衆議院

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第33号 平成22年5月31日(月曜日)

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平成二十二年五月三十一日(月曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十二号

  平成二十二年五月三十一日

    午後一時開議

 第一 独立行政法人地域医療機能推進機構法案(第百七十三回国会、内閣提出)

 第二 障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案(厚生労働委員長提出)

 第三 郵政改革法案(内閣提出)

 第四 日本郵政株式会社法案(内閣提出)

 第五 郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 経済産業委員長東祥三君解任決議案(浜田靖一君外六名提出)

 農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案(大島理森君外七名提出)

 日程第一 独立行政法人地域医療機能推進機構法案(第百七十三回国会、内閣提出)

 日程第二 障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案(厚生労働委員長提出)

 日程第三 郵政改革法案(内閣提出)

 日程第四 日本郵政株式会社法案(内閣提出)

 日程第五 郵政改革法及び日本郵政株式会社 の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)


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    午後二時二十三分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

高山智司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 浜田靖一君外六名提出、経済産業委員長東祥三君解任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(横路孝弘君) 高山智司君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 経済産業委員長東祥三君解任決議案(浜田靖一君外六名提出)

議長(横路孝弘君) 経済産業委員長東祥三君解任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。梶山弘志君。

    ―――――――――――――

 経済産業委員長東祥三君解任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔梶山弘志君登壇〕

梶山弘志君 自由民主党の梶山弘志でございます。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました経済産業委員長東祥三君解任決議案について、提案の理由を御説明いたします。(拍手)

 まず、案文を朗読いたします。

  本院は、経済産業委員長東祥三君を解任する。

   右決議する。

 以下、その理由を申し述べます。

 昨年九月に鳩山内閣が発足をし、民主党を中心とする連立与党による国会運営がスタートして、九カ月がたとうとしております。

 国政の最大の課題であります我が国経済の再生、そして国民生活の不安を取り除くため、あらゆる政策努力を惜しみなく断行しなければならない九カ月間であったと言えます。

 しかし、振り返ってみますと、まず、与党民主党がやってきたことは、我々が国民生活の不安を取り除くために実施した平成二十一年度第一次補正予算の凍結、鳩山総理、小沢民主党幹事長の政治と金をめぐる問題による政治への信頼の低下、普天間問題における鳩山総理のリーダーシップの欠如、宮崎県で発生した口蹄疫に対する危機管理能力の低さの露呈など、国益にとってマイナスばかり目立ち、多くの国民が現政権に対して落胆をあらわしている状況は、昨今の世論調査を見ても明らかであります。

 特に、普天間問題については、結局、従来からの辺野古移設案に戻ってしまい、鳩山総理の昨年の総選挙時の民主党代表としての発言、最低でも県外に移設そのものがほごにされ、沖縄県民の期待と信頼を大きく裏切ることになったと同時に、国民そして米国にも大きな不信感を残す結果となってしまいました。

 さらに、署名を拒否した連立政権のパートナーである社民党の福島みずほ消費者・少子化担当大臣を罷免、社民党が連立政権から離脱をし、政権の基盤が大きく揺らぎ、鳩山政権自身が国民からノーを突きつけられている状況になりつつあります。

 経済については、具体的な政策を出すどころか、政府が胸を張る成長戦略は、いわゆる三K、雇用、環境、景気としていますが、どの点で前政権の執行途中であった経済対策と中身が違うのか不明確であり、具体的には、雇用調整助成金の支給要件の緩和、介護分野における雇用の創造、エコポイントとエコカー補助、セーフティーネット貸し付けなどなど枚挙にいとまがありません。こうした前政権の出した政策の一部を焼き直しただけの内容であり、経済効果も薄く、刻一刻変化している我が国経済について本気で考えているとは到底思えないものでありました。

 平成二十二年度予算においては、国債発行額が税収を大きく上回り、公債依存度が四八%まで膨れ上がりました。こうした国債の乱発、財政見通しを全く無視した予算となり、内容的にもばらまき色が強いことから、我が党が、現実的かつ将来の財政を考慮に入れた組み替え動議を提出いたしました。しかし、これについてほとんど議論をされることなく、素知らぬ顔で政府案を国会で成立させてしまいました。

 また、鳩山総理は、温室効果ガス削減中期目標を、具体的な手法や政策そして国民負担を論ずることなく、二五%の削減を国際公約とし、我が党を初めとする野党の対案や、根拠を欠いた法律の先行には反対するという意見を発表している日本基幹産業労働組合連合会や各種産業界等の声に耳を傾けることも、慎重な審議をすることもなく、強行採決までして地球温暖化対策基本法案を衆議院で通過させました。

 さらに、労働者派遣法の改正、最低賃金の見直しなど、産業界や最前線にいる中小企業等の現場の意見を聞くことなく、現況を無視した、アンチビジネスとも言える政策が次々と政府・与党から打ち出されている状況にかんがみ、経営者の多くが、企業は日本から出ていけと言われているとの感じを持っております。

 実際、自動車産業を中心に、生産工場など国内生産拠点を海外へ移転する企業が後を絶たない現状があり、政府・民主党の政策が本当にすべて実行されてしまうと、我が国の産業の発展が阻害されるだけでなく、産業が創出する雇用そのものが失われ、国民生活の基盤が大きく揺らいでしまうことになりかねません。

 何としても、国会の場で、こうした議論を行い、国民の真の声を国政につなげる努力を我々国会議員が果たさなければなりません。こうした経済音痴、経済感覚ゼロ、そして国民目線の欠如が散見される鳩山内閣をただし、よりよい方向へと導き、国民本位の政策を策定する原動力となるのが国会であり、国民から負託された我々の大きな責務であります。

 特に、経済産業委員会という場は、我が国産業のあり方、経済成長のビジョン策定、エネルギー問題、地域経済など、さまざまな課題を論じ、解決を図っていく場であり、産業界、国民は大きな期待をしているところであります。

 また、当委員会は、産業政策という事柄の性質上、従来、与野党とも比較的考え方について大きな隔たりが余りなく、産業の発展、国民生活の向上という大きな目標と使命により、政局等に流されることなく、粛々と委員会運営を行い、成果を出してまいりました。本日、こうした委員長解任決議案が出されたこと自体初めてのことであり、提出自体が異常な事態、この重大性を本日出席の議員各員は強く認識しなければなりません。

 もちろん、言うまでもなく、経済産業委員長は国会法に定める院の役員であり、経済産業という国政上の重要分野の案件を扱う委員会の長であります。公正かつ公平な立場で委員会運営を進めるという大変重要な任務を負っております。

 東祥三君御自身も、昨年十一月十八日の委員長就任あいさつにおいて、「理事及び委員各位の御協力を賜りまして、公正かつ円満なる委員会運営に努め、本委員会の使命を果たしてまいりたいと思います。」と、公正かつ円満な委員会運営を目指すことを言明しておられました。

 しかしながら、東委員長は、昨年の第百七十三回国会に就任して以来、私ども自民党を初めとする野党の主張に十分耳を傾けることなく、いたずらに不正常な状況を放置し、あるいは審議促進と称して、委員会運営において、憲政の基本である三権分立を無視し、立法の一員であるにもかかわらず、行政の一員にくみするかのように、政府や与党の一方的な振る舞いを許してきました。

 その結果として、委員会運営が本来国民から期待されているあるべき状態から大きく外れた形で行われることを黙認してきたのみならず、今国会においても、法案処理を優先して、委員会の開会、審議、採決を一方的に決定し、強行したことは、まことに残念であり、決して許されるものではありません。

 東委員長の最近の委員会運営について、委員長の職分を放棄したとしか考えられない、看過できない事項が三件ありました。

 第一は、五月中旬に審議、強行採決されたエネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案についてであります。

 本法案は、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業を促進することを目的とする法案であり、地球温暖化対策基本法案と関連性を有し、環境委員会との連合審査もした法案であります。

 この予算関連の重要法案について、温暖化対策の論議も煮詰まらない段階で、十分な質疑時間を確保せず、日程のみを念頭に、不必要な急ぎ方で、強硬な委員会運営、さらに強行採決を行いました。この結果、野党側の申し入れにより、事後的に補充質疑等を行い、辛うじて委員会としての体面を保ったものでありました。

 第二は、外為法に係る承認案件の質疑、採決についてであります。

 この承認案件は、外為法に基づき北朝鮮に対する輸出入を禁止する閣議決定を裏書きするものであると同時に、北朝鮮に対する我が国の立法府の姿勢を示すものであります。

 この承認案件について、五月二十五日、本会議散会後の理事懇談会において、丁寧な審議を求める野党理事の反対にもかかわらず、採決まで行うことを決定し、抗議する野党側理事の退席後、具体的な審議日程を決定してしまったのであります。結果、翌日、委員長が強行的に職権で立ち上げた委員会においても、質疑時間はわずか五十分しか確保されませんでした。

 これは前例に従ったものとは思われるものの、朝鮮半島が北朝鮮による韓国軍艦船撃破事件を端に緊張が高まっており、我が国政府としても情報収集とその多角的な分析、政策の実行が必要であり、十分な議論を行いたく、質疑時間の確保を要請していました。また、これまでの鳩山内閣の突出した前のめり発言を考慮すれば、対北朝鮮関係について、充実した審議を行わず、前例のない事態に即し、広い視野から我が国のとるべき道について議論する場を設けなかったことは、手続の問題にとどまらず、制度の趣旨に述べられている立法府としての役割を放棄したものとしか言いようがない、誤った判断であると指摘せざるを得ません。

 過日、日中韓の首脳会談が行われ、朝鮮半島情勢について議論が交わされたと聞いておりますが、これについても、承認案件と関連性があり、鳩山総理がきちんと国会で報告なされるべきであり、経済産業委員会においても、鳩山総理の報告に沿って承認案件について議論しなければならないと考えます。

 第三に、独占禁止法改正案についてであります。

 独占禁止法は、経済憲法とも言われ、その改正案は、経済産業委員会の重要法案として、これまでも、できる限り審議時間を確保し、関係者の幅広い見解も正確に把握するため、参考人質疑も行ってきたものであります。しかし、今回提出された独占禁止法改正案についても、その内容の重要性にもかかわらず、日程上の都合から、ひたすら早期の通過を望む与党の意向に沿って、委員会運営上の慣例を無視して異常な審議入りを行い、わずか一日の審議日程、参考人質疑なしの方向で行おうとしております。

 委員長の責務を放棄して、無責任な委員会運営を繰り返し、今般、東委員長の解任決議案を出さざるを得なくなった事情を、時系列に沿って指摘をし、詳細に説明をいたします。

 東委員長は、去る五月二十五日火曜日の本会議後開催された理事懇談会において、与野党の意見が一致していないにもかかわらず、与党の主張をそのまま取り入れて、翌二十六日の委員会開催とその日程を職権で決定いたしました。その決定とは、一般質疑のほか、外為法に係る承認案件の提案理由説明、質疑、採決、さらに独占禁止法改正案の提案理由説明という、前代未聞の五階建ての日程でありました。

 野党である自民党、公明党、共産党は、五月二十六日の日程として、一般質疑、そして外為法に係る承認案件が経済産業委員会に付託されることを前提に、委員会質疑の通例に沿って同承認案件の委員会における提案理由説明の聴取までは了承をしておりました。そして、次の委員会で外為法に係る承認案件についての質疑がなされるであろうと、ごく常識的な判断をしておりました。

 法案などの議案は、まず提案理由説明を聴取してから、次の委員会において質疑を行うのが委員会運営の常道であります。にもかかわらず、東委員長は、この常道をいとも簡単に無視し、法案の提案理由説明、質疑、そして採決というすべての手続を一回の審議の中に押し込んだものであり、この日程だけでも常軌を逸しているものであり、国会での議論を軽視していること甚だしいと言わざるを得ません。

 しかも、こうした決定は今回初めてではなく、以前の、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案の審議においても、同様の独断専行の姿勢で運営を図り、委員会審議を混乱に陥れたものであり、その際の状況を懲りずに、またしても慣例無視の暴挙に出たものであります。

 さらに、東委員長は、五月二十六日の日程として、独占禁止法の改正案の提案理由説明聴取までを職権で決定いたしました。これは、野党理事の慣例にのっとった良識ある判断を一顧だにせず、与党理事の、独占禁止法改正案は五月二十八日に質疑、採決し六月二日の本会議で採決して参議院に送らなければ会期末までに間に合わないという、法案審議の前に出口を設定する主張を、そのまま取り入れたものであります。あたかも委員会における審議は単なる通過儀礼と心得ているような与党の暴挙に無批判に賛同するかのような態度に東委員長は終始したのであります。

 国会の委員長は、負託を受けた国民に対し、法案や政策内容を明確に説明する場を確保するため、円満な委員会運営のために、与党理事、野党理事の主張の双方を聞きつつ、双方が納得する落としどころを探るのがその本来の職責と思われます。

 今の情勢をサッカーの試合に例えれば、中立公平であるべき審判が、その下に相手のユニホームを着ていて、途中から、審判のユニホームを脱ぎ捨てて、相手チームの一員としてフィールドに立っているような感じすら受けるわけであります。

 加えて、東委員長は、法案内容を十分に審議せず、あたかも法案を自分たちの都合、思惑だけで短時間での流れ作業のように処理しようとする与党側の姿勢を追認するという姿勢を一向に改めません。こうした与党の態度も、多数をかさに議会制民主主義の本旨を無視するものとして糾弾されなければなりませんが、委員長は、そうした偏りを正して、本来あるべき委員会の姿を取り戻す重大な責務を負っているのであります。

 今回においても、与党は、重要な独占禁止法改正案の質疑を、わずか一日、三時間余りで済ませようとする意向を表明しております。これは、これまで当委員会においては、経済憲法と言われる独占禁止法の改正については十分な時間を費やして慎重に審議を進めてまいりましたが、そうした慣例すら破り捨て、日程のみ偏重するという与党の態度は、この法律の重要性を全く理解していないものと断じざるを得ず、経済政策に対する責任感が欠如していると考えざるを得ないのであります。

 今回の独占禁止法改正案は、その内容は、公正取引委員会が行ってきた審判制度の廃止とそれに伴う事前手続の整備などであり、独占禁止法の制定以来、我が国の代表的な準司法制度である公正取引委員会の審判制度を廃止しようとするものです。まさに、本法案は、各界の専門家の意見を参考にし、慎重審議を行うべき性質のものであります。

 しかも、各界の意見は、審判制度の廃止で一致しているわけではありません。経済法研究者の大半は、反対。日弁連は、審判と取り消し訴訟の選択制とすることを主張しております。また、消費者団体も、独占禁止法の目的にある消費者利益の保護という観点から重要な存在でありますが、民主党に対し、本改正案については反対であるとの陳情を行っております。

 ちなみに、我が自由民主党は、平成十九年十二月に「緊急提言 準司法改革の成果と今後の指針」を発表し、公正取引委員会の審判制度については、「様々な選択肢のメリットとデメリットを比較し、諸外国の独占禁止法制とのイコール・フッティングの観点も加味しながら、少なくとも事前手続の対審構造、手続保障を実現した上で、国際的調和のとれた国民本位の制度を練り上げていく必要がある。」としております。

 経済産業委員長である東祥三君は、これらの各界の意見を審議に生かそうとは考えないのでしょうか。十分な審議を尽くすよりも、生煮えの、一方に偏した内容の改正をとりあえず会期内に成立させる方が重要でしょうか。たとえ会期末が迫っているからといって、参議院の日程を逆算して衆議院の採決の日程を決めて審議を行うという与党理事の意見は、いわばところてん式に法案を機械的、短期間に処理しようとするものであって、政府にへつらって、立法府の役割をみずから放棄することであります。

 そして、東委員長がこうした身勝手きわまりない与党理事の主張を取り入れることは、国民生活に直結する経済産業という国政の重要分野を預かる委員長の重大な責任をみずから放棄していることにほかなりません。与党民主党は、国民の生活が第一と称して昨年の選挙に勝利したのではなかったでしょうか。こうした委員会運営は、鳩山総理を守っても、日本の経済、国民生活は守らないと感じさせ、到底納得できるものではありません。

 民主党は昨年の総選挙におけるマニフェスト項目の一部を撤回しようとしているということですが、子ども手当の満額支給は難しい、暫定税率の廃止は行わない、マニフェスト関連予算の財源の確保のめどが立っていない等、政府・民主党のまやかし政治が露呈し始めております。

 経済産業委員会だけではなく、他の委員会における強行採決などの強引な国会運営が今の政府・民主党の体質をあらわしており、我々は、断固こうした状況を打破しなければ国民のための政治を行うことはできないと思っております。

 我々は、今の与党とは違い、責任ある野党として、現下の情勢にかんがみ、経済産業委員会所管の議案を国民の負託にこたえてしっかり審議していくつもりです。ただし、現状は、経済産業委員会の円満かつ公正な運営を責務とする委員長みずからが先頭に立って再三にわたり強権的にルール破りを行っており、これを恥とも思わないことは、残念でなりません。与野党問わず、立法府として、議員として、職責を十分果たせない原因ともなっております。

 こうした立法府の自殺行為とも言える不正常な状態を一刻も早く解消し、国民の負託に正面からこたえる体制を再構築するほかないと考え、ここに、まことに不本意ながら、経済産業委員長東祥三君の解任を強く求め、私の提案理由の説明といたします。

 議員各位の良識ある御賛同を心から強くお願い申し上げ、私の説明にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 討論の通告があります。順次これを許します。柿沼正明君。

    〔柿沼正明君登壇〕

柿沼正明君 民主党の柿沼正明でございます。

 民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました経済産業委員長東祥三君の解任決議案について、断固反対の立場で討論いたします。(拍手)

 まず初めに、本日のこの解任決議案、みずから提出しておいて大幅に遅参してこられたことに強く抗議いたします。

 経済産業委員会は、我が国の経済や中小企業、エネルギー政策を審議する重責を担っております。

 その重責を担う委員会の委員長として、東祥三委員長は、これ以上ない人材でございます。委員会運営においては、常に中立公正、強い責任感を持って平等な立場で誠心誠意努めてまいりました。

 東委員長は、風貌は少しいかつい感じはいたしますが、大変優しい、誠実な、高潔な人格者であります。そんな東委員長を解任しようとする今回の解任決議案は、全くもって信じがたい行為でございます。

 今国会で経済産業委員会に付託された案件は五本でございます。これまでの通常国会からは考えられないほど少ない数であるにもかかわらず、自民党は、委員会の定例日であっても、都合がつかないとか他の委員会で忙しいといろいろ理由をつけて、日程協議に応じようとしなかったり、与党側が提示した妥協案に耳を傾けようともしませんでした。

 大臣出張等による委員会を開くことができない日を除きまして、この三月から五月二十八日までの間に、委員会開催可能な定例日は十七日間ございました。それにもかかわらず、野党側の都合により、五回も委員会が不開催となったのであります。

 こうした理不尽な対応があっても、東委員長は、可能な限り、野党の言い分に真摯に耳を傾け、耐えがたきを耐え、円満な審議で速やかな成案を得るべく全力を傾注してこられたのであります。

 野党側の都合により委員会開催が不開催となるようなことが重なる中、法案成立に責任を持つ与党が法案審議優先を主張しても、野党、特に自民党の意見を聞き入れ、野党側の主張する一般質疑を行うほどでございました。与党側からは、野党の意見を聞き過ぎではないかと不満の声が上がるほど、野党に配慮した丁寧な運営を行ってきたのであります。

 北朝鮮に対する制裁措置の延長に関する承認案件について採決を強行したと野党側は主張しておりますが、これは全くの言いがかりでございます。

 韓国の哨戒艦沈没事案をめぐって、我が国を取り巻く安全保障環境が緊張の度合いを増しております。こうした中、国会の意思として速やかに現行制裁措置に承認を与えることが重要であるとの与野党一致した認識のもと、五月二十五日の理事懇において、日中韓の首脳・閣僚級会合の前に立法府の承認を与えるべきとし、その唯一の機会である五月二十六日の委員会で質疑、採決することを決したのであります。

 理事懇においては、質疑、採決の手続に関し意見の相違はありましたが、安全保障問題に造詣が深く、だれよりも日本国を愛する東委員長が、大所高所から与野党の意見を十分聞いた上で、質疑、採決を決定したのであります。

 野党側は採決の強行と主張しますが、与党側の行動には何ら強行性はありませんでした。第一に、そもそも野党側の意見を聞き入れる形で委員会付託が決定されたこと、第二に、手続に関し意見の相違はあったとはいえ、五月二十五日の理事懇では十分な協議を行っているからであります。

 むしろ、五月二十六日の委員会は欠席しておきながら、五月二十七日の本会議では賛成し、そして二十八日には委員会の運び方が気に入らないとして委員長の解任決議案を出すという行動は、野党側の審議拒否以外の何物でもないことを証明しております。これは、全く支離滅裂で意味不明、理念なき信じがたい暴挙であるとしか言いようがありません。

 それでは、この東委員長解任決議案の提出の目的は一体何なのでしょうか。

 五月二十七日は、総務委員長の解任決議案が提出され、否決されました。そして、本日は、赤松農水大臣の不信任決議案も提出されております。目的は、もはや明白であります。解任決議案や不信任決議案の提出を繰り返し乱発することで、自民党分裂につながりかねない郵政法案の審議を引き延ばすことであります。党利党略のパフォーマンス以外の何物でもありません。

 日本は、この二十年、ほとんど成長することなく、人口は減少を始め、無駄遣いの累積により国の借金は一千兆円にならんとしております。日本国をここまでおとしめた責任の多くは、この間ほぼ一貫して政権を担ってきた自民党にあるのでございます。

 その責任をまるで感じていないかのような民主党政権批判、国民が政権交代を求めた理由を全く理解していないかのような旧来型の手練手管の党利党略パフォーマンス、こうした解任決議及び不信任決議の乱発によりみずからの不都合な真実を覆い隠そうとする姿勢は、ごまかしの党利党略であり、国民はしっかりと見ております。官房機密費を数十年にわたって特定のジャーナリストにばらまいてきたという元政府高官の暴露もありましたが、そんなとんでもないことを本当にしていたとしても、国民の目をごまかすことはできません。

 最後に、野党、特に自民党の良識のある議員に強く申し上げます。(発言する者あり)

議長(横路孝弘君) 静粛に願います。

柿沼正明君(続) 日本の未来をがたがたにしておいて、その責任を少しでも感じるのであれば、こんな何の意味もない党利党略の東経済産業委員長解任決議案にぜひとも反対をしていただきたい。

 以上申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)

議長(横路孝弘君) 永岡桂子さん。

    〔永岡桂子君登壇〕

永岡桂子君 自由民主党の永岡桂子でございます。

 ただいま議題となりましたこと以前に、ちょっと皆様方に聞いていただきたいことがあります。

 私たち自由民主党の議員は集まっていたわけでございますが、突然ベルが鳴りました。国対委員長からお話をお聞きしましたところ、民主党と、与党と野党の委員長会談もできないままに、野党だけで、どうしたらいいだろう、そういう話をしていたそうでございます。そのさなかに開始のベルが鳴ったわけです。

 私は驚きました。まさか、公平中立であるはずの、この本会議を公正中立な立場で運営しなければならない、そういう横路議長ともある方が与野党国会対策委員長の会談をやりませずにベルを鳴らすなどということは、私には、到底考えられない、もうあり得ない話でございます。(発言する者あり)

議長(横路孝弘君) 静粛に願います。

永岡桂子君(続) どうぞ皆様方、与党の皆様方、特に新人の皆様方、こういうことは決してまねをしてはいけない、そう、鳩山総理の、今まで言ってきたこととやってきたことと違う、それを絶対にまねしてはいけない、政治家として、まねしてはいけない人生の先輩であるということを肝に銘じておいていただきたいと思います。

 それでは、ただいま議題となりました経済産業委員長東祥三君の解任決議案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 まず、今般、戦後初めて経済産業委員長の解任決議案が国会に上程されることになりました。このような結果を招いた東祥三君の委員会運営は、国会の歴史に残る大きな大きな汚点であります。

 本来、経済産業委員会というのは、目まぐるしく変化します経済社会情勢を見据え、国の根幹を担う経済対策、WTOなどの対外経済関係、また流通、商務、資源エネルギー、原子力、中小企業対策、また知的財産の保護など、文字どおりの、経済産業全般にかかわる幅広い問題を議論する場でなければなりません。しかしながら、公正な委員会運営に努めなければならないはずの委員長が、全く逆のことを行ってしまったんです。

 それは、現在の鳩山政権の政治姿勢そのものであります。普天間基地移設の迷走ぶりのごとく、まさしく、言っていることとやっていることが全く違うではありませんか。我々だけならまだしも、本当に、国民をだますのはもうやめていただきたい。このことを切にお願いいたします。

 賛成の理由といたしましては、委員会での必要な議論も尽くさず、少数の意見は切り捨て、そして数の力で強引に委員会を押し進めようとする民主党の方針にくみしているだけの東君が、経済産業委員長としての重責を担うだけの資質に欠ける。資質に欠ける、この一点であります。

 いかに東君が、小沢民主党幹事長と新進党以来、自由党、民主党と一貫して行動をともにし、また彼を政治の師と仰いでいるとはいえ、強引な手法までまねする必要は全くないのであります。

 そもそも、東君のでたらめな委員会運営は、さきの臨時国会のころから始まっておりました。

 我々は、昨年秋、ある意味で画期的な政権交代を果たした鳩山内閣の経済政策を本当に明らかにしてもらいたい、そう求めてまいりました。これは国民からも望まれている極めて重要な要求であるにもかかわらず、前例にない、そういう本当に意味不明な理由によりまして、拒否の姿勢に終始したわけです。

 東君は、最初から、審議を再開するための努力も払わず、結果、政策論議のための共通土台さえ構築することができないありさまでした。

 我々は、この不正常な状態の打開を望み、そしてたび重なる要請を行ってまいりましたが、東君は、それを少しも省みず、民主党の言いなりの誤った方針により、昨年秋の臨時国会においては、貴重な議論の機会をいたずらに空費したわけでございます。もちろん、委員会空転の責任については、当然、民主党の詭弁を弄した逃げの姿勢、これにあるわけでございますが、打開の努力を払ったようには全く見えない、そういう東君の責任も大変重大であります。このことは、国民に対する裏切りと言わざるを得ない暴挙であり、そして同じ議会人として、国民に申しわけない気持ちがいたします。

 さらに、今国会に入ってからも、東君は、昨年の反省に立つこともなく、我々の自制的な態度につけ込んだ民主党側の勝手な主張を簡単に許してしまい、委員長の職分を放棄したとしか考えられないような議会運営が続いております。

 去る五月十三日、いわゆる低炭素投資促進法の審議の際には、この法案が地球温暖化対策基本法ともとても関連性が高く、また重要な法案であることから、慎重な審議を求めてまいりました。しかし、十分な質疑時間の確保もせず、日程のみを念頭に、あり得ない急ぎ方で強硬な議会運営を行い、自民、公明両党欠席の中での採決が行われたわけです。この件は、議院運営委員会の議題に上り、本会議の開会が大きくおくれたことは周知のところであります。

 その後、国対委員長会談での調整を受けて事後的に補充質疑が行われましたが、東君からは、補充質疑に至るまでの過程などについては一切の説明がありませんでした。これを委員長の怠慢と言わずして、思い上がりと言わずして、何と言うのでしょうか。

 東君が質疑時間を十分にとらず強引に採決を行うという、議会政治の基本を無視した行為は、常任委員長という立場の無知、無理解に基づくものとしか考えられません。そのときも、解任決議案を出すに値すると我々は考えたわけでございますが、経済産業という重要分野を預かる委員会においては充実した審議を行うのが本分である、そう思い、解任決議案を出すのを踏みとどまったのであります。

 しかしながら、東君は、この一連の経過にも全く反省するところなく、去る五月二十五日、自民、公明、共産の三党がそろって十分な審議時間を求めているにもかかわらず、またまた聞く耳を持ちませんでした。

 自民、公明、共産の三党が不在の中、東君は職権で、翌二十六日の一般質疑、外為法に係る承認案件の提案理由説明、質疑、採決、そして独占禁止法改正案の提案理由説明という、異例中の異例、五階建ての委員会開催を勝手に決めました。勝手に決めたんです。野党側が抗議を行ったのもむなしく、職権で委員会が行われてしまったわけでございます。

 東君は、初めての委員長職という点を差し引きましても、全くみずからの経験に学んでいない。民主党理事ともども、本当に懲りない面々と言うほかありません。

 事態打開のために与野党双方に働きかけることもせず、会期末が迫る中、法案処理を加速させる与党の横暴に対し、その片棒を担ぐだけであれば、委員長たる資格はありません。混乱を収拾できないのであれば、解任決議案が提出される前に、御自身のためにも、潔く辞任されるべきではなかったのでしょうか。

 もともと、経済産業分野というのは、基本的方向におきまして与野党間で大きな差はないはずであります。少なくとも、これまでの経済産業委員会においては、こうした形での不毛な対立はほとんどなく、立場は異なれども、与野党は国民経済の諸問題の解決に基本的には協力してきたものと認識しております。

 しかし、ここに至って、その共通認識を確認、醸成する努力も怠り、いたずらに与野党の対立のみをあおった形になったこと、そして委員長みずからが先頭に立って再三職権を振りかざし、それを恥とも思わないことは、まことに残念でなりません。

 難題に直面する国民各層のため、一刻も早く本来の正常な形に戻すべきであります。それもできない東君の情けない議会運営は、国民の負託を全く裏切ったものであり、解任は、当然不可欠であります。

 改めて東祥三君の解任を強く求めるとともに、我が国経済の困難に共同して立ち向かうことをお約束して、私の賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(横路孝弘君) 江田康幸君。

    〔江田康幸君登壇〕

江田康幸君 公明党の江田康幸でございます。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました経済産業委員長東祥三君解任決議案につきまして、賛成の立場から討論を行うものでございます。(拍手)

 冒頭に一言申し上げます。

 本日、横路議長は、与野党国対委員長会談の開催を指示しておきながら、その会談の最中にベルを鳴らすという信じられない暴挙に出られました。本来、議長は、与野党の調整役であり、大変に重要な役目を担っておられますが、その行動に対して、冒頭、強く抗議をしておきます。

 さて、東委員長は、去る五月二十五日の理事懇談会散会後、与野党の意見が一致していないにもかかわらず、翌二十六日の委員会開会を職権で決定し、野党議員が出席していない中、一般質疑、北朝鮮制裁措置承認案件の提案理由の説明、そして質疑、さらに採決、さらには独占禁止法案の提案理由の説明と、一気に五階建てで承認案件の採決を強行したことは、極めて遺憾であり、かつてない暴挙であると断ぜざるを得ません。

 この北朝鮮制裁措置承認案件に関しては、五月の二十日、韓国軍・民間合同調査団が、三月二十六日に発生した韓国哨戒艦沈没事件が北朝鮮の魚雷攻撃によるものであると発表し、北朝鮮の行動は、我が国の安全保障上極めて重大な事件となっておりました。鳩山総理は、国連安保理の北朝鮮制裁決議について、日本として先頭を切って走ると発言し、五月二十四日に安全保障会議を招集し、対北朝鮮独自措置を検討するとしました。

 このような状況の中で、北朝鮮制裁措置承認案件については、十分な審議時間をとって政府の対北朝鮮経済制裁の今後の方向性を議論した上で採決すべきと主張したにもかかわらず、これを無視して、一方的に委員会を開催、強行採決という暴挙に出たのであります。

 そもそも、経済産業委員長は、国会法に定められた院の役員であり、委員会運営においては、党派に偏することなく公平な運営に心がけることが求められているのであります。しかるに、東委員長はその職責の重要性を全く理解していないのではないかと言わざるを得ません。

 これまでも幾度となく委員長職権で委員会開催が決定されてきましたが、委員長が中立公正な立場から事態の打開を図ろうとする行動は一切ありませんでした。

 五月十一日の理事懇談会では、野党の合意がないまま、翌十二日の委員会開会を職権で決定し、地球温暖化対策基本法との連合審査で十分審議が求められていた低炭素製品製造法案をわずか一回の審議で強行採決してしまい、与野党国対委員長会談で調整の上、この失態を償うために翌十三日の委員会で補充質疑を行うという始末です。一度ならず二度までも強行採決を繰り返す委員長の指導力のなさ、委員会軽視の姿勢は、断じて容認することはできません。

 今国会における民主党の数を頼んだ強引な議会運営の手法は、目に余るものがございます。二十八日の郵政見直し関連法案の強行採決を含めて、今国会で与党による強行採決は何と十回にも達しています。十分な審議を必要とする多くの重要法案を抱えながら、なぜそんなに強行採決を繰り返すのですか。もはや、失望、否、絶望政権に成り下がった鳩山政権が、参議院選挙を控え、政治と金、普天間問題など、国会を開会しているとさらに醜態をさらけ出すことになることから、早々と会期延長しないとの方針を決定しているからではありませんか。与党の都合で議会制民主主義をないがしろにする姿勢は、断じて許すことはできません。

 このような与党方針にくみして、強行採決という民主党自身がかつて強く批判した手法によって政治の信頼をさらに傷つけた東委員長の責任は、極めて大きい。

 以上の理由から、経済産業委員長東祥三君にこの際強く反省を求め、解任決議案に賛成するものであります。

 議員各位の御賛同を心からお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(横路孝弘君) 吉井英勝君。

    〔吉井英勝君登壇〕

吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、経済産業委員長東祥三君解任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 去る五月二十五日の理事懇談会において与野党間で一致した内容は、翌日の委員会で一般質疑を行うことと、新規の案件として、いわゆる北朝鮮制裁措置承認案件についての趣旨説明を聴取するというところまででありました。

 承認案件の質疑を何時間行うのか、採決日程はどうするのかなど、具体的な審議の進め方について意見の一致を見なかったことから、引き続き協議を行っていたその最中に、委員長みずからが、与党提案そのままの一方的な委員会日程を強行したのであります。

 その内容は、極めて異例な、いわゆる五階建ての日程でした。与野党で合意していた一般質疑と承認案件の趣旨説明の二つの議題に加え、承認案件の質疑と採決を行った上で、さらに、新規の案件である独禁法改正案の趣旨説明まで強行したのであります。

 二十七日の本会議で、東委員長は、承認案件について、提案理由、趣旨説明聴取後、質疑に入り、質疑終了後、採決したと委員会報告を行っていますが、この報告は事実と全く異なります。前日二十六日の委員会で、東委員長は、質疑入りを宣言し、一方的に、質疑者の通告はないとして、質疑を終局させ、採決を行ったのであります。

 北朝鮮制裁承認案件は、与野党一致でできる内容でありました。正常な委員会運営のもとで、しかるべき質疑を行えば、採決日程についても合意に至るものでありました。にもかかわらず強行した東委員長の委員会運営は、まさに異常だと言わざるを得ません。

 さらに問題なのは、この日の委員会で独禁法改正案の趣旨説明まで強行したことです。この独禁法改正案は、審判制度廃止という、公正取引委員会の権能にかかわる重要な内容を盛り込んだ法案です。ところが、東委員長は、翌二十七日の理事懇で、わずか三時間半の審議のみで採決するという委員会立てを職権で行ったのであります。

 公正取引委員会の審判制度をめぐっては、二〇〇五年の独禁法改正案以来論議が重ねられてきました。前政権の百七十一国会に出された独禁法改正案に対しては、参考人質疑も含む、二日間、九時間五十分の審議を行うなど、時間をかけて審議を行ってきました。今回の改正案についても、かねてより公明党理事から、参考人質疑、公聴会など十分な審議を行うよう提案され、さらに、消費者団体からも慎重審議を求める要望書が出されていたところであります。

 結果的に、二十八日の委員会開会は見送られましたが、東委員長の一方的な委員会運営が経済産業委員会の混乱に拍車をかけたのであります。

 しかも、こうした不正常な運営は今回だけのことではありません。わずか二週間前の五月十一日にも、与野党合意のないまま、職権で委員会を開催し、エネルギー環境適合製品製造促進法案の質疑、採決と、JOGMEC法案の趣旨説明を強行しています。この乱暴な委員会運営が議院運営委員会でも問題となり、十三日の本会議で予定されていた法案採決が延期となる事態を招いたのであります。

 その後、十八日に、補充質疑と態度の確認、JOGMEC法案の趣旨説明のやり直しという異例の委員会開会をして、ようやく委員会が正常化に向けて踏み出したところだったのであります。それなのに、何の反省もなく、また強行を重ねた東祥三君に、今、委員長の資格があるのかが問われているときであります。

 東委員長は、就任あいさつで、公正かつ円満なる委員会運営に努めると述べておられました。しかし、その言葉に反し、委員会運営の当たり前のルールを踏みにじり、与党国対の方針のままに強行に強行を重ねてきました。これは、立法府たる国会の役割を委員長みずからが放棄したものであることを厳しく指摘しなければならないものであります。

 なお、この点では、衆議院議長もまた、異常な国会運営に手をかしてはならないということも申し添え、本解任決議案への賛成討論といたします。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) これより採決に入るのでありますが、この際、暫時休憩いたします。

    午後三時四十分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時十分開議

議長(横路孝弘君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(横路孝弘君) 経済産業委員長東祥三君解任決議案につき採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(横路孝弘君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(横路孝弘君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百四十七

  可とする者(白票)        百四十

  否とする者(青票)        三百七

議長(横路孝弘君) 右の結果、経済産業委員長東祥三君解任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

浜田靖一君外六名提出経済産業委員長東祥三君解任決議案を可とする議員の氏名

あべ  俊子君   逢沢  一郎君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君

麻生  太郎君   甘利   明君   井上  信治君   伊東  良孝君

伊吹  文明君   石田  真敏君   稲田  朋美君   岩屋   毅君

江渡  聡徳君   江藤   拓君   遠藤  利明君   小里  泰弘君

小野寺 五典君   小渕  優子君   大島  理森君   大野  功統君

大村  秀章君   梶山  弘志君   金子  一義君   金子  恭之君

金田  勝年君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君   河村  建夫君

岸田  文雄君   北村  茂男君   小池 百合子君   小泉 進次郎君

後藤田 正純君   高村  正彦君   近藤 三津枝君   佐田 玄一郎君

佐藤   勉君   齋藤   健君   坂本  哲志君   塩崎  恭久君

塩谷   立君   柴山  昌彦君   下村  博文君   新藤  義孝君

菅   義偉君   菅原  一秀君   田中  和徳君   田野瀬良太郎君

田村  憲久君   平   将明君   高市  早苗君   高木   毅君

竹下   亘君   竹本  直一君   武田  良太君   橘  慶一郎君

棚橋  泰文君   谷   公一君   谷垣  禎一君   谷川  弥一君

谷畑   孝君   徳田   毅君   中川  秀直君   中谷   元君

永岡  桂子君   長島  忠美君   長勢  甚遠君   二階  俊博君

西野 あきら君   額賀 福志郎君   野田  聖子君   野田   毅君

馳    浩君   浜田  靖一君   林   幹雄君   平井 たくや君

平沢  勝栄君   福井   照君   福田  康夫君   古川  禎久君

古屋  圭司君   保利  耕輔君   細田  博之君   町村  信孝君

松浪  健太君   松野  博一君   松本   純君   三ッ矢 憲生君

宮腰  光寛君   村上 誠一郎君   茂木  敏充君   森   英介君

森   喜朗君   森山   裕君   柳本  卓治君   山口  俊一君

山本  公一君   山本  幸三君   山本   拓君   山本  有二君

吉野  正芳君   赤松  正雄君   井上  義久君   池坊  保子君

石井  啓一君   石田  祝稔君   稲津   久君   漆原  良夫君

江田  康幸君   遠藤  乙彦君   大口  善徳君   斉藤  鉄夫君

坂口   力君   高木  陽介君   竹内   譲君   遠山  清彦君

富田  茂之君   西   博義君   東   順治君   古屋  範子君

赤嶺  政賢君   笠井   亮君   穀田  恵二君   佐々木 憲昭君

志位  和夫君   塩川  鉄也君   高橋 千鶴子君   宮本  岳志君

吉井  英勝君   浅尾 慶一郎君   江田  憲司君   柿澤  未途君

山内  康一君   渡辺  喜美君   園田  博之君   与謝野  馨君

城内   実君   小泉  龍司君   衛藤 征士郎君   鳩山  邦夫君

否とする議員の氏名

安住   淳君   阿久津 幸彦君   阿知波 吉信君   相原  史乃君

青木   愛君   赤松  広隆君   東   祥三君   網屋  信介君

荒井   聰君   五十嵐 文彦君   井戸 まさえ君   池田  元久君

石井   章君   石井 登志郎君   石毛 えい子君   石関  貴史君

石田  勝之君   石田  三示君   石田  芳弘君   石津  政雄君

石原 洋三郎君   石森  久嗣君   石山  敬貴君   泉   健太君

磯谷 香代子君   糸川  正晃君   稲富  修二君   稲見  哲男君

今井  雅人君   内山   晃君   打越 あかし君   生方  幸夫君

江端  貴子君   枝野  幸男君   小沢  鋭仁君   小野塚 勝俊君

小原   舞君   緒方 林太郎君   大泉 ひろこ君   大串  博志君

大島   敦君   大谷   啓君   大西  健介君   大西  孝典君

大畠  章宏君   大山  昌宏君   太田  和美君   岡島  一正君

岡田  康裕君   岡本  英子君   岡本  充功君   奥田   建君

奥野 総一郎君   奥村  展三君   加藤   学君   加藤  公一君

鹿野  道彦君   海江田 万里君   柿沼  正明君   笠原 多見子君

梶原  康弘君   勝又 恒一郎君   金森   正君   金子  健一君

神山  洋介君   川内  博史君   川口   浩君   川口   博君

川越  孝洋君   川島 智太郎君   川端  達夫君   川村 秀三郎君

菅   直人君   木内  孝胤君   木村たけつか君   吉良  州司君

城井   崇君   黄川田  徹君   菊田 真紀子君   菊池長右ェ門君

岸本  周平君   北神  圭朗君   京野  公子君   工藤  仁美君

櫛渕  万里君   楠田  大蔵君   沓掛  哲男君   熊谷  貞俊君

熊田  篤嗣君   黒岩  宇洋君   黒田   雄君   桑原   功君

玄葉 光一郎君   小泉  俊明君   小平  忠正君   小林  興起君

小林 千代美君   小林  正枝君   小宮山 泰子君   小宮山 洋子君

小室  寿明君   小山  展弘君   古賀  一成君   古賀  敬章君

後藤  英友君   後藤   斎君   後藤  祐一君   郡   和子君

近藤  和也君   近藤  昭一君   近藤  洋介君   佐々木 隆博君

佐藤 ゆうこ君   斉木  武志君   斉藤   進君   齋藤   勁君

斎藤やすのり君   坂口  岳洋君   阪口  直人君   笹木  竜三君

階    猛君   篠原   孝君   柴橋  正直君   下条  みつ君

城島  光力君   白石  洋一君   神風  英男君   首藤  信彦君

瑞慶覧 長敏君   末松  義規君   杉本 かずみ君   菅川   洋君

鈴木  克昌君   鈴木  宗男君   仙谷  由人君   園田  康博君

空本  誠喜君   田島  一成君   田嶋   要君   田名部 匡代君

田中けいしゅう君   田中 眞紀子君   田中 美絵子君   田中  康夫君

田村  謙治君   平   智之君   高井  崇志君   高井  美穂君

高木  義明君   高野   守君   高橋  昭一君   高橋  英行君

高松  和夫君   高邑   勉君   高山  智司君   滝    実君

竹田  光明君   武正  公一君   橘   秀徳君   玉木  朝子君

玉木 雄一郎君   玉城 デニー君   玉置  公良君   樽床  伸二君

中後   淳君   津川  祥吾君   津島  恭一君   津村  啓介君

辻    惠君   筒井  信隆君   手塚  仁雄君   寺田   学君

土肥  隆一君   道休 誠一郎君   豊田 潤多郎君   中井   洽君

中川   治君   中川  正春君   中島  政希君   中島  正純君

中津川 博郷君   中塚  一宏君   中根  康浩君   中野  寛成君

中野   譲君   中野渡 詔子君   中林 美恵子君   中山  義活君

仲野  博子君   永江  孝子君   長尾   敬君   長島  昭久君

長島  一由君   長妻   昭君   長安   豊君   仁木  博文君

西村 智奈美君   野木   実君   野田  国義君   野田  佳彦君

羽田   孜君   萩原   仁君   橋本  清仁君   橋本  博明君

橋本   勉君   畑   浩治君   鉢呂  吉雄君   初鹿  明博君

鳩山 由紀夫君   花咲  宏基君   浜本   宏君   早川 久美子君

原口  一博君   樋口  俊一君   平岡  秀夫君   平野  博文君

平山  泰朗君   福嶋 健一郎君   福島  伸享君   福田  昭夫君

福田 衣里子君   藤田  一枝君   藤田  大助君   藤田  憲彦君

古川  元久君   古本 伸一郎君   細川  律夫君   細野  豪志君

本多  平直君   馬淵  澄夫君   前原  誠司君   牧   義夫君

牧野  聖修君   松岡  広隆君   松木けんこう君   松崎  公昭君

松崎  哲久君   松野  頼久君   松原   仁君   松宮   勲君

松本  大輔君   松本  剛明君   松本   龍君   三日月 大造君

三谷  光男君   三村  和也君   三宅  雪子君   三輪  信昭君

三井  辨雄君   水野  智彦君   皆吉  稲生君   宮崎  岳志君

向山  好一君   村井  宗明君   村上  史好君   村越  祐民君

室井  秀子君   本村 賢太郎君   森岡 洋一郎君   森本  和義君

森本  哲生君   森山  浩行君   矢崎  公二君   谷田川  元君

柳田  和己君   山尾 志桜里君   山岡  賢次君   山岡  達丸君

山口  和之君   山口   壯君   山崎  摩耶君   山崎   誠君

山田  良司君   山井  和則君   山花  郁夫君   山本  剛正君

湯原  俊二君   柚木  道義君   横粂  勝仁君   横光  克彦君

横山  北斗君   吉川  政重君   吉田   泉君   吉田 おさむ君

吉田  公一君   吉田  統彦君   笠   浩史君   和嶋  未希君

和田  隆志君   若井  康彦君   若泉  征三君   鷲尾 英一郎君

渡辺 浩一郎君   渡辺   周君   渡辺  義彦君   渡部  恒三君

阿部  知子君   重野  安正君   辻元  清美君   照屋  寛徳君

中島  隆利君   服部  良一君   吉泉  秀男君   亀井  静香君

下地  幹郎君   松下  忠洋君   石川  知裕君

     ――――◇―――――

議長(横路孝弘君) この際、暫時休憩いたします。

    午後五時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後九時十三分開議

議長(横路孝弘君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

     ――――◇―――――

高山智司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 大島理森君外七名提出、農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(横路孝弘君) 高山智司君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案(大島理森君外七名提出)

議長(横路孝弘君) 農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。小里泰弘君。

    ―――――――――――――

 農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔小里泰弘君登壇〕

小里泰弘君 自由民主党の小里泰弘でございます。

 まず最初に申し上げます。

 五月二十八日、総務委員会におけるわずか六時間足らずの審議時間による郵政改革法案の強行採決、議長による与野党国対委員長会談開催の指示の無視、これを受けて野党四党の国対委員長が議長に申し入れのさなかに本会議開催のベルが押されましたことは、まさに前代未聞、議長の中立性を大きく損ねるものであります。議長と与党のこの横暴きわまる国会運営に、まず強く抗議するものであります。

 さて、私は、自由民主党・無所属の会、公明党、みんなの党及びたちあがれ日本を代表して、ただいま議題となりました農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案について、提案の理由を説明いたします。(拍手)

 まず、案文を朗読いたします。

  本院は、農林水産大臣赤松広隆君を信任せず。

   右決議する。

 以下、その理由を説明いたします。

 去る四月二十日、宮崎県において家畜伝染病たる口蹄疫が発生し、日に日に感染が拡大し、きのうの時点で、発生事例は二百三十八農場、殺処分の対象は予防的殺処分を含め三十万頭に迫り、家畜伝染病としては空前の被害となっております。

 激しさを増す感染拡大に、防疫措置のための人員や埋却用地の土地の確保も追いつかず、まさに現地は阿鼻叫喚の地獄絵であり、畜産関係者や対応に当たる職員を初め、心身ともに限界状態に達しております。

 思えば、十年前の口蹄疫発生時においては、当時の自民党の江藤隆美対策本部長を先頭に、早期の十分な予算措置を初め、政府・自民党と自治体、現地関係者との連携による迅速な対応で、発生四例、殺処分対象は七百四十頭の段階でこれを封じ込め、被害を最小限度に抑えたのであります。

 発生と同時に、発生農家の周囲五十メートル圏を完全に交通遮断し、五十キロメートル圏から封じ込めを図り、徐々に包囲網を狭めるなど、迅速かつ周到な対応が功を奏したのであります。

 自民党農林部会を朝昼晩と毎日開催し、悲壮なまでの激論を交わし、関係者一丸となって臨んだこのときの初動防疫は、OIE、国際獣疫事務局により、日本の畜産、獣医の底力が世界に示された快挙、関係機関一体となった対応は世界に類を見ないと、極めて高い評価を得たのであります。

 この経験を踏まえ、私ども自由民主党は、今回、発生と同時に農林部会を招集し、情報収集とともに対策を取りまとめ、三次にわたり政府に対策を要請したのであります。衆参農林水産委員会を初め関係委員会でも必死の議論を重ね、あらん限りの情報とノウハウを提供し、対策の徹底を訴えてまいりました。

 さらに、四月二十七日、東国原宮崎県知事から、十年前の自民党のノウハウで支援いただきたいとの要請を受け、翌二十八日、谷垣対策本部長を先頭に、宮崎県へ赴き、県や関係市町村、生産者団体と意見交換を行い、これに基づき、対策を政府にまた訴えたのであります。

 日増しに被害が拡大する中で、この宮崎での意見交換会では、何をしていいかわからない状況が続いている、十年前と比べて国の対応が遅い、今の国の対応では再起できないとの声が相次いだのであります。また、五月九日にお会いした被災地の市長さんは、国からほとんど指示がない、ただ穴を掘って埋めろと言っているにすぎないと、政府の対応に憤慨を込めて言われたのであります。

 この間、赤松農林水産大臣は、一度も宮崎に入らず、陣頭指揮をとらないどころか、何と四月三十日から五月八日までの九日間、我々の制止を振り切って、メキシコ、キューバ、コロンビアへの外遊に費やし、やっと宮崎に入ったのは五月十日、実に発生から三週間を経過しておりました。

 宮崎県、鹿児島県は、日本の畜産の一位、二位を争う畜産県であります。日本の畜産の一大危機、そして国家の食料安保にかかわるこの緊急事態に、何という責任感の欠如、危機管理能力の欠如でありましょうか。

 赤松大臣が、感染拡大の燃え盛る火に目をつぶり、中南米歴訪の外遊に旅立ったあのとき、被災地の人々は、いよいよ国に見捨てられたと思ったでありましょう。

 かの地における赤松大臣の日程は、型どおりの会談と農園等の視察、また空白の時間も多く、大臣みずからが行かなければならない緊急性は全くなかったのであります。ましてや、日本の畜産のこの悲劇と引きかえに行かなければならない理由がどこにありましょうか。

 赤松大臣が外遊に旅立つ直前の四月二十八日、初めての豚への感染が確認をされました。牛の数千倍もの感染力を持つ豚への感染で、ステージは大きく変わったのであります。パンデミックは十分予想し得たはずであります。

 まさに信号が黄色から赤に変わったそのとき、赤松大臣は外遊を強行したのであります。外遊中に被害頭数は十倍になり、さらにその後の爆発的感染拡大につながったことを考えますと、まさにこの連休が、対策の立案、実行の分水嶺であったと考えます。

 農林水産大臣としての危機管理義務を果たすことなく、九日間もの華やかな外遊を優先した、この一事をもってしても万死に値するものであります。

 なお、赤松大臣以外にも、連休中に、中井国家公安委員長、前原国土交通大臣を初め、十一人もの閣僚が大挙して外遊に旅立ち、日本を留守にすることに、国の危機管理の観点からいかがなものかと私どもは警鐘を鳴らしておりました。

 加えて、連休期間中、業務日を除いて、政務三役のだれ一人、農林水産省に登庁をしておりません。すなわち、五月一日、二日、三日、四日、五日、そして八日、九日と七日間、政務三役は対策本部を留守にしたのであります。感染は休日も関係なく拡大し、現場関係者に休みはありません。現場のニーズは間断なく上がってまいります。当然のこととして休日返上で対応に当たるべきこの緊急事態に、何というていたらく、何という怠慢でありましょうか。

 五月十一日、衆議院農林水産委員会における我が党議員の外遊についての質問に対して、赤松大臣は、私一人がいなかったからといっていささかも支障があったとは理解していないと、この緊急事態に際し、まるで自分が最高指揮官であることを忘れたかのようなていでありました。さらに、同日の答弁では、一定の地域に押し込むことができている、評価いただきたいと、大臣も副大臣も胸を張るに及んでは、私たちは耳を疑わざるを得なかったのであります。

 この連休期間中も、我々の要請に対して農水省幹部は、まず政務三役に相談しなければ、政務三役の了承を得なければと、即応できず、決断すべき政務三役は持ち場にすらいなかったのであります。政治主導の名のもとに、さらに対策がおくれていったことは言うまでもありません。

 政府の現地対策本部の設置もおくれにおくれました。見かねた私どもが、五月十四日の衆議院農林水産委員会で、国が主導して対策を打っていく上で現地対策本部の設置が不可欠であると訴えた際も、今の体制で十分であるとの答弁でありました。方針を転換して現地対策本部を設置したのが五月十七日、実に発生から一カ月近くを経過していたのであります。

 農林水産委員会で我が党の江藤拓委員が、人工授精師や畜産農家の経営の課題、屠畜場の確保、排せつ物の処理など具体例を挙げて現場の窮状を訴えた際に、山田副大臣は、今初めて聞いたかのような答弁でありました。ここに現地との大きな距離が存在したのであります。現地の状況を目で見て、肌で感じ、東京との温度差を埋めるべきが現地対策本部の役割であります。だからこそ、発生と同時にこれを立ち上げ、少なくとも副大臣みずからが常駐し、陣頭指揮に当たるべきでありました。

 関係省庁との連携体制の構築もおくれ、鳩山総理を本部長とする政府対策本部の設置もまた発生から一カ月後でありました。総理官邸の認識の甘さはもちろんのこと、口蹄疫対策における鳩山総理のリーダーシップもまた、今に至るまでほとんど見られないのであります。

 これは災害であり、国の危機管理が問われております。私は、阪神・淡路大震災に際し、担当大臣秘書官として対策の一端を担い、また、平成十八年の鹿児島県北部豪雨災害に際しては、地元代議士として対応に当たりました。

 そのときの経験として、わきまえるべきは、大きな災害時には、まず国の指揮官が現地に行くことであります。そして、予算も制度も任せろ、責任は全部自分がとるという、国の確かなリーダーシップとバックアップがあって初めて現場は奮い立ち、迅速かつ適切な対応が進むのであります。

 震災は、地震がおさまればやがて終息に向かいます。豪雨災害は、雨がおさまれば終息に向かいます。しかしながら、口蹄疫は、日に日に感染が拡大していきます。それだけに、自然災害以上に初期対応がすべてを決するのであります。

 ことしに入り、中国、台湾、韓国と口蹄疫が発生し、感染が拡大をする中で、水際での防疫や現場における症状の確認、検査の徹底など、国の体制と指導が十分であったとは思えません。急を要する消毒薬の手配も一週間おくれ、十日おくれとなり、関係者は現地調達を強いられ、肝心の発生地において消毒薬にも事欠くありさまでありました。自治体に対する具体的指示もほとんどなく、初動対応のおくれは枚挙にいとまがありません。

 特に、発生地における家畜の殺処分や埋却のおくれは決定的な致命傷となりました。人員や用地の確保がおくれ、感染源が大量に長期にわたり放置され、被害が広がっても仕方がない状況をつくったのであります。国が用意した埋却用地は、掘ったら水が出る防風林や、岩山そのものの国有林であり、全く用をなさないなど、政府による対応の稚拙さと決断のおくれは隠しようがありません。

 感染拡大のさなかにおいては、後手後手に回ることなく、先回りした対応が求められます。特に、発生地を中心に、一定のエリアを定め、牛、豚のいない空白地帯をつくることで、それ以上の蔓延を防ぐことが期待をされます。

 我々は、この予防的全頭殺処分の実施を初期の段階から訴えてまいりました。連休中には、三キロ圏内との具体的範囲も挙げて提案し、さらに、五月十三日の参議院農林水産委員会では、我が党の野村哲郎委員が繰り返し予防的全頭殺処分の実施を迫ったものの、赤松大臣は、制度上できない、効果がないとこれを拒み続け、ついには、自分自身の信念においてこれはできないと突っぱねたのであります。

 ところが、方針転換により、予防的全頭殺処分の実施を決めたのが五月十八日、時既に発生から一カ月を経過し、対象地域は、三キロ圏内どころか、十キロ圏、二十キロ圏と何十倍にも拡大をし、新たに二十万頭近くもの処分が必要となったのであります。決断のおくれが被害拡大を招き、事態収拾を決定的に困難にしたことは、返す返すも残念でなりません。

 四月三十日に我々が自衛隊派遣のおくれを指摘したときに、政府は、自衛隊を派遣すると事が大きくなる、現地が動揺すると消極的な対応でありました。そして、自衛隊の第一陣が着任したのは五月一日と、事態発生から十二日を経過しておりました。現場や私どもの指摘を受けて、消毒ポイントにおける一般車両への消毒を実施したのは五月八日、発生から十九日を経過しておりました。

 お金の心配をしていたのでは、自治体や現場の初動態勢が整わない、畜産農家も経営への不安から取り組みに十分な協力ができない、したがって、初期の段階で十分な予算措置のメッセージを発しなければならないと、これは、十年前の教訓であります。しかるに、今回は、状況把握と決断がおくれ、これなら頑張れる、再建できると思えるメッセージを政府はいまだに発していないのであります。

 毎年子牛を産んで家計を支え、子供を進学させ、多くの思い出とともにある母牛に、手ずから最後のえさを与えて殺さなければならない生産者の気持ちが、大臣にわかるのでありましょうか。口蹄疫で乳が出なくなった母豚にかわり、もうすぐ死ぬとわかっている子豚を抱いて、泣きながら哺乳瓶でミルクを与える子供の気持ちがわかるのでありましょうか。一生懸命仕事を手伝ってきた子供たちが、心に傷を負い、不登校となり、夫婦げんかも絶えない。この原因をつくったのはだれでありましょうか。このような心の傷は深く、お金では解決できません。

 伝説の種牛と言われ、長年にわたり畜産界に大功労をなした安平も、エース中のエースであった忠富士も、殺処分の対象となりました。宮崎県の畜産のみならず、日本の畜産の至宝ともいうべき多くの種牛を失い、今や宮崎牛は絶滅の危機にあります。三十六年かけてブランド化にこぎつけた先人の歴史と努力が無に帰そうとしているのであります。

 近年におけるえさ代の高騰と畜産価格の低迷で畜産農家の体力が弱る中、九州全域にわたる競り市の停止、出荷の停止により、えさ代がかさみ、家畜の価値が下がり、多くの畜産農家が苦況に立たされております。

 蔓延を防ぐために、人が集まる多くの集会やイベントが中止され、人や物の移動が困難となり、商店街は灯が消え、畜産関連業界だけでなく、広く地域経済社会に深刻な影響を及ぼしております。軌道に乗りかけていた国産ブランドの輸出も、非清浄国となったことで輸出停止を余儀なくされ、再開のめどは立っておりません。せっかく切り開いた販路や評価が失われる事態に直面をしているのであります。

 今次の対応は、十年前の初動防疫における誇るべき国際的評価をも地におとしめ、我が国の防疫に対する信頼を大きく失墜せしめたのであります。多くの畜産、酪農家の悲劇を生み、地域に、そして日本の畜産にはかり知れない打撃を与えた責任は、挙げて政府にあります。なかんずく、赤松大臣の責任は、決して免れることはできません。

 結果にすべてがあらわれております。現実は目の前にあります。県の対応が遅かった、法定受託事務だからと県に責任を転嫁するような政務三役の姿勢は、断じて許されるものではありません。これは国家の危機管理であり、食料安保は、国が最後まで責任を持つべき最たるものであります。

 この期に及んでも、赤松大臣は、お決まりの言いわけ答弁、時間稼ぎ答弁を延々と繰り返し、全く反省の色を見せないどころか、何も反省すべきことはない、謝るべきこともないと言い放ったのであります。もはや、赤松大臣の責任感の欠落と現状認識の欠如は覆い隠しようもありません。

 本来、赤松大臣は、農業、農村とは縁遠い環境で活動を展開してこられました。果たして、農業の現場の本質がわかっているのか、農民の心がわかっているのか、通常の委員会審議を通じてもおぼつかないものを我々は感じておりました。不幸にも、今回、危機管理においてそれが露呈したのであります。

 なお、報道によると、赤松大臣は、きのう、宮崎県を訪れ、東国原知事に陳謝し、初めて現地の被害農家を訪問したということであります。しかしながら、農家での滞在時間はわずかに十分間、防護服も着用しておらず、牛舎にも入らなかったとのことであります。すなわち、ワクチンを接種され、殺処分を待つ牛を見ることもなかったのであります。

 方針が迷走し、農家の心を振り回し、ちまちましたことをやっても仕方がない、全頭殺処分だと、先般、記者会見で言ってのけたという赤松大臣に、農家を思う親身な姿勢は見られなかったのであります。

 処分に心を痛め、被害に苦しむ農家は落胆をし、なぜこんなに被害が広がったのか、手塩にかけた牛を殺す気持ちがわかるかと、多くの農場主から詰問される場面もあったということであります。

 また、けさの新聞では、鳩山総理が韓国・済州島で記者会見し、口蹄疫の被害が拡大している宮崎県を近く訪問する意向を表明したという、悠長な姿勢がむなしく掲載されていたのであります。

 赤松大臣に対する現地の信頼は既になく、鳩山総理に対する期待は全くありません。あるのは、不信と怒りであります。そして、日本の畜産を思い、農業、農村を思い、食料安保を願う多くの国民が、今、怒りの声を上げております。

 私たちは、あらん限りの手を尽くし、口蹄疫の猛威から日本の畜産を守り、国民の食の安保を図っていかなければなりません。

 また、被災農家の生活支援や再建支援を初め、今回の口蹄疫で生じたあらゆる費用や経済的損失を、制限区域の内外を問わず、国が全面的に補償し、支援を図っていかなければなりません。

 対策推進のために、私どもは、口蹄疫対策特別措置法案を提案いたしました。

 すなわち、車両等の消毒の義務づけ、感染し、または感染するおそれのある牛や豚の処分、焼却、埋却の支援措置、その所有者の経済的損失の全額補償、防疫要員の確保のための支援措置、予防的殺処分の制度化と所有者の損失補てん、生産者等の経営の再建のための支援措置、地域再生のための基金の設置などを内容としております。

 今回の政府の対応の反省と今後の課題にかんがみ、対策推進のための特別措置を定めるものであり、ほぼ我々の案に沿って成立をいたしました。

 対策推進のポイントはリーダーであります。この際、口蹄疫対策の迅速化を図り、実効を上げていくために、赤松大臣のみならず、政務三役そろって交代し、新たな体制をもって事態に臨むべきであります。

 なお、昨年十一月、赤松大臣は、大規模な政治資金パーティーを開催いたしました。農林水産省が所管をする業界団体やパチンコ業界、労働組合の代表者らが呼びかけ人となり、会費は一人二万円で、報道によれば、出席者は少なくとも七百八十人に上ったとされます。

 事前の衆議院予算委員会において、私が、閣僚のパーティーの自粛を規定した大臣規範に抵触すると指摘したのに対し、ごく近しい人たちの、限られた範囲での開催であると強弁し、私どもの制止を振り切ってパーティーを強行開催したのであります。

 そもそも、民主党のマニフェストでは、企業、団体の献金及びパーティー券購入の禁止をうたいながら、さらに大臣規範を犯してまでの開催は、倫理観の欠如を伺わせ、大臣としての資質を大きく疑わせるものでありました。

 また、赤松農林水産大臣の政党支部や資金管理団体には、全日通労働組合を初め労働組合側から、二〇〇二年以降、合計で一億一千八百万円に及ぶ寄附がなされております。

 ちなみに、直嶋経済産業大臣側には、二〇〇三年以降、トヨタ関係の労組を初めとする自動車関連の労組側から合計二億八千六百万円余りもの資金提供がなされ、平野官房長官側には、二〇〇三年以降、松下労組を初めとする労組側から合計二億一千七百万円余りの寄附がなされております。

 現在の鳩山内閣において、労働組合の組織内候補たる大臣は七人、これを含め、多くの民主党議員が労組から巨額の資金提供を受けているのであります。

 そもそも、労組マネーについては、従来、どのように調達をされ、どのように使われているのか、不透明な実態が指摘をされ、民主党の小林千代美衆議院議員をめぐる北海道教職員組合による政治資金規正法違反事件により、その一端が浮き彫りになりました。あるいは、公務員が法に違反して堂々と選挙活動や政治活動に励む状況は、目に余るものがあります。

 これまで、民主党は、いわゆる族議員について厳しい批判を展開してまいりましたが、今、民主党は、人も金も票も労働組合に依存し、労組が政策にも強い影響力を行使するという実態が明白になっているのであります。

 かつて、企業ぐるみ選挙が批判をされ、政党と企業との人や金の関係が幾たびかの法改正で整理されてまいりました。労組が政権と深いかかわりを持つようになった現在、今度は、民主党と労働組合との人、金、票の関係がきちんと整理されないといけないのであります。しかしながら、民主党政権は、この問題に向き合おうとしないどころか、さらに労働組合との癒着を深めているのであります。

 鳩山総理と小沢幹事長をめぐる政治と金の問題では、二人の政治活動を支えてきた秘書が五人も逮捕、起訴されました。鳩山総理も小沢幹事長も、知らなかったと繰り返し、すべての責任を秘書に転嫁し、不十分かつ不可解な説明に終始し、疑惑の全容解明にはほど遠く、到底国民の理解は得られない状況であります。

 鳩山総理は、平成の脱税王、うそつき総理とやゆをされ、小沢幹事長は、土地転がし、政党転がし、ゼネコン転がしと指弾されながら、予算委員会での参考人招致や証人喚問にも全く応じようとせず、約束をした証拠書類の提供もいまだにないままであります。

 さらに、小沢幹事長に関連して、岩手めんこいテレビをめぐる架空株主疑惑にも答えがないままであります。

 社会に大きな影響を与える公共の電波として、厳に公平性が確保されるべき放送事業が、特定政治家に偏って立ち上がり、会長人事がゆがめられたのではないかと疑われております。そして、架空の株主構成により、会社の誕生基盤、存立基盤そのものが揺らぎかねない問題であり、さらに、放送行政への信頼が失墜しかねない大きな問題であります。

 政権のナンバーワン、ナンバーツーをめぐって相次いだ政治資金に関する事件や疑惑が未解明なまま、政治への信頼を大きく失墜させました。国民が持っていたであろう、透明でクリーンな政治への期待を裏切った責任の大きさは、はかり知れないものであります。

 普天間問題では、迷走に迷走を重ね、問題をこじらせ、国家の安全保障と国際的信頼を失墜せしめ、あげくに、社民党の政権離脱という事態となりました。

 相次ぐ公約の破綻しかり、そして今回の口蹄疫への対応しかり、今や民主党政権における統治能力の欠如は、目を覆わんばかりであります。

 そして、小沢幹事長を頂点とする選挙目当ての独裁政治、恐怖政治とあわせ、国家の運営を極めて危ういものにしているのであります。

 この決議案は、鳩山内閣において初の閣僚に対する不信任決議案であります。これは、ひとり赤松農林水産大臣だけにあてられたものではなく、民主党政権の現状を憂え、国家の行方を憂え、打ち鳴らす警鐘であります。

 議員各位の御賛同を切に願い、趣旨弁明といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 討論の通告があります。順次これを許します。森本哲生君。

    〔森本哲生君登壇〕

森本哲生君 民主党の森本哲生でございます。

 民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました赤松農林水産大臣の不信任決議案に対し、反対の立場で討論いたします。(拍手)

 討論に入る前に、宮崎の皆様方に衷心よりお見舞いを申し上げます。

 このたびの口蹄疫につきましては、まさに想像を絶する出来事であり、皆様方にとってどれほどつらく、悲しいものであることか、今もその現実が続いていると思うと、筆舌では尽くしがたい、つらく、やるせない気持ちでございます。

 何の罪もない家畜が殺傷される、他を生かすために、みずから育てた命を絶たなければならない、新しい命の誕生を喜んであげることもできない、ともに生き、ともに生かされてきた農家の皆さんのことを思うと、胸が張り裂けんばかりの悲痛な叫びが聞こえてくるのであります。

 口蹄疫が発生して、きょうで四十二日目。口蹄疫を担当する私ども農林水産委員会の委員を初め、多くの仲間から、何をおいても現地に駆けつけたい、そして実態を見せていただきたい、そうでないと、昼夜必死に頑張っていただいている農家や関係者の皆さんのお気持ちを十分理解することができないのでは、そのような声をたくさんいただきました。しかし、今回の口蹄疫が極めて感染力の高いものだけに、そのことも許されず、道休議員を中心に、地元の議員の皆さんの情報をもとに、その対策を行ってきたところでございます。

 そのための具体的な方策として、五月二十八日に口蹄疫特別措置法を成立させていただきました。この法律は、与野党全会一致で可決され、大変ありがたいことと感謝をいたしております。しかし、この法案は、与野党議員の皆さんの中でも激しい賛否の議論が行われました。

 どのような措置が本当に農家の方々や、酪農、畜産界にとって必要なのか、国の関与を強くすることで農家の皆さんの活動をさらに制約することになりはしないか、他方、口蹄疫の拡大防止や生活再建は喫緊の課題、けんけんがくがくの議論の末、ようやく深夜に法案の骨子がまとまったのでございます。

 しかし、そんな努力でつくり上げた法案の直後に大臣不信任が提出されたことは、極めて残念であります。野党の皆さん方からは、事実でないことも含め、さまざまな御指摘、御批判をいただいておりますが、私どもが大臣を近くで拝見させていただいている限り、政務三役がしっかりと連携されて、でき得る限りのことはしっかり対応しておられます。

 今は、大臣を先頭に一日も早く口蹄疫を終息させるのが、国民から負託を受けた我々国会議員の使命ではないでしょうか。

 国権の最高機関としての国会の役割、それは、現下の課題に少しでもスピーディーに対応すること、野党の皆さんもそのことを強調されてきたではないですか。今、大臣の不信任を出されるということは、燃え続ける火災現場で指揮官を交代させるようなものじゃないですか。

 赤松大臣は、マグロ交渉などに見られるように、的確な判断力と強いリーダーシップをお持ちの大臣です。今この段階で大臣をやめさせて何が得られるのでしょう。事ここに至っては、大臣が口蹄疫対策業務により多くの時間を割けるようにしていただくのがよりよい結果につながると確信いたしております。今、国会でこんな争いをしていてはいけないのです。(発言する者あり)

 聞いてください。

 最後に、もう一度、宮崎の皆様方に申し上げます。

 私の選挙区松阪は、有名ブランド松阪牛の産地でございますが、宮崎の牛のおかげで今日のあることに感謝申し上げます。

 今は、生きることもつらいとお思いになることもあるでしょう。私たち議員も全力を尽くします。そして、必ず耐え忍べば報われることを信じてください。

 昭和初期の総理大臣の指南役として政治の師と仰がれた佐藤一斎先生の「暗夜を行く、暗夜を憂うなかれ、ただ一灯を頼め」という言葉があります。どんな暗やみの中でも、どん底に落ち込んでも、あすは必ず来ます。日は上ります。小さな光、自分を信じて、希望という光を信じて頑張っていただきたい。多くの仲間が応援をしています。そして、多くの仲間そして私ども議員が宮崎の地を訪問できる日が一日でも早く来ることを祈りながら、願いながら、反対討論といたします。(拍手)

議長(横路孝弘君) 森山裕君。

    〔森山裕君登壇〕

森山裕君 自由民主党の森山裕でございます。

 ただいま議題となりました農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案に賛成の立場から討論をいたします。(拍手)

 賛成の第一の理由は、赤松農林水産大臣の口蹄疫に対する見識の希薄さと対応の甘さがあるからであります。

 口蹄疫は、ウイルスによる急性伝染病で、伝播力が極めて強く、感染速度が速く、一たび流行すると広範囲に広がり、国内の畜産業のみならず、国際間の畜産物防疫に多大な被害を及ぼす家畜伝染病であります。

 十年前の平成十二年三月二十五日に、宮崎県の農場で口蹄疫の疑似患畜が診断をされました。四月にも宮崎県の二農場、五月には北海道の一農場でも診断をされました。我が国では九十二年ぶりの発生であり、畜産関係者を震撼させました。

 政府・与党、地方公共団体、獣医の皆さん、農業団体、畜産関係者等が一丸となって対応し、宮崎県で三十五頭、北海道で七百五頭を殺処分して、六月九日に終息しました。九月二十六日には、国際獣疫事務局によって、日本は口蹄疫に対する清浄国であると再び認定をされました。我が国の迅速な対応は、国際的に高い評価を受けました。

 九十二年ぶりの発生であった前回の見事な対応に比較して、今回の対応はお粗末そのものであります。この差はどこに起因をするのでしょうか。それは、赤松農林水産大臣の口蹄疫に対する見識の希薄さと対応の甘さによるものであります。

 第二に、危機管理能力の欠如であります。

 危機管理の要諦は、最悪の事態を踏まえ、対策を果敢に遂行すべきことにあるとされております。

 四月二十日に疑似患畜が確認をされ、四月二十三日には、ウイルスの伝播力が牛の千倍以上とも言われている豚にも感染が確認をされました。四月二十八日には、牛への感染が急増し始めました。

 五月一日からの連休を控え、交通量の増大が予想されていたにもかかわりませず、蔓延防止体制も、防疫体制も整っていなかったのであります。

 そこで、私ども自民党では、赤松大臣の外遊を取りやめるべきであるとの申し入れをいたしました。しかし、残念ながら、五月一日から八日まで、内閣法第十条の規定により、臨時に農林水産大臣の職務を行う農林水産大臣臨時代理として福島みずほ君を指定し、赤松大臣は外遊を強行されました。

 赤松大臣が日本を留守にしている間に、私どもの心配が現実となり、感染地域は他の地域へと拡大し、患畜頭数は爆発的に増加をいたしました。

 帰国後の十一日の農林水産委員会で、外遊についてただされると、赤松大臣は、「こういう時代ですから、リアルタイムで、仮にメキシコに行っておりましても連絡がとれますので、随時連絡をとりながら、」「一定の範囲の中で何とか封じ込めることが今できている。」と、のんきな答弁をされました。

 ところが、五月十七日に、口蹄疫を小丸川から南下させてはならないという地域の皆さんの強い思いを打ち砕くかのように、新富町の酪農家でも感染が確認をされ、感染地域は拡大を続けました。

 外遊の訪問先は、口蹄疫発生の重大さを認識されている中南米の畜産国であります。日程を変更し、繰り上げて帰国することに理解を示していただける国であったはずであります。しかしながら、赤松大臣は、外遊を中断されることもなく予定どおり続けられました。

 赤松大臣の外遊中にも、発生農場や周辺の地域では、国、地方公共団体、農協を初め、畜産団体の職員、獣医の皆さんやボランティアの方々が、連休返上で懸命に蔓延の防止と防疫に取り組んでおられました。赤松大臣が宮崎県の県庁所在地である宮崎市を訪問されたのは、発生から三週間後の五月十日でありました。

 ノーブレスオブリージュという言葉があります。身分の高い者はそれに応じて果たさなければならない社会的責任と義務があるという言葉です。赤松大臣にこの心構えがあるようには見受けられないのであります。危機管理に対する資質を備えていないということであります。

 第三に、法令違反の状態を放置し続けているということであります。

 私は、平成十二年の宮崎県での口蹄疫、平成十六年の地元鹿屋市で発生をした豚コレラの疑似患畜を国会議員として経験いたしました。この経験から、ウイルスとの戦いは科学を信じる以外に方法はないという思いを強くいたしました。

 家畜伝染病予防法は、まさに科学的知見により法制化されております。私どもは、科学の力を信じ、真摯な対応をしていかなければなりません。この道しかウイルスとの戦いを克服できる道はないのであります。家畜伝染病予防法第十六条、屠殺の義務では、直ちに屠畜すること、第二十一条、死体の焼却等の義務では、遅滞なく焼却または埋却することを規定しております。このことは、速やかに殺処分をすることにより、感染拡大を阻止しようとするものであります。

 口蹄疫への効果的な対応は、数日ではなく、数時間以内の活動が成功を左右すると言われております。国際連合食糧農業機関の口蹄疫緊急時対策の準備によると、豚が呼気に排出をする空中ウイルスは牛の三千倍に達するとされております。感染が拡大し、シカやイノシシなどの野生動物に広がると、我が国は口蹄疫の汚染国から抜け出せなくなってしまうのであります。

 五月三十日現在、殺処分しなければならない牛三万二頭のうち殺処分をした頭数は一万二千百二十六頭であり、豚十三万三千四百七十四頭のうち殺処分をした頭数は九万九千八百八十七頭であります。牛一万七千八百七十六頭、豚三万三千五百八十七頭が、信じられないぐらいの多くの頭数が殺処分をされないまま残されている現実があります。赤松大臣は、口蹄疫のウイルスが猛威を振るい、感染が急速に拡大をし、空気感染が懸念をされているにもかかわらず、法令違反の状態を放置しているのであります。

 最後に、政治責任であります。

 口蹄疫発生以来、宮崎県を初め、隣県の熊本県、大分県及び鹿児島県では、家畜市場は開かれておりません。繁殖農家、肥育農家、養豚農家、酪農家は、一日も早い清浄化を祈り、耐え忍んでおられます。家畜商、人工授精師、レンダリング業者を初め、家畜関連業者も収入の道が閉ざされているのであります。また、九州各地で催し物が中止を余儀なくされております。

 このような中、五月十六日に口蹄疫対策本部では、十キロから二十キロを緩衝地帯とするため、牛と豚の早期出荷促進策を打ち出しました。ところが、二十キロメートル圏内にある食肉処理場では、処理に三カ月以上かかると言われています。さらに、食肉処理時に発生をする残渣の処分場は確保できていない状態であります。

 政治主導を振りかざし、対応は後手の連続、打ち出す対策は、見通しのない、実現不可能なものであります。

 赤松大臣は、辞任について問われた五月十八日の記者会見で、御批判は御批判としてあれば、不信任案を出すなり、もし野党が出されるのであれば、それは出されればいいのではないか、ただ、私自身は、やってきたことについて、全く、そういう反省をするところ、おわびをするようなところはないと述べられました。

議長(横路孝弘君) 森山裕君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

森山裕君(続) 二十五日の農林水産委員会では、結果としてこれだけの広範囲に口蹄疫が広がった、そのことについては、大変それは申しわけない気持ちでいっぱいですと、みずからの結果責任を認められました。

 口蹄疫は、多くの分野、多方面に甚大な被害をもたらしております。感染地帯とその周辺の地域からは、悲痛な叫びが連日のように報じられております。地域経済そのものが存亡の危機に瀕しております。日本全国の畜産が、感染の恐怖と不安におののいております。

 赤松農林水産大臣が農林水産行政のトップであることは、地方経済の基幹産業である農業の将来を奪うだけでなく、地方経済そのものの崩壊を招きます。

 以上、農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案に対しての賛成討論といたします。

 議員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

議長(横路孝弘君) 石田祝稔君。

    〔石田祝稔君登壇〕

石田祝稔君 公明党の石田祝稔です。

 討論に先立ちまして、発生農家の皆様並びに関係者の方々に心からお見舞いを申し上げます。また、現地において昼夜を分かたず防疫対策に当たってくださっている皆様に、心から感謝申し上げます。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案に賛成の立場から討論いたします。(拍手)

 四月二十日の発生から、本日で四十二日目であります。口蹄疫の疑い事例は、五月三十日現在、二百三十八例に達し、疑似患畜は発生以来十六万三千四百九十二頭になりました。口蹄疫はいまだに制圧できておりません。

 我が子同様に慈しみ育てた牛、豚が自分の眼前で殺処分される、また、殺されることを前提にワクチンを打たれる。農家の皆様のお気持ちを思うとき、おかけする言葉すら思い浮かびません。

  銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも

万葉集にある山上憶良の歌であります。まさしくこの思いで育て上げたのではないでしょうか。

 大臣は、ここまで被害を拡大させたという責任をどのようにお考えでしょうか。

 発生から九日目の四月二十八日、既に国連食糧農業機関は、今回の口蹄疫の発生について、英国初め欧州で蔓延し、百二十億ドルの被害をもたらした二〇〇一年のような惨事に発展する可能性を指摘し、国際的監視強化を呼びかけました。赤松大臣、あなたは当然このことを知っていたのではないですか。知っていて、二日後の四月三十日から九日間の中南米訪問に出かけたのであります。野党から厳しく反対の声が上がる中、無責任にも外遊を強行したのであります。

 あなたが外遊している間、五月二日には累計約九千頭、五日には累計二万七千七百七十二頭が殺処分対象になっているのです。この五日、宮崎県知事は非常事態に相当すると発表しましたが、あなたのもとにこうした報告は入っていたのではないですか。ところが、あなたは一向に帰ってこようとはしませんでした。全く危機意識に欠けたお粗末な対応であったと言わざるを得ません。

 日々入ってくる口蹄疫蔓延の被害状況を聞いて、なぜ日本に戻るべきだと思わなかったのでしょうか。大臣たる者、本来ならば、現場の方々と痛み、苦しみをともにすべき立場ではないのですか。あなたが外遊先で眠っているその時間に、日本ではたくさんの方々が眠れずに苦闘を続けていたのです。人間として真摯に深く反省すべきではないでしょうか。

 また、帰国したその日も、成田から直接その足で宮崎へ向かうのが責任者であるあなたの当然の行動だと思います。この五月八日までに、既に殺処分対象頭数は六万二千頭を超えていたのです。

 一体何を考えて、栃木の衆議院議員の後援会の会合を優先させたのでしょうか。あなたの心の中で、宮崎より栃木が優先をされたと言わざるを得ません。あなたのそうした行動を見て、国民がどう感じるかわからないのですか。あなたには危機管理意識が全く欠如しているだけでなく、現地の方々の悲痛な叫びが心に届かなかったということであります。

 いずれにせよ、世間がゴールデンウイークだからといって、あなたのように国家の要職にあり、しかも重大な事案を抱えている責任者が、細心の注意も持たずに、海外に出ていったきり帰ってこない。これでは、国民はたまりません。ましてや、被害に遭われて苦しんでいる方々は救われません。

 帰国後のあなたの数々の発言も大変に議論を呼びました。

 五月十一日、私一人がいなかったからといって、いささかも支障があったとは理解していない。十八日、やってきたことについては全く、反省するところ、おわびするようなところはない。十九日、具体的に私のどこが間違っていたのかを教えてほしい。

 去る二十五日、私ども公明党は、現行の家畜伝染病予防法では対応できない防疫対策上の課題や被害農家の方々への支援策を盛り込んだ、口蹄疫対策特別措置法案を国会に提出いたしました。その後、民主党、自民党の独自案も踏まえ、三党での修正協議を行い、二十六日に衆議院で委員長提案の後可決、二十七日に衆院本会議で可決、参議院へ送付され、二十八日に成立いたしました。各党の提出日からわずか四日での成立でありますが、宮崎で奮闘されている皆様のことを思えば、当然のスピードであったと思います。

 これによって、経済的に大変な目に遭われている被害農家の方々に対して、申請なしでの仮払い、支援のための基金の創設など、迅速かつ確実な支援策が可能となりました。本来であれば、政府が率先して新法制定に動くべきでありました。

 大臣、事ここに至れば、自身の不明を恥じて、被害者の皆様に真摯にこうべを垂れ謝罪すべきであります。

 これ以上、農林水産大臣の職を汚すべきではありません。出処進退はみずから決せよと申し上げまして、私の討論を終わります。(拍手)

議長(横路孝弘君) 赤嶺政賢君。

    〔赤嶺政賢君登壇〕

赤嶺政賢君 私は、日本共産党を代表して、赤松農林水産大臣不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 不信任に賛成する理由は、口蹄疫問題をめぐる大臣の対応が不信任に値するからであります。

 宮崎県における口蹄疫の被害は、五月三十日現在、感染家畜数で十六万三千四百九十二頭に及び、被害農家の経営や精神的打撃は甚大です。被害は、地域経済、関連産業にまで広がり、宮崎県全体を揺るがしています。

 このような事態を招いた責任は、家畜伝染病予防の最終的責任者である赤松農林水産大臣にあり、その責任は重大です。

 そもそも、口蹄疫は、極めて感染力の強い、最も恐れられている家畜伝染病であり、世界各国とも、国が責任を持って迅速に対処しています。口蹄疫対策で何よりも重要なことは、初動で抑え込むことにほかなりません。

 今回、四月二十日に一頭目の感染が発覚して、その三日後には、既に三月三十一日の時点で、県内の水牛が感染していたことが判明しました。少なくとも、三月三十一日以前に口蹄疫が宮崎県内に侵入し、二十日間以上感染が拡大し続けていたことが明らかになったのです。

 この事態に直面して、市町村や県任せにせず、国が感染拡大を防止するために全力を挙げるべきでした。

 ところが、大臣は、感染拡大防止の先頭に立つどころか、四月二十九日から外遊に出発し、電話で感染拡大の状況を確認していたにすぎません。しかも、責任を問われて、赤松大臣は、一切反省することはないと強弁したのであります。畜産農家の方々の思いを踏みにじる暴言は、断じて許せません。

 私たち日本共産党が四月二十七日に現地調査を行った際、地元自治体から、埋却場所の確保ができず殺処分ができない、感染が広がりかねない、町だけの力では埋却地の確保はできない、国が主導的にやってほしいとの訴えを受けました。これを受け、翌二十八日には、農林水産副大臣に対して、国が埋却処理を責任持って行うことを申し入れました。

 ところが、その後、大臣は、埋却地の確保に何ら主導的な措置をとりませんでした。

 その結果、感染被害は急速に拡大し、殺処分対象家畜十六万三千四百九十二頭のうち、殺処分されていない家畜は五万五千百九十一頭、そのうち埋却地が確保されていない家畜は三万一千七百四十八頭に及びます。

 驚くことに、五月七日に感染が確認された家畜が未処分のままという事態まで招いたのです。未処分の感染家畜からは大量のウイルスが放出されており、これが今回の爆発的な感染拡大を招いたことは明らかです。

 一刻も早く口蹄疫を抑え込むために、埋却地の確保を含め、必要な手だてをとってこなかった大臣の責任は極めて重いと言わなければならず、不信任決議案に賛成するものです。

 今必要なことは、この口蹄疫を何としても抑え込み、拡散をさせないために、国が責任を持って埋却地の確保を行うとともに、ありとあらゆる人的資源と機材を投入して、感染家畜の殺処分と埋却を行うことです。同時に、感染被害農家が立ち直り、経営を再建できるまで、政府が責任を持って対応しなければなりません。

 先週、口蹄疫対策緊急措置法が成立しましたが、被害農家からは、生活保障の具体策が見えてこない、一時的な国の補償ではとても生活していけないとの悲鳴の声が上がっています。政府の責任で、被害農家がもとの経営を再建するまでの営農生活資金の直接支援を行うよう強く求め、討論を終わります。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(横路孝弘君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(横路孝弘君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百四十七

  可とする者(白票)       百四十一

  否とする者(青票)        三百六

議長(横路孝弘君) 右の結果、農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

大島理森君外七名提出農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案を可とする議員の氏名

あべ  俊子君   逢沢  一郎君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君

麻生  太郎君   甘利   明君   井上  信治君   伊東  良孝君

伊吹  文明君   石田  真敏君   稲田  朋美君   岩屋   毅君

江渡  聡徳君   江藤   拓君   遠藤  利明君   小里  泰弘君

小野寺 五典君   小渕  優子君   大島  理森君   大野  功統君

大村  秀章君   加藤  勝信君   加藤  紘一君   梶山  弘志君

金子  一義君   金子  恭之君   金田  勝年君   鴨下  一郎君

川崎  二郎君   河村  建夫君   木村  太郎君   岸田  文雄君

北村  茂男君   北村  誠吾君   小池 百合子君   小泉 進次郎君

古賀   誠君   後藤田 正純君   高村  正彦君   近藤 三津枝君

佐田 玄一郎君   佐藤   勉君   齋藤   健君   坂本  哲志君

塩崎  恭久君   塩谷   立君   柴山  昌彦君   下村  博文君

新藤  義孝君   菅   義偉君   菅原  一秀君   田中  和徳君

田野瀬良太郎君   田村  憲久君   平   将明君   高市  早苗君

高木   毅君   竹下   亘君   竹本  直一君   武田  良太君

橘  慶一郎君   棚橋  泰文君   谷   公一君   谷垣  禎一君

谷川  弥一君   谷畑   孝君   徳田   毅君   中川  秀直君

中谷   元君   永岡  桂子君   長島  忠美君   長勢  甚遠君

二階  俊博君   西野 あきら君   額賀 福志郎君   野田   毅君

馳    浩君   浜田  靖一君   林   幹雄君   平井 たくや君

平沢  勝栄君   福井   照君   福田  康夫君   古川  禎久君

保利  耕輔君   細田  博之君   町村  信孝君   松浪  健太君

松野  博一君   松本   純君   三ッ矢 憲生君   宮腰  光寛君

村上 誠一郎君   茂木  敏充君   森   英介君   森   喜朗君

森山   裕君   柳本  卓治君   山本  公一君   山本  幸三君

山本   拓君   山本  有二君   吉野  正芳君   赤松  正雄君

井上  義久君   池坊  保子君   石井  啓一君   石田  祝稔君

稲津   久君   漆原  良夫君   江田  康幸君   遠藤  乙彦君

大口  善徳君   斉藤  鉄夫君   坂口   力君   高木  陽介君

竹内   譲君   遠山  清彦君   富田  茂之君   西   博義君

東   順治君   古屋  範子君   赤嶺  政賢君   笠井   亮君

穀田  恵二君   佐々木 憲昭君   塩川  鉄也君   高橋 千鶴子君

宮本  岳志君   吉井  英勝君   浅尾 慶一郎君   江田  憲司君

柿澤  未途君   山内  康一君   渡辺  喜美君   園田  博之君

与謝野  馨君   城内   実君   小泉  龍司君   衛藤 征士郎君

鳩山  邦夫君

否とする議員の氏名

安住   淳君   阿久津 幸彦君   阿知波 吉信君   相原  史乃君

青木   愛君   赤松  広隆君   東   祥三君   網屋  信介君

荒井   聰君   五十嵐 文彦君   井戸 まさえ君   池田  元久君

石井   章君   石井 登志郎君   石毛 えい子君   石関  貴史君

石田  勝之君   石田  三示君   石田  芳弘君   石津  政雄君

石原 洋三郎君   石森  久嗣君   石山  敬貴君   泉   健太君

磯谷 香代子君   糸川  正晃君   稲富  修二君   稲見  哲男君

今井  雅人君   内山   晃君   打越 あかし君   生方  幸夫君

江端  貴子君   枝野  幸男君   小沢  一郎君   小沢  鋭仁君

小野塚 勝俊君   小原   舞君   緒方 林太郎君   大泉 ひろこ君

大串  博志君   大島   敦君   大谷   啓君   大谷  信盛君

大西  健介君   大西  孝典君   大畠  章宏君   大山  昌宏君

太田  和美君   岡島  一正君   岡田  克也君   岡田  康裕君

岡本  英子君   岡本  充功君   奥田   建君   奥野 総一郎君

奥村  展三君   加藤   学君   加藤  公一君   鹿野  道彦君

海江田 万里君   柿沼  正明君   笠原 多見子君   勝又 恒一郎君

金森   正君   金子  健一君   神山  洋介君   川内  博史君

川口   浩君   川口   博君   川越  孝洋君   川島 智太郎君

川端  達夫君   川村 秀三郎君   菅   直人君   木内  孝胤君

木村たけつか君   吉良  州司君   城井   崇君   黄川田  徹君

菊田 真紀子君   菊池長右ェ門君   岸本  周平君   北神  圭朗君

京野  公子君   工藤  仁美君   櫛渕  万里君   楠田  大蔵君

沓掛  哲男君   熊谷  貞俊君   熊田  篤嗣君   黒岩  宇洋君

黒田   雄君   桑原   功君   玄葉 光一郎君   小泉  俊明君

小平  忠正君   小林  興起君   小林 千代美君   小林  正枝君

小宮山 泰子君   小宮山 洋子君   小室  寿明君   小山  展弘君

古賀  一成君   古賀  敬章君   後藤  英友君   後藤   斎君

後藤  祐一君   郡   和子君   近藤  和也君   近藤  昭一君

近藤  洋介君   佐々木 隆博君   佐藤 ゆうこ君   斉木  武志君

斉藤   進君   齋藤   勁君   斎藤やすのり君   坂口  岳洋君

阪口  直人君   笹木  竜三君   階    猛君   篠原   孝君

柴橋  正直君   下条  みつ君   城島  光力君   白石  洋一君

神風  英男君   首藤  信彦君   瑞慶覧 長敏君   末松  義規君

杉本 かずみ君   菅川   洋君   鈴木  克昌君   鈴木  宗男君

仙谷  由人君   園田  康博君   空本  誠喜君   田島  一成君

田嶋   要君   田名部 匡代君   田中けいしゅう君   田中 眞紀子君

田中 美絵子君   田村  謙治君   平   智之君   高井  崇志君

高井  美穂君   高木  義明君   高野   守君   高橋  昭一君

高橋  英行君   高松  和夫君   高邑   勉君   高山  智司君

滝    実君   竹田  光明君   武正  公一君   橘   秀徳君

玉木  朝子君   玉木 雄一郎君   玉城 デニー君   玉置  公良君

樽床  伸二君   中後   淳君   津川  祥吾君   津島  恭一君

津村  啓介君   辻    惠君   筒井  信隆君   手塚  仁雄君

土肥  隆一君   道休 誠一郎君   豊田 潤多郎君   中井   洽君

中川   治君   中川  正春君   中島  政希君   中島  正純君

中津川 博郷君   中塚  一宏君   中根  康浩君   中野  寛成君

中野渡 詔子君   中林 美恵子君   中山  義活君   仲野  博子君

永江  孝子君   長尾   敬君   長島  昭久君   長島  一由君

長妻   昭君   長安   豊君   仁木  博文君   西村 智奈美君

野木   実君   野田  国義君   野田  佳彦君   羽田   孜君

萩原   仁君   橋本  清仁君   橋本  博明君   橋本   勉君

畑   浩治君   鉢呂  吉雄君   初鹿  明博君   鳩山 由紀夫君

花咲  宏基君   浜本   宏君   早川 久美子君   原口  一博君

樋口  俊一君   樋高   剛君   平岡  秀夫君   平野  博文君

平山  泰朗君   福嶋 健一郎君   福島  伸享君   福田  昭夫君

福田 衣里子君   藤田  一枝君   藤田  大助君   藤田  憲彦君

古川  元久君   古本 伸一郎君   細川  律夫君   細野  豪志君

本多  平直君   馬淵  澄夫君   前原  誠司君   牧   義夫君

牧野  聖修君   松岡  広隆君   松木けんこう君   松崎  公昭君

松崎  哲久君   松野  頼久君   松原   仁君   松宮   勲君

松本  大輔君   松本  剛明君   松本   龍君   三日月 大造君

三谷  光男君   三村  和也君   三宅  雪子君   三輪  信昭君

三井  辨雄君   水野  智彦君   皆吉  稲生君   宮崎  岳志君

向山  好一君   村井  宗明君   村上  史好君   村越  祐民君

室井  秀子君   本村 賢太郎君   森岡 洋一郎君   森本  和義君

森本  哲生君   森山  浩行君   矢崎  公二君   谷田川  元君

柳田  和己君   山尾 志桜里君   山岡  賢次君   山岡  達丸君

山口  和之君   山口   壯君   山崎  摩耶君   山崎   誠君

山田  良司君   山井  和則君   山花  郁夫君   山本  剛正君

湯原  俊二君   柚木  道義君   横粂  勝仁君   横光  克彦君

横山  北斗君   吉川  政重君   吉田   泉君   吉田 おさむ君

吉田  統彦君   笠   浩史君   和嶋  未希君   和田  隆志君

若井  康彦君   若泉  征三君   鷲尾 英一郎君   渡辺 浩一郎君

渡辺   周君   渡辺  義彦君   渡部  恒三君   阿部  知子君

重野  安正君   辻元  清美君   照屋  寛徳君   中島  隆利君

服部  良一君   吉泉  秀男君   亀井  静香君   下地  幹郎君

松下  忠洋君   石川  知裕君

     ――――◇―――――

議長(横路孝弘君) 日程第一とともに、日程第二は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略し、両案を一括して議題とするに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第一 独立行政法人地域医療機能推進機構法案(第百七十三回国会、内閣提出)

 日程第二 障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案(厚生労働委員長提出)

議長(横路孝弘君) 日程第一、独立行政法人地域医療機能推進機構法案、日程第二、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。厚生労働委員長鉢呂吉雄君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人地域医療機能推進機構法案及び同報告書

 障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔鉢呂吉雄君登壇〕

鉢呂吉雄君 ただいま議題となりました両案について申し上げます。

 まず、独立行政法人地域医療機能推進機構法案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、年金・健康保険福祉施設整理機構の存続期限後においても、引き続き社会保険病院、厚生年金病院及び船員保険病院の運営を行い、地域における医療等の重要な担い手としての役割を果たさせるため、独立行政法人地域医療機能推進機構を設立しようとするものであります。

 本案は、第百七十三回国会に提出され、継続審査となっていたものであります。

 今国会においては、去る五月十九日長妻厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、二十六日に質疑を終局いたしました。

 去る二十八日、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の四会派より、施設整理機構の委託を受けて施設の運営を行っている者が引き続き運営を行うことが適当であると厚生労働大臣が定める施設については、新機構は、平成二十五年四月一日以降も運営を委託できるものとする修正案が提出され、趣旨説明を聴取しました。次いで、採決を行った結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決し、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

 次に、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案について、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本案は、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において、障害者及び障害児の地域生活を支援するため、関係法律の整備について定めようとするもので、その主な内容は、

 第一に、障害福祉サービス等を利用した場合の負担について、利用者の家計の負担能力に応じたものとすることを原則とすること、

 第二に、成年後見制度利用支援事業を市町村の地域生活支援事業の必須事業とすること、

 第三に、障害児の施設について、障害種別を超えた利用ができるよう一元化するとともに、通所による支援の実施主体を市町村とすること、

 第四に、グループホーム、ケアホームの利用に伴い必要となる費用の助成制度を創設すること、

 第五に、政府は、障害保健福祉施策を見直すに当たって、難病の者等に対する支援及び障害者等に対する移動支援のあり方について必要な検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること

等であります。

 本案は、去る五月二十八日の厚生労働委員会において、多数をもって委員会提出法律案とすることに決したものであります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) これより採決に入ります。

 まず、日程第一につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

 次に、日程第二につき採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 郵政改革法案(内閣提出)

 日程第四 日本郵政株式会社法案(内閣提出)

 日程第五 郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第三、郵政改革法案、日程第四、日本郵政株式会社法案、日程第五、郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長近藤昭一君。

    ―――――――――――――

 郵政改革法案及び同報告書

 日本郵政株式会社法案及び同報告書

 郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔近藤昭一君登壇〕

近藤昭一君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 三法律案のうち、まず、郵政改革法案は、郵政改革について、その基本的な理念及び方針並びに国等の責務を定めるとともに、郵政事業の実施主体の再編成、当該再編成後の実施主体に関して講ずる措置その他郵政改革の実施に必要な事項を定めようとするものであります。

 次に、日本郵政株式会社法案は、郵政改革を実施するため、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を、利用者本位の簡便な方法により、郵便局で一体的に、かつ、あまねく全国において公平に利用できるよう、日本郵政株式会社法の全部を改正し、日本郵政株式会社の目的及び業務の範囲、郵便局の設置等について定めようとするものであります。

 次に、郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴い、郵政民営化法、郵便事業株式会社法、郵便局株式会社法等四つの関係法律を廃止するほか、三十七の関係法律の規定の整備を行うとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。

 三法律案は、去る五月十八日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、本委員会に付託されました。

 委員会におきましては、二十八日三法律案を一括して議題とし、亀井国務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、質疑を終局し、採決いたしましたところ、三法律案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。小泉進次郎君。

    〔小泉進次郎君登壇〕

小泉進次郎君 自由民主党の小泉進次郎です。

 冒頭、横路議長に対して、一言申し上げます。

 横路議長が初当選されたのは、私が昨年初当選したときと同じ、二十八歳のときでした。それ以来、数々の御経験を積まれ、多くの要職につかれ、昨年、第七十三代衆議院議長に御就任されました。

 言うまでもなく、議長とは、与党、野党双方に対し公正中立な采配を振るい、与野党双方から尊敬され、信頼されることが議長の権威を高め、その高められた権威があってこそ、だれから見ても公正中立な議会運営を可能にするのではないでしょうか。

 しかしながら、横路議長の振る舞いは、与野党双方に対し公正中立なものとは言えず、与党にすり寄った、議長の権威をおとしめるものと言わざるを得ません。

 横路議長、これ以上横道にそれず、議長としての模範を示し、公正中立な議会運営に努めていただきますようお願い申し上げ、今から討論に入ります。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、ただいま議題となりました内閣提出、郵政改革関連三法案に反対の立場から討論を行います。(拍手)

 今回内閣が提出した郵政改革法案は、郵政民営化を根本から見直す中身になっております。

 改革は、一度やったら終わりというものではなく、時代に合ったものになっているか、不断の見直しが必要であり、改革に終わりはありません。そのような意味では、郵政改革も例外ではなく、当時と今と見直すべき点はないか議論することは、当然のことだと考えます。

 二〇〇五年、郵政民営化法が成立し、二〇〇七年に民営化された郵政は新たなスタートを切り、ことしで約三年がたちました。

 郵政民営化が実現の運びとなるまでには、国民を巻き込む大きな議論があり、国会でも、長く厳しい議論がありました。経済財政諮問会議では、議事録を完全公開して、一年間の議論。当時の与党自民党の中でも、賛否が分かれての激論が繰り広げられました。亀井大臣はよく御記憶のことと存じます。国会では、衆議院、参議院のそれぞれが特別委員会を立て、それぞれ約一カ月議論し、最終的には、国民に信を問う形で決着を見たわけであります。

 これだけの国民的議論を経て決まった郵政民営化、その流れを大きく覆すことがもし必要だとしたら、必要不可欠な条件があるはずであります。

 まず第一に、開かれた、十分な議論をすること、第二に、運用改善では対処できない明白かつ深刻な問題があり、国民の大多数が抜本的見直しを求めていること、第三に、改革を覆す結果、どのような郵政を目指すのかというビジョン、そして、それに伴う国民負担はどれほどのものなのかを明示することであります。

 しかしながら、民主党が本法案に費やした時間は、たった一日、約六時間。最後は、今国会十回目の強行採決であります。もし、郵政民営化の抜本的見直しが必要であれば、当時衆議院で費やした時間、四十八日、百二十時間の慎重な議論を十分参考にするのは当然のことではありませんか。

 亀井大臣は、よく、郵政事業がずたずたに切り裂かれた、惨たんたる状況の郵政と言いますが、感情論ばかりで、法改正までする必要性、運用改善では十分ではない理由を明らかにしません。

 民営化後、郵便局が減り、地方に痛みが出ているという意見がありますが、民営化後閉鎖されたのは九局、むしろ、国有時代よりも減り幅は小さくなっています。郵便配達担当者が貯金を預かることができない、不便になったという意見も、そのリスクの部分、過去に起きた不祥事などが冷静に議論されることもありません。

 一九九九年十二月、北海道で、郵便配達員が十万円入りの現金書留郵便物を横領。二〇〇〇年には、香川県で、客から預かった簡易保険料約百九十万円を着服、局員が逮捕、懲戒免職処分になっております。親切で優しい、利用者に信用される職員もいる一方、そうではないケースもこのようにあるわけです。だからこそ、感情論ではない冷静な議論が必要なのではありませんか。

 そして、国民の、民営化前後に対する評価はどうか。昨年、日本郵政株式会社は顧客満足度調査を実施しました。民営化前後の全体評価、つまり、民営化する前と比べて、全体的によくなったか、悪くなったか。非常に悪くなった、悪くなった、やや悪くなった、この三つを合わせて六・九%。非常によくなった、よくなった、ややよくなった、この三つを合わせて四三%。そして、どちらとも言えない、変わらないが五〇・二%。悪くなったと思う人より、よくなったと思う人が圧倒的に多い。そして、国有も民営も変わらないという人が多いのであれば、民間に任せた方がいいに決まっているじゃありませんか。

 今後の郵政のあり方も全く見えません。そして、国民負担も示されていません。もし国民負担がふえないというのであれば、それを立証できるような経営試算を出すことが誠意ある対応ではありませんか。

 当時、自民党は、郵政民営化の議論の中で、骨格経営試算と採算性に関する試算を出しました。昨年十月二十五日、大塚副大臣は、テレビ番組で、責任ある試算を出すことを約束できるかと問われ、これは約束しますと言いました。しかしながら、約束は果たされないまま、強行採決をして、今日を迎えることになりました。

 問題は、以上述べたような法案審議の大前提だけではなく、中身そのものでもあります。

 最もわかりやすい問題が、郵貯、簡保の限度額の引き上げであります。

 日本国内では民間の金融機関が反対をし、海外ではアメリカやEUがWTOに提訴の準備を行っていると言われております。そんな決定をすることが、民業圧迫でもなく、公平な競争環境をつくるとどうして言えるのか、全く理解ができません。

 郵貯と簡保を肥大化させて、民間から資金を吸い上げる、そしてノウハウがない郵政が融資先を決める。どこに融資をするかといえば、民間が融資をしないハイリスク・ローリターンどころか、ハイリスク・マイナスリターンのところであり、行き着くところは、不良債権が積み上がるという最悪の結果であります。そういう事態が起こった場合、そのツケを払うのは国民であります。

 そもそも、郵政民営化の意義の一つは、少子高齢化の進行に備え、行政のスリム化を実現する行政改革でありました。その流れを巻き戻し、行政の肥大化につながる本法案は、国民に対して無責任な法案と言っても過言ではありません。

 亀井大臣、亀井大臣は現在御年七十三歳。私は二十九歳。四十四歳違いであります。亀井大臣はツケを払わずに済むかもしれませんが、私たちの世代は逃れることができないのであります。私たちの世代は、内向きで、草食系、野心がないとよく形容されますが、そんな若い世代に夢と希望を与え、将来の可能性を可能な限り大きくするのが政治の役割ではありませんか。

 今回の郵政改革法案には、民間に活力を与える視点も、次世代に夢や希望を与えるようなメッセージも、全くありません。

議長(横路孝弘君) 小泉進次郎君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

小泉進次郎君(続) 選挙のため、一部の支持団体の声だけを聞き、国民に対して無責任な法案を主導した最大の責任は亀井大臣にあり、その責任は、不信任に値すると言わざるを得ません。したがって、内閣提出の郵政改革関連法案には反対であります。

 最後に、今国会の民主党の一方的、強権的な国会運営のきわみとも言える、わずか一日での強行採決で本法案を通したことに強く抗議し、私の反対討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(横路孝弘君) 奥野総一郎君。

    〔奥野総一郎君登壇〕

奥野総一郎君 民主党・無所属クラブの奥野総一郎です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出、郵政改革法案外二法案に対して、賛成の立場から討論いたします。(拍手)

 郵便局ネットワークは、明治以来、郵便、貯金、簡保の三事業を一体として提供することにより、一円の税金も使わず、独立採算で、あまねく全国、人々の暮らしを支え、地域の絆の中心的役割を担ってまいりました。

 しかし、小泉政権が行った郵政民営化は、国の出資がある金融機関は不要との市場原理主義的な考え方に立ち、ゆうちょ、かんぽの売却を前提に、郵政事業を四つの会社に分割するなど、郵便局ネットワークをずたずたに切り裂くものでした。この制度では、ゆうちょ、かんぽは二〇一七年までに売り飛ばされることになっており、地域で貯金、保険の基本的なサービスが受けられなくなるおそれがあります。

 また、郵政事業の収益の大宗を占める郵貯、簡保なしであたかもやっていけるように見せるため、郵便局をコンビニにするなど、いいかげんな経営見通しを立てて、これに基づき制度設計を行ったため、郵便局の経営が成り立たなくなるおそれが出てきたのです。小泉民営化は、明治以来の大切な国民共有の財産を、まさにぶっ壊そうとしたんです。

 本法案は、第一に、郵貯、簡保もユニバーサルサービスとして国の責務に位置づけ、持ち株会社、郵便、局会社を統合した新日本郵政株式会社の必須業務といたします。

 第二に、新日本郵政株式会社に、ゆうちょ、かんぽの株式の三分の一超の保有を義務づけました。

 第三に、会社の自主性を尊重し、機動的で安定した経営ができるように、民間とのイコールフッティングを図りつつ、新規業務への参入規制を緩和します。

 本法案は、このような措置により、小泉改革で傷ついた郵便局ネットワークを、これまでどおり、一円の税金も投入せずに、郵政三事業の基本的なサービスを全国あまねく提供できるよう、新しい公共として復活させ、国民の、そして郵便局で働く皆さんの不安を解消するものであります。

 本法案について、暗黙の政府保証を理由に資金移動が起きるなど民業圧迫を引き起こすとの懸念が一部にあることは承知しております。しかしながら、現在一〇〇%政府出資の会社であるにもかかわらず、リーマン・ショックで郵貯・簡保資金がふえなかったのを見ても、この懸念が根拠のないものであることは明らかであります。しかも、ゆうちょ銀行、かんぽ生命は、他の金融機関と同様、税金、預金保険料を負担しており、万一の際には、他の金融機関と同様の破綻処理をすることとされております。

 このように、義務の上では完全にイコールフッティングとされる一方、業務については、限度額規制、新規業務の届け出や主務大臣の勧告制度など、競争条件に配慮した制度となっております。民業圧迫との懸念にもあえて十分に配慮した法案と言うことができます。

 郵政改革は、自公政権の地方、弱者切り捨ての政策からの大きな転換を意味します。我々は、国民の生活が第一の視点でこの国のあり方を見直し続けており、郵政見直しはその一つにすぎないのであります。

 小泉民営化の軌道修正をスタートし、関係者が来年十月に郵政三社を円滑に統合できるように、一日も早く準備を始めることが必要です。そのためにこそ、本法案は早期に成立させなければなりません。

 最後になりましたが、政府に対しては、国の責務として、間違っても税金を投入するような事態を招かないように、競争条件に配慮しながら業務の見直しを続けるとともに、郵政サービスの安定的な提供のために厳しく監督し続けることを求め、また、郵政各社に対しては、社会的使命を認識し、徹底した経営改善、サービスの向上を行うように求め、賛成討論を終わります。(拍手)

議長(横路孝弘君) 西博義君。

    〔西博義君登壇〕

西博義君 公明党の西博義でございます。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました郵政改革法案、日本郵政株式会社法案、郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対して、反対の立場で討論いたします。(拍手)

 今回の郵政改革関連法案に関する政府・与党の対応は、暴挙という域を超えて、常軌を逸していると言わざるを得ません。民主党の小沢幹事長が全国郵便局長会で郵政改革法案の成立を約束した日を境にして、与党側の異常な国会運営が始まりました。

 六十年ぶりの大改正と言われる放送法改正案に関する与野党間の修正協議を中断し、いきなり強行採決を行い、郵政改革法案の審議入りを図ったのであります。そして、まだ一日、審議時間でいえばわずか六時間しか審議していないにもかかわらず、再度、強行採決を行い、今、無理やり衆議院を通過させようとしているのであります。国会における審議をないがしろにし、国会の自殺行為というゆゆしき事態を招いた与党の責任は重大であります。

 さて、郵政改革法案に反対する理由については、まず、今回の郵政改革が国民のための改革ではないからであります。

 郵政の民営化は、選挙で示された国民の意思であります。二〇〇五年の衆議院選挙では、郵政民営化が争点となり、郵政民営化を推進すべきであるという国民の審判が下りました。

 このたびの政府の郵政改革は、選挙で示された国民の意思に逆行するものであります。郵政改革が必要であるとしても、政府・与党には、こうした経緯を尊重し、十分な審議を通して国民に納得してもらう責務があります。

 しかし、政府・与党の姿勢は、国民の利便性を図ることを大義名分としながらも、その実は、特定団体の利益誘導のため、そして、その団体から支援を期待する民主党、国民新党の党利党略を図るためのものであります。恥も外聞もなく、特定団体の既得権を守り、拡大しようとする姿は、醜態のきわみであります。

 第二の理由は、金融機関がない過疎地域などでも本当に公平に金融サービスが受けられるかどうか疑問であるからであります。

 「あまねく全国において公平に利用できることを確保する」としていますが、郵便貯金銀行と郵便保険会社にユニバーサルサービス提供義務を法的に課していません。

 ユニバーサルサービスを提供するということは、より具体的には、郵便局の設置をどうするかという問題です。本当にユニバーサルサービスを実現しようとするならば、少なくとも郵便局の設置再編計画などを提示すべきでありますが、現在拠点がない地域に新たな拠点が設置されるかどうかについては、明確にされておりません。過疎地域などにも新たに設置することを法律に明記することなく、最終的には会社の経営判断にゆだねられるということになっております。

 第三番目の理由は、今回の郵政改革が、十分な検討や実態を踏まえて制度設計が行われていないからであります。

 政府の郵政改革においては、ユニバーサルサービスを確保することに重点を置いています。ユニバーサルサービスのコストをどうするかという点が、制度設計において非常に重要なポイントになります。例えば、他の金融機関が存在しない地域に限定して金融サービスを提供するということも制度設計として考えられます。ユニバーサルサービスといっても、金融事業に関して言えば、中山間地、離島、過疎地域など、他の金融機関が存在しない地域にどのようにサービスを提供するかという問題と言えるからです。

 しかし、こうした選択肢について十分検討が行われたとは言えません。これは、制度設計の根幹にかかわることであります。十分な検討がなされず制度設計が行われたことは、初めから郵政の存続ありき、郵政の拡大ありきとの批判は免れません。

 第四の理由は、民業の圧迫、中小企業融資への悪影響、国民への負担のツケ回しなど、さまざまな問題を引き起こすからであります。

 日本郵政は、一、公共サービスとしてみなされた業務を行う、二、政府が全額出資している、三、政府保有株式の売却時期が示されていないなど、まさに官業そのものであります。さらに、暗黙の政府保証があり、倒産しないということから、ほかの金融機関と比べ有利な立場に立つこととなります。民間金融機関にとっては、到底公平な競争を行える状況ではありません。

 郵便貯金銀行の預け入れ限度額を引き上げれば、民間金融機関の預金が減少し、特に地域金融機関の中小企業への融資が滞るおそれがあります。まさに中小企業いじめの法案となりかねません。

 集めた資金をどうするのかも不明であります。さらなる国債購入に充てるならば、引き受け余力を当てにして、政府の財政規律が緩むことが懸念されます。国債金利が上昇すれば、巨額の評価損となり、ゆうちょ銀行は赤字を出すことになります。また、郵貯マネーの運用を多様化するため、新幹線や高速道路、海外での原発の整備など大型投資や外国債の購入などに強い意欲を示していると報道されていますが、投資に失敗して巨額の損失を出したら、結局、税金で穴埋めをするということになるわけです。

 第五の理由は、民間との公平性を著しく欠き、公平性を確保できる体制ではないからであります。

 そもそも、郵政改革法案では、「郵政事業は、同種の業務を行う事業者の事業環境に与える影響を踏まえ、当該事業者との競争条件の公平性に配慮して行われるものとする。」と規定されていますが、競争条件の公平性については、配慮するではなく、確保するとしなければならないのであります。配慮という上から目線ではなく、公平性の確保に努めるのが政府のとるべき姿勢ではないでしょうか。

 公平性を確保する上で、郵政事業をチェックするとされている第三者委員会である郵政改革推進委員会が重要なかぎとなると見られていますが、この委員会に関しては、関係者からさまざまな問題が指摘されています。

 まず、郵政民営化委員会が廃止される来年十月一日から郵政改革推進委員会が立ち上がるまで、空白の期間が生じるおそれがあります。また、将来的には、この推進委員会も廃止されます。すなわち、第三者のチェックが入ったり入らなかったりする期間が生ずる上、委員会の廃止後は何のチェックもないということになります。また、郵政改革推進委員会の構成や権限から見て、本当に公正中立な第三者としての機能を果たせるかどうかについても疑問であります。

 政府の郵政改革法案は、党利党略を優先したもので、国民本位の改革ではありません。無理な体制を維持しようとして、さまざまな弊害を新たに生むものであります。改革の失敗は国民への負担となります。国民にツケ回しをすることは断じて許されません。

 以上のことを申し上げ、郵政改革法案等に対する私の反対討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(横路孝弘君) 塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、郵政改革関連三法案に対して、反対の討論を行います。(拍手)

 郵政民営化は、小泉構造改革の本丸とされ、二〇〇五年の国会では百時間を超える審議が行われました。その見直しを掲げる法案を、わずか六時間、一日で審議を打ち切ったことは重大です。

 近藤昭一総務委員長自身、地方公聴会、合同審査、参考人質疑についての与野党協議を求めていたにもかかわらず、放送法案に続けて、一週間に二度の採決強行に及んだことは、言論の府である国会の自殺行為と言わなければなりません。断固抗議するものであります。

 反対の第一の理由は、小泉内閣の郵政民営化法によって廃止された、金融のユニバーサルサービス、郵貯、簡保の全国一律サービス義務を回復し、保障するものになっていないことです。

 法案では、郵政持ち株会社、郵便事業会社と郵便局会社を統合した新日本郵政株式会社に金融の全国一律を課すとしていますが、新日本郵政株式会社も、郵便局に金融サービスを提供するゆうちょ銀行もかんぽ生命も、利潤追求の株式会社であります。しかも、ゆうちょ銀行、かんぽ生命は、銀行法、保険業法上の民間会社であり、全国一律サービスの義務づけを株式会社に義務づける制度設計には、根本的な矛盾があります。

 加えて、新日本郵政株式会社が保有する金融二社の株式は三分の一超にすぎず、全国一律サービス義務に基づく経営方針を金融二社に徹底することもできません。これでは、金融のユニバーサルサービスの保障を求める国民の声にこたえられず、民営化の見直しの名に値しないと断ぜざるを得ません。

 第二の理由は、ゆうちょ銀行の預け入れ限度額の引き上げ、新規事業の拡大で、地域金融、地域経済に混乱を及ぼす懸念があることです。

 大塚副大臣が二月に発表した郵政改革素案においても、「民間金融機関、とりわけ中小地域金融機関にとって、政府出資、全国ネットワーク、三事業一体で資金規模の大きい日本郵政グループが「経営上の潜在的脅威」であることは理解できる。」と述べていたのであります。法案が成立し、限度額が引き上げられ、新規業務が拡大すれば、郵政グループは、中小地域金融機関の潜在的脅威から現実的脅威に転換し、地域金融、地域経済の大きな波乱要因となることは避けられません。

 金融二社には、国民の求める全国一律サービス義務を免除する一方、政府出資など民間にはない有利な条件のもとで金融業務を解禁しようというのが今回の法案であります。小泉郵政民営化が、金融二社の全株式を売却することでアメリカと財界の要望にこたえたものなら、今回の法案は、郵政グループの利益拡大のためにその一部を手直ししただけの、国民不在の見直し法案であります。だからこそ、民主党の小沢幹事長は、郵政グループが抱える票をねらった選挙対策とさえ巷間言われているこの法案の成立を指示し、与党は問答無用の採決強行を行ったのであります。

 私は、昨年の郵政民営化凍結法案に対する本会議質問で、見直しの基本方向として、金融のユニバーサルサービスの義務づけ、一社体制、公的事業体の三点を提起しました。

 これに加えて、郵便の規制緩和に対する見直しも急務であります。小泉内閣のもとで進められた郵便市場の規制緩和によって、もうかる都市部へのメール便のいいとこ取り参入が進み、郵便市場は、限界を超えたコスト競争にさらされたのであります。この結果、郵便事業と民間宅配事業者の双方に非正規雇用が拡大し、郵政グループは、二十万人を超える日本最大の非正規雇用を抱える事業体となったのであります。まさに、貧困と格差を拡大した小泉構造改革の象徴であります。

 郵便のユニバーサルサービスの維持、非正規雇用から正社員化への転換のためにも郵便市場の規制緩和の見直しが不可欠ですが、今回の法案には、この視点が全く欠落しています。

 日本共産党は、郵政グループの利益のための見直しではなく、国民のための見直しを求めて奮闘することを表明し、反対の討論を終わります。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 三案を一括して採決いたします。

 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後十一時三十五分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       厚生労働大臣  長妻  昭君

       農林水産大臣  赤松 広隆君

       国務大臣  亀井 静香君


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