衆議院

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第16号 平成20年4月3日(木曜日)

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平成二十年四月三日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第八号

  平成二十年四月三日

    午後一時開議

 第一 生糸の輸入に係る調整等に関する法律を廃止する法律案(内閣提出)

 第二 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第五 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 生糸の輸入に係る調整等に関する法律を廃止する法律案(内閣提出)

 日程第二 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 生糸の輸入に係る調整等に関する法律を廃止する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、生糸の輸入に係る調整等に関する法律を廃止する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長宮腰光寛君。

    ―――――――――――――

 生糸の輸入に係る調整等に関する法律を廃止する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔宮腰光寛君登壇〕

宮腰光寛君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、我が国の蚕糸業をめぐる状況の著しい変化の中で、生糸の輸入に係る調整等に関する法律に基づく蚕糸業の振興に資する仕組みが有効に機能しなくなってきていること等にかんがみ、同法を廃止するとともに、関係法律について所要の改正を行おうとするものであります。

 委員会におきましては、昨四月二日若林農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、同日質疑を行いました。質疑終局後、施行期日を公布の日に改めることを内容とする自由民主党及び公明党の共同提案による修正案が提出され、採決の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告を申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長東順治君。

    ―――――――――――――

 特許法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔東順治君登壇〕

東順治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、企業における戦略的な知的財産権の活用を促進する観点から、通常実施権等に係る登録制度の見直しを行うとともに、迅速かつ適正な権利の保護のための環境整備を図る必要性があることから、拒絶査定不服審判請求期間の延長並びに特許及び商標に係る料金の引き下げ等を行うものであります。

 本委員会においては、三月二十六日甘利経済産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、四月二日質疑を終了いたしました。質疑終局後、採決を行った結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第三、地域再生法の一部を改正する法律案、日程第四、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長中野清君。

    ―――――――――――――

 地域再生法の一部を改正する法律案及び同報告書

 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔中野清君登壇〕

中野清君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、両法律案の概要について申し上げます。

 地域再生法の一部を改正する法律案は、地域の活力の再生を総合的かつ効果的に推進するため、地域再生に資する事業を行おうとする者等が、地方公共団体に対して地域再生計画を作成すること及び地域再生協議会を組織することを求めることができることとするほか、地域再生に資する事業に対して貸し付けを行う金融機関に対する地域再生支援利子補給金の支給等について定めるものであります。

 また、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案は、経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図るため、特定農業者による果実酒の製造並びに地域の特産物を用いた果実酒及びリキュールの製造に係る酒税法の特例措置を定めるものであります。

 両案は、去る三月二十七日本委員会に付託され、翌二十八日増田国務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。次いで、四月二日質疑を行い、質疑終局後、直ちに採決いたしましたところ、両案は全会一致をもっていずれも原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、地域再生法の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第五 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件

議長(河野洋平君) 日程第五、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長平沢勝栄君。

    ―――――――――――――

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔平沢勝栄君登壇〕

平沢勝栄君 ただいま議題となりました在日米軍駐留経費負担特別協定につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本協定は、日米両国を取り巻く諸情勢に留意し、我が国が在日米軍の維持に伴う経費を負担し、在日米軍の効果的な活動を確保するために、日米間の経費負担の原則を定めた日米地位協定第二十四条についての新たな特別の措置を講じようとするものであります。

 平成十八年に締結された特別協定の効力は平成二十年三月三十一日までとされており、日米両国政府間で交渉が行われた結果、本年一月二十五日、東京において本協定の署名が行われました。

 本協定の主な内容は、

 我が国は、平成二十年から平成二十二年の会計年度において、在日米軍等のために働く労働者の給与の支払いに要する経費及び在日米軍等が調達する光熱水料等の支払いに要する経費を負担すること、

 我が国は、日本側の要請に基づいて、在日米軍の訓練が他の訓練場に移転された場合には、移転に伴い必要となる追加的経費を負担すること、

 米国は、これらの経費の節約に一層努めること

等であります。

 なお、本協定は、平成二十三年三月三十一日まで効力を有することとなっております。

 本件は、去る三月十八日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日外務委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、翌十九日高村外務大臣から提案理由の説明を聴取し、同月二十六日及び四月二日に質疑を行い、討論の後、採決を行いました結果、本件は多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 討論の通告があります。順次これを許します。笠井亮君。

    〔笠井亮君登壇〕

笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、在日米軍駐留経費負担特別協定に反対の討論を行います。(拍手)

 反対理由の第一は、本特別協定が日米地位協定第二十四条の原則に真っ向から反するものだからであります。

 そもそも、地位協定第二十四条は、米軍の維持経費は「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と規定しています。我が国に負担義務は一切ありません。にもかかわらず、政府は、一九七八年、米側の要求にこたえ、思いやりと称して駐留経費の一部負担を始め、一九八七年からは本特別協定を締結し、地位協定からは全く説明のつかない経費を負担してきたのであります。

 暫定的、限定的、特例的と言いながら、従業員手当、給与本体、光熱水料、訓練移転費へと次々と内容を拡大し、三十年にわたり負担を続けて、沖縄でも本土でも米軍基地とその機能強化を支えてきたのであります。これらの総額は五兆円を超え、米軍人軍属の給与以外のほとんどが日本側負担になっています。まさに至れり尽くせりであり、このような国は世界のどこにもありません。

 政府は、駐留経費負担は日米安保体制の円滑かつ効果的な運用に重要な役割を果たしていると説明しますが、これでは日米安保条約が存続する限り特別協定は続けていくことになるではありませんか。福田総理は、昨年十一月の日米首脳会談で、同盟へのコミットメントは揺るぎない、しっかりと交渉させ、早期にまとめたいと表明するだけでした。

 地位協定第二十四条の原則を踏みにじる特別協定の継続は、断じて容認できません。

 第二に、本特別協定を含め、駐留経費の負担を続ける理由は、当初の政府の説明からしても成り立ちません。

 昨年十一月、政府の財政制度等審議会でさえ、日米両国を取り巻く社会・経済財政情勢は大きく変わってきているとして、駐留経費の従来どおりの負担の継続は適当ではないと指摘しています。政府は、一方では、巨額の財政赤字を理由に、国民生活予算を次々に削り、四月からは後期高齢者医療制度を強行し、新たな負担を押しつけているのであります。にもかかわらず、米軍には従来どおり思いやり予算を続けるなど、到底認められるものではありません。思いやる相手が間違っているという国民の声を政府は重く受けとめるべきです。

 しかも、横須賀のタクシー運転手殺害事件、沖縄の少女暴行事件など、米軍人による犯罪が頻発しています。基地ある限り、米軍犯罪はなくならないのであります。綱紀粛正では何の解決にもなりません。ましてや、このような米軍基地を支える思いやり予算を継続するなど、断じて許されません。

 さらに重大なことは、政府が、米軍再編の名のもとに、米領土グアムでの米軍基地建設にまで負担を拡大しようとしていることです。米軍再編ロードマップの日米合意から二年、いまだに再編計画の全容も負担総額も国民に明らかにしないまま、三兆円とも言われる再編経費を負担するなど、もってのほかと言わなければなりません。

 こうした一連の米軍経費負担は、米戦略に基づく新たな拠点づくりを進め、日米軍事同盟を地球的規模に拡大するものにほかなりません。絶対に容認することはできません。

 最後に、思いやり予算と本特別協定はきっぱりと廃止し、米軍再編経費負担を直ちにやめることを強く主張し、反対討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 照屋寛徳君。

    〔照屋寛徳君登壇〕

照屋寛徳君 社会民主党・市民連合を代表して、在日米軍駐留経費負担特別協定について、反対の立場から討論いたします。(拍手)

 新特別協定を考える上で大事な点は、次のことであります。すなわち、我が国においては、最高法規である憲法を頂点とする憲法法体系が、日米安保条約を頂点とする安保法体系によって侵食されていることであります。法体系の侵食ばかりか、国民の安全と生活すらも脅かされているのです。その安保法体系の一角を特別協定が占めております。

 反対理由の第一は、この特別協定で負担する経費が、日米地位協定第二十四条の原則を超えた、際限のない我が国の経費負担になっていることであります。

 例えば、育児所、劇場、米軍人のアルコール中毒患者の施設建設費までも負担しております。年間約二百五十三億円の光熱水費のうち、嘉手納基地の年間光熱水費は、全町民が支払う料金の十倍以上にも達しております。

 二〇〇八年度予算に占める在日米軍関係経費の日本側負担は、総額で約六千百七十億円に上り、このうち千四百三十八億円が特別協定による負担となっております。国民の血税を使って、日本は現金自動支払い機とやゆされる巨額な財政負担を続ける必要など全くありません。

 反対理由の第二は、米軍再編関係経費が約三兆円と予測される中、訓練移転費や提供施設整備費などの経費負担が続けられていることです。

 もはや、思いやり予算と称される特別協定は、特例的、暫定的、一時的な措置から、一般的、固定的、永続的な義務へと変質しております。一方で、日米地位協定上、米側が負担すべき騒音裁判や労働関係裁判での敗訴賠償額は、分担支払いが履行されておりません。

 財政事情が厳しき折、必要なのは、米軍への思いやりではなく、医療、教育、雇用、年金、社会保障など、国民への思いやりであることを表明し、反対討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、電波法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。総務大臣増田寛也君。

    〔国務大臣増田寛也君登壇〕

国務大臣(増田寛也君) 電波法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 我が国のあらゆる社会経済活動の基盤として電波利用の拡大が進む中、有限かつ希少な電波の有効利用の重要性はますます高まっております。そこで、電波の有効利用を促進する観点から、電波利用料についてその使途の範囲及び料額を見直すとともに、柔軟な電波利用の実現のために無線局の運用の特例を追加する等の必要があります。

 これらが、今般、この法律案を提出した理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、電波利用料の使途として、電波のより能率的な利用に資する技術を用いた無線設備の技術基準を定めるために行う国際機関等との連絡調整の事務を例示として追加するとともに、携帯電話や地上デジタル放送などの無線通信を利用できない地域において必要最小の空中線電力によるその利用を可能とするために行われる設備の整備のための補助金の交付対象の拡大等を行うこととしております。

 第二に、免許人等が電波利用料として国に納めなければならない金額の改定を行うこととしております。

 第三に、国等について、電波利用料の徴収に関する規定を適用することとするとともに、特定の無線局の免許人等については、その規定を適用除外とし、または納めなければならない電波利用料の金額を減額することとしております。

 第四に、電波利用料を納付しようとする者は、一定の要件を満たす者として総務大臣が指定する者に納付を委託することができるようにする納付委託制度を整備することとしております。

 第五に、携帯電話の超小型基地局等の無線局について、一定の要件のもとで、免許人以外の者に当該無線局の簡易な操作による運用を行わせることができるようにする制度を整備することとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、電波利用料の使途の範囲の見直しに関する改正規定は公布の日から、電波利用料の納付委託制度の整備に関する改正規定は公布の日から起算して一年を超えない範囲内で政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。小川淳也君。

    〔小川淳也君登壇〕

小川淳也君 民主党の小川淳也でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。(拍手)

 早速本題に入りたいと思いますが、その前に、わずか二日前、歴史的な年度末を越えたばかりであります。国民生活が小麦を初めとした生活必需品の値上げに悲鳴を上げる中、高騰し続けたガソリン価格が劇的に低下し、長年無駄遣いを積み重ねてきた道路予算の見直しにも、ようやく本格的な見直しの機運が高まりました。しかも、これがほかならぬ国民の投じた一票の成果として生み出された政策転換であること、この事実の重みを同士の皆様、そして多くの国民の皆様とともにかみしめたいと思います。

 同時に、今回少なからず生じた混乱の収拾はもとより、地球温暖化対策を初めとした新たな化石燃料課税のあり方についてはより本質的な議論を進める必要があり、その責任が一層増したこと、多くの議員の皆様とともに自覚を深めたいと思います。

 これに関連して、増田大臣にお尋ねをいたします。

 福田総理は、先立つ会見の中で、道路特定財源の一般財源化を表明されました。大臣はこれを政府の統一見解として受けとめておられるか否か。であれば、早々に閣議決定を行い、この見解に拘束力を持たせるべきと考えるが、いかがか。あわせて、道路特定財源維持に要望が強かった全国の自治体に対し、突然のこの変更を大臣はどのように説明されるのか、それぞれお伺いをいたします。

 今回、課税当局の怠慢が大きな原因と言わざるを得ませんが、ガソリンスタンドの経営に少なからぬ御心配をおかけしたことは大変残念に思っております。十年前の酒税減税の際、古い仕入れ在庫を既に返品したものとみなすことで、小売店を無理な在庫調整や理不尽な値下げ競争に巻き込むこともなく、また、割高な過去の税負担を小売店にかぶらせることもありませんでした。たった一枚の国税庁長官通達によってこれをなしたのです。

 しかるに今回、ガソリン税の暫定税率の期限切れが早々に現実味を増していたにもかかわらず、政府は必要な手だてを講じようとしませんでした。たとえ与党の意思によるものであろうが、そうでなかろうが、あくまで国会の決定は国会の決定ではありませんか。事が課税権の行使となればなおさらのこと、いささかの政治的配慮も許さず、淡々と、過去の取り扱いに比しても公平に課税実務を遂行することが政府の務めと考えます。強く抗議をするとともに、一刻も早い通知の実現を要請いたします。この点、増田大臣の御見識を改めてお聞かせください。

 執行権を預かる政府として、与党が主導する国会の決定であろうと、野党の主張が原動力となった国会の決定であろうと、何らかの差異がありますか。その主導権の所属を問わず、政府としては国会の決定に軽重、貴賤の別を設けてはならないと考えますが、基本的な御認識をお聞かせください。

 それでは、電波法についてお尋ね申し上げます。

 放送事業者の電波使用料を引き上げる今回の改正案、ひとしく電波を使用していながら、民放キー局ではわずかに数億円の負担、これに対し、携帯電話事業者は数百億円とも言われる負担を求められ、やはり不満の声が聞こえてまいります。今回の放送事業者向け引き上げによってもなお、全電波料の七割を携帯電話事業者に依存する構造に大きな変更はなく、この点、私は、放送局に対しても、その売り上げ規模や経済利益に見合う形で適正な水準の負担を求めていく必要があろうかと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

 同時に、市場規模が十兆円を優に超える通信放送業界にあって、納める電波料は総額でわずかに六百億円余り、これでは、国民共有の財産たる電波を特権的に利用している者の負担として果たして適正な水準と言えるか、むしろ、高い負担を求め、今まさに地上デジタル放送への移行に伴い多くの国民が負担を強いられている折、少しでもその負担軽減に充てることも一つの方策と考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

 この貴重な電波を割り当てられた放送事業者の放送内容には、真実性、公序良俗に反しないことに加え、政治的な中立が確保されなければなりません。しかし、最近のテレビ番組には、特定党派の特定候補の活動を選挙との関連で独占的に報道するなど、看過できない番組構成も見受けられます。放送番組の政治的中立の確保を一層高める観点から、担当大臣としてどのように取り組まれるか、その具体策をお尋ねいたします。

 先日、映画「靖国」の放映中止が大きく報じられました。背景にさまざまな議論はあるにせよ、やはり国会議員団が事前に試写会を要請したこと、これが一つの大きなきっかけになったことは否めません。改めて、政治権力が表現内容や表現の自由に大きく影響しかねないこと、その潜在的な危険性をはらんでいること、我々一同心すべきと考えます。

 個別の表現内容には踏み込まない一方で、やはり放送による表現の自由、多様性を確保していく観点から、さまざまな規制が存在することも事実です。その中には、いわゆるメディア集中排除原則があり、新聞、テレビ、ラジオの一体経営は本来禁止されているはずです。

 しかし、この規制、既に形骸化しているとの指摘も少なくなく、また、中央キー局による地域放送の支配は全国にまで行き渡っていることは周知の事実です。同時に、地域によっては、政治権力と報道機関が極めて近接している事例も間々見られ、こうした状態の放置は日本の民主主義の健全な発展にとって決して望ましいものとは言えません。

 今後、メディア集中排除原則を実効あるものとするためにどのように取り組まれるか、あわせて、政治家と報道機関とが適切な距離を保つためにどのような取り組みが必要か、総務大臣の御見識をお伺いいたします。

 本法案によれば、高層ビルや地下街、マンションなど携帯電話の電波が届きにくいエリアに、免許を受けた通信事業者以外の者、すなわちビルの管理人等が小型の中継基地局を設置できることとなっております。携帯電波の届かないいわゆる不感地域の解消に効果が期待される反面、やはり電波の不法傍受、盗聴等の防止策があわせて必要になると考えますが、具体策についてお伺いをいたします。

 また、昨今、町の電気店では、明らかに盗聴用と目される電波の送受信機が自在に売買されている現実があります。これを大臣はどうごらんになり、規制を含めた対策の必要性についてどう考えられるか、御見解をお伺いいたします。

 不感地域解消のためには、より強力な電波を発することも一つの方策と考えられますが、一方で、電磁波が人体に及ぼす影響については諸説あるのが現状です。この点、電波行政を担当される総務大臣としてはどのような認識をお持ちか、あわせてお伺いをいたします。

 至るところで電波塔の建設が進む中、地元住民が鉄塔の建設反対、撤去運動を展開し、反対看板を設置するなど、地域が分断されている現状も間々目にいたします。携帯電話の普及そのものは大いに結構なことですが、こうした地域のトラブル防止、地域住民の理解を得るための取り組みが肝要と考えます。この点、総務大臣はどのように取り組み、事業者の指導に当たっておられるか、お伺いをいたします。

 目覚ましい携帯電話の発展は、顧客の利便につながる一方、機種の多様さ、料金体系の複雑さが、わかりにくさ、不便さにつながっていることも事実です。この点、総務省は、携帯ソムリエと呼ばれる資格制度の創設、検定試験の実施、資格認定などを支援するとのことでありますが、現在、民間団体が行っているこの事業、今後、間違っても総務省の新たな利権団体となり、税金の横流しや天下りの温床としてはならないと考えますが、この点、将来にわたる総務大臣の御決意をお伺いいたします。

 今後、放送と通信がますます融合し、発展していくことをにらめば、情報通信分野に対しては、一方で積極的な公的関与を必要とする反面、やはり政治権力から適正な距離を保たねばなりません。この二律背反する二つの要請をうまく両立させていくことが必要となります。この点、我が党がかねてから主張してまいりました独立行政委員会形式による新たな放送通信行政機関の設置こそが最適の選択肢ではないかと考えますが、大臣の御認識をお伺いいたします。

 さて、種々お尋ねをしてまいりましたが、新年度を迎えた今、昨年の参議院選挙以来、その場しのぎで語られ続けてきた年金記録問題をめぐる政府の公約はあっさり破綻し、ほごにされました。日銀総裁人事をめぐっては、余りに唐突で調整能力の欠如した福田内閣の実態が明らかとなりました。今月からいよいよ、私どもが強く反対してきた後期高齢者医療制度が開始され、お年寄りが受け取る不確かな年金額からその保険料が天引かれることになります。暫定、暫定と言いながら三十四年間にわたって漫然と徴収し続け、やっとの思いでその期限切れを果たしたこのガソリン税の暫定税率、これに対しても、与党は早々と再議決の力わざをちらつかせているようです。

 この際、それもこれも含め、ぜひ選挙で国民の信を問おうではありませんか。一刻も早い解散・総選挙を望むことはもとより、まずは当面する、今月二十七日、山口県第二選挙区で行われる衆議院の補欠選挙で堂々と国民の審判を仰ぐべきこと、そして、必ずやこの戦いに勝利し、暫定税率の廃止を確実なものとし、与党の力わざによる再議決を阻止すべきことを宣言して、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣増田寛也君登壇〕

国務大臣(増田寛也君) 小川議員からの御質問に順次お答えしてまいります。

 まず、道路特定財源の一般財源化についてお尋ねがありました。

 総理は、先般、与野党間の協議を進めるため、道路特定財源制度はことしの税制抜本改正時に廃止し、二十一年度から一般財源化するとの見解を示されたところであります。

 これは、政府としての一致した見解でありますが、今後の具体的な対応については、国会における与野党間の協議の状況等を踏まえ検討していくこととなります。

 また、地方団体への説明についても、国会における協議の状況等を踏まえて適切に対応してまいります。

 次に、国会決定の認識等についてお尋ねがありました。

 もとより、国会は国権の最高機関であり、その決定が最重要であることは当然でありますが、政府としては、政府提出法案の年度内成立を強くお願いしてきたところであります。

 今回、御指摘のような在庫に対する税制上の措置は講じておりませんが、税率の特例措置の期限切れを受け、国民生活や経済活動の混乱を最小限にすべく、政府として全力で取り組んでいるところであります。

 なお、委員会での与野党協議の積み重ねによる法案修正や決議など、国会での御決定につきましては、これまでも真摯に受けとめて対応してきており、引き続き適切に対処してまいります。

 次に、放送事業者に対する電波利用料の負担額についてお尋ねがありました。

 電波利用料は、電波を発射する無線局全体の受益を直接の目的とする行政事務の処理に要する実費について、その受益者である免許人全体で負担する広義の手数料の性格を有するものであります。

 したがって、売り上げや経済利益に応じて負担を求める性格のものではございません。

 次に、電波利用料の予算規模が適正な水準であるかについてお尋ねがありました。

 ただいま申し上げましたとおり、電波利用料は、電波監視等の無線局全体の受益を直接の目的として行う行政事務の処理に要する実費について、その受益者である無線局免許人等全体で負担する広義の手数料の性格を有するものであります。

 この行政事務にかかる費用の規模として、地上デジタル放送への完全移行のための送受信環境整備事業を含めて、平成二十年度分で約六百七十四億円を見込んでいるところであり、現在予定している行政事務にかんがみれば、その規模は適正な水準であると認識しております。

 次に、放送番組の政治的中立の確保に向けた取り組みについてお尋ねがありました。

 放送法では、表現の自由を保障する観点から、放送番組編集の自由を規定した上で、政治的に公平であること等の番組準則を定め、また、放送事業者みずからが番組基準を策定し、これらに基づいて放送事業者の自主自律により番組編集を行い、放送番組の適正を図る仕組みとなっております。

 したがって、まずは、各放送事業者において、放送の持つ高い公共性と社会的責任を自覚した放送が行われることを期待したいと考えております。

 次に、マスメディア集中排除原則のあり方、政治権力と報道機関の関係についてお尋ねがありました。

 マスメディア集中排除原則は、放送の多元性や多様性を確保する観点から、放送による表現の自由をできるだけ多くの者が享受できるようにするため、原則として、一の者が支配できる放送事業者の数を一に制限するものであります。

 マスメディア集中排除原則については、これまでも適時適切に見直しを行ってきたところでありますが、今後も、メディアを取り巻く環境の変化を踏まえ、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

 また、政治権力と報道機関の関係でありますが、放送については、先ほどお答えいたしましたように、基本的には、放送事業者の自主自律により放送の政治的公平性の確保が図られるべきものと考えております。

 次に、利用者が設備を運用する携帯電話の盗聴の危険性についてお尋ねがありました。

 今回、利用者による運用を可能とする小型基地局については、通信内容の秘匿措置が講じられなければならない制度を適用することや、通信内容を復元しにくい符号化する方式がとられることから、盗聴が困難となります。

 したがって、今回の法改正により利用者が小型基地局を運用することになっても、盗聴の危険性が増すことはないと考えております。

 次に、盗聴器と目される送受信機に関するお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、盗聴器と目される送受信機が販売されている現状は認識をしております。不法無線機器を把握した場合には、販売店に対して販売の中止を要請するなどの対応をとるとともに、国民に対する適正な機器に関する周知啓発にも取り組んでおります。今後もこれらの対策に鋭意努めてまいります。

 次に、電磁波が人体に及ぼす影響に関するお尋ねがありました。

 電磁波の人体への影響については、国際非電離放射線防護委員会等の国際機関が、安全面から見た国際ガイドラインを策定しております。総務省としても、電波の人体への影響に関する調査を行っており、人体の保護のため、国際ガイドラインを参考に、広く医学者等からの御意見も踏まえ、電波の安全基準を定めているところであります。

 次に、基地局建設に関する地元住民の理解についてお尋ねがございました。

 携帯電話基地局の建設については、地元住民の理解が得られるよう、周辺住民へ基地局設置の事前周知を図ること、あわせて、携帯電話基地局の電波の安全性についてわかりやすい形で周知することなどを、総務省として携帯電話事業者に対して要請してきているところであります。

 次に、携帯電話販売員向けの検定試験に対する総務省後援についてお尋ねがございました。

 総務省は、営利を目的としない民間団体が実施する携帯電話販売員向けの検定試験について、これが公正中立に実施される場合、申請に基づき後援することとし、去る二月、その運用方針を公表したところであります。

 本運用方針に基づき承認を受けた民間団体は、検定試験の実施に当たり総務省後援の名義を使用することができますが、検定試験の受験を販売員等に強制するものではなく、また、補助金等を交付するものでもございません。

 今後とも検定試験への後援を適正に実施し、販売員の資質向上により、消費者が正確な情報に基づいて携帯電話サービス等を選択できる環境の整備を図ってまいります。

 最後に、情報通信分野において独立行政委員会形式の新たな機関を設置することについてお尋ねがありました。

 我が国は議院内閣制を採用しており、内閣の一員である各省大臣が責任を持って行政を執行することが原則となっております。

 特に情報通信分野は、技術革新が激しく、迅速な対応が求められる分野であることから、能動的な行政判断が必要であります。機動的、一体的、総合的な対応を可能とする独任制の省の形態により、大臣が責任を持って行政を執行する体制が適当と考えます。

 実際にも、現在の体制のもと、世界で最も速くて安いブロードバンド環境の実現、デジタル放送の進展などの大きな成果を上げているところであります。

 引き続き、行政として当然求められる公平性と積極的な公的関与の両立を図ってまいる所存であります。

 以上であります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十九分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣

       国務大臣  増田 寛也君

       外務大臣  高村 正彦君

       農林水産大臣  若林 正俊君

       経済産業大臣  甘利  明君

 出席副大臣

       総務副大臣  佐藤  勉君


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