値する内容は全くありません。

 総理は、消費者行政の一元化に向け、新しい政府をつくり、消費者行政担当大臣を置くと表明されました。今回の施政方針の目玉だそうですが、行政改革担当大臣、地方分権改革担当大臣など、自民党内閣では仏つくって魂入れずが横行しており、効果は期待できません。

 典型的な例が、独立行政法人の整理統合です。渡辺担当大臣はパフォーマンスに走ったあげく、結局は各省庁からは相手にされずじまいでした。

 各省庁の所管大臣は官僚と一体となって利権と既得権のための組織の維持に懸命。官邸はそれを傍観。省庁間の既得権益のはざまで、消費者行政もスタート前から既に迷走し始めているというではありませんか。

 以上、施政方針に関する私の評価について、もし総理に反論があればお伺いいたします。

 これに対し、民主党の政府ができれば、政策も予算も大きく変わります。民主党は、国民の生活が第一という視点に立って政策をつくり、国民の生活が第一という視点に立って国民の皆さんからお預かりした税金を配分します。

 年金制度は一元化し、年金の基礎部分の財源は全額税で賄います。保険料未納も将来の年金記録の問題もなくなるのです。消費税五%分を基礎年金に充てることにより国民の安心は保障されるのです。

 だれもが安心して子供を産み育てることができるよう、一人当たり月額二万六千円の子ども手当を創設して、義務教育終了まで支給します。その後の高校教育も無償化を進め、大学、専門学校などの奨学金制度を拡充します。その結果、日本の競争力は将来にわたっても確保されるのです。これは未来への投資です。

 農家に直接支払う戸別所得補償制度を創設し、農家の人たちが安心して農業に取り組めるようにします。これにより、国内で安全な農産物を供給し、食料自給率を高めます。民主党は、農業、林業、漁業を再生することで地域社会の再生と自然環境保護を実現させます。

 地方自治体に対する補助金を廃止し、地方が自由に使える自主財源として一括交付するとともに、地方交付税制度も抜本的に改革をして、地方間格差に配慮した新しい地方財政構造をつくります。民主党の案によって、地方から霞が関に陳情に来るなどという無駄と中央集権はなくなるのです。これこそ真の地域主権であります。

 高速道路は、一部大都市を除いて無料化します。政府のように、民営化、民営化と言いながら実際には政府が介入して値下げをするような支離滅裂、小手先の案ではありません。高速道路が無料になれば、暮らしは便利になり、物流コストが下がり、地方の活性化と日本の競争力回復に大きな貢献を果たします。

 道路特定財源は、道路整備が最優先だった五十四年前の昭和二十九年に創設され、暫定税率は三十四年前の第二次石油ショックへの対応として導入され、そのまま既得権化しています。自民、公明の政府には、この硬直した構造を変えるつもりは全くありません。原油高に苦しむ国民の皆さんの声は、自公政権には届かないのであります。

 民主党は、道路特定財源を現地の地方のニーズに合わせて社会保障や教育などにも使えるように一般財源化をして、期限を迎えた暫定税率は廃止します。民主党は、この国会を生活第一・ガソリン国会と位置づけています。

 勤労者の給与水準は低迷を続け、パートや若者の労働環境は改善していません。民主党は、三年をめどに最低賃金を全国平均で時給千円に引き上げ、ワーキングプアを減らして格差を是正いたします。

 中小企業憲章を制定するとともに、中小企業予算を三倍にふやし、総額五千億円といたします。地域金融円滑化法の制定やエンジェル税制の拡充、事業承継税制の円滑などを図り、中小零細企業や商店の元気を取り戻します。

 このように、格差是正により経済力強化を図る。民主党は、生活の力、地域の力を回復させます。

 さらに、脅かされている国民の安全を立て直さなければなりません。国民の食の安全を守るためのBSE対策、輸入農産物対策や食品表示偽装対策、また産科や小児科が不足している地域医療、救急医療の確立、さらには、ふえる銃器犯罪対策としての銃器規制の強化などを民主党政権では強力に推進いたします。

 多分、私の話を聞いて、そのお金はどこから持ってくるんだと疑問に思われる方も多いでしょう。もちろん、民主党は、新たに使う予算の財源についてもしっかり考えています。

 談合、天下りの根絶による行政経費の節減、特殊法人、独立行政法人、特別会計等の原則廃止、国家公務員総人件費の削減、所得税制等の見直しによって、必要なお金はしっかりと用意できます。

 昨年の参院選挙の時点では、十五・三兆円の財源を無駄遣い一掃によって確保すると説明したところです。道路財源の改革などを含め、今後、この財源政策をさらに詳細にし、具体的に提示してまいります。

 自民、公明両党の議員諸君は、できもしないことをと騒いでいるようであります。談合、天下りの根絶にせよ、独法の廃止にせよ、政官業癒着の構造にどっぷりつかった今の政府には、確かに想像もできないことでありましょう。私たちが主張している税金の無駄遣いの一掃は、今の政府が続く限りできません。今の政府は、例えば、出口のないトンネル工事で税金を無駄遣いする始末。結局は増税です。しかし、民主党中心の新しい政府をつくればできます。だから政権交代が必要なのです。(拍手)

 次に、外交、安全保障について述べます。

 まず、福田内閣に限らず、歴代自民党政権の外交・安保政策には、確固たる基本原則がありません。米国に言われるままに、あっちに自衛隊を出し、こっちに自衛隊を出し、あげくの果てには、米国のイラク作戦に対する支援までも自衛隊にやらせていたのではないかという法律違反の疑惑を持たれ、それをいまだに払拭できないではありませんか。補給支援特措法に至っては、米国の顔色をうかがう余り、国会承認を外すなどという、従来の原則でさえも無視をした暴挙さえいといませんでした。

 民主党がつくる政府は、日本の外交・安全保障政策にしっかりとした原則を導入します。平和で自由で開かれた国際社会を実現するため、日本自身が世界の平和を守るために率先して行動します。

 もちろん、米国と協力すべきことは真摯かつ有効に協力しなければなりません。しかし、米国が間違ったときには、米国も国際社会の重要な一員として振る舞うように忠告すべきであります。

 国連の平和活動には、国会による民主的統制のもとで、政府と国民が必要と判断するものに主体的に参加をしてまいります。

 テロリズムが断固として許すことはできないのは当たり前です。しかし、テロとの闘いにはさまざまなやり方があるのです。民主党は、米軍への後方支援よりも、アフガニスタンの国家再建、復興支援こそが日本の果たすべき役割だと考え、さきの国会でテロ根絶法案を提出いたしました。

 その主な内容は、アフガニスタン人間の安全保障センターを設置して武装解除や治安分野改革に協力をするとともに、アフガニスタンにおける抗争停止合意後、主に自衛隊によってかんがい事業、医療などの人道復興支援を行うというものであります。

 総理は、国際平和協力活動を実施するための一般法を検討すると表明されました。しかし、原理原則もなく、一般法をつくれるはずがないではありませんか。

 総理に対し、国際平和協力活動への自衛隊派遣と憲法の関係を含め、政府の考え方の明確な説明を求めます。

 さきの臨時国会では、防衛省・自衛隊をめぐる疑惑の数々が表面化し、国民の信頼を一気に失墜させました。我が国の安全保障を担うべき防衛省の事務方トップは日々宴会やゴルフに興じ、最高機密を扱う現場の自衛官は相次いで秘密ファイルを流出させるなど、あいた口がふさがりません。

 日米間で定めた重要機密の漏えいは、我が国の安全保障の根幹と日米同盟の信頼関係を揺るがすものでもあります。アラビア海で米艦に燃料を提供するよりも、防衛省が安全保障のイロハのイを身につけることの方がよほど日米同盟にとって重大だと思うのは私だけでしょうか。

 防衛省や自衛隊を正すためには、規律保持やシビリアンコントロールの観点からは情報開示を行って国民監視を働かせ、防衛機密については情報保全体制を強化すべきだという、近代国家としては当たり前の改革が今必要です。

 随意契約が大部分を占め、政官業の癒着が生じやすい防衛調達のあり方も抜本的に見直されなければなりません。何よりも、防衛省に関係する政治家が業者との癒着を指摘され、国民から不信の目で見られるような状態を許してはなりません。

 以上の点について、政府としてどのような対策を考えているのか、いつまでにそれを表明するのか、総理から御説明ください。

 実は私は、総理はアジア外交の強化を目指す方針なのだろうと思っていました。しかし、現実には、安倍内閣から福田内閣にかわっても、アジア外交に関する日本のメッセージは何ら発せられていません。総理は、みずからの外交を共鳴外交と呼ばれているようですが、日本のメッセージがないのに、何が共鳴するのでしょうか。

 また、小泉元総理の退陣後、日中間に首脳交流こそ復活しましたが、日中関係改善のスピードは満足のいくものでは全くありません。総理は昨年末に訪中しましたが、東シナ海のガス田開発問題など、具体的な懸案の解決には至りませんでした。国連安保理常任理事国入り問題では、中国は日本とインドの間の対応でも差をつけているではありませんか。

 今後の対中関係をどのように進めていくのか、総理に質問します。

 北朝鮮の拉致問題は、我が国の主権を侵害するばかりか、国民の生命と人権にかかわる重大な問題であり、核・ミサイル問題は地域の安全保障を揺るがすものです。核問題については、昨年十月の六者協議で一定の合意がなされたにもかかわらず、その後の北朝鮮の行動は満足できるものではありません。

 過去一年間余りの間に、米国が北朝鮮に対する姿勢を大きく変化させたことや、韓国で次期大統領に李明博氏が決まったという状況を受け、北朝鮮の核と拉致問題を解決するために日本がどう対応するのか、全く見えていません。総理の説明を求めます。

 次に、地球温暖化対策について述べます。

 温室効果ガスの排出量を九〇年の水準から六%削減するというのが京都議定書で決めた日本の国際公約です。ところが、直近の二〇〇六年度の速報値でも、九〇年比六・四%増加と、温室効果ガスは一向に減る気配がありません。政府の温暖化対策の無策ぶりを象徴しているではありませんか。

 まず、国際公約達成の見通しと温室効果ガスの削減の実効性を担保するための具体的方策について、総理の所見を伺います。

 また、我が国はことし洞爺湖サミットを主催するわけでありますが、その際に地球温暖化問題が大きな議題になります。そこで気になるのは、サミット議長国の日本が、ポスト京都を見据えた温室効果ガスの中期的な削減目標をまだ明らかにしていないことであります。これではリーダーシップの発揮どころではありません。

 民主党は、我が国の温室効果ガス排出量を、二〇二〇年時点で九〇年比少なくとも二〇%削減すること、そして二〇五〇年よりも早い時期で九〇年比半減することを目標に掲げます。その目標達成のために、国内排出権取引制度を創設し、温暖化対策税を導入するなど、具体的な方法を提案しているのです。

 日本国内の温室効果ガスの削減の中期的数値目標を具体的にどのぐらいにするのか、どのような方法によってそれを達成させるのか、総理、具体的に答えてください。

 最近、サブプライムという耳なれない言葉がテレビで流れない日はありません。米国で生まれた金融工学は、サブプライムローンのようなリスク商品まで組み込んだ高利回り商品を世界じゅうにばらまき、それが変調を来した瞬間に世界じゅうの経済に深刻な打撃を与えています。

 一方、原油高はガソリン価格の高騰となって庶民の財布を直撃していますが、その価格の半分ぐらいは、現物の需給とはまるで関係のないマネーゲームによるものだと言われています。何かがおかしい、何かが行き過ぎていると私は考えます。

 幸い、七月に洞爺湖に主要国が集まります。マネーゲームのばっこを政治がただ傍観するだけでよいのか、首脳間で議論する格好の機会であります。

 総理、あなたがまだ総理の座にあればの話でありますが、過剰なマネーゲームに関する国際的な規制のあり方などをサミットの場で議論するお考えはおありでしょうか。それとも、施政方針で述べられたように、ただ見守るだけなんですか。お答えください。

 福田総理は施政方針で、与野党が信頼して話し合い、国政を動かそうと述べられましたが、ならばなぜ、民意に基づいて参議院で可決した年金保険料流用禁止法案、イラク特措法廃止法案、農業者戸別所得補償法案などを衆議院でまともに議論さえさせなかったのですか。これでは信頼しろといったって無理ではありませんか。

 それどころか、去る一月十一日、政府・与党は、二年半も前の郵政選挙で得た数の力に頼って再議決に踏み切り、強引にテロ新法を成立させました。

 再議決は、憲法に定められた立法手続ではあります。しかし、衆参両院の議決が異なったという事実、特に、昨年の七月に示された直近の民意を反映した参議院において否決されたという事実は、極めて重いものです。軽々しく再議決を行うのではなく、衆議院を解散して、総選挙を行って再度民意を問うべきではなかったのですか。(拍手)

 今国会において政府は、道路特定財源の暫定税率維持を初め、国民生活を無視した旧態依然たる法案を幾つも用意しています。

 しかし、政府・与党がそのような筋悪法案の成立を期せば、再議決という緊急事態、異常事態を想定した制度に訴えるしかないという事態は、何を意味するんでしょうか。今日の自公政府に政権を担当する能力がないということのあかしではありませんか。

 翻って世界を見れば、世界の各地で政権交代のうねりが見られます。オーストラリアでは、ブッシュ大統領の盟友と言われたハワード首相が総選挙で敗北して退陣に追い込まれました。お隣の韓国でも、実業家出身の新大統領が国民の期待を集めています。米国でも、新大統領選挙の火ぶたが切られたところです。この波が日本を覆うのも遠いことではありません。

 使い古された言葉でありますが、「新しい酒は新しい革袋に」とは聖書にある言葉です。日本を変えるためには、古い革袋、すなわち自公政権では無理です。国民生活を疲弊から回復させ、日本に活力を取り戻すには、新しい革袋、すなわち民主政権の樹立しかありません。そして、内政は官僚から独立させ、外交はアメリカから独立させ、尊厳のある日本を取り戻そうではありませんか。

 ここに改めて早期の解散・総選挙を求め、私の代表質問と民主党の政権政策の説明を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕

内閣総理大臣(福田康夫君) 鳩山議員にお答えを申し上げます。

 障害者自立支援法について、まず御指摘がございました。

 障害者自立支援法の抜本的な見直しについては、与党における検討結果も踏まえ、来年度において、利用者負担のさらなる軽減や事業者の経営基盤の強化などのための緊急措置を講ずるとともに、残る課題についても、法施行三年後の見直しに向けて検討を進めてまいります。

 このため、施政方針演説においても、障害者自立支援については、障害者の立場に立ったきめ細やかな対応を行ってまいりますと申し上げたところでございます。

 次に、永住外国人の地方参政権、アイヌ民族についての政府の考え方についてお尋ねがございました。

 永住外国人の地方参政権、アイヌ民族についての政府の考え方、これは、永住外国人に対する地方参政権付与の問題について、韓国の状況は承知しておりますが、この問題は、我が国制度の根幹にかかわる重要な問題でもございまして、各党各会派において議論を進めていただきたいと考えております。

 アイヌの人々については、現在のところ、先住民族に関する国際的に確立した定義がないこともありまして、先住民族かどうか結論を下せる状況にありませんが、固有の文化を発展させてきた民族であるということは認識しておりまして、文化振興等に関する施策を引き続き推進してまいります。

 次に、被爆者施策及びシベリア抑留者対策についてでございますが、原爆被爆者対策については、保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じております。特に原爆症につきましては、来年度より、その認定基準を可能な限り広く認定する観点から見直すことといたしております。

 シベリア抑留者については、これまで慰藉事業を推進してまいりました。現在、平和祈念事業特別基金で行っている特別慰労品の贈呈事業を着実に実施してまいります。

 次に、年金記録問題についてのお尋ねがございました。

 この問題については、昨年七月五日に政府・与党として決定した方針に基づき、本年三月までに、五千万件の未統合記録と一億人のすべての年金受給者や現役加入者の方々の記録をコンピューター上で突き合わせ、その結果、記録が結びつく可能性がある方々へねんきん特別便をお送りすることを、予定どおり順次実施をいたしております。

 また、紙台帳とコンピューター記録との突き合わせについては、来年度より、実効性、効率性を考慮し、優先順位をつけて計画的に進めることとしております。

 年金制度改革についてのお尋ねがありました。

 年金制度については、すべての国民の生活にかかわる問題でありまして、党派を超えて議論する必要があると考え、野党の皆様に対し、これまで、繰り返し、互いに提案を出して議論を深めるように呼びかけてきたところでございます。

 今般、この年金制度を将来にわたり確実で信頼できる制度とするために、幅広く国民各層から成る社会保障国民会議を開催し、年金制度を含め社会保障のあるべき姿や負担の仕方などについて議論を行っていくことといたしております。

 いずれにせよ、私といたしましては、各党各会派が、党利党略といったことでなく、この年金制度のあり方に関し真摯に話し合うことを望んでおります。野党の皆様が国民会議に参加していただけないというのであれば、国会の場で議論を活発にやっていただけないかと考えております。(拍手)

 次に、地方分権についてお尋ねがございました。

 現在、地方分権改革推進委員会においては、国と地方の役割分担や国の関与のあり方の見直し等について、医療や福祉など具体的な行政分野を挙げて審議し、先般、中間的な取りまとめがなされたところでございまして、今後、種々の勧告をいただく予定であります。

 政府としては、地方分権改革を進めるに当たっては、地方再生戦略に従って、地方の活性化を図ると同時に、国と地方の役割分担の見直しにより、地方みずからが考え、実行できる体制を整備することが必要と考えております。

 この際、分権の受け皿となる地方の姿を国民の皆様に理解していただけるように、地方都市と周辺地域を含む圏域ごとに、生活に必要な機能を保持することができる地方の具体像を示していきたいと考えています。

 なお、御指摘の法人事業税の見直しについては、地方税の偏在是正策として暫定的に行うものであり、ふるさと納税については、ふるさとに対する納税者の思いを寄附税制上配慮する観点から行うものであります。

 次に、教育の具体的な対策についての御指摘がございました。

 施政方針演説では、学校、家庭、地域、行政が一体となって教育の再生に取り組むことや、信頼される公教育を確立するため、学習指導要領を改訂して基礎学力の向上や応用力の育成を図るとともに、体験活動を充実することなどが重要であるということを申し上げました。

 さらに、具体的には、平成二十年度予算案において、教職員の定数の改善や学校支援地域本部の創設などによる子供たちと向き合う時間の拡充、教員の質の向上に向けた教員免許更新制の円滑な実施のための取り組みなどの措置を講じることといたしております。

 また、学習指導要領については、昨年、約四十年ぶりに実施した全国学力・学習状況調査の結果も踏まえ、生きる力をはぐくむという現在の理念は継承しつつ、改訂に取り組んでまいります。

 農林水産業について御指摘がありました。

 食料の安定供給は、今も将来も極めて重要なことであり、我が国農林水産業は活力を持ち続けることが必要であります。

 このため、経営所得安定対策の改善により意欲ある担い手への支援の充実を図り、農地政策の改革を具体化すること、さらには、地域の基幹産業である農林水産業と商工業等が連携して、地域産品の開発、販売や、農作物の機能成分を利用した新製品の開発等を行う農商工連携を強化すること等によりまして、農林水産業の持つ潜在力を引き出すとともに、農山漁村の活性化を図ってまいります。

 消費者行政の一元化についての御指摘がございました。

 近年、食品表示の偽装問題や耐震偽装問題等、国民生活に大きな不安をもたらす事案が相次いでおります。

 このため、主として生産者に視点を据えたこれまでの行政から、真に消費者や生活者の視点に立ち、国民から見てわかりやすい行政へと転換する必要があります。

 消費者行政の一元化については、既に国民生活担当特命担当大臣に検討を指示しており、国民生活審議会における行政のあり方の総点検や与党における検討も踏まえながら、なるべく早期に、施政方針演説で申し上げた新組織の具体像を固める考えです。

 以上、私の施政方針演説に対して鳩山議員からいただきました評価について、私の考えを少し述べさせていただきました。

 言葉が躍るだけでは何も変わりません。政治は行動であり、結果でございます。今後、施政方針演説の中で申し述べました諸政策について一つ一つ着実に前に進めてまいる所存でありますが、国民のための政策を実現するためにも、鳩山議員を初め、議員各位の御協力を改めてお願いする次第であります。(拍手)

 国際平和協力活動の原理原則と一般法について御質問がございました。

 自衛隊による国際平和協力活動については、国際社会の取り組みの多様化を踏まえ、我が国の地位、責任、国益や自衛隊の能力を活用する必要があるかといった諸点について、国民的議論を経た上で、我が国として主体的に判断することが重要であります。

 いわゆる一般法の整備は、我が国が平和協力国家としての役割を果たす上で、迅速かつ効果的に国際平和協力活動を実施していくために望ましく、また、国際平和協力に関する我が国の基本的方針を内外に示す上でも有意義と考えております。

 一般法については、憲法の範囲内で活動を行うことを前提として、与党における議論や国民的な議論の深まりを十分に踏まえて検討を進めてまいります。機会があれば、野党とも十分協議をさせていただきたいと思います。

 防衛省改革についてお尋ねがございました。

 我が国の防衛という国家の基本的な役割を担う防衛省で、装備品調達の公正性、透明性に対する疑念のほか、国民の信頼を損ねるさまざまな問題が生じていることは極めて遺憾であります。

 政府としては、防衛省・自衛隊のこれまでの業務のあり方や慣行を総点検し、文民統制の徹底、厳格な情報保全体制の確立、防衛調達の透明性の確保について抜本的な対策を講じていく必要があると考えております。

 現在、これらの点について防衛省改革会議で審議いただいており、今後、議論がまとまった段階で報告をいただくことといたしております。政府としては、この報告をいただいた後に、しっかりした検討を行い、国民の信頼を回復するよう、できる限り早期に防衛省改革のための具体的施策を策定いたしてまいります。

 アジア外交についてお尋ねがございました。

 私は、日米同盟を確固たるものとしつつ、積極的なアジア外交を推進します。具体的には、中国及び韓国との関係の強化、朝鮮半島をめぐる問題の解決、将来の東アジア共同体の形成を視野に入れた、開かれた地域協力の推進等に取り組みます。

 我が国が、米国との関係を基礎として、このようなアジア外交を進め、アジア諸国における安定と成長の定着を目指すことは、日米共通の戦略的利益に役立つものであり、日米関係の一層の深化につながるものであります。これが私の目指す共鳴外交であります。

 今後の対中関係の進め方についてお尋ねがございました。

 昨年末の私の訪中では、中国首脳との間で、アジア及び世界における日中両国の責任について一定の認識を共有するとともに、幅広い分野での交流、協力について一致しました。本年の桜の咲くころには胡錦濤国家主席も訪日する予定です。

 今後も、中国との間で、省エネ、環境などの協力を進めるとともに、東シナ海資源開発問題を早期に解決します。

 また、私の訪中時に、温家宝総理は、国連における日本の地位と役割を重視し、世界の平和と安定のため、より多くの貢献を行うことを望んでいました。

 中国との間では、引き続き幅広い対話を強化し、アジアと世界の安定と発展に貢献する戦略的互恵関係を築きます。

 北朝鮮問題についてお尋ねがございました。

 日朝平壌宣言にのっとり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を図るとの方針に何ら変わりありません。

 米国現政権も韓国の次期大統領も、朝鮮半島の非核化を確実に実現することの重要性、また、我が国の拉致問題解決の重要性を十分に理解しております。

 政府としては、六者会合共同声明を完全に実施するために、朝鮮半島の非核化と拉致問題を含む日朝関係の双方がともに前進するように、米国や韓国とも連携しつつ最大限努力を行っていく予定であります。

 京都議定書の六%削減目標の達成への見通しと方策についてお尋ねがございました。

 我が国が、世界の先例となる低炭素社会への転換を進め、国際社会を先導するためには、まずみずからが率先して京都議定書に掲げる六%削減目標を確実に達成することが必要です。

 そのため、今年度中に京都議定書の目標達成計画を改定し、約束したとおり二〇一二年までの間に目標を達成します。産業界のさらなる努力に加えて、温室効果ガスの排出量が増大している民生部門を含めたあらゆる分野において、既存対策の着実な推進だけでなく、法制度の拡充等を通じた対策の強化など、必要な追加対策を国民の協力も得ながら強力に推し進めてまいります。

 我が国の地球温暖化問題に関する中期的数値目標の設定及び実現方法についてお尋ねがございました。

 お尋ねの中期的数値目標については、昨年末の気候変動枠組み条約締約国会議、COPでの合意に基づき、今後目標の定め方等について幅広い観点から国際交渉を進めていくことになっております。我が国としても、この数値目標の設定のための合理的、客観的な方法論を主張すること等により、積極的にこの交渉に臨むとともに、G8議長国としてこの国際的議論を主導してまいります。

 すべての主要排出国が参加する実効性のある新たな枠組み構築に向け、なるべく早く美しい星50をさらに具体化し、目標の定め方に関する考え方も含め、我が国自身の行動や世界に向けての提案を表明する方向で検討をいたしております。

 また、地球温暖化問題の根本的な解決に向けて、環境エネルギー技術革新計画の策定を進めるとともに、環境モデル都市の選定、低炭素社会つくりのための有識者による懇談会の開催を通じて、二〇五〇年半減目標の実現に向けた取り組みを進めていく考えであります。

 サミットにおける世界経済の扱いについてのお尋ねがございました。

 米国のサブプライムローン問題をきっかけとした世界的な金融市場の混乱及び米国経済の減速並びに原油価格の高騰は、世界経済の下方リスクを高めており、我が国も含め各国は慎重なマクロ経済運営を求められております。

 こうした中で、主要国の財政金融当局は、国際金融システムの安定性を確保するために、最近の金融市場の混乱の要因を分析し、あり得べき中長期的対策について検討を開始しております。

 今後の情勢にもよりますが、七月の北海道洞爺湖サミットにおいても、金融市場の安定性や原油高の問題も含め、世界経済の諸問題につき、首脳レベルでもしっかりと議論をしたいと考えております。

 さきの国会において参議院で可決した法案をなぜ衆議院で議論しなかったのかとのお尋ねがございました。

 御指摘ではございますが、さきの国会では十二本に及ぶ多数の議員立法が成立いたしました。国民にとって最善の結論を出すという考え方のもとで、与野党で真摯な議論を行い、互いに譲るべきは譲り、合意が成立したものでございます。与野党いずれも多数を頼んで自分の考えを押し通すのではなく、根気強く合意に向けた努力を継続した結果であり、関係された与野党議員各位に対して深く敬意を表するものであります。(拍手)

 一方で、意見の相違を埋められず、残念ながら合意に至らなかった法案もございます。

 具体的な国会の進め方につきましては、国会がお決めになることでありまして、私から申し上げることは差し控えますが、国民のための政策を実現するとの考えで合意に向けた話し合いを続けることによって、互いの信頼関係が生まれてくるものだと私は信じております。

 テロ新法について、再議決でなく解散・総選挙で民意を問うべきではなかったかとのお尋ねがございました。

 テロ新法につきましては、約三カ月にわたって国会で御議論させていただきました。衆議院と参議院で合わせて八十時間ぐらい審議していただき、私ども政府といたしましても、本当に丁寧に御説明を申し上げました。私も、再議決はめったにあることではないと考えておりますが、丁寧な話し合いを真剣に行った後に一つの結論を出す方法として、憲法で認められた決定手続であると考えております。

 必要に応じて選挙を行って国民に信を問うことは民主主義において大切なことであると考えておりますが、その時期については、国民生活に悪い影響を与えることのないように留意する必要がございます。

 私は、今は、解散を云々するよりも、一つ一つの政策について、各党各会派の皆さんと忌憚なく議論をさせていただき、国民のために最善の結論を得るよう努力していくことが肝要であると考えておるところでございます。

 以上であります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 伊吹文明君。

    〔伊吹文明君登壇〕

伊吹文明君 自由民主党の伊吹文明であります。

 自由民主党を代表して、私は、自党のプロパガンダではなく、福田総理の所信に対して質問をいたします。(拍手)

 昨年九月末の福田政権発足から三カ月半が経過いたしました。

 この間、昨年夏の参議院選挙での我が党の大敗の結果、衆参両院で多数を占める政党が違うという難しい国会状況の中で、総理は、当面する政治の最大課題であった新テロ対策特措法を成立させ、また、薬害肝炎訴訟を党総裁としての政治決断により解決されるなど、リーダーシップを発揮されたのであります。

 外交面では、訪米、東アジア首脳会議出席、訪中など、各国首脳との精力的な対話により、諸外国による日本への期待を確かなものとし、七月の洞爺湖サミットでの日本の主導的立場への足がかりを固められました。

 さらに、サブプライムローン問題の影響や原油価格を初めとする商品市場の価格高騰、急速に進む円高等で市場心理が弱気になっている日本経済の現状を克服するため、十四年ぶりの越年国会の中であっても、国会審議と並行して、予算の年内編成を実現されたのであります。

 この予算の年内編成は、衆参ねじれ等、政治状況のいかんにかかわらず、与野党の枠を超えて、国民生活は守らねばならないとの福田総理の強い政治意思を国民に示したものと申せましょう。(拍手)

 さて、先日閉幕いたしました臨時国会までは、総理にとっては、安倍前政権の積み残した課題への対処と、参議院選挙の我が党の敗北の原因であり、また結果でもあった政治を運営する管理能力のいやし、復元の時期でありました。しかし、今国会からは、福田政治とは何かを国民に明確に示し、福田色を発揮すべきときであります。国民もまた、総理にそれを強く期待していると思います。

 総理は、生活者の視点で、自立を基本としながらも、お互いが尊重し、支え合う社会を目指し、温かい政治を行いたいと常々述べておられます。施政方針演説を伺うと、経済を成長させ、その果実を、税財政を通じて、老後の支えである社会保障や福祉、格差に苦しむ中小企業や地方に配分する姿勢を打ち出しておられます。これらの目指すところは、今の時代における水平的な公平であります。一方、今に生きる私たちが今の義務を果たさずに後世にツケを残す環境破壊や財政の悪化を食いとめる、環境保全と財政健全化という世代間の垂直的公正も重視しておられます。さらに、各国首脳との対話を通じ、日本が国際社会の一員として、先進国間で協力し、世界の平和、人類の幸せの底上げに協力していくという、いわば地球規模での公平にも言及しておられます。そして、これらの達成に向け、国民のための政治、国民本位の行財政への転換、すなわち行政の意識と制度の改革を訴えられているのであります。

 これらの公平、公正を実現するには、日本国の基盤、すなわち、日本国を構成する日本人の力、人間の力、またそこから生み出される経済成長の実現が不可欠の条件となります。現在の日本を見ますと、一たん災害が起こったときの若い世代のボランティア活動、奉仕の精神など、まだまだ捨てたものではありません。しかし、伝統的社会規範は、国際化の中での他国の文化や慣習の影響もあり、徐々に毀損されてきております。

 一方、かつて一ドル三百六十円、一ポンド千八円であった日米、日英の経済力が、日本の経済成長により、ここ四十年の間で一ドル百十円、一ポンド二百十円になったのと同様、かつて上る太陽とみずからも思い込んでいた日本は、今や中国、インドに追い上げられ、その経済力の相対的地位は低下をいたしております。これをいかに復元していくか、いかなる理念、政治哲学でもう一度回復させるのか、そしてその中で、共生し、助け合い、安心して生活できる日本を築けるかこそが、国民の期待する福田政治でありましょう。

 近現代史は、人間の本性、すなわち努力した者が報われるという当たり前の原則に反する社会主義、共産主義を事実をもって否定いたしました。努力し、創意工夫してこそ社会は発展し、自己抑制と公共心によってこそ、自由競争は新しい社会を生み出すのであります。そのためには、自由競争社会、市場経済はこれしかない制度ではありますが、そのやむを得ぬ欠点、副作用を抑え得るよき人間、すなわち品性ある日本人をつくる教育の再生にこそ、安倍内閣と同様、いや、それ以上の力を注いでいただきたいと希望するものであります。

 少子長寿社会、人口減少時代を迎えてもなお、将来世代にツケを回さないために、歳出の無駄を削り、財政を健全化しながら、あわせて規制改革や技術革新により生産性を向上させ、経済成長を実現する構造改革は、引き続きこれを進めていくべきは当然であります。ただ、それが効率至上主義や弱肉強食社会となることがあってはなりません。総理の言われる国民の目線での改革もまた、国民の期待するところでありましょう。

 以上、私の所見の一端を申し上げました。

 総理に、みずから目指す政治、日本人と日本社会を抱合した日本のあるべき国家像を、総理みずからの言葉で率直に国民に語っていただきたいと思います。

 政治は、その目標、ビジョンを明確にし、それを達成する多くの政策を判断する物差し、すなわち、政治理念、価値観と、その政策を実現していく手法、つまり権力行使の手順の三つから成り立っております。この三つは、絶妙なバランスをもって構築されませんと、理論倒れになったり、権力奪取そのものが目的になってしまったりいたします。

 そこで、衆参両院で多数を占める政党が違うという現実のもとで、いかに政策を実現していくのか、すなわち、与野党を超えて果たさねばならぬ国民に対する政治の責任について考えてみたいと思います。

 衆参ねじれ国会となって以来、私は、三つの常識は三つの非常識になったと述べてまいりました。憲法が参議院に対する衆議院の優越を定めた首班指名、予算の議決、条約の承認を除き、両院の権限は対等であり、国民の日々の暮らしを左右する法律は、参議院での過半数を占める野党、特に第一党である民主党が反対をすれば、憲法五十九条に定める衆議院の三分の二以上による再議決がなされない限り、一本も成立はいたしません。もはや、衆参両院で与党が多数を占めていたときの常識は通用しなくなっているのであります。

 第一に、政府・与党が提出する法案は、たとえ紆余曲折があってもすべて成立するとのこれまでの常識は、まず非常識になりました。第二に、であるからこそ、野党の役割は、政府を批判し、一部の有権者に留飲を下げさせ、反対することだけだとの常識もまた非常識になっているのであります。そして、三つ目には、政策の責任は政府と与党のみにあるのだから、政府・与党を批判するのがマスコミの役割であるという報道の常識もまた非常識になったのであります。この常識が通用しなくなったということを、与党、野党を含め、当事者が理解しない限り、日本政治の機能不全は救いがたいものとなるでしょう。

 つまり、参議院で議案の可否を事実上決定する権限を持たれた民主党は、国の政治の半分の責任を持っておられるのであり、もはや、この国民への責任から野党の皆さんも逃げることはできないのだという厳然たる現実があるのであります。

 立法府の国民に対する責任とは何でありましょうか。それは、国民の前で意見や対案を堂々と説明し、その立場を明らかにし、議案に対する賛否を示し、結果について選挙で国民の審判を受けることであります。消費税導入時のかつての竹下内閣の例を見るまでもなく、選挙に有利不利、当面の人気などの党利党略ではなく、長期的かつ総合的に必要なことは、仮に不人気、不利益であっても、逃げずに賛否を明らかにし、後世を考え、国民のための意思決定をしなければならないのであります。

 さきの臨時国会で、民主党は、参議院での新テロ特措法の審議時間が衆議院のそれを超えているにもかかわらず、採決に応じず、会期が二度延長された後の年末ぎりぎりにみずからの法案を提出するという挙に出られました。マスコミ報道等では、対案に対する審議不十分を理由に、臨時国会では政府案、対案をともに採決せず、参議院で継続審議にすることをもくろんだと伝えられております。定例日のみの審議に固執し、衆議院よりはるかに長い日数と衆議院を十時間以上も上回る審議時間を費やしたにもかかわらず、結論を先送りしようというのでは、参議院は意思決定すらできないのだからもはや不要であるとの国民の声が高まることは、最も避けなければならないところであります。

 民主党の前原前代表は、雑誌中央公論の新年号の対談で、我が党が対案を作成する際、小沢代表からは、与党が到底賛成できないような対案をつくれと指示されたと語っておられます。与党が同意できる対案をつくって修正、成立しても、手柄は与党にとられてしまい、結果的に解散に追い込めなくなるというのがその理由だとも述べておられます。もしそれが事実であるとすれば、話し合いにより合意を得るのではなく、国民不在の党利党略的戦術であると言わざるを得ません。一月九日の毎日新聞の社説は、「事実ならば、そもそも対案は「政局の具」でしかなかったことになる。」と書いていますが、まさにそのとおりではないでしょうか。

 元来、国会は多数決で意思を決定するものだ、ところが、少数党に不当なまでに強大な拒否権が与えられ、内閣が思い切った政策を打ち出すことは難しいと、かつての与党自民党の有力政治家の主張があります。民主党は、参議院では現在最大の政党ではありますが、野党という意味では、残念ながら、皆さん、この衆議院では少数党であります。かつての与党の立場であった小沢一郎民主党代表の著書「日本改造計画」でのこの御主張は、小沢代表は残念ながら議席におられませんけれども、そのまま現在の野党民主党にお返ししなければなりません。

 自民党総裁として、福田総理は、小沢民主党代表と二度にわたって党首会談を行われ、ねじれ国会のもとでの政治の機能回復のため、話し合われました。衆参両院で多数を占める政党が違うとの状況のもとでも、国民に不安を与えぬ政策を実行するため、両党の代表の真剣かつ真摯な話し合いでもありました。個別政策テーマに限った協議、総合的な政策協議機関の設置、さらに進んで閣内協力が両代表の間で話し合われ、最終的な合意がなされたと伺っております。

 しかし、両党を代表されたお二人の真剣な合意は、結果的に、民主党の党内事情で、小沢代表は否定をされたのであります。それ以降の日本政治の展開は、新テロ特措法の参議院での長い長い審議、民主党による継続審議の提案に対する他の野党の反対、そして衆議院での憲法五十九条による三分の二条項の発動となりました。

 各紙の世論調査を見ますと、新テロ特措法の成立は「よかった」が「よくなかった」を上回っているものが多いにもかかわらず、「三分の二の発動はよくなかった」が多数を占めています。このことは、与野党を含め、三分の二の発動の前に、なぜ話し合いによって解決できなかったのかという、与党、野党すべてへの批判ではないでしょうか。

 十八日から始まったこの通常国会では、国民生活や我が国経済と密接不可分な二十年度予算や歳入法案が審議されます。こうした重要法案の成立が新年度にずれ込むことがあれば、国民生活は大きく混乱し、サブプライムローン問題や、原油を初めとする商品価格の高騰、円高に揺れる日本経済に取り返しのつかない打撃を与えかねません。また、何も決められない与野党を含めた日本政治の現状は、国際社会の我が国に対する信認を大きく傷つけ、株式市場での日本売りを加速させることにもなりかねません。

 民主党の皆さんが、私は、国民や経済を人質にして、自分たちが思い描く政局展開を優先させたいと考えておられるとは、決して思ってはおりません。民主党の小沢代表は、新年のあいさつで、火の玉になって、何が何でも衆議院での過半数を実現する決意で総選挙に全力で努力するとの決意を述べておられると伺っております。しかし、我々は、立法府に身を置く者として、火の玉になるべきことはただ一つ、衆参ねじれ国会のもとにおいても国家と国民の安心を確保することではないでしょうか。

 民主主義のもとでの権力は、選挙に勝ち多数を得ることによって行使されます。したがって、総選挙に勝つことは最重要なことであります。しかし、権力はあくまで手段であって、目的は、国民の安心、安全を確保する政策の実行なのであります。権力把握そのものを目的と誤解することは、テロ特措法の再議決より選挙応援を優先されたのと同様、決して国民の共感は得られないでありましょう。

 さきの臨時国会で、終わってみれば政府提出の全法案が成立をいたしました。ねじれ国会をどう機能させるかについては、与野党双方にとって貴重な学習機会であったと思います。我々与党は、さらに謙虚に、誠実に、丁寧に、国民のために、民主党初め野党の皆さんに対し、さまざまな政策協議を呼びかけていかねばならないと思います。

 個別の政策協議であれ、閣外協力であれ、また大連立的閣内協力であれ、与野党が国民のために話し合い、協力してよりよい合意を見出し、現状を改革していくことは、他の先進国では当たり前のことであります。ともに国民のために切磋琢磨し、日々の政治を進めながらも、選挙では、政策の協議、協力の中でどうしても生かし切れない各党の理想を国民に訴えるということでしょう。野党の皆さんにも、現実的な視点に立って、国民のために、ぜひさまざまな形で政策協議に応じていただくよう切に要望するものであります。(拍手)

 総理は、ねじれ国会における政治のあるべき姿、責任についてどのようにお考えでしょうか。また、その政策実現のため、今後とも広く各党に政策協議を呼びかけていかれるのか、また、その場合、どのような対応を、国民のため、各党に期待されるのか、率直なお考えをお聞かせください。

 次に、国民の関心事である年金についてお伺いいたします。

 いわゆる宙に浮いた五千百万件の年金記録や、その他の年金についてのもろもろの管理上の問題は、過去四十年にわたる自治労と社会保険庁管理者のなれ合い、国民不在の官僚の怠慢にその原因の多くがあります。もちろん、それを見過ごし適切な手を打たなかった歴代内閣、多くは我が自民党の内閣であります、しかし同時に、細川内閣も、自社さ連立内閣の政治責任も、また同様に重いものがあります。

 福田総理は、自民党総裁として、この四十年間最も長く政権を担ってきた我が党の責任について、福田内閣時代の失政ではなくとも、いわゆるポジション・デューティーとして、施政方針演説で国民に率直におわびをされました。あわせて、福田総理の時代に、この四十年間の宿痾ともいうべき失政を、国民の立場に立って、国民が安心できるよう、何としてもその解決の道筋を立てるとの決意を、この本会議場から、政権与党の総裁として、総理として国民に明言をしていただきたいと思います。

 どのように年金記録問題を解決するかの総理の基本的お考えをお伺いいたします。

 年金は、みずから保険料を納める自助と、税負担の公助に支えられた、助け合いの共助の仕組みであり、国民共有の財産であります。そして、老後の安心の支えであります。だからこそ、年金を党利党略に利用することは許されません。まして、ねじれ国会においては、各政党の良心が試される問題でもあります。総理は、働く人の代表・連合、働く場の提供者・経営者団体、そして学識経験者など国民各層の代表が参加する社会保障国民会議の構想を描いておられますが、年金を含め、長寿少子化時代の社会保障の給付と負担を全国民の目線で議論し、合意を得て、安心できる将来像を早急に確立しなければなりません。

 国民会議に託する総理の思い、また、民主党の反対により政党代表の参加が危ぶまれておりますが、政党が担うべき責任について、総理のお考えをお伺いいたします。

 通常国会最大の焦点は、二十年度予算と歳入法案の年度内成立であると言われております。これらが年度内に成立しない場合に生ずる混乱については後ほど申し上げますが、ここでは、歳入法案と予算との関係について私の考えをまず申し上げます。

 予算とは、元来、歳入の裏づけを持つものであり、収入の当てもない、使うことだけ決める予算というものはあり得ません。歳入があって初めて予算が執行できるのであり、その意味で、憲法が衆議院の優越性を定める予算とは、歳入法案と一体のものとしての予算と考えるべきではないでしょうか。

 憲法八十三条から八十六条に規定されているとおり、財政に関する事項は国会の議決を要します。このうち、歳出予算は、納税者の代表たる国会、我々が行政府に対して上限を定めて支出の権限を付与する行為であります。したがって、その権限の限度において、どのような基準で予算を納税者に支出するかを示す歳出関連の予算関連法案は、予算の成立を待って、または並行的に審議するものであります。しかし、予算書に記述されている歳入は、改正歳入法案に基づく収入の見積もりにすぎません。その限度まで取るべきものでもなく、取ってよいとの権限付与でもありません。歳入欠陥が生じたり、決算余剰が出るのはこのゆえであります。徴収の権限は、歳入法案の議決により、納税者の代表たる立法府から行政府に与えられる権限であります。

 このことからわかるように、歳入法案は、予算の成立を待って、あるいは並行して審議するべきものではなく、予算の収入見積もりの前提なのですから、むしろ本来は予算案に先行して審議するものと私は考えます。また、多くの財政法学者の説もむしろそれを支持しているのであります。中国の古典、礼記において、入る、すなわち歳入をはかり、出る、すなわち歳出を制すと述べているのは、まさにそのゆえなのであります。

 国会も、この点については、これまで良識と矜持を示してまいりました。年度内に予算が成立したにもかかわらず、新年度に歳入法案の議了がずれ込んだことは一度もないのであります。つまり、歳入がないのに空の歳出権限を与えるという愚かな意思決定を、野党を含めて国会がしたことはなかったということであります。

 十三日のNHKの政治討論会では、租税特別措置法の改正を含む歳入法案を、何としても年度内に成立させないと民主党は主張されていました。予算の重要な構成要素である歳入法案を新年度まで成立させないとの主張は、予算が年度内に成立したとすると、新年度に入っても収入のない歳出予算を議決したという、国会史上初めての致命的なミスを立法府が犯すことになるのであります。

 憲法六十条に言う予算議決のいわゆる三十日ルールには、本来、歳入法案が密接不可分の要素として含まれているとの自覚と自己抑制を持って、私たち立法府に籍を置く者は歳入法案を審議すべきと思いますが、総理の基本的見解と、財務大臣から法制上の考えを伺います。

 昨年一年をあらわす漢字は、恥ずかしいことに「偽」、偽りでありました。耐震偽装、商品のにせ表示、国民を偽るさまざまな事件や問題が相次いだ一年でありました。

 政党、政治家にとっての品質表示は公約であります。公約は、言った限りは実行しなければなりません。できないことについては、つらいけれどもできないとお断りをしなければなりません。年金の問題についての閣僚の不用意な発言が批判を受け、内閣支持率は下がりました。参議院選挙で自民党が申し上げたことの発言の真意をきちっと謙虚に国民に説明せず、だれがやっても同じというようなことは決して言ってはならないことであります。閣僚の猛省を促しておきます。

 さて、この一事でもわかるように、与党は、政府を預かっておりますから、その公約は必ず現物の取引、現品の取引です。公約として約束した限り、有権者はそれを手にとってごらんになるのです。その支払いは必ず現金決済でもあります。商品をつくるときは、まずその財源の裏づけがなければなりません。その財源は、つらいけれども負担という形で国民からいただくのであります。ですから、与党は、商品がだめなときはすぐにだめだと批判をされます。値段が高いときは負担が高いと不満を言われます。十分な説明を謙虚に尽くさねばならないゆえんのものであります。だからこそ、つじつまの合った、にせものでない公約をしなければなりません。

 一方、野党の場合は、政権を担当しておられませんので、公約、マニフェストといっても、それはだれも現実に商品を手にとって見たことは一度もないのであります。見た目がきれいだとか耳ざわりがいいと思っても、実は手にとってみたら全く違うじゃないかという場合もあります。商品の場合は、実物と違えばクーリングオフの制度がありますが、選挙の場合は、すぐにクーリングオフはできないのであります。であるからこそ、野党は財源をも含め、国民に真摯に、率直に、その実現可能性を説明されるべきであります。

 同時に、野党の公約は、財源もすべて約束手形であります。現金決済ではありません。その商品を買うには一体どれだけのお金を払わねばならないのか、政権を持って税法を提出しない限り、国民にはわからないのであります。私たち政治に携わる者は、野党、与党を含めて、公約が政治の質をあらわしているのですから、結果としてにせものだと言われないように、我々与党は心して公約を述べねばなりませんし、同時に、野党の皆さんにも、政治全体の信頼を回復するために、私たちの自戒と同じ言葉を申し上げておきます。(拍手)

 そこで、参議院の第一党である民主党の公約について、二つのことを申し上げたいと存じます。

 民主党は、道路はつくるが暫定税率は廃止すると主張しておられます。原油価格高騰の折から、道路特定財源に係る暫定税率を廃止すれば、揮発油税の上乗せ分二十四円三十銭と地方の譲与税八十銭、合わせて約二十五円のガソリン関係税額は下がります。これだけで話が終われば、私も含めて、だれにとっても非常にありがたいことです。しかし、同時に、民主党の小沢代表は、道路はすべてきちんとつくるから心配ないと言っておられるんです。一体どうやってその財源を確保されるのでしょうか。

 都市部でいえば、東京都心の混雑緩和のための環状道路や、かわいい子供の通学道路のガードレール、いらいらするあかずの踏切解消の立体交差事業、地方では救急・消防自動車の通る生活道路等々、まだまだ道路需要はあります。また、県や市町村の地方財政に暫定税率による収入が九千億円ありますが、廃止されれば、この税収も地方自治体に入らなくなります。地方重視を掲げておられる民主党が本当にそんなことを考えておられるのでしょうか。

 全国に七千万台ある自動車ユーザーの負担を考えられるのなら、地方財政を混乱させる暫定税率の廃止より、むしろ公明党や自民党が考え、実行に移す自賠責の保険料の九千二百六十円の引き下げや高速道路料金の軽減の方が、地方財政に穴をあけ、地方住民の生活を不安に陥れるより、はるかに現実的な方法ではないでしょうか。

 総務大臣に暫定税率が廃止された場合の地方財政や国民生活への影響についてお聞きいたします。

 民主党の主張への疑問の第二は、年金の将来についてであります。

 民主党は、基礎年金は全額税で賄うが、消費税は上げないと主張されています。現行消費税五%の税収すべてを基礎年金に充てて賄うとも言われています。

 しかし、六十五歳以上すべての人に六万六千円の基礎年金を支給した場合の所要額二十二兆円と、消費税五%のうち地方消費税一%分と地方交付税として地方に配分されている額を除いた七兆五千億円の差額十五兆円は、どこからその財源が出てくるのでしょうか。所得制限をするから対象者は減るとの主張は、所得の把握は正確にできるとの説明や、既に保険料を納めている所得制限対象者の扱いをどうするかということを明らかにしないと、国民の理解は得にくいのではないでしょうか。また、無駄をなくせば財源は出るという抽象的、情緒的説明では、財源にはならないのではないでしょうか。

 真剣に年金の将来を考えるのであれば、財源の明確でない公約を振りまくのではなく、民主党の皆さんも、総理の呼びかける社会保障国民会議に参加され、御一緒に国民のために議論しようではありませんか。私は、基礎年金を全額税方式にすることには個人的には賛成ではありませんが、基礎年金が安定し、信頼される制度となるには、公的資金の投入拡大は不可欠であります。その財源は、すべての国民が消費に応じて負担する消費税によることが最もふさわしいと考えております。

 年金の将来像について、総理のお考えを伺います。

 以上、民主党の公約の実現可能性について若干の指摘をいたしました。この通常国会で審議される二十年度予算や歳入法案、予算関連法案は、すべて政府の責任ある公約を、財源を明示して、具体的に国民生活に生かすものであります。地方を重視し、事業承継など中小企業対策を手厚くし、教員増員など、児童生徒の立場に立って教育再生の推進などを盛り込んでいます。政府・与党のこれらの施策は、限られた財源の中であっても、実行可能なものであります。

 この国会で、主権者たる国民の代表である同僚議員の、予算及び予算関連の歳入歳出法案についての、つじつまの合った議論を期待したいと思います。

議長(河野洋平君) 伊吹君、申し合わせの時間が過ぎました。まとめてください。

伊吹文明君(続) 以上申し上げて私の質問は終わりますが、結びに、かつて、内閣支持率が落ちても消費税に踏み切られた、民主党小沢代表の自民党創政会時代の先輩である竹下総理は、消費税がなければ日本の財政や社会保障はどうなっていたかなと、今天国で日本政治の現状を見ておられるのではないでしょうか。謙虚に、心して政治に携わっていこうではありませんか。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕

内閣総理大臣(福田康夫君) 伊吹議員にお答えいたします。

 日本のあるべき国家像、私の目指す政治についてのお尋ねがございました。

 国家像につきましては、その時代時代でいろいろな考えがあるように思います。例えば、明治の日本は、欧米列強のアジア進出という危機に直面しながら、この国の独立を守る、欧米に並ぶ一等国になるという明確な国家的な目標を持ちながら、富国強兵の道を歩みました。

 また、戦後の日本は、戦火ですべてが失われた焼け跡の中から、この国を復興させる、豊かになりたいという明確な意思を国民的に共有しながら、国民が力を発揮し、高度経済成長を遂げました。

 しかし、世界第二位の経済大国へと発展した我が国は、さまざまな意味で成熟して、率直に申し上げまして、このような単純明快な国家的な目標を国民の間で共有するということはないように思われます。

 しかし、戦後一貫して築いてきた平和主義、これは今後も堅持すべきでございますし、さらに申し上げれば、地球環境問題、こういう地球人類的な問題がございます。我が国としても避けて通れない課題でございます。

 そうした重要課題に取り組む日本というのは、また、取り組む能力を持っている日本でありますので、国際社会において世界をリードしていくようなそういう姿というものは、日本としてこれからの形になるのではないか、また、そのことが必要なのではないかというように考えております。新しい国家像として考えていくべき課題、大きな課題だというように考えます。

 それと同時に、私は、人々の価値観が多様化しつつある今だからこそ、我が国は一人一人の国民が前向きにそれぞれの夢を抱くことができる国を目指さなければいけないと思います。

 そして、そうした時代の政治の役割は、一人一人の国民の活力を引き出して、そして活力ある国民が活躍する舞台を用意することだというように考えます。働きながら子育てをしたい、不安のない老後を送りたい、人々が抱く不安や、政治、行政への期待は多様化しておりますので、国民の立場に立ったきめ細かな政治、行政を進めることが今求められていると思います。

 これは、経済的な豊かさだけを何よりも優先したという戦後の高度経済成長時代からの大きな転換であります。日本の将来のために、私は、この大改革を最後までやり遂げる覚悟で国政に当たってまいりたいと思っております。

 次に、ねじれ国会における政治の責任、各党との政策協議についてのお尋ねがございました。

 政治は、国民生活に直結しております。政治が動かなければ不利益をこうむるのは国民でございます。現在のようなねじれ状況にあっても、予算や税制、法律の制定などを着実に実施して、国民生活に深刻な影響が生じないようにすることは政治の責任でもあります。そのため、私は、国民のためになる結論が得られるよう、各党各会派に政策協議を呼びかけていきたいと考えております。(拍手)

 選挙は政治において大変重要でございますけれども、選挙目当ての党利党略が国民生活よりも優先されるなどという政党は、これはあろうはずがないと私は信じております。ぜひとも、国民生活に直結するさまざまな政策について、国民のためにどのような結論が最善かを各党各会派の皆さんにも一緒に考えていただきたく、御協力をお願い申し上げます。

 年金記録問題についてのお尋ねがございました。

 年金記録問題は、四十年以上にわたるさまざまな問題が積み重なって生じたものでありますけれども、国民の信頼が回復されなければ、年金という長期にわたって国民生活の基盤を支える制度は維持できません。また、この問題は、政府に対する国民の信頼にかかわる問題であり、私の内閣で解決するよう全力を尽くしてまいります。

 まず、昨年七月に政府・与党として決定した方針に基づき、五千万件の未統合記録と一億人のすべての年金受給者や現役加入者の方々の記録をコンピューター上で突き合わせ、その結果、記録が結びつく可能性がある方々へ、ねんきん特別便を本年の三月までにお送りすることを予定どおり実施しております。しかしながら、こうした作業を行ってもなお統合できずに残る記録につきましても、四月以降、粘り強く、着実に統合作業を進めてまいります。

 また、ねんきん特別便を、三月までにお送りした以外の方々にもお送りすることとして、四月から五月までにすべての受給者に、六月から十月までにすべての加入者に順次お送りいたします。

 国民お一人お一人、御自身の記録を御確認いただくに当たっては、自治体、経済界とも連携して、国を挙げた体制で取り組んでまいります。加えて、来年四月以降は、ねんきん定期便を毎年、現役加入者全員の方にお送りします。

 このような取り組みによりまして、国民の皆様の立場に立って、再びこういった問題が生じないようにしてまいります。

 今後は、社会保障国民会議の論議も踏まえまして、安心して、安定した年金制度といたしたいと思っております。

 社会保障国民会議についてのお尋ねがございました。

 年金制度を初めとする社会保障制度は、国民生活の基盤を支えるものでございまして、給付やサービスを受ける国民の皆様の立場に立った発想に切りかえて、将来にわたる、持続可能で、皆で安心できるようなものへと再構築していかなければなりません。給付やサービスの水準に応じて、保険料や税金など国民負担の大きさも変わってまいりますし、安定した財源の確保も必要であります。

 このため、幅広く国民各層から成る社会保障国民会議を開催し、社会保障のあるべき姿や、その中での政府の役割、負担の仕方などについて御議論いただきたいと考えております。

 あわせて、私といたしましては、各党各会派が党利党略といったことでなく、すべての国民の生活にかかわるこの問題について話し合いが行われることを強く望んでおります。野党の皆様が国民会議に参加いただけないのであれば、ぜひ国会の場で御議論をお願いしたいと思っております。

 次に、歳入関連法案についてのお尋ねがございました。

 歳入関連法案は、歳入予算の裏づけとなるものでございまして、予算の前提として審議すべきという議員の御指摘は、歳入関連法案の重要性にかんがみれば、実にもっともなことであると拝聴しております。

 政府としても、歳入関連法案については、税法を初め国民生活に直結する重要な法案であるということから、法案の年度内成立に向けて、立法府の御理解と御協力を賜れるよう最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。

 年金の将来像についてのお尋ねがございました。

 年金制度は国民の老後生活を支える柱であり、少子高齢化が進む中にあっても、持続可能で、皆が安心できるものとしていくことが重要であります。

 年金制度も含めて社会保障制度を持続的で国民が信頼できる制度とするためには、安定した財源を確保しなければなりません。このため、社会保障や少子化対策に要する費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む抜本的な税制改革について早期に実現を図る必要があります。その際、欧州各国においては、経済動向に左右されにくい消費税が国の主要な財源とされていることも十分参考になると考えております。

 いずれにしても、年金制度を確実で信頼できる制度にするためには、社会保障国民会議において、年金制度を含め社会保障のあるべき姿や負担の仕方などについて議論を行ってまいります。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣額賀福志郎君登壇〕

国務大臣(額賀福志郎君) 伊吹議員にお答えをいたします。

 伊吹議員は、ねじれ国会の今日のあり方と、国会議員の責任と使命について明快に述べられました。恐らく来年度予算もスムーズに審議がされまして、年度内に成立されることを期待したいというふうに思っております。

 まず、歳入関連についてお尋ねがありました。

 私も、入るをはかって出るを制すというのは、国民の共通の認識ではないかと思っております。

 国会におきましては、歳入関連法案においても、その審議は法律案としての憲法の規定にのっとって行われることになりますけれども、歳入関連法案は歳入予算の裏づけとなりますことから、国会議員においても、予算の前提としての認識を持った上で取り扱いが行われるように、これはきちっと野党の皆さん方にもお願いをしたいと思っております。

 伊吹議員がおっしゃるように、これまでの国会の歴史で、年度内に予算が編成をされ、歳入法案が通らなかったことはないのであります。これが国会の良識であり、国民的な視点に立った知恵であると思っております。

 いずれにいたしましても、経済や国民生活に不測の混乱を起こすことは決して許されるものではありません。各党会派におかれましては、税法を初め歳入関連法案について、あくまで民主主義のルールにのっとって粛々と審議を行い、年度内に成立を図っていただきたいと念願をするものであります。そのために、野党の皆さん方も国会の先生方も、明快な意思表示をしていただきたいということをお願いするものであります。

 私は、来年度予算案について、伊吹議員もおっしゃっておりましたけれども、景気回復を軌道に乗せ、経済を成長させ、地域を活性化させ、国民を安心させていくためには不可欠のことなのであります。民主党を初め議員の皆さんには、賛成、反対のさまざまな意見があるかもしれませんけれども、与野党の間で誠実に議論をし、審議をし、国会議員としての使命と責任を果たすために、必ず年度内に予算を通していただくことを重ねてお願いして、答弁にかえます。(拍手)

    〔国務大臣増田寛也君登壇〕

国務大臣(増田寛也君) 伊吹議員から、暫定税率が廃止された場合の影響についてお尋ねがございました。

 仮に道路特定財源の暫定税率がなくなれば、地方団体の財源は、地方譲与税分も合わせますと、約九千億円減収が生じます。また、国の道路特定財源である揮発油税を原資とする地方道路整備臨時交付金約七千億円も含めますと、地方への影響は一兆六千億円になるものでございます。

 このため、道路の整備や維持補修が困難になるだけでなく、広くその他の分野の住民サービスの見直しを余儀なくされるなど、地方行財政全体に深刻な影響を与えるおそれがございます。

 また、廃止の前後には消費者の購買行動や市場の流通に混乱が生じるなど、国民生活に大きな影響を与えるおそれがございます。

 このように、国民生活に直結する問題でありますので、ぜひとも暫定税率の維持が必要と考えております。御理解のほどお願いを申し上げる次第でございます。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(横路孝弘君) 古川元久君。

    〔古川元久君登壇〕

古川元久君 民主党の古川元久です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、福田総理の施政方針演説に対して質問いたします。(拍手)

 福田総理、総理は、今という時をどちらの視点から見ていますか。過去からですか、それとも未来からですか。

 永遠に流れる時間の中で、今をとらえる視点としては、過去視点と未来視点の二つがあります。過去視点、すなわち過去の延長として今を見るならば、それはいかにしてこれまでの状況を今後とも維持していくかという現状維持的な発想となります。一方、未来視点、すなわち未来の社会を想定し、そこから今を見詰めれば、それは来るべき未来に備えて今何をしなければならないかという未来志向の発想となります。

 総理が施政方針演説の中で述べておられるように、我が国は、人口減少・超高齢社会を初めとして、今まで他国が経験したことのない多くの課題に直面しています。こうした課題を克服するためには、これまでの制度や体制を何とか維持しようとする発想を捨て去り、どうしたら新しい状況に合った制度や体制にできるかという未来視点に立たなければなりません。

 私たち民主党は、常に未来視点で政策を考え、政府・与党と議論をしてきました。しかし、残念ながら、政府・与党は、過去視点に立ち、現状維持のため、そして政権維持のためにきゅうきゅうとしています。そのため、多くの課題で、どうしても議論がかみ合わない、議論が前に進まない状況が続いているのです。

 今を過去視点でとらえる政府・与党から出てくる改革は、改革とはいっても、それはいかにして今の制度、体制を維持するか、そのためのいわば偽りの改革でしかありません。しかし、未来視点で今をとらえる私たち民主党が考える改革は、言葉は同じ改革でも、来るべき未来に備えて、いかにして今の制度、体制を変えるか、そのための真の改革なのであります。

 政府・与党のこうした偽りの改革が幾ら実行されようとも、それはこの国の未来に何ら明るい希望も安心も与えません。今起きている日本売りは、まさにそのことを如実に物語っています。

 この今を見る視点について、まずは総理の御所見を伺いたいと思います。

 政府・与党が過去視点で行ってきた偽りの改革の象徴が年金改革であります。

 私たち民主党は、未来視点で現行の年金制度を考えた場合、この制度はもはや時代にそぐわず、将来にわたって持続していくことは不可能との認識に立っています。

 これからの社会に必要な公的年金は、高齢期になったときに、だれもが一定額以上の年金は確実に受け取ることができる年金制度です。だからこそ、私たちは、所得に応じて保険料を負担し、負担に応じて給付を受ける所得比例年金と税金で賄われる最低保障年金とで、すべての高齢者に最低保障額以上の年金給付を約束する、全国民がひとしく加入する新しい制度を現行制度にかえて創設することを提案してきました。

 ところが、政府・与党は、いまだに現行制度を維持することに固執しています。そのために、今後も十年以上にわたって年金保険料を引き上げ、給付も抑制しようとしています。しかし、このような形で現行制度を無理に維持しても、現行制度のもとでは、今後、低年金者の数がふえ続け、国民にとって公的年金を維持する意味はますます薄れていってしまいます。それでもなお、総理は現行制度の維持にこだわるのでしょうか。総理のお考えを伺います。

 公的年金制度の信頼を回復するためには、まずは現行制度で生じている消えた年金問題を一日も早く解決することが不可欠です。どのような年金制度であろうと、それを運営する政府に対する信用なくしては制度は成り立ちません。その意味で、この問題は、単に年金制度の問題だけでなく、政府に対する信用そのものの問題なのであります。

 さらに、消えた年金は、過去の問題であるだけでなく、現在まさに進行中の問題でもあります。

 政府はこれまで、五千万件の未統合記録が生じた原因について、平成九年に基礎年金番号制度が導入された際、それ以前に一人で複数の年金制度に加入していた方の記録の一部が統合できずに残ってしまったためと説明してきました。そのため、国民の多くは、消えた年金問題は過去の問題であると認識してきました。

 しかし、総務省の年金記録確認第三者委員会によるあっせん事案の中に、平成十二年以降の新しい記録が消えている事例が五件あることがわかりました。この五件は、これまでの政府の説明では生じた原因を説明できません。これは、消えた年金問題が過去の問題にとどまらず、きょう納めた保険料があす消えるかもしれないという現在進行形の問題でもあることを意味しています。政府はこの五件が生じた原因を徹底的に調査すべきだと思いますが、総理の御見解をお伺いします。

 政府は、昨年十二月からねんきん特別便の送付を開始しました。現在送られているねんきん特別便は、未統合の記録の持ち主である可能性が高い方々です。ところが、十二月中に送付した四十八万人のうち、記録訂正のために社会保険事務所を訪れた方は、一月八日現在で三万二千四百五十七人と約七%にすぎません。また、総務省の年金記録確認第三者委員会においては、三万六千件を超える申し立てに対し、わずか数%しか判断が下されていません。このままでは年金記録問題の解決に一体何年かかるのか、全く見通しが立ちません。この状況について総理はどのように認識されているのか、お伺いします。

 私たち民主党は、年金記録問題は、厚生労働省、社会保険庁が抱え込まず、全省庁を挙げて取り組み、また、民間の協力も得て、国家プロジェクトとして取り組むよう主張してきました。現在、社会保険庁は、国税庁と民間を合わせて十数名の応援しか頼んでいません。

 総理は、施政方針演説において、国を挙げて年金記録問題に取り組み、福田内閣で解決するべく全力を尽くすと表明されましたが、そのための体制は本当に今のままでいいとお考えなのか、総理のお考えをお聞かせください。(拍手)

 次に、税制改革について伺います。

 政府・与党は、前の安倍政権以来、消費税を含む税体系の抜本的改革を行うと言い続けていますが、実際には抜本改革は逃げ水のように先送りされています。そして、これまで政府・与党が行ってきた税制改革は、基本的に過去視点、すなわち、これまでの税制の延長線上にあるものだけです。総理は、本当に抜本的改革を行うつもりがあるのでしょうか。

 また、早期にと言われますが、一体それはいつなのでしょうか。ひょっとすると、それは、次の総選挙が終わって、当分選挙がないときにという意味でしょうか。総理の真意をお尋ねいたします。

 私たち民主党は、昨年末、民主党政権下で行う税制改革に関する大綱を発表しました。この大綱の中で、私たちは民主党が考える税制改革のビジョンを示しました。私たちの税制改革のビジョン、それは「納税者の立場に立ち「公平・透明・納得」の税制を築く」という言葉に集約できます。

 代表なくして課税なしの言葉に象徴されるように、議会制度は税とともに生まれ、発展してきました。すなわち、議会制民主主義における税のあり方は、あくまでも税を納める納税者の立場に立って決められるべきものであり、税を徴収する為政者の立場から決められるべきものではありません。

 ところが、我が国においては、税制論議はこれまで政府・与党を中心に行われ、国会での議論に十分な時間が費やされてきませんでした。そのため、現行の税制のあり方は、納税者の立場に立ったというより、むしろ為政者の立場に立って決められていると言っても過言ではありません。

 こうした姿勢は、政府・与党の失政によって膨大に積み上がった財政赤字という借金を、真摯に反省することも、またその責任を明確にすることもなく、加えて、税、社会保険料の無駄遣いの根絶や歳出削減も不徹底なままで、増税という形で国民に負担を求めようとする姿に象徴的にあらわれています。

 民主党政権では、税の根本に立ち戻り、納税者の視点に立って、国会において税制のあるべき姿を徹底的に議論した上で、我が国の税制を根本からつくり直します。その際には、我が国が直面している人口減少・超高齢社会という国内社会の変化とグローバル化した世界への適応を十分に考慮に入れ、諸外国で始まりつつある未来視点での税制改革の取り組みを積極的に取り入れます。

 国民の関心の高い消費税については、消費税に対する国民の信頼を得るために、その税収を決して財政赤字の穴埋めには使わないことを約束した上で、国民に確実に還元することとなる社会保障給付以外に充てないことを法律上も会計上も明確にします。そして、消費税率については、消費税の社会保障目的税化とその使途である年金や医療などの基礎的社会保障制度の抜本的な改革を行った上で、そのための財源として引き上げが必要と判断した場合には、選挙の際に引き上げ幅や使い道をマニフェストで明らかにして、国民の審判を受けた上で実行します。

 福田総理、総理は、消費税を引き上げようとする際には、私たちのように選挙の際にマニフェストに消費税の引き上げを明示し、国民の審判を受けた上で実行することを約束していただけますか。総理のお考えを伺います。

 過去視点で既に時代にそぐわない制度をいつまでも維持しようとする、そんな政府・与党の姿勢が典型的にあらわれているのが道路特定財源です。

 道路特定財源は、今から半世紀以上も前に、道路整備緊急措置法という名前のとおり、道路整備のための緊急措置として創設されました。にもかかわらず、五十四年も継続されてきたのです。しかも、昭和四十九年には道路整備を加速するために本則税率の上に暫定税率が上乗せされ、その暫定措置も既に三十四年も続いてきました。

 道路整備の重要性は今でも変わりません。しかし、時代は大きく変化し、社会保障や教育、あるいは同じ社会資本であっても災害対策などの重要性が飛躍的に高まっています。ところが、道路整備以外のこうした国民のニーズは、厳しい財政事情のもとで常に抑制が求められています。このような状況の中で道路整備だけを特定財源として聖域扱いにする根拠は、もはやどこにもありません。

 私たち民主党は、こうした考え方に立ち、従来からマニフェストで国民の皆様にお約束してきたとおり、道路特定財源をすべて一般財源とすることとしました。

 一方、政府・与党は、今後も最低十年は道路特定財源を維持することに決めました。総理、なぜ制度創設から半世紀以上経過した現在においても特定財源を維持しなければならないのか、国民が納得できる合理的な理由を御説明ください。

 この道路特定財源に対応する形でこれまで重い税負担を自動車ユーザーに課してきたのが自動車関係諸税です。私たちは、道路特定財源を一般財源化するのに伴い、自動車関係諸税の抜本的見直しを行うこととしました。

 まず、自動車取得税は、消費税との二重課税を回避する観点から廃止します。自動車重量税及び自動車税は、地方税としての保有税に一本化し、その税収は地方の一般財源とします。揮発油税等の燃料に対する課税は、燃料消費が温暖化など環境に負荷を与える点に課税の根拠を求める、いわゆるバッド課税の考え方に立って、一般財源の地球温暖化対策税という新たな税に根本から組みかえます。

 こうした抜本的見直しを行う第一歩として、平成二十年度においては、暫定税率をすべて廃止することとしました。この暫定税率は、もともと道路整備のために上乗せされていたものでありますから、特定財源の一般財源化に伴い、当然廃止されるべきものであります。

 また、温暖化抑制策の総合的取り組みの中で、地球温暖化対策税の具体的制度設計についても平成二十年度中に行うこととしています。

 総理は、これだけ自動車が生活必需品となった現在においても、かつて自動車がぜいたく品であったころと同じように重い税負担を課するのが適当と考えておられるのですか。総理の御所見を伺います。

 現下の原油高騰、それに伴う物価の上昇は、国民生活に深刻な影響を与えています。とりわけ、世帯当たりの自動車保有台数が多く、自動車の使用が生活に欠かせない地方ほど、ガソリン、軽油の値上がりは家計に重い負担としてのしかかっています。

 国民生活を第一に考え、地方の格差是正を重視する私たち民主党は、こうした原油高騰が家計に与える影響を少しでも緩和することにも、この暫定税率廃止が貢献すると考えます。

 政府・与党は、このような国民生活の現状を顧みず、暫定税率についても、今後最低十年はこれを維持することを決めました。一体総理は、原油高騰に伴うガソリンや軽油の値上がりが国民生活や経済に深刻な影響を与えている事態をどのようにお考えでしょうか。御所見を伺います。

 さらに、地球温暖化対策として、燃料消費を抑制するために高い税率を維持すべきとの声が政府・与党から突然出てきましたが、ついこの間まで、政府・与党は、燃料消費は価格を引き上げても抑制されないと、環境税導入に後ろ向きだったのではないですか。しかも、道路整備のための受益者負担との考え方のもとに課されている税を法律改正もなしに環境目的に振りかえることは、納税者を欺くことになるのではないですか。

 温暖化対策というならば、私たちのように、燃料課税の根拠を根本から、環境に負荷をかけるからという理由に変えて、税の仕組みそのものを見直すべきだと思いますが、総理、いかがですか。

 暫定税率廃止に関し、地方の税収が減り、地域で必要な道路整備ができなくなるのではないかとの声が聞かれますが、私たちは、暫定税率廃止に伴う地方の税収減に対しては、国の直轄事業に対する地方負担分の廃止などにより、国の責任で地方の税収はきちんとこれを確保してまいります。もちろん、この税収は特定財源でなく一般財源ですから、その用途は各地域で自由に決めることができます。したがって、各地域において必要と考えれば、道路整備も従来同様にこれを行うことができます。

 一方、国が行う道路整備については、一般財源の中で他の予算項目との間で優先順位を考えつつ配分を行って、その事業費を決めることとなりますが、現在と比べれば、その事業費は一定程度減少すると思われます。しかし、事業費が減少しても、事業量もそれと同じだけ減少するわけではありません。なぜなら、私たちは、国が行う道路整備事業のコストを徹底的に見直せば、コストを大幅に引き下げることができると考えているからです。

 一例を挙げれば、国の道路構造令に基づいて行われる道路整備の一メートル当たり単価は十一万円。ところが、自治体が独自の基準で行った道路整備では、例えば、長野県栄村では一メートル当たり二万円、下條村ではわずか三千四百円と、ずっと低いコストで道路が整備されているのです。こうした国の道路整備の高コスト体質を改めれば、同じ事業費でもより多くの道路整備を行うことができます。

 しかも、そもそも、昨年、政府・与党が決めた総額五十九兆円に及ぶ今後十年間の道路整備計画自体が極めて問題です。小泉政権下で九千三百四十二キロまで縮減された高速道路計画が、どうしてまた一万四千キロと五割も膨らんだのでしょうか。また、当初政府から示された六十五兆円という事業総額が、与党との協議で、どうしてわずか数日で五十九兆円まで縮減されたのでしょうか。総理、その理由を御説明ください。

 さらに、この道路整備計画の内容は、本当に一切見直しの余地のない、真に必要最小限の道路整備だけなのでしょうか。総理の御所見を伺います。

 私たちは、道路整備計画自体の根本的見直し、そして道路整備事業の徹底的なコスト削減を行えば、限られた事業費の中でも真に必要な道路整備は十分可能であると考えます。むしろ、限られた事業費の中で、明確な優先順位をつけて道路整備を行っていくことこそ、無駄な道路建設を行わないことにつながると思いますが、いかがでしょうか。総理の御見解を伺います。(拍手)

 過去からの惰性で更新が繰り返されてきたのが、数々の法人関係の租税特別措置です。

 私たちは、法人関係の租税特別措置全般について調査を行った結果、多くの租税特別措置について、税務当局も要求官庁もその効果を証明できず、また減収額さえ把握していない状況にあることが明らかとなりました。租税特別措置は実質的な補助金であり、税金をおまけするという形で財政資源を使うのであれば、制度を創設した関係省庁も、メリットを受ける企業も、国民に対して明確に効果について説明する義務を負っています。

 そこで、現在の租税特別措置を抜本的に見直すため、私たちは今国会に租税特別措置透明化法案を提出することとしております。この法律では、減税明細書の制度化や、企業向け租税特別措置の利用実績の公表、期限到来の租税特別措置に対する会計検査院検査の実施などを定め、これにより二、三年以内に個々の租税特別措置の透明化を進め、これを評価し、その上で、必要なものについては法律の本則とし、必要性の乏しいものについては廃止することとします。この法案は政府・与党にも当然賛同していただけるものと考えますが、総理、いかがでしょうか。

 年度末に期限の切れる複数の租税特別措置を含めた税制改正法案について、これまで政府・与党は、本来別個の税制改正に関する法律を便宜的に一まとめにして一本の法案として国会に提出し、十分な審議もないままに数の力で成立させてきました。

 しかし、国会での審議が十分に行われないこのような手法は極めて問題であります。したがって、私たちは、税制改正項目をすべてまとめて一本の法案とするのではなく、与野党で意見の相違がない項目と、相違があって国会での慎重な審議が必要な項目とを分けた上で、それらを別々の法案として国会に提出し、その議論を行うべきだと昨年より一貫して主張してきました。

 ところが、政府・与党は、今回もまた従来どおり一本の法案の形で国会に提出することを決めました。これでは、私たちも異論のない税制改正項目を人質にして、政府・与党と考え方の違う税制改正項目に関する国会での徹底的な論議を封じ込めようとしているとしか思えません。総理、どうして法案を分けることができないのですか。合理的な理由を御説明ください。

 福田総理は施政方針演説で、国民の安全と福利のために置かれた役所や公の機関がむしろ国民の害となっている例が続発しており、これまでの生産者、供給者の立場からつくられた法律、制度、さらには行政や政治を国民本位のものに改めると表明されました。何を今さら、余りにも遅きに失したとの感はありますが、これまでの政府・与党の誤った姿勢をお認めになった点は率直に評価したいと思います。

 しかし、問題は、本当に中身が変わるかどうかです。これまでのように言葉だけ、また形式的にだけ変えるのであれば、それは何の意味もありません。むしろ、生活者や消費者が主役との美名のもと、実はこれまでと同じ、国民をないがしろにした行政や政治の体制が維持されることになりかねません。

 その意味では、肝炎患者救済に向けて、さきに全会派が賛同した議員立法により第一歩を踏み出した肝炎対策について、今国会で早急にさらなる一歩を踏み出すべきであります。

 私たち民主党は、さきの薬害肝炎救済法では、肝炎感染者三百五十万人中、約千人しか救済されない状況を一日も早く改善し、肝炎患者に対して医療費助成を行うことにより、救える命を救うことこそが政治の責任だと考えます。既にそのための肝炎医療費助成法案を参議院に提出していますが、与党は協議を拒否しています。

 総理が本当に国民本位の政治を行うというのならば、まずはこの肝炎対策について私たちと協議を行い、医療費助成を含む法整備を行うべきだと考えますが、いかがですか。

 このところ政府が行う法改正や新法制定は、建築基準法改正や金融商品取引法など、消費者保護、投資者保護といった生活者、消費者の立場に立ってとの理由で、新たにさまざまな規制や手続を課している例がふえています。しかし、これが実際には、単なる規制強化、あるいは何か問題が起きても行政や官僚はその責任を問われないようにするための法改正や新法制定になっていることも少なくありません。

 特に、構造計算書偽装問題を契機として、政府が取り組んだ改正建築基準法の施行は、住宅着工に大ブレーキをかけ、景気に大きな悪影響を与えています。

 耐震強度偽装事件を受け、建築の安全性へ信頼を取り戻すため、民主党は、再発防止、被害者救済に取り組むべく、行政が建築の最終確認を行う、建築に関与したすべての人を公開する、広告に保険加入の有無を表示することなどを柱にした法案を提出しました。

 しかし、政府が強行した法改正は、建築士への罰則強化、建築確認手続での二重チェック制導入などを盛り込んでいますが、国土交通省の現場知らずの対応も加わり、いたずらに審査が厳格になり、建築士や自治体の間で混乱が続いています。

 結局、この改正で実現したことは、何か問題が起きても行政は責任を問われない体制と、官製不況で国民生活を苦しめるというゆゆしき事態だけです。

 改正建築基準法への対応は明らかな政策の誤りであり、国民本位の行政というならば、国土交通省の責任の明確化、法律の欠陥是正も含めて、政府は直ちに対応すべきと考えますが、総理のお考えはいかがでしょうか。

 また、国民本位の行財政に転換するというならば、まずは私たち民主党が指摘している税金の無駄遣いを徹底的になくすべきです。こうした私たちの主張に対し、自民党財政改革研究会は、埋蔵金伝説だと批判しましたが、くしくも同じ自民党の元幹部から、埋蔵金は存在するとの応援をいただきました。ところが、それはいつの間にか特別会計の剰余金等に限った話に矮小化されてしまいました。

 無駄遣いを徹底的になくすためには、まずは徹底的な情報公開が不可欠です。

 政府は、平成十八年八月に、財務大臣名で「公共調達の適正化について」という通知を出しました。しかし、通知では、一年たてばホームページでの公表をやめてよいことになっている上に、公表したものを保存する義務も課されていません。また、違反しても何ら罰則はありません。これでは、情報公開の名に値しないと言わざるを得ません。

 この財務大臣通知では、契約のあり方についても言及されています。しかし、防衛装備品であって、かつ、日本企業が外国政府及び製造元である外国企業からライセンス生産を認められている場合は随意契約にしてよいなど、大きな穴があいています。

 さらに政府は、公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議で、契約の監視体制強化のため、すべての省庁に第三者機関を設置することを決定しました。そもそも法的根拠のない第三者機関が機能するのか甚だ疑問ですが、その上、第三者機関の人選を当該省庁が行うようでは、監視体制の強化にはなり得ません。

 政府は、財務大臣通知の内容や関係省庁連絡会議の決定の内容を見直した上で、必要なことはきちんと法律化すべきと考えますが、いかがですか。総理の御所見を伺います。(拍手)

 税金の無駄遣いをなくすためには、独立行政法人改革も極めて重要です。

 独立行政法人には、全体で年間約三兆五千億円もの財政投入がされていますが、必ずしも必要とは言えない業務が数多く存在しており、これらの無駄をなくすことによって相当の財政支出を減らすことができるはずです。

 しかしながら、先般閣議決定された独立行政法人整理合理化計画では、廃止、統合される事業によって削減される財政支出は、平成二十年度でわずか千五百七十億円にすぎません。昨年八月に閣議決定された「独立行政法人整理合理化計画の策定に係る基本方針について」では、独立行政法人の事務事業について、「真に不可欠なもの以外はすべて廃止する」と明記されていました。その結果がわずか千五百七十億円の削減というのでは、余りにもお粗末と言わざるを得ません。この基本方針と合理化計画の内容にどうしてこれほど大きな乖離ができたのか、その理由を総理に伺います。

 何とかして現在の制度や体制を維持しようとする、そんな過去視点からでは、これだけ時代が激しく動き、社会が大きく変動している中では、明るい未来の姿は見えてきません。しかし、これまで続いてきた制度や体制があるだけに、それを修正するだけの偽りの改革は、私たちの目には現実的で実現可能なものに映りがちです。

 一方、現在の制度や体制にこだわらず、それを変えようとする未来視点に立てば、私たちが進むべき未来への道筋は明らかとなり、安心して前に進むことができます。ところが、それは今まで経験したことのない制度や体制であるために、それを実現しようとする真の改革は、しばしば非現実的で実現不可能に映りがちなのです。

 しかし、今私たちがどちらの視点に立ち、どちらの改革を行うべきなのか、それは、我が国が置かれている状況を正しく認識すれば、おのずから明らかでしょう。今必要なのは、新しい制度や体制ができない理由を探すことではなく、新しい制度や体制をつくるためにはどうしたらよいか、その方法を考え、勇気を持ってそれを実行していくことであります。

 ことしのえとは、戊(つちのえ)の子(ね)です。

 戊は万物が繁盛し盛んな様子をあらわしますが、樹木でも、余りに茂り過ぎると、風通しや日当たりが悪くなり、虫がついたり根上がりしたりして、木が傷み、場合によっては枯れてしまいます。そこで、思い切って剪定をして、風通しや日当たりをよくしなければならないということを意味しています。また、子という字は、終わりと始めの組み合わせから成り、一つのことが終わり、新しいことがスタートすることを意味しています。

 ことしのえとは、私たちに、これまでの制度や体制に大なたを振るい、大きく変えて、新しい一歩を踏み出していかなければならないことを教えています。

 福田総理、総理は先日の自民党大会で、自民党が結党以来最大の危機にあると述べられたそうですね。しかし、本当に危機にあるのは、自民党ではなく、この日本です。そして、日本をこのような危機に陥れたのは、ほかならぬ自民党の長期政権です。

 その自民党長期政権に、未来視点で真の改革を実現し、我が国をこの危機から救い出すことを期待することはできません。この国のために、今こそ自民党長期政権に終止符を打ち、新たに民主党政権をスタートさせること、それこそが、ことしのえとが指し示す、一つのことが終わり、新しいことがスタートするということなのです。

 私たち民主党は、日本の未来を案ずるすべての国民と手を携え、真の改革を実行に移すべく、一日も早く民主党政権を樹立するため、全党一丸となって邁進していくことを国民の皆様にお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕

内閣総理大臣(福田康夫君) 古川議員にお答えを申し上げます。

 まず、今という時を過去と未来、どちらの視点から見ているかというお尋ねがございました。

 来るべき未来に備えて今何をしなければならないかを考える古川議員の御指摘される未来志向の発想、これは私も全く同感でございまして、私の施政方針演説を見ていただければ、いかに私の考えが未来志向であるかということはよくおわかりのことだというように思います。

 しかしながら、過去があってこそ今というものがあるわけでございまして、私たちは過去の歴史から多くのものを学ぶことができるわけでございます。過去をただ否定することは簡単でありますけれども、未来に備えるためにも、過去の行いのよい点は何なのか、改善すべきは何なのか、忌憚なく評価して、そして、そこから学ぼうとする姿勢もまた重要であると考えております。(拍手)

 年金制度のあり方についてのお尋ねがございました。

 年金制度は、国民の老後生活を支える柱であり、少子高齢化など社会経済の変化の中にあっても、持続可能で皆が安心できるものとしていくことが重要でございます。

 このため、平成十六年には、将来にわたって給付と負担のバランスをとり、制度を持続可能とするための改革を行ったところでありますが、まずは、この改革などを踏まえて、未納、未加入の方が生じないようきめ細かな対応を行うとともに、基礎年金の国庫負担割合について、所要の安定した財源を確保した上で、平成二十一年度までに二分の一に引き上げていくことが必要と考えております。

 さらに、中長期的な視点に立って、年金制度を確実で信頼できる制度とするために、社会保障国民会議において、年金制度を含め社会保障のあるべき姿や負担の仕方などについて議論を行ってまいります。

 いずれにせよ、この年金制度はすべての国民の生活にかかわる問題でありまして、各党各会派、党利党略といったことでなく、話し合いが行われることを強く望んでおります。

 平成十二年以降の年金記録が消えている事例についてのお尋ねがございました。

 年金記録については、昭和五十九年の社会保険オンラインシステムの導入と平成九年の基礎年金番号の導入によりまして、記録の欠落や誤りの発生防止が図られてきており、今日では、かつてのような、年金記録のシステム全体にかかわるような問題は生じないような体制が整備されたものと考えております。

 しかしながら、現在でも、コンピューターへのデータ入力や紙による情報伝達の漏れなどによりまして、仮に個別の事務処理に誤りがあれば、記録の間違いが起こり得るということは想定されます。御指摘の五件が生じた原因につきましては、こうした事務処理の誤りが原因ではないかと考えておりますが、現在、その原因などについて調査を実施しておるところでございます。

 なお、こうした間違いが生じないよう、コンピューターにチェック機能を付与するとともに、社会保険事務所において入力データの確認を励行するなど、事務処理誤りの防止対策を強化してきております。加えて、来年四月以降は、ねんきん定期便を毎年、現役加入者全員にお送りすることにより、国民の皆様からのチェックを可能とするという仕組みにしております。

 次に、年金記録問題の取り組みの現状についてお尋ねがございました。

 ねんきん特別便については、昨年の十二月から今月の七日までに約四十八万件をお送りしたのに対し、約三分の一に当たる十六万件の御回答をいただいているところであります。今後、推移を見た上で、御回答いただいていない方に対して、再度はがきを出して確認をお願いするなどの対応を図ってまいります。

 年金記録確認第三者委員会については、昨年七月から今月十七日までに約千七百件を処理したところでありますが、申し立て件数の増加に対応するために、事務局職員を約八百八十人に大幅に増員するなど審議体制を強化しており、今後、処理の促進を図ってまいります。

 年金記録については、これまで四十年以上にわたるさまざまな問題が積み重なって生じたものであり、これをやれば解決という特効薬的な方策はありませんけれども、必要に応じて人員の強化を図るなどにより、一つ一つ着実に、粘り強く取り組んでまいります。

 体制についてのお尋ねがありました。

 今般の年金記録問題については、社会保険庁において、厚生労働省や国税庁からの出向者に加えて、民間からの人材をお願いすることなどによりまして、昨年四月には約五千二百人体制であったのに対し、昨年十二月時点では約九千百人体制に拡充して取り組んでおります。

 また、政府全体として年金記録問題に関する関係閣僚会議を設置するとともに、総務省に設置した年金記録確認第三者委員会の体制強化を図るなど、政府を挙げた取り組みを行っております。

 今後、ねんきん特別便の送付が本格化することも踏まえ、必要に応じ人員の強化を図るとともに、さらに国を挙げて取り組むべく、これまで年金事務に御協力をいただいてきた地方自治体や企業などとも連携して、御協力を得ながらこの問題の解決を図ってまいります。

 次に、消費税を含む税体系の抜本的改革の決意や時期についてお尋ねがございました。

 これからの社会保障を持続可能な制度とするために、安定した財源を確保しなければなりません。このため、社会保障給付や少子化対策に要する費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を行う必要はあります。

 その時期についてでありますけれども、平成十六年年金改正法において、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成二十一年度までに基礎年金の国庫負担割合を二分の一へ引き上げるとされていること等を踏まえまして、早期実現を図る必要はあります。

 政府としては、社会保障国民会議において社会保障のあるべき姿や負担の仕方などについて国民的な議論を行っていくこととしておりまして、そこでの議論も踏まえながら、税体系の抜本的改革についての検討を進めてまいりたいと考えております。

 消費税の引き上げの進め方についてお尋ねがございました。

 先ほど申し上げましたとおり、社会保障国民会議において国民的な議論を行いつつ、消費税を含む税体系の抜本的改革についての検討を進めてまいりますが、いずれにせよ、現時点において、選挙の際のマニフェストや国民の審判について云々を申し上げる、そういう段階にはございません。

 道路特定財源を維持する理由についてお尋ねがございました。

 道路特定財源については、これまでも、おおむね五年ごとに検討の上、国会において必要との議決をいただいてきたものでございまして、この制度の活用によって着実に道路整備水準の向上が図られてきたものと考えております。

 今回も、今年度末に現行の計画が期限を迎えるに当たり、改めてその必要性について検討を行いました。その結果として、地域の自立、活性化に役立つ道路の整備や、災害に耐えられる橋梁の維持、補修、救急病院への交通の利便性の確保、環境対策にも役立つような都市部の渋滞対策、あかずの踏切の解消等々、国民生活に欠かせない対策は今後も進めていかなければならないと考えております。

 厳しい財政事情のもとで、重点化、効率化を図りながら必要な対策を着実に実施するためには、財源の確保が必要です。このため、受益者負担の考え方に基づき、道路特定財源として暫定税率を維持することを国民の皆様にお願いすることにいたしました。

 次に、自動車関係諸税についてお尋ねがございました。

 自動車関係諸税は、それぞれ創設の経緯や課税根拠があり、国、地方の貴重な財源となっております。

 このうち、揮発油税などの道路特定財源諸税の税率水準については、自動車が必需品かどうかということではなくて、地域の自立、活性化や国民生活のために本当に必要な道路整備などを実施していくために、受益と負担の関係を前提として、現行水準を維持させていただくよう、民主党を初めとする野党の皆様、国民の皆様に十分御理解いただくように努めてまいりたいと考えております。

 原油の高騰が国民生活や経済へ深刻な影響を与えているという事態への所見についてお尋ねがございました。

 最近における原油価格の急激な高騰は、国民の生活を直撃するとともに、十分な価格転嫁を行うことが難しい下請事業者を初めとする中小企業を中心に深刻な影響をもたらしていると認識をいたしております。

 原油価格の高騰が国民生活等に与える影響を踏まえた対策については、昨年の十二月二十五日に、私の主宰のもとで、原油高騰・下請中小企業に関する緊急対策関係閣僚会議を開催して、予算措置を含めた具体的な対策パッケージを取りまとめたところであります。

 具体的には、中小企業など業種横断的対策、建設業、漁業、農林業、運送業、石油販売業など業種別対策、離島、寒冷地など地方の生活関連対策、省エネ、新エネなど構造転換対策、国際原油市場の安定化への働きかけ、石油製品等の価格監視等の強化の六項目を柱として、中小企業対策や各業種向けの対策ばかりでなく、寒冷地の生活困窮者などに地方公共団体が行う支援策について特別交付税措置を講じたり、離島航路や地方バス路線への支援策を講じる等、国民の生活にもきちんと目配りをした対策を講じていく所存であります。

 取りまとめた対策は、まさに実施段階に入っているところでありまして、国民の目線に立って、真に実効ある原油高騰対策の実施に努めます。

 地球温暖化対策と自動車関係諸税との関係についてお尋ねがございました。

 まず、道路特定財源を法律改正もなしに環境目的に振りかえることについて、納税者を欺くとの御指摘をいただきましたけれども、そのようなことを申し上げたことはございません。

 地球温暖化問題は、将来の世代を含む国民生活を守る観点から待ったなしの課題となっており、世界の主要排出国は例外なく参加、協力してさまざまな対策を講じていくことが急務になっております。欧州の主要国がガソリンの税金を段階的に引き上げている状況において、地球温暖化対策に逆行しかねない暫定税率の廃止を行うことは、国際的な理解を得がたいのではないかと考えております。

 私の施政方針演説においても、現行税率維持は地球温暖化問題への対応の観点からも必要である、こういうように申し上げております。

 次に、高速道路計画及び道路の中期計画の事業量についてのお尋ねがございました。

 高速道路については、道路の中期計画の素案の作成に際し、各区間について新たに整備することとした場合の事業評価を行い、一部は既存の道路を活用するなどというコスト縮減を行うこととしたところであり、今般、すべての区間を高速道路として整備することを決めたものではございません。

 また、素案においては、あかずの踏切や通学路の安全確保などの政策課題ごとに重点方針を明確にして、必要な対策に限って計画の内容とし、これをもとに事業量を算出しております。

 この事業量については、素案では六十五兆円とされていましたけれども、厳しい財政事情を踏まえて、高速道路の料金引き下げなどのソフト施策の活用のほか、車線の減少など規格の見直しを進めることによりまして徹底したコスト縮減に取り組むこととし、約一割の削減を行い、五十九兆円を上限としました。これは、現行の社会資本整備重点計画の事業量に比べても、約二割の大幅な削減を行っているわけであります。

 限られた事業費の中で優先順位をつけることについてお尋ねがございました。

 国民生活のために必要な道路整備を進める上で、施策の重点化と厳格な事業評価を行って、優先順位を明確化するとともに、徹底したコスト縮減を図ることは重要であります。

 中期計画の素案においても、政策課題を明確にするとともに、例えば通学路の歩道整備では、全国約十九万キロの通学路のうち、事故の危険性が高く、歩道がない約四万四千キロに重点化して取り組むことにするなど、選択と集中を図り、優先順位を明確化することを重要な柱といたしております。

 事業費の水準については、国と地方の道路予算は既にピーク時の半分であり、入札改革、コスト縮減の取り組みとあわせて、引き続き事業の重点化、効率化に積極的に取り組んでまいります。(拍手)

 租税特別措置についてお尋ねがございました。

 御指摘の租特透明化法案については、まだ民主党から国会に提出されておらず、その詳細はわかりませんけれども、租税特別措置については、その政策目的や効果、政策手段としての適正性を十分に吟味しつつ、常に見直しを行っていく必要があると考えております。

 これまでもこうした観点から、真に有効な措置への集中、重点化に取り組んでいるところであり、今後もこうした取り組みを進めていく必要があると考えております。

 租税特別措置法案の提出についてのお尋ねがございました。

 租税特別措置法は、所得税法、法人税法など各税法に規定された措置について、税率の特例を初め、各種の特別措置をまとめて規定しているものであります。

 今回の税制改正においても、必要性の薄れた特別措置を廃止、縮減する一方で、新たな政策ニーズに対応した特別措置を創設するといったスクラップ・アンド・ビルドの考え方等により、各種特別措置の全体を通じた見直しを行い、これらを一覧的にお示しすべく、現在、法律案の提出に向けた準備を進めているところであります。

 こうした取り扱いは法制的にも適切な取り扱いと考えており、従来より、こうした形で国会でも御審議いただいております。税法が国民生活に与える影響の重要性にもかんがみ、何とぞ、立法府におかれては、速やかな御審議をお願いしたいと考えております。

 次に、肝炎患者に対する医療費助成についてお尋ねがございました。

 肝炎対策については、与野党それぞれから法案が提出され、これまで国会において議論されてきたものと承知しており、今後、引き続いて御議論されるものと考えております。

 御指摘の肝炎患者のインターフェロン治療に対する医療費助成については、早期治療の観点から早急に実現すべき課題と考えており、政府としては、平成二十年度予算に約百二十九億円を計上し、来年度から実施することとしております。

 改正建築基準法についてのお尋ねでございますが、建築確認検査の厳格化を柱とする建築基準法改正は、耐震偽装問題の再発を防止し、国民の安全、安心を確保するためのもので、当時の国民の大きな不安を思い起こすと、不可欠だったと考えております。

 しかしながら、改正法の施行に際しての事前周知等が十分でなかったことにより、建築確認手続の現場が混乱し、経済にも影響が生じたことについては、担当行政部局において責任を十分に受けとめ、この問題の解決に真剣に取り組んでいるところであります。

 これまでの数次の対策により、建築着工は回復の兆しを見せております。さらに、現在も、設計側、審査側双方の関係者に対するさまざまな情報提供や技術的な支援を講じており、今回の改正に伴う混乱を早急に解消し、経済への影響を一時的なものにとどめるようにいたします。

 税金の無駄遣いに関して、公共調達の適正化についてのお尋ねでございますが、行政の信頼を回復するためには徹底した無駄の排除が重要であり、私の内閣における重要課題の一つとして取り組んでおります。

 公共調達の適正化については、随意契約見直し計画に基づいて、各府省が契約の性質に応じて競争性、透明性を高める取り組みを行っており、あわせて、御指摘の財務大臣通知においても、少なくとも一年間の公表を義務づけるなどの見直しを進めております。

 しかし、見直しが十分でないとの指摘もあったことから、昨年十月に、全府省にすべての契約の監視を行う第三者機関を設置し、契約状況を監視した上で、その結果を公表することとしました。さらに、総務省において、第三者機関の活動状況を含め、各府省の取り組みが見直しの趣旨に沿って進められているかどうかを厳しく監視する体制を整備しました。これにつきましては、直ちに実施するために、法律によらず、私から各大臣に指示をいたしたところであります。

 独立行政法人改革についてお尋ねがございました。

 独立行政法人の整理合理化について、千五百七十億円という金額のみで評価するのは適当ではないと考えております。

 今回の整理合理化におきましては、真に不可欠かどうかという観点から見直しを行い、十六法人を削減するとともに、存続する法人についても、本来の目的にかなう事業のみに限定いたしました。

 また、独立行政法人の業務運営が真に効率的なものとなるよう、内閣が業務の評価や人事に一元的にかかわることとしました。さらに、随意契約を徹底的に見直し、競争性のない契約を削除します。

 加えて、独立行政法人の資産について、現時点で、平成十八年度末の簿価で六千億円を超える土地建物を処分することとしており、その売却収入の国庫返納等が円滑に進むよう、所要の条件整備を行います。

 これらによりまして、独立行政法人については、国民にとって必要なサービスを確保しつつ、無駄を徹底的に排除することとしております。

 以上であります。(拍手)

     ――――◇―――――

御法川信英君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十二日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。

副議長(横路孝弘君) 御法川信英君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

副議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  福田 康夫君

       総務大臣  増田 寛也君

       法務大臣  鳩山 邦夫君

       外務大臣  高村 正彦君

       財務大臣  額賀福志郎君

       文部科学大臣  渡海紀三朗君

       厚生労働大臣  舛添 要一君

       農林水産大臣  若林 正俊君

       経済産業大臣  甘利  明君

       国土交通大臣  冬柴 鐵三君

       環境大臣  鴨下 一郎君

       防衛大臣  石破  茂君

       国務大臣  泉  信也君

       国務大臣  大田 弘子君

       国務大臣  上川 陽子君

       国務大臣  岸田 文雄君

       国務大臣  町村 信孝君

       国務大臣  渡辺 喜美君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  大野 松茂君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  宮崎 礼壹君


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