衆議院

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第12号 平成22年3月9日(火曜日)

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平成二十二年三月九日(火曜日)

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  平成二十二年三月九日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 国の直轄事業に係る都道府県等の維持管理負担金の廃止等のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

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 国の直轄事業に係る都道府県等の維持管理負担金の廃止等のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(横路孝弘君) この際、内閣提出、国の直轄事業に係る都道府県等の維持管理負担金の廃止等のための関係法律の整備に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。国土交通大臣前原誠司君。

    〔国務大臣前原誠司君登壇〕

国務大臣(前原誠司君) 国の直轄事業に係る都道府県等の維持管理負担金の廃止等のための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 国が管理する道路、河川等の維持管理に要する費用に係る都道府県等の負担金については、平成二十二年度から廃止し、その費用は管理主体である国の負担とする等の措置を講ずる必要があります。

 このような趣旨から、このたび、この法律案を提出することとした次第でございます。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 この法律案では、国が管理する道路、河川等の維持管理に要する費用に係る都道府県等の負担金を廃止するため、関係法律の整備を行うとともに、平成二十二年度に限った特例措置を定めることとしております。

 その他、これらに関しまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、国の直轄事業に係る都道府県等の維持管理負担金の廃止等のための関係法律の整備に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)

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 国の直轄事業に係る都道府県等の維持管理負担金の廃止等のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(横路孝弘君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。若井康彦君。

    〔若井康彦君登壇〕

若井康彦君 民主党の若井康彦です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、国の直轄事業に係る都道府県等の維持管理負担金の廃止等のための関係法律の整備に関する法律案について質問します。(拍手)

 民主党を中心に政権交代が実現してから半年がたとうとしております。鳩山政権にとって改革の一丁目一番地、地域主権、この実現を目指し、国と地方の役割分担を明確にした上で、国の守備範囲を縮小していくことが求められています。

 さきの総選挙において、民主党は直轄事業負担金廃止をマニフェストに掲げてきましたが、今回の維持管理負担金廃止法案は、その具体的実現に向けての第一歩を踏み出すものであります。時代にふさわしい新たな公共事業を再構築する上で、また地域主権改革を具体化する上での重大な意義にかんがみ、速やかに法案成立を図らなければなりません。

 さて、本題に入る前に、以下の数字について報告したいと思います。

 旧自公政権は、小泉内閣以来、公共事業の削減を進めたと言います。しかし、実態はどうなんでしょう。確かに、二〇〇一年から二〇〇八年までの八年間の間に、国交省関連の公共事業費、約十二兆一千億円から九兆四千億円へと二兆七千億円、四分の一減っております。しかし、この間、直轄事業は、三兆三千五百十一億円から三兆三千四百九十六億円へとほとんど減っていない。一方、補助事業の方は、八兆七千七百八十九億円から六兆八百七十一億円へと三割も減っております。

 すなわち、減ったのは地方分だけだ。これでは、公共事業のスリム化どころか、専ら地方へのしわ寄せが強行されたにすぎず、実際は公共事業の中央集権化だったと言っても過言ではありません。

 この結果、自治体によるインフラ整備は停滞をし、人々の暮らしと地域の経済を身近なところから支えるはずの基盤はますます危うさを増し、さらに直轄事業から締め出されてきた地元の中小零細建設業の倒産が続出した、このことは御存じのとおりです。

 政権交代によってこうした流れをとめることこそ鳩山政権の責務であると考えますが、原口大臣、これまでの公共事業のありようについて御感想をお聞かせください。

 今、我が国は、大きな時代の曲がり角に差しかかっています。日ごろ前原大臣が繰り返し述べられているように、人口減少時代の到来と財政事情の逼迫の中で、無駄を排し、効率的な公共事業を実現することの必要性については、まさに同感であります。これまで積み上げてきた貴重な社会資本のストックを、上手に維持管理しつつ有効活用し、さらに時代にふさわしい整備を進めていかなければなりません。

 市街地の外れに大きなバイパスをつくる、一昔前のまちづくりの定石ですが、人口急増時代なら、人も車もどんどんふえる、沿道に見る間に新たな市街地が広がり、大型ショッピングセンターが建ち、既成市街地と相まって一回り大きなまちづくりを誘導できた。しかし、今日では、限られた人も車も商店もみんなバイパス沿いに吸い寄せられ、肝心の既成市街地の方はあっという間に空洞化してしまいます。

 これからは、この既成市街地をリファインすることが大事。右折車がひっかかり、道路全体が渋滞している町中道路の交差点改良を至るところで進め、道路全体、町全体をよみがえらせる。バイパスは国の事業ですが、交差点改良は自治体の事業、前者はゼネコンの仕事ですが、後者は地元工務店の仕事、公共事業で地域社会と経済を活性化するんです。

 これまで積み重ねてきた町の資産を放棄し、狭い国土にもかかわらず、車でしか暮らせないなんてまちづくりをもうこれ以上続けてはいけません。

 「コンクリートから人へ」、財政シフトの観点から、今年度、一八%余、公共事業予算を削減したわけですが、こうした中身や進め方についても思い切って見直すことをお考えかと思います。少ない予算で集中的に、血の通った公共事業に変えていく、まさに今、公共事業に求められているのは、コンクリート、金から人へ、金もうけのためでなく、人と地域を助け、国民の暮らしを支えるための公共事業への変革です。

 前原大臣、決意のほどをお聞かせください。

 さて、議題となっている直轄事業負担金ですが、この問題、今始まった話ではありません。全国知事会が最初に直轄事業負担金廃止を要望したのが一九五九年、半世紀も前からの地方の強い要望であるにもかかわらず、手つかずのまま今日に至ってしまいました。もともと、地方の事業費不足を補い、優先度を上げるための受益者負担が制度化されたと考えられますが、全国知事会の問題提起に見るごとく、今や多くの矛盾と弊害が露呈をしております。

 この負担金は、例年十一月ごろ、政府予算のまとまる前におおよその事業費と負担額が内示をされ、四月になって初めて具体的数字が示されるのが通例であります。その時点では、既に自治体から異論を唱えられる余地はなく、黙って負担するしかありません。道路や河川などの直轄事業の具体的内容、すなわち、事業費の算定根拠となる全体計画、年次計画、設計、構造、事業費の積算などが自治体に事前説明されることはほとんどない。まさに、知らしめず、よらしむべし、予算編成の自主性は大きく制約をされる、国の出先機関への依存度が高まるなど、地域主権実現の大きな障害となってきました。

 さらに、今回、法案の対象となっている維持管理負担金ですが、その内訳も明らかにされず、関係出先機関の庁舎建設費や人件費負担にまで及んでいる懸念もあり、自治体から、ぼったくりバーのツケ回しとやゆされても仕方のないような多くの問題を含んでおります。

 大臣、こうした維持管理負担金制度の問題点をどのように認識したらいいのか、ぜひお考えをお聞かせください。

 これまで直轄事業の地方負担は地元受益が理由になってきましたが、インフラ整備の受益の程度は地域ごとに千差万別です。それが受益と負担との関係、事業実施の責任と負担との関係を不明確にしております。この点を再点検し、わかりやすく合理的な分担関係を確立することが求められます。

 今回の直轄事業の負担金廃止、あわせて進められる補助事業の補助金廃止と総合交付金化により、公共事業は国の事業と地方自治体の事業の二つに明確に分けられることになるわけですが、その線引きについては、現段階では明快な基準が示されておりません。

 私見では、地域でできることは地域での原則に沿い、国の業務を大幅に縮小し、高速道路や新幹線、数県にまたがる大河川など、地域ごとに受益の程度が異なるもの、しかも国家的インフラとして必要なものに限ることとする。これらを、地方負担を求めることなく実施、維持管理をする。出先機関も改革を進めなければなりません。

 その他の公共事業については、国民の暮らしに最も近く、地域の事情に即した事業実施を責任を持って担える地方自治体の事業とすべきではありませんか。

 前原大臣、今回の法案の限りでは直轄事業自体の枠組みはこれまでのままですが、平成二十五年度までに、どのような手順でこの公共事業の全体枠組みを再構築していかれるのか、その基本的な考え方をお示しください。

 ところで、直轄事業負担金が半世紀以上続いているには、国が地域主権改革に積極的でなかった、そのほかに、地方にもそれなりの事情があったためと考えられます。例えば道路の負担、負担金は、整備、建設費については三分の一、維持管理費は四五%の負担に対し、補助事業では建設費はほぼ二分の一、維持管理費はみずからの負担です。乏しい台所事情の中、直轄事業の方が少ないから勢いそちらに走らざるを得ない、陳情合戦となるという地方自治体の事情があったと考えられます。

 そこで、前原大臣、今回こそ維持管理負担金に限られますが、直轄事業負担金制度を全廃した場合、補助事業の補助金を全額交付金化したとしても、そのままでは、結果として地方が整備できる道路延長は短くなる計算になります。これを補ってこそ公共事業の分権が言えるわけですが、この点について別の方策が講じられるのか、教えてください。

 以上、今後進む一連の公共事業改革の中で国と地方自治体の役割分担が明確化されることになりますが、自治体の規模や整備の進捗度合いはまちまちであり、個々の事情に応じた国のバックアップが必要になると考えられます。大災害への対処等が典型的なケースでありますが、国の有する人、金、物、ノウハウ、そして機材などの資源を地方機関として各地に常備しておくことは、この高速交通化、情報化の時代においては甚だ非効率的であります。有事の際に機動的にこれら必要な資源を必要な場所に適切に投入できるような、効率のよい国の補完システムを整える必要があると考えます。

 枝野国務大臣、国の出先機関を廃止するとともに、このように臨機応変に地方自治体をバックアップする新たな仕組み、システムをどのように整えるのか、お考えをお聞かせください。

 地域主権は鳩山政権にとって改革の一丁目一番地、今回の法案は地域主権実現への大事なスタートであります。直轄事業負担金制度の全廃、地方からの半世紀以上の要望でもあるこの重要課題を、今後、具体的な工程表に基づき、四年間の間に粛々と実現していかなければなりません。

 今回の改革のイメージが具体化する中で、地方自治体が抱いている制度上の不安も残されております。

 そこで、原口大臣にお聞きいたします。自治体への地方交付税の取り扱いですが、負担金廃止に伴い、地方自治体への交付税が減額にならないための方策のいかんについてお答えください。

 大臣、最後に地域主権戦略大綱についてお聞きいたします。

 大綱には、直轄事業負担金の廃止だけではなく、今後の公共事業のあり方に関して、補助事業の廃止や国の出先機関の廃止等、関連政策が盛り込まれる方針とお聞きしておりますが、その概要とプログラム、及びこれらの政策課題の実現へ向けて、そのあらましと決意のほどをお聞かせくださるようにお願いします。

 最後に、私たち民主党は地域主権を限りなく前に進めていく決意である、このことを申し上げ、質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣前原誠司君登壇〕

国務大臣(前原誠司君) 若井議員にお答えいたします。

 まず、公共事業の今後のあり方についてお尋ねがありました。

 人口減少、少子高齢化、厳しい財政状況という我が国の現状を踏まえれば、公共事業については、国民にとって本当に必要なものかどうかを厳しく見きわめる必要があります。

 その上で、我が国の国際競争力を強化する上で必要な空港、港湾、道路や、国民の安全を守るために必要な防災インフラの整備、高度経済成長時代に整備されたインフラの老朽化に対応した修繕、更新など、真に必要なインフラ整備を戦略的かつ重点的に推進してまいります。

 このような取り組みを推進するに当たりましては、民間の資金、経営能力、技術的能力を活用した社会資本整備を行っていく仕組み、新たな時代に合ったPPP、パブリック・プライベート・パートナーシップの手法を積極的に取り入れていきたいと考えております。

 直轄事業の維持管理負担金制度の問題点についてお尋ねがございました。

 国の直轄事業に係る地方公共団体の負担金は、事業から生じる受益が直接的にその事業が実施される地方公共団体の地域に及ぶことなどから、事業費について、管理者である国に加えて、受益者たる地方公共団体にも一定の負担としてこれまでお願いしてきたところでございます。

 一方で、議員も御指摘のとおり、直轄事業負担金については、全国知事会等から、負担金の内訳内容について詳細な情報開示と負担金の対象となる範囲についての見直しなど、制度の改善が強く求められてきたものと承知をしております。

 これまでも、国土交通省としては、直轄事業負担金の改善に取り組んできたところではございますが、今般の地域主権の確立に向け、地方が自由に使えるお金をふやすことをより重視する観点から、直轄事業負担金制度の廃止が打ち出され、これへの第一歩として、平成二十二年度から維持管理に係る負担金制度を廃止することとしたところでございまして、引き続き改善に向けた取り組みを行ってまいります。

 次に、公共事業における国と地方の枠組みの再構築についてお尋ねがありました。

 今回の法案は、道路や河川等の維持管理費に係る直轄事業負担金制度を平成二十二年度から廃止するものであり、地方主権の確立に向けた直轄事業負担金制度廃止への第一歩と認識をしております。

 地域主権改革については、今後、国と地方の事務、権限の見直し、出先機関の改革等を含め、政府全体で検討されることになると考えられておりますが、我が省としても適切に対応してまいりたいと考えております。

 最後に、直轄事業負担金制度を全廃した場合における地方の公共事業量確保についてのお尋ねがございました。

 直轄事業負担金の問題は、国と地方の役割分担のあり方や今後の社会資本整備のあり方など、地域主権の実現に関するさまざまな課題と密接に関連するため、これとの整合性を確保しながら、関連する諸制度の取り扱いを含めて検討を行い、マニフェストに沿って、現行の直轄事業負担金制度の廃止とその後のあり方について結論を得ることが必要であると考えておりますが、この際には、社会資本整備のおくれている地方への配慮といった課題についても検討していく必要があると考えております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣原口一博君登壇〕

国務大臣(原口一博君) 若井議員から、三点御質問がございました。

 まず、これまでの公共事業のありようについてのお尋ねでございます。

 都市づくりの専門家、地域づくりの専門家若井議員がおっしゃるとおり、これまでの公共事業については、補助事業や地方単独事業を中心に公共事業全体が大きく減少する中にあって、直轄事業負担金は横ばいで推移してきており、このことが地方財政を圧迫する要因の一つであったと考えております。

 公共事業の中央集権化、おっしゃるとおりです。依存と分配の政治から自立と創造の政治へ。今後は、地域のことは地域で決めるという地域主権の考え方に基づき、公共事業についても、直轄事業の範囲を基礎的または広域的事業に限定していくとともに、地方が自由に使える、そういう財源をふやしていく、充実させていく必要がある、そう考えております。

 次に、直轄事業負担金の廃止に伴う交付税の減額についてお尋ねがございました。

 マニフェストでは、直轄事業負担金制度を廃止し、地方の負担をなくすが、それに伴う地方交付税の減額は行わないとされております。

 直轄事業の維持管理費等に係る地方負担金を廃止すれば、その分、交付税が減少しかねませんが、平成二十二年度の地方財政計画においては、マニフェストどおり、廃止される直轄事業負担金と同等の額を地方単独事業に計上することとしておりまして、交付税額が減とならないようにしたところでございます。

 つまり、これは何を意味しているかというと、投資単独をのせておりまして、地方にとっては、それだけ自由に使える財源がふえたということになります。

 次に、最後ですが、地域主権戦略大綱の概要と改革の実現に向けた決意についてお尋ねがございました。

 地域主権の確立は、鳩山内閣の一丁目一番地です。

 鳩山総理の強いリーダーシップのもと昨年十二月十四日に開催した、総理を議長とする地域主権戦略会議の初会合において、改革の工程表である原口プランを提示し、本年三月三日には第二回の会合を開催しました。昨年十二月十五日に閣議決定された地方分権改革推進計画を踏まえ、地域主権改革関連二法案を三月五日に閣議決定し、今国会に提出する予定です。

 夏に向けて地域主権戦略会議をさらに行い、改革のエンジンとして、工程表に従って、本年夏をめどに地域主権戦略大綱の策定を目指してまいります。

 若井議員に教えていただいたあの棚田、あの美しさ、まさに日本の原風景だというふうに考えております。

 大綱の中には、さらなる義務づけ、枠づけの見直し、基礎自治体への権限移譲、ひもつき補助金の一括交付金化、出先機関の抜本的な改革などを盛り込む予定でございます。

 地域への愛なくして国家への愛はありません。地域をつくれずして国家をつくることはできません。私たちは、国の形を大きく地域主権に変えて国民の負託にこたえていきたい、そう考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣枝野幸男君登壇〕

国務大臣(枝野幸男君) 若井議員にお答えをさせていただきます。

 御指摘をいただきましたとおり、私たちは、今、国の出先機関の抜本的な見直しを考えております。

 これは、行政刷新という観点から見ましても、国、中央にあります機関よりもむしろ出先機関における非効率、無駄等を多くの国民の皆さんから御指摘を受けているところでございます。また同時に、地方出先機関の存在が地域主権の確立という観点からも障害になっているという声もございます。

 こうした観点から、原口地域主権担当大臣と連携をいたしまして、国の出先機関を早期にゼロベースで見直す、原則廃止の方向で見直すということに取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 その上で、御指摘をいただきましたとおり、自治体の規模やさまざまな整備の進捗状況、千差万別でございます、これを放置しておきますと、地域間の格差が不合理に拡大をするおそれもあります。

 ただ、基本的には、その違いについては、現状でいいますと、地方交付税に相当するような形での財政調整という形を通じて、それぞれの地域の自主的な判断に基づいてその違いというものを埋めていっていただく、これが基本、ベースであるというふうに思っています。

 ただ、もちろんそれだけではできない部分がありますが、それを国の側から押しつけるような形で、あるいは国の側からこうするんですよというような形でやっていくということは、地域主権という観点からはあべこべではないかというふうに思っておりまして、本来的には、市町村なり都道府県の皆さんが、こうしたことはそれぞれの単独の地方公共団体で抱えていたのでは効率が悪い、むしろまとまった形で国でバックアップをするというようなことの方が効率がいいというようなことをむしろお申し出いただいて、それに応じて国の方でそうした対応を進めていくということが本来的な姿であろうというふうに思っています。

 もちろん、一気にそこには参りませんので、これは地域主権戦略会議、あるいはこれからさらに整備をされて進んでいきます国と地方との意見交換の場などを通じまして、実質的に地方の声を踏まえて、国として最低限やらなければならないバックアップの分野とそのシステムについて整理をして進めていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。(拍手)

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議長(横路孝弘君) 金子恭之君。

    〔金子恭之君登壇〕

金子恭之君 自由民主党の金子恭之です。

 自由民主党・改革クラブを代表して、ただいま趣旨の説明がございました国の直轄事業に係る都道府県等の維持管理負担金の廃止等のための関係法律の整備に関する法律案について御質問いたします。(拍手)

 鳩山政権は、「コンクリートから人へ」などという人心を惑わすスローガンのもと、平成二十二年度予算を「いのちを守る予算」と位置づけながら、国民の安全と安心を守る社会資本を整備する手段である公共事業関係費について、過去に例のない大幅な削減を断行しようとしております。これでは、平成二十二年度予算は、命を守るための予算ではなく、命をないがしろにする予算になっているのではないでしょうか。

 日本を襲った今回のチリ地震による津波の例を出すまでもなく、いつ何どきやってくるかわからない災害に備え、必要な対策を行い、とうとい国民の生命や財産を守るのは、国の基本的な責務であります。

 また、一都五県の住民の安全と安心を守る八ツ場ダムの中止や大幅な公共事業費の削減は、現下の厳しい経済情勢のもと、雇用や地方経済への影響が懸念されるほか、国民の安全、安心の確保のため災害時に応急復旧活動等も担っている地方の建設業者に多大な影響を与えるものであります。地方の切り捨てに等しく、結果的には人の安全、安心をないがしろにしているのではないかと、多くの方々が懸念しております。

 その中で、何も言えない雰囲気のある民主党の中で、さきの参議院予算委員会の審議において民主党の櫻井充参議院政策審議会長が公共事業費削減について激しい口調で前原大臣に迫っていたことをどうとらえられているのか。私は、非常に的を射た発言であると思います。このような懸念に対しどのように対応されるのか、まず最初に前原大臣にお尋ねいたします。

 さらに、鳩山内閣の緩み切った政治姿勢が今まさに問われております。箇所づけ情報漏えい問題と三大臣遅刻問題であります。

 箇所づけ情報の予算委員会審議前の漏えい問題は、国会審議を無視した、財政法違反の疑いが強い大変重大な問題であります。選挙目当ての、地方自治体への利益誘導とも言えるものでございます。

 さらに、先日、予算を審議する大事な参議院予算委員会に原口大臣、前原大臣、仙谷大臣の三大臣が遅刻するという前代未聞の信じがたい失態を演じたことは、まさに、著しい緊張感の欠如、国会軽視であります。このような内閣で、危機管理上の問題が発生したときしっかり対応できるのか、国民の皆さんも不安に感じているのではないでしょうか。

 前原大臣は、本日趣旨説明のあった担当大臣であり、原口大臣は、関連の深い大臣であります。両大臣は、政治姿勢について明確に御答弁ください。

 さて、一級河川や直轄の国道などの建設や管理を行う際に、都道府県等がその費用の一部を負担するという直轄事業負担金については、例えば、地方が実施する公共事業に対して国庫補助負担金を交付する場合に地方に対して膨大な事務手続が求められる。これに比べ、直轄事業負担金は、国が実施する直轄事業について地方が請求された費用を支払うのみであり、地方にとっては、なぜこのようなものまで負担をしなければならないのかというような問題点や疑問点が指摘され、地方からは、早急にその見直しをすべきとの強い主張があったところであります。

 特に、維持管理費に係る地方負担金については、平成二十二年度から廃止すべきとの強い要望がございました。我が自民党としても、さきの衆議院総選挙の政権公約において、「直轄事業の維持管理費負担金は平成二十二年度から廃止するとともに、直轄事業を基礎的・広域的な事業に限定し、直轄事業負担金制度を抜本的に見直す。また、地方分権をさらに進めるため、国と地方の協調に向けた徹底的な議論が行えるよう、国と地方の代表者が協議する機関の設置を法制化する。」ことを挙げたところであります。

 国と地方が対等の立場で協議をし、地方の意見が反映されるよう、国と地方の協議機関を早急に設置すべきと考えますが、国と地方の協議の現状はどうなっているのか、また、協議機関の設置に向けて現在どのような取り組みをされているのか、また、今後の方針について、前原大臣、原口大臣にお聞きいたします。

 これまで、直轄事業負担金の対象範囲について、職員の退職手当や庁舎等に係る建設費など、直轄事業との関係が不明確な経費が盛り込まれていたことが問題となりました。関係省の大臣政務官から成る直轄事業負担金制度等に関するワーキングチームが決定した「直轄事業負担金制度の廃止に向けた工程表(素案)」において、「平成二十一年度分の直轄事業負担金について、当初予定額通知の内容を見直すこととし、都道府県等に対し詳細な内訳書を提示する。」としているところであります。

 直轄事業負担金の対象範囲についてどう考えておられるのか、また二十一年度分について、地方に対しどのような内訳書を提示しているのか、前原大臣にお聞きいたします。

 箇所づけ決定の考え方についてお聞きいたします。

 一月に民主党に流した箇所づけ情報では、民主党県連や知事からの要望があったものについて、事業費が概算要求のものより増額されているものがあると言われております。仮にこれが本当なら、参議院選挙に向けた、地方公共団体への利益誘導と言わざるを得ません。また、地方にとって不安と混乱を招くこととなります。箇所づけに当たっての明確な基準を示し、透明性を高めることが重要であります。

 二十二年度予算で箇所づけの増額に民主党県連等からの要望に対し配慮されているのかどうか、確認いたします。

 また、箇所づけの決定方法を透明性の高いものにしていくためにどのように取り組んでいくのか、お聞きいたします。

 もし、県連等の要望に配慮したというのであれば、公共事業の予算配分における客観性、透明性を高めるという前原大臣のお考えと整合性がとれているのか、御認識を伺いたいと思います。

 民主党は、「道路・河川・ダム等の全ての国直轄事業における負担金制度を廃止し、地方の約一兆円の負担をなくす。」とマニフェストで公約しておりますが、今回の法律により地方の負担はどのくらい減るのか、前原大臣にお尋ねします。

 その場合、事業費が減るのではないでしょうか。地方の要望の強い事業に対して円滑な事業推進を図ることができなくなるのではありませんか。前原、原口両大臣、この場で明確にお答えをお願いします。

 また、直轄事業負担金制度等に関するワーキングチームが決定した直轄事業負担金制度の廃止に向けた工程表では、平成二十五年度までに「国と地方の役割分担の在り方や今後の社会資本整備の在り方等、地域主権の実現に関する様々な課題と密接に関連するため、これとの整合性を確保しながら、関連する諸制度の取扱いを含めて検討を行い、マニフェストに沿って現行の直轄事業負担金制度の廃止とその後の在り方について結論を得る。」こととしているとされていますが、いつまでに何を検討し、どのような結論を出していくのか、そのスケジュールと見通しについて、前原大臣より具体的に明確にお答えをお願いします。

 最初に述べたように、平成二十二年度予算において公共事業関係費を大幅に削減したことにより、地方経済は多大な影響を受けることが懸念されます。

 内閣府が二月に公表した月例経済報告では、我が国の経済状況は、「景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。」とされておりますが、公共事業関係費の大幅削減の影響が出てくると、今後、地方の経済や雇用情勢は一段と厳しい状況に置かれることが懸念されます。

 こうした中、地方からは直轄事業量の確保に対する期待感は大きいが、維持管理費の地方負担を廃止することによって国の直轄事業量にどのような影響を与えるとお考えか、また、どのような対策を講じられるのか、前原大臣にお尋ねいたします。

 また、せっかく直轄事業負担金を廃止し地方の負担が軽減されても、負担金の廃止に伴い、地方交付税の額が減ることが心配されるところであります。民主党のマニフェストでも、負担金制度の廃止について、「それに伴う地方交付税の減額は行わない。」とありますが、本当に地方にとって負担がふえることがないと約束できるのでしょうか。

 地方の財政が逼迫している中で、負担金の廃止に当たっては、地方に負担とならないよう財政支援していくことが必要と思いますが、具体的にどのように対策を講じられるのか、原口大臣にお答え願います。

 また、経過措置として、平成二十二年度に限り、維持管理のうち特定の事業に要する費用については、その対象を明確にした上で、都道府県等から負担を徴収するとしているが、一たん負担金をすべてなくす概算要求をしたにもかかわらず、どのような理由で負担を徴収することにしたのか、あわせて前原大臣にお尋ねいたします。

 さらに、平成二十三年度以降は、維持管理のうちの特定の事業に要する費用についても、都道府県等からの負担徴収をやめ、維持管理について全額国が負担することとしておりますが、直轄事業量に対してさらなる影響があるのではないかと懸念されます。これに加えて、平成二十三年度以降も公共事業関係費の削減を継続し、命をないがしろにする予算を続けるつもりでしょうか。国家の財政を預かる菅大臣及び公共事業を所管する前原大臣にお伺いいたします。

 国と都道府県等との間における直轄事業負担金の議論と同様、都道府県等と市町村の間においても、都道府県等の事業に市町村の負担を求めているものがあると聞いております。こうした市町村に課せられた負担の実態をどのように把握しているのか、また、国と都道府県等との間の直轄事業負担金の廃止の議論との関連で、この問題をどのように対処していくつもりか、地方財政を預かる原口大臣にお伺いいたします。

 これに関連して、直轄事業負担金の業務取扱費を全廃するとともに、公共事業に係る補助金の事務費も全廃することとしております。その理由をお答え願います。

 都道府県は、直轄事業負担金も減る一方、補助金の事務費が減るので、よしあしは別にしても、ある意味では財政的に均衡を図られているものと思われますが、確認する意味で、直轄事業負担金の業務取扱費及び補助金の事務費のそれぞれの額についてお示し願います。

 また、市町村は補助金の事務費が減らされるのみです。これは、声の大きい知事のことばかり気にして、国民に最も身近な自治体である市町村をないがしろにしたものではないかと思います。これらに対する原口大臣の見解をあわせて求めます。

 これまでの直轄事業負担金に係る一連の議論を見ていると、国と地方との間において、社会資本整備のための費用を国と地方のどちらが負担するのかといった単なる財政的な議論に終始しています。本来であれば、我が国が直面している現下の厳しい経済情勢への対応といった観点や、アジア各国の成長が著しい中、我が国産業の国際競争力の確保といった観点なども踏まえ、我が国の国土や地域をどのように活性化していくのか、その上で、国と地方がどのような協力関係を築いていくのかといった観点で負担のあり方を考えていくべきではないでしょうか。こうした点についてどのように考えるのか、菅大臣、原口大臣及び前原大臣のそれぞれに所感をお伺いいたします。

 最後に、鳩山政権は、「コンクリートから人へ」などという人心を惑わすスローガンのもと、今後ともさらに公共事業関係費を削減していくと思われるが、これに加え、直轄事業負担金制度を廃止するのは、社会資本整備が立ちおくれている地方に大打撃を与えるものであると想像できます。これについてどのような対策をお考えか、前原大臣にお尋ねをし、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣前原誠司君登壇〕

国務大臣(前原誠司君) 金子恭之議員から、十四問質問をいただきました。少々お時間をいただきます。

 公共事業費の今後のあり方について、まずお尋ねがありました。

 人口減少、少子高齢化、厳しい財政状況という我が国の現状を踏まえれば、公共事業については、国民にとって本当に必要なものかどうか見きわめていくことが必要であります。

 その上で、国民の安全、安心を守るために必要な防災インフラの整備、高度経済成長時代に整備されたインフラの老朽化に対応した修繕、更新や、我が国の国際競争力を強化する上で必要な空港、港湾、道路など、真に必要なインフラ整備を、民間の資金、経営能力、技術的能力も活用しつつ、戦略的かつ重点的に推進してまいりたいと考えております。

 地方への影響については、来年度予算においては、公共事業を通じた地方への資金供給は確かに減っておりますが、一方で、地方交付税の増額、子ども手当の創設や高校の実質無償化、さらには医療、介護向けの予算、農業の戸別所得等々、「いのちを守る予算」がふえております。したがって、公共事業関係費の削減のみをもって地方を切り捨てているとの指摘は、必ずしも当たらないと考えております。

 今後、「いのちを守る予算」が民間消費の拡大を通じて地域経済を下支えするよう、経済構造の転換を鳩山政権で進めてまいります。

 箇所づけの問題でございますが、鳩山政権では、公共事業の箇所づけの公平性、透明性を確保すべく、自公政権では近畿地区の実験にとどまっていた事業計画の公表を昨年十一月に全国で行い、予算成立後に今まで示してきた個別の事業評価も、予算審議に資するため、二月一日にお示しをしたところでございます。

 なお、仮配分の資料が民主党を通じて自治体に流れたことは極めて遺憾であり、来年以降の教訓として、さらに公平性、透明性を高めるべく努力をしてまいります。

 また、参議院予算委員会での遅刻につきましては、改めておわびを申し上げますとともに、以後気をつけ、職務に万全を期してまいります。

 次に、国と地方の協議についてお尋ねがありました。

 今回の法案は、直轄事業負担金制度の改善を強く求める地方の意見等を踏まえ、道路や河川等の維持管理費に係る直轄事業負担金制度を平成二十二年度から廃止するものでございます。今後のさらなる見直しに当たりましても、関係省の大臣政務官から成る直轄事業負担金制度等に関するワーキングチームにおいて、必要に応じ地域の意見を聞きながら検討を進めてまいります。

 また、国と地方の協議に関しては、先日、国と地方の協議の場に関する法律案が閣議決定されたわけでありますが、協議の対象には、社会資本整備に関する政策に関する事項のうち、地方自治に影響を及ぼすと考えるもの等が含まれているところであります。

 今後、この法律案について国会で審議がなされるものと思料しておりますけれども、国土交通省としても、その議論等を踏まえ、適切に対応してまいります。

 次に、直轄事業負担金の対象範囲の考え方と、地方に対する二十一年度分の請求についてのお尋ねがございました。

 直轄事業負担金は、直轄事業の実施に要する経費を対象に地方公共団体に負担いただくのが基本でありますが、業務取扱費のうち、退職手当、営繕宿舎費については、直轄事業の実施との関係が相対的にわかりにくいことから、平成二十一年度分の請求をしないものといたしました。

 現在、各地方整備局等を通じて、二十一年度の直轄事業負担金の内訳内容を従来よりも詳細化した内訳書を都道府県等に提示し、御説明を行っているところでございます。

 次に、箇所づけの決定方法及び増額についてお尋ねがありました。

 個別箇所ごとの事業費については、地元地方公共団体の御意見、要望、用地確保や地元調整の状況等を総合的に勘案しながら作業を行っておるところでございます。

 さきに地方公共団体にお示しした二十二年度予算の仮配分において、概算要求段階から増額となりましたのは、概算要求段階で維持管理に係る直轄事業負担金は全廃する前提でおりましたが、予算編成段階で、維持管理のうち特定の事業分について二十二年度に限って地方公共団体に御負担いただく結果となり、改築等に充てられる予算が増額になったものでございます。

 いずれにしても、予算編成、執行のプロセスの透明化を図ることは重要なことだと考えておりますので、今般、事業の透明性の向上を図るため新たな取り組みを始めたところではありますが、引き続き、事後的な検証も行いつつ、必要な取り組みを行ってまいりたいと考えております。

 次に、今回の法律の施行に伴う地方の負担の軽減についてのお尋ねがございました。

 今般、地域主権の確立に向け、直轄事業負担金制度の廃止への第一歩として、平成二十二年度から維持管理に係る負担金制度を廃止することといたしました。

 平成二十二年度予算において、従前の負担金制度が存続していると仮定した場合の維持管理に係る直轄事業負担金は、業務取扱分を除き、おおむね八百億円程度と見込んでおりまして、また、平成二十三年度に廃止されることとなる特定事業分が約六百億円と見込まれているところであります。これらを合計した約一千四百億円が、維持管理に係る負担金の廃止に伴う地方負担の軽減額と想定されているところでございます。

 次に、直轄事業負担金制度の廃止に伴う事業量の減少についてお尋ねがございました。

 直轄事業負担金の問題は、国と地方の役割分担のあり方や今後の社会資本整備のあり方など、地域主権の実現に関するさまざまな課題と密接に関連するため、これとの整合性を確保しながら、関連する諸制度の取り扱いを含めて検討を行い、マニフェストに沿って現行の直轄事業負担金制度の廃止とその後のあり方について結論を得ることが必要であると考えておりますが、この際には、社会資本整備のおくれている地方への配慮や、社会資本整備の円滑、着実な推進方策といった課題についても検討していく必要があると考えております。

 次に、直轄事業負担金制度の廃止に向けたスケジュールについてのお尋ねがございました。

 直轄事業負担金の問題は、国と地方の役割分担のあり方や今後の社会資本整備のあり方など、地域主権の実現に関するさまざまな課題と密接に関連するため、これとの整合性を確保しながら、関連する諸制度の取り扱いを含めて検討を行い、マニフェストに沿って、現行の直轄事業負担金制度の廃止とその後のあり方について、平成二十五年度までに結論を得ることとしております。

 このため、関係省の大臣政務官から成る直轄事業負担金制度等に関するワーキングチームにおいて、必要に応じ地方の意見も伺いながら、検討を進めていくことになると考えております。

 次に、維持管理費の地方負担を廃止した場合における国の直轄事業量への影響、そして、維持管理のうち特定の事業に要する費用について負担金を徴収することとした理由についてのお尋ねがございました。

 維持管理費の地方負担を廃止することにより、国の直轄事業の事業量は減少することになりますが、平成二十二年度の公共事業予算が大幅な削減になることを踏まえ、直轄事業の事業量の確保を求める地方の声に配慮し、経過措置として、維持管理のうち特定の事業に要する費用については、平成二十二年度に限り負担金を徴収することとしたところでございます。

 次に、平成二十三年度以降の公共事業関係費についてお尋ねがございました。

 平成二十三年度以降の予算につきましては、今後検討していくことになりますが、我が国の国際競争力の強化、国民の安全、安心の確保、豊かな暮らし・環境の実現、高度経済成長時代に整備されたインフラの老朽化に対応した修繕、更新など、真に必要なインフラ整備を戦略的かつ重点的に推進するための公共事業予算については、適切に確保することが必要と考えております。

 次に、直轄事業負担金の業務取扱費と公共事業に係る補助金の事務費の廃止についてのお尋ねがありました。

 これは、事務の合理化等を図るために行うこととしたものであり、直轄事業負担金の業務取扱費については、全国的に構築された国の実施体制に要する経費を都道府県等ごと案分する計算方法が複雑であり、都道府県等にとってわかりにくい上、内容の精査、確認に多大な労力が必要となるほか、国においても多大な事務負担を要し、効率的ではないこと、また、公共事業に係る補助金の事務費については、会計検査院が検査を行ったすべての地方公共団体で不適正経理が二年続けて発覚しており、制度自体のあり方を見直すことが必要になっていたことなどを考慮したものでございます。

 なお、直轄事業の業務取扱費に対する地方負担、国庫補助事業の事務費に対する国の負担がそれぞれ平成二十二年度もあるとした場合の金額は、ともに、おおむね七百億から八百億円程度と見込んでおります。

 次に、直轄事業の負担費用に関する今後のあり方についてお尋ねがございました。

 今後、我が国の国際競争力を強化する上で必要な空港、港湾、道路や、国民の安全を守るために必要な防災インフラの整備など、真に必要なインフラ整備を着実に行うことが重要であり、その際、国と地方が適切に役割分担を行うことが必要と考えております。

 直轄事業負担金の問題についても、こうした国と地方の役割分担のあり方や今後の社会資本整備のあり方等を十分に踏まえて検討を行い、結論を得てまいりたいと考えております。

 最後に、直轄事業負担金制度の廃止と地方への影響についてお尋ねがございました。

 先ほども申し上げましたが、直轄事業負担金の問題は、国と地方の役割分担のあり方や今後の社会資本整備のあり方など、地域主権の実現に関するさまざまな課題と密接に関連するため、これとの整合性を確保しながら、関連する諸制度の取り扱いを含めて検討を行い、マニフェストに沿って現行の直轄事業負担金制度の廃止とその後のあり方について結論を得ることが必要であると考えておりますが、この際には、社会資本整備のおくれている地方への配慮といった課題についても、議員御指摘のとおり、検討していく必要があると考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣原口一博君登壇〕

国務大臣(原口一博君) 金子議員から、六点お尋ねがございました。

 まず、危機管理、そして政治姿勢についての御指摘がございました。

 参議院の予算委員会の遅刻については、改めておわびを申し上げます。その上で、このようなヒューマンエラーが起きた原因究明を官房に命じ、そして、二度とこのようなことが起こらないように、三重の対策を講じたところでございます。

 総務大臣として消防庁も所管しており、危機管理には万全を尽くす必要がございます。

 先般のチリ中部沿岸を震源とする地震による津波に際しましても、地震発生当日の二月二十七日から、消防庁に対し、今回の津波対応に万全を期すよう指示するとともに、津波当日の二十八日には、消防防災・危機管理センターに設置した災害対策本部にて、随時指示を行うとともに、北海道、青森、岩手、宮城の四道県知事とは直接連絡をとり、状況を確認いたしたところでございます。

 今後とも、国民の安全確保のため、危機管理に万全を期してまいります。

 次に、国と地方の協議機関の設置に向けた現状と取り組みについてお尋ねがございました。

 先ほど答弁させていただきましたが、国と地方の協議の場の法制化に先立って、実質的な協議の場として、昨年十一月十六日に国と地方の協議を開催しました。その際、地方側からの提案を受けて、国、地方双方の代表から成る実務検討チームを設け、三回にわたって検討を進めてきたところです。

 その結果、去る二月十八日には、協議の場の構成や協議対象など制度全体の骨子について、地方側と合意に達したところでございます。

 その骨子に基づく法案を今国会に提出すべく、国と地方の協議の場に関する法律案を取りまとめ、三月五日に閣議決定したところでございます。

 直轄事業負担金の廃止に伴う交付税の減額についてお尋ねがございました。

 マニフェストでは、直轄事業負担金制度を廃止し、地方の負担をなくすが、それに伴う地方交付税の減額は行わないとしております。このとおりに、これを踏まえ、廃止される直轄事業負担金と同等の額を地方単独事業に計上することにより、交付税額が減とならないようにしたところでございます。

 次に、都道府県等の市町村負担金についてお尋ねがございました。

 都道府県等の市町村負担金については、地方六団体において昨年六月に実態調査が行われました。これを受けて全国知事会は、「市町村負担金は、直轄事業負担金制度の改革の趣旨を踏まえ同様に見直す。」との申し合わせを行ったところでございます。自主的な見直しが進められておるわけでございますが、今般の国における維持管理費負担金の廃止を踏まえ、必要に応じ、見直しを促してまいりたいと考えています。

 次に、直轄事業負担金の業務取扱費及び公共事業の補助金の事務費の全廃についてのお尋ねがございました。

 直轄事業負担金の業務取扱費が廃止されることとあわせて、事務の簡素化の観点から、補助金の事務費も廃止することとしました。廃止される直轄事業負担金の業務取扱費、補助金の事務費は、地方財政計画ベースで、それぞれ、八百四億円、そして八百四十二億円でございます。

 市町村における補助金の事務費の減に対しては、補助事業の事務費を地方債の対象とし、市町村の財政運営に支障が生じることのないように対応いたします。

 最後に、社会資本整備の費用負担のあり方についてお尋ねがありました。

 社会資本整備は、地域の活性化、国民生活の安心、安全、国際競争力の強化などの観点から取り組んでいく必要がございます。

 地域主権の観点からは、国が行う社会資本の整備は、全国的な見地から必要とされる基礎的または広域的な事業に限定し、身近な社会資本整備は、地方が地域のニーズに応じて取り組んでいくことが重要であると考えております。

 今回の交付税の配分基準も、より市町村そして財政力の弱いところに配慮いたしました。声の大きな知事のことばかり気にして市町村をないがしろにしているという御指摘は、当たりません。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣菅直人君登壇〕

国務大臣(菅直人君) 金子恭之議員にお答えを申し上げます。

 私には、二十三年度以降の公共事業関係費を削減するつもりか、それを継続するつもりかという問いが一つであります。

 我が国の財政は極めて厳しい状況にありまして、二十三年度以降の予算編成に当たっても、行政刷新会議等と連携しつつ、歳出歳入両面にわたって徹底した予算の見直しを行う必要があると考えております。

 公共事業関係費についても、国民生活の安全、安心の確保に必要な分野への重点化を進めつつ、事業の効率性、必要性を踏まえた厳しい優先順位づけを行っていくことになると思っております。既に国交大臣からも選択と集中という言葉がありましたけれども、そうした考え方での予算編成になろうと思います。

 なお、その中では、例えば熊本などでも林業の再生ということがいろいろと言われておりますが、林業再生のための路網整備など環境にとっても大切な政策は、ぜひ、補正予算に盛り込んだものなども含めて、取り込んでいければと思っているところであります。

 もう一点は、直轄事業負担金に係る費用に関する負担のあり方についてということであります。

 この件については、既に前原国交大臣、さらには原口総務大臣から十分に答弁があったと思いますが、直轄事業負担金の問題は、国と地方の役割分担のあり方や今後の社会資本整備のあり方など、地域主権の実現に関するさまざまな課題と密接に関連いたしております。そのために、これらの課題との整合性を確保しつつ、関連する諸制度の取り扱いを含めて検討を進める必要がある、このように考えております。

 以上です。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣  菅  直人君

       総務大臣

       国務大臣  原口 一博君

       国土交通大臣  前原 誠司君

       国務大臣  枝野 幸男君

 出席副大臣

       国土交通副大臣  馬淵 澄夫君


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