衆議院

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第3号 平成20年10月1日(水曜日)

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平成二十年十月一日(水曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第三号

  平成二十年十月一日

    午後一時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 永年在職の議員尾身幸次君、伊吹文明君、二階俊博君、額賀福志郎君、町村信孝君、大島理森君、甘利明君及び中川昭一君に対し、院議をもって功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任するの件(議長発議)

 国務大臣の演説に対する質疑


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 永年在職議員の表彰の件

議長(河野洋平君) お諮りいたします。

 本院議員として在職二十五年に達せられました尾身幸次君、伊吹文明君、二階俊博君、額賀福志郎君、町村信孝君、大島理森君、甘利明君及び中川昭一君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。

 表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。

 これより表彰文を順次朗読いたします。

 議員尾身幸次君は衆議院議員に当選すること八回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員伊吹文明君は衆議院議員に当選すること八回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員二階俊博君は衆議院議員に当選すること八回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員額賀福志郎君は衆議院議員に当選すること八回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員町村信孝君は衆議院議員に当選すること八回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員大島理森君は衆議院議員に当選すること八回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員甘利明君は衆議院議員に当選すること八回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員中川昭一君は衆議院議員に当選すること八回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

 この贈呈方は議長において取り計らいます。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) この際、ただいま表彰を受けられました議員諸君の登壇を求めます。

    〔被表彰議員登壇、拍手〕

議長(河野洋平君) 表彰を受けられました議員諸君を代表して、尾身幸次君から発言を求められております。これを許します。尾身幸次君。

尾身幸次君 ただいま、河野議長より院議をもって永年在職表彰を賜りましたことは、まことに光栄の至りであります。本日ともに表彰を受けられた、一九八三年十二月初当選、以来八回連続当選の同期議員八名がおられますが、年長のゆえをもちまして、お許しを得て、一同を代表し、私が、慣例に従って、みずからの来し方を振り返りつつ、御礼の言葉を申し上げます。(拍手)

 私は、群馬県沼田市に、八人兄弟の長男として生まれました。生活は苦しく、中学のころから行商をして家業を助けました。大学も自宅からの送金は一切なく、奨学金と週五回の家庭教師のアルバイトで卒業いたしました。

 通産省で二十六年間勤務した後、かねて心ひそかに志していた政治への道を目指し、衆議院選挙に立候補するため、ふるさとへ戻りました。

 「渡って帰る橋は自分でたたき落として群馬に戻ってきました。もう通産省の温かいいすには戻ることはできません。」これが中選挙区時代の群馬一区での私の第一声でありました。地盤、看板、かばんのいずれもない裸一貫の私は、自民党の公認もいただけませんでした。しかし、結果は、草の根の力で、無名の私を選んでいただいてのトップ当選でありました。以来本日まで二十五年間、私を支え、育ててくださったのは、地元の有権者の皆様であります。この議場から改めて心より厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 二十八歳のとき、突然結核にかかったことが縁で、我が恩師、中村天風先生にめぐり会うことができ、ヨガ哲学を基本とする心身統一法で病を克服し、以来今日までの四十五年間、毎朝、座禅と呼吸法と冷水浴を実行し、自分自身の心と体を鍛えつつ、この半世紀近くを走り続けてまいりました。

 一九九三年、科学技術部会長に就任したとき、私は、資源が乏しく国土の狭い日本は科学技術立国を目指す以外に生きる道はないと考え、二年の歳月をかけて科学技術基本法を議員立法として提案、国会を満場一致で通すことができました。このことが、その後私が科学技術に力を注ぐ契機となりました。

 経済企画庁長官、科学技術政策、沖縄及び北方対策担当国務大臣、財務大臣と三度の閣僚経験をさせていただきましたが、その中で、科学技術及び沖縄担当大臣のとき、二つの考えが心に浮かびました。

 一つは、沖縄に英語で講義を行う科学技術の大学院大学を設立することです。現在、この大学院大学は、ベスト・イン・ザ・ワールドという理念を掲げ、着々と開学に向かって進んでいます。

 二つ目は、ダボス会議の科学技術版とも言える科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム、STSフォーラムの開催です。

 科学技術の急速な進歩により、私たちの生活や経済は著しく向上した反面、環境問題、化学兵器など、マイナス要因も浮き彫りになってまいりました。科学技術の光と影であります。私たちは、今後、将来に向かって、この影を適切にコントロールし、光を伸ばしていかなくてはなりません。

 そのためには、科学技術者だけでなく、政治家、経営者、マスコミなど、世界じゅうのあらゆる分野の人々が一堂に会し、人類の将来の視点から、科学技術を自分自身の問題としてとらえ、話し合う必要があると考え、STSフォーラムを創設し、会長に就任いたしました。二〇〇四年以来、年一度、秋の京都で開催し、今年で第五回を迎えます。世界九十カ国からノーベル賞学者、科学技術大臣、大学の学長を含む約八百名が集う、日本が主催する最大規模の本格的な国際会議となっております。

 資源が乏しく国土の狭い日本が生き残るには、頭脳で勝負するしかありません。私は、これからも、科学技術で力強い日本をつくることを我が人生の政治目標として掲げてまいる決意であります。

 二十一世紀に入り、人類にとって無限と思われていた地球は、今や有限なものとなりました。私たち人類は、これから、この地球の有限性に対応して生活や経済の仕組みを改め、自然を支配するのでなく、自然と調和して、ハーモニー・ウイズ・ネーチャーで生きていかなければ、生存も繁栄も確保できません。この理念のもと、次世代の人類全体の生きるべき正しい道筋をつけていきたいと考えています。

 なすべきことはたくさんあります。皆様のさらなる御理解、御支援をいただき、日本の発展のために、また世界の未来の子供たちのために、今後も全身全霊を賭して邁進することをお誓い申し上げ、感謝の言葉とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(河野洋平君) 本日表彰を受けられました他の議員諸君のあいさつにつきましては、これを会議録に掲載することといたします。

    ―――――――――――――

    伊吹 文明君のあいさつ

  此度、院議により在職二十五年の表彰を賜わりました。昭和五十八年の初当選以来、苦しかったこと、政治家冥利であったこと等々、過ぎし歳月を想い、万感胸に迫るものがあります。この表彰は身に余る光栄でありますが、ひとえに先輩、同僚の皆さまのご指導、ご厚誼によるものであります。何よりも、私ごときものを、今日まで温くご支援、ご指導いただきました地元京都一区の有権者、後援会の皆さまのお心によるものであり、感謝の気持を表す言葉すら見い出し得ないのであります。

  二十年に亙る大蔵省での公務員の仕事を離れ、私が政治の世界に踏み出しましたのは、今は亡き渡辺美智雄先生のお薦めによるものでありました。先生は、「原理原則を大切にせよ」と口癖のようにおっしゃっておられました。「票のために原則を曲げてはならない。しかし、何事も原則どおりなら、政治はいらない」とも教えられたのであります。それを私流に申せば、「民主政治における権力である多数を握らねば政治は出来ない。しかし、理念や政策を忘れては、政治をやっている値打ちがない」のであります。

  ゆるぎない政治理念として、私は日本的保守主義を大切にしてまいりました。即ち、自助努力と自己責任を基本に、公益とよき伝統、規範による人間の節度・力を重視し、品性を失わぬ自由社会を目指してきたのであります。この理念のうえに、品格ある日本国の確立を目指し、これからも努力してまいりたいと存じます。

  皆さまのおかげで、この二十五年間、自由民主党幹事長等の仕事を通じ、私を育てていただいた政党政治に微力を注ぐことが出来ました。また、四つの大臣を務め、行政に参画する機会も得ました。しかし、何よりも私が誇りに思うのは、連続二十五年、国権の最高機関たる本院に席を置き、その運営の一端に係わり得たことであります。近年、衆参両院で多数を占める政党が異なる所謂ねじれ国会のあり方が問われています。国会に席を置く、先輩、同僚の英知により、国家、国民のため、国会が国権の最高機関として、より良く機能し、国民から更なる信頼を得ることを願ってやみません。

  結びにあたり、この二十五年間、私を支え、苦楽を共にしてくれた事務所の皆さんと家族にも心からの感謝を述べ、表彰に対するお礼の言葉といたします。

    …………………………………

    二階 俊博君のあいさつ

  ただいま、院議をもちまして河野衆議院議長から在職二十五年の表彰の栄に浴しました。身に余ることであります。

  私が本院議員の重責を担うことが出来ましたのは、もとより私を育てて下さった郷土和歌山県の皆さまのお蔭であります。多年にわたり変わらぬご支援を頂戴して参りました数え切れない程の多くの同志の皆さまに衷心より厚く御礼を申し上げます。

  さらにこの間、国内外の多くの友人の皆さまにもお支えを頂いて参りました。いつの日も私を支えて下さった家族同様の事務所のスタッフの皆さま、そして私の家族や家内に対しても「ありがとう」と心から感謝を申し上げます。

  二期八年の和歌山県議会議員の当時、ふるさと和歌山県の道路や鉄道、港湾、空港等のインフラ整備の遅れを痛感させられました。ひたすら「国土の均衡ある発展」を求めて、昭和五十八年暮れの総選挙に出馬し、初陣を飾ることが出来ました。以来、八回の選挙を経て、ここに二十五年の日を迎えることが出来ました。感激一入であります。

  観光立国基本法に基づいて「観光庁」が奇しくも本日、二〇〇八年十月一日スタートすることが出来ました。観光は「平和のパスポート」と言われますが、国際平和の構築のために、観光産業のさらなる躍進に微力を傾ける決意であります。

  麻生内閣の誕生に伴い、三回目の経済産業大臣を拝命致しました。今日、経済を巡る環境は極めて厳しいものがあります。いつの時代でも、経済の成長を促すことが、最重要課題であります。先の「新経済成長戦略」を見直し、新たに「二〇〇八年改訂版」を策定、閣議決定をされました。この成長戦略に基づいて、これからの日本経済が成長の道を歩むことが出来ますよう努力を重ねて参りたいと思います。

  日本の繁栄のために日米同盟が基軸であることは申すまでもありませんが、私たちは、さらにアジアとともに生きることを考えなければなりません。この六月にインドネシアのジャカルタに設立することの出来たERIA(東アジア・アセアン経済研究センター)を中核にして、人口三十一億人、十一兆ドルの経済規模を有する東アジア十六カ国の大経済圏の発展のエネルギーを日本の成長につないでいくことが重要であります。

  昨今の資源高については、資源外交がますます重要の度を増してきております。資源国が今、何を求めているか、日本として相手国に何を為すことが出来るのかを国を挙げて真剣に考えるべきときであります。一例では、これらの資源国を観光の訪問先としての国民レベルの交流も再考するに値することであります。

  昭和五十八年十二月十八日は初当選の記念すべき日であります。今日八名の同僚議員と共に二十五年の歩みを続け、幸いにもこの日を迎えることが出来ました。「初心忘るべからず」、ここに改めて国のため郷土のため一層の精進を誓い、感謝の言葉とさせて頂きます。

    …………………………………

    額賀福志郎君のあいさつ

  本日、院議をもって永年在職議員表彰の栄誉を賜りましたことは、身に余る光栄であり、感動的であります。

  初当選以来、今日までご支援を頂いて参りましたふるさと茨城の選挙区の皆様をはじめ、私と政治活動を共にして育てて頂いた後援会の皆様方、また、これまでご指導を頂いた先輩・同僚議員の皆様方、さらに、いつも心の支えとなってくれた家族やスタッフの皆様方に対し、改めて心を込めて感謝を申し上げたい気持ちで一杯であります。

  私が政治を志したのは、高度成長時代がスタートした昭和三十五年の頃でありました。当時、私が生まれた茨城県の農村地域は貧しい経済状態にあり、勉強が出来て向学心に燃える学生でも進学できない仲間がたくさんいることに憤りを感じるようになり、平等な教育の機会を妨げている政治のあり方に関心を持ち、高校時代に「政治家になりたい」と日記に書いたことがあります。

  私が初当選をしましたのは、昭和五十八年十二月に行われた第三十七回総選挙であり、通称、マスコミ的にはロッキード選挙と言われ、自民党にとっては最悪の逆風の中の審判でありました。以来、連続八回の当選をさせて頂き、自民党の野党転落、北朝鮮のミサイル発射、バブル経済崩壊、未曾有の金融危機など、まさに激動の中で政治のあり方を見つめてきました。

  私が初入閣をしましたのは、平成十年、小渕内閣の防衛庁長官でした。私は、これからの中央政府は、外交防衛、治安、税財政など国家の基本的分野を担い、地域住民に近いサービスは地方自治に移譲すべきであるとの考えを持っていましたので、外交防衛問題を勉強しようと考えたのです。

  さらに、私は小泉内閣時代にも防衛庁長官を拝命しましたが、奇しくも、在任中いずれも北朝鮮のミサイル発射事案に直面し、私は未整備であった安全保障体制の法整備などに全力を注いできました。

  また私は、森内閣の経済財政担当大臣、福田内閣の財務大臣として、経済、財政問題に関わりました。

  今、国民が求めていることは、強い日本経済を復活させるために次なるリーディング産業を育成することであります。それは、新エネルギーの開発や環境問題の解決、さらには医療、教育などの分野で活性化を図ることであります。特に、少子高齢化社会を乗り切っていくために、医療、年金、介護などの社会保障制度の抜本的な改革を行うと同時に、消費税の引き上げなどで財源の手当ても提示し、若者に希望を、お年寄りに安心を与えることが政治の責任であると考えています。

  一方、わが国は、二十一世紀は世界に開かれた「改革開放」の国づくりが求められていると思います。日本は、海外から閉じられた国というイメージを持たれてはいけないと思います。まずは、この日本の国を「知ってもらう」ことからはじめ、「来てもらう」「働いてもらう」「投資してもらう」国にする必要があると思います。

  私は、今後、日本のあるべき「国の姿」及び理念と政策を追求していくことで選挙区と国民の皆様に恩返しをしていくことをお誓い申し上げて、お礼のごあいさつといたします。

    …………………………………

    町村 信孝君のあいさつ

  この度、院議をもって永年在職議員の表彰の栄を賜りました事は、議会人としてまことに光栄の至りであります。これもひとえに、先輩、同僚議員の皆様方のご指導の賜物であり、心より御礼申し上げます。

  また、昭和五十八年初当選以来、私を支え続けて下さった地元の皆様方に感謝のまことを捧げます。特に、小選挙区制の導入により、今では直接、私の名前で投票出来なくなった、現在の北海道一区から四区の皆様のご支援にも厚く御礼申し上げます。そして、献身的に働いてくれている事務所のスタッフ達、妻と二人の娘達にも改めて感謝の気持ちを捧げます。

  私は、通産省勤務時代に当時通産大臣であられた安倍晋太郎先生と、北海道のリーダー、中川一郎先生からお勧めを頂き政界入りを決意致しました。其の時は、参議院自民党議員会長であった父、町村金五は、政治の世界は厳しいものだと言って、私の政界入りには強く反対しておりました。しかし、私が一年半の準備期間を経て初当選出来た時、最も喜んでくれたのも父でありました。

  初当選の夜、父から「国会議員しか出来ない分野の仕事、即ち、外交、防衛、教育、治安に目を向けて勉強して行ったらどうか」との助言をもらいました。爾来、その意を体し、私はこの二十五年間、これらの分野の議員活動に励んで参りました。幸いな事に諸先輩のお引き立てを頂き、二度の文部大臣、文部科学大臣、さらに外務大臣の重責を担う機会に恵まれましたし、福田康夫首相の下では、内閣官房長官を務める機会を頂きました。しかし、補佐役としてその任を十分に果たし得なかったのではないかと自省しております。

  我々は、悠久の日本の歴史の中で、終わりの無いリレーの第何番目かの走者であると思っております。我々には、前の世代から受け継いだ日本国を少しでも改善し、発展させて次の時代に手渡して行く責務があります。その際、忘れてはならないのは、未来の世代の声を今の政治に反映させなければならないという事です。昨今の政治は、現在生きている我々の時代の豊かさを維持する為だけに膨大な借金を次の世代につけ回しているのではないでしょうか。私は、前の世代から受け継いだ、日本の素晴らしい伝統、文化、生活、自然、価値観等をしっかりと次の世代に渡して行きたいと考えております。

  其の為にも、今後とも皆様のご指導、ご鞭撻の下、政治の途で精進して参りますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

  本日はどうも有り難うございました。

    …………………………………

    大島 理森君のあいさつ

  このたび、在職二十五年の表彰を賜りまして、万感胸に迫るものがございます。この栄誉はひとえに、私を育てていただきました郷里の皆様、また政界の先輩や同僚のご支援とご指導、並びに日本国のご厚恩のしからしめるところであり、あわせて私の両親、家族、親族、友人、事務所の諸君に対しましても、心から感謝を申し上げる次第です。

  青森県議会議員に選出されて五年目、熊谷義雄先生をはじめ後援者の激励により、私は国政への出馬を決意いたしました。初めて河本敏夫先生の門をたたきました折、「笑わん殿下」の異名をとりました河本先生は、愛想を振りまくことなく、淡々とみずからが目指す政治を説かれました。時に身振り手振りを交え、経世済民の志、信頼の政治、そして堂々たる経綸を披露された姿が、あたかも昨日のことのように思い出されます。

  昭和五十八年に初当選を果たし、生涯忘れ得ぬ感激とともに胸に付けさせていただいた議員バッジは、実に重く感じました。この小さな議員バッジに、私を支えてくださる多くの方々の大きな思いと願いが託されていることを考えますと、今この時にあっても国政に携わる責任の重さに身が引き締まる思いです。

  平成二年、政治改革が声高に叫ばれ、日米構造協議、国際貢献の在り方が問われるなか、私は海部内閣で官房副長官に任命されました。特に湾岸危機は、戦後の日本外交、世界における我が国の役割を考え直す重要な契機となりました。私は「天命に身を任せ、人事を尽くす」ことを信条にし、首相官邸で政策決定過程の中枢に触れながら、故郷と日本、そして世界を同一座標で捉えることの大切さを学びました。

  また顧みて、幾度か大臣の職責を拝命し、日本国の将来や国民生活のために、微力ながらも献身できましたことは望外の喜びであります。

  村山内閣の環境庁長官として、私は水俣病問題を環境政策の新たなる第一歩と考え、あらゆる試練を厭わず、当時の政治的解決にこぎつけることができました。

  森内閣の文部大臣兼科学技術庁長官として、教育は国家の基礎を作り、科学技術は国民の夢を作るとの信念のもと、教育改革や新科学技術計画をしっかりと軌道に乗せることができました。

  小泉内閣における農林水産大臣として、難航するWTO交渉に正面から向き合い、食の安全・安心対策、またコメ政策にも一定の道筋をつけることができました。

  さらに、党にあっては、与党教育再生に関する検討会座長として、六十年振りの大改革となる「改正教育基本法」をとりまとめたことや、五つの内閣の国会対策委員長としてひたすらに汗をかいてまいりましたことが思い出されます。本院にあっては、予算委員長として国家や予算を巡る幅広い論議を辛抱強く取り仕切り、また議院運営委員長在職中は円満な議会運営に誠心誠意努め、議長を補佐してまいりました。振り返ると、私の国会議員としてのキャリアは、与野党が激しい対立と妥協を繰り返す議会によって鍛えられ、培われたような気がいたします。

  立法府たる国会は、常に国民の側に立って国論を導き、結論を出し、ときには警鐘を鳴らすべき存在です。健全な議会政治を目指し、私は、政府委員制度を廃止して政治家同士が骨太の政策論争を交わせるなど、「国会審議活性化法」をとりまとめ、帝国議会以来となる国会改革の基礎を整えました。しかし、残念ながら、当初の理念は徹底されておりません。

  明治以降、我が国の進路、歴史の光と影は、概ねここ立法府における審議を経て生みだされたものであります。いま、いわゆる衆参「ねじれ国会」と言われる状況のなかで、国民の要望に応えるために政治は何をなすべきなのか、我々は与野党の立場を超えて立法府の使命を果たすべく、真剣に考えなければならないと強く感じております。

  昨今の混迷する政治、停滞する経済、鬱積する人心を見聞するにつけ、日本国のあるべき姿に対してみずからがどれほど貢献できたのか、率直に申し上げて忸怩たるものがあります。しかし、困難の先に輝ける希望を見出すべく、私はあらゆる経験を糧に、郷土と国民の繁栄や議会の発展に渾身の努力を続けてまいります。ここにあらためて決意を申し述べ、私の謝辞といたします。

  ありがとうございました。

    …………………………………

    甘利  明君のあいさつ

  初当選した二十五年前、本会議壇上での先輩議員の永年勤続表彰を最前列の議席から見上げていた時には、自分とは別世界の出来事と感じていました。本日、その別世界に自分がこうして立とうとは感慨無量の思いです。

  私の初当選は新自由クラブでありました。ブームが去って久しいこの古看板をしょって「世代交代の旗手」をスローガンに戦ったことを昨日のように思い起こします。泡沫候補といわれながら奇跡の逆転勝ちを収めることができたのは、「命にかえても」という私の気概と、みるみる痩せていく私の姿に、いてもたってもいられないと立ちあがってくださった後援者の方々の死に物狂いの支援のお陰でした。

  戦後の荒廃の中、資源がない、お金もない、国土も狭い、ないないづくしの日本が東洋の奇跡と称された戦後の発展を成し遂げることが出来たのは、日本人の不屈の闘志とチームワーク、そして逆境を順境へと変えた発想に他なりません。バブルの崩壊後の失われた十年からようやく立ち上がろうとしていた矢先に、資源原材料高とアメリカ発金融不安に、日本経済はいよいよ閉塞感を増しています。この状況を打破し、新しい「坂の上の雲」に向かって、今こそ政治はリーダーシップを発揮していかなければなりません。先人が成し遂げた東洋の奇跡を、今を生きる我々が再び起こしていかなければなりません。今こそ政治家が先頭に立って先人の努力を再現する時です。

  今この壇上に立って、初当選した初心に戻り、この国のために「命にかえても」という思いを奮い起こし、国民の先頭に立つ決意です。初挑戦で私の未知数にかけてくださった方々、小選挙区で敗れ比例復活をした挫折感から立ち上がる勇気を与えてくださった方々、そして今日更なる飛躍を期してお支えをいただいている方々、今日の甘利明を作ってくださった全ての方々に感謝を申し上げます。そして、何より私の前に道をつけてくれた父と母、いつの時も私を励まし続けてくれた家族に心から感謝を致します。「今の拍手はいらない。いつの日か、歴史を振り返った時、あの政治家がいてくれてよかった。そう思われる政治家でありさえすればいい。」

    …………………………………

    中川 昭一君のあいさつ

  本日、院議をもちまして永年在職議員表彰を賜りましたことに、心より感謝申し上げます。この栄誉と喜びを、両親、家族そして何よりも、今日まで私の政治活動を支えて頂きました地元の皆様に謹んで捧げたいと思います。

  振り返りますと、昭和五十八年厳冬の旧北海道五区で、私は初めての選挙にのぞみました。三十歳の若輩、妻は出産直後、何も分からぬまま、唯、父の遺志を胸に、無我夢中の中、戦い抜きました。これも一重に、私の為に一緒に戦い、指導し、励ましていただいた数多くの地元の皆様のお陰であります。この年は、三年続いた戦後最長の不況からやっと脱しつつありましたが、日本海中部地震や三宅島噴火、記録的低温で北海道は四年続きの凶作、世界的にも異常気象の年でした。流行語は、「おじさんは怒っているんだぞ」「やるっきゃない」。

  現在、我が国は景気低迷の真只中、地球温暖化など、「イライラ、モヤモヤ」状態。何か私の政治スタートの年と似ている気がしてなりません。だから、今この時、地元を、日本を元気にするために実行するしかないのです。「やるっきゃない」のであります。

  先人達が命がけで頑張って前進させてきた、ふるさと十勝や日本を次の世代にきちんと引き継いでいかなければなりません。「今」は、先人達から受け継いだ貴重な宝物であり、子や孫達からの貴重な「借物」なのです。

  ふるさと十勝は、日本一の農業地帯です。豊かな森林が広がっています。様々な可能性を秘めている海があります。これらのかけがえのない自然を活かしながら、そこに住まわれているお一人お一人の幸福を追求しなければなりません。私にはその責務があります。二十五年間私を支えて下さった皆様方への御恩返しのため、本日の栄誉を一つの区切りとして、原点に戻って、又新たなスタートを切ります。引き続き多くの皆様にお支え頂きながら、私の責務を全力で遂行するため、微力ではありますが更に精進していくことを誓い、重ねて、地元の皆様をはじめ、御世話になっている方々に心より感謝申し上げ、謝辞とさせて頂きます。

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説に対する質疑

議長(河野洋平君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。小沢一郎君。

    〔小沢一郎君登壇〕

小沢一郎君 麻生総理大臣の所信表明に対し、民主党・無所属クラブを代表して、私の所信を申し上げながら、総理の御見解をお伺いいたします。(拍手)

 まず最初に、総理大臣というもののあり方についてお伺いいたします。

 そもそも、一年足らずの間に二人続けて政権を投げ出した自民党の総裁が、総選挙を経ないで三たび、ここにこうして総理の座に座っておられるのは、信じがたい光景であります。

 与党が政権を担う能力を失ったならば、直ちに野党に政権を渡し、総選挙を行うのが議会制民主主義の筋道だと心得ますが、総理は憲政の常道というものをいかがお考えでしょうか、お答え願います。

 さて、総理の所信表明演説とは、総理自身の政治理念と、それに基づくビジョン、政策を明らかにするものであると理解しておりましたが、麻生総理の演説には、明白な理念も、具体的なビジョンや政策も、全く示されておりません。唯一はっきりしていたことは、民主党に対する誹謗中傷だけであります。

 また、演説の中で、総理が逆に野党に対していろいろと質問なさるというのも、私の三十九年間の議員生活において初めての経験であります。しかしながら、総理からのせっかくの御質問でありますので、私の所信を申し上げることにより、総理への答弁といたしたいと思います。

 近く行われるであろう総選挙は、国民の皆様に、今後も自公政権を続けるのか、あるいは民主党を中心とする政権にかえるのか、政権を選択することで国民生活の仕組みを選んでいただく、極めて重要な機会であります。

 すなわち、官僚に任せっ切りで、官僚の言うがままに莫大な税金の無駄遣いを続ける自民党政治の旧来の仕組みを継続させるのか、それとも、ここで大なたを振るい無駄遣いを徹底的になくして、国民生活を直すことに税金を振り向ける民主党政治の新しい仕組みに転換するのか、それを主権者たる国民自身に決めていただく選挙なのであります。

 では、なぜ今仕組みの選択なのか。

 私は、この二年半、北海道から沖縄まで、移動距離にして十八万キロ余りを行脚し、各地域の皆さんの生活をこの目で見て、お話を直接伺ってまいりました。

 その行脚を通じて、日本は既に中国、ロシア、米国に次いで、主要国では下から四番目の格差大国になっていることを実感いたしました。ほとんどの地域では、お年寄りも若者も、抜け出しようのないジレンマと将来不安を抱えています。小泉政権以来の、市場万能と弱肉強食の政治で生じたこの格差と不公正を放置すれば、日本の経済社会は根底から崩れ、国民生活が崩壊してしまいます。

 だからこそ、今、日本を変えなければならないのであります。坂道を転げ落ちる前のラストチャンスと言っても過言ではありません。そしてそれは、格差大国を生み出した自公政権に終止符を打ち、政治を変えることでしか実現することができません。(拍手)

 では、どう変えるのか。私たちの掲げる「国民の生活が第一。」の理念に基づいて、政治、行政の仕組みそのものをつくりかえるのであります。

 明治以来の官僚を中心とする国の統治機構を根本的に改革し、国民自身が政治、行政を行うようにする。同時に、国民生活を守るセーフティーネットをきめ細かくつくり上げます。

 具体的には、政治、行政と国民生活の新しい仕組みをつくることで、格差がなく公正で、ともに生きていける社会を築くのであります。その基本政策案は既に発表しておりますので、その柱だけを申し上げます。

 つまり、年金・医療・介護、子育て・教育、雇用、農林漁業・中小企業、生活コストの五つの分野でセーフティーネットをつくるとともに、財政構造の転換、国民主導政治の実現、そして、真の地方分権により日本の統治機構を根本的に改革し、その上に立って日本を地球に貢献する国にするというビジョンであります。

 こうした仕組みをつくることで、新しい国民生活を切り開き、その結果として、本当の内需拡大が進み、地域経済の再生から日本経済を立て直すことができると私たちは考えております。

 この新しい仕組みづくりの核心は、税金の無駄遣いを際限なく再生産している官僚任せの財政運営構造を大転換して、国の予算の総組み替えを断行することであります。

 そもそも税金は、国民のものであり、国民のために使われなければなりません。世界に例を見ない、今日までの日本の財政運営構造こそが異常なのであります。それを放置したまま、財源が足りないとか財源の裏づけがないなどと言うのは、税金の無駄遣いをしてきた側の論理にすぎません。

 国民の生活にとって何が大事か、私たちの新政権の目標である新しい国民生活をつくるために何が必要かという基準で予算の優先順位を決めることにより、私たちの政策を実現するのに必要な財源は十分に確保できるのであります。

 今こそ、国民の意思に基づき、国民の手によって、国民のための予算に全面的に組み替える、そのようにして税金の使い方を変えることが、国民生活を変え、日本を変える要諦であると私は確信しております。

 その意味において、近く行われるであろう総選挙の最大の争点は、無駄遣いを続ける今の税金の使い方を許すのか、それとも、民主党を中心とする政権にかえ、税金の使い方を根本的に変えるのかという選択であります。

 以上の考え方に基づき、私たち民主党は、総選挙のマニフェスト、政権公約を取りまとめました。この場をおかりして、「新しい生活をつくる五つの約束」を中心とするその骨格を国民の皆様に発表いたしたいと思います。

 第一の約束は、官僚の天下りと税金の無駄遣いをなくし、税金を官僚から国民の手に取り戻すことであります。

 一般会計と特別会計とを合わせた国の総予算二百十二兆円を全面的に組み替え、また、過去の税金などの蓄積であるいわゆる埋蔵金も活用して、国民生活を立て直すための財源を捻出します。国からのひもつき補助金は廃止して、地方に自主財源として一括交付するとともに、特別会計、独立行政法人などは原則廃止することといたします。また、当面は、特別会計の積立金や政府資産の売却なども活用いたします。

 それらにより、平成二十一年度には八兆四千億、二十二年度と二十三年度はそれぞれ十四兆円、四年後の二十四年度には総予算の一割に当たる二十兆五千億の新財源を生み出すことができます。また、このように税金の使い方を変えることを担保するために、多数の与党議員が政府に入り、政治が役所をコントロールできる制度に改めます。

 自公政権のもとで所得の減少と不景気の物価高にあえいでいるほとんどの国民は、家計のやりくりでも、まずは無駄を省くことを心がけ、実践しているのではないでしょうか。それと同様のことを国ができないはずはありません。それができないなどというのは、既得権益を守ろうとせんがための、へ理屈にすぎません。

 第二の約束は、年金加入者全員に年金通帳を交付し、消えない年金、消されない年金へとシステムを改めることであります。もちろん、消えた年金記録は国の総力を挙げて正しい記録に訂正し、国が責任を持って全額支払います。

 また、年齢で国民を差別する後期高齢者医療制度は廃止し、被用者保険と国民健康保険を段階的に統合して、将来の一元化を目指します。さらに、医療を機能させるため、医師は五割ふやし、看護師、介護従事者などの不足を解消いたします。

 第三に、子育ての心配をなくして、みんなに教育のチャンスをつくるために、子供一人当たり月額二万六千円の子ども手当を中学校卒業まで支給いたします。公立高校の授業料を無料化するとともに、私立高校、大学なども学費負担を軽減いたします。また、働き方や家庭の実情に応じた多様な保育サービスを支援していきます。

 第四の約束は、雇用の不平等をなくし、まじめに働く人が報われるような社会にいたします。

 具体的には、パートや契約社員を正規社員と均等の待遇にすると同時に、二カ月以下の派遣労働は禁止いたします。また、中小企業を支援しながら、最低賃金の全国平均を時給千円に引き上げてまいります。

 第五の約束として、農林漁業の生活不安をなくし、食と地域を再生いたします。

 そのために、農業の戸別所得補償制度を創設し、林業と漁業についても独自の所得補償制度を検討いたします。また、汚染米の全容解明と責任の追及はもちろん、食品安全行政を総点検、一元化して、食の安全を確実なものにいたします。中小企業については、法人税率を原則半減することなどによって再生させます。

 以上のうち、新しい政権の初の予算編成となる第一段階の平成二十一年度には、ガソリン税などの暫定税率を廃止し、二兆六千億円の減税を実施します。

 また、高速道路の無料化、子ども手当の創設、医療改革などは、二十一年度に一部実施した上、第二段階の二十二年度、二十三年度に完全に実施いたします。このような思い切った政策の実行こそ、緊急経済対策として最も有効でもあると考えております。

 農業の戸別所得補償は、二十一年度に法律を制定し、二十二年度から一部実施、第三段階の二十四年度に完全実施する予定であります。

 さらに、消費税の税収全額を年金財源として最低保障年金を確立する年金改革は、三年かけて新制度の詳細設計、法案化、法律制定を行い、二十四年度に完全に実施いたします。

 このように三段階に分けて着実に政権公約を実現し、私たちの政権が次に国民の審判を仰ぐ期限である四年後までに日本の新しい仕組みづくりを完了させる方針であります。(拍手)

 最後に、民主党の外交、安全保障の基本方針を申し上げます。

 第一の原則は、言うまでもなく、日米同盟の維持発展であります。ただし、同盟とはあくまでも対等の関係であり、米国の言うがままに追随するのでは同盟とは言えません。民主党は、米国と対等のパートナーシップを確立し、より強固な日米関係を築きます。

 第二の原則は、韓国、中国を初めとするアジア太平洋諸国と本当の友好・信頼関係を構築することであります。特に日韓、日中両国との関係の強化は、日本が平和と繁栄を続けていく上で極めて重要であると考えております。

 第三の原則は、日本の安全保障は日米同盟を基軸としつつも、最終的には国連の平和活動によって担保されるということであります。日本国憲法は、国連憲章とその理念を共有しており、また日米安全保障条約は、条文に明記されているとおり、国連憲章の理念と枠組みに基づいて制定されておるのであります。したがって、日米同盟と国連中心主義とは何ら矛盾するものではありません。

 民主党は、以上の三原則に基づいて、日本の平和を守り、主体性ある外交を確立、展開してまいります。

 私には二つの信念があります。

 第一は、政治とは生活であるということであります。先ほど来申し上げているように、政治は国民の生活を守るためのものだからであります。

 もう一つの信念は、政治とは意志であるということであります。主権者たる国民の皆様が決意をすれば、政治は変えることができるのであります。そして、日本国民はみんなで力を合わせれば、どのような困難でも必ず乗り越えることができると私はかたく信じております。

 その国民の力を最大限に発揮できるようにするのが政治の役割であり、私たち民主党の使命なのであります。(拍手)

 以上、民主党の基本政策と私の所信を申し上げました。総理の御見解を伺います。

 最後になりましたが、国会運営について申し上げます。

 米国のサブプライムローン問題に端を発した金融危機は、世界恐慌に発展しかねない状況になっております。当然、我が国においても緊急経済対策と各国との政策協調が必要でありますが、同時に、どのような事態にも対応できるようにするためには、政治、行政、経済の仕組みそのものの大転換を実行しなければなりません。

 したがって、日本の進路について、国会で十分に議論し、各党の主張を明確にした上で、速やかに総選挙を実施し、主権者たる国民の審判を仰ぐ必要があると思います。そして、国民の支持を得た政権が強力なリーダーシップを発揮して、このような危機に対処していくのが憲政の常道だと考えます。

 総理のお考えをお伺いし、私の代表質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇〕

内閣総理大臣(麻生太郎君) 小沢議員の質問にお答えをさせていただきたいと存じます。

 まず第一に、与党が政権を担う担当能力を失ったならば、直ちに野党に政権を渡し、総選挙を行うのが議会制民主主義の筋道ではないかとのお尋ねがありました。

 内閣総理大臣が二代続けて任期半ばで突然辞任し、国民の皆様に御迷惑をおかけしたことにつきましては、改めておわびを申し上げます。

 しかし、そのことと、我が自由民主党が政権担当能力を失ったかどうかは、全く別の話であります。私は、確固たる政権担当能力を持ち、日本の未来に責任を持てるのは我が自由民主党であるとかたく信じております。(拍手)

 なお、昨年十一月、福田総理との大連立の話が崩れたときに、小沢代表は、民主党はいまださまざまな面で力量が不足しておりと、政権担当能力がないことをみずからお認めになったと記憶をいたしております。

 次に、民主党の基本政策と小沢代表の所信についてのお尋ねがありました。

 小沢代表がみずからの所信を述べることによって一昨日の私の質問への答えとなさったことは、まことに残念であります。

 特に、私がお尋ねしたいのは、国民生活の安心、国際社会での日本のあるべき姿を示すため、今国会で実現しなければならないと考える三点に対する民主党の姿勢です。すなわち、補正予算への賛否、消費者庁法案への賛否、インド洋での補給支援活動継続への賛否であります。

 民主党の基本政策については、日を改めて私どもの主張と競い合いたいと存じます。その際には論戦に真っ正面から当たっていただきますよう、お願いを申し上げます。

 しかし、私が先ほど提示した三点を、急を要することでありますので、特に絞ってお尋ねしたものであります。ぜひ民主党のお答えをいただきたいものであります。

 第三に、日本の進路について国会で十分に議論をし、各党の主張を明確にした上で、総選挙において国民の審判を仰ぐのが常道という主張についてお尋ねがありました。

 国会において、各党の主張を明確にし、結論を導くことは、私が主張したことでありまして、全く異存はありません。しかし、いたずらに審議を長引かせ、結論を先送りすることは、国民に対する責任の不履行ではないだろうかと存じます。結論を出すことこそが国民の負託にこたえた国会の責務であると考えます。

 解散についてのお尋ねがありましたが、解散につきましては私が決めさせていただきます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 細田博之君。(発言する者あり)

    〔細田博之君登壇〕

議長(河野洋平君) 御静粛に願います。御静粛に願います。

細田博之君 私は、自由民主党を代表し、麻生総理の所信に対して質問をいたします。(拍手)

 ここで、予定外ではございますが、申し上げたいことがございます。

 ただいまの小沢民主党代表の質問を伺うと、一昨日の麻生総理の民主党への問いかけにほとんどお答えになっておりません。甚だ遺憾であり、この後、鳩山幹事長にお答えいただきたいと思います。

 私が国会に初当選をいたしましたときに、小沢代表は我が自由民主党の幹事長であられました。既に八回当選され、四十七歳にして、史上類を見ない、最高の権力を持つ自由民主党幹事長であられました。当時は、海部総理、そして金丸副総裁等々、金丸・小沢ラインが全国の、この日本国の政治を壟断していたと言っても過言ではありません。私は、心ひそかに小沢当時幹事長を尊敬しておりました。

 そして、それから二年後に金丸事件、脱税事件が起こりましてびっくりしておりましたところ、その直後に小沢元幹事長は我が自民党を同志とともに脱党され、新生党を設立され、宮沢内閣を倒し、そして細川連立政権を樹立したのであります。(発言する者あり)関係がないように言われますが、そうではありません。細川内閣を設立して、政治改革法案を通して、少数政党にとって極めて厳しい小選挙区比例代表制度というものを強引に通された。

 それだけではありません。細川政権が発足して数カ月で、国民福祉税、七%の消費税を導入すると発表されまして、そして、細川政権はわずか九カ月で崩壊したのであります。その後の羽田政権、羽田総理にも私は尊敬申し上げておりますが、その羽田政権発足に伴う統一会派「改新」結成を理由として社会党が離脱され、その後、さきがけも離脱されて、わずか合計十一カ月で政権がほうり出されたわけでございます。

 安倍政権や福田政権は、教育改革、憲法改正手続法、その他道路財源の一般財源化を含めまして、前向きの政策を次々に実現され、行政改革も実現された。しかし、いわゆるねじれ現象の結果、あらゆる法案を妨害する、その中で福田内閣も苦労され、そうして一年でこの麻生政権にかわったわけでございます。まあ、これ以上申しません。

 いろいろ長い経過を、私なりに経験いたしますと、強引な政治のイメージこそが麻生総理と小沢党首についての世論調査によります期待度の差として明らかにあらわれている。

 小沢さんについていった人は、今、民主党席には六、七人おられます。この閣僚席に三人おられます。我が自民党に十五人以上おられます。しかし、その方々に聞いてみると、もう小沢政治はこりごりだ、自由な自民党の方がいい、そういう気持ちでいっぱいでございまして、これは私どもとしては、本当に次の選挙で政権移譲をしていいのか、このことを非常に疑問に思っていることを申し上げたいと思います。

 さて、本題に戻ります。

 国際金融問題の深刻化、国内景気の後退、北朝鮮の六者協議合意からの離脱等、政治は一刻の猶予も許されない状況であります。

 麻生総理は、堂々たる、自民党総裁選挙に勝ち抜かれ、この国会で内閣総理大臣に指名されました。麻生新総理が、国民に訴えかけた日本の将来ビジョンの実現に向けて、力の限り突き進んでいかれることを期待いたします。(拍手)

 アフガニスタンの地で、八月、NGO職員の伊藤和也さんが武装勢力の凶弾に倒れ、亡くなられるという不幸な事件がありました。心より御冥福をお祈りいたしますとともに、今日までの御功績に対しまして、心から敬意を表するものであります。

 総理、アフガニスタンにおけるテロ組織撲滅のための国際行動に対する我が国の貢献の継続は、現行のテロ特措法の期限が明年一月に切れることを考えれば、今当面する最も重要な課題の一つであります。

 テロリストが外貨獲得の資金源としている麻薬の海上輸送を封じ込めるためにも、武器やテロリストの移動を封じ込めるためにも、国際社会が協力して行っている海上阻止活動は、その重要性をますます高めているのであります。

 民主党の小沢代表は、国連至上主義、先ほどもいろいろ言っておられましたが、この立場で、国連軍あるいは国連決議があれば武力行使も可能であると明言され、また、国連決議のもとでアフガニスタン国内に部隊を派遣したり治安確保に当たらせてもいい、そういうこともおっしゃっておられるわけでございます。我が国の憲法上、議論のあるところであります。国民にも、また民主党の一部でさえ、必ずしも合意のないことではないか、それをあたかもできるように主張され、実際は何もしないというのでは、日本は国際社会から孤立してしまいます。

 我が国が行っているイラク人道復興支援活動、インド洋での補給支援活動は、自衛隊が行える極めて適切な活動であり、国際社会の評価も高いものであります。イラクでの航空自衛隊の空輸活動は、年内に無事に終了するでしょう。自衛隊の活動に野党は口をきわめて反対をしてこられました。我々与党は、やはりやってよかった、国際社会に対する責務の一端を果たせたと胸を張って言いたいと思います。

 麻生総理の胸のうちには、臨時国会最大の課題として、間違いなく新テロ特措法の延長実現があると確信しております。改めて、総理に延長実現の決意をお伺いいたします。

 次に、北朝鮮についてお伺いします。

 八月、北朝鮮は、米国の指定解除がなされていないとして核施設の無能力化作業を中断して、また核兵器の生産に着手したことが明らかになりました。

 北朝鮮が核兵器を保有することは、我が国の安全保障に極めて重大な問題であります。国民の安全と安心に責任を持つ政府・与党としては、到底許しがたいことであります。国際協調をして断固破棄させることが必要であります。

 拉致問題を抱える我が国は、毅然とした態度を貫き、北朝鮮が六者協議の合意を誠実に履行するよう、強く求めていくべきであります。北朝鮮が六者協議の約束を果たさず、拉致問題についても誠実に対応しないのであれば、我が国はより厳しい経済制裁措置を講じなければなりません。

 総理は、ニューヨークでの国連演説で、横田めぐみさんに言及され、そして拉致問題を国際社会に訴える一方、北朝鮮の積極的な行動についても期待すると呼びかけられました。

 総理は北朝鮮の情勢をどう見ておられるのか、また、今後の六者協議に臨む基本的お考えを、核問題及び拉致問題解決への取り組む決意についてお伺いします。

 最近のロシアや北朝鮮の動向、またアフガニスタンやイラクの状況等を見るにつけ、自由と民主主義、自由経済という共通の価値観を共有する諸国の結束の重要性は、冷戦の終えん以降、最も高まっていると痛感いたします。

 我が国においては、確固として揺るぎない日米同盟関係を基軸に、国際協調とアジアに立脚した外交を展開する、これが我が自由民主党が立党以来掲げてまいりました基本方針であります。

 今、我が国では、二大政党制とか政権交代論が議論されております。それを否定するものではありませんが、国民と国家の命運を託す政権を選択する場合には、内政にも増して、政権を担わんとする政党が外交と安全保障にどのような考えを持っているのか、その点が議論されるべきであります。

 先ほど、ごくその一端を小沢代表がコメントされたことはよく伺いました。しかし、それは、日米の問題あるいは国連の問題等は相矛盾しないという程度のものであって、私は、今、民主党の主張が、世界的に、また米国からも、極めて疑念を持って見られていることを確信しております。その点をもっとはっきりとさせていかなければなりません。

 また、サブプライムローン問題が顕在化して以降、世界の金融資本市場は大きな動揺が続いております。ブッシュ大統領が九月の国連演説で世界恐慌の回避を訴え、また、米国議会が一昨日、金融安定化法を否決したために、金融市場、証券市場に大混乱が発生しております。我が国としても、国際金融の安定のためにできる限りの貢献を果たすべきだと考えております。

 総理、世界の金融資本市場の現状に対する認識と、我が国として何をなすべきか、また、米国等との国際協力についてどういうお考えか、御決意をお伺いいたします。

 次に、気候変動問題への対応について質問いたします。

 福田前総理が議長を務められたことし七月の洞爺湖サミットで、我が国のイニシアチブによりまして、G8諸国は、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量を五〇%削減するという長期目標を、共有し、採択をいたしました。大きな成果であります。反面、推進にはいろいろな工夫と克服すべき困難があると存じております。

 地球環境問題にどのような決意で取り組んでいかれるのか、総理にお伺いいたします。

 次に、内政について質問をいたします。

 総理は、日本経済全治三年と診断し、まず景気対策、そして財政再建、成長政策が重要であると訴えられました。私も同感であります。まず当面の景気対策にあらゆる手段を投入し、経済を活性化して成長を実現して、それを維持して歳入増につなげ、結果として財政再建が実現するのであろうと思います。景気対策に思い切った対策を打つほど、効果が早く、力強くあらわれることは当然であります。

 当面、国会に提出された事業規模十一兆五千億円の補正予算を早急に成立させなければなりません。生活者不安の解消や足腰の弱い農林漁業の復活、中小零細企業の年末資金繰り等に万全の手を打った上で、その次は、いよいよ麻生カラーを打ち出す来年度予算であります。

 総理は、経済活性化に効果のある政策として、減税を主張しておられます。先進国で最も高い法人税の減税を初め、設備投資減税、研究開発投資減税、住宅投資促進減税、証券市場活性化減税、子供の数に応じた子育て減税、高齢者を抱える世帯の介護減税など、メニューが多過ぎるかもしれませんが、これだけあるんです。企業や国民を元気にする思い切った減税をぜひとも来年度予算で実現していただきたいと思います。

 減税は、とりあえず経済活動を刺激し、成長を促進し、税収増をもたらして、ひいては国民の社会保障負担の軽減や個人消費の拡大に資する政策であります。一時的な歳入減を恐れず、これを景気拡大に利用して政策をとっていく、それが最も大事であると私は考えております。

 そして、その成長政策、構造改革は極めて大事な政策でありまして、環境、省エネ技術、太陽光発電などの新エネルギー開発、医療、食料、バイオなどの技術革新は、強い国際競争力を実現し、世界から日本に富を呼び込み、国民所得を大いに押し上げるものであります。

 京都大学の山中教授が開発したヒトの皮膚細胞からつくったiPS細胞の研究でも、特許戦争の最先端にあります。我が国の予算要求は六十億円ですが、米国は日本の十倍以上の予算をつぎ込んで研究開発に取り組んでおります。負けるわけにはまいりません。

 こうした研究や技術開発により、設備投資が行われ、眠り続ける千五百兆円の個人金融資産が有効に活用され、配当が国民の富として還元されるのであります。

 総理には、景気対策と財政再建、成長政策を一体のものとして取り組み、日本の底力を呼び覚まし、強くて明るい日本をつくっていただきたい。成長政策を実現するための構造改革につき、総理にお伺いをいたします。

 次に、地方の活性化について伺います。

 小泉政権以来、国から地方へを旗印に、三位一体改革により税源と権限を地方に移譲する一方、三千二百の市町村が千八百に統合した市町村合併の推進によりまして行政経費を削減するなど、地方行政の改革を進めてきました。

 しかしながら、実態は、公共事業費の三%の削減の継続により地方景気が打撃を受けたのに加え、地方税である法人事業税や住民税は本社の集まる大都会に集中するため、交付税が大幅に削減された影響と相まって、特に財政の苦しい窮乏県に顕著となって、地方は疲弊し切っております。このため、国から補助金をもらっても財源がないために実施できない、三%減どころか、五%、六%のマイナスになるというところがございます。過疎化、高齢化もますます加速しており、地方の悲鳴はますます大きくなっております。

 麻生総理、総裁選挙で地方の実情に深い理解を示されて、そして、地方の党員の票をたくさん集められたわけでございます。支持を得られたわけでございますが、この地方の独自の税財源の確保や一次産業の活性化にこれまでと違った知恵が必要と考えておりますが、総理のお考えをお伺いします。

 また、地方財政の充実につきまして、前任の増田大臣が、岩手県知事であったということもあって、相当踏み込んだ改革をしていただきましたが、さらに鳩山総務大臣に精力をつぎ込んでいただきたいということをお願いし、鳩山総務大臣に御答弁をお願いいたします。

 そして、総理に、地方の物流コストを大幅に引き下げたり、地方景気を活性化するために、道路財源を活用して、高速道路について料金の引き下げ、そして、ETC利用者だけではなくユーザーに公平なメリットが与えられるような道路料金の引き下げを実施してはどうかと思いますので、総理の御見解をお伺いします。

 次に、道路特定財源の一般財源化について質問をいたします。

 福田前総理は、国民の前に、二十一年度から一般財源化をすると明言されました。これは麻生政権においても重要な国民との約束であると思います。道路特定財源制度を、地方財政に悪影響を及ぼさないような措置を講じつつ、新エネルギー開発、地球温暖化対策、その他の医療体制、少子化対策など、さまざまな政策に使えるようにということは時代の要請であります。

 しかしながら、ガソリンや自動車に課税することに理解と協力を求めてきたユーザーなどへの配慮、地方の道路整備の必要性への配慮は、やはり必要でありましょう。厳格かつ客観的な評価を行いまして、必要な道路は着実に整備するとの方針のもとに新たな道路整備五カ年計画を策定すべきだと思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。

 また、不適切な道路関係の支出等については、当然、これは正していかなければなりません。そして、暫定税率は、先ほども小沢代表が言われましたように、これはやめてしまえということですが、そのことにつきまして、総理にお考えをお伺いいたします。

 また、消費税についてでございます。

 我が国では、消費税では悲しむべき議論がいつも行われてきております。つまり、消費税は低所得であるほど税負担が重くなるという逆進性の主張であります。

 しかし、外国を見ると、なぜ、ドイツは大連立政権を樹立して、昨年、消費税を一六%から一九%に上げることができたのでしょうか。また、北欧諸国においても、二〇%を超える消費税率を国民は認めているのでしょうか。

 それは、逆進性の議論は誤りであり、消費税負担は高所得になるほど大きく、また、消費税は社会保障財源として国民に還元され、その恩恵は低所得であるほど大きいという事実を国民が当たり前のこととして理解しているからであります。

 例えば、実例を示します。

 日本で仮に一%消費税が上がると、二・五兆円の増収であります。一億二千五百万人の人口で割れば、単純に国民一人当たり二万円の負担増であります。しかし、一般国民、実際の負担で見ると、一%の増税は、百万円を消費する消費者にとっては一万円の増であります。これは、一人当たり一万円ということは四人家族で四百万円。四百万円の消費の人というのは、かなりの所得を持っているわけですね。

 したがいまして、二万円の全国民の負担増、そして一般庶民は一万円の増、そして残りの一万円を低所得者あるいは社会保障、年金、医療、介護に充てれば、これは全体の福祉の向上に役に立つ。これは、もともと国民福祉税を主張して細川政権を倒された小沢さんもそう言っておられた。しかし、その後、できないと。

 しかし、何とかこの議論を進めまして、まず国民に理解をいただいて、なるほど、消費税というのはそういう性格であるな、それでは所得の再配分という意味でもっと使うべきではないか、こういう認識を持っていただかなきゃなりませんので、私は、まずそういう意識改革を、与野党ともに国民の皆様方に説得をしていく、そういったことが必要ではないかと思うわけでございますが、総理の御見解をお願いいたします。

 これと関連いたしまして、社会保障費の抑制措置につきまして、今後どうしていくべきだと考えておられるのか、総理にお願い申し上げます。

 次に、高齢者医療制度についてお尋ねいたします。

 高齢者医療を論ずるに当たっては、我が国の医療保険制度のすぐれた点について十分な認識、議論が行われていないうらみがございます。

 我が国は国民皆保険制度になっており、自己負担については、例えば一千万円の手術をする、これはざらにあるんです。四百万円以上の医療で手術などを行う例は年間二万七千件もある。しかし、高齢者であれば、一般の方では四万四千四百円しか払わなくていいんです。それは、実は野党の皆さんもよく御存じなんだ。しかし、これは一般の方でも、八万円強払えば一千万円の手術も四百万円の手術も受けることができるんです。

 いざとなったときのこの日本の医療制度は、世界に冠たる制度でございまして、アメリカ合衆国などでは、この保険の制約のために手術が受けられない、寿命が短くなる、そういうことが起こっているんです。

 こういう日本の医療制度のありがたさについては一切強調せずに、高齢者医療制度もいろいろございますが、この長寿医療制度の中でいろいろ政治的な議論が行われる、これは私は決していいことではないと思っているわけでございます。

 したがって、私は、今後の国民に対する説明、そして、不都合なところの改善策については十分検討するべきである、こう考えているわけでございます。

 そこで、野党の皆さんは、二年半前の健康保険法改正の成立を強行採決だったと主張しておられます。とんでもないんです。

 私は、当時、国会対策委員長、カウンターパートは渡部恒三委員長でございます。渡部恒三委員長も、そうだったかな、こうおっしゃっておりましたが、衆議院で四十二時間、議論をしているんです。それから、参議院に送付したら、すぐ参議院で三十七時間、審議しております。

 そのあげく、一応、採決のときは反対の野党の皆さんが詰め寄ったりはされましたよ。あれはテレビによく出ている。しかし、あれは強行採決ではない。なぜなら、採決が終わったら何が起こったと思います。二十一項目にわたって、共産党さん以外の少数の野党の皆様方も、附帯決議をつけて、この高齢者医療制度はまだまだいろいろな点で工夫する余地がある、この法律は通ったけれども、ぜひ運用に当たって改善してほしい、こういう附帯決議がついている。民主党の皆さんも、公明党の皆さん、その他社民党の皆さんも、そういう附帯決議で賛成しておられるんです。

 したがって、私は、もっと、あの附帯決議をごらんになって、それに基づいて議論をしていただきたい。たまたまこのたびの高齢者において、保険料がちょっと上がったとか、うば捨てであるとか、そういう短絡的な議論をすべきではない、私はそういうふうに思うわけでございます。

 そこで、長寿医療については議論がたくさんございますので、総理の見直しについての基本的な考え方、具体的な視点をお伺いいたすと同時に、厚生労働大臣、いろいろおっしゃりたいことはあると思うんです。国会だと、何か答えようとすると、そんなこと聞いていない。今度は私は聞いていますから。

 一体、民主党が主張しております単なる昔の老人保健制度に戻したときに、どういうことが問題になるのか。総額三十三兆円、一人当たり二十六万円に膨らんだ国民医療費の問題を国民にもっともっとわかりやすく説明しなきゃならない。若い世代にしわ寄せをしてはいけない。

 それから、負担の下がった七五%の人が単純に上がっていいのかという問題もある。それから、ありがたい高額医療制度に対する国の貢献も説明しなければ、何でも悪いことばかり宣伝が行われておりますから、そうではないという認識がなければ、国民の医療保険制度というものはうまく回っていかないんです。ただ問題点を、政権のために、政権抗争のために議論をするということでは問題がある。したがって、ぜひよろしく厚生労働大臣からお願いします。

 それから、時間の関係がございますので、項目だけ申し上げます。余りいろいろなことを申し上げましたので、時間がなくなりました。

 米の問題も含めて、年金、米、公務員制度の改革について総理の御決意をただしたいと思います。そして、事故米の問題、これについても、食の安全、安心のために極めて大事な政策でございまして、総理の御見解をお願いします。

 次に、社会保険庁の職員のやみ専従の問題、東京、大阪、京都だけで八億三千万円も、不当であるということでお金の返還が行われましたけれども、これをもっと広く深くよく調べて、そうして不正が行われないように、やみ専従の方が十分な評価を受けてボーナスも十分受け取っていたようでございますが、そういうことについて徹底的にやるべしということで、舛添厚生労働大臣にお願い申し上げます。

 消費者庁の設置については、昨今の消費者問題、総理がどのような決意で臨まれるのか、お伺いをいたします。

 郵政民営化の問題については、民主党、国民新党は、九月に、抜本的見直しだと言っておりまして、郵政三事業について、あたかももとの郵政公社に戻すような提案をしておられます。これは国民が断じて許さないと思っております。JR、NTT、JT、JAL、JH、皆民営化の先輩会社は立派にやり遂げております。総理に、この郵政民営化の決意をお伺いしたいと思います。

 それから、二十・五兆とさっき言われました。二十二兆と言っていましたが、また二十・五兆になったようでございますが、非常にこの中身は問題があると思います。財務大臣がこの民主党の二十・五兆の案に対してどのように思われるのか。

 公務員の人件費は二割カットする。ああ、すばらしい提案でございますね。しかし、それができるのかできないのか、これについてお伺いいたします。

 最後に、ちょっと出雲弁を宣伝いたしたいと思います。だんだん。だんだんというのはありがとうという意味でございます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇〕

内閣総理大臣(麻生太郎君) 細田議員の御質問にお答えをさせていただきたいと存じます。

 まず、補給支援特別措置法の改正についてお尋ねがありました。

 補給支援活動は継続がぜひとも必要であります。我が国の国益をかけ、我が国自身のためにしてきた活動の一つです。テロとの闘いは依然継続しており、多くの国がとうとい犠牲を出しながらアフガニスタンでの取り組みを強化しております。この中で、国際社会の一員たる日本がその活動から手を引く選択はありません。

 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。

 拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を図るとの基本方針は不変であります。

 北朝鮮の核問題は、我が国の安全保障上看過することはできません。六者会合を通じた核放棄を実現すべく、米国などの関係国と緊密に連携をしてまいります。

 拉致問題について、すべての被害者の一刻も早い帰国の実現に向け、全力を尽くします。北朝鮮に対し、八月の日朝間の合意に従い、早期に全面的な調査のやり直しを開始するよう、強く求めるものであります。

 外交の基本スタンス、日米同盟関係についてのお尋ねがありました。

 我が国は、従来より、日米同盟を基軸としつつ、近隣諸国との協調、そして国連を中心とする国際協調を外交の重要な柱としております。日米同盟は日本の安全と繁栄にとって極めて重要であり、一層の強化に努めてまいります。

 金融資本市場の現状と対応についてのお尋ねがありました。

 世界の金融資本市場の緊張が高まっております。日本としては、引き続き、米国を初めとする関係各国と緊密に連携しつつ、国際金融資本市場の安定化に努めてまいります。また、我が国には、バブル崩壊以降、金融安定化の問題に取り組んできた経験と知識があり、国際会議などの機会を通じてできる限りこれを伝えることで、世界の金融資本市場の安定化に貢献をしてまいりたいと存じます。

 地球環境問題についてのお尋ねがありました。

 地球環境問題の解決は、今を生きる我々の責任であります。成長と両立する低炭素社会を、我が国において世界に先駆けて実現しなければなりません。そのためにも、我が国が強みを持つ太陽光発電など環境・エネルギー技術をさらに伸ばします。そして、その強みを生かして、世界の先頭を行く環境・省エネ国家として世界全体の取り組みをリードしていく、そういう覚悟であります。

 減税についてお尋ねがありました。

 家計に対する緊急支援策として、今年度内に定額減税を実施します。また、日本の潜在力を生かすため、省エネ設備などの投資促進や、また、海外子会社利益の国内還流のための環境整備を初め、取り組むべき税制の課題は多岐にわたり、今後、年末にかけて検討を進めさせていただきます。

 成長に必要な構造改革についてお尋ねがありました。

 改革による成長とは、日本経済の王道を行くこと、すなわち、新たな産業や技術により新規の需要と雇用を生み出して新経済成長戦略を強力に推進することだと考えております。

 地方の活性化についてお尋ねがありました。

 それぞれの地域が誇りと活力を持てるよう、地方再生戦略に基づき、政府一丸となって地域の元気を応援してまいりたいと存じます。このため、必要な地方税財源の確保に努めるとともに、一次産業の活性化について、農商工連携などに加えて、地域力の発掘を担う人材への直接支援など、これまでとは違った取り組みを推進してまいりたいと存じます。

 地方の高速道路料金の引き下げについてのお尋ねがありました。

 高速道路料金の引き下げについては、地域の活性化、物流の効率化などの観点から積極的に取り組みます。安心実現のための緊急総合対策としても、例えば深夜割引の割引幅、割引時間帯の拡大など既に行っておりますが、利用者の声を聞きながら効果的に運用してまいりたいと存じます。

 道路特定財源の一般財源化と新道路計画についてのお尋ねがありました。

 道路特定財源につきましては、五月の閣議決定に沿って、平成二十年度からの一般財源化を現実のものとしてまいります。本当に必要とする道路整備は何か、地方や道路の利用者の声を真摯に聞くとともに、さきの通常国会でのさまざまな御指摘も踏まえて、今後五年の道路整備の方針を示す計画を策定します。

 道路支出に関する無駄や天下りの批判についてお尋ねがありました。

 道路支出につきましては、既に広報広聴経費の半減、関係公益法人への支出を二十二年度までに半分以下にするなど、取り組みを開始しております。関係公益法人につきましては、必要性が低下した法人の解散、競争性の高い契約方式への移行などを進めてまいります。また、各府省の再就職あっせんの全面的禁止などを通じて天下り問題を根絶してまいりたいと存じます。

 道路特定財源の暫定税率の考え方についてお尋ねがありました。

 環境問題への国際的な取り組み、地方の道路整備の必要性などを踏まえれば、現行の税率水準の維持が必要ではないかと考えております。いずれにせよ、本年五月の閣議決定に沿って検討してまいります。

 将来への不安と消費税の役割についてのお尋ねがありました。

 今後、社会保障制度を将来にわたり持続可能で安心できるものとすることは、国民の不安を払拭するためにも極めて重要であり、消費税は重要な役割を果たすものと認識しております。年金などの社会保障の財源をどう安定させるのか、その道筋を明確化すべく検討を急ぎます。今後、年末に向けて、政府・与党において検討を進めてまいります。

 社会保障費の抑制についてのお尋ねがありました。

 平成二十一年度予算の概算要求基準では、社会保障費の自然増の抑制を行うことに加え、最終的には、財源も勘案の上、予算編成過程で検討することとしております。

 長寿医療制度についてのお尋ねがありました。

 長寿医療制度につきましては、この制度をなくせば問題が解決できるものではありません。廃止するのではなく、高齢者に納得していただけるよう改めることが必要だと考えております。そのため、一年を目途に幅広い議論を進めてまいります。

 公務員制度改革についてお尋ねがありました。

 簡素にして国民に温かい政府の実現のため、公務員諸君には、省益を捨て国益に徹し、国家国民のために粉骨砕身働いてもらうのは当然であります。このため、国家公務員制度改革基本法に基づき、公務員一人一人が誇りを持って職務に専念できるよう、改革を推し進めてまいります。

 事故米についてお尋ねがありました。

 事故米と知りつつ流通させた企業の責任は当然としても、これを見過ごした行政の責任も重いものがあります。私は、行政の長として、事態の全容解明と情報提供、行政の責任の明確化、再発防止等に万全を期したいと存じます。

 消費者庁についてのお尋ねがありました。

 消費者、生活者の味方をさせるためにつくるのが消費者庁であります。いわゆる事故米問題や食品の表示偽装などに対する国民の不安と怒りを思えば、悠長な議論はしておられないと存じます。国会に提出した消費者庁関連三法案の早期成立に全力を尽くし、消費者、生活者が主役となる社会の実現を目指します。

 郵政民営化の推進についてお尋ねがありました。

 郵政民営化につきましては、真に地域の住民、国民のためになる民営化を実現したいと存じます。

 政府としては、民営化後の状況を十分に検証し、郵便局ネットワーク水準の維持及び国民の利便性の向上の観点から、必要な対応をとってまいりたいと存じます。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

 先ほど道路特定財源の一般財源化と新道路計画についてのお尋ねがありましたが、平成二十年度と申し上げましたが、平成二十一年度からの言い間違いであります。おわびして訂正申し上げます。

    〔国務大臣中川昭一君登壇〕

国務大臣(中川昭一君) 先ほど、民主党の政策は財源捻出が可能か、本当に実現できるのかについてのお尋ねがございました。

 民主党が掲げていらっしゃる政策はすべて恒久的な施策であり、その実施のためには恒久的な財源が必要であります。しかし、民主党は特別会計の積立金などの一時的な財源も当てにしておられ、必要な財源が手当てされているとは必ずしも言いがたい印象を受けております。

 また、地方向け補助金を一括交付金化することにより財源が捻出されると主張されておられます。しかしながら、地方向け補助金の七五%は社会保障や教育関係費であり、一括交付金化により歳出削減ができるとは考えにくいのが実情でございます。具体的な削減方法をぜひお示しいただきたいところでございます。

 さらに、民主党は、一般会計と特別会計を合わせた国の純支出を組み替えるとおっしゃっておられますが、国の純支出の八割以上は国債費、社会保障費、地方の財源、財政投融資の貸付原資であり、これらの削減は困難もしくは財源とはならないものでございます。

 残りの約三十兆は、教育、科学技術、防衛、公共投資などが大半を占めております。仮に二十二兆円もの財源捻出を行った場合には、国民生活に大きな影響が出ると考えるのが自然であると思っております。

 これらの点についても具体的な削減方法をぜひお示しいただきたいと思います。

 昨年、私が自由民主党の政調会長であったときに、民主党の主張は、歳出面では、今回の提案のうち、道路特定財源の暫定税率の撤廃と後期高齢者医療制度の廃止を除けばほぼ同じ内容でございますが、財源につきましては、当時は補助金の一括交付金化などにより十五・三兆円を捻出すると主張されていたと記憶をしております。

 ところが、九月二十一日に小沢代表が、国の純支出二百十二兆円のうち一割に当たる二十二兆円を組み替えることにより捻出する旨を表明されました。さらに、先ほどの御質問では、小沢代表は、いわゆる埋蔵金の活用にまで言及されておられます。民主党の主張は時々刻々変容しているとの印象を受けているところでございます。(拍手)

    〔国務大臣鳩山邦夫君登壇〕

国務大臣(鳩山邦夫君) 地方財政は、決算段階で考えてみれば十兆円というような規模でスリム化とか歳出削減に努力をしているわけですが、それでもなお、交付税特会三十三兆六千億を加えますと百九十七兆円というような借入金を抱える段階であって、しかも、社会保障関係費は必然的にふえていくわけでありましょう。

 しかも、最近の国の経済情勢が地域経済に影響を与えれば、当然、また地方の税収減あるいは交付税減にもつながりかねない。

 しかしながら、地方の発展なくして国の発展は絶対にあり得ないわけで、地方の恩恵に支えられて大都会が発展するというような形もあるわけでありますから、私が麻生総理から最大の命令として受けておりますのは、地方が元気になるようにしろ、こういうことでありますので、地方が元気が出るように全力で取り組んでまいりますし、いわゆる地方の税財源につきましては、これを緊急に確保できるように頑張っていくこともあるし、まだ制度的に、いわゆる国税対地方税が六対四、これを一対一に近づける、そういう努力も麻生カラーを出しながら頑張っていきたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣舛添要一君登壇〕

国務大臣(舛添要一君) 細田議員から、民主党が主張している、老人保健制度に戻し、制度の一元化を図ることの問題点についてお尋ねがありました。

 高齢化に伴い、国民医療費は、平成十八年度の約三十三兆円から、二十年後には約五十六兆円に増大すると見込まれております。こうした中で、持続可能な医療保険制度を構築することは喫緊の課題であり、長寿医療制度は、若い人と高齢者の負担のルールを明確にし、高齢者の医療費を国民みんなで支えるわかりやすい仕組みとしたものであります。

 また、長寿医療制度は、窓口負担の割合を原則一割とし、高額療養費の自己負担限度額を低く設定することにより、現役の方より軽い負担で医療を受けていただけるものであります。

 さらに、制度創設により、次のような利点があります。

 まず、長寿医療制度については、市町村単位の運営から都道府県単位の運営にしたことにより、安定的な運営が可能になります。また、同じ都道府県内で同じ所得であれば原則として同じ保険料になるとともに、市町村国保で五倍であった保険料格差が長寿医療制度では二倍に縮小いたします。さらに、御本人が選んだ高齢者担当医を持つといった、高齢者の方にふさわしい医療を提供できるようになります。

 しかしながら、制度についてさまざまな御意見が寄せられていることから、高齢者の心情に配慮し、一年を目途に見直しを検討いたします。

 一方、民主党が主張するように、この制度を廃止し、老人保健制度に戻した場合、高齢世代の保険料の扱いが不明確なまま現役世代に負担が回される仕組みに逆戻りとなるなど、問題の多い老人保健制度を復活させるだけであります。

 また、長寿医療制度においては、市町村国保と比べて、七五%の世帯で保険料負担が軽減され、保険料格差も二倍に縮小したにもかかわらず、これがもとに戻り、七五%の世帯で負担がふえ、格差も五倍に広がってしまいます。

 さらには、比較的高齢者が多い市町村国保や中小企業サラリーマンの協会健保の負担がふえ、保険料を引き上げることになります。

 また、当然のことながら、制度を運営する広域連合や市町村、ひいては国民を混乱させ、多大なコストを生じさせるなど、国民生活に大きな影響を与えるさまざまな問題が起きることになります。

 次に、制度の一元化を図るとの御主張については、内容が明らかにされておりません。これまで保険者として運営に努力してきた健保組合の存在意義がなくなり、すべて解散させることになります。自営業者とサラリーマンとの間で所得形態が異なる中で、皆が納得できる保険料のルールがつくれるのか。地域保険に一本化する場合、事業主の負担のみが軽減されることになり不公平といった問題が生じます。このため、連合や健保連などの労働者、保険者団体等からも反対の意見が示されております。

 いずれにしろ、早期に具体的内容を明らかにしていただきたいと思います。

 次に、細田議員から社会保険庁職員のやみ専従問題についてのお尋ねがありました。

 社会保険庁職員のいわゆるやみ専従については、九月三日、既に判明した行為者三十名等に関する処分を行い、あわせて給与の返納を求めたところであります。

 この問題については、現在、私のもとに直属の、弁護士などの外部有識者から成る服務違反調査委員会を設置し、刑事告発などについて御検討いただいているところであります。十月末を目途に結論を取りまとめ、その結果に基づき厳正な対応を行ってまいります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(横路孝弘君) 鳩山由紀夫君。

    〔鳩山由紀夫君登壇〕

鳩山由紀夫君 国民の皆さん、民主党の鳩山由紀夫です。

 民主党・無所属クラブを代表して、小沢一郎代表に続きまして、麻生総理の所信に対して質疑をいたします。(拍手)

 小沢一郎民主党代表は、民主党政権において、自民党政権がついにできなかった「国民の生活が第一。」の政治とその具体的な政策を、必要な財源と実施のプログラムを含めて国民の皆様方に明快に提案をいたしました。

 それに比べて、麻生総理の所信とこの場における答弁は、国のビジョンも政策も具体性を欠き、まるで小沢総理の所信に対する代表質問のようであり、細田幹事長のあの興奮ぶりを見ても、もう与野党が逆転したかと思われた方も多かったのではないでしょうか。

 あなたが総理の責任の重さを語るなら、民主党を批判される前に、つけ足しのような形ばかりのおわびではなく、自民党総裁として、政治空白を招いたことに対する国民への謝罪、そして、なぜ二年間の間に三人目の総理になったかと、総括と反省を真剣に語るべきでありました。

 なぜ、その総理の座をいとも簡単に投げ出してしまったのか。それは、リーダーに必須の、この国をこう変えたいというビジョンもなく、政策もなく、そのためには死を賭しても闘うという覚悟もお二人ともお持ち合わせなかったということでございます。失敗に対する反省と総括抜きでは、たとえ総理のいすを継承されても、また同じ過ちが繰り返されるだけではありませんか。

 あなたの所信は、到底、責任と実行力ある政治を行う姿勢には見られません。真摯さも謙虚さも見られません。

 はっきり申し上げます。あなたの姿勢は、第九十二代内閣総理大臣としての品格に欠けています。

 麻生総理、あなたは、所信でいとも簡単に中山国土交通大臣の辞任に触れただけで、あなたの任命責任についてはまるで述べませんでした。中山議員について、任命したときには適任だったと語ったと伺いましたが、その言葉は任命責任を回避する発言であります。

 もともと中山議員は偏向した発言を繰り返していたではありませんか。それとも、歴史観と国家観を共有する同志と思って任命されたんでしょうか。あなたも、かつては、日本は一国家一民族であると発言されておりました。その言葉はひょっとしたら本音じゃありませんか。アイヌ民族が先住民族であるということが認められた記念すべき年に、何という発言をする大臣を任命してしまったのでしょうか。

 成田空港問題や大分の教育委員会汚職の事実すら正確に把握していなかった人を閣僚に任命し、五日で辞職させなければならなかったということは、単なる失言問題ではなく、重大な不祥事であります。任命責任についてしっかりと国民におわびし、あなた自身を含めて、二度と同じことを繰り返さないと誓うべきであります。いかがでしょうか。

 民主党は、国会が喫緊の課題を処理した後に、直ちに解散・総選挙の実施を要求いたします。信を問え、それが国民の声であります。

 選挙を前に麻生内閣が最低限国民に示すべきことは、民主党に対する批判ではなく、福田内閣の何を引き継ぎ、何を新しく提案するかをはっきりと提示することではありませんか。

 ところが、後期高齢者医療制度にしても見直しを一年かけて検討する、年金財源も検討を急ぐなど、重要政策のほとんど全部が結論の先送りです。全部あいまいにしたまま選挙を戦おうとしているんですか。余りに国民に対して失礼で誠意のない態度ではありませんか。

 また、民主党が補正予算に賛成するか否かを代表質問の中で答えよと言われました。これも、総理としての資質が疑われる、国会に対しては失礼な話です。全体像がさっぱりわからない予算の賛否は、予算委員会の質疑を通して決めるのが当然じゃありませんか。

 民主党は、補正予算の審議を引き延ばすことなど毛頭考えておりません。六日から予算委員会の審議をしようじゃありませんか。

 民主党はこんな補正予算では決して景気回復にはならないとは考えますが、それでも、補正の審議を行ってから国民の皆さんが待望している解散・総選挙に臨むべきであります。総理の御所見を伺います。

 麻生総理、あなたは民主党に対して多くの質問をされました。しかし、野党には答弁権が与えられていません。もしルールに反して答弁を求めるのであれば、質問時間の制限を外してください。あるいは、野党にも所信表明の時間を与えてください。あなたの態度は、ただ選挙に勝たんがために国会を利用する、総理たる資格を欠くものであります。(拍手)

 あなた方が自民党総裁選挙でお祭り騒ぎをやり、政治空白をつくり出している間、リーマン・ブラザーズの破綻に始まる金融不安が広がり、汚染米が学校給食に使われていた事件、社会保険庁による組織的な消された年金事件など、次々と新たな重大事件が起きました。北朝鮮には拉致事件の再調査の延期を通告される始末です。

 しかし、自民党は総裁選に明け暮れ、福田総理は居留守状態で、何の対応もできなかったではありませんか。その張本人のあなたに民主党を批判できるのでしょうか。本来、憲政の常道に従い、直ちに政権を野党に明け渡し、民主党政権で国民に信を問うべきであります。

 我が国には政権交代とそのための二大政党制が必要なんです。民主党と自民党は理念も政策も違います。政策を競い合い、その優劣で国民の審判を仰ぐのが議会制民主主義ではありませんか。

 もちろん、野党といえども、政権が国民を豊かに導いているときには大いに協力をすべきです。しかし、国民生活が破壊され、国の尊厳が失われているときに、自民党政権を倒すことは民主党の使命ともいうべきものであります。

 にもかかわらず、あなたは民主党に協力を求め、民主党が自民党に協力しないことを批判いたしますが、それは、あなたが安倍元総理、福田前総理と同じ間違いを犯すことを宣言していることになるんです。

 ある国際的なエコノミストは、よしあしや好き嫌いは別として、この政治的なデッドロックから早期に抜け出すためには民主党が次回の総選挙で勝つしかない、単独にせよ連立にせよ民主党が与党となる必要がある、さもなければ、現実問題として停滞が長引くだけだと喝破しております。

 あなたの批判に対する反論は、この評論で十分であります。

 あなたの幾つかの質問でありますが、まず民主党の政策をよく勉強してから質問してください。あなたの所信で示された政策は、そのほとんどが福田内閣の政策でありますが、民主党は、そのすべてに具体的な政策を提案いたしています。

 自分に賛成しない者は敵であり、悪であるとして攻撃する路線、それを人はファッショと呼ぶんです。あなたは、民主党をなぜかナチスになぞらえました。あなたに、民主党がなぜナチスなのか、この場で御説明をいただきたいと存じますが、あなたの質問は、政策が異なる政党に対して極めて傲慢不遜であります。

 これがあなたの質問に対する民主党の回答であります。

 総理、あなたが強調する安心実現のための緊急総合対策について、安心するのは自民党の政治家と官僚であり、まさに古色蒼然という声が聞かれます。すなわち、これで経済と国民生活の立て直しの展望が示されたとは全く言えず、むしろ、既得権益の枠の中で中途半端なばらまきという評価がほとんどであります。

 民主党は、既に、ガソリン税などの暫定税率廃止と地方財源の確保、高速道路無料化、中小企業減税と金融円滑化、住宅ローン減税、後期高齢者医療制度の廃止などを盛り込んだ緊急経済・生活対策の実施を提案していました。

 ところが、自公連立政権は、ことしの夏まで、イザナギ景気を超える戦後最大の景気拡大、今後も米国景気の復調に伴って輸出が伸びるなどと喧伝し、サブプライムローンの問題の深刻さを軽視し、解散が取りざたされるころになってようやく経済対策に乗り出すお粗末さでありました。

 百年に一度の金融危機と言われる事態はますます深刻化しているんです。今、緊急に行わなければならないことは、第一に、潤沢な流動性の供給を行うこと、第二に、金融機関による貸し渋り、貸しはがしの監視、そして第三に、真に経済効果のある施策を迅速かつ十分に行うことであります。

 さらに言えば、カジノ資本主義から健全な新しい資本主義の再構築のため、我が国の政治経済の仕組みを抜本的に変える必要があります。

 民主党は、既に、若者や働く貧困層のための職業紹介、職業訓練、住宅支援など就業支援、中小企業を支援しつつ最低賃金の全国平均で千円への引き上げ、二カ月以下の派遣労働の禁止、すべての非正規労働者の社会保険加入など正規、非正規の同一条件での均等待遇の実現、公立高校授業料の無償化、私立高校などの学費負担軽減、生活費も支援できる奨学金制度の創設、月額二万六千円の子ども手当や出産助成金の支給などの経済的支援と保育サービスの充実など、個別具体的な政策を打ち出しています。

 なぜ、あなたはまだ具体的な政策を一切お示しにならないのでしょうか。それは、これまでの自民党政治への反省も総括もないからではありませんか。

 これから検討しているいとまはありません。民主党に政権を直ちに任せてください。あなたの後は民主党が責任を持ちます。(拍手)

 具体的に、それではお伺いします。

 まず、定額減税を実施すると言いながら、額も財源も示されておりません。つい最近は、自民党幹事長が、追加策として、定額減税のほかに定率減税や法人税減税に言及しています。あなたはほかにも配当金非課税など政策減税の実施に言及していますが、何をやり、その財源は何か、はっきりお示しください。

 また、財政再建は努力目標に変えられたようですが、これは、当面、赤字国債の大量発行も念頭に置かれてのことでしょうか。二〇一一年度におけるプライマリーバランスの達成という看板はおろしたのですか、お答えください。

 また、今まで政府・与党は、埋蔵金などはないと言っておられましたが、あなたの認識では埋蔵金はあるのかないのか、使うのか使わないのか、お示しください。

 総理は、日本経済を全治三年と言われました。日本経済を重病にしたのは自民党、そしてあなたも主要な責任者の一人ではないですか。あなたが全治三年と言うなら、そのようになった原因、総括を示してください。

 また、あなたは、病にかかった日本経済と国民生活に、消費税税率を三年後には上げると言っておられるのか、上げないというのか、ここでお示しください。

 あなたは、結局、ばらまきのツケが赤字国債と消費税増税ではないかという疑問に何にもお答えになっていません。この際、麻生内閣の財政方針を明確に示してください。

 五千万件の消えた年金のほとんどは、いまだに宙に浮いたままです。これに加えて、先月初め、民主党の追及によって、社会保険庁の意図的な改ざんによる消された年金の実態が明らかになってまいりました。

 舛添厚生労働大臣は、改ざんの疑いがある事例が六万九千件と答えています。しかし、これすら氷山の一角であり、納付期間の改ざんやオンライン化以前のものは含まれていないとのことであります。

 また、舛添大臣は、組織的関与があったと推量すると答えております。元職員は、毎月行われる社会保険庁の収納対策会議で標準報酬月額を改ざんして徴収率を上げるよう指示があったことや、こうした手法は社会保険庁の本庁の職員も承知していると証言しています。

 これは、困り果てた事業者を役人が唆して、まじめに働く人たちから年金を奪い取る組織的な犯罪ではありませんか。

 あなたは、ひたすら手間と暇を惜しまず確かめ続けますと言います。しかし、これは、冬になれば年金の全部が灯油代で消えてしまう、ことしの夏はおまえに会えたが、来年はもう会えないかもしれないと寂しげに語ったお年寄りへの答えにはなっていません。

 さらに、記録が回復せずに本来の年金額を受給できないまま、あるいは記録が改ざんされたことすら知らないうちにお亡くなりになる方も多いのではありませんか。

 民主党政権では、国家プロジェクトとして、全記録の確認と訂正を徹底的に集中して速やかに行い、訂正から年金受給額の回復までの期間を短縮し、すべての加入者に年金通帳を交付して、いつでも自分の年金記録が報酬月額も含めてすべて確認できるようにすることを提案しています。

 総理、あなたは具体的に国民に何を約束するんですか。消えた年金はお年寄りが亡くなられる前に回復するんですか。消された年金はその全容を調査するんですか。

 さらに、総理就任会見で、あなたは、基礎年金の国庫負担率を約束どおり来年四月から二分の一に引き上げると言っておられますが、その財源は何によって確保するのか、明快にお示しください。

 次に、これもあなたの政府の腐敗の象徴である汚染米についてお伺いします。

 この事件は、事故米を処理したい農水省と安価な事故米でもうけたいという業者が結託して起こした事件であります。

 そもそも、食用でない事故米を工業用として売り渡すこと自体が、食の安心、安全を預かる農林水産省としてあるまじき行為であり、国民から見れば犯罪行為であります。総理、あなたはこれをどう説明するんですか。

 三笠フーズに九十六回も調査に入りながら何も発見しなかったということは、農水省と業者が癒着していた何よりも明らかな証拠です。実際には、そのうちの四回、しょうちゅう用に使う予定と報告されていたじゃありませんか。食用に使うことを農水省は知っていたのではないですか。汚染米をなぜ水際でとめなかったんですか。汚染米をなぜ焼却処分にしなかったんですか。汚染米をなぜ着色するなど区別しなかったんですか。

 事件発覚直後、農水省の役人は責任を否定し、農水大臣はじたばた騒ぐんじゃないと言い放ちました。そして、おやめになりました。今度は、政府が農水省に改革チームをつくると言っています。でも、国民のだれもが知っています。泥棒が泥棒を取り締まることも、告発できるはずもないじゃありませんか。

 偽装、改ざん、不正転売など食の安全が脅かされている中で、民主党は、抜本的な制度の改正が必要と早くから主張して、原料原産地表示の義務づけの拡大、食品取引の流れを追跡するトレーサビリティーシステムの導入と徹底、食品行政の一元化等を柱とした食の安全・安心対策関連法案をとっくに衆議院に提出しています。

 しかし、与党はその重要性を全然理解せず、たなざらしにしているではありませんか。もし民主党の提案を受け入れているならば、このような事件は起こらなかったじゃありませんか。食品行政に対してこんなていたらくの政府だからこそ、既存のものを寄せ集めただけの消費者庁を設置すると言われても、果たして機能するのかと疑わざるを得ないのであります。

 民主党は、消費者の立場から省庁を強力に監視し、消費者の心を十分に反映できる独立した機関として消費者権利院を提案しています。

 もう一つ、あなたは中国製冷凍ギョーザ事件の解決に取り組まれるのでしょうか。今度は、メラミン入り乳製品の問題が燎原の火のごとく広がりつつあります。

 政府は抜本的な対策を講じるどころか、中国政府に遠慮して、中国内で回収したギョーザで中毒被害が出たという重大情報を国民から隠ぺいしたではありませんか。

 あなたは、ことしの二月、熊本市での講演で、中国製ギョーザ事件にかかわって、中国に感謝しなくてはいけない、物すごく付加価値がついたなどと発言されました。被害を受けた方々のためにも、発言をこの場で撤回することを求めます。

 薬害C型肝炎訴訟がようやくにして解決に近づいていますが、患者の粘り強い取り組みがなければ、肝炎被害はさらに多くの国民に広がっていたでありましょう。

 消された年金、汚染米、そしてこの薬害肝炎、いずれも政府が加害者であり、それを告発し、正しい方向に転換させようと努力してきたのは国民の皆様です。公僕たる官僚が国民の税金や利権にあぐらをかき、それに乗っかり、怠惰な政権の美酒に酔ってきたのが自民党ではありませんか。

 自民党は、だれがトップになっても変わらない官僚内閣、官僚政権であり、政権交代が必要だと民主党が主張するゆえんは、まさにここにあるのであります。(拍手)

 介護の次は医療保険、少ない年金から天引きされて、もう生活できない、新聞も牛乳もやめた、年寄りは病院に来るなというのか、九十日たったら病院から出ていけというのか、こういった国民からの強い批判があったにもかかわらず、政府は、後期高齢者医療制度をことし四月から実施いたしました、強行しました。

 あなたは、ほほ笑みを忘れた日本人にほほ笑みをよみがえらせると所信でおっしゃいました。しかし、国民から笑顔を奪ったのは、まさにこのような弱者切り捨て、競争至上主義の自民党政治ではありませんか。

 十月十五日、間もなく、子供の扶養家族になっており半年間保険料の徴収が凍結されていた人などを含め、新たに六百二十五万人の高齢者を対象に保険料が天引きされます。

 あなたの所信では、「一年を目途に必要な見直しを検討します。」とされました。国民への説明不足というのが、あなたの基本認識のようであります。

 自民党総裁選の終盤になって、あなたは、抜本的に見直す必要がある、七十五歳という年齢制限はつけないとテレビなどを通じて国民に明言をされました。しかし、自民党総裁になった途端に、全くやる気がうせたようであります。抜本的見直しが、単なる改善に変わりました。聞けば、千三百万人の七十五歳以上のお年寄りのうち、今でも会社勤めをされておられる約三十五万人の方々のみ、以前入っておられた保険に戻すだけのようであります。これでは、苦しいお暮らしをされておられる方々には全く無縁の話ではありませんか。

 結局のところ、あなたには、お年寄りや障害をお持ちの方々の日々の暮らしがおわかりにならないのであります。一年をかけて見直しを検討している暇などないのです。

 民主党は、制度を直ちに廃止し、それに伴う自治体への財政支援を行い、国民健康保険と被用者保険など制度間の不公平を是正し、順次統合して医療制度を一元化することを提案しています。

 制度の欠陥を説明不足でごまかし、一年間の検討で時間稼ぎをするなどというのは、余りにもこそくではありませんか。

 自民党は、六十五歳以上の障害者も後期高齢者医療制度に組み入れました。自立支援の美名のもとに、所得保障のないままに障害者の方々に定率負担を押しつけ、結果として、障害者の自立が妨げられてしまったどころか、日々のお暮らしにさえ困っておられる方々が大勢おられます。

 民主党は、さきの通常国会に、障害者の方の一割負担を凍結して、応益負担を応能負担に戻し、サービス事業者への財政支援を行う法案を参議院に提出いたしましたが、与党の御賛同をいただけませんでした。

 自公合意で抜本的見直しが確認されたといいますが、何を具体的にやるのでしょうか。具体的に、障害をお持ちの方々にお示しをください。

 総理の所信で、食料自給率を五〇%に引き上げるという表明がありました。あなたは、「攻めの農業へ、農政を転換する」と言われましたが、これは数年前から自民党が言ってきた色あせたスローガンであり、いまだに何も成果を上げていません。例えば沿岸漁業、例えば酪農農家にどのような政策を推し進めるのか、具体的に示してください。

 民主党は、自給率を高め、安全な食料を供給するために、生産、流通、販売の一体的な農業の再構築を提案しています。

 そのためにも、まずは経営の安定です。私たちは、農業、畜産、酪農の戸別所得補償制度を創設いたします。そしてさらに、漁業の所得補償制度、森林・林業の直接支払い制度も検討を進めています。せめて民主党に対抗するくらいの政策はお示しいただけないでしょうか。

 設備投資どころか融資が細って毎日の資金繰りすら厳しい、利益どころかやればやるほど赤字だ、地域の建設業が立ち行かない。地域を支える中小零細の地場産業や商店経営者からの切実な声です。

 民主党は、中小企業減税と金融の円滑化、地元企業への発注比率向上、中小企業いじめ防止法の制定を実現いたします。さらに、中小零細企業に対する貸し渋り、貸しはがしを食いとめ、円滑な経営に資するため、かつて実施いたしました特別信用保証制度を復活させます。

 総理は、所信で、中小零細企業の底上げを図ると言われますが、四千億円余りの補正予算で九兆円の事業規模を引き出すという上げ底政策のにおいがする補正予算案で十分であると考えているエコノミストは皆無に近いと思います。率直に言って、もう少し実のある政策を示す熱意はありませんか。補正予算の審議の前から、第二次補正の声が政府からも聞こえてきます。どうやら政府も、この補正予算ではとてもとても不十分だと思っているのではありませんか。

 さらに、地域経済、分権の問題です。自民党政府は、これまで、中央官僚の言いなりに、肝心の権限は譲らず財源は取り上げる、名ばかりの三位一体改革で地方の力をそぎ、自治体間の格差を広げてきました。

 民主党は、地域のことは地域で決め、地域の特性、特徴を生かして主体的に創意工夫で取り組める真の地域主権の形を実現することこそ、地方の活性化の起爆剤だと考えています。そのために、財源も権限も人材も大きく地方に移譲するんです。地方の出先機関も廃止や縮減をし、国から地方への個別補助金も廃止をし、地方が基本的に自由に使える一括交付金といたします。

 そして、第一次産業や中小企業の立て直し、高速道路の原則無料化、国民生活を確保して地域社会を活性化するための郵政事業の抜本的見直しなど、地域経済と社会の再建に取り組みます。

 細田幹事長が、あたかも我々が郵政を公社化に戻すかのような発言をされましたが、そのようなことは一切考えておりません。

 総理、あなたは地方税源の減収対策を野党に尋ねましたが、私たちに言わせれば、ひもつき補助金と直轄事業負担金こそ問題です。これをあなたはどうしようとされているのか、お示しください。

 さて、喫緊の外交問題に限って触れさせていただきます。

 福田総理が政権を投げ出したことで、八月の日朝実務者協議で曲がりなりにも北朝鮮が約束した、拉致問題に対する再調査を延期する格好の口実を与えてしまいました。また、北朝鮮がこれまでの六者協議の合意を踏みにじり、核施設の無能力化の中断を発表したにもかかわらず、政府としての対応は全く聞こえてきません。前内閣が私の手で解決しますと言い切った拉致問題を解決するために、あなたは一体どのような具体的な取り組みをされるのでしょうか。

 民主党は、米国から言われるままにイラクやインド洋に自衛隊を派遣したことは、憲政史上に汚点を残したと考えています。イラクからの撤退をようやく政府は決断いたしましたが、どうもテロ新法の延長しか念頭にないようでありますが、七年を経た今、むしろアフガニスタンの治安情勢は悪化しており、隣国のパキスタンでもテロが頻発しています。

 今改めて、我が国がテロとどう闘っていくのか、アフガニスタンの平和と安定、復興のために何をなすべきか、給油にとらわれず、もっとアフガニスタンに期待される支援のあり方を冷静かつ主体的に見直すべきであります。(拍手)

 あなたの外交は、結局、古い日本の保守派外交を、言葉をかえてなぞろうとしているだけではないですか、お答えください。

 最後に、自民党と総理が執心している、自民党と民主党の政策実現のための財源問題をもう一度整理いたします。

 民主党は、年金・医療・介護、子育てと教育、雇用、農林漁業・中小企業、生活コストの五分野でセーフティーネットをつくり、愛のある政治をよみがえらせます。その実現のために、財政構造の転換、国民主導の政治、真の地方分権を三本柱とする統治機構の抜本改革を行い、地域経済を再生させ、日本を地球に貢献する国として生まれ変わらせます。

 そのための財源は、無駄遣いの根絶、不要不急な事業の中止、延期などを徹底すれば、平成二十四年度までに、一般会計、特別会計の合計約二百十二兆円の約一割に相当する二十兆五千億円を国民の支持を基盤とする民主党政権の意思により確保できると考えています。

 それに対して、麻生政権においては、総理自身が今年度中の実施を断言した定額減税の財源、来年度の実施が法律で定められている基礎年金国庫負担引き上げの財源、二〇一一年度におけるプライマリーバランスの実現のための財政対策を含めて、いまだに財源対策は何ら示されていません。赤字国債の発行、消費税の増税、埋蔵金の取り崩しなどいろいろと取りざたされていますが、何もはっきりと示されていません。

 後期高齢者医療制度創設で節減されたはずの五千七百億円の予算、基礎年金の二分の一国庫負担の財源にするとされた定率減税の廃止による二・五兆円の増税分もどこかに消えてしまったではありませんか。

 すなわち、野党と政府・与党で財源対策は全く逆転しており、民主党のガラス張りの無駄の排除、予算総組み替え論に対して、麻生自公政権の財源対策は全くのブラックボックスではありませんか。

 民主党は、国の直轄事業の節減、国家公務員人件費の二割削減、天下り禁止と入札改革による随意契約と談合の廃止による政府調達予算の節減、ひもつき補助金の一括交付金への振りかえ、特別会計の余剰金の活用、政府資産の計画的売却、租税特別措置の抜本整理などにより、政権初年度、二年目、三年目、そして四年目までに順次、政策の実施にあわせて予算の総組み替えを行ってまいります。

 私たち民主党は、国民からお預かりした税金は一円たりとも無駄にいたしません。自民党は、当たり前のようにばらばらばらばら無駄遣いをしてきたじゃありませんか。例えば、地元が不要と言った事業費二千六百五十億円にも上る川辺川ダム国営事業は中止をするんですか。八ツ場ダムはどうですか。

 十二兆六千億円にもなる天下り団体への資金交付をどれだけ削減するんですか。当然、野球道具、マッサージチェア、居酒屋タクシーなどへの支出はやめても、まだまだ隠れた役人の既得権はたくさん残っているんです。これらのすべての無駄遣いをあなたの官僚内閣でとめることができるわけないじゃありませんか。

 自民党、公明党議員に申し上げます。民主党に対する批判はどうぞ御自由でありますが、党に帰って自分たちの政策の財源をまず確かめてください。選挙区に帰って有権者に説明できる財源は何か、赤字国債か消費税増税か。なぜ民主党には税金の無駄遣いをとめることができて、自分たちの政権ではできないのか。これこそ国民が最も知りたいところではありませんか。

 選挙区であなた方の主張が通るのか、家計をやりくりしている御家庭の主婦、経費を節減している零細企業や商店の皆さんに何と説明するのか、総選挙で試すべきであります。

 さて、総理は、所信で、合意形成のルールと言われました。私は、なぜ民主党が自民党と談合しなければならないのか、一切わかりません。

 議会のルールは確立しており、そしてそれを換骨奪胎させてきたのは、まさに自民党じゃありませんか。自民党、公明党は、衆参で絶対多数を握っていたときは強行採決の繰り返しじゃなかったですか。むしろ、直近の民意である参議院の意思を無視して、自分たちの主張を丸のみしろというあなた方の姿勢こそ、合意形成を妨げてきたんじゃありませんか。

 総選挙で民主党が勝利すれば、衆参のねじれは解消いたします。そして、私は、必ずそのねじれが解消すると確信しています。

 民主党に政権は任せられないと自公政権は言います。しかし、自公にこれ以上政権を任せていて、国民にとっても、日本にとっても、何もいいことはありません。あなたは、日本人の変化を乗り切って大きく脱皮する力を信じると言われました。私も、日本人が自民党政治から大きく脱皮する力を持つことを信じています。

 今までやれなかったことはこれからもできないんです。すなわち、自公政権の延長線上にあすはないんです。総理の言う強い日本も、明るい日本もないんです。

 民主党政権には、「国民の生活が第一。」という政権の大目標があり、そのことを革命的改革によって、国民生活と日本の経済社会を変えることができます。官僚政権にかわって国民政権を樹立させようじゃありませんか、皆さん。

 来るべき総選挙において、民主党は国民の御期待にこたえるために全力を挙げることをお誓いし、私の代表質問を終わります。

 国民の皆さん、御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇〕

内閣総理大臣(麻生太郎君) 鳩山議員の質問にお答えをさせていただきます。

 まず、中山前大臣の任命責任と私の発言について御指摘がありました。

 中山前大臣の一連の発言は、閣僚としてまことに不適切であります。関係者の方々、国民の皆様に深くおわびを申し上げる次第です。

 任命責任は私にあります。今後、仕事で成果を出すことにより、国民に対して責任を果たしてまいりたいと存じます。

 私の過去に対する不用意な発言で関係者の皆様に不快な思いをさせたことにつきましても、おわびを申し上げさせていただきます。今後、総理大臣として、言葉の重みをわきまえつつ発言してまいりたいと存じます。

 次に、補正の審議を行ってから解散・総選挙に臨むべきとの主張がありました。

 補正予算の審議を引き延ばすことなく行っていただけることは、感謝申し上げます。

 しかし、前国会において、議長立ち会いのもと、与野党で結論を出すと合意したはずの税制関連法案が、二カ月も意思決定されませんでした。結果として、国民生活、地方自治体などに大きな混乱が生じました。

 衆参両院において、現下の厳しい経済情勢から国民生活を守るために提出しました補正予算及び関連法案につきましては、その趣旨を御理解いただき、早急に結論を出すことをお約束いただければと存じます。

 解散のお話がありましたが、解散は私が決めさせていただきます。

 民主党をナチスに例えたとの御指摘がありました。

 私は、議会が国民の負託にこたえられず、その機能を果たさなくなったときにナチスが政権をとった事実を指摘したのでありまして、民主党をナチスに例えたことなどありません。

 安心実現のための緊急総合対策についてのお尋ねがありました。

 政府・与党が取りまとめました安心実現のための緊急総合対策は、例えば、中小零細企業の資金繰り対策や学校耐震化などの国民生活に直結する具体的な施策を盛り込んでおります。また、本対策を裏づける補正予算を速やかに成立させることが必要であろうと存じます。

 なお、ばらまきとの御指摘がありますが、本対策は、真に必要な対策に財源を集中するなど、旧来型の経済対策とは一線を画するものだと考えております。

 政策減税の実施とその財源についてのお尋ねがありました。

 税制の課題は、定額減税に加え、省エネ設備等の投資促進や海外子会社利益の国内還流のための環境整備など、多岐にわたっております。今後、財源を明確にしつつ、年末に向けて検討を進めてまいりたいと存じます。

 赤字国債の発行及び基礎的財政収支の達成についてのお尋ねがありました。

 我が国の経済や社会保障に悪い影響を与えないため、二〇一一年度までに国、地方の基礎的財政収支を黒字にするという目標を達成すべく、努力をしてまいります。

 平成二十年度補正予算につきましても、既存の歳出を見直す中で、最大限の財源捻出の努力を行うことなどにより、赤字国債を発行しないとしたところであります。

 埋蔵金の有無などについてお尋ねがありました。

 埋蔵金が何を指すのかは明らかではなく、その有無についてお答えをいたしかねます。仮に、特別会計の積立金などを指すのであれば、特別会計の財務諸表などはすべて公表されておりまして、埋蔵金という表現は適切ではないと存じます。

 なお、特別会計の積立金は、これまでも財政健全化のために活用してきているところであり、今後とも、同様の方針で可能な限り活用していく所存であります。

 日本経済が全治三年となった原因についてのお尋ねがありました。

 我が国経済は、バブル経済崩壊後の長い低迷から脱却し、持続的な景気回復を続けてまいりましたが、現在は、景気後退の上、米国発の金融不安が起こるなど、厳しい局面に立たされているものと認識をいたしております。

 こうした著しい変化を受けて、当面は景気対策、中期的には財政再建、そして中長期的には改革による経済成長という三段階で臨みます。

 私は、日本経済を全治三年と申し上げましたが、三年で日本は脱皮できる、せねばならぬと信じております。

 消費税についてのお話がありました。

 消費税の引き上げは避けて通れないだろうと考えております。ただし、現在の経済状況においては困難であると考えており、経済動向などを注視して判断をしなければならないと考えております。

 麻生内閣の財政方針についてお尋ねがありました。

 我が国は、巨額の借金を抱えており、経済や社会保障に悪い影響を与えないため、財政再建は当然の課題です。麻生内閣として、日本経済の持続的で安定した繁栄を図ることを基本線として踏み外さず、財政再建に取り組んでまいります。

 標準報酬月額の改ざんについてのお尋ねがありました。

 不適正な訂正が行われた事実につきましては、事実関係を徹底して調査し、社会保険庁の職員の不正が明らかになった場合には、厳正なる処分を行います。

 いわゆる消えた年金、消された年金に関する政府の取り組みについてのお尋ねがありました。

 高齢者のことを考えれば、一日も早く年金記録を正し、年金が正しく支払われるようにすることが重要だと考えております。

 そのため、持ち主がわからない未統合の五千万件の記録につきましては、今月中にすべての受給者、加入者に対しねんきん特別便の送付を終えるなど、統合作業を進めます。

 年金記録に漏れや誤りがある場合につきましては、年金受給者を優先して八・五億件の紙台帳の記録とコンピューター記録との突き合わせを進めるとともに、いわゆる標準報酬の改ざん問題について、疑いのある記録六・九万件のうち年金の受給者約二万人に対して記録の確認作業を開始させます。来年中には、すべての受給者について、標準報酬などに関するお知らせを開始します。

 ひたすら手間と暇を惜しまず、全力を尽くしてまいります。

 基礎年金国庫負担の財源についてのお尋ねがありました。

 基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げを含め、年金などの社会保障の財源をどう安定させるかにつきましては、その道筋を明確にすべく、年末までに結論を得たいと考えております。

 汚染米についてお尋ねがありました。

 工業用として販売した事故米が食用に転用されていることを見逃し、適切な対策を講じてこなかった行政の責任はまことに重大です。

 私は、行政の長として、事態の全容解明と情報提供、行政の責任の明確化、再発防止に全力を期します。

 原因究明と対策について、内閣府に設置されました有識者会議で徹底的に検証、検討を行ってまいります。

 中国製冷凍ギョーザについてのお尋ねがありました。

 本件につきましては、中国での捜査が進展し、一日も早く真相究明がなされることが何よりも重要であります。

 中国側も本件を重視し、捜査を加速していると承知をしております。政府として、消費者の安全確保の観点から、引き続き中国政府に早期解決を求めてまいります。

 中国製ギョーザに関する私の発言について御指摘がありました。

 関係者の方々に不快な思いをさせましたことをおわび申し上げます。

 長寿医療制度についてお尋ねがありました。

 長寿医療制度につきましては、この制度をなくせば問題が解決できるものではありません。廃止するのではなく、高齢者に納得していただけるように改めることが必要と考えております。

 その際、高齢者を初め多くの方々の御意見をしっかり受けとめる必要があり、一年を目途に幅広い検討を進めてまいります。

 障害者自立支援法の見直しについてのお尋ねもありました。

 障害者自立支援法につきましては、現在、利用者負担の軽減や事業者の経営基盤の強化などの緊急措置を講じております。

 今後は、障害児に対する福祉サービスのあり方など、制度全般にわたる見直しや、二十一年四月の報酬改定について検討を進めてまいります。

 沿岸漁業及び酪農農家への政策についてのお尋ねがありました。

 沿岸漁業につきましては、燃油高騰対策や水産資源の回復、管理を進めながら、競争力ある経営体を育成するなど、構造改革を推進してまいります。

 また、酪農につきましては、水田を活用した国産飼料の生産、利用を進めるとともに、輸入品が多くを占めますチーズ等国産需要の拡大を進めるなどにより、食料自給率の向上に邁進してまいります。

 農林漁業改革に関連したお尋ねがありました。

 食料自給率の向上は喫緊の課題であり、米、麦、大豆などにつきまして、経営所得安定対策により、意欲と能力にすぐれた担い手を育成させていただきます。

 また、畜産、酪農や林業、漁業につきましても、燃油高騰対策などを的確に進めながら、経営安定対策などにより、力強い農林水産業構造の確立を目指します。

 なお、民主党が御提案の所得補償制度は、規模の大小を問わず、すべての農家を対象とするものであり、日本の農業構造改革を妨げるものであると考えております。

 中小零細企業支援についてのお尋ねがありました。

 年末を間近に迎え、多くの中小零細企業の経営者が資金繰りに不安を感じておられます。この不安に対して、しっかりとした財政措置のもとに、十分な金融対策を講じます。

 さらに、弱い立場にある下請事業者には、各都道府県における相談体制の拡充など、きめ細かい下請対策を講じてまいります。

 こうした政策を通じて、中小零細企業の安心を実現してまいりたく存じます。

 二次補正についてのお尋ねがありました。

 先月取りまとめた緊急総合対策を着実に実施していくことが当面最も重要であり、そのため、まずは補正予算を早急に成立させることが必要であると考えております。

 なお、対策の決定後も国際金融情勢は大きく変動をいたしております。こうした状況において、本対策はどのような効果を持つのかを見きわめた上で、必要に応じ、さらなる対応を弾力的に行っていく必要があると考えております。

 地域主権の実現と補助金等についてのお尋ねがありました。

 地域の活力を呼び覚ますためには、知事や市町村長の権限と責任で地域の経営を行えるようにすることが必要であり、地方分権を進めてまいります。また、国の出先機関の多くには二重行政の無駄がありますので、その地方移譲を進めてまいります。

 補助金を見直すとともに、地方税などの財源を充実することが重要な課題であります。現在、国と地方の役割分担などの見直しを行うとともに、補助金、交付税、税源配分の見直しの一体的な検討を進めてまいります。

 あわせて、直轄事業負担金につきましては、直轄事業を全国的な見地から必要とされる基礎的または広域的な事業に限定するとの考え方に立って見直しを進めてまいりたいと存じます。

 なお、一括交付金の御提案は、地方への国庫補助負担金が社会保障などの義務的な性格のもので多くを占められている中にあって、その具体的な内容、配分方法など、また規模も示されておりませんので、その実現ができるかどうか、はかりかねます。

 拉致問題についてお尋ねがありました。

 拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を図るとの対北朝鮮外交の基本方針は不変です。

 拉致問題につきましては、すべての被害者の一刻も早い帰国の実現に向け、全力を尽くします。北朝鮮に対し、八月の日朝間の合意に従い、早期に全面的な調査のやり直しを開始するよう、強く求めてまいります。

 テロとの闘い及びアフガニスタン支援についてお尋ねがありました。

 テロとの闘いは正念場にあります。補給支援活動は、その中核であるアフガニスタンの安定と復興のための国際的取り組みを支えるものです。我が国は、国際社会の責任ある一員として、治安・テロ対策と人道復興支援を車の両輪として引き続き真剣に取り組む考えであります。

 なお、イラク及びインド洋における自衛隊の活動は、憲法上何ら問題なく、国際社会からの評価も高く、我が国として誇りとすべきものであると考えております。

 外交の基本方針についてお尋ねがありました。

 我が国は、従来より、日米同盟を基軸としつつ、近隣諸国との協調、国連を中心とする国際協調を外交の重要な柱としておりますのは御存じのとおりです。このような基本方針は、我が国が置かれた地政学的な条件及び歴史的経緯などを踏まえたものであり、私の内閣においても変更はありません。

 税金の無駄遣いに関して幾つかのお尋ねがありました。

 行政の無駄をなくすことは当然で、公共事業についても必要性を厳格に検証します。

 川辺川ダムにつきましては、熊本県知事の判断も重く受けとめ、地元市町村の意向も聞いた上で、今後の方針を判断してまいりたいと存じます。

 八ツ場ダムにつきましては、治水、利水の両面から必要な事業であり、着実に事業を推進してまいります。

 国からの支出削減についてのお尋ねがありました。

 御指摘の十二兆六千億円が、衆議院調査局の予備的調査によるものであれば、これらは、中小企業向け融資を担う旧国民生活金融公庫などに対する財政融資資金貸し付け四・五兆など、国民生活や社会経済にとって必要な政策遂行のため支出されたものだと存じております。

 今後とも、国からの支出につきましては、真に必要な経費は適切に措置しつつ、徹底して無駄を排除してまいります。

 最後に、合意形成のルールについて質問がありました。

 私は、与野党が主張を明確にしつつも、国民生活にとって重要な政策につきましては、双方が協議をして、早急に結論を出す仕組みが必要だと訴えているのであります。結論を先送りする国会は、国民の負託にこたえぬものだと思っております。(拍手)

     ――――◇―――――

谷公一君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。

副議長(横路孝弘君) 谷公一君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

副議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十二分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  麻生 太郎君

       総務大臣  鳩山 邦夫君

       法務大臣  森  英介君

       外務大臣  中曽根弘文君

       財務大臣  中川 昭一君

       文部科学大臣  塩谷  立君

       厚生労働大臣  舛添 要一君

       農林水産大臣  石破  茂君

       経済産業大臣  二階 俊博君

       国土交通大臣  金子 一義君

       環境大臣  斉藤 鉄夫君

       防衛大臣  浜田 靖一君

       国務大臣  甘利  明君

       国務大臣  小渕 優子君

       国務大臣  河村 建夫君

       国務大臣  佐藤  勉君

       国務大臣  野田 聖子君

       国務大臣  与謝野 馨君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  松本  純君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  宮崎 礼壹君


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