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第25号 平成21年4月21日(火曜日)

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平成二十一年四月二十一日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十六号

  平成二十一年四月二十一日

    午後一時開議

 第一 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 第二 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 日程第二 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) この際、御紹介申し上げます。

 ただいまロックウッド・スミス・ニュージーランド国会議長御一行が外交官傍聴席にお見えになっておりますので、諸君とともに心から歓迎申し上げます。

    〔拍手〕

     ――――◇―――――

 日程第一 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 日程第二 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

議長(河野洋平君) 日程第一、不正競争防止法の一部を改正する法律案、日程第二、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長東順治君。

    ―――――――――――――

 不正競争防止法の一部を改正する法律案及び同報告書

 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔東順治君登壇〕

東順治君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、不正競争防止法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本案は、我が国産業の国際競争力の強化を図る必要性の増大にかんがみ、事業者間の公正な競争を確保する観点から、技術やノウハウ等の営業秘密の一層の保護を図るため、営業秘密の刑事的保護について、その対象範囲の拡大等の措置を講じようとするものであります。

 次に、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案につきましては、国際的な人的交流の拡大及び情報化の進展等に伴い、安全保障に関連する貨物または技術の海外への流出の懸念が増大していることにかんがみ、これを防止するため、安全保障上機微な技術の対外取引規制を見直すとともに、許可なき輸出に対する罰則を強化する等の措置を講じようとするものであります。

 両案は、参議院先議に係るもので、四月十四日本委員会に付託され、翌十五日二階経済産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、十七日質疑を終了いたしました。質疑終局後、両案につき採決を行った結果、全会一致をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。

 なお、不正競争防止法の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案について、趣旨の説明を求めます。国土交通大臣金子一義君。

    〔国務大臣金子一義君登壇〕

国務大臣(金子一義君) 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 タクシーは、鉄道、バス等とともに我が国の地域公共交通を形成している重要な公共交通機関であるとともに、高齢化社会の進展等の地域社会の変化に対応する役割や、各地区の観光交流を支える基盤としての役割なども大いに期待される公共交通機関であります。

 しかしながら、タクシー事業をめぐっては、長期的に需要が減少する傾向にある中、タクシー車両数が増加していることなどにより、地域によっては、収益基盤の悪化や運転者の労働条件の悪化等の問題が生じ、タクシーが地域公共交通としての機能を十分に発揮することが困難な状態となっております。

 このような状況を踏まえ、問題の発生している地域において、タクシー事業者を初めとする地域の関係者の自主的な取り組みを中心としてタクシー事業の適正化及び活性化を推進し、タクシーの地域公共交通としての機能を十分に発揮できるようにするため、このたびこの法律案を提案することとした次第であります。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、国土交通大臣は、供給過剰等の状況に照らして、タクシーが地域公共交通としての機能を十分に発揮できるようにするため、地域の関係者の自主的な取り組みを中心としてタクシー事業の適正化及び活性化を推進することが特に必要であると認める地域を特定地域として指定することができることとするとともに、特定地域におけるタクシー事業の適正化及び活性化に関する基本的な方針を定めることとしております。

 第二に、特定地域において、地方運輸局長、関係地方公共団体の長、タクシー事業者及びその団体、タクシー運転者の団体、地域住民等により組織される協議会が、基本方針に基づき、特定地域におけるタクシー事業の適正化及び活性化を推進するための地域計画を作成することができることとし、地域計画に即してタクシー事業者が実施する取り組みに係る計画について、国土交通大臣による認定制度を設けることとしております。

 第三に、特定地域におけるタクシー事業の適正化及び活性化を推進するため、道路運送法の特例、タクシー事業者、国その他の関係者の責務等について定めることとしております。

 以上が、特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案の趣旨でございます。

 以上です。(拍手)

     ――――◇―――――

 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。三日月大造君。

    〔三日月大造君登壇〕

三日月大造君 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま提案のありました、政府提出、特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案について、関係大臣に対し質問を行います。(拍手)

 小泉改革の流れの中、二〇〇二年、改正道路運送法の施行、いわゆる規制緩和が行われ、タクシー行政は大きく変わりました。待ち時間の短縮、多様なサービスの導入など、一部の地域でプラスの効果も見られますが、むしろ看過、放置できない多くのマイナスの効果が各地で発生することとなりました。

 長期的な需要低迷の中、多くの地域で、タクシー車両が大幅に増加し、供給過剰状態となり、タクシーの経営環境は大変厳しくなっています。

 タクシー運転者の賃金は、全産業男性労働者との比較で六割に満たず、金額にして二百万円以上もの差がつき、タクシーの運転では生活できない、家族が養えない現状にあります。まさに格差社会の象徴的存在となっています。

 特有の歩合制賃金制度により、営業収入の低下分がそっくり賃金の削減としてしわ寄せされ、結果として、運転者は、稼ごう、そのために走ろうと頑張り過ぎ、運転時間と労働時間を長期化させ、労働条件が著しく悪化しています。

 昨年末には、経済不況のあおりも受け、運転者が相次いで刺殺される事件も発生しています。お亡くなりになられた運転者の御冥福を心よりお祈り申し上げます。

 当然、タクシーの事故はふえ、走行距離当たりのタクシー事故は他の事業用自動車と比べても格段に多く、利用者の安全性を脅かしています。

 長時間労働だけでなく、最低賃金法の違反、社会保険の未加入、名義貸しなど、法令遵守の観点から問題ある事業者やタクシーをばっこさせ、まさに悪貨が良貨を駆逐するという悪循環が起こっています。

 市場原理で最適化されると考えられた運賃は、逆にばらつき、一部地域ではダンピング競争を生み、結果的に、運賃値上げを余儀なくされる地域も続出しています。

 増加したタクシーが、駅前広場や繁華街を埋め、道路混雑などの都市問題を引き起こし、空車走行や長時間の客待ちによる燃料消費は、地球温暖化にもつながっています。

 まず、伺います。

 近年のタクシー政策は明らかに失敗だったのではないでしょうか。社会的規制や事後チェックが不十分なまま、経済的規制の緩和一辺倒であったタクシー行政の総括と検証を国土交通大臣に求めます。

 また、労働行政をつかさどる厚生労働大臣には、タクシー運転者の賃金や労働時間などの労働条件の現状と監査の状況、法令違反の実態について答弁を求めます。

 民主党は、一月、タクシー改革ビジョンを取りまとめました。利用者の利便性と安全性、運転者の労働条件を改善すべく、公共交通機関としての位置づけの明確化や地方分権、需要拡大への努力と供給調整のための実効ある仕組みづくり、地域ごとの安全に配慮した適正な運賃の必要性の四点の基本的な考え方を示しました。

 民主党は、この特別措置法案の趣旨と枠組みについては一定の評価をいたしますが、幾つか疑問と問題を提示いたします。

 第一に、供給過剰状態への対策が不十分だと考えます。

 そもそも、供給過剰をどう定義するのか、利害が相反する関係事業者の協議会への参画をいかに確保するのか、特定地域での新規参入、増車の歯どめをどのように行うのか、お答えください。

 期間限定の特定地域の指定は解除後の増車をかえって助長するという問題が想定されますが、いかなる対策をとられるおつもりでしょうか。

 第二に、タクシー行政の地方分権を進める見地から、特定地域の指定について、知事や市町村長からも要請できるようにもすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 第三に、法案では、供給輸送力の減少、いわゆる減車措置などの事業再構築が行えることになっています。その実効性をいかに担保するのか。事業再構築への参加のインセンティブを充実させるためのメニューを加えることが必要だと考えますが、御所見を伺います。

 加えて、地域偏在や夜型中心の営業などの傾向が見られる個人タクシーについては、今回の法案でどのように位置づけているのか、お答えください。

 民主党は、利用者の利便性と安全性を確保し、労働者や事業者にとってもやりがいのあるタクシー市場をつくることを目指しています。その意味で、特定地域だけに期限つきの対策を講じようとする政府の法案では不十分であり、規制緩和の大もとである道路運送法そのものを改正することが必要だと考えます。金子大臣、いかがお考えでしょうか。

 以下、具体的な提案とともに伺います。

 まず、道路運送法の目的に、タクシー事業の公正な競争を確保することを明記し、法律そのものの性格を改めるべきです。新規参入については、需給を勘案した許可制に、そして、増車計画についても、需給を勘案した認可制に改めるべきです。政府の見解を求めます。

 政府提出法案は、運賃問題に触れていません。

 現行の上限運賃制では、一部地域で、行政の監視が十分行き届かない中、下限割れ運賃が続出し、法令違反も横行、利用者の選択可能性が十分確保されないまま、安全を度外視した過当な運賃競争が野放しになっています。結果、タクシーの質の著しい劣化も起こっています。

 現行では、運賃及び料金は、適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであることと規定されていますが、適正な原価に適正な利潤を加えたものであると変更し、タクシーが公共交通機関であることを前提に、地域ごとに安全を確保するための適正な運賃を定める制度へと改めるべきです。この点について、国土交通大臣の答弁を求めます。

 悪質事業者を市場から退出させるべく、事故報告をより広く、より早く求める規定を定めること、また、運転者の拘束時間等を定める自動車運転者の労働時間等の改善のための基準を法定化すべく検討することも必要だと考えます。国土交通大臣、厚生労働大臣、両大臣の御答弁を求めます。

 加えて、厚生労働大臣には、通達で廃止するものとされながら実態として横行している累進歩合制賃金について、国土交通大臣には、事業者責任を事実上放棄する名義貸しによる雇用、経営形態について早急に改めるべきとの観点から、見解と決意を求めます。

 タクシー運転者の質を不断に確保、向上させることも重要です。当面の対策として、政令指定都市において導入された運転者の登録制度を全国に拡大すること、将来的には、一定の運転技術と地理案内など必要な資質を有する運転者の資格制度を創設し、質と量を管理する手法を導入すべきとの提案もあります。政府の見解はいかがでしょうか。

 以上、タクシー行政について具体的な改善点を提起させていただきました。

 政治と行政は、何より公正であるべきです。残念ながら、近年は、弱き人々を救う政治が、弱き人々をどんどん生み出してしまっています。ルール違反を看過し、まじめに頑張る人の意欲をそぐ行政もまかり通っています。

 昨年秋から実施された政府の経済対策にも多くの疑問があります。税金を集め、使うことに、自公政権はもっと謙虚であるべきです。二兆円もの財源を、八百億円以上の費用をかけて定額給付金としてばらまくのなら、最初から税金を取らなければいいんです。減税をすべきです。消費税の減税、ガソリン税などの暫定税率の廃止で、納税者に返すべきなんです。

 税金を投じて行う高速道路料金の引き下げが、なぜETC車だけなんでしょうか。しかも二年間だけです。一部の人だけに恩恵があり、その費用は国民が消費税増税で負担という矛盾と無理に、国民は怒っています。

 旧態依然の仕組みを前提に、無駄遣いや天下りなどの既得権益は温存したまま借金を重ね、ばらまき一瞬、負担ずっしりの経済政策は、国民にとってはむしろ大迷惑です。

 民主党は、一時的なびほう策ではなく、子ども手当の創設、高校の無償化、高速道路の無料化などの恒久対策で、家計で自由に使える可処分所得を約二割ふやします。セーフティーネットのつくり直し、農林水産業の再生、省エネ等の住宅リフォームの促進等により、日本の安心と元気を再生いたします。

 日本には、国民の努力により培われた、世界に誇る力と心があります。残念ながら、現在は、国家の経営者が悪いので、資源配分が機能せず、真の改革も進まず、この日本の力と心が生かし切れておりません。

 総選挙は、国民の良識による選択です。そして、政権交代とは、日本の経営改革です。その機会を、麻生総理、早期に、そして真摯に、私たち国民に与えてください。

 私たち民主党は、タクシー行政初め、真に公正な政治と行政を追求し、行き詰まった日本の経営改革を断行してまいることを強く誓い、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣金子一義君登壇〕

国務大臣(金子一義君) タクシーの規制緩和についての総括、検証についてお尋ねがありました。

 タクシーの規制緩和の実施に当たっては、当時の運輸政策審議会において、幅広い関係者からの意見等を聞きながら、これに必要となる環境整備方策についての答申を取りまとめていただくなど、必要な準備をした上で実施をしたものであります。

 タクシー事業の規制緩和については、サービスの多様化や待ち時間の短縮など一定の効果もあらわれており、そうした規制緩和のプラス面は、今後とも生かしていく必要があると考えております。

 一方、地域によっては、需要が長期的に低迷する中、車両数が増加するなどの影響もあり、タクシー運転者の労働条件の悪化を初め、公共交通機関としてのマイナス面が生じていることも事実であり、こうした問題の是正を図っていくことは必要であると思っております。

 供給過剰について、定義のお尋ねがありました。

 法案では、供給過剰とは、供給輸送力が輸送需要量に対して過剰であるということを定義しております。

 法の施行に当たっては、この定義に則しまして、今後、法案の審議を踏まえながら、より具体的な基準を定めることとしたいと考えております。

 協議会へのタクシー事業者の参画の確保についてお尋ねがありました。

 協議会へのタクシー事業者の参画は、基本的に各事業者の自主的判断にゆだねられておりますが、実効ある協議がなされるべく、地方運輸局を通じて広く関係事業者に参加を呼びかけるなどにより、多くの事業者の参画が得られるよう努めてまいりたいと思っております。

 特定地域での新規参入、増車の歯どめの方策についてお尋ねがありました。

 本法案では、特定地域は、供給過剰等の状況に照らし、タクシー事業の適正化、活性化が特に必要と認められた地域を指定することとしており、こうした指定の趣旨から、特定地域においては、安易な供給の拡大は厳に抑制されるべきものと考えております。

 このため、法案では、国は、特定地域において、タクシー事業の適正化を推進するため、新規参入の許可、増車の認可など監督上必要な措置を的確に実施するものとされております。したがって、安易な供給の拡大を招くような新規参入や増車の申請に対しては、厳に抑制する方向で対応することとしております。

 特定地域の指定解除後の増車への対策についてお尋ねがありました。

 昨年十二月の交通政策審議会の答申でも指摘されておりますが、供給過剰の進行等に伴う問題への対策は、そのために必要とされる期間に限ってこれを行うことが適当であると考えております。

 仮に期間を定めない場合は、必要とされる期間を超えて長期間にわたり新規参入等が抑制されることになり、消費者利益の向上の観点から問題があると考えております。

 特定地域の指定期間の終了後においては、各地域の個別の状況を踏まえた上で、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

 知事等による地域指定の要請についてお尋ねがありました。

 特定地域は、法案の規定に基づき、具体的な基準によって指定されることとなります。このため、必ずしも関係者の要請等によって指定が左右されることとはならないと考えておりまして、いずれにしても、特定地域におけるタクシー事業の適正化、活性化を図るためには、当該地域の幅広い関係者の積極的な参画を得ることが重要と考えております。

 減車措置の実効性の確保方策、インセンティブについてお尋ねがありました。

 本法案では、複数の事業者が協調して減車を行う場合には、事前に国土交通省と公正取引委員会が協調減車に係る計画について調整を行うことにより、減車が円滑に進められる仕組みを用意したところであります。この仕組みを最大限利用しながら、地域の状況に応じて減車が適切に実施されるよう努めてまいりたいと考えております。

 また、減車に対するインセンティブについては、例えば、特定事業に対する既存の補助制度による支援を活用するなど、今後、さらに検討してまいりたいと考えております。

 個人タクシーの位置づけについてお尋ねがありました。

 今回の法案においては、特定地域において、安易な供給拡大の抑制とともに、当該地域におけるタクシー事業の適正化及び活性化を推進することとしております。

 この場合、個人タクシーについても、安易な供給拡大の抑制の対象となるとともに、タクシー事業の適正化及び活性化の取り組みに参画することが望ましいと考えておりまして、そうした観点で、個人タクシーについても、各地域の協議会への積極的な参画を促してまいりたいと思っております。

 道路運送法そのものを改正することについてお尋ねがありました。

 交通政策審議会答申では、供給過剰の進行が運転者の労働条件の悪化等タクシー事業をめぐる諸問題の背景に存在する根本的な問題であるとした上で、供給過剰の進行による問題の深刻化は全国すべての地域で生じているわけではなく、問題への対策は地域を限りまた期間を限って実施することが適当と指摘しております。

 今回の法案は、このような答申の指摘を踏まえ、こうした供給過剰の進行により問題が深刻化している地域において必要な措置を講ずることを目的として提案させていただいているものであり、政府としては、この法案により、タクシー事業をめぐる諸問題への対策として必要な法的措置を講じることができるものと考えております。

 道路運送法の目的規定を改正することについてのお尋ねがありました。

 道路運送法はバス事業等についても規定した法律であり、タクシー事業についてのみ公正な競争を確保することを目的規定に追加することは、バス事業等とのバランスを欠き、不適当であると考えております。

 新規参入、増車について需給を勘案した許認可制度とすることについてお尋ねがありました。

 先ほど申し上げましたように、今回の法案は、供給過剰の進行により問題が深刻化している地域において必要な対策を講じることを目的として提案させていただいたものであり、政府としては、この法案により、タクシー事業をめぐる諸問題への対策として必要な法的措置を講ずることができるものと考えております。

 運賃制度についてお尋ねがありました。

 タクシーの運賃制度については、交通政策審議会の答申では、運賃に関する現状を踏まえれば、他の事業者より安い運賃で、かつ適正に事業を行っている者に対し、運賃を上げるよう強制することは、法的に困難であり、また、利用者の理解も得がたいとした上で、現行の仕組みが基本的に妥当であるとされたところであります。

 このため、今回の法案においては、運賃制度に関する法改正は盛り込んでおりません。

 一方で、答申では、労働条件の悪化等につながる過度な運賃競争への対策は必要であるとし、不当な競争を引き起こすこととなるおそれ等に関するガイドラインを明確化すべきことが指摘されておりますので、この点について取り組んでまいることとしております。

 事故報告の範囲等を拡大することについてお尋ねがありました。

 タクシーに関する事故については、国土交通省令である自動車事故報告規則に基づき、死者または重傷者が生じた事故等について、事業者から報告を求めることとしており、これまでも、必要に応じ、報告の範囲や時期を見直してきたところであります。今後とも、事業者負担の観点も勘案しつつ、必要に応じ、速報範囲の見直しなど、事故報告体制の充実に努めてまいる所存であります。

 いわゆる名義貸し行為についてお尋ねがありました。

 名義貸し行為、これは、運送の安全性、利用者の保護などの観点から、さまざまな責務を許可事業者みずからが負うことを定めている道路運送法の事業許可制度の趣旨を没却する違法行為であります。

 国土交通省においては、昨年六月に、タクシー事業における名義貸し行為の判断基準を作成したところであり、各地方運輸局において、この判断基準に基づき、必要な実態調査、指導を行っているところであります。この結果、名義貸し行為の違反事実が確認された場合には、厳正に対処してまいる所存であります。

 最後になりました。運転者登録制度の拡大等についてお尋ねがありました。

 タクシー運転者は、利用者サービスの提供に直接かかわっていることから、その資質の向上は重要であります。

 運転者登録制度については、昨年六月に、その対象地域を主な政令指定都市まで拡大したところであり、交通政策審議会答申で指摘されたとおり、この制度改正の成果を踏まえつつ、対象地域のさらなる拡大を検討しております。

 なお、いわゆる運転者資格制度については、我が国の法人タクシー制度との関係などを含め、慎重に検討する必要があると考えております。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣舛添要一君登壇〕

国務大臣(舛添要一君) タクシー運転者の労働条件の現状、監督の状況等についてお尋ねがございました。

 まず、タクシー運転者の平成二十年の年間総実労働時間は二千三百八十八時間と、全産業労働者と比較して二百四十時間長く、年間賃金は三百二十五万円と、全産業労働者と比較して百六十一万円少ない状況にあります。

 労働基準監督機関においてはタクシー運転者の労働条件の確保に関する監督指導を重点的に実施しておりまして、平成十九年では七百十二件の監督指導を実施し、そのうち、労働基準関係法令の違反件数は六百十一件、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の違反件数は三百八十四件となっております。

 次に、いわゆる改善基準の告示の法定化についてお尋ねがございました。

 この告示は、自動車運転者の乗務の特性を踏まえ、すべての産業に適用される労働基準法では規制が難しい拘束時間の制限や休息期間の確保等の規制のあり方について、関係労使の方々に御議論をいただき、合意形成を図りながら定めたものであります。

 告示の法定化につきましては、労働基準法において自動車運転者についてのみ特別の規制を設けることになり、関係労使を初め、社会的な合意を得ることが困難であると考えております。

 引き続き、この告示について、関係労働団体を通じた周知徹底や的確な監督指導を行うとともに、国土交通省とも連携を図りつつ、その遵守の徹底に努めてまいります。

 最後に、累進歩合制賃金ついてお尋ねがございました。

 賃金制度につきましては、本来、労使が自主的に決定すべきものでありますが、タクシー運転者に係る累進歩合制度については、労働者の長時間労働やスピード違反を極端に誘発するおそれがあることから望ましくないものと認識しており、これを廃止するように指導を行っているところであります。

 累進歩合制度を採用しているタクシー事業者に対しましては、これを廃止するよう引き続き粘り強く指導を行い、タクシー運転者の労働条件の確保に努めてまいります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十九分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       厚生労働大臣  舛添 要一君

       経済産業大臣  二階 俊博君

       国土交通大臣  金子 一義君

 出席副大臣

       国土交通副大臣  加納 時男君


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