衆議院

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第2号 平成22年1月19日(火曜日)

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平成二十二年一月十九日(火曜日)

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 議事日程 第二号

  平成二十二年一月十九日

    午後一時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑

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本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑


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    午後一時二分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

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 国務大臣の演説に対する質疑

議長(横路孝弘君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。大島理森君。

    〔大島理森君登壇〕

大島理森君 私は、自由民主党・改革クラブを代表し、質問いたします。(拍手)

 答弁は簡潔明快にお願い申し上げます。答弁が不明確、不十分である場合には再質問を行うことを、あらかじめ申し上げておきます。

 初めに、先般発生したハイチでの大地震により、多くの方々が亡くなられました。ここに哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 我が党としても、対策本部を立ち上げ、ハイチ大使館にお見舞いを申し上げるとともに、政府に対し、我が国として救援、復旧等に全力で取り組まれるよう申し入れを行ったところであります。

 我々自由民主党は、自由と民主主義を基本理念といたしております。米国の著名な政治学者ジョン・H・ハロウェルは、著書で、真の自由は善についての理解と、それを知ったとき、善を選ぶ意思との両方を必要としている、また、民主主義は道徳律に従うという普遍的義務の存在に基づいていると述べています。

 このことは、我々が昭和六十年につくった国会の政治倫理綱領第四項に、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」と書かれています。

 政治倫理綱領は、鳩山総理も民主党も、そして我々も遵守しなければなりません。総理はこの綱領を遵守する決意があるかどうか、お答えをいただきたいと思います。

 民主党の小沢幹事長の元秘書である石川議員が逮捕されました。今、まさしく政治家の道義、倫理観が問われています。

 総理、あなたも、お母様からの絶大なる友愛に満ちた、脱税とも言われる生前贈与の問題があります。

 毎月一千五百万円の、税金を支払った現状、そして、総理の元公設秘書二名が政治資金の問題で起訴され、一人は公判に入る現状について、総理はどのようにお考えになりますか。

 総理は、かつて、秘書の問題は政治家の責任との倫理観を示していました。今、政治倫理綱領第四項に照らし、みずからの責任を明らかにするかどうか、お答えください。

 また、総理は、国民におわびするとおっしゃいましたが、何をおわびするのか、お答えください。

 総理は、かねて、検察の処理が終わってから説明すると言われたはずであります。多くの国民は、なお総理が説明責任を果たしていないと感じています。

 その要因は三点あると思います。

 まず第一に、一体、お母様からいただいたとされるお金を何に使ったのでしょうか。これを明らかにする必要があります。今この場で答えられないのであれば、予算委員会の前までに調査をして明らかにするか、集中審議や参考人招致や、そういう場で説明する義務が総理にあります。そのことを求めます。明確にお答えください。

 第二に、総理はすべてを秘書やお母様のせいにしていますが、本当に総理自身が知らなかったのかどうか、国民は疑っています。一時同居をしていた時期があったのではないかと聞き及んでいますが、毎月こんなに多額のお金をお母様からいただいて、総理は感謝の気持ちも伝えていないのでしょうか。

 秘書からもお母様からも知らされず、すべて勝手にやっていたというのは、国民の常識からすると全く理解できません。総理の関与について明確にお答えください。

 三番目は、お母様からの生前贈与は、明らかになった七年間以前にもあるはずだという疑念です。

 総理は、それを調べましたか。今回の対応で事足りたとお考えですか。それ以前にも政治資金に使われた生前贈与がなかったのか、そして、それらの処理はどうするつもりか、お答えください。

 これから確定申告の時期になります。総理は、みずからが巨額の脱税をしたという認識はないのでしょうか。まじめな納税者から見れば、こんなことをしても重加算税が課されないのかと思っていることでしょう。総理の処理との間にギャップを感じるのではないでしょうか。総理の考えを伺います。

 あわせて、鳩山総理の巨額の生前贈与について、国税庁としてこれ以上調査しないのかどうか、また、税法上、脱税が発覚した後に慌てて税を納めれば事足りるのかどうか、菅財務大臣に伺います。

 小沢幹事長をめぐる問題について伺います。

 元秘書の石川知裕議員と秘書二名の逮捕には、だれもが衝撃を受けました。ここにいる議員各位も衝撃を受けたことでしょう。総理、あなたの元秘書二名も起訴されています。

 こうした異常な状況の中、総理は、こういう問題があるにもかかわらず民主党を国民の皆さんの多くが選んだなどと、国民に責任を転嫁し、愚弄する発言をしました。また、検察と闘う姿勢の小沢幹事長に対し、総理は、どうぞ闘ってくださいと応じたと聞きます。

 どれも一国の総理としての発言とは信じられません。闘うとは、だれと闘うことを念頭に置いたのですか。国策捜査であるとか指揮権発動といったことを言いたいのでしょうか。これらの発言の真意を伺います。

 小沢幹事長をめぐる問題は、虚偽記載にとどまらず、公共工事の受注をめぐる疑惑の報道もあり、コンクリートから巨額政治資金へとやゆする人もいます。民主党の諸君が全く口を閉ざしていることも信じられません。

 何よりも先に、国会の場で小沢幹事長が説明することを求めます。小沢幹事長、ぜひ国会に出て御説明ください。また、民主党として調査して説明するか、民主党代表の総理自身が小沢幹事長から聞いてお答えになるか、いずれかをすべきではないでしょうか。小沢幹事長、民主党、そして総理の自浄能力が問われています。総理の御所見を伺います。

 この問題のポイントは、基本的に五点あるんです。

 第一に、購入代金四億円の原資は何ですか。第二に、報道によれば数億から十数億とも言われる複雑な資金操作の理由は何ですか。第三に、購入の翌年に記載した理由は何ですか。第四に、購入後に融資を受けた理由は何ですか。そして、第五に、平成十九年に、小沢幹事長が巨額の不動産が自分のものではないと証拠として示した確認書なるものが記者会見直前に間に合わせてつくられたものとの報道がありましたが、こうした証拠書類の偽装や隠滅がないかという点を踏まえて調査し、まさに政治倫理綱領を遵守する形で、できれば予算委員会前までに提出してください。そうでなければ、国会での集中審議の場を設け、参考人招致等に応じることを強く求めます。総理の意思を明確にお答えください。

 マニフェストについて伺います。

 総理、まだ昨年の総選挙時のマニフェストは守らなければならないとの認識ですか。端的にお答えください。

 総理は、マニフェストは国民との契約であり、必ず実現する、約束を果たせなければ責任をとるとまで言われました。にもかかわらず、昨年、予算編成も大詰めの段階で、小沢幹事長の申し入れにより、ガソリンの暫定税率廃止が見送られました。

 また、民主党の皆さんが強く主張していた年金記録問題解決のための予算二千億円も、九百億円と半額以下になっていました。

 さらに、財源も、マニフェストのもくろみどおりに確保されておりません。民主党は、当初、国の総予算二百七兆円の組み替えと無駄の削減で二十兆円捻出すると大見えを切られました。それが、選挙では九・一兆円になり、半減され、その後の総理会見では七兆円となり、さらに事業仕分けでは目標額が三兆円となり、事業仕分けを終了してみると六千億円、それに土地改良の予算削減などを含めて約一兆円にとどまったのではありませんか。当初目標との差額は、何と十九兆円であります。バナナのたたき売りではありません。大変なマニフェスト違反ではありませんか。

 そこで、総理にお伺いします。今、マニフェストの達成率はどのぐらいとお考えですか。

 これらの事実は、マニフェスト実現が到底不可能であることを示しております。総理は、これからも、マニフェストそのものを仕分けせず、マニフェストどおりにおやりになるつもりなのでしょうか。七月の参議院選挙まで、できもしない幻想をまだ振りまくおつもりなのでしょうか。それは国民に対する欺きであり、責任ある政治家の矜持を示すべきであります。マニフェストを仕分けする考えがありますか。あるとすれば、どの点を仕分けするのか、総理のお考えをお聞かせください。

 今次の補正予算について伺います。

 政府は、昨年、我々自公政権がつくった一次補正の予算執行を約三兆近く凍結しました。この結果、二次補正を実施するまで三カ月の経済対策の空白が生じることとなったわけであります。菅大臣は、当時、執行停止が今年度のGDPに与える影響はマイナス〇・二%しかないと言われました。マイナスになることを承知で凍結する考え方こそ、鳩山政権の経済への無定見さをあらわしております。

 二次補正の需要喚起効果は一千億にも満たないのではないでしょうか。菅大臣に伺います。二次補正の実施が我が国のGDPにどれだけの効果となるのか、明確にお答えください。

 平成二十二年度予算について伺います。

 二十二年度予算は、今年度当初を大幅に上回り、九十二兆円を超える規模に膨れ上がっております。なぜこうなったのでしょうか。全面的に組み替えると言っていた二百七兆円の国の総予算がほとんど削られず、子ども手当や高校無償化など、まさに民主党の一部マニフェスト実施のための所要額が四兆円程度増加したことなどが原因であります。

 この結果、過去最大の四十四兆円を超える国債発行が余儀なくされております。まさしく持続性のない予算と言わなければなりません。将来の財政収支はどうなってしまうのか、国民は不安を抱いております。

 いまだに政府が中期的な財政のフレームを示していないことは無責任であります。私は、ぜひ予算審議前に財政の中期見通しを提出するよう求めるものであります。総理の明快な御答弁を願います。

 また、地域経済の現状は大変です。にもかかわらず、景気の下支えとなる公共事業はいきなり一八・三%も削減されております。総理は、地域経済の現状をどう認識し、どう対処していくおつもりなのか、御所見を伺います。

 また、来年度予算に対して、我々は間もなく我々の考え方を示します。そして、修正動議を提出する考えであることを申し添えておきます。

 消費税について伺いましょう。

 総理は、四年の間に消費税の議論も増税も考えることは決してないと断言しておられました。ここ何日かの報道を見ておりますと、菅大臣、仙谷大臣ほか、かなり前向きの発言を行っているように受けとめられますが、鳩山内閣はここでもばらばらであります。消費税について、改めて総理のお考えをお聞かせください。

 また、政府の統一した見解と、さらに、二十一年度所得税改正法の附則を来年度も入れるのかどうか、しっかりと御答弁をください。

 次に、新成長戦略について伺います。

 鳩山内閣の新成長戦略なるものは、経済成長の基本を全く理解していないものであります。成長とは、技術革新により設備投資が促され、それが生産性向上に結びつき、所得増に結びついていくという基本を押さえなければなりません。そこを押さえずに、具体的な手順も財源も先送りにしたまま、ただ項目を並べても現実性はありません。

 来年度予算では、技術革新の礎となる科学技術振興費が何と二十七年ぶりに減額されております。世界各国が政府研究開発投資をふやしている中、日本だけがその流れに逆行している状況で、これも成長戦略に対する政府の無定見と言わざるを得ません。

 総理は、名目三%以上、実質二%以上とする高い成長を一体どうやって実現していくのか、具体的にお答えいただきます。

 一月十一日の朝日新聞朝刊に、鳩山政権はことしの世界の十大リスクの五位に列せられたとの記事がありました。米国のコンサルティング会社による国際政治上の危険要因分析であります。

 鳩山政権は、気候変動やインド・パキスタン関係の緊張激化を上回る危険要因だというのです。理由は、鳩山政権の社会主義的政策に危惧する内容で、世界的に見ると高い危険要因になっているというものです。参院選で民主党が勝てば、さらにマニフェストに忠実な政策を実行しようとして混乱するだろうとの予測までされているのであります。総理の御所見をお伺いします。

 鳩山政権のもとでは、国の信用力に対する国際評価について、十七日の日本経済新聞朝刊が、日本のクレジット・デフォルト・スワップ取引に対する保証料率が中国より高くなったと記事は載せております。日本国債が、国際市場では中国国債よりも危険とみなされているということでありましょう。やはり、鳩山政権の経済財政運営に対する危惧、経済政策の質の悪化が深刻に受けとめられているのであります。この現実をどう認識されますか、総理の御所見を伺います。

 鳩山総理は、二〇二〇年までに我が国の温室効果ガスの削減目標について九〇年比二五%削減という高い目標を華々しく打ち出しました。総理、九〇年比二五%削減がどれほど過重な国民負担となるのか、端的にお示しください。

 また、先般のCOP15の合意で、先進国は今月三十一日までに二〇二〇年の排出削減目標を政治的合意しなければなりません。もう時間がありません。鳩山総理、九〇年比二五%削減の目標を約束するのですか、さもなくば、撤回するのですか。できもしないことを約束しないでください。総理の明確な答弁を求めます。

 本日は、日米安保五十年の記念すべき日であります。この節目の年にもかかわらず、国民が一番懸念を抱いているのが、日米の同盟関係が揺らいでいるのではないか、信頼関係が失われていくのではないかとの危惧であります。日米関係の現状や今後については予算委員会で同僚議員が質問しますが、その象徴である普天間問題について質問いたします。

 普天間基地の移設問題について伺いますが、五月までに決めると言っておられますが、何を決めるのですか。明確な移設場所を決めるのでしょうか。また十二月同様、決めないことを決めるのでしょうか。また、その場所は、あらゆる場所をお考えなのですか。つまり、今の辺野古沖案も総理の選択肢の中に入っているのでしょうか。総理の所見をお伺いします。

 政府は、十六日、海自補給艦隊によるインド洋上での補給支援活動の終了、撤収を命令しました。自衛隊諸君に対し、我々は、心より感謝し、敬意を表するものであります。

 鳩山総理は、政策的意義でいえば必ずしも十分な意味を持っていなかったのではないかと語られています。我が国の命運を担った総理の発言としては、余りにもお粗末な国際感覚であり、外交感覚であります。総理、我が国の補給支援活動をどう評価しておられるか、改めて御見解をお示しください。

 総理は、また、約五千億円の新たなアフガン支援を表明されました。金だけ出して汗をかかないと批判された二十年前に逆戻りしたかのような資金援助であります。一体、その中身は何であるのか、何に使うのか、いまだに示されておりません。お示しください。

 我が党は、通常国会に補給支援活動法案を改めて提出するとともに、継続審議となっていた北朝鮮船舶検査法案の成立を目指します。両法案は、我が国の国益に資するものであります。ぜひとも、早期に両法案が成立するよう、この議場に居並ぶ良識ある議員各位の御賛同を心から期待申し上げます。

 なお、我が党はこれらの活動を含む国際平和協力活動に関する一般法を本国会に提出することを申し添えます。

 最後に、冒頭でも紹介申し上げましたように、民主主義に道徳律の正当さが必要と言い、また孔子は、民信なくば立たずと言っております。これは、政治には国民の倫理観の信頼が一番大切であるということであります。東西、そして現代といにしえの言葉を、与野党、若い諸君もお互いに共有し、かみしめて国政を担っていこうではありませんか。このことを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 政治倫理綱領について御質問がありました。

 衆議院政治倫理綱領は、国会法百二十四条の二の規定するところにより、各議員がこれを遵守しなければならないとされているところであると承知をしております。私としても、政治家としてこれを遵守していくべく、できる限りの説明を尽くしてきたところでございます。

 政治資金問題の現状についての御質問がございました。

 私の政治資金の問題についての御評価は国会の皆様方の御判断でございますが、検察捜査によって全容が解明をされ、処分決定によって決着をしたと認識をしております。それを受けて、昨年末に記者会見を開き、国民の皆様、御迷惑をおかけした皆様方におわびを申し上げ、でき得る限り説明を尽くしたところでございます。あわせて、解明された事実に基づいて、母からの資金提供について申告をし、納税を行ったところでもございます。

 なお、私が母からの資金の提供を知らなかったということは、検察の捜査によっても事実として解明されたと私は認識をしております。

 過去の発言と政治倫理綱領に関するお尋ねがございました。

 過去の発言について弁解するつもりはありません。しかし、私自身、このことによって私腹を肥やしたとか、あるいは不正の利得に手を染めたという事実はありません。しかし、御批判に関しては真摯に受けとめて、政権交代に御期待をしていただいた多くの国民の皆様方のお声にこたえるのが使命だと改めて決意をいたしているところでございます。

 政治倫理綱領にかかわるお尋ねがありました。

 捜査権を持つ検察の捜査で全容が解明をされ、その事実に基づいてできる限りの説明は尽くしたつもりでございます。改めるところは抜本的に改めてまいります。御理解と御支持をいただけるよう、身を粉にして私に課せられました使命というものを遂行していくために全力を傾注していくことが、政治家、総理としての責任であると考えております。

 何をおわびをするのかというお尋ねがございました。

 私の資金管理団体である友愛政経懇話会などの収支報告書に多額の虚偽記載があったことが検察の捜査によって解明をされました。解明された事実と元公設の秘書二名の起訴という検察の処分決定を大変重く受けとめて、御迷惑をおかけした国民の多くの皆様方におわびを申し上げたところでございます。

 母からの資金の使途についてお尋ねがございました。

 母から提供された資金の使い道については、検察が収入、支出の全体について捜査を行い、収入については起訴処分のとおり虚偽記載がありましたが、支出について違法な支出があったという指摘はありませんでした。したがいまして、支出内容について明らかにせよとの御要求ですが、基本的には不正な支出についてはないものだと理解をしております。

 ただ、また今後公判が予定をしており、さらに、帳簿、領収書などの書類はすべて東京地検に任意提出をいたしております。公判の終了の後、書類が返還された後に、弁護士の調査チームに、分析をし、検証するように既に依頼をしているところでございます。

 なお、予算委員会の審議に関することにつきましては、国会、委員会で御議論、決定をいただくことを考えておりますが、検察の捜査が終結したという事実は認識をしていただきたいと存じます。

 それから、母からの資金提供への関与についての御質問でございました。

 今、御質問の中で、母と同居していた時期があったのではないかというお尋ねもありましたが、留学をして以来、母と同居した事実はありません。

 それから、私が資金の提供を知らなかったということに関して、検察の捜査によって事実として認識されたと私は理解をしております。ただ、知らなかったという事実について、国民の皆様方が御理解をしていただくには若干の時間がまだ必要ではないか、かかるのではないか、そのように申し上げておきますが、私自身のうそ偽りのない真実でございます。

 資金の提供を知りませんでしたので、したがって、母に対して感謝の気持ちを伝えることもできませんでした。このことに関しては深く反省をしておりますが、検察の捜査、処分でも、私の関与はなかったことが証明されていると理解をしているところでございます。

 七年前以前の生前贈与の有無、それから処理についてのお尋ねがございました。

 母からの資金提供について私が全く知らなかったことは、先ほども申し上げましたように、明らかになったと認識をいたしております。したがって、検察の解明に従って、七年前、平成十四年夏からの贈与税の申告、納税をいたしたところでございます。

 母からの資金提供については、弁護士による調査チームにも調べてもらいましたが、判明をいたしませんでした。検察の捜査によって初めて明らかになったと思っております。それ以前の資金提供についての指摘は、検察からありませんでした。したがいまして、私としては、検察の解明に基づいて、指摘を受けた期間についての申告の手続をしたというのが事実のすべてでございます。

 脱税の認識、納税者とのギャップについてでございます。

 母からの資金提供については、私自身は何も承知をしておりませんでした。したがいまして、贈与税を免れようという発想自体はあり得ませんでした。まさに、脱税という認識は全くございません。

 ただ、承知をしていなかったとはいえ、結果として、その資金が私のために提供され、使われたわけでございます。そのことが捜査によって明らかになったものでありますので、昨年の末、その事実に基づいて申告をし、納税を行ったところでございます。

 納税者の意識とのギャップについて御指摘がありましたが、具体的な課税については国税当局の判断と運用でございまして、私自身がお答えをする立場ではございません。

 それから、総理の、私自身の発言の真意を問うということでありますが、私は、記者の皆さんからの質問の趣旨をそんたくして、私の資金管理団体の献金問題は総選挙前から指摘をされておりました問題であり、それにもかかわらず民主党を選択していただいた国民の皆様方の御期待に何としてもこたえるのが私の使命ではないか、したがって、そのことを率直におわびして、改めるべきところは改め、身を粉にして国民のために働かせていただくという趣旨で発言をいたした次第でありまして、それ以上でも以下でもございません。

 また、小沢氏は、党代表である私に、自分は潔白である、したがって闘うと言われました。したがって、私は、幹事長職にとどまり日本の政治の変革に向けてともに闘うことを了といたしたのでございます。また、小沢氏の闘うとの表明には、みずからの潔白を証明していくという決意である、そのことを私も了といたしたのでございます。

 私は、行政の長であり、検察が公正な捜査を行うことを信じたいと思います。検察の捜査を冷静に見守ることが今必要であり、小沢氏もまた潔白を訴え、説明をされるのが当然の権利である、そのように思ってもおります。

 なお、国策捜査あるいは指揮権発動については、私は考えてはおりません。

 小沢氏の説明責任でございますが、国会審議に関する事項については、ぜひ国会で御議論をして決定をいただきたいと存じます。

 本件に関する調査については、既に検察が捜査中であり、その捜査を冷静に見守ることが肝要と考えており、党あるいは党代表による調査等については考えてはおりません。

 本件においては既に三名の逮捕者が出ており、検察が公正な捜査を行うことを信じ、また、民間による調査などはなじまないと考えております。

 小沢幹事長の政治団体についての調査と国会審議に関するお尋ねでありますが、小沢幹事長の政治団体の土地取引にかかわる事案については、まさに捜査中であり、それによって事実が明らかになるものだ、そのように考えております。

 したがいまして、事実の解明は捜査権を持つ検察の捜査によって行われるべきものだと思っております。集中審議など国会の運営に関することは、ぜひ各党各会派で御議論をいただきたいと存じます。

 マニフェストについて、守らなければならないと認識しているかとのお尋ねでございます。

 マニフェストは国民の皆さんとのまさに約束であります。当然にして、守らなければならないと思います。

 一方で、国民の生活が第一という政治の原点に立ち返れば、個々の政策を実行に移す際には、国民の世論とかあるいは地域の皆様方のお声に耳を傾けていかなければならないことは言うまでもありません。

 したがいまして、今後とも、国民の皆様方と真摯に向き合い、議論をしながら、マニフェストに掲げた政策を一つ一つ実現すべく、全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。

 マニフェストの達成率についてのお尋ねがありました。

 マニフェストは政権四年間に達成する政策項目を掲げたものでございます。まだスタートしたばかりであることは御案内のとおりでございます。

 政権発足の後、現在までの成果を申し上げれば、子ども手当、高校無償化、戸別所得補償、高速無料化など、一年目に実施するとしていた多くのものは二十二年度の予算案の中に盛り込んでございます。

 また、その財源は、マニフェストにあるように、無駄遣いや不要不急な事業の見直し、予算の組み替え、特別会計からの繰り入れなどによって確保したものでございます。

 ガソリン税などの暫定税率につきましては、熟慮に熟慮を重ねた結果、暫定税率より、まずは景気対策を求めるという世論の声が大変強かったということ、さらには、原油価格が現在のところ安定しているなどを勘案して、現行の十年間の暫定税率は廃止するものの、税率水準は維持するとしたものでございます。

 また、年金記録問題への対応につきましては、できる限りの効率化を図った上で、必要な経費を二十二年度予算案に計上したところでございます。

 このように、二十二年度予算は、税収が大幅に落ち込むという極めて厳しい財政事情の中で、国民の声にも耳を傾けつつ、さまざまな工夫を凝らして、マニフェストの主要事項をおおむね実現する予算案になった、そのように考えております。

 マニフェストを仕分けるのかという質問に関してでございますが、マニフェストは国民に対する約束でございます。一方で、民主主義の原点に立ち戻れば、国民の声に耳を傾けることも大事でございます。

 したがいまして、今後も、国民の皆さんと真摯に向き合いながら、議論をしながら、マニフェストに掲げた政策を一つ一つ実現するために全力を尽くしていきたい、そのように考えております。

 財政の中期見通しについての御質問でございます。

 未来に向けて国民が安心して生活できる社会保障の整備と新たな経済成長への投資を行うために、財政の健全化は不可欠の前提でございます。

 巨額の財政赤字からスタートいたしました新政権でございます。したがいまして、本年前半には、複数年度を視野に入れた中期財政フレームをつくります。そして、それとともに、中長期的な財政規律のあり方を含みます財政運営戦略を策定して、財政健全化への道筋を示してまいりたいと思います。その中で、経済財政の今後の見通しなどについてもお示ししてまいります。

 地域経済の現状と対策についての御質問でございます。

 これは発想の違いが出てまいると思いますが、地域経済は、厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きが引き続き見られる地域がやや広がってきたのも、これも事実であります。

 来年度の予算政府案では、「コンクリートから人へ」という考え方に立ちまして、公共事業を大幅に削減する一方で、子ども手当や高校無償化、さらには医療、雇用など命を守る予算を充実して、供給サイドからむしろ需要サイドに力点を置いた経済政策へと転換を図っているところでございまして、一方で、地域においても、補正予算で、地域活性化・きめ細かな臨時交付金を五千億円計上するとともに、来年度予算の政府案においても地方交付税の増額を図ってまいっているところでございます。

 消費税についての御質問がございました。

 消費税については、一貫して、四年間は、これは三党の連立の政権合意の中で、歳出の見直し等に関して努力を最大限行ってまいる、したがって、その間、税率の引き上げは行わないということにいたしているところでございます。

 また、二十一年度税制改正法の附則の取り扱いについては、直ちに法制面の対応を行うことは考えておりません。

 新成長戦略についてのお尋ねがございました。

 自民党政権のもとでの成長戦略は、おおむね供給サイドに力点を置いたものだった、さらに、縦割り行政や政策を実現するための政治的なリーダーシップにも欠けていたと申し上げなければなりません。

 それに対して、新政権の新成長戦略は、これまでの発想を大転換して、需要からの成長を目指すものでございまして、国民生活の向上に主眼を置いた、人間のための成長戦略でございます。

 環境や健康分野などにおける我が国の強みの発揮とか、あるいは、アジアとの連携強化などのフロンティアの開拓、これを支える科学技術や人材の強化が柱でございまして、縦割りとかあるいはしがらみとか、そういったものに新政権はとらわれるものではありません。強い決意のもとで内閣一丸となって臨んでまいりたい、成長率を、基本方針に掲げたように実現を目指してまいります。

 それから、政権に対する国際社会の評価についてのお尋ねであります。

 外国のコンサルティング会社が行ったセンセーショナルなレポートに関しては、新政権の政策を正確に反映しているというものとは思われません。特段のコメントはありません。

 他方で、私自身がさまざま海外を訪問したとき、日本に外国の要人をお迎えしたときにも、政権交代による新政権の誕生に対してかなり肯定的な御評価、激励をいただいていたことも紹介を申し上げておきます。

 鳩山政権の経済財政運営についての質問であります。

 新政権においては、確実な景気回復とデフレ克服を目指して、昨年十二月に緊急経済対策を策定するとともに、中長期の新成長戦略の基本方針を取りまとめたところでございます。また、ことしの前半には、先ほども申し上げましたが、複数の年度を視野に入れた中期財政フレームをつくります。さらに、中長期的な財政規律のあり方を含む財政運営戦略を策定して、財政健全化への道筋を示すことにしております。

 このように、この内閣は適切な経済財政運営に取り組んでおります。国際社会からも理解を得られるものだと認識をしております。

 地球温暖化対策であります。

 地球温暖化対策は、負担のみに着目するのではなく、新たな成長の柱と考えることが発想の転換として大変重要だと思っています。

 中期目標の達成に向けて、御指摘の国民負担のほか、従来のモデル分析では必ずしも十分に分析できてこなかったプラスの効果、例えば新産業、新市場の創出とか、あるいはイノベーションの促進といったものの評価の仕方を含め、今、閣僚委員会で引き続き検討しているところでございます。

 なお、地球温暖化というものをそのまま放置したときのコストがもっと深刻になるということを、私たちは改めて考えていかなければなりません。

 温室効果ガスの削減目標についてでありますが、昨年十二月のCOP15では、私も参加をいたしました首脳級の協議を経て、コペンハーゲン合意というものを策定いたしました。この合意では、先進国は今月の三十一日までに温室効果ガスの排出削減に関する目標を提出することになっております。

 我が国といたしましては、一九九〇年比でいえば二〇二〇年までに二五%の温室効果ガスの排出削減を目指す。これまでも表明してきたところでございます。この目標は、すべての主要国による、公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を前提としております。今月三十一日までに提出する目標についても、こうした前提条件をつけた上で、二五%をはっきりと書き入れるべきだと考えております。

 普天間の飛行場の移設についての質問でございます。

 五月までに決めるというのは普天間の飛行場の移設問題についての結論でありまして、官房長官を長とする沖縄基地問題検討委員会で精力的に議論をして、具体的な移設先を決めます。その移設先については、特定の前提を置かず、ゼロベースで幅広く検討をするということでございます。

 インド洋での補給支援活動についてのお尋ねがございました。

 過酷な環境のもとで、これまで高い士気と規律を保ちながら補給支援活動に従事してこられた自衛隊の皆様方には、心から敬意と感謝を私も申し上げたいと思います。

 補給支援活動については、一定の成果を全く否定するものではありません。しかし、補給回数が一時期に比べて減少してきたことも事実であり、補給支援活動自体の意味合いが小さくなってきたという面も、これも事実として認めざるを得ません。

 補給支援活動は終了いたしましたが、政府としては、民生支援を中心として、引き続いて国際社会によるテロ対策の取り組みに積極的、主体的に貢献してまいりたいと考えております。

 最後に、アフガニスタン支援についてのお尋ねがございました。

 我が国のアフガニスタンへの支援策は、日本の責任をきちっと果たしていきたいと思っておりまして、カルザイ新政権の任期である五年を念頭に置いて、最大限の支援を行いたいと思っております。

 この支援策の柱は、一つは、アフガニスタン自身の治安能力の向上であります。二つ目は、元タリバンの末端兵士の再統合でございます。三つ目は、アフガニスタンの持続的、自立的な発展のための支援でございまして、積極的に行ってまいりたいと思います。

 残余の質問については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)

    〔国務大臣菅直人君登壇〕

国務大臣(菅直人君) 大島幹事長にお答えをいたします。

 まず、政治資金問題、脱税の疑いについての質問であります。

 財務大臣として、個別にわたる事柄についてはお答えすることは差し控えさせていただくのが私の立場だと認識をいたしております。

 一般論として申し上げれば、国税当局においては、有効な資料情報の収集に努め、課税上の問題があると認められる場合には税務調査を行うなど、適正公平な課税の実現に努めている、このように承知をいたしております。

 二次補正予算の実施によるGDPへの効果についての御質問にお答えをいたします。

 明日の安心と成長のための緊急経済対策により、実質GDPは〇・七%程度押し上げられると見込んでおります。同時に、大島議員がおっしゃるように、二次補正には二十一年度の第一次補正の見直しによる執行停止額の減額が含まれておりまして、これが、実質GDPへの影響がマイナス〇・二%程度、さらに、二十二年度以降も含めて、二十一年から二十二年度を含めて合わせるとマイナス〇・四%程度でありますから、それらを合算いたしますと、プラスの〇・三%がこの二次補正の実質GDPへの効果と考えております。

 なお、大島議員の方から、二次補正の需要喚起の効果は一千億円に満たないのではないかと今御質問がありましたが、この一千億円という根拠が私には全くわかりません。

 二次補正の中身を概略申し上げますと、この緊急経済対策として計上したものは、予算額で七・二兆円、事業規模で二十四兆四千億円でありまして、この経済効果は、二次補正予算全体としては名目額で一・四兆円程度の経済効果があり、先ほど申し上げましたように、実質GDP比で合わせて〇・三%程度のプラスの効果があると考えておりまして、一千億円という根拠がもしありましたら、ぜひ予算委員会ででも教えていただきたいと思います。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 斉藤鉄夫君。

    〔斉藤鉄夫君登壇〕

斉藤鉄夫君 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 私は、公明党を代表して、先ほど議題となりました財政演説に対して、鳩山総理に質問をさせていただきます。(拍手)

 冒頭、先般のハイチで発生した大地震により亡くなられた方々とその御遺族に対して心から哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。

 公明党といたしましても、ハイチのプレバル大統領に対してお見舞い申し上げるとともに、今、全国各地で、被災復興支援のための街頭募金活動を実施させていただいております。私も街頭に立たせていただきましたが、国民の関心は非常に高く、ぜひ積極的に支援策を講じるべきだとの声が多く強く寄せられております。

 阪神・淡路大震災から十五年がたちました。地震国である日本としては、これまでの教訓を生かしながら、ハイチ国民のために積極的に対応されるよう強く要望するものであります。

 さて、まずは、鳩山総理の政治姿勢について申し上げ、問いたださなければならないことがあります。

 政権交代から四カ月余り、鳩山総理について三点御指摘申し上げたい。それは、第一に、国民への説明なし、第二に、国民への信義なし、第三に、リーダーシップなし、この三つのなしでございます。

 第一の、国民への説明なし。言うまでもなく、政治と金についてでございます。

 まずは、総理自身の偽装献金問題、そして実母からの巨額の贈与と贈与税の問題でございます。

 偽装献金問題については、総理の元秘書が在宅起訴されましたが、秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきとのかつての総理の言葉はどうなったのでしょうか。

 贈与の問題については、月額千五百万円、一日に換算すれば五十万円もの実母からの贈与を本当に知らなかったなんて、国民が信じられると思いますか。

 結果として、十二億円を超える贈与に係る贈与税を納めてこなかった、すなわち、国民の義務たる納税を怠っていた事実は、知らなかったから、親の金だからといって、説明なしで国民は許してくれると思っておられるのでしょうか。額に汗して納税している国民からすれば、税逃れであり、脱税そのものではありませんか。

 そして、その巨額のお金は一体何に使われたのでしょうか。全く説明責任を果たしていないのではないですか。総理、ぜひともこの場でその使途を明らかにしていただきたいと存じます。

 また、先週、小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反の疑いで、現職国会議員の石川知裕民主党衆議院議員を初め三名が逮捕されました。小沢氏に関連した事件は昨年に続いてであり、極めて異常なことであります。

 この件について、当事者である小沢氏が説明責任を果たしているとは到底言えません。検察と闘うという決意だけで、説明責任を放棄するならば、それは権力を持つ政府・与党の正しい態度ではない、このように思います。

 法と証拠に基づき真相をきわめようとする政府機関たる検察当局に対し、与党民主党全体が圧力をかけるかのごとき印象を与えるのは、法治国家として尋常なこととは言えません。

 また、総理自身が小沢氏の民主党幹事長職の留任を容認した以上は、小沢氏の政治と金をめぐる疑惑にも総理の説明責任が生じたのであります。総理の説明を求めます。

 今、鳩山総理、そして民主党が政治の信頼を大きく損ねていることを総理は自覚されておられるのでしょうか。

 いずれにしても、私は、政治家たるや、まずは、疑惑を持たれている当事者みずからが説明責任を果たしていくことが基本であり、さらには、所属政党すなわち民主党みずからが真相の究明に当たり、自浄能力を発揮するよう強く期待するものであります。

 公明党は、さきの国会で、会計責任者が不正行為を働いた場合、監督責任のある議員の公民権を停止する政治資金規正法改正案を提出いたしました。総理は、昨年の衆議院選挙の際の党首討論でこの法案に賛意を示されておりましたが、今国会でぜひ成立を期すべきと考えます。明確な答弁をお願いいたします。

 第二の、国民への信義なし。その最たるものは、明白なマニフェスト違反についてであります。

 予算の組み替えと無駄の削減でマニフェスト実現に必要な財源七兆円は簡単に出せると豪語していたのに、現実には国債発行と一時的ないわゆる埋蔵金頼みの予算編成になったのが、そのマニフェスト違反の第一。そして、ガソリン税などの暫定税率は、廃止どころか、実質的に維持されました。特定扶養控除は、マニフェストでは存続と明確でしたが、十六歳から十八歳のこの控除は見直されました。

 私は、すべて一〇〇%マニフェストどおりでなければならないと言うつもりはありません。特に、暫定税率については、我々は、民主党の主張は間違っている、このように言ってまいりました。

 しかしながら、暫定税率廃止は、一昨年の四月に、民主党がそれこそガソリン値下げ隊ののぼりを掲げ、結果として一カ月間の一時的な引き下げを行い、大混乱を引き起こしました。そして、マニフェストの最重要課題に盛り込まれたのであります。しかし、それが今回、廃止ではなく、実質的に維持されることとなった。では、あの混乱は、あの大騒ぎは一体何だったのか。

 そこで、鳩山総理に伺いますが、ガソリン値下げ隊は間違いだったのですか。マニフェストが間違いだったのですか。それとも、今回の判断こそが正しかったのですか。明確にお答えください。

 第三の、リーダーシップなし。このことは、政府への信頼の観点から非常に深刻であると言わざるを得ません。

 鳩山内閣の閣僚が、内閣としての一体感もなく、統制もなく、それぞれが好き勝手に発言し、総理の存在感が全く見えない中で、予算編成、税制改正論議は迷走を続けました。

 司令塔不在による鳩山内閣の迷走は、予算、税制にとどまりません。特に指摘しておきたいことは、普天間基地移設問題をめぐる閣内の迷走、武器輸出三原則の見直しに言及する防衛大臣、消費税の認識に対する閣内の不統一など、国の根幹にかかわる重要課題で、閣内はばらばら、総理は適切に指導力を発揮できていないという事態は異常でございます。

 総理、基地問題、武器輸出三原則、そして消費税の課題について、内閣としての明確な統一的見解を示してください。

 さて、経済財政政策について順次質問をいたします。

 日本経済は、世界を震撼させた金融危機の泥沼からはようやく脱しつつあるものの、鳩山内閣による第一次補正予算の執行停止の影響やデフレの進行により、景気二番底の懸念はなお消えず、重大な局面にかかっております。

 足元の景気、経済の実情はどうかといえば、統計や株価にあらわれる数字ほど決して生易しいものではありません。賃金が減っていく、仕事がない、いつ解雇されるかわからないなど、厳しい現実社会の中で、庶民は日々の生活防衛のために奔走しております。

 特に、雇用問題は深刻です。新卒者の内定率は、昨年十二月時点で、大学新卒者で七三・一%、高校新卒者で六八・一%と、かつての就職氷河期に匹敵する非常事態を迎えています。雇用不安、なかんずく若者の失業の増大は将来の日本の危機です。今こそ政府が先頭に立ち、雇用対策、雇用創出に取り組むべきであります。

 地方経済も深刻です。中小零細企業においては、長引く不況やデフレの影響、さらには公共投資の大幅削減の影響などもあり、昨年よりことしの方がより深刻、発注する仕事も受注する仕事もないと、悲鳴を通り越え、あきらめの声へと変わりつつあります。

 雇用をつくる、仕事をつくる、これこそ今政府として最重要で取り組むべき経済対策の視点であります。そうした視点から、第二次補正予算案、来年度当初予算案が、こうした現場の生の声にこたえ得る力強さを持った予算なのかどうか、ここが重要でございます。

 さらには、特に地方経済をどうしていくのか、敷衍して申し上げれば、民主党政権下で今後、公共事業の削減が常態化していく中で、それにかわる仕事、地域の産業は何なのか、生活の基盤をどこに置けばよいのか、単に削減するだけでなく、その先の道筋を示すことこそ、まさしく具体的な成長戦略を早急に政府が示すべきではないでしょうか。

 本当に困っている人にどのようにして手を差し伸べられるのか、総理には、現場の実情をよく踏まえた上で、誤りなき経済財政運営を図っていただきたいと存じますが、以上、総理の経済状況の認識と経済対策の効果、さらには成長戦略についての総理の答弁を求めます。

 デフレの長期化は日本経済をじわじわと弱体化させてしまいかねず、深刻に受けとめるべきであります。

 デフレの克服に向けては、私見ではありますが、政府、経営者そして労働者、ともに知恵を出し合って、縮み経済からの脱却を図る必要があります。例えば、経営者には苦しいでしょうが賃金を上げる努力を、さらには、働き方ではワークシェアリングを、そして政府においては需要をつくり出す明確な成長戦略の策定と実行を、それぞれ一体的かつ有機的に機能するよう連携しながら進めていくべきではないでしょうか。総理の認識を伺います。

 前政権がつくった第一次補正予算については、内閣府の分析においても経済対策の効果は明白であったものの、残念ながら鳩山政権になってから、当初はマニフェスト財源に活用するという名目で約二兆九千億円が凍結されました。結局は、その財源の多くを活用し、今般の第二次補正予算案が編成されるに至りましたが、その結果、二次補正、本予算の執行までに財政面での対策において五カ月近い空白ができてしまいかねず、景気の動向が懸念されるところであります。

 総理は、この凍結という判断は適切であったと本当に思っておられるのか。今後、景気の二番底、失速は避けられると宣言できますか。明確にお答えください。

 第一次補正予算で凍結された三百五十六事業のうち、何と百一事業が鳩山政権下での平成二十二年度概算要求において復活し、最終的には七十六事業が平成二十二年度予算案に計上されているようであります。

 この点に関し、第一次補正予算で執行停止したものを改めて平成二十二年度予算案に計上したことの理由、そして、こうした措置が経済効果という観点から見て具体的にどのような影響、効果があると推計しているのか、総理の答弁を求めます。

 さて、第二次補正予算の景気対策については、エコポイント事業やエコカー補助金の継続、金融対策など、前政権下で実施してきた対策の継続などが並んでおります。また、エコポイントの対策を住宅に拡大するという案も、環境対策と経済活性化の両立を図る前政権の経済対策と考え方が同じです。このような対策であるならば、なぜもっと早く編成し、実施に移そうとしなかったのか、政府のスピード感の欠如は否定できません。

 また、地方支援として三・五兆円弱が計上されていますが、税収減に伴う交付税減少額の補てんがその大半であり、経済対策という視点から見れば、追加的効果がさほどあるのでしょうか。今般の補正予算案によって、地域経済にどの程度の効果があるのか、具体的にお示しいただきたいと思います。

 国民の皆様の最大の関心は、景気二番底の懸念がある中で、生活を守るための景気対策であり、雇用対策であります。

 今般の第二次補正予算案が真にその対策になっているのかどうか、その内容には、以上申し上げてきたように問題なしとしません。しかし一方で、現場を歩いてみれば、ともかく仕事をつくってほしい、早く景気回復の手を打ってほしいとの切実な声があります。国民の生活を守ることこそ政治の役割です。そのような我が党の基本的考え方に立てば、二次補正予算について早期成立を図るべきではないかと私は考えております。

 濃密な十分な議論とその環境整備を求めるものであります。

 次に、深刻な介護問題について申し上げたい。

 公明党は、昨年十一月から十二月にかけて、全国三千人の議員が一丸となって全国四十七都道府県で介護総点検を一斉に展開しました。

 介護総点検では、街角でのアンケート調査を初め、介護を受けている本人や介護家族、介護事業者、介護職員、自治体担当者に対して聞き取り調査を実施し、十万件を超える介護現場の悲鳴を全国から集約することができました。現在、その詳細分析を進めており、二月中には公明党独自の新たな新介護ビジョンを世に問うつもりでございます。

 介護保険制度の施行から十年を迎え、随所で制度疲労を起こしており、介護現場には難問が山積しています。何年待っても入れない特養ホームの待機者問題、核家族化で高齢の妻が高齢の夫を悪戦苦闘しながら介護している実態、結婚前の娘さんがシングル介護を決断し、収入面の不安を抱えながら、先行きの見えないまま両親の介護に踏ん張っている実態。

 総点検で明らかになったことは、介護施設が圧倒的に足りない、在宅介護の不安を解消できていない、介護現場で働く人に夢と希望を与えられていないということでございます。

 総理、だれもが一生のうちで経験する介護、たとえ高齢者になっても安心して暮らせる社会の構築に向けて、政治の決断が必要であります。

 抜本的な介護基盤の整備にどう取り組むのか、総理の答弁を求めます。

 さて、二〇一〇年、新しい十年が始まりました。

 私は、二〇一〇年は、地球環境をめぐる問題に象徴されるように、後に、あのときの決断が地球の未来、日本の未来を決したと言われることになる、まさに重大な一年になるものと確信いたします。

 今まさに、政治が何を決断し、そして何を実行していくのかという重要なこのとき、私たち公明党は、本当に困っている方々のそばに寄り添い、福祉を守り、環境を守り、そして何より国民生活を守るため、国会議員そして地方議員三千名のネットワーク、KOMEIチーム三〇〇〇、一丸となって、日本を変える力となっていく決意でございます。このことを強く申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 斉藤政調会長の御質問にお答えいたします。

 まず、ハイチにおける大地震についての御質問がございました。

 私としても、今回の地震で亡くなられた多くの方々とその御遺族に対して深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々にお見舞いを申し上げたいと存じます。

 日本としては、まずは、五百万ドルを上限とする緊急無償資金協力及び三千万円相当の緊急援助物資の供与を行うことを表明いたしますとともに、国際緊急援助隊を派遣いたしました。さらに、自衛隊による医療チームの派遣について現在準備を鋭意進めているところでございます。

 今後とも、国際社会と協力をしながら、ハイチの復旧復興に向けて積極的に取り組んでまいります。

 私のかつての発言についてのお尋ねがございました。

 私の政治資金の問題についての御評価は国民の皆様方の御判断でございます。

 検察捜査によって全容が解明され、処分決定によって決着をしたと認識しております。この事実に基づいて、昨年末に記者会見を開いて、国民の皆様方におわびを申し上げ、でき得る限り丁寧に御説明を申し上げました。また、解明された事実に基づいて、母から提供された資金を贈与として申告をし、納税を行ったところでございます。

 過去の発言について弁解をするつもりはありません。ただ、先ほど申し上げましたように、私腹を肥やしたとか、あるいは不正な利得に手を染めたということはありません。御批判は、しかしながら真摯に受けとめて、政権交代に対して期待をしてくださった多くの国民の皆様方におこたえをすることが使命だと考えております。改めることは改めてまいりたい。御理解と御支持をいただけるように、身を粉にして働かせていただくことを改めてお誓いする次第でございます。

 それから、母からの贈与にかかわる納税についてのお尋ねでございます。

 昨年末の記者会見でも御説明をいたしましたが、母からの資金提供については、私自身は全く何も承知しておりませんでした。このことに関して、そんなわけはないだろうと、国民の皆様方がなかなかおわかりいただけないことを、そのとおりではないかと思いますが、事実は事実として一つでございます。したがって、私は、贈与税を免れようなどという発想自体はあり得ませんで、脱税という認識は全くございません。

 しかしながら、承知をしていなかったということは事実でありますけれども、結果としてその資金が私のために提供され使われたということが捜査で解明されたわけでありますので、昨年末、その事実に基づいて申告をして納税を行ったところでございます。

 その使途についてのお尋ねがございました。

 資金の使い道については、検察が収入、支出の全体について捜査を行いましたが、支出については、違法な支出があったという指摘はありませんでした。したがいまして、支出内容について明らかにせよとの御要求でありますが、基本的には不正な支出はないものだと私自身は理解をしております。

 ただ、また今後公判が予定をされており、さらに、帳簿、領収書などの書類はすべて東京地検に任意提出しております。したがって、公判の終了の後、書類が返還された後に弁護士の調査チームによって分析、検証してもらいたい、そのことを既に依頼しているところでございます。

 小沢幹事長の留任を容認した私の説明責任でありますが、小沢氏は党代表である私に、自分は潔白である、したがって闘うんだ、そのことを強く言われました。したがって、私は、幹事長職にとどまり日本の政治の変革に向けてともに闘うことを了といたしたのでございます。また、小沢氏の闘うとの表明には、みずからの潔白を証明していくという強い決意だ、そのように思いまして、そのことを了といたしたのでございます。

 私は、行政の長であり、検察が公正な捜査を行うことを信じております。検察の捜査を冷静に見守ることが今は大事なことだ、そして、小沢氏もまた、潔白を訴え、説明するのは当然の権利だ、そのように考えております。党幹事長として今日までも信頼を申し上げてまいりました小沢氏が潔白を主張されていることを信じるのが同志としての基本である、そのように考えております。今は、したがいまして、捜査の進展を見守りながら、小沢氏の潔白を信じるのが当然の姿勢だと私は思っております。

 説明責任、自浄能力の発揮についてでありますが、説明責任を果たすべきなのは当然であり、疑惑を持たれた本人がみずから判断をして潔白を証明するために必要な説明を行うべきだと私もそのように考えます。

 したがって、私の献金問題については、私自身が事情も事実関係も全く承知しておらなかった事件であったために、弁護士に調査を依頼し、検察捜査に協力をし、解明をゆだね、そして解明されたと考えております。

 小沢幹事長の資金管理団体の問題は、今現在検察が捜査中であり、したがって、いまだ捜査の結論は出ておりません。捜査を冷静に見守ることが肝要であると考えておりますが、捜査の進展の中で、小沢氏の判断に基づいて潔白を説明するために必要な事項について本人が説明をするものだ、そのように考えております。

 公明党の政治資金規正法改正の提案に対する賛否についてのお尋ねがございました。

 御指摘のとおり、昨年の衆議院選挙の党首討論のときに、公明党が提案をされた政治資金規正法改正の提案に対して、前向きに対処すべきだという旨を述べたのは事実でございます。したがって、今大事なことは、政党や政治家の政治活動にかかわる問題でありますことから、各党各会派でしっかりと御議論をいただきたいと考えております。

 暫定税率のマニフェストについての御質問でございます。

 御指摘のとおり、一昨年の通常国会におきまして、異常なガソリンの高騰という状況に対応していかなければならなかった、そのために、民主党としては、一時的に暫定税率を期限切れとして、ガソリンや軽油の価格を引き下げることをいたしたのでございます。したがって、そのこと自体は、私は間違っているとは思っておりません。

 しかし、今回、大幅な税収減、そして厳しい景気、雇用情勢を踏まえて、マニフェストでお約束を申し上げたことすべてをそのまま実現することができなかった部分もあり、国民の皆様方に率直におわびを申し上げたところでございます。

 ガソリン税などの暫定税率につきましては、熟慮に熟慮を重ねた結果、現行十年間の暫定税率は廃止をする、しかし、税率水準は維持するということにいたしました。ただし、原油価格の異常な高騰というものがこれから今後続いたようなときには、暫定税率分の課税を停止できるような仕組みをつくりたいと考えております。

 普天間飛行場の移設についての御質問であります。

 普天間飛行場の移設問題については、何よりも沖縄県民の皆さんのお気持ちを大事にしながら、日米の合意や連立政権の政策合意を踏まえた上で、しっかりと検討し、結論を出します。

 このために、官房長官を長といたします沖縄基地問題検討委員会を設けて、連立与党の中で精力的に議論を行っているところでありまして、この委員会でしっかりと検討した上で、五月までに結論を出します。

 それから、武器輸出三原則の見直しについての質問であります。

 武器輸出三原則などは、国際紛争等の助長を回避するという平和国家としての基本理念に照らして重要な原則だと現在考えております。

 武器の輸出等に関しては、今後とも武器輸出三原則等によって引き続き慎重に対処するとの方針を堅持していくことが、平和国家の理念を掲げる現内閣の考え、そのように考えております。

 消費税についてのお尋ねがございました。

 これは前も申し上げましたが、消費税については、三党連立の政権の合意の中にもありますように、四年間は歳出の見直しなどの努力をまずは最大限行っていく、したがって、その間、税率の引き上げは行わない、そのことを決めたのでございます。

 二十二年度の税制改正の大綱においては、消費税のあり方について、今後、社会保障制度の抜本改革の検討などとあわせて検討していきたいという考えでございます。

 経済状況の認識、経済対策の効果並びに成長戦略についての御質問がございました。

 景気はやや持ち直してはきている、そうは思っておりますが、しかし、自律性は極めて乏しい、失業率も高水準にある、雇用も厳しい、こういった意味で依然として厳しい状態にあると思っております。

 こうした経済情勢を踏まえて、昨年の十二月に政府は緊急経済対策を決定したところでございます。この対策において、雇用、環境、景気、これを主要な分野と位置づけて現下の経済情勢へ緊急に対応するとともに、中長期的な成長力の強化を図ることとしております。経済対策の効果などを背景に、景気が持ち直していくということを大いに期待しているところでございます。

 また、我々が取り組んでおります新成長戦略は、需要サイドに着目をして、国民生活の向上に主眼を置いた新たな発想に立つものでございまして、このことに関して基本方針をまとめて、ことしの六月ごろまでに、具体的な工程表までをあわせた形で新成長戦略の全体像を完成させてまいります。

 デフレの克服に対してのお尋ねがございますが、デフレについては御指摘のとおりでありまして、国民一丸となって取り組むことが肝要であります。企業の経営者の方々には知恵を出していただきたいと願っておりますし、政府としては、日本銀行と一体となって経済運営を行っていくとともに、新成長戦略を策定して新たな雇用と需要を拡大していく施策を推進してまいります。これによって、雇用が内需拡大をもたらして、それが経済成長を通じて雇用を支えるという循環を実現してまいりたいと考えております。

 それから、二十一年度の第二次の補正予算に関するお尋ねに関してでございます。

 これも今申し上げましたように、第二次の補正予算に関しては、一次補正予算の執行を見直すことによって捻出した財源などを活用して、雇用そして環境、景気というものに寄与する事業を計上しており、国民の生活を守るという観点から、前政権でなされたこの一次補正に関して一部の凍結を行ったことは私どもとしては適切であった、そのように考えております。まさに景気の二番底というもの、それを避けるためにも、第二次補正予算案の早期成立をお願い申し上げたいと思っております。

 それから、二十一年度の一次補正予算のうち、執行を見直した事業であって、二十二年度予算に計上されたものに関するお尋ねがございました。

 執行を停止した一方で二十二年度予算で措置した事業は、厳しい財政事情の中で、事業の緊急性などの観点から、内容などを精査して予算措置をしたものでございます。

 執行の見直しの結果生まれた財源を有効に活用して、経済状況なども踏まえて、国民生活の支援あるいは景気回復に役立つものだ、我々はそのように考えております。一言で申し上げれば、いいものは採用させていただいたということでございます。

 それから、二十一年度第二次補正予算の地域経済への効果等に関する質問がございました。

 二十一年度の第二次補正予算は、十二月八日に取りまとめられた明日の安心と成長のための緊急経済対策を実現するための経費が計上されております。現下の厳しい経済雇用情勢に迅速かつ機動的に対応するものだと考えております。

 一方で、地方交付税の補てん措置については、本年度の地方交付税が大きく減少するということによって地方公共団体がさまざまな事業に取り組む際に財政面で支障が生じてしまう、これを阻止しなきゃいけない、防止するために講じた措置でございます。その他にも、きめ細やかな、インフラ整備などの支援も盛り込まれておるところでございます。

 二次補正予算の早期成立に改めて前向きにお話をいただいたことに感謝を申し上げて、ぜひ早期成立に御協力を願いたいと存じます。

 最後に、介護基盤の整備についてのお尋ねがございました。

 介護を必要とする高齢者の増加が見込まれる中で、介護基盤の整備というものはまことに重要だと思っております。したがって、私どもは、介護職員処遇改善交付金を活用した介護職員の処遇改善、あるいは施設サービスや在宅サービスの拠点の整備の推進、こういったことによって、介護人材の確保と人材拠点の整備を今後とも拡充してまいりたいと思っております。新介護ビジョンが提案をされた暁には、私としてもぜひ拝見をいたしたいと思っております。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 佐々木憲昭君。

    〔佐々木憲昭君登壇〕

佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表し、財政演説について質問いたします。(拍手)

 昨年の総選挙で、主権者国民が自民・公明政権にノーの審判を下したことは、前向きの歴史的一歩でありました。国民の願いは、暮らしの苦難から抜け出したい、これまでの政治を根本から変えたい、そういう切実なものであります。

 鳩山内閣がその期待にこたえているのか。このところ、国民の中に不安の声が大きく広がっております。

 まず、ただしておきたいのは、総理自身と政権与党民主党幹事長にかかわる政治と金の問題です。

 総理の資金管理団体の虚偽記載についてお聞きします。

 母親と鳩山総理個人の分、合わせて約十五億八千万円、そのうち虚偽記載分に充てたのが四億円、残りの十一億八千万円は何に使われたのでしょうか。個人の政治活動などに使ったと言われましたが、その内容をなぜ明らかにしないのでしょうか。

 政治資金規正法は、個人の政治活動を含め、すべての政治資金を公開し、国民の監視と批判のもとに置くことを求めております。総理の明快な説明を求めます。

 小沢幹事長の疑惑も重大です。資金管理団体陸山会の土地購入疑惑に関連し、東京地検特捜部は、陸山会事務所や大手ゼネコン鹿島などへの強制捜査を一斉に行い、陸山会の金庫番だった小沢氏の元秘書ら三人を逮捕しました。

 問題の核心は、政治資金収支報告書の虚偽記載の疑惑とともに、四億円の土地購入資金がどこから出たのかという問題であります。土地購入の原資の一部がゼネコンからのやみ献金だったのではないか、公共事業の受注を通じて国民の税金が還流しているのではないか、これらの問題が問われているのであります。

 小沢氏をめぐっては、この問題のほかにも、西松建設の偽装献金疑惑と、天の声として公共事業受注に関与していたのではないかという疑惑、新生党と自由党を解党した際の党の残余資金二十二億円、その多くは政党助成金でありますが、その処理をめぐる疑惑など、幾重にも深刻な疑惑が問われております。

 総理は党大会で、小沢幹事長は法令に触れるようなことは一切していないと訴えている、民主党代表として信じていると言いました。総理は、幹事長からどのような説明を受けて信じているという確信を得たのでしょうか。明確な答弁を求めます。

 民主党が自浄作用を発揮しないことに、多くの国民は、これまでの自民党と同じではないかと不信を募らせております。国会は、疑惑の全容を解明し、政治的道義的責任を明らかにしなければなりません。総理並びに菅副総理の見解を求めます。

 この問題のもとをたどれば、自民党政治にその根っこがあります。これまで、田中金脈、金丸金脈が繰り返されながら、自民党が金権政治の根を絶たず、その元凶である企業・団体献金を温存していたことこそ問われなければなりません。

 民主党は、三年後という問題はありつつも、マニフェストで企業・団体献金禁止をうたいました。この国会で、そのための法案を提出し、この公約を果たすべきではありませんか。民主党代表でもある鳩山総理から明確な見解をお聞かせいただきたい。

 次に、経済情勢の認識についてであります。

 一昨年のリーマン・ショックに端を発したアメリカ発の世界金融恐慌は、戦後最大の過剰生産恐慌と結びつき、その中で日本経済は大きな衝撃を受けました。

 内需の低迷という日本の脆弱な経済構造はなぜつくられたのか。労働法制の規制緩和をてこに低賃金、不安定雇用を広げてコスト削減を図り、それを土台に輸出を急増させ、手にした膨大な資金を投機に回すというやり方で、財界、大企業を中心に利益拡大を図ってきたことであります。

 OECDの統計でも、十年以上にわたって賃金が下がり続けている国は、世界の主要国では日本だけであります。他方、企業の内部留保は、この十年間で約二百兆円から四百兆円へと二倍にも膨らみました。その半分近くは、資本金十億円以上の大企業がため込んだものであります。これが、広範な国民の中に、耐えがたいほどの格差と貧困を広げた大きな原因となったのであります。

 菅財務大臣は、日本経済の現状をどのようにとらえているのでしょうか。働く者から搾り取ってため込んだ大企業の過度な内部留保は、労働者、中小企業、社会に適切に還元させ、家計消費を活性化させる方向に踏み出すべきではありませんか。答弁を求めます。

 家計消費、内需を冷え込ませたもう一つの要因は、小泉内閣以降、住民税、所得税の大増税や社会保障負担増により、十三兆円にも上る新たな負担を国民に押しつけたことであります。これらは構造改革の名のもとで実行されました。その結果、弱肉強食の殺伐とした社会をつくり出し、家計を中心とする内需に冷水を浴びせたのであります。

 菅財務大臣は、これまでの構造改革路線をどのように見ているのか、そこからの抜本的な転換の必要性をどの程度感じているか、お聞かせいただきたい。

 今、緊急に求められているのは、雇用・中小企業対策であります。

 雇用対策については、第二次補正予算案で雇用保険の適用範囲の拡大や失業給付に必要な予算を計上するなど、一定の改善が見られます。しかし、日本社会の貧困と格差を深刻にした最大の元凶である労働法制の規制緩和路線と明確に決別することが重要であります。

 厚労大臣の諮問機関である労政審が示した労働者派遣法の改正案は、製造業への派遣禁止に穴をあけ、事実上それを温存し、法律の実施を三年後から五年後に先送りする方向であります。これでは、財界、大企業の要求に屈した重大な後退だと言わなければなりません。

 日本共産党は、非正規から正規への雇用の転換を初め、大企業に社会的責任を果たさせるための抜本的な政策転換を速やかに行うことを強く求めるものであります。

 中小企業対策も待ったなしです。

 昨年の企業倒産件数は、二〇〇一年以降で最悪となりました。補正予算案では、中小企業の資金繰り対策では緊急保証制度を全業種に広げるなどの改善がなされており、保証枠の追加、セーフティーネット貸し付けの拡充なども盛り込まれています。

 しかし、切実な問題は、融資を受けても返す当てがない、仕事がさっぱりない、こういう中小企業の声にどうこたえるのかということであります。緊急の休業補償、直接支援を行うこと、福祉、環境を中心に新たな仕事を起こすことが必要であります。

 より根本的には、大企業優先の産業政策から、中小企業を文字どおり日本経済の主役として位置づける政策への根本転換を図らなければなりません。主役にふさわしく、製品開発や人材・後継者育成などの振興策を打ち立て、大企業の横暴から中小零細企業を守る規制策を進めなければなりません。

 今求められているのは、これまでの構造改革路線ときっぱり決別し、国民のためのルールある経済社会に転換することではありませんか。

 最後に、鳩山総理の答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 佐々木議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、母親、個人資金の使途についてでございますが、資金の使い道については、検察が収入と支出の双方について捜査を行った結果、支出についての違法な支出があったという指摘はありませんでした。したがいまして、支出内容について明らかにせよとの御要求でありますが、基本的には不正な支出についてはないものだ、私はそのように理解をしております。

 ただ、今後公判が予定をされており、さらに、帳簿、領収書などの書類はすべて東京地検に任意提出をしておりますので、公判の終了後、書類が返還された後に、弁護士の調査チームに分析、検証するよう既に依頼しているところでございます。

 また、規正法の趣旨に基づく資金の使途の公表についてのお尋ねがございました。

 政治資金規正法に基づく政治資金の使い道について、検察が行った収入、支出の全体についての捜査は、政治資金規正法違反容疑での捜査であり、当然、佐々木議員が御指摘の、規正法に照らしたものであったと考えております。そして、その意味で、支出についての違法な支出があったという指摘はありませんでしたとお答えをしたわけでございます。

 すなわち、支出内容について、規正法に反する支出については、ないものだと理解をしております。

 また、公判終了後に書類が返還された後に、弁護士の調査チームが分析、検証をするよう既に依頼しておりますけれども、それは、あくまでも私のプライベートな活動、政治資金規正法に該当する以外の議員活動等の資金管理の改善を目的とするものであるということも御承知おきいただければと思います。

 小沢氏を信じる根拠について示せということでございましたが、小沢幹事長は、政治資金のディスクロージャーを主張され、事務所費、不動産問題が指摘されたときも、領収書などのすべてを報道機関に公表してまいりました。政治資金の取り扱いについては極めて慎重な方であるという印象を私は持っております。また、党の幹事長としても信頼をいたしてまいりました。

 したがって、潔白を主張されていることを信じるのが同志としての基本であると改めて申し上げておきます。

 今は、したがいまして、捜査の進展を見守りながら、小沢氏の潔白を信じるのは当然の姿勢だ、そのように考えております。

 小沢幹事長の問題に関する民主党の責任ということがございました。

 小沢幹事長の政治団体にかかわる事案については、捜査中である、そのように聞いておりまして、それによって事実が明らかになるものだと考えております。

 したがって、事実の解明は捜査権に基づく検察の捜査によって行われるべきものだと考えておりまして、国会の運営に関することは、ぜひ各党各会派でよく御議論をいただきたいと思っております。

 企業・団体献金の禁止についての御質問でございますが、この法制度の改正につきましては、各党各会派でぜひ十分に御議論いただいて、成案をいただくことを期待しております。

 なお、この政治資金規正法の改正については、民主党は民主党として、その改正について今十分に検討をしているものだと理解をいたしております。

 最後に、構造改革の評価について御質問がございました。

 市場にすべてを任せる、強いものだけが生き残ればいい、こういう発想とか、あるいは国民の暮らしを犠牲にしても経済の合理性を追求する、こういう発想から、私たちは、地域の絆とかあるいは社会の絆を再生することなどを通じて、国民の皆さんの暮らしを、豊かさを求めていく、そちらに力点を置いた経済社会に転換させていきたい、そのように考えております。

 一言で申し上げれば、行き過ぎた市場主義から、人間のための経済への大転換でございます。

 残余の質問については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)

    〔国務大臣菅直人君登壇〕

国務大臣(菅直人君) 佐々木憲昭議員の質問にお答えをいたします。

 最初に、私にも民主党の政治と金のことについての見解をお尋ねされました。

 議員も触れられましたように、我が党としては、企業・団体献金の禁止ということを党の方針として決めておりまして、この実現を目指していくということが一つの党の責任ではないかと思っております。

 同時に、やはり、個人献金というものについて、私も長年努力をしてきたわけでありますけれども、なかなか拡大をすることが難しい。インターネットの献金も試みておりますが、なかなか難しくて、アメリカのオバマ大統領のあの選挙のような形にはなっておりません。これは国民の皆さんにも、ぜひ、民主主義を育てるためには、政権交代と同時に、個人献金についても、みずからの意思を伝えてもらえる候補者にあるいは議員に応援をするという形で積極的に参加をいただきたい。こういった場からですが、お願いを申し上げておきたいと思います。

 経済財政運営について幾つかの質問をいただいております。

 全般的に感じたのは、認識においてかなり共通のところがあるというのが、全体の私の御質問に対する思いでありました。

 少し個別にお答えしてまいりますと、まず、現在の日本の経済の現状をどうとらえるのかということについて、まさに景気は持ち直してきておりますけれども、しかし、自律性に乏しくて、特に失業率あるいは新卒者に対する内定率が大変問題の状況にあるということで、依然厳しい状況にあると認識しております。

 こういった状況の中で、デフレの影響など、まだ二番底のリスクも存在するということで、まさにそういう中でこそ、この補正予算を急いで成立させ執行していかせていただきたい、このことをお願い申し上げたいと思います。

 さらに、大企業の内部留保、あるいは家計の消費についてであります。

 確かに、景気がいいとされた〇三年から〇八年ごろまでの労働分配率はかなり低い水準で、逆に最近、景気が悪くなったことによって、比率は上がっておりますけれども、実質的な収入は下がっているわけでありまして、そういった意味では、この間の経済のあり方にかなり大きな問題があったということは、私たちも同様の認識を持っております。

 そういった意味で、これから雇用を守り、さらには新しい雇用をつくり出していく、このことも今回の二次補正の柱になっております。

 このことに関して、構造改革路線というものについてどのように考えるのかという御質問がありました。

 私は、この構造改革という言葉、必ずしも一〇〇%間違っているとは思っておりません。しかし、まさに御質問にありましたように、構造改革の名のもとに進められた幾つかの政策が、結果として、格差を拡大するだけではなくて、日本の経済の成長路線への回復に必ずしも寄与していなかったという認識を持っております。

 若干申し上げさせていただきますと、私は、八〇年代以降の公共事業は、投資効果が大変少なくて、結果的に、農村と都市の格差の是正にはつながったけれども経済の成長にはつながらなかった、この第一の道が失敗だったと思っております。

 そして、第二の道として、いわゆる小泉・竹中路線に代表される、一つの企業をよりリストラによって効率化すれば全体の景気がよくなるんだという考え方、これは、完全雇用のもとではそのとおりかもしれませんけれども、リストラされた人がリストラされた状態のままにとどまっている状況では、景気全体が浮揚することにはつながらなかった。合成の誤謬があったというのが、私はこの第二の道の間違いだと思っております。

 そういった意味で、総理からもお話がありましたように、需要というものに着目をして需要を拡大する。それには、介護といった分野や、あるいは新しい製品、つまり、これまでになかった製品が新しい需要を生むということも含めて、需要というものに着目をした経済の再生の道が必要だと考えております。

 そういった意味で、昨年の十二月三十日に総理のもとで発表をさせていただいた新成長戦略において、そうした方向性を具体的に基本方針として示しておりますので、これを肉づけし実行する中で、日本を二十年も続いたこの低迷した経済状態から必ずや成長路線に戻していきたい、このように考えていることを申し上げておきたいと思います。

 さらに、佐々木議員の方から、労働者派遣法の抜本改正についての御意見がありました。

 この件については、私ども、野党の時代から野党三党の中で議論をし、一定の方向性を示して、登録型派遣や製造業への派遣を原則禁止するという方向での法案も準備をいたしているところであります。

 この問題は、おわかりだと思いますけれども、確かに正規雇用、正社員の方がよりよいことは確かでありますけれども、今、より問題なのは、例えば、女性が子供を産む時期に一たん正規社員をやめた後、戻るときの条件とか、そういった意味では、同一価値・同一労働といった観点、さらに広げて言えば均等・均衡待遇といった問題がきっちりすることも、私は労働環境の整備の上で非常に重要だと考えております。そういうものも含めた、労働者派遣法も含めた、そうした改革を推し進めていくべきだ、このように考えていることを申し上げておきたいと思います。

 さらに、中小企業についていろいろと御指摘をいただきました。

 まさに日本において中小企業が大変大きな役割を果たしているということの認識は、全く同様であります。

 この点については、必ずしも中小企業に限りませんけれども、雇用調整助成金の要件を緩和して、失業を出さないような手当てを、全力を挙げて、この二次補正、さらには本予算で用意をしているところであります。

 また同時に、介護、医療、農林、環境・エネルギー等の分野においての雇用の創造ということも提案をさせていただいております。

 さらに、環境の面では、家電のエコポイントやエコカーに加えて、エコ住宅といったものも含めた、景気回復と環境の両立を目指すことを盛り込んでいるところであります。

 さらに申し上げれば、従来の政権で行われていたことの中で、緊急人材育成支援事業は現在まだ継続しておりますので、それが途絶えることがない手だてをしながら、この政策はなかなかいい政策ですので、そのまま採用を続けさせていただいていることも申し上げておきたい、このように思っているところであります。

 最後に、大企業優先の産業政策から中小企業を文字どおり日本の経済の主役にすべきだ、こういう御質問をいただいております。

 考え方としては、私たちも、申し上げているとおり、中小企業が日本経済の一方の主役であるということはそのとおりだと考えております。

 そういった意味で、構造改革の名のもとに、ややもすれば、先ほど申し上げたような、リストラをして一つの企業が立て直ればそれでいいんだというものが中小企業を大変厳しい状態に追い込んだことも確かでありまして、そういったことの見直しをする中で中小企業を大事にしていきたいと考えております。

 特に、具体的には、昨年十二月に取りまとめました経済対策において、景気対応緊急保証を創設し、さらに、セーフティーネット貸し付けの延長、拡充等に取り組むこととしておりますほか、二十二年度予算、税制改正においても、仕事をつくるための研究開発等への重点的な予算配分、中小企業投資促進税制の適用期限の延長などを講じることとしており、財務省としても中小企業政策にしっかりと取り組んでまいりたい、このことを申し上げて、答弁とさせていただきます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 中島隆利君。

    〔中島隆利君登壇〕

中島隆利君 社会民主党の中島でございます。

 社会民主党・市民連合を代表いたしまして、財政演説及び今年度の第二次補正予算について鳩山総理に質問をいたします。(拍手)

 質問の前に、我が党も、ハイチで起きました大地震で被災に遭われましたハイチ国民の皆さんに、心からお見舞いを申し上げます。政府におかれましては、十分なる支援を行われるよう求めます。

 最初に、政治と金をめぐる問題により現職の国会議員が逮捕される事態に至ったことは大変に残念であり、疑惑については国民に十分な説明責任を果たすとともに、企業・団体献金の禁止も含め、一層の政治資金の透明化に向け、今国会で必要な法改正を行うべきと考えます。総理、いかがでしょうか。

 百年に一度の経済危機が、百年に一度の雇用不安を引き起こしています。五%を超える高どまりの失業率が続き、完全失業者数は、昨年十一月末で三百三十一万人に達しています。しかも、有効求人倍率は〇・五にすら届いていません。今春卒業予定の就職内定率は、大学生で七三・一%、短大生で四七・四%、高校生で六八・一%にとどまり、大卒予定者では過去最悪の数字であります。

 今求められているのは、何よりも失業対策、そして雇用創出であり、安心できる生活の保障ではないでしょうか。総理の御所見をお伺いいたします。

 私は、年末年始に地元のハローワークを訪ねました。熊本県では、求職者に占める雇用保険受給者の割合が三割程度で、七割の方々が収入のないまま求職活動を余儀なくされています。現在、生活保障つきの職業訓練が実施されていますが、支給要件の厳しさにより、適用が少ないなどの問題を抱えています。弾力的な運用を図り、職業訓練の内容を充実させ、恒久的な制度として早急に法制化すべきであります。総理の御所見をお伺いいたします。

 昨年末に、労働政策審議会が今後の労働者派遣法のあり方について答申をしました。派遣労働の規制強化にかじを切った点は評価しますが、常用型派遣の定義、みなし雇用や均等待遇のあり方については課題があり、法改正の施行まで最長五年間もの猶予規定を置くなどの問題点が指摘をされています。

 この間、雇用の調整弁のように扱われてきた派遣労働者にまともに生きる権利を保障すべく、政治の意思として、指摘されている問題点に踏み込み、今国会で抜本的な法改正を期すべきであります。年頭のあいさつで命を大切にする政治を強調された総理の御意見をお聞かせください。

 新しい政権によって「コンクリートから人へ」の理念が打ち出されています。その象徴の一つが、ダムによらない治水対策の推進であります。既に有識者会議の論議が進められていますが、関係する流域住民の声に耳を傾け、早急に新たな治水対策の基準を策定していただくよう求めます。

 他方、建設業とそこで働く労働者は、極めて厳しい現状にあります。例えば、ダムによらない治水対策に基づき、新たな河川整備計画を策定し、環境に優しく、地域に密着した事業を創出するなどの対策が必要と考えますが、いかがでしょうか。

 次に、米軍普天間基地飛行場の基地移転と、辺野古の新基地建設問題についてお伺いします。

 先日、沖縄の現地を訪れ、辺野古の海を守るために二千十日間にわたり座り込みをしている現地の皆さんの声を聞き、青い水晶のように光り輝く辺野古の海を見たとき、これ以上沖縄県民に負担をかけてはならないと強く感じました。

 米軍再編、在日米軍基地のあり方について、見直しの方向で臨むとした連立政権の政策合意に基づき、国外、県外移設を追求し、沖縄県民の期待にこたえなければなりません。総理の御意見をお聞かせください。

 最後になりますが、厳しい経済雇用情勢にかんがみ、一刻も早く補正予算を成立させるべきであります。社民党も、連立政権の一翼を担う者として、今後も、命を守り、家計を温める政治への転換に尽力することをお誓い申し上げ、私の質問といたします。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 中島議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、説明責任と政治資金規制強化に関する御質問でございました。

 現職の国会議員の逮捕につきましては、極めて残念であり、遺憾の意を表明いたします。ただ、なお今検察が捜査中でございますので、本件につきましては、これ以上のことを申し上げることは控えさせていただきます。

 企業・団体献金の廃止等の法制度の改正につきましては、今、ぜひ各党各会派で十分に御議論いただいて成案を得ていただきたいと、心からそのことを期待いたしますし、社民党さんには、この件に関して大いに頑張っていただきたいと思います。

 失業対策、雇用創出についてのお尋ねでございます。

 連立政権が昨年の十二月に決定をいたしました明日の安心と成長のための緊急経済対策、この中で、雇用を主要な分野として位置づけて、これに基づいて補正予算を編成して、雇用対策に力を入れたところ、御案内のとおりでございます。

 細かく若干申し上げれば、雇用調整助成金の支給要件の緩和、さらには、新卒者の支援のさまざまな強化、介護、医療あるいは農林業、環境、観光、こういった重点分野における雇用の創造、そして、雇用保険制度の機能強化に取り組むということでございます。

 それから、求職者支援制度についてのお尋ねがございました。

 雇用保険を受給できない方々に対して、第二のセーフティーネットとして、緊急人材育成支援事業というものを創設し、昨年の七月以降、職業訓練及び訓練期間中の生活保障のための給付を実施しているところ、御案内のとおりでございます。

 この制度の実施状況を踏まえて、恒久的な制度として、平成二十三年度から求職者支援制度を創設することとして、平成二十三年の通常国会に法案を提出したいと考えておりまして、御協力をよろしくお願いをいたします。

 労働者派遣法の改正についての御質問をいただきました。

 労働者派遣制度の改正につきまして、労働政策審議会において、公労使三者による精力的な御議論をいただいて、昨年の暮れ、十二月の二十八日に派遣労働者の保護の観点から答申をまとめていただいたのは、議員御案内のとおりでございます。

 答申の内容についてさまざまな御意見があることは存じておりますが、公労使が一致した結論であるということをぜひ御理解いただいて、政府・連立与党の中で調整を行って、この通常国会の中で法案を提出してまいりたいと思っておりまして、社民党さんにもぜひとも御協力を願えればと思います。

 それから、新たな治水対策の基準の策定について御質問がございました。

 中島議員が御指摘のとおり、できるだけダムに頼らない治水への政策転換を進める、こういった考えに基づいて、昨年の十二月に、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議を設置したところでございます。

 広く国民の皆様方から御意見を大いに募集して、この会議の中で検討を進めて、中間の取りまとめをことしの夏ごろにまとめていただいて、治水対策に関する新たな基準の策定に取り組んでいきたいと考えております。

 この、できるだけダムに頼らない治水についてさらにお尋ねがございましたが、これも、御指摘のとおり、治水対策に関する新たな基準等を踏まえて、個別ダムの検証を進めて、その結果を受けまして、新たな河川整備計画を策定したい、そして、必要に応じて既存計画の変更を進めていく所存でございます。

 建設業の厳しい状況も踏まえまして、環境や地域の実情に配慮した河川整備を行っていく、こういう思いで適切に対策を講じていきたいと考えております。

 最後に、普天間飛行場の移設についてのお尋ねがございました。

 御案内のとおり、普天間飛行場の移設問題については、まず何よりも沖縄の県民の皆様方のお気持ちを大事にしたい、そのように考えております。そのもとで、日米の合意、さらには、連立政権でありますから、その政策合意というものを踏まえた上で、しっかりと検討して結論を出してまいります。

 このため、先ほども申し上げましたけれども、平野官房長官を長として、沖縄基地問題検討委員会というものを設けて、連立与党の中で今鋭意検討を進めているところでございます。この委員会の中で検討して五月末までに結論を出す、そのように考えておりまして、社民党さんにもぜひ御協力を願えればと思っております。

 以上であります。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十三分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  鳩山由紀夫君

       財務大臣  菅  直人君

       総務大臣  原口 一博君

       法務大臣  千葉 景子君

       外務大臣  岡田 克也君

       文部科学大臣  川端 達夫君

       厚生労働大臣  長妻  昭君

       農林水産大臣  赤松 広隆君

       経済産業大臣  直嶋 正行君

       国土交通大臣  前原 誠司君

       環境大臣  小沢 鋭仁君

       防衛大臣  北澤 俊美君

       国務大臣  亀井 静香君

       国務大臣  仙谷 由人君

       国務大臣  中井  洽君

       国務大臣  平野 博文君

       国務大臣  福島みずほ君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官  松野 頼久君

       財務副大臣  野田 佳彦君


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