衆議院

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第6号 平成22年2月2日(火曜日)

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平成二十二年二月二日(火曜日)

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 議事日程 第五号

  平成二十二年二月二日

    午後二時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)

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本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)


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    午後二時三分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

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 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)

議長(横路孝弘君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。井上義久君。

    〔井上義久君登壇〕

井上義久君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました鳩山総理の施政方針演説など政府四演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をします。(拍手)

 施政方針演説で、総理は、マハトマ・ガンジー師の七つの社会的大罪に言及されました。私自身、高校時代にガンジー師の自叙伝を読み、その生き方に深い感銘と影響を受けた一人です。

 ガンジー師の偉大さは、厳しい社会の現実から目をそらすことなく真っ正面から向き合い、悩み苦しんでいる民衆の真っただ中に飛び込んで、崇高な精神的規範の実現を目指したところにあるのではないでしょうか。精神の求道者であればこそ、あらゆる生活の分野から離れていてはならないとガンジー師は記しています。

 翻って、総理は、本当に、国民の悩み、苦しみから離れないで、真っ正面から向き合っていらっしゃるのでしょうか。このところの総理の言動を見聞きしていると、率直に言って、私は疑問を抱かざるを得ません。

 私自身は、ガンジー師の生き方に触発され、大学入学後、当時のセツルメント運動に参加するようになりました。授業が終わると、郊外の、ある地域に毎日通いました。そこは、生活に困窮した方たちが多く住み、私自身、家庭環境の厳しい子供たちと勉強会を持ったりサッカーやキャンプをするなど、自立を支援する活動に打ち込む中で、政治や福祉のあり方について多くのことを学びました。

 人間が人間らしく自立していくための手助けをする、環境をつくるのが、政治本来の役割であるはずです。ところが、政治の側に本当の人間愛や哲学がないために、逆に人々の自立を妨げているという現実に強い憤りを感じたことを思い起こします。そのときの体験が、今日の国会議員としての私の活動の淵源になっております。

 ガンジー師が七つの社会的大罪の中で指摘しているように、我々政治家は、理念なき政治に陥ることがないよう心しなければなりません。と同時に、私が総理に申し上げたいのは、理念が単なる抽象論にとどまることなく、社会の現実に向き合い、具体的な方向性を明示しなければならないということです。

 昨年末、我が党は、山口代表を先頭に新たな出発をいたしました。その際、日本が進むべき方向を「新しい福祉・教育・平和をつくる公明党 「人道の先進国」日本へ」と題する新ビジョンとして発表しました。

 日本が進むべき方向を一言で言えば、それは人道の先進国であります。

 人道とは、いついかなる状況にあっても人間としての尊厳を守り抜くことであり、人道こそ政治の究極の目標と言っても過言ではありません。そして、福祉、教育、平和こそが人道の基盤となるものであります。

 少子高齢化と人口減少の同時進行という厳しい現実の中にあっても、福祉と教育を充実させることによって、国民一人一人の自己実現を可能にし、人生の満足度や幸福度を高めていく。日本に生まれて本当によかったと国民お一人お一人に言っていただける国にしなければなりません。

 外交においては、人間の安全保障に立脚し、核兵器を初め貧困や飢餓、環境破壊など人類に対するあらゆる脅威と闘い、平和を創造することに貢献していくべきです。

 戦後、日本は、欧米に追いつき追い抜こうと経済先進国の道をひた走ってきました。当然、それは必要なことだったとは思います。しかしながら、これからは、人道という点において、世界のモデルとなり、国際社会の中で名誉ある地位を目指すべきであります。人道の先進国こそ、総理が言われる、命を守る政治が具体的な形として結実した国の姿ではないでしょうか。総理の見解を伺います。

 二〇一〇年、新しい十年が始まりました。国の内外を見渡せば、地球環境をめぐる問題、人口減少、少子高齢社会の本格的な到来、そして貧困や格差の問題など、私たちが生きているこのときをどうするかという課題は山積しております。

 それと同様に、あるいはそれ以上に、十年後、二十年後、さらにはもっとその先を見据えて、今、政治が何を決断し、実行しなければならないのか。限られた資源、財産を最大限に活用しつつ、未来を担う子供やこれから生まれる子供たちに、平和で豊かな安心の日本そして地球をバトンタッチしていけるかどうかが問われています。

 総理は、命を守ると繰り返し言われました。確かに重要な視点であります。しかし、問題は具体的な中身です。

 私たち公明党は、国民生活を守るため、この困難な時代にあって、日本が進路を誤ることなく正しい選択と実行がなされるよう、国民の目線に立ちながら、その責務を果たしてまいる決意であります。

 今の日本、決して楽観できません。

 リーマン・ショック以降の金融経済危機のあらしからはようやく逃れたものの、国際金融をめぐる状況には、なお不確実な要素があります。国内を見ても、雇用の実態は、統計上の数字とは異なり、現場においては、特に新卒者の内定状況を含め、依然として厳しい状況にあります。景気も、全国どこへ行っても、特に地方は、仕事がないという声が充満しており、二番底の懸念は全く払拭されていません。

 その中で、日本経済は、デフレという大きな試練を迎えています。しかし、政府からは具体的な対策が聞こえてきません。デフレ対策なしのデフレ宣言だけでは、国民生活は守れません。

 私は、デフレ克服が至上命題であり、そのためには、財政と金融、すなわち、政府と日銀が緊密に連携しながら大胆に政策を打っていくべきと考えます。総理、デフレ克服に向けた処方せんを示してください。

 関連して、菅大臣は、先般の経済演説の中で、国民の暮らしに直結する名目の経済指標を重視し、デフレ克服に向けて日銀と一体となって取り組むと言われました。

 この重視する名目の経済指標とは何のことでしょうか。物価水準などを想定しているのですか。また、日本銀行と一体となってという意味は、日銀に対して、量的緩和やさらなる国債の引き受けなど、より積極的な金融緩和を求めていくという趣旨ですか。明確にお答えください。

 さて、今後の日本の経済社会構造をどうしていくか。

 私は、さきの予算委員会で、一つの整理として、次の三つの視点が重要である旨を申し上げました。一つは格差の是正、二つはパイの拡大、三つは国の形を変えることであります。

 第一の格差の是正ですが、端的に言えば、日本の富をどのように配分するかという視点であります。

 グローバル化の進展、社会経済構造の変化、さらには雇用形態の多様化などにより、残念ながら、所得や雇用の格差が広がってきています。貧困問題の解消に向けて、実情を十分に把握しつつ、早急にその処方せんを示し、実行に移すべきです。

 私は、行き過ぎた市場原理主義的な経済運営とグローバル化の進展が結果として格差の拡大を生んでしまったことを率直に反省しつつ、今後は、財政、税制あるいは社会保障を通じた所得再配分機能の強化、第二の生活セーフティーネットの構築が不可欠であると考えます。

 そこで、具体的に総理に伺います。

 貧困問題の解消に向けた政府の具体的な取り組みを明らかにしていただきたい。

 格差の是正に関して、公明党は、いわゆる給付つき税額控除を導入すべきと考えます。総理も同じ認識と存じますが、では、具体的に、どのような仕組みで、いつから導入する決意をお持ちでしょうか。あわせて、導入に当たっては、番号制度の整備が不可欠になります。制度の基本的な考え方、及びその導入に向けた進め方について答弁を求めます。

 また、再配分機能を強化するには、所得税の最高税率の引き上げや資産課税の強化を行うべきと考えますが、総理の認識を確認いたします。

 次に、第二の視点であるパイの拡大についてであります。

 人口減少社会にあっても、豊かさを維持していかなければなりません。政府は、日本としての明確な戦略を打ち立て、経済のパイをふやす、すなわち、どう持続的な成長を確保するかについて将来の姿を明らかにし、かつ、常にそれを念頭に置いて経済財政運営に努めるべきです。

 その際、世界経済の変化、なかんずく、中国など新興国の台頭も踏まえ、アジア全体を市場と見て、アジアの中の日本という視点を持つことも重要であります。

 しかし、残念ながら、鳩山内閣が新成長戦略の基本方針なるものをまとめたのは、予算編成が終わった後の十二月三十日。時間的余裕がなかったと言いわけをされますが、それ自体、成長戦略の重要性の認識が不足していると言わざるを得ません。

 国民は、そして世界は、日本がどこに向かおうとしているのか注目をしています。政権発足から五カ月にならんとする今に至っても具体策が示されない、メッセージを世界に発信できないのは、大きな損失です。かつての政権における経済政策がどうのこうのとあげつらっている時間があるなら、もっと早く取りまとめることに精力を注ぐべきです。総理の認識を伺います。

 三つは、国の形を変えるという点であります。

 私は、国と地方の役割を根本から見直し、国民生活により近い施策はできる限り地方にゆだね、国の役割を最低限にしていくという基本的な方向性に沿い、日本の統治の仕組みも根本から改めていくための議論が欠かせないのではないかと考えます。

 公明党は、地域主権型道州制を最終形としての目標に置いていますが、今後、税源、財源をどうするのか、国と地方の役割、権限をどうするかなど、大きな枠組みの議論が重要です。また、その前提として、効率的な政府に向けた行政改革の推進、さらには、地域のコミュニティーの再構築、NPOなど地域の方々の力をおかりしての社会の活性化などの仕組みをつくる必要があると考えます。地域主権型道州制の検討、地方分権、行政改革に向けた総理の考え方を伺います。

 平成二十二年度予算案について申し上げます。

 鳩山内閣として初めてとなる本予算案ですが、中身もさることながら、その決定プロセスを見ると、政権の抱える矛盾、実態が如実に映し出されております。すなわち、鳩山総理のリーダーシップが全く見られず、国民不在のまま、迷走に迷走を重ねました。また、政策の一元化という看板や国民との契約であるマニフェスト実現という旗も色あせています。

 以下、端的に本予算案の問題点を申し上げます。

 まずは、経済立て直しの視点が不明確な点です。

 現下の経済状況にあっては、景気を回復させるための手だてが財政上も重要です。さきに成立した二十一年度補正予算と連動させて日本経済を立ち直らせるという視点が乏しく、先ほど指摘したとおり、成長戦略も反映されていません。景気を押し上げるには物足りず、今後の経済の先行きに不安を残すものであると言わざるを得ません。

 また、財政規律を放棄し、編成当初から、初めに国債四十四兆円ありきでスタートするなど、結果として、今年度当初に比べプラス十一兆円も膨らむ四十四・三兆円の国債の大増発となりました。

 確かに、経済の悪化に伴う税収の大幅な落ち込みがあるとはいえ、マニフェスト実現を含めた予算の拡大のために、国債の増発によって将来へ負担を先送りしたとの批判は免れません。

 平成二十二年度は、とりあえず一時的な財源で取り繕っています。しかし、二十三年度以降のマニフェスト実現に必要な恒久財源は、一部増税以外はほとんど目星が立たず、これでは将来のさらなる国の借金の拡大あるいは大増税が避けられなくなるのではないかとの不安を増幅させるものです。

 そもそも、財政健全化への道筋を示さないことは、政権として極めて無責任です。事実、一部格付機関が国債の格付見通しを引き下げるなど、日本国全体への信認問題にもなりかねない状況です。これでは、経済成長はおろか、国債の金利上昇によって本当に借金で首が回らない事態になりかねません。

 そこで、総理、明確にお答えください。

 平成二十三年度以降の国債発行は、まさか四十四兆円を超えるようなことはないと思いますが、いかがでしょうか。あわせて、マニフェスト実現に必要な財源は、マニフェストに書かれている以外の増税に頼らず、歳出の中身を組み替えることで賄うということをこの場で改めて明言すべきと思いますが、総理の答弁を求めます。

 また、総理は、消費税増税は四年間行わないとしておりますが、他方で、議論をすることまでは否定されていません。であれば、いつから検討を始め、いつまでに結論を出すのか、見解を求めます。

 次に指摘したいのは、マニフェストに反した明らかな公約違反予算であるという点です。

 本予算案では、数多くのマニフェスト違反あるいは変更、先送りがなされております。マニフェストの契約が四年間であるとはいえ、わずか五カ月足らずで契約の中身そのものを変更することは、国民の信託、期待に対する裏切り行為です。

 その代表的なものが、ガソリン税などの暫定税率の廃止から実質的維持への変更です。しかし、総理の説明は、全く説明になっていません。

 国民の声を聞いて変更したといいますが、それはどの国民の声ですか。マニフェストで約束されたことが第一に優先すべき国民の声なのではありませんか。この基本が簡単に崩れるならば、マニフェスト、公約とは一体何なのでしょう。町に張られている「公約実行。」の民主党のポスターは、即刻撤去すべきです。

 人的控除についても、マニフェストに違反し、個人住民税の年少扶養控除の廃止と特定扶養控除の一部縮小による増税を決定しました。

 また、鳴り物入りで実施した事業仕分けの予算への反映も、当初目標の三兆円には到底及ばない結果になりました。二百七兆円を見直しすれば、十兆円ぐらいすぐ出てくるのではなかったのですか。

 総理、改めて国民に対し、マニフェスト違反についておわびをするとともに、きちんとした説明責任を果たすべきと思いますが、総理の答弁を求めます。

 以下、具体的な政策課題について質問いたします。

 初めに、社会保障関係について伺います。

 まずは、子育て支援です。

 私は、人口減少、少子高齢化が進む我が国において、社会全体で子育てを応援するために資源を集中的に充てるべきと考えます。

 具体的には、経済的支援の拡充ももちろん重要ですが、それに偏るのではなく、きちんと国民のニーズを見きわめつつ、保育所等の整備などを含めた総合的な支援策を講じていく必要があると考えます。総理の認識を伺います。

 子ども手当ですが、私は、子育て世帯に社会全体で直接的な支援を行う、あるいは控除から手当へという視点は、公明党の目指す方向と同じであると認識をしております。だからこそ公明党は、これまで、厳しい財政事情の中で、その都度、適切に財源を確保しながら児童手当の拡充を図ってきました。

 しかし、政府案では、結局、子ども手当の恒久財源の確保には至っていません。二十三年度以降は法的、制度的に何も担保されないまま、とりあえず平成二十二年度限りの制度として、事実上、現行の児童手当を拡充する形で見切り発車のスタートとなりました。

 そこで、総理にお伺いをいたします。

 総理、平成二十三年度以降はマニフェストどおり月二万六千円を支給しますか。であれば、なぜそのような法案を出さないのですか。また、恒久財源をどのように確保するのですか。マニフェストで明言している配偶者控除の廃止は、平成二十三年度税制改正で決定、実施するつもりですか。明確な答弁を求めます。

 次に、年金、医療、介護の問題について質問をいたします。

 私は、先般の予算委員会で、現行制度と生活保護をつなぐ第二のセーフティーネットを構築し、生活保護に至る前に再び立ち上がれる取り組みについて提案をいたしました。総理から前向きな答弁をいただきましたので、その質疑を踏まえ、さらに具体的に質問します。

 第一に、年金制度の安全網を強化する無年金・低年金対策についてです。

 公明党が提案する、年金保険料の事後納付期間の延長、受給資格期間の短縮、さらには低所得の方に年金額を上乗せする年金加算制度の創設について、総理から次のような答弁がありました。受給資格期間を短縮するのは重要な発想である、二十五年というのはやはり長過ぎる、再度検討したいとのことでありました。総理、受給資格期間の短縮をいつまでに検討し結論を出すのか、明確にしてください。

 また、民主党は、最低保障年金の創設を含む年金制度の抜本改革案をこの先四年間で検討すると言っています。それはそれとして改めて議論したいと思いますが、今困っている低年金の方を救うために、年金加算制度について先行して実施すべきと考えますが、総理の見解を求めます。

 第二に、医療についてであります。

 高額な医療費の負担を軽減する高額療養費制度について、衆議院に引き続き、参議院の予算委員会でも我が党の山口代表がその問題点を指摘し、改善を求めました。その際、総理は、できるだけ早く前向きな結論が出るよう検討を進めていかせたい、このように答弁をされました。

 できるだけ早くとは、いつまでですか。早急に検討の場を立ち上げ、検討スケジュールを明確にすべきと考えますが、総理、明確にお答えください。

 次に、介護問題について伺います。

 急速に進む超高齢社会。老老介護やひとり暮らし高齢者の増加は著しく、社会全体で介護を担っていく機能を大急ぎで強化する必要があります。

 介護の現場はどうか。公明党は、昨年十一月、全国三千人を超える議員のネットワークを通じて、全国四十七都道府県で介護総点検を実施しましたが、十万件を超える現場の声が寄せられました。百人待ち、二百人待ちの状態で何年待っても入れない特養ホーム、十分な在宅介護サービスが受けられず、負担の重い家族が介護うつなどで悩むケースの増大など、深刻です。

 予算委員会でも指摘しましたが、介護施設が圧倒的に足りず、少なくとも倍増させる必要があること、在宅介護の不安も解消できていないこと、介護現場で働く人が待遇面で希望を持てないこと、この三点について、早急にこれらの現場の声にこたえ、対策を講ずるべきです。

 総理、だれもが避けて通れない介護です。安心して暮らせる高齢社会の実現に向けて政治の決断が必要です。抜本的な介護基盤の整備にどう取り組むのか、総理に伺います。

 雇用を取り巻く環境は依然として厳しく、さらには、将来の見通しが見えない不安を国民は抱いています。

 第一に、足元の雇用をいかに確保するかです。

 雇用情勢が悪化し始めた一昨年、七千億円の基金を創設しました。失業者の雇用確保を強力に推し進めるため、その基金の効率的かつ効果的な活用が図られるよう、使い勝手をよくすることとあわせ、必要に応じて増額を図るべきです。

 第二に、訓練・生活支援給付の恒久化など、セーフティーネットの構築です。

 公明党は、雇用保険にかわる第二のセーフティーネットとして、職業訓練中の生活保障で、月に最大十二万円を支給する訓練・生活支援給付の恒久化及びその対象の拡大を提案しています。同じくセーフティーネットがない未就職新卒者への適用も含め、早急に対策を講じるべきであると考えます。

 第三に、成長分野における戦略的な雇用創出を図ることです。

 一つだけ例を申し上げたい。介護分野では、職につくまでに資格取得などで時間と費用がかかります。高知県や岐阜市などでは、フレキシブル支援センターという、給与をもらいながら研修を行う雇用つき研修体系を実施しています。このような雇用につながる支援策を政府としてもあわせて考えるべきです。

 以上、雇用問題に関する具体的な提案に対し、総理の考えをお伺いします。

 中小企業支援策について伺います。

 二〇〇九年の中小企業の倒産件数は、四年ぶりに前年を下回りました。これは、緊急保証制度や公共事業前倒し発注等の政策効果によるものと指摘されています。しかし、依然として資金繰りに苦しむ中小企業は多く、何よりも仕事がないため、雇用も含めて楽観できない状態が続いております。

 当面の対策としては、中小企業の経営力を強化するために、例えば資金繰り支援のさらなる強化、経営指導員等による相談体制の充実、下請いじめ防止の徹底など、きめ細やかな中小企業支援策を継続的に講じるべきであります。総理の答弁を求めます。

 次に、地域の活性化に関連し、農林水産業について質問します。

 さきに公明党は、人口減少下での地域活性化を促進するため、農業、観光業等への就労を通じた、大都市圏から地方への人口移動を促進するというビジョンを発表しました。

 重要なのは農業の再生です。農家が将来に希望を持てる施策の構築が必要であり、喫緊の課題です。

 しかし、戸別補償制度に代表される民主党の農政転換は、期待の一方で、多くの農業者から、農業に対する中長期的な展望が明確でない、担い手対策や地域の自主性が担保されていないなどの基本的な問題点が指摘されています。

 特に、担い手対策が問題です。農業の現場では、高齢化などで担い手不足が深刻です。だからこそ、担い手の育成や集落営農に大きな期待がかけられてきました。

 しかしながら、現政権は、その担い手育成、また、その柱の一つである集落営農の位置づけを明確にしておりません。農業再生の柱と言える担い手像を欠いたまま、所得補償だけで農業生産は何とかなる、そのような状況ではありません。生産現場の不安にこたえるためにも、担い手像を含めた農業の中長期の展望について明確にすべきです。総理の答弁を求めます。

 林業について伺います。

 本年発表されたある調査によれば、木造住宅で国産材が使用されない理由の三割が、必要量の確保が困難ということです。ストック機能が弱い国産材は、これまで、需要が増すたびに外材にシェアを奪われてきました。

 そこで、需要に応じた必要量を機動的かつ安定的に供給できるよう、造林や間伐などの川上対策に加え、木材の加工やストックヤードなど流通分野を担う川下対策を重視し、国産材の利用拡大を図るべきであると考えます。総理の答弁を求めます。

 水産業について伺います。

 日本の周辺水域は、本来、世界有数の豊かな漁場であり、水産資源を持続的に利用することができれば我が国の漁業はさらに大きく発展できる可能性があります。しかしながら、水産資源の回復や管理はまだまだ進んでおりません。国際競争力のある経営体の育成や担い手対策も端緒についたばかりであります。

 そこで、総理、水産物の安定した供給と、世界に誇る日本の漁業と漁村の再活性化に資する、水産業の中長期の展望を示していただきたい。

 エチゼンクラゲの大量発生や漂流物による漁具や海岸環境などへの影響も深刻です。漁業者への支援策の拡充強化が必要です。また、エチゼンクラゲが大量発生するメカニズムの調査研究や抜本的な対策を中国、韓国と共同で進めるよう、日本がリーダーシップを発揮すべきではないでしょうか。赤松農林水産大臣の答弁を求めます。

 鳩山総理は、「コンクリートから人へ」とのスローガンのもと、本予算案における公共事業関係費について、対前年度比一八・三%という過去最大の下げ幅で削減をしました。景気低迷が続く中、余りにも大幅な公共事業の急激な削減によって、地域経済を担う中小の建設業、また関連の中小零細企業は極めて厳しい状況に置かれています。総理は、地域経済を支える中小の建設業の将来像についてどうお考えか、答弁を求めます。

 第一次補正予算の執行停止、さらには事業仕分けなどで、多くの公共事業が不急不要だとして削られました。もちろん、無駄な事業を見直すべきは当然です。しかし、例えば、対策が急がれる小中学校の校舎の耐震化予算を大幅に削減しました。果たしてこれが、民主党政権が掲げる「いのちを守る予算」と言えるのでしょうか。校舎の耐震化は喫緊の課題であり、最優先で行うべきと考えますが、総理の答弁を求めます。

 近年、老朽化した上下水道管の破裂や橋梁の一部破損等の事故が全国で発生しています。我が国の社会資本の多くは整備後五十年近くが経過し、今後、これら社会資本ストックの高齢化が急速に進行するという課題に直面しています。社会資本ストックの更新、老朽化対策は、国民の命にかかわる問題です。事故が発生してから更新、改修を行うような場当たり的な対応ではなく、計画的、集中的に進めるべきであると考えます。

 「コンクリートから人へ」のスローガンが、結果的に、コンクリートから荒廃へとならないよう、真に必要な公共事業は重点的に前倒しして行うべきと考えますが、総理の見解を求めます。

 また、地域の活性化、国民生活にとって、道路のネットワークや港湾などの社会資本の整備は不可欠です。公共事業のあり方を抜本的に見直すというのであれば、新たな時代に対応する社会資本整備のあり方について、安心、安全の観点、また、成長戦略を含めて体系的に提示すべきであります。総理の見解を伺います。

 総理は、施政方針演説の中で、日本を世界に誇る文化の国にしていきたいと訴えられました。大いに賛成であります。

 しかし、昨年の事業仕分けでは、文化関連事業が軒並み削減の対象となり、その手法に多くの疑問の声が投げかけられました。子供が本物の文化に触れる機会は大切だ、仕分けのやり方が余りにも乱暴、哲学がない、縮減ありきの会議だ、どれも芸術家の方々の怒りの声であります。

 総理、文化立国を構築するための基本となる文化政策があるのであれば、このような対応にはならなかったはずです。人間の成熟は、文化芸術なくしてはあり得ません。また、国の地位は文化芸術への力の入れ方で決まるとも言われております。総理はどのように文化芸術の振興に取り組まれるのか、見解を求めます。

 また、科学技術の振興についても、事業仕分けでは、文化と同様、次々と縮減との評価がなされ、ノーベル賞受賞者らが総理に格段の配慮を求めるなど、関係者に不安や危機感が一気に広がりました。歴史の法廷に立つ覚悟はあるのかとまで訴えられた科学者がいたとも聞きます。

 科学技術は成長戦略の柱でもあります。政治主導というのであれば、ぜひとも科学技術政策に関するグランドデザインをお示しください。総理の見解を求めます。

 次に、施政方針演説で何度も命を守りたいと訴えられた鳩山総理に、がん対策の充実について二点確認をいたします。

 まず、第一次補正予算で我が党が推進し、乳がん、子宮頸がん検診を無料で受けられる検診クーポン券の配付が実現しました。多くの自治体で検診率向上に効果を上げていると評価されています。ところが、二十二年度予算案では、国の事業予算が三分の一近くの七十六億円まで縮減されております。結果、地方は悲鳴を上げ、来年度はクーポン事業自体を断念する自治体が出始めています。

 女性のがん検診率は極めて低く、この検診率を上げる起爆剤と期待されていたのが無料クーポン事業です。なぜ大幅に減額をするのか。総理、明快な答弁をお願いします。

 次に、緩和ケアの充実について伺います。

 がん医療にとって緩和ケアの充実は極めて重要ですが、我が党が推進し成立したがん対策基本法では、たとえがんになっても痛まない、苦しまない社会を目指すことが重要な柱の一つとなっています。

 このため、平成二十三年度までの五年以内に、すべてのがん診療に携わる医師が緩和ケア研修を受け、基本的な知識を習得することになっています。広く考えると約十万人の医師ががん診療に携わっておりますが、間もなく三年が経過するにもかかわらず、これまでに研修を受けた医師はようやく一万人を超えたばかりです。五年以内の研修修了者数の目標を明確に定め、あわせて研修内容の充実も図り、多くの国民をがんの痛みから救うべきです。

 がんになっても自分らしく生きるためには、治療初期からの緩和ケアは欠かせません。具体的な研修計画を初め、がん対策についての総理の決意を伺います。

 次に、我が国が直面する外交上の課題について伺います。

 初めに、ハイチで発生した地震で犠牲になった方々に対し心からの哀悼の意を表するとともに、被災者の方々にお見舞いを申し上げます。

 政府においては、震災国としての経験と技術を生かし、引き続きハイチの救援、復旧復興支援に全力を挙げるよう強く要請をいたします。

 近く、我が党の同僚議員を現地に派遣します。必要な支援のあり方を党としても調査してまいりますが、総理は、PKOの派遣を含め、必要な支援措置についてどのようにお考えか、答弁を求めます。

 北朝鮮問題に対する鳩山総理の考えについて伺います。

 北朝鮮問題の解決へ向けては、圧力と対話が重要にもかかわらず、国連決議一八七四号で求められている貨物検査の実施など、具体的な政府の動きが見られません。

 また、拉致問題についても、関係国と連携しながら解決に向けあらゆる手を打っていくことが必要だと考えますが、具体的な取り組みについて総理の御所見を伺います。

 次に、普天間基地移設問題についてであります。

 移設に関して、平野官房長官が地元の合意がなくとも法的措置によって可能と発言するなど、この問題における総理や関係閣僚の発言が定まっておりません。沖縄県民には、戸惑い、憤り、そして不安が交錯しています。

 普天間飛行場の危険性の除去、すなわち、住民の生命財産を守ることがこの問題の根本であります。総理は、五月末までに結論を出すと繰り返し述べておられます。沖縄県も、また移設先の自治体も、そして米国も含めて、すべての関係者が合意できる五月決着についての全責任は、総理、あなた自身にあります。改めて国民に明確にしていただきたい。答弁を求めます。

 非核三原則、そして武器輸出三原則を掲げた我が国は、戦後、平和国家としての名誉ある地位を国際社会の中で築いてまいりました。

 世界は今、核兵器廃絶へと大きく動き始めました。他方、核テロリストなどへの核拡散が懸念されるという国際情勢の中にあって、この二つの原則の重要性はさらに増すものと考えます。総理の御所見を伺います。

 政府・与党のトップである鳩山総理の偽装献金問題、小沢民主党幹事長の資金管理団体による土地購入疑惑、さらには、それに関連して民主党の現職国会議員や秘書が逮捕されたことは、まさに異常事態であり、極めて遺憾であります。

 既に総理の元秘書が虚偽記載で起訴されており、総理もその起訴事実を既に認めておられます。予算委員会でも指摘しましたが、総理は、かつて、秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきだと繰り返し言われております。過去の自分の言葉に照らして責任をとることは、一国のリーダーとして当然だと思いますが、総理、改めてお伺いをいたします。

 母親からの総額十二億六千万円に上る贈与について、もらったこと自体知らなかった、何に使ったのかも知らなかったでは、到底国民の理解は得られません。使途も含め、この問題についても全容を明らかにすべきです。

 また、総理は、予算委員会で、政治資金収支報告書を十数年間見ていなかったと答弁されました。これにも国民から驚きの声が上がっています。一般の常識ではあり得ません。見ていないの一言ですべてが済むとお思いなのでしょうか。

 国民からは、それならば収支報告書に政治家本人が署名するようにすべきだとの声が寄せられております。当然だと思います。このような指摘に対して、総理はどのように答えますか。答弁を求めます。

 また、小沢幹事長の資金管理団体による土地購入資金疑惑について、小沢幹事長自身が二度にわたって事情聴取を受けたことが明らかになりました。捜査に進んで協力することは政治家として当然ですが、あらゆる機会を通じて、みずから積極的に説明責任を果たすべきだと思います。

 総理、小沢幹事長自身に対しても、しっかりと説明責任を果たすよう、党の代表として毅然とした態度を示すべきと考えますが、いかがですか。お答えください。

 また、民主党の自浄作用が全く働いていないのも不思議としか言いようがありません。民主党の現職国会議員が逮捕されているにもかかわらず、総理は、党として行動することにはなっていませんと、調査することすら否定されました。これでは、民主党に全く自浄能力がないと言われても仕方がありません。民主党の皆さん、それでいいのでしょうか。

 総理、政治と金の問題について、党として説明責任を果たし、政治の信頼回復のためにも積極的に自浄能力を発揮すべきと思いますが、明確にお答えください。

 国民の政治への信頼を取り戻すためにも、知らなかったでは済まされない新たな仕組みが必要です。

 公明党は、秘書などの会計責任者が虚偽記載などの違法行為を行った場合には、監督責任のある議員も公民権を停止する政治資金規正法改正案を、昨年、国会に提出いたしました。さらに、企業・団体献金の禁止等も含め、再発防止策を検討する与野党の協議機関の設置を提案し、各党に呼びかけたところです。

 総理、この通常国会で、国民の政治に対する信頼を回復するためにも、再発防止策を実現しなければなりません。政治家本人の監督責任の強化、企業・団体献金を禁止する法改正を図り、清潔な政治を実現しようではありませんか。

 施政方針では、開かれた議論を行うと触れられたのみでしたが、これでは国民は納得をしません。この問題で総理みずから積極的にリーダーシップを発揮すべきです。答弁を求めます。

 総理、信なくば立たずです。政治の信頼回復は、ひとえに総理御自身の決断、行動によることを強く申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 公明党の井上幹事長の御質問にお答えをいたします。

 大体三十七問ほどございました。

 まず、人道の先進国という考え方と命を守る政治の連関についてのお尋ねでございます。

 施政方針で述べた「いのちを守る予算」、これは、言うまでもありませんが、命を守るという基本的な理念を具体的な政策として実行していくというものでございまして、福祉や教育、平和、お述べになりました、さらに雇用環境、こういった問題の広範な分野における広義の人道の追求と通ずるものだ、そのように考えております。したがいまして、ぜひ、この「いのちを守る予算」の早期成立に公明党さんに御協力をいただければありがたい、そのようにも思っております。

 人間の安全保障に関しては、昨年の国連総会一般演説で、日本外交の柱の一つとして訴えてまいりました。施政方針でもその考え方に触れているところでございます。外交面における命を守る政治を体現するものであって、今後ますます強化をしてまいりたい、そのように考えております。

 デフレ克服に向けた処方せんについての御質問。

 政府は、デフレの克服に向け、大事なことは、日本銀行と一体となって強力かつ総合的な取り組みを行っていくことでありまして、この年末においてもそのように行いましたし、これからもそのように行ってまいりたい、そのように思います。

 また、昨年の十二月に、雇用、環境、景気、こういった三本柱を中心とした緊急経済対策を取りまとめたところでございます。

 先般成立をいたしました第二次の補正予算と今議論されております本予算を切れ目なく執行することによって、デフレ克服とそして景気回復への道筋を確かなものにしてまいりたい、そのように思っております。

 貧困問題の解消に向けた取り組みについてのお尋ねでございます。

 昨年、我が国の抱える貧困の問題を直視するため、厚労省において初めて貧困率というものを公表したのは御案内のとおりでございまして、OECDの諸国の中では高いグループということになってしまったわけでございます。

 新政権におきましては、国民の命と生活を守るために、平成二十二年度予算において、子ども手当の創設、父子家庭への児童扶養手当の支給などの対策を盛り込んだところでございます。

 今後さらに、所得控除から手当へ、この考え方は同じだというお話でございますが、そういった考え方に基づいて、税制、社会保障を通じた所得再分配機能の回復あるいは強化や、さらには雇用保険を受給できない方々を対象に職業訓練とその期間中の生活保障を行ういわゆる求職者支援法、そういう制度、第二のセーフティーネットでありますが、こういった創設に向けた検討を行うなど、貧困の問題に真摯に取り組んでまいりたいと思います。

 給付つき税額控除の導入についてのお尋ねでございます。

 給付つき税額控除については、今後、所得把握のための番号制度を導入することを前提として、関連する社会保障制度の見直しとあわせて検討を進めていくことが必要だ、そのように考えております。

 また、この番号制度についてさらなるお尋ねがありましたが、番号制度は、社会保障制度の充実、効率化を進めるとともに、所得把握の精度を高めるために必要不可欠なインフラだ、そのように思っております。

 したがいまして、番号制度については、平成二十二年度税制改正において、府省横断的に検討する、そして一年以内をめどに結論を出すということにされておりまして、今後、この方針に沿って、一年以内に早急に検討を進めて結論を出したい、そのように考えております。

 再分配機能の強化についてのお尋ねでございます。

 格差是正の観点から、所得税あるいは相続税には再分配機能の回復が求められているところでございまして、こういう観点で、まずは所得税については、相対的に高所得者に有利な所得控除というシステムから、相対的に支援の必要な方々へ有利な手当への切りかえというものに取り組んでまいりたいと思っております。また、相続税に関しましては、課税ベース、税率構造の見直しについて、平成二十三年度の改正を目指して頑張ってまいりたいと思っております。

 新成長戦略の取りまとめに関するお尋ねであります。

 新成長戦略の基本方針、御案内のとおりでありますが、中長期的な成長に必要な具体策について、知恵を絞って策定してまいる所存でございます。本年の中ごろまでにまとめたい、このように考えておりますが、縦割りやしがらみにとらわれることなく行ってまいるということが大事でございます。

 すなわち、今までの成長戦略がなぜうまくいかなかったかということを考えたときに、縦割り行政というものの弊害を排除するということが大事で、そのためには政治主導で行っていかなければならないということでございます。したがいまして、基本方針に掲げた成長率などの実現を、本年六月ごろに全体像を完成して、目指してまいりたいと思っておりまして、御協力を願えればと思います。

 地域主権についてのお尋ねでございます。

 地域主権は私どもの一丁目一番地でございます。今後、地域主権戦略の工程表をつくりまして、それに従って、政治主導で集中的かつ迅速に改革を進めてまいります。

 道州制に関しましては、さまざまな御意見がございまして、いずれにしても、自治体間の連携というものは地域の自主的な判断に基づいて自発的に形成されていくべきものだ、そのように考えております。

 行革に向けた決意についてのお尋ねがございました。

 独立行政法人あるいは公益法人などについて、事業仕分けの第二弾を実施しようと考えておりまして、それによって戦後行政の大掃除を本格実施してまいりたい、そのように思っております。

 他方で、市民やあるいはNPOの方々が、教育とか子育て、まちづくり、介護や福祉、こういった身近な課題を解決するために取り組んでいるところでございまして、こういう「新しい公共」の担い手を支援することによって自立と共生を基本とする人間らしい社会を築いてまいりたい、そして、そのことによって地域の絆を再生するとともに、肥大化した官を何としてもスリム化してまいりたい、そのように考えているところでございます。

 平成二十三年度以降の国債発行額に関する御質問でございました。

 二十三年度以降の予算編成においても、これは大変厳しい財政状況である、御案内のとおりでございまして、その中でも、行政刷新会議などと連携をして、歳入歳出両面にわたって徹底した予算の見直しを行って、財政規律を何としても守って国債の信認を保たなければならないと思っております。

 なお、二十三年度以降の財政運営に関しましては、本年前半に、複数年度を視野に入れた中期財政フレームをつくって、さらに中長期的な財政規律を含む財政運営戦略を策定して、財政健全化への道筋を示してまいります。

 財源確保に関するお尋ねに関しては、二十二年度の予算においては、御案内のとおり、税収が大幅に落ち込んでまいります。この厳しい財政事情の中で、マニフェストの工程表に掲げられた主要項目を実現するのに必要な財源約三兆円というものは、国債増発によらないで、歳出の削減や公益法人の基金の返納など、予算の組み替えにより確保したところでございます。

 なお、二十三年度以降の予算編成過程においても、同じように、行政刷新会議などと連携して、徹底して予算の見直しを行ってまいります。そのことにより必要な財源を見出してまいりたいと思っております。厳しいですが、やるという思いでおりますので、御理解を願いたい。

 消費税についてお尋ねがありました。

 二十二年度の税制改正大綱において、消費税のあり方について、今後、社会保障制度の抜本改革の検討などとあわせて検討していくということにいたしたところでございまして、今後こうした方針に基づいて対応してまいります。このことに関しては、財務大臣あるいは厚生労働大臣ともよく相談をしてまいりたいと思っております。

 二十二年度の予算におけるマニフェストの実現についてのお尋ねでございます。

 この予算において、子ども手当あるいは高校の無償化、さらに戸別所得補償、あるいは高速道路の無料化、こういった一年目に実施するとしていたものの多くを、完全ではありませんがかなり盛り込んだ、そのように思っておりまして、その財源は、先ほども申し上げましたが、無駄遣いあるいは不要不急な事業の見直し、予算の組み替え、特別会計からの繰り入れなどによって確保したところでございます。

 このように、二十二年度の予算に関しては、大変厳しい財政状況の中で、国民の皆様方のさまざまなお声にも耳を傾けながら、さらにさまざまな工夫を凝らして、マニフェストの主要事項をおおむね実現する予算ができた、そのように考えております。

 これからも、国民の皆様方と真摯に向き合いながら議論を行って、マニフェストに掲げた政策を一つ一つ実現してまいりたいと思っております。

 子育ての総合的な支援策についてでございます。

 子育て支援については、子ども手当の創設、これは大変重要だと思いますが、あわせて保育所の待機児童解消などに向けた取り組みも、これも大変重要だと思っておりまして、車の両輪として頑張ってまいりたい、その思いで今年度の補正予算、さらには来年度の予算に盛り込んだところでございまして、御理解を願いたいと存じます。

 子ども手当についての御質問でございますが、平成二十三年度以降の子ども手当につきましては、予算編成の過程において改めて検討していくとしておりますが、基本的にはマニフェストどおりに行いたい、そのように考えております。

 配偶者控除に関しては、昨年末に閣議決定した税制改正大綱において、「考え方等について広く意見を聴取しつつ整理を行った上で、今後、その見直しに取り組む」とされておりまして、今後これに沿って取り組んでまいりたいと考えております。

 年金問題についてのお尋ねでございます。

 年金制度については、今後四年間で、公平でさらに透明な、新しい時代に合った制度をつくり上げていきたい、そのように思っておりまして、受給資格期間の短縮あるいは低年金者への加算といった提案についても、まずは無年金者などの実態の把握を行うということが大事だと思っておりまして、それを行った上で、新制度との整合性あるいは財源の確保といった視点も考慮しながら、新しい制度の議論と並行して検討を進めてまいります。

 高額療養費の制度についてのお尋ねでございます。

 高額療養費の制度については、まず、ことしの四月から、病院外来の診療科(医科)別負担というものを合算できるように改善をしてまいります。これが第一歩だと御理解をください。

 平成二十二年度においては、患者や保険者、医療関係者が入った社会保障審議会でも、患者負担の現状あるいは事務処理の改善策、医療保険財政への影響などを勘案して、患者の立場に立って検討を進めてまいりたいと思っております。

 公明党さんがいろいろと調査をされた介護の問題でありますが、高齢者ができるだけ住みなれた地域でお暮らしをできるように、施設サービスや在宅サービスについて、過去の三年分と比べて倍の整備量に当たる約十六万床の整備など介護拠点の確保を図るとともに、介護職員処遇改善交付金、これを活用して介護職員の処遇の改善を図っていくなど、介護基盤の整備を推進していきたいと思っております。

 あわせて、これも御案内だと思いますが、地域包括ケアシステムを構築してまいりたいと思っておりまして、介護基盤の整備に万全を期して頑張ってまいりたいと思っております。

 雇用対策についての御質問でございます。

 これはいろいろな御提案をいただきましたことに感謝を申し上げます。基本的にはおっしゃるとおりだ、そのようにも考えておりますが、厳しい雇用情勢に対応するために、従来の雇用創出基金に加えて、今般の二次補正予算において重点分野雇用創造事業を創設したところでありまして、これによって、今後成長が見込まれる介護や医療などの分野において雇用創出を図ることができる、そのようにも思っておりますし、また、雇用保険が当たらない方々に対しても、緊急人材育成支援事業というものを創設して、昨年の七月以降でありますが、職業訓練及び訓練中の生活保障のための給付を実施しております。恒久的な制度としては、二十三年度から求職者支援制度を創設したい、そのように考えております。

 中小企業の支援策についてもお尋ねがありました。

 これも基本的にはおっしゃるとおりだな、そのように思っておりまして、中小企業を取り巻く環境は大変厳しい、そのように思っております。

 したがいまして、成立いたしました補正予算において、景気対策の緊急保証の創設を初めとする資金繰りの対策とか、あるいはこの当初予算案における専門家派遣などを通じた経営支援の強化、あるいは下請代金法の厳格な執行を通じて大企業による下請いじめの防止などを行ってまいりたい、きめ細かな中小企業支援策をこれからも講じてまいりたいと思っております。

 農業の将来展望についてのお尋ねもございました。

 新たな農政において、農業の持続的な発展を図るために戸別所得補償制度というものを創設するわけでございますが、それとともに、六次産業化などの取り組みによって、競争力のある経営体の育成あるいは確保、さらには、担い手不足の地域での集落営農の組織化などを後押ししていきたい、そのように考えておりまして、大事なことは、地域農業の担い手の継続的な発展をいかに支援するかということでございます。

 こういった考え方で、ことしの三月に新たな基本計画を策定したい、そのように思っておりまして、将来の日本農業のビジョンをそのときにさらに明確にしてまいりたいと思います。

 国産木材でありますが、国産材への利用拡大についての御質問でございまして、これも、川上、川下対策、両方とも大事だ、それはおっしゃるとおりだと思っておりまして、さらに、環境という側面も最近極めて大きな意味が出てきていると思っておりますので、井上議員が御指摘の川上、川下対策、それぞれ重視をしてまいりたいと考えております。

 水産業の将来ビジョンについての御質問でございます。

 御案内のとおり、日本は、この海面、全部合わせますと世界で六番目に広い排他的経済水域を持っているわけでございまして、潜在能力は非常にある、そのように思っております。

 したがいまして、この厳しい状況ではありますけれども、その厳しい状況を何とか克服していくために、藻場、干潟の保全等により水産資源の回復を推進するということとともに、生産、加工、流通を一体的にとらえた、水産業を農業と同じように六次産業化しようということを考えておりまして、漁業と漁村の再生を目指してまいりたい、そのような漁業政策を考えてまいります。

 中小の建設業の将来像でございます。

 建設業はなかなか厳しい環境にあることも、私ども存じております。私ども、新しい発想として、住宅のリフォームなど住宅対策をこれから充実していきたい、そのように考えております。

 老朽化したさまざまな社会資本を維持するということとか、あるいはエコとかバリアフリー、耐震といったものに焦点を当てて、新たな住宅関連の需要というものを喚起するということを考えておりまして、中小の建設業の将来というものをしっかりと見据えていくことも重要だ、そのように考えております。

 公立学校の施設の耐震化についてでございます。

 二十二年度の予算については、公立学校の施設の耐震化関連予算は重点化によって増額をしておりまして、当初予算での比較ではふえているというわけでありますが、しかし、多分、公明党さん、これでは十分ではないというお話もあろうかと思います。

 さらに、今後、予算の効果的なあるいは効率的な執行に努めるとともに、二兆円の景気対策枠などの活用も視野に入れてまいりたい、そのように思っておりまして、耐震化は重要だという認識を持っております。

 社会資本のストックの更新、老朽化対策でございます。

 今後、高度経済成長時代に集中投資した上下水道あるいは橋梁などの社会資本が急速に老朽化していくということでございまして、維持管理の重要性が高まってきておるのは言うまでもありません。

 したがいまして、国民の皆さんの安全、安心を確保することは非常に重要だと認識しておりまして、一層のコスト縮減を図りながら、戦略的に維持管理、更新を推進してまいりたいと考えております。

 新たな時代に対応した社会資本整備についてでございますが、国民の命を守るための安全、安心に資するインフラ、あるいは世界との交流の拠点となる空港、港湾、あるいは道路、こういった我が国の活力、成長力に寄与していくインフラというものに対しては重点的に整備をしてまいりたいと思っております。

 しかしながら、その整備に当たっては、厳しい財政事情というものを踏まえていかなければなりません。したがいまして、いかに民間の知恵と資金というものをうまくここに活用するかということが重要だと思っておりまして、そういう考え方の中で戦略的に進めてまいります。

 文化芸術の振興についてでございます。

 文化芸術の振興は国民の心を豊かにするわけでありまして、産業、地域社会に活力を与えます。したがいまして、文化の継承と創造、我が国の国際社会における信頼の醸成に寄与するものであって大変重要だ、このように理解をしております。

 したがいまして、こういう観点から、今後とも、伝統的な価値観というものを大切にしながら、しかし、国民の皆さんが主体的に新しい価値や文化というものを生み出すということも大事だと思っておりまして、そのことによって、世界に発信する日本を目指して文化芸術の振興を図っていきたい、このように考えているところでございます。

 科学技術の政策についてのお尋ねもございました。

 地球温暖化あるいは感染予防あるいは防災などの人類共通の課題というものがございます。こういったものを解決していくための科学技術というものが重要だ、そのように考えておりまして、この政権の成長戦略の中にもグリーンイノベーションあるいはライフイノベーションというような思いを強く持っているところでございまして、こういうイノベーションに資する革新的技術の研究開発の強化に取り組んでまいりたいと思っておりますし、すぐれた人材を育成していくことが大事だと思っております。

 こういうものを通じて科学技術政策の全体像を示してまいりますが、今まで、ややもすると、研究のための研究、科学のための科学というところに陥ってしまうところもあります。そうではなくて、やはり人のために役に立つ科学そして技術というものをいかにしてつくり上げていくかという方向が重要だと存じます。

 女性特有のがん検診推進事業についての質問でございます。

 健康増進法に基づくがん検診は、これはもともと市町村が行う事務として実施されているわけでありますが、平成二十一年度については、クーポン事業の試験的な施行ということもあって補正予算で行う、そして、行った制度の普及啓発を図ったところでございます。おかげさまで、普及啓発が進みまして、平成二十一年度においてほとんどの市町村で実施ができたということで、目的は達せられたわけでございます。

 したがいまして、二十二年度は、事業実施主体である市町村にも応分の負担を求めることにいたしました。しかしながら、市町村の負担分については地方交付税の措置が講じられるわけでございまして、地域住民の健康維持のためにこれまでどおり事業が実施できるものだ、そのように考えております。

 緩和ケアの充実についてでございます。

 がん医療において、緩和ケアの充実はこれも重要な課題であって、がん対策の推進基本計画においても、治療の初期段階からの緩和ケアの実施を重点的に取り組むべき課題の一つとして掲げております。

 したがって、この予算におきましても、緩和ケア医の必要数や充足状況などの実態をまずしっかりと適切に把握するという事業を計上したところでございまして、こうした結果を踏まえて、目標の設定など、計画的にがん対策の充実を図ってまいりたいと思っております。

 ハイチへの復興協力についての御質問でございます。

 これはもう御案内かと思いますが、我が国は、ハイチの地震による甚大な被害を踏まえて、まずは国際緊急援助部隊、さらには七千万ドルの緊急復興支援、そしてPKOというもの、自衛隊の施設部隊の派遣を行うことにいたしたところでございまして、我が国が震災国として有する大変多くの経験あるいは知見を生かすことが重要だと考えております。これからも、国際社会と協力をしながら、ハイチの復旧復興に向けた積極的な努力を行ってまいりたいと思います。

 北朝鮮の問題に関してのお尋ねがございました。

 拉致、核、ミサイル、こういう開発は、我々とても容認できるものではありません。これらの問題を包括的に解決していきたい、その思いで最大限努力するとかねてから申し上げているところでございます。

 核、ミサイルについては、六者会合の早期再開をしていかなければなりません。そして、米国、韓国あるいは中国、こういった国々との連携を緊密にしていきたい、そのように思っておりまして、また、いわゆる国連安保理決議一八七四、これに基づいた貨物検査を的確に実施できるように、関連法案の早期成立を目指してまいりたいと思います。

 拉致問題について申し上げれば、昨年、拉致の被害者の御家族にお会いして、一日も早くこの問題の解決をしなきゃならぬ、その思いを強く感じたところでございまして、その後、新たに設置をいたしました拉致問題対策本部のもとで情報収集や分析の体制というものを強化して、具体的な行動を北朝鮮側からも引き出していかなきゃならないという思いのもとで、関係国とも一層緊密に連携をしてまいりたいと考えております。

 普天間飛行場の移設問題についてのお尋ねでございます。

 この問題については、負担軽減を願う沖縄の県民の気持ちをやはり大事にしていかなければなりません。そう思いながら、さらに安保の観点も踏まえて検討しているところでございまして、沖縄基地問題検討委員会で精力的に議論をして、地元の理解を求め、さらにアメリカの理解も求め、国が責任を持つと。最後は当然のことながら国が責任を持って、五月末までに具体的な移設先を決定いたします。

 非核三原則及び武器輸出三原則についてのお尋ねでございます。

 これは両方とも大事でありますが、我が国は唯一の被爆国として核兵器の廃絶を願っておりまして、非核三原則は堅持をいたします。

 また、武器の輸出などに関しても、今後とも武器輸出三原則等によって引き続き慎重に対処するとの方針を堅持していくことが平和国家の理念を掲げる私どもの内閣の考えでございまして、両三原則ともしっかりと守るということを改めて皆様方に申し上げておきます。

 過去の発言についてのお尋ねがございました。

 このことに関しては、何度も申し上げて恐縮ではございますが、私の過去の発言について弁解をするつもりはありません。ただ、私腹を肥やしたり不正を働いたりということで手を染めたということはないということで、御批判は御批判として、真摯に受けとめさせていただきたいと思っております。

 しかしながら、一方で、政権交代にかけてくださった国民の皆様方の御期待を考えたときに、改めるべきところは抜本的に改める、そして、御理解と御支持をいただけるように、身を粉にして働かせていただいて、私どもに課せられた厚い使命、大きな使命というものの遂行に全力を傾注していくことが政治家あるいは総理としての大きな責務だ、そのように考えているところでございます。

 国民の皆様方への説明責任についてのお尋ねでございます。

 母からの資金提供について私は全く知らなかったとはいえ、これは結果として、私のために提供された、そして使われたということが捜査によって判明されたわけでございます。したがいまして、その事実に基づいて、贈与として申告をし、納税をしたところでございまして、私が資金の提供を承知していなかったということは、検察の捜査によって事実として解明されたと理解をいたしております。

 資金の使い道について、検察からも違法な支出があったという指摘はありませんでしたが、ただ、今後、裁判による事実認定の最終確定と、検察に提出した書類の返還を待って、使途の分析、検証を行うように弁護士のチームに既に依頼を申し上げたところでございます。その目的は、私自身の資金管理の改善であり、公表については弁護士とよく相談したいと考えております。

 国民の皆様方に御納得いただくためには時間がまだかかるかな、そのようには思ってはおりますが、今後も、ありのままに、正直に真実を申し上げるしかない、そのように思っております。

 収支報告書の政治家本人の署名についてでございます。

 これは、御党からは御質問のたびに御提案をいただいているところでございます。政党や政治家の政治活動にかかわる問題でありますので、ぜひ各党各会派で十分に御議論をいただいて、成案を得ていただくことを期待しております。

 個人的に申し上げれば、政治資金規制について、国民の皆様方の声に謙虚に耳を傾け、そして不断に見直す姿勢が必要だと考えておりますので、前向きに検討すべきだということは申し上げておきます。

 小沢幹事長の説明責任に関してお尋ねがございました。

 小沢幹事長が検察の事情聴取に応じて捜査に協力をし、また記者会見で質問にも答え、説明責任を果たされようとしていると私は承知しております。検察による強制捜査が行われている途中でございまして、小沢幹事長自身が、被告発人としての立場ではありますが、今後さらに説明責任を果たしていくことを期待しておりますし、また、今大事なことは、捜査中でありますので、捜査の進展を冷静に見守ることが大事だ、そのように考えております。

 党の説明責任、自浄能力でございますが、政治家の資金管理団体をめぐる問題は政治家個人が説明責任を問われる問題である、このことは井上議員もおわかりのとおりでございます。しかも、既に検察が強制捜査を行っており、捜査権を持たない政党の調査というものの領域を超えているわけでございまして、したがって、検察による解明を待つべきだとたびたび申し上げております。

 また、この自浄能力ということでございますが、石川議員については、御案内のとおり捜査中であり、いまだ検察による処分も決まっている段階ではありません。さらに、小沢幹事長について申し上げれば、立件の容疑事実があるのか否かも明らかになっておらないところでございます。いまだ検察の捜査による解明も処分も定まらない段階で自浄能力を声高に叫ばれることは、必ずしも適切ではない、そのように思っております。

 言うまでもなく、小沢幹事長の説明責任については小沢氏自身が果たしていくべきものであり、同時に、検察の捜査を冷静に見守ることも肝要だと思っております。

 政治資金規正法改正、与野党の協議機関でございますが、政治資金の規制については、国民の皆様方の声に謙虚に耳を傾ける、そして不断に見直す姿勢が必要だと思っておりまして、前向きに検討すべきだと思います。また、民主党としても政治資金規正法改正に関して法案提出を検討していると承知しております。

 政党としては、政治資金規正法の改正については各党各会派で十分に御議論をいただきたいと申し上げますが、一言だけ民主党の代表として申し上げれば、平成十九年の政治資金規正法改正は、自民、公明の二党だけで、他の政党が不十分として反対したのを押し切って成立いたしたものでございます。今回、こういったことも踏まえて、与野党の協議機関の設置を行うか否か、こういったことも各党でぜひ御議論が必要だと思っております。

 残余の質問については、関係大臣に答えさせます。(拍手)

    〔国務大臣菅直人君登壇〕

国務大臣(菅直人君) 井上議員からの御質問にお答えをいたします。

 まず、名目の経済成長についての御質問でありました。

 名目の経済指標には、もちろん名目経済成長率などがありますが、加えて物価上昇率も、これは名目、実質の違いという概念が余りありませんが、名目の経済指標である、このように認識しております。そういった意味で、実質経済成長率等の実質の経済指標と比べて、こうした名目の経済指標の方が国民の生活実感に近く、国民の暮らしにより直結する面がある、このように認識しております。

 こうしたことから、私は、経済演説において、実質のみならず、名目の経済指標が改善していくことも重視しながら経済財政運営を行っていくということを述べさせていただきました。

 もう一点は、日銀と一体となった取り組みについての御質問でありました。

 日銀と一体となってとは、政府と日本銀行が緊密な情報交換、連携を保ちつつ、できる限り早期の景気回復、デフレ脱却に向けて強力に取り組んでいくことをあらわしたものであります。

 日本銀行においては、昨年十二月一日に、新しい資金供給手段を導入することや、十二月十八日に、中長期的な物価安定の理解を明確化することなど、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとで持続的な成長経路に復帰するための取り組みを行っている、このような努力を日本銀行としても政府と連動して行っておられると承知をいたしております。

 日本銀行に対しては、今後とも、適切かつ機動的な金融政策運営によって経済を下支えするよう期待をいたしております。

 なお、政府と日本銀行は、政策の方向性を共通にしながら、それぞれの政策手段により景気の下支えやデフレ克服に取り組んでおり、政府が具体的な金融政策手段について言及するのは差し控えたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣赤松広隆君登壇〕

国務大臣(赤松広隆君) 公明党の井上幹事長に対する回答をさせていただきたいと思います。

 私に対しては、一点、大型クラゲや漂流物による影響に対する支援策についてのお尋ねでございます。

 御承知のとおり、大型クラゲや漂流物につきましては、その被害や海岸環境への影響にかんがみ、対策の一層の強化が必要だと認識をいたしております。

 このため、大型クラゲの出現情報の漁業者への提供、洋上駆除、混獲回避のための改良漁具の導入、漁場内の漂流物の回収、漁業者が行う海岸清掃活動等を支援する事業等について、平成二十二年度予算では大幅に増額をしたところでございます。クラゲにつきましては、前年比約二倍の十九億一千二百万円、漂流物の回収等につきましては、新規に七千二百万円及び五十九億四千万円計上いたしたところでございます。

 大型クラゲの大量発生メカニズムの調査研究等につきましては、従来から日中韓で協力を行ってきたところでありますが、現在、発生源である中国水域での共同調査の実施を中国に申し入れをしているところでございます。ただ、多少両国の意見が違いますので、水産庁の職員を既に派遣いたしまして、今その詰めの話をさせておるところでございます。

 今後とも、日本のリーダーシップのもと、議員御指摘のとおり、積極的に推進をする考えでございますので、また公明党も御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 志位和夫君。

    〔志位和夫君登壇〕

志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、鳩山総理に質問いたします。(拍手)

 さきの総選挙での国民の審判は、政治を変えたいという国民の熱い願いを示すものとなりました。発足から四カ月半たった鳩山政権は、この願いにこたえているでしょうか。私は、国政の焦点となっている問題で、鳩山政権の政治姿勢をただすとともに、我が党の抜本的対案を明らかにするものです。

 まず、政治と金の疑惑に対する総理の認識と対応を伺います。

 民主党小沢幹事長の資金管理団体陸山会による土地購入疑惑が、国政の重大な問題となっています。その最大の焦点の一つは、土地購入を前後して、ゼネコンからのやみ献金があったのではないかという疑惑です。

 この問題について、我が党の機関紙しんぶん赤旗は、中堅ゼネコン水谷建設の関係者から、二度にわたって合計一億円を小沢氏側に渡したとの詳細な証言を得ています。小沢氏は、やましい金は受け取っていないと言いますが、土地購入の原資についての説明は、政治献金、銀行からの融資、個人の資産と、二転三転しています。このこと自体が、原資を明らかにしたくない、明らかにできないことのあらわれではないでしょうか。

 さらに重大なことは、水谷建設の関係者が、大久保被告から、仕事をとったら五千万円お願いしますと献金を要求されたと、これもしんぶん赤旗に証言し、水谷建設は実際に岩手県胆沢ダムの工事を受注しているということであります。

 西松疑惑をめぐっても、小沢事務所が天の声として東北地方の公共事業の本命業者の選定に決定的な影響力を持つようになり、ゼネコンは天の声を得るために小沢氏側に多額の献金を行っていたとの疑惑が公判廷で提起されております。おたくがとった胆沢ダムは小沢ダムだ、そのことを忘れるな、西松建設東北支店長は大久保被告からこう言われたとされています。

 ここには、公共事業という国民の税金で行われる事業を食い物にしたという、それが刑事訴追の対象となるかいかんにかかわらず、決して看過することはできない政治的道義にかかわる疑惑が提起されているのであります。総理にその認識はありますか。

 総理は、捜査を見守るとして、この問題について施政方針演説で一言も触れませんでした。しかし、これは国会が切り開いてきた到達点を無視する姿勢であります。

 田中角栄元首相の犯罪が問われたロッキード事件の際には、衆参両院議長の立ち会いのもとで五党党首会談が開催され、刑事責任の究明は検察、司法の職責だが、国会は司法の手が及ばない政治的道義的責任の有無も含めて国政調査権を発動して真相究明を図ることが確認され、検察、司法の究明と国会の究明が車の両輪となって疑惑解明が進みました。ここに、我が国会が切り開いてきた政治疑惑究明の到達点があるのであります。

 私は、この到達点に立った真摯な対応を民主党党首でもある総理に強く求めるものであります。

 この問題の根源には、田中金脈、金丸金脈以来の金権政治と、その元凶である企業・団体献金が、古い自民党政権のもとで温存されてきたという大問題があります。古い仕組みを終わらせるというのならば、企業・団体献金の即時禁止に踏み切るべきであります。政党助成金をめぐる数々の疑惑も指摘されています。今や、政治腐敗の根源の一つともなっているこの憲法違反の制度も撤廃すべきであります。総理の答弁を求めます。

 今、国民の暮らしの実態は、失業、雇用、中小企業とも、底なしの悪化を続けています。経済危機から国民の暮らしを守るために、政治は何をなすべきか。私は、旧来の政治からの三つの転換を提案し、鳩山政権の姿勢を問うものです。

 第一は、大企業に暮らしと経済に対する社会的責任を果たさせる政治への転換であります。

 なぜ日本の景気悪化はここまで深刻なのか。国民の所得が奪われた結果です。雇用者報酬、勤労者の所得は、一九九七年の二百八十兆円をピークに、二〇〇九年には二百五十三兆円まで、二十七兆円、一割も落ち込みました。一方、企業の内部留保は、この十年間に約二百兆円から四百兆円に急増し、その半分近くが大企業のため込み金です。

 この事実は政府も認めています。昨年十二月末に発表された政府の新成長戦略では、この十年来の政策の結果、選ばれた企業のみに富が集中し、中小企業の廃業は増加、国民全体の所得も向上せず、需要の低迷が続いたと指摘しています。私は、この診断については正しいと考えます。しかし、診断は正しくとも、解決のための処方せんは、ここでは何ら明らかにされておりません。

 なぜ、選ばれた企業のみに富が集中することになったのか。私は、大企業がため込んだ巨額の内部留保は、労働法制の規制緩和による正社員の非正規社員への置きかえ、下請単価の買いたたきを初めとした中小企業いじめの上に積み上げられたものだと考えますが、総理はどう認識されていますか。

 埋蔵金というのならば、大企業がため込んだ巨額の内部留保こそ、国民に還元すべき最大の埋蔵金ではないでしょうか。選ばれた企業のみに富が集中するシステムを改め、大企業の巨額の内部留保と利益を雇用と中小企業に還元させる政策への転換が必要だと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。

 私は、そのための具体的な方策として二つの点を提起するものです。

 一つは、非正規社員から正社員への雇用転換を進めることです。

 派遣、パートなど、不安定な非正規社員として働く労働者は三人に一人、若者と女性では二人に一人まで広がりました。ヨーロッパ各国では、非正規社員の比率は一割前後であり、日本の実態は極めて異常と言わなければなりません。政府は、非正規社員から正社員への雇用転換を雇用政策の中心に据え、具体的な目標と方策を持つべきではありませんか。

 とりわけその焦点となるのが、労働者派遣法の抜本改正です。

 この問題について、厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会が昨年十二月にまとめた答申では、製造業派遣の原則禁止を言いながら、一年以上の雇用が見込まれれば、短期細切れの雇用契約の反復でも、製造業への派遣を容認するという大穴があけられています。また、登録型派遣の原則禁止を言いながら、二十六の専門業務なるものは禁止の例外とされ、そこで働く百万人もの派遣労働者は、派遣のまま使い続けられるものとなっています。さらに、その実施を三年から五年先送りするとしています。これらは、財界の抵抗に屈した重大な後退と言わなければなりません。

 派遣法改正に当たっては、製造業派遣の全面禁止、登録型派遣の禁止の例外とされている専門業務の抜本的見直しなど、労働者保護法として真に実効あるものへの抜本改正を行い、その実施は、先送りでなく、速やかに行うべきではありませんか。答弁を求めます。

 いま一つは、中小零細企業の経営を守る政治への転換です。

 中小企業は、雇用の七割を支え、付加価値の五割を生み出す、文字どおりの日本経済の主役であります。ところが、倒産、廃業がふえ続け、倒産によるものだけでも毎月一万人規模の雇用が奪われる事態が続いております。

 下請中小企業は、大企業が空前の利益を上げているときにも単価の買いたたきに苦しめられ続けてきましたけれども、一昨年の秋以降は、不況を理由にした一層の買いたたきと下請切りが横行しております。ところが、当局が、買いたたきとして認定し、その是正を勧告したのは、この五年間に全国でたった一件。事実上の野放し状態です。

 下請関連法を厳正に適用して、無法を一掃するための実効ある措置をとるとともに、大企業と下請企業との公正な取引のルールをつくるべきではありませんか。

 大企業と小企業の労働者の賃金格差は拡大の一途をたどり、この十年余で格差は二倍にまで広がりました。これは、一九九九年の中小企業基本法の大改悪によって、大企業と中小企業との格差是正を投げ捨てた結果ではありませんか。政府は、中小企業憲章の制定とともに、基本法を改正し、格差是正を中小企業政策の根本に据え、総合的対策を図るべきではありませんか。

 町工場は、営々とした努力で高度な技術を身につけ、経済を土台から支えている日本の宝です。一度その灯を消してしまったら、取り返すことはできません。その灯を守り抜くために、仕事がなく、倒産、廃業のふちに追い詰められている町工場に対して、工場の家賃、機械のリース代、水光熱費など固定費補助に踏み切ることがどうしても必要だと考えますが、いかがでしょうか。

 労働者を使い捨て、下請企業を使い捨て、巨額の富をひとり占めにする、こんなやり方には未来はありません。大企業の巨額の内部留保と利益を国民に還元させる政策への転換を図り、国民の所得を引き上げることこそが、最大の景気対策ともなります。総理の見解を求めます。

 第二の転換は、自公政権の社会保障費削減路線がつくり出した数々の傷跡を速やかに是正することであります。この点で、鳩山政権の姿勢に、国民の期待を裏切り、みずからの言明にも背く一連の問題点が生まれていることを指摘しないわけにいきません。

 鳩山政権は、後期高齢者医療制度について、廃止を四年先送りする方針を決めました。これは、差別制度を速やかに撤廃し、老人保健制度に戻すことを掲げていた総選挙前の方針からの重大な後退です。しかも、総選挙後、公約してきた保険料の負担軽減策も実行せず、四月から、全国平均で一四・二%、八千八百円もの負担増をかぶせようとしています。国民の願いを裏切る二重の後退に怒りが広がっています。後期高齢者医療制度は、速やかな撤廃に踏み出すべきではありませんか。

 鳩山政権は、障害者自立支援法によって押しつけられた応益負担をなくし、速やかに応能負担に転換すると公約し、政権交代後は、ことし四月から、まず住民税非課税の障害者への応益負担をなくすと約束してきました。ところが、来年度予算案では、そのために必要な額の三分の一しか計上せず、応益負担を中途半端に残しています。憲法にも福祉の理念にも反する応益負担は、公約どおり速やかに廃止すべきではありませんか。

 自公政権によって強行された医療費の窓口負担の引き上げにどういう態度をとるかも問われています。

 サラリーマンの窓口負担を三割に引き上げた健康保険法改悪に際して、当時の野党四党は、三割負担凍結法案を共同提出しました。民主党は、提案者の一人として、さらなる受診抑制を招くと、三割負担を厳しく批判しました。

 現に、日本医療政策機構の調査によれば、年収三百万円未満の世帯で、医療費が不安で、ぐあいが悪くても医療機関にかからなかった人が四割に達し、窓口負担の引き上げによる深刻な受診抑制が起こっております。総理は、この受診抑制の事実をお認めになりますか。世界にも類のない高過ぎる窓口負担は、軽減に向けて踏み出すべきではありませんか。

 第三の転換は、旧来の政治が聖域としてきた軍事費と大企業、大資産家優遇という二つの分野にメスを入れ、庶民増税への不安を解消することです。このことを私は臨時国会の代表質問でも強く求めましたが、政府予算案は、そのどちらをも温存するものとなっています。

 軍事費は、四兆七千九百八億円で、前年度より百六十二億円の増額とされています。特に、米軍がグアムに建設する基地費用の負担は、前年度比四割増の四百七十二億円となっています。

 しかし、民主党は、グアムへの費用負担について、国際的に前例がない、理由と積算根拠が明らかではないなどと反対してきたではありませんか。みずから反対してきたグアムへの費用負担を大幅に増額するとは一体どういうことか、総理に説明を求めます。

 大企業、大資産家への行き過ぎた減税も温存されています。特に、株取引への課税が一〇%という異常に低い水準に引き下げられたままなのは、一体どういう理由でしょうか。

 今、アメリカでは、株取引への最高税率を二五%から三〇%に引き上げることが提案されています。イギリスでは、株式配当への最高税率が三二・五%から四二・五%に引き上げられます。金持ち優遇の税制が、貧富の格差の拡大に追い打ちをかけ、カジノ経済を助長したとの反省から、その是正が図られているのであります。

 額に汗して働く国民の税金よりも、ぬれ手でアワの株取引で大もうけをしている大資産家の税金が低いというのは、余りに異常です。アメリカやイギリスに学び、是正を図るべきではありませんか。

 軍事費と大企業、大資産家を聖域としながら、消費税増税など庶民増税の議論を行うなど、絶対に国民の理解を得られるものではありません。我が党は、この二つの分野を聖域とする財源政策の抜本的転換を強く求めるものです。答弁を求めます。

 最後に、米軍基地問題について質問します。

 さきの名護市長選挙では、辺野古への新基地建設反対を掲げた稲嶺進候補が勝利をおさめました。稲嶺新市長は、辺野古の海にも陸にも基地をつくらせない、その公約を信念を持って貫きたいと明言されています。この選挙結果は、米軍基地の県内たらい回し、辺野古への新基地建設を押しつけてきた日米両政府への痛烈な審判であり、基地のない沖縄を願う沖縄県民の歴史的勝利であります。

 ところが、この結果に対して、平野官房長官はしんしゃくしないと述べ、総理もゼロベースと繰り返しています。これは、辺野古案を除外するつもりはないということです。名護市民の審判を無視、否定するこうした態度は、断じて許されるものではありません。私は、政府が選挙結果を厳粛に受けとめ、名護市辺野古への新基地建設を撤回することを強く求めるものであります。

 普天間基地の苦しみは、県内はもとより、本土も含めて、どこに移しても同じ苦しみであり、移設条件つき返還では問題は解決しません。問題解決の道は、代替施設なき返還、無条件返還を正面から米国に求める以外にないことはいよいよ明白であり、展望のない移設先探しはもうやめるべきであります。

 大体、総理自身、二〇〇五年七月二十六日の本会議の質問、この壇上で、普天間基地については代替施設なき返還をアメリカに求めるべきでありますと、小泉首相に要求していたではありませんか。先日の衆院予算委員会の質疑で、我が党の赤嶺議員がこの事実を指摘し、政権についた今こそ、この主張を実行に移すべきではないかとただしたのに対し、総理は、「米軍との交渉をかんがみたときに、それは現実的に不可能だ」としか答えませんでした。

 総理に改めて問います。現実的に不可能だという根拠は一体何ですか。総理になると不可能だと態度を変えた理由は何ですか。しかとお答え願いたい。

 昨年十二月の党首会談で、私が普天間基地の無条件撤去を主張したのに対し、総理は、海兵隊は日本の平和を守る抑止力として必要と述べました。しかし、海兵隊とは、ベトナム戦争、アフガン・イラク戦争など米国の先制攻撃の戦争で真っ先に殴り込むことを任務とした部隊であり、その実態は、平和のための抑止力でなく、戦争のための侵略力ではありませんか。大体、抑止力と言うが、一体どういう危険に対する抑止なのか、具体的に説明していただきたい。

 沖縄県民にとって、海兵隊とは、抑止力ではなく、事故と犯罪をもたらす危険の根源にほかなりません。抑止力の三文字で、米兵におびえ、事故におびえ、危険にさらされながら生活を続ける苦しみをこれ以上沖縄県民に押しつけることは、もうやめるべきであります。

 海兵隊は沖縄にも日本にも必要ない、この立場に立って、普天間基地の無条件撤去を求めて、米側と本腰の交渉を行うべきです。そのことを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 共産党の志位委員長にお答えをいたします。

 まず、小沢幹事長の土地購入についての説明でございます。

 小沢幹事長の問題につきましては、さまざまな報道があることは承知をしておりますが、いまだ検察捜査の途中であり、大事なことは、その推移を冷静に見守ることではないか、そのように考えております。

 公共事業にかかわる疑念についてもお尋ねがございましたが、先ほどお答え申し上げましたとおり、小沢幹事長の問題については、いまだ検察捜査の途上でございまして、いまだ事実関係は解明されているというわけではありません。検察捜査の進展による事実の解明をまずは冷静に見守ることが肝要だと考えています。

 なお、この公共事業をめぐっての報道も、いまだ真偽というものは解明されているわけではありません。したがいまして、行政の長として申し上げる段階ではない、そのように認識しております。

 国会における疑惑解明についての御質問でありますが、小沢幹事長の問題について、現在、既に検察による強制捜査が行われているというところであります。したがいまして、くどいようですが、捜査の進展による事実の解明を冷静に見守ることが肝要だと思っておりますが、国会のことは国会で、ぜひ御議論いただき、御決定をいただきたいと思っております。しかしながら、捜査が途上である以上、事実の解明に関しましては、基本的には検察にゆだねるべきだ、そのように考えております。

 企業・団体献金の禁止についての御質問でございます。

 企業・団体献金の禁止の法制度の改正については、ぜひ各党各会派で十分に御議論をいただいて、成案を得ていただくことを期待しております。

 個人的には、政治資金の規制については、国民の声に真摯に耳を傾けるということが大事で、不断に見直す姿勢が必要でありますので、前向きに検討すべきだと思っておりますし、民主党としてもその改正について現在鋭意検討しているものだ、そのように承知をしております。

 政党助成制度についての御質問であります。

 この制度は、政治改革議論の結果、民主主義のコスト、これをだれが払うかということでございますが、この民主主義のコストというべき政党の政治活動の経費を国民全体で御負担いただくというようにしたものでございまして、重要な意義を持つものだ、そのように考えております。

 これにより、個々の国民の皆さんが自己の政治信条に基づいて政党を支持する自由は、何ら制限されるものではありません。したがいまして、憲法違反との指摘は当たらないと考えております。

 ただ、いずれにしても、このような制度のあり方については、各党各会派でよく御議論していただきたい、そのように思っております。

 それから、大企業の内部留保についてのお尋ねでございます。

 内部留保の規模は、事業活動の結果に加え、外部環境の変化とか、あるいは将来に向けた設備投資の見通しなど、企業の経営判断によって決定されるものであります。したがいまして、内部留保は、企業の持続的な発展と、それを通じた雇用の安定や取引先企業との関係の維持のためにも必要なものであり、また、基本的にそのために使われるべきものだ、そのように思います。

 大企業の内部留保と利益を雇用と中小企業に還元させろという御指摘でございます。

 このことに関しては、企業の内部留保は、企業の存続、長期的な発展、あるいは中長期的な雇用の創出などを実現していく上で重要なものだと思っておりまして、こうした内部留保の活用というものは、本来、企業がそれぞれの状況に応じて経営判断を下すべきものであります。

 その上で、企業の活力の源である労働者の雇用と生活をしっかり守るように最大限努力することはやはり重要だと思っておりまして、政府としては、人間への経済の実現に向けて、雇用政策あるいは中小企業対策においても真摯に取り組んでまいりたいと思っております。

 非正規社員の正社員への転換についてのお尋ねでございます。

 当面、非正規労働者に対するワンストップによる就労支援あるいは事業主への助成制度の活用などによって、非正規労働者が正社員となるような方向に支援をしていくべきだと思っております。

 また、昨年末に策定をいたしました新成長戦略において、若者フリーター約半減、ニート減少、こういった具体的目標を定めて取り組むことといたしたところでございます。

 さらには、「新しい公共」という概念の中で、支え合いの精神で、国だけではなくて、企業を含めて、社会全体で雇用の確保というものに向けて努力することが大事だ、そのように新政権としては考えております。

 労働者派遣法の改正についてのお尋ねでございます。

 これは、労働者派遣制度の改正について、昨年末、労働政策審議会において、公労使三者による精力的な御議論をいただいて、派遣労働者の保護の観点から答申をまとめたわけでございます。答申の内容は、公労使が一致した結論であるものですから、我々としては、この答申に基づいて、この通常国会の中で法案を提出したいと考えております。

 大企業と下請企業との公正な取引についての御質問がございました。

 確かに、さまざまな違法な買いたたきなどが存在をしていると思います。こういうものを排除するためには、やはり法に基づいて、独占禁止法あるいは下請法の厳正な執行に取り組むことが肝要だと思っております。また、お尋ねがございましたが、必要に応じて新たなルールの整備に努めることも重要ではないかと考えております。

 賃金の格差と中小企業基本法改正についてのお尋ねでございます。

 九九年、中小企業基本法の改正がございまして、中小企業の多様で活力のある成長発展、これを基本理念として提示をいたしたところでございます。これは、中小企業の経営判断あるいは創業促進の重要性を明確化したものでございます。

 しかしながら、経営基盤の大変弱い中小企業が存在していることも、これも実態としては事実だと思っておりまして、必要な支援を引き続き行ってまいりたいと思っております。

 みずから頑張っている、頑張っていこうという中小企業に対して、多様で活力のある発展の支援をすること、あるいはセーフティーネットの整備を図ること、こういうことを通じて、我が国を支えております中小企業が必要とする施策を全力で行ってまいりたいと思います。

 この中小企業基本法の改正と格差是正についてのお尋ねがございました。

 企業の活力は、単に規模の大小で決まるものではない、そのように思っておりまして、こうした考え方を背景として、現行の中小企業基本法の基本理念は、中小企業の多様で活力ある発展、成長を促すものだというふうに考えております。したがいまして、中小企業の活力を最大限に引き出していくために、政府一体となってあらゆる施策を講じていくということが必要だと思っております。

 町工場への固定費の補助についてのお尋ねがございました。

 確かに、中小企業の現実は大変厳しいものがある、そのように認識をしております。中小企業の皆さん方が、困難を乗り越えて、自立して事業を継続できるようにすることが重要だと考えております。

 資金繰りの対策に万全を期していくということと同時に、将来の仕事づくりにつながる取り組みを支援してまいりますが、御指摘のありました工場の家賃などそのものに係る補助というものは、中小企業の皆さんが自立して事業を継続できるようにするための施策としては必ずしも適当ではないのではないかと思っておりまして、限られた予算の効率的な活用という観点から考えても、必ずしも望ましいものだとは思っておりません。

 国民の所得引き上げについての御質問でございます。

 政府は、家計を支援することによって個人消費を拡大するとともに、新たな分野で産業と雇用を生み出し、日本経済を自律的な回復軌道に乗せ、内需を中心とした安定的な経済成長を実現するように政策運営を図ってまいりたいと思っております。

 後期高齢者医療制度についてのお尋ねがございました。

 高齢者の方々を年齢で差別するという後期高齢者医療制度は、私どもも、廃止するというこの原則は守らせていただきます。

 このために、厚生労働大臣が主宰をいたしております高齢者医療制度改革会議を設置して、新たな制度の検討を今進めているところでございまして、この改革会議での議論を急いで、ことしの夏には、その骨格を中間的にお示しをしたいと考えております。

 また、この新制度ができるまでの間においても、来年度の例えば保険料の引き上げなどを極力抑制していかなければなりません。そういった措置を講じて、御高齢の方々の安心を確保してまいりたいと考えております。

 障害者自立支援法に係る利用者負担についてでございますが、障害者自立支援法は廃止をいたします。そして、制度の谷間がなく、利用者の応能負担を基本とする制度に抜本的に変えてまいります。

 その第一歩として、来年度の予算案において、市町村民税非課税の障害者の方々について、福祉サービス等に係る利用者負担を無料化し、実質的にはもう既に応能負担になっている、そのようにお考えいただければと思います。

 医療費の窓口負担と患者の皆様方の受診行動の関係についてでございます。

 確かに、医療費の窓口負担が引き上がると受診行動が変化をして、医療機関を訪れる患者の方が減るということは経験的に事実だと思っております。

 ただ、一方で、高額療養費制度において、所得に応じた自己負担限度額を設定するなどの手当てを講じておるわけでございまして、こういう手当てを講ずることによって、必要な医療が妨げられているという考え方は持っておりません。

 医療費の窓口負担の軽減についてのさらなる御質問でございます。

 この現在の厳しい医療保険財政あるいは経済情勢などを考えれば、国民皆保険制度を維持していくために、保険料の負担の上昇をできるだけ抑えていかなければならないという目的のために、ある程度の窓口負担をお願いすることはやむを得ないと思っておりますが、先ほども申し上げましたように、高額療養費の制度において、患者の皆様方の負担に一定の歯どめをかけてまいりたい、そのことによって、重い病気にかかっても患者の皆様方に経済的な不安が生じないように配慮してまいりたいと思います。

 それから、平成二十二年度グアム移転予算についてのお尋ねがございました。

 沖縄の負担を速やかに軽減していく、そのためには、海兵隊のグアムへの移転を遅滞なく進めなければならない、そのように考えておりまして、グアム移転予算に関しては、十分に精査をした中で必要な経費というものを適切に計上したところでございますが、日本側の費用負担については、今後とも、毎年、その内容を精査して、国会において御審議を賜りたいと考えているところでございます。

 それから、証券税制の優遇措置についてのお尋ねでございます。

 これに関しては、証券税制については、現在、分離課税に適用されておりますいわゆる二〇%の本則の税率を、これは大変経済が今厳しいという現状がございますので、一〇%に軽減しているというところでございます。その間、優遇措置を講じておりますが、時限的なものでございまして、証券税制のあり方に対しては、やはり今後、政府税調においてしっかりと議論する必要がある、そのような認識をいたしております。

 財政政策の転換に関する御質問もいただきました。

 平成二十二年度の予算編成も、あるいは税制の改正においても、これは決して防衛費や大企業などに対して聖域を設けるなどというようなことは考えておりません。聖域なき、予算の全面的なむしろ組み替えというものに取り組んだんだ、そのように御理解を願いたいと存じます。

 普天間飛行場の移設に関するお尋ねでございます。

 やはり、名護の市長選挙の稲嶺市長誕生という結果は、これは民意の一つのあらわれだと理解をするべきだと思います。

 こういった問題に関しては、負担軽減を願っておられる沖縄の県民の皆様方の気持ちをやはり大事にしていきながら、安全保障上の観点も踏まえて、しっかりと検討していく必要があると思っておりまして、今、平野官房長官を長とする沖縄基地問題検討委員会をつくらせていただいて、そこで精力的に議論をして、地元の理解、そしてアメリカの皆さんの理解、さらに国の責任というもとで、五月末までに具体的な移設先を決定してまいります。

 普天間飛行場の移設に関するさらなるお尋ねでございます。

 アジア太平洋地域には、依然、不安定あるいは不確実な要素が存在をしております。したがいまして、こういう中で、在沖の米軍を含む在日米軍の抑止力というものがやはり我が国の安全保障にとり重要だ、そのように考えておりまして、したがいまして、普天間飛行場の一日も早い返還を実現するためには、やはり代替施設なき返還というものは現実的に不可能だ、そのように考えたのでございます。

 普天間飛行場の移設問題については、一貫して、沖縄県民の皆さんの思い、安全保障上の観点、さらには日米合意の重さ、連立政権といったものを踏まえた上で検討する旨述べているところでございます。

 海兵隊について、侵略力ではないかというようなお尋ねもございましたが、そのような認識をいたしておりません。沖縄におけるアメリカの海兵隊は、その高い機動性あるいは即応能力により、我が国への侵略に対する抑止力としての機能がある、そのように思っております。

 また、同時に、三年ほど前の平成十八年五月のインドネシアのジャワ島における地震などの対応も、このようなアメリカの海兵隊が大変な役割を果たしております。

 したがいまして、私どもとしては、戦争のための侵略力としての海兵隊という認識はいたしておりません。

 抑止力についてのお尋ねでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、我が国を取り巻く環境、例えば北朝鮮による核実験あるいはミサイルの発射、こういった依然として核戦力を含む大規模な軍事力があるという認識をしなければなりません。こういう状況の中で、日米安保条約によって、我が国に対する武力攻撃は、自衛隊のみならず米軍とも対峙をするということになるわけでございまして、したがって、侵略が未然に抑止される、その力を持つと認識をしているところでございます。

 最後でございますが、普天間飛行場の移設に関するお尋ねでございます。

 まだ、先ほど在日米軍の抑止力というものの必要性を申し上げたところでございまして、普天間飛行場の移設に関しては、このような安保の観点、さらに日米合意、連立政権の政権合意といったものを踏まえた中で検討しております。

 地元の理解というものを求めることはやはり大変重要なことだと考えておりまして、アメリカと十分にすり合わせをして、理解を求めて、政府として五月末までに必ず具体的な移設先を決定してまいります。

 以上です。ありがとうございました。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 重野安正君。

    〔重野安正君登壇〕

重野安正君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、鳩山総理の施政方針演説に対し、質問します。(拍手)

 社民党は、命を大切にする政治、生活再建を掲げて取り組んでいます。その立場から、鳩山総理の演説のキーワードである命に共感を覚えていることを申し上げます。

 さて、一昨日、NHKスペシャル「無縁社会 無縁死 三万二千人の衝撃」というドキュメンタリーが放映されました。ここ数年、身元不明の自殺と見られる死者や行き倒れ死など、国の統計上でははっきりあらわれない新たな死が急増し、かつての地縁や血縁に加え、会社との絆までが失われたことによって、日本が急速に無縁社会とも言える社会に変わっている実態が浮き彫りになっていました。

 私は、この間の構造改革路線が、人と人、人と社会の絆を断ち切ってきたのではないかと思っています。なぜ、だれにも知られず、引き取り手もないままに亡くなっていく人がふえているのかに思いを寄せ、何よりも大切な命が軽んじられている私たちの国、社会のあり方を問い直す契機としなければならないと思うのです。

 そこで、総理、だれもが地域で孤立することなく暮らしていける社会、すべての人が社会との接点を持っている、そんな居場所と出番のある新しい共同体について、もう少し、具体的な姿がどういうものなのか、またどのような道筋を描いていらっしゃるのか、明らかにすべきだと思います。御所見を伺います。

 さて、政府は、昨年十月、四十四年ぶりに日本の相対的貧困率が一五・七%であることを発表しています。しかし、残念なことに、総理の演説では、国内の貧困問題については触れられていませんでした。貧困問題の解決に向け、各省の施策の寄せ集めや継ぎはぎではなく、総理のリーダーシップで、貧困率削減の目標をつくり、そのための行動計画を具体化していくべきだと考えますが、総理の決意を伺います。

 自殺対策担当の福島大臣に伺います。

 我が国は自殺率が先進国の中でワースト二位にあり、依然として一年間の自殺者が三万人を超えるという高どまりのままであります。この現状に対して、どのような対策が必要であると考えているのか、答弁を求めます。

 さて、政府は、二十九日、子ども・子育てビジョンを決定しました。社民党は、子ども手当と同時に、待機児童の解消、延長保育や支援拠点の拡充など現物給付を車の両輪として進めなければならないと主張しております。今回、二〇一四年度までに夜間保育施設を二百カ所ふやすことなど、数値目標を明記した意気込みは評価するものであります。

 そこで、少子化担当の福島大臣に、これまで遅々として進んでこなかった子育て対策に、どのような政策、方針に基づいて対応していこうとしているのか。また、制度見直しなどに伴う追加財政支出は年間一・六兆円と試算されていますが、二〇一一年度から年五・三兆円を投じて子ども手当を完全実施するとの方針の一方、新ビジョンに係る財源をどうするのか、明確な答弁を求めます。

 郵政改革基本法についてお尋ねします。

 小泉郵政改革は、国民共有の財産である郵政三事業の資産、ネットワークを著しく毀損しました。国民、利用者の立場から、郵政三事業のサービスが一体的に提供できるような仕組みを再構築し、どこに住んでいても郵政三事業のユニバーサルサービスを享受できるようにすることを国民に保障していかなければなりません。郵政改革についての総理の御所見を伺います。

 私たち社民党は、これまでずっと、政官業の癒着構造を正し、利権政治から決別することを主張してきました。政権交代に託された国民の期待には、旧来の政官業の癒着体質、利権の政治風土からの決別もあったはずであります。

 政権のツートップが政治と金の問題で疑惑を持たれるのは遺憾であり、なおさら説明をきちんとし、国民からの信頼が揺らぐことがないようにしなければなりません。民主党もマニフェストで企業・団体献金の禁止を打ち出しており、この機会に、企業・団体献金の禁止を含め、政治資金の透明化に向けた必要な法改正を今国会で図るべきだと思いますが、鳩山総理の決意を伺います。

 平和、軍縮に日本がどのように取り組むかということは、鳩山連立政権での重要課題です。

 沖縄では、十一月八日に宜野湾市での県民集会が開催され、米軍普天間基地の撤去を求める県民の意思が示されました。辺野古がある名護市民は、一月二十四日の市長選挙で新基地建設に反対する立場を明確にしました。

 総理は、普天間問題について、五月末までに具体的な移設先を決定すると述べられております。原点は、沖縄県民の痛みを受けとめ、沖縄県民の負担を軽減すべきだということであります。普天間問題の解決に向けた総理の決意を改めてお示しください。

 日米安保五十年、冷戦終結二十年を迎える今日、米軍再編が進む中、旧来の核軍事力を背景とした抑止力に頼る安全保障のあり方が根本的に問われています。日米地位協定や思いやり予算の根本的な見直し、米軍被害の徹底検証にも取り組まなければなりません。

 日米ともに政権交代のもとで、東西冷戦構造の遺物である日米安保体制について再定義が必要であります。安全保障に特化した日米関係を見直し、鳩山連立政権の東アジアの平和と共生に向けた基本政策を強めるべきであります。総理の見解を伺います。

 世界的な金融危機、経済危機が広がる中で、雇用問題が深刻化し、特に派遣切りなど非正規雇用問題が大きな問題となりました。今国会に労働者派遣法の抜本的改正案の提出が予定されておりますが、非正規労働者の思いを反映したものとなるよう、内容の充実に一層の努力を求めたいと思います。

 また、だれもが歯車でなく人間らしく働くことができるよう、引き続き、最低賃金の引き上げや非正規労働者の均等待遇の実現、同一価値労働同一賃金の実現など、雇用の安定と労働条件向上に向けた諸施策に取り組んでいかなければなりません。労働法制の見直しについて、総理はいかがお考えでしょうか。

 千葉県野田市は、昨年九月、全国に先駆けて公契約条例を制定しました。自治体が先導役となって新たに国が公契約ルールを定めた法整備をすることを求め、条例の前文には、国に対して法の制定を要望する旨が盛り込まれております。

 総選挙前、民主党と社民党との共同提案で、公共工事作業者の適正な報酬確保に関する法案の提出を準備していた経緯もあり、政府としても公契約法の制定について積極的に検討を進めるべきだと考えますが、総理の御見解を伺います。

 環境問題への取り組みも、鳩山連立政権の重要な課題です。

 総理は、二〇二〇年までに温室効果ガスを一九九〇年比で二五%削減するという新たな日本の中期目標を表明しました。

 十二月にコペンハーゲンで開かれた気候変動枠組み条約第十五回締約国会議は、残念ながら新しい議定書を採択することはできませんでしたが、引き続き、二五%削減の実現シナリオを政府全体でつくり上げなければなりません。この点について、総理はどうお考えでしょうか。

 また、今年十月には、名古屋で生物多様性条約締約国会議が開催されます。生物多様性の存在価値を明確に定め、すべての開発に生物多様性の保全を義務づけるとともに、環境影響評価に生物多様性の確保を明記することが重要であります。生物多様性についての日本のリーダーシップについて、総理の決意を賜ります。

 次に、森林問題について伺います。

 国土の三分の二は森林です。その森林は、治水対策などの国土保全や二酸化炭素の吸収等などの多面的な公益的機能があります。京都議定書の森林吸収源確保のための森林整備の加速化に加え、環境は成長戦略の柱の一つであり、国産材の活用など林業活性化、緑の雇用や技術者の確保により一層取り組んでいくことが求められています。森は生きているという言葉があります。森の健康は国土の健康につながります。森林問題についての総理の認識をお聞かせください。

 高速道路料金の無料化について、前原国土交通大臣に伺います。

 既に、休日の高速道路が千円で乗り放題になる割引の影響で、航路の廃止や縮小が相次いでいます。そうした中、国内のフェリー会社などが加盟する日本旅客船協会は、フェリー航路を廃止縮小に追い込む形での高速道路の無料化に反対するとの要望書をまとめ、約三十万七千人の署名とともに、前原大臣に提出しました。今後、無料化が進んでいけば、区間にもよりますが、もっと大きな影響が出ることは必至です。

 一度フェリーがなくなれば、震災時の代替も難しくなります。阪神・淡路大震災のときの船舶の活躍を思い出してください。造船業の行方にも影響が出ます。また、トラック労働者にも過酷な労働が強いられ、交通事故増加にもつながりかねません。鉄道やバス、フェリーから、マイカーやトラックへ逆モーダルシフトが起きれば、地球温暖化対策に逆行しかねないし、マイカーを持たない人の足を直撃することにもなります。

 高速道路無料化や上限料金制度については、フェリーやバス、鉄道への影響、モーダルシフトとの関係、総合交通政策をどうするのかという点も含めて、本当に慎重に検討すべきです。また、今回、社会実験であっても、他の交通事業者に影響が出る場合、何らかの対応が求められると考えます。運輸行政を預かる前原大臣の答弁を求めます。

 今の経済社会は、自分が呼び出した地下の魔物をもはや統御し切れなくなった魔法遣いに似ています。今こそ、新自由主義的な小泉構造改革のもたらした害悪をきちんと総括し、国民生活と家計を重視した福祉社会への転換に向けた見取り図を示すべきであります。

 社民党は、「憲法の保障する諸権利の実現を第一とし、国民の生活再建に全力を挙げる。」との連立合意に基づき、命を守り生活再建を目指す予算と政策の実行に全力を挙げる決意であることを申し上げ、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 社民党の重野幹事長にお答えをいたします。

 まず、新しい共同体の具体的な姿についてのお尋ねがございました。

 私は、施政方針演説で、阪神・淡路の大震災のことを申し上げました。十五年前のことでありますが、あの大震災のときに、ボランティアの方々がお集まりになって、支え合う社会というものをつくられました。これがある意味での日本の「新しい公共」のスタートではなかったか、むしろそのように感じたのでございます。

 官がすべてをやればコストがかかり過ぎる。それを民と官がうまく支え合うシステムをつくり上げていく。いろいろとあると思います。災害だけではありません。教育においても、あるいは医療、介護、こういった社会保障の分野にもたくさんあります。環境問題などもあります。こういうさまざまな問題に関して、お互いに支え合いながら幸せを享受する、こういう社会を具体的につくり上げていきたい、そのように考えておりまして、居場所と出番のある、こういった社会づくりに大いに力を入れてまいりたいと考えております。

 「新しい公共」円卓会議というものをつくらせていただきましたので、そのもとで道筋をつけてまいりたいと思います。五月の末までに結論を得てまいります。

 貧困率の削減の目標と行動計画についてのお尋ねがございました。

 昨年、日本の抱える貧困の問題を直視しなきゃならないということで、長妻厚生労働大臣が初めて貧困率というものを公表いたしたところでありまして、結果として、貧困率、極めて高いなということが明らかになったわけでございます。

 それに基づいて、新政権においては、国民の皆さんの命と暮らしを守るために、二十二年度の予算において、子ども手当の創設あるいは父子家庭への児童扶養手当の支給などの対策を盛り込んだところでございまして、引き続いて雇用対策や家計を直接応援する政策を推進する。貧困率を下げるということは、結果として貧困率が低下するように努力をしていくことが大事ではないか、まずそのように考えているところでございます。

 郵政改革の方針についてのお尋ねがございました。

 郵政改革については、国民共有の財産であります郵便局のネットワークを活用して、郵便、郵便貯金、簡易保険、このサービスを全国あまねく郵便局で一体的に利用できるようにする、こういった郵政改革の基本方針を閣議決定したのは御案内のとおりでございまして、これに基づいて所要の法律案をこの通常国会で提出する予定でございますので、ぜひ御審議を願いたいと思います。

 政治資金の規制についてのお尋ねでございます。

 政治資金規正法改正については、政党や政治家の政治活動にかかわる問題でございますので、各党各会派で大いに議論をしていただいて成案を得ていただきたい、そのことを期待いたします。

 企業・団体献金の禁止あるいは政治資金の透明化、これは国民の皆様方、そのような思い、大変強く持っておられると思います。したがいまして、国民の皆さんの声に耳を傾けることは大変重要だと思っておりまして、私としては個人的には、前向きにぜひ検討をするべきだと思っております。

 また、民主党としても、企業・団体献金に関して法案提出を検討していると承知をいたしております。

 普天間飛行場の移設に関するお尋ねでございます。

 当然、普天間飛行場の危険性あるいは騒音の問題を考えれば、一刻も早く移設先を探さなければなりません。これがすべてのスタートラインだったと思います。

 この問題について大事なことは、負担軽減を願っている沖縄の県民の気持ちを大事にして解決策を見出していく、同時に、安全保障上の観点も踏まえるということだと思っておりまして、御案内の沖縄基地問題検討委員会で精力的に議論をしているところでございまして、アメリカの理解も求めて、五月末までに具体的な移設先を国が責任を持って決定をいたします。

 日米関係の見直しに関してのお尋ねがございました。

 これは、冷戦が終わった後も、やはり私どもは、アジア太平洋地域には依然不安定、不確実な要素が存在するということでございまして、こういった中で、日米安保体制を中核として行うことが必要だ、地域全体の平和と安定に寄与するものだ、そのように考えておりまして、日米の安保改定五十周年の節目である本年、国際情勢のさまざまな変化に適切に対応しつつ、さらには東アジアの平和と共生のためにも、日米同盟を二十一世紀型にふさわしいものに深めていきたい、そのように考えております。

 労働法制の見直しについての御質問がございました。

 この通常国会に、派遣労働者の保護を強化する内容の労働者派遣法の改正案を提出する所存であります。このことは重野幹事長も御理解のところだと思っております。

 最低賃金については、労使関係者との調整を行って、中小企業に対する支援策を講じつつ、引き上げに向けて取り組んでまいることが肝要だと思います。

 また、同一価値労働同一賃金というものに関しては、新成長戦略あるいは子ども・子育てビジョンに掲げておりまして、そういった均等・均衡待遇の推進に取り組んでまいりたいと思っております。

 公契約法の制定についての御質問をいただきました。

 賃金などの労働条件に関しては、労働基準法、さらには最低賃金法などを守ることは当然といたしまして、その具体的なあり方は労使間で自主的に決めるということが原則であることは、おわかりのとおりでございます。

 したがいまして、公契約法、公契約ということになりますと、効率化、コスト縮減に努めることは当然ではありますが、実効あるダンピング防止対策の徹底などを進めるとともに、公契約における賃金などの労働条件のあり方に関しては、発注者である国の機関や地方自治体も含めて幅広く議論を進めていくことが重要ではないかということを申し上げておきます。

 それから、温室効果ガス二五%削減の実現のシナリオに関する御質問でございます。

 これはまさにおっしゃるとおりでありまして、内閣、政府、すなわち国民一体となって頑張っていかなければいけないと思っておりまして、政府全体でそのシナリオをつくってまいりたいと思っております。

 今年度の二次補正予算、来年度の予算の中でも、エコポイントの制度、これは旧政権から引き続いているわけでありますが、エコカー、さらにはエコ住宅といったものもあります。再生可能エネルギーの導入支援。二五%削減に向けた第一歩となる予算を盛り込んだつもりであります。

 ただ同時に、一番大事なことは、国民の皆さんの意識の中でこの大きなテーマの重要性を認識していただくことでございまして、加山雄三さんに団長になっていただいて、チャレンジ25キャンペーンというものもスタートをしたところでございます。

 また、国内の排出量の取引制度とか再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度、あるいは地球温暖化対策のための税制、税のあり方、こういったあらゆる政策を総動員してまいりますので、ぜひ社民党さんの大きなお力をいただければと思います。

 生物多様性についての日本のリーダーシップに対する御質問もいただきました。

 名古屋で行われますCOP10の議長国でございますが、生物多様性に関する新たな世界目標として、人と自然の共生を実現させて生物多様性の状態を現状以上に豊かなものにしたい、そのように提案をしているところでございます。

 環境影響評価についても、既に生物多様性の確保の観点も含めた評価が実施されているところであり、さらにまた検討を進めてまいりたいと思っております。

 地球の命を守る、かけがえのない地球を私どもの子供や孫たちの世代に引き継いでいくためには、COP10議長国としての責任、リーダーシップをしっかりと発揮していかなければならない。これは大変重要な会議だ、そのように考えております。

 それから、山村の対策についての御質問をいただきました。

 国民の皆さんが地球温暖化の防止など森林の有する公益的な機能というものを将来にわたって享受できるように、適切に整備、保全を進めていくことは大変重要だと思っております。

 充実しつつある国内資源を最大限に活用する、そして、森林・林業の再生と山村の活性化を図る、この結果として雇用の創出にもつながる、こういう施策を総合的に展開をしてまいりたいと思っておりまして、今後、森林における路網の整備や施業の集約化、林業を担う人材の育成などを集中的に進めるとともに、住宅やエネルギーへの木材利用の拡大によって、森林・林業の再生を図ってまいりたいと思います。

 大変重要な御指摘を幾つもいただいたことに、重野幹事長に感謝を申し上げます。

 残余の質問については、関係大臣からお答えさせます。(拍手)

    〔国務大臣福島みずほ君登壇〕

国務大臣(福島みずほ君) 自殺対策についてお尋ねがありました。

 自殺者は、平成十年以降、十二年連続して三万人を超える高い水準で推移しており、大変厳しい状況です。

 政府としては、この状況を大変深刻に受けとめております。昨年十一月に自殺対策緊急戦略チームをつくり、自殺対策百日プランを作成しました。現在、命を守る自殺対策緊急プランを作成中で、近日中に閣僚レベルの自殺総合対策会議を開き、この命を守る自殺対策緊急プランを決定してまいります。

 一年じゅうで実は一番自殺が多いのは三月です。新たに、三月を自殺対策強化月間と定め、地方公共団体、関係団体などとも連携をし、重点的に広報啓発活動を展開するとともに、ハローワークにおける心の健康相談などの関連施策を集中的に実施することを盛り込みたいと考えております。

 ハローワークの職員、労働局の職員、医師、看護師、薬剤師、介護士、ソーシャルワーカー、保健師、学校の先生などが気づいて声をかけていくということができれば、それらの方々が命を守るゲートキーパーとして活躍をしていただける、自殺を何とか現場で食いとめることができるのではないかと考えております。地域のネットワークづくりを含め、政府一丸となって、死に追いやられる人々をなくすためにしっかり取り組んでまいります。

 次に、子ども・子育てビジョンについてお尋ねがありました。

 今回のビジョンは、子供が主人公であるとして、これまでの少子化対策から子ども・子育て支援へと転換し、子供と子育てを応援する社会の実現に向けて、社会全体で子育てを支え、個人の希望を実現することを目指しております。

 ことしに入ってフランスに行きました。フランスは出生率が二・〇二、日本は一・三七です。保育所、それから子供手当、保育ママさん、長時間労働の規制、子供が病気になれば休める環境、それから育児休業を本当にとれる職場の環境、男性の育児参加など、本当に学ぶべきことがたくさんあると思いました。社会全体で子育てができる環境をつくっていくことが必要です。子供を育てることが負担だけではなく幸せになるよう、政治は全力を尽くしてまいります。

 日本でも、子ども手当の創設と同時に、保育サービス等の基盤整備に関する数値目標を盛り込むなど、バランスのとれた総合的な子育て支援をやってまいります。

 具体的には、今後五年間で、毎年五万人程度の保育サービスの拡充を行い、三歳未満児の三人に一人が保育サービスを受けられるようにすること、放課後児童クラブを充実させ、対象児童の三人に一人がサービスを受けられるようにすることなどを目標としています。

 このために、毎年度の予算において必要な財源の確保にもしっかり努めてまいります。内閣で子育て支援を全力でやってまいります。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣前原誠司君登壇〕

国務大臣(前原誠司君) 高速道路無料化についてお尋ねがありました。

 高速道路の段階的無料化に向け、観光振興や物流効率化など地域経済への効果、高速道路や一般道路の渋滞や環境への影響、そして他の交通機関への影響などを検証することを目的に、社会実験を行うこととしております。

 平成二十二年度の実験箇所につきましては、一千億円の予算を前提に、昨年三月より実施しております休日上限千円の割引制度による高速道路の渋滞、他の交通機関への影響などを勘案しつつ確定いたします。

 なお、議員御指摘の総合交通政策の観点は極めて重要であり、現在、交通基本法策定を前提として、辻元副大臣を中心に、あるべき総合交通政策を検討しているところでございます。引き続きの御支援をお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 渡辺喜美君。

    〔渡辺喜美君登壇〕

渡辺喜美君 みんなの党代表、渡辺喜美であります。(拍手)

 みんなの党は、みんなで坂本竜馬をやっています。薩長連合、政界再編で維新開国を目指します。衰退過程に入ったこの日本を隆盛国家に戻したい人は、みんなの党で竜馬をやりましょう。

 明治維新では廃藩置県をやりました。今必要なのは、松下幸之助翁がおっしゃっておられた廃県置州、すなわち地域主権型道州制に変えることであります。地域主権の確立は鳩山内閣の一丁目一番地と総理はおっしゃっていましたが、分権改革の総仕上げとして、一体、どういう国の形を考えているんでしょうか。

 私が道州制担当大臣のときにつくった道州制ビジョン懇談会は、昨年十二月、事実上消滅させられました。仕方なしに、座長をやっておられた江口克彦さんは、本日、みずから「地域主権型道州制」という国民への報告書を発表されました。

 江口さんの教え子である松下政経塾出身の民主党の皆さんは、立ち上がらないのですか。道州制をやろうという思いは、民主党にもあったじゃありませんか。原口大臣、いかがですか。

 日本の国家財政のゆがみは、グロスの借金も大きいが、その反対側の資産、約七百兆円とやたら大きいことです。とりわけ、金融資産がその大半を占めます。例えば、特殊法人等への貸付金、出資金が約二百五十兆円、有価証券、現金預金が約百四十兆円などです。この膨大な金融資産の背後に隠されているのが官僚統制、中央集権の天下りネットワークなんです。(発言する者あり)

副議長(衛藤征士郎君) 諸君、静粛に願います。

渡辺喜美君(続) 御静粛に願います。

 鳩山内閣はなぜ真っ先に金融資産仕分けをやらないのでありましょうか。ここにこそ国家のゆがみが凝縮しているんです。赤字企業のリストラなら、まず借金をふやす前に手持ちの金を使います。そして、売れる資産は子会社も含めて売却します。

 鳩山内閣のやっていることはまるで逆。郵政民営化は阻止され、株売却ができれば十兆円ぐらいになるだろう埋蔵金は埋め戻しをされてしまいました。鳩山内閣の路線は、官から民へではなく、民から官へ、官から官から官から官への大きな政府です。鳩山内閣は、政府資産の圧縮に積極的とは思えません。

 また、四月から始まる独立行政法人仕分けで、廃止と称して国の直接実施に戻される法人が続出するということになるのでしょうか。お伺いいたします。

 我が国の財政状況について、しばしば、債務残高の対GDP比がG7中最悪という指摘がなされます。これを解決する方策は、第一に、資産を売却して借金を減らす、第二に、GDPを大きくして経済を成長させる。

 ばらまきによって成長をもたらすことはできません。経済のパイを拡大することなく国民にばらまきを行うのは、例えて言えば、タコが自分の足を食べて成長できると勘違いしているようなものなんです。

 先日、子ども手当の乗数効果について議論がありました。鳩山内閣の答弁は、そもそも乗数効果と消費性向の概念すら理解せず、支離滅裂。一体、子ども手当という政策のために、どれだけの費用をかけて、どれだけの効果があるのか、それすらわからず予算を提出するような内閣には、政権を担当する資格はありません。

 子ども手当の経済効果は長妻大臣が一兆円と答えていますが、実際のところ、初年度の乗数効果は幾らになるんでしょうか。

 鳩山内閣の新成長戦略は、旧態依然です。日本経済の成長は、ばらまきではなく、企業人や地域の現場の人々のチャレンジ精神と活力によってもたらされます。国が、これから成長すると見込まれる産業を見つけ出して、予算を重点的にばらまき、国民をそちらに誘導していくんでしょうか。そんな時代はとっくに終わっているんですよ。

 これからの経済成長にとって大事なことは、補助金と規制による官僚統制から脱却し、個別産業振興は地域の創意工夫にゆだねること、すなわち、脱官僚と地域主権なんです。残念ながら、鳩山内閣の新成長戦略は、脱官僚も地域主権も欠落しているではありませんか。

 具体的な個々の方策が自民党時代の成長戦略の焼き直しであること以前に、基本的な発想そのものが古いんです。つまり、国による企業活動の誘導を基軸とした旧来型の成長戦略と言わざるを得ません。

 鳩山総理の施政方針演説を聞いても、脱官僚という理念は全く忘れ去られてしまったようです。鳩山内閣は、脱官僚を断念したのでありましょうか。

 もう一つの日本のゆがみは、公務員制度が身分制に守られていることであります。身分から職業へ、つまり、人基準から仕事基準への転換が必要であります。

 施政方針演説では、国家戦略局や内閣人事局の設置には一応の言及がありました。ところが、労働基本権のあり方や給与体系を含めた人件費の見直しなどの公務員制度改革の中身には、速やかに着手としています。どういう意味でしょうか。着手はするがゆっくりと時間をかける、つまり、先送りということでしょうか。

 原口総務大臣は、一月に放送された民放番組で、今国会で給与法改正も行うと明言をされました。今国会にこれら課題に関する法案を出すと理解してよろしいですね。

 民主党は、昨年夏の総選挙の際、国家公務員人件費二割削減と唱えていました。これを実現するためには、地方移管や天下り根絶を唱えるだけではだめで、給与体系の抜本的な改革、降格も減給もある民間並みの人事制度への改革が不可欠のはずであります。

 今国会に提出する法案の中で、幹部人事の一元管理の一環として、次官級から局長級に降格できるようにするとのことであります。

 それでは、次官を部長や課長に降格することはできるんですか。また、局長を部長や課長に降格することはできるんですか。仮にできないとすれば、一たん次官や局長になると、その後ずっと、局長級、つまり年収千七百万円以上の給料を保障されるということになるんでしょうか。窓際局長ポストをたくさんつくるんですか。なぜそんな特権を与える必要があるんでしょうか。民間企業なら、働きぶりに応じて降格、減給があることは当たり前じゃないですか。

 みんなの党は、幹部職員を特別職国家公務員とする法案を用意しています。仙谷大臣、いかがでしょうか。

 総理、民間並みの信賞必罰を取り入れた人事制度をつくらずして、どうやって人件費二割削減を実現されるおつもりなんでしょうか。

 来年度の予算案は、ふたをあけてみれば、予算の全面組み替えは何もできていません。

 特別会計の一つに、国債整理基金があります。国債整理基金とは、返済のための基金を積み立てるもので、二〇一〇年度末で残高約十三兆円の見通しであります。いつも十兆円以上余分に持っているんです。

 なぜ、この基金の積み増しのために、来年の償還のために、毎年新規国債発行額をふやす必要があるんでしょうか。家計であれば、もし借金をする場合、まず手持ち資金は生活費に充てるのであって、手持ち資金を積み増すためにさらに借金をふやすのは本末転倒ですよ。先進国でこんなことをやっている国は日本しかありません。国債残高の増加の分は新規国債発行額となるのはやむを得ないとしても、それ以外の分は、減債基金の取り崩しか借換債で対応すべきではありませんか。

 こういうやりくりしたお金を捻出し、日本銀行も一緒になって、GDPギャップ三十五兆円を埋める政策をとりましょうよ。

 みんなの党は、日銀に、信用緩和政策として、中小企業のローン債権を買い取る二十兆円の資金供給を提案しています。それを可能にする日銀法改正案も用意をしています。これができれば、鳩山総理が施政方針演説で言っていた命を守る政策になります。このみんなの党政策をやれば、自殺者を五千人、失業者を百万人救うことができるんです。菅副総理の御見解を求めます。

 以上のような課題に取り組むことなく、漫然と予算編成を行い、国民に約束した予算の全面組み替えを全く実現しなかった責任は重大です。

 命を守りますとは、総理御自身の政治的命、小沢幹事長の政治的命も含まれるんですか。政治家たるもの、命をかけることが本筋なんです。信念のために命を捨てる覚悟で決断をし、行動するのが政治家です。小沢幹事長が罪に問われた場合、鳩山総理は、民主党代表としてどういう責任をおとりになりますか。最後に総理の覚悟のほどをお聞きして、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) みんなの党の渡辺代表にお答えをいたします。

 まず、地方分権改革についてのお尋ねがございました。

 これは、渡辺代表もあるいはおわかりになっておると思いますが、私どもは、地域主権、まさに一丁目一番地だと思っています。そして、それは道州制にとどまらないんです。さらに地域主権を、基礎自治体に中心を持っていくという考え方でございます。

 道州制だと、どうしても国の権限をまずは道州に移譲するというところにとどまってしまいます。私たちは、補完性の原理に基づいて、基本的に基礎自治体が中心となって、自分たちのことは自分たちでやる、そういう世の中に変えていきたいんです。

 したがいまして、そのためには国と地域のあり方を大転換させなければなりませんから、まず第一歩として、原口総務大臣のもとで、今、地方に対して不必要な義務づけあるいは枠づけ、こういったものを一切排除しよう、あるいはひもつき補助金の一括交付金化、こういうものをスタートとして、真の意味での地域主権改革を行ってまいりますから、どうぞ御協力を願えればと思います。

 それから、政府の金融資産に対する事業仕分けをなぜ最初に行わないのかということでありますが、先般実施をいたしました事業仕分けは、御案内のとおり、平成二十二年度の予算における歳出の見直しというものを行うための、歳出削減のために徹底的に事業仕分けを行った、これが第一弾でございます。

 これから戦後行政の大掃除を行ってまいりますから、まず、事業仕分け第二弾を行ってまいります。その中には、今御指摘の点も含めて、対象事業、進め方を検討してまいりますから、その意味でも、どうぞ、渡辺代表からのさまざまな御意見をちょうだいできればと思っております。

 政府資産の圧縮に関する御質問でございます。

 二十二年度の予算においても、国の資産の圧縮に積極的に取り組んでいるところでございます。こういった努力は、これからも継続をしてまいりたいと思います。

 ただし、国の資産、圧縮できるできると言われても、例えば年金給付のための運用寄託金、あるいは河川、港湾などの公共用の財産など、なかなか圧縮にはなじまないものもかなりある、そのことには留意をしないといけないということもあわせて申し上げておきます。

 独立行政法人の事業仕分けについての御質問でございますが、今申し上げましたように、戦後行政の大掃除のための、独立行政法人を対象にした事業仕分け第二弾を行ってまいります。

 したがいまして、今後、具体的な進め方あるいは対象事業について検討してまいりますが、独立行政法人が行う事業の必要性あるいは有効性などに関して、聖域なき、国民の視点での検証を行ってまいります。国の直接実施に戻される法人が続出する、そのようなことにはならないようにいたしますから、どうぞ御懸念はなきようにお願いをいたします。

 脱官僚についてのお尋ねがございました、あるいは脱官僚依存という言葉かもしれませんが。

 御案内のとおり、これは、旧政権、事務次官会議が実質すべてを決めていた。我々は、まず、その事務次官会議をなくすところからスタートいたしました。さらには、政務三役が中心となって意思決定を行う。閣僚の皆さん方の会議体で、官僚ではなく、すべてをこのような政務三役で最終的な意思決定を行うということでございます。

 当然のことながら、さまざまな資料の提供などは、意思決定に必要なものに対して、官僚の皆さん、いろいろと御協力をいただいていることは言うまでもありません。大事なことは、脱官僚依存というのは、官僚の皆さんをうまく使いこなしていきながら、政治家が最終的な責任を負って意思決定を行う、これに努めてまいりますから、これからも脱官僚依存で頑張ってまいります。

 国家公務員制度の改革についてのお尋ねがございました。

 まずは、内閣主導のもとで、幹部人事の一元管理を実現するための内閣人事局というものを設置いたします。さらに、国家公務員の退職管理の一層の適正化を図るための民間の人材登用あるいは再就職適正化センターの設置などを盛り込んだ法律案をこの通常国会に提出し、成立を期してまいりたいと思います。

 国家公務員の労働基本権や、あるいは定年まで勤務できる環境の整備など、国家公務員制度の抜本的改革については既にもう検討しているところでございまして、新たに内閣人事局を設置し、政治主導を確立した上で、その体制のもとでさらに強力に改革の具体化を進めてまいりたいと思います。

 それから、総人件費二割削減についての御質問がございました。

 民主党のマニフェストでは、総人件費を四年間かけて二割削減するということにいたしております。

 具体的には、地方分権の推進に伴って地方移管を行う、あるいは各種の手当、退職金等の水準や定員の見直しを行う、あるいは公務員制度の改革後の労使交渉を通じた給与の改定など、さまざまな手法によって、四年間の間で二割削減という目標を達成してまいりたいと考えております。

 それから、命を守る政治と政治的命についての御質問がございました。

 議員もよく御承知の上でお尋ねのことだと思いますが、私が守りたい命は、国民の皆さんの命、あるいは世界の方々、皆さん方の命、あるいは地球の命であり、その思いを「いのちを守る予算」として平成二十二年の予算に込めさせていただいたところでありまして、お尋ねの政治的命というお言葉の御趣旨が必ずしもはかりかねるところはありますけれども、議員の御主張と人の命を守るという政治理念とは何らかかわるものではない、そのように考えております。

 それから、最後に、小沢幹事長が罪に問われた場合ということでございますが、もう御案内のとおり、小沢幹事長の問題は、今さまざまな報道があることは承知しておりますけれども、捜査の途上でございまして、まだ事実関係は解明されているというところではありません。したがいまして、冷静に見守ることが大事でありまして、仮定の御質問にお答えすることは適当ではない、そのように判断をいたします。

 残余の質問は、他の閣僚が答弁いたします。(拍手)

    〔国務大臣菅直人君登壇〕

国務大臣(菅直人君) 渡辺喜美議員から大変元気のいい御質問をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、子ども手当という政策の効果と、この乗数効果についてという御質問でありました。

 子ども手当の経済効果としては、中長期的な効果と当面のGDP押し上げ効果の両面があります。

 中長期的な経済効果としては、子ども手当は、子育ての経済的負担を軽減し、総合的な少子化対策を推進することを目的としているものであり、生産年齢人口を増加させることを通じて、経済に長期的にはプラスの影響を及ぼすことが期待されております。

 また、子ども手当の当面のGDPの押し上げ効果という意味では、政府経済見通しにおいて、統計データ等を参照しつつ、消費性向をおおむね七割程度と想定して、現行の児童手当からの上乗せ分一・三兆円程度のうち、おおむね七割程度が消費に回り、二十二年度のGDPを一兆円程度、成長率では〇・二%程度押し上げるものと見込んでおります。

 なお、子ども手当の乗数効果について御質問がありましたが、内閣府及び旧経済企画庁においては、短期日本経済マクロ計量モデルなど、内閣府、旧経済企画庁のマクロ経済モデルを用いて公共投資などの乗数を推計してきたところであります。しかし、子ども手当の乗数については、特定の世帯のみに給付されることなどを踏まえ、世帯区分などの細かな設定までそうしたデータを取り込んで計測する必要がありますけれども、そういう十分なデータがないため、内閣府が一般に使っているマクロ経済モデルにより厳密な推計を行うことは困難であると考えております。

 昨年の定額給付金についても、地域振興券の例も参考にして、消費性向を想定して当面のGDP押し上げ効果を推計したものであります。

 今回の子ども手当についても、こうしたことから、当面のGDP押し上げ効果については、既に述べましたように、統計データ等を参照して消費性向の想定を置いて推計を行ったものです。

 以上がこの説明ですが、次に移ります。

 国債整理基金の積み増しのために毎年新規国債発行額をふやす必要があるかという御質問をいただきました。

 国債の償還については、法律に基づく毎年度の一般会計から国債整理特別会計への定率繰り入れ等により、六十年間で完全に償還し終わるようにする、いわゆる六十年償還ルールと呼ばれる減債制度を採用し、一部を借りかえるとともに、一部について現金償還を行っているところであります。こうした一定ルールにのっとって償還を行うことが財政規律や国債政策に関する信頼の確保のために極めて重要な柱となっており、国債整理基金の積み増しのために決して繰り入れているものではありません。

 新規国債発行については、毎年度の予算編成の中で、こうした定率繰り入れ等も含めた歳出に対しての歳入の不足について行っているところであります。

 国債の大量発行が継続し、国債残高が累増、毎年度の償還額も高水準となる中、現行の減債制度は、国債の償還の確実性に対する市場の信認を支えている重要な要素であること、国債の償還に係る毎年度の財政負担を平準化し、着実な償還財源の確保ができることなどの重要な意義があります。

 こうした制度のもとで、各年度の繰り入れと償還との間の差額により基金残高が生じることになる、つまり減債基金が生まれていることになりますが、これはあくまで国債の償還財源が一時的に滞留しているものであり、将来の国債償還財源であることから、取り崩すことについては、減債制度に対する市場の信認の観点から慎重に考えなければなりません。

 また、二十二年度の基金残高は十三兆円程度となる見込みですけれども、これは、現在百六十兆円にも及ぶ大量の国債の償還、発行を行っている中で生じるものでありまして、一時的な資金需要にも対応するものであります。

 なお、この十三兆円という水準が適正であるかどうかという議論を今いたしておりますけれども、百六十兆円というものが毎年償還と発行で動いている、つまりは、一カ月分にも満たない水準のいわば運転資金に相当するものでありまして、その水準についてはこれからも検討してまいりますが、今のところ、このことがそんな過大な水準であるという認識は持っておりません。そのことをつけ加えさせていただきます。(発言する者あり)

副議長(衛藤征士郎君) 静粛に願います。

国務大臣(菅直人君)(続) 次に、GDPギャップの解消に向けた政府と日銀の積極的な取り組みについてということと、日銀法の改正についての見解を聞かれました。

 渡辺議員がいろいろと、場合によったら政府紙幣も発行することもあっていいじゃないかとか、なかなか大胆な提案をされていることは、私もいろいろな本などを通して承知をいたしております。

 現在のところ、政府と日本は、現行の日銀法のもとで連絡を密にして、デフレ克服が重要な課題であるという点では認識を共有いたしております。その上で、政府は、日銀と一体となって強力かつ総合的な取り組みを行い、デフレの克服、景気回復等を確実なものにしていくよう政策努力を重ねているところであります。

 なお、日銀法改正についての言及もありましたが、具体的な法案というものはまだ明らかにされていないため、確たることは申し上げることはできません。

 いずれにしても、金融政策上の措置として日銀がとるべき具体的な政策のあり方について、政府がどこまで具体的に言及することが適当なのか、中央銀行の自主性といった関係からも、余り行き過ぎたことを言うべきではないと思っております。

 しかし、この間、十二月一日の、さらにはその後の日銀の政策は、政府が期待している方向としては一致しておりますので、そうした方向の一致の中で、十分な意見の交換を踏まえて今のデフレ脱却に向けてともに行動していきたい、このことを考え、また、期待もいたしております。

 最後に、渡辺代表におかれては、確かにまだまだ民主党を中心とした政権は、それこそ日本列島の丸洗いを始めたばかりで、試行錯誤があることはそのとおりであります。しかし、ぜひとも渡辺代表には、歴史の流れを逆行されるような勢力に取り込まれることがないよう期待を申し上げておきます。(拍手)

    〔国務大臣原口一博君登壇〕

国務大臣(原口一博君) 渡辺代表にお答えいたします。

 まず、道州制についてでございます。

 もう総理がお話しになったとおり、鳩山総理の強いリーダーシップのもとで地域主権改革に取り組んでいます。その中で、私たちは、基礎的自治体なんです。今のいわゆるしがらんだ中央集権のピラミッドを八つに分けて、そこに分けたところでそれは改革とは言わない、そう考えております。

 その上で、今、クラウドの考え方が出てきていますけれども、徹底的な行政改革、そして電子政府化、その中で、広域的な産業行政という観点から道州制についてのタスクフォースも立ち上げていることも申し上げておきたいと思います。

 それから、公務員制度改革についてのお尋ね、これも総理がお話しになったとおりです。

 出先機関を原則廃止して、公務員の人件費を二割削減する。そのためには、多くの改革の意思と実行が必要であります。何としてでも前に進めてまいります。

 坂本竜馬は幕府からは出ておりません。私たちはまさに今までの古い体制を丸洗いして国民の皆さんに安心を届けてまいりたい、このことを申し上げて答弁とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣仙谷由人君登壇〕

国務大臣(仙谷由人君) 渡辺議員から、今国会提出予定法案における幹部職人事の取り扱いについてのお尋ねがございました。

 幹部職員人事の内閣一元管理は、縦割り行政の弊害を打破する、官邸主導で適材適所の人材を登用することを目的とするものでございます。

 今回提出の法案におきましては、内閣官房長官が、幹部職員として求められる能力の有無を審査し、事務次官、局長級の幹部候補者名簿と部長級の幹部候補者名簿を各府省横断的に作成すること、内閣総理大臣または内閣官房長官は、内閣の重要政策を実現するために内閣全体の視点から適切な人材を登用する必要があると判断するときは各府省大臣に幹部職員の人事について協議できること、また、各府省大臣は、幹部職員の人事を行うときは内閣総理大臣及び内閣官房長官と協議すること等の措置を盛り込みたいと考えております。

 また、今国会で提出する予定の法案におきましては、降任要件に該当することなく事務次官級から局長級への転任による異動を可能とする等の措置を講じる、局長級以上の幹部職員について適材適所の人事を柔軟に行えるようにすることもあわせて盛り込むほか、次官、局長級から部長級への降任要件についても、昨年旧政権が国会に提出した法案の内容を精査した上で今後検討してまいりたいと考えております。

 幹部職員の給与についてもお尋ねがございました。

 官職の職務と責任に応じた給与とするという、いわゆる職務給の原則に従いまして、それぞれの官職に対応した給与が支給されるものであります。任用と離れて給与が保障される仕組みにはなっておりません。

 今回提出予定の法案におきましては、事務次官級から局長級への転任による異動がされた場合、当然、局長の給与が支給されることになります。

 また、定年まで勤務できる環境の整備を含む公務員制度改革の中で、幹部職員の任用、給与のあり方について、引き続き検討していきたいと考えております。

 もう一つ、幹部職員を特別職の公務員にすることについてのお尋ねがございました。

 今国会の提出予定の法案におきましては、一般職の国家公務員であることを前提に、幹部職員人事の内閣一元管理や、局長級以上の幹部職員について適材適所の人事を柔軟に行えるようにするための措置を盛り込みたいと考えておりますが、今後、次官、局長級以上の幹部については、そのどの部分を特別職とすることが適切か、大いなる議論をいただき、検討いたします。

 以上。(拍手)

副議長(衛藤征士郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(衛藤征士郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  鳩山由紀夫君

       財務大臣

       国務大臣  菅  直人君

       総務大臣

       国務大臣  原口 一博君

       法務大臣  千葉 景子君

       外務大臣  岡田 克也君

       文部科学大臣  川端 達夫君

       厚生労働大臣  長妻  昭君

       農林水産大臣  赤松 広隆君

       経済産業大臣  直嶋 正行君

       国土交通大臣  前原 誠司君

       環境大臣  小沢 鋭仁君

       防衛大臣  北澤 俊美君

       国務大臣  亀井 静香君

       国務大臣  仙谷 由人君

       国務大臣  中井  洽君

       国務大臣  平野 博文君

       国務大臣  福島みずほ君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  松野 頼久君


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