衆議院

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第9号 平成22年2月23日(火曜日)

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平成二十二年二月二十三日(火曜日)

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  平成二十二年二月二十三日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(横路孝弘君) この際、内閣提出、平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生労働大臣長妻昭君。

    〔国務大臣長妻昭君登壇〕

国務大臣(長妻昭君) 平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 次代の社会を担う子供の健やかな育ちを支援するために、子供を養育している方に対し、子供一人につき月額一万三千円の平成二十二年度分の子ども手当を支給することとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、子ども手当の支給についてであります。

 子ども手当は、中学校修了前の子供を監護し、かつ、これと生計を同じくするその父または母である等の支給要件に該当する方に支給するものであり、その額は、一月につき子供の数に一万三千円を乗じた額としております。

 また、市町村長は、受給資格等について認定をし、子ども手当を支給することとしており、その支払い期月は、平成二十二年六月及び十月並びに平成二十三年二月及び六月としております。

 第二に、子ども手当の費用についてであります。

 子ども手当の支給に要する費用については、児童手当相当部分は児童手当法の規定に基づき、国、地方自治体及び事業主が負担することとし、それ以外の費用については、全額を国が負担することとしております。

 なお、公務員に係る子ども手当の支給に要する費用については、全額所属庁が負担することとしております。

 このほか、子ども手当について、差し押さえ禁止等の受給権の保護や公租公課の禁止を定めるとともに、子ども手当を市町村に寄附することができる仕組みを設けることとしております。

 最後に、この法律の施行期日は、一部を除き、平成二十二年四月一日としております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

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 平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(横路孝弘君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。中根康浩君。

    〔中根康浩君登壇〕

中根康浩君 民主党・無所属クラブの中根康浩です。(拍手)

 ここに登壇させていただくのは五年ぶりになります。五年前は、ここで、障害者自立支援法の問題点について取り上げさせていただきました。その障害者自立支援法は、長妻厚生労働大臣が既に廃止を表明し、民主党マニフェスト及び三党連立合意に従って、障がい者制度改革推進本部において、よりよいものへとの議論が始められています。改めて、今、時の経過と政権交代を実感させていただいております。

 ところで、福島内閣府特命担当大臣がおられますので、発達障害など、制度改革推進会議に参画することを望みながら加わることができていない当事者の方々への十分な御配慮をお願い申し上げておきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、ただいま議題となりました平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案につきまして、長妻厚生労働大臣並びに福島少子化対策担当大臣に質問いたします。

 特に、国民の皆様が政府からきちんと説明してもらいたいと感じておられる基本的な点を中心に取り上げてまいりたいと思います。

 我が国は少子高齢社会を迎えており、少子化対策を進めていくことは、我が国の経済社会や社会保障制度全体の持続可能性の根幹にかかわる国家的な課題です。私たち民主党は、「暮らしのための政治を。」「国民の生活が第一。」「コンクリートから人へ」、「チルドレン・ファースト」という政策目標を掲げ、国民の皆様の御信任をいただき、政権を担わせていただきました。

 鳩山総理は、施政方針演説において、若い夫婦が経済的な負担を不安に思い、子供を持つことをあきらめてしまう、そんな社会を変えていきたい、未来を担う子供たちがみずから無限の可能性を自由に追求していける、そんな社会を築いていかなければなりませんと述べられました。

 しかし、我が国においては、これまで、子供について、欧州諸国と比較して、必ずしも十分な政策的な投資が行われてきたとは言えません。

 私たち民主党は、子供を大切にする社会をつくりたいと考えています。

 今まで我が国は少子化対策としてさまざまな対策を講じてきましたが、真に子育てのニーズや不安、将来への希望に十分こたえるような、目に見える成果が実感できるとまでは言えないのではないかと思います。若者が希望を持って家庭を持ち、子供を生み育てることができる社会を築いていかなければなりません。

 子供と子育てを応援することは未来への投資であり、今こそ、社会の潮流を変えるような思い切った対策を講じていくことが必要です。子ども手当の創設は、その大きな一歩であると考えております。

 そこで、長妻厚生労働大臣にお伺いいたします。

 子ども手当の創設に係る理念を改めて御説明いただきたいと思います。

 一方、子育ては、まず親、家庭が責任を持ち、足らざるところを社会が補うという自助、共助、公助の考え方で行うべきであり、子ども手当は単なるばらまきであり、子育てに有効に使われないのではとの批判も聞かれるところです。しかしながら、この点について、私たち民主党は、子ども手当は、次代の社会を担う子供一人一人の育ちを社会全体で応援する施策として必要なものであると考えております。

 そこで、長妻厚生労働大臣にお伺いいたします。

 子ども手当の必要性及びばらまきとの批判に対する考え方を御説明いただきたいと思います。

 子ども手当については、平成二十二年度は月額一万三千円を支給する内容となっていますが、その財源については、単年度の措置として、児童手当分を現行どおり、国、自治体、事業主が負担し、それ以外の費用は国が負担することとされております。平成二十三年度以降、月額二万六千円の子ども手当が本当に実現できるのかという声も聞かれるところです。

 長妻厚生労働大臣にお伺いします。

 平成二十三年度以降、月額二万六千円の子ども手当の実現に向けた御決意についてお伺いいたします。

 また、子ども手当については、現行の児童手当制度と異なり、所得制限を設けていません。この点については、世論調査等において、むしろ所得制限を設けるべきではないかという御意見もあるところです。

 長妻大臣にお伺いいたします。

 子ども手当については、所得制限は設けないこととされましたが、改めてその考え方について御説明いただきたいと思います。

 マニフェストにおいては、控除から手当へという基本的考え方を掲げ、扶養控除の見直しを図り、子ども手当を創設することといたしました。昨年末にまとめられた政府税制改正大綱においては、扶養控除について見直すこととされ、税法の改正法案が提出されているところです。

 この点について、長妻厚生労働大臣にお伺いします。

 控除から手当へという考え方について、改めて御説明をいただきたいと思います。

 子ども・子育て支援の思い切った拡充を図っていく中で、子ども手当の創設はその大きな一歩であると考えておりますが、子育て家庭におかれては、子ども手当だけではなくて、保育等のサービスの充実や働き方の見直しといった対策も講じてほしいとの声もいただくところです。

 民主党としては、子ども手当だけで子ども・子育て支援として十分であると考えているわけではなく、保育等のサービスの充実、ワーク・ライフ・バランスの実現といった対策もあわせて講じていくことが重要であると考えております。

 しかしながら、待機児童の解消も喫緊の課題となっている中、子ども・子育て支援策として、保育等の対策がおろそかになっているのではないかという御批判もいただいているところであります。

 最後に、福島少子化対策担当大臣にお伺いいたします。

 経済的支援のみならず、待機児童解消も含めた総合的な子ども・子育て支援策について、今後どのように講じていくこととしているのか、少子化対策担当大臣としてのお考えをお聞かせ願います。

 鳩山内閣になり、長妻厚生労働大臣が、初めて我が国の相対的貧困率を明らかにし、まずは厳しい現実を直視するところからスタートする政治姿勢をお示しになられました。その中でも、子供の貧困率一四・二%への対策の重要性が指摘をされています。

 政権交代といい、野党、与党といいますが、皆さん、オリンピックだって、子供の運動会だって、一人で走ってもつまらないと思いませんか。二等、三等の子がいるから一等の子が輝くということになるのではないでしょうか。

 同じように、野党があっての与党、与党があっての野党、そして、国民あっての国会ということを常に念頭に置き、国民生活には、子供たちの未来には、与党も野党もないということ、お互いに支え合っていかなければならないということ。

 私は、郵政選挙で落選した経験から、この議場に入れることの責任の大きさや意味合いの大きさを身にしみて感じています。子ども手当のような重要な法案に対して、せっかく国民から議席を預からせていただいているのに、出席をしない、みずから審議を放棄するということ、何とももったいないことと率直に思います。

 自民党の議員の皆さんも、恐らく大変複雑な思いでテレビなどでこの本会議の模様を見ておられることではないでしょうか。ぜひ、国会議員全員で、子供たちのことを考え、みんながお互いに支え合い、存在を認め合える共生社会をつくっていこうではありませんか。

 そのためにも、この平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案をよりよいものとして誕生させることを国民の皆様にお約束申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣長妻昭君登壇〕

国務大臣(長妻昭君) 中根議員にお答えをいたします。

 まず、子ども手当の理念でございますけれども、私も、中根議員と同様に、子育ては、子ども手当は未来への投資だというのがまず大前提でございます。

 この日本国は、先進国と、GDP比で、子供にかける、子育てにかける予算を比べますと、最低の国の一つでございます。今まで何度も何度もこういう議論があったときに、必ず出てくるのは、子供にかける、子育てにかける予算よりも、今緊急に必要な予算がここにあるんだ、こっちに回した方がいいんだということで、将来の投資という視点が忘れ去られる、こういう傾向がございました。

 私がよく申し上げるんですけれども、二〇五五年、私が生きていれば九十五歳でございますけれども、そのときには、六十五歳以上のお年を召した方を、現役の方一・二人が一人のお年寄りを支えるということで、ほぼ一対一です。肩車型という社会になり、人口は九千万人を切ります。今は現役の方三人が六十五歳以上のお年を召した方一人を支えるということで、今ですら社会保障の担い手が少なくて大変な状況になりつつあるという状況でありまして、二〇五五年、目に見えたそういう問題があるときに、我々政治家として国家百年の計に立つ政策を打たなければならない。これも一つの大きな理由でございます。

 その意味では、今回の子ども手当の支給において、結果として少子化の流れを変える、結果として子供の生活、教育の質を向上させる、そして、結果として子供の貧困率の改善にもつながるということでございます。

 次に、子ども手当の必要性及びばらまきとの批判について質問がございました。

 少子化が進展する中で、安心して子育てをできる環境を整備することが喫緊の課題です。また、各種調査によると、子育て世帯からは、子育てや教育にお金がかかるので、経済面での支援も求める声も強いと承知をしております。

 こうした中で、思い切った政策が求められており、子ども手当は、次代を担う子供の育ちを社会全体で応援する観点から今回この法案提出をさせていただいたということで、我が国において、先ほども申し上げましたとおり、必要な施策と考えておりまして、ばらまきとの批判は当たりません。

 平成二十三年度以降の子ども手当について質問がありました。

 平成二十三年度以降の子ども手当については、昨年十二月の四大臣合意を踏まえつつ、財源のあり方も含め、平成二十三年度予算編成過程において改めて検討することになっております。基本的には、マニフェストどおりに実現できるよう、政府全体で検討し、結論を得てまいります。

 所得制限についての質問がございました。

 子ども手当は、次代の社会を担う子供の育ちを社会全体で応援するものであり、家計の収入のいかんにかかわらず確実に支給されるよう、所得制限を設けないことにしたところであります。なお、先進諸国では、所得制限は設けていないところが一般的です。

 我々は、この次の、控除から手当へという御指摘もございました質問の回答にもなりますけれども、控除から手当へ、こういう考え方を貫いていきたいというふうに考えております。

 控除というのは、これはどうしても高額所得者に有利になりがちでございます。控除から手当へということになるわけでございまして、今回の子ども手当の支給についても、根っこの部分から考えると、高額所得者ほど控除が、若年者控除、十五歳以下の控除がなくなりますので、実質的な手取りの金額は順次減っていく、こういう形になるわけでございまして、控除から手当へ、そこの部分も総合的に見ていただくと、今回の私どもの目的がわかるというふうに考えております。

 そして、次の質問といたしましては、控除から手当への具体的な意味ということでございます。

 これについては、先ほども申し上げましたとおり、現行の所得控除は、高所得者に適用される税率が高いことから、高所得者の負担軽減額は大きくなる一方で、低所得者の方は低い税率が適用されておりますから負担軽減額は小さくなる、こういうことでございます。

 私どもは、これ以外の政策についても、控除から手当へという考え方のもと、相対的に高所得者に有利な考え方から、相対的に支援の必要な人に有利な手当へ切りかえるということでございまして、子ども手当もその考えに沿ったものでございます。ぜひ御理解をいただきたいとお願い申し上げます。(拍手)

    〔国務大臣福島みずほ君登壇〕

国務大臣(福島みずほ君) 総合的な子ども・子育て支援策についてお尋ねがありました。

 子ども・子育て支援については、平成二十二年度予算案において、子ども手当の創設、高校の実質無償化、児童扶養手当の父子家庭への支給、不妊治療への経済的支援の充実など、現金給付や経済的支援について大きな進展が見られたほか、保育サービスについては三千八百八十一億円、放課後対策、児童クラブについては四十億円増加の二百七十四億円を計上し、必要な予算を盛り込んだところです。

 本予算案も踏まえ、今後の子ども・子育て支援を総合的に推進していくため、このたび、一月末に子ども・子育てビジョンを策定いたしました。

 今回のビジョンは、子供が主人公であるとして、これまでの少子化対策から子ども・子育て支援へと転換し、子供と子育てを応援する社会の実現に向けて、社会全体で子育てを支え、個人の希望を実現することを目指しております。

 このため、子ども手当の創設などの経済的支援に加え、保育サービス等の基盤整備に関する数値目標を盛り込むなど、総合的な子育て支援を推進することとしております。

 具体的には、今後五年間で、毎年五万人程度の保育サービスの拡充を行い、三歳未満児の三人に一人が保育サービスを受けられるようにすること、放課後児童クラブを充実させ、対象児童の三人に一人がサービスを受けられるようにすることなどを目標としております。

 今後は、関係省庁の協力も得て、ビジョンに盛り込まれた各種施策の実現を強力に推進してまいります。(拍手)

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議長(横路孝弘君) 古屋範子さん。

    〔古屋範子君登壇〕

古屋範子君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案について、厚生労働大臣に質問をいたします。(拍手)

 まず、質問に先立ちまして、一言申し上げます。

 国会運営に関して、民主党は、野党時代に、参議院予算委員会の基本的質疑が終わるまでは法案審議には入らないと強い主張をされておりました。しかしながら、民主党は、今回、民主党の最重要政策である子ども手当法案を、野党の強い要求にもかかわらず、重要広範議案とせず、委員長職権で、鳩山総理の出席のない趣旨説明、質疑を決定いたしました。なぜ、総理は本会議に出てきて直接国民に子ども手当法案の説明をしようとしないのか、理解できません。

 こうした議会運営は、議会制民主主義の根本を揺るがす暴挙であり、議会に籍を置く者として到底許すことのできないものであります。

 まず冒頭、強く抗議をし、質問に入ります。

 猛スピードで進む少子高齢化や経済危機に伴う世界的な構造転換の真っただ中にあって、世界に誇る人材立国構築は、日本が最優先すべき重要課題の一つであります。そのためには、安心して子供を生み育て、若者が希望を持って学び活躍できる社会へ、子育て、教育、若者雇用等において支援策のさらなる前進を目指すべきであると考えます。

 この子育て支援、少子化対策の基幹として、今や児童手当は広く社会に定着してきております。この児童手当を、まず自治体独自の制度として誕生させ、昭和四十七年一月から国の制度を主導し、今日まで着実に、かつ一貫して児童手当制度を拡充してきたのが公明党であります。

 一方、今回提出の子ども手当法案は、巨額の公費を投じて実施されるものであり、国家財政や経済社会に大きな影響を与えるものであります。明確な政治理念、政策目的に基づき、さらに関連施策への影響も十分考慮した上で制度設計することが求められております。

 そこで、初めに、政府は今般、なぜこのような二十二年度のみの法案を提出してきたのか、お伺いいたします。

 民主党はこれまで、平成十八年以降三回にわたって子ども手当法案を提出しており、今国会では、当然その法案が提出されるものと思っておりました。しかし、本法案の中身は、児童手当法による給付をそのまま残しつつ、これを子ども手当と言い、それ以外の拡充分を国費で賄うことによって、子ども手当として中学校修了まで一人月額一万三千円を支給する内容となっております。

 これは、子ども手当法案ではなく、まさしく児童手当の拡充法案であります。マニフェストを完全に実現するのであれば、児童手当法を廃止し、恒久的な子ども手当法を制定するのが筋ではないでしょうか。

 本法案は平成二十二年度に限った子ども手当の支給を定めているのみであり、しかも、平成二十三年度は、改めて、月額二万六千円の満額支給のための子ども手当法案を提出する方針といいます。市町村等の手続変更等の負担を考えれば、今年度は児童手当法の改正で対応し、明年の通常国会にきちんとした形で子ども手当法案を提出すべきであります。

 制度設計を先送りし、財源についても十分確保されたとは言いがたい段階であるにもかかわらず、あえて単年度の暫定措置として本法案を提出したことに緊急性、必要性があるのでしょうか。長妻大臣、御説明ください。

 次に、これまでの児童手当法の拡充における民主党の対応と本法案の関係について伺います。

 公明党は、平成十一年十月以降、連立政権に参画する中で、一貫して児童手当の拡充に取り組み、五回にわたって制度を拡充してまいりました。

 平成十二年には、支給対象が義務教育就学前までに拡大、翌年の十三年には、支給率を支給対象年齢の児童の七二・五%から八五%に引き上げるよう所得制限を緩和、十六年には、支給対象を小学校三年修了前までに、さらに十八年には、小学校修了前までに拡大するとともに、支給率を九〇%に引き上げるよう所得制限を緩和、そして十九年には、三歳未満児への支給額を一万円に引き上げました。

 この児童手当の拡充をばらまきと批判し、法改正に伴う四回の拡充法すべてに反対をした唯一の政党が民主党であります。

 問題は、本法案の内容が、公明党が拡充し、民主党がことごとく反対をしてきた現行の児童手当制度そのものの上に成り立っているということであります。児童手当法の規定に基づく給付に上乗せして支給される本法案は、手当の名称は違いますが、実態としては児童手当制度の拡充であります。

 すなわち、公明党が主導してきた制度の拡充がなければ、現政権は二十二年度だけでもさらに大きな財源を要したはずであります。さんざん反対してきておきながら、それをそのままそっくり使うというのは、余りにも都合のいい話であります。現行の枠組みを活用するというのであれば、これまでの児童手当法改正に反対した民主党の対応が誤りであったと国民に対し明確に説明すべきです。長妻大臣に明快な答弁を求めます。

 次に、これまで民主党が提出してきた法案と本法案の違いについて伺います。

 直近の平成二十年四月に提出した子ども手当法案では、子ども手当の費用は全額国庫負担としておりましたが、本法案では、児童手当分の地方負担と事業主負担を残したのはなぜでしょうか。

 また、来年度以降について、国、地方、事業主負担のあり方をどのように考えるのか。何度も法案まで出してきているのですから、変更箇所について明快に説明をすべきであります。

 また、民主党が平成十八年三月に提出した法案では、支給額は一万六千円、法律の目的には、児童の健全育成とともに、児童の養育に係る経済的負担の軽減という文言が入っていましたが、その後、法案を再提出した際に、なぜ支給額を二万六千円にしたのか、法律の目的を変えたのかなど、変更理由が明確になっておりません。

 このように、平成十八年に提出した法案と、平成十九年及び二十年に提出した法案と、そして本法案と、なぜ中身が変わっていくのか、二万六千円という支給額の根拠を初め変更箇所についてわかりやすく御説明ください。

 次に、平成二十三年度以降の子ども手当について伺います。

 本法案の附則第二条には、「子ども手当の平成二十三年度以降の制度の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とありますが、要するに、これは、二十三年度以降の子ども手当については支給額や費用負担のあり方について全く方向性が示されていないということになるのではないでしょうか。

 民主党のマニフェストでは、二十三年度以降は満額の一人二万六千円を支給するというのが国民との約束でしたが、これについては、ことしに入り、政府内でも財務副大臣の否定的な発言が飛び出し、鳩山総理の発言にもぶれが目立ちます。満額支給するために五兆五千億とも言われる巨額の財源が必要ですが、これをどのように手当てするのでしょうか。

 鳩山総理は、二月八日の衆議院予算委員会において、事業仕分け等による無駄の排除による歳出削減努力を徹底すると答弁しておりますが、果たして、無駄の削減のみによって子ども手当に係る巨額の財源を賄うことができるのか、甚だ疑問であります。

 子ども手当制度を恒久的な制度として継続していくとするならば、確かな安定財源を示す必要があります。仮に必要財源を確保できない場合、二十三年度は満額支給できないということがあるのでしょうか。もしそうでないというなら、長妻大臣、この場で、二十三年度以降はマニフェストどおり二万六千円支給しますと明確に御答弁ください。あわせて、満額支給のための財源はどのように確保するのか、具体的にお答えください。

 次に、子ども手当以外の子育て支援の充実について伺います。

 公明党は、これまで、児童手当などの経済的支援と保育所整備や育児休業制度などの環境整備を車の両輪として進めてまいりました。平成十八年には、これまでの政策に加え、出生率低下の主要な要因が晩婚化、非婚化にあることを踏まえ、その背景にある働き方の見直しなど、日本社会の構造改革に大きく踏み込んだ少子社会トータルプランを作成するなど、総合的な子育て支援の充実に取り組んでまいりました。

 その意味において、本年一月、政府が新たな子ども・子育てビジョンを発表し、大幅な保育所等の整備目標を掲げたことは評価いたしますが、問題はその財源であります。

 平成二十六年度までに毎年五万人分の保育サービスを拡充することや放課後児童クラブを三十万人分ふやすことなど、新ビジョンを実現するための追加費用は、平成二十六年度から年間七千億円、制度改善を含めれば一兆六千億円とも試算されております。来年度以降の子ども手当満額支給だけでも五兆五千億もの財源が必要とされており、こちらの財源の見通しが全く立たない中で、果たしてもう一方の保育所等の子育てに係る環境整備にどれだけの費用が充てられるのか、その実現性が疑問視されております。

 子育て支援はバランスよく進めることが重要であり、保育所整備などの子育てに係る環境整備について、どのように必要財源を確保していくのか、お答えください。

 また、このことに関連して、児童育成事業について、来年度以降は廃止をするのか。仮にそうなれば、放課後児童対策等の財源がさらに減少する可能性があることについてどのように考えるのか、長妻大臣の答弁を求めます。

 我が国は、先進国の中で、子育てに係る予算がGDPに占める比率が最も低い水準にあり、経済支援一つをとってみても、まだまだ施策の充実が必要であります。その観点から、子ども手当の創設は、公明党が取り組んできた児童手当の拡充と考え方が重なる部分があるかもしれません。

 しかしながら、ただいま述べたとおり、今回の法案はこれまで民主党が提出した子ども手当法案とは異なる内容であり、法案を提出するたびに、目的や支給額、財源構成等が変わる、その一貫性のなさは、民主党の子育て支援の全体像や理念のなさを映し出していると指摘せざるを得ません。

 また、子ども・子育てビジョンについても、子ども手当だけでは不十分であり、子育て支援のバランスを欠いているとの指摘を受けて、急ぎ策定したことは否めません。

 十分な検討と合意形成なしに制度を導入し、かえって国民や子供の利益に反することとなっては取り返しがつきません。十分に議論を重ね、制度設計をきちんと行い、確実な財源と国民の理解を得た上で子ども手当を導入すべきであります。

 安心して子供を生み育てられる社会の構築に向けて、政府がトータルな子育て支援のビジョンを国民にわかりやすく示すことの重要性を指摘いたします。

 以上、私の質問に対する明快な答弁を求め、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣長妻昭君登壇〕

国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。

 今般の子ども手当法案を単年度の法案として提出した理由について御質問がございました。

 少子化が進展する中、今、思い切った対策を講じなければ、将来、経済や社会の担い手が不足し、国の基盤が揺らぎかねないと考えております。

 平成二十二年度においては、財源をめぐりさまざまな議論がある中で、まずは一万三千円の子ども手当について、児童手当分を現行どおり、国、地方、事業主が費用を負担し、それ以外の費用については、全額を国庫が負担する仕組みのもとで実施をいたします。

 今までは、これだけの政策というのが後回しにされてきた嫌いはあるんですけれども、やはりここで先ほど申し上げました国家百年の計に立つ政策を大きく一歩踏み出したい、こういう趣旨を御理解いただきたいと思います。

 平成二十三年度以降の子ども手当については、昨年十二月の四大臣合意を踏まえつつ、平成二十三年度予算編成過程において、財源のあり方も含めて改めて検討することになっております。政府全体で本格的な制度設計に向けて検討し、結論を得た上で、改めて法律案を提出したいと考えております。

 過去の児童手当法の改正と子ども手当法案との関係について御質問がありました。

 児童手当は、家計の生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健全な育成を図ることを目的として、昭和四十七年に創設された制度であります。公明党の御尽力もあり、順次、制度の拡大が図られてきたものと認識をしております。

 過去、民主党が児童手当法改正に反対してきた理由としては、ここに当時の反対討論の議事録もございますけれども、給付内容が十分ではないということ等で反対をいたしたところでありますけれども、ただ、子ども手当と児童手当は子供の健全育成を社会全体で支援するという面では共通する面もあると考えております。

 また、今回、次代を担う子供の健やかな育ちをひとしく支援するという観点を強め、第一に、所得制限を撤廃し、第二に、年齢や出生順にかかわらず一律の手当額とし、第三に、金額を大幅に拡充するとともに、第四に、対象者を中学卒業まで拡大することといたしました。これらは過去の反対理由とそごを来すものではないと考えております。

 今回の子ども手当法案と過去の民主党の子ども手当法案の変更点について御質問がございました。

 今回の子ども手当法案の趣旨については、平成十九年以降の民主党の子ども手当法案と同様に、次代の社会を担う子供の育ちを支援するという観点から実施するものとしております。

 また、財源構成については、過去の民主党の子ども手当法案においては全額国庫負担としていましたが、今般の法案においては、平成二十二年度における単年度の措置として、子ども手当については、児童手当分を現行どおり、国、地方、事業主が費用を負担し、それ以外の費用については、全額を国庫が負担することとしております。

 子ども手当の額については、第一に、子供の育ちに必要な基礎的な費用の相当部分をカバーする、第二に、諸外国の手当制度と比較しても遜色ない水準とするといった点を総合的に勘案して、民主党において総合的な判断のもとマニフェストに盛り込まれ、国民にお約束した額であり、平成二十二年度はその半額である一万三千円を支給するということとしております。

 いずれにしても、平成二十三年度以降の子ども手当については、昨年十二月の四大臣合意を踏まえつつ、平成二十三年度予算編成過程において改めて検討することとなっており、政府全体で結論を得てまいりたいと考えております。

 平成二十三年度以降の子ども手当について御質問がありました。

 平成二十三年度以降の子ども手当については、先ほど申し上げました四大臣合意を踏まえて、平成二十三年度予算編成過程において改めて検討することとなっております。基本的には、マニフェストどおり、二万六千円、一カ月の支給を実現できるよう、政府全体で結論を得てまいりたいと考えております。

 その財源の確保については、政府全体で、より一層の歳出削減や予算の見直しに徹底して切り込むこととしており、平成二十三年度予算編成過程において、財源のあり方も含めて結論を得てまいります。

 子育てに係る環境整備に関してお尋ねがございました。

 子ども・子育て政策については、子ども手当等の支援とともに保育サービス等の現物給付サービスの充実も重要であり、総合的な子育て支援の対策として、先月末に子ども・子育てビジョンを決定し、その実現に向けた取り組みを進めることとしております。

 子育てには、子ども手当のような現金支給、そして保育サービスの充実のような現物支給、そしてもう一つ、ワーク・ライフ・バランス、仕事と生活の調和、この三つが適切に整備されなければならないというふうに理解をしております。

 子ども・子育てビジョンにおいては、保育サービスの定員を毎年五万人ずつふやして、三歳未満児については、今は全人口の四人に一人分の定員は保育サービスでありますけれども、それを五年後には三歳未満の全人口の三人に一人の定員を確保していきたい。そして、放課後児童クラブについても、五年間で三十万人ふやして、今は小学校一年から小学校三年生までの全人口の五人に一人の定員はあるんですけれども、それを五年後に、小学校一年から小学校三年生までの全人口の三人に一人定員を確保するということを目指して基盤整備を進めることとしております。

 また、ビジョン等に明記された新たな次世代育成支援のための包括的、一元的な制度の構築に向けた検討においては、保育サービスや児童育成事業で行われる放課後児童クラブ等の費用を社会全体で負担する仕組みも含めて検討していくということを考えております。

 保育サービス等のビジョン目標達成に向け、一月二十九日に設置された子ども・子育て新システム検討会議等において、その財源のあり方等も含め検討が行われるものと考えております。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 高橋千鶴子さん。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案について質問します。(拍手)

 子ども手当は、民主党が総選挙の政権公約のトップに掲げた、まさに鳩山内閣の目玉政策であります。その法案審議に当たっては、当然、鳩山総理自身が答弁の責任を果たすべきであります。総理出席がないまま審議入りすることは極めて無責任だと言わねばなりません。

 まずお聞きしたいのは、法案がなぜ二〇一〇年度に限ったものとなったのか。

 財源や地方負担のあり方など、制度の根幹にかかわる問題をすべて先送りした上で、ともかく六月の支給を急いだものであることは否めません。子ども手当は、将来にわたる子育て支援策の体系の中にしっかり位置づけてこそ、その目的を果たせるのではありませんか。なぜ中途半端なまま法案を提出したのか、答弁を求めます。

 子育てをめぐる現状認識について聞きます。

 この間の貧困と格差の拡大は、子育て世代に深刻な打撃を与えています。

 政府の世論調査によれば、子育てのつらさの一番は、子供の将来の教育にお金がかかる、三九・二%、子供が小さいときの子育てにお金がかかる、これも二〇・一%です。一方、児童のいる世帯の平均所得は、一九九六年以降、十一年間で九万円も下がっています。このもとで、日本の子供のいる現役世帯の貧困率はOECD三十カ国中十九番目という水準となっており、子供の貧困率は一四・二%という状態にあることを政府も初めて認めました。

 このような現状をもたらした原因と責任がどこにあるのか。それは、自民・公明政権のもとで、保育所整備を初め子育て、教育への予算を削減し、また生活保護の切り捨てや社会保障費の削減、低賃金、長時間労働、非正規雇用を拡大してきたことにあると考えますが、鳩山内閣の見解を求めます。

 今、子育ての土台を抜本的に強化することが必要です。

 子供の養育に対する国の責任を明らかにした上で、保育所を増設し待機児童を解消する、義務教育を完全に無償化し、給食費、教材費、修学旅行の費用など義務教育の必要経費については保護者の負担にしないことなど、子育ての土台の整備をすることが必要だと思いますが、政府の見解を求めます。

 子育てのための現金給付、手当の充実は、そうした土台の整備とあわせ、いわば車の両輪で進めてこそ効果が出ると考えますが、見解を伺います。

 その一つとして、月額二万六千円の子ども手当が満額支給されると、手当の水準はフランスやドイツを超えるものになりますが、一方、保育などその他の現物給付は依然として最下位水準です。手当を配ったら、あとは自助努力、自己責任ということになるのでしょうか。答弁を求めます。

 保育所については、先日の本会議で、総務大臣が最低水準がずっとあっていいのかと述べたことは問題です。保育所の設置基準や定員の上限を撤廃するならば、保育の質の低下をもたらし、子供の安全も脅かされかねません。このようなことは直ちに中止すべきです。

 既にほとんどの自治体で取り組まれている乳幼児の医療費の無料化などは、国の制度として行うべきではありませんか。お答えください。

 次に、法案について具体的にお聞きします。

 手当の支給額についてです。そもそも、二万六千円という支給額の根拠について御説明ください。二〇一〇年度はとりあえず半額の一万三千円を支給すると言いますが、次年度以降は満額になるのか、伺います。

 支給対象については、十五歳以下のすべての子供を対象に支給することでいいでしょうか。里親や児童福祉施設など、社会的養護に当たる子供への支給についても分け隔てなくすべきであります。子供自身が実質的な利益を受けるように、丁寧な制度設計と扱いがなされるべきですが、見解をお聞きします。

 給食費や税金の滞納世帯に対して滞納分を手当と相殺するという発言も聞こえてきます。子育てを社会全体で支えるという制度の趣旨からいっても行うべきではないと考えます。見解を求めます。

 財源にかかわることです。

 最大の問題は、子ども手当の財源が増税と抱き合わせになっていることです。

 控除の廃止による増税の影響についてですが、民主党は、増税と手当とで手取りが減るのは全体の四%未満と説明しました。これに対して、全国五千万世帯のうち一八%に当たる約九百二十万世帯で増税となるとの試算が出されています。実際はどのような影響が出るのでしょうか。世帯別の影響とその根拠について説明してください。

 今回見送られた配偶者控除の廃止や二十三歳から六十九歳までの成年扶養控除の廃止については、次年度以降行うつもりですか。伺います。

 さらに、扶養控除の廃止縮小に伴う増税だけではなく、保育料など二十三項目について連動して負担増が起こることが指摘をされています。地方のさまざまな軽減策にも当然連動します。この負担増はどれほどになるのでしょうか。負担増にならない対応とは具体的にどのようなものですか。お答えください。

 政府は、当初、国庫負担でと言ってきましたが、現行の児童手当の仕組みを残しました。総理は、財源に余裕ができた分だけ支給する仕組みをつくりたい、こんな発言をしたようですが、今後は、地方負担、企業負担はそれぞれどうなりますか。答弁を求めます。

 また、財源として民間保育所の運営費国庫補助分を充てることが検討されていますが、それは絶対認められません。

 手当の支給ありきで、後から増税、しかも、その安定した財源を口実に消費税の引き上げなど、もってのほかです。財務大臣の見解を伺います。

 我が党は、財源について、聖域扱いされてきた大企業や高額所得者への応分の負担や、軍事費は削減するという真剣な検討が必要であると考えています。その論議を通じて、真に安心、安全な子育て社会をつくる方向を目指すべきだということを強く求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣長妻昭君登壇〕

国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。

 今般の子ども手当法案を単年度の法案として提出した理由について御質問がございました。

 少子化が進展する中、今、思い切った対策を講じなければ、将来、経済や社会の担い手が不足する、国の基盤が揺らぎかねない。先ほども二〇五五年のお話を申し上げたわけでございます。

 こうした状況も踏まえ、子ども手当については、次代を担う一人一人の子供の育ちを、個人の問題ではなくて、社会全体で支えるという観点から実施するものであります。子ども手当の実施によって、結果として、少子化の流れを変え、子供の健やかな育ちの確保などにつなげていきたいと考えております。

 平成二十二年度においては、財源をめぐりさまざまな議論がある中で、まずは、一万三千円の子ども手当について、児童手当分を現行どおり、国、地方、事業主が費用を負担し、それ以外の費用については、全額を国庫が負担する仕組みのもとで実施するということにしたわけでございます。

 単年度でございますけれども、平成二十三年度以降の子ども手当については、昨年十二月の四大臣合意を踏まえつつ、平成二十三年度予算編成過程において、財源のあり方も含めて改めて決定することとなっております。政府全体で本格的な制度設計に向けて検討し、結論を得た上で、改めて法律案を提出してまいります。

 子供の貧困の現状の原因と責任についてお尋ねがございました。

 これまで、医療や生活保護を初め、社会保障費の自然増を毎年二千二百億円機械的に抑制することや、経済のグローバル化に伴う企業行動の変化と相まった、雇用にかかわる行き過ぎた規制緩和などにより、格差が広がり、国民の不安が増大していると認識をしております。

 新政権では、我が国の抱える貧困の問題を直視するため、厚生労働省において、初めて相対的貧困率を公表したところであります。

 平成二十二年度予算案においては、子供の貧困に着目をして、第一に、昨年復活させた生活保護の母子加算の継続、第二に、これまで支給対象ではなかった父子家庭、お父様とお子様の父子家庭への児童扶養手当の支給などの対策を盛り込んだところです。加えて、中学校修了までの子供一人当たり月額一万三千円の子ども手当の創設についても、結果として子供の貧困問題にも資するものと考えております。

 さらに、今通常国会において、非正規労働者に対する雇用保険の適用拡大という法案を一月二十九日に提出をいたしました。また、労働者派遣制度では、派遣労働者の雇用の安定を図るための法案を提出することとしております。

 これらの取り組みなどにおいて、引き続き、子育て世代を中心として、格差社会の是正や貧困の問題に真摯に対応をしてまいります。

 配ったらあとは自己責任というような、子育てのための現物給付と待機児童解消などの土台整備、自己責任との関係についてお尋ねがございました。

 もちろん、手当を配ったらそれで終わりという発想ではございませんで、子供に対する支援、子育て支援には、現金の給付等、そして保育所サービス等の現物給付、そしてワーク・ライフ・バランス、仕事と生活の調和、この三つが適切に整備されるということが、これは諸外国の例を見ても非常に重要だと私どもも心得ているつもりであります。

 具体的には、まずはこの保育サービス、待機児童の問題も言われておりますので、その定員を毎年五万人ずつふやす目標値を設定し、そして、放課後児童クラブの拡充というのも五年計画で取り組んでいく。これらの取り組みを通じて、子ども手当等の支援と教育や保育等のサービスとを車の両輪としてバランスよく組み合わせて、個人に子育ての過重な負担を負わせるのではなくて、社会全体で子育てを支え合う環境づくりに取り組むということを続けてまいりたいと考えております。

 保育所の最低基準についてお尋ねがありました。

 保育所の最低基準に関しては、昨年十二月十五日に閣議決定した地方分権改革推進計画において、基本的に条例に委任し、国は、参考にすべき基準、つまり参酌基準を定めることといたしました。しかし、保育士の配置基準や保育室等の面積基準など、直接、保育の質に大きな影響を与える基準に限り、遵守するべき基準として全国一律の最低基準を維持することとしております。

 一方、保育室等の面積に係る最低基準については、待機児童の解消を図る観点から、東京など一定の地域についての一時的な特例措置として、説明責任を付した条例委任である標準という措置といたしました。ただし、待機児童の状況が好転した場合には、これらの基準は遵守すべき基準とする予定であり、直接、子供の健康や安全、発達の保障に影響を与えるものについては、国が最低基準を定めるという原則は維持されるものと考えております。

 各自治体においてそれぞれ適切な基準を定めるなど、引き続き保育の質が確保されるよう、適切な措置を講じていただきたいと考えております。

 乳幼児医療費の無料化について御質問がありました。

 国においては、近年の少子化対策の重要性の高まり等を踏まえて、医療保険制度における乳幼児に対する自己負担割合を三割から二割に軽減する措置の対象年齢について、御存じのように、平成二十年度から小学校入学前のすべてのお子さんまで拡大をしたわけでございます。

 乳幼児医療費については、さらなる軽減を行うことについては、現行の厳しい財政状況の中で、医療提供体制の確保や保育などの他の少子化関連施策との均衡などを勘案すると、現時点においては課題が多いと考えております。

 なお、未熟児、子供の難病といった特に手厚い支援が必要な児童に対しましては、その医療費の公費助成を実施しているところでございます。

 子ども手当額について質問がありました。

 子ども手当の額、二万六千円については、第一に、子供の育ちに必要な基礎的な費用の相当部分をカバーする、第二に、諸外国の手当制度と比較しても遜色のない水準とするといった点を総合的に勘案して、民主党において判断をして、マニフェストに盛り込まれました。国民にお約束をした額であり、平成二十二年度はその半額である一万三千円を支給いたします。

 また、平成二十三年度以降の子ども手当については、昨年十二月の四大臣合意を踏まえつつ、財源のあり方も含めて、平成二十三年度予算編成過程において改めて決定するということとなっております。基本的には、マニフェストどおり月額二万六千円実施できるよう、政府全体で結論を得てまいりたいと考えております。

 子ども手当の支給対象となる子供について御質問がございました。

 子ども手当は、すべての子供の育ちを社会全体で支援することを趣旨としております。したがって、本来、施設内の親のいない子供等に対しても子ども手当の恩恵が行き渡るべきであると考えております。

 しかしながら、平成二十二年度においては、施行までの期間や市町村の事務負担を考慮すれば、子供を保護し、見守り、監護する方に手当を支給するという現在の支給要件を法律上変更することは困難であります。

 このため、別途、例えば安心こども基金の活用により、子ども手当の支給対象とならない施設内の親がいない子等について、施設に対し子ども手当と同じ額が行き渡るような措置について今検討をしているところでございます。

 平成二十三年度以降の取り扱いについては、制度のあり方の検討の中で、子ども手当の恩恵が行き渡るような子ども手当制度における対応について決定をしてまいります。

 子ども手当と給食費等の相殺について御質問がありました。

 子ども手当については、次代を担う一人一人の子供の育ちを社会全体で応援する観点から実施をするものであります。受給者である父母の方には、受給者の責務として、手当の趣旨に従って子ども手当を用いなければならない責務が課されており、制度の趣旨を御理解いただき、子供の健やかな育ちのために有効に使っていただきたいと考えております。

 給食費の滞納については、まず、厚生労働省としては、子ども手当が支給の趣旨に従って用いられるよう、広報等に極力努めていく考えであります。

 また、本件については、今後、現場の御意見も踏まえ、平成二十二年度の実施状況も見た上で、平成二十三年度以降の本格実施に向けた検討を進めることとしております。その中で、子ども手当の趣旨がより生かせるような仕組みができないか、制度面の検討も含め議論をしてまいりたいと考えております。

 子ども手当に係る財源について御質問がございました。

 これは、繰り返しになりますけれども、平成二十三年度以降の子ども手当については、昨年の四大臣合意を踏まえつつ、財源のあり方も含めて予算編成過程において改めて決定することとなっております。

 その財源の確保については、政府全体で、より一層の歳出削減や予算の見直しに徹底して取り組むこととしており、財源のあり方も含め、関係方面の御意見もよくお伺いしながら結論を得てまいりたいと考えております。

 また、厚生労働省としては、保育所整備について、引き続き国が責任を持って取り組む必要があるというふうに考えております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣原口一博君登壇〕

国務大臣(原口一博君) 高橋議員から二点お尋ねがございました。

 まず、保育所の設置基準の廃止についてお尋ねがございました。

 高橋議員、私たちは、子供たちにたくさんの支援をしていきたい、チルドレンファーストということを申し上げています。何よりも子供たちの育ち、そして健全な発達、これを支援する立場で申し上げたいと思います。

 保育所の設置基準など、地方自治体の事務を縛っている義務づけ、枠づけの見直しとは、基準そのものを廃止するというものではなくて、中央で全部決めてそれを地方へ押しつけていた基準等を、地方自治体みずからが決定し、最適なサービスを実施することができるように改める改革でございます。

 また、最適なサービスを提供するようなリーダーを地域で選んでいただく民主主義そのものを信頼する変革であります。

 今後も、地域主権戦略の工程表に従い、その見直しに政治主導で集中的かつ迅速に取り組んでまいります。

 世界でも最低と言われるような、そういう基準でいいのかという問題提起をしたことを御留意いただきたいと思います。

 次に、子ども手当の未払いの給食費等との相殺についてお尋ねがございました。

 もう長妻大臣が答弁したとおりでございますが、子ども手当は、次代の社会を担う子供の健やかな育ちを応援するという理念のもとに実施されるものであり、その趣旨に沿った形で活用されることが重要であると考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣菅直人君登壇〕

国務大臣(菅直人君) 高橋千鶴子議員にお答えを申し上げます。

 まず、年少扶養控除の廃止による影響等についての御質問です。

 年少扶養控除の廃止については、所得税は二十三年分から、個人住民税は二十四年度分から適用されることになります。

 他方、子ども手当は二十二年度から支給されるため、二十二年度においては基本的に負担増となる世帯はない、このように認識をいたしております。

 二十三年度以降については、先ほど来各大臣から御答弁ありましたが、子ども手当の支給額がどうなるかによりますけれども、二十三年度における子ども手当の支給については、マニフェストに掲げた額を実現するよう全力を挙げて財源確保に努めてまいりたい、このように考えております。

 また、配偶者控除及び成年扶養控除の廃止についての御質問でありました。

 昨年末に閣議決定した税制改正大綱において、まず、成年扶養控除については、「議論を深めて幅広い国民的な合意を得ながら、今後、その見直しに取り組む」と述べ、また、配偶者控除については、「考え方等について広く意見を聴取しつつ整理を行った上で、今後、その見直しに取り組む」とされております。今後、税調を中心に、こういった線に沿って検討をしていきたいと考えているところであります。

 さらに、扶養控除の廃止縮小に伴う保育料等への影響についての御質問がありました。

 昨年末に閣議決定した税制改正大綱において、国民健康保険料や保育料等の制度を所管する府省は、所得控除から手当へ等の考え方のもとで、扶養控除の見直しの趣旨を踏まえて、こういった措置が負担増とならないようなことを念頭に置いて、負担基準の見直しなどの適切な措置を講じることとする、こういうふうに述べてあります。今後、各府省により、こうした形で措置が講じられるものと考えております。

 なお、こうした保険料等に関する負担基準の見直し等の適切な措置の検討を行うために、現在、税調にプロジェクトチームを設けて検討を始めているということも申し添えておきたい、このように思います。

 さらに、控除の廃止と消費税の引き上げといったことについての御質問がありました。

 今般の税制改正においては、所得再配分機能の回復や、控除から手当へとの考え方のもとで、子ども手当の創設と相まって、年少扶養控除を廃止することとしたところです。

 所得控除である年少扶養控除の廃止により、所得水準に応じ、高所得者により大きな負担を求める形で税負担増をお願いすることになります。

 その一方で、子ども手当の創設により、一定の手当の支給を行うこととしており、これらの結果として、相対的には、低所得者の方に対して比率としてはより手厚い支援が実現するものである、このように考えております。

 他方、二十二年度税制改正大綱においては、税制全般の見直しを進めていくことにしており、この中では、所得税、法人税、消費税あるいは環境税などについても議論を進めたいと考えております。消費税のあり方については、今後、社会保障制度の抜本改革の検討などとあわせて検討すべきということを税制大綱でも申し上げているところです。

 また、消費税については、歳出の見直し等の努力を最大限行い、さきの衆議院選挙でいただいた政権担当期間中においては消費税の税率引き上げは行わないこととしているということも改めて申し上げておきたいと思います。

 以上が答弁です。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 阿部知子さん。

    〔阿部知子君登壇〕

阿部知子君 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 社会民主党を代表して、平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案について質問を行います。(拍手)

 ことしは、子どもの権利条約が国連で採択されてから二十一年目に当たります。日本政府は、一九九四年に同条約を批准していますが、国内法の整備や子供施策の見直しはまだまだです。

 そんな中、長年子供の医療に携わってきた私として、今回、次世代の社会を担う子供の育ちを社会全体で支援することをうたった本法案が提出されたことを、心からうれしく思います。同時に、本会議場に自民党の皆さんがおられないことは、大変残念であります。

 本法案は、憲法二十五条の生存権と十三条の幸福追求権、そして、子どもの権利条約の理念である子供の最善の利益の追求に沿うものであり、子供に着眼した本格的な施策の充実へ新政権が踏み出す第一歩であると考えます。

 また、子供施策は、単に子供の支援にとどまらず、それをはぐくむ家庭の支援をも伴うべきであります。それらに省庁横断的に取り組み、強力に施策を推進していくには、子ども家庭省の創設が必要です。仙谷国家戦略担当大臣の御認識を伺います。

 次に、本法案は単年度の暫定的なものであり、多くの課題がまだ残されていることについてお伺いいたします。

 一つは、子供の貧困が深刻化する中で、子ども手当が高額所得者の家庭にも支給されるという点です。政府税調は、ゼロ歳から十五歳の所得税の扶養控除を廃止することで、所得の低い層に、より手厚い給付となるよう税制を改正するとのことですが、このような理解で相違ないでしょうか。

 同時に行われる住民税の扶養控除の廃止は、さまざまな分野への影響が考えられます。税、社会保険料、利用者負担も含めたすべての負担と給付の関係を調査すべきと考えますが、厚生労働大臣の御所見をお伺いいたします。

 二つ目の課題は、最も援助を必要としている子供が受け取れないケースがあることです。例えば、親権者のいない子供、虐待等により児童養護施設に措置されている子供、里親の子供たちです。一方、虐待や育児放棄等の問題を抱えた親が給付を受け取り、手当が子供のために使われないケースも考えられます。

 それらに対して、今年度は、未成年後見人制度を整備するなど早急に手だてを講じ、来年度からは、個別の申請ではなく、出生届と同時に基礎自治体に子ども台帳を作成して、すべての子供を対象とする普遍的な給付として確立すべきと考えます。

 子ども台帳は、単にお金を配る台帳ではなく、子供のセーフティーネットの基盤として、保健、福祉、教育の分野と連動させ、子供の貧困の予防や必要な支援のために活用が可能です。長妻厚生労働大臣及び原口総務大臣の御所見をお願いいたします。

 さて、子供たちあるいは子育て家庭を支え、働くことを応援していくためには、現金給付とともに、保育や医療、教育など現物給付が不可欠であり、双方のバランスが求められます。二〇一〇年度からの月額一人一万三千円は、欧州諸国の水準です。

 民主党のマニフェストによれば、二〇一一年度から、さらに倍額の月額一人二万六千円にするとしておられますが、それ以前に現物給付の充実を図るべきです。喫緊の課題は待機児童対策であり、国と自治体が責任を持って保育所を増設し、安定的に運営が可能となるよう財源を注ぐ必要があります。

 昨年十一月十八日、OECDは、日本の経済政策について、手当より保育や就学前教育など子育て家庭への現物給付を充実することを提言しています。

 次年度以降の給付額の再考と現物給付の充実について、長妻厚生労働大臣と福島少子化担当大臣の御所見をお願いいたします。

 子ども手当は、本来、全額国庫負担とすることとしていますが、児童手当の事業主負担分は、制度が子ども手当に完全に移行しても確保すべきと考えます。子供施策関連の事業主の負担は、スウェーデンで二七%、フランスで五八%、日本は一二%にすぎません。企業の社会的な責任として、事業主も子供施策の費用を負担していただきたいと考えます。

 また、現在の国基準による保育所運営費では、多様な保育のニーズには対応できません。ほとんどの自治体では、保育料の負担軽減や長時間保育のための保育士の増員など、地域の実情に応じた独自の施策を講じており、差額は自治体の持ち出しとなっております。

 そこで、各都道府県に子ども基金を創設し、児童手当の自治体負担分と事業主負担分をプールして、自治体が地域の子供施策、子育て施策に活用できるよう、新たな仕組みをつくることを提案いたします。この基金により、自治体は子育て支援策を大幅に充実することが可能となります。この提言について、原口総務大臣、御所見をお願いいたします。

 子ども手当の導入が、子供と家族に優しい社会を実現する第一歩となるよう、国会での議論の深化を期待し、代表質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣長妻昭君登壇〕

国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。

 まず、控除と手当の関係について御質問がございました。

 現行の所得控除は、同額の所得を控除した場合、高所得者に適用される税率が高いことから、高所得者の負担軽減額は大きくなる一方で、低所得者の負担軽減額は小さくなります。他方、手当は、定額の給付であることから、相対的に支給の必要な人に実質的に有利な支給を行うことができます。

 このように、控除から手当は、相対的に高所得者に有利な所得控除から、相対的に支援の必要な人に有利な手当へ切りかえるというものであり、子ども手当の創設は、こうした考え方に沿ったものであります。

 扶養控除の見直しに伴う影響についてお尋ねがありました。

 確かに、言われるように、厚生労働省所管の各制度には、保険料や利用者負担等の算定に当たって、住民税、所得税の税額等を活用しているものがあります。扶養控除の見直しに伴い、さまざまな制度に影響が出ることは承知をしております。

 この問題においては、平成二十二年度税制改正大綱において、制度の所管府省においては、負担の基準の見直し、経過措置の導入など、適切な措置を講じることとされております。これを受けて、税制調査会のもとに、関係省庁の政務官から成る控除廃止の影響に係るプロジェクトチームが設置をされて、本日でございますけれども、第一回会合が開かれる予定となっております。

 今後、御指摘の調査も含め、このプロジェクトチームを中心に対応を検討し、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。

 子ども手当に係る子ども台帳の作成についての御質問がありました。

 子供を施策の中心と考え、必要に応じて未成年後見制度等を活用することは重要な指摘であると考えていますが、現時点では、子供を子ども手当の支給対象とすることについては、この財産をだれが管理するかなど、さまざまな課題があると考えております。

 セーフティーネットの基盤的制度としての子ども台帳の御提案がありましたが、現在でも住民基本台帳を保健、福祉などの施策の基盤として活用を進めているところであり、また、現在、社会保障等に関する番号制度の導入の議論も今まさに行っているところでございます。

 いずれにしても、平成二十三年度以降の制度のあり方については、今後よく検討して、決定をしてまいりたいと考えております。

 OECDの提言とともに、子ども手当の額と現物給付の充実についてお尋ねがございました。

 子ども・子育て政策については、子ども手当等の支援とともに、保育サービス等の現物給付サービスの充実も重要であり、総合的な子育て支援の対策として、先月末に子ども・子育てビジョンを決定し、その実現に向けた取り組みを進めるというのは、御存じのとおりであります。

 具体的には、保育サービスの定員を毎年五万人ずつ増加する目標値、あるいは放課後児童クラブの課題、あるいは医療の面でも小児のための医療施設の充実などなどをうたっているところであります。

 また、平成二十三年度以降の子ども手当については、昨年末の四大臣合意を踏まえ、改めて決定するということになっております。基本的には、マニフェストどおり月額二万六千円が実現できるよう、政府全体で議論し、結論を得てまいります。

 子ども基金の創設についてお尋ねがございました。

 保育サービスを初めとする子育てサービスについては、子ども・子育てビジョン等で明記された幼保一体化を含む検討の中で、社会全体で費用を負担する仕組みによる財源確保等を含め、今後議論していくこととしております。このため、一月二十九日には、子ども・子育て新システム検討会議も設置され、幼保一体化、これまでの認定こども園のようなものではなくて、一体化というものに具体的に取り組んでまいるわけであります。

 社会全体で子育て費用を負担する仕組みに関しては、例えばフランスでは、国が一般財源や事業主による拠出金を集めて、全国家族手当金庫というものを国がつくって、その財源から各県、各自治体にある家族手当金庫にお金を渡して、そこから資金を供給する仕組みがあるということなどについて承知をしており、今御指摘いただいた点も含めて、今後、制度の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣福島みずほ君登壇〕

国務大臣(福島みずほ君) 子ども手当の平成二十三年度以降の給付額と現物給付の充実についてお尋ねがありました。

 平成二十三年度以降の子ども手当については、財源のあり方も含め、平成二十三年度予算編成過程において改めて検討することとなっております。

 また、今般作成した子ども・子育てビジョンにおいては、現物給付の充実を含めて、今後の子ども・子育て支援を総合的に推進していくこととしており、保育サービス等の基盤整備に関する数値目標などを盛り込んでおります。

 おっしゃるとおり、現物給付の充実は緊急な重要な課題であり、少子化担当大臣としては、子ども手当の充実はもちろんのこと、この現物給付についてもしっかり取り組んでまいります。

 二十三年度以降の子ども・子育て施策に関しては、これら数値目標の実現も視野に入れながら、総合的な対策をいかに進めるのかという観点から検討してまいります。

 幼保一体化の議論についても、新たに設置された中でしっかりと議論をしてまいります。(拍手)

    〔国務大臣仙谷由人君登壇〕

国務大臣(仙谷由人君) 阿部議員から、子ども手当の評価とその体制整備について御質問をいただきました。

 子ども手当は、次代の社会を担う子供一人一人の育ちを社会全体で応援しようとするものでありまして、新政権といたしましては、本格的な子供施策の充実に向けた第一歩であると考えております。

 さらに、子供政策につきましても、縦割りの現体制を打破する、そして、子供目線で、子育て本位に、子供政策の企画立案、そして施策の執行の一元化を行う、そのことが極めて重要であると考えておりまして、その体制の整備に向けて努力をいたしたいと存じております。(拍手)

    〔国務大臣原口一博君登壇〕

国務大臣(原口一博君) 阿部議員にお答えいたします。

 二点、お尋ねがございました。

 阿部知子議員とは、児童虐待防止法あるいは子どもの権利条約、まさに子供をしっかりと見守る立場から一緒に活動できてこられたことを心から誇りに思います。その観点からお答えを申し上げます。

 子供の権利、あるいは医療、教育、貧困からの脱却など、子供を社会全体で見守り、健全な発育を支援するという立場からも、この子ども台帳に関する阿部議員の問題意識は大変大事だというふうに考えております。

 次代の社会を担う子供の健やかな育ちを支援するために創設される子ども手当の実施に当たっての、支給対象となる情報収集、それだけではなくて、今申し上げたような観点から、地方公共団体ともさまざまな連携を図り、検討を進めてまいりたい、このように考えております。

 次に、子ども基金についてお尋ねがございました。

 地域主権の実現のためには、地方税財源の充実など、地方が自由に使える財源をふやし、自治体が地域のニーズに適切にこたえられるようにすることが重要です。

 平成二十三年度以降の子ども手当の制度設計を行っていく中で、地域主権戦略会議等の場において、今の御提案を含め、子育て施策を、地方が実施するサービス給付等に係る国と地方の役割分担など、経費負担のあり方も含めて検討を行ってまいりたいと思います。

 以上、お答えいたします。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十二分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣  菅  直人君

       総務大臣

       国務大臣  原口 一博君

       厚生労働大臣  長妻  昭君

       国務大臣  仙谷 由人君

       国務大臣  福島みずほ君

 出席副大臣

       厚生労働副大臣  長浜 博行君


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