衆議院

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第8号 平成22年11月15日(月曜日)

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平成二十二年十一月十五日(月曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第八号

  平成二十二年十一月十五日

    午後三時三十分開議

 第一 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案(第百七十四回国会、内閣提出)

 第二 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(参議院送付)

 第三 民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案(内閣提出)

 第五 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とヨルダン・ハシェミット王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第六 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 第七 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオランダ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件

 第八 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

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本日の会議に付した案件

 内閣官房長官仙谷由人君不信任決議案(佐藤勉君外五名提出)

 国土交通大臣馬淵澄夫君不信任決議案(佐藤勉君外五名提出)

 日程第三 民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案(内閣提出)


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    午後九時二分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

小宮山泰子君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 佐藤勉君外五名提出、内閣官房長官仙谷由人君不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(横路孝弘君) 小宮山泰子さんの動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 内閣官房長官仙谷由人君不信任決議案(佐藤勉君外五名提出)

議長(横路孝弘君) 内閣官房長官仙谷由人君不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。塩谷立君。

    ―――――――――――――

 内閣官房長官仙谷由人君不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔塩谷立君登壇〕

塩谷立君 自由民主党の塩谷立でございます。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました仙谷官房長官不信任決議案について、提案理由の説明を行います。(拍手)

 まず、案文を朗読いたします。

  本院は、内閣官房長官仙谷由人君を信任せず。

   右決議する。

 以下に、本決議案を提案する理由を申し上げます。

 まず第一は、尖閣諸島沖中国漁船衝突事件への極めて不適切な一連の対応であります。

 それは、最近大幅に下落した菅内閣支持率同様、現政権の外交政策に対して八割近くの国民が評価していないことを示す調査結果からも明らかであります。

 この問題の実質的総責任者たる仙谷長官のそもそもの過ちは、政治主導と政治介入の履き違えであります。

 この事件は、国家にとって最も重要な主権に関する外交案件のため、政治主導で解決に当たるのは常識であります。ゆえに、その処理に不手際が生じれば、おのずとその責任は政治家が負うべきことも当然であります。

 その一方で、三権分立に基づき、司法手続への政治介入は厳に慎まなければならないのが民主主義の原則であります。法曹界出身の仙谷長官はこのことを知っていたからこそ、中国漁船の船長が逮捕された直後の九月八日には、国内法に従って粛々と対処していくと発言されたのではありませんか。

 にもかかわらず、勾留期限も待たず、九月二十四日に船長は釈放されました。その決定を発表した那覇地検次席検事も、司法の独立については、立場上、最もわきまえていた人物だったでしょう。その彼が、あえて、我が国国民への影響と今後の日中関係を考慮すると、これ以上身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当ではないと判断したと明言していることは、司法手続の過程に、本来あってはならない政治介入があったことを如実に想起させるものであります。

 他方、事件現場の様子を撮影したビデオの扱いについては、密接に外交案件と絡んでおり、この公開のあり方については国民が最も関心を寄せているところであります。この件について一任された仙谷長官は、今現在、ごく一部の映像を少数の国会議員に限定する公開にとどめておりますが、そこに何の意味があり、どういう意図が働いているのでしょうか。ビデオの内容以上の映像がインターネットの動画サイト、ユーチューブに流出したことで、本来なら公開を制限する意味は全くなくなったと言えます。であれば、この措置を続ける意図は、中国への外交的配慮しかありません。

 ところが、この仙谷長官の配慮は功を奏したのでしょうか。残念ながら、日本の国益を一方的に損ね、諸外国につけ入るすきを与えただけであります。今月一日にロシアのメドベージェフ大統領が北方領土国後島への訪問を強行したのは、その最たるあかしであります。

 ちなみに、仙谷長官は日ロがいまだ戦争状態にあると事実誤認されていたとの報道がありましたが、昭和三十一年の日ソ共同宣言で両国間の法的な戦争状態は終止しております。お忘れなく。

 対中外交に焦点を絞りましょう。

 ある報道によれば、仙谷長官は、事実上の政府特使として細野豪志前民主党幹事長代理を訪中させ、外交を取り仕切る戴秉国国務委員と会談させた際、関係緩和の環境づくりのため、ビデオ映像を非公開にするよう申し合わせたと言われております。そのかいあって、十月初め、ブリュッセルでは菅総理と温家宝の廊下会談が実現したようですが、こうした秘密外交による真相を隠したままの関係緩和には、日中両国で反発が生じております。十月下旬にハノイで予定されていた首脳会談は、先方にドタキャンされる始末でした。その間にビデオを公開することで、中国の不当性を国際的にアピールするまたとない機会を失ったのであります。

 一昨日も横浜で菅総理が胡錦濤国家主席と会ったようですが、わずか二十二分という短さで、しかも、この会談は、日本側は公式な首脳会談と発表しておりますが、中国側は、会見し言葉を交わしたという、やや軽い意味合いの交談と位置づけております。他の首脳との接触については会談という語彙を使い、正式な位置づけを明確にしているにもかかわらず、日本のみ、それに準ずる意味合いが込められた表現が使われているのであります。この真意がおわかりになるでしょうか。

 このように、国益を損なってまでビデオ映像の全面公開を拒んできた仙谷長官ですが、ユーチューブに映像が流出したことに対する責任の所在について、極めておかしなロジックを駆使して、鈴木海上保安庁長官の処分は不可避としつつ、他方、馬淵国交大臣をかばっております。これは、ひいては長官自身に責任が及ぶのを防ぐ予防線なのではないでしょうか。

 このロジックというのは、言うまでもなく、仙谷長官の、政治職と執行職のトップは責任のあり方が違うという発言ですが、そもそも、政治職と執行職という法令上の区分は存在しません。成果は政治家がひとり占め、失敗はすべて官僚の責任、これが民主党の唱える政治主導なのでしょうか。我々自由民主党は、政治家が最終責任をとることが政治主導だと認識しております。

 こうした仙谷長官の、トカゲのしっぽ切りとしか言いようのないこそくな思惑を察したからこそ、そして、何より、尖閣問題全般の政府の対応のひどさに強い憤りを感じたからこそ、容疑者として名乗り出た海上保安官は、あえてsengoku38という名前でビデオ映像を動画サイトに投稿したのではないでしょうか。

 このように、今回の事件をめぐっては、政治がなすべきことをせず、司法当局や現場の海上保安庁に責任を転嫁し続けるばかりで、事件発生後二カ月以上がたった今も、ろくな検証作業が行われておりません。

 釈放された船長は、また尖閣諸島に行って漁がしたいと言っております。そんな中で、再度同様な事件が発生したらどうするのでしょうか。

 第二は、沖縄の普天間基地移設問題です。

 鳩山前総理の無責任な、最低でも県外発言に端を発し、民主党政権になって一年二カ月近くにもなりますが、政府はこの問題に何ら有効な対策を打っておりません。打っていないというよりも、現在行われている県知事選に独自候補を擁立できない時点で、対策を放棄しているとしか見えません。

 そもそも、この問題こそが、日米関係を極度に悪化させて、中国やロシアにつけ入るすきを与えた経緯をかんがみれば、この問題の所管大臣の一人である仙谷長官は、罪は免れません。

 日米首脳会談も一昨日に行われたようですが、年内発表を目指していた安保体制強化の共同声明は、来春の総理訪米まで先送りになったそうですね。同盟の一丁目一番地たる普天間問題がこんな状況で、本当に間に合うのでしょうか。

 ことしは日米安保条約改定五十周年を迎えていますが、民主党政権の迷走により、同盟深化の道筋は全く見えません。民主党の外交・安保政策の拙劣さには野党時代から定評がありましたが、改めて、政権担当能力がないことが露呈したと言えましょう。

 第三は、円高に苦しむ国内輸出業者をしり目に、九月十五日の記者会見で仙谷長官が、一ドル八十二円台が防衛ラインと認める発言をしたことです。

 このような発言は、投機筋に八十二円までは大丈夫だと思わせることとなり、閣僚の立場にある人物は厳に慎まなければならないたぐいのものであります。国家経営を担う資格がないことを立証するものであります。

 第四は、国会における傲慢かつ無礼な言動の数々であります。

 国会審議において尖閣問題をめぐっての弱腰外交を批判されたときには、しなやかでしたたかな柳腰外交と答弁して、後日、その意味の間違いを鴨下一郎衆議院議員に指摘される始末。民主党政権における天下り問題を批判する政府参考人には、当人を目の前にして、彼の将来を傷つけると思うなど恫喝ともとれる発言をして陳謝する始末。山本一太参議院議員が報道の真偽をただした質問に対しては、野党時代にみずからが行っていた手法であることは棚上げして、拙劣と挑発する始末。

 一度は真摯な答弁に努めると約束したものの、その後も、出しゃばり、居直り、はぐらかしの答弁はとどまるところを知りません。司法試験と学生運動しかしたことのない学生生活を送り、社会に出てからも長らく法廷で論戦ばかりしていた仙谷長官には、国会答弁をディベートの一種だと勘違いされているのではないでしょうか。

 さらに、今月九日、衆議院予算委員会で、厳秘資料をみずからが広げていながら、それを記者に撮影されたことについて盗撮されたと発言するなど、正当な取材活動に対する冒涜行為であり、不適切きわまりません。自分の危機管理の甘さを反省すべきであるのに、他者を悪人とするその発想は直りようがないのでしょうか。

 我が党の谷垣禎一総裁は、先月十四日の記者会見で、求められもしないのに菅総理にかわって答弁する機会が目立つ仙谷長官を、牛若丸の前に立つ弁慶のようだと評しました。しかし、あれから一カ月がたった現在、中国にはひたすら低姿勢を貫く一方で、国会では傲岸不遜な態度をとり続ける内弁慶な内閣官房長官をいただいたままでは、日本の国益、ひいては国民の安全を守っていけるとは全く思いません。

 以上が、内閣官房長官仙谷由人君信任せずの理由であります。趣旨説明とさせていただきます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 討論の通告があります。順次これを許します。大島敦君。

    〔大島敦君登壇〕

大島敦君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議案となりました内閣官房長官不信任決議案に対して、反対の立場からの討論を行います。(拍手)

 反対の理由の第一は、そもそも、本案の前提となっております尖閣諸島における中国漁船衝突事件は、我が国及び海上保安庁に何ら責任はなく、我が国及び保安庁巡視艇は被害者の立場にあるからであります。

 我が国の海上保安庁に責任の一端でもあるのであれば、その責任の所在をめぐってけんけんがくがくの議論もあるでしょう、閣僚に対する不信任もあるでしょう。しかし、今回の場合、責任を問われるべきは中国漁船の船長個人であり、中国政府は、国内事情もあり、さまざまな対応をとっているにすぎません。しかし、日中関係は、外交努力によって、徐々にではありますが鎮静化しつつあります。

 このような状況においては、我々議員も、政党も、沈着冷静な対応を図るべきであります。我々は、外交に責任を持つ政府の外交努力を支持し、今回の事件における我が国の正当性を一致して訴えるべきと考えます。

 第二の理由は、我が国は法治国家であり、不法行為に対しては捜査当局が国内法に照らして対応すべきは当然であり、また、刑事訴訟法に基づき検察当局において対処方法を定めるのは当然と考えます。

 政府は一貫して、政治的介入を行っておらず、容疑事実に照らして検察当局が刑事訴訟法に基づき対応しているという、法治国家として当然の方針を貫き、説明しております。本件においては、政府の一貫した方針に何ら瑕疵はなく、官房長官を不信任にする理由は全く見当たりません。

 第三に、ビデオ映像の取り扱いに関する点です。

 本映像は、この事件が捜査対象となった段階で刑事訴訟法における証拠物件であり、刑事訴訟法第四十七条に規定する「訴訟に関する書類」に該当し、本条の規定によって、原則として公判の開廷前には公にしてはならないものとされていることは、議員各位が十二分に承知しておられると思います。そして、その扱いは検察当局にゆだねられており、検察当局は、国会が映像の国会提出要請を決議したことを踏まえ、この刑事訴訟法第四十七条の、ただし公益上の必要その他の事由があって相当と認める場合はこの限りではないという規定にのっとり映像を国会に提出し、国会においては、既に衆参予算委員等がこの映像を見ております。

 すなわち、この映像の取り扱いにおいても政府の姿勢は一貫しており、我が国の法令を遵守する対応に、一点の曇りも揺らぎもありません。官房長官は、その立場から、映像の公開については刑事訴訟法に照らして慎重であるべき旨を述べてきただけであります。この点においても、官房長官を不信任とする理由はありません。

 第四に、今回の映像流出事件についてであります。報道によれば、自民党の谷垣禎一総裁は、中国漁船衝突の映像流出事件で神戸海上保安部の海上保安官が関与を認めたことについて、国家の規律を守れないというのは間違っていると指摘され、同時に、二・二六事件を例とされ、若い純粋な気持ちを大事にしないとという声があり、最後はコントロールできなくなったと懸念を表明されたと伺っております。この御発言の趣旨こそ、まさに今、議会人、政党人として深く考えなければならないことではないでしょうか。

 戦前の政党政治の終えんをも教訓とするなら、我々議会人は、このような事件に接するとき、一層の冷静さが求められていると考えます。官房長官を不信任とすることは、冷静さと慎重さを欠くものと言わざるを得ません。

 最後に、私たち国会議員、そして日本政府がとるべき立場について申し上げます。

 それは、第一に、尖閣諸島は我が国の固有の領土であり、日中間には領土問題は存在しないという我々の立場を堅持し、一糸の乱れもなくこの方針を貫くためには、政府のもとで一致結束していくことであります。

 第二は、我が国と中国は過去に千年を超える歴史があり、今後も同様の長い関係が続きます。まさによき隣人として、ともにアジアと世界の平和と安定、発展のために戦略的互恵関係を強める努力を重ねるべきであります。

 そうした意味では、この間、菅内閣総理大臣を先頭に、我が国の政府、閣僚が粘り強く中国政府との外交努力を重ねていることについて大きな敬意を表し、これを高く評価いたします。

 政府に対してはさらなる外交努力を強く求めるべきであり、我々議会人も、個人、政党などのチャネルを駆使して、後押しするべきであります。今閣僚を不信任することは、我が国の主張に陰りをもたらすことになります。

 仙谷官房長官は、大病を克服し、我が国のために連日連夜の努力を重ねており、法律家としても、その法律的信念に照らして、今回の尖閣諸島漁船衝突事件においては法理を貫く姿勢と努力を重ねております。我々議員は、官房長官に対して、さらなる職務遂行、努力を求めるべきであります。

 以上、申し上げましたとおり、私は、本決議案につきまして、これを否決すべきであることをお訴えし、反対討論といたします。(拍手)

議長(横路孝弘君) 長島忠美君。

    〔長島忠美君登壇〕

長島忠美君 自由民主党の長島忠美です。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました仙谷内閣官房長官不信任決議案について、賛成の立場で討論いたします。(拍手)

 内政、外交において難問が山積する中で、内閣官房長官仙谷由人君は、内閣のかなめとして行政各分野全般にわたり諸案件を調整し統括する能力がないばかりか、国会では不適切な答弁を繰り返すなど、内閣官房長官としての適性と自覚が全く欠如しております。

 以下、本決議案に賛成する理由を具体的に申し述べます。

 まず第一は、尖閣諸島沖中国漁船衝突事件をめぐっての極めて不適切な一連の対応であります。

 九月七日午前の事件発生以来の経緯をたどると、政府の、ちぐはぐで行き当たりばったりとしか言いようのない迷走が明らかとなります。

 第十一管区海上保安本部の巡視船「みずき」は、中国籍の不審船を発見した翌日に、船長を公務執行妨害容疑で逮捕するに至りました。逃走を図ろうとした中国漁船が、悪質としか言いようのない衝突を何度も繰り返したことは、現在、周知の事実となっております。

 逮捕された船長の扱いについて、当初は仙谷長官も、国内法に基づき粛々と対応すると述べていたにもかかわらず、同月二十四日には、勾留期限を待たずに処分保留で釈放となりました。国家主権の根幹にかかわる外交案件にもかかわらず、その発表は那覇地検の次席検事が行いました。その際、我が国国民への影響と今後の日中関係を考慮すると、これ以上身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当でないと判断したとの説明をしております。三権分立に基づく司法の独立にかんがみて、検察当局が容疑者の身柄の取り扱いに関して外交への配慮を明言するのは極めて異例であります。

 その後、さまざまな事実が明らかになりつつある現在では、仙谷長官の、那覇地検の判断を了としたいとした建前論はともかく、事実上は、中国の圧力に屈した結果としての政治判断により、指揮権発動に類するような超法規的措置が講じられ船長が釈放されたと解釈するのが最も自然であります。にもかかわらず、仙谷長官は、この措置について、相変わらず、司法判断の結果と主張するのみであります。仙谷長官、これは二重の意味で問題であることが、まだおわかりにならないのでしょうか。

 この事件の処理については、本来政治が解決すべき外交案件を司法の判断に丸投げしたこと、そして、先ほどの自然な解釈が仮に事実と違うなら、それを国民に納得させるための説明責任を果たすべきなのに、それを一切怠っていることが問題になっているのであります。我々は、この事件は政治が解決すべき案件だと認識しておりますが、日ごろ長官が標榜する政治主導で問題を解決するそぶりすらうかがえません。

 第二は、菅内閣が掲げる主体的外交に明らかに反していることです。それは、尖閣事件のビデオの取り扱いをめぐるてんまつに象徴されています。

 菅総理は、十月一日の所信表明演説で、最終的に外交の方向性を決めるのは主権者たる国民だと主張しました。ところが、ビデオの取り扱いを一任された仙谷長官は、多くの国民が望む全面公開にいまだに応じていません。

 その理由として、証拠となる捜査資料だから、刑事訴訟法四十七条の規定で公判前には公にできないとの見解を述べておられますが、漁船の船長を中国に帰国させた結果、公判は今後開ける可能性がなく、また、公開によって船長らの名誉を傷つけるおそれもないのですから、この規定はもはや非公開の根拠たり得ません。

 むしろ、国民の知る権利を制限する方が重罪であり、さらに、中国の不当性を国際社会にアピールする機会を逃して国益を大きく損なったことは明らかであります。

 第三は、情報管理の甘さであります。

 政府がかたくなにビデオ映像のごく一部を少数の国会議員への限定公開としていたさなかの今月五日に、その内容以上の映像がインターネットの動画サイト、ユーチューブに流出したことが新聞各紙で報じられました。先日十日に、映像を投稿したと海上保安官が名乗り出ましたが、本来なら国家公務員法守秘義務違反に問われるはずの彼を擁護、激励する声が多いのは、そもそも衝突映像を秘密にしている政府の姿勢に疑問を抱く国民がいかに多いかを物語っています。

 あげくの果てに、この流出問題の責任について問われた仙谷長官は、鈴木海上保安庁長官の辞任は避けられないとする一方で、政治職と執行職のトップは責任のあり方が違うと述べて、所管大臣たる馬淵国土交通大臣への責任が及ばないよう予防線を張ったことは、こそくとしか言いようがありません。

 尖閣問題への対応をめぐって露呈した、菅内閣、それを支える影の総理とも言われる仙谷官房長官の危機管理のずさんさと情報管理能力の欠如は、今や覆い隠しようもありません。

 第四は、国家主権、領土に対する認識の甘さを諸外国に見透かされたことです。

 今月一日にロシアのメドベージェフ大統領が北方領土視察を強行したのは、その最たる証拠です。民主党政権による外交政策の混迷、混乱が招いた事態と言えましょう。

 第五は、普天間基地移設問題です。

 この問題は、仙谷官房長官も所管大臣の一人であるはずでありますが、何ら有効な対策を打とうともしておりません。今月五日に、上京して、意見書を渡そうとした沖縄の名護市長と市議会議長に対して、長官を初め閣僚のだれ一人会おうともしなかったことにあらわれています。二十八日に結論が出る沖縄県知事選挙の結果を待っているようですが、一年以上も振り回されて、なお解決の糸口すら見えない県民の苦痛は察するに余りあります。

 第六は、国権の最高機関たる立法府を軽視する傲岸不遜とも言える言動の数々であります。

 そのさまは、趣旨弁明にもあった、柳腰発言、政府参考人への恫喝、質疑者への挑発だけにとどまりません。特に、先月十八日の参議院決算委員会で、我が党の丸山和也参議院議員とのやりとりがそれを象徴しています。最近、健忘症にかかっているのか、そういう会話をした記憶が全くないと、自分を棚に上げ、健忘症のせいにしてしまいました。そんなに健忘症がひどいのなら、すぐにでもおやめになられた方がよろしいのではないでしょうか。それとも、自分にとって都合の悪いことだけ忘れる症状を健忘症と呼んでいらっしゃるのでしょうか。

 そして、仙谷長官の矛先はマスメディアにも及びます。

 今月九日の予算委員会の場で、みずからが広げていた厳秘資料が盗撮されたと騒ぎ立てた件については論評にも値しません。本当に極秘なら、あの場で書類を広げなければよかったのです。本当に、みずからが情報管理、危機管理を怠りながら、何を思ったのか、仙谷長官は、国会における写真取材の規制強化を求める発言をしたのです。

 自分の不適切な発言を逆手にとって、思いつきのように提案する内容といい、国会内のルールを官房長官が問題提起することといい、筋違いも甚だしい詭弁と独善のオンパレードであります。

 何事においても、みずからは正しく、悪いのは全部他人という仙谷長官では、真偽や事実関係よりも、強弁でその場を乗り切るスタイルの答弁に改善の余地はないでしょう。

 民主党政権になって一年二カ月近くになりますが、現在、日本を取り巻く情勢は厳しくなる一方であります。政権のかなめの役割を担うだけの国家観も信念もなく、みずから犯した政治的失策について、国民への説明責任も情報開示も果たそうとせず、小手先の答弁でその場をしのぎ、それでも矛盾点を指摘されれば強弁で押し通そうとする仙谷由人君の姿勢は、内閣官房長官としての資質、適格性が著しく欠落していると言わざるを得ません。

 また、歴史が証明すると強弁を繰り返していますが、歴史観、倫理観、国家観が全くない姿勢では、歴史は国家の危機を証明することになりかねません。

 以上、申し述べましたように、仙谷由人君は内閣官房長官として全く不適格であり、不信任に値するのはだれの目にも明白であります。議員各位の御賛同をお願い申し上げ、賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(横路孝弘君) 宮本岳志君。

    〔宮本岳志君登壇〕

宮本岳志君 私は、日本共産党を代表し、内閣官房長官仙谷由人君不信任決議案に対する討論を行います。(拍手)

 本日の本会議に、内閣官房長官並びに国土交通大臣に対する不信任決議案が自民党から提出されるに至った直接の契機は、予算委員会における尖閣諸島沖中国漁船衝突事件のビデオ映像の国会提出と公開をめぐる政府の対応でありました。

 この間の経過を振り返れば、尖閣諸島沖での衝突事件直後の国会答弁で、前原外務大臣は、事件当時の国土交通大臣として、ビデオを見れば中国漁船が故意にぶつけたことは一目瞭然だと述べました。これをきっかけとして、衆議院予算委員会は、当該ビデオ映像の国会提出を国会法百四条に基づき要求したのであります。そして、十月二十七日になって、ようやく、慎重な取り扱いを求める官房長官の要望書つきで国会に提出され、十一月一日の集中審議の直前に、予算理事会メンバーと当日の質問者に六分五十秒の映像が開示されました。そして、十一月四日、事件のビデオ映像が、動画投稿サイト、ユーチューブで明らかになるという経過をたどってきたのであります。

 今日、明らかになったビデオ映像を見れば、本来、これは非公開にしておくべき内容のものではありませんでした。こういう内容のものであるならば、政府の責任で、もっと早い段階で公開すべきだったのであります。私たちは、ビデオ映像の内容を私たちが知り得ない段階では、公開の是非については政府の責任で判断すべきだと言ってきました。しかし、明らかになったビデオを見れば、これは非公開にすべき内容のものでないことは明瞭であります。

 今問われるべき問題の焦点は、ビデオ流出問題ではありません。政府がビデオ映像の扱いについて、責任ある方針を持たず、早い段階で公開すべきものを公開してこなかったことにこそ問題の焦点があるのであります。公開すべきものを公開しなかったことが今回の流出問題につながったのであり、公開してこなかった責任こそ問われるべきであります。とりわけ、早い段階で公開を判断せず、無責任な対応を続け、事態の混乱を招いてきた内閣官房長官の責任は極めて重いと言わなければなりません。

 それどころか、政府は、今回の問題を専らビデオ流出問題に矮小化し、国家公務員の守秘義務の罰則強化や、国家機密法の制定の検討まで言い出しています。これは全く筋違いな話であり、表現の自由、国民の知る権利を侵害する動きとして、断じて容認することはできません。

 この際、菅民主党政権の進める政治についても述べておきたいと思います。

 政権交代から一年と二カ月が経過しました。国民の多くは、生活の苦難から何としても抜け出したい、これまでの政治を根本から変えたいと願ってきました。しかし、民主党政権はその願いにこたえたでしょうか。内政面でも外交面でも、失望と落胆の声が国民の中に大きく広がっているのであります。

 第一に、内政面について言えば、国民生活が第一どころか、国民の暮らしに改善の兆しはありません。

 この一年間に離職した労働者は七百二十四万人に上っており、新たに採用された人を四十万人も上回る状況で、雇用総数は減り続けています。大手企業ほど非正規労働者を真っ先に切り捨てているのであります。そのため、民間平均給与は年に二十四万円も減少し、五世帯に一世帯が貯蓄ゼロ、生活が苦しくて自殺する人が年に八千三百人を超えています。その一方、大企業は、内部留保を二百兆円をはるかに超える規模で積み上げているのであります。

 このような事態を招いたのは、民主党政権が、財界、大企業を応援することには力を尽くすが、国民の暮らしを支援する有効な手だてを講じなかったからであります。

 菅内閣が推進する新成長戦略には、危機に瀕した国民の生活と営業を救済する有効な手だては見当たりません。

 第二に、外交では、自立した外交、対等な日米関係は、言葉さえなくなりました。

 先日の日米首脳会談で、菅総理は、米軍の引き続くプレゼンスが必要と述べ、普天間基地の辺野古移設に、五月の日米合意をベースに最大限の努力をすると表明しました。県内移設反対という沖縄県民の総意を裏切って、県内たらい回しを押しつけようとしているのであります。

 また、十月の所信演説で、米国主導のTPP、環太平洋経済連携協定への参加、推進を突如として打ち出したことも重大です。日本農業に壊滅的な打撃を与え、地域経済を崩壊させることは明白であります。

 経済でも外交でも、日米同盟を絶対視する政治に突き進もうとしていることは、断じて看過することはできません。

 今や、民主党政権の一年を振り返ると、内政、外交のどれをとっても、自民党政権との基本的違いを見出すのは不可能となりました。そうした菅政権を支える内閣のかなめである仙谷内閣官房長官を信任することはできません。

 以上を表明し、不信任決議案に賛成の討論を終わります。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(横路孝弘君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(横路孝弘君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百六十六

  可とする者(白票)       百五十二

  否とする者(青票)       三百十四

議長(横路孝弘君) 右の結果、内閣官房長官仙谷由人君不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

佐藤勉君外五名提出内閣官房長官仙谷由人君不信任決議案を可とする議員の氏名

あべ  俊子君   安倍  晋三君   逢沢  一郎君   赤澤  亮正君

秋葉  賢也君   麻生  太郎君   甘利   明君   井上  信治君

伊東  良孝君   伊吹  文明君   石田  真敏君   石破   茂君

石原  伸晃君   稲田  朋美君   今津   寛君   今村  雅弘君

岩屋   毅君   江渡  聡徳君   江藤   拓君   遠藤  利明君

小里  泰弘君   小野寺 五典君   小渕  優子君   大島  理森君

大野  功統君   大村  秀章君   加藤  勝信君   梶山  弘志君

金子  一義君   金子  恭之君   金田  勝年君   鴨下  一郎君

川崎  二郎君   河井  克行君   河村  建夫君   木村  太郎君

岸田  文雄君   北村  茂男君   北村  誠吾君   小池 百合子君

小泉 進次郎君   古賀   誠君   後藤田 正純君   河野  太郎君

高村  正彦君   近藤 三津枝君   佐田 玄一郎君   佐藤   勉君

齋藤   健君   坂本  哲志君   塩崎  恭久君   塩谷   立君

柴山  昌彦君   下村  博文君   新藤  義孝君   菅   義偉君

菅原  一秀君   田中  和徳君   田野瀬良太郎君   田村  憲久君

平   将明君   高市  早苗君   高木   毅君   竹下   亘君

竹本  直一君   武田  良太君   武部   勤君   橘  慶一郎君

棚橋  泰文君   谷   公一君   谷垣  禎一君   谷川  弥一君

谷畑   孝君   徳田   毅君   中川  秀直君   中谷   元君

中村 喜四郎君   永岡  桂子君   長島  忠美君   長勢  甚遠君

二階  俊博君   西野 あきら君   西村  康稔君   額賀 福志郎君

野田   毅君   馳    浩君   浜田  靖一君   林   幹雄君

平井 たくや君   平沢  勝栄君   福井   照君   福田  康夫君

古川  禎久君   古屋  圭司君   保利  耕輔君   細田  博之君

町村  信孝君   松浪  健太君   松野  博一君   松本   純君

三ッ矢 憲生君   宮腰  光寛君   村田  吉隆君   茂木  敏充君

森   英介君   森   喜朗君   森山   裕君   柳本  卓治君

山口  俊一君   山本  公一君   山本  幸三君   山本   拓君

山本  有二君   吉野  正芳君   赤松  正雄君   井上  義久君

池坊  保子君   石井  啓一君   石田  祝稔君   稲津   久君

漆原  良夫君   江田  康幸君   遠藤  乙彦君   大口  善徳君

佐藤  茂樹君   斉藤  鉄夫君   坂口   力君   高木 美智代君

高木  陽介君   竹内   譲君   遠山  清彦君   富田  茂之君

西   博義君   東   順治君   古屋  範子君   赤嶺  政賢君

笠井   亮君   穀田  恵二君   佐々木 憲昭君   塩川  鉄也君

高橋 千鶴子君   宮本  岳志君   吉井  英勝君   浅尾 慶一郎君

江田  憲司君   柿澤  未途君   山内  康一君   渡辺  喜美君

園田  博之君   平沼  赳夫君   与謝野  馨君   衛藤 征士郎君

否とする議員の氏名

安住   淳君   阿久津 幸彦君   阿知波 吉信君   相原  史乃君

青木   愛君   浅野  貴博君   東   祥三君   網屋  信介君

荒井   聰君   五十嵐 文彦君   井戸 まさえ君   池田  元久君

石井   章君   石井 登志郎君   石毛 えい子君   石関  貴史君

石田  勝之君   石田  三示君   石田  芳弘君   石津  政雄君

石原 洋三郎君   石森  久嗣君   石山  敬貴君   泉   健太君

磯谷 香代子君   市村 浩一郎君   糸川  正晃君   稲富  修二君

稲見  哲男君   今井  雅人君   内山   晃君   打越 あかし君

生方  幸夫君   江端  貴子君   枝野  幸男君   小川  淳也君

小沢  一郎君   小沢  鋭仁君   小野塚 勝俊君   小原   舞君

緒方 林太郎君   大泉 ひろこ君   大串  博志君   大島   敦君

大谷   啓君   大谷  信盛君   大西  健介君   大西  孝典君

大畠  章宏君   大山  昌宏君   太田  和美君   逢坂  誠二君

岡島  一正君   岡田  克也君   岡田  康裕君   岡本  英子君

岡本  充功君   奥田   建君   奥野 総一郎君   奥村  展三君

加藤   学君   加藤  公一君   鹿野  道彦君   海江田 万里君

柿沼  正明君   笠原 多見子君   梶原  康弘君   勝又 恒一郎君

金森   正君   金子  健一君   神山  洋介君   川内  博史君

川口   浩君   川口   博君   川越  孝洋君   川島 智太郎君

川端  達夫君   川村 秀三郎君   菅   直人君   木内  孝胤君

木村たけつか君   吉良  州司君   城井   崇君   黄川田  徹君

菊池長右ェ門君   岸本  周平君   北神  圭朗君   京野  公子君

工藤  仁美君   櫛渕  万里君   楠田  大蔵君   沓掛  哲男君

熊谷  貞俊君   熊田  篤嗣君   黒岩  宇洋君   黒田   雄君

桑原   功君   玄葉 光一郎君   小泉  俊明君   小平  忠正君

小林  興起君   小林  正枝君   小宮山 泰子君   小宮山 洋子君

小室  寿明君   小山  展弘君   古賀  一成君   古賀  敬章君

後藤   斎君   後藤  祐一君   郡   和子君   近藤  和也君

近藤  昭一君   近藤  洋介君   佐々木 隆博君   佐藤 ゆうこ君

斉木  武志君   斉藤   進君   齋藤   勁君   斎藤やすのり君

坂口  岳洋君   阪口  直人君   笹木  竜三君   階    猛君

篠原   孝君   柴橋  正直君   下条  みつ君   城島  光力君

白石  洋一君   神風  英男君   首藤  信彦君   瑞慶覧 長敏君

末松  義規君   杉本 かずみ君   菅川   洋君   鈴木  克昌君

仙谷  由人君   園田  康博君   空本  誠喜君   田島  一成君

田嶋   要君   田名部 匡代君   田中けいしゅう君   田中 美絵子君

田村  謙治君   平   智之君   高井  崇志君   高井  美穂君

高木  義明君   高野   守君   高橋  昭一君   高橋  英行君

高松  和夫君   高邑   勉君   高山  智司君   滝    実君

竹田  光明君   武正  公一君   橘   秀徳君   玉木  朝子君

玉木 雄一郎君   玉城 デニー君   樽床  伸二君   中後   淳君

津川  祥吾君   津島  恭一君   津村  啓介君   辻    惠君

辻元  清美君   筒井  信隆君   手塚  仁雄君   寺田   学君

土肥  隆一君   道休 誠一郎君   富岡  芳忠君   豊田 潤多郎君

中井   洽君   中川   治君   中川  正春君   中島  政希君

中津川 博郷君   中塚  一宏君   中根  康浩君   中野  寛成君

中野   譲君   中野渡 詔子君   中林 美恵子君   中屋  大介君

中山  義活君   仲野  博子君   永江  孝子君   長尾   敬君

長島  昭久君   長島  一由君   長妻   昭君   長安   豊君

仁木  博文君   西村 智奈美君   野木   実君   野田  国義君

野田  佳彦君   羽田   孜君   萩原   仁君   橋本  清仁君

橋本  博明君   橋本   勉君   畑   浩治君   鉢呂  吉雄君

初鹿  明博君   鳩山 由紀夫君   花咲  宏基君   浜本   宏君

早川 久美子君   原口  一博君   伴野   豊君   樋口  俊一君

樋高   剛君   平岡  秀夫君   平野  博文君   平山  泰朗君

福嶋 健一郎君   福島  伸享君   福田  昭夫君   福田 衣里子君

藤井  裕久君   藤田  一枝君   藤田  大助君   藤田  憲彦君

藤村   修君   古川  元久君   古本 伸一郎君   細川  律夫君

細野  豪志君   本多  平直君   馬淵  澄夫君   前原  誠司君

牧   義夫君   牧野  聖修君   松岡  広隆君   松木けんこう君

松崎  公昭君   松崎  哲久君   松野  頼久君   松原   仁君

松宮   勲君   松本  大輔君   松本   龍君   三日月 大造君

三谷  光男君   三村  和也君   三輪  信昭君   三井  辨雄君

水野  智彦君   皆吉  稲生君   宮崎  岳志君   宮島  大典君

向山  好一君   村井  宗明君   村上  史好君   村越  祐民君

室井  秀子君   本村 賢太郎君   森岡 洋一郎君   森本  和義君

森本  哲生君   森山  浩行君   矢崎  公二君   谷田川  元君

柳田  和己君   山尾 志桜里君   山岡  賢次君   山岡  達丸君

山口  和之君   山口   壯君   山崎  摩耶君   山崎   誠君

山田  正彦君   山田  良司君   山井  和則君   山花  郁夫君

山本  剛正君   湯原  俊二君   柚木  道義君   横粂  勝仁君

横光  克彦君   横山  北斗君   吉川  政重君   吉田   泉君

吉田 おさむ君   吉田  公一君   吉田  統彦君   笠   浩史君

和嶋  未希君   和田  隆志君   若井  康彦君   若泉  征三君

鷲尾 英一郎君   渡辺 浩一郎君   渡辺   周君   渡辺  義彦君

渡部  恒三君   阿部  知子君   重野  安正君   照屋  寛徳君

中島  隆利君   服部  良一君   吉泉  秀男君   亀井  静香君

下地  幹郎君   田中  康夫君   松下  忠洋君   小泉  龍司君

石川  知裕君   中島  正純君

     ――――◇―――――

小宮山泰子君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 佐藤勉君外五名提出、国土交通大臣馬淵澄夫君不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(横路孝弘君) 小宮山泰子さんの動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 国土交通大臣馬淵澄夫君不信任決議案(佐藤勉君外五名提出)

議長(横路孝弘君) 国土交通大臣馬淵澄夫君不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。山本公一君。

    ―――――――――――――

 国土交通大臣馬淵澄夫君不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山本公一君登壇〕

山本公一君 自由民主党の山本公一です。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました国土交通大臣馬淵澄夫君不信任決議案につき、提案の趣旨を御説明申し上げます。(拍手)

 まず、決議案文を朗読いたします。

  本院は、国土交通大臣馬淵澄夫君を信任せず。

   右決議する。

以上であります。

 十一月四日の夜、尖閣諸島沖で中国漁船が我が国海上保安庁の巡視船に衝突した際の映像がインターネット上に流出しました。この衝突事件に関する映像は、海上保安庁が故意に衝突をしてきた中国漁船の船長を公務執行妨害容疑で逮捕、送検しながら沖縄地方検察庁が処分保留のまま釈放したことの真相とその是非を知る上で極めて重要な資料であります。

 衆議院において、去る十月十三日、予算委員会で、国会法第百四条で記録提出要求を決議し、同月二十七日に那覇地検から提出を受け、十一月一日に衆参の予算委員会の理事等に対象を限定して、約七分間に編集された映像が放映されました。衝突事件発生以来二カ月近くの時間を経て、ようやく実現したものであります。

 しかし、今回流出した映像は、四十四分間にもわたる映像であることもさることながら、一海上保安官によって、いとも簡単にインターネットで流され、世界じゅうの人が見ることのできる状態にされたことは、政府の情報管理能力、危機管理能力の欠如を示す大失態であります。そして、この映像は、一時期、海上保安庁の職員であれば、映像を保管する第十一管区海上保安本部以外の、どこでも視聴できたことが明らかになりつつあり、その管理体制の不備は隠しようがありません。海上保安庁を所管し、監督責任を有する馬淵国土交通大臣の責任は極めて重いものであると思います。

 しかるに、馬淵大臣の自覚と認識のほどはいかがでしょうか。

 十一月五日の国土交通委員会では、事実関係を把握する上で必要な、海上保安庁が保有する映像コピーの本数すら答えることをせず、また、大臣の責任を問う質問者に対し、調査の段階であり、現時点では申し述べられないと答え、また、十一月九日の大臣会見では、本件に関し、昨日八日海上保安庁長官名で警視庁及び東京地検に被疑者不詳のまま刑事告発したと聞いていると他人事のように発言し、海上保安官が名乗り出た当日の予算委員会では、大臣の責任について、捜査中であり、これに協力すること、原因の徹底究明、それが私どもの責務であると繰り返し、当事者であるみずからの責任を明確にすることはありませんでした。また、流出させたのがだれなのか重大な関心が持たれている中、海上保安官が名乗り出たという事実を知ってから約三時間も首相官邸に報告しなかったことも明らかになっています。

 このように、馬淵大臣が、極めて無責任で反省のない、誠意のない態度に終始していることは、驚くべきことであります。本来なら、海上保安官が告白したことを知った時点でみずから職を辞し、後任の大臣のもとで原因究明、再発防止、海上保安庁の体制立て直しなどに取り組むべきであるにもかかわらず、大臣の職にいまだにとどまり続けていることは、信じがたいことであり、決して許すことはできません。

 最前線で体を張って職務を執行している者にとって、あずかり知らぬという最高指揮官を持つことは不幸であります。海上保安官の士気、使命感がこのことによって失われないことを祈るばかりであります。

 馬淵大臣を不信任とする理由は、これだけではありません。八ツ場ダム建設事業についての発言です。

 前原前国土交通大臣は、できるだけダムに頼らない治水の考え方に基づき八ツ場ダムを含め検証すると言いながら、具体的な根拠も示さないままに中止という考え方を貫きました。この矛盾した考え方により、本体工事を目前にし、それを地域活性化の起爆剤にしようとしていた地元住民を、深く失望させ、混乱させました。このことだけで政府・民主党の責任は重大と言わざるを得ません。

 ところが、馬淵国土交通大臣は、十一月六日、建設中の八ツ場ダムを視察し、今後一切、中止の方向性という言葉には言及せず、予断を持たずに検証すると発言しました。ダム建設を待ち望む地元住民にとっては、これが建設に向けての方針転換ということであればよいのですが、建設か中止かは検証結果いかんであることに変わりありません。

 問題は、新旧大臣の間で異なる考えが示されたということであります。この馬淵大臣の発言は、再び地元住民の気持ちを攪乱し、今後の生活をますます不透明なものにするもので、まさに民主党政権が地元住民を振り回していることをはっきりと自覚すべきなのです。

 検証の手順が示されるまでに既に一年が経過しました。これから、さらに時間をかけて本格的な検証を進めていくことになります。これで、ダムに翻弄され続けた地元住民の生活は安定するのでしょうか。安全で安心な社会づくりを行うべき立場の国土交通大臣としての責任は極めて重大であります。

 さらに、民主党の目玉政策である高速道路の原則無料化施策については、これまでの報道機関による世論調査でも大半の国民が評価しないと回答していましたが、十一月四日に発表された、政策コンテストに向けたパブリックコメントにおいては、八二%もの国民が原則無料化の社会実験に対し必要なしと答えていることが発表されました。公共交通が衰退している現状を背景に、政府は、来年には交通基本法案を提出するという方針を打ち出しているにもかかわらず、公共交通に打撃となる高速道路無料化社会実験を進めていくことは、矛盾以外の何物でもありません。

 この社会実験費用に今年度で一千億円使われております。さらに、二十三年度予算では、その一・五倍の一千五百億円を要求しております。離島住民の足を守るための離島航路補助金は今年度わずか四十七億円、地域での通学や通院など生活の足を確保するための地方バス路線維持費補助金は六十八億円、地方鉄道その他の地域公共交通活性化・再生のための補助金は四十億円であります。これらの金額と比べたとき、高速道路無料化のための社会実験費用がいかに大きいことか。

 民主党は、本当に地域のことを考えていらっしゃるのでしょうか。国民に支持をされないこの無料化施策こそ無駄な事業であり、馬淵大臣は即刻この施策を撤回すべきであります。マニフェストに固執し、これを推進している馬淵大臣は、国費を無駄遣いしている張本人であることを自覚し、潔くその責任をとるべきなのです。しかるに、大臣の職に座り続け、無料化を実現しようとしていることは、言語道断であります。

 よって、ここに、馬淵国土交通大臣の罷免を強く求め、不信任決議案を提出した次第であります。本決議案に多くの議員が賛同され、速やかに可決されんことをお願いし、趣旨の説明といたします。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 討論の通告があります。順次これを許します。石関貴史君。

    〔石関貴史君登壇〕

石関貴史君 民主党の石関貴史です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました国土交通大臣・内閣府特命担当大臣馬淵澄夫君不信任決議案に対しまして、断固反対の立場から討論を行います。(拍手)

 初めに申し上げます。馬淵澄夫君の人格が清廉にして高潔であることは、衆目の一致するところであります。強い責任感を持って事に臨み、誠心誠意職務を全うしようとしている馬淵大臣に対して理不尽きわまりない不信任案を提出するという暴挙に出た諸君に対し、強く抗議をするものであります。

 長きにわたる自由民主党の失政によって、我が国の経済社会は疲弊をきわめております。このような政治の変革を求める国民の怒りの一票の集積が大きな山をなし、二〇〇九年の衆議院総選挙において、自公政権に終止符が打たれ、民主党を中心とする政権が誕生しました。

 さまざまな政策分野で新しい政策への取り組みが進んでまいりましたが、とりわけ目立っていたのが、国土交通行政における政策転換であります。

 前原国土交通大臣の時代に、一年余り副大臣として国土交通行政に携わり、大きな実績を上げてきた馬淵君の活躍ぶりを挙げれば、枚挙にいとまがありません。八ツ場ダム問題についての基本姿勢も揺るぎのないものであり、御心配には及びません。

 今、馬淵大臣に対する国民の期待は極めて大きなものがあります。不信任案提出により大臣の職務に冷や水を浴びせて妨害しようとする行為は、卑劣きわまりないと批判せざるを得ません。

 不信任案に対する第一の反対の理由は、中国漁船衝突をめぐる映像流出事件に係る国土交通大臣の政治責任を取り上げて不信任を求めることには、何の論拠もなく、難癖そのものであることであります。

 今般の事案については、まずは捜査当局による事実関係の解明が急務であると考えます。まずは徹底した事実の究明が第一であり、引き続き捜査に全面的に協力をしながら事実の究明を行っている馬淵大臣の取り組みを支持するものであります。

 さらに、内部からの流出が仮にあったとすれば、この再発防止策を講ずることが最大の責務であると述べている馬淵大臣の発言も、当然のことと考えます。

 また、野党の中には、映像流出に係る国土交通大臣の政治責任の問題で、政治職と執行職の責任は別とする政府の立場について、かつて民主党の政調会長だった菅総理が新潟県警の不祥事に関し、警察行政のトップを預かる国家公安委員長、警察庁長官はみずから責任をとるべきだと閣僚も含めて辞任を求めたことを引き合いに出して、政府の責任や矛盾を追及する声があります。

 政治職と執行職の責任についての発言は、強制的な捜査権を持つ行政機関について述べたものであり、一般論として、それらの機関は、政治的影響力を排除するため独立性を有しており、それに伴う責任も担っている旨を述べたものです。個々の事案の内容、経過などによって責任の問われ方は異なり、ケースによってそれぞれ判断されるべきものであり、国土交通大臣の不信任にまで結びつけるのは、論理の飛躍であって、稚拙な姿勢と言わざるを得ません。

 繰り返しになりますが、今回の事案については、まずは捜査当局による事実関係の解明を最優先し、その結果を踏まえて、責任のあり方と再発防止策の早急な確立が必要になると考えます。

 尖閣諸島における中国漁船衝突事件について、我が国及び海上保安庁には責任はありません。こうした諸点からしても、馬淵大臣を不信任とする理由は全く見出せません。

 第二に、今般の不信任案の提出は、尖閣諸島は我が国固有の領土であり、日中間には領土問題は存在しないという、党派を超えての共通の土台を揺るがすものであります。

 外交論争は水際までという言葉もありますが、今回の自民党を初めとする野党の態度は、本来政局にすべきでないことを争点とするものであり、まことに残念至極であります。

 第三に、今馬淵大臣を失うことは、日本の政治の安定にとって大きな損失になることは明らかです。

 馬淵大臣は、国土の背骨としての社会資本整備、国民生活の背骨としての住宅、地域交通等の確保、地域経済を支える産業の背骨としての成長戦略の実現など、重要な課題に取り組んでおります。沖縄及び北方対策担当の内閣府特命担当大臣としての仕事にも、ますます精励していただかなければなりません。

 以上のとおり、馬淵国土交通大臣・内閣府特命担当大臣に対して不信任を求める理由など全くないことを重ねて申し上げ、議員各位が、この党利党略、パフォーマンス優先で無節操、無責任な決議案に断固反対することを強く呼びかけ、私の反対討論を終わります。(拍手)

議長(横路孝弘君) 徳田毅君。

    〔徳田毅君登壇〕

徳田毅君 自由民主党の徳田毅です。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました国土交通大臣馬淵澄夫君不信任決議案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 以下、本決議案に賛成する理由を申し上げます。

 まず初めに、尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁の巡視船の衝突した事案に関する対応の問題であります。

 中国漁船と巡視船衝突の映像がインターネットに流出した事件について、十一月十日、神戸海上保安部所属の海上保安官が自分が流出させたと名乗り出て、海上保安庁内部からの流出が明らかとなりました。

 国民が映像公開を求めているにもかかわらず、政府が映像の全面公開を拒み続けている間に内部から映像が流出したことは、政府の情報管理の能力が欠如している、それを世界にさらけ出し、これにより、日中間の問題にとどまらず、国際的に大きな不信感を与え、今後の国益に大きな悪影響を及ぼす極めて遺憾な事件だと言わざるを得ません。

 海上保安庁に端を発したこの問題により、同庁を所管する馬淵国土交通大臣が責任をとり、大臣の職を辞すべきであると、まずもって申し上げます。

 馬淵国土交通大臣は十月十八日に映像管理の徹底を指示されたと言われています。九月七日の衝突事件発生から指示するまでの間、約一カ月以上が経過しており、その間、ずさんな映像管理が行われていたということは言うまでもなく、情報管理について大臣の責任が強く問われなければなりません。

 また、十一月十一日の参議院国土交通委員会で、馬淵大臣は、神戸海上保安部の保安官が映像のインターネットへの投稿を打ち明けた一報を九時四十分に海上保安庁から受けたにもかかわらず、昼休みに入ってようやく総理官邸に報告したと発言しています。このことからも、馬淵大臣に、この問題の重要性、危機管理の意識が欠如していることは明白であります。

 十一月十二日の衆議院国土交通委員会において内部流出の大臣責任を再三問われても、ただ、捜査に協力する、再発防止策を講じるとの答弁に終始するばかりでした。海上保安庁を所管する国土交通大臣として、大臣がやめられても、捜査に協力する、再発防止策を講ずるというのは当たり前のことであり、そのことをすることで責任を全うしたということはできません。

 民主党のマニフェスト二〇一〇では、「外交文書を含めて行政情報の公開に積極的に取り組みます。」と記載されています。政府・民主党は、衝突映像を早急に公開するべきでした。これまで政府が映像公開をかたくなに拒み続けてきたことが、命をかけて領海警備に当たっている海上保安庁職員の士気を著しく喪失させたのではないでしょうか。その結果が、このような事態を招いたと言えます。

 民主党は政治主導を標榜してきました。(発言する者あり)

議長(横路孝弘君) 静粛に願います。

徳田毅君(続) 今、海上保安庁長官にのみ責任を負わせるのではなく、国土交通行政の最高責任者として、政治家である馬淵国土交通大臣が責任をとるべきではないでしょうか。

 次に、八ツ場ダム建設の中止をめぐる問題であります。

 昭和二十七年に八ツ場ダムが計画をされて、当初、地元住民の方々は、土地を失い、仕事を失うという理由から反対をされてこられました。しかしながら、一都五県を含む利根川流域の治水、利水の重要性から、苦渋の選択の結果、ダム建設を受け入れていただきました。

 事業費のおよそ七割が支出され、ダム本体工事も目前にして、これからまさにダムを地域経済活性化の起爆剤として新たなスタートを踏み出そうとしたやさきに、昨年、政権交代が起こりました。

 前原前国土交通大臣はマニフェストに基づき建設中止を一貫して主張したため、地元住民の生活設計は百八十度転換させられ、大きな混乱を招いているのであります。前原前国土交通大臣の中止発言に、地元住民を初め関係自治体も猛反発をしたのは当然のことであります。

 馬淵大臣は、去る十一月六日、大臣就任後初めて八ツ場ダム建設予定地を視察し、地元自治体との懇談の場で、中止の方向性という言葉には言及しない、予断を持たずに検証していくと発言しました。しかしながら、中止なのか建設なのか、全く明快になっていません。

 建設中止の前原前大臣の表明から既に一年が経過しており、そして再検証の結論が出るまで、また時間が経過していきます。その間、地元住民は不安定な生活を送らざるを得ないのであります。中止となった場合の生活再建のための法律を検討されていると言われますが、どのようなものなのか全く見えておりません。住民の生活を無視し、政治によって住民を愚弄することをやめるべきであり、その責任は、まさに馬淵大臣にあります。

 次に、高速道路無料化についてであります。

 民主党は、二〇〇九年の衆議院選挙において、高速道路の無料化を旗印に選挙に勝利し、政権交代をいたしました。しかし、その結果、高速道路無料化はどうなったのでしょうか。今年度において無料化の社会実験として実施されたのは、全国の高速道路のうち約二割にすぎません。財源の見通しがないまま国民に無料化の期待を与え続けてきたことは極めて無責任であります。

 また、自民党政権下で始められた普通車休日千円の料金制度にかわる新たな料金制度として、国土交通省は四月九日に、高速道路の再検証結果と新たな料金割引を発表し、上限が二千円となる料金制度を示しました。しかしながら、これについて、実質値上げとなるとして、国民ばかりではなく、身内の与党内部からも猛反対の意見が噴出し、今や議論の俎上にも上がらないという醜態をさらしています。

 その関連法案として第百七十四回通常国会に提出した高速自動車国道法等改正案は、現在継続審査となっていますが、成立の見通しは、当然のことながら全く立っておりません。現在、法案の責任者は馬淵国土交通大臣であります。国土交通副大臣、そして大臣を歴任しながら、これまで道路行政の将来の展望を示すことができなかった馬淵大臣の責任は極めて重大だと言わざるを得ません。

 以上、馬淵国土交通大臣を不信任とする理由を申し上げてまいりました。

 最後に、改めて申し上げますが、尖閣諸島における中国漁船の衝突事件の映像が流出した事件について、国土交通大臣として、そして菅内閣としてもけじめをつける意味で、辞任を強く求め、私の賛成討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(横路孝弘君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(横路孝弘君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百六十七

  可とする者(白票)       百五十一

  否とする者(青票)       三百十六

議長(横路孝弘君) 右の結果、国土交通大臣馬淵澄夫君不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

佐藤勉君外五名提出国土交通大臣馬淵澄夫君不信任決議案を可とする議員の氏名

あべ  俊子君   安倍  晋三君   逢沢  一郎君   赤澤  亮正君

秋葉  賢也君   麻生  太郎君   甘利   明君   井上  信治君

伊東  良孝君   伊吹  文明君   石田  真敏君   石原  伸晃君

稲田  朋美君   今津   寛君   今村  雅弘君   岩屋   毅君

江渡  聡徳君   江藤   拓君   遠藤  利明君   小里  泰弘君

小野寺 五典君   小渕  優子君   大島  理森君   大野  功統君

大村  秀章君   加藤  勝信君   梶山  弘志君   金子  一義君

金子  恭之君   金田  勝年君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君

河井  克行君   河村  建夫君   木村  太郎君   岸田  文雄君

北村  茂男君   北村  誠吾君   小池 百合子君   小泉 進次郎君

古賀   誠君   後藤田 正純君   河野  太郎君   高村  正彦君

近藤 三津枝君   佐田 玄一郎君   佐藤   勉君   齋藤   健君

坂本  哲志君   塩崎  恭久君   塩谷   立君   柴山  昌彦君

下村  博文君   新藤  義孝君   菅   義偉君   菅原  一秀君

田中  和徳君   田野瀬良太郎君   田村  憲久君   平   将明君

高市  早苗君   高木   毅君   竹下   亘君   竹本  直一君

武田  良太君   武部   勤君   橘  慶一郎君   棚橋  泰文君

谷   公一君   谷垣  禎一君   谷川  弥一君   谷畑   孝君

徳田   毅君   中川  秀直君   中谷   元君   中村 喜四郎君

永岡  桂子君   長島  忠美君   長勢  甚遠君   二階  俊博君

西野 あきら君   西村  康稔君   額賀 福志郎君   野田   毅君

馳    浩君   浜田  靖一君   林   幹雄君   平井 たくや君

平沢  勝栄君   福井   照君   福田  康夫君   古川  禎久君

古屋  圭司君   保利  耕輔君   細田  博之君   町村  信孝君

松浪  健太君   松野  博一君   松本   純君   三ッ矢 憲生君

宮腰  光寛君   村田  吉隆君   茂木  敏充君   森   英介君

森   喜朗君   森山   裕君   柳本  卓治君   山口  俊一君

山本  公一君   山本  幸三君   山本   拓君   山本  有二君

吉野  正芳君   赤松  正雄君   井上  義久君   池坊  保子君

石井  啓一君   石田  祝稔君   稲津   久君   漆原  良夫君

江田  康幸君   遠藤  乙彦君   大口  善徳君   佐藤  茂樹君

斉藤  鉄夫君   坂口   力君   高木 美智代君   高木  陽介君

竹内   譲君   遠山  清彦君   富田  茂之君   西   博義君

東   順治君   古屋  範子君   赤嶺  政賢君   笠井   亮君

穀田  恵二君   佐々木 憲昭君   塩川  鉄也君   高橋 千鶴子君

宮本  岳志君   吉井  英勝君   浅尾 慶一郎君   江田  憲司君

柿澤  未途君   山内  康一君   渡辺  喜美君   園田  博之君

平沼  赳夫君   与謝野  馨君   衛藤 征士郎君

否とする議員の氏名

安住   淳君   阿久津 幸彦君   阿知波 吉信君   相原  史乃君

青木   愛君   赤松  広隆君   浅野  貴博君   東   祥三君

網屋  信介君   荒井   聰君   五十嵐 文彦君   井戸 まさえ君

池田  元久君   石井   章君   石井 登志郎君   石毛 えい子君

石関  貴史君   石田  勝之君   石田  三示君   石田  芳弘君

石津  政雄君   石原 洋三郎君   石森  久嗣君   石山  敬貴君

泉   健太君   磯谷 香代子君   市村 浩一郎君   糸川  正晃君

稲富  修二君   稲見  哲男君   今井  雅人君   内山   晃君

打越 あかし君   生方  幸夫君   江端  貴子君   枝野  幸男君

小川  淳也君   小沢  一郎君   小沢  鋭仁君   小野塚 勝俊君

小原   舞君   緒方 林太郎君   大泉 ひろこ君   大串  博志君

大島   敦君   大谷   啓君   大谷  信盛君   大西  健介君

大西  孝典君   大畠  章宏君   大山  昌宏君   太田  和美君

逢坂  誠二君   岡島  一正君   岡田  克也君   岡田  康裕君

岡本  英子君   岡本  充功君   奥田   建君   奥野 総一郎君

奥村  展三君   加藤   学君   加藤  公一君   鹿野  道彦君

海江田 万里君   柿沼  正明君   笠原 多見子君   梶原  康弘君

勝又 恒一郎君   金森   正君   金子  健一君   神山  洋介君

川内  博史君   川口   浩君   川口   博君   川越  孝洋君

川島 智太郎君   川端  達夫君   川村 秀三郎君   菅   直人君

木内  孝胤君   木村たけつか君   吉良  州司君   城井   崇君

黄川田  徹君   菊池長右ェ門君   岸本  周平君   北神  圭朗君

京野  公子君   工藤  仁美君   櫛渕  万里君   楠田  大蔵君

沓掛  哲男君   熊谷  貞俊君   熊田  篤嗣君   黒岩  宇洋君

黒田   雄君   桑原   功君   玄葉 光一郎君   小泉  俊明君

小平  忠正君   小林  興起君   小林  正枝君   小宮山 泰子君

小宮山 洋子君   小室  寿明君   小山  展弘君   古賀  一成君

古賀  敬章君   後藤   斎君   後藤  祐一君   郡   和子君

近藤  和也君   近藤  昭一君   近藤  洋介君   佐々木 隆博君

佐藤 ゆうこ君   斉木  武志君   斉藤   進君   齋藤   勁君

斎藤やすのり君   坂口  岳洋君   阪口  直人君   笹木  竜三君

階    猛君   篠原   孝君   柴橋  正直君   下条  みつ君

城島  光力君   白石  洋一君   神風  英男君   首藤  信彦君

瑞慶覧 長敏君   末松  義規君   杉本 かずみ君   菅川   洋君

鈴木  克昌君   仙谷  由人君   園田  康博君   空本  誠喜君

田島  一成君   田嶋   要君   田名部 匡代君   田中けいしゅう君

田中 美絵子君   田村  謙治君   平   智之君   高井  崇志君

高井  美穂君   高木  義明君   高野   守君   高橋  昭一君

高橋  英行君   高松  和夫君   高邑   勉君   高山  智司君

滝    実君   竹田  光明君   武正  公一君   橘   秀徳君

玉木  朝子君   玉木 雄一郎君   玉城 デニー君   樽床  伸二君

中後   淳君   津川  祥吾君   津島  恭一君   津村  啓介君

辻    惠君   辻元  清美君   筒井  信隆君   手塚  仁雄君

寺田   学君   土肥  隆一君   道休 誠一郎君   富岡  芳忠君

豊田 潤多郎君   中井   洽君   中川   治君   中川  正春君

中島  政希君   中津川 博郷君   中塚  一宏君   中根  康浩君

中野  寛成君   中野   譲君   中野渡 詔子君   中林 美恵子君

中屋  大介君   中山  義活君   仲野  博子君   永江  孝子君

長尾   敬君   長島  昭久君   長島  一由君   長妻   昭君

長安   豊君   仁木  博文君   西村 智奈美君   野木   実君

野田  国義君   野田  佳彦君   羽田   孜君   萩原   仁君

橋本  清仁君   橋本  博明君   橋本   勉君   畑   浩治君

鉢呂  吉雄君   初鹿  明博君   鳩山 由紀夫君   花咲  宏基君

浜本   宏君   早川 久美子君   原口  一博君   伴野   豊君

樋口  俊一君   樋高   剛君   平岡  秀夫君   平野  博文君

平山  泰朗君   福嶋 健一郎君   福島  伸享君   福田  昭夫君

福田 衣里子君   藤井  裕久君   藤田  一枝君   藤田  大助君

藤田  憲彦君   藤村   修君   古川  元久君   古本 伸一郎君

細川  律夫君   細野  豪志君   本多  平直君   馬淵  澄夫君

前原  誠司君   牧   義夫君   牧野  聖修君   松岡  広隆君

松木けんこう君   松崎  公昭君   松崎  哲久君   松野  頼久君

松原   仁君   松宮   勲君   松本  大輔君   松本   龍君

三日月 大造君   三谷  光男君   三村  和也君   三輪  信昭君

三井  辨雄君   水野  智彦君   皆吉  稲生君   宮崎  岳志君

宮島  大典君   向山  好一君   村井  宗明君   村上  史好君

村越  祐民君   室井  秀子君   本村 賢太郎君   森岡 洋一郎君

森本  和義君   森本  哲生君   森山  浩行君   矢崎  公二君

谷田川  元君   柳田  和己君   山尾 志桜里君   山岡  賢次君

山岡  達丸君   山口  和之君   山口   壯君   山崎  摩耶君

山崎   誠君   山田  正彦君   山田  良司君   山井  和則君

山花  郁夫君   山本  剛正君   湯原  俊二君   柚木  道義君

横粂  勝仁君   横光  克彦君   横山  北斗君   吉川  政重君

吉田   泉君   吉田 おさむ君   吉田  公一君   吉田  統彦君

笠   浩史君   和嶋  未希君   和田  隆志君   若井  康彦君

若泉  征三君   鷲尾 英一郎君   渡辺 浩一郎君   渡辺   周君

渡辺  義彦君   渡部  恒三君   阿部  知子君   重野  安正君

照屋  寛徳君   中島  隆利君   服部  良一君   吉泉  秀男君

亀井  静香君   下地  幹郎君   田中  康夫君   松下  忠洋君

小泉  龍司君   石川  知裕君   中島  正純君   鳩山  邦夫君

     ――――◇―――――

議長(横路孝弘君) ただいま議場内交渉係が協議中ですので、そのまましばらくお待ちください。

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) お諮りいたします。

 日程第一及び第二は、これを後回しとするに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一及び第二は後回しといたします。

     ――――◇―――――

 日程第三 民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第三、民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長奥田建君。

    ―――――――――――――

 民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔奥田建君登壇〕

奥田建君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、国際的な経済活動に伴う民事紛争の適正かつ迅速な解決を図るため、国際的な要素を有する財産権上の訴えに関して日本の裁判所が管轄権を有する場合等について定めようとするものであります。

 すなわち、契約上の債務に関する訴えや不法行為に関する訴えなど、具体的な訴えの類型ごとに日本の裁判所が管轄権を有する場合等を定めるとともに、保全命令事件について、日本の裁判所が管轄権を有する場合を定めることとしております。

 本案は、去る十月二十六日本委員会に付託され、二十九日柳田法務大臣から提案理由の説明を聴取し、十一月十二日、質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第四、独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長牧義夫君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔牧義夫君登壇〕

牧義夫君 ただいま議題となりました独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、独立行政法人に係る改革を推進するため、独立行政法人雇用・能力開発機構を廃止し、その業務の一部を他の独立行政法人へ移管する等の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止すること、

 第二に、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の名称を独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に改め、同機構に雇用・能力開発機構の業務のうち、職業能力開発業務を移管すること、また、独立行政法人勤労者退職金共済機構に財形持ち家融資業務等を移管すること、

 第三に、平成二十五年三月三十一日までの間において、職業能力開発促進センター等について、都道府県へ譲渡できるものとし、譲渡額の減額及び運営経費補助の特例を設けること、

 第四に、高齢・障害・求職者雇用支援機構及び勤労者退職金共済機構は、雇用・能力開発機構の職員のうち、希望、意欲及び能力のある者を職員として採用すること

等であります。

 本案は、去る十月二十六日本委員会に付託され、二十九日細川厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、十一月十二日、質疑を行った後、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対して附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

小宮山泰子君 残余の議事日程は延期し、本日はこれにて散会されることを望みます。

議長(横路孝弘君) 小宮山泰子さんの動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後十一時四分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       法務大臣     柳田  稔君

       厚生労働大臣   細川 律夫君

       国土交通大臣   馬淵 澄夫君

       国務大臣     仙谷 由人君


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