衆議院

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第46号 平成21年7月14日(火曜日)

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平成二十一年七月十四日(火曜日)

    ―――――――――――――

  平成二十一年七月十四日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 麻生内閣不信任決議案(鳩山由紀夫君外八名提出)

 北朝鮮特定貨物の検査等に関する特別措置法案(内閣提出)


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    午後一時五分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

谷公一君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 鳩山由紀夫君外八名提出、麻生内閣不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 谷公一君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 麻生内閣不信任決議案(鳩山由紀夫君外八名提出)

議長(河野洋平君) 麻生内閣不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。鳩山由紀夫君。

    ―――――――――――――

 麻生内閣不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔鳩山由紀夫君登壇〕

鳩山由紀夫君 民主党の鳩山由紀夫です。

 私は、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合、国民新党・大地・無所属の会を、また何より国民の皆様の声を代表して、麻生内閣に対する不信任決議案の提案の趣旨を申し上げます。(拍手)

 まず、決議案の案文を朗読いたします。

  本院は、麻生内閣を信任せず。

   右決議する。

    〔拍手〕

以上であります。

 次に、本決議案を提案する理由を説明いたします。

 そもそも、麻生内閣に託された使命は、解散・総選挙によって国民の信を問うことにあったはずであります。しかし、麻生総理は、百年に一度の危機あるいは政局よりも政策などとして、解散・総選挙の回避に奔走し、総理の座にしがみついてまいりました。

 その間、派遣労働者の大量解雇を端緒として、国内の雇用不安は一段と深刻化し、五月の有効求人倍率は〇・四四倍と未曾有の危機的状況に陥っています。

 しかし、麻生内閣は、二兆円の定額給付金に象徴されるように、選挙対策のためにとしか思えない大増税必至のばらまきを繰り返すばかりで、経済に対する効果は乏しく、しかもその場限り、これでは、国民の暮らしは一向によくなるはずありません。

 日本郵政の西川社長の続投容認をめぐる経緯一つとっても、麻生総理自身が、指導力も決断力も発揮できませんでした。

 経済もだめ、年金や医療、教育や子育て、公務員改革もすべてだめ、外交も成果が上がらず、政権にしがみついているばかりで、政策的成果などどこにも見当たりません。

 麻生総理に唯一残されている道は、直ちに本院を解散し、国民に信を問うことであります。それができないのであれば、憲政の常道に従って、即刻総辞職し、野党に政権を明け渡すべきであります。

 以上が、本決議案を提案する理由であります。

 麻生総理、あなたは政局よりも政策と言いながら、行ってきたのは、選挙という国民の審判におびえ、政策を実行するために権力を用いるのではなく、自身の権力の座を守ることに執心し、あなたが政局よりも大事とされた政策は、政局の道具として利用されただけではありませんか。その意味で、あなたが総理に就任してから十カ月、日本の政治はまさに空白そのものでありました。

 あなたはいつも言っておられましたね、解散に関しては、さまざまな要素をかんがみながら私が決めますと。しかし、結局は決められずに、逃げに逃げまくってきたのが、残念ながらあなたの十カ月であったのではないですか。その十カ月の間に、日本の政治、経済や国民生活は、まさに目を覆うばかりの状態となってしまいました。

 まず、日本経済、あなたの経済政策について申し上げます。

 あなたが解散を先送りするために使ってきた最大の理由は、いつも経済危機への対策でした。二十年度第一次補正予算、二十年度第二次補正予算、二十一年度本予算、二十一年度補正予算、あなたは、必要だ必要だと言いながら、湯水のごとく貴重な国民の税金を次々と浪費してまいりました。

 それが果たして国民生活や日本経済にとってプラスになるのかどうか、ただ単に金額を積み上げるのではなく、もっと国民の皆様にとって真に必要なところに使うべきではなかったのか、私たちは、その都度その都度、予算委員会を初め各委員会において、多くの問題点を指摘してまいりました。

 麻生総理、結局は、補正予算の中身など、あなたにとってはどうでもよかったのではないですか。一回限りのばらまきによって支持率が上がれば、そこで解散をと考えていたのではないですか。国民の皆さんの賢明な判断によって、実際には支持率は上がりませんでしたが、余りに国民を愚弄するやり方だと申し上げなければなりません。

 そして、ただ一点明らかなことは、定額給付金やアニメの殿堂に象徴される無駄遣いのオンパレードによって、莫大な借金を積み上げてしまったということであります。あなたの権力を維持するために税金が無駄遣いされ、借金が残され、消費税の増税で国民にさらなる負担を押しつける、そんなことを国民は絶対に許しません。

 外交に目を転じても、麻生内閣はまともな成果を上げることはできませんでした。

 他国の首脳は、あなたの政治基盤が脆弱で、とても長くは続かないだろうということをとっくに見抜いており、残念ながら、本気で交渉する相手と認識されませんでした。だから、さきのラクイラ・サミットにおいても、レームダックとばかりに扱われてしまったのであります。あのオバマ大統領との会談もどきは、日本の総理がまともに相手にされなかった典型例ではありませんか。(拍手)

 さて、本決議案は、単に麻生内閣に対する不信任案というだけではなく、自公連立政権そのものに対する不信任案であります。

 最大の理由は、あなた方が官僚に振り回され、官僚機構を全くコントロールできていないことにあります。

 麻生総理は、官僚は政府の資源、うまく使いこなせない者はおよそ政府を経営することはできないと言われました。しかし、今の自公連立政権、自民党長期政権では、官僚と党の族議員で実質的な決定が行われ、内閣はその追認機関と化しているのが現状であります。内閣が官僚をコントロールできていないからこそ、天下りはいつまでたってもなくならず、なくすこともできず、国民にとって必要なものであっても、官僚と族議員にとって都合の悪い政策は実行できないのであります。

 今必要なのは、政治システムの転換であります。官僚機構と結託をした自公連立政権、官僚内閣では、政治システムの抜本的な転換は不可能であり、いつまでたっても不必要なところに多額の税金が流され続けてしまいます。これに終止符を打たなければ、税金の無駄遣いはなくならないのであります。

 自公連立政権を不信任とするもう一つの理由は、地方を犠牲にしながら中央の利権にしがみつき、地域を破壊してきたことにあります。

 今、日本の地方、地域は疲弊し切っています。耕作放棄地、相次ぐ工場や店舗の倒産、医師不足や病院の閉鎖、さまざまな面で拡大する格差、こういった状況を改善するのが政治の役割であるにもかかわらず、自公連立政権は、これらの問題をますます深刻化させています。

 本当にその地域のことを考えているのは、中央省庁の官僚ではありません。地域に対する愛着と誇りを持ち、その活性化のために努力しているのは、その地域で暮らしている住民の皆さんであります。中央官僚が自身の出世や天下りのために地域を踏み台にし、地方を踏み荒らしてきたのが自民党・官僚政治の歴史であります。

 私たちは、官僚主導の中央集権国家から、国民主導の地域主権の国家へ変えようと、事あるごとに訴えてまいりました。今の官僚主導の中央集権の仕組みのままでは、税金の無駄遣いはなくならず、地方が疲弊するばかりであります。このような政治が続けば、時代の変化に対応できず、国民にとって本当に必要な政策は実行できません。

 名古屋の市長選、さいたまの市長選、千葉の市長選、静岡県知事選、奈良の市長選、そして東京都議選と民主党の候補が勝利したのは、単に地域を変えよという声のみではありませんでした。むしろ、地域を踏み荒らした国政を変えよとの悲痛な叫びであったことをあなた方は知るべきであります。

 消えた年金、消された年金はどうなったんでしょうか。

 安倍内閣のときから私たちが早期全面解決を訴え続けてきたにもかかわらず、福田内閣、そして麻生内閣と、遅々として全く進んでおりません。いわば政府による保険金詐欺と言っても過言ではないこの事態によって、多くの方々が生活の命綱である年金がもらえずに苦しんでいるにもかかわらず、国家プロジェクトとして真剣に取り組む姿勢がみじんもありません。

 年金受給者一人一人の立場に立って、消えた年金、消された年金問題の解決を急ぎ、国民が本当に安心できるように、年金制度を抜本的に改革すべきでありますが、麻生内閣には到底期待はできません。

 次に、医療の問題について申し上げます。

 福田内閣のもとで後期高齢者医療制度が実施されたとき、私たちは、高齢者を不当に差別する制度であり、一刻も早くこの制度を廃止すべきだと訴えてまいりました。

 しかし、高齢者の声も、私たちの訴えも、現在の麻生内閣、自公政権には届かないようであります。国民の皆様、特に高齢者の方々は、名前だけ長寿医療制度と変えてごまかそうとした自公連立政権の姿勢を決して忘れることはないでありましょう。

 さらに、雇用の問題も待ったなしです。

 雇用は国民の生活の糧です。雇用の安定なくして生活の安心はありません。私たちは、何度でもやり直すことができるよう、今国会にいわゆるトランポリン法案を提出しましたが、国民の思いは麻生自公政権には全く届いていません。

 官僚や族議員が求める天下りや利権につながるものには数千億、数兆円という単位でばらまきを行いながら、年金、医療、雇用など国民生活はいつも後回し、そればかりか、毎年毎年、社会保障費を二千二百億円も減らしてきたのであります。

 麻生自公政権の国民生活軽視の姿勢は明らかであります。この一点をもってしても、麻生内閣を信任せずの理由として十分に余りあるものだと申し上げます。

 また、自公政権、自民党長期政権は、我が国の農業を破壊してまいりました。

 自公政権は、官僚や族議員のほしいままに、多くの予算を、農業や農業に従事する人々にではなく、いわゆる農業土木などに割り当ててまいりました。また、猫の目政策と言われる戦略なき場当たり政策によって、多くの農業従事者を苦しめてまいりました。

 また、最近では、国際競争力といって強引に大規模化を進めようとしていますが、国際競争力の源泉とは何でしょうか。私たちは、単に大規模化することだけが競争力の確保につながるのではなく、創意工夫によって高い付加価値をつけることこそ国際競争力の源泉になると考えています。

 したがって、私たちは、農業、畜産・酪農、漁業にも所得補償を行う制度を導入し、林業にも直接支払い制度を取り入れ、国民の手に、農林水産業に従事する人々の手に農政を取り戻すことを主張しています。自公政権の農林漁業政策の延長線上に、我が国の第一次産業の未来はないのです。

 道路問題について申し述べます。

 我が党は道路財源の暫定税率撤廃を主張していますが、自公政権は、手をかえ品をかえ、道路財源を死守してまいりました。形ばかりの一般財源化でごまかそうとしておられますが、暫定税率は十年間延長され、一般財源化と呼ばれるものはほんのわずかでしかありません。

 私たちも、本当に必要な道路はつくるべきだと考えています。しかし、自公政権のやり方は、道路が必要だからつくるのではなく、道路利権を守りたいから道路をつくっているようにしか思えないのであります。

 道路予算はあり余るほどあるのに、なぜ一方で社会保障費が毎年二千二百億円も削られるのか、到底理解はできません。無駄な道路などのばらまきを続けて消費税を増税するのか、税金の無駄遣いを一掃して国民生活第一の政治を実現するのか、国民の選択にゆだねるべきであります。

 麻生総理は、郵政をめぐる問題でも迷走を繰り返しました。

 麻生総理は国会で、私は郵政民営化に賛成じゃなかったと答弁をいたしました。その後、発言を翻して、最終的に賛成したと変えましたが、自民党が掲げた唯一の公約を平然と破り捨てるその発言の軽さに唖然としたのは、私だけではないはずであります。

 また、西川社長の続投問題においても、国民の財産であるかんぽの宿の不透明な形での売却問題の責任はどうなったのでありましょうか。西川社長の続投の是非をめぐっても、麻生総理はぶれ続けて決断ができず、リーダーシップの欠如を如実に示しました。

 世論調査でも、国民の六割以上が評価しないと答えています。地域のインフラを支える郵政事業のサービスの利用者である国民は、麻生総理の判断の誤りを指弾しているのであります。

 麻生総理、あなたは、以前に書かれた論文の中で、自民党政治はうまい政治と正しい政治の歴史であったとつづられています。しかし、現在の自民党政治は、まさに下手な政治と無責任な政治に堕してしまっているのではありませんか。

 すなわち、選挙目当てのばらまきという下手な政治と、政策は官僚に丸投げという無責任な政治であります。下手で無責任な政治の犠牲者は国民なのであります。この間、主権者である国民は、自民党内の政権のたらい回しによって、主権の行使を封じられてまいりました。

 しかし、衆議院の任期満了はもう目前であります。麻生総理、あなたはもう逃げられません。

 こそくなことはやめ、今こそ、衆議院は解散され、民意が問われるべきときであります。直ちに、解散・総選挙を実施するか、それとも総辞職して野党に政権を明け渡すか、麻生総理、そして自民党、公明党の議員に問います。

 以上が、麻生内閣を信任せずの理由であります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 討論の通告があります。順次これを許します。細田博之君。

    〔細田博之君登壇〕

細田博之君 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となりました麻生内閣不信任決議案に対しまして、断固反対の討論を行うものであります。(拍手)

 麻生内閣は、昨年九月に発足以来、内外に重要問題が山積する中、国民生活の安定や国益の実現、国際社会への貢献に全力を尽くし、短期間で多くの成果を上げながら、責任ある政治の遂行に心血を注いでまいりました。

 世界的金融危機では、二回にわたる二十カ国首脳会談やイタリア・サミットなどを通じて世界的な不況を脱却するための貢献を図り、世界各国から評価されております。

 本年度総予算、三度の補正予算、また関連法案を成立に導き、企業の資金繰り支援、雇用の創出、高速道路料金引き下げ、出産や子育て支援など、的確で切れ目のない対策を断行し、景気が底を打って、明るい兆しが見え始めたところであります。

 景気対策のための税制改正法を成立させるとともに、持続可能な社会保障の安定財源に対する道筋を示しました。景気対策、さすがは麻生と、私は自民党幹事長として、すばらしい成果を上げていると考えております。

 年金につきましては、給付と負担の均衡を図るため、国庫負担を引き上げる国民年金法を成立させ、また社会保障費抑制を撤回することで、より充実した社会保障を目指す体制を整えました。なぜ基礎年金の国庫負担を上げることに民主党その他の政党が反対されたのか、よく理解ができません。

 温室効果ガスの削減につきましては、現実的かつ思い切った目標を示し、日本のリーダーシップと国際的公平性を内外に示しました。

 国際社会に責務を果たし、国家と国民の安全を守るため、インド洋上の補給支援を継続し、海賊対策に取り組み、提出されたすべての条約を承認に導きました。

 民主党その他の政党は、補給支援についても、海賊対策についても、国民の安全を守り、世界の秩序を守ることにも反対をされている。このことは、全く理解に苦しむわけでございます。

 さらに、消費者庁設置法、憲法審査会規程にも結論を出し、空席が続いていた日銀副総裁など主要な同意人事も決定してまいりました。

 しかるに、なぜ野党の諸君は、北朝鮮貨物検査法案など重要法案の審議を今放棄してまで、このタイミングで不信任決議案を提出されるのでしょうか。反対なんですか、北朝鮮貨物検査法は反対なんですね。

 特に民主党は、小沢前代表の違法献金事件や鳩山代表の政治資金報告書虚偽記載に関する疑惑を隠そうとの意図が見え見えであります。まさに今回の不信任決議案の提出は、鳩山偽装献金隠し決議案提出とも言えるものであります。

 国連安保理決議を受けた北朝鮮貨物検査法案が結果として参議院で廃案となれば、インド洋での給油活動、ソマリア沖での海賊対処法に反対したのと同様、口では国際貢献を言いながら、その実、何もする必要がないとの民主党の反国際協調主義的体質を明らかにするものと言わざるを得ません。

 民主党は、任期途中での代表辞任が実は五代も連続しているんですね。

 西松建設からの違法献金事件では、検察の対応を国策捜査と筋違いの批判をして、国策捜査などと言って、説明責任を果たさないまま、小沢代表が辞任いたしました。

 民主党が選定した第三者委員会がまとめた報告書では、検察が論告で、小沢事務所が天の声を出していた、法の趣旨を踏みにじる極めて悪質な行為であると述べたほどの疑惑に対して、究明するどころか、司法の独立を侵し不当な政治介入を許しかねない指揮権発動に言及するなど、指揮権を発動すべきであったなどと言及するなど、余りにも非常識なものでありました。

 さらには、代表をやめた人がすぐに代表代行に就任して選挙の指揮をとるという全く自浄能力に欠けた人事も、実に驚くべきものでありました。

 さらに、鳩山代表の資金管理団体の個人献金の偽装は、政治資金規正法を根底から覆す前代未聞の重大な問題であります。

 亡くなられた方、死去した方や身に覚えのない方からの献金が収支報告書に記載されていることが続々と判明しました。鳩山代表は会見で虚偽記載を認めて収支報告書を大幅に修正されたということでございますが、驚くことに八割近くが、八〇%近くが偽装であったというわけであります。しかも、これすらほんの一部分でありまして、六年間で二億七千万円に上る五万円以下の匿名献金については実態が判明しておりません。

 さらに、献金の実態がないのに寄附金控除を受けた不正還付による脱税の疑惑まで持ち上がっております。

 代表と幹事長は、説明責任は果たしているとおっしゃいますが、担当した弁護士自身は調査の途中としており、いまだ国民も私たちも疑念を払拭するに至っておりません。疑念はそのままであります。

 なお、市民団体が鳩山代表自身を東京地検に告発し、既に受理されたと報道されております。

 この問題の解明は、実効性のある政治資金透明化のシステム構築に不可欠であります。北海道議会からも、偽装献金の全容解明と説明を求める意見書が衆参両院議長に対して出されております。

 予算委員会や倫選特で何度もお呼び出しをいたしましても、出てこようとはされません。ぜひとも国会の場で堂々と鳩山代表本人から明確に説明していただきたいものであります。本日不信任案が否決されれば、今週は審議は開始できるわけでございますから、そこにどうぞお出かけいただきますよう、御説明いただきますよう、お願い申し上げます。

 鳩山代表は、事務担当の秘書のせいにして、自身も会計責任者も知らなかったと弁明しております。しかし、もし政治団体の代表者が、職務を行わない会計責任者を選任し、その監督を怠ったのであれば、公民権停止や議員失職もあり得るほどの重い罪であります。

 鳩山代表は、かつて、閣僚や与党議員の管理体制の甘さを厳しく糾弾してきましたが、みずからに向けられた疑惑に対する明快な説明はなく、また、このたびの個人献金の偽装は、民主党が提出した、企業・団体献金を廃止して個人献金を推進する政治資金規正法案の、改正案の立法精神とも著しく矛盾しており、今や批判の矛先は鳩山代表自身に向いていることを強く自覚すべきであります。

 民主党の政治姿勢は、責任政党とはほど遠く、絶えず疑念と懸念がつきまといます。

 マルチ業界に深くかかわっていた議員や障害者団体向けの郵便割引悪用事件に絡んでいたとされる議員もおります。ツケは国民に回されるのであります。

 さらに、党の幹部が教育の政治的中立はあり得ないと発言したとの報道もあり、事実とすれば、教育基本法や教育公務員特例法はどうするんですか。教育基本法はどういうふうに考えているんですか。これは、日本国教育基本法案の理念とも合致しない、今まで民主党が提出しておった法案等の理念とも合致しないわけであります。

 また、国家公務員、地方公務員の信頼を回復するために、我々与党は、やみ専従撲滅法案を提出しましたが、成立できない状況です。これは、民主党など野党が官公労、自治労、日教組などの公務員労組に強力に支援されているからであり、これらの政党では決して公務員改革はできない、公務員改革はできない政党だ、そう思っております。二〇%賃金をカットするとおっしゃっているなら、ちゃんとやれますか、二〇%カット。しないばかりか、役所や学校現場で労働組合活動が大手を振って行われる憂慮すべき事態に陥ることになります。

 さらに、民主党の党大会は国旗を掲げておりませんか。民主党の党大会では国旗が掲げられていないと言われております。平成十一年の国旗及び国歌法案の採決で、民主党は、賛成四十五、反対四十六でありました。このことと関係があるんでしょうか。このような政党が、日本国を代表して、日の丸・君が代を堂々と掲げ、歌い、世界各国と渡り合えると言えるんですか。甚だ疑念であります。

 ねじれ国会のもとで、参議院で第一党を占める民主党は、議会の生命線である合意形成を拒み、政策よりも政局を優先することで、国益や国民生活に深刻な停滞と混乱をもたらしてきました。党利党略で審議を引き延ばしたり促進したりの御都合主義は、時に他の野党からも厳しい批判を受けてきたところであります。

 民主党は、かつて給付つき税額控除を提案しながら、定額給付金には反対いたしました。しかし、いざ定額給付金が支給されてみると、そのことに歓迎するニュースが多くあらわれると、戸惑いを感じられたのではないでしょうか。

 外交や安保の根幹にかかわる補給支援法、グアム移転協定、海賊行為対処法などの法案にはことごとく反対し、また、小沢前代表の、アメリカは第七艦隊さえいればいいという第七艦隊発言は、日米の安保体制を揺るがしかねないほどの波紋を投げかけました。これでは、国民の安心と安全を託すことはできません。

 外交、安保の公約について全然聞いていませんが、ほかのことばかり出ていますが、外交、安保を明確にしてください。

 憲法審査会規程では、極めて長期に放置をしてきたということを申し上げておきたいと思います。

 消費税の議論は、岡田代表のときに主張がありましたが、小沢代表のときに封印をして、鳩山代表は先送りで、いまだ主要政策の財源や制度設計はあいまいのままであります。(発言する者あり)違う。それは鳩山代表が、我が政府、総理大臣に対して不信任案を出すときに、今、民主党の公約をどんどんおっしゃったじゃないですか。我が党はこうします、我が党はこうしますと言ったじゃないですか。それに対して反論しているんですよ。それがわからないんですか。

 財源問題として、民主党は、十六兆八千億円を捻出すると言っていますね、十六・八兆。だんだん二十兆から減ってきました。二十兆を十七兆、十六・八兆ですから、間もなく十四兆、十二兆、十兆となるものと私は予想しております。そして、バナナのたたき売りのようになってくると思いますけれども、よくさらに勉強をして、それを五兆ぐらいにしてください。

 報道されている財源の内容を見ると、公共事業見直しで一・三兆、補助金改革等で六・一兆、公務員……(発言する者あり)もちろん褒めております。最初に褒めておりますからね。公務員人件費削減一・一兆。公務員人件費、一人当たりボーナス入れて八百万円、これを二割削減するんですね。それは、大体百六十万円ぐらい、全部給与カットですね。そういう一・一兆。それから、税制改正で二・七兆円。税制改正で二・七兆というのは、配偶者控除とか扶養者控除の廃止による増税、租税特別措置の廃止、そういうことですね。これはどうやってやるんでしょうか。公共事業の直轄事業の廃止、あるいは教育関係の補助金も廃止するんでしょうか。そのことを伺いたいと思いますけれども、これは質問しておるだけでございまして、答えは要りませんから。

 そして、今の経済危機の状況の中でそのような民主党の案を実行すれば景気に多大な影響を与えるということは、はっきりしております。

 また、無駄遣いとかの根絶とか行政改革で財源をひねり出すというのは立派なことであります。しかし、その立派なことも、荒唐無稽な内容でなく、実現可能な内容をもっと精査してほしいと思います。

 それから、このことについて、選挙に向かいまして、もう選挙が決まったんですから、これに向かいまして討論を進めていきたいと思います。いかに非現実的な内容が含まれているか。一部立派なものも含まれているでしょう。それは結構です。しかし、大半は余り立派じゃない内容になっておりますので、それを申し上げたい。

 特に、高速道路無料化で二兆円放棄してしまうわけですね、高速道路無料化。農家の戸別補償で、それは、土地改良をやめましょうなんと言っていますね。それから、年金制度一元化というのも、三年金を一元化できるんですか。できるんですね。そういうことの疑問は尽きません。

 さらに、民主党は、四年前の郵政解散で国民の圧倒的多数が支持した郵政民営化について、野党の共闘を優先して、民意をないがしろにする行為を平然と行っております。

 ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式一〇〇%売却をほごにし、完全民営化を撤回して国が一定以上の株式を保有し続けるとの合意を社民党、国民新党と取り交わしております。これは、以前の国有公社に戻すということでありまして、まさに、けしからぬ逆行であります、裏切りであります。そして、西川社長を退陣させようという動きも、我々から見れば真実がはっきり見えてくるわけでございます。

 そのような政党が、先ほど鳩山代表が言われたように、我々が政権を担えば見事にすべて解決しますよと言っておられますが、すべて疑問の対象になるわけでございますので、申し上げたわけでございます。

 このたびの内閣不信任案は百害あって一利なしでありまして、まじめな今後の日本国の動向、そして対応について、機能不全に陥れる可能性のある民主党に、軽々しく内閣不信任案などとおっしゃってほしくない。この決議案提出の理由を聞いても、国民が納得するようなものは全く見当たりません。

 民主党は、国家運営の明確なビジョンを示しておらず、みずからの主張と野党間で模索する連立政権の基本政策と、いずれを優先させるのか定かではありません。これでは、有権者に対して白紙委任状に投票しろと言っているようなものであります。

 国民が心から求めているものは政権担当能力であります。ただ天下りを批判してみたり、自民党と官僚が癒着しているそのことだけを言っていれば票がとれるなどと思っていただいては大間違いであります。そんな実態はございません。そういうことを申し上げたいと思います。

 そして、今後とも我が自由民主党と公明党が引き続き政権を担当し、そして日本のかじ取りを担っていく覚悟であることを国民の皆さんに対してお誓い申し上げます。

議長(河野洋平君) 細田君、申し合わせの時間が過ぎました。なるべく簡単に願います。

細田博之君(続) 我々は、そのような意味で、理不尽な内閣不信任決議案には断固反対であり、圧倒的な多数をもって速やかに否決されるべきであるということを申し上げて、反対討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 野田佳彦君。

    〔野田佳彦君登壇〕

野田佳彦君 私は、ただいま議題となりました麻生内閣不信任決議案に対して、民主党・無所属クラブを代表して、賛成の立場で討論をいたします。(拍手)

 ただいまの自民党細田幹事長の討論を聞いていて、私は議題がわからなくなりました。鳩山民主党内閣不信任案に対する賛成討論じゃありませんか、今のは。いや、まさに、自民党の中で、麻生さんの足を引っ張るさもしい動きも問題だけれども、麻生さんを守るべき人たちの力のなさを今強く感じた次第であります。

 さて、まず初めに、一昨日、首都決戦東京都議会議員選挙におきまして、私ども民主党、おかげさまで第一党に躍進をさせていただき、そして、目標であった自公過半数割れを実現することができました。応援をいただいた都民の皆様、有権者の皆様に心から感謝を申し上げるとともに、これからが勝負であり、勝ってかぶとの緒を引き締めて、次なる戦いに挑んでいきたいと思います。

 さて、今回の都議会議員選挙は、もちろん都政の争点、新銀行東京の問題、あるいは築地市場の移転の問題、いろいろな争点はありました。しかし、総選挙直前の都議選であって、間違いなく有権者は麻生内閣不信任、自公政権不信任の意思表示を明確にあらわしたと確信をしています。

 すなわち、このたび示された民意は、早く民意を問え、信を問えということだと思います。(発言する者あり)だから解散を決めたというお話がありますが、七月二十一日の週に解散をして八月三十日投票日、我々の任期は九月の初めまでです。八月三十日投票は任期満了選挙と同じじゃありませんか。直ちに信を問うべきだというふうに思います。

 そして、この都議選だけではなくて、先ほど鳩山代表がお話をされたとおり、私ども民主党推薦候補に社民党、国民新党の御支援もいただき、さいたまが勝ちました、千葉が勝ちました、静岡県が勝ちました、東京都が大きく変わりました、奈良が変わりました。日本が今度は変わるときであります。そのためにも、改めて早期の解散・総選挙をお訴えしたいと思います。

 今回は、麻生内閣に対する御批判だけではなくて、思い返していただきたいんですが、昨年の秋の自民党総裁選挙では五名の方が立候補されました。麻生太郎氏の圧勝でした。その理由は、選挙目当て、選挙の顔は麻生さんしかいない、そういう声が圧倒的に多かったからであります。

 ところが、十カ月もたたないうちに、麻生さんでは勝てないからといって、麻生おろしが顕在化する、署名集めをする、あるいは総・総分離を行おうとする、あるいは外部の雑誌に論文を発表する。この矜持を失った浅ましい自民党の姿こそ、国民が見放しているんです。

 また、本議案は単なる麻生内閣不信任決議案にとどまらず、少なくとも、四年前の郵政選挙以来三分の二を占めるに至った与党のこれまでやってきた行状に対する私は不信任だと思っています。

 思い返していただきたいんです。四年前の争点は、郵政民営化、是か否かでした。ワンポイントイシューで決まりました。

 その郵政改革を訴えた当時の小泉元総理の発言を私は思い出しています。特定郵便局の局長は特別職の国家公務員、国家公務員が世襲をするのはおかしいと言っていました。

 ところが、今度は、御勇退をされるに当たって、御子息が世襲をされるということ。しかも、小泉家にとっては、たしか四世です。ルパンだって三世までですよ。やはりおかしい。郵政改革は一体何だったのかと思わざるを得ません。

 郵政民営化、マルかバツか。その用紙の下にはカーボンコピーが敷かれていて、そこには、後期高齢者医療制度、マルかバツか、そこにつける仕掛けがありました。その下には、障害者自立支援法、マルかバツかというカーボンが敷かれて、マルがつけられている、そういう仕掛けがつくられました。

 結局、何が起こったのか。三分の二を得た与党は、後期高齢者医療制度、障害者自立支援法、強行採決を連発いたしました。そして、骨太の二〇〇六によって社会保障費を削減し、医療崩壊と福祉の後退をもたらしました。(発言する者あり)内閣不信任と関係ないと言っていますが、これが麻生内閣に至るまでの不信任の淵源であるんです。

 小泉内閣の後に生まれた安倍内閣においては、参議院の選挙の直前に、消えた年金五千万件の問題が明らかになりました。最後の一円まで、そして最後の一人まで一年以内に解決をすると言いました。いまだに解決ができていない状況ではありませんか。

 九十歳を過ぎて、年金記録が明らかになって、二千万、三千万、本当は年金がもらえることがわかった。でも、今その方は病床に伏している。にもかかわらず、すぐにお金を支給するのではなくて、一年精査させろと言っている。こういう涙のない政治にこそ不信任が突きつけられるべきであります。

 結局、年金は、人生いろいろと言いましたが、ぼろぼろでした。百年安心の年金は、絵にかいたもちでありました。

 その後に生まれた福田内閣。私は、福田内閣の冒頭の、あの大田経済財政担当大臣の経済財政演説は、去年の演説で一番記憶に残っているんです。冒頭におっしゃいました、もはや日本経済は一流ではないと。時の経済閣僚が、長い間経済財政諮問会議にいた人が、経済は一流ではないと言った。それまでのお金の使い方を間違えてきたことをみずから認めるのと同じではありませんか。

 この資源配分の誤りは、福田内閣のあの道路問題の対応で如実にあらわれました。道路特定財源の一般財源化は名ばかり、暫定税率は三十四年も増税が続く暫定、これは、国民は納得できません。我々が闘ってその撤廃に努めましたが、数の力によって復活をさせられてしまいました。結局、一般財源化は名ばかり。そして、最近に至っては、あのBバイCで分析をして凍結をしたはずの国道の建設も、次々復活をしているんです。

 道路イズ政治、政治イズ道路という自民党の政治の本質は全く変わっておりません。道路のネットワークを整備した上で、その先で、救急で対応できる医療機関もない、ドクターもいない、こちらの方が今問題なんです。政策の優先順位を間違え続けてきた自公政権にこそ、ノーという意思表示をしなければなりません。

 さて、今までは淵源についてたどってまいりましたが、麻生内閣そのものについての不信任の理由を申し上げさせていただきたいと思います。

 まず、その第一は、昨年の秋から、もう既に麻生内閣で四本の予算が成立をいたしました。四本です。でも、一向に日本はよくならない。国民の生活はよくならない。結果が出ないという責任は極めて大きいと思います。

 その四本の予算は、結局は、与謝野大臣が、あの去年の秋のリーマン・ショックの後に、世界経済に対する影響は甚大であろうという予想の中で、日本はハチに刺された程度と言いました。この問題認識能力のなさが問題解決を誤らせている、そう思わざるを得ないと思います。

 しかも、景気対策、経済対策とは名ばかりで、実態は、ばらまきの選挙対策です。天下の愚策、あの定額給付金、あるいはアニメの殿堂、こんなばらまきを続けていて日本がよくなるはずはありません。バケツの水をざるに流し込むようなもったいないお金の使い方を何回やったって日本はよくなりません。まさに、このことに気づかなければならないと思います。

 しかも、その財源は借金です。借金は、要は、子供たちのポケットの中に手を突っ込んで、そしてそのお金を借りて事業をやっている。その借金がかさんだ亡国の予算をつくり続けてきた責任は、まさに不信任に値すると思います。

 さて、もう一つは、官僚政治をコントロールする能力と気概がないということであります。

 昨年の通常国会で、与野党が修正をして、国家公務員制度改革の基本法をつくったはずであります。でも、その基本法の精神はどんどんと後退をし、逸脱をし、そして今の、今国会の法案の提出となりました。中身は明らかに後退をしています。

 加えて、一番国民が問題にしている天下りやわたりを実効性ある方法でなくしていこうという熱意が全くありません。

 私どもの調査によって、ことしの五月に、平成十九年度のお金の使い方でわかったことがあります。二万五千人の国家公務員OBが四千五百の法人に天下りをし、その四千五百法人に十二兆一千億円の血税が流れていることがわかりました。その前の年には、十二兆六千億円の血税が流れていることがわかりました。消費税五%分のお金です。さきの首都決戦の東京都政の予算は、一般会計、特別会計合わせて十二兆八千億円でございました。

 これだけの税金に、一言で言えば、シロアリが群がっている構図があるんです。そのシロアリを退治して、働きアリの政治を実現しなければならないのです。残念ながら、自民党・公明党政権には、この意欲が全くないと言わざるを得ないわけであります。

 わたりも同様であります。年金が消えたり消されたりする組織の社会保険庁の長官、トップは、やめれば多額の退職金をもらいます。六千万、七千万かもしれません。その後にはまた、特殊法人やあるいは独立行政法人が用意されて、天下りすることができる。そこでまた高い給料、高い退職金がもらえる。また一定期間行けば、また高い給料、高い退職金がもらえる。またその後も高い給料、高い退職金がもらえる。六回渡り歩いて、退職金だけで三億円を超えた人もおりました。

 まさに、天下りをなくし、わたりをなくしていくという国民の声に全くこたえない麻生政権は、不信任に値します。

 さらに、もう一つ言わなければならないのは、残念ながら我が国は、格差が拡大をし、そして固定化をしてまいりました。

 私は、昨年の十月五日、遺児と母親の全国大会に出席をさせていただきました。各党の代表者が出席をされていました。遺児とは、残された子供という意味であります。交通遺児、災害遺児、自死遺児、こうしたお子さんたちの悲鳴を聞きました。

 お母さんが朝も働く、昼も働く、夜も働く、でも生活するので手いっぱい、子供の教育費に手が回らない、子供たちは進学をあきらめざるを得ない、学校をやめざるを得ないという窮状でありました。何と十七年ぶりの全国大会です。それだけ限界に来ているということでありました。

 政治家の世襲についてさっき言及しましたが、もっと問題なのは、我が国では貧困の世襲が今起こっているということであります。そこに自公政権は何らかの手当てをしましたか。母子加算は、参議院では成立をしたけれども、衆議院では、復活を出しても、自民党も公明党も相手にしないじゃありませんか。

 お母さんと子供の笑顔が広がる国は幸せな国です。それを阻む政権は、これだけでも十分に不信任に値すると思います。

 すなわち、私が申し上げたいのは、麻生内閣につながる小泉内閣、安倍内閣、福田内閣、そして今回の麻生内閣、それに連なる自公政権そのものに内閣不信任案を私たちは突きつけているわけであります。

 税金の私物化をずっと許してきた自公政権に対する不信任、格差の拡大を放置してきた自公政権に対する不信任、医療や福祉をぼろぼろにしてきた自公政権に対する不信任、それを後ろで糸を操っている官僚政治に対する不信任、そして今、さんざんさまざまな大きなやじを浴びましたけれども、この四年間、三分の二を握って、もう目の前はつくだ煮にしたいぐらい与党議員だらけだけれども、その勝手放題に対する不信任なんです。

 以上、麻生内閣不信任に対する賛成討論をさせていただきました。改めまして、麻生総理におきましては速やかに解散・総選挙を、そして議場におかれましては多くの同僚議員の御賛同をお願い申し上げて、討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(河野洋平君) 井上義久君。

    〔井上義久君登壇〕

井上義久君 私は、ただいま議題となりました麻生内閣不信任決議案に対し、公明党を代表し、断固反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)

 討論に入る前に、まず、強く指摘しておかなければならないことがあります。

 そもそも、民主党が不信任決議案を提出する大きな理由が、鳩山由紀夫民主党代表の政治資金虚偽記載問題を覆い隠す意図があるのではないかとの見方があるということであります。

 みずからの説明責任を果たさないまま、献金疑惑を不信任案で覆い隠すことがあっては断じてなりません。献金疑惑隠しのために不信任案を提出しているのであれば、これはゆゆしき事態であります。

 マスコミによるアンケートでも、国民の七割以上が鳩山代表は説明責任を果たしていないとの回答があります。

 政治倫理綱領には、「政治倫理の確立は、議会政治の根幹である。われわれは、」「政治家の良心と責任感をもつて政治活動を行い、いやしくも国民の信頼にもとることがないよう努めなければならない。」と掲げられております。また、「疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」ともあります。

 今、鳩山代表が最優先されるべき行動は、内閣不信任決議案を提出する前に、まずは政治倫理審査会等で、みずからの疑惑についてみずからの責任で説明責任を果たされることではないでしょうか。

 まず、このことを強く指摘しておきたいと思います。

 次に、不信任決議案に反対する理由を申し述べます。

 民主党を初め野党諸君は、内閣不信任案の提出の最大の理由に、政府・与党の数度にわたる景気対策を挙げておられます。野党の諸君は、今、我々政党政治家が何をなすべきか、その自覚がないのではないかとまず申し上げたいと思います。

 私たちが今最優先すべきは、未曾有の経済危機の突破へ向けた果敢な行動であり、挑戦であります。

 景気経済対策は、大胆に、そしてスピード感を持って行わなければなりません。昨年来の経済危機に際し、我が党は、危機打開のエンジン役になるとの決意で取り組んでまいりました。政治家は、経済危機を乗り越え、国民生活を守るため、体を張って仕事をする、そういうことでなくてはなりません。

 具体的に申し上げれば、政府・与党が一丸となって、世界の経済危機打開に向けて国際協調の推進役になるとともに、平成二十年度の第一次補正予算、第二次補正予算、そして平成二十一年度予算を三段ロケットとし、いまだかつてない七十五兆円規模の景気対策を矢継ぎ早に打ってまいりました。そして二十一年度補正予算と、計四度にわたる、約百三十兆円規模にわたる、過去に前例のない生活者重視の経済対策を打ってまいりました。

 消費喚起への基礎をなす生活者支援では、二兆円の定額給付金を初めとして、子育て応援特別手当、保育等の充実整備のための安心こども基金、高齢者の医療費負担軽減や介護報酬の三%アップ、妊婦健診十四回分の助成や出産一時金の増額、また住宅減税などの実施であります。

 雇用対策では、雇用維持に大きな効果を発揮している雇用調整助成金の拡充を初め、雇用創出のための四千億円の基金の創設や正規雇用促進のための助成金、非正規労働者の雇用保険適用の拡大など、三年間で総額三兆円の対策を行っております。

 また、中小企業支援では、緊急保証・貸付枠を約四十五兆円に拡大し、省エネ設備等の投資促進税制や中小企業減税の拡充などであります。

 地域活性化では、学校耐震化の促進、高速道路料金の大幅引き下げ、地域活性化交付金や地域活力基盤創造交付金による地域の雇用対策や活性化策の推進など、矢継ぎ早に手を打ってまいりました。

 私は今、これらの施策が速やかに現場で実施されつつあり、効果が出てきているとの実感をしております。景気悪化一色だったものが、最近、ようやく明るい兆しが見え始めております。今後とも、それら施策の前倒し執行に全力を挙げることを強く求めるものであります。

 家電量販店では、エコポイントの対象となった省エネ型のテレビや冷蔵庫の売れ行きが倍増しているそうであります。これからの日本の中長期の成長戦略も示されました。世界最先端の未来市場の姿と、それを実現する道筋であります。

 街角の景気感を示す景気ウオッチャー調査を見ると、昨年十二月を底に、改善傾向が明確になっております。街角の景気ウオッチャーの声を拾ってみると、住宅ローン減税の拡充や定額給付金、高速道路土日祝日千円、エコポイントなど、一連の対策に対する期待感を聞くことができます。

 厳しい雇用情勢となっておりますが、一連の経済対策により、失業率の上昇などのさらなる雇用の悪化を防いでおります。

 公明党は雇用調整助成金の拡充をリードしてまいりましたが、昨年十二月から中小企業緊急雇用安定助成金の制度が開始をされました。雇用調整助成金の受理は急速に増加をし、本年五月には二百三十四万人を突破しております。仮にこの制度がなければ、失業率は戦後最悪の五・四%を既に上回ることになっていたと思います。

 現在、国民が求めているものは、これら景気対策だけではありません。今、多くの国民が、生活や将来にさまざまな不安を抱いております。こうした問題にしっかりと対応しなくてはなりません。

 年金や医療などの制度のほころび、格差の拡大や固定化、家庭や地域のつながりの希薄化、これらが国民の不安と社会の閉塞感を生んでおります。安心社会の実現のため、麻生内閣は、医療や介護などの社会保障のほころびに対応してまいりました。

 加えて、人生前半の安心保障を再構築しなければなりません。若者の雇用支援や子育て支援を抜本的に拡充する必要があります。いわば、全生涯、全世代を通じての切れ目のない安心保障の構築へ向けて、これらの実現に全力を傾け、希望と信頼を次の世代に引き継ぐことを約束してまいりたいと思います。

 このように、景気対策へ切れ目なく着実に手を打ち続ける麻生内閣に不信任を突きつける行為は、まさに、それこそ選挙目当てのパフォーマンスであり、暴挙であります。

 国民生活を守り、日本経済を守るために、引き続き政府・与党が一丸となって取り組んでいく必要があることを改めて申し上げておきたいと思います。

 昨日の政府・与党連絡会議で、麻生総理から、七月二十一日の週に解散、八月三十日の投開票を目指したいとの発言がありました。既に、国民に信を問うべき解散・総選挙のスケジュールもほぼ明確になりつつあります。

 この段階における今回の野党の不信任案の提出は、まさに衆議院選挙のための単なるパフォーマンスにすぎません。

 以上、本決議案に断固として反対することを改めてここに表明し、私の反対討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) 穀田恵二君。

    〔穀田恵二君登壇〕

穀田恵二君 私は、日本共産党を代表して、麻生内閣不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 今や国民の大多数が麻生自公政権を見放していることは、だれの目にも明らかであります。国民から不信任を突きつけられた麻生内閣がなすべきはただ一つ、直ちに解散・総選挙を行い、国民の審判を仰ぐことであります。

 そもそも、麻生総理は、安倍総理、福田総理と二代続いて政権を投げ出す前代未聞の異常事態を受け、昨秋に政権の座に着きました。総理に就任して真っ先にやるべきは、解散・総選挙で国民に信を問うことでありました。

 日本共産党は、貧困と格差を広げた構造改革路線をどうするのか、アメリカ言いなりの自衛隊海外派兵を続けるのか、これら国政の基本問題を徹底審議した上で解散し、国民の審判を仰ぐことを要求してまいりました。

 ところが、麻生総理は、世論調査の支持率が芳しくないと見るや、一転して、解散を先送りし、政局より政策、政局より景気だと言い出し、四たびにわたる予算を組み、総選挙をひたすら回避して、政権の延命だけを図ってきたのであります。それが今日の内政、外交すべてにわたる深刻な行き詰まりを招いているのであり、麻生総理と自民、公明両党の責任は極めて重大であります。

 不信任する最大の理由は、この間、景気対策と称して予算額だけは最大規模に膨らんだものの、財界奉仕、アメリカ追随という政治の基本は全く変わらず、そのもとで、国民は耐えがたい痛みを押しつけられていることであります。

 世界的な経済危機に立ち向かう上で最も重要なことは、何をおいても国民の暮らしを守ることを最優先にすることであります。国民生活を経済危機から守る緊急の手だてをとりながら、雇用、社会保障、中小企業、農林水産業、税制など、あらゆる分野で国民の暮らしと権利を守るルールをつくることこそ、今、政治に求められている最大の責務であります。

 ところが、麻生自公政権が行った対策は、定額給付金に象徴される一時的なばらまきに終始しました。

 その陰で、母子家庭の児童扶養手当のカットを無慈悲に続け、生活保護の母子加算、老齢加算も容赦なく廃止してしまったのであります。また、国民の怒りの的となった後期高齢者医療制度をそのまま続けています。応益負担の名で自立を破壊する障害者自立支援法もそのままであります。

 こうした冷たい政治の根幹である、社会保障費を毎年二千二百億円削減する方針も撤回しようとしておりません。来年度はやらないというだけで、今度の骨太方針には、骨太方針〇六を踏まえ歳出改革を継続するとわざわざ明記したのであります。国民の不安は増大するばかりであります。その上、理念も展望もないばらまき予算のすべてのツケを消費税大増税で庶民に回そうとしているのであります。こうした自公政治に多くの国民が激しい憤りを感じているのであります。

 また、経済危機のもとで大企業が競い合って非正規切りを進め、さらに雇用破壊の波は正社員にも及び、失業率は五%を超え急激に上昇するなど、雇用問題は極めて深刻です。

 今日の働く貧困層の広がりをもたらした根源にある労働者派遣法を初め、雇用ルールの規制緩和、財界、大企業が労働者を物扱いする首切り自由の使い捨て労働に、全く反省もなく、麻生内閣は、労働者派遣法の抜本改正に背を向け、雇用破壊を食いとめる具体的手だてをとっていません。中小企業の相次ぐ倒産、大企業による仕事減らし、下請いじめなどにも抜本的な対策は全くありません。極めて重大と言わなければならないのであります。

 外交政策では、世界が大きく変化しつつあるもとで、日本外交のあり方が問われています。

 ラクイラ・サミットで核兵器のない世界の探求が大きな議題になったにもかかわらず、唯一の被爆国である日本代表の麻生総理は、何のイニシアチブも発揮しなかったのであります。

 その一方、従来どおりのアメリカ従属の海外派兵路線をとり続けて、憲法九条を踏みにじっているのであります。

 この間、麻生内閣は、米軍再編計画を進め、米国グアムに建設する基地に日本国民の血税を注ぎ込む協定を締結し、その予算を押し通しました。

 さらに、ソマリア沖の海賊を口実に自衛隊の海外派兵を拡大する海賊対処法案を成立させました。抵抗、逃亡する海賊への危害射撃、海賊行為を制止するための船体射撃を規定し、日本から遠く離れたソマリア沖で、自衛隊が戦後初めて人を殺傷しかねないのであります。

 また、北朝鮮問題では、既に全面禁輸などで安保理決議を十分実行しているにもかかわらず、日本領域外の公海上に貨物検査を口実に自衛隊を出動させる法案を提案していることも重大であります。

 自衛隊派兵恒久法、九条改憲につながる動きは絶対に容認できません。

 結局、麻生自公政権がやっていることは、経済危機に際して選挙目当てのばらまきの対策を繰り返し、海外派兵と憲法改定を進めることであります。

 二十一世紀の日本の進むべき道どころか、選挙後の展望すら示すことができず、みずからの延命のための党略にきゅうきゅうとする自公政権にこれ以上国政をゆだねるわけにはまいりません。

 最後に、日本共産党は来るべき総選挙で、行き詰まった自民党政治、すなわち余りにもひどい大企業中心、異常なアメリカ言いなり政治を大もとから変える改革で国民生活を守ることを掲げ、国民の信を問う決意を表明し、私の賛成討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 重野安正君。

    〔重野安正君登壇〕

重野安正君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、麻生内閣不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 麻生内閣は、昨年九月、安倍首相、福田首相と続く前代未聞の政権放り出しを受けて発足しました。皮肉なことに、麻生内閣の支持率は、昨年秋がピークであり、昨日のNHKの世論調査では、「支持する」が二一%に対し、「支持しない」が七〇%に達しました。今になって解散を選択した麻生総理は、チャンスの女神には前髪しかないことをかみしめていることでありましょう。世論調査、そして最近の地方選挙の結果からも、麻生自公内閣に国民は既に不信任を突きつけています。国民の代表者たる我々が麻生内閣を信任できるわけはありません。

 信任できない第一の理由は、リーダーシップのなさであります。

 定額給付金の取り扱いや郵政民営化の評価、厚生労働省分割問題についても、ぶれにぶれまくりました。起死回生策として、閣僚、党役員人事に手をつけようと画策したようでありますが、猛反発を受け、最後は、大山鳴動、林二人という状況でありました。国民の信頼と支持を失った政権には、到底、迅速かつ果断な政策を実行することはできません。リーダーシップのかけらもない麻生総理に、これ以上日本のかじ取りを任せることはできません。

 第二の理由は、経済対策についてであります。

 総理も百年に一度と認める金融経済危機の中で、大企業や金持ちがもうかればそのおこぼれが国民に回るという構造改革路線を転換し、国民生活の安心、安定のために全力を尽くすべきでありました。しかし、麻生総理が打ち出した政策は、政権延命のための無原則なばらまきや、大企業、大金持ち優遇策、特定業界の支援策が中心であり、そのツケを消費税大増税の形で勤労国民や社会的弱者に負わせようとしています。

 第三の理由は、郵政民営化の負の問題への対応です。

 かんぽの宿などの国民共有の資産売却に当たって、不透明な取引や手続が表面化し、郵政民営化が国民、利用者不在の改革利権の分捕り合いだったことが明らかになりました。しかし、麻生総理は、西川社長を続投させ、続投に否定的だった鳩山大臣を更迭しました。疑惑隠しに手をかしたと断ぜざるを得ません。

 第四の理由は、外交・安全保障問題です。

 インド洋における自衛隊給油活動の継続、ソマリア海賊対処を名目にした自衛隊派遣、グアム移転協定の推進、普天間基地の県内移設や辺野古への新基地建設など、アメリカに追随した憲法違反の所業は認められません。

 第五の理由は、政治と金の問題です。

 麻生政権は、発足当初から、談合で排除勧告を受けた問題企業などから献金を受けていた閣僚や党幹部が続出し、西松建設疑惑では二階大臣が告発され、与謝野大臣らへの先物会社による迂回献金疑惑も浮上しています。

 以前、「純ちゃんと叫んだ私が恥ずかしい」という川柳がありましたが、今日、「振り仮名がなくても読めよこの空気」という川柳が共感を呼んでいると聞いております。総理、来週まで待たずに直ちに衆議院を解散し、総選挙を行い、国民の信を問うべきであります。

 与党の皆さん、野党の出した不信任決議案には反対だが、麻生総理では選挙が戦えないから麻生おろしにひた走る、見苦しい限りではありませんか。有権者に対する裏切りであります。本決議案は、政治を変えたい、政権をかえたいという多くの国民の願いであり、その賛否に政治家としての矜持と良識が問われると確信しています。

 最後に、社民党は、国民とともに麻生政権に終止符を打ち、来る総選挙で平和と働く者のための新しい政治への転換を実現する決意であることを申し上げ、賛成討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) 亀井久興君。

    〔亀井久興君登壇〕

亀井久興君 国民新党の亀井久興であります。

 私は、国民新党・大地・無所属の会を代表して、麻生内閣不信任決議案に対する賛成討論を行います。(拍手)

 顧みれば、昨年九月二十四日の就任以来、総理は、繰り返し解散権の発動をちらつかせてきました。当初は戦略なのかと思いましたが、今日に至っては、右顧左べんと逡巡が麻生内閣の特性であることは、だれの目からも明らかであります。そして、そのことにより、国民生活は大きな打撃を受けてきました。

 例えば、百年に一度の経済危機に直面していると言いながら、悪名高き骨太方針二〇〇六と決別できず、景気対策を小出しにし、国民生活、国民経済を悪化させてきた罪は、決して軽くはありません。

 総理の右顧左べんと逡巡の例は枚挙にいとまがありませんが、定額給付金の受け取りや、四年前の郵政民営化をめぐる言動のぶれ、最近では厚生労働省の分割をめぐる発言のぶれ、そしてきわめつけは、国民共有の資産である日本郵政のかんぽの宿をオリックスに不当に安売りしようとした西川社長をやめさせようとしながら果たせず、逆に、厳しく対立していた盟友の鳩山総務大臣を辞任させてしまい、多くの国民の信頼を失いました。

 いにしえより、信なくば立たずと申しますが、私の長年にわたる政治生活の中で、今ほどこの言葉の重みを痛感していることはありません。恐らく、先輩同僚議員の皆様も同じだと思います。国民の信頼がなければ、いかなる政策も実を結ぶことはありませんし、さきの先進国首脳会議においても証明されましたように、諸外国からも足元を見られてしまいます。

 一昨日、東京都議会議員選挙で、自民党が大敗を喫し、民主党が第一党になりましたが、麻生総理は、地方選挙と国政は無関係と言い切られました。望まれもしないのに、すべての自民党候補の事務所を訪れ、檄を飛ばされたにもかかわらず、結果が惨敗に終わると、またもや言動を翻されました。

 恐ろしいことは、もはや、総理の言動が大きくぶれることそのものではなく、総理の言動のぶれにだれも驚かなくなっていることであります。

 そして、その国民の願いはただ一つ、すなわち、早期に衆議院総選挙を実施し、この四年間の政治に審判を下して、これからの政権の選択をさせてほしいということであります。これが多くの国民の意思であり、また主権在民、民主主義の原点にほかなりません。

 にもかかわらず、麻生総理と与党は昨日、七月二十一日まで衆議院を解散せず、総選挙を八月三十日まで引き延ばすことを明らかにしています。この期に及んでなぜ引き延ばそうとするのでしょうか。一日でも長く総理の座についていたいからでしょうか。それとも、まだ解散に逡巡されているのでしょうか。解散を求める国民の大きな声に耳をふさいでまで解散をためらう理由は、内閣の延命以外にありません。みずからの延命のために国民生活と民主主義をこれ以上犠牲にすることは、まさに本末転倒であります。

 今回、野党四党が共同で提出したこの不信任決議案は、極めて単純明快に、すぐに総選挙を実施し、国民に信を問うことを求めるものでありますが、一義的には、国民の信を失っている麻生内閣の即時総辞職を求めるものでもあります。与党の中にはさまざまな動きもあるようですが、この決議案に反対票を投じるあるいは棄権することは、まさに麻生総理への支持を意味するものであり、国民は大いに注視しております。与党議員の皆様には、後々今回の投票と異なる行動をとられないよう、くれぐれもお願いをしておきたいと思います。

 歴代の総理のやめ方を取り上げた、本田雅俊氏の「総理の辞め方」という本がありますが、その中では、総理の潔さの必要性と重要性が強調されております。さんざん右顧左べんと逡巡を繰り返してきた麻生総理でありますが、我々は、せめて最後は、この内閣不信任決議案を受けて、首相として潔く、そして速やかに国民に信を問うことを強く求め、私の賛成討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(河野洋平君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(河野洋平君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百七十二

  可とする者(白票)       百三十九

  否とする者(青票)      三百三十三

    〔拍手〕

議長(河野洋平君) 右の結果、麻生内閣不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

鳩山由紀夫君外八名提出麻生内閣不信任決議案を可とする議員の氏名

安住   淳君   赤松  広隆君   池田  元久君   石川  知裕君

石関  貴史君   泉   健太君   市村 浩一郎君   岩國  哲人君

内山   晃君   枝野  幸男君   小川  淳也君   小沢  一郎君

小沢  鋭仁君   大串  博志君   大島   敦君   大畠  章宏君

太田  和美君   逢坂  誠二君   岡田  克也君   岡本  充功君

奥村  展三君   加藤  公一君   金田  誠一君   川内  博史君

川端  達夫君   菅   直人君   吉良  州司君   黄川田  徹君

菊田 真紀子君   北神  圭朗君   楠田  大蔵君   玄葉 光一郎君

小平  忠正君   小宮山 泰子君   小宮山 洋子君   古賀  一成君

後藤   斎君   郡   和子君   近藤  昭一君   近藤  洋介君

佐々木 隆博君   笹木  竜三君   階    猛君   篠原   孝君

下条  みつ君   神風  英男君   末松  義規君   鈴木  克昌君

仙谷  由人君   園田  康博君   田島  一成君   田嶋   要君

田名部 匡代君   田村  謙治君   高井  美穂君   高木  義明君

高山  智司君   武正  公一君   津村  啓介君   筒井  信隆君

寺田   学君   土肥  隆一君   中井   洽君   中川  正春君

仲野  博子君   長島  昭久君   長妻   昭君   長安   豊君

西村 智奈美君   野田  佳彦君   羽田   孜君   鉢呂  吉雄君

鳩山 由紀夫君   原口  一博君   伴野   豊君   平岡  秀夫君

平野  博文君   福田  昭夫君   藤井  裕久君   藤村   修君

古川  元久君   古本 伸一郎君   細川  律夫君   細野  豪志君

馬淵  澄夫君   前原  誠司君   牧   義夫君   松木  謙公君

松野  頼久君   松原   仁君   松本  大輔君   松本  剛明君

松本   龍君   三日月 大造君   三谷  光男君   三井  辨雄君

村井  宗明君   森本  哲生君   山岡  賢次君   山口   壯君

山田  正彦君   山井  和則君   柚木  道義君   横光  克彦君

横山  北斗君   吉田   泉君   笠   浩史君   和田  隆志君

鷲尾 英一郎君   渡辺   周君   渡部  恒三君   赤嶺  政賢君

石井  郁子君   笠井   亮君   穀田  恵二君   佐々木 憲昭君

志位  和夫君   塩川  鉄也君   高橋 千鶴子君   吉井  英勝君

阿部  知子君   菅野  哲雄君   重野  安正君   辻元  清美君

照屋  寛徳君   日森  文尋君   保坂  展人君   糸川  正晃君

亀井  静香君   亀井  久興君   下地  幹郎君   鈴木  宗男君

綿貫  民輔君   江田  憲司君   滝    実君   中村 喜四郎君

前田  雄吉君   横路  孝弘君   渡辺  喜美君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   安次富  修君   安倍  晋三君   阿部  俊子君

逢沢  一郎君   愛知  和男君   赤池  誠章君   赤城  徳彦君

赤澤  亮正君   秋葉  賢也君   麻生  太郎君   甘利   明君

新井  悦二君   井澤  京子君   井上  喜一君   井上  信治君

井脇 ノブ子君   伊藤  公介君   伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君

伊藤  達也君   伊吹  文明君   飯島  夕雁君   石崎   岳君

石田  真敏君   石破   茂君   石原  伸晃君   石原  宏高君

泉原  保二君   稲田  朋美君   稲葉  大和君   猪口  邦子君

今井   宏君   今津   寛君   今村  雅弘君   岩永  峯一君

岩屋   毅君   宇野   治君   上野 賢一郎君   浮島  敏男君

臼井 日出男君   江崎  鐵磨君   江崎 洋一郎君   江渡  聡徳君

江藤   拓君   衛藤 征士郎君   遠藤  武彦君   遠藤  利明君

遠藤  宣彦君   小川  友一君   小此木 八郎君   小里  泰弘君

小野  次郎君   小野  晋也君   小野寺 五典君   小渕  優子君

尾身  幸次君   越智  隆雄君   近江屋 信広君   大島  理森君

大高  松男君   大塚  高司君   大塚   拓君   大野  松茂君

大野  功統君   大前  繁雄君   大村  秀章君   太田  誠一君

岡下  信子君   岡部  英明君   岡本  芳郎君   奥野  信亮君

加藤  勝信君   加藤  紘一君   嘉数  知賢君   海部  俊樹君

梶山  弘志君   片山 さつき君   金子  一義君   金子 善次郎君

金子  恭之君   上川  陽子君   亀井 善太郎君   亀岡  偉民君

鴨下  一郎君   川崎  二郎君   川条  志嘉君   河井  克行君

河村  建夫君   瓦    力君   木原  誠二君   木原   稔君

木村  太郎君   木村  隆秀君   木村   勉君   木村  義雄君

岸田  文雄君   北川  知克君   北村  茂男君   北村  誠吾君

久間  章生君   倉田  雅年君   小池 百合子君   小泉 純一郎君

小坂  憲次君   小島  敏男君   小杉   隆君   木挽   司君

古賀   誠君   後藤  茂之君   後藤田 正純君   河野  太郎君

河本  三郎君   高村  正彦君   近藤 三津枝君   近藤  基彦君

佐田 玄一郎君   佐藤  剛男君   佐藤   勉君   佐藤 ゆかり君

佐藤   錬君   斉藤 斗志二君   坂井   学君   坂本  剛二君

坂本  哲志君   桜井  郁三君   櫻田  義孝君   笹川   堯君

清水 鴻一郎君   清水 清一朗君   塩崎  恭久君   塩谷   立君

七条   明君   実川  幸夫君   篠田  陽介君   柴山  昌彦君

島村  宜伸君   下村  博文君   新藤  義孝君   菅   義偉君

菅原  一秀君   杉浦  正健君   杉田  元司君   杉村  太蔵君

鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君   鈴木  淳司君   鈴木  恒夫君

関   芳弘君   薗浦 健太郎君   園田  博之君   田中  和徳君

田中  良生君   田野瀬良太郎君   田村  憲久君   平   将明君

高市  早苗君   高木   毅君   高鳥  修一君   竹下   亘君

竹本  直一君   武田  良太君   武部   勤君   棚橋  泰文君

谷   公一君   谷垣  禎一君   谷川  弥一君   谷畑   孝君

谷本  龍哉君   玉沢 徳一郎君   中馬  弘毅君   津島  雄二君

土屋  品子君   土屋  正忠君   寺田   稔君   とかしきなおみ君

戸井田とおる君   渡海 紀三朗君   土井   亨君   土井  真樹君

徳田   毅君   冨岡   勉君   中川  秀直君   中川  泰宏君

中谷   元君   中根  一幸君   中野   清君   中野  正志君

中山  太郎君   中山  成彬君   中山  泰秀君   仲村  正治君

永岡  桂子君   長島  忠美君   長勢  甚遠君   並木  正芳君

二階  俊博君   丹羽  秀樹君   丹羽  雄哉君   西川  京子君

西川  公也君   西野 あきら君   西村  明宏君   西村  康稔君

西銘 恒三郎君   西本  勝子君   額賀 福志郎君   根本   匠君

野田  聖子君   野田   毅君   葉梨  康弘君   萩生田 光一君

萩山  教嚴君   萩原  誠司君   橋本   岳君   馳    浩君

鳩山  邦夫君   浜田  靖一君   早川  忠孝君   林    潤君

林   幹雄君   林田   彪君   原田  憲治君   原田  令嗣君

原田  義昭君   平井 たくや君   平口   洋君   平沢  勝栄君

平田  耕一君   広津  素子君   深谷  隆司君   福井   照君

福岡  資麿君   福田  峰之君   藤井  勇治君   藤田  幹雄君

藤野 真紀子君   二田  孝治君   船田   元君   古川  禎久君

古屋  圭司君   保利  耕輔君   細田  博之君   堀内  光雄君

馬渡  龍治君   牧原  秀樹君   増原  義剛君   町村  信孝君

松島 みどり君   松浪 健四郎君   松浪  健太君   松野  博一君

松本   純君   松本  文明君   松本  洋平君   三ッ林 隆志君

三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君   御法川 信英君   水野  賢一君

宮腰  光寛君   宮澤  洋一君   宮路  和明君   宮下  一郎君

武藤  容治君   村上 誠一郎君   村田  吉隆君   望月  義夫君

茂木  敏充君   盛山  正仁君   森   英介君   森   喜朗君

森山   裕君   森山  眞弓君   やまぎわ大志郎君   矢野  隆司君

谷津  義男君   安井 潤一郎君   保岡  興治君   柳澤  伯夫君

柳本  卓治君   山内  康一君   山口  俊一君   山口  泰明君

山崎   拓君   山中 あき子君   山本  明彦君   山本  公一君

山本  幸三君   山本   拓君   山本ともひろ君   山本  有二君

与謝野  馨君   吉川  貴盛君   吉田六左エ門君   吉野  正芳君

若宮  健嗣君   渡辺  具能君   渡辺  博道君   渡部   篤君

赤羽  一嘉君   赤松  正雄君   井上  義久君   伊藤   渉君

池坊  保子君   石井  啓一君   石田  祝稔君   上田   勇君

漆原  良夫君   江田  康幸君   遠藤  乙彦君   大口  善徳君

太田  昭宏君   神崎  武法君   北側  一雄君   佐藤  茂樹君

斉藤  鉄夫君   坂口   力君   田端  正広君   高木 美智代君

高木  陽介君   谷口  和史君   谷口  隆義君   富田  茂之君

西   博義君   東   順治君   福島   豊君   冬柴  鐵三君

古屋  範子君   桝屋  敬悟君   丸谷  佳織君   西村  真悟君

平沼  赳夫君

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) この際、暫時休憩いたします。

    午後二時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時三十三分開議

議長(河野洋平君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

     ――――◇―――――

谷公一君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、北朝鮮特定貨物の検査等に関する特別措置法案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 谷公一君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 北朝鮮特定貨物の検査等に関する特別措置法案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 北朝鮮特定貨物の検査等に関する特別措置法案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員長深谷隆司君。

    ―――――――――――――

 北朝鮮特定貨物の検査等に関する特別措置法案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔深谷隆司君登壇〕

深谷隆司君 ただいま議題となりました法律案につきまして、本委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、北朝鮮による核実験の実施等の一連の行為をめぐり、国連安保理決議が、大量破壊兵器関連物資の北朝鮮への輸出及び北朝鮮からの輸入禁止措置を決定し、貨物検査の実施等を要請していることを踏まえ、我が国が実施する北朝鮮特定貨物の検査等の措置を定め、もって国際社会の平和及び安全に対する脅威の除去に資することを目的とするものであります。

 その主な内容は、

 第一に、北朝鮮を仕向け地または仕出し地とする貨物のうち、国連安保理決議により北朝鮮への輸出及び北朝鮮からの輸入の禁止が決定された大量破壊兵器関連の物資等であって政令で定めるものを北朝鮮特定貨物と定義しております。

 第二に、海上保安庁長官または税関長は、船舶が北朝鮮特定貨物を積載していると認めるに足りる相当な理由があるときは、公海においては、旗国の同意を要件として、海上保安官または税関職員に検査をさせることができることとしております。

 第三に、海上保安庁長官または税関長は、検査の結果、北朝鮮特定貨物があることを確認したとき、海上保安庁長官にあっては当該船舶の船長に対し、また、税関長にあってはその所有者に対し、その提出を命ずることができることとしております。

 第四に、海上保安庁長官または税関長は、提出を受けた北朝鮮特定貨物を保管しなければならないこととしております。

 第五に、海上保安庁長官は、一定の事由があるときは、船舶の船長に対し、検査に適した場所への船舶の回航を命ずることができることとしております。

 第六に、関係行政機関の協力及び自衛隊による所要の措置について定めております。

 第七に、検査、提出命令及び回航命令に従わなかった者には罰則を科すこととしております。

 本案は、去る七月八日本委員会に付託され、翌九日河村内閣官房長官から提案理由の説明を聴取し、十日より質疑に入り、本日質疑を終局し、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立総員。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  麻生 太郎君

       総務大臣  佐藤  勉君

       法務大臣  森  英介君

       外務大臣  中曽根弘文君

       財務大臣  与謝野 馨君

       文部科学大臣  塩谷  立君

       厚生労働大臣  舛添 要一君

       農林水産大臣  石破  茂君

       経済産業大臣  二階 俊博君

       国土交通大臣  金子 一義君

       環境大臣  斉藤 鉄夫君

       防衛大臣  浜田 靖一君

       国務大臣  甘利  明君

       国務大臣  小渕 優子君

       国務大臣  河村 建夫君

       国務大臣  野田 聖子君

       国務大臣  林  幹雄君

       国務大臣  林  芳正君


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