衆議院

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第19号 平成22年4月6日(火曜日)

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平成二十二年四月六日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十一号

  平成二十二年四月六日

    午後一時開議

 第一 大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 国際受刑者移送法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 刑事に関する共助に関する日本国とロシア連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件

 第四 刑事に関する共助に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第五 刑を言い渡された者の移送及び刑の執行における協力に関する日本国とタイ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 議員辞職の件

 日程第一 大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 国際受刑者移送法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 刑事に関する共助に関する日本国とロシア連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件

 日程第四 刑事に関する共助に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第五 刑を言い渡された者の移送及び刑の執行における協力に関する日本国とタイ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに国家公務員法等の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出)及び幹部国家公務員法案(塩崎恭久君外四名提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 議員辞職の件

議長(横路孝弘君) 去る四月一日、議員神崎武法君から、今般、一身上の都合により衆議院議員を辞職いたしたく御許可願いたい旨の辞表が提出されております。

    ―――――――――――――

    辞職願

  今般 一身上の都合により衆議院議員を辞職いたしたく御許可願います。

   平成二十二年四月一日

          衆議院議員 神崎 武法

  衆議院議長 横路 孝弘殿

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) これにつきお諮りいたしたいと思います。

 神崎武法君の辞職を許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、辞職を許可することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第一 大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第一、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長樽床伸二君。

    ―――――――――――――

 大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔樽床伸二君登壇〕

樽床伸二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、事業者及び地方公共団体による公害防止対策の効果的な実施を図るため、第一に、ばい煙量または排出水の汚染状態等の測定結果の記録義務違反に対して罰則を設けること、また、ばい煙の排出抑制または水質汚濁の防止のために必要な措置等の実施に関する事業者の責務を定める等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る三月二十四日本委員会に付託され、二十六日小沢環境大臣から提案理由の説明を聴取し、三十日に質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。次いで、直ちに採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 国際受刑者移送法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第二、国際受刑者移送法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長滝実君。

    ―――――――――――――

 国際受刑者移送法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔滝実君登壇〕

滝実君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、受刑者の移送について、現行の欧州評議会の刑を言い渡された者の移送に関する条約に基づくものに限らず、刑を言い渡された者の移送及び刑の執行における協力に関する日本国とタイ王国との間の条約その他の今後我が国が締結する受刑者移送に関する条約に基づくものについても行うことができるようにしようとするものであります。

 本案は、去る三月二十五日本委員会に付託され、二十六日千葉法務大臣から提案理由の説明を聴取し、三十日質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 刑事に関する共助に関する日本国とロシア連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件

 日程第四 刑事に関する共助に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第五 刑を言い渡された者の移送及び刑の執行における協力に関する日本国とタイ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件

議長(横路孝弘君) 日程第三、刑事に関する共助に関する日本国とロシア連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件、日程第四、刑事に関する共助に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第五、刑を言い渡された者の移送及び刑の執行における協力に関する日本国とタイ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長鈴木宗男君。

    ―――――――――――――

 刑事に関する共助に関する日本国とロシア連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 刑事に関する共助に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 刑を言い渡された者の移送及び刑の執行における協力に関する日本国とタイ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔鈴木宗男君登壇〕

鈴木宗男君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、日ロ刑事共助条約は、平成二十一年五月十二日、東京において署名されたもので、我が国とロシアとの間で、捜査、訴追その他の刑事手続に関する共助に係る要件、手続等について定めたものであります。

 その主な内容は、

 日ロ両国は、共助の請求及び諾否の決定権限を持つ中央当局をそれぞれ指定し、両中央当局間の直接の請求に基づき、捜査、訴追その他の刑事手続について共助を実施すること、

 その対象とされる行為が自国の法令によれば犯罪とならない等の場合には、共助を拒否することができること

等であります。

 次に、日・EU刑事共助協定は、EU側が平成二十一年十一月三十日にブリュッセルにおいて、日本側が同年十二月十五日に東京において、それぞれ署名したもので、日ロ刑事共助条約同様に、我が国とEU加盟国との間で刑事手続に関する共助を実施するものであります。

 本協定の特徴的な内容として、共助請求の対象とされる行為が自国の法令によれば犯罪とならない場合であっても、強制措置を伴わない共助については原則実施可能であること、死刑を科し得る犯罪に関する共助を拒否することができることとなっております。

 最後に、日・タイ受刑者移送条約は、平成二十一年七月二十二日、プーケットにおいて署名されたもので、タイにおける邦人受刑者及び我が国におけるタイ人受刑者を母国に移送するための手続等について定めたものであります。

 その主な内容は、

 移送国、受入国及び受刑者が移送に同意していること等の条件がすべて満たされている場合に限り、移送ができること、

 移送後の刑の執行の継続は、受入国の法令及び手続により規律されること

等であります。

 以上三件は、去る三月十九日外務委員会に付託され、二十四日岡田外務大臣から提案理由の説明を聴取し、二十六日質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。次いで、四月二日三件について採決を行いました結果、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 三件を一括して採決いたします。

 三件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、三件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに国家公務員法等の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出)及び幹部国家公務員法案(塩崎恭久君外四名提出)の趣旨説明

議長(横路孝弘君) この際、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに塩崎恭久君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案及び幹部国家公務員法案について、順次趣旨の説明を求めます。国務大臣仙谷由人君。

    〔国務大臣仙谷由人君登壇〕

国務大臣(仙谷由人君) このたび政府から提出いたしました国家公務員法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 社会経済の変化に対応し、複雑多様化する行政課題に迅速かつ果断に取り組み、省益を超えた国民本位の行政を実現するためには、内閣による人事管理機能の強化を図り、内閣主導で適材適所の人材を登用する必要があります。また、あわせて、公務員の天下りのあっせんの根絶に対応して、退職管理の一層の適正化を図ることが必要であります。

 このため、幹部職員の内閣一元管理に関する規定等を創設し、内閣官房の所掌事務及び内閣人事局の設置に関する規定の整備を行うとともに、官民人材交流センター及び再就職等監視委員会の廃止並びに再就職等規制違反行為の監視等を行う民間人材登用・再就職適正化センターの設置に関する規定の整備等を行うこととする本法律案を提出する次第であります。

 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、内閣による人事管理機能の強化を図るため、幹部職員人事の一元管理に関する規定等を創設することとします。

 具体的には、幹部職への任用は、内閣官房長官が適格性審査を行った上で作成する幹部候補者名簿に記載されている者の中から行うものとし、内閣の重要政策を実現するため内閣全体の視点から適切な人材を登用する必要があるときは、内閣総理大臣または内閣官房長官が任命権者に協議を求めることができることとするほか、これ以外の場合にあっても、任命権者が内閣総理大臣及び官房長官との協議に基づき行うことといたしております。

 幹部職員の公募については、任命権者との協議等を経て内閣総理大臣が実施することといたします。

 また、幹部職員の弾力的な任用を可能とするため、各府省の事務次官級の官職、局長級の官職及び部長級の官職は、同一の職制上の段階に属するものとみなすこととしております。

 第二に、内閣による幹部職員人事の一元管理を担う体制として、内閣官房に内閣人事局を設置することとします。

 内閣人事局は、行政機関の幹部職員の任免に関し、その適切な実施の確保を図るために必要となる企画及び立案並びに調整に関する事務をつかさどることとし、あわせて、国家公務員制度改革推進本部の事務局を廃止し、その機能を統合することにより、公務員制度改革を総合的かつ集中的に推進するための体制を整備します。

 第三に、国家公務員の適正な退職管理を図るため、官民人材交流センター及び再就職等監視委員会を廃止し、官民人材交流の支援、再就職等規制等の適切な運用の確保などを行う民間人材登用・再就職適正化センターを設置することとします。

 同センターのもとに、独立性のある第三者機関である再就職等監視・適正化委員会を設置し、再就職等規制違反行為の監視を行わせることとします。

 第四に、これらに関連し、自衛隊法等について所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、本法律案の趣旨でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 提出者塩崎恭久君。

    〔塩崎恭久君登壇〕

塩崎恭久君 自由民主党の塩崎恭久でございます。

 私は、自由民主党・改革クラブ、みんなの党の提出者を代表して、ただいま議題となりました国家公務員法等の一部を改正する法律案及び幹部国家公務員法案の提案理由を説明いたします。

 昨年夏の総選挙で、民主党は、脱官僚依存と天下りの根絶を最大の争点の一つとして掲げ、政権交代を果たしました。

 ところが、その後の政権運営はどうでしょうか。天下りの根絶は、政権発足後早々に逆走が始まりました。日本郵政株式会社の社長に元大蔵事務次官をつけるという典型的な天下り・わたり人事が鳩山内閣の手で行われました。その後も、天下り人事が後を絶ちません。

 脱官僚依存も迷走するばかりであります。予算編成も事業仕分けも、財務省依存で行われ、肝心なところで政治主導は全く発揮できていません。そうかと思えば、一方で、間違った政治主導も行われております。総理以下が思いつきの発言を繰り返し、迷走を続ける普天間問題、最たる例であります。

 もう一つ例を申し上げれば、先日、原口大臣、仙谷大臣、前原大臣が国会に遅刻されるという大失態がありました。報道によれば、原口大臣は、あろうことか、この責任を事務方に押しつけ、遅刻問題を理由に総務省の担当課長らを更迭したというふうに聞いております。みずからの失態の責任をとらず、官僚に責任を押しつけようとする政治家に、政治主導を唱える資格はあるでしょうか。

 まして、防災担当の立場でありながら、地震発生のときにSPもつけずに出歩いていたことが報じられる中井国家公安委員長には、政治主導など夢にも考えないでいただきたいというのが多くの国民の思いではないでしょうか。

 こうした鳩山内閣の閣僚の皆さんの言動を見るにつけ、鳩山内閣には、政治主導の確立、そのための公務員制度改革は到底無理ではなかろうかと思わずにいられません。

 そうした中、今回、鳩山内閣により、国家公務員法等の一部を改正する法律案が提出をされました。案の定と言うべきでしょうか、内容を見れば、政権交代前、野党時代の民主党が唱えていた主張とは百八十度逆方向であります。かつての民主党の主張はどこに行ってしまったのだろうかと言わざるを得ません。

 これまで、自民党政権において、政治主導への転換、天下りの根絶といった問題について、我々は、一歩一歩歩みを積み重ねてまいりました。これは、国民の皆様方からすれば、必ずしも満足いかず、不十分とかスピードが遅過ぎると見える面もあったかもしれません。こうした点は、我々は率直に反省をしなければならないと思っています。

 しかし、今回、鳩山内閣が提出した法案は、こうした我々の積み重ねてきた成果を壊し、官僚依存の続行、天下りの温存に突き進もうとしている内容であります。こうした国民を愚弄するような行いを黙って見過ごすわけにはまいりません。

 そもそも、脱官僚依存や天下りの根絶、そして真に国民のために働く活力ある霞が関の実現といったテーマは、民主党が唱え始めたものではありません。自民党政権時代、最初は橋本行革でこうした議論が本格的になされるようになりました。

 その後、安倍内閣では、天下りの根絶を目的として、各省庁による再就職あっせんを禁止し、官民人材交流センターに一元化する法案を提出いたしました。この法案では、同時に、人事の基本を、明治時代以来続いてきた年功序列から初めて能力・実績主義へ転換することも定め、国会で成立をいたしました。

 当時、民主党は、この法案に対して、センターは天下りバンクだと主張し、強く批判していましたけれども、今回の政府提出法案を見ると、むしろ、センターを再就職あっせん機関として位置づけ直し、恒久化しようといたしております。また、その後の裏下りの横行などに対しても、何ら措置が講じられていません。

 その上、鳩山内閣の閣僚は、早期退職勧奨は続けざるを得ないなどとも言い始めております。かつて、民主党は、早期退職勧奨の廃止こそが天下り根絶の切り札と訴え、マニフェスト詳細版にも明記していたではないですか。民主党はもはや天下りの根絶を断念したとしか思いようがありません。

 福田内閣では、公務員制度改革の全体像のプログラムを定める国家公務員制度改革基本法案を提出し、与野党を超えた修正協議を経て、国会で成立をいたしました。

 基本法で第一の課題とされた、幹部人事を内閣に一元化するとともに、公務員制度全体の企画立案などを行う内閣人事局の設置については、麻生内閣で法案を提出いたしました。残念ながら、この法案は、衆議院の解散により、審議に入ることさえできず、廃案となりました。

 今回の政府提出法案では、内閣人事局についての規定が置かれてはいますが、その内容は、驚くべきことに、麻生内閣の法案よりはるかに後退をし、何の力もない、無力な内閣人事局をつくろうとするものになっています。

 基本法で、内閣人事局には、総務省、人事院その他機関の機能を移管すると定めているにもかかわらず、その基本法を無視し、機能を一切移管しておりません。そして、あろうことか、基本法違反を逃れるために、基本法自体を改正し、プログラムを先送りしようとしている。これは、かつて基本法が与野党を超えた合意の上に成立した経緯を考えれば、およそあり得ない暴挙であります。

 政治主導で政策を遂行しようとするならば、それを実現できるチームをつくること、すなわち、人事がかぎであります。内閣人事局を無力化し、内閣主導の人事を妨げているようでは、官僚依存からの脱却などできるわけがありません。

 政府提出法案では幹部の人事制度についても定めていますが、これも、政治主導の確立や、年齢や官民を問わずやる気と能力のある人が集まる霞が関の実現とはほど遠い内容であります。すなわち、幹部を一般職の範囲にとどめるという、基本法の趣旨に反する内容になっているのです。

 鳩山内閣が、かつての主張を捨て去り、官僚依存の温存、天下りの温存に突き進もうとしているのはなぜでしょうか。政権についた途端、官僚依存が楽でいいと考えたのでしょうか。あるいは、公務員の労働組合の主張に配慮せざるを得なくなったのでしょうか。

 いずれにせよ、我々は、このような政府提出法案を、断じてこのまま成立させるわけにはいきません。このため、本来あるべき公務員制度改革の内容を法案にまとめ、提出をいたしました。

 以下に、その概要を説明いたします。

 第一に、内閣人事局には、総務省、人事院、財務省から、幹部人事の一元化のために必要な機能を移管いたします。

 総務省の定員管理機能、人事院の級別定数管理機能、財務省の給与に関する機能です。

 また、内閣人事局には、新設の機能として、総人件費管理の機能も持たせ、人件費管理を徹底させます。

 第二に、幹部の人事制度については、幹部は一般職とは別扱いの幹部職とし、新たに幹部国家公務員法を制定いたします。

 三十万人の国家公務員のうち、〇・二%に当たる約六百人の幹部職員については、能力・実績主義だけではなくて、内閣との一体性の確保にも配慮した人事管理を行うこととし、政権のニーズにこたえた人事配置を可能にします。

 優秀な若手や民間人を幹部に抜てき登用するためには、当然、幹部ポストにある人を幹部から外す人事が必要であります。このため、幹部公務員法では、内閣による行政の遂行を最大限に効果的に行う上で必要と判断するときに、幹部を、幹部より一ランク下である管理職の最上位まで降格することができる制度を設けております。

 幹部公務員法では、このほか、幹部職員の適格性審査、公募、給与などについて定めております。

 また、事務次官などのポストは廃止し、この際、幹部ポスト全体を再整理することといたしております。

 第三に、課長以下の一般職の給与体系についても、抜本的な改革を早急に実行する必要があります。

 給与体系全体の改革を実行しない限り、総人件費改革はできません。民主党がマニフェストで掲げた国家公務員人件費の二割削減など、全くの絵そらごとであります。

 このため、我々の法案では、今年中に、給与制度の抜本的な見直しを行い、法制上の措置を講ずることを定めております。

 第四に、天下りについて、まず、いわゆる裏下りを根絶するため、あっせん禁止違反に刑事罰を科すこととしております。

 また、官民人材交流センターが従来行ってきた再就職あっせんは、分限免職時を含めて直ちに廃止し、センターは、給与体系の抜本見直しとあわせて廃止することといたしております。

 以上のように、我々の提案する法案は、正しい政治主導を確立しようとするものであり、正しい政治主導とは、真に国家国民のために働いてくれる、やる気と活力と能力のある霞が関の実現ということでもあります。この法案は、そのための幹部制度、内閣人事局の仕組みなどを構築し、天下りの根絶も本当に実現するための制度を定めるものであります。

 議員諸氏におかれては、政府案と我々の提出した法案で、どちらが真に改革を実現しようとするものであるかを真摯に御検討いただき、我々の提出した法案に御賛同賜ることを強くお願い申し上げて、私の趣旨説明を終わります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

     ――――◇―――――

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに国家公務員法等の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出)及び幹部国家公務員法案(塩崎恭久君外四名提出)の趣旨説明に対する質疑

副議長(衛藤征士郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。後藤祐一君。

    〔後藤祐一君登壇〕

後藤祐一君 民主党の後藤祐一でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま内閣から提出されました国家公務員法改正案に対し、質問をいたします。(拍手)

 古来より、世界じゅうどの国においても、国民の望む政治を実現するために公務員にどのように働いていただくか、つまり、公務員制度は大変頭の痛い問題でありました。

 我が国においても、公務員制度にまつわる問題として、まず第一に、国民の声が届かないところで官僚が勝手に決めているんではないかという官僚主導の問題、第二に、省益あって国益なしという縦割り行政の問題、第三に、天下り問題という、三つの問題がずっと解決できませんでした。

 今回の法案は、この三つの問題の根絶を図る歴史的な法案であります。仙谷公務員制度改革担当大臣、戦後半世紀以上にわたり、官僚主導、縦割り、天下りといった公務員制度をめぐる問題をなぜ我が国は解決できなかったのか、そして今なぜ解決に向かうことができるのか、この法案の歴史的意義を御説明ください。

 次に、本法案の第一のポイントである幹部人事の一元化、つまり、部長以上クラス約六百ポストの人事を内閣人事局が決めることについて質問いたします。

 人事は組織管理の要諦であり、特に官僚は人事で動くものであります。人事権の濫用は避けつつも、余りに大臣の言うことを聞かないと局長から部長に格下げするぞ、そんなにらみをきかせながら、日々の政策決定において政治家の判断に官僚は従っていただく、これが幹部人事一元化の本質ではないでしょうか。

 内閣人事局における幹部人事の運用において、恣意的人事を避けつつ政治主導を実現するとの観点から、次官から局長あるいは局長から部長といった格下げ人事を具体的にどのように行っていくか、仙谷大臣、御答弁願います。

 幹部人事一元化の目的としては、以上のような政治主導の実現に加え、縦割り行政の是正があります。

 うちの省といった言い方が、いまだに公務員の間にまかり通っております。例えば、幼稚園と保育園が一体化できずに文部科学省と厚生労働省が権限争いしている、その傍らで、日本全国では約四万人の待機児童を抱えた御家庭が困っているわけであります。

 こういった問題は、内閣人事局主導の幹部人事で解決できる部分があるはずです。文部科学省の幼稚園担当部局と厚生労働省の保育園担当部局と、局長から中間管理職までごっそりチームごと入れかえたら問題解決に向かうんじゃないでしょうか。外交政策と通商政策、あるいは総務省と経済産業省にまたがるIT政策など、幾つかの組み合わせが考えられると考えます。

 また、省益官僚ではなくて国益官僚を育てるためには、同じ省や同じ局でずっと昇進していくのではなくて、他省庁や内閣周辺との間を行ったり来たりすることが必要ではないでしょうか。特定分野の専門性の高い官僚を育てることももちろん必要ですが、例えば、先ほど申し上げたような、幼保一体化を実現するために局長から部長までチームごと交換するなど、縦割りをなくすために幹部人事を積極的に内閣人事局主導で決めていくべきと考えますが、仙谷大臣に御答弁願います。

 三つ目の問題は、天下り問題であります。

 天下りは長年問題とされてきましたが、その都度、その場しのぎの対応策が繰り返されてまいりました。これに対し、本法案では、年間約三千人とも言われる天下りのあっせんを明確に禁止する、まさに天下り禁止法とも言うべき画期的な法案であります。

 仙谷大臣、天下り問題について、前政権までの対応の甘さを明らかにされた上で、本法案により本当に天下り問題はなくなるんだという決意をお示しください。

 天下り規制を強化しても、抜け道が残っていては仕方がありません。例えば、役所の現役幹部があっせんはしていなくても、先輩OBが後輩を呼び寄せるような、そんな天下りはこの法律で直接禁止することはできません。しかし、何代にもわたって同じ省のOBが行っているような、天下りの指定席化しているような場合、たとえ直接的なあっせんがなくても、あっせんがあったとみなし、指定席への天下りを禁止すべきではないでしょうか。

 今国会冒頭の施政方針演説において、鳩山総理は、「裏下りとやゆされる事実上の天下りあっせん慣行にも監視の目を光らせて、国民の疑念を解消します。」と述べられました。

 あっせん禁止に該当しないような呼び寄せ型天下り、特に、独立行政法人や公益法人の役員に同じ省庁出身者が五代連続で行っているような指定席に六代目は行かせないといった厳しい対応が必要と考えますが、本法案で直接できない天下りに対する対応について、仙谷大臣に御答弁いただきたいと思います。

 天下りができなくなって定年まで役所にいる人がふえると、見かけの公務員総人件費は膨らみかねません。しかし、独立行政法人や公益法人などへの天下りあっせんが禁止されると、秘書、車、不要な調査費といった、天下りに伴う無駄な支出は必ず減るはずです。差し引きすれば、税金からの支出はむしろ減ると考えられます。

 それまで天下りとして外に出していた人数を役所の中で抱えるために高齢スタッフ職ポストをつくりたければ、各省が、天下りに伴う税金の無駄遣いをみずから公益法人や独立行政法人の中から探し出して、財源に充てていく。菅財務大臣の主張される、いわゆるペイ・アズ・ユー・ゴー原則に極めて合致しているとも思われます。

 高齢スタッフ職をふやしていく場合の財源について、今申し上げた天下り関連経費を各省に自発的に探させて捻出していくことの是非も含め、菅財務大臣から御答弁願います。

 また、この四月から行われる事業仕分け第二弾も、この観点からぜひ天下りに伴って無駄な事業を行っていないか厳しくチェックをしていただきたいと存じますが、独立行政法人や公益法人の事業仕分けとこれらへの天下りの関係について、枝野行政刷新担当大臣から御答弁願います。

 また、高齢公務員をそのまま役所で抱えると、総定員に上限があるため、一部では新規採用を四割から五割削減しないと回らないといった試算もあるようでございます。

 しかしながら、民間企業の場合を考えてください。売り上げや利益が落ちれば、まずボーナスや残業がカットされます。次に、採用抑制、早期退職募集へ進む場合が多いと思われます。経営者は会社を何とか残すため、苦渋の決断が迫られるわけであります。

 翻って我が国政府は、売り上げ三十七兆円、支出九十二兆円、借金八百六十二兆円という大リストラ待ったなしの会社であります。にもかかわらず、ここ五年間の合計で五・七%しか定員は減っておりません。しかも、国から独立行政法人に移ったというごまかしを除けば、実質二・九%減にすぎないわけであります。

 危機感が足りないんじゃないでしょうか。私は、新規採用の半減もやむなしと考えます。高齢の公務員を役所で抱えることになった場合の採用削減の是非について、仙谷大臣のお考えをお示しください。

 我が党は、国家公務員の総人件費二割カットを約束しております。しかし、この二割の中には、地方分権推進に伴う地方移管を含めるとされています。しかし、これでは、結局どこかの税金から人件費が支払われる点で実質カットとは言えません。

 リストラ待ったなしの企業の財務担当役員である菅財務大臣と労務担当役員である仙谷大臣、地方へ移すという甘い手法ではなく、必要な人員削減を行い、足りない分は給与カットにしっかり踏み込むことにより、総人件費二割カットを実現する強い意欲をお示しいただけますでしょうか。

 本法案成立後に残る大きな課題として、現在制限されている公務員の労働基本権の問題があります。健全な労使関係を構築するためにも、また給与カットを本当に実現しようとするならば、労働基本権を公務員の手に戻すべきだと考えます。

 労働基本権のあり方について、争議権、いわゆるスト権まで対象にするのか、今後の検討体制のあり方、次の国家公務員法改正案の提出時期、総人件費二割カットとの関係も含め、仙谷大臣に御答弁願います。

 税金を納めている国民は、最小の費用で最大の効果をもたらす行政サービスを望んでいます。これを提供していただくためには、公務員がやる気になるマネジメントが必要です。私自身が経済産業省で働いていたときの経験からすると、役所は民間企業に比べ、職員のやる気をうまく引き出せていないと痛感しております。

 仙谷大臣、個々の公務員の能力を最大限発揮させることにもっと重点を置くべきではないでしょうか。その観点から、政府における人事評価制度の現状と今後のあり方についてのお考えをお聞かせください。

 最後に、公務員制度改革は何のために行うのでしょうか。人件費をできるだけ抑制しつつ、国民に対しよい行政サービスを提供する、つまり、国民のための行政を取り戻すためではないでしょうか。そのため、我々政治家は、与野党の対立を乗り越えて、持続的にこの改革を続けていかなくてはなりません。二年前には、国家公務員制度改革基本法案が与野党の協力の上で成立し、ある程度の前進がありました。今回の法案の成立により、官僚主導、縦割り、天下りといった問題と我々はようやく決別することになります。

 今後、総人件費の二割カットを断行しなければなりません。我々政治家も、議員定数を減らすなど、しっかりと血を流し、お金持ちにも身を削っていただく、政治家、公務員、お金持ちが皆流すべき血を流して、それでもお金が足りなければ、消費税増税の議論を真っ正面から行う、そして、安心できる年金、医療、介護、子育てを保障していく、これこそ国民が鳩山政権に求めていることだと私は考えます。その最初のドミノを倒すのは天下り禁止であります。

 本法案の速やかな成立を願って、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣仙谷由人君登壇〕

国務大臣(仙谷由人君) 本法案の歴史的意義についての御質問がございました。

 本法案は、何よりも、縦割り行政の弊害を打破する、そして官邸主導で適材適所の人材登用を行う、そのために幹部職員人事の一元管理を実現するとともに、天下りあっせん根絶の方針のもとに、組織の改廃等により離職を余儀なくされる職員を除き、再就職の援助を行わないとすることでありまして、まさに、政権交代が実現し、今、後藤議員が述べられた、国民に感謝される公務員、そして生き生きと国民のために働く公務員を、政治主導を進める中でこそ可能になった、そういう公務員体制をつくる、歴史的な意義があると考えております。

 今回の法案は公務員制度改革の第一歩でございまして、引き続き、労働基本権のあり方や定年まで勤務できる環境整備など、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を強力に進めてまいりたいと考えております。

 幹部人事の運用についてのお尋ねがございました。

 社会経済の変化に対応して、複雑多様化する行政課題に迅速かつ果断に取り組んで、省益を超えた国民本位の行政を実現するためには、官邸主導での適材適所の人事配置を柔軟に行っていくことが必要であります。

 このため、今回の法案におきましては、幹部職員人事の内閣一元管理や幹部職員人事の弾力化の仕組みを導入いたしまして、内閣総理大臣、内閣官房長官及び各任命権者が協議の上、適材適所の人事を行うこととするものであります。

 人事は組織運営の要諦であることは、皆様方も御承知のとおりであります。持てる人材を有効に活用することによって、組織として国民の期待にこたえる成果を上げていくことが肝要であると考えております。

 具体的な人事については、重要課題への対応の必要性、組織全体の士気の維持向上などについても十分考慮の上行われるものであり、恣意的な人事は許されないと考えております。

 縦割りをなくすために、幹部人事を積極的に内閣人事局主導で決めていくべきだとのお尋ねがございました。

 縦割り行政の弊害を排除するためには、幹部職員には、高い専門性を持ちつつ、国民全体の奉仕者として、より大局的な視野から職務を遂行していくことが求められると考えるところでございます。

 このため、本法案におきましては、内閣人事局を設置し、幹部職員人事の一元管理を行う仕組みを法定しているところでございまして、この仕組みを十分に活用して、官邸主導で府省横断的な幹部人事を積極的に行っていく所存であります。

 今回の法案によって天下り問題の根絶をするという決意についての御質問がございました。

 公務員の再就職に関する現内閣前の対応は、各府省の人事当局によるあっせんは禁止しても、官民人材交流センターによるあっせんはこれを認めて、このようなあっせんに移行したものでございまして、天下りのあっせんを引き続き行っていたものであります。再就職等規制違反行為の監視については、規制の脱法的な行為等への対応が十分でないといった問題がございました。これは事実の示すところでございます。

 これに対して、現内閣では、天下りのあっせんの根絶を図るため、組織の改廃等により離職せざるを得ない場合を除いて、府省庁によるあっせんを直ちに禁止し、さらに、今般の国家公務員法等の一部を改正する法律案におきまして、官民人材交流センターを廃止し、新設する民間人材登用・再就職適正化センターにおきましては、官民人材交流センターが行っていたような職員に対する一般的な再就職の援助は行わない、さらに、新たなセンターのもとに、中立公正の立場で独立して職権を行使する第三者機関であります再就職等監視・適正化委員会を置き、同委員会に再就職等規制の遵守に関する指導助言の権限を付与する等、監視機能の強化を図ることといたしております。

 これらの措置によって、天下りあっせんを根絶し、国家公務員の退職管理の一層の適正化を図ることとしております。

 いわゆる指定席ポストへの対応についての御質問がございました。

 同一府省庁出身者が何代にもわたって特定の団体等のポストに再就職している実態につきましては、これまでも総務省において調査を実施、公表してきたところでございます。いわゆる五代連続ポスト等の調査でございます。実施、公表を総務省においてしてきたところでありますが、現在、総務省において、所管関係、国からの金銭交付及び退職事由等も含め、改めて調査を実施しているところであります。

 この調査結果を踏まえ、必要に応じて、当該府省庁の当該団体等に対する行政上の権限、契約、補助金等の関係及び当該再就職の経緯についてさらなる精査を進めて、現職職員による情報提供が疑われる場合などあっせん規制等に違反する疑いがある場合には、改正国家公務員法により新設される再就職等監視・適正化委員会による調査を行い、違反行為の事実が確認されれば、懲戒処分等の措置を任命権者に勧告いたします。

 また、脱法的行為の是正や規制等の適切な運用確保のために必要な措置については、新委員会の権限でございます再就職等規制の遵守に関する指導助言により、任命権者に必要な指導等を行います。

 また、これに加えて、独立行政法人等につきましては、「独立行政法人等の役員人事に関する当面の対応方針について」、平成二十一年九月二十九日の閣議決定でございますが、この閣議決定に基づいて、役員ポストを公募して後任者を選考することにより、公正で透明な人事を確保することとしたほか、「独立行政法人の抜本的な見直しについて」、これは平成二十一年十二月二十五日の閣議決定でございますが、この閣議決定によって抜本的な見直しを行う中で是正を進めます。

 公益法人につきましては、「政府関連公益法人の徹底的な見直しについて」、二十一年十二月二十五日の閣議決定によりまして、必要性、有効性、効率性などの観点から、事務事業の徹底的な見直しが行われる中で是正を進めます。

 以上のような対応によりまして、いわゆる指定席ポストについても適正化を進めてまいりたいと考えております。

 高齢の公務員を役所で抱えることになった場合の採用削減の是非についてのお尋ねがございました。

 鳩山内閣におきましては、天下り、わたりのあっせんを根絶するとともに、あわせて、公務員が天下りをせず定年まで勤務できる環境を整備するなど、公務員制度の抜本的改革についても鋭意検討しているところであります。

 その際には、新規採用への影響についても留意しつつ、その具体的なあり方を検討することといたしております。

 総人件費二割削減についてのお尋ねがございました。

 民主党マニフェストに示された国家公務員の総人件費を二割削減するという目標につきましては、地方分権の推進に伴う地方移管のみならず、各種手当、退職金等の水準や定員の見直し、労使交渉を通じた給与改定など、さまざまな手法により、四年間かけて、平成二十五年度に達成するよう努力することといたしているところでございまして、定員の見直しや給与の見直しについても適切に取り組んでまいりたいと考えております。

 労働基本権のあり方についての御質問がありました。

 労働基本権のあり方については、争議権を付与するかどうかも含め、幅広い観点から検討してまいります。

 今後、本法案により設置される内閣人事局において、政治主導のもと、さらに具体的な検討を進め、法案については、国家公務員制度改革基本法第四条の規定を踏まえ、施行後三年以内、平成二十三年六月でありますが、これまでには提出できるように努力をしてまいります。

 民主党マニフェストに示された国家公務員の総人件費を二割削減という目標につきましては、先ほどお答えしたとおりでございまして、平成二十五年度までに達成するよう努力することといたしております。

 具体的な削減の方法及びスケジュールについては今後検討してまいりますが、この二割削減目標については、必ず皆さん方の御協力をいただいてやり抜いてまいる決意でございます。

 人事評価制度についてのお尋ねがございました。

 能力・実績主義の導入を内容とする改正国家公務員法、平成十九年七月に成立をして、昨年の四月に施行されたこの改正国家公務員法に基づく新たな人事評価制度を現在全府省で実施をしております。

 この制度による人事評価は、職員が発揮した能力を評価する能力評価と職員が上げた業績を評価する業績評価により行います。

 今後とも、人事評価制度の的確な実施や人事評価に基づく適材適所の人事運用の徹底などを通じて、個々の職員の能力が最大限発揮されるよう努めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣菅直人君登壇〕

国務大臣(菅直人君) 後藤祐一議員の、みずからの体験も踏まえた、提案を含めた御質問にお答えしたいと思います。

 まず、天下りについてでありますが、御指摘のとおり、天下りの場合には、秘書とか車ということもありますし、さらに言えば、その団体に過大な利益を確保させるために、談合とかあるいは随契による過大な費用がそこにかかっていると承知をいたしております。

 そういった意味で、この分をしっかり削減することによって、それにかかる、定年まで役所にいることによってふえる見かけの公務員の人件費を賄うことは、いろいろな工夫をすれば十分可能だと私も思っております。そういう場合、各省庁にみずからそのことをさせたらどうかという考え方、ペイ・アズ・ユー・ゴーの考え方、ぜひそういうやり方も含めて積極的に取り組んでいきたい、このように思っております。

 また、総人件費二割削減の目標については、既に仙谷担当大臣からお話がありましたが、二十二年度予算においては、前年度より千四百億円人件費を減少させて、五兆一千七百九十五億円となっているところであります。

 この目標については、地方分権の推進によって、財源や仕事と同時に人材も地方に移ってもらうことも十分考えられますし、また、公務員の待遇のあり方についても、労使交渉を通じた給与改定などを通して適正なものにしていく、こういったさまざまの手法を講じて、当該目標について、四年間の間にぜひ実現をするため努力をしたい、実現を目指したい、このように考えております。(拍手)

    〔国務大臣枝野幸男君登壇〕

国務大臣(枝野幸男君) 後藤議員にお答えをいたします。

 御質問は、事業仕分けと天下りとの関係についてということでございました。

 先ほど来の答弁のとおり、いわゆるあっせんによる天下りはこの法律の制定によってなくなるわけでありますが、広い意味での天下りとでもいいましょうか、あっせんを伴わないような幹部官僚などの再就職については、四月末から行います事業仕分けの第二弾においても、特に独立行政法人、政府系公益法人を取り上げる上で大きなポイントであるというふうに考えております。

 事業そのものの無駄を直接チェックすると同時に、天下り受け入れ先を確保するために無駄な事業や無駄な組織がつくられ、あるいは続いてきたのではないかという強い疑いの目を持ちながら事業仕分けを実施してまいりたいというふうに思っております。

 そもそも、独立行政法人や政府系の公益法人に仕事を委託等している、いわばアウトソーシングをしているのは、行政とは異なった運営や視点が重要であるから、必要であるからであります。にもかかわらず、その役員等に公務員出身者が不可欠であるとされてきた従来の論法は、一種の論理矛盾をはらんでいるというふうに思っております。アウトソーシングする以上は、役所の人とは違う視点でやっていただくということに意味があるというふうに思います。

 さらに、どうしても一定の行政との関係が不可欠であるならば、むしろ現職出向を柔軟に活用する方が、例えば現在のような退職金の二重取りというような問題も生じずに、経費的に効率的であります。

 事業仕分け第二弾では、こうした視点で大胆に独立行政法人や政府系公益法人の行っている事業に切り込むとともに、その結果をこれらの抜本改革につなげてまいる決意でございます。

 さらには、仙谷大臣と連携をいたしまして、ここでの事業仕分けの結果を踏まえた中身を、公務員制度のさらなる抜本改革へとつなげてまいる決意でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 平井たくや君。

    〔平井たくや君登壇〕

平井たくや君 自由民主党の平井たくやです。

 私は、ただいま議題となりました、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案、及び自由民主党・改革クラブ、みんなの党提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案及び幹部国家公務員法に対して質問をいたします。(拍手)

 まず、今回、鳩山内閣が提出した法案は、国民に対する裏切り法案だと断じざるを得ません。天下りの根絶、国家公務員人件費二割削減、政治主導の確立など、昨年の選挙前、民主党が高らかに唱えたことは、すべて選挙目的の、口から出任せだったということになります。

 また、先ほど仙谷大臣の答弁を聞いておりまして、全くやる気が伝わらない。官僚の原稿を棒読み、これでは、民主党が今まで掲げてきた公務員制度にかける意欲みたいなものがにじみ出てきません。お疲れだとは思いますが、これから委員会もたっぷり始まりますので、仙谷大臣には、自分のお言葉で自分の理念を気合いを入れて答えていただくよう、お願いをさせていただきたいと思います。

 まず、天下りの根絶について伺います。

 民主党は、かつて、自民党が提案していた官民人材交流センターのことを天下りバンクと呼び、役人も、民間人と同様、ハローワークに行けばよい、官民人材交流センターで再就職あっせんを行うのは役人の特別扱いと、強く批判してきました。

 ところが、政権をとった後は、方針を完全に転換しました。

 昨年、社会保険庁を廃止した際は、何と、懲戒処分を受けたことを理由に行き先のなくなっている職員らに対し、官民人材交流センターで再就職あっせんを行ったと聞きます。恐らく国民は、懲戒処分を受けたような職員が、なぜセンターで特別扱いを受け、次の仕事を探してもらえるのか、全く理解できないはずです。

 平野官房長官、社保庁の廃止に伴って、一体何人の職員に官民人材交流センターで再就職あっせんを行ったのですか。また、なぜハローワークに行かせず、特別扱いをしたのですか。お答えいただきたいと思います。

 今回の法案を見ると、官民人材交流センターを、民間人材登用・再就職適正化センターと名称を変え、実質的には温存したことになります。しかも、分限免職の場合に限定するとはいえ、再就職あっせんを引き続き行うことになっています。

 仙谷大臣、なぜ、再就職あっせんを行うセンターを温存する、すなわち、かつての民主党の言葉で言えば、天下りバンクを維持する方向に転換したのですか。明確にお答えをください。

 この点、自民党・改革クラブ、みんなの党の法案では、センターは、あくまで過渡的な組織と位置づけ、一定期間後に「廃止する」と法律で明記しています。いつまでにセンターは廃止するのか、法案提出者に伺います。

 ことし一月に行った鳩山総理の施政方針演説では、裏下りとやゆされる事実上の天下り慣行にも監視の目を光らせ、国民の疑念を解消しますと宣言しました。裏下りとは、表向きは、役所はあっせんしていないと言いつつ、裏で役所が決めているような天下り人事のことです。まさに、総理の言葉のとおり実行して、今すぐ疑念を払拭すべきではないですか。

 仙谷大臣、ことし一月の施政方針演説以来、裏下りをなくすために、どんな方策を講じましたか。何件の裏下りを見つけて、やめさせましたか。また、今回の法案で、どうやって裏下りを根絶するのですか。お答えください。

 一方、自民党・改革クラブ、みんなの党の法案では、裏下りについて、どのような措置を講じていますか。法案提出者にお伺いいたします。

 民主党が、天下りに関してもう一つ、従来強く主張していたのが、早期退職勧奨、いわゆる肩たたきの禁止でした。

 民主党が野党時代には、早期退職勧奨の禁止を柱とする天下り根絶法案を国会に提出しました。また、この本会議の場で、馬淵澄夫議員は、天下りに対する解決策としては、いわゆる肩たたき、早期退職勧奨制度の廃止こそが現実的かつ根絶の切り札と主張されておりました。

 ところが、今回の法案では、天下り根絶の切り札だったはずの早期退職勧奨の禁止は、全く出てきません。それどころか、仙谷国家戦略担当大臣や前原国土交通大臣など閣僚の中から、早期退職勧奨はやらざるを得ないとの発言も聞こえてきました。

 そして、みんなの党の山内康一議員の質問主意書への答弁によれば、これまで既に、鳩山内閣発足から今月十二日までの間に、中央省庁の課長級以上の公務員八十三人が退職勧奨に応じていたそうです。

 つまり、民主党政権は、早期退職勧奨の禁止という従来の方針を、国会に対しても、国民に対しても、何ら説明をしないままに、いつの間にか撤回し、早期退職勧奨を実行していたことになります。

 仙谷大臣、早期退職勧奨を継続するという方針は、いつ決定したのですか。なぜ従来の方針を変えたのですか。お答えをいただきたいと思います。

 また、民主党のマニフェストでは、国家公務員人件費二割削減も掲げていました。

 ところが、鳩山内閣では、このままでは人件費は逆に二割増になるという試算を出したまま、今回の政府提出法案でも、何の方策も盛り込まれていません。人件費を下げるためには、給与を下げ、職員の数を減らすしかありません。

 仙谷大臣、給与は、いつまでに、どれだけ減らすのか。今回の法案で、なぜ給与法改正は入っていないのですか。明確にお答えをいただきたい。

 一方、自民党・改革クラブ、みんなの党の法案では給与制度に関する規定を置いていますが、その考え方について、法案提出者に伺います。

 次に、幹部の人事制度について伺います。

 政府提出法案では、事務次官から部長、審議官までの幹部を同一職制上の段階とみなすという新たな規定が設けられています。一方、事務次官というポストそのものは、そのまま残すことになっています。

 昨年末、仙谷大臣は、事務次官ポストの廃止をテーマに掲げていました。今後は、政治主導で、政務三役で政策を決定するのだから、事務方トップなどというポストは不要と主張されていたはずであります。

 仙谷大臣、事務次官の廃止は、なぜ今回の法案に盛り込まなかったのでしょうか。やはり事務方トップは必要と考え直したのでしょうか。

 一方、自民党・改革クラブ、みんなの党の法案では、どのように考えていますか。法案提出者に伺います。

 また、この同一職制上の段階とみなすという規定によって、例えば、局長や部長を課長に降格する、つまり、幹部から外す人事はできますか。もし幹部から外す人事ができないのであれば、逆に、優秀な若手や民間人を抜てき登用することもできなくなってしまうのではありませんか。仙谷大臣、明確にお答えください。

 また、政府提出法案では、幹部を一般職にとどめています。これはどういうことでしょうか。

 昨年、麻生内閣が法案を提出した際、民主党行政改革調査会の松本剛明会長は、幹部職制度が、新たな制度ではなく、従来の一般職公務員制度の枠内にとどまっており、国家公務員制度改革基本法の趣旨に照らして完全に骨抜きにされているという談話を正式に公表しています。

 松本議員は、衆議院内閣委員会の場でも、一般職にとどめたままでは政権のニーズにこたえる人材の確保はできない、区分して新たな制度を設けるべきと主張していたはずです。

 仙谷大臣、なぜ、かくも安易に、かつての民主党の主張を捨て去り、基本法の骨抜きをしてしまったのですか。お答えください。

 一方、自民党・改革クラブ、みんなの党の法案では、幹部を一般職とは別扱いにする幹部公務員法案を定めることとしています。この法案の考え方について、法案提出者に伺います。

 次に、内閣人事局について伺います。

 内閣人事局を設け、官僚の人事を内閣主導で一元管理することは、政治主導確立の核心です。国家公務員制度改革基本法以来、強力な政府全体の人事部をつくることが課題であり、基本法施行後一年以内に、総務省、人事院その他の機関の機能を移管して内閣人事局をつくると規定していました。

 ところが、今回の政府提出法案では、総務省、人事院などの機能を内閣に一切移管していません。しかも、基本法違反を逃れるため、基本法そのものを改正し、総務省、人事院などからの機能移管は三年以内に実施すればいいようにしています。

 仙谷大臣、国家公務員制度改革基本法は、与野党を超えた修正協議の上、民主党も賛成して成立した法律です。基本法の定めるプログラムに従って改革を進めるのが、政府の責務です。その責務を果たさず、それどころか、勝手に、プログラムそのものを先送りするための基本法改正案を提出していることは、国会と内閣の役割をわきまえない、暴挙ではありませんか。

 今回の政府提出法案のうち、少なくとも国家公務員制度改革基本法の改正に係る部分は、この場で直ちに撤回していただきたい。撤回できないなら、その理由を明確にお答えいただきたい。

 以上のように、政府提出法案は、かつて民主党が唱えていた天下りの根絶、政治主導の確立などとは全く逆行し、かつて与野党で合意したはずの国家公務員制度改革基本法さえねじ曲げ、改革を阻止しようとする内容です。

 政府の言いわけは、今回の改革はあくまでも二段ロケットの一段目、二段目は公務員の労働基本権拡大とセットで抜本的な改革をやるというものでありましょう。しかし、いつか抜本的な改革をやるというのは、改革を阻止しようとする人の常套句であります。

 仙谷大臣、労働基本権について、なぜ今国会で法案を出さなかったのですか。今国会でやらないなら、いつやるのですか。明確にお答えください。

 政府提出法案は、なぜここまでひどい内容になってしまったのですか。その理由として考えられるのは、公務員の構成する労働組合からの圧力に屈したのではないかということであります。

 これは、単なる憶測ではありません。

 民放のテレビ番組で、連合の古賀代表が、今回の政府提出法案に関し、法案について、松井、仙谷、いや、松井さん、仙谷大臣とも話している、我々の意向を最大限尊重した法案になっていると語っている映像が流れました。

 連合の代表が、大臣と官房副長官の名をつい呼び捨てにし、慌てて敬称をつけて言い直す様子は、民主党政権の裏側、つまり、内閣と労働組合との上下関係でどちらが上位者なのか、如実にあらわす異様な光景と映りました。

 仙谷大臣、労働組合とどのような協議をしたのか、どのような要望あるいは指示を受けて、法案にどのように反映したのか、詳細は委員会の質疑の中でこれからじっくり伺いますが、ここでは、こうした労働組合との間の公式、非公式の協議、意思決定のプロセスについて、一切隠し立てすることなく、全面公開することを約束していただきたい。意思決定プロセスの透明化を訴え続けてきた民主党政権が、よもや全面公開に留保をつけることはないと思いますが、念のために確認をさせていただきます。

 連合の古賀会長は、ちょうど一年ほど前、麻生内閣が内閣人事局設置などに関する法案を提出した際に、このような談話を出していました。「公務員制度は基盤的行政であり、政権が交代しても安定的に機能する必要があり、与野党が協議を尽くして国民的合意形成を図る必要がある。」

 これは、まさに正論であり、今回の法案にもそのまま当てはまります。民主党の方針を実質的に左右する立場にある労働組合の方々は、よもや、民主党が与党になった途端、協議や国民的合意はどうでもよいので法案を成立させてほしいとは言わないでしょう。

 議場にいる議員各位が、まさに、こうした考え方に基づいて、国民の負託を受けた国会議員としての原点に立ち返って、与野党の立場を超えて徹底的に議論を尽くされることを願って、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣仙谷由人君登壇〕

国務大臣(仙谷由人君) 平井たくや議員から御質問がございました。

 天下りバンクを維持する方針に転換したのかという質問でございました。

 官民人材交流センターにつきましては、勧奨退職を含めて、すべてを支援対象としていたところでございまして、私どもは、これを天下りバンクと批判していたところでございます。

 鳩山内閣におきましては、再就職のあっせんは、原則行わないことにしているところでございます。今回提出した国家公務員法改正案において、官民人材交流センターも廃止することといたしております。

 新たに設置する民間人材登用・再就職適正化センターは、再就職規制の違反行為の監視等を行うものでございまして、再就職のあっせんは、組織の改廃等に伴い離職せざるを得ない場合に限って行うことといたしております。

 私どもは、自民党の皆さん方のように、切り捨て御免、首切りを平気でやるような法理論ではございません。民間企業においても、整理解雇を行う場合に解雇を回避する努力義務があることとされているのは、確立された判例でございます。

 民間人材登用・再就職適正化センターが再就職支援を行うのは、民間の整理解雇に当たる、国家公務員法第七十八条第四号に掲げる、組織の改廃等による分限免職の場合のみであります。このような場合に分限免職回避の努力の一環としてセンターが再就職支援を行うことはやむを得ないものでありまして、御指摘のような方針転換を行ったものではありません。もう少し近代労働法をよく御勉強なさった方がよかろうかと思います。

 いわゆる裏下りへの対応についてお尋ねがありました。

 府省庁によるあっせんの有無にかかわらず、特定の民間企業、団体等との癒着や行政の無駄などの原因となるような職員の再就職については、国民の厳しい批判があるものと考えております。政府としても、そのような再就職は極めて問題が大きいと考えております。

 府省庁によるあっせんの事実は確認されていないものの、事実上の天下りあっせん慣行があるのではないかとの疑念を抱かせるような退職した公務員の再就職についても、厳格な監視を行い、国民の疑念を解消する必要があると考えております。

 現内閣におきましては、府省庁によるあっせんを禁止、国家公務員出身者が役員または職員等に在籍する公益法人等について国民的な視点から徹底的に見直す、独立行政法人について、公務員OBが役員に就任しているポスト等について公募により後任者の選考を行うこととしました。そのほか、国民的視点から、独立行政法人の役員については抜本的に見直します。現職職員による情報提供が疑われる場合などあっせん規制等に違反する疑いがある場合には、新設される再就職等監視・適正化委員会において調査等を行い、懲戒処分等の措置の勧告や、脱法的行為の是正や規制等の適切な運用確保の指導等を行うこととしております。

 早期退職勧奨についてのお尋ねもございました。

 鳩山内閣におきましては、天下り、わたりのあっせんを根絶することといたしておりまして、あっせんを伴う退職勧奨は、組織の改廃等に伴い離職せざるを得ない場合を除いて、既に禁止をしているところでございます。

 天下りあっせんの根絶とあわせて、公務員が天下りをせずに定年まで勤務できる環境を整備するなど、公務員制度の抜本的改革についても鋭意検討しているところでございます。

 その際、職員のやる気を生み出していくために、横異動により、ポストをあけてもらう、そういう人事を活性化していくことにも留意する必要があると考えております。

 それから、総人件費二割削減についてのお尋ねがございました。

 民主党マニフェストに示された国家公務員の総人件費を二割削減という目標につきましては、地方分権推進に伴う地方移管のみならず、各種手当、退職金等の水準や定員の見直し、労使交渉を通じた給与改定など、さまざまな手法により、四年間かけて達成するよう努力することといたしているところでありまして、給与の見直しについても、適切に取り組んでまいりたいと考えております。

 事務次官の廃止についてお尋ねがございました。

 今回の法案におきましては、幹部職員について適材適所人事を柔軟に行えるようにするため、事務次官級、局長級及び部長級の官職につきまして、任用上の位置づけを同じとする等の措置を盛り込んでいるところでございます。

 こうした幹部職員の任用に関する制度の創設の趣旨を踏まえつつ、議院内閣制のもと、国家公務員がその役割をより適切に果たす体制を整備する観点から、事務次官その他の幹部職員の位置づけ及び役割についてこれからも検討することにしておりまして、その旨を今回の法案の附則に明記いたしたところでございます。

 局長や部長を課長に降格する人事についてのお尋ねがありました。

 現行の国家公務員法において、勤務実績が不良であれば、当然、課長級への降任も可能となっております。また、今回の法案では、適格性審査の仕組みを導入することとしておりまして、適格性審査に合格しなかった場合は、幹部職員の降任の事由に該当するものであります。

 今回の法案において、適材適所の人事を柔軟に行えるようにするため、事務次官級、局長級、部長級の官職を同一の職制上の段階に属するとみなすこととしており、これにより、転任により異動させることができる範囲が広がることとなるところであります。

 また、その範囲内においても、定年退職する職員や再就職のあっせんを受けることなく退職する職員が見込まれるところでございます。

 こうしたことを踏まえれば、人事運用上の工夫により御指摘のような抜てき登用を行うことは可能であると考えております。

 本法案において、幹部職員を一般職の国家公務員と位置づけていることについてのお尋ねがございました。

 今回の法案におきましては、一般職の国家公務員であることを前提に、事務次官級、局長級、部長級の官職は同一の職制上の段階に属するとみなすこととし、幹部職員人事の弾力化の仕組みを導入しているところであります。

 なお、国家公務員制度改革基本法には、幹部職員を特別職とする規定は置かれておりません。いずれにせよ、今後、幹部職員の位置づけについては、行政の専門性や中立性、公正性の確保のあり方も含め、政治主導の行政運営のもとでの政と官の役割分担のあり方等の観点から、十分に議論されることが必要だと考えております。

 国家公務員制度改革基本法の改正についてのお尋ねがございました。

 国公法等改正法案において基本法を改正することとしているのは、国公法等改正法案により措置されるもの以外の法制上の措置は、公務員の労働基本権のあり方を含む公務員制度の抜本的な改革の中で検討することが適当と考えておりまして、基本法の施行後三年以内を目途として講ずることとする必要があると判断したこと等によるものであります。

 今回の法案は、公務員制度改革の第一歩であります。新たに設置する内閣人事局において、政治主導により、引き続き、労働基本権のあり方や定年まで勤務できる環境整備など、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を強力に進めてまいります。

 労働基本権について、なぜ今国会で法案を出さなかったのかというお尋ねがございました。

 労働基本権に関する法案については、国家公務員制度改革基本法第四条の規定を踏まえて、施行後三年以内に提出できるように努力をしてまいります。

 なお、労働基本権のあり方については、今後、今国会に提出した法案により設置される内閣人事局において、政治主導のもと、さらに具体的な検討を進めてまいります。

 労働組合との協議についてお尋ねがございました。

 本法案の策定に当たりましては、連合、公務労協とさまざまなレベルで話し合いを行ってきております。また、全労連とも話し合いを行ってきたところでございますが、私自身は、まだ協議の衝に当たったことはございません。

 これまでも、政府は、公務員制度改革を進めるに当たって、透明性の確保に留意しつつ、関係者との率直な対話と調整という基本的な考え方に基づいて意見交換を行ってきたところでありまして、今後とも、こうした姿勢で取り組んでまいりたいと考えております。

 平井議員は、民主党あるいは私どもと労働組合の協議について、何かやみ取引でも行うかのような議論をされておりますが、そういう心配は決してなさらないようにお願いをしたいと思います。

 私自身がもし労働組合との協議の衝に当たることになりましたら、できる限りオープンに、できる限り公開のもとで協議を進めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣平野博文君登壇〕

国務大臣(平野博文君) 平井議員にお答えをいたします。

 先ほど仙谷大臣が御答弁された中に尽きるところが多うございますが、御質問でございますから、お答えをいたします。

 社会保険庁職員の再就職のあっせんについての御質問でございます。

 社会保険庁の廃止に伴い離職せざるを得ない者については、平成二十年七月の閣議決定において、官民人材交流センターの活用など、分限免職回避に向けてできる限りの努力を行うとされてきたところでございます。

 官民人材交流センターにおいては、昨年九月、総理の指示により、組織の改廃等により離職せざるを得ない場合を除き、再就職あっせんは行わない、このことをいたしてまいりました。

 旧社会保険庁職員の中には、もちろん、ハローワークの活用など、自助努力による求職活動を行った者もおられます。

 社会保険庁の廃止は組織の改廃に当たることから、閣議決定等を踏まえて、分限免職回避の努力の一環として、官民人材交流センターにおいても再就職のあっせんを行ったところであります。

 では、どれぐらいの方がそれによって就職しているか、こういう御質問でございますが、あっせんの結果として、旧社会保険庁職員については、交流センターの支援により、三月末現在で九十五人が再就職したところでございます。

 以上でございます。(拍手)

    〔西村康稔君登壇〕

西村康稔君 平井議員の質問にお答えをいたします。

 まず、官民人材交流センター、改正法案では民間人材登用・再就職適正化センターの扱いに関して、お答えをいたします。

 我々の法案では、民間人材登用・再就職適正化センターについては、給与制度の抜本改革を行った後に、その施行とあわせて、廃止することとしております。

 そもそも、安倍内閣時代に制定した天下り規制でなぜ官民人材交流センターを位置づけたかといえば、現行の給与体系、すなわち、給与をなかなか下げることができない現行制度のもとで、早期退職勧奨をやめるだけであれば、高い給料をもらう職員が役所に大量にたまり、人件費の爆発的な増大を招くからであります。こうした副作用を起こさないよう、軟着陸のために官民人材交流センターを設けたわけであります。

 ところが、当時の民主党は、こうした問題に全く気づこうとせず、ただ天下りバンクだと批判するばかりでありました。ところが、ようやく今ごろになってこの問題に気がつき、このまま天下りをやめたら人件費が二割ふえるという試算を出したり、鳩山内閣の閣僚は、やはり早期退職勧奨を続けざるを得ないなどと言い出しているわけであります。そんなことは最初からわかり切っていた話であります。

 天下りを根絶し、同時に、官僚機構の肥大化と人件費増大を招かないためにはどうしたらよいか。答えは、給与体系の抜本改革であります。

 安倍内閣で天下り規制を制定して以降、公務員制度改革は、既に次のステージに進んでおります。給与制度の改革を含め、改革の全体像を定める国家公務員制度改革基本法が制定されています。

 こうした中、センターの扱いも、次のステージに進むべきであります。すなわち、基本法に基づき、給与体系の抜本改革を実行し、それとあわせて、センターのサンセット廃止に踏み切るべき段階が来ているのです。

 しかしながら、鳩山内閣は、周回おくれ、三周も四周もおくれている状況であります。今ごろになって、やはり早期退職勧奨が必要などと言い出し、法案では、給与体系の改革には何ら手をつけようとせず、センターを恒久的に位置づけようとさえしています。

 これは、我々から見れば、安倍内閣のときに既に我々が到達していた地点を今ごろになって目指そうとしているような、改革を逆戻しする、歴史に逆行する内容と言わざるを得ません。政府案は、まさに後ろ向きの第一歩であります。

 次に、裏下りについてお答えをいたします。

 鳩山内閣発足後、いわゆる裏下り、つまり、表向きは、役所はあっせんしていないとかOBがあっせんしたとか言いながら、裏では役所があっせんするような事例が横行しています。

 例えば、昨年十一月、日本損害保険業協会副会長のポストに、財務省OBの後任として元国税庁長官が就任しました。このポストは、代々財務省OBの就任するいわゆる固定天下りポストですが、鳩山内閣は、OBのあっせんによるものとして容認してしまいました。

 どこが天下り根絶ですか。天下り天国復活ではないでしょうか。先ほどの仙谷大臣の御答弁でも、天下り根絶への決意や意欲はみじんも感じられません。

 OBのあっせんと言いつつ水面下で役所のあっせんが存在することは、霞が関ではいわば公然の秘密であります。数多くの固定天下りポストに切れ目なく省庁OBが就任し続けることは、OB個人がばらばらにあっせんをしていたのでは決して起こりません。霞が関では、よくOB人事という隠語が使われますが、要するに、役所が組織的に人事としてポストを割り当てているからこそ、こうしたことが起きるのであります。

 したがって、裏下りを根絶する方策は、あっせん禁止の実効性を高めることに尽きます。

 現行法では、あっせん禁止違反には役所内部の懲戒処分しか科せられませんでした。我々の法案では、鳩山内閣での裏下りの横行にかんがみ、さらに刑事罰を科すことにいたしております。刑事罰を科せば、抑止力は飛躍的に高まり、裏でこそこそあっせんするようなことをなくせます。逆に、こうした措置を講じない鳩山内閣の法案では、天下りの根絶は断じて不可能です。

 次に、給与制度についてお答えをいたします。

 現行の給与体系は、年功的要素が強く、とりわけ、高齢の職員の給与が下がらないことが問題であります。この給与体系を維持したままでは、人件費の削減はできません。民主党が昨年のマニフェストで掲げた国家公務員人件費二割削減など、到底できるわけがありません。先ほどの答弁でも、二十五年までに努力するとのことでありました。全く決意が感じられません。

 このため、我々の法案では、一般職の給与体系について、既に我々が行った公務員改革において設置した専門スタッフ職とあわせて、能力、実績に応じた処遇の徹底、高齢職員の給与抑制を図り、弾力的な制度となるよう、民間の制度を参考に、本年中に抜本的な見直しを行い、法制上の措置を講ずることといたしております。

 また、幹部職の給与体系については、幹部公務員法のもとで、一般職とは別体系とし、法施行後六カ月以内に、より弾力的な制度を構築することといたしております。

 こうした給与体系の抜本改革を進め、また、内閣人事局には総人件費管理の機能を持たせ、人件費管理を徹底して進めていく、これが我々の法案の考え方であります。(拍手)

    〔山内康一君登壇〕

山内康一君 平井議員の御質問に関し、まず、事務次官廃止についてお答えします。

 従来の事務次官とは、官僚主導体制を前提に、いわば実質的な省のトップとして位置づけられてきました。

 鳩山内閣においては、政治主導の確立のため、既に事務次官会議を廃止し、また、事務次官が行ってきた定例会見も廃止しました。政策の決定は、事務次官が中心になって行うのではなく、政務三役が責任を持って行うということになっております。つまり、これまで事務次官がやってきた仕事の多くは、政務三役がやっていることになっているはずです。

 ところが、事務次官ポスト自体は、今回の政府提出法案においても維持したままです。結局、鳩山内閣は、事務次官に頼らざるを得ない、官僚主導から脱却できていないということではないでしょうか。

 我々は、真の政治主導のためには、事務次官ポストは廃止すべきと考えます。実質的な省のトップとして、時に大臣とは別の方向を向いて立ち回るポストなど、残しておくべきではありません。このため、我々の法案においては、国家行政組織法を改正し、事務次官は廃止することとしております。

 また、あわせて、いわゆる次官級ポストも廃止し、幹部ポスト全体を再整理することとしております。いわゆる次官級ポストの中には、省庁再編のとき、合併以前の省の次官ポストを実質的に残すために設けられたポストが少なくありません。

 例えば、建設省、運輸省、国土庁、北海道開発庁の四つの省庁が合併した国土交通省には、従来からあった事務次官と技監のほかに、次官級の国土交通審議官が三名おります。つまり、国土交通省の中だけで次官級ポストが五つもあるということになります。

 また、自治省、郵政省、総務庁が合併した総務省には、次官級の総務審議官が三人も置かれております。こういった次官級ポストは、事務次官ポスト以上に必要性が乏しいと言えると思います。

 こうした無駄なポストを廃止することは、公務員人件費削減の第一歩でもあります。鳩山内閣が財源が足りないと言いつつ人件費削減に取り組もうとしないことは、全く理解できません。

 次に、幹部職のあり方についてお答えします。

 役所の幹部は、民間企業ではいわば役員に相当するポストです。民間企業であれば、役員は一般職員と別体系の人事制度とすることが当たり前です。役所でも幹部の人事は、政権のニーズにこたえること、あるいは、内閣との一体性にも配慮し、弾力的に行うことができるよう、一般職とは別体系にすることが必要です。これは、平井議員の御指摘のとおり、かつて民主党が主張していたことでもあります。

 昨年の二月、民主党行政改革調査会長であった松本剛明議員は、衆議院予算委員会で、政権のニーズにこたえるためにということでは、今までの一般職の基準の延長線ではだめである、一般職から区分して新たな制度を設けるべきといった御趣旨の発言をされていました。全く正論だと思います。

 ところが、今回、鳩山内閣が提出した法案では、こうしたことは全くできておりません。

 我々は、本来あるべき幹部公務員制度を提案しております。能力・実績主義に基づきつつ、内閣との一体性確保にも配慮し、一般職とは別体系で、政権のニーズにこたえる幹部制度をつくるのが我々の法案であります。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 高木美智代君。

    〔高木美智代君登壇〕

高木美智代君 公明党の高木美智代でございます。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました国家公務員法等の一部を改正する法律案について、関係大臣並びに法案提出者に質問いたします。(拍手)

 現在、我が国が直面する広範かつ重大な課題に対し、我が国の行政システムが十分に機能し、国民の期待に沿う効果を上げることができるよう改革を進めなければなりません。

 改革に当たっては、政治主導の名のもとに、かつての利益誘導のような古い政治体質を温存したり、時の政権政党の言いなりとなって仕事をするようないびつな行政システムを生み出す改悪であってはなりません。一党派や一省庁の利益のためでなく、国家国民のための公務員制度改革が真に必要なのであります。

 我々公明党は、国民目線から、古い政治を断ち切り、新しい政治、真に国民のための政治をつくるためにも、いわゆる天下りや利益誘導型政治を許さないとの立場で改革を進めてまいります。

 そこで、いわゆる天下り防止に関連して伺います。

 まず、本法律案は、かつて民主党が天下りの根絶をうたい、野党時代に国会に提出した天下り根絶法案や昨年の民主党のマニフェストと比べると、驚くべき後退ぶりであると言わざるを得ません。根絶どころか、天下り自由化法案と法案名を変えるべきであると考えます。

 以下、具体的に質問します。

 第一に、かつて民主党が提出した法案には早期退職勧奨の禁止が明記されていましたが、本法律案にはどこにも見当たりません。法案の骨格とも言えるこの項目を今回なぜ削除したのでしょうか。方針転換の理由について明確にお答えください。

 第二に、民主党のマニフェストによれば、「定年まで働ける環境をつくり、国家公務員の天下りのあっせんは全面的に禁止する。」とし、「国家公務員の総人件費を二割削減する。」と明記しています。民主党の主張どおり実行するのであれば、今回の改正に際し、早期退職勧奨の禁止とともに、給与水準の引き下げ等を行う給与体系の抜本改革、給与法の改正もあわせて提案する必要があるはずです。

 ところが、定年まで働ける仕組みもつくれず、早期退職勧奨、いわゆる肩たたきも存続する、これで本当にマニフェストどおりの改革になるのでしょうか。明確な説明を求めます。

 第三に、今回の改正案では、かつての天下り根絶法案に明記されていた国家公務員の再就職に関する事前規制の規定がどこにもありません。

 これまで、民主党は、事後規制では天下りを根絶できないと主張していたはずであります。私たちは、天下りを根絶するのであれば、事前規制のさらなる強化も必要不可欠であると考えますが、今回、なぜ強化策を盛り込まなかったのでしょうか。事前規制を設けないのであれば、少なくとも、天下り禁止違反に対する罰則を設けるなど、天下りあっせんの規制強化により実効性を担保する必要があるのではないでしょうか。明確な説明を求めます。

 第四に、民主党がこれまで天下りの温床だと糾弾してきた官民人材交流センターは今回廃止するとしつつ、実は同様の民間人材登用・再就職適正化センターを新たに設置するとしていることです。

 これでは、実質的に民主党の言う天下りの温床と言われる仕組み自体が残るのではありませんか。納得のいく説明を求めます。

 第五に、民主党がかつて必要ないとしていた再就職等監視委員会について、本法律案では、名前を変えて再就職等監視・適正化委員会として設置することとしています。

 当初の主張を変えてまでなぜ第三者機関を新設することになったのか、人事院や国家公務員倫理審査会との役割の違いはどこにあるのか。その理由について答弁を求めます。

 第六に、長妻厚生労働大臣も野党時代に衆議院の予算委員会において糾弾していた、退職公務員による他の退職公務員の再就職あっせん行為、いわゆる裏ルートの天下りの規制が、不可解にも今回盛り込まれておりません。その理由は何でしょうか。説明を求めます。

 次に、公務員制度改革の趣旨について伺います。

 日本国憲法第十五条には「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と明記されております。これこそ公務員のあり方の根幹をなすものであり、公正中立性を担保するのが国家公務員法であります。

 ところが、本法律案における幹部職員人事の内閣一元管理に関して、内閣総理大臣による適格性審査の基準や幹部候補者名簿に掲載される人事情報の内容、規定については全く示されていません。そして、幹部職員についての任免協議等の具体像や民間から登用する場合の判断基準など、不明確な点が幾つも残されております。これらの点について、幹部職員人事の公正中立性確保の観点から明確な答弁を求めます。

 幹部職員人事の弾力化について伺います。

 本法律案では、事務次官級、局長級、部長級を同一の職制上の段階に属するとみなし、転任として事実上の降格や昇格を行うとしていますが、これで本当に能力・実績主義に基づく公正中立な人事を担保できるとお考えでしょうか。

 実際には猟官運動が横行し、一部の政治家の好き嫌いによる恣意的な人事行使の危険性が高まる、まさに情実人事を行わんがための法案ではないかとの危惧をぬぐい去ることはできません。能力や実績ではなく、政権党に忠実な幹部職員だけが厚遇されるルールなき人事の横行ともなりかねず、公務員全体の士気低下が懸念されます。

 さらに、政権交代のたびに大幅な幹部職員の人事異動が行われるようなことになれば、行政機構が機能不全状態に陥りかねません。

 これらの疑念に対する明快な答弁を求めます。

 運用面でも大きな問題があります。

 例えば、事務次官級から部長級へ転任となる場合、年収にして八百万円程度の減俸となります。明らかな行政執行上の瑕疵がないにもかかわらず、このような任用を行う場合、国家公務員法第八十九条の「いちじるしく不利益な処分」に相当するおそれがありますが、その際、当事者からの不服申し立ては可能なのか。また、その申し立てをどの機関が審査し判断をするのか、その公正性をどう担保するのか、お答えください。降格人事を行う場合、その理由を明示するのかどうかも明らかにしていただきたい。

 内閣人事局について官房長官に伺います。

 内閣官房に置く内閣人事局の局長については、内閣官房副長官または関係副大臣その他の職を占める者の中から充てるとしていますが、その他の職とは、具体的にどのような職を想定しているのでしょうか。例えば、民間の有識者等を充てることも考えられるのか。その際の人選基準や公正中立性をどう担保するのか。さらに、行政機構のあり方として、他府省の副大臣が内閣官房の一組織の長を兼任することについて問題はないのか。以上の点についてお答えください。

 公務員制度改革は、我が国のあり方を根本から見直すものであり、長期にわたる計画性、実効性が求められる極めて重要な課題であります。

 本来、政府は、本法律案を上程する前に、公務員制度改革に関する全体像及びその工程表をまず国民に示すべきであります。そして、パブリックコメントを求めるなど国民的な議論の過程があってしかるべきであります。今回のような場当たり的な改革案では、本当に国民のためになる公務員制度の構築は期待できません。

 さて、次に、自民党、みんなの党共同提案による国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに幹部国家公務員法について質問いたします。

 自民党、みんなの党共同提出の改正案についても、残念ながら、天下り根絶には不十分であり、国民の期待に十分こたえる内容とは言えません。

 事務次官の廃止は、いかにも霞が関改革の象徴のように聞こえますが、他方、公務員全体の士気、政策の効率性と専門性の低下が懸念されることに対し、どうお考えなのでしょうか。

 むしろ、ウエストミンスター議会制度諸国では、昨今、幹部職員にマネジメント機能を与え、政策の企画立案への助言、人事や予算などの資源を効果的に管理し、アウトプットを効果的に行うような官僚機構への改革を行っており、こうした取り組みも参考になると考えますが、いかがでしょうか。

 また、幹部職を特別職とし、任用の際は、内閣との一体性の確保にも配慮して行うとしていますが、憲法に規定された公務員の公正性、中立性との整合性をどのようにお考えなのでしょうか。

 以上、二点について答弁を求めます。

 いずれにしろ、国民が注目しているのは、天下りは本当になくなるのか、公務員は本当に国民のための仕事に専念してくれるのかであります。これらの声にこたえ得る公正で中立な人事行政の仕組みを適切に導入することこそ、今求められている公務員制度改革であると申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣平野博文君登壇〕

国務大臣(平野博文君) 高木さんにお答えを申し上げます。

 内閣人事局長についてのお尋ねでございました。

 まず、内閣人事局長は、内閣総理大臣が内閣官房副長官または関係のある副大臣その他の職を占める者の中から指名する者をもって充てることにしているところでございます。内閣人事局長は、幹部職員人事の一元管理に関する事務を担うとされていることから、その他の職とは、公務員制度または人事行政等と関係のある職を想定いたしております。民間の有識者につきましても、このようなその他の職についていただくことにより内閣人事局長に充てることが可能となると私は理解をいたしております。

 次に、内閣人事局長にだれを充てるかにつきましては、内閣総理大臣が内閣人事局長として最もふさわしいと考える人材を充てていくべきものと考えます。

 また、公務員制度や人事行政等と関係を有する副大臣であれば、その副大臣としての知見を生かし、内閣人事局長としての職責を全うすることも可能となるものであり、兼任することに特段の問題は生じないものと考えます。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣仙谷由人君登壇〕

国務大臣(仙谷由人君) 高木美智代議員から御質問をいただきました。九問あったと思います。

 まずは、早期退職勧奨についてのお尋ねでございます。

 鳩山内閣におきましては、天下り、わたりのあっせんを根絶することとしておりまして、あっせんを伴う退職勧奨は、組織の改廃等に伴い離職せざるを得ない場合を除いて、既に禁止をしています。

 天下りあっせんの根絶とあわせて、公務員が天下りをせず定年まで勤務できる環境を整備するなど、公務員制度の抜本的改革についても検討しているところでございます。

 その際、職員のやる気を生み出していくために、横異動により、ポストをあけてもらって人事を活性化していくことにも留意することが必要と考えております。

 次に、定年まで働ける環境整備と国家公務員の総人件費二割削減についての御質問でございました。

 鳩山内閣におきましては、天下り、わたりのあっせんを根絶するとともに、あわせて、公務員が天下りをせずに定年まで勤務できる環境を整備するなど、公務員制度の抜本改革についても検討しているところであります。

 その際には、総人件費の抑制を念頭に置きつつ、その具体的なあり方を検討することといたしております。

 また、国家公務員の総人件費を二割削減という目標につきましては、地方分権推進に伴う地方移管、各種手当、退職金等の水準や定員の見直し、労使交渉を通じた給与改定など、さまざまな手法により、四年間かけて達成するよう努力することといたしております。

 具体的な削減の方法及びスケジュールにつきましては、今後検討することといたしております。

 次に、天下り根絶における事前規制について、また、天下り根絶のための実効性の担保についてお尋ねがございました。

 今回の国家公務員法改正法案におきましては、官民人材交流センターを廃止して、同センターが行ってきた一般的な離職者に対する再就職の援助は一切行わないことといたしておりまして、これによって、問題とされる退職公務員の再就職のあっせんをめぐる状況は大幅に変化することになります。

 また、新たに設ける再就職等監視・適正化委員会におきましては、規制の遵守に関する指導助言の権限を付与する等、監視機能をも強化することといたしております。

 こうしたことから、問題のある再就職の適正化を図るためには、まずは、現在施行されているあっせん規制等の違反または脱法的な行為を厳格に監視し、規制の実効性を高めることが肝要であると考えております。

 なお、再就職あっせん規制違反行為については、職員が職務上不正な行為をすること等に関して営利企業等の地位につかせることを要求するなどの一定の天下りあっせん行為については、既に刑事罰が設けられております。

 刑事罰の範囲の拡大については、罰則以外の手段をもって本当に対応することができないのか、問題となるあっせんの抑制に真に不可欠で適切な措置なのかといった点を、規制の運用状況も踏まえて十二分に検討して、慎重に対応する必要があるものと考えております。

 続きまして、民間人材登用・再就職適正化センターの設置についてのお尋ねがございました。

 官民人材交流センターが、勧奨退職者を含めて広く一般の職員を再就職あっせんの対象としていたのに対しまして、民間人材登用・再就職適正化センターは、組織の改廃等により離職せざるを得ない職員に限定して再就職あっせんを行うことといたしております。

 このように、民間人材登用・再就職適正化センターが再就職あっせんを行うのは、極めて例外的な、やむを得ない場合でございまして、今回の法案により、天下りあっせんの根絶を図ることができると考えております。

 続きまして、再就職等監視・適正化委員会を新設する趣旨についてのお尋ねがございました。

 同委員会は、同委員会が承認した場合には、再就職あっせん規制の例外として、現職職員のみならずOBのあっせんが可能となるという、いわば天下りあっせんの根絶に逆行する権限が付与されていたことが大きな問題であったというふうに考えております。民主党が、野党の時代に、そのような仕組みには到底賛成ができなかったということでございます。

 一方で、再就職等規制違反行為を第三者機関が厳格に監視すること自体は必要であると考えておりまして、十九年の民主党法案で、国家公務員倫理審査会に規制違反行為の監視を行わせることとしていたのは、このような考え方に基づくものでございました。

 現内閣においては、天下りあっせんは認めないことを方針としており、今回新設しようとしております再就職等監視・適正化委員会は、この方針のもと、天下りあっせんを承認する機能は認めておりません。また、規制の遵守に関する指導助言の権限を付与する等、監視機能の強化も図っているものでありまして、規制の監視等を行う第三者機関として、適切なものであると考えております。

 国家公務員倫理審査会との関係でございますが、国家公務員倫理審査会は、一般的な倫理規程違反あるいは倫理法違反に係る懲戒処分をするというふうな審査会であるというふうに考えておりまして、私どもが今、天下り根絶という閣議決定をしておりますことから、これに反する行為はもちろん国家公務員倫理法にも反するとも考えられますけれども、特段に再就職あっせん等違反に係る事項について取り扱うこととしたのが今度の再就職等監視委員会、こういうふうに考えていただければよかろうかと考えております。

 続きまして、退職公務員による再就職あっせん行為の規制についてのお尋ねでございました。

 府省庁によるあっせんの有無にかかわらず、特定の民間企業、団体等との癒着や行政の無駄などの原因となるような職員の再就職につきましては、国民の厳しい批判があるというふうに考えておりまして、政府としても、そのような再就職は問題であると考えております。

 また、府省庁によるあっせんの事実は確認されていないものの、事実上の天下りあっせん慣行があるのではないかとの疑念を抱かせるような退職した公務員の再就職についても、厳格な監視を行い、国民の疑念を払拭する必要があると考えております。

 今回の法案では、退職公務員の再就職あっせんを一律に禁止する措置はとっておりませんが、官民人材交流センターを廃止し、一般的な離職者に対する再就職の援助は行わないこととすることで、公務員の再就職に関する状況が大きく変化をします。規制違反行為に対して、懲戒処分等の措置を任命権者に勧告する権限に加えて、規制の遵守に関する指導助言の権限を新たに再就職等監視・適正化委員会に付与することで、脱法的行為についても強力に是正を進めることとしております。

 また、規制以外の面におきましても、国家公務員出身者が役員または職員等に在籍する公益法人について、昨年の十二月二十五日の閣議決定に基づいて、国民的な視点から徹底的に見直し、独立行政法人については、昨年の九月二十九日の閣議決定に基づいて、公務員OBが役員に就任していたポストにつきましては、公募によって後任者の選考を行うこととしましたほか、「独立行政法人の抜本的な見直しについて」という昨年十二月二十五日の閣議決定に基づいて、国民的視点から抜本的な見直しを行うこととしております。

 御承知のように、枝野行政刷新大臣の所管としまして、この四月から独立行政法人あるいは政府関連公益法人の事業仕分けを行うことも御承知のとおりでございます。このような措置をあわせて講ずることで、退職公務員が関与する再就職についても、より一層の適正化を図ることといたしております。

 幹部職員人事の公正中立性確保の観点からの適格性審査の基準等についてのお尋ねがございました。

 今回の法案におきましては、幹部職員人事の一元管理の仕組みを法定し、内閣総理大臣、内閣官房長官及び任命権者が幹部職員の人事について責任を負う体制を確立するとともに、適正に人事が行われるように配慮しているところでございます。

 お尋ねの適格性審査は、幹部職に係る標準職務遂行能力の有無を審査するものでございまして、その進め方については、民間有識者等から意見を伺うなど、審査が、客観的で、かつ公正に行われることが必要不可欠だと考えております。また、幹部候補者名簿につきましては、例えば、適格性審査に合格した者の氏名や現在の職名等を記載することを想定いたしております。

 個々の官職への任用に当たりましては、幹部候補者名簿に記載されている者の中から、任命しようとする幹部職についての適性を判断して行うこととされておりまして、この適性の判断につきましては、個々の官職ごとの専門的な知識、技術、経験等の有無を考慮して行われる必要があると考えております。

 さらに、任免協議により、社会経済の変化に対応し、複雑多様化する行政課題に迅速かつ果断に取り組み、省益を超えた国民本位の行政を実現するために、適材適所の人材配置を柔軟に行ってまいります。

 本法案によりまして公正中立な人事を担保できるのかという御質問がございました。

 今回の法案におきましては、内閣官房長官が、幹部職に係る標準職務遂行能力の有無を適格性審査において判定し、審査の合格者について幹部候補者名簿を作成すること、任命権者は、幹部候補者名簿に記載されている者の中から、人事評価等に基づき、任命しようとする幹部職についての適性を判断して任用を行うこと、幹部職員の任免を行う場合、内閣総理大臣及び内閣官房長官と任命権者により協議を行うことなどの仕組みを導入することにより、適正に人事が行われるように配慮しております。

 また、具体的な人事につきましては、官職についての適性があると判断されることを前提としつつ、重要課題への対応の必要性、職員全体の士気の維持向上、さらには、組織運営への影響などについても十分考慮の上行われるものであると考えております。

 それから、事務次官級から部長級へ転任となる場合の運用等についてのお尋ねがありました。

 今回の法案におきましては、適材適所の人事を柔軟に行えるようにするため、事務次官級、局長級、部長級の官職は同一の職制上の段階に属するとみなすこととしており、これらの官職の間の異動を転任としているところでございます。

 御指摘のような転任の場合、給与の減額を伴うこととなりますが、一般職の職員の給与に関する法律第六条の二の規定に基づき、転任後の官職に応じて定められる号俸に給与が決定される、その結果でございまして、基本的に、国家公務員法第八十九条の「いちじるしく不利益な処分」には該当しないものと考えております。

 なお、国家公務員法におきましては、その意に反して著しく不利益な処分を受けた職員は、独立性の高い第三者機関である人事院に対し不服申し立てをすることができるものと規定されておることは、御承知のとおりであります。したがいまして、今、高木議員が問題視されておりますような、異動が著しく合理性を欠くものである場合には、不服申し立ての対象となることはあり得るという理解をしております。

 また、今回の法案に基づく任用制度の運用のあり方につきましては、引き続き検討をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔柴山昌彦君登壇〕

柴山昌彦君 高木議員に対してお答えを申し上げます。

 まず、事務次官についてですが、平井議員の質問に対してお答えしたとおり、従来、実質的な省のトップであった事務次官ポストは、真の政治主導の実現のために、廃止するべきものといたしました。

 確かに、公務員の士気を高めること、政策の効率性や専門性を高めること、これらはいずれも重要な課題です。しかし、これらは、事務次官ポストを初め旧来の体制を維持することによって達成されるものではなく、むしろ、優秀な若手や民間人を抜てき登用したり、頑張った人により大きなチャンスが大胆に与えられるような組織をつくることによってこそ達成されると考えます。

 また、例えば、英国などにおいて事務次官ポストが存在することは御指摘のとおりです。しかし、御指摘のような、政策立案への助言を行うために、かつて政治サイドに政務次官という役職がある時代からあった事務次官というポストが必ずしも必要とは考えられません。また、人事管理や予算管理、アウトプットを効果的に行うための改革を事務次官が行うべきということも必ずしもないと考えます。

 御指摘の、政策立案への助言などの役割を的確に果たすための体制は、幹部ポストの再整理を行う中で整備していくこととしております。

 もちろん、外国の制度を参考にすることは、よりよい制度を構築する上で有効な方策の一つですが、より優先されるべきことは、我が国の行政機構において、そもそも事務次官ポストを置くべきかどうかです。

 鳩山内閣が目指すという真の政治主導の実現のためには、実質的な省のトップとして、時に大臣と異なる方向を向いて動くようなポストなど、残しておくべきではなく、廃止するべきと考えます。

 続きまして、幹部職の公正中立性についてお尋ねがありました。

 私たちの議員立法案における幹部職とは、政務秘書官あるいは官房副長官などのいわゆる政治任用職とは異なり、むしろ、一般職と政治任用職の中間形態と位置づけております。

 人事管理は、先ほど来申し上げているとおり、能力・実績主義を基礎としつつ、内閣との一体性の確保にも配慮して行うとしています。

 また、任用についても、いわゆる政治任用職のように、だれでも任命してよいわけではなく、しっかりとした適格性審査と候補者名簿作成を経て、その中から、総理、官房長官、大臣が選ぶ仕組みとしております。

 このように、議員立法案は、公平性、中立性との整合性、憲法の定める「公務員は、全体の奉仕者」との規定にも十分に配慮した内容となっていることを御理解いただければと思います。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 吉泉秀男君。

    〔吉泉秀男君登壇〕

吉泉秀男君 社会民主党の吉泉秀男です。

 私は、社会民主党・市民連合を代表し、提案されている国家公務員法等の一部改正案について質問をさせていただきます。(拍手)

 公務員制度改革をめぐっては、天下りや労働基本権回復を初め、多くの課題が残っております。その中で、今回の改正案は、幹部職員人事の内閣一元化に絞って先行させようという内容でございます。

 まずもって、仙谷大臣に伺わせていただきます。

 人事を内閣に一元化する、このことの意義と、一元化が、鳩山内閣の進める政治主導、この国会運営、国会改革とどのように関連をし、連動をしていくのか、具体的な説明をまずお伺いさせていただきたい、こう思っております。

 次に、適格性審査についてお伺いいたします。

 適格性審査は、人事管理の当事者である内閣官房長官が行うことになっておりますが、人事院や第三者委員会等の関与がない中での審査、このことに対しては、私は、相当の懸念がある、そう思っております。私は、この懸念を避けるためには、適格性審査、降格人事については、透明性を確保するとともに、国民に説明のできる基準をつくる必要があるだろうというふうに思っております。人事行政の中立公正性の確保に対する仙谷大臣の御所見をお伺いいたします。

 また、適格性審査を行うためには、内閣人事局が詳細な人事情報を把握、このことが絶対条件だというふうに思っておりますけれども、改正案では、内閣人事局が各省庁の人事情報を収集、管理する規定が設けられておりません。なぜ人事情報を内閣人事局において一元的に収集、管理する規定を設けなかったのか、その理由についてお伺いさせていただきます。

 次に、民間人材登用・再就職適正化センターについてお伺いいたします。

 官民人材交流センターを廃止して再就職のあっせんをやめる、こういう内容になっておりますけれども、私には、単に名称を変える、こういうふうな状況に映るのでございます。もしこのことが徹底をしたならば、人事が停滞する可能性、こういう部分が出てこないのか、このこともすごく心配もしております。

 また、閣僚や役所OBによる再就職のあっせんといった裏のルート、これを使った天下り対策が示されておりません。こうした事態にはどう対処していくのか、大臣にお伺いいたします。

 私は、縦割り行政や中央集権、官僚主導を打破し、国民のための民主的で透明な公務員制度改革の実現、これを目指していくのが私たちの任務だと思っております。政治が官僚に対してリーダーシップを発揮し、政治がしっかりと責任をとる、こういう仕組みが制度としてあるべき姿だと思っております。そういう面では、もっともっと論議が尽くされる必要があるだろうというふうに思っております。

 最後に、公務員制度改革の今後の展望について仙谷大臣に御所見を伺い、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣仙谷由人君登壇〕

国務大臣(仙谷由人君) 吉泉議員から、八点にわたって質問をいただきました。

 まず、改正案が、公務員制度改革の全体像を明確にした上で示されるべきではないかとのお尋ねがございました。

 今回の法案におきましては、公務員制度改革の第一歩として、内閣人事局を設置し、幹部職員人事の内閣一元管理等を実現するものでございまして、今後、これに続く改革として、使用者機関のあり方を含む公務員の労働基本権のあり方についての検討、定年まで勤務できる環境の整備の推進など、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を加速していく必要があると考えております。

 このため、新たに設置する内閣人事局におきまして、政治主導により、さらに強力に改革の具体化を進めてまいりたいと考えております。

 続きまして、幹部職員人事の一元管理の意義及び国会運営、国会改革との関連についてのお尋ねがございました。

 今回の法案は、幹部職員人事の一元管理を実現することによって、縦割り行政の弊害を打破して、官邸主導で適材適所の人材を登用することを目的とするものでございます。

 お尋ねの国会運営、国会改革については、国会審議の活性化を図る観点から、現在、与党を中心に検討中であるというふうに伺っております。

 今回の法案は、公務員制度改革の第一歩でございまして、引き続き、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を加速していくため、新たに設置する内閣人事局におきまして、政治主導により、さらに強力に改革の具体化を進めてまいります。

 続きまして、労働基本権のあり方についてのお尋ねがございました。

 労働基本権のあり方につきましては、争議権を付与するかどうかも含めて、幅広い観点から検討してまいります。

 今後、本法案により設置される内閣人事局におきまして、政治主導のもと、さらに具体的な検討を進めて、法案につきましては、国家公務員制度改革基本法第四条の規定を踏まえて、施行後三年以内に提出できるように努力してまいりたいと考えております。

 続きまして、人事行政の中立性、公正性の確保についてのお尋ねがございました。

 今回の法案におきましては、内閣官房長官が、幹部職に係る標準職務遂行能力の有無を適格性審査において判定し、審査の合格者について幹部候補者名簿を作成すること、任命権者は、幹部候補者名簿に記載されている者の中から、人事評価等に基づき、任命しようとする幹部職についての適正を判断して任用を行うこと、幹部職員の任免を行う場合、内閣総理大臣及び内閣官房長官と任命権者により協議を行うことなどの仕組みを法定し、内閣総理大臣、内閣官房長官及び任命権者が幹部職員の人事について責任を負う体制を確立するとともに、適切に人事が行われるように配慮しているところでございます。

 また、適格性審査の進め方につきましては、民間有識者等から意見を伺うなど、審査が客観的かつ公正に行われるように配意してまいります。

 人事情報の収集、管理の規定についてのお尋ねがございました。

 適格性審査に必要な人事評価や職務履歴等の人事情報につきましては、各府省から提出していただくことは法案に特別に規定をしなくても可能でございますので、御指摘のような規定は設けなかったところでございます。

 官民人材交流センターの廃止と、それによる人事の停滞についてのお尋ねがございました。

 今回の法改正におきまして、再就職のあっせんは行わないことにいたしております。一方、公務員が、あっせんを受けず、自己の能力を活用して会社、法人等に適正に再就職することは可能であります。

 なお、あわせて、公務員が、天下りをせず、定年まで勤務できる環境を整備するなど、公務員制度の抜本的改革についても検討しているところでございます。

 その際、職員のやる気を生み出していくために、横異動により、ポストをあけてもらって人事を活性化していくことにも留意する必要があると考えております。

 閣僚や役所OBによる再就職あっせんへの対処についてのお尋ねがございました。

 府省庁によるあっせんの有無にかかわらず、特定の民間企業、団体等との癒着や行政の無駄などの原因となるような職員の再就職につきましては、国民の厳しい批判があるものと考えておりまして、政府としても、そのような再就職は問題であると考えております。

 また、府省庁によるあっせんの事実は確認されていないものの、事実上の天下りあっせん慣行があるのではないかとの疑念を抱かせるような退職した公務員の再就職につきましても、厳格な監視を行い、国民の疑念を解消する必要があると考えております。

 現内閣におきましては、公務員の再就職につきまして、組織の改廃等により離職せざるを得ない場合を除き、府省庁によるあっせんを禁止、それからまた、この方針に基づき、閣僚を初めとする政務三役が職員の再就職のあっせんをすることも当然に禁止でございます。

 国家公務員出身者が役員または職員等に在籍する公益法人につきましては、先ほどから申し上げておりますように、昨年十二月二十五日の閣議決定に基づきまして、国民的な視点から徹底的に見直す。

 独立行政法人についても、昨年の九月二十九日の閣議決定、十二月二十五日の閣議決定に基づきまして、国民的視点から抜本的に見直す。

 現職職員による情報提供が疑われる場合などあっせん規制等に違反する疑いがある場合には、国家公務員法一部改正法案において新設される再就職等監視・適正化委員会による調査を行い、違反行為の事実が確認されれば、懲戒処分等の措置を任命権者に勧告する。

 また、脱法的行為の是正や規制等の適切な運用確保のために必要な措置につきましては、新委員会の権限でございます再就職等規制の遵守に関する指導助言により、任命権者に必要な指導等を行うことといたしております。

 最後に、公務員制度改革の今後の展望についてのお尋ねがございました。

 今回の法案は、まさに公務員制度改革の第一歩でございます。これに続く改革として、公務における適切なマネジメントを強化する観点から、使用者機関のあり方を含む公務員の労働基本権のあり方についての検討を進めるとともに、独立行政法人や公益法人の改革も視野に入れつつ、定年まで勤務できる環境の整備を進めるなど、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を加速していく必要があります。

 このため、新たに設置する内閣人事局において、政治主導により、さらに強力に改革の具体化を進めていくことといたしております。

 以上でございます。(拍手)

副議長(衛藤征士郎君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(衛藤征士郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣  菅  直人君

       法務大臣  千葉 景子君

       外務大臣  岡田 克也君

       環境大臣  小沢 鋭仁君

       国務大臣  枝野 幸男君

       国務大臣  仙谷 由人君

       国務大臣  平野 博文君

 出席副大臣

       内閣府副大臣  大島  敦君


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