衆議院

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第18号 平成20年4月8日(火曜日)

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平成二十年四月八日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第九号

  平成二十年四月八日

    午後一時開議

 第一 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長下村博文君。

    ―――――――――――――

 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔下村博文君登壇〕

下村博文君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、刑事被告事件の手続への参加を許された被害者参加人につき、その資力が乏しい場合であっても被害者参加弁護士の援助を受けられるようにするため、所要の法整備を行おうとするもので、その主な内容は、次のとおりであります。

 まず第一に、裁判所は、その資力が基準額に満たない被害者参加人から請求があるときは、当該被害者参加人のため被害者参加弁護士を選定するものとし、その報酬及び費用については国が負担するものとしております。

 第二に、日本司法支援センターは、被害者参加弁護士の候補を指名して裁判所に通知する業務、この通知に基づき裁判所により被害者参加弁護士に選定された弁護士に国選被害者参加弁護士の事務を取り扱わせる業務等を行うものとしております。

 本案は、去る三月三十一日本委員会に付託され、四月一日鳩山法務大臣から提案理由の説明を聴取し、四日質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案、日程第三、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長茂木敏充君。

    ―――――――――――――

 戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案及び同報告書

 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔茂木敏充君登壇〕

茂木敏充君 ただいま議題となりました両案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本案は、戦没者の父母等に対し、平成二十年度から額面百万円、五年償還の国債を特別給付金として支給しようとするものであります。

 次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本案は、駐留軍関係離職者及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者の発生が今後においても引き続き予想される状況にかんがみ、これらの離職者に対する臨時措置の有効期限をそれぞれ五年延長しようとするものであります。

 両案は、去る四月一日本委員会に付託され、翌二日舛添厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、四日に質疑を行い、質疑終局後、まず、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法改正案について、自由民主党及び公明党より修正案が提出され、修正案の趣旨説明の後、採決の結果、全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第であります。次いで、駐留軍関係離職者及び漁業離職者等に関する臨時措置法改正案について、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 両案を一括して採決いたします。

 日程第二の委員長の報告は修正、日程第三の委員長の報告は可決であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり議決いたしました。

     ――――◇―――――

 介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生労働大臣舛添要一君。

    〔国務大臣舛添要一君登壇〕

国務大臣(舛添要一君) ただいま議題となりました介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 介護保険制度は、介護サービスの利用者数、事業者数ともに大幅に増加するなど、国民の間に広く定着してきておりますが、その一方で、一部の広域的な介護サービス事業者による悪質かつ組織的な不正事案が発生しております。このため、このような不正事案の再発を防止し、介護事業運営の適正化を図るため、介護サービス事業者に対する規制のあり方について見直しを行うこととした次第であります。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、介護サービス事業者における法令遵守等を徹底するため、介護サービス事業者に対し、業務管理体制の整備を義務づけるとともに、厚生労働大臣等に対し、適正な業務管理体制の整備のための勧告権及び命令権を創設することとしております。

 第二に、不正行為への組織的な関与の有無等を確認するため、厚生労働大臣等に対し、介護サービス事業者の本部等に対する立入検査権を創設することとしております。

 第三に、不正事業者による処分逃れを防止するため、事業の休廃止の届け出について、事後届け出制から事前届け出制に改めることとしております。

 第四に、事業廃止時における利用者のサービスを確保するため、事業を休廃止しようとする介護サービス事業者に対し、必要なサービスが継続的に提供されるよう、他の介護サービス事業者との連絡調整等の便宜の提供を義務づけることとしております。

 以上のほか、介護サービス事業者の指定及び更新に係る欠格事由として、新たに、監査中に休廃止の届け出をした事業者及び同一法人グループ内の密接な関係を有する者が指定取り消しを受けた事業者を追加するとともに、指定等の取り消し処分を受けた事業者に関し、その処分の理由となった事実等を考慮して指定及び更新をすることが相当と認められるときは、都道府県知事等は、介護サービス事業者の指定及び更新をできることとする等の所要の改正を行うこととしております。

 最後に、この法律の施行期日は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。松野博一君。

    〔松野博一君登壇〕

松野博一君 自由民主党の松野博一です。

 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。(拍手)

 介護保険制度は、平成十二年四月に制度が発足し、かれこれ八年が経過しました。その間、介護サービスの受給者数は、制度発足当時の百四十九万人から三百五十六万人へと二・四倍に、介護保険の総費用も、制度発足当時の三・六兆円から七・四兆円へとおよそ二倍になるなど、国民の間で広く定着しているところであります。

 そうした中で、さらなる高齢化が進行し、要介護、要支援高齢者の増加など介護ニーズはますます増大すると言われております。また、核家族化の進展、介護する家族の高齢化など、要介護、要支援高齢者をめぐる環境も変化すると見込まれます。

 介護保険制度は、利用されている要介護の方々だけでなく、その御家族の生活も支える制度であります。今後、高齢化社会にあって、国民生活を支える介護保険制度の重要性が高まることは言うまでもなく、何よりも将来にわたって国民から信頼される制度でなければなりません。

 一方で、昨年発生した株式会社コムスンの不正事案は、大手介護サービス事業者でありながら、複数の事業所で、必要な人員を確保していないにもかかわらず確保しているかのように偽り、不正な手段により指定を受け、さらには処分逃れを行うなど、大変悪質な事案でありました。これまでコムスンを信頼してサービスを受けていた利用者を裏切り、また、社会に大きな影響を与え、国民の介護保険制度に対する信頼を失墜させるような行為であったと言っても過言ではありません。

 まず、こうしたコムスン問題の経緯と背景について、厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 コムスンは、悪質な不正行為を行った事業者であり、介護保険制度から当然排除されるべき事業者であったかと考えます。

 一方で、コムスンに対する厚生労働省の処分に伴い、コムスンを含めたグッドウィル・グループは介護事業から撤退することを表明したため、約八万人の利用者のサービスと約二万人の従業員の雇用をいかに確保するかが大きな課題となりました。コムスンの事業移行については、昨年十二月に円滑に事業移行が行われたと聞いており、胸をなでおろしているところであります。

 一般的に言って、介護保険制度は公的な制度であるため、介護サービス事業所の事業移行に際しては、利用者のサービス確保、従業員の雇用確保のみならず、移行先の選定過程の透明性など、さまざまな要素を踏まえて対応する必要があると考えますが、コムスンの事業移行の経緯について、厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 コムスンのような不正行為の再発を防止するためには、介護サービス事業者における法令遵守を徹底する必要があります。介護保険制度は、要介護、要支援の高齢者を対象とするサービスであり、また、財源は国民から集めた保険料及び公費によって賄われるなど、公共性の高い制度であります。その提供主体である介護サービス事業者が法令を遵守することは当然のことでありますが、それが大手の事業者で守られていなかったのはまことに残念でなりません。

 コムスンの不正事案を受けて、介護サービス事業者の法令遵守の徹底を図るため、介護サービス事業者に対して業務管理体制の整備義務を課すとのことでありますが、その考え方及び内容について、厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 続いて、介護労働者対策についてお伺いをいたします。

 言うまでもなく、介護サービスを支えるのは現場で働く従事者の方々ですが、現在、介護現場の最も大きく、切実な問題は、いかに労働環境を整え、将来にわたって安定的に労働者を確保していくかということであります。介護現場で経験を積み、これから現場のリーダーとして活躍を期待される年代の方々が、待遇等の労働環境が整っていないため、不本意ながら職を離れざるを得ないという方々が多くいらっしゃいます。介護現場の話を聞くと、労働者からは、仕事の内容の割に賃金水準等の社会的評価が低い、現在の賃金水準では、将来、世帯の生計を支えることができないとの声が、また事業者からは、経営が厳しく、人材確保、育成が困難との声が聞こえてきます。

 介護現場で働く従事者の方々が、介護の仕事に誇りが持て、適正な労働環境のもと仕事に専念できる状況をつくり上げていくことが急務であります。介護労働者の人材確保のためにどのように取り組んでいくのか、厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして創設されたもので、国民の信頼の上に成り立っているものであります。こうした観点から、介護サービス事業者の不正事案の再発防止と、介護事業運営の適正化及び介護労働者の人材確保は極めて重要な問題であります。政府の努力を強く期待して、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣舛添要一君登壇〕

国務大臣(舛添要一君) 松野議員から、コムスン問題の経緯と問題が発生した背景についてお尋ねがございました。

 コムスンにつきましては、昨年四月以降に行われた全国的な監査等により、複数の介護サービス事業所で不正な手段による指定申請を行ったことが確認されましたが、いずれも取り消し処分前に事業所の廃止届が提出され、結果的に取り消し処分がなされなかったものであります。

 このため、厚生労働省としては、不正な手段による指定申請行為は処分逃れをしても「不正又は著しく不当な行為」に該当することから、コムスンの事業所について新規指定、更新をしないよう、昨年六月に都道府県等に通知したものであります。

 コムスンの不正事案の背景には、企業における法令遵守が徹底されていないことなどが原因であるものと考えております。

 次に、コムスンの事業移行の経緯についてお尋ねがございました。

 昨年六月、コムスンに対して、指定の更新時期までのサービス提供の継続と利用者の円滑な移行のための計画の作成等を指示いたしました。昨年七月、コムスンから事業移行計画が提出され、全国四十八法人への事業譲渡等が示され、それに基づき事業移行が進められたものであります。事業移行につきましては、昨年十二月一日までに譲渡先法人に事業譲渡が行われ、都道府県等による指定も行われ、円滑に事業移行が完了したと考えております。

 厚生労働省といたしましては、今後とも、関係自治体と連携しながら、事業を承継した法人において確実なサービス提供が行われるよう、指導等に努めてまいります。

 次に、介護サービス事業者の業務管理体制の整備に関するお尋ねがございました。

 本法案では、指定取り消し事案などの不正行為を未然に防止し、介護事業運営の適正化を図る観点から、事業者の法令遵守等を確保する仕組みとして、新たに業務管理体制の整備を介護サービス事業者に義務づけ、事業者において法令遵守の自主的な取り組みを促進することといたしております。

 具体的には、法令担当者の選任、自主的な監査の実施等を規模に応じて義務づけることを予定しております。

 最後に、介護労働者の人材確保に関するお尋ねがございました。

 介護労働者に関しましては、ほかの産業と比較して、その離職率が高く、人材の確保が困難である実情はよく認識してございます。

 このため、厚生労働省としては、昨年八月に介護・福祉分野における人材確保の基本指針を取りまとめたところであり、介護サービス事業者、関係団体、国及び地方公共団体が連携して質の高い人材の確保に努めるよう、総合的な取り組みを進めてまいります。

 また、平成二十年度予算においても人材確保を推進するための予算を盛り込んでいるところであり、これらを通じて将来にわたって安定的に人材を確保するとともに、介護サービスの仕事が魅力あるものとなるよう取り組んでまいります。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 菊田真紀子君。

    〔菊田真紀子君登壇〕

菊田真紀子君 民主党の菊田真紀子でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案について質問します。(拍手)

 本題に入る前に、どうしても舛添大臣にお聞きしたいことがございます。

 昨年夏の参議院選挙で、政府・与党は、消えた年金問題について、今後一年間ですべての統合を完了させます、今後一年で未確認の年金記録五千万件の名寄せをすべて完了しますと国民に約束をしました。しかし、五千万件のうち、三月末までに記録回復できたものはたったの四百十七万件、全体の八%だけであります。

 舛添大臣はもう十分謝罪したおつもりかもしれませんが、公約違反を謝罪されてはおりません。この際、国民の皆様に対して、公約違反についてきちんと謝罪すべきではありませんか。

 年金をめぐっては、ほかにも次から次へと問題が明らかになっています。昨日の参議院予算委員会の審議では、社会保険事務所の職員が事業主の厚生年金保険料を軽くするため、社員の報酬月額を引き下げていた事例等が明らかになりました。国民はもううんざりしています。これまでの手法の問題を認めなければ、従来の対策がこれからも漫然と続くことになり、問題解決はさらに遠のきます。大臣の考えを伺います。

 多くの人が正しい年金額をもらえていないのに、さらにとんでもない制度が今月から始まりました。今、全国のお年寄りは、これは長生きするなということか、また年寄りをいじめるのかと、現代のうば捨て山政策である後期高齢者医療制度に対し怒りを爆発させています。

 このところ、原油高やさまざまな生活必需品が値上がりし、それでなくとも収入がない高齢者の生活は苦しいのに、有無を言わさず年金から保険料を天引きするとは一体どういうことでしょうか。私たち民主党は二年前の医療制度改革のときにも大反対しましたが、強行採決されてしまいました。

 自民党の皆さん、これまで自民党を応援してきたけれども、次の選挙は考えるとの声が御地元で聞こえませんか。高齢者の福祉を大切にしてきたはずの公明党の皆さんには、どんな声が届いているのでしょう。

 年齢で差別し、戦後の日本を支えてくれた高齢者の医療や生活を切り捨てる政策など言語道断であり、民主党は改めて強く反対を表明します。

 ここに来て、突然、福田総理は、この制度の名称を変更すると発表されました。その名も、長寿医療制度。福田総理のネーミングセンスを疑いますが、名称を変えればこの制度に対する高齢者の理解と協力を得られるとでもお考えなのでしょうか。これでは、二つの制度があるかのように誤解され、現場は大混乱します。本当の名前はどちらなのでしょうか。福田総理と舛添大臣、たった二人しか使わないのではないでしょうか。

 当分の間保険料の負担増を凍結してみたり、名称を変更してみたり、政府の小手先の対応には全く信念がなく、こそくで見え見えの選挙対策としか思えません。この際、私たち民主党初め野党四党が共同で提出した後期高齢者制度廃止法案を素直に受け入れ、この制度を廃止することをお勧めしますが、舛添大臣の考えを伺います。

 それでは、質問に入ります。

 まず、介護保険制度の実情について大臣の認識を伺います。

 私たち民主党は、介護保険は今危機的な状況にあるという厳しい認識を持っています。二〇〇五年の介護保険法改正により、介護予防という名をかりた厳しいサービス切り下げや利用者の自己負担増などの問題が増大してきました。また、医療制度改革により療養病床の削減が急速に進んでおり、療養病床から退院を迫られる要介護者もふえています。その結果、介護の負担が重くのしかかり、家庭崩壊や殺人事件、孤独死も引き起こしています。

 厚生労働省は、介護殺人、介護心中の実態を明らかにする統計をとっていないそうですが、こうした調査を行っている研究者によれば、介護が原因で六十歳以上の人が被害に遭う殺人、心中事件は、一九九八年から二〇〇五年までに少なくとも二百五十八件発生し、介護保険制度開始を挟み、年間で二十件から四十件台で横ばい状態が続いているとの報告もあります。

 一方、介護現場では、二〇〇三年と二〇〇六年の二度にわたる介護報酬の引き下げにより、介護従事者の賃金低下や人手不足がますます深刻化し、労働条件は悪化するばかりです。せっかく高い志を持って介護の勉強に励み介護施設や介護サービスの職についても、賃金が低くて生活できず、介護の仕事をやめざるを得ない労働者が後を絶ちません。

 中央福祉人材センターの平成十七年度福祉分野の求人・求職動向によれば、介護職の求人の平均賃金は、高卒以上で月収約十五万八千円、大卒以上でも約十六万三千円、介護福祉士の資格を持っていても約十六万六千円と報告されています。仕事が重労働でつらい割には賃金が低く、これではスーパーのレジ打ちの方がまだいいとの嘆きが多く聞かれます。

 私の地元でも、特に若い男性は、世帯を支えることができないため、結婚を契機にやめる人が少なくありません。介護職員全体の離職率は、二〇〇五年の厚生労働省の調査で二二・六%と、全労働者の一七・五%に比べても大変高く、深刻です。

 このように、介護職はワーキングプアと言われる低賃金、重労働、将来性がなく社会的評価が得られていないという介護関係者の悲鳴をどのように受けとめておられるのか、大臣の認識をお聞かせください。

 私は、介護保険法改正により、介護の社会化という当初の理念はむしろ大きく後退してしまったと指摘せざるを得ません。訪問介護では、家族が同居していることを理由に家事援助が断られるケースがふえました。介護予防では、利用者の自己決定やサービスの自己選択は困難になってしまいました。また、介護施設やグループホームでは、食費、居住費の全額自己負担に伴って、低所得者の入居が難しくなっています。大臣は、二〇〇五年の介護保険法改正の影響をどのように評価しているのか、伺います。

 次に、介護報酬の引き上げについて伺います。

 今申し上げたように、介護の現場では働く魅力がなくなり、介護職員の確保は今後さらに難しくなることが想定されます。今後の高齢者数の推計から試算すると、必要な介護職員数は、二〇一四年で約百四十万人から百五十万人程度と予想され、労働者人口が減少する中で、現在より約三十万人程度の介護職員が必要となります。今求められているのは、介護職員に十分な賃金を払い、適正な事業運営が可能となるような介護報酬の引き上げを行うことであります。

 民主党は、全国の介護関係者十五万人の署名を受け、危機的な人手不足を打開するため、ことし一月に、介護労働者の人材確保に関する特別措置法案、いわゆる介護人材確保法案を衆議院に提出いたしました。この法案では、賃金を高く設定している認定事業所に対して、緊急に介護報酬を三%上乗せし、職員の給与を月二万円程度引き上げるよう目指しています。介護報酬の引き上げ分における財源は一般財源を使うため、被保険者の保険料または利用者の自己負担の増額は発生しません。

 今月三日、舛添大臣は、来年度の改定で介護報酬を引き上げるとの方針を表明したと各紙で報道されましたが、本当でしょうか。また、お得意のアドバルーンだけ上げて、後になってトーンダウンし、結局は何もしないというこれまでのパターンにならないようにお願いしたいものですが、大臣の発言が本当であるならば、被保険者の保険料と利用者の自己負担を引き上げるおつもりなのでしょうか、お聞かせください。

 また、民主党案のように、一般財源を入れて、これ以上保険料も自己負担もふやさないようにするべきではないでしょうか、あわせて伺います。

 あえて言わせてもらえば、来年度の引き上げでは遅過ぎます。介護現場は今待ったなしの苦境に立たされており、民主党案のように、一日も早く引き上げるべきではありませんか。民主党の介護人材確保法案を速やかに成立させ、緊急に介護報酬の引き上げの実施を求めますが、御賛同いただけるかどうか、厚生労働大臣に伺います。

 今回の介護保険法等改正案は、介護事業者大手のコムスンが職員数を水増しして訪問介護事業所の指定を受け、介護報酬を不正に受給した事件の反省から、介護事業所による不正受給の防止を目指すものです。そもそも、コムスン等介護事業者の不正事件に関して、審査など具体的な手続は都道府県が行うことだから厚生労働省に責任はなかったと考えておられるのか、どのような認識であるのか、大臣に伺います。

 また、コムスン事件の背景には、昨年の介護保険法改正で給付抑制が強まったにもかかわらず、無理してもうけようとしたことがあると考えます。もちろん、不正は許されることではなく、問題の根は断ち切っていかねばなりませんが、しかし、コムスン事件を見せしめとして、地域で本当に頑張っているほかの健全なサービス事業者へのさらなる規制強化や行政による無差別的締めつけにつながり、事業者の経営努力や事業展開の妨げになる可能性はありませんか。この点について大臣の見解を伺います。

 また、全国で利用者が六万人を超える大手介護事業者を対象とした連座制の適用により、介護サービス利用者が大変混乱しました。今回の法改正では、処分の連座制について不正行為への組織的な関与の有無を確認し、自治体が指定、更新すべきかどうかを判断することになっていますが、判断の基準あるいは指針を定める予定なのか、また判断基準はどうあるべきなのか、大臣に伺います。

 今回の政府改正案は、介護保険制度の問題点のごく一部への対応でしかありません。これまでさまざま指摘させていただいたように、介護事業者を追い込むほどの低額報酬や厳しい労働環境もあわせて改善していくことが急務であります。介護保険制度の危機的な状況を打開するためには、民主党の介護人材確保法案を早急に議論し、速やかに可決、成立させていただくしかありません。

 与党は、私たち民主党が提出し、前国会において参議院で可決したいわゆる年金保険料流用禁止法案を、衆議院ではいまだに採決もせず放置したままにしています。反対しづらい法案は採決拒否でやり過ごそうという作戦なのでしょうか。この介護人材確保法案についても、まさか同じような引き延ばし作戦などなさらずに、一刻も早く採決していただくよう強く要望し、私の質問を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣舛添要一君登壇〕

国務大臣(舛添要一君) まず、年金記録問題につきましてですが、昨年七月五日の政府・与党取りまとめで、政府としては、本年三月までに実施することをお約束したのは、五千万件の未統合記録と一億人の年金受給者や現役加入者の方々の記録をコンピューター上で突き合わせ、その結果、記録が結びつく可能性がある方々へねんきん特別便をお送りすることであります。

 これにつきましては、予定どおり、三月六日にコンピューター上での突き合わせが完了し、三月末までに千三十万人の方にねんきん特別便をお送りしたところであり、公約違反との御指摘は当たらないと考えております。

 しかしながら、本年三月までに年金記録問題を全面的に解決するとの誤解を与えたことについては、改めておわびしなければなりません。

 この問題につきましては、今後とも、残る記録の解明等に最後まで最大限の努力を傾注してまいります。

 次に、長寿医療制度、後期高齢者医療制度についてお尋ねがございました。

 高齢者の方々の生活を支える医療を提供し、これまで長年社会に貢献してこられた方々の医療を国民皆で支える仕組みをつくるものであります。この制度の創設は大きな制度改革であり、その趣旨や内容について高齢者の方々を初め国民の皆様方に十分に御理解いただき、制度を円滑に実施していくことが必要であると考えております。

 この際、この制度を身近で親しみやすいものとするため、新たにこの制度の通称として長寿医療制度という名称を活用しつつ、関係省庁と連携しながら広報及び周知活動を進めていくことにしたものであり、こうした取り組みにより制度を円滑に実施してまいります。

 次に、介護従事者の労働環境についてお尋ねがございました。

 介護需要が増大していく中で、介護労働者については、賃金、労働時間、健康面の不安や不満が見られることや定着率が低いなどの実情にあることは、これは認識してございます。

 このため、労働環境の改善のために、雇用管理の改善に向けた事業主の啓発、事業主への雇用管理に関する講習、教育訓練等を含む雇用管理に関する相談や情報提供、労働関係法令の遵守の徹底等に努めてきたところであり、今後とも、介護労働者が安心してやりがいを持って働き続けることができる環境づくりに取り組んでまいります。

 平成十七年の介護保険制度改正につきましては、この介護保険制度につきましては、老後の安心を支える仕組みとして定着したものと評価しております。その一方で、介護保険の総費用は急速に増加しており、制度の持続可能性が課題となっていたことから、平成十七年には、新予防給付の創設など予防重視型システムへの転換、地域密着型サービスの創設など新たなサービス体系の確立等を内容とする介護保険制度の改正を行ったところであります。

 この改正については、市町村を初めとした関係者の方々の御尽力により、地域ケアの中核機関である地域包括支援センターの整備が順調に進むなど、おおむね円滑に施行されているものと考えており、今後とも、制度が円滑に運営されるように努力をしてまいります。

 次に、介護報酬についてお尋ねがございました。

 介護労働者の労働環境の改善を図るため、介護サービスに係る事務負担の軽減などさまざまな施策を講じるほか、介護報酬につきましては、現在実施している賃金等介護労働者の実態や介護事業者の経営実態についての調査結果を詳細に把握、精査した上で、国民が負担する介護保険料の水準にも留意しつつ、平成二十一年の改定時に適切な介護報酬の設定に努めてまいります。

 次に、介護報酬の引き上げについて、一般財源を投入すべきではないかとお尋ねがございました。

 介護報酬の引き上げ分を一般財源で賄い、公費負担割合を引き上げることについては、介護保険制度が共助のシステムである社会保険制度であることを踏まえれば、主たる財源は保険料とすべきであり、また、他の社会保険制度との均衡や、国及び地方の厳しい財政状況にかんがみれば、現行より公費負担割合を引き上げることは困難であります。さらに、サービス利用者に応分の負担を求める観点から、一定の自己負担が必要だと考えております。

 次に、民主党の介護人材確保法案に対する政府の見解についてお尋ねがございました。

 介護労働力の人材確保に関する民主党提出法案につきましては、国会に提出されているところであり、国会において、民主党の提案者からの説明及びそれを受けての審議がなされるべきものと考えますが、政府としては、介護報酬の引き上げ分を一般財源で賄うことにつきましては、さきに申し上げましたような問題点があると考えております。

 介護サービス事業者の不正事案について、厚生労働省のかかわり方についてお尋ねがございました。

 介護サービス事業者の指定や指導監督については、都道府県及び市町村が自治事務として行うこととされており、厚生労働省は、自治体に対し必要な助言や指導を行っているところであります。

 さらに、介護保険制度の施行後、不正請求や指定取り消しが増加していたことから、平成十七年の介護保険法改正において、指定の更新制の導入、指定の欠格事由の追加等の事業者規制の見直しを行ってきたところであり、引き続き、介護サービス事業者の不正事案の再発防止に向けて適切に対応してまいります。

 健全な事業者への規制強化につながらないかというお尋ねがございました。

 介護保険制度は、国民から集めた保険料と公費から成り立っている公的な制度であり、そのサービス提供を担っている介護サービス事業者が法令を遵守することは当然であります。

 このため、今回新たに創設する業務管理体制の整備の義務づけについては、法令遵守を確保するために必要な規制と考えておりますが、その内容については、事業者の規模に応じたものとすることとしております。

 いわゆる連座制の判断基準についてお尋ねがございました。

 いわゆる連座制については、組織的な不正行為を行った悪質な介護サービス事業者を介護保険制度から排除するため、引き続き必要な仕組みであると考えております。

 一方、指定取り消し事案の中には、不正行為への組織的な関与の有無など、事業者の責任の程度に応じたきめ細かな処分を必要とするものもあり、このような処分を可能とする仕組みに改める必要があります。

 こうした観点を踏まえ、新たな連座制の判断基準については、全国統一の運用ができるよう適切に定めてまいります。

 以上でございます。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十四分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       法務大臣  鳩山 邦夫君

       厚生労働大臣  舛添 要一君

 出席副大臣

       厚生労働副大臣  西川 京子君


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