衆議院

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第8号 平成21年1月30日(金曜日)

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平成二十一年一月三十日(金曜日)

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 議事日程 第六号

  平成二十一年一月三十日

    午後二時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)

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本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)


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    午後二時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

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 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

議長(河野洋平君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。太田昭宏君。

    〔太田昭宏君登壇〕

太田昭宏君 私は、公明党を代表し、麻生総理の施政方針演説など政府四演説に対し、質問を行います。(拍手)

 総理、新しい年はあらしの中の船出となりました。言うまでもなく、我が国は今、百年に一度という経済危機に見舞われ、昨年来の荒波が、本年はさらに大きな波浪となって押し寄せています。

 今回の経済危機は、世界同時である点、その規模の大きさ、スピードの速さ、そして、これまで各国の経済を牽引してきた産業部門が直撃を受け、実体経済、雇用に波及している点が大きな特徴であります。リストラ、給与所得の減少が消費の抑制を招く悪循環となって生活を覆い、その暗雲が人々の心さえ萎縮させている、負のスパイラルに陥っています。

 我々、国民生活に責任を持つ政党、政治家にとって、まさに今が正念場であり、渾身の力を込めてこの難局に立ち向かう決意が必要であります。平時の経済対策ではない、危機感を持った、非常時の経済政策の断行を強い決意でやり抜かねばなりません。

 総理、政治の出番であり、仕事をするときであります。金融政策、経済財政政策を総動員する、腹を決めて体を張って、庶民の生活や中小企業、雇用を守りバックアップすることに全力を尽くすときであります。

 フランスの哲学者アランは、悲観主義は感情のものであり楽観主義は意思のものであると言い、また、ベルクソンは、問題は正しく提起されたときにそれ自体が解決であると言っております。総理は、この経済危機をどう認識しているか。そして、日本が世界で最も早く不況を脱出するという発言の経済戦略と決意を伺います。

 まず、緊急対策の柱であります。

 私は、現下の厳しい経済状況を打開するためには、緊急に総動員すべき対策として、第一に、国際協調を含めた政府による機動的な金融対策と日銀による金融緩和政策、第二に、積極的な財政出動や減税等を通じた内需の拡大、第三に、雇用対策や中小企業支援、社会保障支援など万全なセーフティーネットの構築が必要であると考えます。こうした緊急時の対策を力強く、切れ目なく打っていくことが必要です。それには、七十五兆円の景気対策を盛り込んだ第一次補正、第二次補正の実施と、二十一年度予算の早期成立が必要であります。

 同時に、私は、この再生に向けた三年間が、単に大津波をくぐり抜けたという防衛的、守りの三年間であってはならない。ピンチをチャンスとし、冬は必ず春となる。苦難の三年間は、新しい成長の力を蓄え、明確なビジョンのもとで新しい日本の姿が見えるスタートのときにすることが大事であると考えます。

 当面する重要課題について質問いたします。

 未曾有の経済危機の中で、緊急にやるべきは、雇用であり、中小企業であり、家計への生活支援です。

 まず、雇用対策です。

 本年三月末までに十二万人以上もの非正規労働者が職を失うとの数字もあり、悲痛な叫びが聞こえます。この危機に、与党として、三年間で二兆円規模、百六十万人の雇用維持・創出を進めるという過去最大の対策を決定しております。

 第一に、雇用をいかに守るかであります。

 中小企業が従業員を休業させたとき、賃金等の八割を助成する雇用調整助成金があります。これを、適用対象を初め、より使いやすい仕組みにするよう、ぜひ改善していただきたい。

 第二は、セーフティーネットの強化です。

 非正規労働者の雇用保険の適用拡大を初め、離職時に社員寮を出て住居を失う方に対し、年末から始まっている一万三千戸の雇用促進住宅の活用や住宅・生活資金の貸し付けなど、政策手段を総動員すべきです。

 そして第三に、雇用をいかにつくるか。これが最大の眼目であります。

 今後、過去最大四千億円の雇用創出の基金や一兆円の地方交付税増額によって雇用創出に全力を挙げますが、その際、我が国の将来像を見据え、特に医療、介護、子育て分野、環境、農林水産、観光などの各分野への戦略的な雇用創出を強く求めます。

 例えば、環境では、環境ビジネスの成長を図り、農林水産では、農商工連携による地域ブランドの戦略的展開を推し進める。医療、福祉では、高齢社会に対応した集中した人材の確保が必要であります。その際、ハローワーク等の支援する側の人の確保、資格や技能の習得に対する経済的支援、そして働く場の提供、この三つを戦略的に展開することです。

 労働者派遣法については、派遣元、派遣先の責任を明確にし、法律に定めるなど、セーフティーネットをより強化すべきです。

 以上の項目について、総理の御決意を伺います。

 中小企業支援について申し上げます。

 経済悪化の影響が真っ先に及ぶのは中小企業であり、貸し渋り、貸しどめへの悲鳴、そして、十一月から仕事がめっきり減ったという声に対応をすべきです。

 融資について、昨年十月末、直ちにスタートさせた緊急保証制度の実績は、既に二十三万件超、保証金額は五兆二千七百億円を超え、前年度比約三十倍となり、多くの中小企業金融の下支えを実現してきたところであります。

 その上で、今、緊急にやるべき中小企業支援を三点申し上げます。

 第一は、公的金融によるさらなる支援、第二は、民間金融機関による既往債務の柔軟な対応、第三は、経営支援体制の強化であります。

 まず、日本政策金融公庫等において、セーフティーネット貸し付けの金利を引き下げ、さらに、一度返済して改めて貸し出しをする折り返し融資等、既往債務を含めた借りかえに柔軟な対応を求めます。また、モラルハザードを防ぎつつ、借りかえ保証制度の利用を促し、外部環境の激変から中小企業を救済すべきです。さらに、中堅企業や上場企業についても、一定の要件を満たした場合に、資金調達を容易にする危機対応業務等の強力な推進も求めておきたいと思います。

 第二に、既往債務の条件緩和や、ロールオーバーが必要となる資金の継続的融資等に、民間金融機関が積極的に取り組める環境整備に、関係省庁のもう一段の取り組みをお願いしたい。

 第三に、各地の商工会や商工会議所、また経営指導員へのバックアップ、さらには、関係省庁、地方自治体、日本政策金融公庫、信用保証協会など、総がかりで経営支援に当たる一層強固な体制づくりに着手すべきであります。

 そして、最も重要なのは、中小企業の仕事の確保であります。後ほど申し上げますが、我が国の将来展望を戦略的に進める果敢な社会資本整備等の実行で、中小企業の仕事を大胆に創出すべきと考えます。総理、中小企業を守るために、ぜひとも一緒に闘いましょう。

 以上、総理並びに経済産業大臣の答弁を求めます。

 生活支援策についてお伺いいたします。

 所得が伸びない、一方で生活に必要な物価は高い、その中で、貯蓄を取り崩し、切り詰めて切り詰めて切り詰めてやりくりをしている、これが庶民の生活であります。そうした状況の中で、特に定額給付金は、家計に対する生活支援及び個人消費に刺激を与え、景気を下支えする重要な政策の柱であります。

 私自身、現場で話を聞けば聞くほど、給付を心待ちにされていることを実感いたします。

 定額給付金は、これまでの国会審議でも明らかなとおり、定額減税を基本に、その効果が及ばない世帯に対しては給付を行う、給付をつけた減税であり、世界の潮流である給付つき税額控除の先取りであり、まさに減税なのであります。

 この経済危機の中で、世界各国は家計への減税政策を打ち出しており、例えば、オバマ大統領は総額二十八兆円の減税を表明、減税が世界的な流れの中で、定額給付金に反対する野党の主張は、結局、家計への減税政策の否定と同じではありませんか。

 二兆円あるなら、学校の耐震化に使ったらいい、雇用対策に使ったらいい、子育て支援などに使ったらいいと言う人がいます。まさに今、全部やっています。だから、大規模な七十五兆円の景気対策を打っている。あれかこれかではない。あれもこれもやらなければこの百年に一回の危機は乗り越えられないという危機感を持つことだと私は思うのです。(拍手)

 さて、今後の定額給付金の実施に向けては、地域経済の活性化、商店街の振興などにつながるような地方自治体での知恵、工夫を最大限尊重し、サポートすべきです。定額給付金に対する決意とあわせ、総理の明快な答弁を賜りたい。

 そのほか、生活支援として、減税や子育て支援、高齢者支援なども重要であります。

 減税では、住宅ローン減税を過去最大規模まで拡充するとともに、自動車の取得税と重量税も三年間、低公害車について税率を大幅に減免します。子育て支援では、出産育児一時金の拡充とともに、妊婦健診は十四回すべて無料化します。また、高齢者医療は、七十歳から七十四歳の医療費窓口負担一割の据え置き、七十五歳以上の被扶養者が支払う保険料負担のうち九割軽減の継続を講ずるなど、セーフティーネットの拡充強化を図っております。

 これら施策は速やかに実行に移すべきと考えますが、総理の御決意を伺います。

 次に、この経済危機を乗り越える中で、明確なビジョンのもとで築かれる新しい日本の姿、形が見え、スタートさせることが重要であります。

 私は、環境、社会保障、農業、社会資本整備、そして人間の根源にかかわる教育の五つの分野における我が国の将来展望、すなわち日本を救う希望の戦略について言及したいと思います。

 まずは、環境・エネルギー分野であります。

 公明党は、これまでも、環境問題を最重要課題として取り組んでまいりました。世界各国が厳しい経済状況に直面している今こそ、環境・エネルギー対策を未来への投資ととらえ、新たな需要と雇用の創出につなげていくべきであります。緑の社会への構造改革、グリーン産業革命であります。

 グリーン・ニューディールを掲げるオバマ大統領の登場によって、世界は低炭素化競争の時代に突入いたしました。化石燃料社会から太陽光などクリーンエネルギー社会への大転換が図られようとする今、日本がその先頭に立ってリードすべきであり、公明党は、環境産業活性化のため、三年間で十兆円規模の投資を行い、今後五年間で百兆円規模の市場を形成し、二百万人超の雇用を実現しようと主張いたします。

 我が国には、ハイブリッド自動車、高効率燃料電池を初め、世界に誇る環境・省エネルギー技術があります。こうした分野への積極的投資、環境に配慮した地域づくりなどを進め、新たな成長につなげていく意思が必要であります。

 さらに、太陽光発電の世界一奪還、全小中学校への設置などを目指すとともに、住宅の断熱化、省エネ家電の普及、電気自動車、次世代自動車の開発普及、産業の省エネ環境投資の税制や金融を含めた支援など、思い切った施策を講じていかなければなりません。

 政府としてどう取り組もうとされているのか、総理並びに環境大臣にお伺いいたします。

 ことしは、地球温暖化の解決に向け、ポスト京都議定書の枠組みが決まるCOP15が開催される重要な年であります。我が国がリーダーシップを発揮するためにも、野心的な中期目標、これを打ち出すことが重要であります。

 中期目標のあり方並びにその検討スケジュールについて、総理並びに環境大臣の御見解を伺います。

 二つ目に、国民生活の安心を支える社会保障制度の再構築であります。

 総理、医療の現場、とりわけ地域住民の医療を支えている中小病院の医師不足は深刻であります。これらの病院に対する医師確保への支援とともに、過酷な勤務で救急医療や産科医療等を担っておられる医師に対し、財政支援を早急に実施すべきです。

 一方、子育て中の女性医師が勤務できるような環境整備も重要であります。また、診療報酬改定によって大病院に看護師が集中した結果、中小病院では看護師不足も深刻です。空きベッドがあっても救急患者を受け入れられない事態を早急に是正すべきです。

 二十一年度の医学部定員が六百九十三人増員されました。医師不足問題解決への大きな一歩ではありますが、問題は、増員分も含めた八千四百八十六人の医学生をどのような医師に育て上げ、産科、小児科などの不足する診療科や医師不足地域の医療に貢献する人材育成の道筋を確保していくかであります。

 救急医療においては、なお一層のドクターヘリの配備やドクターカーの機能的運行が重要であり、強力に推進すべきであります。

 一方、救急患者、とりわけ母体搬送の受け入れで各地に深刻な事態が相次いでいます。受け入れ可能な病院を把握し、円滑に搬送できるよう、地域の救急拠点病院に管制塔機能の整備や、総合周産期母子医療センターにコーディネーターを配置することが重要だと考えます。

 あわせて、電話相談の充実や地域の開業医の参加等の取り組みが行われていますが、着実に進めるべきだと思います。

 介護について申し上げますが、ようやく介護報酬が三%増額改定されることになりました。ただ、実際に従事者の賃金にどれほど反映されていくのか、生涯設計が可能な給与体系が確立されるよう真剣にフォローアップすべきであります。

 また、今後、他業種から介護分野への就業者が予想されますが、介護資格取得に対して、訓練費用とともに当面の生活費など万全の配慮措置を講ずることを求めます。

 以上の諸点について、総理、関係大臣の見解を伺います。

 年金記録問題について一言触れます。

 紙台帳とコンピューターの記録の照合を急ぐとともに、記録が回復した方にできるだけ早く正しい年金額を支給できるよう業務体制を補強すべきです。厚生年金の記録改ざん問題については、徹底した調査と責任追及を強く要請します。

 緊急の課題について申し上げましたが、今後、国民が安心して暮らしていけるためには、医療、介護、そして年金の制度の機能強化を図っていくことが重要です。そして、社会保障の再構築について、国民にわかりやすいビジョンを示すべきと考えますが、総理の御見解を伺いたい。

 農業の再生は、国際的な食料危機が叫ばれ、農山村の疲弊が進む中で、日本の地域経済浮上のために極めて重要であります。地域の活力として農業を再生させるために、大胆な政策展開をしていくべきであります。

 そこで、三点申し上げます。

 第一に、貸しやすく借りやすい、平成の農地改革の推進です。

 これからの農地改革のかぎは、所有者主義から利用者主義への制度転換です。経営感覚のすぐれた企業などの積極的な農業参入を含め、意欲ある担い手のもとに農地の集積を進めることが必要であります。

 第二に、耕作放棄地等を含めた農地の再生と活用であります。

 私も、地方に足を運び、農業についての地元の方の声を聞いてまいりました。使われていない農地を再生し、最大限活用するために、麦や大豆、米粉用米や飼料用米を生産する農業者へ思い切った支援策を実施すべきです。

 第三に、農家の所得向上と雇用拡大です。

 後継者不足の農業において、農家の所得向上による若者の農村就労を促進させる必要があります。農商工連携や地産地消の推進をさらに加速させること、生産流通体制の改善や販路拡大による所得向上対策を積極的に推進すべきです。

 以上三点について、総理の御見解を承りたい。

 第四に、社会資本整備の推進についてであります。

 私は、日本の将来を見据えたときに、我が国の港湾や空港のハブ機能の低下などに大変な懸念を持っています。今こそ、世界の競争に勝ち抜ける社会資本整備を大胆に行うべきです。無駄な公共事業は削る、そして必要な公共事業は前倒しでやるという強い意思を鮮明にすべきです。未来志向型の社会資本整備への先行投資を大胆に行うことで、成長の基盤をつくり、あわせて雇用の確保を図るべきです。

 この社会資本整備への先行投資につき、四つの視点を提起します。

 第一に、少子高齢社会に対応するため、道路や鉄道のバリアフリー化など、高齢者や障害者に優しいまちづくりをさらに展開、また、住宅政策と福祉政策の連携を強化し、高齢者が安心して生活できる居住環境を整備すべきです。

 第二に、国民の生命を守るため、通学路や生活道路の安全確保、住宅や学校、病院、橋、下水道施設などの耐震化を加速度的に推進すべきです。

 第三は、アジア経済を牽引するため、羽田の二十四時間化など国際航空機能の拡充や、アジア主要港をしのぐスーパー中枢港湾の整備などを含め、ハード、ソフトにわたるアジア・ゲートウェイ構想を実現、情報通信技術等によるイノベーションの推進、また、これらを結び、命の道ともなるべく全国各地の主要幹線道路の前倒し整備など、未来を志向した国家的プロジェクトに取り組むべきであります。

 第四に、太陽光発電の導入や交通施設の省エネ化など、環境先進国家を目指す社会資本整備に着手すべきです。

 以上の視点による社会資本整備の推進につき、総理の御所見を賜ります。

 最後に、人材で立つ日本にとって、教育が重要であります。

 教育の深さこそが日本の未来を決定すると私は思っています。かつて、司馬遷は史記の中で、「国の衰亡は戦乱等によるものではない。人間の基本を失った時に起きる」として「本(もと)を失う」と表現いたしました。すなわち、国の基本は人であり、地域総がかりで人を育てる教育が実現されていかなくてはなりません。

 そのためには、第一に、社会全体が本来持っている教育力の回復であります。

 例えば、三年以内にすべての小中学校を支援できるように学校支援地域本部を増加させるなど、学校、家庭、地域が協力するためのシステムを刷新する必要があります。

 第二に、学校におけるキャリア教育、職業教育などの抜本的な充実であります。

 社会に出ていく子供たちに、学校段階から生き抜く力を身につけさせるという観点から、教育制度全体を再構築しなければなりません。

 第三は、何といっても、教育の基本は教師と子供たちの信頼の師弟関係の構築であります。

 そのため、教師が子供たちと向き合う時間を確保できるよう、教職員定数の大幅増などに取り組むべきであります。また、職業教育の充実のため、高校を中心とした実務家教員の導入やスクールカウンセラーなど専門家の積極的な活用も不可欠です。学校で必要な人材の量と質を充実させるために、新たな教育マンパワー政策を打ち出すべきです。

 第四は、教育費負担の軽減です。

 子供たちが安心して学び続けるためには、幼児教育から義務教育、高校教育、大学、大学院に至るまで、予算、税制両面にわたる教育費負担の軽減措置が必要です。

 最後に私が強調したいことは、教育とともに、また、その中にもあると思いますが、若者へのバックアップという視点であります。

 ニートやフリーターからの脱却も含め、今こそ、国は総力を挙げ、若者が希望を持てる社会を築かねばなりません。そういう意味で、現在作業が進められている若者支援新法の早期実現を求めるものであります。

 以上、五十年、百年後の日本を見据えた我が国の教育改革への提案、若者支援のあり方について、総理のお考えを伺います。

 今後目指す国の形を考える場合、今求められていることを二つ指摘したい。それは、地域主権型道州制の導入と、行政の無駄ゼロへの取り組みであります。

 私は、地域主権型道州制の導入により、国の形を変え、二十一世紀にふさわしい効率的な政府を確立するとともに、自立し、エンジンを持った地方政府の確立により、地域が活性化し、日本全体が元気になると考えます。

 総理、ぜひ、地域主権型道州制の導入に向けて、立法化の措置も含め、具体的な道筋をつけていくべきと考えます。御所見を賜りたい。

 今、国民が行政に一番望むものは何か。それは、税金の無駄遣いは絶対に許さないということであります。国会議員と官僚、まず隗より始めよ。公明党は、今後も、行政の無駄に切り込み、国民から信頼される行政の確立に向けて全力で取り組んでまいります。

 その観点から、四点提案します。

 第一に、特別会計のさらなる改革です。

 二十一年度予算では、特別会計の支出について、事務事業をゼロベースで見直し、約一・二兆円削減いたしました。今後も、さらに大胆に見直し、兆円単位の削減に踏み込むべきです。また、特別会計の剰余金、積立金を積極的に活用するべきです。

 第二に、これまで会計検査院が不当と指摘した百三十億円、公明党が調べ上げました。この百三十億円が放置されてきた問題について、政府は即刻全額返還すべきです。

 会計検査院が毎年度厳しくチェックできるよう、私たちは、会計検査院法の改正を議員立法で今国会に提出いたします。あわせて、裏金づくりなど、公務員の不正経理を厳しく罰するため、懲戒・刑事処分など、責任追及を厳格化する不正経理防止法案を提出いたします。

 第三に、我が党が言ってきた事業仕分けの実施であります。

 政府の有識者会議である行政支出総点検会議を存続、強化させるとともに、国の事業の要否を民間の視点で仕分けする事業仕分けを実施すべきです。

 第四に、官民の癒着や利権の温床ともなる天下り、特に公務員OBが天下りを繰り返すいわゆるわたりについては、到底認められるものではありません。例外なく禁止すべきと考えます。

 以上の提案を含め、今後、行政の無駄にどう切り込んでいくのか、総理の決意を伺います。

 最後に、日本外交の課題について伺います。

 総理、金融危機や世界同時不況など、直面する重要課題の解決に向け、オバマ新大統領との日米首脳会談の早期実現を求めます。

 特に、現在の経済危機に対応するには、世界各国の金融経済両面にわたる協調が不可欠であります。G7、G20を初めとして、総理は精力的にその推進に努力してくださいましたが、さらなる緊密な日米の連携が必要であります。

 また、世界は今、経済危機のみならず、テロとの闘い、地域紛争、核の問題、貧困、気候変動など、グローバルな諸課題が山積しており、この解決のためには、世界をリードしゆく、より高い次元での日米関係を構築していくことが重要であります。総理の考えを伺います。

 欧米などの資金の引き揚げ、金融収縮の事態には、私は、アジアを先導役として世界経済を成長へと導くために、日本とアジアが結束して危機に対処する戦略をアジア版ニューディール政策として、総理にこれまでも提案してまいりました。昨年十一月の金融サミット以降、年末の初の日中韓首脳会議、そして過日の日韓首脳会談など、総理は迅速に各国との連携に行動されたと評価しています。総理の決意を伺います。

 拉致問題の解決に向けては、昨年八月の日朝実務者協議で合意した北朝鮮による再調査の履行が最重要でありますが、一向に進展の兆しが見えません。米国新政権の誕生という変化を機敏にとらえ、今後、北朝鮮の核、拉致問題にどのように取り組むのか、総理の見解を伺います。

 ソマリア周辺海域における海賊対策については、国連海洋法条約等に即した新法の成立までの応急・時限的な措置として、現行法の枠内で海上保安庁及び自衛隊が連携して対処すべきことを先ごろ与党から政府に申し入れたところであります。その取り決めに従って、政府としては、国会報告をルール化し、具体的な計画を策定して国民に示すとともに、海上保安庁と自衛隊の共同訓練を公開するなど、国民の理解を得られるよう積極的な努力をすべきと考えますが、総理の見解をお尋ねします。

 以上、当面する重要課題について申し上げましたが、未曾有の経済危機を克服し、日本の未来を切り開くための総理のリーダーシップを強く望み、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇〕

内閣総理大臣(麻生太郎君) 太田議員より三十五問、質問をちょうだいいたしました。

 まず最初に、現下の経済情勢に対する認識と、不況脱出に向けた経済戦略の決意についてのお尋ねがあっております。

 百年に一度と言われる世界的な金融恐慌により、世界が同時に、かつてない不況に入りつつあります。そうした中で、我が国の景気も急速に悪化しつつあります。

 現下の世界的不況から日本も逃れることはできません。異常な経済情勢には異例な対応が必要と考えております。

 第一次補正予算、第二次補正予算、そして平成二十一年度予算、これら三つを切れ目なく、いわば三段ロケットとして進めてまいります。経済対策の規模は約七十五兆円となります。予算と減税額では、国内総生産の約二%になります。諸外国の中でも最大規模の対策と考えております。

 この対策では、生活者、中小企業、地方の三つに重点を置き、生活や雇用を守ってまいります。平成二十一年度予算及び関連法案の早期の成立をお願いしておる次第であります。

 雇用調整助成金についてお尋ねがありました。

 現在の深刻な危機にあって、雇用の維持は極めて重要な課題と認識をいたしております。

 雇用調整助成金につきましては、これまでも、中小企業に対する助成率の三分の二から五分の四への引き上げ、対象労働者の非正規労働者への拡大などの拡充に取り組んできたところであります。

 御指摘も踏まえ、雇用の維持に努力する企業を支援するため、今後も、要件の見直し、申請事務の簡素化などにより、より使いやすい仕組みにいたしたいと考えております。

 雇用対策についてお尋ねがありました。

 雇用は生活の糧であります。その安定を確保することは極めて重要な課題と考えております。

 このため、セーフティーネット強化の観点から、雇用保険制度につきまして、非正規労働者が給付を受けやすくなるように、雇用見込みが六カ月、従来は一年でありますが、六カ月の者にも適用を拡大するといった見直しを行うことといたしております。

 また、特に緊急を要する住宅・生活対策として、雇用促進住宅の活用や住宅・生活資金の融資などを既に実施いたしておるところであります。これまでに、三千百件を超える入居の決定、千二百件を超える融資の実施といった実績が上がっておるところであります。

 このほか、国会に提出した二次補正予算や二十一年度予算におきまして、派遣労働者、年長フリーターなどを正規雇用した企業に対する助成、雇用維持に努める企業に対する雇用調整助成金の拡充、雇用創出のため都道府県に過去最大の四千億円の基金を創設することによる地域求職者などの雇用機会の創出、地方交付税の一兆円増額による雇用創出の促進など、これまでにない規模、内容の雇用対策を実施することといたしております。

 雇用創出についてのお尋ねがありました。

 雇用創出のための四千億円の基金や地方交付税の特別枠の活用につきましては、それぞれの地方公共団体が地域の実情に応じて事業の内容を決定するものであります。ただし、こうした検討に際しての一つの参考となりますよう、事業例の取りまとめを作業中でありまして、近々、お示しできる予定であります。

 この中では、農林水産業や介護、医療、福祉、子育て、環境、観光などの、雇用吸収が期待される分野についての事業例も含まれていると承知をいたしております。

 労働者派遣法についてお尋ねがありました。

 労働者派遣制度につきましては、派遣労働者の保護を図るという観点から、日雇い派遣を原則禁止するとともに、派遣元に対して登録型の派遣労働者の常用化に努めるよう義務を課す、違法派遣を行った派遣先に対しその労働者の雇用を勧告する制度を創設するなどの改正法案を提出いたしているところであります。

 こうした措置に加えて、派遣元、派遣先の責任を明確化することについては、現在、与党でも議論が進められていると承知をいたしており、国会の場でよく議論をしていただきたいと考えております。

 中小企業に対する公的金融支援についてのお尋ねがあっております。

 現在まで、緊急保証と特別の貸し付けを合わせて約二十八万件、五兆九千億円の実績を上げ、資金繰りに大きな効果を発揮したと考えております。

 一方、中小・小規模企業をめぐる経営環境は厳しくなっており、資金繰り対策はますます重要になっていると考えております。このため、第二次補正予算により、保証と貸し付けを合わせて三十兆円規模の対策に拡充をいたしておるところであります。あわせて、貸付金利の引き下げ、従来一・八五だったものを一・五五などなど、既往債務の借りかえの円滑化を図るなど、中小・小規模企業の資金繰りを下支えいたしたいと考えております。

 また、中堅企業や大企業につきましても、危機対応業務を発動し、総額三兆円規模の融資や、コマーシャルペーパーの買い取りを開始するなど、必要な資金調達を容易にするための対策を講じております。

 年度末に向けて、公的資金による資金繰り支援に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

 中小企業向け融資に積極的に取り組める環境整備についてのお尋ねがあっておりました。

 中小企業に対する円滑な金融は民間金融機関の最も重要な役割の一つであると認識をいたしております。

 政府といたしましても、まず、不良債権に分類される基準を緩和し、金融機関が既往債務の条件変更に応じやすくいたしております。また、金融機関の金融仲介機能を強化するため、改正金融機能強化法を速やかに施行するとともに、国の資本参加枠を拡大いたしたところであります。

 今後とも、これらの施策をしっかりと実施し、民間金融機関が中小企業向け融資に積極的に取り組める環境整備を進めてまいりたいと考えております。

 中小・小規模対策の支援体制についてのお尋ねもあっております。

 急激な経営状況の悪化の中で、中小・小規模企業は、資金繰り、下請取引、販路の開拓など、さまざまな経営課題に今直面している最中であります。

 このため、昨年から、地域の支援機関が連携して、資金繰り対策のための緊急相談窓口を約九百カ所、下請企業相談窓口を四十八カ所、多様な経営課題に対応できるワンストップ窓口を三百十六カ所、全国に開設いたしております。

 今後も、全国各地の支援機関の力を動員し、利用者の目線で、中小・小規模企業の役に立つ活動ができますよう、関係機関を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

 中小・小規模企業の仕事の創出についてのお尋ねもあっております。

 日本全体で労働者の約七割に上ります二千七百八十万人の雇用というものを創出するなど、我が国地域の産業を支え、雇用を支え、暮らしを支えているのは四百二十万の中小・小規模企業であります。

 百年に一度と言われております危機にあって、中小・小規模企業をめぐる環境がますます厳しくなっている様相を示している中で、仕事を創出するということは重要であります。

 とりわけ、社会資本の整備というものは、安全、安心の確保や地域活性化といった本来の政策目的に加え、地域に根差した中小・小規模企業の仕事を確保し、雇用を創出する側面があります。大変重要な役割を担っていると認識をいたしております。

 このため、社会資本の整備を初め、国などの発注や調達におきまして、中小・小規模企業の受注機会を確保するため、契約目標を設定し、これを充実強化してきているところでもあります。

 今後とも、あらゆる手段を通じ、中小・小規模企業の支援に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、定額給付金に対する決意についてのお尋ねがありました。

 定額給付金は、家計への緊急支援であり、あわせて消費をふやす経済効果もあり、生活対策における重要な施策と考えております。

 給付を待っているという声も多くあり、早急に実施すべきものと考えております。

 定額給付金は実際に使われてこそ消費拡大効果が生じるものでありまして、同じ消費をするならば地元で、地域で消費してもらえるよう商品やサービスを向上する、そういった発想は地域の発展の見地からも重要と考えております。

 先日、総務省が実施いたしました地域の取り組み状況調査でも、多くの市町村から、定額給付金の給付に合わせ、特典つき商品券を発行する、商店街が消費拡大セールを行うことを計画中との回答が多く寄せられてもおります。

 今後とも、地域のさまざまな取り組みについて、積極的な情報提供を行い、地元での消費拡大につながるよう市町村の支援に努めてまいりたいと考えております。

 生活支援についてのお尋ねがありました。

 現下の経済情勢を踏まえ、国民生活を支援するための各般にわたる対策を速やかに実施していくことが必要であると私どもも考えております。

 住宅ローン減税の拡充や、低公害車に係る自動車取得税・重量税の減免などにつきましては、二十一年度当初からこれらの施策を実施することといたしております。

 子育て支援につきましては、妊婦健診の無料化を二次補正予算の財源関連の法律が成立後、速やかに実現するとともに、出産育児一時金の拡充につきましても、本年十月からの実施に向け、準備を進めてまいります。

 これらの施策について、スケジュールどおり円滑に実施ができますよう、関連法案や二十一年度予算の早期審議と年度内成立に向け、議員各位の御理解と御協力をお願いいたしているところでもあります。

 また、高齢者医療の医療費窓口負担の据え置きなどにつきましては、平成二十年度に引き続き平成二十一年度においても実施できるよう、既に所要の準備を進めているところでもあります。

 新たな成長につながる具体的な政府の取り組みについてのお尋ねがあっております。

 太陽光発電や電気自動車などに代表されます我が国の環境技術は、世界の最高水準にあり、高い国際競争力を有しております。また、環境分野は、今後の成長が期待される分野でもあります。

 私は、環境問題とは、成長の制約というよりは、むしろチャンスであり、環境分野に対し、戦略的に果敢に投資を行うべきと考えております。

 こうした観点から、例えば、住宅用太陽光発電の導入補助の創設、省エネ・新エネ設備への投資については即時全額損金算入制度の創設、電気自動車に対する自動車重量税の免除などを新たに講ずることといたしております。

 さらに、今後策定する新たな成長戦略では、低炭素革命の一つとして、新たな市場と雇用を創出する大胆な政策パッケージをお示しいたしたいと考えております。

 温暖化対策の中期目標についてのお尋ねがありました。

 地球温暖化問題に対応してまいるためには、すべての主要経済国が責任ある形で参加する、公平かつ実効性のある国際的な枠組みをつくり上げなければなりません。我が国が策定する中期目標は、こうした国際的枠組みづくりに貢献するものであるということが重要だと考えております。

 他方、この中期目標を実現するためには、ライフスタイルの変革も含め、国民全員参加による取り組みが不可欠であります。そのため、中期目標の決定に当たりましては、さまざまな選択肢につきまして、それを導入した際の、地球温暖化対策としての効果、日本経済や家計に与える影響、エネルギー安全保障への影響などなどを明らかにして、国民的な理解を得ていくことが必要であると考えております。

 そのような観点から、現在、有識者も含めたオープンな場で、国民に対し選択肢を提示するために、科学的、総合的な検討を行っているところであります。

 本日、私は、ダボス会議に出席するため、スイスに向けて出発をさせていただきます。日本の総理として、このダボス会議の会場で、中期目標の今後の検討スケジュールを含め、地球温暖化問題についての日本の立場を国際社会に向けて発信してまいりたいと考えております。

 医師不足などについてお尋ねがありました。

 医療機関における医師確保を進めるため、来年度予算案において、中小病院を含め、救急、産科、僻地などの医療機関や、そこで働く勤務医に対する支援を拡充するとともに、医師不足で困っている地域に医師を派遣した医療機関に対して支援を行うことといたしております。

 また、女性医師や看護師の方々が安心して仕事ができるよう、勤務環境を改善いたします。このため、病院内保育所の設置や短時間正規雇用の導入を進めてまいりたいと考えております。

 さらに、医師臨床研修制度の見直しや医学部入学定員の地域枠の一層の拡大などにより、医師が不足する診療科や地域で活躍する質の高い医師の育成を図ってまいらなければならないと考えております。

 救急医療の確保についてのお尋ねがありました。

 救急医療は、国民が安心して暮らしていく上で欠かすことができないものだと考えております。

 このため、ドクターヘリの配備や管制塔機能を担う医療機関の拡充、母体搬送コーディネーターの配置促進を進めるなど、救急医療体制の着実な整備を進めてまいります。

 介護従事者の確保に関するお尋ねがあっております。

 介護従事者の処遇を改善するため、四月から介護報酬を三%引き上げるとともに、介護報酬改定後の介護従事者の給与水準の検証を行ってまいります。

 また、介護福祉士の資格取得につながる職業訓練を失業者に無料で提供するとともに、訓練期間中の生活保障にも力を尽くしてまいりたいと考えております。

 社会保障についてお尋ねがありました。

 社会保障制度を将来にわたり持続可能なものにすることは、国民の安心を確かなものにするために最も重要なものの一つだと考えております。

 そのため、昨年末に策定した中期プログラムでは、社会保障の安定財源につきましては消費税を主要な財源として確保する、また、安定財源の確保と並行して社会保障の機能強化を図るとともに効率化を進めることといたしており、当面緊急に対応が必要な課題や中長期的な課題などを工程表としてお示ししたところであります。

 こうした取り組みにより、堅固で持続可能な中福祉・中負担の社会保障制度を構築してまいりたいと考えております。

 農業を再生するための施策についてのお尋ねがありました。

 農業は、食料の安定供給という、国民の安心のために欠かせない役割を果たしております。また、農村に雇用、にぎわいを生み出す産業でもあろうと存じます。

 このため、まず、平成の農地改革法案を今国会に提出いたします。所有から利用へと転換し、農地の賃借を促進することにより、担い手への農地の集積を進めてまいります。

 また、耕作放棄地を含め、農地の再生と利用を図るため、麦、大豆に加え、米粉や飼料用の米生産により、水田のフル活用を進めてまいります。

 さらに、経営所得安定対策による将来の農業の担い手の育成、新規就農に対する支援、農商工連携による新たなビジネスの展開を進め、農家の所得向上と雇用拡大を進めたいと考えております。

 未来志向型の社会資本整備についてお尋ねがありました。

 社会資本整備を取り巻く環境は、本格的な人口減少・高齢化社会の到来、急速なグローバル化、地球環境問題の深刻化など、歴史的な転換期にあると存じます。

 社会資本の整備に当たり、安全、安心の確保、成長力の強化、地域の自立・活性化、地球温暖化への対応など、多くの視点に立つべきとの御指摘は、安心と活力ある社会を目指す上で最も重要であると私も考えております。

 このため、真に必要な事業への重点化、コスト削減に努めながら、計画的、効率的な未来志向型の社会資本整備を進めてまいらなければならないと考えております。

 教育改革への提案と若者支援のあり方についてお尋ねがありました。

 国づくりの基本は、人づくりであります。内閣の重要課題として、質の高い教育を政府全体で実現させなければなりません。このため、次に述べる施策を進めるとともに、日本の将来を見据え、教育再生懇談会において幅広く検討を進めてまいるつもりであります。

 まず、社会全体の教育力を向上させるため、学校支援ボランティアを活用するなど、学校、家庭、地域の連携体制の充実を図る事業を全国の学校で展開してまいります。

 次に、若者が望ましい職業観を持ち、必要な知識、技能を身につけることは極めて重要だと私も考えます。現在、中央教育審議会で、学校におけるキャリア教育、職業教育の充実方策を検討いたしているところであります。

 教職員定数の増や退職教員など外部人材の活用などにより、教員が子供と向き合う環境づくりに取り組むとともに、スクールカウンセラーなどの専門家の活用をさらに進めてまいります。

 家庭の経済状況にかかわらず、修学機会を確保し、教育の機会均等が保障されることが必要です。奨学金の充実に努めてまいります。

 さらに、ニート、引きこもりなど、さまざまな困難に直面している若者を社会全体で支援していかなければなりません。新法につきまして検討を進めているところであります。

 道州制についてのお話がありました。

 地方自治体の権限と責任で地域の経営を行えるように、地方分権を進めてまいります。前々から申し上げておりますが、そして最終的に、地域主権型の道州制というのを目指すべきだ、私もそのように考えております。

 現在、道州制ビジョン懇談会で議論を行っており、この後に、道州制基本法の制定に向け、内閣に検討機関を設置し、作業を進めたいと考えております。

 行政の無駄についてのお尋ねがありました。

 国民に新たな負担をお願いする前提として、不断の行政改革の推進と無駄の排除の徹底を継続してまいります。

 四つの御提案について、順次お答えをさせていただきます。

 特別会計につきましては、二十一年度予算において、国債償還などを除いた特別会計の改革の対象となる支出を一兆二千億円縮減いたします。積立金、剰余金などにつきましても、特別会計法に基づく活用のほか、特例法によりまして、財政投融資特別会計の積立金を財源として活用することといたしております。

 会計検査院の指摘を受けました約百三十億円の問題につきましては、国庫などへの早急な返還に向け取り組んでまいります。また、御提案のありました法整備については、与党において検討が行われていると承知をいたしており、政府として、大変重要と考えてもおります。

 行政支出総点検会議において、三年以上継続している事業などを対象に、民間の視点から、見直すべき点などについての指摘を行っております。

 いわゆるわたりにつきましては、法令において、極めて例外的な場合にのみ各省のあっせんが認められておりますが、私としては、国民からの厳しい批判を踏まえ、今後、あっせんの申請が出てきた場合であっても、これを認める考えはございません。

 今後の日米関係についてのお尋ねがありました。

 オバマ大統領は、選挙期間中から、日米同盟を重視するとの立場を表明しており、昨日の私との電話会談におきましても、日米同盟を一層強化することで一致をしております。

 この電話会談において、今後、世界第一、第二の経済規模を持ちます日米両国間で、金融・世界経済、テロとの闘いや中東情勢、北朝鮮問題を初めとするアジア太平洋情勢、気候変動、エネルギー、アフリカ開発などの諸課題に緊密に連携していくことを確認したところであります。

 オバマ大統領とは、早急に首脳会談を行うことでも一致しており、会談が実現する際には、グローバルな高い視点から今後の日米関係につき議論を行いたいものと考えております。

 世界経済の成長のためのアジア各国との連携についてのお尋ねがありました。

 アジアは、開かれた経済の成長センターとして、世界経済に貢献することが期待をされている地域であります。そのため、今回の危機にアジア各国が協力して対応するとともに、成長力強化と内需拡大を進めていくことが極めて重要と考えております。

 日本は、長年にわたり、アジアにおける地域協力の推進、開発支援というものに対して努力を行ってきました。現下の経済情勢にかんがみ、来る東アジア首脳会議などに向け、東アジア・アセアン経済研究センターを活用しつつ、アジア諸国とともに具体策を検討していきたいと考えております。

 北朝鮮の核、拉致問題についてのお尋ねがありました。

 政府として、日朝平壌宣言にのっとり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を図るとの方針は不変であります。

 すべての拉致被害者の一刻も早い帰国や、完全な核放棄の実現に向け、米国及び韓国を初めとする関係国と緊密に連携して取り組んでいく考えであります。

 海賊対策についてのお尋ねがあっております。

 新法の整備までの応急措置として、自衛隊が海上警備行動により、ソマリア沖における海賊への対処をするための準備を開始したところであります。

 御指摘の、海上保安庁との連携、国会への報告及び国民の理解を得るための努力につきましては、与党からの要請も踏まえつつ、適切に対応していく考えであります。

 残余の質問については、関係大臣より答弁いたさせます。(拍手)

    〔国務大臣二階俊博君登壇〕

国務大臣(二階俊博君) 太田議員にお答えをいたします。

 中小企業に対する公的金融支援についてのお尋ねがありました。

 大要は既に総理から御答弁申し上げたとおりでありますが、我が国の経済と雇用を支える中小・小規模企業がかつてない苦境に直面していることは、御指摘のとおりであります。この資金繰りに万全を期すために、公的資金を強化することが重要であります。

 第二次補正予算により、既に、総理が申し上げたとおりでありますが、セーフティーネット貸し付けの規模を緊急保証とともに三十兆円にまで拡大し、あわせて、業況の悪い方々には、本日より、セーフティーネット貸し付けの金利を〇・三%引き下げることといたしました。

 また、既往の返済条件を緩和することも重要なことであります。日本政策金融公庫において、既往の融資との一本化、借りかえを促進する制度を導入するとともに、信用保証協会においても、緊急保証などを利用した借りかえの円滑化を図ってまいります。

 また、中堅・大企業についても、資金繰りが厳しくなっている現状を踏まえて、総額三兆円規模の、政策投資銀行や商工中金を通じた融資やCPの買い取りを初め、必要な措置を実施してまいります。

 さらに、国内のみならず、海外で活躍する日本のいわゆる日系企業を支援する目的で、日本貿易保険や国際協力銀行を通じた海外事業の資金繰りの支援も拡充してまいりたいと思います。

 全国各地で頑張っておられる中小・小規模企業の活力こそ、あすの日本の元気の源であります。信用保証協会や日本政策金融公庫を初めとする政策実施機関とともに施策を今こそ総動員して、中小・小規模企業がこの不況を乗り切ることができるように、太田議員御指摘のとおり、公的金融による支援に全力を尽くしてまいりたいと思います。

 次に、中小・小規模企業向けの融資のうち、既往債務の条件変更についての御提案でございます。

 現下の厳しい経済環境の中で一社でも多くの中小・小規模企業の方々にこの苦境を乗り越えていただくためには、企業にとって血液とも言える資金の円滑な供給が最重要課題であります。

 経済産業省では、副大臣や大臣政務官及び私も、分担をしまして各地を回り、新規の貸し付けだけではなく、既往債務の返済条件を緩和することが資金繰り対策等についての切実な声であるということを地方で十分承っております。

 このため、信用保証協会や日本政策金融公庫に対して、返済条件の緩和にしっかりと対応するよう、強く要請してきておるところであります。

 同時に、中小・小規模企業向けの融資の九割は民間金融機関からの貸し付けであるので、中小・小規模向けの貸し出しに積極的に取り組むとともに、金融検査マニュアルの改定等を十分に活用して、既往債務の条件変更にできる限り柔軟に対応していただくよう、中川金融担当大臣とも協力し、民間金融機関のトップに対して要請を行っているところであります。

 年度末に向かい、予断を許さない状況でありますが、我々は、中小・小規模企業の方々が少しでも安心して経営にいそしむことができるように、今後とも、資金繰りには万全を期してまいりたいと存じます。

 次に、中小企業の経営支援強化についてもお尋ねがございました。

 厳しい経営環境に直面する中小・小規模企業を支援するために、国が先頭に立って、関係機関を総動員して、十分な連携をとって、さらにきめ細かく、かつ迅速的に対応していく体制が重要であることは申すまでもありません。

 最優先課題である資金繰り対策については、金融庁、地方自治体、日本政策金融公庫、信用保証協会などと一体となって取り組むとともに、全国の商工会、商工会議所、中小企業診断士の皆さんの御協力を得て、年末の十二月三十日までの対応なども含めて、昨日までに、保証、貸し付け合わせて二十八万件、五兆九千億円の実績を上げてまいりました。

 このほか、中小・小規模企業が必要とする経営支援や販路開拓については、経済産業省は、金融機関や商工団体のトップの皆さんに対して協力を要請するなどして、関係機関が結束して万全の体制を築いて進んでまいりたいと考えております。

 次に、中小・小規模企業の仕事の創出についてお尋ねがありました。(発言する者あり)質問があったから答弁しているんです。

 中小・小規模企業をめぐる環境がますます厳しくなる中で、新たな事業機会、仕事をつくるということは極めて重要であり、全く同感であります。

 地域振興や地域の公共インフラ整備などにおいても、中小・小規模企業が、高い技術力やノウハウなどを生かし、積極的に携わっていくことが大切であります。農商工連携等、総理も申し上げましたが、この支援策を通じて、中小・小規模企業が創意工夫を生かして参画する取り組みを支援してまいりたいと思います。

 さらに、需要と雇用を生み出すために、新エネルギー、省エネルギーに関する分野など、成長が期待される戦略分野に果敢な投資を行っていくことが重要であります。

 例えば、太陽光発電の個人住宅への普及や小中学校への発電施設の設置や、さらには公立の高等学校への設置等も検討してまいりますが、これも太田議員が御指摘のとおり、中小企業向けの仕事をつくる、仕事を創出する、雇用を確保する、そういう意味でも十分な成果が期待できるわけでありまして、全力を尽くして頑張ってまいりたいと思いますので、議員各位の御協力をお願い申し上げます。(拍手)

    〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕

国務大臣(斉藤鉄夫君) 太田議員から、二問いただきました。

 まず、緑の社会への構造改革、グリーン産業革命に向けた政府の取り組みについてお尋ねがありました。

 厳しい経済情勢の今こそ、環境対策を通じて景気回復や雇用創出を図ることが極めて重要だと考えます。このような考え方から、政府として、太陽光発電や次世代自動車の導入、省エネ環境投資などを支援するための新たな予算、税制上の措置を講じることとしたところです。

 今般、麻生総理の御指示により、私は、緑の経済と社会の変革、いわゆる日本版グリーン・ニューディールの検討に着手しました。有識者の方々をお招きして意見を伺ったり、広く国民の皆様から意見を募集するなどしております。幅広い意見を集約し、世界最高水準の技術を持つ環境分野への戦略的な投資を景気回復や雇用創出につなげていくべく、大胆な政策を打ち出したいと考えております。

 中長期的には、こうした取り組みは、環境を切り口とした経済社会構造の変革を通じて、あるべき日本の姿を提示し、活力ある日本をつくることになるものと考えております。

 引き続き、関係省庁とよく連携し、成長戦略の柱である低炭素社会づくりなど、環境と経済が両立する社会の構築に向けて政府一丸となって取り組んでまいります。

 次に、温暖化対策の中期目標についてお尋ねがありました。

 京都議定書に続く国際的な枠組みは、アメリカ、中国、インドを含めたすべての主要経済国が参加する実効的な枠組みとする必要があります。そのために、日本がリーダーシップを発揮していくことが重要です。

 中国、インドなどの積極的な行動を引き出すために、我が国を含む先進国が、科学の要請を踏まえ、野心的な中期目標を掲げる必要があります。また、この野心的な中期目標なくして技術革新はありません。技術革新なくして先ほどの日本版グリーン・ニューディールもありません。

 現在、中期目標について、有識者を含めたオープンな場で、科学的、総合的な検討による選択肢の絞り込みを行っているところであり、ことしのしかるべき時期に公表することとしております。

 これに関連する国際的な動きとして、本年三月二十九日から開催される京都議定書の特別作業部会までに、先進各国が中期目標の検討状況を報告し、六月には、枠組み案に関する具体的な文書をもとに議論が本格化することになっております。これらを念頭に置きつつ、時期を逸することがないよう、我が国としても、できるだけ早い時期に野心的な中期目標を発表していくべきと考えております。

 私も、麻生総理とともに、本日からダボス会議出席のためスイスに向けて出発いたします。政府だけでなく経済界トップも一緒になって議論する非常に貴重な機会であり、政府間交渉とはまた別の角度から、今後の気候変動対策のあり方をじっくり意見交換してまいりたいと思います。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣舛添要一君登壇〕

国務大臣(舛添要一君) 医師不足等についてお尋ねがございました。

 医師不足への対応につきましては、総理がお答えしたとおり、来年度予算案において、救急、産科、僻地などの勤務医に対する支援などを行うこととしております。

 また、女性医師や看護師の方々が安心して仕事ができる環境の整備が重要でございます。このため、病院内保育所の設置の支援、短時間正規雇用の導入の促進、退職した女性医師や看護師への復職研修の支援、女性医師バンクへの支援等を通じて、女性医師や看護師の離職防止、復職支援、人材確保に取り組んでまいります。

 さらに、医師臨床研修制度について、医師不足の原因の一つになったという指摘もありますが、より質の高い医師を養成しつつ、診療科や地域の偏在に対応できるよう見直しを行うとともに、医学部入学定員の地域枠の一層の拡大等を進めてまいります。

 次に、救急医療の確保についてお尋ねがございました。

 重要な課題でございます救急医療の確保のため、厚生労働省では、平成二十一年度予算案において、前年度予算の二倍の約二百五億円を計上しているところであります。

 具体的には、ドクターヘリの運営に対する補助の対象を十六機から二十四機へ増加、病状に応じて適切な救急医療を行えるよう管制塔機能を担う病院の整備、妊産婦の状態に応じた搬送先の調整、確保を行う母体搬送コーディネーターの配置等を盛り込んでおります。

 救急患者が円滑かつ適切に救急医療が受けられるよう、救急医療体制の確保に全力で取り組んでまいります。

 介護人材の処遇の改善についてお尋ねがございました。

 介護につきましては、介護従事者の離職率が高い、募集しても人材が集まらないなど、人材確保が困難な状況にあり、処遇の改善に資する施策を進める必要がございます。

 こうした状況を踏まえまして、本年四月にプラス三・〇%の介護報酬改定を行い、手厚い人員配置を行う事業者や有資格者を多く配置する事業者などに対する新たな加算を創設することにより、介護従事者の処遇改善を図ることとしております。

 一方、介護従事者の給与は、事業者と介護従事者との間で決められるものでございまして、介護報酬を引き上げたとしても、すべての介護従事者の賃金が一律に引き上がるとは限りません。

 このため、介護報酬改定を介護従事者の処遇改善にできるだけ結びつけていただくことが重要でありますので、介護従事者の処遇改善に向け、介護従事者の雇用管理改善に取り組む事業主などに対する総合的な支援を行うとともに、介護報酬改定後の介護従事者の給与水準についての検証を行います。

 こうした多角的な取り組みやフォローアップを通じて、介護報酬の改定が介護従事者の処遇の改善に確実に結びつくような工夫を行ってまいります。

 最後に、介護資格取得に対する配慮措置についてお尋ねがございました。

 介護分野については、今後の雇用拡大が期待される一方で、人手不足の状況が続いております。介護関係職種への就職に直結した職業訓練を重点的に実施することを通じ、介護分野での円滑な再就職の実現を積極的に推進していくべきと考えております。

 こうしたことから、平成二十一年度予算案におきましては、介護分野において年間約二万六千人の人材養成を目指して、失業者に対する無料の職業訓練について、大幅に定員をふやすとともに、ホームヘルパー一級、これは約六千人でございます、さらに、介護福祉士三千七百六十人などの資格取得を可能とする長期間の訓練を新たに創設するなど、質、量ともに一層の拡充を行うこととしております。

 また、訓練期間中の生活保障につきましては、雇用保険の訓練延長給付制度に加え、雇用保険の対象とならない方にも、一定の要件のもとで、生活費の貸し付けと返還免除を行うことのできる制度を設けているところであり、今後も、離職者の方々が経済的な不安を抱かず積極的に職業訓練が受講できるように努めてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 志位和夫君。

    〔志位和夫君登壇〕

志位和夫君 日本共産党を代表して、麻生総理に質問します。(拍手)

 まず、雇用問題についてです。

 今、景気悪化のもとで、大企業が競い合って派遣切り、期間工切りを進め、極めて深刻な社会問題を引き起こしています。

 この年末年始に、市民・労働団体によって東京・日比谷公園に年越し派遣村がつくられ、全国から集ったボランティアの力によって、労働者の命をつなぐ働きをしました。

 しかし、派遣村が支援できたのは、極限の貧困状態に突き落とされた人々のごく一部であります。その何十倍という人々が寒空のもとで公園や路上でのホームレス生活を強いられ、その数はやむことなく拡大しています。

 私が総理にまずただしたいのは、こうした事態を引き起こした政治の責任をどう自覚しているのかということであります。

 従来の不況では、まず株価が下落し、続いて需要が落ち込み、雇用悪化はおくれて起こっていました。ところが、今回は、株価暴落と同時に、大企業が先を争うように非正規切りを始め、既に深刻な雇用破壊が社会を覆っています。

 なぜ、このような急激な首切りが引き起こされたのか。歴代自民党政権が、一九九九年の派遣労働の原則自由化と二〇〇四年の製造業への拡大など労働法制の規制緩和を進め、いつでも首切り自由の非正規労働者を急増させたことが急激な首切りを引き起こす原因となったことは、明らかではありませんか。今起こっている事態は、政治の責任で引き起こされた政治災害だという認識と反省が必要だと考えますが、いかがですか。

 政治災害であるならば、政治の責任で解決すべきです。私は、政府が次の三つの仕事に同時並行で取り組むことを強く求めるものです。

 第一は、派遣切り、期間工切りによって職を失ったすべての人々に、住居、生活、再就職の支援を行うことです。

 派遣村は、政府の失業者対策がまともに機能していない実態を明るみに出しました。寒空のもとにほうり出され、命の危険にさらされている人々を救済するために、全国に一時避難所を開設し総合相談窓口を設置すること、再就職を支援する緊急小口貸付資金を思い切って拡充すること、住所不定状態に突き落とされた人々も含めて再就職に向けた緊急避難として生活保護を行うことを強く求めます。

 雇用保険の受給者の割合が失業者の二〇%台に落ち込み、多くが生活保護によってしか救済できないというのは異常な事態です。雇用保険の六兆円を超える積立金を活用し、未加入者も含めたすべての失業者に雇用保険による支援が行き渡るよう制度の抜本的拡充を行うことも急務であります。

 以上の諸点について、総理の見解を求めます。

 第二は、これ以上の大量解雇による被害者を出さないために、大企業への本腰を入れた監督指導を行うことです。

 今、大企業が進めている大量解雇は、やむを得ないものでは決してありません。昨年末、共同通信社が、トヨタやキヤノンなど日本を代表する大手製造業十六社が、四万人を超える人員削減を進めながら、この六年半で内部留保、ため込み金を十七兆円から三十三兆六千億円へと過去最高にまでふやしている事実を報じました。このわずか〇・四%を取り崩しただけで、四万人を超える人員削減計画は撤回できます。

 大体、だれのおかげでこれだけのため込み金が積み上がったのか。正社員を減らし、派遣や期間工に置きかえ、それらの人々の血と汗と涙の上にため込んだお金ではありませんか。そのごく一部を雇用を守るために充てることは企業の当然の社会的責任だと考えますが、総理の見解を問うものです。

 さらに、共同通信社の調査では、この不況下でも、大手十六社のうち五社が株主への配当をふやし、五社は配当を維持しています。残る六社は未定で、配当を減らす企業は一社もありません。大株主への配当をふやしながら、労働者の首を切る。私は、資本主義のあり方としてもこれは堕落だと考えますが、総理の見解を伺いたいと思います。

 大企業による非正規労働者の大量解雇の多くが現行法のもとでも違法なものであることも、極めて重大です。

 例えば、政府の調査でも、非正規社員の解雇計画の四四%が契約途中の解雇となっています。しかし、労働契約法では、派遣社員であれ、期間社員であれ、有期労働の契約途中の解雇は正社員の解雇よりも厳しい条件のもとでしか許されないとされており、その多くが違法解雇だと考えられます。契約途中の解雇のうち、政府が違法解雇として是正を求めたもの、解雇を撤回したものが何件あるのか、明らかにされたい。

 さらに、自動車、電機などの大企業で雇いどめにされた派遣労働者から私たちに寄せられている訴えでは、偽装請負で働かされていた期間なども合わせますと、四年から五年という長期にわたって同じ仕事で働かされていたケースが少なくありません。

 現行法では、派遣労働は最長でも三年までと決められ、その期間を超えたら、受け入れ企業は直接雇用を申し出る義務が課せられています。とうの昔に直接雇用、正社員にするべき労働者を、派遣のまま働かせたあげく、最後は一片の紙切れで解雇する、これは違法な雇いどめの濫用以外の何物でもありません。政府が雇いどめの濫用として是正を求めたものが何件あるのか、明らかにされたい。

 今、必要なのは、非正規切りをやめさせるために、まず現行法を最大限に活用した大企業への強力な監督指導を行い、実効ある措置をとることであります。総理にその意思があるかどうか、答弁を求めます。

 第三は、二度とこうした政治災害を起こさないための抜本的な法改正であります。

 今、政府の中からも、製造業の派遣の禁止という声が上がっています。製造業の派遣禁止は当然ですが、では、サービス業の派遣はいいのか、物流の派遣はいいのか。どんな業種であれ、使い捨て自由の労働は許さない法改正こそ必要ではないでしょうか。

 そのためには、労働者派遣法を一九九九年の原則自由化前に戻し、不安定な登録型派遣は原則禁止する抜本改正がどうしても必要です。その際、今の派遣労働の大部分が現行法でも禁止されているはずの常用雇用の代替であるという実態を踏まえ、派遣として働いている労働者が職を失わず、直接雇用に移行する経過措置を設けることを提案するものであります。

 未来ある若者が、懸命に働きながら、ある日突然、仕事も住居も奪われてしまうような社会に未来はありません。人間を人間として大切にする経済社会をつくるために、政治が責任を果たすときです。総理の見解を求めます。

 次に、景気対策について質問します。

 今回の景気悪化の特徴は、政府自身が認めているように、かつてなく急速に、墜落するような勢いで景気悪化が進んでいるところにあります。

 まず、総理にただしたいのは、こうしたかつてない急速な景気悪化がなぜ起こっているのか、その原因をどう認識しているのかという問題です。

 総理は、昨年末の日本経団連の会合でのあいさつで、日本の景気悪化について、アメリカ発世界金融危機など海外発の大きな津波みたいなものにのみ込まれてしまったと述べながら、日本経済自身に何か構造的な問題があったわけではありませんと強調しています。つまり、景気の急速な悪化は専らアメリカからの津波によるものであって、自公政権の経済運営には何ら問題はなかったというのが総理の認識なのでしょうか。

 アメリカから津波が押し寄せたことは確かですが、私は、歴代自公政権が進めてきた経済路線によって、津波から国民の暮らしと経済を守る防波堤を壊してしまったことが被害を甚大にしたと考えます。

 この間、構造改革の名で行われてきたことは、国民の暮らしを犠牲にして、一部の輸出大企業の応援に熱中することでした。その結果、一握りの輸出大企業は空前のもうけを上げましたが、勤労者の賃金は引き下げられ、非正規労働への置きかえが進み、庶民増税と社会保障の切り捨てが追い打ちをかけました。

 内需、家計を犠牲にして外需、輸出だけで稼ぐ、このゆがんだ路線を続けた結果、日本経済は異常な外需頼みの脆弱な体質になってしまいました。そのもろさが、アメリカ経済の破綻をきっかけにした景気の墜落となってあらわれているのではありませんか。構造改革路線への根本的反省と清算が求められていると考えます。総理の見解を求めます。

 総理は、一月六日の衆議院本会議で、「内需主導の持続的成長を実現できるよう、経済の体質転換を進めていく」と述べましたが、本気で内需主導の経済をつくるというのなら、大企業応援から家計応援へ、次の五点で政策の抜本的転換を図ることが求められます。

 第一は、安定した雇用を保障することです。

 雇用破壊が景気悪化を深刻にし、さらに雇用破壊をもたらすという悪循環を断つためにも、大企業による大量解雇をやめさせることは急務です。

 あわせて、非正規社員の正社員化、サービス残業の根絶、週休二日と年休の完全取得によって新たな雇用を創出する道を政治のイニシアチブで推進することが必要です。安定した雇用なくして内需主導の景気回復なしと考えますが、見解を求めます。

 第二は、安心できる社会保障を築くことです。

 社会保障予算の自然増を毎年二千二百億円ずつ削減するという路線は、事実上、続けられなくなっています。ところが、麻生内閣は、なお二〇一〇年度、一一年度と削減路線を続けると宣言しています。破綻した削減路線にしがみつくのはもうやめるべきではありませんか。

 二〇〇二年度以来、削りに削った社会保障予算は一兆六千二百億円になりますが、それを復活させ、後期高齢者医療制度撤廃、国保料の引き下げ、子供の医療費の無料化、介護の保険料、利用料の減免、障害者福祉の応益負担の廃止などに充てるべきではありませんか。

 社会保障の拡充は、国民の暮らしを直接温め、将来不安を取り除き、福祉の雇用をふやすという一石三鳥の経済効果もあり、内需主導の景気回復にも大きな力を発揮するに違いありません。総理の答弁を求めます。

 第三は、中小零細企業の仕事と資金繰りを保障し、経営を応援することであります。

 中小企業への信用保証について、根拠のない業種指定をやめ、全業種を対象とした全額保証に踏み切るべきです。

 また、六大銀行がこの一年で、大企業向け貸し出しを六兆円もふやしながら、中小企業向け貸し出しを一・一兆円減らしていることは、金融への社会的責任を放棄するものとして許せません。早急な是正指導が必要であります。総理の答弁を求めます。

 第四は、日本の農林水産業の再生です。

 地方に伺いますと、農業の衰退が地域社会全体の衰退につながっているということを痛感させられます。農業生産をふやすことは、その地域の食品、サービス業、製造業を活発にする大きな波及効果があります。農業再生こそ、地域経済再生のかなめであります。

 そのためには、農産物の価格保障、所得補償によって安心して再生産できる農業にしていくことがどうしても必要です。また、歯どめのない輸入自由化にストップをかけて、各国の食料主権を尊重した貿易ルールをつくることが不可欠です。ここでも抜本的な政策転換が必要だと考えますが、見解を伺います。

 第五は、消費税の問題です。

 政府は、二〇一一年度までに消費税増税法案を成立させる方針を法律の附則に書き込んだ予算関連法案を提出しました。実施時期は別途決めるとしていますが、消費税増税のレールを引く法律をこの国会で通してしまおうということに変わりはありません。

 我が党は、これだけ貧困が大問題になっているときに、それに追い打ちをかける消費税増税はもとより反対です。また、大企業や大資産家への行き過ぎた減税や巨額の軍事費にメスを入れれば、消費税に頼らなくても社会保障を支える財源をつくれると具体的提案を示しております。

 同時に、私が強調したいのは、政府・与党が消費税を上げたいというのであれば、事前に国民の審判を仰ぐべきではないかということであります。事前に国民に相談することなく、増税へのレールを引く法律をこの国会で強行するというのは、税金のあり方は国民が決めるという民主主義の大原則を踏みにじるものではありませんか。

 日本の資本主義は、ルールなき資本主義と呼ばれてきました。それを大もとから正し、雇用でも、社会保障でも、中小企業でも、農林水産業でも、税制でも、暮らしを守るルールある経済社会へと転換していく、そのことこそ、景気回復の土台をつくり、強く健全な日本経済をつくる大道だということを私は強調したいと思うのであります。

 最後に、大きく変化しつつある世界における日本の進路について質問します。

 総理は、施政方針演説で、世界にあっては新しい秩序づくりへの貢献を目指すと述べました。それでは、総理の言う新しい秩序とはどういうものなのか、二つの点で端的に問いたい。

 一つは、国連憲章に基づく平和の国際秩序を守る立場に立つかどうかであります。

 イラク戦争という国連憲章を無視した無法な戦争は、世界で孤立を深めた末に、米国大統領選挙でもノーの審判を受けました。この戦争を支持し続けた自公政権の態度が厳しく問われています。

 イラク戦争が開始された二〇〇三年当時、総理は、自民党政調会長でしたが、国連と米国が分裂した、そのときにとるべきは米国だ、こう小泉首相に進言したと著書の中で述べています。国連と米国の立場が異なったら米国を優先させるというのが総理の言う新しい秩序なのですか。しかとお答え願いたい。

 いま一つは、軍事同盟絶対の秩序を目指すのか、それから脱却して平和の共同体の担い手となるかであります。

 世界を見渡しますと、大勢は、アジアでもラテンアメリカでも、軍事同盟は過去のものとなりつつあり、それにかわって、外部に敵を求めない地域の平和共同体が力強く発展しています。そのときに、日米同盟を絶対化し、米軍基地の強化を図り、インド洋に加えソマリア沖へと自衛隊派兵を拡大し、憲法九条まで変えるという、アメリカ言いなりの古い体制を続けていいのかが問われています。

 新しい秩序と言うのならば、国連憲章に基づく平和の国際秩序を目指すべきです。日米軍事同盟から脱却して、対等、平等、友好の日米関係を築くことこそ、二十一世紀の世界の大きな変化に即した道であるということを強調して、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇〕

内閣総理大臣(麻生太郎君) 志位議員から二十七問、質問をちょうだいいたしました。

 まず最初に、労働法制の規制緩和についてのお尋ねがあっております。

 これまでの労働者派遣法の改正は、厳しい雇用情勢の中で、雇用の場を確保することや、労働者の多様な働き方に対するニーズに対応することなどを目的とし、労働者の保護に欠けることのないよう留意しつつ行われてきたものと認識をいたしております。

 しかしながら、今回の急激な雇用情勢の悪化は、金融経済危機に端を発したものであり、これまでの改正時の想定をはるかに上回るものでありました。

 したがって、労働者の雇用や生活の安定に向けて、これまでにない規模、内容の雇用対策を講じるほか、現在国会に提出させていただいております労働者派遣法の見直しなど、さまざまな取り組みが必要だと考えております。

 求職、住居確保などの総合相談窓口を設置するべきとのお尋ねがありました。

 雇いどめなどにより住居を喪失した離職者に対する支援といたしましては、昨年末より、ハローワークにおいて、雇用促進住宅への入居のあっせん、住宅・生活支援の資金融資の相談などを既に実施いたしております。

 今後、福祉施策を担う地方自治体とも緊密に連携しながら、離職者の方々の状況に応じた支援を総合的に実施できるよう、迅速かつ適切に対応してまいりたいと考えております。

 緊急小口資金の貸し付けについてお尋ねがありました。

 地域の社会福祉協議会が行っております緊急小口資金は、連帯保証人を不要とするなど、職を失った方などへの一時的な生活支援策として利用しやすい仕組みとなっておりますのは御存じのとおりです。

 また、ハローワークなどでも、仕事とともに住居を失った離職者に対し、住宅・生活支援の資金融資の相談などを実施いたしております。

 これらの支援を通じて、失業した方々の置かれた状況に応じた、きめ細かな支援を行ってまいりたいと考えております。

 再就職に向けた緊急避難として生活保護を行うべきとのお尋ねがありました。

 職と住居を失い、生活に困窮する方々については、雇用施策や福祉施策により、就職、住居、生活などの支援を全力で行っているところであります。

 これらの支援を行ってもなお困窮する方々につきましては、住居のない方も含め、引き続き、最後のセーフティーネットであります生活保護によって適切に支援をすることといたしております。

 雇用保険についてお尋ねがありました。

 現下の厳しい雇用情勢を踏まえ、雇用保険制度につきまして、非正規労働者が給付を受けやすくなるよう、雇用見込みが六カ月の方に対しましても適用を拡大するといったような見直しを行うなど、セーフティーネットの機能の充実を図ることといたしております。

 また、雇用保険二事業を効果的に活用し、雇用保険の対象とならない離職者につきましても、雇用促進住宅への入居や住宅・生活資金の融資、職業訓練の実施や、また訓練期間中の生活保護のための給付を行うことといたしております。

 企業の内部留保についてお尋ねがありました。

 企業にとって内部留保は、企業の存続や長期的な発展の可能性を確保するものであり、その活用につきましては、企業がそれぞれの状況に応じて最善の経営判断を下すべきものである、基本的にそう考えております。

 その上で、人を大切にするのが日本的経営のよさでもあります。こういう非常時こそ、労働者の雇用と生活をしっかり守るよう、最大限の努力をしていただきたいものだと考えております。

 大手製造各社の経営のあり方についてのお尋ねがあっておりました。

 企業の経営者は、株主のみならず、消費者や、従業員やその家族、さらには地域社会に対しても責任を負っていると考えております。経営者が従業員を大切にし意欲を引き出すような経営が、結果として企業価値の向上につながるものと考えております。

 こうしたことが、まさに日本的経営のよさであります。こういう非常時こそ、労働者の雇用と生活をしっかり守るよう、最大限の努力をしていただきたいものだと考えております。

 有期雇用の契約途中の解雇についてお尋ねがありました。

 労働契約法は、民事ルールを定めたものでありまして、政府が、直接、契約の内容に介入し、是正を求めることはできません。労働契約法の規定に従った適切な取り扱いが行われるよう、啓発指導を行ってまいります。

 昨年十二月九日から本年一月二十三日までに、五百九十八事業場に対して啓発指導を行いました。引き続き指導に努めてまいりたいと考えております。

 偽装請負についてお尋ねがありました。

 現行の労働者派遣法では、派遣元から派遣停止の通知があって初めて派遣先に直接雇用を申し出る義務が生じるということになっております。労働者派遣との認識がない偽装請負では、通常、この要件が満たされません。派遣先に直接雇用の申し込み義務が生じているとすることは困難であります。

 そこで、現在継続審議となっている労働者派遣法の改正案におきましては、御指摘のような事実上の期間制限違反の事例を含め、違法派遣の場合には、派遣先に対し、労働者への労働契約の申し込みを行うよう行政が勧告できる制度を創設することとしております。

 なお、有期労働契約の更新を拒否する雇いどめが濫用に当たるか否かは、民事上の問題でもあり、政府として判断することはできません。しかし、労働契約法の規定や裁判例に従った適切な取り扱いが行われるよう、これまでに八百十六の派遣元事業所に対し啓発指導を行ったところであります。

 非正規切りについての監督指導に関するお尋ねがあっております。

 非正規労働者の雇いどめや解雇が発生していることについては、大変憂慮をいたしております。

 このため、労働契約法に関する啓発指導や、労働者派遣法などに違反する事業主に対する指導監督を徹底してまいります。

 あわせて、労働者の雇用や生活の向上に向けて、雇用の維持に努力する企業を支援するため、雇用調整助成金の拡充など、これまでにない規模、内容の雇用対策を講じてまいります。

 労働者派遣法についてのお尋ねがありました。

 私は、雇用のあり方としては、業種によって確かに事情は異なりますが、基本的には常用雇用が望ましいと考えております。

 このため、現在継続審議になっております政府の派遣法改正案におきましても、派遣元に対し登録型の労働者の常用化に努めるよう義務を課す、違法派遣を行った派遣先に対しその労働者の雇用を勧告する制度を創設するといたしております。

 他方、現在、登録型派遣は二百八十万人もの方に利用されております。その中には直接雇用よりも派遣労働を好む方もおられ、これらを禁止することはかえって労働者の不利益になるため、平成十一年の原則自由化以前に戻すことは適切でないと考えております。

 いずれにせよ、国会の場でよく議論をしていただきたいと考えております。

 次に、人間を大切にする社会をつくることは政治の役割ではないかとの質問がありました。

 御指摘の趣旨は同感であります。私の目指す安心と活力ある社会というのは、国民のみんなが参加できる社会、そして、努力が報われる社会でもあります。そのため、必要な制度をつくることは政治の大きな役割と考えてもおります。

 現下の経済情勢に対する認識と政府の経済運営についてのお尋ねがありました。

 今回の世界的な金融危機は、米国のサブプライムローン問題に端を発するものであります。世界が同時に、かつてない不況に入りつつある中、日本もまたその津波から逃れることはできず、景気は急速に悪化をいたしておると考えております。

 こうした状況に適切かつ機動的に対応し、生活者、中小企業、地方の三つに重点を置いた、総額約七十五兆円の大規模な経済対策を取りまとめたところであります。

 政府・与党としては、この経済対策を速やかに実行していくことが最大の景気対策でもあると考えております。景気の後退を食いとめ、不況から脱出するためにも、平成二十一年度予算及び関連法案の早期の成立をお願いしているところであります。

 次に、構造改革路線への反省と清算についてのお尋ねがあっております。

 我が国がこれまで取り組んできた改革は、バブル崩壊後の長い低迷から脱出を果たすなどの成果を上げてきたものと認識をいたしております。しかし、改革によるひずみが指摘され、また、新しい課題が生じていることも事実であります。

 私は、改革という基本路線は堅持しつつ、ひずみへの配慮、新しい課題への解決に取り組み、内需主導の持続的成長が可能となるよう、経済の体質転換を進めてまいりたいと考えております。

 私の経済政策は、これまでの改革を否定するものではなく、安心と活力ある社会を目指して改革を進化させるものだと考えております。

 労働時間の短縮などによる新たな雇用創出についてのお尋ねもあっておりました。

 安定した雇用を実現するためには、派遣労働者、年長フリーターなどの正規雇用化、労働時間の短縮などが重要であります。

 このため、非正規労働者を正社員化した企業への助成、サービス残業を解消、休暇取得を容易にするためのガイドラインの策定などを行っているところであります。

 なお、労働時間の短縮の推進は、新たな雇用創出にもつながると考えておりますが、その実施に当たりましては、まずは労使で十分に話し合っていただくことが重要であろうと考えております。

 社会保障予算についてのお尋ねがありました。

 世界に類を見ない少子高齢化が進行している中で、社会保障制度というものを持続可能なものにするために、長寿医療制度の創設、介護保険制度の見直しなど、必要な改革を実施してきたところです。

 平成二十一年度予算においては、一定の財源を確保した上で、二千二百億円に足らざる部分につきましては、後発医薬品の使用促進を行うこととしたところであります。

 今後とも、少子高齢化の進行に伴い、社会保障費の増大は確実であります。安定財源の確保と並行して、社会保障の機能を図るとともに、コスト削減、また給付の重点化等の効率化を進めて、社会保障を安心なものにしてまいりたいものだと考えております。

 中小企業への緊急保証制度について、全業種、全額保証すべきとのお尋ねがありました。

 緊急保証制度は、特に業況が悪化している業種の方に保証協会の一〇〇%の保証で重点的に支援を行うという観点から、業種を指定いたしております。

 この緊急保証制度は、経済状況の悪化に対応して迅速に対象を拡大しておりますのは御存じのとおりです。現在、六百九十八業種にまで拡大をしてきており、中小・小規模企業全体の約八割、三百十四万社を既にカバーいたしておるところでもあります。

 対象業種に該当しなくても、十兆円に拡大したセーフティーネット貸し付けや、また一般保証が利用できます。引き続き、中小・小規模企業の資金繰り対策に万全を期したいと考えております。

 大銀行の貸し出し姿勢についてのお尋ねがありました。

 中小企業向け貸出残高の減少は、資金需要の低迷など、さまざまな要因によると承知をいたしております。中小企業に対する円滑な金融は金融機関の最も重要な役割の一つであると認識をいたしております。

 政府として、資金需要が、借り手企業の経営実態や特性に応じたきめ細かい対応を行い円滑な資金供給の確保に一層努めるよう、繰り返し要請を行っておるところでもあります。

 また、金融機関が中小企業に対して安心して資金供給できる環境を整備するため、自己資本比率規制の一部弾力化や、改正金融機能強化法の速やかな施行など、さまざまな措置を講じたところでもあり、今後とも、しっかりと取り組んでまいります。

 農業の再生についてお尋ねがありました。

 地域経済の活力を取り戻すためには、農業の再生を図ることは極めて大切だと思っております。

 しかしながら、農産物の価格保障というものは、需要に合わない農産物の生産を助長しかねず、国内生産の拡大にもつながらないと考えております。

 このため、政府としては、経営所得安定対策などの実施により、消費者のニーズに的確に対応できる担い手を育成し、その経営の安定を図ることが重要であると考えております。

 食料の貿易ルールについてのお尋ねもありました。

 食料の貿易ルールにつきましては、現在、WTO農業交渉において議論が行われているところであります。日本といたしましては、多様な農業の共存を基本理念とする貿易ルールの確立を目指して、積極的に取り組んでいるところであります。

 次に、消費税の引き上げを行う前に国民の審判を仰ぐべきとの御指摘がありました。

 今国会には、消費税を含む税制抜本改革の道筋を盛り込んだ法律を提出いたしました。

 実際の税制改正には、個別税目に関する具体的な改正の内容を別に法律で定める必要がありますのは御存じのとおりです。その際に、国会で税制の具体的な姿を御審議いただきたいものだと考えております。

 来る総選挙において、税制改正だけでなく、社会保障制度のあり方、財政責任のあり方などを問うことで、国民生活に責任を持つというのはいずれの党か、どの党かということを競いたいものだと考えております。

 新しい秩序づくりへの貢献についてお尋ねがありました。

 百年に一度のものとも言われております今回の世界的な金融危機への対応や、気候変動問題など、世界はこれまでどおりの仕組みでは対応に限界がある問題に直面しているのではないでしょうか。日本は、世界がこのような問題で新たなシステムやルールづくりを行う中、積極的に貢献しなければならないというのは当然だと考えております。

 一方、日本は、国際社会の責任ある一員として、また、国連加盟国、特に現在は安保理非常任理事国として、国際社会の平和と安定の構築に積極的な役割を果たしていくことには変わりはありません。

 対イラク武力行使を支持したことへの評価についてのお尋ねがありました。

 当時、イラクは、十二年間にわたり、累次の国連安保理決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとはしませんでした。このような認識のもとで、我が国は、安保理決議に基づきとられた行動を支持したものであります。

 以上の経緯は、今日振り返ってみても、妥当性を失うことはないと考えております。

 国連と米国についてのお尋ねがありました。

 日米同盟は、日本外交の基軸であります。同時に、アジア太平洋諸国との連携、国連などの場を通じた国際協調は、外交の重要な柱でもあります。

 私は、このような我が国の外交上の立場を踏まえつつ、国際社会の責任ある一員として、世界の平和と安定の構築に全力を尽くしてまいります。

 日米同盟への対応に関するお尋ねがありました。

 アジア太平洋地域には、依然として不安定で不確実な状況が存在しております。そうした中、我が国の安全を確保するには、引き続き、みずからの防衛力を整備し、また、日米安保体制のもとで米軍の前方展開を確保することが、最も現実的かつ適切だと考えております。

 私としては、日米同盟を外交の基軸として、国際社会が直面する諸課題に対処していく考えであります。

 なお、インド洋におきます海上自衛隊の補給支援活動は、アフガニスタンの安定と復興に向けた国際的取り組みを支えるものであり、我が国の国益をかけ、我が国自身のためにしてきた活動であります。

 また、ソマリア沖の海賊対策は、我が国自身にとって、海上輸送の安全確保や、何よりも、日本国国民の人命、財産の保護の観点から緊急を要する問題だと考えております。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(横路孝弘君) 重野安正君。

    〔重野安正君登壇〕

重野安正君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、麻生総理の施政方針演説に対し質問します。(拍手)

 二〇〇九年は、未曾有の経済危機と大量失業の中で幕をあけました。派遣切りの悲鳴は、東京・日比谷の年越し派遣村だけでなく、全国各地でこだましています。

 総理の施政方針演説は、安心と活力ある社会、生活防衛予算の言葉が躍るばかりで、生活や仕事、将来への不安を募らせている国民の心に届くメッセージとはなっていません。

 厚生労働省は、十月からことし三月までの派遣・請負労働者の雇いどめや中途解約などの失業が十二万五千人になる見通しだと本日発表いたしました。業界団体の試算では、四十万人に達するといいます。政府の構えは極めて甘く、今進めている施策では全く不十分と言わなければなりません。

 日を追って失業者はふえ続けています。緊急事態であります。座して見ているだけでなく、派遣切りを防ぐため、緊急的な特別立法を初め、抜本的な雇用対策の見直しが必要だと考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。

 派遣を初めとする非正規の人たちや中小企業が、戦後最長の好景気と史上最高水準の企業収益を支えてきました。にもかかわらず、不況になれば、真っ先に、我亡き後に洪水は来たれとばかりに、名立たる大企業が切り捨てていく理不尽。これら大企業は、この間、税の軽減や財政的支援を初めとする公的な恩恵を受けてきていたではありませんか。

 総理、企業の雇用責任、社会的責任をどうとらせるつもりなのか、見解を伺います。

 派遣法改正案の日雇い派遣禁止は、名ばかりのものにすぎず、日々深刻化する雇用情勢に対応し切れるものとは言えません。労働者派遣は、常用型を原則とし、登録型は専門的業務に限定するとともに、派遣元・先の責任強化、マージン率の上限やみなし雇用を制度にきちんと盛り込む抜本改正をすべきと考えます。総理、いかがですか。

 派遣切りによって、雇用も住居も一遍に奪われてしまう、地域のコミュニティーも家族もつくれない若者層の増大。若者支援のための法整備に当たっては、この間の若者向けの施策について、どうして効果が乏しかったのか、何が問題なのかを分析すべきです。少なくとも、若者自身の声をしっかりと聞くこと、若者の住宅セーフティーネットを保障することを求めます。総理の見解を伺います。

 今、輸出主導、外需依存から、豊かで安定した国内市場に支えられる内需主導経済への転換が求められています。富を生み出すのは人であり、人を大切にしないで景気回復も日本の再生もありません。

 アニメなどのコンテンツを強調される総理、アニメ業界の悲惨な労働実態を御存じですか。動画制作者の七割以上が年収百万円未満であります。このままでは良質なアニメ制作自体が困難になるとも言われています。実態を見詰め直してほしい、そういう声が満ちあふれております。総理、どのように受けとめますか。

 さて、社民党は、いのちとみどりの公共事業、ヒューマン・ニューディールを提唱し、人間と環境を新たな経済政策の柱として期待しています。医療、介護、福祉、教育、環境、農林水産業といった分野にこそ、新たな経済成長と雇用、地域振興の芽があると思いますが、総理の見解をお聞かせください。

 政府は、ようやく日本版グリーン・ニューディールの策定を打ち出したとはいえ、他の先進国が環境政策をエネルギーなど他の政策と統合してきているのに、我が国として勢いのある総合戦略を打ち出すことができずにいます。温室効果ガス削減の中期目標さえ、めどが立っていません。環境税、固定価格買い取り制度、排出量取引の三点セットで環境政策を強力に推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 山村は国土の六割、森林は七割を占めていますが、農山村は疲弊し、森林の荒廃が進んでいます。今回の総理の施政方針演説では、大事な山村、森林・林業の活性化についてほとんど触れていないのは極めて残念であります。

 山への投資をもっとふやす、人を呼び、農林業を二十一世紀の基幹産業として再生し、次世代に豊かな森林を残すべきであると考えますが、総理の考えをお聞かせください。

 また、森林吸収源三・八%の達成見込み、森林の六割を占めている私有林の手入れ、緑の雇用を含め林業の担い手確保と雇用の安定化に向けた支援策、国産材の利用拡大についての総理の御所見を伺います。

 新たな農政改革についてお尋ねいたします。

 社民党は、田んぼの底力法案をまとめており、米粉、飼料米など水田フル活用への転換元年とする方向性は賛成です。しかし、問題は、農業所得が低く、農業で暮らすことのできない現実があることです。石破農水大臣は減反の見直しを打ち出しています。社民党は従来から強制減反の見直しを主張してまいりましたが、直接所得補償とセットで、暮らせる農業を実現しなければ意味がありません。総理の見解を伺います。

 総理は、官から民へといったスローガンや、大きな政府か小さな政府かといった発想だけではあるべき姿は見えない、中福祉を目指すなら中負担が必要と言い、小さな政府や低福祉・高負担を目指す構造改革路線とは一線を画す感があり、小泉改革からの転換をにおわせています。しかし、いつから転換したのか、なぜ転換するのか、なし崩しで説明不足ではありませんか。

 小泉構造改革路線の誤りはどこにあったのか、きちんとした総括をすべきではありませんか。答弁を求めます。

 中負担といっても、負担の仕方の公平が問われています。なぜ、逆進性の強い消費税ありきなのですか。まず、所得税、法人税の不公平税制を是正することから始めるべきではありませんか。しかも、消費税を上げるための判断もはっきりしておりません。いずれにせよ、景気が回復したら消費税増税、景気が回復しなかったら全治三年の公約違反ということになります。

 イギリスのブラウン首相は、異例なときだからこそ異例な行動が必要だとして、景気対策のために、消費税に当たる付加価値税を二・五%引き下げ、約三兆円の減税を打ち出しています。

 百年に一度の危機というのであれば、三年後の消費税率引き上げにこだわる必要はないと考えますが、総理の見解を伺います。

 国、地方の長期債務残高も八百兆円の大台を突破して、過去最悪を更新する見込みであります。基礎的財政収支の赤字幅も約十三兆円に広がっている。

 総理は、秋の所信表明の際には、国、地方の基礎的財政収支を黒字にする、二〇一一年度までになし遂げるとの目標を達成すべく努力しますと言われました。総理、この目標は本当に達成できるのですか、それとも先送りしたのですか、明らかにしていただきたいと思います。

 鳩山総務大臣の問題提起で、用地取得、建設費二千四百億円で建設したかんぽの宿を、政府の規制改革会議座長を務め、郵政民営化を支持してきた宮内氏が会長を務めるオリックスグループに百九億円で一括譲渡する問題が、大きな問題となっています。

 入札の経緯や価格決定の不透明さもあり、郵政民営化、構造改革が、国民のためでなく、一部の人たちのためのものだったとの疑惑が国民の関心事となっている。日本郵政の一時凍結、検討委員会設置を機に、売却の手続、経緯、売却額の妥当性を徹底的に調べ、国民の納得を得るべきだと考えます。今後どう対応されるのか、鳩山大臣の答弁を求めます。

 天下り問題について伺います。

 政府は、公益法人の理事のうち、主務官庁出身のOBは三分の一以下というルールを今後は適用しないことを決めました。まさに、天下りのなし崩し的容認であり、天下り禁止を求める国民の声をそでにするものです。公益法人に対する天下り規制を強化する考えはないのか、総理の見解を求めます。

 後期高齢者医療制度についてお尋ねします。

 年を重ねれば、だれでも病気にかかりやすくなります。高齢者に十分な医療を保障することは当然です。七十五歳以上の高齢者だけ切り出しして、年齢で受けられる医療を差別するような制度は、どこの国にもありません。参議院では、廃止法案が可決しています。高齢者は早く死ねと言わんばかりの後期高齢者医療制度の廃止を求めます。総理の決意をお聞かせください。

 さて、アメリカでは、チェンジを訴えるオバマ新政権が二十日に発足しました。

 真の同盟関係は、相手にどこまでもつき従っていくという関係ではなく、言うべきことは言う対等な関係のはずであります。ブッシュ共和党政権がつくった普天間移設の枠組みを変えてほしいなど、沖縄からも負担軽減を求める声が上がっています。今こそ、〇六年五月の日米合意の見直しなど、米軍再編についてもチェンジを求めていくべきだと考えますが、総理の答弁を求めます。

 ソマリア沖、アデン湾への海上自衛隊派遣問題についてお尋ねします。

 我が国において、海上における安全と秩序を守る主体は海上保安庁であります。今回、ソマリア沖の海賊に対して、国会での審議も経ることなく、拙速に自衛隊を派遣することは余りにも乱暴です。

 九州南西海域における工作船事件を経験し、必要な運用体制、装備の充実強化を決意した海上保安庁による対処が困難である理由を、明確、具体的にお答えください。

 また、海賊を避け、アデン湾を通過しない航路をとった場合、遠回りの経費の一部を助成する等の方法も一つの対策ではないのか、あわせて、艦艇を派遣する経費をどう見積もられているのか、お答えください。

 最後に、選挙の麻生、経済の麻生、政策の麻生と幾ら言っても、ついに支持率は危険水域を割り込みました。今こそ政治が責任を果たすときであり、私は決して逃げませんと言うのであれば、逃げずに解散・総選挙で国民の信を問い、総理の意思と覚悟を示すべきであります。総選挙こそ、政策転換によって日本の未来を切り開くチャンスです。変革には痛みが伴うが、それを恐れてはいけない、この言葉を総理にお返しして、私の代表質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇〕

内閣総理大臣(麻生太郎君) 重野議員の質問にお答えをいたします。

 まず最初に、雇用対策についてのお尋ねがあっております。

 百年に一度とも言われております経済危機を受けて、派遣労働者を初めとする非正規労働者の大量離職などが生じていることについて、大変憂慮いたしております。

 このため、先日成立いたしました二次補正予算や二十一年度予算案におきまして、派遣労働者や年長フリーターなどを正規雇用した企業に対する助成、雇用維持に努める企業に対する雇用調整助成金の拡充といった失業を予防するための施策を実施するとともに、雇用創出のため都道府県に過去最大の四千億円の基金を創設することによります地域求職者などの雇用機会の創出、そして地方交付税の一兆円増額によります雇用創出の促進など、これまでにない規模、内容の雇用対策を実施することといたしております。

 大企業の雇用責任などについてお尋ねがありました。

 人を大切にする、日本的経営のよさであります。こういう非常時にこそ、経営判断の中で、企業の存続や長期的な発展の可能性を確保しつつ、労働者の雇用と生活をしっかり守るよう、最大限の努力をして、その責任を果たしていってもらいたいものだと考えます。

 政府としては、二次補正、さらに二十一年度予算に基づき、雇用調整助成金によります雇用維持に努力する企業への支援の拡充を初め、これまでにない規模、内容の雇用対策を講じてまいるところであります。

 労働者派遣法の改正案についてのお尋ねがありました。

 私は、雇用のあり方としては、確かに業種によって事情は異なりますが、基本的には常用雇用が望ましいと考えております。

 一方、現在、登録型派遣は約二百八十万人もの方に利用されております。これを規制することによってかえって雇用の場が失われるような事態は避けなければならないとも考えております。

 こうした認識に基づきまして、先般提出をいたしました労働者派遣法の改正案には、派遣労働者の保護を図る観点から、日雇い派遣の原則禁止に加えまして、派遣元に対し登録型の労働者の常用化に努めるよう義務を課す、いわゆるマージンなどの情報公開の義務を課す、いわゆるみなし雇用につきましては違法派遣を行った派遣先に対しその労働者の雇用を勧告する制度を創設するなどの措置を盛り込んだところであります。

 こうした措置に加えまして、派遣元、派遣先の責任を明確化することにつきましては、現在、与党でも議論が進められていると承知をいたしており、国会の場でよく議論をしていただきたいと考えております。

 若者支援のための法整備についてのお尋ねがありました。

 御指摘の派遣切りを初め、ニート、引きこもりなど、さまざまな困難に直面している若者が、みずからの足で立ち、将来の基盤を築いていけるよう、社会全体で必要な支援を行っていくことは重要であります。

 仕事と住まいを同時に失った方々に対して、雇用促進住宅の活用や住宅・生活資金の融資などを既に実施しております。若者の居住安定確保の推進に向け、住宅セーフティーネットの充実に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、次代の日本を担う若者一人一人の声を聞きつつ、困難を抱える若者を社会全体で支援していけるよう、新法についての検討を進めてまいりたいと考えております。

 アニメ産業についてのお尋ねがありました。

 アニメなどのコンテンツは、日本を代表する重要なリーディング産業であります。その競争力の源泉は、そこで働いている人材であります。

 このため、アニメ制作を支える若手人材の育成に取り組んでいるところでもあります。

 さらに、そのソフトパワーというものを生かす底力発揮に向けて、新たな成長戦略を策定してまいります。

 なお、労働基準関係法令に違反するような事案については、適切に是正指導を行っていかねばならないと考えております。

 新たな成長分野についてのお尋ねがありました。

 ともすれば経済が萎縮してしまいがちな厳しい経済情勢の昨今であるからこそ、官民を挙げて戦略分野に果敢な投資を行うということが将来のために重要であります。こうしたことから、今後、雇用や市場の創出が期待されております戦略分野につきましては、新たな成長戦略の策定に着手をいたしております。

 中でも、御指摘のような、環境・エネルギー、医療・介護、農林水産業などは、今後、市場の拡大と新たな雇用機会の創出が期待できる分野だと認識をいたしております。

 環境政策についてのお尋ねがありました。

 環境政策を進めるため、税制上の新たな支援措置の創設、排出量取引の試行的実施の開始、電力会社への新エネルギー電源の利用義務づけ制度、自主行動計画の強化といったさまざまな手法を有機的に組み合わせて進めてまいります。まずは、これらの着実な実施が必要であります。

 御指摘の、環境税や固定価格買い取り制度につきましては、さまざまな論点が指摘をされておるところでありまして、さらなる検討も必要であろうと考えております。

 いずれにいたしましても、環境政策を進めるため、総合的な施策のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。

 森林・林業についてのお尋ねがありました。

 森林は、国土の保全、水源の涵養といった機能を有する緑の社会資本として、次世代に良好な状況で残していくべきものと考えております。

 このため、林業事業体の育成や木材利用の推進などにより、林業の再生を図り、多様で健全な森林の整備を進めていく考えであります。

 森林吸収源対策など、林業、木材産業の活性化についてのお尋ねもあっておりました。

 三・八%の森林吸収目標につきましては、所要の予算を確保し、私有林の間伐など森林整備の着実な推進を図りつつ、引き続き全力で取り組んでいるところであります。

 また、林業、木材産業の再生と雇用の安定、山村の活性化に向けまして、林業就業に必要な技術の習得を支援する緑の雇用事業、地域材住宅づくりへの支援による国産材の利用拡大などに取り組んでいくことといたしております。

 新たな農政改革についてお尋ねがありました。

 すべての農家を対象に所得補償を行うことは、力強い農業構造の実現を先送りするおそれもあります。政府としては、経営所得安定対策の実施により、意欲と能力のある担い手を育成していくことが重要であると考えております。

 生産調整を初めとした農業政策全般について、新たな農政改革の議論の中で見直しを行い、麦、大豆のほか米粉や飼料用の米生産を拡大することによる水田フル活用への転換、農地政策の改革による農地の所有から利用への転換、農商工連携による新たなビジネスの展開を進めることにより、農業者の所得を確保し、力強い農業をつくり上げていきたいものだと考えております。

 次に、構造改革路線から転換したのではないかとの御指摘がありました。

 これまで取り組んできた改革は、我が国の経済と社会の活性化に一定の成果を上げたと存じます。

 しかし、格差の拡大や地方の疲弊といった改革によるひずみが指摘され、また、世界金融危機といったような新しい課題が生じております。

 私は、改革という基本路線は堅持をいたしつつ、ひずみへの配慮と新しい課題への解決に取り組んでまいりたいと考えております。

 その意味で、私の政策は、これまでの改革を全く否定するものではなく、改革を進化させるものだと考えておるところでもあります。

 税制抜本改革についてのお尋ねがありました。

 税制抜本改革につきましては、社会保障の安定財源確保など、我が国が直面するさまざまな課題に対応する観点から、所得、消費、資産などの税体系全体の見直しを行うものであり、御指摘のように、最初に消費税ありきというものではありません。

 こうした税制抜本改革は、社会保障を安心なものとし、子や孫に負担を先送りしないためにお願いするものでもあります。このため、経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ段階的に消費税を含む税制抜本改革を行うため、二〇一一年度までに必要な法制上の措置を講じます。

 その実施時期は、経済状況をよく見きわめて判断をいたしますが、私としては、二〇一一年度に向けて景気が回復するよう全力を尽くしていきたいと考えております。

 基礎的財政収支の黒字化目標に関するお尋ねがありました。

 基礎的財政収支の黒字化は、過去に前例のない不透明な内外の経済状況に弾力的に対応しつつも、できる限り早期に達成する必要があると考えております。

 しかしながら、経済情勢が極めて流動的かつ不透明な中にあっては、一定の確度を持って見通すことは困難であります。当面、財政規律の観点から、現行の努力目標のもとで、景気回復を最優先としつつ、財政健全化の取り組みも進めてまいらなければならないと考えております。

 公益法人の理事への天下りについての御質問がありました。

 昨年十二月から新たな公益法人制度が始まり、五年をかけて移行いたします。これによって、従来の主務官庁による設立許可や指導監督の権限がなくなっております。それにかえて、民間有識者による第三者委員会が公益性の判断や監督を行うこととなり、役所の関与が排除されております。

 したがって、主務官庁がなくなり、旧主務官庁のOBの数を規制する意味がなくなったものであります。

 長寿医療制度についてのお尋ねがありました。

 長寿医療制度におきましては、医療費の自己負担を現役世代より低い一割負担とし、低所得者の保険料の軽減を行うなど、高齢者が心配なく医療を受けられる仕組みとなっております。

 しかしながら、制度の説明不足があったことに加え、年金からの保険料の支払いを原則とした、いわゆる天引きということもあったなど、高齢者の方々の心情にそぐわない点が多々あったものと考えております。

 しかし、この制度をなくせば問題が解決できるものではありません。制度を廃止するのではなく、高齢者の方々にも納得をしていただけるよう改めることが必要と考えており、政府・与党が一体となって速やかに議論を進めてまいりたいと考えております。

 米軍再編についてのお尋ねがありました。

 普天間飛行場の移設、返還を含む今般の米軍再編は、抑止力を維持しつつ、沖縄県を初めとする地元の負担を軽減させるものであります。

 政府としては、今後とも、地元の声に耳を傾けつつ、日米合意に従い、オバマ政権と緊密に協力しながら、普天間飛行場の移設、返還を含みます米軍再編を着実に進めてまいりたいと考えております。

 海賊対策についてのお尋ねがありました。

 海上保安庁による対処が困難な理由のお尋ねがあっております。

 ソマリア沖の海賊対策につきましては、日本からの距離、海賊が所持する武器、各国は海軍の軍艦などで対応していることなどを総合的に勘案すると、現状においては、海上保安庁の巡視船を派遣することは困難と考えております。

 アデン湾を通過しない航路をとることについてのお尋ねがありました。

 御存じのように、海賊は重大な犯罪行為であります。現在、諸外国は、軍艦の派遣などにより、当該海域における航行の安全確保に努めております。日本も、各国と同様に、日本の関係船舶の安全をみずから確保することが必要であると考えておるところであります。

 ソマリア沖への艦艇派遣の経費についてのお尋ねがありました。

 政府といたしましては、新法の整備までの応急措置として、海上警備行動による自衛隊の派遣の準備に着手したばかりであり、御指摘の経費について、現時点で確たることを申し上げることは困難であります。

 最後に、解散・総選挙で国民に信を問うべきとの御指摘がありました。

 今、国民が望んでいるのは景気対策と雇用対策であろうと存じます。

 総選挙につきましては、いずれ、しかるべき時期に、野党との争点を明らかにして国民に信を問いたいと考えております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)

    〔国務大臣鳩山邦夫君登壇〕

国務大臣(鳩山邦夫君) かんぽの宿についてお尋ねがありました。

 この件に関して、私はまず、基本的に三つの疑問を持ったわけでございまして、なぜ譲渡の相手方がオリックスグループなのであるか、なぜ経済状況が悪化しているこの時期に売らなければならないのか。五年以内ということですが、まだ随分時間が残っております。また、なぜ施設を全国一括、七十個一括で売らなければならないのか、それぞれ人気のあるものは地方の観光振興に役立てたらいいのではないか、そう思ったわけでございます。

 特に、郵政民営化の議論を行っていたのは、最初は総合規制改革会議でありました。その後から経済財政諮問会議に移るわけでございまして、最初は、郵政民営化は総合規制改革会議でやっておりました。その議長さんが、立派な方ではありましょうが、オリックスの総帥でございまして、しかも、その方が規制改革の議長をずっと続けておられて、規制改革・民間開放推進会議といったかと思いますが、提言を出す。その提言に何て書いてあるかというと、要するに、公的な宿泊施設はもうやめよう、廃止するか民間に売るかした方がいいという提言をまとめて、提言をまとめて御自分で買うということは、それは、李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れずという例えがございますので、やはりその辺は十二分にお考えをいただきたいと思うのでございます。

 これからも日本郵政からはさまざまに情報をとっていきたいと思っておりますが、一つ大きな問題がございますのは、先ほど重野議員から御説明があったように、その七十個のかんぽの宿は、建設するのに土地と建物で二千四百億を超える金額がかかっております。それをなぜ百九億でたたき売りをするかという問題については、日本郵政は、現在の帳簿価格が百二十三億であるからという説明なのでございます。

 私は日田のかんぽの宿に泊まりましたけれども、大変立派な近代的なホテルであります。温泉もすばらしいんです。そして、部屋も広い、夕食はおいしい、朝御飯たっぷり、それで一万三千八百円だったんです。

 かんぽの宿は、もともと簡保加入者の福祉施設でありましたから、それは、もうけるということではなくて、そういう低価格で提供しようということでやってきた。だから、確かに赤字が出ていた。赤字が出てもうからないから、これは全く収益性がないからほとんど価値がないんだ、こういう判断をして安い値段がつけられているわけでございまして、例えば日田のかんぽの宿は、つくるのに四十一・一億円かかっておりますが、いわゆる日本郵政における帳簿価格はわずか一億一千万でありまして、上物はほとんどゼロという評価になっております。

 このようなやり方も私は大問題だと思いまして、もともと国民の共有の財産としてできたものでありますから、それをたたき売るのではなくて、できるだけ高い値段で売っていくというのが正しい道ではないか、そのように考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(横路孝弘君) 亀井久興君。

    〔亀井久興君登壇〕

亀井久興君 国民新党の亀井久興でございます。

 私は、国民新党・大地・無所属の会を代表して、麻生総理の施政方針演説に対し、質問いたします。(拍手)

 一昨日の演説の中で、麻生総理は、安心と活力ある社会の構築を力説されました。これに異を唱える人はいないと思いますが、問題は、どのようにしてその実現を図るかであります。

 国民の皆様が真に安心感を抱くには、政府が思いやりの心を持たなければなりません。民間経済の力が弱まっている今日、社会が活力を取り戻すには、政府主導で経済を向上させるしかありません。

 三十年前、大平元総理は、政治とは、あした枯れる花にも水をやることとの名言を残され、また十年前、小渕元総理は、経済再生の一点に集中し、あらゆる手段を尽くされました。

 しかし、政府が提出した来年度予算案、そして麻生総理の施政方針演説からは、甚だ残念ながら、国民の不安をぬぐい去るような強力なメッセージも温かさも何ら伝わってまいりません。むしろ、政策転換へのためらいばかりが感じられます。もはや、他党のことではありますが、やはりかつての自民党は大きく変わってしまった、小泉元総理が宣言されたとおり、ぶっ壊されてしまったのだと思います。

 さて、米国のサブプライムローン問題に端を発した今次の不況は、円高・ドル安によって深刻さを増しております。百年に一度と言われるアメリカの経済危機がすべての原因のように言われますが、そもそもなぜこうなったかといえば、小泉内閣以来、デフレからの脱却を唱えながら思い切った内需拡大策を実行しなかったために、我が国の経済が外需に依存せざるを得ない体質になってしまったことが最大の要因であります。

 既に日本経済の足腰が弱くなっていた中での暴風雨あるいは津波の到来であるため、我々は、現在のような経済対策では全治三年は到底不可能であると思います。この際は、大型減税と積極的な財政出動による思い切った政策転換が求められるのでありますが、麻生総理の対応は不十分であると言わざるを得ません。そして、その最大の原因は、麻生総理御自身が小泉構造改革路線と決別できず、絶えず景気対策と財政再建の二兎を追う、アクセルとブレーキを同時に踏む姿勢にあります。

 麻生総理、いにしえより、過ちを改むるにはばかることなかれと申します。また、総理の御祖父、吉田元総理は、終戦直後、堂々と負けっぷりのよさを示されました。過ちを認めることにより、国民は多少なりとも総理への信頼を高めるかもしれません。

 麻生総理、日本経済を回復させるため、これまでの失敗と過ちを率直に認め、また、二兎を追う姿勢を改め、経済の回復、景気の回復のただ一点に集中するお考えはないか、お尋ねいたします。

 御案内のように、米国のオバマ政権は総額八千億ドル規模の景気対策を打ち出しましたが、当然のことながら、その財源は国債に依存しなければなりません。そして、その主要な引受先はまたもや日本と中国になると言われております。

 しかし、日本国民の貴重な金融資産がなぜ米国のために使われなければならないのでしょうか。基軸通貨であるドルの信用を維持するためにアメリカに協力することも必要かもしれませんが、その前に、我々は、我が国の金融資産を、日本国債を通じ、国のため、国民のために使うことこそ優先すべきであると思います。

 麻生総理は、不況から脱出するためには予算及び予算関連法案の成立が必要だとの認識を示されていますが、我々は、たとえ予算が成立しても、この程度の規模、このような内容では、到底、景気の後退を食いとめることはできないと思っております。

 そこで、お尋ねします。

 総理は、建設国債を追加発行し、国家戦略に基づいて国民のために必要な公共事業を大胆に実行するため、早期に平成二十一年度補正予算を組むお考えはあるのでしょうか。それとも、現在の本予算で十分だとお考えなのでしょうか。もしも補正を組むとしたら、どのような経済状況の変化があらわれたときでしょうか。

 また、先ほどの指摘とも関連しますが、今後、日本がアメリカの要請によって米国債を引き受ける際、為替の変動リスクを回避して国民の金融資産の損失を防ぐとともに円の国際性を強めるためにも、円建てで発行するようアメリカに求めるべきだと思いますが、総理の見解を伺います。

 次に、消費税率の引き上げについてお尋ねいたします。

 少子高齢化の進展に伴い、社会保障費がふえていくことは避けられないことであります。麻生内閣も、それをいわば口実に、二〇一一年度までに消費税率引き上げのための措置を講じるとしていますが、私は、消費税は決して打ち出の小づちであってはならないと思っておりますし、将来、やむを得ず税率を引き上げるには、何よりも国民の理解と協力が不可欠だと思います。

 麻生総理は、しばしば、経済状況の好転と言われていますが、好転とはどのような状況なのでしょうか。経済成長率が何%になり、国内総生産がどの程度の規模になれば好転だというのでしょうか。このことについて明確なお答えがなければ、国民は、どのような状況であっても二〇一一年度から必ず消費税率が引き上げられると受けとめることになります。その結果、個人消費をふやすどころか、逆に消費者心理を冷やして、景気回復をおくらせることになってしまいます。

 さて、現在、消費税はあたかも社会福祉税のようにみなされておりますが、実際は社会福祉税的な一般財源であり、似て非なるものであります。その結果として、社会保障費の増加により、他の必要な予算が大きく削られてまいりました。もしも真に国民の福祉のためと考えるのであれば、消費税を思い切って社会福祉目的税にするべきであります。そして、どの程度の福祉水準にするのか、また、それを実現するための税率をどう設定するかについては、国民の合意を得なければなりませんが、実現するための大前提として、国民と政府との信頼関係の回復が不可欠であります。

 各種統計や予測、記録において隠ぺいや改ざん、誤った見通しが繰り返されることにより国民の政府に対する信頼が全く失われている今日、その信頼を取り戻すためには、年金や医療、介護等についてすべての情報を国民の前に開示しなければなりません。

 消費税引き上げありきではなく、まずは徹底した情報公開から始めるべきであり、いずれの政党が与党になりましても、次期衆議院総選挙後、社会保障のあり方について国民の前で堂々と議論して成案を得るための社会保障国会を速やかに開くことこそ安定、安心の第一歩になると思いますが、麻生総理はどのようにお考えでしょうか。

 さて、道路特定財源はすべて一般財源化すると総理は明言され、一般財源化については与野党の合意が既になされているように思われますが、我が党は、一貫してこれに異を唱えております。

 本来、道路は国民の共有資産であり、有料で利用すべきものではありません。したがって、他の先進国において有料道路はほとんどありませんが、我が国においては、財政が苦しい中で道路整備を急がねばならなかったために、目的税としてこの仕組みをつくり、その財源を自動車の利用者に求めたものであります。

 したがって、国土計画に基づいて道路整備が終わったのなら、廃止するのが当然であり、税負担者の理解もないままその目的を変えてしまうのは筋が違います。国土計画で位置づけられておりながら、まだ未整備の基幹的高速道路も残っているのですから、集中的に速やかにこれらを整備した上で、さらに高速道路の無料化にその財源を充てるべきであります。

 現在、復活された暫定税率分の収入は全国の有料道路の年間収入とちょうど見合うものになりますので、利用者の税負担を軽減するとともに大きな経済効果をもたらすと思いますが、総理はどのようにお考えですか。

 次に、郵政民営化見直しとの関係で一点お尋ねいたします。

 それは、他党議員からもお尋ねのあった、かんぽの宿の問題であります。

 オリックスへの譲渡契約について、総務大臣は、できレースではないかという感想を述べられましたが、そもそも、郵政民営化をめぐる当時の大きな議論の陰に隠れるように、日本郵政会社法の附則に郵貯、簡保関連の施設の譲渡、廃止について書き込まれたこと、簡保加入者の共有資産が簡保会社ではなく日本郵政に属する資産とされたことに何らかの意図を感じるのは私だけではないと思います。次から次へと多くの問題点が明らかになってくる中で、西川社長は昨日この契約を凍結することを発表しましたが、国民に大きな疑惑を抱かせた責任を免れることはできないと思います。

 また、政府の各種審議会の委員長や座長を務める者がみずからの会社の利益につながるような結論を出すことに、法律上、経済上または道義上何ら問題はないのでしょうか。我田引水ならぬ我田引宿との指摘もありますが、これらのことについても、郵政民営化を総務大臣として推進された麻生総理と、今日まで一貫して明快な意思を表明してこられた総務大臣のお考えを改めてお聞かせいただきたいと思います。

 次に、アフリカ・ソマリア沖への海上自衛隊の派遣について浜田防衛大臣にお尋ねします。

 麻生総理は、海賊対策のため、海上自衛隊のソマリア派遣に強い意欲を示され、防衛大臣に指示されたと伝えられています。しかし、昨年の十二月二十六日の段階では、浜田防衛大臣は派遣に極めて慎重な発言をされています。

 わずか一カ月の間にどのような変化があったのでしょうか。当初、どのような懸念があったのでしょうか。そして、それらは払拭されたのでしょうか。政治家として、また自衛隊を所管する大臣として、思いつき的な派遣に悔いは残りませんか。一点の曇りもなく、堂々と胸を張って自衛隊員を送り出すことができますでしょうか。

 また、既に海上保安庁の巡視船はプルトニウムの長距離輸送の護衛、護送で大きな実績を残していますが、法律を制定しないまま、なぜ応急処置として海上自衛隊を派遣しなければならないのか、なぜ海上保安庁の巡視船ではいけないのかについても明確にしていただきたいと思います。本来、海賊対策は海上保安庁の任務だと思いますが、海上保安庁の巡視船では無理な理由について、金子国土交通大臣にも御答弁をお願いいたします。

 最後にもう一点だけお尋ねいたします。それは、地方の現状についてであります。

 我が党は、地方の回復なくして国力の回復なしとの信念のもと、これまでさまざまな政策を提言してまいりました。麻生総理は地方交付税の増額や地域活力基盤創造交付金の創設を誇示しておられますが、地方の現状は決してそのように甘いものではありません。

 我々は、地方の学校、病院、橋梁の耐震補強や防災などのための思い切った公共事業、いわば安全確保のためのニューディールを緊急かつ早急に実施すべきだと考えますが、麻生総理は、補正予算及び新年度予算の内容だけで地方は活力を回復すると断言できますでしょうか。十分だと確信しておられるのでしょうか。

 以上の諸点につき明確にお答えいただくことを強く求めて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇〕

内閣総理大臣(麻生太郎君) 亀井議員の質問にお答えをいたします。

 まず最初に、景気対策と財政再建の二兎を追うべきではないとのお尋ねがあっておりました。

 私は、当面は景気対策、中期的には財政再建、中長期的には改革による経済成長と申し上げてきております。まずは景気回復に全力を尽くすことが重要であります。生活者、中小企業、地方の三つに重点を置いた総額七十五兆円の大規模な経済対策を取りまとめたところであります。

 一方で、財政出動をするからには、中期の財政責任もきちんと示さなければならないと考えております。また、持続可能な社会保障制度を実現するためには、給付に見合った負担が必要でもあります。このため、社会保障と税財政に関する中期プログラムを閣議決定したところであります。私といたしましては、このプログラムに沿って、二〇一一年度に向けて景気が回復するよう全力を尽くす覚悟であります。

 次に、平成二十一年度の補正予算についてのお尋ねがありました。

 二十一年度予算は、世界的な経済金融危機にあって、国民生活と日本経済を守るための施策を大胆に実行する、いわゆる生活防衛のための大胆な実行予算として極めて重要な予算であります。

 国民生活を守るための施策としては、雇用対策、医師確保、救急医療対策、出産支援、防災対策などを実行することといたしております。また、経済緊急対応予備費などの日本経済を守るためのセーフティーネットや、地域の底力の発揮、成長力の強化などの施策を盛り込んでいるところでもあります。

 このように、平成二十一年度予算につきましては、景気対策に対応できるものと考えております。国会でできるだけ早く成立をさせていただき、新年度初めから速やかに執行できることがこの景気対策上も重要だと考えております。

 米国の円建て国債に関するお尋ねがありました。

 そもそも、日本の民間部門が米国債を引き受けるかどうかにつきましては、これは米国の要請によってではなく市場によって決まるものでありますことは、もう御存じのとおりです。その際、建て値がどのような通貨になるかというのも、これは市場によって、需給状況を踏まえた金利条件ともあわせ、為替もありましょう、そういったものをあわせて決定されることとなります。

 他方、円建ての資本取引が増大するということにつきましては、長期的に見て円の国際性の向上に資するということも事実であります。議員の御提案につきましては、深い御見識に基づくものとして受けとめさせていただきたいと存じます。

 日本といたしましては、現下の金融市場の混乱に対し、引き続き、米国と緊密に連携しつつ対応してまいりたいと考えております。

 次に、消費税を含む税制抜本改革の前提となります経済状況の好転についてお尋ねがあっておりました。

 経済状況の好転とは、一般的に、経済が景気後退期を脱して景気回復期に入った場合を指すものと考えております。

 消費税の引き上げ時期に関しましては、景気回復の過程で、日本経済が本来持っております成長力、いわゆる潜在成長力を十分に発揮できるようになったと見込まれる段階が一つの判断基準にもなろうと考えております。

 いずれにせよ、私としては、二〇一一年度に向けて景気が確実に回復するよう、まずは景気回復最優先で取り組んでまいらねばならぬと考えております。

 次に、消費税の引き上げの前に社会保障国会を開くべきとの御提案がありました。

 国民の前で社会保障のあり方を議論することは大変重要であります。税制改正とあわせて国会で議論をしていただければと考えております。

 道路特定財源についてのお尋ねがありました。

 道路特定財源につきましては、無駄な道路整備の一因となっているなどの指摘も踏まえ、昨年末の政府・与党合意に従い、平成二十一年度からすべて一般財源化することといたしております。一般財源化する中でも、高速道路につきましては、交通需要推計の見直しなどを行い、事業の重点化、効率化を図りながら、本当に必要な道路につきましては整備を進めることが重要、私もそのように考えます。

 高速道路料金を無料化いたしますと、特定財源制度を残すか否かにかかわりませず、毎年約二兆六千億円の料金収入が失われ、約四十兆円の債務の償還などが困難を来すと考えております。生活対策の高速道路料金引き下げは、休日はどれだけ乗っても千円以下とするなど、利用者の立場に立ったものと考えております。この高速道路料金の引き下げは、地域の元気というものを呼び覚まし、日本の元気の回復に効果があると考えておるところであります。

 次に、かんぽの宿の譲渡と政府の各種審議会委員についての御質問がありました。

 かんぽの宿の譲渡に関しましては、国民に疑念を持たれないようにしなければなりません。総務大臣において適切に対処してもらいたいと考えております。

 また、政府の各種審議会の委員長などについては適切な人材を選任することが重要というのは、まことに私もそのとおりに考えております。

 最後に、地方の活性化のため思い切った公共事業を緊急かつ早急に実施すべきとの御質問があっております。

 地方の元気が日本の元気、そう信じております。地域を活性化するためには、地方が自由に使える財源を充実し、地方の底力を引き出すことが必要であります。

 このため、平成二十一年度には、別枠で地方交付税を一兆円増額いたすとともに、第二次補正予算におきます六千億円の地域活性化・生活対策臨時交付金、そして、平成二十一年度予算におきます九千四百億円の地域活力基盤創造交付金などを創設し、社会基盤整備を初め幅広い分野で地方財源を確保し、支援をいたしていく覚悟であります。

 地方団体におきましては、これらの財源を利用して、みずからの創意工夫によりまして地域を経営し、地域の活性化に努めていただきたいものと考えております。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)

    〔国務大臣鳩山邦夫君登壇〕

国務大臣(鳩山邦夫君) かんぽの宿についての御質問がありました。

 先ほど申し上げましたように、なぜ譲渡の相手方がオリックスグループなのか、なぜ経済状況が悪化しているこういうときに売買、譲渡する必要があるのか、あるいは、なぜ施設を七十カ所一括で売らなければならないのか、なぜこのような低価格であるのか等の疑問を持っているわけでございます。

 先ほども申し上げましたが、また総理からも御答弁がありましたが、オリックスの総帥の方は大変立派な方ではありましょうが、政府の総合規制改革会議の議長を務めておられましたときに郵政民営化の議論をされておられまして、後に、その規制改革の関係のトップを務めておられるときに、公的な宿泊施設はもう廃止するか民間に譲渡すべきであるという提言をまとめられた方でございますので、まさに李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れずということを私は守っていただきたいと思うわけでございます。

 したがって、政府関係の公職につかれる方々、特に財界の方々は、そうした審議するような領域の中では、いわゆる企業としての仕事をしていただきたくない。そうでなければ、そういう危険があるならば最初から公職を引き受けるべきではない、そのように考えております。

 多くの大新聞の社説は、常に入札が正当に行われているのに鳩山総務大臣が横やりを入れるのは間違っているということを書き連ねておりますが、私は、入札が決して透明であったとはまだ理解はしていないわけでございまして、数々の疑問点をこれから解明しなければならないと思っております。

 また、かんぽの宿は不良債権であるということを書く方もおられますけれども、これは、かんぽの宿という性質のため、いわゆる福祉施設でありますから料金を抑えてきたといういきさつがあるわけで、幾らでもこれはやり方によっては収益を生むような建物になっていくことだろう、そのように考えておりまして、まだ疑問が数々ありますので、それを解明しながら、国民から疑惑を持たれないような方向で問題を処理していきたい、そう考えております。(拍手)

    〔国務大臣浜田靖一君登壇〕

国務大臣(浜田靖一君) 亀井議員にお答えいたします。

 自衛隊の海賊対策については、新法を整備した上で対応することが基本であると一貫して申し上げてきたところであります。その上で、新法の整備までの応急措置として海上警備行動を発令する状況もあり得ることから、所要の準備を指示、命令したものであります。

 私としては、新法の整備作業の加速化が不可欠と考えており、この点について、しっかりと力を注いでまいりたいと思っておるところでございます。

 次に、応急措置として、海賊対処のために自衛隊を派遣する理由についてお尋ねがありました。

 ソマリア沖の海賊は、日本を含む国際社会への脅威であり、緊急に対応すべき課題であります。海賊対策は、第一義的には海上保安庁の責務でありますが、ソマリア沖の海賊対策に海上保安庁が当たることは、日本からの距離等を勘案すると、実際には困難であると承知をしております。

 このため、日本国民の人命そして財産の保護の観点から、新法の整備までの応急措置として、海上警備行動による自衛隊の派遣の準備を開始したところであります。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣金子一義君登壇〕

国務大臣(金子一義君) 亀井議員から、海上保安庁の巡視船ではなぜ無理なのかというお尋ねがありました。

 ソマリア沖の海賊対策として、海上保安庁の巡視船を派遣することは、日本からの距離、はるか離れた海域において長期連続行動可能な巡視船は一そうにすぎず、洋上で補給を受ける機能も巡視船にはありません。そういう点、あるいは、海賊が所持する武器の状況、各国とも海軍の軍艦が対応していること等を総合的に勘案しますと、現状においては、無理と判断しているところであります。(拍手)

副議長(横路孝弘君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  麻生 太郎君

       総務大臣  鳩山 邦夫君

       法務大臣  森  英介君

       外務大臣  中曽根弘文君

       財務大臣  中川 昭一君

       文部科学大臣  塩谷  立君

       厚生労働大臣  舛添 要一君

       農林水産大臣  石破  茂君

       経済産業大臣  二階 俊博君

       国土交通大臣  金子 一義君

       環境大臣  斉藤 鉄夫君

       防衛大臣  浜田 靖一君

       国務大臣  甘利  明君

       国務大臣  小渕 優子君

       国務大臣  河村 建夫君

       国務大臣  佐藤  勉君

       国務大臣  野田 聖子君

       国務大臣  与謝野 馨君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  松本  純君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  宮崎 礼壹君


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