衆議院

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第3号 平成21年10月29日(木曜日)

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平成二十一年十月二十九日(木曜日)

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 議事日程 第三号

  平成二十一年十月二十九日

    午後二時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)

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本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)

 


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    午後二時三分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

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 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)

議長(横路孝弘君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。志位和夫君。

    〔志位和夫君登壇〕

志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、鳩山総理に質問します。(拍手)

 さきの総選挙で、国民は自民・公明政権に退場の審判を下しました。私たちは、この結果を、日本の政治にとって前向きの大きな一歩であり、新しい歴史のページを開くものとして歓迎するものです。

 同時に、民主党を中心とする新政権に対しては、政治を変えてほしいという期待とともに、さまざまな不安や批判の声も起こっています。我が党は、建設的野党の立場に立って、国民の期待にこたえるとともに、不安や批判を代弁して問題点をただし、日本の政治をさらに前に進めるために力を尽くす決意であります。

 国民が自公政権に厳しい審判を下した要因は、何よりも国民の暮らしから安心と希望を奪ったことにありました。鳩山新政権が、この旧来の政治の害悪を正し、そこからの転換を図ることができるかどうかが問われています。

 ところが、総理の所信表明演説では、政治を変えるという言葉は繰り返されましたが、国民の暮らしにかかわって、今強く転換が求められている肝心かなめの問題について、具体的方策は語られませんでした。

 そこで、以下、具体的に総理の見解をただします。

 人間らしい雇用の破壊は、旧来の政治がつくり出した最も大きな害悪の一つです。私は、新政権が次の二つの喫緊の課題に真正面から取り組むことができるかどうか、ここに旧来の政治からの転換のかなめがあると考えます。

 第一は、失業者とその家族をホームレスにしないための本腰の取り組みです。

 今、失業率は史上最悪の水準となり、失業給付が切れたり雇用保険に未加入なために生活の糧を奪われ、ホームレスになってしまう失業者が続出しています。ところが、政府がさきに策定した緊急雇用対策は、自公政権の対策の延長線上にとどまるもので、これでは、昨年末の年越し派遣村にあらわれたような事態の再来を防ぐことは到底できません。

 私は、旧来の延長線上の対策から抜け出して、次の三つの対策を実行することを緊急に求めるものです。

 一つは、失業給付の緊急延長です。現行の九十日間の失業給付では、多くの失業者は再就職を果たせません。緊急措置として給付期間を半年以上に延長すべきです。

 二つ目に、失業者の七割以上が、失業給付が切れたり、もともと対象外で、生活の糧が奪われた状態です。求職活動中で生活に困窮しているすべての失業者に生活と住居の支援を行う制度への抜本拡充が必要です。

 三つ目は、中小企業への雇用調整助成金の抜本的な拡充です。雇用の七割を支える中小企業での雇用維持のための経営努力は限界を超えています。給付期間の延長、助成額の引き上げは待ったなしの課題であります。

 これらの緊急対策は、どれも法律の改正を必要としない、政府の決断ですぐにでも取り組めるものです。総理の答弁を求めます。

 第二は、大企業の横暴を抑え、人間らしい労働のルールを再構築することです。

 今、トヨタを初め自動車、電機などの大企業で、期間工や派遣など非正規雇用を復活させる動きが広がっています。ところが、契約雇用期間は四カ月から六カ月という極めて短期で、それが切れたら再び非正規切りを行うことをあらかじめ予定しているものです。エコカー減税などでの増産の対応を非正規で行い、減税が切れたら再び非正規切り、こんな大企業の横暴勝手を放置していいでしょうか。増産で人員が必要なら、正社員をこそふやすべきではありませんか。

 総理、大企業に雇用への社会的責任を果たさせるために、政府として強力な指導を行うべきではありませんか。

 同時に、労働法制の抜本的転換が必要です。

 総理は、所信表明演説で、働くことのとうとさについて力説されましたが、それを大もとから奪っているのが、派遣労働に象徴される使い捨て労働です。ところが、総理は、演説で、労働者派遣法の改正について一言も述べられませんでした。これは一体どういうわけでしょう。

 政府は、貧困の指標の一つである相対的貧困率を初めて正式に公表し、一九九七年以降貧困が拡大していることを明らかにしました。総理は、日本で貧困が拡大している最大の原因が派遣労働の自由化を中心とした労働法制の規制緩和であり、その抜本的な転換が必要だという認識をお持ちでないのでしょうか。

 労働者派遣法は、究極の不安定雇用である登録型派遣の原則禁止、製造業への派遣の禁止、違法行為があった場合には派遣先企業に直接雇用義務を課すみなし雇用の導入など、抜本改正に踏み出すべきであります。雇用は正社員が当たり前の社会を目指すべきだと考えますが、総理の見解を伺います。

 社会保障を削減から拡充に転換することも、大きなかなめをなす問題です。とりわけ、世界に例のない年齢による差別を持ち込んだ後期高齢者医療制度は、社会保障削減路線がもたらした最悪の象徴です。

 この制度について、総理は、所信表明演説で、廃止に向けて新たな制度の検討を進めると述べました。長妻厚生労働大臣は、廃止に向けて、もとに戻すのではなく、四年以内にそのまま新しい制度に移行していこうという考えを持っていると発言しています。

 総理、新しい制度ができるまでは廃止しないという先送りが新政権の方針なのですか。多くの高齢者からとても四年も待てないという強い怒りの声が上がっていることを、どう受けとめますか。

 昨年の国会で当時の野党四党が後期高齢者医療制度の廃止法案を共同提案したときには、民主党の提案者も、最大の問題点は差別への怒りだとして、一たんもとに戻すことが非常に重要、戻した上で旧老人保健法制度の問題点を是正すると国会で答弁していたではありませんか。まず廃止の方針を転換した理由は何か、答弁を求めます。

 一部に、老人保健制度に戻したら混乱するという議論がありますが、昨年三月までの老人保健制度は、高齢者を国保や健保に加入させたまま現役世代よりも窓口負担を軽減する財源調整の仕組みで、どこにも混乱などなかったではありませんか。大混乱をもたらした最大の原因は、年齢による差別という制度を持ち込んだことにあります。この制度を速やかに廃止することこそ、混乱の原因を大もとから取り除く解決策ではありませんか。

 後期高齢者医療制度は、延命させればさせるだけ、差別への怒りを広げ、二年ごとの保険料引き上げという痛みを増す制度です。我が党は、後期高齢者医療制度は先送りでなく直ちに廃止し、老人保健制度に戻す、その上で、七十五歳以上の医療費無料化、国保への国庫負担の増額などの改善を図るべきだと考えます。総理の答弁を求めます。

 自民党農政のもとで食料自給率が四割に落ち込んだ日本農業をどう再生させるかも、日本国民の存亡がかかった大問題です。

 私は、日本農業をここまで落ち込ませた最大の原因の一つは、歯どめのない輸入自由化を進めてきたことにあり、ここに旧来の農政からの転換が求められるかなめの問題があると考えます。

 農産物の平均関税率は、EUが二〇%、アルゼンチンが三三%、ブラジルが三五%、メキシコが四三%、韓国が六二%であるのに比べて、日本はわずか一二%にまで下がっています。主要国の中で既に関税が最も低い国の一つが日本なのです。総理は、この認識をお持ちでしょうか。

 この点で、民主党がマニフェストで「米国との間で自由貿易協定(FTA)の交渉を促進し、貿易・投資の自由化を進める。」と明記したことが、広い農業関係者、国民に不安と怒りを呼び起こしています。米国の関係者は、農業と米を含めないFTAはあり得ないと明言しており、そうなれば、農業、とりわけ米に壊滅的打撃が与えられます。財界団体で構成された日米経済協議会が委託した試算によりますと、日米FTAによる関税撤廃で、日本の農業生産は激減し、米の生産は八二%も減少してしまいます。これ以上の輸入自由化、関税撤廃は、絶対に行うべきではありません。

 総理は所信表明演説で戸別所得補償制度の創設を表明されましたが、関税撤廃とセットでは、穴のあいたバケツに水を注いでいるようなもので、何兆円という財源を投入しても農家の経営は守れないでしょう。日本農業の再生のためには、農産物の価格保障と所得補償を組み合わせて再生産が可能な農家収入を保障することと、関税など国境措置の維持強化を図ることを一体に進めることがどうしても必要であります。総理の見解を求めます。

 次に、来年度予算案の編成にかかわって質問いたします。

 さきに発表された来年度予算案の概算要求は、九十五兆円を超える史上最大の規模となっています。もちろん、この中には国民要求にかなった内容も盛られています。

 同時に、一体、財源は大丈夫なのかという大きな不安が国民の中で広がっています。来年度予算案がどうなるかはこれからの予算編成作業にかかっていますが、私は、現時点で根本的見直しを求めたい問題点を、三点に絞って提起するものです。

 第一は、税金の使い道の優先順位という問題です。

 概算要求には高速道路の無料化予算が盛り込まれていますが、果たしてこれが最優先の仕事でしょうか。温暖化対策とのかかわりでも、慎重な検討が求められるのではないでしょうか。メディアの世論調査でも、反対が賛成を上回り、早急な実施を求める声は少数ではありませんか。高速道路無料化に要する一兆三千億円があれば、高齢者と子供の医療費を国の制度として無料にすることができます。

 私は、国民の大事な税金は高速道路よりも福祉にこそ優先的に使われるべきだと考えますが、総理の見解を求めます。

 第二は、財源を庶民増税に求めるべきではないということです。

 子ども手当の拡充は当然ですが、その財源として扶養控除と配偶者控除の廃止を抱き合わせることに、私たちは、くみするわけにはいきません。

 私たちのもとには、子供を持ちたくとも持てない御家庭、健康上の理由で働きに出たくとも出られない御家庭などから、立場の弱い、少数者を切り捨てる心ないやり方ではないかという、強い不安と批判が寄せられています。庶民の一部を犠牲にして一部に回すというやり方では、決して国民の理解を得られないのではないでしょうか。こうしたやり方では、子ども手当が給付された御家庭も心から喜べないのではないでしょうか。

 さらに、人的控除の廃止は、生計費非課税という税制の民主主義の大原則を侵すという大問題がありますが、どうお考えでしょうか。

 加えて、子育て支援というなら、手当の増額だけでなく、認可保育園の大幅拡充で待機児童をゼロにする、子育てと仕事が両立できる雇用のルールをつくるなど、総合的な支援策が必要であります。

 以上についての総理の見解を求めます。

 第三は、旧来の政治が聖域としてきた、軍事費と大企業、大資産家優遇という二つの分野にメスを入れることです。

 概算要求を見る限りでは、この分野は引き続き聖域とされています。聖域に切り込む意思があるのかどうか、端的に二つただします。

 一つ。米軍への思いやり予算は、自公政権が八月に行った概算要求額と全く同額のまま概算要求に盛り込まれています。日米地位協定上も支払う義務のない思いやり予算に切り込む意思はあるのかどうか、答弁を求めます。

 二つ。大資産家向けの証券優遇税制も継続されようとしています。株取引などで得た所得に対する税率は、アメリカで二五%、フランスで三〇%に対して、日本はわずか一〇%です。汗水垂らして得た所得よりも、ぬれ手でアワの不労所得の方が税金が軽いというのは、異常だとお考えになりませんか。少なくとも本則の二〇%に戻すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 二つの分野を聖域とせず本格的なメスを入れれば、消費税増税に頼らなくても、暮らしのための財源はつくれます。日本共産党は、この立場から、将来にわたって消費税増税に反対を貫くものであります。

 アメリカとどう向き合うか、これも旧来の政治からの大きな転換が求められているかなめの問題です。

 総理は、所信表明演説で、対等の日米関係ということを力説されましたが、その最初の重大な試金石となるのが沖縄の普天間基地の問題です。

 総理は、総選挙のさなかの党首討論で、普天間基地は県外移設か国外移設と明言してこられました。ところが、この間、米国のゲーツ国防長官が来日し、名護市辺野古への新基地建設を強圧的態度で求めて以来、この公約を覆す発言が閣僚から相次いでいます。

 岡田外務大臣は、それまでの態度を翻して、県外は、事実上、選択肢として考えられないと発言しました。北澤防衛大臣は、辺野古への新基地建設について、基地機能の一部をグアムや岩国に移すから公約違反ではないとして容認する、驚くべき詭弁を述べました。これらの発言に大きな怒りが広がっています。総理、米国に一喝されたら、態度を変え、公約を覆す、こんなことでどうして対等の日米関係と言えますか。これでは自公政権の対米従属政治と変わらないではありませんか。

 総理は、沖縄県民の意思を尊重すると繰り返しておられますが、県民の意思はとうに明瞭となっています。辺野古への基地移設の方針が持ち上がって以来十三年、どの世論調査でも、県民の圧倒的多数は新基地建設に反対です。大体、十三年にわたって、新基地建設のためのくいを一本も打たせてこなかったというこの事実にこそ、沖縄県民の意思は示されているではありませんか。それを尊重するというのなら、基地の県内たらい回しなど、あり得ない選択ではありませんか。

 沖縄の基地問題を解決しようとすれば、アメリカの顔色をうかがったり、理不尽な圧力に屈するという旧来の対米従属政治を脱却し、基地のない沖縄を願う県民の思いを正面から米国にぶつける対米交渉を行うことがどうしても必要であります。

 危険きわまりない普天間基地は即時閉鎖する、県内移設は許さない、新基地建設は許さない、これこそ沖縄県民の断固たる意思であります。私は、総理に、この思いをしっかりと受けとめて、本腰を入れた対米交渉を行うことを強く求めるものであります。

 総理の明快な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 志位委員長の御質問にお答えいたします。

 まず、雇用保険制度についてのお尋ねでございます。

 平成二十一年の改正雇用保険法により、特に再就職が困難な方に対して、給付日数が六十日分延長されております。すなわち、九十プラス六十イコール百五十日ということになっております。これによりまして、本年四月から八月までで約二十四万人の受給者に対して延長が行われています。

 したがいまして、今後とも、こうした延長給付の活用などによって、雇用のセーフティーネットを整備して、国民の安心感を高めてまいりたいと思っております。

 求職活動中の生活と住居の支援についての御質問でございます。

 これまで、雇用保険を受給できない失業者の方々に対する第二のセーフティーネットとして、生活支援の融資や職業訓練期間中の生活保障、住宅手当の支給などを実施してまいったわけでありますが、さらに、今般決定いたしました緊急雇用対策の中で、住居を失った生活困窮者の方に住宅を確保する取り組みを行うということになっております。きめ細やかな対策をそこで展開いたすことにしておりまして、仕事や住居を失った方の再就職をこれによって支援してまいります。

 雇用調整助成金についての御質問でございます。

 雇用調整助成金については、雇用の維持に取り組む非常に多くの事業主に活用いただいておるところでございまして、これまで、中小企業向けの助成率の引き上げ、支給要件の緩和等の拡充を行ってまいりましたが、今般決定をいたしました緊急雇用対策において、さらなる支給要件の緩和を行ったところでございます。

 したがいまして、今後の経済雇用情勢の推移を踏まえて、雇用調整助成金による雇用の維持の支援に機動的に取り組んでまいります。

 それから、非正規労働者の正社員化についてのお尋ねであります。

 雇用、生活の安定を図るため、正規雇用を希望する非正規の労働者の方々に対して、正規雇用に向けて積極的に支援をすることは極めて重要だと認識をしております。

 したがいまして、非正規労働者に対するワンストップによる就労支援あるいは事業主への助成制度の活用などによって、非正規労働者の正社員としての就職を支援してまいりますし、また、企業に対しても、安易な解雇などが行われないよう、労働関係法令遵守の指導をこれから徹底してまいりたいと思います。

 あわせて、新しい公共あるいは支え合い、この精神によりまして、国だけではなく、企業を含め社会全体で雇用確保に向け努力をしていくことを期待しているところでございます。

 労働者派遣法の改正についてであります。

 派遣切りに象徴される派遣労働者をめぐる雇用環境を含めて、非正規雇用全体の労働条件の改善への取り組みは、内閣の最重要課題の一つだと認識をしております。一人一人が、安全、安心、生きがいを実感しながら働くことのできる社会、こういったものをいかにつくり上げていくか、この実現に向けて、緊急雇用対策に加えて、労働者派遣法の改正に向けて取り組みを既に開始いたしております。

 演説の中では、本件に限らず、今後取り組むべき法案については逐一触れてはおりませんが、重要性に関しては十分に認識をしております。したがいまして、今月の七日、労働政策審議会における調査審議を諮問しているところでございます。年内に結論が出ることを期待しております。

 労働法制の規制緩和についてのお尋ねであります。

 雇用にかかわる行き過ぎた規制緩和を適正化し、労働者の生活の安定を図ることは重要であります。貧困の原因は、それはいろいろあると思いますが、労働法制の規制緩和もあり、派遣労働者がふえ、今般の経済危機においていわゆる派遣切りの対象になったことも、これも事実だと理解をしております。

 したがいまして、このような情勢に対応するため、三党連立合意を踏まえ、労働者の保護を強化する方向での労働法制の整備をしていく所存でございます。

 その労働法制の中での、労働者派遣法の改正内容についてのお尋ねであります。

 民主党のマニフェスト及び三党の連立合意には、登録型派遣の原則禁止、製造業派遣の原則禁止、さらに、違法派遣の場合の直接雇用みなし制度の創設などが盛り込まれているところでございまして、労働者派遣法の具体的な改正内容については、今申し上げたことを踏まえて、通常国会への法案提出を目指して、現在、厚生労働省の労働政策審議会で検討を既にスタートしているところでございます。

 正社員雇用についての御質問でございます。

 すべての労働者が生涯にわたって生きがいを持って働き、暮らしを豊かで安心してできるように社会づくりをすること、そのことに向けて取り組んでいるところでございます。

 我が国の非正規雇用の比率は、御案内のとおり、近年高まっており、現在、三人に一人が非正規の労働者であることは皆様方御承知のとおりでございます。そこで、正規雇用を促すための雇用者への奨励金制度の創設など、正規雇用に向けての支援に積極的に取り組んでおります。

 雇用確保については、これも前から申し上げておりますように、国だけではなく、地方公共団体、さらに企業、さらに労働組合、NPOなど、社会全体で支え合いの精神によって努力をして解決に向けていくことが重要だと思っておりまして、正社員化に向けて私ども一丸として頑張っていきたい、そのように考えております。

 後期高齢者医療制度についての御質問であります。

 まさに、年齢で人間を差別する、こういった後期高齢者医療制度が大変けしからぬ制度であることは私どももよく理解をしており、その廃止を求めて私どもは今般選挙で戦ってきたことも御案内のとおりでございます。

 したがいまして、後期高齢者医療制度を廃止することは事実でありますが、廃止した後の制度のあり方について、高齢者はもとより、市町村を初め、さまざまな関係者の方々の理解を得ることが必要であることは、これも論をまちません。

 老人保健制度に一たん戻すことについては、たびたび見直しを行うということになり、高齢者の方々に不安やあるいは混乱を生じてはいけない、こんな思いもございまして、また、システムの改修や被保険者の情報の移管などに約二年の時間がかかるということであり、また、多額の経費もどうしても必要になるということもあり、したがって、新たな制度に直接移行することの方が合理的であると判断をいたしたところでございます。

 これはまた、事務を担うことになる市町村も強く反対をしているところでございまして、政権の発足直後から賜りましたこうした各方面からのさまざまな御意見を踏まえて、老人保健制度に戻すことよりも、幅広い国民の御納得と信頼が得られる新たな制度を創設したい、そのように考えております。言うまでもありませんが、その際には、国保の負担増に十分配慮をしながら検討をします。

 これは、決して先送りではありません。高齢者の視点に立った真の改革を断行しようとするものでございます。御理解を願えればと思います。

 農産物の平均関税率の御質問でございます。

 これは、OECDの調査によって、二〇〇〇年ではありますが、我が国の農産物の平均関税率が、御指摘のとおり、一二%であるということは理解をいたしております。ただ、一方では、我が国の農業にとって重要な品目については、輸入により国内の農業に大変悪影響を及ぼすという懸念がありますので、高い関税を維持しておるところでもございます。

 したがいまして、このような国際化の流れの中で、貿易の自由化あるいは国内の農業への影響との両方をにらむ必要があるということで、当然のことながら、適切な関税というものを設定していくことが求められております。

 日米のFTAを含む農業分野の国際交渉についての御質問に対しては、米国とのFTAの交渉促進を含めた国際交渉については、貿易・投資を自由化する、これは、その観点からは当然推進をしなければならないことだと理解をしております。

 しかし、一方で、このときに、食の安全、安心あるいは安定供給、食料自給率の向上、さらには、国内農業あるいは農村地域の振興などというものを十分に考えていかなければなりません。決して損なうことがあってはならない、そのように認識をしております。

 この認識のもとで、このことを民主党もマニフェストの中にも明記をしているところでございまして、農業を営んでおられる方あるいは農業の関係の方々にも御理解をいただきたいと理解をしているところでございます。

 戸別所得補償制度についての御質問でございます。

 戸別所得補償制度は、意欲のある農家が農業を継続できる環境を整えること、そして、農業・農村地域を立て直して、食と地域を再生しつつ、将来の食料自給率の向上を図ることを目的として戸別所得補償制度を創設したいと考えております。

 したがいまして、関税撤廃とセットではないかという御指摘でありますが、そもそも、三党の連立合意や民主党マニフェストにおいては、戸別所得補償制度は決して関税の撤廃が前提だということではないことを御承知おきいただければと思います。

 日本農業の再生についての御質問であります。

 農業者が安心して営農できる環境を整備するために、新たな内閣のもとで国民の皆様方にお約束をした戸別所得補償制度をまず導入をしていくということでございます。

 さらに、FTAやWTOなどの国際交渉においては、先ほども申し上げましたが、貿易・投資を自由化するという観点から、これらはやはり推進をしていかなければなりません。その際に、先ほど申し上げましたような観点、すなわち、食の安全・安定供給あるいは食料自給率の向上、農業・農村地域を損なわない、こういったことに配慮していくことは当然のことでございます。

 こういった基本的な考え方のもとで、日本農業の再生を果たしてまいる所存でございます。

 高速道路の無料化に関してもお尋ねがございました。

 私どもは、高速道路を有効活用していただく、地域と経済を活性化する、こういった目的のために段階的に高速道路を原則無料化するという方向をマニフェストでうたわせていただいたところでございます。

 具体的には、炭酸ガスなどの環境への影響というものも考えなければなりませんし、渋滞が発生するか否か、さらには、地域への経済効果あるいは他の交通機関への影響、こういったところを社会実験を行いながら総合的に確認をして、国民の皆様方の理解のもとで進めてまいりたいと考えております。

 この高速道路の無料化と福祉にかかわりある関連の御質問でございました。

 私どもは、もとより、人間のための経済、これを目指すということ、国民の暮らしを最優先する、こういった経済に力点を置いております。したがいまして、高速道路の無料化も、むしろ、流通の活性化を促すという意味では地域において大変大きな経済効果をもたらすものだ、そのような理解もいたしておりますし、さらには、家計を直接応援する施策でもあり、その意味で、子ども手当や高校の実質無償化などとあわせて国民の暮らしを守る政策として大変意味のあるものだと理解をしているところでございます。

 子ども手当の財源についての御質問でございます。

 次代を担う子供たちのために、その一人一人の育ちを社会でしっかり応援していこうじゃないか、これが子ども手当を創設する意味でございます。

 その際、所得税の控除の見直しにつきましては、政府税調を立ち上げたところでございまして、そこで本格的に検討を行って、年末に向けて結論を出します。今後、予算編成の過程を通じて、財源の確保方策を含めて、政府全体で制度の具体的な内容を決めてまいります。

 また、少子化対策における人的控除の廃止についてもお尋ねがありました。

 先般、政府税調を立ち上げて、そこで、支え合う社会の実現に必要な財源を確保し、我が国の構造変化に適応した税制を構築していく観点から、所得税の控除のあり方を根本から見直すなど、個人所得課税のあり方について検討する旨を諮問いたしたところでございまして、この所得税の控除の見直しについて、今、政府税調で真剣に検討が始まったところでございます。年末に向けて結論を得ることにいたしたいと考えております。

 総合的な子育て支援策についての御質問でございます。

 子育ては、未来への投資でございます。今申し上げましたように、社会全体がまさに支え合い、助け合って負担をするという発想が非常に大事だと思っております。

 子供を産み育てることを経済的な理由であきらめるような御家庭がないようにしたい、また、子育てのために仕事をあきらめる、そんな御家庭がないようにしたい、こんな思いのもとで、財源をきちんと確保しながら施策を推進してまいりますが、子ども手当の創設に加えて、保育所の増設など、待機児童の解消に向けて努力をいたしますし、また、多様な保育サービスの量の確保もしてまいらなければなりません。仕事と子育ての両立のための支援もいたすなど、総合的な子育て支援策の充実に努めてまいることをお約束いたします。

 在日米軍駐留経費の負担の削減についての御質問でございました。

 在日米軍の駐留経費については、我が国の負担をより効率的で効果的なものにするために、包括的な見直しが必要だと認識をしております。先般の日米の防衛大臣の会談においても、アメリカの側から可能な限り効率化を目指したいという発言があったわけでございまして、したがいまして、それに従いまして、今後とも、在日米軍駐留経費の負担については、透明性を確保しながら包括的な見直しに取り組んで、そのことにより国民の理解を得てまいりたいと思います。

 証券税制の優遇措置についての御質問であります。

 現行の金融所得課税は、分離課税のもとで基本的に二〇%の比例税率が適用されているわけでありますが、このうち証券税制について、御案内のとおり、現在、税率を一〇%に軽減しています。これは、言うまでもありません、現在、景気がかなり厳しい、経済金融環境が非常に厳しい状況だということの中で優遇措置を講じているわけでありまして、あくまでも時限的な措置でございます。

 証券税制を含め、個人所得課税のあり方については、今後、これも政府税調でしっかりと議論をしてまいることもお約束をいたします。

 最後に、沖縄の基地問題についてのお尋ねがございました。

 アジア太平洋地域におきましてはいまだに不安定な要因があるということは、私どもも理解をしております。したがいまして、こういう中で、沖縄におります米軍を含む在日米軍の抑止力というものも、まだ我が国の安全保障において必要なものだと理解をするべきだと考えております。

 したがいまして、在日米軍の再編については、こういった安全保障上の観点も踏まえて、過去の日米合意というものもある、この経緯を慎重に検証を行いながら、沖縄の方々の思いをしっかりと受けとめていきたい、そして日米間で真剣にこの問題に取り組んでいきたいと思っております。

 この件に関しては、御案内のとおり、現在、岡田外務大臣とさらに北澤防衛大臣のもとで真剣な検証を行っていただいているところでございます。最終的には私自身が決めることでございまして、対米従属政治だとは全く思っておらないことをつけ加えさせていただきます。

 以上であります。(拍手)

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議長(横路孝弘君) 重野安正君。

    〔重野安正君登壇〕

重野安正君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、鳩山総理の所信表明演説並びに新政権の基本政策についてお伺いいたします。(拍手)

 あの八月三十日の総選挙で、国民は画期的な審判を下しました。十年間続いてきた自民・公明政権に終止符が打たれ、一九五五年以来、衆議院で第一党の座を確保し続けてきた自民党が、その座をおりたわけでございます。小泉構造改革への国民の怒りが噴出した結果であり、国民の国民による国民のための政権交代を、私は国民の皆さんとともに喜びたいと思います。

 連立政権の基本政策はさきに三党で確認した政策合意であり、その実現が最優先されるべきこと、そして、政党間で一致しない部分についても、大いに議論をし、国民利益のために合意点を見出すように努力することが大事だと考えています。

 私は、総理が所信で表明された理念と方向性について、基本的に評価し、支持いたします。総理は、演説の中で「国民」という言葉を四十七回も使われたように、新政権の基盤は主権者国民であります。国民のさまざまな意見を謙虚に受けとめ、着実に期待にこたえていかなければなりません。マスコミの世論調査によれば、民主党の掲げる政策であっても、賛成より反対の回答が上回っているものもあります。この国民の率直な思いを受けとめて生かしていただきたい、このように思いますが、総理、いかがですか。

 自民党一党支配の政治のもとでは、憲法は政権の勝手な解釈にゆだねられてまいりました。憲法の基調である国民主権、平和・国際協調主義、基本的人権の尊重などは、冷戦後の新たな国際秩序の形成を模索する現在にあっても、我々の進むべき進路を指し示したものであります。政策合意において、最後に独立した項目として「憲法」を設けたのもそのゆえんであります。

 総理、生活再建内閣であり、憲法の三原則の遵守と諸権利の実現を最優先する内閣であることを改めて確認したいと思います。総理は、これからの政権運営において憲法をどのように位置づけられるのか、お伺いいたします。

 緊急雇用対策について伺います。

 緊急雇用対策について、政府の姿勢が逐次明らかにされつつあります。完全失業率と有効求人倍率が過去最悪となる中、年末を控え、雇用情勢は厳しさを増しています。再度年越し派遣村が必要となるような事態は絶対に招かないよう、社民党は、雇用の維持確保、再就職支援、セーフティーネットの強化、住居支援、生活支援、ハローワークのワンストップサービス、雇用創出について、政府の取り組み強化を要望してまいりました。既に政府は二十三日に緊急雇用対策をまとめており、その意気込みは評価できるものの、その内容がまだまだ十分とは言えません。改善の余地がたくさんあります。

 例えば、すぐできるものとして、雇用保険の適用拡大を提案いたします。現在は、日雇い雇用保険の対象は三十日以内の者に限られるため、三十一日以上六カ月未満の者は雇用保険の適用がない、制度の谷間となっている。この際、雇用保険加入要件を三十一日以上の雇用見込みに緩和し、事実上、すべての非正規労働者に雇用保険を適用するようにしてはどうか、このように考えますが、いかがでしょうか。

 鳩山政権が目指す、国民一人一人が安全と安心、生きがいを実感できる社会を実現する上でも、最も重要な基盤となるのが雇用の確保ではないでしょうか。今後の情勢変化に応じて、予算措置や制度改正を伴うものも含め、追加の対策を打つお考えはありませんか、お伺いいたします。

 次に、地球温暖化対策について質問いたします。

 所信表明演説の中で、緑の産業を成長の柱として育て上げることや、途上国支援の温暖化対策を支援するための鳩山イニシアチブの実行を表明されました。そもそも、これからの日本が世界とともに低炭素社会へと転換していこうとするときに、まず前提として、地球温暖化対策の基本法の制定が不可欠ではないでしょうか。

 鳩山総理は、二〇二〇年に温室効果ガスを九〇年比で二五%削減するという野心的な目標を掲げました。当然、削減に向けた具体的な手段が必要であります。国内排出量取引制度、再生可能エネルギーの普及を図る固定価格買い取り制度、そして炭素税、吸収源対策や地域活性化としての森林の整備及び保全、農地の緑化の維持などの政策を組み合わせながら温暖化対策を推進することになると思いますが、これをどんなタイムスケジュールで実行していこうとするのか。特に、基本法制定の時期について、政策合意の中でも「速やかな制定を図る。」と明文化されています。総理の見解と決意を伺います。

 また、地球温暖化対策として、林業、農業などの一次産業は大きな力になり得ます。ところが、そうした産業は衰退をし、地方、とりわけ中山間地域は小泉構造改革によって疲弊し切っている。豊かな森、豊かな農山村の再生、復興は、グリーンニューディールとして新たな雇用を生む可能性も大いに秘めています。鳩山総理の地方再生の決意をお聞かせください。

 国民はチェンジを期待しています。自公政権下のような対米追従ではなく、本当の意味で、主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくる、日米協力の推進によって未来志向の関係を築くべきであります。日米ともに政権交代する中で、これまでの枠組みにとらわれることなく、真の友好信頼関係を構築する未来志向の日米関係が求められているのではないでしょうか。

 そこで、在日米軍再編の問題についてお尋ねいたします。

 総理は、沖縄が背負ってこられた負担、苦しみや悲しみに思いをいたし、地元の皆様の思いをしっかりと受けとめながら、真剣に取り組むとおっしゃいました。この御決意、大変心強く受けとめさせていただきました。

 沖縄の負担は、沖縄の人々が好んで背負ったのではありません。日本政府に背負わされた負担ではないでしょうか。国土の〇・六%にすぎない沖縄県に在日米軍基地の七五%を押しつけて、さらに新たな基地を押しつけることが許されるはずはありません。

 民主党もこれまで、県外、国外と言ってきました。また、三党合意の中でも、沖縄県民の負担軽減の観点から、見直しの方向で臨むことを確認しております。しかし、現政府の関係閣僚の発言はぶれていると言わなければなりません。ぜひ、これ以上沖縄に新たな負担を押しつけることはしない、県外、国外移設を実現していく、そのために最大限の努力、あらゆる方策を模索し、リーダーシップを発揮すべきであります。総理の決意をお聞かせください。

 総理、来年は朝鮮半島植民地支配百年に当たります。これを機会に、戦後五十年村山談話及び〇二年日朝平壌宣言を踏まえて、積極的、主体的に日朝の国交正常化交渉を進め、両国間の戦後を終わらせ、核、ミサイル、拉致問題の解決を図るべきではありませんか。戦後五十周年の終戦記念日に当たっての村山談話をしっかりと新しい政権の中に受け継いでいただきたい、このように思いますが、総理のお考えをお聞かせください。

 次に、海上自衛隊による給油活動について質問します。

 総理は、インド洋で補給支援活動を行っている補給艦の派遣について、根拠法の延長は行わないことを明言されました。新政権のもとでは、自公政権下でのまず自衛隊ありきの国際貢献のあり方を転換し、平和国家にふさわしい、非軍事、文民、民生分野での貢献を軸に検討すべきと考えます。総理の見解を伺います。

 なお、インド洋での海上自衛隊による給油活動にかわる国際貢献策として、ソマリア沖での海賊対策に参加している船舶への給油活動が検討されているとも伝えられます。しかし、海賊対処は軍事活動ではなく、洋上で給油する必要性も薄く、自衛隊の本来の任務を超える活動であることに変わりはありません。

 アフガンでの対テロ戦争とソマリア沖での海賊対処は全く別の活動であり、これを混同して自衛隊を使い回すようなことはすべきではないと考えます。総理の考えをお聞かせください。

 次に、少子化対策について伺います。

 少子化対策担当である福島大臣に聞きますが、我が国の少子高齢化は政府が行っている将来人口の見通しより厳しく、喫緊の対応が迫られております。その中で、子ども手当への国民の期待は大きくなっています。

 私は、子育て支援策には、現金給付とあわせて、親の就労を保障し、保育所、学童保育所、子育て施設の充実も欠かせないと考えますが、いかがでしょう。

 また、保育所は、子供たちが安全、安心して生活ができるように国が最低基準を定めています。残念ながら、その水準は先進諸国中最低ランクです。この設置基準の権限を地方に移譲する方向との報道がありましたが、今でも先進国中最低の基準が一層低下するのではないかとの危惧、地域間の格差が生まれるのではないかという懸念が各方面から聞こえてまいります。

 待機児童の問題を解決するためには、量とともに質の確保も必要です。この点について大臣の見解をお聞かせください。

 鳩山総理は、所信表明演説で、新しい共同体のあり方だとして子育てを挙げられました。

 私は、保育の現場がその一つの核になり得ると考えます。行政と密接に連絡をとり合いながら、子供の貧困予防、保護の機能を持つ地域の保育所が必要です。地域の保育所が中核となって家庭での子育ても支援していく、子育ての問題なら何でもワンストップで保育所に相談できる体制をつくっていくべきだと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

 最後に、総理が所信表明で取り上げた、かのアインシュタインは、我々の直面する重要な問題は、それをつくったときと同じ考えのレベルで解決することはできないとの言葉を残しています。

 まさに今、私たちが直面している課題は自公政権の負の遺産であり、従来の発想では解決できません。そこに三党連立の鳩山政権の意義があると思います。

 社民党は、三党連立政権の一翼を担い、政策合意の実現のために誠実に努力していくことを表明し、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 重野議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、マニフェスト政策の実現に関する質問でございますが、マニフェストを私どもは掲げて選挙を戦い、そして政権交代を実現してまいりました。

 マニフェストはまさに国民との契約でございます。したがいまして、契約は基本的に守らなければなりません。したがいまして、私ども新政権は、連立三党の政策合意のもとでマニフェストの実現に向けて全力を挙げてまいります。

 そのマニフェストの政策の一つ一つに対して、国民の皆様方のさまざまな意見もあろうかと思います。具体的な一つ一つの政策を実現するに当たっては、その時々の民意を尊重することは、それも当然重要だと思っています。

 したがいまして、連立各党とも十分に協議をした上で、国民の皆様方にとってよりよい生活が実現されるように、マニフェストの政策の実現を図ってまいりたい、それが私どもの思いでございます。

 政権運営における憲法の位置づけでございます。

 先ほど重野議員も申されましたとおり、三党連立の政策合意の中に、唯一の被爆国として、日本国憲法の平和主義、さらには国民主権、そして基本的人権の尊重、この三原則の遵守を確認するとともに、憲法の保障する諸権利の実現を第一として、国民の生活再建に向けて全力を挙げると明記しております。

 これに基づいて新政権も動いてまいるということでありまして、これからの政権運営においても、連立与党の皆様方とともに、憲法の三原則を踏まえて、憲法の保障するさまざまな権利を尊重して、さらにそれらを深化、発展させ、国民の皆様方の生活を着実に再建していくことを、改めてこの場をおかりしてお誓いするところでございます。

 雇用保険の適用拡大についての御質問でございました。

 まずはセーフティーネットを強化して、国民の皆様方に安心を持って暮らしていただけるようにする。さらに、雇用保険の適用拡大につきましては、三党連立の合意や民主党のマニフェストの中にも盛り込まれているところでございます。

 したがいまして、現在、厚生労働省の労働政策審議会で検討をしている最中でございまして、十分な議論を踏まえて対応してまいりたいと思いますが、年内に結論を出す予定でございます。できるだけ早く結論を出すように我々としても努力を申し上げたいと思います。

 さらに、追加の対策についての御質問がございました。

 我が国の雇用情勢は、御案内のとおり、非常に厳しい状況であります。さらにこれから年末年始にかけて悪化をする懸念も感じられておりまして、今後の事態の推移に予断は許されない、このことは御案内のとおりであります。

 したがいまして、先般取りまとめました緊急雇用対策において、職を失って生活に非常に困っておられる方々への支援を最優先する、そして新卒者も、なかなか就職先が見つからない、未就職の方々への対応が求められております。そして同時に、雇用創造、新たな雇用分野というものを見出していくということに向けても本格的に取り組みをしておるところでございまして、細やかで機動的な内容となっており、政府一丸となって雇用対策に全力を傾注してまいりたい、そのように思います。

 今後の情勢についても、今申し上げましたように予断を許さないということでありますので、引き続き細心の注意を払ってまいります。その推移によっては、政治主導により果断に対応してまいることもお誓いをする次第でございます。

 地球温暖化対策のタイムスケジュールと基本法の制定ということでございます。

 地球温暖化対策の基本法については、先ほどもお話がございましたように、連立政権樹立に当たっての政策合意において、低炭素社会構築を国家戦略に組み込む、そして地球温暖化対策の基本法を速やかに制定を図っていくというふうに書かれておるものでございまして、それに基づいてしっかりと対応してまいりたいと思います。

 ただ、この九〇年比二五%削減目標に向けた具体的な政策の内容や、それらの実施のスケジュールに関しては、これは今後国際的な交渉が必要になっているわけでありますから、国際交渉における議論を踏まえて、地球温暖化問題に関する閣僚委員会などにおいてしっかりと議論をして結論を定めてまいりたいと考えております。

 地球温暖化対策としての農山漁村の再生についてのお尋ねがございました。

 農山漁村は、これは言うまでもありませんが、食料などの供給だけではなく、森林の吸収源として、あるいはバイオマスの供給源として、地球温暖化対策にも極めて大きく貢献できる大変大きな潜在力を有しております。

 また、農山漁村における地球温暖化対策への取り組みは、森林整備の促進あるいはバイオマスの活用を目的として、六次産業の創出を通じて新たな雇用を生む可能性がある、このように私どもは考えているところでございます。

 したがいまして、今後、戸別所得補償制度の創設に加えて、温室効果ガス削減に関する中期目標の達成に向けた努力が農山漁村の再生にもつながっていくように取り組んでまいりたいと考えております。

 在日米軍再編についての御質問でございます。

 在日米軍再編については、安全保障上の観点も踏まえながら、過去の日米合意などの経緯も慎重に検証をいたしました上で、先ほどからお話がありましたが、沖縄の皆様方の過去から未来に向けてのしっかりとした思いを受けとめていきながら真剣に取り組んで結論を出していかなければならない、繰り返し申し上げてきているところでございます。

 普天間の飛行場の移設、返還に関しましては、私自身から外務大臣及び防衛大臣に対して、さまざまな選択肢があるので、その選択肢を検討して調査するように指示をいたしたところでございまして、現在、過去の日米協議の経過検証等も行っているところであります。

 なぜこのような問題に十三年も時間を浪費してしまったか、そのことの反省を含めながら、最後の意思決定は私自身が行う思いでございますので、御理解を願いたい。

 北朝鮮問題及び村山談話についての御質問でございます。

 拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決していかなければなりません。そのことによって、不幸な過去を清算して国交正常化を図る方針に変わりはございません。

 そして、拉致問題に関しては、当然これは許しがたい行為でありますので、私を本部長とする新たな拉致問題対策本部を先般設置いたしたところでございまして、すべての拉致被害者の生還を実現したい、そのために、考え得るあらゆる方策を用いて一日も早い解決を目指してまいりたいと思います。

 あわせて、核、ミサイル問題も許しがたい話でございます。北朝鮮に対しては、諸問題の解決に向けて具体的な行動をとることが、みずから、彼ら自身の利益になるということを何としても理解させてまいらなければならない。そのためにも、国連安保理決議一八七四などに基づいた措置を我が国も、国際的な環境の中で、さらに我が国独自の措置も行いながらこれを着実に実施していくことも必要だと認識をしています。このようなことを行う結果、六者協議の早期再開を実現させたいと考えておりまして、引き続いて、アメリカ、韓国、あるいは中国などと緊密に連携をとってまいる所存でございます。

 新政権は歴史を真っすぐ正しく見詰める勇気を持った政権だと申し上げてまいります。私は、このことをさきの日韓、日中の首脳会談のときにも申し上げたところでございます。

 したがいまして、村山談話は、戦後五十年という節目のときに、私自身も当時の政権の中にかかわった形で閣議決定をいたした談話でございます。この思いは極めて重いと私は理解をしています。したがいまして、村山談話の思いは、この政権でこそ尊重されなければならない、そのような談話だと理解しているところでございます。

 アフガニスタン支援についてのお尋ねでございますが、アフガニスタン支援は、国際社会全体が対処していかなければならない大変大きな最重要の課題だと認識をしております。

 その意味で、私ども日本としては、本当に必要とされている、アフガニスタンにとって望まれている支援は何か、国際的な協力の中で日本が果たすべき役割は何か、そのようなことを検討しているところでございまして、農業やあるいは元兵士の職業訓練あるいは警察機能の強化といった、日本がこれまでも、それから、これからも得意とする分野に対して積極的な支援を行ってまいりたいと思います。したがいまして、そのような大きな文脈の中で給油支援をとらえる必要があるということでありまして、私どもとして単純延長は行いません。

 それから、海賊対処に従事する船舶への給油活動についての御質問がございました。

 インド洋での補給支援活動とソマリア沖・アデン湾での海賊対策は、基本的に別の行動だ、別の活動だと認識をしています。したがいまして、御指摘のような点については、法的な整理も必要になりますし、容易に結論が出せる話ではありません。したがいまして、現時点で私自身の念頭にはありません。

 以上、重野議員への答弁といたします。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣福島みずほ君登壇〕

国務大臣(福島みずほ君) 保育所や学童クラブ等の充実についてお尋ねがありました。

 経済的支援の充実から、子ども手当の創設、これは必要です。そしてまた、現物給付、保育所や学童クラブの充実、これも仕事と家庭の両立支援から大変大事です。総合的でバランスのとれた対策が不可欠だと考えています。

 今後の子育て支援策の充実については、出産や保育サービスを含めた総合的なビジョンである子ども・子育て支援ビジョンを来年一月末までに作成いたします。保育サービスや学童クラブなどを中心とする新たな数値目標を提示し、子育てをしっかり支援していくということをこの内閣でやってまいります。

 次に、保育所の最低基準の地方への権限移譲について御質問がありました。

 地方分権の趣旨や基本的方向性については、それは理解をしております。また、保育所の待機児童の解消、これももちろん必要です。しかし、保護者や保育関係者の皆さんから、保育の質をどう保つのかという懸念の声もあります。子供の保育環境や保育サービスの質の確保は、未来の、本当に未来の子供たち、これはまさに重要なことです。

 ですから、地方分権の推進という観点からのみ早急に結論を出すのではなく、保育所待機児童の解消、保育の質の確保、財源の確保、そして地方分権、この四つの項目についてしっかり検討を行い、知恵を絞ってまいります。

 賃貸物件を活用した分園方式の活用や少人数の保育所の認可、保育ママの拡充、学校の空き教室の利用など、既存の社会資源の有効活用や多様な保育サービスを拡充するよう工夫をしてまいります。

 保育所を活用した子育て支援の取り組みについてお尋ねがありました。

 保育に関する悩みは、大変皆さん持っていらっしゃいます。子供を預けて働いていらっしゃる方も、そして家庭の中で子供を育てていらっしゃる方も保育所を利用して、もっと利用して、一時的にでも相談ができる、預けることができるように、これについては進めてまいります。

 また、身近な地域において子育てに関する相談ができる環境を整えてまいります。そして、保育所を地域の社会資源として活用していく視点も重要であり、地域の保育所が子育てに関する中核部隊となるよう体制をしっかりつくってまいります。

 この内閣が、子供そして子育てを応援する内閣と、しっかり責務を尽くし、後の時代から、あのときに子育て、本当に変わったよね、子育て支援が変わったのよねという政策をやってまいります。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十一分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  鳩山由紀夫君

       総務大臣  原口 一博君

       法務大臣  千葉 景子君

       外務大臣  岡田 克也君

       財務大臣  藤井 裕久君

       文部科学大臣  川端 達夫君

       厚生労働大臣  長妻  昭君

       農林水産大臣  赤松 広隆君

       経済産業大臣  直嶋 正行君

       国土交通大臣  前原 誠司君

       環境大臣  小沢 鋭仁君

       防衛大臣  北澤 俊美君

       国務大臣  亀井 静香君

       国務大臣  菅  直人君

       国務大臣  仙谷 由人君

       国務大臣  中井  洽君

       国務大臣  平野 博文君

       国務大臣  福島みずほ君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  松野 頼久君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  宮崎 礼壹君


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