衆議院

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第6号 平成20年2月19日(火曜日)

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平成二十年二月十九日(火曜日)

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  平成二十年二月十九日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 平成二十年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)及び所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

 増田総務大臣の平成二十年度地方財政計画についての発言並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、地方法人特別税等に関する暫定措置法案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに質疑


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

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 平成二十年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)及び所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、平成二十年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。財務大臣額賀福志郎君。

    〔国務大臣額賀福志郎君登壇〕

国務大臣(額賀福志郎君) ただいま議題となりました平成二十年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。

 まず、平成二十年度における公債の発行の特例に関する法律案について御説明申し上げます。

 平成二十年度予算編成に当たっては、これまでの財政健全化の努力を緩めることなく、社会保障や公共事業など各分野において、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六で定められた歳出改革をその二年目においても着実に実現し、歳出改革路線を堅持する中で、成長力の強化、地域の活性化、国民の安全、安心といった課題に十分に配慮して予算の重点化を行っております。

 これらの結果、新規国債発行額については、税収の伸びが小幅にとどまる中、歳出歳入両面において最大限の努力を払い、二十五兆三千四百八十億円にとどめて四年連続の減額を実現したところであります。しかし、なお引き続き特例公債の発行の措置を講ずることが必要な状況となっております。

 本法律案は、こうした厳しい財政事情のもと、平成二十年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置を定めるものであります。

 すなわち、本法律案において、平成二十年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書きの規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとするなどの特例措置を定めております。

 次に、所得税法等の一部を改正する法律案について御説明を申し上げます。

 本法律案は、現下の経済財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現する等の観点から、公益法人制度改革に対応する税制措置を講ずるとともに寄附税制の見直しを行うほか、法人関係税制、中小企業関係税制、金融・証券税制、土地・住宅税制、国際課税、道路特定財源諸税等について所要の措置を講ずるものであります。

 以下、その大要を申し上げます。

 第一に、民間が担う公益活動を推進する観点から、公益社団・財団法人等について収益事業課税を適用するほか、公益社団・財団法人が収益事業から公益目的事業の実施のために支出した金額を寄附金の額とみなすなど、新たな法人類型に係る税制上の措置を講ずることといたしております。

 第二に、法人関係税制について、研究開発投資を促進する観点から、試験研究費の総額に係る税額控除制度と控除可能限度額を別枠とする追加的な税額控除制度の創設等を行うこととしております。

 第三に、中小企業関係税制について、一定の特定中小会社に出資した場合に寄附金控除を適用する制度を創設するほか、教育訓練費に係る特別税額控除を、教育訓練費が増加しない場合でも総額の一定割合を税額控除できる制度への改組等を行うことといたしております。

 第四に、金融・証券税制について、金融所得課税の一体化に向け、上場株式等の譲渡益及び配当に係る軽減税率を廃止し、譲渡損失と配当との間の損益通算を導入するとともに、これらを円滑に実施するための平成二十一年及び二十二年の二年間の特例措置等を講ずることとしております。

 第五に、土地・住宅税制について、土地の売買等に係る登録免許税の特例の適用期限を延長する等の措置を講ずるほか、住宅の省エネ改修促進税制の創設等を行うこととしております。

 第六に、国際課税について、いわゆるオフショア勘定で経理された預金等の利子の非課税措置の適用期限を撤廃する等の措置を講ずることとしております。

 第七に、道路特定財源諸税について、揮発油税、地方道路税及び自動車重量税の税率の特例措置の適用期限を十年間延長する措置を講ずることとしております。

 そのほか、入国者が輸入するウイスキー等や紙巻きたばこに係る酒税及びたばこ税の税率の特例措置の適用期限を一年間延長するなど、適用期限の到来する特別措置の延長、既存の特別措置の整理合理化等の所要の措置を講ずることとしております。

 以上、平成二十年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。

 先般の両院議長のあっせんにおいては、「総予算及び歳入法案の審査に当たっては、公聴会や参考人質疑を含む徹底した審議を行ったうえで、年度内に一定の結論を得るものとする。」との合意がなされたものと承知をしております。両法律案を初めとする予算関連法案については、国民の安全、安心を確保し、地域を活性化させ、成長力を強化する施策が年度当初から円滑に実施されるよう、今年度内に成立させることがぜひとも必要であり、与野党の議員各位の御理解と御協力を切にお願い申し上げる次第であります。(拍手)

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 平成二十年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)及び所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。古本伸一郎君。

    〔古本伸一郎君登壇〕

古本伸一郎君 古本伸一郎でございます。

 民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました公債特例法、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、内閣総理大臣に御質問申し上げます。(拍手)

 税は社会をつくります。法人税や証券税制の優遇措置はそのままに、恒久的だったはずの所得税減税が廃止される一方、暫定税率は三十四年も続いております。税の抜本見直しは、いつ、どうなさるのかお尋ねいたします。国語を学ぶ人たちに、恒久と暫定の違いもあわせて御説明願います。

 道路で巨額の財源を確保するならば、つくる社会も示すべきであります。五十九兆円の先にあるものは国の未来ではないでしょうか。しかも、道路だけは先に歳入を決め、そして、後で予算がついてくる仕組みとなっております。どうして道路だけが特別に見積もりなしで十年先まで決まるのでしょうか。

 仮に五十九兆円が余っても暫定税率は変わりません。しかも、他に使われてしまう今回の仕組みとなっております。最初に必要額を決め、国民に御負担をお願いすべきではないでしょうか。御所見を求めます。

 その中期計画も、自治体が期待する肝心の箇所づけはわずか一年しかついておりません。十年先まで財源を確保しておいて、残りの九年は道路関係者のお楽しみ、地方の道路陳情はこれではとまりません。納税者は理不尽な負担が残ります。五十九兆円が目指す社会を、この際、内閣総理大臣にお尋ねいたします。

 今、地方自治体は三月議会を前に道路予算を心配されておられます。地方が暫定税率を前提に予算を組む限り、永遠に暫定となってしまいます。総理の御所見を求めます。

 自動車諸税の歴史を申し上げます。

 まず、自動車取得税でございます。

 昭和四十九年のオイルショックの際、消費抑制の目的から三%の税率が暫定で五%に上げられ、三十四年がたちました。この間、税は役割を果たし、消費は抑制されたのか、また、二%の暫定分の総額もあわせお尋ねいたします。

 我が国のGDPを支える屋台骨と自動車ユーザーの負担を考えれば、取得税を廃止すべきと考えます。御所見を伺います。

 次に、自動車重量税でございます。

 欧州では、実際に道路を損壊する大型車に絞られております。日本では、車庫に置くだけで自動車重量税がかかります。しかも、二・五倍に上乗せされたまま実に三十四年がたっております。総理の御尊父は、「道路を損壊し、また道路がよくなれば、その利益をこうむる自動車の使用者に負担を求める」と国会で答弁されておられます。それを信じたドライバーの期待に反し、どんどん使途が拡大されております。また、重量税を車検代と勘違いする方も多く、政府には好都合の税となっております。この間、道路が地下鉄に、天下り先への補助金に、そしてモノレールにまで化けたと伺います。

 この際、昭和二十九年からドライバーの血税を一体幾ら、どのように道路以外に使ったのか、それぞれお尋ねいたします。

 地下鉄は渋滞緩和になると説明されておられます。効果をお尋ねいたします。

 小泉内閣の女房役であった総理が手のひらを返し、十年暫定で道路と決め込んでおられます。こんなことなら、小泉さんに背いてでも道路をつくっておけばよかったんじゃありませんか。今回の増税も半分で済んだのではないでしょうか。本音を伺います。

 また、有料方式で成り立つとした本四架橋も破綻し、自動車重量税を使ってしまいました。その総額をお尋ねいたします。これではまるで民営化前の駆け込み清算ではありませんか。

 車がないと暮らせない地方の方が大勢おられます。その切実な思いは総理も御存じではないでしょうか。暫定税率は実は地方の格差を拡大してしまいます。東京都中野区では、一家に〇・三台しか車はございません。片や、茨城県旧千代川村では、一家に四台車がございます。税負担は大変な格差となっております。地方ほど負担が重いこの税金を道路以外に転用していては、逆に格差が広がるばかりではないでしょうか。御所見を求めます。

 二十年度予算でも、道路以外に六千億を計上されておられます。受益と負担と言うならば、地方の道路予算に使うべきではないでしょうか。総理の御所見を求めます。

 これまでドライバーが納めた重量税の暫定税率分の総額をお尋ねいたします。

 保有税としては、地方の自動車税もございます。一本化すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 今回、道路に使わず余った分はプールされます。後で自由に使えるという法改正もわかってまいりました。初めから道路に使わない額が六千億円です。この先、余ってくる分と合わせまして、最低でも暫定税率から削減すべきでありますが、お答えを願います。

 小渕減税で庶民が一息ついたのもつかの間でありました。年収五百万の世帯では二割の負担増となっております。我が国の成長を支える家計は傷み、物が売れない消費の下流社会が進んでおります。そこで、暫定税率を廃止すれば、二・六兆円が国民の財布に返ってまいります。世帯平均で約五万円の減税となります。総理の地元でも、恐らく家族の人数プラス軽トラ一台ぐらいあるんじゃないでしょうか。きっと喜ばれると思います。総理のお地元の納税者の生の声をお聞かせ願います。

 暫定税率がなくなれば、現金は家計に戻り、地方ほど助かります。道路は必要なものに絞られ、非効率な公共により奪われた国富は国民にお返しいたします。民主党の提案です。どうでしょうか、総理。御所見を求めます。

 道路を求める声と減税の声、どちらが多いと思いますでしょうか。総理の率直な御意見を求めます。また、暫定税率を廃止すれば家計は助かると思いませんか。あわせてお尋ねをいたします。

 三位一体が家計にも影響を与える重大な疑惑が浮上してまいりました。住宅ローン控除の問題です。

 政府は、税源移譲に伴う負担増はないというふうに明言をしてまいりました。昨年の一月以降に住宅取得された方で、予定のローン控除が受けられない場合があることが、私の調べで明らかになりました。年収幾らの方が影響を受け、控除を受け損なう額はどれくらいか、何人か、お尋ねいたします。

 政府は、棚からぼたもちのごとくの歳入増は総額六百億円になると試算しているはずです。なぜ黙っておられたのか、お尋ねいたします。

 サラリーマンが家族のためにやっとの思いで手に入れた我が家がございます。まじめに働きローンを返す人と三位一体が一体何の関係があったというのでしょうか。住宅にも熱心な総理に救済措置を求めます。

 年間の脱税事案はわずかに三百億円です。氷山の一角ではないでしょうか。保育料から年金、医療まで、保険料はすべて所得で決まります。税に公平性がなければ、暫定税率の上乗せなど許せるはずがございません。中でもガソリン税は、給油の際に消費税もかかる二重課税となっております。この問題をいつどのように解決されるのか、お尋ねいたします。

 政府は、ガソリン税が下がれば消費がふえ、環境に悪いと言いますが、事実でしょうか。オイルショックの際も、ガソリンは代替がきかないため、価格の変動で消費は変わりませんでした。その後も絶対量はふえ続けております。また、車は、幾多の技術革新により燃費の向上に努めてまいりました。数値目標も前出しをして達成いたしております。ガソリン税を環境目的とした幅広な税に転換をする、むしろ抜本見直しの時期ではないでしょうか。総理の御所見を伺います。

 さらに、ガソリン税は諸外国より安いと主張されますが、これは言い過ぎです。なぜなら、日本には有料道路があります。首都高を初め、ドライバーが負担をする高速料金は年平均で約三万円、これをガソリン消費量で換算すれば、リッター当たり三十円、置きかえれば高速料金を負担していることとなります。諸外国と比較するならば、政府こそ、高速道路の開放を提案すべきではないでしょうか。お答え願います。

 ガソリン税は、昭和六十年より、四分の一をいわゆる臨交金として地方の道路財源にお配りしております。自治体の御心配も、配分割合を二分の一に変えれば地方財政への影響はないと思いますが、法理論として正しいでしょうか。お尋ねいたします。

 法律に基づけば、三月末の午前零時、暫定税率は切れます。この際、暫定の継続ではなく、四月一日から増税する、これが正しい表現ではないでしょうか。お尋ねいたします。

 総理は、国民に増税の御理解をお願いすると言われますが、国民は、お願いされた覚えがございません。それでもやるというならば、国民の信を直接問うてはどうでしょうか。御意思をお尋ねいたします。

 そもそも、増税を言う前に、政府はコスト削減の努力をすべきであります。十年で道路建設費を何%削減するのか、伺います。その際、五十九兆円はどの程度まで圧縮されるのか、お示し願います。

 まだ使える舗装をわざわざはがす工事も、予算を使い切る限り直りません。仮に、熱意ある職員が一〇〇の工事費を八〇に下げたとしても、余りは国庫に帰属し、整備局単位で見たならばコスト削減が報われないのであります。例えば削減額の一%でも局に分配すれば、一億円の原資で百億円の削減が期待できるかもしれません。改革の御意思をお尋ねいたします。

 道路特定財源制度ができた昭和二十九年、乳幼児死亡率が今の十五倍、家を失い、食料がなかった大変な時代でありました。その時代に、田中角栄氏が、今日のモータリゼーションを予見し、道路が必要と訴えられました。国民が道路よりほかを望む時代だったからこそ、道路をつくるには財源を特定財源化する必要があったわけでございます。あれから半世紀、今や、民意を代表する知事や市長、議会の皆様がこぞって道路とおっしゃるならば、財源の特定化は必要ありません。堂々と一般財源でやるべきではないでしょうか。御所見を求めます。

 閣議決定で変わるかもしれない中期計画で総額を決めておき、十年先まで暫定税率で財源を確保し、特定財源で囲い込み、あとは道路特会で表に出さない。臨時異例かつ暫定だった戦後復興のこの仕組みを、道路でも介護でも、地方がみずから政策を選べる社会に変える構造改革をやるべきではないでしょうか。総理にお尋ねいたします。

 暫定税率の廃止による国の直轄事業費の削減も否めません。しかし、建設速度を緩めるだけで、ストップするわけではないのです。速度を少し緩めてはどうでしょうか。一万四千キロ全線施工の御意思とあわせお尋ねいたします。

 旧道路公団の借金四十兆円は高速道路の料金収入で返す約束であったはずです。ところが、国が料金値下げを民営化会社に求めれば、その分の借金を自動車諸税で肩がわりする、値下げをすれば国が面倒を見るような、そんな民間企業はどこにあるでしょうか。お答え願います。今後も税金による借金の肩がわりをするおつもりか、あわせてお尋ねいたします。

 我が国の道路は百二十万キロ、このうち国道は一割もなく、ほとんどが地方道であります。国道はおおむね改修する一方、地方道の整備がおくれています。よく言われるあかずの踏切や通学路の大半は地方道でございます。したがって、地方財源をまずは確保すれば、道路が欲しいとの御要望におこたえできると考えます。

 一方、高速道路は都市を結ぶかけ橋です。例えば宮崎や島根など、高速自動車道がつながっていない箇所は何とかしなければなりません。しかし、その建設費は東名、名神の収益を充てる約束ではなかったのでしょうか。今回の暫定税率とは別の話ではないでしょうか。お答えください。

 税を使う新直轄も、地元負担が伴い、慎重な判断が求められます。なし崩しで決めていては道路公団を民営化した意味がございません。既に決まった八百キロに加え、あと何キロ、あと幾ら特定財源でやるおつもりか、お答え願います。

 また、昨日の予算委員会で明らかになりましたが、国幹審の議論を経ず整備できる箇所は何キロ、そして幾らかをお尋ねいたします。これでは、先につくっておいて後で高速道路に昇格すれば、不採算な高速も、国会が関与せず、いとも簡単に税金でできてしまいます。総理の御所見を求めます。

 さらに、五十九兆で建設した道路は新たなストックとなります。維持補修費はこのため幾らふえるのでしょうか。五十九兆の内数かもあわせお尋ねいたします。

 終わりに、小泉総理は、道路公団を民営化すれば「採算のとれない道路はつくらない」と公約されました。

 自転車で暗い夜道を、峠の坂を越え、家に帰る子たちがいます。一本のトンネルが通れば、わずかな時間で学校へ行くことができるでしょう。私たちは、このトンネルを命の道と呼ぶべきではないでしょうか。しかし、こうしたトンネルは、暫定税率を十年上乗せしなくとも、一キロ二百億円の豪華な道路を見直せば何十倍も延ばすことができるはずです。命の道は、その子たちの顔を知る地方の力でつくるべきではないでしょうか。

 急病になったとき、不安な夜を過ごす離島の方々もおられます。人々にとって命のかけ橋は、百億円の橋なのか、それとも当直医のいる診療所なのでしょうか。しかし、今の仕組みでは、そこに住む人々がみずから選択することができません。

 民主党は、暫定税率の廃止により、新しい日本の社会を示してまいります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕

内閣総理大臣(福田康夫君) 古本議員の質問にお答えする前に、本日早朝発生した海上自衛隊イージス艦と漁船清徳丸との衝突事故について申し上げます。

 このような事故が発生したことは極めて遺憾であります。現在、海上自衛隊と海上保安庁が懸命に乗員の方の捜索救助に当たっていますが、残念ながら、いまだ救助されたとの情報は得ておりません。乗員の方を一刻も早く全員無事に救助できるよう、全力を挙げているところです。

 このような事故は絶対にあってはなりません。乗員の方の捜索救助が最優先ですが、あわせて、なぜこのような事故を未然に防ぐことができなかったのか、徹底して原因の究明を行うとともに、二度とこのような事故が起きないよう対策を講じなければならないと考えております。

 それでは、最初の質問、税体系の抜本見直しについてのお尋ねがございました。

 中長期的には、社会保障を持続可能な制度とするために、安定的な財源を確保しなければなりません。このため、今後とも歳出改革を徹底するとともに、消費税を含む抜本的な税制改革について早期に実現を図る必要があります。

 政府としては、まずは、社会保障のあるべき姿や負担の仕方などについて、幅広く国民各層から成る社会保障国民会議を設置し、国民的な議論を開始したところであり、そこでの議論を踏まえながら検討を進めていく考えでございます。

 恒久と暫定の違いについてお尋ねがございました。

 一般に、法律に規定された措置については、その具体的な期限が明示されているものや、具体的な期限は設けずに当分の間の措置として定められているものについては暫定措置と称される場合が多く、他方、このような定めのない措置については恒久措置と称される場合が多いと承知いたしております。

 このような暫定措置のうち具体的な期限が到来するものについては、個々の措置に係る事情を踏まえて期限到来後の取り扱いが決定されます。その時点において限定的な期限の延長という形で施策を講ずることが適当であると考えられる場合には、その限度で限定的な期限の延長を内容とする法律の改正が行われることもあり得ます。

 道路特定財源の税率を十年延長する理由及び中期計画が目指す社会についてお尋ねがございました。

 中期計画の素案の作成に当たっては、二十一世紀を見据えた日本の国土建設という中長期的な視点から、道路整備の事業プロセスに通常は十年程度を要する実情も踏まえ、十年間を計画期間とし、必要な事業費を算出しました。そして、このために必要な財源として、現行の税率水準の維持を国民の皆様にお願いすることといたしました。

 中期計画に掲げた政策課題の達成によって、国際競争力の確保、地域の自立と活力の強化、国民生活の安全、安心の確保などが図られる社会を目指します。

 暫定税率と地方予算との関係についてお尋ねがございました。

 今般の道路特定財源の見直しにおいて現行税率水準を維持するとの方針は、平成十七年十二月の政府・与党合意、行政改革推進法、平成十八年十二月の閣議決定でお示ししてきたものであり、これまで地方自治体も含めて御説明に努めてきております。

 十年後における暫定税率のあり方については、道路整備に対する国民世論、我が国経済や財政の状況、地球環境問題の進展等をも勘案して判断すべき問題であると考えております。

 自動車取得税についてお尋ねがございました。

 昭和四十九年度以降の自動車取得税の暫定税率分の税収総額は、平成十九年度までで約四兆七千億円であります。昭和四十九年の自動車取得税の税率の引き上げは、地方道路財源の拡充を図ることとあわせて、消費抑制、資源節約、環境保全といった社会的要請にも配慮して揮発油税等の税率の引き上げとともに行われたものでありますが、燃料の消費量や自動車の販売量はさまざまな要因により決定されるものであり、税率の引き上げによる抑制の有無、程度について申し上げるのは困難と考えております。

 自動車取得税は、地方道の整備水準、特定財源の割合が低い状況にあることを考慮すると、引き続き必要であると考えております。

 自動車重量税の道路以外への活用についてお尋ねがございました。

 自動車重量税は、昭和四十六年に創設され、国分の約八割が道路特定財源とされています。平成十八年度以降は一般財源を逐次拡大しつつ計上しているところでありまして、平成二十年度予算においては、自動車関連として、納税者の理解の得られる範囲内で、約千九百億円を一般財源として計上しております。

 地下鉄の渋滞緩和効果についてのお尋ねがございました。

 例えば、道路特定財源を活用した例ではございませんが、平成十七年に開通した福岡県の地下鉄では、周辺の国道において、交通量が約一〇%削減されるなど、交通環境が改善するなどの効果が出ております。

 道路整備と税率の関係についてお尋ねがございました。

 道路整備については、公共事業全体の縮減を図る中で、重点化、効率化を進めた結果、平成十七年のピーク時から事業量の四割以上を削減しているところであります。今般、地域、国民生活に欠かせない対策を進めるため、今後十年を見据えた中期計画を作成するとともに、このために必要な財源として、現行の税率水準の維持を国民の皆様にお願いしているものであります。

 本四架橋についてお尋ねがありました。

 旧本四公団の債務については、道路関係四公団民営化推進委員会の意見を受けた政府・与党申し合わせを踏まえ、有利子債務の一部を平成十五年度に一般会計で承継し、その処理のために、平成十五年度から平成十八年度の間、一兆四千六百億円を支出し、民営化に当たり財務体質の改善を図ったところであります。

 地方の道路整備についてお尋ねがございました。

 自動車がないと暮らせない地方の切実な思いや、自動車保有の実態から、地方の税負担が都市より大きいことは認識しております。地域の自立、活性化に役立つ道路整備や救急病院への交通の利便性の確保など、地方部の対策は、お願いしている負担の関係からも急務と考えております。

 平成二十年度予算においては、地方への無利子貸し付けなどに道路特定財源を活用しているところでございますが、地方部を含めた納税者の理解の得られるものと考えております。

 自動車重量税の暫定分総額についてお尋ねがございました。

 自動車重量税に暫定税率が設けられた昭和四十九年から平成十八年までの決算額は、約二十七兆円となります。このうち、暫定上乗せ分についてのお尋ねについては、自動車重量税は自動車の車種区分ごとに税率が異なっており、それぞれの年度ごとに一定の仮定を置いて試算を行う必要があることから、一概に申し上げることは困難であります。

 自動車重量税と自動車税を一本化すべきとの御指摘をいただきました。

 自動車関係諸税は、それぞれ創設の経緯や課税根拠がありまして、また、国、地方それぞれの貴重な財源となっております。これについては、昨年十二月七日の政府・与党合意において、「税制の簡素化が必要との指摘もあり、今後の抜本的な税制改革にあわせ、道路の整備状況、環境に与える影響、厳しい財政状況等も踏まえつつ、暫定税率を含め、そのあり方を総合的に検討する。」ということとしております。

 道路特定財源について、暫定税率の引き下げ、廃止のお尋ねがございました。

 暫定税率が廃止された場合には、地域の自立、活性化や国民生活の観点から必要な道路整備が困難となるほか、地方財政に深刻な影響が生じ、地方公共団体によっては福祉や教育などの住民サービスの見直しにつながるおそれがあります。このような地域住民の生活への影響を踏まえても、税率維持の必要性があり、私の地元云々というよりも、全国津々浦々の国民の皆様に十分御理解いただくよう努めてまいりたいと考えております。

 暫定税率の廃止の家計への影響についてお尋ねがありました。

 確かに、揮発油税等の暫定税率を廃止することは、税率の低下により国民の消費などが増加する面もあると考えられますが、暫定税率の廃止に伴い仮に減収分と同額の道路歳出が減少すれば、道路投資額の減少により新規事業の凍結や継続事業の休止も予想されることから、地域経済や雇用面に与える影響など、家計へのマイナスの影響も大きいものと考えております。

 三位一体による税源移譲と住宅ローン控除についてお尋ねがございました。

 所得税から住民税への税源移譲に当たっては、税源移譲前と税源移譲後とで所得税と住民税を合わせた年間の税負担は基本的に変わらないよう措置しているところでございます。

 議員御指摘のような、平成十九年以降に入居した方については、税源移譲後の税制を前提に住宅を取得される方であるため、税源移譲前から入居されている方と同列に論じることは適当ではないと考えております。したがって、これらの方に関しては、税源移譲がなかった場合を仮定して、その影響人員や税収への影響等を議論することは適切ではないと考えております。

 なお、税源移譲後に入居される方については、平成十九年度改正において、住宅ローン減税の効果を確保する観点から、控除期間を十五年に延長する住宅ローン減税の特例を創設いたしております。

 ガソリン税と消費税との関係についてお尋ねがございました。

 消費税はあらゆる商品やサービスの消費一般に広く公平に負担を求める性格の税であることから、消費支出の大きさに応じて比例的な負担を求めております。したがって、小売価格の中に間接的に含まれるガソリン税相当分に対しても消費税がかかることは、消費税の性格上、おのずと生じることであります。これは、いわば国際的に確立した共通のルールとなっておりまして、付加価値税が採用されている諸外国においても同様の取り扱いがなされていると承知しております。

 ガソリン税と環境についてお尋ねがございました。

 ガソリン等の燃料課税が地球温暖化対策上果たしている役割は無視し得ないものであります。広い意味では、環境に関連する税制とも言えます。その税率が下がることが地球温暖化対策に逆行することは否めません。

 御指摘のように、幅広く国民に負担を求める税に転換することについては、温暖化対策全体の中での具体的な位置づけ、その効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響などを十分に踏まえ、総合的に検討していくべき課題であると考えております。

 ガソリン税の諸外国との比較についてお尋ねがございました。

 欧州主要国においては、地球温暖化対策などを理由としてガソリンの税率を段階的に引き上げており、我が国は、欧州主要国と比べ、ガソリンの税負担が相対的に低い状況にあります。その差額は、仮に御指摘の一リットル三十円が上乗せされたとしても、なお開きがあるものと承知をしております。

 なお、今般の政府案においては、道路特定財源の税収により、真に必要な道路整備を行うとともに、その一部を高速道路料金の引き下げに充てることといたしております。

 地方道路整備臨時交付金の財源についてお尋ねがございました。

 地方道路整備臨時交付金の充当割合を二分の一とすれば、交付金に限っては地方財政への影響が生じないことは御指摘のとおりであります。しかしながら、国の道路財源が大幅に減少し、地域の自立、活性化を支える直轄道路事業や補助事業等に大きな問題が生じることが懸念されます。

 暫定税率の位置づけについてお尋ねがございました。

 四月一日から、暫定税率が継続するのではなく、新たな増税ではないかとの御指摘につきましては、税率の水準が維持され、これに基づく課税関係が切れ目なく続く限りにおいては、納税者には引き続き同じ税負担をお願いすることとなります。我が国の道路は、なお地域の自立、活性化や国民生活の観点から引き続き多くの課題を抱えていることを踏まえ、今般、国民の皆様に、引き続き現在と同じ水準の御負担をお願いするものでございます。

 暫定税率の維持と国民の御理解との関係についてお尋ねがございました。

 今般の道路特定財源の見直しにおいて現行税率水準を維持することは、従来からの一貫した方針でございます。具体的には、平成十七年十二月の政府・与党合意、行政改革推進法、平成十八年十二月の閣議決定でお示しし、国民の御理解を求めてきたものでございます。

 今般、これらの方針に沿って現行税率水準の維持をお願いするものであり、現在御審議いただいている税制改正法案を年度内に成立させることこそが、国民経済、生活の混乱の回避のために最も重要と考えております。

 中期計画の事業量削減とコスト削減に向けた改革の意思についてお尋ねがございました。

 中期計画の事業量は五十九兆円を上回らない水準としたところでありますが、これは、現五カ年計画の事業量、五年間三十八兆円を二割以上縮減した水準です。今後とも、真に必要な道路整備を行うとともに、歳出改革の徹底等を図ってまいりたいと考えております。

 また、予算を使い切らなければならないといった考えは厳に慎み、今後とも徹底したコスト削減に努めていくことが重要と考えております。

 道路特定財源の見直しと一般財源化についてお尋ねがございました。

 道路整備については、地域の自立、活性化や国民生活の観点から引き続き多くの課題を抱えている状況にあります。現下の厳しい財政事情のもとでは、受益と負担の考え方を踏まえ、暫定税率を維持して安定的な財源を確保する必要がございます。その上で、真に必要な道路整備を行うとともに、これを上回る額は、納税者の理解を得られる範囲で一般財源として活用することとしております。

 また、地方の実態を見ると、特定財源を大きく上回る水準の道路整備が行われており、地域、住民生活に根差した資源配分が適切に行われていると認識いたしております。

 道路整備の速度を緩めることについてのお尋ねがございました。

 仮に暫定税率を廃止すれば、国、地方合わせて二兆六千億円の減収となり、道路整備の速度が大幅に低下し、地域や国民生活に根差したニーズにこたえることが困難となります。

 また、一万四千キロの高規格幹線道路について、個々の道路を整備するか否かは、地元自治体等の費用負担の意思や客観的かつ厳格な事業評価等により判断されるものであります。その上で、高速自動車国道については、国幹会議の議を経て決定されることとなります。

 高速道路の料金引き下げに充てる国費等についてのお尋ねがございました。

 今回の高速道路料金の引き下げ等の措置は、地域の活性化等の政策課題に対応するため、二・五兆円の範囲内で国費を活用する枠組みをつくるもので、民営化会社の経営支援等を行うものではありません。

 今後とも、政府・与党合意の趣旨を踏まえ、毎年度予算の編成過程で適切に判断してまいります。

 高速自動車国道の整備とその財源についてのお尋ねがございました。

 道路関係四公団民営化に際しては、有料道路方式と新直轄方式を適切に組み合わせて高速自動車国道の整備を図ることとしましたが、新直轄方式は、国及び地方の暫定税率分を含む道路特定財源が充てられているものであります。

 高速自動車国道の未供用の各区間を整備するか否かは、地元自治体等の費用負担者の意思や、今後改めて行う事業評価等の結果を踏まえて判断するものであります。

 なお、中期計画の素案では、約六十五兆円のうち、高速自動車国道を含む基幹ネットワークの整備に約二十三兆円を計上いたしております。

 国幹会議の審議を経ずに整備できる箇所についてのお尋ねがございました。

 昨日の予算委員会で松本委員から御指摘のあった、高速自動車国道に並行する区間で、高速自動車国道との二重投資を避けるために、一般国道のバイパスを自動車専用道路として現在整備している区間は、事業中のものを含め約千キロあり、平成十九年度の事業費は約一千四百億円となっております。

 これらの道路についても、実際に整備するか否かは、新直轄方式より重い負担を負う地元自治体の意思や、客観的かつ厳格な事業評価により判断されるものでありますし、高速自動車国道に編入する場合は、新設時と同様、国幹会議の議を経ることとなります。

 中期計画における維持修繕費についてお尋ねがありました。

 中期計画の素案で計上した事業量には、新設だけでなく維持修繕費等も含まれています。新規整備に係る維持修繕費等は算出していませんが、既存ストック分も含めて、中期計画の素案では七兆二千億円を計上いたしております。

 以上であります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 石井啓一君。

    〔石井啓一君登壇〕

石井啓一君 私は、自由民主党並びに公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十年度における公債の発行の特例に関する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。(拍手)

 法案の質問に先立ちまして、本日のイージス艦と漁船との衝突事故につきまして、漁船の乗組員二名が行方不明と聞いております。人命救助、徹底した原因究明、再発防止に万全を期すべきと考えますが、現在の対応状況を総理に伺います。

 言うまでもなく、歳入関連法案は歳出予算と一体であります。年度末に租税特別措置等が適用期限切れになった場合、国民生活や国、地方の財政、さらには日本経済にも多大な影響を及ぼすことになります。今回の法律案について、ガソリン税等の暫定税率が期限切れになれば、大きな歳入欠陥が生じ、国及び地方財政に深刻な影響を及ぼすのみならず、例えば土地の売買等に係る登録免許税の軽減措置が切れれば、土地取引に悪影響を及ぼします。さらに、東京オフショア市場で取引される預金等の利子の非課税措置が切れれば、二十三兆円の預金残高のあるオフショア市場が機能しなくなり、金融機関の資金調達や金融市場への影響が懸念されます。さらに、年度末までに公債発行特例法が成立しない場合、国債市場へどのような影響が及ぶのか懸念されます。

 福田総理、歳入関連法案が年度内に成立しない場合の影響はどうなのか、国民の皆様にわかりやすく御説明ください。

 国会の長い歴史の中で、予算が年度内に成立したにもかかわらず税制関連法案が年度内に成立しなかった例は一度もありません。また、昭和五十年以降は、暫定予算になった場合でも、税制関連法案についてはすべて年度内に成立させてきました。これが国会の良識ある慣例であります。租税特別措置等が年度末に適用期限切れにならないよう、万が一に備えて与党が提出したいわゆるつなぎ法案の本会議採決の直前に、両院議長のあっせんにより、総予算及び歳入法案について年度内に一定の結論を得ることで与野党が合意したことは、改めて国会の良識を示したものであり、高く評価をいたします。

 両院議長が解釈を示されたとおり、与野党合意の「年度内に一定の結論を得る」とは、年度内に採決を行うことであることは疑いの余地のないところであります。ついては、与野党ともに今回の合意を誠実に守り、予算案並びに歳入法案の年度内採決を期してまいりたいと存じますが、今回の合意について総理の御評価を伺います。

 次に、焦点になっているガソリン税等の道路特定財源について伺います。

 交通渋滞の解消、防災・減災対策、交通安全対策、さらには企業誘致や観光等の地域活性化のため等の道路整備は、身近な生活上の課題として各地で強く要望されており、事業効果の高い箇所、区間から優先的、集中的な整備をしていかなければなりません。そのための財源措置として、ガソリン税等の暫定税率を自動車利用者にお願いせざるを得ません。また、環境の観点等から、多くの先進国で、我が国より高い税金をガソリンにかけているという点にも留意しなければなりません。

 ガソリン税等の暫定税率を維持する必要性について、総理の御見解を伺います。また、暫定税率が維持できなかった場合の影響について、国土交通大臣に確認をいたします。

 暫定税率は維持する一方で、ガソリン価格高騰対策は並行して行う必要があります。我が党の北側幹事長の指摘が契機になり、自賠責保険料の引き下げが本年四月から実施され、自家用乗用自動車では二年契約で九千二百六十円下がるところですが、さらに手を打つ必要があります。例えば、道路特定財源の活用方法として、高速道路料金の引き下げ等に二・五兆円を充てることとしておりますが、これをさらに拡充するなど、自動車利用者への直接還元策を拡充してはどうかと考えます。総理の御見解を伺います。

 一方、昨年の政府・与党合意や与党税制改正大綱では、自動車関係諸税については、税制の簡素化が必要との指摘もあり、今後の抜本的な税制改革にあわせ、暫定税率を含め、そのあり方を総合的に検討するとされております。抜本的な税制改革の際には、自動車関係諸税について、取得、保有、走行の各段階にわたる税制の簡素化、消費税との二重課税の課題、環境に与える影響と課税のあり方などについて検討すべきであり、特に、自動車重量税については軽減すべきことを申し上げたいと存じます。

 次に、税制の抜本改革について伺います。

 社会保障給付や少子化対策の安定的な財源を確保するためには、税体系の抜本改革が避けられません。しかし、いわゆるねじれ国会の状況下で社会保障と税制の抜本改革を進めるためには、与野党が胸襟を開いて議論しなければなりません。総理は社会保障国民会議を設置され、政党の参加を呼びかけておられますが、改めて総理の御見解を伺います。

 また、税制の抜本改革においては、消費税は避けられない課題ですが、一方で、消費税だけが課題というわけではありません。消費課税、所得課税、法人課税、資産課税等の税体系全般にわたるバランスのとれた改革が必要になります。総理の御見解を伺います。

 特に、所得税については、これまで累次の改正により、税率区分を簡素化し最高税率を引き下げましたが、格差是正の問題や所得再分配機能の強化などの観点から、所得税の最高税率は引き上げるべきと考えます。また、各種の所得控除については、中低所得者へより恩恵が及ぶように、税額控除あるいは歳出への切りかえを含めた見直しが必要と考えます。さらに、相続税については、世代を超えた格差の固定を防止する観点等から、課税ベースの拡充など資産再分配効果の回復を図るべきであります。

 これらの税制改革の方向性について、総理の御見解を伺います。

 次に、今回の法案に盛り込まれた税制改正の各論について伺います。

 特筆すべきは、中小企業の事業承継税制の抜本的拡充です。今国会に提出された中小企業経営承継円滑化法案を踏まえ、経済産業大臣の認定を受けた非上場の同族中小企業の相続株式について、相続税額の八割の納税猶予制度を平成二十一年度税制改正で創設いたします。長年にわたり公明党が主張し、中小企業関係者が熱望してきたものであり、平成二十一年度の税制改正では確実に実現しなければなりません。財務大臣の決意を伺います。

 公益法人課税については、平成二十年十二月からスタートする新たな公益法人制度に対応した税制に改められております。公益社団法人、公益財団法人については、従来の公益法人税制並みの配慮を行う一方で、一般社団法人、一般財団法人については、さまざまな態様に対応した課税とされております。

 新たな公益法人課税に関する基本的な考え方について、財務大臣の答弁を求めます。

 寄附金税制については、民間による公益活動を促進する観点から、特定公益増進法人への寄附金の損金算入限度額を引き上げるとともに、認定NPO法人についてのパブリック・サポート・テストの緩和や申請手続の負担軽減を行っております。寄附文化を広げるためには税制上の支援が有効であり、今後さらなる拡充を検討すべきと考えますが、財務大臣の見解を伺います。

 金融・証券税制については、時限的に導入した上場株式譲渡益と配当に係る一〇%の軽減税率について、平成二十一年から本則の二〇%に戻すこととし、特例措置として、平成二十一年から二年間は株式譲渡益については五百万円まで、配当については百万円までは一〇%税率を適用することとされました。

 貯蓄から投資への流れを促進するために軽減税率を維持した方がよいとの声もありますが、私はむしろ、このたび株式譲渡損と配当とを損益通算できる措置を導入したように、投資リスクを軽減できる損益通算制度を今後さらに拡充するほか、金融庁の金融資本市場強化プランに掲げられたような市場インフラの整備を進めることが重要と考えます。財務大臣の見解を伺います。

 結びに、今回の税制改正案には、そのほかにも、住宅の省エネ改修促進税制の創設や、いわゆる二百年住宅の整備促進税制の創設、障害者の働く場に対する発注促進税制の創設など、国民生活の充実に資する税制改正が盛り込まれており、その点からも年度内の早期の成立が期待されることを申し上げまして、私の質問といたします。(拍手)

    〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕

内閣総理大臣(福田康夫君) 石井議員にお答え申し上げます。

 イージス艦と漁船清徳丸との衝突事故について申し上げます。

 本日午前四時七分ごろ、千葉県房総半島野島崎の南方約四十二キロメートルの海上において、海上自衛隊イージス艦「あたご」が、漁船清徳丸と衝突しました。極めて遺憾なことでございます。現在、海上自衛隊と海上保安庁が乗員の方の捜索救助に当たっておりますが、残念ながら、いまだ救助されたという情報は得ておりません。乗員の方を一刻も早く全員無事に救助できるよう、全力を挙げているところであります。

 このような事故は絶対にあってはなりません。乗員の方の捜索救助は最優先ですが、あわせて、なぜこのような事故を未然に防ぐことができなかったのか、徹底した原因究明を行わなければならないと考えております。

 歳入関連法案が年度内に成立しない場合の影響についてお尋ねがございました。

 税制改正法案が年度内に成立しない場合、議員御指摘のとおり、例えば、揮発油税等の暫定税率が失効し、国、地方とも大幅な歳入減となり、道路整備に重大な影響を及ぼすほか、マイホームなどの土地の売買を行った場合の登記に係る税負担が増加する、また、東京海外金融市場の優遇措置が失効し、我が国の金融市場の国際的な信認が失墜し、競争力が損なわれるなど、日々の国民の生活や経済活動等に対し重大な影響が生じることになります。

 また、特例公債法案が成立しなければ、歳入に占める特例公債の割合は約四分の一、二十兆円に達していることから、予算の前提が崩れ、増税措置や歳出カットを行う必要が生じるとともに、市場での日本政府、日本国債の信認が大きく低下し、株式、債券などの各種市場に悪影響を生じる恐れがございます。

 このため、政府としては、税法など歳入関連法案については、国民生活等の混乱を防ぐ観点から年度内に成立させることがぜひとも必要と考えており、国会におかれても、この点を踏まえた御審議をお願いしたいと考えております。

 両院議長のあっせんに基づく各党の合意についてお尋ねがございました。

 与野党間で、税法等の日切れに伴う国民経済、生活の混乱を回避し、地方財政への重大な影響を招かないため、議論が重ねられ、先月末、両院議長のあっせんにより、総予算、歳入法案の審査に当たっては、年度内に一定の結論を得る旨の合意がなされたと承知いたしております。これによりまして、現在御審議いただいている税制改正法案等の年度内の採決が確保され、いわゆる日切れに伴う混乱が回避できたものと受けとめております。議長、与野党の御尽力に感謝を申し上げる次第でございます。(拍手)

 いずれにしましても、政府としては、税制改正法案等が年度内に成立することが、国民経済、生活の混乱を回避するためぜひとも必要と考えており、国民の皆様に対し、また国会においてしっかりと法案の説明を行ってまいりたいと考えております。

 国会におかれても、今般の合意を踏まえ、速やかな御審議、御賛同をお願いしたいと考えており、与野党の議員各位の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。

 暫定税率維持の必要性についてお尋ねがございました。

 道路特定財源の税率水準については、厳しい財政事情のもと、地域の自立、活性化や国民生活のために真に必要な道路整備などを実施していくため、現行水準を維持させていただくよう国民の皆様にお願いをすることとしたところであります。

 また、ガソリン等の燃料課税が地球温暖化対策上果たしている役割は無視し得ないものがあり、現行税率水準を維持することが地球温暖化問題への対応の観点からも必要であると考えております。

 道路特定財源の自動車利用者への直接還元策についてのお尋ねがございました。

 高速道路にかかわる原油高騰対策としては、今月十五日より、高速道路に導入されている深夜割引を三割引きから四割引きに拡充したところであります。

 また、昨年十二月の政府・与党合意における高速道路料金の引き下げについては、地域の活性化、物流の効率化等の政策課題に対して、二・五兆円の範囲内で、最も効果的な箇所や時間帯を特定し、利用者の方々が料金の引き下げを実感できる内容としてまいります。

 社会保障国民会議についてのお尋ねがございました。

 社会保障制度は、国民生活の基盤を支えるものであり、少子高齢化が進行する中、制度を将来にわたり持続可能で皆が安心できるものとしていく必要があると考えております。このため、今後とも歳出改革を徹底する一方で、それでも対応し切れない社会保障や少子化対策に伴う負担増については、安定的な財源を確保するため、消費税を含む税体系の抜本的改革について早期に実現を図る必要があります。

 政府としては、まずは社会保障のあるべき姿や負担の仕方などについて、幅広く国民各層から成る社会保障国民会議を設置し、国民的な議論を開始したところであり、そこでの議論も踏まえながら検討を進めていく考えであります。

 あわせて、すべての国民の生活にかかわるこの問題について、各党各会派が胸襟を開いて話し合うことが必要ではないかと考えており、こうした議論が活発に行われることを望んでおります。

 税制の抜本的改革とその方向性についてお尋ねがありました。

 消費税を含む税体系の抜本的改革に当たっては、欧州諸国においては、経済動向に左右されにくい消費税が国の主要な財源とされていることも十分に参考にしつつ、我が国における所得、消費、資産等への課税のあり方について、各税目それぞれが果たすべき役割等を踏まえ、総合的な見直しを行う必要があると考えております。

 こうした中で、御指摘がありましたように、所得税については、所得再分配機能の適切な発揮や個人の多様な選択に対する中立性の確保といった観点から、税率構造や所得控除のあり方の検討、相続税については、世代を超えた格差の固定化の防止や老後扶養の社会化への対応など、相続税をめぐる今日的な課題を踏まえた総合的な見直しの検討といった点も課題になるものと考えております。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

    〔国務大臣額賀福志郎君登壇〕

国務大臣(額賀福志郎君) 石井啓一議員にお答えをいたします。

 まず、事業承継税制についてでございます。

 中小企業の事業承継の円滑化は、地域経済の活力の維持や雇用の確保の観点から極めて重要であります。税制面におきましても、相続税の特例措置の大幅な拡充が急務となっていると考えております。

 こうした状況を踏まえまして、事業承継税制の抜本見直しについては、本年一月に閣議決定した平成二十年度税制改正の要綱において、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の制定を踏まえ、平成二十一年度の税制改正で、取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度を創設することといたしております。石井議員のおっしゃる方向できちっとさせていただきたいと思っております。

 財務省としては、この事業承継税制の抜本見直しを平成二十一年度税制改正において確実に実現すべく、今後十分な準備を進めてまいりたいと思っております。

 続きまして、新たな公益法人課税に関する基本的な考え方についてお尋ねがありました。

 今般の公益法人制度改革は民間による公益活動の増進を目的としたものであり、税制面においても、公益社団法人、公益財団法人については公益目的事業から生じた所得について非課税とするなど、公益目的事業の実施を支援する措置を講ずることとしております。

 また、一般社団法人、一般財団法人については、登記のみで設立が可能であり、事業目的に制約がなく、多様な態様のものがあらわれることが予想されるわけであります。このため、利益を分配することを目的としないなど、営利法人とは異なる特性を有すると認められる法人については、収益事業を行う場合のみ法人税を課税することにする一方で、それ以外の法人については、営利法人と同様にすべての所得に対して法人税を課税することとし、態様に応じた適正な課税を行うこととしております。

 さらに、寄附文化を広げるために、寄附税制のさらなる拡充を検討すべきであるとのお尋ねでございました。

 民間による公益活動の推進や我が国における寄附文化の醸成といった観点において、公益活動を行う法人に対する寄附を税制面で支援していくことは重要な課題であると考えております。

 このため、今年度の税制改正では、御指摘のように、法人が特定公益増進法人等に対して寄附を行う場合の損金算入限度額を拡大したほか、認定NPO法人制度に関して認定要件を緩和するなど、寄附税制の思い切った見直しを行っているところであります。今後とも必要に応じて検討を行ってまいりますけれども、まずは今回の措置の効果をよく見きわめながら対応していきたいと思っております。

 最後に、金融・証券税制についてのお尋ねがありました。

 議員御指摘のように、我が国の金融・証券市場の競争力を強化し、魅力ある市場としていくため、税制を含めさまざまな分野における取り組みを進めていくことが重要と考えております。

 税制面におきましても、個人金融資産の効率的な活用が要請される中、個人の金融商品選択における課税の中立性を確保するとともに、投資リスクを軽減できる簡素でわかりやすい仕組みとするため、金融所得課税の一体化を進めていくことが今後も重要であると思っております。

 このような観点から、今国会に提出した税制改正法案においては、上場株式等の譲渡損失と配当との間の損益通算の仕組みを導入することとしたところであり、今後とも、引き続き金融所得課税の一体化を進めてまいりたいと思っております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣冬柴鐵三君登壇〕

国務大臣(冬柴鐵三君) 石井啓一議員から私に対し、暫定税率が維持できなかった場合の影響についてお尋ねがありました。

 道路特定財源の税率水準につきましては、厳しい財政事情のもと、地域の自立、活性化や国民生活のために真に必要な道路整備等を実施していくため、現行水準を維持させていただくよう、国民の皆様にお願いすることとしたところであります。

 仮に、道路特定財源の暫定税率が廃止された場合には、国で約一・七兆円、地方で約九千億円、合わせて約二・六兆円の税収減となるほか、地域の自立、活性化のための道路整備や、災害に耐えられる橋梁の維持補修、救急病院への交通の利便性の確保、環境対策にも役立つあかずの踏切の解消など、国民生活にとって真に必要な対策を進めることが困難となります。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 佐々木憲昭君。

    〔佐々木憲昭君登壇〕

佐々木憲昭君 日本共産党を代表し、所得税法等の一部を改正する法律案等に対して、福田総理に質問します。(拍手)

 本題に入る前に、本日午前四時七分、千葉県野島崎沖合において、海上自衛隊のイージス艦が漁船清徳丸と衝突し、漁船乗組員二人が行方不明になる事故が発生しました。軍艦が民間漁船と衝突し、大破、沈没させるなどということは絶対にあってはならないことであります。

 厳しく抗議するとともに、何よりも行方不明者の捜索救助を最優先にすることを求めます。また、なぜこのような事故が発生したのか、イージス艦の前方確認はどうだったのか等、原因の徹底究明を求めるものであります。

 本題に入ります。

 今ほど税のあり方が根本的に問われているときはありません。法案の提案理由は、持続的な経済社会の活性化を実現するためというものであります。しかし、活性化というなら、肝心なのは国民生活の活性化であります。それに逆行する政策を進めてきたのは、政府自身だったのではないでしょうか。小泉内閣以来、政府が実施した十兆円を超える大増税、負担増が国民生活を直撃し、今日の消費の低迷を生み出してきたのであります。総理にその認識があるかどうか、お答えをいただきたい。

 とりわけ、一昨年から昨年にかけて実施された所得税、住民税の定率減税の全廃は、国民に大きな衝撃を与えました。もともとこの減税措置は、法人税率の引き下げや所得税最高税率の引き下げと一体のものとして実施されたものであります。つまり、景気対策と称して実施された恒久的減税でありました。

 大田経済財政特命大臣は、企業の体質は格段に強化されたが、賃金上昇に結びつかず、家計への波及がおくれているとの認識を示しました。そうであるなら、今必要なことは、企業部門から家計部門に政策の軸足を移すことではないでしょうか。

 ところが、家計に対しては定率減税の廃止で大増税を押しつけながら、史上空前の利益を上げている大企業には法人税の減税を継続しているのであります。やり方が全く逆ではありませんか。答弁を求めます。

 提案された法案では、大企業の体質強化と称して、研究開発減税の一層の拡充が盛り込まれております。従来の減税とは別枠で、さらに当期法人税額の一〇%を上限に税額控除を受ける制度を新設するものであります。法人税額の最大三〇%まで税額控除を受けることができ、売上高と比べて試験研究費の割合が高ければ、それだけで減税を受けることができるのであります。新たに研究開発投資をふやさなくても、多額の研究開発費があるというだけで恩恵を受ける。これは、投資のインセンティブをより高めるといった当初の趣旨もどこかに行ってしまい、単に研究開発費の額が多ければ減税される仕組みではありませんか。

 この研究開発減税の拡充は、大企業のみならず中小企業にも適用されると言われます。しかし、現行制度でも減税額の約九割が大企業に集中しておるのであります。本法案の制度拡充による減税効果も、四百三十億円、そのうち四百二十億円、九八%に当たる分が大企業向け減税であります。これでは巨大企業のための税金ばらまきではありませんか。

 大企業に向け減税を継続する一方で、政府は、国民にさらに増税を押しつけようとしております。

 福田総理は、一月二十一日の本会議の答弁で、消費税の増税について、平成二十一年度までに基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げるとされていることを踏まえて、早期実現を図る必要があると述べました。しかし、基礎年金の国庫負担を引き上げるためといって実行したのが所得税、住民税の定率減税廃止や年金課税の増税だったのではなかったですか。

 二〇〇三年十二月、自民党と公明党は、二〇〇四年度税制改正大綱で、基礎年金国庫負担引き上げ分の財源として、年金課税と定率減税廃止を充てることを合意したのであります。しかも、それを工程表まで決めて実行してきたのであります。

 ところが、国庫に入った二兆八千億円のうち、基礎年金に充当されたのは七千億円、四分の一にすぎなかったのであります。全額、基礎年金の国庫負担引き上げのために使うという説明は、一体どうなったのでしょうか。国民を欺くものではありませんか。そのことを不問にしたままで、基礎年金の財源が足りないから、今度は消費税増税だと言う。これでは二重に国民を欺くものであります。総理の見解を求めます。

 経済力のある大企業に応分の負担を求め、生計費には課税せず、累進制とする、この基本方向に税のあり方を根本的に転換することを求めるものであります。

 次は、道路特定財源についてです。

 この制度は、極めて特異な存在であります。戦後、一九四九年に一般税として導入されたガソリン税が臨時措置として道路目的税とされたのが一九五四年でありました。それ以来、道路整備計画が、五カ年といわず三年ごとに倍増するテンポで、十二次にわたって繰り返されてきたのであります。また、この間、地方道路税、石油ガス税、自動車重量税、軽油引取税、自動車取得税など、新たな税目の創設と税率の引き上げが繰り返され、七四年五月からは、暫定税率という形で税率がほぼ二倍に引き上げられたのであります。

 こうして、当初、臨時措置や暫定と言われたものが常態化し、莫大な規模で大衆収奪が行われたのであります。その財源で、十二次にわたる道路整備計画は、必ず前の計画を上回る金額が投入され、一度たりとも減らされたことはありませんでした。社会保障関係費の自然増分さえカットしてきたことと比べて、余りにも異常な聖域扱いではありませんか。

 一九七一年に自動車重量税を導入したとき、総理の父上に当たる福田赳夫大蔵大臣は、こう答えました。七一年からの五カ年計画ができれば国道はほとんど整備されるという状態になる。それにもかかわらず、これで一段落とはなりませんでした。なぜでしょうか。その後も、道路にしか使えないあり余る財源が入ってきたからではありませんか。答弁を求めます。

 政府は、二〇〇八年度から始まる十年間の道路中期計画に五十九兆円も注ぎ込むとしております。しかも、バブル期の一九八七年に策定した第四次全国総合開発計画、四全総で決めた一万四千キロに及ぶ高速道路建設にしがみつくだけではありません。さらに、七千キロに及ぶ地域高規格道路、伊勢湾口道路など六本の長大橋道路まで進めようとしているのであります。必要性や採算性が疑問視されてきた計画をそのまま進めようとするのは、到底認められるものではありません。答弁を求めます。

 アメリカの圧力のもとでつくられた六百三十兆円の公共投資基本計画は、二〇〇二年一月に廃止されました。また、二〇〇三年につくられた社会資本整備重点計画法で、国土交通省関連の長期計画が一本化され、あらかじめ計画の総額を決める総額方式は原則としてなくなったのであります。しかし、一つだけ残ったのが道路整備計画であります。

 この際、道路特定財源という仕組みを根本的に見直し、道路にしか使えない目的税方式を改め、暫定税率は撤廃すべきであります。ごまかしの一般財源化ではなく、全額を道路にも社会保障にも使えるようにする真の一般財源化に踏み出すべきではありませんか。このことを求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕

内閣総理大臣(福田康夫君) イージス艦と漁船清徳丸との衝突事故の件でございますけれども、このような衝突事故を起こしましたことは極めて遺憾であります。現在、海上自衛隊と海上保安庁が乗員の方の捜索救助に当たっておりますが、残念ながら、いまだ救助されたという情報は得ておりません。乗員の方を一刻も早く全員無事に救助できるよう、全力を挙げているところであります。

 このような事故は絶対にあってはなりません。乗員の方の捜索救助が最優先でありますが、あわせて、なぜこのような事故を未然に防ぐことができなかったのか、徹底した原因究明を行わなければならないと考えております。

 改革による負担増が消費の低迷を生み出しているのではないか、企業部門から家計部門に政策の軸足を移すべきではないかというお尋ねがございました。

 我が国は、人口減少や少子高齢化、厳しい財政状況などに直面しており、これらを乗り切り、将来にわたり持続可能な社会をつくっていくためには、税や社会保障制度等についても、将来を見据えた改革を引き続き進めていくことが不可欠であります。

 一方、景気が息の長い回復を続ける中でも、足元では賃金が伸びず、景気回復の家計への波及がおくれていることは事実であります。このため、景気回復の果実が家計に十分波及し、国民が景気回復を実感できるよう、労働分配率の向上に向けて、正規・非正規雇用の格差是正や、日雇い派遣の適正化等労働者派遣制度の見直しなどの施策に積極的に取り組み、すべての人が成長を実感できるようにする全員参加の経済戦略等から成る経済成長戦略を早急に具体化し、国民の活力を引き出してまいります。

 定率減税の廃止と法人税の減税についてのお尋ねがございました。

 近年、経済のグローバル化等の経済社会の構造変化に対応するとともに、我が国経済の国際競争力の強化を図る観点から、法人課税の見直し等を行ってまいりました。

 一方、平成十一年に導入された定率減税は、当時の厳しい経済情勢に対応した景気対策として導入されたものでありました。近年の経済状況の大幅な改善等を踏まえ、平成十八年、平成十九年の二年間で段階的に縮減、廃止したものであります。

 研究開発税制についてお尋ねがございました。

 平成二十年度税制改正においては、研究開発税制の拡充を行うこととしておりますが、御指摘の制度は、売上高に占める試験研究費の割合が一定水準を超える場合にも税額控除を可能とする仕組みでありました。その割合を高めるよう、さらなる投資へのインセンティブになると考えております。

 また、研究開発税制の拡充は、大企業のみならず中小企業にも同様に適用されるものであります。現行制度においては、中小企業は大企業より高い税額控除率が適用される仕組みになっております。大企業と中小企業とではおのずと投資規模が異なることを踏まえれば、減収規模が大きいことだけをもって巨大企業のための税金ばらまきとの御指摘は当たらないと考えております。

 基礎年金国庫負担割合引き上げのための財源についてお尋ねがございました。

 基礎年金国庫負担割合の引き上げに関し、平成十六年度与党税制改正大綱においては、年金課税の適正化により確保される財源は、「平成十六年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の引上げに充てる」、定率減税の縮減、廃止による増収分について、「これにより、平成十七年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源を確保する。」とされております。

 これらを踏まえまして、各年度の予算編成過程において、与党における御議論を経て、定率減税の縮減、廃止による増収分のうち、各年度の基礎年金国庫負担割合の段階的引き上げに充当されるものを決定するなど、適切に対応してきたものであります。

 基礎年金の財源と消費税についてのお尋ねがございました。

 今後、社会保障給付や少子化対策に要する費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革について早期に実現を図る必要があり、政府としては、まずは社会保障のあるべき姿や負担の仕方などについて、社会保障国民会議において国民的な議論を行っていくこととしております。

 このため、現時点において、消費税のみを取り上げて、その具体的方向性等を申し上げる段階にはありませんが、いずれにせよ、基礎年金の国庫負担割合の引き上げについては、所要の安定した財源を確保した上で、平成二十一年度までに二分の一に引き上げることが法律で定められていること等も踏まえ、その実現に向けて取り組む必要があると考えております。

 今後の税制のあり方についての御質問がございました。

 税体系の抜本的改革については、社会保障給付や少子化対策に要する費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うとの観点を踏まえるとともに、所得再分配機能のあり方の見直しや、経済の活性化、国際競争力の強化といった課題への対応も念頭に置きながら、所得、消費、資産等への課税のあり方について総合的な見直しを行う必要があると考えております。

 道路特定財源が聖域扱いされているとのお尋ねがございました。

 これまでも、特定財源があるからといって道路予算が優遇されているわけではなく、道路予算は、十九年度で、ピーク時である十年度の四割減となっているように、大幅に削減してまいりました。その一方で、社会保障関係費は、同じ期間で大幅増となっております。

 さらに、今後の中期計画の事業量についても、現五カ年計画の事業量を二割以上縮減した水準としており、道路財源が聖域扱いされているとの御批判は当たらないものと考えております。

 国道の整備についてのお尋ねがございました。

 道路行政においては、戦後の荒廃、道路の絶対的不足への対応から、急激なモータリゼーションの進展に伴う渋滞や環境問題への対応など、時代の要請に応じた取り組みを行ってきたところであります。

 国道についても、自動車への依存度の高まり等を背景に計画自体を拡大しながら、地域、国民生活に根差したニーズにこたえ、重点的、効率的な整備に努めてきた結果、現時点で十分な幅員を備えた国道は九割に至りました。

 道路の中期計画の必要性等についてお尋ねがありました。

 道路の中期計画の素案は、国民各層からの意見を踏まえ、渋滞対策などの政策課題ごとに対応を要する箇所を具体的に洗い出し、さらに、今後十年間で重点的に対策を講じる箇所数を整理し、事業費を算出したもので、十分に必要性の吟味を行っております。

 また、個々の道路を実際に整備するか否かは、地元自治体等の費用負担者の意思や採算性も含めた厳格な事業評価により判断されるものであります。

 道路特定財源の暫定税率の撤廃及び一般財源化についてお尋ねがございました。

 道路特定財源については、暫定税率を維持し、真に必要な道路整備を行うとともに、これを上回る額は、納税者の理解を得られる範囲で一般財源として活用することとし、法律改正を行うこととしております。

 御指摘のように暫定税率を廃止すれば、大幅な歳入減となり、道路予算やその他の歳出の大幅な削減が避けられず、一般財源化しても、現実に社会保障などに使える財源は生じないものと考えております。

 以上であります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

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 国務大臣の発言(平成二十年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、地方法人特別税等に関する暫定措置法案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、平成二十年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案、地方法人特別税等に関する暫定措置法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。総務大臣増田寛也君。

    〔国務大臣増田寛也君登壇〕

国務大臣(増田寛也君) 平成二十年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案、地方法人特別税等に関する暫定措置法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。

 まず、平成二十年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 極めて厳しい地方財政の現状を踏まえ、基本方針二〇〇六及び基本方針二〇〇七に沿って、歳出全般にわたり見直しを行い、その抑制に努めております。一方、喫緊の課題である地方の再生に向けた自主的、主体的な地域活性化施策の充実等に要する財源を確保するため、地方税の偏在是正により生ずる財源を活用して、歳出の特別枠である地方再生対策費を創設するとともに、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税及び一般財源の総額を増額して確保することを基本としております。

 また、引き続き生ずる財源不足については、適切な補てん措置を講ずることとし、地方財政の運営に支障が生じないようにしております。

 以上の方針のもとに、平成二十年度の地方財政計画を策定しました結果、歳入歳出の規模は八十三兆四千十四億円となり、前年度に比べ二千七百五十三億円の増となっております。

 次に、地方税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 最近における社会経済情勢等にかんがみ、個人住民税について、寄附金控除の拡充、上場株式等の配当等及び譲渡所得等に対する税率の特例措置の見直し並びに公的年金からの特別徴収制度の創設を行い、自動車取得税及び軽油引取税の税率の特例措置の適用期限の延長並びに公益法人制度改革に対応した所要の改正を行うとともに、非課税等特別措置の整理合理化等を行うこととしております。

 次に、地方法人特別税等に関する暫定措置法案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置として、法人の事業税の税率の引き下げを行うとともに、地方法人特別税を創設し、その収入額に相当する額を地方法人特別譲与税として都道府県に対して譲与することとしております。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、平成二十年度分の地方交付税の総額につきましては、十五兆四千六十一億円を確保するとともに、単位費用の改正を行うほか、当分の間の措置として地方再生対策費を創設し、あわせて、減収補てん特例交付金の創設等を行うため関係法律を改正することとしております。

 以上が、地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案、地方法人特別税等に関する暫定措置法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)

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 国務大臣の発言(平成二十年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、地方法人特別税等に関する暫定措置法案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの地方財政計画についての発言及び三法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。今井宏君。

    〔今井宏君登壇〕

今井宏君 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十年度地方財政計画、地方税法等の一部を改正する法律案、地方法人特別税等に関する暫定措置法案、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、福田総理大臣及び増田総務大臣に質問をいたします。(拍手)

 本題に入る前に、海上自衛隊護衛艦と漁船清徳丸の衝突事故につきまして一言申し上げます。

 現在、政府全体が一丸となって、行方不明となっているお二人の捜索をし、一刻も早い救助に向け全力を尽くされておられますが、今後このようなことが起こらないよう、事故原因の徹底解明についても早期に着手されるよう強く求めておきたいと思います。

 それでは、本題に入ります。

 総務大臣に二点お尋ねいたします。

 まず、地域間の財政力格差の是正策についてお伺いをいたします。

 現下の地方財政を取り巻く最大の課題は、地域間の財政力格差の問題であります。地方の活力を高めていくためには、産業の振興、雇用の創出、医療の確保など、地域が直面するさまざまな課題に対応していくための財源が欠かせません。しかしながら、大都市圏を除いては景気回復の足取りは重く、税収が期待できない中で、三位一体改革による地方交付税の削減の影響で、多くの自治体では厳しい財政運営を強いられております。

 平成二十年度においては、こうした地方の窮状にこたえ、地方税財政上の対応として、地域間の財政力格差の是正や地方の財源確保にどのような対策を講じられたのか、総務大臣にお考えをお尋ねいたします。

 次に、地方の道路特定財源についてお伺いいたします。

 改めて申し上げるまでもなく、道路は地域の生活や経済の活性化を支える基盤であります。私が市長時代に取り組んだ東京外郭環状道路の整備は、地域の発展に大きな役割を果たしました。また、市民からは、身近な生活道路の整備について常に要望が寄せられております。これは、都市と地方を問わず、この議場に同席しておられる議員の皆さん方も同じような状況ではないかと思います。

 一方で、道路特定財源の暫定税率を廃止せよとの議論もありますが、自治体からは、二十年度の予算編成に当たり、仮に暫定税率が廃止された場合、大幅な歳入欠陥を生ずるだけでなく、身近な道路の整備や維持管理が滞ってしまうのではないか、地域経済の活性化、住民生活や町づくりに支障が生じるのではないかといった不安の声が広がっております。私は、みずから自治体の予算編成に携わった者として、地方の気持ちを切実に感じているところであります。

 そこで、仮に暫定税率の廃止によって、地方の財源がどれだけ減り、自治体の行財政運営にどのような影響が見込まれるのか、いま一度国民にわかりやすく説明する必要があると考えます。総務大臣のお考えをお尋ねいたします。

 最後に、福田総理大臣に地方分権の推進についてお伺いいたします。

 国から地方にという地方分権改革に終わりはありません。日本の明治以来の中央集権型の統治機構は、至るところでさまざまなひずみや制度疲労を起こしています。サイズの合わなくなった既製服を身につけた日本の統治機構を変えることは、もはや歴史の必然ではないでしょうか。

 私は、激動する国際社会の中で、国家戦略と危機管理などに強い中央政府と、基礎的自治体の再編による道州制の実現から構成される新しい国の形を創造していくべきであると考えております。道州制こそが真の構造改革であり、究極の地方分権であり、最大の行政改革と考えるからであります。

 例えば、日本を十ないし十三程度の道州に区分した場合、欧州、EU各国と比較しても、それぞれ同等の地方文化、経済力そして人口規模を有しております。

 もとより、政府では、地方分権担当大臣や道州制担当大臣を任命され、精力的な検討を進めてきていることは十分承知はしておりますが、ベルリンの壁が崩れ、東西冷戦の終えんと時を合わせるように幕あけした平成が、ことしで二十年の節目の年を迎えました。

 福田総理は、年頭の所感で、ことしを転換点の年としました。振り返りますと、東アジア諸国で唯一植民地になることなく、幕藩体制から近代日本の国家体制へ革命的転換を、しかも世界に例を見ない無血革命で明治維新をなし遂げたのが今からちょうど百四十年前です。近代化の夜明け、黒船来航から、その間たった十五年です。

 大志を持ち、命をかけたその当時の指導者たち。福田総理、転換点の平成二十年、今後どのような新しい国の形、どのような分権型の国家を目指そうとしておられるのか、基本的なお考えをお尋ねいたしまして、私の質問とさせていただきます。(拍手)

    〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕

内閣総理大臣(福田康夫君) 海上自衛隊、イージス艦「あたご」の漁船清徳丸との衝突事故でありますけれども、まことに遺憾なことであります。乗員の方を一刻も早く全員無事に救助できるよう、ただいま全力を挙げているところであります。

 こういうような事故は絶対にあってはならないと思います。全員の乗員の方の捜索救助、これは最優先でありますけれども、あわせて、なぜこのような事故を未然に防ぐことができなかったのか、徹底した原因究明をしてまいります。

 地方分権の推進についてお尋ねがございました。

 私が目指しているのは、それぞれの地域が活力に満ちて自立し、多様性を発揮するとともに、そこに住む方々が安心して生き生きと日々の暮らしを営むことができる社会であります。地方が元気でなければ、日本全体が活性化しません。

 このために、まずは、地方分権改革を着実に推進し、地方がみずから考え、実行できる体制を整備していくとともに、地方再生戦略に従って、地方の活性化を強力に進めるなど、地方の自主的な取り組みを支えるための施策にしっかりと取り組みます。また、地方から都市部への人口の流出を食いとめる方策を進めます。このような取り組みを踏まえて、道州制の導入への道筋を立て、並行して、国民的な議論をさらに深めてまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

    〔国務大臣増田寛也君登壇〕

国務大臣(増田寛也君) 初めに、地域間の財政力格差の是正及び地方の財源確保についてお尋ねがございました。

 地方財政の現状につきましては、近年の歳出抑制方針のもと、三位一体改革の期間における地方交付税等の削減が結果として急激であったこともございまして、特に財政力の弱い地方団体は厳しい財政運営を強いられているもの、このように認識をしております。

 平成二十年度においては、こうした現状を踏まえ、地域間格差の縮小に向けて、地方団体が自主的、主体的な地域活性化施策に取り組むことができるよう、地方財政計画の歳出の特別枠として地方再生対策費四千億円を創設し、地方交付税の算定を通じて、市町村、特に財政状況の厳しい地域に重点的に配分することといたしました。あわせて、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税及び一般財源の総額を増額して確保することとしております。

 地方再生対策費の財源につきましては、地方と都市の共生の考え方のもと、地方税の偏在是正により生ずる財源を活用することといたしました。

 なお、地方税の偏在是正につきましては、消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの間の暫定措置として、法人事業税の一部約二・六兆円を分離し、地方法人特別税を創設するとともに、その収入額に相当する額を地方法人特別譲与税として、人口及び従業者数を基準として都道府県に譲与することとしております。

 各地方団体においては、今般の措置を活用して、喫緊の課題である地方再生に向けて積極的に取り組んでいただきたい、このように考えております。

 次に、道路特定財源の暫定税率が廃止された場合の影響についてお尋ねがございました。

 仮に、道路特定財源の暫定税率がなくなれば、地方団体の財源は、地方譲与税分も合わせますと全体で二兆一千億円のうち九千億円減収となるほか、国の暫定税率の廃止により、国から地方への補助金約五千六百億円、地方道路整備臨時交付金約七千億円にも相当の影響が生じることが懸念されるところでございます。

 暫定税率の廃止により、地域に密着した生活道路や通学路の整備、あかずの踏切対策などの安全対策、冬季における道路の除雪、老朽化が進む橋梁の耐震補強などの維持補修が不十分となり、住民の日常生活に重大な影響が生じることが懸念をされます。また、新直轄方式による都市間を結ぶ幹線道路の整備に支障が生ずることも懸念をされます。

 地方においては、道路事業は、過去の道路整備に係る公債費負担も含め、道路特定財源だけでは足りず、多くを一般財源や地方債により賄っているのが現状であります。したがって、とりわけ、削減が困難な維持補修費や公債費の負担が大きい団体にとりましては、暫定税率の廃止に伴い、例えば道路以外の分野に充てるべき財源を地方債の償還に活用せざるを得ないことから、予算全体のやりくりに極めて苦慮する団体もあり得るところであります。

 このように、この問題は地方行財政に大きな影響を及ぼすものであり、暫定税率の維持が必要と考えているところであります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 田嶋要君。

    〔田嶋要君登壇〕

田嶋要君 田嶋要です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、地方法人特別税等に関する暫定措置法案について質問いたします。(拍手)

 本題に入る前に、けさ四時、イージス艦による漁船衝突事故に関しまして、遺憾の意を表し、そして一刻も早い救出活動を要請するとともに、総理大臣に対して二問質問をいたします。

 第一問、事故は四時でございますが、第一報は何時に聞かれましたでしょうか。

 そして第二問、報道によりますと、一時間半後とのことでございますが、もしそれが事実であれば危機管理上大きな問題があると考えますが、いかがでしょうか。

 さて、今日の日本経済、わけても地方経済は、極めて厳しい状況に置かれています。統計上はイザナギ景気以来の長期的な好景気と言われておりますが、それも国際経済の好調に輸出が引っ張られる形で実現した部分が大きく、もちろん現政権の成果でも何でもありません。それどころか、住宅着工数の激減、サブプライム、モノライン問題の深刻化、あるいは原油や小麦価格の高騰など、経済のマイナス要因が強まっています。

 国会を二度も延長しながら、年金記録問題や薬害肝炎問題、防衛省の調達問題と、過去から受け継がれた自民党失政への対応に追われるばかりで、国民生活と日本経済に対しては希望を見出せる手は何一つ打っておりません。福田内閣の無策ぶりは、テレビに映る国会答弁などを通じて、いよいよ国民の不安感と無力感を高め、そのことは内閣支持率や株価の下落にもあらわれております。国際社会からも、このままではジャパン・パッシングどころか、ジャパン・ナッシングと烙印を押されることでしょう。

 総理、お伺いします。

 過去十年来、自民党政治によって元気になった日本の町が一つでもあったでしょうか。また、我が国の現状は非常事態宣言が出てもおかしくないと考えますが、そのような強い危機感が今政府にはあるのでしょうか。二点、御答弁をお願いします。

 政府の危機感のなさは、その財政運営にもあらわれています。

 平成十九年度の国税収入は、当初予測を九千億円も下回りました。その結果、地方交付税の原資に約三千億円の不足を来し、政府は、昨年決めたばかりの地方交付税特別会計借入金の償還を、何と初年度から三年先送りする羽目になりました。大失態です。にもかかわらず、政府からは、予算委員会での議論を通じても、反省や責任の言葉が一切聞かれません。しかも、先送りしながら、償還期限を延長はせず、後年度の償還額をふやして対応が可能と強弁しています。

 財務大臣、三点伺います。

 これではまさに絵にかいたもち経営ではありませんか。そして、こうした財政運営を平気で行うのは、翌年の税収予測など当たるも八卦外れるも八卦、そのように考えているに等しいと理解いたしますが、よろしいですか。そして第三点、特別会計借入金償還の先送りは、今回限りだということを約束ができますか。第三点目に関しては、イエスかノーでお答えください。

 政府・与党が平成十五年から進めてきた三位一体の改革は、地方の望まない補助率を引き下げる手法によって国庫補助負担金を四・七兆円削減。しかし、地方への税源移譲の額ははるかに少ない三兆円。さらに、臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税も、平成十五年度からのわずか四年間で六・一兆円も減額。

 増田総務大臣は、岩手県知事時代、二十一世紀臨調の知事・市町村連合会議の座長として、国の歳出削減を目的とした不合理な地方交付税総額の削減は断じて許されないものであるという内容の声明を取りまとめられました。

 地方の財政が悪化し、税収格差が拡大したのは、地方の大幅な財政削減を急激に行ったことが最大の原因ではありませんか。知事から立場が変わった増田総務大臣、お答えください。

 次に、今回の改正法案による政府の地方財政格差への対応についてお尋ねをいたします。

 政府は、地方法人特別税暫定措置法案で、地方法人事業税のうち二・六兆円を国税化した後、地方法人特別譲与税として地方に配分し、地方税収格差に対応するとしています。しかし、この措置には大きな問題があります。

 第一に、地方税は、地方自治体から受けるサービスに対して住民が負担するという受益者負担が原則です。本改正によって、一部とはいえ地方法人税をその自治体以外の住民のために使うことは、地方税の原則に反することになります。

 そして第二に、国が地方の税金を取り上げるのは、自主財源を拡充する地方分権に逆行するものであります。地方法人税の一部国税化は、断じて容認できるものではありません。

 そこで、総理大臣にお尋ねします。

 地方税を国税化するという措置は、税制の原則を揺るがし、分権に逆行したものではありませんか。また、これはあくまで暫定ですという苦しい説明を耳にしますが、抜本改革を先送りしているからこそ、こうした理念なき対策に走ることになるのではないでしょうか。お得意の暫定は、ここではどれぐらいの期間を考えているかもあわせて御答弁ください。

 次に、地方交付税制度についてお尋ねをいたします。

 本来、地方交付税制度そのものが地方の財源を保障し、財政を調整するために存在するものです。しかし、現在の地方交付税制度は、拡大した都市と地方の格差を調整し切れているとは言えません。だからこそ、政府は、地方法人税の一部を国税化したり、地方交付税の算定の際に、地方再生対策費という便宜上の財政需要を上乗せするといったことが必要になるのです。

 総理にお伺いします。

 地方交付税制度をこの先どうするおつもりでしょうか。どのようにして財政調整機能を強化し、抜本改革をしていくつもりか、その方向性をお示しください。

 民主党は、改革先送りはしません。既に用意をしているひもつき補助金廃止法案で、地方を真の意味で国のコントロールから解き放ち、そして、将来的には格差是正により配慮した財政調整制度を創設します。

 また、民主党の主張する道路特定財源の一般財源化は、自動車ユーザーのみならず、広く日本の産業や生活者に対しても波及効果の大きい減税策でもあり、しかも、世帯当たり自動車台数の多い地方に対する地方再生策でもあるのです。

 さて、道路です。

 自民党政治は道路に始まり道路で終わる、まさに引導を渡すにふさわしい肝心かなめのテーマであります。これ以上日本を壊さないでほしい、これ以上国民を不幸にしないでほしい、税金を払う普通の生活者のこの悲痛な叫びが権力を変える、正念場の闘いであります。

 日本道路協会という天下り団体が示している三年前の統計データを御紹介します。いわゆる道路密度。日本の数値、一平方キロメートル当たりに三・一六キロの道路は、オランダを除く比較先進国の二倍にもなります。また、既にある道路資産の維持費用に対しての投資額の倍率が三倍を超えているのは、日本のほかはスペインだけであり、既に多くの国では道路維持費用の方が上回っています。こうしたこれまでの実績データと、人口減少、高齢化などの我が国の現実を直視すれば、日本も、おくればせながらではあるけれども、今ある道路を大切に使うストック型社会に移行すべきであることは、だれの目にも明らかではないでしょうか。

 それでも、総理、総理は、本気で多くの国民が毎年五・九兆円もかけて新しい道路をつくり続けることを願っているとお思いでしょうか。空気の読めないリーダーでは困ります。

 また、法案の十年という延長期間も尋常なことではありません。総理大臣、経済社会の不確実性は高まっているのです。翌年の税収予測すらままならないということは、今回、政府自身が証明をしました。にもかかわらず、かつて一度もない、十年という長期の、道路だけのための増税を固定化させるということは、どう考えても異常であると考えますが、総理、いかがでしょうか。

 さらに、総理、総理は、本気で道路だけのための特定財源が国民に支持されているとお思いでしょうか。国民というのは、首長や議長のような、声の大きい国民、税金を使う立場の国民だけではないのです。彼らは三位一体に痛めつけられ、いわばあつものに懲りてなますを吹いている状態です。そうではなくて、声なき声、税金を払う側の声が総理には聞こえているのかということです。

 教育、少子化対策などには、他の先進国の背中すら見えないほどわずかな予算配分しか向けられていません。また、障害者政策の失敗や地域医療の崩壊は国民の生命をも脅かしています。教育も大事、医療も大事、そして道路も同じように大事、だから一般財源化なのです。

 総理が所信表明でも述べられた国民目線の総点検、供給者の立場からつくられた制度を国民本位のものに改める、これは口先だけだったのですか。道路特定財源こそがその一丁目一番地じゃないですか。総理、お答えください。

 最近の世論調査の結果をごらんになっていることと思います。多くの首長さんが大合唱している道路特定財源の維持に賛成している国民はおよそ一割ですよ。

 あのつなぎ法案の愚行によって早くも超低空飛行に入った福田政権は、国民生活を道路に激突させる前に一日も早く操縦席をおりるべきです。とはいっても、前任者のように仕事を途中で投げ出せと申し上げているのではありません。福田総理には、残された大切な仕事があります。つなぎ内閣のリーダーとして政治権力を返上する仕事です。

 政治家としての矜持と、生活者としての感覚が残っている良識ある与党国会議員の皆さんに私は期待しています。御自分たちがいまだに権力の座にあるということそのものが、日本八方ふさがりの元凶であるということに十分お気づきのことだと思います。皆さん方が野党になるということは、国民にとってはもちろんですが、皆さんにとっても決して悪いことではありません。自分たちにこびりついた過去のうみとあかを落とすということ、そして官僚依存の症候群から自立を取り戻すということです。

 社会保険庁、薬害肝炎、障害者対策、建設官製不況、防衛省の不祥事、医師不足、これらの失政に道路特定財源を加えて失政の山をさらに高くしたいのですか。政府・与党のわがままでこれ以上国民を苦しめるのはどうかやめていただきたい。

 自民栄えて国民滅ぶ、賞味期限切れの権力は国民生活にとって致命的である、このことを最後に強く訴えて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕

内閣総理大臣(福田康夫君) けさのイージス艦による衝突事故はまことに遺憾でございまして、御質問がございましたが、私の承知している限りのことを申し上げます。

 私は、六時ごろ電話連絡を受けました。直ちに漁船の乗員の救助に全力を挙げるように指示をしたところであります。

 さて、地方経済の活性化についてのお尋ねがございました。

 政府としては、これまで数年にわたり、構造改革特区、地域再生、中心市街地活性化等の地域活性化策を推進してまいりました。これによりまして地域の元気を回復する効果も出てきておりまして、例えば構造改革特区に認定された地域では、平成十八年九月の調査における地方公共団体の回答をもとにしますと、設備投資で約五千三百億円増加、就業者数で約一万四千人増加、交流人口で約百五十万人増加など、地域の経済を活性化する効果があったと承知しております。

 日本経済、わけても地方経済の厳しい状況についてでございますが、今回の景気回復が長期にわたって続いている中で、地域ごとの状況にはばらつきがあります。産業構造、人口動向の違いなどから、なかなか景気回復を実感できないでいる地域があると考えております。また、原油価格の高騰などが、コストの増加を価格に転嫁することが難しい中小企業を中心に、深刻な影響をもたらしていると認識いたしております。

 政府としては、このような地域間、企業規模間の景況の違いや構造的な問題を十分認識しながら、より広く成長の成果を実感できるよう、地域経済の活力の復活と中小企業の生産性の向上に取り組んでまいります。

 地方法人特別税についてのお尋ねがございました。

 地方法人特別税は、応益性の原則を考慮し、国税としておりますが、法人事業税とあわせて都道府県が賦課徴収し、その税収をすべて地方法人特別譲与税として再配分する仕組みとしております。

 この地方税の偏在是正措置は、消費税を含む税体系の抜本的改革において、地方消費税の充実、地方法人課税のあり方の見直しを含む地方税改革の実現に取り組むこととし、それまでの間の暫定措置として講じることとしたものであります。

 消費税を含む税体系の抜本的改革については、平成十六年度年金改正法において、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成二十一年度までに基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げることとされていること等を踏まえまして、早期に実現を図る必要があると考えております。

 次に、地方交付税制度の抜本改革についてお尋ねがございました。

 地域間の財政力格差を調整するとともに、全国で一定水準の行政を確保する地方交付税の機能は、今後とも重要であると認識しております。

 地方交付税制度を含む今後の地方の税財政のあり方については、地方分権改革推進委員会から今春以降順次いただく予定の勧告を踏まえまして、地方分権改革における国と地方の役割分担等に応じて自主的な税財源を確保するとの観点から検討していくこととなると考えております。

 新しい道路をつくり続けるのかというお尋ねがございました。

 道路行政においては、道路ストックを徹底的に活用し、いかに道路利用者にとってより使いやすい道路にするかとの視点も重視した施策展開を進めてきているところであります。

 中期計画の素案でも、幹線ネットワークの整備のほか、既存の橋梁等の耐震対策、維持修繕のための経費や、通学路の歩道整備、無電柱化など、既存道路を使いやすくするための経費を計上しております。

 道路特定財源について、長期に増税を固定させるものではないかとのお尋ねをいただきました。

 今回の政府案は、厳しい財政事情のもと、真に必要な道路整備を行うため、税率水準の維持を国民の皆様にお願いするとともに、納税者の理解を得られる範囲で一般財源として活用するものであります。

 また、道路の中期計画の案の作成に当たりましては、二十一世紀を見据えた日本の国土建設という中長期的な視点に立つとともに、道路整備の事業プロセスに通常は十年程度を要する実情を踏まえ、十年間を計画期間とし、必要な事業費を算出いたしました。そして、このために必要な財源として、現行の税率水準の維持を国民の皆様にお願いすることといたしました。

 道路特定財源については一般財源化すべきではないかというお尋ねがございました。

 道路整備の必要性、厳しい財政事情、環境面への影響に配慮して、暫定税率を維持して道路の受益者である自動車ユーザーに負担をお願いすることによりまして、真に必要な道路整備を行うとともに、これを上回る額は納税者の理解を得られる範囲で一般財源として活用することとし、法律改正を行うことといたしております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣額賀福志郎君登壇〕

国務大臣(額賀福志郎君) 田嶋議員の御質問にお答えをしたいと思います。

 まず、交付税特別会計の借入金の償還繰り延べについてお尋ねがありました。

 国と地方のバランスのとれた財政健全化を図りながら、地方交付税総額を適切に確保するため、十九年度から二十一年度の交付税特別会計借入金の償還を平成二十五年度以降に繰り延べることとしております。

 新たな償還計画におきましては、「日本経済の進路と戦略 参考試算」において、経済成長に伴う交付税法定率分の増加を見込んでいること等を勘案し、段階的に償還額をふやしていくこととしておりまして、絵にかいたもちとは当たらないと思っております。

 今後とも、適切な経済運営を図るとともに、地方の歳出効率化や歳入確保努力を続けていくこと等により、計画に沿った償還に努めてまいりたいと思っております。

 最後の質問でありましたが、なお、グローバル化した中での経済には不確実性が伴うものであり、経済が順調に推移する場合もあるし、順調に推移しない場合もあり、その時点の経済動向や国、地方の財政状況等も踏まえまして、地方財政を担当する総務大臣ともよく相談をしながら、適切に対応してまいりたいと思っております。

 それから、税収見積もりについてお尋ねがありました。

 平成十九年度補正予算におきましては、平成十八年度税収決算が見積もりを一・四兆円下回った状況のもとで、直近の課税実績などを踏まえ、〇・九兆円の減額補正を行ったことはそのとおりであります。

 毎年度の税収見積もりに当たりましては、直近の課税実績等、その時点で利用可能なデータを踏まえまして、適切な税収見積もりに取り組んでいるところであり、今後とも最善の努力を行ってまいりたいと思っております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣増田寛也君登壇〕

国務大臣(増田寛也君) 地方の大幅な歳出削減が地方財政の悪化を招いたのではないかとのお尋ねがございました。

 三位一体改革においては、国、地方を通じて極めて厳しい財政状況のもと、政府全体の方針として、プライマリーバランスの回復に向けて、国と地方が歩調を合わせて歳出削減に取り組んだものであります。

 各地方団体においても、地方財政の健全化は避けて通れない課題であるとの認識のもと、給与関係経費や投資的経費の抑制など懸命の行革努力を行ってきたものと認識をしております。

 ただし、三位一体の改革における歳出削減とそれに伴う地方交付税等の抑制が結果として急激であったこともあり、財政力の弱い市町村を中心に、大変厳しい財政運営を強いられたとの声があることは、十分に承知をいたしております。

 このため、平成二十年度においては、近年の地域間の財政力格差の拡大に早急に対応するため、税体系の抜本的な改革までの間の暫定措置として、地方と都市の共生の考え方のもと、地域間の税源の偏在をより小さくする措置を講じるとともに、その効果を活用して、特に財政の厳しい市町村に交付税を重点的に配分することにより、地域の活性化を図っていくこととしております。

 以上であります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(横路孝弘君) 塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、地方財政計画外三法案について、総理並びに総務大臣に質問をいたします。(拍手)

 総理は先日の予算委員会で、地方に元気がない、経済が思わしくないと述べ、地方の疲弊を認めました。問題は、地方にどのような疲弊があり、それはなぜ生み出されたかということであります。

 この間、国の公共事業の乱発政策が地方に過大な借金を押しつけ、その結果、住民サービスを後退させてきました。また、規制緩和政策のもとで、地方の鉄道やバス路線は相次ぎ廃止をされ、大規模小売店舗法の改悪、廃止によって、中心商店街の衰退、町壊しが進みました。郵政民営化によって簡易郵便局の閉鎖も加速をしています。農業も、大規模経営でさえ経営を維持できないという危機的状況に直面をしています。

 総理、こうした地方の疲弊した現実は、弱肉強食、規制緩和万能で、アメリカと財界の要求にこたえる構造改革路線がもたらしたものではありませんか。総理の答弁を求めます。

 もう一つ指摘をしなければならないのは、三位一体改革で地方交付税が大幅削減をされたことであります。

 そもそも地方交付税は、全国どこの自治体でも、福祉や教育、医療など、法令に義務づけられた事務事業や住民サービスのナショナルミニマムが確保できるよう財源の保障をするものであります。これによって、財政力の弱い自治体でも住民に必要なサービスの水準が確保できるのであります。

 ところが、小泉構造改革路線のもと、三年間で五兆一千億円という巨額の交付税削減が行われ、多くの自治体は、医療や福祉など生活に密接にかかわる分野で聖域なき見直しを余儀なくされ、住民サービスの後退を招いているのであります。

 総理、この交付税の大幅削減が地方の疲弊をもたらした重大な原因ではありませんか。答弁を求めます。

 今回提案された法案は、地方再生を言いながら、地方財政に対する国の責任を果たしているものとなっておりません。

 第一に、交付税総額の復元、増額の問題です。

 地方の声に押され、政府は地方再生対策費を創設し、何とか総額を対前年度プラスにしました。しかし、復元、増額の要求にはほど遠いものであります。

 具体的に伺います。人口四千人未満の町村は、今回の措置によって幾らの交付税が回復されるというのですか。

 例えば、この五年間の交付税削減額は、北海道・陸別町七億一千万、岩手・川井村六億四千万、福島・金山町三億四千万、長野・王滝村四億六百万、奈良・東吉野村四億七千万、島根・知夫村三億七千万、山口・上関町四億八千万、徳島・上勝町二億五千万、長崎・小値賀町四億三千万、沖縄・与那国町二億七百万と、削減額は億単位であります。地方再生対策費が配分をされても、この削減額の一割、二割程度にすぎないではありませんか。これで地方の声にこたえたというのですか。答弁を求めます。

 第二は、地方法人特別税です。

 地方法人特別税は、都市と地方との格差拡大を防ぐということで、法人事業税の税収の二分の一、約二・六兆円を国税化するものです。格差の拡大を防ぐといいますが、法人事業税そのものの税収格差は、最近は縮小傾向にあるのではありませんか。都市と地方の格差の拡大は、交付税の大幅削減によって、財政力の弱い自治体、人口の少ないところほど一般歳出の削減額が大きくなったことによるものではありませんか。

 総務大臣はかねてより国から地方への税源移譲を主張してきましたが、法人事業税の国税化は日ごろの主張に反するものではありませんか。答弁を求めます。

 また、地方法人特別税の導入は「税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間」とされていますが、税制の抜本的な改革とは消費税率の引き上げのことではありませんか。答弁を求めます。

 第三は、地方財政の財源不足に対する補てん問題です。

 来年度の地方財政は、五兆二千四百七十六億円の財源不足が見込まれています。しかも、こうした巨額の財源不足は十三年間も続いており、本来、交付税率の引き上げによって対応すべきであります。制度改正をしてもなお巨額の財源不足を生じている場合は交付税率の引き上げをしなければならないというのが地方交付税法の趣旨ではありませんか。なぜ交付税率の引き上げをしないのか、総理の答弁を求めます。

 次に、地方が当面する緊急課題の一つである自治体病院について伺います。

 今日、地域医療の中核を担ってきた自治体病院が、経営難を理由に、その存続さえ危ぶまれる事態が各地で進行しています。政府は、医療費抑制策をとり続ける一方で、九〇年代に、景気対策と称して相次ぎ公共投資を推進し、自治体病院にも過大な増築、改修計画を押しつけました。このことが、今日の自治体病院の経営難の要因の一つになっているのではありませんか。

 今必要なことは、医療費抑制策を撤回し、お医者さんを抜本的にふやし、病院勤務の医師の労働条件を改善し、不足地域へ医師を派遣する公的体制づくりを進め、この間削減してきた自治体病院に対する交付税措置の増額を図ることではありませんか。答弁を求めます。

 総務省が示した公立病院改革ガイドラインは、国の医師不足に対する責任を放置したままで、公立病院の再編や自治体の病院経営からの撤退を進めようとするものです。交付税の算定指標を病床数から病床利用率に変更することは、病院経営を一層困難にし、公立病院つぶしに拍車をかけるもので、断じて許されません。

 最後に、道路特定財源の問題であります。

 総理は、地方の道路整備は必要だと言いますが、十年間で五十九兆円をつぎ込む道路中期計画の中心は高速道路の建設です。幹線ネットワークの構築と称して、バブル期の八七年に策定した一万四千キロ計画、さらには七千キロの地域高規格道路や東京湾口道路など、六本の長大橋道路計画まで進めようとしているのであります。一体どこまで高速道路をつくり続けるのですか。しかも、こうした高速道路中心の道路整備が地方に借金を押しつけ、切実な生活道路の予算を削減してきた事実こそ直視をすべきではありませんか。

 今、地方自治体は、深刻な財政難の中で何を優先するのかを迫られています。赤字で立ち行かなくなった病院の維持、危険校舎の改築、生活道路の整備、地域バスの確保など、切実な要求の何を優先するのか、自治体が自主的に選択できる一般財源化が求められているのであります。道路にしか使えない道路特定財源という仕組みを根本的に改め、道路にも、福祉や医療、教育にも使える一般財源化に踏み出すべきではありませんか。総理の答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕

内閣総理大臣(福田康夫君) 塩川議員にお答えいたします。

 構造改革によって地方が疲弊したのではないかとのお尋ねがございました。

 我が国を取り巻く内外の経済社会状況を見ますと、中国やインドなどの急成長、人口減少や少子高齢化、厳しい財政状況など、大きく変化をしてきております。これらを乗り切り、より成熟した社会をつくっていくためには、時代に適合しなくなった制度や組織を改めるなど、日本の将来を見据えた改革を進めていくことが不可欠であります。

 ただし、景気回復が続く中で、産業構造、人口動向の違いなどから、なかなか景気回復を実感できないでいる地域があるのも、これも事実であります。このため、昨年十一月に取りまとめた地方再生戦略に基づき、地方の創意工夫を生かした自主的な取り組みを政府一体となって強力に後押しするなどの施策に取り組んでまいります。

 次に、三位一体改革における地方交付税の削減についてのお尋ねがございました。

 三位一体の改革においては、国、地方を通じた財政の健全化を図るため、地方歳出の見直しに伴う地方交付税総額の抑制を行ったところでございまして、結果として地方交付税の削減が急激に行われたこともありまして、特に財政力の弱い地方団体には厳しいという声があったと認識しております。しかし一方で、地方の自主性、主体性を高めるため、補助金の廃止縮小、税源移譲が実現したところでありまして、地方税財政の改革の第一歩であると考えております。

 地方財政は、医療や福祉など社会保障に要する費用の増加等によりまして、引き続き厳しい状況にありますが、人件費や投資的経費を中心に歳出を抑制するとともに、成長力の強化を図りつつ、歳入確保の努力を続けていくことにより、地方財政の健全化を目指してまいります。

 次に、地方再生対策費についてのお尋ねがございました。

 平成二十年度においては、地方財政計画に特別枠として地方再生対策費四千億円を計上し、地方交付税の算定を通じて、特に財政状況の厳しい市町村に重点的に配分することとしております。人口四千人規模の町村では、平均六千万円弱と見込んでおります。

 地方再生対策費は、地域の活性化のための財源確保を求める地方の声にこたえて計上したものでありまして、医療を初めとする暮らしに必要な機能の確保や農商工連携を通じた農山漁村の活性化など、地方再生の取り組みが広く行われることを期待しております。

 次に、地方交付税率の引き上げについてのお尋ねがございました。

 地方財政は引き続き大幅な財源不足が生じておりますが、国の財政も極めて厳しい状況にあることから、交付税率の引き上げ等の恒久的な制度改正は難しいという判断のもとに、これまで、特例措置として、国の一般会計の加算による交付税の増額措置等によりまして対処してまいりました。今後とも、地方財政の運営に支障が生じることのないよう適切に対処してまいります。

 なお、今後の地方の税財政のあり方につきましては、地方分権改革推進委員会からいただく予定の勧告を踏まえまして、地方分権改革における国と地方の役割分担に応じた自主的な税財源の確保等の観点から、交付税率のあり方も含め検討していくことになると考えております。

 公立病院の経営についてお尋ねがございました。

 いわゆるバブル経済崩壊後の景気対策として公共投資が大幅に追加される中で、公立病院においても、地方公共団体による自主的な判断ではありますが、積極的な施設建設が行われ、一部では、結果として後年度における減価償却費が増加し、経営悪化の一因となっている事例も見られます。

 公立病院は地域医療の確保の上で中心的な役割を果たしていることから、政府としては、各地方公共団体に対して、将来的な費用負担を軽減するよう助言しているところでございます。

 医療政策についてのお尋ねでございますが、今後、高齢化の中で、国民皆保険を堅持し、医療保険制度を持続可能なものとするためには、質の高い効率的な医療サービスを提供しつつ、医療費の適正化などの改革努力を継続していく必要がございます。

 同時に、地域に必要な医師を確保していくことも喫緊の課題であり、医師不足の地域や診療科の医師を確保するために医学部の定員をふやすこととしたほか、来年度においては、診療報酬を見直すとともに、医師確保対策の推進のための予算を大幅に増額することといたしております。

 また、地方交付税の算定においても、公立病院に対して引き続き所要の措置を講じ、必要な地域医療の確保が図られるよう支援してまいります。

 幹線ネットワークの整備についてのお尋ねがございました。

 政策課題に対応するためには、国際競争力の確保や地域の自立、活性化に必要な道路など、広域的な幹線ネットワークは重要であると考えておりますが、中期計画の素案においては、それらと地域の日常生活を支える生活道路等とのバランスにも十分配慮いたしております。

 また、個々の道路を実際に整備するか否かは、地元の自治体等の費用負担者の意思や、客観的かつ厳格な事業評価により判断されるものであります。

 次に、道路特定財源の仕組みを改め、一般財源化に踏み出すべきとのお尋ねでございますが、今回の政府案では、現下の厳しい財政事情のもとで、道路の受益者である自動車ユーザーの負担により、真に必要な道路整備を行うとともに、これを上回る額は、納税者の理解を得られる範囲で一般財源として活用することといたしております。

 地方については、地方の道路整備に対するニーズや、地方の道路事業に占める特定財源の状況等の地方の実情を十分に踏まえ、引き続き道路特定財源制度を維持することが必要と考えております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣増田寛也君登壇〕

国務大臣(増田寛也君) 初めに、都市と地方の財政格差についてお尋ねがございました。

 法人事業税については、人口一人当たりで見た偏在度は必ずしも拡大傾向にはありませんが、近年の景気回復に伴い税収規模が急速に拡大をしていることなどを背景に、地域間の税収の格差が拡大する傾向にある、このように認識をしております。

 三位一体の改革における地方交付税等の抑制は、国、地方を通じて極めて厳しい財政のもと、政府全体の方針として、プライマリーバランスの回復に向けて国と地方が歩調を合わせて歳出削減に取り組んだ結果であります。

 ただし、三位一体の改革における歳出削減とそれに伴う地方交付税等の抑制が結果として急激であったこともありまして、財政力の弱い市町村を中心に大変厳しい財政運営を強いられたとの声があることは十分に承知をしているところでございます。

 次に、地方法人特別税の国税化についてお尋ねがございました。

 今回の地方税の偏在是正措置は、消費税を含む税体系の抜本的改革において、地方消費税の充実と地方法人課税のあり方の見直しを含む地方税改革の実現に取り組むこととし、それまでの間の暫定措置として講じることとしたものでございます。したがって、地方消費税の充実など、地方税の基本方向を明らかにしているところであります。

 また、地方法人特別税は、形式上は国税としていますが、法人事業税とあわせて都道府県が賦課徴収するとともに、その税収を地方法人特別譲与税として譲与する仕組みとしております。

 このように、今回の措置は地方税を充実する方向に反するものではないと考えております。

 次に、税制の抜本的な改革と消費税についてお尋ねがございました。

 今回の偏在是正措置は、税制の抜本的改革までの暫定措置として行うものでございまして、消費税を含む税体系の抜本的改革において、地方消費税の充実、そして地方法人課税のあり方の見直しを含む地方税改革の実現に取り組んでまいります。

 最後に、公立病院改革についてお尋ねがございました。

 今般の公立病院改革の目的は、公と民の適切な役割分担のもとで、地域において必要な医療提供体制の確保を図ることにあります。

 このため、各公立病院は、みずからの役割について必要な見直しを図り、再編やネットワーク化も含めて、必要な医療を地域全体で提供できる体制を構築することが求められます。

 また、地方交付税の算定の見直しは、病床利用率を反映することにより、財政需要の実態を一層的確に測定する観点から検討しようとしているものでございます。その際には、過疎地等における措置の充実とあわせて検討して、地域医療の確保に配慮をしてまいります。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(横路孝弘君) 日森文尋君。

    〔日森文尋君登壇〕

日森文尋君 社会民主党・市民連合の日森文尋でございます。

 質問に入る前に、本日午前四時ごろ、千葉県野島崎の南約四十キロの太平洋上で、海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」と漁船の衝突事故が発生しました。安否が気遣われる二名の捜索救助に全力を挙げるとともに、事故原因の究明はもとより、今後再びかかる事故が起こることのないよう、万全の対策を確立するよう強く求めておきたいと思います。

 私は、社会民主党・市民連合を代表し、ただいま議題となりました地方財政関連三法案につきまして、総理大臣並びに関係閣僚に質問いたします。(拍手)

 政府・与党は、さきの参議院選挙で敗北したことへの反省もあって、地方への配慮と格差是正重視を強調し、地方交付税の七年ぶりの増額や、いわゆるふるさと納税の導入、地方法人特別税などの対策を講じています。しかし、地方再生対策の特別枠を除くと、地方歳出総額も地方一般歳出も減額されており、基本方針二〇〇六の財政再建路線は全く変わっていません。

 今、地方では、この間政府が進めてきた平成の大合併によって、三千二百あった市町村は千八百を切り、行政の手が届かなくなった地域が広がっています。また、三位一体改革によって、四・七兆円の補助金削減にもかかわらず、税源移譲は三兆円、さらに交付税等が五・一兆円カットされ、約七兆円の蛇口が閉められました。

 まさに、地方が疲弊と格差で苦しんでいるのは、地域間の競争による活性化をあおった小泉構造改革の結果であります。地域の疲弊をなくし、地方の格差を是正するには、小泉改革の延長上にある基本方針二〇〇六をきっぱりと見直すことから始めるべきだと考えますが、総理の御見解を伺いたいと思います。

 全国知事会は、昨年十一月の提言の中で、都道府県が政策経費に使える一般財源の額を〇三年度と〇七年度で比較した場合、四・一兆円から二・二兆円へと、約一・九兆円減少となると試算しています。これは、地方交付税の大幅削減が地方の政策的経費の減少につながり、財源調整機能が縮小したことが地域間格差拡大原因となっていることを示しています。

 そうであるならば、弱体化した地方交付税の財源保障、財源調整機能の充実強化による一般財源総額の確保こそが重要であり、地方交付税の復元、増額こそ本筋であると考えます。岩手県知事も務められた、改革派の旗手でもある増田総務大臣、どうお考えでしょうか、お答えいただきたいと思います。

 今回、地域間の財政力格差の縮小として、税制の抜本改革が行われるまでの暫定措置として、これは三十四年間も続かないと思いますが、都道府県の基幹税である法人事業税の約半分を国税である地方法人特別税に組みかえ、譲与税として再配分することになりました。これは、地方分権の理念や税制の原則から逸脱する本末転倒のびほう策に思えてなりません。

 そこで、総務大臣にお尋ねします。

 まず、石原東京都知事が、こんな筋の通らない話をよくぬけぬけと言えるとまで述べていたように、三位一体改革で移譲された三兆円の九割近くの税源が国に戻ってしまう、これは、本来の地方分権の流れ、税源移譲の流れに逆行するものと言わざるを得ません。三位一体改革は、結局国の財政再建のためだったということなんでしょうか。

 そもそも、地方における歳出規模と地方税の収入との乖離をできる限り縮小するという観点に立って地方税の充実確保を図ることが重要です、こう言ってきたのは総務省自身です。今回の地方法人特別税の創設は、これに真っ向から反するものではないでしょうか。

 また、法人事業税は、法人の事業活動と地方の行政サービスとの幅広い受益関係に着目して、事業に対して課される税です。応益課税である法人事業税の譲与税化は、受益のない部分の負担を企業側に求めることになりはしないでしょうか。

 地方法人特別税は、目的もその実質も地方のための税であり、税制の抜本的改革の際は、速やかに地方税としてもとに復すべきものと考えますが、いかがでしょうか。

 地方税の偏在是正で生ずる財源を活用して設けられる地方再生対策費についても、〇八年度分は赤字地方債の増発で財源を賄うことになっているのは納得できません。全く国の腹を痛めずに、すべてのツケを地方の借金に押しつけるやり方は、政府の責任放棄と言わなければなりません。

 以上について総務大臣の明快な答弁を求めます。

 本来、地方の税収格差は、国が東京への一極集中を放置した結果であり、その是正は当然国が責任を持つべきであり、私は、自治体同士の水平調整ではなく、国税を用いるべきであると考えますが、額賀大臣の御見解はいかがでしょうか。

 国税、地方税ともプラスの見通しで策定されている〇八年度の地方財政計画の見通しについて、額賀大臣、増田大臣にお尋ねいたします。

 〇八年度の国税の税収見込みは、〇七年度当初比で八百七十億円増と抑えぎみになっていますが、〇七年度当初比で九千百六十億円減額された〇七年度補正と〇八年度予算案を比べると、一兆円を超える増収が必要となります。今後予想される景気の減速を勘案すれば、〇八年度の税収見積もりは、余りに楽観的であり、高過ぎるのではないでしょうか。

 また、〇八年度の地方税収も、四十兆四千七百三億円と〇七年度当初比で一千億円程度の増額が見込まれ、過去最高水準に達しています。しかし一方で、〇七年度の地方税収が当初見積もりをも下回り、赤字団体転落を回避するために減収補てん債を必要とする事態になっています。やはり見積もりが過大となっているのではないでしょうか。

 国、地方の税収見通しに陰りが出始め、再び地方の財源不足が拡大することが心配されています。しかも、地方交付税は、特別会計借入金償還や交付税精算の繰り延べといった財源補てんののり代はなくなりつつあります。だからこそ、国と地方が財源保障をめぐり対等に協議する仕組みが必要であると考えます。二〇〇六年に地方六団体の新分権構想検討委員会が示した地方行財政会議構想について、総理並びに総務大臣の見解を伺います。

 二〇〇一年六月の地方分権推進委員会最終報告は、「国と地方公共団体の関係の構造を改革することなしに国と地方を通ずる財政再建はあり得ない」としています。分権なくして財政再建なしです。地方分権の推進に当たっては、自治体の側の運動の高揚と各省庁の抵抗を抑える総理の強いリーダーシップが不可欠です。地方に権限と税財源を与え、それぞれの地域が創意工夫を凝らして自立を目指すことこそ、地域を再生し格差を縮め、財政再建にも資すると思います。

 最後に、分権改革推進、特に地方税財源の分権の展望について総理の決意をお伺いし、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣福田康夫君登壇〕

内閣総理大臣(福田康夫君) 日森議員にお答えをいたします。

 地方の格差を是正するために基本方針二〇〇六を見直すべきとのお尋ねがございました。

 我が国の財政事情は極めて厳しい状況にあり、今後、さらなる高齢化の進展が見込まれる中で、財政健全化の努力を継続し、将来世代に責任を持った財政運営を行っていかなければなりません。このため、引き続き基本方針二〇〇六等にのっとり、歳出歳入一体改革を進めてまいります。

 ただし、地方経済の低迷などの問題が生じていることも確かであり、このため、昨年十一月に取りまとめた地方再生戦略に基づき、地方の創意工夫を生かした自主的な取り組みを政府一体となって強力に後押しするなどの施策に取り組んでまいります。

 地方行財政会議についてのお尋ねでございますが、地方に関係の深い行政の推進に当たっては、国と地方が十分に議論を積み重ねることが不可欠であります。このため、国と地方に係る重要な政策課題について意見交換を行う仕組みとして、関係閣僚と地方の代表者による国・地方の定期意見交換会の開催を指示し、これまで二回開催したところであります。こうした場を通じて、国と地方がそれぞれの役割を理解し、連携しながら地方分権改革を進めてまいります。

 次に、地方分権改革の推進についてのお尋ねでございました。

 現在、地方分権改革推進委員会において、国と地方の役割分担や国の関与のあり方の見直し等について審議がなされており、政府としては、今春以降順次予定されている勧告を踏まえ、地方分権改革を進めるための新分権一括法案を国会に提出してまいります。

 今後の地方財政のあり方については、地方分権改革推進委員会の勧告を踏まえ、地方分権改革における国と地方の役割分担等に応じて自主的な税財源を確保するという観点から検討していくこととなると考えております。

 なお、御指摘のような地方税財源の確保の観点からも、道路特定財源の現行税率水準の維持が必要であると考えております。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣額賀福志郎君登壇〕

国務大臣(額賀福志郎君) 日森議員の御質問にお答えをいたします。

 地方の税収格差の是正に国税を用いるべきではないかとのお尋ねがありました。

 平成二十年度税制改正におきましては、法人事業税の一部を地方法人特別税に改め、その収入額を地方法人特別譲与税として、都道府県に対して人口及び従業者数を基準に配分することといたしたわけであります。

 今回の措置は、財政改革路線を堅持しながら、地域間の財政力格差の是正を図るため、格差の大きな要因である法人事業税そのものを見直すこととしたものであり、適切な措置であったと考えております。

 なお、二十年度予算においては、地方交付税の総額を前年度よりも増額をしておりまして、国による財政調整についても適切に対応していると考えております。

 次に、平成二十年度の税収見積もりについてお尋ねがありました。

 平成二十年度の政府経済見通しにおきましては、海外経済の動向などのリスク要因については注視する必要があるものの、民間住宅投資が回復をし、底がたい企業収益に支えられて設備投資が引き続き増加するなどにより、名目GDPが二・一%増加すると見込んでおるところであります。

 こうした中で、来年度の税収については、今年度補正後予算をもとにいたしまして、政府経済見通しにおける各種経済指標等を踏まえまして、五十三・六兆円と見積もったところであります。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣増田寛也君登壇〕

国務大臣(増田寛也君) 初めに、地方交付税の復元、増額についてお尋ねがございました。

 地方交付税総額の増額を求める地方の要望は、現下の厳しい財政運営の実態を訴えるとともに、医療や福祉などの法令に基づく行政サービスの提供にとどまらず、地域の活性化など独自の施策に取り組むための財源が必要であるとの趣旨と受けとめております。

 平成二十年度においては、こうした地方の要望を踏まえて、地方税収の伸びが鈍化する中で、喫緊の課題である地方の再生に向けた自主的、主体的な地域活性化施策に必要な財源を確保するため、地方交付税総額は十五兆四千六十一億円、前年度に比し二千三十四億円の増を確保することとしております。

 平成二十年度の地方交付税の総額は、国においても厳しい財政状況のもと、かつ交付税の原資となる国税五税の伸びが鈍化する厳しい環境の中で、最大限努力した結果であり、御理解いただきたいと考えております。

 次に、地方法人特別税と地方分権の関係についてお尋ねがございました。

 今回の地方税の偏在是正措置は、消費税を含む税体系の抜本的改革において、地方消費税の充実と地方法人課税のあり方の見直しを含む地方税改革の実現に取り組むこととし、それまでの間の暫定措置として講ずることとしたものでございます。したがって、地方消費税の充実など、地方税の基本方向を明らかにしております。

 また、地方法人特別税は、形式上は国税としていますが、法人事業税とあわせて都道府県が賦課徴収するとともに、その税収を地方法人特別譲与税として譲与する仕組みとしております。

 このように、今回の措置は地方税の基本方向に沿うものであり、分権に反するものではないと考えております。

 次に、法人事業税の応益性との関連についてお尋ねがございました。

 今回の措置は、国税として地方法人特別税を創設し、その税収を都道府県に対して譲与するものでございます。したがって、地方税である法人事業税そのものを再配分するものではなく、応益課税である法人事業税の性格から問題との御指摘は当たらないと考えております。

 次に、法人二税の税収が落ち込んだ場合についてのお尋ねがございました。

 今回の措置は、消費税を含む税体系の抜本的改革までの間の暫定措置として講じるものでございます。それまでの間、法人二税の税収の変動があっても、地方法人特別税の収入額を一定の基準で都道府県に譲与することにより、地方税の偏在是正を図ることとするものでございます。

 次に、地方法人特別税の地方税としての復元についてお尋ねがございました。

 今回の地方法人特別税等の創設は、消費税を含む税体系の抜本改革が行われるまでの間の暫定措置というものでありまして、消費税を含む税体系の抜本改革において、この消費税の充実と今回の暫定措置の見直しなどを含む地方税改革の実現に取り組んでまいることでございます。

 次に、地方再生対策費の初年度の財源についてのお尋ねがございました。

 この地方再生対策費は、地方税の偏在是正による効果額を勘案して四千億円を計上することとしており、偏在是正の効果があらわれない平成二十年度においては、臨時財政対策債の発行によりその財源を確保することとしておりますが、この初年度に偏在是正の効果が生じないのは、法人所得課税の仕組み、すなわち適用期日、譲与手続等が影響して、その偏在是正効果が後年度にずれて生じることによるものでございます。平成二十年度の地方再生対策費と見合いの財源については、今般の暫定措置の終了後になお見込まれる偏在是正効果によって確保されるものでございます。

 したがって、つなぎ財源として臨時財政対策債を発行しても、その償還財源は確保されているところであり、問題はないと考えております。

 次に、平成二十年度の地方税収についてお尋ねがございました。

 二十年度の地方税収見込み額については、昨年十二月の時点において、徴収実績等を踏まえて平成十九年度の決算見込み額を推計した上で、これをベースに、利用し得る直近の課税データ等をもとにできる限り正確な見積もりに努めたところでございまして、御指摘のように過大な見積もりとは考えていないものでございます。

 最後に、地方行財政会議についてのお尋ねがございました。

 地方行財政会議の設置については、国会との関係も含め、国の政策決定プロセスに地方がどのような形で関与することが適切かについて、多角的な検討が必要であると認識しています。地方に関係の深い行政の推進に当たっては、国と地方が十分に議論を積み重ねることが不可欠であります。国と地方が定期的に意見交換を行うこと等を通じて、国と地方がそれぞれの役割を理解し、連携しながら地方分権改革を進めてまいります。

 以上でございます。(拍手)

副議長(横路孝弘君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十五分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  福田 康夫君

       総務大臣  増田 寛也君

       財務大臣  額賀福志郎君

       国土交通大臣  冬柴 鐵三君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官  大野 松茂君

       総務副大臣  谷口 隆義君

       財務副大臣  森山  裕君


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