衆議院

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第29号 平成20年5月15日(木曜日)

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平成二十年五月十五日(木曜日)

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  平成二十年五月十五日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。経済産業大臣甘利明君。

    〔国務大臣甘利明君登壇〕

国務大臣(甘利明君) 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 近年、悪質な訪問販売等による消費者被害が増加しており、特に高齢者に執拗な勧誘を行い、到底必要とはされないほどの多量の商品を売りつける訪問販売や、こうした悪質な勧誘行為を助長するようなクレジット業者による不適正な与信が問題となっております。また、不当請求等のトラブルを引き起こしている一方的な電子メールによる広告や、クレジットカード情報の不正取得も問題となっており、さらに、商品やサービスが多様化する中で、まだ規制の対象となっていない商品やサービスといった規制の抜け穴をねらった悪質商法による被害も問題となっております。

 これらの問題を克服し、高齢者の方々を初めとして、国民が安心して生活を送ることができる社会をつくるためには、抜本的に対策を強化することが必要不可欠であります。

 こうした認識のもと、真に消費者や生活者の視点に立って、悪質商法対策の充実強化を図るため、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の両法に共通する改正として、その規制の適用対象となる商品やサービスにつき、政令によって指定する方式を改め、原則としてすべての商品、サービスを適用対象とする方式への変更を行い、規制の後追いからの脱却を実現いたします。

 第二に、特定商取引に関する法律の一部改正であります。

 訪問販売によって締結した、通常必要とされる分量を著しく超える量の商品の売買契約等を解除することができることとするほか、契約を締結しない旨の意思を示した消費者への勧誘を禁止します。また、あらかじめ承諾や請求を得ていない相手への電子メールによる広告の禁止や、通信販売において返品条件を広告に明示していない場合に返品をすることができることとする等の措置を講じます。

 第三に、割賦販売法の一部改正であります。

 個別の契約ごとに与信を行う個別クレジット業者に登録制を導入し、また、その加盟店である訪問販売業者等の勧誘行為の調査を義務づけるとともに、虚偽説明等の不正な勧誘行為があった場合には、消費者は与信契約を取り消し、既払い金の返還を求めることができることといたします。また、クレジット業者に対し、信用情報機関を利用した消費者の支払い能力調査を義務づけ、過剰な与信を禁止いたします。あわせて、クレジットカード情報の不正取得に対する罰則等、所要の規定を整備いたします。

 以上が、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)

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 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。三谷光男君。

    〔三谷光男君登壇〕

三谷光男君 民主党の三谷光男です。

 民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました特定商取引法及び割賦販売法の一部を改正する法律案について質問します。(拍手)

 冒頭、中国四川省で起きた大地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、早急な救助と一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。

 質問に先立ち、一昨日強行された道路整備費財源特例法改正案の再議決について一言申し上げます。

 先日行われた衆議院山口二区補欠選挙は、民主党・平岡秀夫さんの圧勝に終わりました。私自身も候補とともに戦い、いただいた有権者の皆様からのお声は、道路特定財源のずさんきわまりない税金の使い方は絶対許さない、もう変えにゃいけんどという声にあふれておりました。二度にわたる再議決は、まさに直近の民意を無視する暴挙であります。

 ましてや、二度目の再議決当日の閣議において来年度から道路特定財源を一般財源化すると決定しながら、国会では政府・与党が十年間の道路特定財源を維持する法案を再議決するというのは、支離滅裂な所業ではありませんか。

 福田内閣と与党議員にこの暴挙に対する猛省を求め、質問に移らせていただきます。

 主にひとり暮らしの高齢者らをターゲットにして、商品を次々に販売する次々販売など、新手の悪質商法が後を絶ちません。国民生活センターによると、訪問販売などのトラブルで全国の消費生活センターに寄せられる相談件数は、年間十四万件にも上ります。

 消費者を言葉巧みに誘い、あるいは判断力の乏しさにつけ込んで強引に売りつける悪質商法の多くにおいて、クレジット契約が使用されています。月々の支払いは少なくて済みますよとの誘い文句で、支払い能力を大幅に超えた契約を結ばされ、多重債務に陥るケースも少なくありません。

 クレジット契約が多用される背景には、商品代金の立てかえ払いを行うクレジット業者が、購入者の支払い能力を考慮することなく、過剰な与信を行っている実態があります。クレジット業者にとっては、契約時に購入者と直接のやりとりがないため、返済能力審査がずさんになりがちで、不適正与信が行われやすくなります。また、加盟店が多くの契約を結べば結ぶほど手数料収入がふえるため、加盟店の管理には消極的になり、悪質商法業者と契約を切れない要因にもなっています。

 本改正案では、クレジット業者に対し、契約者の支払い能力調査を義務づけ、支払い能力を超える与信契約の締結を禁止するとともに、悪質な販売方法で結ばれた契約を解約した場合、既に支払った料金も請求できるなど、規制の強化が盛り込まれました。クレジット業者の責任を重くすることで悪質商法に歯どめをかけようとする方向は、大いに評価します。

 しかし、クレジット業者の立場からは、既払い金返還が認められることによって、収益の圧迫が懸念されます。どのような契約が無効とされ、返還請求の対象となるのか、一定の要件を示す必要があると考えますが、政府の見解をお伺いします。

 特に、ひとり暮らしのお年寄りに布団を何十枚も売りつけるなどの過量販売について、本改正案では、契約を結んでから一年間は、クーリングオフの期間が過ぎても解約できるとしています。法外な大量販売に家族などが後で気づいても解約できるようになることから、望ましい改正だと思いますが、一歩間違えれば過剰規制にもなりかねません。どのような基準を設定するかが問題です。必要な量を著しく超えるとした基準はどのような量を考えているのか、政府の見解をお伺いします。

 貸金業法においては、業者からの借金が年収の三分の一を超えないようにする総量規制が導入されました。クレジット利用額についても同様のルールを設けるべきだという意見もありましたが、今回は見送られました。クレジット契約の総量規制について、政府の見解をお聞かせください。

 また、過剰与信対策の実効性を高めるために、具体的にどのような場合を過剰与信とするか、判断基準を示すことが必要と考えます。政府の見解をお答えください。

 クレジット業者が得る手数料は、分割払いの回数によって利息制限法の上限金利を上回るものもありながら、法的な規制はかけられていません。手数料に何らかの制限を設けることも検討すべきと考えますが、政府の見解をお聞かせください。

 本改正案では、訪問販売業者に対し、消費者に勧誘や契約締結に応じる意思があるかどうか確認するよう努力義務を課し、拒否した相手への再勧誘を禁止するとしました。在宅時にセールスマンがやってきて、要らないと断っているにもかかわらず、強引に商品の説明を延々聞かされた経験がある人は少なくありませんし、居座られて仕方なく契約したという話も珍しくありません。悪質な訪問販売を排除するためには規制強化も必要だと考えます。

 他方で、飛び込みセールスや戸別訪問は、いわば営業の常道です。また、自動車や住宅、置き薬など、御用聞きに回って新規契約につなげるなど、業態によってもセールスの方法は千差万別です。これらの訪問についても、今回は要らないと言われたら再訪問禁止になるのではないかとの懸念が聞かれます。

 通常のセールスと悪質な勧誘の線引きについて、政府の見解をお伺いします。

 悪質な次々販売の事例は、展示会商法でも横行しています。一度来た顧客に対して電話等で執拗に来店を迫り、高額のクレジット契約を強要する悪質な展示会商法については、一部しか対象になっていません。抜け穴になっているのではないかとの声も寄せられています。

 店舗販売のような一般的な商取引を一律に規制することは、商業活動全般に悪影響を及ぼすおそれもあることは考えなければなりませんが、頻発する展示会商法のような悪質商法をこのまま見逃すわけにはいきません。健全な一般的取引への悪影響を排除しつつ、対策を早急に検討する必要があると考えますが、政府の検討状況をお伺いします。

 インターネット取引によるトラブルもふえています。インターネット通信販売では、直接商品を見ることができず、取引相手の顔を見ることもないため、画像とは異なる商品が届いたり、お金だけ振り込んで商品が届かないなどの被害が報告されています。

 今回の改正案では、返品に関する規制とクレジットカード情報の保護が盛り込まれましたが、対策はまだまだ不十分です。決済方法のあり方や場の提供者の責任に対する考え方についても、取引実態を見守りながら、さらなる措置について検討すべきと考えますが、政府の見解をお伺いします。

 悪質商法に対する行政側の担当窓口はばらばらです。縦割り行政の弊害がここにもあらわれています。

 本改正案の所管は経済産業省ですが、国民生活センターは内閣府、広告メール規制についても、送信業者が総務省、広告主が経済産業省です。悪質商法の被害に遭ったとき、どこに相談すればいいのか。情報を広く集め、素早く対策に取り組むために、相談窓口の集約、一元化も必要と考えます。加えて、悪質業者の摘発には、警察庁や公正取引委員会との連携も欠かせません。

 悪質商法対策について、各省間の連携は現在どのように行われているのか、経済産業大臣から実態に即してお答えください。

 福田総理は、消費者行政を一元的に推進する強い権限を持った新組織を来年度に創設する方針を打ち出しています。

 民主党は結党以来、生活者、納税者、消費者の立場を代表する党として、常に消費者の視点に立った政策実現を目指してきました。その立場から、消費者行政の強化が喫緊の課題であり、真に消費者のためになる行政機関であれば大いに賛成しますが、各省庁の持つ権限を有機的に集約することが本当にできるのでしょうか。消費者の名を冠した組織を急いでつくっても、中身が空っぽであったり、見ばえのいい権限だけ切り取って強い権限を持つ新組織をつくったというのであるならば、それは、消費者の安全や利益に資することにはなりません。

 ガス湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故に始まる消費生活用製品の安全の問題や、中国製冷凍ギョーザ中毒事件など食の安全にかかわる問題、薬害の問題、金融商品取引の問題、そして議題である悪質商法の問題など、消費者の安全、利益にかかわる問題は広範囲にわたっています。

 仮に、これらの機能を一元化しようとするならば、新組織の役割と各省庁の役割の切り分けをどのように行うか、丁寧な作業が必要であります。福田内閣はどのような新組織をつくろうとされているのか、消費者行政推進担当大臣から明確にお答えください。

 民主党では、現在、真に消費者の利益を優先し、消費者の立場で行政を監視する、消費者オンブズマン制度を検討中であります。内閣の外側から強い権限を持って消費者行政をチェックし、同時に、国会に対しても法令制定等の意見を言える、そういった独立機関が必要ではないかと考えております。

 最後に、そもそも、消費者、生活者重視と言いながら、四月に期限切れとなった揮発油税などの暫定税率を、民意を無視して強行・再議決により復活させ、道路特定財源のずさんきわまりない税金の使い方を改めないといった所業は、消費者、生活者の切実な声を無視しているに等しい所業であります。そのような福田内閣に、消費者重視の政策ができるはずもありません。

 真に生活者の視点に立った政策の実現は、どうぞ私たち民主党にお任せください。これからも力強く生活者重視の政策を推し進めていくことを国民の皆様にお約束して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣甘利明君登壇〕

国務大臣(甘利明君) 三谷議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、既払い金返還が認められる場合の要件を示す必要があるとの御指摘でありますが、既払い金返還規定につきましては、不意打ち性や取引の複雑性が高く、消費者の自由な意思表示が困難になりがちな訪問販売など、消費者トラブルが多い取引における個別クレジット契約を対象といたしております。

 この場合におきまして、商品の性能、引き渡し時期など契約の重要事項とされるものについて不実のことを告げたり、故意に告げなかったりしたために、消費者が契約内容について誤認した場合には、クレジット契約を取り消し、既払い金の返還を受けることが可能となるような規定といたしております。

 次に、必要な量を著しく超えるとはどのような量を考えているのかについてのお尋ねがありました。

 必要な量を著しく超えるとは、多少購入し過ぎたという程度ではなく、日常生活において、一般の方であればまれにしか購入しないような分量の場合が該当するものであります。

 なお、個別の事例においては、商品等の性質、機能や購入者側の世帯構成、人数等の事情を勘案して判断されていくものと考えております。

 次に、クレジットにおける総量規制及び過剰与信の判断基準を示すことの必要性についてのお尋ねであります。

 クレジット審査では、年収のほか、債務の支払い状況、販売する商品の価値などさまざまな要素を総合的に見て支払い能力を判断すべきものであるため、一律の数値基準のみで判断するような総量規制を行うことは適当ではないものと考えております。

 今回の改正案では、消費者が居住用資産を処分したり、必要最低限の生活維持費を支払い原資に充てることなく、支払い可能と見込まれる額を超えるようなクレジット契約を禁止することで、過剰与信を防止することとしております。

 さらに、訪問販売等に個別クレジットが利用される場合には、事業者の恣意的な判断がなされないよう、具体的なガイドラインを示すなど適切な運用を図ってまいります。

 次に、クレジットにおける手数料について、何らかの制限を設けることを検討すべきとの御指摘であります。

 クレジット会社各社は、適正な手数料を意識し、自主的取り組みにより、手数料率の大宗を既に利息制限法の上限金利以下の水準としております。また、クレジットは、金銭の貸し付けと異なり、返済のための借り入れを重ねるという性質を有していないので、高額な手数料が原因で債務が累積的に増加するという問題は特にないものと承知をしております。

 したがいまして、今回の改正案におきましては手数料規制を設けてはおりませんが、引き続き実態を注視してまいりたいと考えております。

 次に、再勧誘に関する規定における通常のセールスと悪質な勧誘の線引きについてのお尋ねであります。

 再勧誘に関する規定は、訪問販売による被害の中に、消費者が断っているにもかかわらず、事業者が執拗、強引な勧誘を継続することにより意図しない契約を締結させられるといった例が多いことが背景にあるものであります。

 今回の法律案の策定におきましては、消費者が契約を締結しないという意思を示した場合に、これを無視して勧誘を行うことを悪質な勧誘と考えたものであります。

 なお、本規定の運用に際しましては、勧誘を禁止される社会通念上妥当な期間や契約を拒絶する意思の表示のあり方などにつきまして、事業の実態に即したルールを明らかにし、健全な事業者に対する過剰な規制とならないよう十分に意を用いてまいります。

 続きまして、展示会商法への対策の検討状況についてのお尋ねがありました。

 一定期間のみ商品等を展示、販売する、いわゆる展示会を利用した悪質商法につきましては、既に一部が特定商取引法の適用対象となっております。しかしながら、昨今の被害事例では、展示会の開催期間を長くして規制を逃れる事業者が多く見られます。

 このため、通常の物産展などの一般的取引に十分配慮しつつ、関係規定の内容を見直し、展示会商法に対する特定商取引法の適用範囲を拡大する方向で検討を進めてまいります。

 続きまして、インターネット取引における決済方法のあり方や場の提供者の責任に対する考え方についても、さらなる措置について検討すべきとの御指摘がありました。

 これらの課題につきまして、消費者保護を図る観点からの措置を講ずるべきではないかという御意見があることは認識をいたしております。

 一方で、これらに関しては消費者同士の取引が対象となり得ることや、技術的進歩に伴って取引の形態が変化を続けていること等に加えまして、事業者が自主的な取り組みを進展させている状況にあります。

 こうした実態を踏まえまして、法的な手当てが必要か否かも含めて、今後さらなる検討を進めてまいりたいと考えております。

 最後に、悪質商法対策に関する各府省庁との連携の実態についてのお尋ねがありました。

 悪質商法への対策につきましては、各府省庁間の密接な連携が重要であります。

 例えば、悪質商法の情報の入手に関しては、内閣府国民生活センターの全国消費生活情報ネットワークシステム、いわゆるPIO―NETでありますが、この端末を昨年の十二月から経済産業省に設置し、消費者相談情報を迅速に検索できるようにいたしました。

 また、経済産業省、内閣府、金融庁、警察庁、公正取引委員会等で構成をされる悪徳商法関係省庁連絡会議や、集団投資スキーム連絡協議会におきまして、調査中の案件等について情報交換を行っております。

 さらに、行政処分の実施や処分事業者の刑事告発に際しましては、当該事案に関する府省庁との密接な情報交換や協力を行っております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) 消費者庁につきましてお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、去る四月二十三日に開催いたしました第六回消費者行政推進会議におきまして、福田総理から、消費者庁、これは仮称ではございますが、その創設に向けた基本的考え方として、六つの基本方針、そして守るべき三つの原則について発言がありました。

 具体的には、消費者の視点から政策全般を監視し、消費者を主役とする政府のかじ取り役となる消費者庁を創設すること、取引、安全、表示など、消費者の安全、安心にかかわる問題を幅広く所管すること、一元的な窓口機能、企画立案、法執行、勧告などの機能を有する消費者行政全般について司令塔として位置づけること、国のみならず地方の消費者行政も強化すること、また、来年度から消費者庁を発足させることなどであります。

 今後は、こうした総理の示されたお考えを踏まえ、消費者行政推進会議において取りまとめに向けた議論を引き続き進めていただき、その取りまとめを受け、消費者、生活者が主役となることを実感することができる消費者行政の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)

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議長(河野洋平君) 大口善徳君。

    〔大口善徳君登壇〕

大口善徳君 公明党の大口善徳でございます。

 私は、自由民主党、公明党を代表し、ただいま趣旨の説明がありました特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)

 質問に先立ちまして、一言申し上げます。

 去る五月二日にミャンマーにおいてサイクロンによる大災害が発生し、九日のホームズ国連事務次長の発言によれば、被災者は百二十万から百九十万に及ぶとのことであります。また、十二日には、中国西部の四川省でマグニチュード七・八の大規模地震が発生し、多数の死傷者、行方不明者が出ています。いずれも、いまだ被害の全貌は明らかではありませんが、甚大な被害が発生しており、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

 生命の危機にさらされている多くの人々を救うのは、まさに時間との闘いであり、政府におかれては、最大限の迅速かつ実効性のある支援をお願いいたします。

 質問に入ります。

 近年、相次ぐ食品事故、製品事故に加え、高齢者等をねらい撃ちするような悪質商法の横行は、看過しがたい社会問題であります。

 我が国において、安全、安心な社会を形成することは極めて重要な課題であり、特に、消費者重視の行政は、福田内閣が一番力を注いでいる政治の方向性でもあり、今や、消費者を重視した取り組みこそが、新たな価値を生み、経済の活性化にもつながる時代となっています。政治も行政も企業も、そうした生活者や消費者の目線でこれまでのあり方を見直すことが求められているのでございます。

 こうした中で、特に悪質な訪問販売等によるトラブルへの対応は待ったなしであります。中でも、商品やサービスごとに分割払いで購入する個別クレジットは、利用限度がないため、次々に契約を結ばされ、気がつけば多額の支払い義務を負う事態が起こっております。

 例えば、認知症の年金生活者の女性に対し、複数の呉服会社がクレジット契約を通して、売買代金総額で三千万もの大量の呉服を次々販売したケースを初め、とても返済を見込めないような人に対してもクレジット契約による過剰与信が行われ、被害が拡大しています。

 公明党といたしましても、悪質商法トラブルから高齢者等の消費者を守るため、昨年五月に法改正を含め具体策を検討するプロジェクトチームを立ち上げ、クレジット過剰与信の被害者や弁護士など関係者から被害実態を聞き取り、問題点を絞り込むなど、法改正に向けて精力的に党内論議を重ねてまいりました。

 昨年十一月には、甘利経済産業大臣に、特定商取引法及び割賦販売法の両法の改正について、一、行政監督の及ばなかった個別クレジット会社を登録制とする、二、悪質販売の場合、クレジット会社は既払い金を返還する、三、一部を除き、原則としてすべての商品、サービスを法規制の対象とするなど、十項目にわたる申し入れを行ったのであります。

 今回の改正案は、我が党の申し入れ事項の多くが取り入れられ、訪問販売等の規制を強化し、販売業者の悪質な行為に関し、加盟店契約を結ぶクレジット会社にも責任を負わせるなど、悪質商法問題に対する大きな前進をもたらすものと期待をしておりますが、以下の諸点について質問をさせていただきます。

 まず、本改正案は、被害の未然防止と被害者救済に向けて、抜け穴のない規制体系とするために、特定商取引法及び割賦販売法において指定商品・役務制を廃止し、原則としてすべての商品、役務を規制対象とする原則適用方式を採用しております。

 今後、特定商取引法から適用除外とされる商品、役務の整理が必要となりますが、安易に適用除外分野を拡大し、ネガティブリストのもと適用除外品リストを必要以上に複雑化すれば、法改正の本旨が損なわれるとも考えられます。適用除外の基準の考え方や適切かつ早期の明確化について、経済産業大臣にお伺いいたします。

 次に、過量販売対策についてお伺いします。

 例えば、ひとり暮らしの高齢者などに執拗な勧誘を繰り返して、不必要なものを大量に購入させるような商法は極めて悪質性が高く、最後には貯金も家も処分せざるを得ないような悲惨な被害が生じている状況であります。

 今回の改正案は、訪問販売の場合に、日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品、役務の販売、すなわち過量販売について、契約締結時から一年間は契約解除できることとしました。しかしながら、不適切な過量販売につき、消費者側の立証責任が重くなるようでは、使い勝手が悪いものになります。立証責任の軽減について、本改正案でどのような手当てがなされているか、経済産業大臣の御見解をお伺いいたします。

 既払い金の返還制度についてお伺いします。

 現行の割賦販売法では、販売方法に問題があって契約が無効になった場合、未払い分の支払いの拒絶が認められていますが、既に支払った分については消費者に返還されず、被害救済が十分でありませんでした。

 本改正案では、訪問販売等で、特商法が定める不実告知等の不適正な勧誘や過量販売を行った場合、クレジット契約を取り消すことができ、支払い済みの代金も返還されることになった点については高く評価すべきであります。

 ただ、特商法の対象でない店舗販売等は規制の対象外であり、販売会社が倒産した場合も既払い金返還請求が認められないなど、なおも問題が残されているのではないかと考えておりますが、これらの被害者救済のあり方についてどのようにお考えか、経済産業大臣にお伺いいたします。

 悪質な次々販売の被害事例の中には、年金暮らしの高齢者など支払い能力に乏しい消費者との間で高額な個別クレジット契約を結んでいる場合が多く、悪質な販売を排除するためには過剰与信問題を解決しなければなりません。

 現行法では、クレジット会社には過剰与信の防止が義務づけされておらず、返済能力のない人とは契約を結ばないよう求める努力規定のみでありました。

 今回の割賦販売法改正でクレジット会社に過剰与信の防止が義務づけられましたが、その判断基準について、与信可能な額を年収の一定割合以下とするなどの総量規制を導入すべきとの意見もありますが、できる限り具体的な数値基準の原則を示すことにより、実効性のあるものにすべきであると考えます。この点について経済産業大臣にお伺いいたします。

 今回の法改正は広範多岐にわたっており、重要な変更を伴うものでありますので、消費者、特に被害の多い高齢者には、特段の配慮をし、地方自治体とも協力して、わかりやすいパンフレットの配布やきめ細かな説明など、工夫を凝らして広報活動を展開するなど、制度の周知徹底を図る必要があります。

 また、民事ルールが消費者生活相談等を通じて円滑に利用され、消費者被害を未然に防止するための消費者教育も重要であります。さらに、クレジット会社、訪問販売業者等の事業活動に及ぼす影響も極めて大きく、法施行に当たって混乱のないような万全の準備も必要です。

 経済産業大臣の施行へ向けての取り組みについて、お伺いいたします。

 本年四月二十三日、福田総理は、消費者行政推進会議において、消費者を主役とする政府のかじ取り役となる消費者庁(仮称)を来年度から発足させ、地方分権を基本としつつ、地方の消費者行政の立て直し、強化のため、国が講ずべき支援等を検討する旨明言されました。

 本年一月の代表質問で、我が党の太田代表も、消費者庁をつくるべきだと長年の主張を改めて主張いたしました。

 消費者庁の創設へ向けての取り組みについて、内閣官房の消費者行政を担当されている岸田大臣に、また、地方の消費者行政の強化への取り組みについて増田総務大臣に、それぞれお伺いいたします。

 以上、本法律案に関し、消費者保護の観点から、重要課題について御質問させていただきました。

 公明党は、今後とも消費者の視点に立った政策を推進すべく、政府とともに全力を尽くしてまいることをお誓いし、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣甘利明君登壇〕

国務大臣(甘利明君) 大口議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、特定商取引法の適用除外の基準の考え方、その早期の明確化についてのお尋ねであります。

 訪問販売等に関する特定商取引法の規制の適用除外とするべき商品等につきましては、改正法案に掲げているもののほか、訪問販売等に関し消費者の利益を適切に保護することができると認められる法律の監督下にあることを要件として政令で定めることとしております。

 具体的には、消費者保護のための措置を講ずることが可能となるような法目的であること、消費者被害発生時における是正措置が現に整備されていることの二点を満たす法律の監督下にあるものを政令で定めることとしております。

 政令の策定につきましては、法案成立後、早急に準備作業に取りかかり、内容を取りまとめる予定であります。

 次に、過量販売契約の解除における消費者の立証負担の考え方についてのお尋ねであります。

 御指摘のとおり、特に過量販売契約につきましては、被害者が高齢であることも多く、消費者の立証負担の軽減は重要な課題であります。

 現在、特定商取引法や民法の取り消し規定を根拠として事業者と争う場合、事業者が悪質な行為を行ったことを消費者側が立証する必要があるため、特に高齢者の方々には利用が難しい面がありました。

 このため、今回の改正案におきましては、過量な販売が行われたことをもって消費者が契約解除等を主張することができる根拠規定を創設しまして、被害者の立証に関する負担を軽減することを意図いたしております。

 次に、既払い金返還が認められない店舗販売や、販売会社が倒産した場合における消費者被害の救済についてのお尋ねであります。

 既払い金返還規定につきましては、消費者トラブルが集中をし、不意打ち性や取引の複雑性が高く、消費者の自由な意思表示が困難になりがちな訪問販売等について対象とすることとしております。

 御指摘の店舗販売につきましては、今回の改正で、個別クレジットを行う業者を登録制の対象とするとともに、店舗販売の場合も含めて消費者からの苦情を適切に処理するよう義務づけており、これにより消費者トラブルへの適切な対応が可能になると考えております。

 また、販売業者が倒産した場合の既払い金返還につきましては、クレジット業者がクレジット契約の締結前に調査を尽くしたとしても、倒産の可能性をあらかじめ把握することは極めて困難であることから、倒産という事実のみでクレジット業者に既払い金返還を一律に請求できるようにすることは適切ではないと考えております。

 続きまして、過剰与信防止義務について、判断基準として数値基準を示すなど実効性のある規制にすべきではないかとの御指摘であります。

 クレジット審査では、年収のほか、債務の支払い状況、販売する商品の価値などさまざまな要素を総合的に見て支払い能力を判断すべきでありまして、一律の数値基準を定めることは適当ではないと考えております。

 一方、今回の改正案では、消費者が居住用資産を処分したり、必要最低限の生活維持費を支払い原資に充てることなく、支払い可能と見込まれる額を超えるようなクレジット契約を禁止することで過剰与信を防止することとしております。

 また、訪問販売等に個別クレジットが利用される場合について、事業者の恣意的な判断がなされないよう、具体的なガイドラインを示すなどによりまして、今般の改正規定が実効性のあるものとなるよう、適切な運用を図ってまいります。

 最後に、制度の周知徹底等、改正法の施行に向けた取り組みについてのお尋ねであります。

 御指摘のとおり、今回の法改正は、指定商品制、指定役務制の廃止を含む大規模な改正でありますので、内容の周知徹底が重要と認識をしております。

 法律、政令、省令のみならず、ガイドラインや通達も十分に整備した上で、消費者の方々、実際に消費者が頼りとする消費者相談員の方々、規制の対象となる事業者の方々に対しまして、それぞれきめ細かな周知を行ってまいる所存であります。

 また、消費者相談の窓口であるとともに法執行の一翼を担っていただいている地方自治体とも十分な連携を図り、スムーズな法施行を目指してまいります。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) 消費者庁の創設に向けての取り組みについてお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、去る四月二十三日開催いたしました第六回消費者行政推進会議において、福田総理から、消費者庁の創設に向けた基本的考え方として、六つの基本方針と守るべき三つの原則について発言がありました。

 今後は、総理のお示しになったお考えを踏まえ、消費者行政推進会議において取りまとめに向けた議論を引き続き進めていただき、その取りまとめを受け、政府としての方針を決定してまいりたいと考えております。

 その中にありまして、消費者行政推進担当大臣といたしましては、一つは、地方の窓口機能の充実を初め情報一元化の仕組みをしっかりとつくっていくこと、二つ目としまして、集約した情報を分析し、対応できる専門性を兼ね備えた新組織をつくっていくということ、そして三つ目としまして、新組織が消費者行政の司令塔たる役割を果たせるようしっかりとした権限を付与すること等を重視しながら、消費者の視点から政策全般を監視し、消費者を主役とする政府のかじ取り役となる消費者庁の来年度発足に向けて努力していかなければならないと考えております。(拍手)

    〔国務大臣増田寛也君登壇〕

国務大臣(増田寛也君) 大口議員から、地方の消費者行政の強化への取り組みについてお尋ねがございました。

 消費者行政の強化のためには、国に消費者庁を創設するのみならず、地域の現場で直接消費者の方々への対応をする地方公共団体の体制の強化が不可欠である、このように考えております。

 先般、福田総理から示されました消費者庁の創設に関する指示の中でも、地方分権を基本としつつ、地方の消費者行政の立て直し、強化のために、当面、国が講ずべき支援策のあり方について検討するよう求められているところであります。

 消費者問題に迅速かつ的確に対応するための地方への権限移譲や国の支援策等につきまして、担当大臣である岸田大臣と十分協力の上、検討を加速してまいります。

 以上でございます。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十三分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣  増田 寛也君

       経済産業大臣  甘利  明君

       国務大臣  岸田 文雄君

 出席副大臣

       経済産業副大臣  新藤 義孝君


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